【モバマス】誕生日前の土曜日のこと【一ノ瀬志希 誕生日記念】 (25)

誕生日記念SSを当日夜9時に書き出したら案の定遅刻しました。

モバマスの二次創作
突如として猫になる志希(比喩表現ナシ)
一瞬雲行きの怪しくなるシナリオ
そもそも深夜テンションで書いた独りよがりともいえるSS
読みずらい文章
プロデューサーといちいち書くのが面倒になり、全編とおしてPと省略


以上の点に、ご理解いただける方はどうぞ最後までお付き合いください。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1527705739

 あたしがまず気づいたのは、体に大きな布が掛かっていることだった。昨日は、というか今朝は午前3時過ぎまで実験を繰り返してそのままソファーで寝たはずだから、毛布だとかはかぶっていなかったはずだった。誰かがかぶせてくれたのかなと、違和感をぬぐえずに布を外そうとして気づいた。

 あたしの手が、人の形ではなく猫の手の形をしていることに。

志希「!!!!」

鋭く息を呑み、動揺を押さえつける。自分が置かれている状況を確認すると、どうやら引っかかっている布は、あたし愛用の白衣のようだ。思い切ってそれをどかしてみようとするが、うまくよけられない。どうやら、体格が少し小さくなってしまったようだ。これらの条件から一つの可能性に思い至るが、ひとまず答えを出すのは先延ばし。バタバタともがいてようやく白衣から出てくることができた。東向きの窓から日が差していることから、夜が明けて朝が来たのだろうと理解する。下を見ると、猫の前足にしか見えない自分の手と、しわくちゃになった白衣と、同じくしわくちゃになった昨日の夜着ていたTシャツとホットパンツ(多分内側に下着が残っている)があった。
 すぐそこにあった、ビーカーに自分の姿を映してみると、

 紛うかたなき猫がいた。灰色と黒のしま模様、いわゆるサバトラである。

先ほどの予測は、正鵠を射ることとなってしまった。ちなみに、正鵠というのはジャパニーズキュウドウの的の中心のことらしい。閑話休題、とりあえずあたしは、洋服一式をソファーの下に押し込み、人目に付かないようにした。
 原因については心当たりがある。この間ようやく完成させた「猫耳と尻尾が生える薬」、あれの改良研究を昨夜はしていたのだ、何らかの影響が出ても不思議ではない。しかし全身が猫になるのは想定外である。しかし、さすがに自業自得で変に心配かけるのもどうかと思うので、洋服を隠し何でもないかのようにしようというのだ。
 さてどうしたものかと考え事を始めようとしたとき、私の猫耳が鋭く何者かの足音を聞きつけた。とっさにあたしは、部屋のロッカーの裏に隠れた。ちなみにあたしは今、事務所内の空き部屋に大量に私物を持ち込み、あたし専用の部屋としてプロデューサーとちひろさんに追認させたラボラトリーにいる。

 コンコンコンとノックの音がして、あたしを呼ぶ声がする。

美嘉「志希ちゃ~ん、いる~? レッスン遅刻しちゃうよ~~」

 美嘉ちゃんだ。そういえば今日は、朝9時半からレッスンが入っているんだった。美嘉ちゃんは返事が返ってこないので、ドアを開けて入ってきた。ラボに入ってきた美嘉ちゃんの身に特に異常は起きてないようで一安心。

志希(美嘉ちゃんまで猫になっちゃったらどうしようかと思ったけど、特に何もなしかな。よかったよかった)

