紬「やいやいやいね」【ミリマス】 (29)

事務所


紬「はむ……」

紬(おいしい…… エミリーさんに教えていただいたコンビニの和菓子、とてもおいしいです…… 近頃は専門店でなくてもこんな質の良い和菓子がいただけるのですね、良い時代です……)

まつり「た、大変なのです!!! ……ね」

紬「わっ、わああぁっ!? い、いきなり何ですか徳川さん」

まつり「やっぱりここに居たのですね、紬ちゃん」

美也「今、みんなで紬ちゃんのことを探していたやいねですぞ~」

紬「私を……? な、何かしてしまいましたか?」

まつり「とにかくこっちに来て欲しいのです! ……いね」

紬「?????」

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まつり「プロデューサーさん、連れて来たのです」

P「おお、来たか紬やいね!」

紬「……? 妙なことが起きてると思えばやはり貴方の仕業ですか、本当に貴方は一体何を考えているのか私には全く理解出来ません」

P「あぁごめん、だが緊急事態なんやいね! 紬の力が必要やいね!」

紬「貴方はさっきから何故そんな話し方をしているのですか? まさか私を小バカにしているのですか?」

P「違う! 違うやいね!」

琴葉「紬ちゃん、落ち着いて聞いて欲しいやいね」

紬「た、田中さんまで!?」

琴葉「私たち、今語尾に『やいね』が強制的に付いてしまうやいね!」

紬「??????????????」

紬「すみません、何故そんなことに……」

P「わからんやいね、ただひとつ言えることは『やいね』と言えば北陸の星、白石紬やいね。 何か理由を知らやいね?」

紬「知りません!」

琴葉「紬ちゃんにもわからないなんてやいね……」

まつり「八方塞がりなのです…… やいね」

美也「困りましたね~」

紬「えっと、今宮尾さんは普通に喋れていたように感じましたが……」

P「あぁ、そうやいね。 何故だかわからなやいね、今回のやいねの影響をあまり受けやいねな娘が何やいね人やいねか居るやいね」

紬「ちょっと何を言っているかわからないので誰か解説をしていただけませんか?」

「その解説、私が致します!」

紬「その声は……!」

エミリー「私が来たからにはもう大丈夫です!」

紬「え、エミリーさん!」

エミリー「今仕掛け人さまは『今回の語尾が変わる現象の影響は個人差がある』と言いたかったのです」

P「そうやいね!」

紬「なるほど」

まつり「姫と美也ちゃんはそこまで変化はないのです ……ね」

琴葉「逆に私は影響が強くて、でも一番影響されてるのはプロデューサーやいね……」

P「そして、全くやいねの影響を受けやいねのがエミリーやいねスチュアートやいね」

紬(プロデューサー、少しふざけていませんか……?)

紬「なるほど、少し読めてきました」

P「何かわかったやいね!」

紬「推理の邪魔です。 少し静かにしていただけませんか」

P「ごめんやいね……」

琴葉「紬ちゃんがこの前のドラマ撮影で培った推理力を発揮しようとしてるやいね……」

紬「この謎の現象、影響に個人差があり、影響を全く受けていないのは私を除くとエミリーさんのみ、つまり!」

琴葉「やいね……」

紬「大和撫子は影響を受けないのです!」(どやいね!)

エミリー「Wow! ということは私は真の大和撫子になれたということですね!」

紬「えぇ、きっとエミリーさんの頑張りが認められたのですよ」

エミリー「ありがとうございます紬さん!」

紬「いえ、私は何もしていません。 エミリーさんの努力の結果です」

琴葉(ていうかそれだと私たちは真の大和撫子じゃないってことやいね……?)

瑞希「みなさん、この『やいやいやいね』現象の謎がわかりましたやいね」

ロコ「ロコ達がソリューションをコミットします!」

P「おお、やいねとやいね!」

琴葉「プロデューサー、瑞希ちゃんとロコちゃんやいね」

紬「二人は?」

エミリー「お二人もあまり影響を受けなかったので、この状況を調べてもらっていたのです」

瑞希「解決のためには白石さんに手伝っていただく必要があったのですが…… 丁度いる、ついてるぞ」

ロコ「ナイスタイミングです! ツムギ!」

紬「は、はぁ……」

P「やはり解決のカギはやいねか!」

琴葉「プロデューサー、さっきから私たちのこと『やいね』でしか呼べなくなってますやいね」

琴葉「それで、二人が調べてきたこと教えてもらえるかしやいね」

瑞希「はい、この件にはやはり白石さんが大きく関わっていますやいね」

瑞希「まず、この世界には『プラスなんやいねエネルギー』と『マイナスなんやいねエネルギー』という二つが存在しているのです」

紬「???????????????」

瑞希「紬さんが『なんやいね』を使う度、プラスなんやいねエネルギーは貯まり、逆に使わないでいるとマイナスなんやいねエネルギーが世界に充満します」

瑞希「そして、マイナスなんやいねエネルギーが一定値を越えると、周りの人々に『やいやいやいね』現象を起こします」

まつり「ということは……」

瑞希「そう、この事態の原因は白石さん、貴女が『なんやいね』を使わなかったからなのです!」

P「な、なんやいねー!?」

紬「え、えぇ!? 何ですかその理由」

ロコ「エビデンスはメニーです! こちらがニアのツムギの『なんやいね』使用回数のグラフです」

琴葉「だんだん減って…… この一ヶ月は全く使ってないやいね!?」

エミリー「そういえば、確かに最近紬さんから方言を聞きません」

紬「そ、それは……」

瑞希「白石さん、前の貴女ならこんな事態になれば間違いなく『な、なんやいね!? うち…… そんなの知らんもん……』と、リアクションしたはずです」

瑞希「しかし、今の貴女は方言を捨て、常に丁寧語で話すようになってしまった」

瑞希「今回の事態は貴女のそんなキャラ変更が原因なのです! ……瑞希、決まったぞ やいね」

紬「……」

ロコ「ちなみにこのフェノメノンのインパルスがロコ達にあまり無かったのは、ロコ達のトークがユニークだったからです」

琴葉「つまり…… 喋り方が特徴的な娘はあまり影響を受けないやいね?」

まつり「ほ?」

美也「みや~?」

瑞希「かべー」

琴葉(わかる気がする……)

エミリー「ということは…… 私は真の大和撫子ではないという……」

紬「そ、そんなことありませんよ! エミリーさんは立派な大和撫子です」

エミリー「ほ、ほんとでしゅか……?」

紬「ほ、本当です!」

紬「それで、結局私はどうすればいいのですか?」

まつり「今までの話から行くと『なんやいね』って一言いえば大丈夫なのです ……いね」

紬「何で私がそんなことを……」

P「たのむやいね! このやいね……」

琴葉「私たちとプロデューサーを助けると思って、ね?」

紬「…… 不本意ですが、仕方ありません」

紬「な、なんやいね!」

瑞希「…… これは」

P「よっしゃー! これで直ったやいねー! ……やいね?」

琴葉「直ってないやいね……?」

紬「どうして……」

瑞希「おそらく、今の『なんやいね』では放出プラスなんやいねエネルギーが少なすぎたのです。 ここに充満しているマイナスなんやいねエネルギーは想像より多かったようですね……」

紬「そんな……」

瑞希「このままではダメです。 より多くのプラスなんやいねエネルギーを生み出す必要があります」

エミリー「どうすればいいのですか?」

瑞希「より感情を込めた『なんやいね』が必要です。 怒りを、憤りを、不満を、それらを吹き飛ばすような全力の『なんやいね』です」

紬「なんですかそれは!」

ロコ「それじゃバッドです! 必要なのは『なんやいね』です!」

やいね「頼む、やいね! このやいねまやいね、やいねやいねやいねー」

琴葉「あぁもうプロやいねが何を言っているか全然わからないやいね!」

美也「だんだんやいねが増えてますぞ~ やいね」

紬「うぅ……」

ロコ「大変です! SNSをルックしていたら『やいやいやいね』現象がシアターの外にも!」

まつり「ほ?」

ロコ「ロコ達のファンのツイートにも『やいね』が現れてるやいね!」

琴葉「た、大変やいね! このままじゃ取り返しのつかないやいねになるやいね!」

美也「やいね~?」

やいね「や、やいね! やいねやいねやいやいやいね!」

まつり「美也ちゃんもやいねが止まらなくなってるやいね!」

瑞希「パンデミック、やいね」

紬「……」

琴葉「紬ちゃん! 早く『なんやいね』を! お願い!」

瑞希「お願いやいね。 それしか解決法がないのです」

まつり「姫からもお願いなのやいね!」

美也「やいね~」

ロコ「ヤイネ!」

琴葉「やいね!」

まつり「やいね!」

瑞希「やいね」

紬「うぅ……」

紬「どうして…… どうしてみんな……」

エミリー「紬さん、私からもお願いします。 皆様を助けられるのは紬さんだけなんです!」

紬「エミリーさんまで……」

エミリー「…… 紬さん、最近方言を使わないのは何か理由があるのですか?」

紬「それは……」


紬「だって……おかしいんです、私の話し方は」

紬「東京に来て、みんな同じ話し方をしていて、私もそうならなければいけないんだと思いました」

紬「だから頑張って東京の言葉を勉強して、たまに感情が高ぶってしまうと地元の言葉が出てしまって、その度に笑われて」

紬「金沢弁が出ないように一生懸命言葉を修正したのに…… 今さらそれを話せだなんて……」

エミリー「…… 紬さん」

エミリー「私は、紬さんの言葉を変だと思いませんよ」

紬「……」

エミリー「『方言』は地元に根付いた風習や文化が形にならない形となった、紬さんだけのものです。 それをどうして恥じる必要があるんですか?」

紬「……」

エミリー「そ、それに私も…… 同じ経験をしたことがあります」

紬「えっ?」

エミリー「日本で教える英語は、基本的には米国の英語です。 ですから私の出身の英国の発音は教科書で教える言葉とは少し違うのです」

エミリー「それに、私の生まれた国では、住んでいる地域によって同じ英語であっても少しずつ発音が違って、きっとこれも『方言』の一種なんだと思うんです」

紬「そう…… なんですか」

エミリー「他の人と話す言葉が違うことを不安に思う気持ち、頑張って合わせなければいけないと思う気持ち、私はどちらもわかっているつもりです」

紬「エミリーさん……」

エミリー「それに…… 紬さんの金沢弁は……」

紬「?」

エミリー「か、かわいいでしゅっ!」

紬「っ…… !?」

まつり「そうなのやいね! 可愛い!」

美也「可愛いやいねですぞ~」

琴葉「可愛い!」

瑞希「かわいいぞ、やいね」

ロコ「キューティーです!」

やいね「やいね!」

紬「も、もう! 皆さんまで…… ほ、本当に……」

紬「な、な……」

紬「なんやいね!」

数日後


エミリー「はむ……」

エミリー「んん~ この和菓子…… おいしいでしゅ~」

紬「ふふ、エミリーさん 美味しいのはわかりますが、そんなふやけた顔をしていると折角の美人が台無しですよ」

エミリー「はっ…… うぅ…… また私、はしたない姿を……」

紬「真の大和撫子を目指すのですから、こういう時でも気を抜いては駄目ですよ」

エミリー「はいっ」


エミリー「それにしても、先日は大変でしたね」

紬「あ、あの事はもう忘れてください!」

エミリー「ふふ、しばらくは忘れることが出来なさそうです」

紬「え、エミリーさん!」

エミリー「ふふふ」

紬「あの、エミリーさん」

エミリー「どうしました?」

紬「その、エミリーさんは私のことを立派な大和撫子だと言ってくれますが、私はまだまだ未熟です」

紬「先日も、つまらない意地を張ってしまったばかりに、事務所の皆さんを混乱させてしまいました」

紬「私が意固地になって冷静になれなくなっている時、助けてくれるのはいつもエミリーさんです」

紬「私からすれば、エミリーさんの方が余程立派な大和撫子です……」

エミリー「そ、そんな私なんて

紬「それ以上は言わないでください」

紬「過度な謙遜も失礼です。 私たちはまだまだ未熟者同士、お互い高めあって真の大和撫子に…… 二人でなりましょう」

エミリー「…… はい!」

紬「それと…… その……」

エミリー「?」

紬「あ……」


紬「あんがとー……」



おわり

紬ちゃん可愛いやいね
読んでくれやいね人、あんがとー

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