【モバマス】文香「目がぁ・・・目がぁ・・・」 (14)

文香「プロデューサーさん・・・おはようございます」ガチャッ

P「おー、おはよう・・・っ!?」

P(文香の顔に、痛々しい眼帯がされてあった)

P「文香、どうしたんだその目」

文香「その・・・転んだ拍子に目を怪我してしまいまして・・・完治まで後二日ほどかかるそうです・・・」

P「そ、そうか・・・ちゃんと治るんだな。良かった」

P「しかし、そんな状態でレッスンとか仕事とかできるのか?」

文香「ご心配なく・・・今日と明日、二日ともレッスンはありませんし、お仕事はドラマの収録だけです」

文香「『敵組織に片目を奪われた、主人公の姉』の役ですから、ビジュアル的にも問題ありません」

P「何でそんなドンピシャの仕事持ってきたんだろう俺」

P「とにかく、問題ない・・・んだな?それじゃ、収録現場まで送っていくよ」スタスタ

文香「はい・・・っ!」ヘゴチン

P(振り返ると、文香が壁に激突していた)

文香「う、うぅ・・・」サスサス

P「大丈夫か!?」

文香「は、はい・・・痛いだけで、特に・・・」

P「そ、そうか。しかし、どうして急に壁にぶつかったり・・・」

ありす「説明しましょう」ヒョッコリス

文香「ありすちゃん」

ありす「そもそも、我々には何故眼球が二つ付いているのか・・・それは、物体や景色を多角的、立体的に見るためです」

ありす「故に今、使える目が一つしかない上、元より読書漬けで平面的にしか目を使ってこなかった文香さんは・・・」

P「文香さんは・・・?」

ありす「遠近感覚ゼロ文香さんなのです!」ロンパァ

P「遠近感覚ゼロ文香・・・!?」



P「なるほど。それでさっき壁にぶつかっちゃったりしてたんだな・・・」

P「しかし・・・このままだと文香はたんこぶだらけになってしまう。やはり今日は大事を取って、お家へ帰るべきでは・・・?」

文香「そんな・・・お仕事に穴を開けるわけには・・・」

ありす「問題ありません。私にいい考えがあります」

P「いい考え・・・?」

ありす「プロデューサーさんが文香さんと腕を組んで、エスコートしてあげれば良いのです!」ロンパァ

文香「!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1527070476

文香「エスコートだなんて・・・プロデューサーさんにもプロデューサーさんのお仕事があるわけですから」

P「いやいや、アイドルの安全を保つのが、俺の一番の仕事だよ」

文香「で、ですが、腕を組む必要は・・・」

ありす「文香さんの自由度が低ければ低いほど事故の確率が下がるわけですから、密着度を上げるのは必定です」ロンパァ

ありす「本来なら、もっと安全を意識して、プロデューサーさんにだっこしてもらうべきなんですよ?」

文香「だ、だっこ・・・?」カァァ

P「まぁ、だっこは流石に要らぬ噂が立っちゃうから駄目だけど。腕を組むぐらいならセーフだろう」

文香「プロデューサーさんまで・・・!」



文香「ありすちゃん・・・どうしてこんな事を・・・?」ヒソヒソ

ありす「私は応援してますよ。文香さんとプロデューサーさんの事・・・」ヒソヒソ

文香「なっ・・・!その、お気遣いはありがたいのですが、いきなり腕を組むというのは、心臓が持ちませ・・・」ヒソヒソ



ありす「途中で何かあるかもしれませんし、今日は早めに現場へ向かった方が良いのでは?」ロンパァ

P「おっ、そうだな。行こうか、文香」

文香「ありすちゃん・・・っ!」

P「ほら、文香」スッ

文香(ここで断ったら、プロデューサーさんを拒絶するような形に・・・)

文香「は、はい・・・」ギュッ

P「うん」ギュッ

文香(こ、この密着度・・・プロデューサーさんの腕の暖かさ、逞しさが私の柔らかい所に当たって・・・)

文香(し、心臓が・・・幸せで張り裂けそうです・・・)キュン

P「ふ、文香・・・やっぱり、腕組むのはやめとくか・・・?」

文香「え?何故ですか?」

P「その・・・当たってるから」フミュ

文香「・・・・・・」

文香(プロデューサーさんが私の胸を意識している・・・っ!)

