琴葉「なんにもない。私にはなんにも……」 (13)

琴葉「346プロの島村卯月ちゃんはわがままです!」

琴葉「なんにもないですって? あんなに可愛くて個性があって、これ以上なにを求めるって言うんですか!」

琴葉「なんにもないって言うのは、私みたいな人のことを言うんです!」

P「……」

琴葉「なんですかP。また自虐的で面倒臭いこと言い出したなって顔してます」

P「そんなこと言ってねーだろ。って言うか自覚あるならやめろ」

琴葉「自覚あるならって……やっぱり面倒臭いやつって思ってるんじゃないですか!」

P「だってなぁ。言っとくけど琴葉はかなり可愛いほうだぞ」

琴葉「そう言って頂けるのはありがたいです。でも、自分で言うのもなんですけど、アイドルなんだからある程度可愛いのは当たり前じゃないですか」

P(ある程度以上なんだよなぁ)

琴葉「可愛いなんて誰でも出来るもん!」

P「お前それ言いたいだけやろ」

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琴葉「アイドルとして大事なのは個性です。私の個性と言えば、チャームポイントがカチューシャってだけですよ」

琴葉「今どきチャームポイントがなんの変哲もない髪飾りって。そんなの無個性と同義です!」

P「春香の悪口はやめろ」

P「琴葉はほら、委員長キャラって特徴があるじゃないか」

琴葉「律子さんと紗代子と被ってます。しかも二人はPとしての面があったり、熱血だったり、眼鏡だったり。私よりよっぽど個性的です」

琴葉「それに、二人は相手のために心を鬼にして厳しく接することが出来ます。私は嫌われることの恐怖心からそれが出来ない。委員長キャラとしても、私は二人に劣っています」

P「委員長だからって厳しくある必要はないだろ。人によっては琴葉の接し方が合ってる人も居る」

P「あとほら、愛が重いってよく言われるな。これも立派な個性だろ」

琴葉「たまに言われますけど、そんなに重いですか? 普通だと思いますけど」

P(そうかな?)

琴葉「それに愛が重いって言われてるのは私だけじゃありません。美奈子ちゃんとか」

P「美奈子の重い愛は琴葉とは少し方向性が違う気がするが」

琴葉「どちらにしても千早ちゃんの重さには敵いません」

P「………………そうかも」

琴葉「他にはこれと言って特徴はありません」

琴葉「私なんて……律子さんほどしっかりしてないし、千早ちゃんみたいに歌が上手い訳じゃないし、響ちゃんみたいに何でも器用にこなせないし、真ちゃんみたいにアクション上手じゃないし、貴音さんみたいにミステリアスじゃないし、やよいちゃんみたいな癒やし系じゃないし、雪歩ちゃんみたいに謙虚じゃない……と言うか卑屈だし、亜美真美ちゃんみたいなムードメーカーじゃないし、美希ちゃんみたいな天才肌じゃないし、あずささんみたいな包容力はないし、伊織ちゃんみたいに自分の売り方をしっかり理解してる訳じゃない! なんにも特徴がないんです!」

P「お前春香のこと嫌いだろ」

琴葉「春香ちゃんこそ普通とは程遠いです!」

琴葉「性格はこれ以上ないくらい聖人で、センターでリーダーで。ネタ的にも『ヴァイ』とか『のワの』とか『カブトムシ』とか。もはや個性の塊じゃないですか! 誰ですか春香ちゃんが普通って言った人は!」

P(確かに。前は社長から『普通の子』なんて言われてたけど、だいぶ変わったなぁ)

琴葉「私もカブトムシ食べれば脱・普通できますか!?」

P「落ち着け。そんなもの食っても腹壊すだけだ。あと念のために言っておくけど、春香はカブトムシなんか食わない」

琴葉「話を戻しますけど、卯月ちゃんのどこが無個性だって言うんですか!」

琴葉「あのセット大変そうな髪形を見てください。なかなか真似できませんよ! 滅茶苦茶オシャレに気を使ってるじゃないですか!」

琴葉「見た目だけじゃありません。あの癒やし系キャラ、『頑張ります!』が口癖になるほどの努力家ぶり、滅茶苦茶個性的じゃないですか!」

琴葉「私なんかより全然っ……!!」

P「……」

P「確かに琴葉は他のアイドルに比べて一般的な性格かも知れない」

P「──と言うか他の皆の個性が強すぎる。マジで」

琴葉「ほら! やっぱり私は無個性──」

P「けどな。だからこそ逆に、無個性が個性になるんじゃないか?」

琴葉「──!」

P「おめでとう。琴葉にはちゃんと無個性という個性があるよ」

琴葉「P、それは詭弁です。無個性は所詮無個性ですよ」

P「ぐあああああ面倒臭えええええ! なに言っても聞きゃしねぇ!」

P「もう理屈で説得するのはやめだ!」

P「琴葉。お前には世界で唯一の個性がある!」

琴葉「嘘です! そんなもの──」

P「嘘じゃねぇ!!」

琴葉「!?」ビクッ

P「その証拠を今……見せてやるぜ!!」

ダキッ

琴葉「!? ななななんですか、いきなり抱きついて!?」///

琴葉「こんなことで誤魔化されま──」

P「好きだ!! 俺と結婚しろ!!!」

琴葉「………………………………」

琴葉「………………」

琴葉「……」

琴葉「え?」

P「俺がお前にあげられる最大の個性だ。Pとの婚約という───いや、個性の話はもう関係ない。ただお前が欲しい!」

琴葉「ええええええええええええ!!?」//////

P「お前はこんなにも愛されてる。だからもう自分を蔑むのは辞めろ。俺の愛する人を貶めないでくれ」

琴葉「……本当……ですか?」

P「ああ!」

琴葉「何故、私なんかを……」

P「何故とか知るか! 好きになっちまったもんはしょうがねぇだろ!」

琴葉「うぅ……P……」ポロポロ

P「ああ」

琴葉「私も……好き……です……」

P「ああ!」

琴葉「ううぅぅぅぅ……!」ボロボロ

P「結婚しよう」

琴葉「……はい……!」






こうして琴葉とPは結婚した。

【花たちの祝福】田中琴葉、誕生秘話である。

出ない。

終わりです。
限定琴葉が出ないので結婚しました。

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