 美嘉ちゃんはロッカーの陰に隠れたあたしに気づかなかったようで、

美嘉「あれ~、てっきりここだと思ったんだけどな~」

と、こぼしていた。ちょっとワルイことしたかな~とあたしが思っていると、廊下の方から声がした。

フレ「あれ~、志希ちゃんここにいなかった~?」

 フレちゃんだ。今日のレッスンは lips のメンバーでのものだから、もしかしたら周子ちゃんと奏ちゃんも、あたしのことを探してくれているのかもしれない。うっすらと感じる背筋が冷えるような感覚、ここに来る前のあたしは感じたことのなかった“罪悪感”とかいわれるヤツだ。どこ行ったんだろ~ね~、などと言いながら二人が歩き去っていったのを猫耳で聞き届けた。あたしは少し思案して、まとめ終わった計画の通りに行動し始め………ようとした。
 そう、あたしが物陰から出て、実験器具まみれのテーブルに乗ったタイミングで、この部屋を訪ねてきた人物がいたのだ。その名は龍崎薫ちゃん。あたしに、泥汚れや絵の具シミなどが簡単に落ちる洗剤を依頼していて、毎日のように進捗を聞きに来ていた。あたしとのおしゃべりも楽しみにしてくれているようで、あたしなりに分かりやすくしたつもりの化学の話を、とても熱心に聞いてくれるとても良い生徒だ。しかしこのタイミングで来られるのは想定外だ、ふだんは夕方ごろに来ることが多いのに。今日が土曜日だからだろうか?しかし、彼女が入ってきてしまったことに変わりはない。ノックなしに元気よく「おっじゃましまーー!」と言って彼女が入ってくるのも、普段ならば何も問題ないことではあるのだけど、今日に限っては不都合が多すぎる。行動計画を考えるのに夢中になっていた間、注意力散漫になってしまったようだ。

薫「あー!ダメだよー、こんなところに上っちゃー。ガラスが割れたらどうするのー」

そう言って薫ちゃんはあたしの脇に手を入れて持ち上げ、部屋から連れ出してしまった。軽く動いては見たものの、薫ちゃんの手を振り払うことはできなかったし、下手に暴れると薫ちゃんにケガをさせてしまう恐れがあったからだ。……こういうことも、アメリカの大学にいたころは考えもしなかったことだ。誰かを傷つけることに、外ならぬあたしが恐怖しているというのは、冷静になってみると驚くべきことだ。
あたしは薫ちゃんに抱えられたまま、事務室に連れられてきた。部屋に入るとちひろさんが反応して、

ちひろ「あら、薫ちゃんどうしたの?その猫。」

と聞いてきた。薫ちゃんは、

薫「志希おねえさんの部屋に行ったら、いたの」

と答えて、あたしを床におろした。事務室のドアノブは高めのところにあり、真ん丸な形をしているため、今のままじゃ開けることはかなわない。部屋にいたのは、ちひろさんとみくちゃんの二人、みくちゃんはあたしに気づいて、手元の雑誌をローテーブルに置いてこちらによってきた。

みく「うっひゃー、かわいいネコちゃんだにゃー」

 そう言って頭を撫でようとしてきたので、ちょっとからかおうと思い身をよじってみくちゃんの手を避けた。ちょっと悲しそうな顔になったみくちゃんは、バッグから猫用ジャーキーを取り出してきた。なるほど、エサで機嫌をとろうというのか。あたしは、起きてから何も食べていなかったから、そのジャーキーがとてもおいしそうに見えた。みくちゃんの手元によってジャーキーをかじった。普通においしかったが、猫化で味覚の様子まで変わっているのかはわからないから、人間にとってどうであるかはわからない。みくちゃんが反対の手を伸ばしてきたので、今度は素直に撫でられておく。うれしそうに目を細めるみくちゃんの表情に、あたしも少し顔がほころぶ。

みく「あー!この子今撫でられてわらったにゃあ!」

 薫ちゃんはそれを見て、

薫「ずるーい。…いいもん!かおるは、このおもちゃでこの子と遊ぶもん!」

 そう言って取り出したのは、雪美ちゃんがペロと一緒に遊ぶときに使っているおもちゃで、いわゆる猫じゃらしというヤツだ。………やばい、今のあたしにはとてつもなく魅力的に見えてしまう。

薫「ほらほらおいでー」

 位置もにもなく飛びつきに行ってしまった。どうやら、今回のクスリは静止にも影響を与えるらしい。いや、人間の体をしている存在が人間ぶっているだけで、猫の体になれば誰でもこうなるのだろうか? ……そのようなことについて、考えを深める余裕がないくらいにはこの遊びは楽しい。

しばらくすると、レッスンにひと段落つけたらしい lips のメンバーが事務室に入ってきた。

奏「あら」
フレ「ネコちゃんだ~」
周子「ほんまやー」
美嘉「ホントだー」

 それぞれに反応をしながら、あたしの方によってきた。薫ちゃんから事情を聴いたみんなは、

フレ「ついにネコちゃん連れ込んじゃったかー」
奏「とうとうって感じね」
美嘉「いろいろと大丈夫なのかな?」
周子「そこんとこどうなん?ちひろさん」

と反応。ちひろさんの答えは、

ちひろ「志希ちゃんの行方が分かっていないので、事情が分からないんですよね。なので、ひとまずここに留め置いて、Pさんと志希ちゃんが戻ってきたら相談しようと思ってます」

とのこと。ひとまずは現状維持が確定したのかな?

美嘉「志希ちゃんの行方まだわかってないの?」
ちひろ「はい。自宅マンションと事務所の中は一通りチェックしたんですけど見当たらなくて」

 ホントはすぐここにいるわけだけど、それを伝える手段は今のあたしにはない。

周子「ふーん」
フレ「でもまあ、約束すっぽかすのは最近なくなってたけど、でもこーいうことをやっちゃうとこまで志希ちゃんらしさじゃない?」
奏「まあ、それもそうね」

 フレちゃんが何気なくフォローに回ってくれた。やっぱり lips のみんなはあたしの扱いに慣れている、アメリカの大学にはそんな人は一人もいなくて、みんなあきらめちゃって完全にあたしから離れて行っちゃってた、当時はそれでよいと思っていたんだけどね。

美嘉「さて、せっかく志希ちゃんがいないんだし、作業しよっか。」

 そういうと、薫ちゃんを含めたみんながあたしから離れていった。なんだかちょっと嫌な感じがする。
 みんなは、箱から何か作りかけの飾りのようなものを取り出してそれを完成させるための作業に夢中になってしまった。

フレ「志希ちゃんって事務所のラボにいることが多いから、結構いないタイミングを見計らうの難しいんだよね~」

奏「そうね、でもこうして……

  時々いなくなってくれるから問題ないけど」

 氷水を浴びたような気分がした。

フレ「ねー」
美嘉「まあ、レッスンを休まれたのはちょっと問題だけどねー」

 だれも奏に反論しない。
 つまり、みんなはあたしが失踪したことをありがたがっている節があり、あたしにナイショで何か楽しげなことの準備をしていると。……あたしは音をたてないようにしながらソファーと壁との隙間に隠れた。あたしはどこで選択を間違えたのか、考え続けながらぼんやり天井を見ていた。

ぼんやりしすぎていて、あたしに近付いてきている相手がいることに気づかなかった。

???「………何をしているんだい、君は」

 話しかけられ驚いて声の元の方へ首を向けた。そこにいたのは、シャキリとしっかりした姿勢で座る黒猫、雪美ちゃんちのペロだった。

志希「……あたしに、話しかけてるんだよね?」
ペロ「君以外にだれがいるというんだい?」
志希「だよねー」

 雪美ちゃんはペロはお話をするって言ってたけど、ホントのことだったとは。

ペロ「……それで、君は何者でここで何をしていたのか聞かせてくれないかな」
志希「……………ちょっと長くなるけど、いい?」
ペロ「かまわないよ」

 あたしは、会うのは初めてではないけど話すのは初めて、そんな相手にこれまでの経緯を話した。

志希「………というわけで、ここで黄昏てたの」
ペロ「なるほど理解した。君が一ノ瀬志希だということを信じ切れているわけではないが、君の話はちゃんと理解したつもりだ。その上で一つ問う。」
志希「………何?」

ペロ「君は、馬鹿なのかい?」

 さすがにちょっとむっと来た。

志希「………どういうこと?」
ペロ「いったままの通りの意味さ。猫であるぼくにもわかっていることが、君は理解できてないんだね。君はそこにいる彼女たちが、何を作っているのかちゃんと知ることもせずに、勝手に裏切られた気分になっているだけだ。」
志希「…何が作られているかなんて、わかってるよ。パーティの飾りでしょ、あたしは呼ばれていない。」
ペロ「そうだね、たしかにあの飾りは君が呼ばれていないパーティに向けたものだ。」
志希「だったらなんで……」
ペロ「まだ情報が出そろっていないのに、判断を急ぐからミスが出るんだ。人間の“ケンキュウシャ”にとっての基本だって聞いてるけど?」
志希「………………?」
ペロ「そこのソファーに上ってちゃんと確認してきなよ。話の続きはそれからだ。」

あたしは納得できないままソファーに上ってテーブルを覗き込んだ。
 そこには、あたしの想像していなかった文字が並んでいた。

 『志希ちゃんお誕生日おめでとう!』

 あたしはソファーから降りてペロのもとに戻った。

ペロ「わかっただろう、ぼくの言いたかったことが。だいたい、黙ってパーティーの準備といえば気づくもんじゃないのかい、サプライズパーティーの可能性くらい」

志希「……………あたしの誕生日って、近いの?」

ペロ「そこからかい!?」
志希「だって、……ここ2,3年誕生日のことなんて考えたこともなかったし……。」

 そうなのだ。誕生日のことなんて、考えなくなってからもう何年もたっていたし、唯一祝ってくれたママのそばを離れた直近3年ほどは、誕生日の存在を完全に忘却して過ごしていたのだ。……よーく思い出してみれば、ママがケーキを用意してくれたりしていた日は確かにこの時期だった気がする。

志希「そっかー……、通りであたしがいたら困るわけだ。」
ペロ「ぼくの方が、君自身より君の誕生日に詳しいのはさすがにどうかと思うんだけど。」
志希「………返す言葉もありません…」

ペロ「まあ、今日のことはおいといて、ちゃんとサプライズパーティーで驚いてあげなよ。その方がきっと喜ぶから」
志希「……うん…」

 ――――――

 と、いい話風に来たけれど問題は解決していないのだ。あたしは現状猫のままで、このままではどうしようもない。そう考えてた時にドアを開けて入ってきた人物がいた。佐城雪美ちゃん、ペロの飼い主でペロの言ってることがわかるという女の子だ。雪美ちゃんはペロに気づきこちらに寄ってきた。あたしは必死に雪美ちゃんにアピールして人間だと気づいてもらおうと声を出した。しかし、雪美ちゃんは首をかしげるばかり。どうしようかと思ったとき
 
ペロ「ぼくに任せて。」

そう言ってペロは雪美ちゃんに話しかけ始めた。

雪美「………うん……、……うん…、……………なるほど……、………………わかった………。」

 どうやら通じたようで、雪美ちゃんがどこかに電話をかけ始めた。あたしが驚いた表情でペロを見ると、ペロはすました顔で、

ペロ「まあ、いろいろコツとかがあってね。波長を相手に合わせに行かなきゃいけないんだ。」

 雪美ちゃんが電話を切ってこっちに来た。

雪美「………P…もう少しで……来る…。……3人で………志希の部屋……行く……」
ペロ「わかった、ぼくたちはついていくから雪美がドアを開けて。」

 幸い lips のメンバーやみくちゃん、薫ちゃんが作業しているテーブルと、入り口付近のソファーは距離があった。あたしたちは特に怪しまれることもなく、ラボへ行くことができた。そしてその数分後、Pがあたしのラボに入ってきた。

P「すまん待たせた。……それでこのサバトラの猫が志希なのか?」

 Pの質問に1.5人プラス1.5匹が頷いて答えた。

P「なるほど、わからん。それで質問なんだが、……この症状をどうにかする方法に心当たりはあるのか?」

 あたしの方を向いてPが質問する。あたしは、必死に自分の意図を伝えようとするが、P本人には届かない。しかし、ペロがあたしの発言を雪美ちゃんに伝えてくれて、さらに雪美ちゃんがPに伝えることであたしの答えがPにちゃんと伝わるようにしてくれた。Pは「な
るほど」と言って少し考え込んで、そのうえで提案してきた。

P「よし、それじゃあ。俺が志希の考えている元に戻る方法を実行する、そのための手段は伝言ゲームだ。雪美、ペロ頼むぞ。」

あたしとペロが了解したと雪美ちゃんに伝えると雪美ちゃんは

雪美「…………志希も……ペロも………了解って………、………ふふふっ……。」

と、Pにつたえた。どうにかなりそうである。その後、基本的には伝言ゲームで、薬品など雪美ちゃんにはよくわからない言葉については、直接指さしたりして、回復薬は完成した。
 雪美ちゃんとペロ越しにその薬を飲ませるよう要求して、口に入れてしばらくすると、光ともやのようなものがいきなり発生し、全員の視界を奪った。気づいた時にはあたしは元の姿に戻っていた、

 当然、素っ裸である

P「うわぁお!びっくりしたー!!」
雪美「………P……みちゃだめ…………」

志希「いやーすっかり忘れてたよ、ごめんごめん。」

 あたしは雪美ちゃんの座っているソファーの下から洋服一式を取り出して身に着けた。

志希「いやー、ごめんね今回もいろいろ手間かけさせちゃって。」
P「ほんと、気を付けてくれよ。そもそも前から言ってる通り、おまえはもう俺の大切なアイドルなんだし、自分自身を大事にしろよ。」
雪美「………気を……つけて……」
志希「はーい。以後気を付けます。」

 ようやく自分の言葉が直接相手に伝わるようになった。逆に言うと、もうペロとは通じなくなってしまった。

志希「ありがとうねー、ペロ」
ペロ「……ンギャァ」

――――――

 久しぶりに誰かに祝ってもらった誕生日は、もう2時間ほど前に終わってしまった。Lipsの仲間たちやみんなに暖かく祝ってもらえたことは、比喩でも何でもなくあたしの人生の宝物になる。ジュースとオードブル、それにパーティーに興奮した人のにおいがわずかに残るこの部屋にまだ残っているのは、あたしとPの二人だけ。
 急がないけど話をしたい、そうあたしが言うと明日の夕方以降か、あるいは今日俺の仕事がひと段落してからのどっちか、と言われてしまったので、あたしは後者を選んで待っている。

P「悪い、すっげぇ待たせたな。ホントごめん。」
志希「いいよいいよ、そもそもあたしが話したいことがあるっていうことだしね。」
P「それで何なんだ、話って?」

 あたしは、打ち明けようと思った。今回の一件の中で気づいてしまったあたしの中にある不安について。

志希「あたしね、ずっと生まれてから一回も誰かに気を使ったことなんてなかったの。自分の望むように生きて、我ながらあの頃は白衣を着た自由奔放そのものってカンジで、人間関係について真面目になったことなんてなかったんだ。だけどね、キミに出会ってこの事務所にきて、アイドルやり始めて、2つ新しいことが見つかったの。1つはアイドルっていう生き方そのもの。もう1つは、生れてはじめて築いた人間関係。アイドルとして生きていく中で、キミと交流して、一緒のグループ組んだアイドルがいて、きっとみんな普通の人のあたりまえなんだろうけど、あたしにとっては初めてで、トクベツで。だから、なくしたくないの。どうすればいいの?」

 あたしは、あたしの思ってる不安を一気に吐き出した。どんな返事が返ってくるか、少し緊張しながら返事を待つ。でも、返事は意外なほどあっさりしていた。

P「んなもん、わかるわけねーじゃん」
志希「…………ふぇっ?!」

P「どうやったら人に好かれ続けられるかなんて、そんなのわかってたら、お前たちにどんな仕事をやらせれば人気が出るか考え込んでこんな時間まで残業する羽目になってねーよ。」

志希「…………………」

P「お前は普通の人にとっては当たり前なんて言ってたけど、俺にとって見たってお前たちとの関係は失いたくない貴重なもんだ。そいつは、単なるビジネスパートナー以上の大切な、必死に守り抜く意義のある、失うことに耐えられないほどの価値が、少なくとも俺の中にはある。守るためにいろんなことをやってる、だけどそれがこの関係を壊すものじゃないかってびくびくしながらやってるのさ。正しい選択を完全に選びとおせる奴なんて、たぶんどこにもいないさ。」

志希「………じゃあ……、…あたしはどうすればいいのさ……」

P「お前の好きにすればいいさ。自分自身を犠牲にして誰かとの関係を守るのもよし、奔放に自分の心のおっ向くままに行くもいいさ。ただ……。」

 Pの手があたしの頭をなでる。

P「お前がどんな生き方を選んだにせよ、俺はお前を応援するよ。」

 Pのやさしさが手のひらを通してあたしの心に届いてくる。あたしは、決心して言葉を紡ぐ。

志希「きめた。あたしは、自分を犠牲になんてしない。でもキミみたいに、そうやって自由に生きようとしているあたしを応援してくれる人が、一人でも増えてくれるように頑張る。矛盾するかもしれないし、また迷うことがあるかもしれない。でもあたしは、あたしの気持ちに従ってみる。」

P「そうか」

志希「うん。……あたしは、好きなように生きるけど、誰かに愛されるという願いを手放さない。両方抱えて生きてみるよ」

P「そうか。それなら俺はそんなお前が
  
      好きだよ。」

 部屋をつつむ夜の涼しさ。しかしその涼しさは確かに、新しい朝の訪れを内包していた。
 新しい朝は新しい季節を内包し、日々は過ぎていく。けれども新しい朝は、少し重すぎるけど、背負い甲斐のあるものを、背負うことを決めたあたしのことを祝福していた。

以上になります。お疲れさまでした。
我ながら、まとめ方が強引だったかなとか、書きこんでみたら改行が汚いなとか、
思うところはございますが、夜明け前までに書き込もうと思っての突貫工事だからです。
今後は、しっかりと前もって書き貯めしておこうと思いました。
全体的にグダグダでしたが、今回の反省を踏まえて精進する所存ですので、
また、お目にかかることがありましたら、温かい目で見守ってやってください。
今回は本当にお疲れさまでした。

ありがとうございました

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