文香「問題ありません。行きましょう・・・!」ムギュッ

P「あ、あれ?文香?」

ありす(グッドラックです。文香さん・・・!)ビシッ



文香(うぅ・・・ありすちゃんにまんまと乗せられてしまいました・・・こんな状態で現場を歩くなんて、羞恥で目玉焼きが焼けてしまいそうです・・・!)

文香(もっと抱きついて恥ずかしさを紛らわせねば・・・!)ムギュッ

P「文香?そんなに抱きつかれると、歩きづら・・・」

文香「すいません・・・片目では、心細い物で・・・」

P「あぁ。そうだよな。ちゃんとエスコートしてやるから、安心しなさい」

文香「・・・ふふっ」ムギュー

凛「あ、文香。おはよう」

文香「凛さ・・・っ!?」

文香(わ、忘れていました!収録現場には『超能力を持った主人公』の役の凛さんが居る事を!)カァァ

凛「・・・何で文香Pさんと腕組んでるの?」

文香(み、見られてしまいました・・・)カァァ

P「その、実は片目を怪我したみたいで・・・俺が杖代わりになってるんだ」

凛「ふーん・・・」

文香「あぅ・・・」モジモジ

P「その、恥ずかしそうだしあんまり見ないで上げて」

凛「・・・うん」



凛(怪我・・・アイドル危ない・・・腕組み・・・)

凛「閃いた」

凛「もしもしプロデューサー?ちょっと足首怪我しちゃったんだけどさ」

P「え?そうなの?」

凛「文香Pさんは黙ってて」

P「はい」

凛「・・・うん、うん。それで、私今転びそうなんだけど」

凛「・・・いや、だから今転びそうなんだって」

凛「・・・それは今関係ないじゃん。いいから早く・・・」

凛「何でそんな事言うの?大切な担当アイドルがどうなってもいいの?ねぇ、ねぇってば!」

文香「プロデューサーさん・・・行きましょう・・・」

P「うん」

飛鳥「おや、文香さん。おはよう」

蘭子「煩わしい太陽ね!(おはようございます!)」

文香「飛鳥さんに蘭子さん・・・っ!?」

文香(わ、忘れていました!収録現場には『場をかき乱す、敵か味方か分からない能力者』の役のお二人が居る事を!)カァァ

飛鳥「・・・何故。二人は腕を組んでいるのかな」

P「実は・・・」

飛鳥「・・・なるほど」

蘭子「片目に漆黒の理宿りて、聖なる陽は嗤い堕ちる。無垢なる翼の羽ばたき、その鎖が朽ち果てるまで(片目が見えないって不便そう・・・早く治るといいですね)」

飛鳥「・・・!比翼の鳥!比翼の鳥という奴だねこれは・・・ふふ」(アニメで新しく知ったかっこいい言葉をドヤ顔で使う)

文香「比翼の鳥・・・!?その、プロデューサーさんは私が居なくても・・・そもそも私達は番では・・・」

P「文香。比翼の鳥って何?」

文香「し、知りません・・・っ!」カァァ

菜々「あ、文香さんと文香Pさん・・・おはようございます」オンブラレ

菜々P「おはよう」オンブ

文香「菜々さ・・・っ!?」

文香(わ、忘れていました!収録現場には『主人公の所属する秘密結社の秘密の入り口になっている喫茶店のオーナー』の役の菜々さんが居る事を!)カァァ

文香「何でおんぶされているんですか・・・?」

菜々P「ははは。腰をやっちゃってね。俺がおぶってやらないと動けないんだ」

菜々「お恥ずかしながら・・・。というか、お二人は何で腕を組んでるんですか?」

P「実は・・・」

菜々「なるほど」

菜々P「ふふ・・・っ。お前も要介護系アイドルの良さに目覚めたか・・・!」

P「俺の文香に変な属性を付けるな」

文香(『俺の文香』・・・)モジモジ

菜々「今すごい失礼な事言われた気がします」

ちひろ「あっ。文香ちゃんに文香Pさん。おはようございます」

文香「ちひろさ・・・っ!?」

文香(わ、忘れていました!収録現場には『敵組織のボス』のちひろさんが居る事を!)カァァ

ちひろ「・・・そうですか・・・ついに」

P「ん?何です?」

ちひろ「何かスキャンダラスな写真を撮られたら言ってくださいね。割引価格で揉み消しますから」

P「あ、いや、そういう理由で腕を組んでるわけでは・・・」

文香(す、スキャンダラス・・・)モジモジ

そして収録も終わり・・・



P「もうすぐ文香の家に着くな。今日はお疲れ様」

文香「こちらこそ・・・家まで送っていただき、ありがとうございます」

文香(もうすぐ・・・もうすぐでこの至福のひと時が終わってしまう・・・)

文香(その前に・・・せめて思いっ切り・・・!)ムギューッ

P「おわっ」

文香「!」ドターンッ

P「あいててて・・・」

文香「す、すみませ・・・」ムニュッ

P「あ・・・」ムニュッ

文香「・・・あぅ」モジモジ

P「す、すまん文香!また明日!」ピューッ

文香「あ、はい・・・っ」



文香(また明日・・・そうです。私の目は全治二日。また明日もプロデューサーさんと・・・)

文香「・・・ふふ」

次の日




P「よし、今日も一日文香をエスコートするぞ」ムギュッ

文香「はい。よろしくお願いしま・・・」ピタッ

P「・・・ん?どうした文香」

文香「やっぱり・・・今日は一人で現場へ行きます」スタスタ

文香「それでは」ガチャッ

P「ふ、文香?どうして・・・」

ちひろ「・・・多分、バレちゃったんじゃないですか?昨日、エスコートしてた分、溜まった仕事を夜遅くまでやってた事」

P「えぇ?バレるって・・・さっきちょっと腕を絡めただけですよ?」

ちひろ「ふふっ。分かる娘には分かるもんですよ・・・」

ちひろ(恋する乙女には・・・なんて)



  -終わり-

おまけ



文香「あばっ」ゴチン

ありす「全く・・・文香さんをエスコートできる栄誉をもらったのですから、あんな人、ぼろ雑巾になるまで働かせれば良かったのに」

文香「そんな酷い事を言ってはダメですよありすちゃん」

文香(あぁ・・・情けない。自分の幸せの事ばかり考えて、あの人の体の事を考えてあげる事ができなかった・・・)

文香(これは、これからの収録を一人で立派にやり遂げることで、報いねば・・・!)スック

文香「はべっ」ゴチン

ありす「大丈夫ですか?」サスサス

文香「だ、大丈夫・・・です」

ありす「無理しないでください。今日は私が文香さんをエスコートしてみせましょう」フンス

文香「あの・・・身長差が・・・」カガミ

ありす「行きますよ!」スタスタ

文香(こ、腰が・・・)ヨタヨタ

文香(ですが、頑張ってるありすちゃんに水を差すのも・・・)



茜「ありすちゃんでは身長が足りないでしょう!私が代わりにエスコートします!」

文香「茜さん・・・っ!」

ありす「むむっ。そこまで言うならやってみてください」

茜「ボンバーっ!」ダダダダッ

文香「わああああ」ヒキズラレ

ありす「文香さーんっ!」



  -終わり-

以上になります。

熊本弁初めて書いたけど難しいですねこれね。

ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom