異世界で勇者になった俺の物語 (160)

なぜ俺は今ここにいるのだろうか...

昨日は2012年の6月10日でいつも通りに寝たはずだ。

それが今朝起きたら知らない場所にいていきなり勇者だと言われた。



そして今俺はでっかい城の中を一人で歩いてる

外が騒がしい、色々あって頭が痛くなってきた

少しばかり自分のことを整理してみよう。





名前は男、年は16歳、両親は事故にあって死んだ、兄弟もいない
幼い頃から空手をやっている、夢は警察官になることだ
性格はきまぐれだと思う


うん・・・俺だな


次は起きてからのことを思い出してみるか

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371829713

男「うぁ...ん?どこだここ?」
これが俺の起きてからの第一声だった

老婆「おはようございます、勇者様」

男「うわっ!ビックリした...誰ですか?」

老婆「寝ぼけてますかな?召使の老婆でございますよ」

男「いや、知らないしつかここはどこ?俺の家じゃないよね?」

老婆「なにをおっしゃいますか、ここはあなたの家ですよ、さぁ早く着替えてくださいな今日は出発の日ですよ」

男「なんのことだよ!?何の出発なんだよ!」

老婆「いい加減にしてください、勇者様、今日は魔王を討伐しに行く大切な日ではないですか?」

男「は?魔王?勇者?なにを言ってるんですか?」

老婆「・・・記憶喪失にでもなりましたか?それとも私をからかっているのですか?」

老婆「あなたは世界で唯一の[勇者]で、魔王は世界で一番の[悪]ではないですか」

男「...ははwww記憶喪失でもしたらしいwwwまったくそんなの知りませんから」

男「それともあなたの頭がおかしいのか」

老婆「...とりあえずこの服にお着替えください」スッ

男「ああ...」







男「...着替えましたよ」

老婆「とても良く似合っております」

俺が着た服はRPGのゲームに良くあるような服だった

老婆「とにかくあなたはあなたです、私と一緒に城へと向かってくれませんか?」

男「...ああ、行ってあげますよ」

このとき俺はきまぐれのせいか、服を着てから妙にワクワクしてきたんだ

外に出るとそれはすごかった
とにかく街が賑やかで建物がヨーロッパ・・・まぁ行ったことはないがそんな感じのものだった

男「日本じゃないな、外国か?」
窓から少し覗いたときにうすうす感じてはいたが・・・あぁワクワクが止まらない

老婆「この馬車に乗りましょう」
 警戒心もなく俺は馬車に乗り込んだ






老婆「勇者様、到着しましたよ」
 勇者・・・俺のことらしい、馴染めない言葉だ

男「うお!でっけぇ!」
それはいかにも外国です的なとても大きな城だった





歩いていくとこれまた大きな門が見える、
どうせなら馬車で中まで入ればいいのに・・・


門兵「!老婆様...勇者様!」
 俺が本当に勇者なのか?

老婆「おぉ、門兵よ一つ頼みたいことがある」

老婆「私は先に女王様のところにいかねばならぬ、なのでそちが勇者様を案内してくれ」

門兵「はい!任せてください!」

老婆「では勇者様、後はこの者にお任せしましたのでまた後で会いましょう」
 そう言うと老婆はものすごい速さで走っていった。

男「おいおい、婆さん何歳だよ・・・」

門兵「では勇者様、行きましょう」





門兵「えーでは、まずこちらの門は魔法を発動しながら通ることができない仕様になっております」
・・・え?魔法?なにそれ?

ここで俺にはもう一つの疑問が生じた

外国っぽいのに日本語で話しているし、みるからにいろんな人種がいる

もしかしてここは外国ではなく・・・異世界?

パラレルワールドなのか?

門兵「勇者様、行きましょう」
・・・今、魔法について聞くのはやめておこう・・・





―――城内―――

男「広いな・・・」

門兵「勇者様、こちらが庭でございます」
 ふむ、綺麗な庭だ

pppppppppppppppppp

門兵「うお!女王様が呼んでおります!」

門兵「急ぎましょう!!」







男「ハア、ハァ・・・途中にあった階段長すぎだろ!」

門兵「そうですか?」
 なんてやつだ・・・

門兵「この奥が女王様の間でございます...」
 にしても女王とやらに会うことになるとは・・・今日は忙しすぎる

男「ん?一緒に行かないの?」

門兵「はい!私は門の仕事があるので失礼させていただきます!!」

男「そっか...ありがとうございました」

門兵「はい!!!」
 とても元気のある人だ

―――女王の間―――

女王「よく来てくれましたね、勇者よ」
 この人が女王?若いな・・・

女王「聞けばそなた・・・記憶喪失になったとか?」
 彼女の側には老婆がいた

まぁ、記憶はちゃんとある、この世界の記憶がないだけだ。

男「はい・・・」

女王「ふむ、しかしそなたにはどうしても魔王を退治してもらわなければならぬ」

男「なぜですか?」
俺はこの世界についてまったく知らない

女王「そなたは世界で唯一の勇者、そなたしか魔王は倒せぬのじゃ」

男「俺は剣術とか知らないしこの世界の知識もない、その魔王とやらを切ることはできませんよ!」
 まぁ空手ぐらいしかできないしな

女王「・・・・・・そなたが覚えていなくてもその体に剣術は染み付いているだろう」

男「・・・俺は魔王なんて知らない!分からないんだ!なんだよ魔王って!」

女王「この世界についてあなたに詳しく教えます」

女王「しかし私が教えるのではありません」



男「え?」

女王「酒場に行ってください」
 俺、未成年なんですけど

女王「そこには物知りで優しい戦士がいます、彼に聞いたほうが良いでしょう」

女王「彼にこの手紙を渡してください」スッ
 
女王「それと、あなたにこれを」スッ

男「これは・・・」

女王「10万バード・・・お金です、日常のことについては覚えていますよね?」
 あたりまえだ

男「はい・・・ですがこれは旅に出ろということですか!?」

女王「えぇ、しかし勇者、一つだけよく聞いてください」

女王「あなたが旅に出ないのなら、あなたが魔王を倒せないのなら・・・この世界は」

女王「いえ、この世界の人々は全て・・・死ぬことになります」

男「!?」

女王「もし、あなたが旅の途中で死んだというような知らせがあれば私は・・・」

女王「自害します!!」

老婆「女王様・・・」

男「分かりました・・・行きますよ・・・俺が魔王を倒します」
 俺は本当にきまぐれな性格だ

女王「ありがとうございます、勇者様」




っと・・・大体こんな感じだったな・・・

男「まさか俺が勇者になるとは」















俺が10歳のときに両親は事故にあって死んだ、交通事故だ。
雨のような雪でタイヤが滑って崖から転落
俺も後部席に乗っていた
父はそのときのショックで死亡
落ちたところが悪くて熊がたくさんいるところだった。
母はその熊達に食われちまった
俺も食われそうになったがハンターの人が助けてくれたよ

ハンターA「こりゃ酷いな・・・大丈夫だったか坊主?」
 大丈夫なわけねーだろ

俺はその後、気絶して近くの小屋に運ばれて寝てた
でさ、その後、3時ぐらいに起きてなにを思ったか外に出たんだよね
そしたら熊と遭遇、母を食った熊だ
ハンターの人はこいつだけ取り逃がしちまったらしい
一度人の味を知った熊はどうなるか・・・

熊は俺を襲ってきた

警官「危なーーい!!」

たまたま近くにいた警察官が銃を撃ったんだ
でも、熊は死ななくて警察官の人は大怪我を負ってしまった

ハンターB「こっちにいるぞ!人が熊に襲われてる!」

ハンターA「助けるぞ!撃つんだ!」


それから警察官は病院に運ばれた
頭を打ってて植物人間状態だった。
俺はしばらく見舞いに行ってた
しばらくは・・・

俺は不良になった
人生経験が少ない10歳という年齢でだ。


それから4年悪さばっかりしてた
得意の空手で喧嘩には負けたことがなかった

ある日、電話が鳴った
警察官が目覚めたらしい

俺は一応・・・と見舞いに行った
俺は謝った

そしたらさ警察官の人はこう言ったんだ

「君が無事で本当に良かったよ」

泣いちまったよ・・・俺は・・・ただの一言の言葉で・・・

でもさ、とても心地良いひと時だった

それから色々話した

事故のことや不良になっちまったこと、そしたらあの人はいろんな楽しい話をしてくれた。

俺は警察官になろうと思った

途中でやめた空手をもう一度始めた

大会も優勝した

警官「男!お前は強くなれる!みんなを守れるヒーローになれ!」

男「警官さん!ありがとう!!」

勉強もした

本を読むのが好きになった

俺の人生は良い方へ変わったんだ


本当に俺は・・・きまぐれな性格だな


門兵「あっ!勇者様!」

男「おう」
 勇者と呼ばれるのはもう馴染めた

門兵「お気をつけて!世界を救ってください!」

男「任せてくれ」
 っていってもこの世界のこと何も知らないんだけどな

男「あっ・・・酒場ってどこか分かる?」

門兵「あぁそれなら・・・」






―――酒場―――

男「ここが酒場か・・・でっけぇな」

男「あれ?誰もいないぞ」

魔法騎士「あたり前だ、ここは腐れた酒場だからな」   :以下:魔騎とする

魔騎「お前か?勇者ってのは?」

男「ああ、お前が物知りで優しい戦士か?」

魔騎「戦士?女王からそう聞いたか?」

男「ああ、それとこれ、手紙だ」スッ

魔騎「あいにく俺は戦士じゃねぇ、騎士だ!」
 こいつ・・・優しいか?

魔騎「それと、俺はお前の仲間にはならない!」

男「ん?」

魔騎「仲間にはならないと言ったんだ!」
 なに言ってんだこいつ

男「俺は女王にこの世界について聞くように言われただけだけど?」

魔騎「なに!?」ペラッ

魔騎「確かにそう書いてある・・・が仲間になってやれと俺は女王に言われた!」

魔騎「俺は強いやつじゃないと認めない!」

男「・・・分かった、一つ聞きたいがお前は俺が弱いと思うか?」

魔騎「ああ、お前はここに入ってきたときに俺に気づくのに遅れたからな」

男「それだけで?戦ってもないのに分かるのかよ?」

魔騎「なら、戦うか?」

男「・・・いや、今はこの世界について聞かせてくれ」

魔騎「・・・いいだろう」

魔騎「まったく・・・記憶喪失の勇者とは・・・」

男「俺の名前は男だ」

魔騎「・・・魔騎だ」

男「よろしくな、魔騎!」
 魔王を倒すにはこいつの力が必要か?

その頃―――女王の間―――

老婆「うまくいきましたね」

女王「勇者よ・・・すまない」

老婆「彼なら必ず魔王を倒してくれますよ」

女王「そうだな・・・」

老婆「もう魔騎とも接触しているでしょう」




女王「勇者よ・・・この残酷な世界で仕組まれたお前は何をみる?」

魔騎「座れよ」

男「ああ、にしてもぼろい店だな」

魔騎「近くに新しい酒場ができて以来客はみんなそっちに流れたらしい」


魔騎「さてと、それじゃ話してやるよ」

魔騎「まず、この世界ではかなり昔から魔法が使われている、そして今もそうだ」

男「ストップ、・・・魔法ってなんだ?」
 ついに疑問を口にした

魔騎「お前・・・こんなことも忘れたのか?・・・つーことは魔法が使えないのか」

男「そんなこと言われても知るかよ」

魔騎「火炎魔法とか冷凍魔法とかあるだろ・・・話が進まないから次へいくぞ」
 流された・・・

魔騎「この国の名前は[東の国]だ。他にも北や西、南の国なんてのもある、人間の国はこの4つだ」

魔騎「この世界の全ての陸地の総面積は約11,032,642km2ほどらしい」
 カナダよりでかいくらいか・・・ん?

魔騎「その陸地を我々はビクトリアと呼んでいる」

男「世界の全ての陸地って少なすぎないか?」

魔騎「追々話していくさ、人間と魔族が共存できない理由やお前が魔王を討伐しなければならない理由もな」

魔騎「ビクトリアの周りには約1000kmほど海というものがある」

魔騎「その海の向こうにはマグマといったものがあるらしい」

魔騎「どうやら東の国の研究によるとこのビクトリア以外に陸地は絶対にないらしい」

魔騎「ビクトリア、海、これ以外の全てはマグマで埋め尽くされている
   そのマグマっつーのはとんでもない暑さらしい
   何百年経とうともけっして冷え固まらない、そんなものが海と接しているんだ」

魔騎「だが、接触してはいない、とても強力な魔法で作られている絶対に壊れることのない透明な壁が
   それを遮っている。」

魔騎「昔、ある偉大なる魔法使いがいてその壁の遥か上空にまでいったそうだ、
   雲よりもずっと高く飛んでやっと壁が途切れたらしい、
   その人は始めてマグマの世界に入った、しかし入った途端に魔法が使えなくなったという、
   結果偉大な魔法使いはマグマに焼かれて死んだそうだ」

魔騎「この世界はずっと守られてきたんだ」

男「なるほどな」



魔騎「さっき4つの国があると言っただろう?」

魔騎「これらの国はそれぞれが役割的なものを持ってるんだ。」

魔騎「まず、東の国、こいつは魔法と科学を専門にした国だ」

魔騎「北の国、これは魔法を専門にした国だ」

魔騎「西の国、この国は商業と情報を専門にしている」

魔騎「最後に南の国、鉱山、鉱物や貴重な物質が豊富で他の国を支えているといってもいい」


魔騎「これらの4つの国は円のような形で並んでいる」

魔騎「これが地図だ」スッ

男「・・・真ん中の真っ黒なやつはなんだ?」
 地図を見て俺は聞いた

魔騎「魔族が住む所だ、[悪魔の巣]とも呼ばれている」

魔騎「なにやら最近、魔族どもが南の国にちょっかいを出しているそうだ」

男「魔王はこの中心にいるのか?」

魔騎「おそらくな」

 

 ふと外に目をやると眩しい太陽がギラギラと輝いていた


魔騎「ふぅ・・・次は勇者のこととなぜお前が魔王を倒さなければならないかを話すぞ」


魔騎「アバウトに言うと魔族がいるといずれ壁が消えてしまうからだ」

男「え?」

魔騎「全部教えてやるよ」



魔騎「約500年前、こんな前にも海も壁もマグマもあった、
   この時代にあるバカな博士がいたんだ。」

魔騎「そいつの名前はDr,グリード、こいつはとんでもない化け物を生み出した、
   人工生命体[ホムンクルス]」

魔騎「ホムンクルスは博士を殺し、研究所を脱走、徐々にその悪魔の力を強めていった」

魔騎「博士がそれを作るのに使ったといわれるのはマグマや当時の最凶の男の細胞だという噂も流れた」

男「どうやってマグマをとれたんだよ?」

魔騎「知らない、あくまで噂だからな」

魔騎「この人工生命体は光魔法と一部の人間でしか傷をつけることができなかった」

魔騎「やっかいなことにそいつは自らの手下を自分で生み出したんだ」

魔騎「光魔法を使える人はたくさんいたが一部の人間はどんどん死んでいった。」

魔騎「やがてホムンクルスは[魔王]と呼ばれる存在になっていった」




魔騎「魔王や部下たちを合わせて魔族と呼ぶんだが、この魔族が増えれば増えるほど、
   壁の力が弱くなってくる、海水の温度が上がったりな」

魔騎「一部の人間たちは一人を除いてみな死んだんだ」

魔騎「その最後の一人が魔王を倒し、魔物が生まれなくなり、勇者となった」

魔騎「でも、魔王は何度も復活する、現に二度ほど復活している、そして今もまた・・・だ」


魔騎「勇者はその一族にしか生まれなかった。
   つまりお前が勇者であるということは一族の者なのだろう」

男「俺が?」

魔騎「今の魔王は歴代で最強だ、頭も良くキレる。」

魔騎「魔王はお前の一族もお前の両親も皆殺しにしたらしい」

魔騎「だからお前は唯一の希望なんだ」

そんなはずねーだろ・・・だって俺の両親は・・・

魔騎「これが・・・この世界だ」

複雑な気持ちとワクワク感それらが渦巻いている

魔騎「じゃ、話はこれで終わりだ・・・せいぜい気をつけて行けよ男」

男「それで今も復活した魔王は中心地に住んでいるのか?」

魔騎「んぁ?そうらしいな」


男「魔騎!お前は優しい騎士なんだろ?俺を手伝ってくれないか?」

魔騎「はぁ!?なんだいきなり・・・はじめに言っただろ!仲間になんかならねーよ」

男「魔王を倒すのならお前が必要な気がするんだ、大体この世界のこと何にも知らないやつ一人で
  旅に出さねーだろ!」

魔騎「さっき知っただろーが!それにそんなに仲間が欲しいのなら別の酒場に行けよ!」

男「・・・女王様に言われたんじゃねーのか?仲間になるようにって」

魔騎「はっ!最初から行く気なんてなかったさ、色々教えてやっただけマシだと思え!」
 っこの野郎・・・

男「さてはお前魔王が怖いのか?www」

魔騎「・・・ああ・・・そうだよ」

魔騎「俺は臆病者だからな、お前と違って」

男「っ・・・俺だって臆病者さ」





魔騎「ふっお互い臆病者か・・・ならなおさらパーティは組めないな」

男「慎重になるから見えるものだってあるはずだ!」

魔騎「そんな理屈で魔王に勝てるわけがない」

魔騎「お前に倒せるのか?最後のヒーローさんよ」

男「倒せるか、倒せないかじゃない!倒すんだ!俺が!!俺たちが!!」

魔騎「うぜぇ・・・なら、俺と戦え」

魔騎「勝てたなら・・・ついて行ってやるよ」

男「受けて立つ!」


俺の中で魔王を倒すってことは確定していた。



魔騎「男、お前武器はどうした?」

男「・・・この体だ」
 武器買ってねぇ・・・

魔騎「素手で俺とやるってか?・・・オモシロい」

魔騎「なら俺も剣は置こう、だがこいつを使わせてもらう、素手は苦手だからな」

男「あれは・・・ヒノキの棒?と割り箸・・・」

男「いいねぇ、ワクワクするよ」

男「剣術なんかはできねーがこっちは得意分野だ」

魔騎「ところでお前は何歳だ?」

男「16・・・だけど?」

魔騎「同い年か・・・」
 まじか・・・





魔騎「頭を守ってくれよ?勇者殺しなんて言われたくないからな」

男(魔騎は軽い鎧をつけている・・・狙いは顎だな)

魔騎(男が狙ってくるのは顔だろうな・・・)

男「じゃ、いくぜ」

男(まずは・・・様子見だ!)フッ

魔騎(すばやい突きだ・・・)

魔騎(が、甘い)ブンッ

突きを避けて鋭い剣を振る

男「っと、(当たったらアウトだな・・・)」

男(まわしッ!)ドスッ
 
男のまわし蹴りは魔騎の胴に当たった

魔騎(ッ!重たい・・・それにすげぇ早い・・・)サッ

咄嗟に距離をとる

魔騎「男、魔法・・・見せてやるよ」

割り箸を手に取った

魔騎「火炎魔法・着火」ボワッブンッ

割り箸が火に包まれている、それは男に向かって投げられた

瞬間、魔騎は男の1m前にまで近ずく

男「しまっ...クッ(直蹴り!)」ドンッ

少し下がり打ち出した蹴りが魔騎を吹っ飛ばす

魔騎「ガッ・・・(重過ぎる・・・)」

魔騎(なんなんだこの重い蹴りは?)

魔騎の目先には男がいた

防御しようとするがもう遅い

男(掌底)サッ







次に魔騎が目を覚ましたのは15分後だった

魔騎「っくぁ・・・ハァ・・・負けたよ」

男「へへっ」

魔騎「予想外だった・・・まさか素手のやつに負けるなんてな・・・」

魔騎「とても早く重い攻撃だった、何か武術でもしていたのか?」

男「ああ、それより」ゴホンッ

男「俺と一緒に魔王を倒さないか?」キリッ

魔騎「フッ・・・あぁ、約束だからな」

魔騎「勇者のくせに雑魚で魔法も使えないやつだと思ってすまなかった」

男「そうな風に思ってたの!?」

魔騎(すがすがしい気分だ・・・)

魔騎「聞かせてくれよ、なんでそんなに俺を仲間に入れたいのか」

男「うーん・・・魔騎が気に入ったのと気分・・・かな?」

魔騎「ハハッ、なんだよそれ」

嘘だ、本当は・・・

男「まぁいいじゃねーか、これからよろしくな魔騎」

魔騎「こちらこそよろしくだ、男」


お前がこの世界で最初に俺のことを[勇者]ではなく[男]と呼んでくれたから・・・


嬉しかったんだ、とても

魔騎「ぬぁー、にしても・・・負けたのかー」

男「まーだ言ってんのか?」

魔騎「いやさ、俺は持てる物は大体鋭い剣に置き換えて戦ってるんだ」

魔騎「さっきも鋭い剣にみたててお前と勝負したんだけど負けちまった・・・」

魔騎(本物の剣を使っても勝てるかどうか・・・)

男「ならさ、鍛えてどんどん強くなればいいだけだろ?」

魔騎「・・・ああ、そうだな!」

男「よし!じゃあ行こうぜ」








男「まずはどこに行けばいいんだ?」

魔騎「装備を揃えるべきだろうな」

男「ってことは武器屋か」

男「あ、そういえば女王様から10万バード?もらったんだけど」

魔騎「ほう、まぁ命がけだからな、それぐらい貰ってもいいだろう」

男(ってことは結構大金なわけか・・・10万円と一緒ぐらいかな)



魔騎「あそこの武器屋なんてどうだ?」

男「またなんともでっかい看板だな」

茶色の建物、看板は銀色で大きく[グランド]と書かれている。





男「こんにちはー」

グランド「らっしゃい!店主のグランドでごわす!」

男(クソマッチョだ・・・)

グランド「なにかお探しですか?」

男「あー・・・武器を買いにきたんですが」
 
って武器屋何だから当たり前か

男「あ、俺、剣術使えねーけどどうしよう?」

魔騎に向かって言う

魔騎「・・・・・・さぁ?」

男「・・・(どうしようか)」

グランド「剣術ができない・・・か」

魔騎「あ、体術をいかしてヌンチャクなんてどうだ?」

男「ヌンチャク・・・って(ジャッキーかよ)」

グランド「!少々お待ちください」





グランド「こちらなんてどうですか?」

男「これは・・・」

魔騎「爪・・・剣爪か」

グランド「これなら技を生かせると思いますよ!」

魔騎「いいんじゃないか?お前らしくて(勇者にしてはめずらしいが・・・)」

男「使ってみてもいいですか?」

グランド「もちのロン!ですよ!」

男「よしっ」ギュッ

ブンッブンッフッスッ

男「うん・・・いいな、これ」

グランド「とても良く似合っておりますぜ!旦那!」

男「ありがとう」

魔騎「よし、あれは何バードだ?」

グランド「タダでございます」

男・魔騎「え?」

グランド「あなた勇者様でしょう?」

男「あっ、はい、でもだからってタダっていうのは・・・」

グランド「私は女王様と親しくてですね、もう御代は頂きました」

男「女王様が?」

魔騎「本当か?俺達が他の店に行く可能性もあったのに?」

グランド「あなたはここが一番良い店だって知ってたのでしょう?」

グランド「女王様が言ってましたよ、魔騎なら絶対勇者をここに連れてくるって」

魔騎「っち」

グランド「ってことで御代は結構です、その代わりといっては何ですが・・・」

グランド「私と握手していただけますか勇者様」

男「握手?」

グランド「ええ、将来魔王を倒す手・・・ですから」

グランドは手を差し出した

男「グランド・・・さん・・・」

男もそれに応えた

男「魔騎は何も買わなくて良いのか?」

魔騎「ああ」

男「グランドさん、本当にありがとう」

グランド「はい」






男「それじゃあ、また」

グランド「お気をつけてー」







グランド「ふぅ、立派なやつだったな・・・」


グランド「本当にこれで良かったんですか?・・・女王様」

男「いやーラッキーだったな」

魔騎「そうだな、でも防具を買い忘れた」

男「え?防具屋は別にあるんだろ?」

魔騎「一緒だ」

男「まじで!?じゃあ戻らねーと」

魔騎「あれから40分近く巡った、もう暗くなってきているしあそこはもう閉まってる、他も同じだ」

男「じゃあ・・・明日の朝に行こう!」

魔騎「明日から1週間休みだぜ?壁に貼ってあったろ?」

男「まじかよ・・・」

魔騎「タダでもらえただけ運が良かったと思えよ・・・っと」

魔騎「ついたぜ一番の雑貨屋[BBA]ここで薬草買って、後は宿屋だ」

そうか、ここはゲームの世界なんだな!

・・・なわけねーか






男「こんにちはー」

ババア「いらはいまへ」

ババア「やくほうかいにきたけ?」

入れ歯が入ってない・・・

男「はい、そうです」

魔騎「婆さん入れ歯が抜けてるぜ」

ババア「おほ、すまんのう」カチャ

ババア「今なら5個買うと1個プレゼント中じゃ」

魔騎「じゃあ、5個で」

ババア「50バード」

魔騎「男」

男「ああ」ジャラ

男「・・・はい」スッ


どうやら金は、1、10、50、200、1000、5000、とあるようだ。

ババア「毎度」

ババア「気ーつけてな」

男「ふぁー次は宿屋かー」

男「そういえば、俺と戦ったときに魔法使ったよな?今度教えてくれよ」

魔騎「ああ、本貸してやる」

男「いや、お前教えてくれよ」

魔騎「俺は教えるのが下手だ、それに本を見たら覚えれる・・・簡単なものならな」

男「ふーん、あ、そういえば女王様とはどういう関係なんだ?」

魔騎「・・・知りたいか?」

男「よければ」

魔騎「フッ、何もねーよ」

男「何もないわけないだろ?」

魔騎「男の秘密・・・ってやつだ」

魔騎「ほら、ついたぞ!」

男「え、あ、おう」

え・・・ボロッ

魔騎「行くぞ」

男「ちょっ待てよ!」




木造の建物、看板には[宿屋]とだけ書いてある

魔騎「二人、一部屋」

おっちゃん「あいよ」

おっちゃん「ほら、鍵だ」スッ

魔騎「ん」










男「んーー、以外に広いな」

魔騎「明日からは野宿の可能性も考えとけよ」

魔騎「心配すんな、寝袋買っといたから」

男「サンキュ、やっぱ魔騎が仲間になってくれてよかったよ」

魔騎「俺もだ・・・以外に悪くない・・・」

男「ハハッ、以外かよww」


にしても今日はいろんなことがあったな・・・

勇者になって一日目・・・はじめは驚いたが今は・・・




悪くない








魔騎「早く風呂に入って寝ようぜ」

男「おう」










魔騎「じゃ、電気消すぜ」

男「ああ、おやすみ」

魔騎「ん、おやすみ」





今、俺の心にあるのは好奇心だ。

「ろ・・・きろ・・・」


魔騎「起きろーー!!」

男「わっ!ビックリしたー」

男「何だよ・・・まだ暗いじゃないか」

男「怖い夢でも見たか?ww」

魔騎「この時間ぐらいに出ないと野宿になるぞ」

男「そうなのか?詳しいな」

魔騎「東の国のことならな、大体分かる」

魔騎「ほら、行くぞ」

あー・・・夢の世界じゃなかったか

男「俺・・・朝弱いんだ」

魔騎「知るか」












男「おはようございまーす」

おっちゃん「ああ、おはよう・・・昨晩はお楽しみでしたねww」

男・魔騎「は?」

おっちゃん「いえ、50バードになります」

男「?はい」スッ









おっちゃん「若いって・・・良いな・・・」


魔騎「次は街から出て村を目指す」

男「そうか、距離は?」

魔騎「まぁ、かなりあるだろう・・・たぶん」

だいぶ明るくなってきた


老婆「勇者様ー!」

男「あ、おはようです」

魔騎「どうして婆さんがここにいるんだ?」

老婆「実は女王様からこれを・・・」スッ

男「ん・・・これは?」

真っ黒な球体が渡される

老婆「黒魔球と呼ばれるものです」

老婆「それを4個集めることで[悪魔の巣]・・・魔界に入ることができます」

男「はっ?初耳だぞ」

老婆「申し訳ございません、今の魔王が新たな結界で固めたようで・・・」

老婆「この球は各国々の王が持っているはずです」

魔騎「裏商人は持ってないのか?」

老婆「大変希少なもので、持ってないと思われます」

魔騎「まぁ、こちらもはじめから魔界に挑もうとは思ってなかったからな、丁度いい」

男「そうなのか?」

魔騎「当たり前だ、いきなり行っても死ぬだけだ」



魔騎「ところで婆さん、勇者の存在はまだ魔王にばれていないだろうな?」

老婆「えぇ、ばれていたらあなた方も私らも死ぬことになるでしょう」

老婆「奴は若い芽をすぐに踏み潰す、自らの手で」

老婆「ですから・・・あまり目立たぬ行動をお願いします」

魔騎「・・・だとさ、」

男「はい、・・・でも、」

男「困っている人がいたら俺は助けますよ」

老婆「・・・お気をつけて」

男・魔騎「おう!」










老婆「勇者様・・・魔騎・・・どうか魔王を倒してください・・・」






魔騎「次は街から出て村を目指す」

男「そうか、距離は?」

魔騎「まぁ、かなりあるだろう・・・たぶん」

だいぶ明るくなってきた


老婆「勇者様ー!」

男「あ、おはようです」

魔騎「どうして婆さんがここにいるんだ?」

老婆「実は女王様からこれを・・・」スッ

男「ん・・・これは?」

真っ黒な球体が渡される

老婆「黒魔球と呼ばれるものです」

老婆「それを4個集めることで[悪魔の巣]・・・魔界に入ることができます」

男「はっ?初耳だぞ」

老婆「申し訳ございません、今の魔王が新たな結界で固めたようで・・・」

老婆「この球は各国々の王が持っているはずです」

魔騎「裏商人は持ってないのか?」

老婆「大変希少なもので、持ってないと思われます」

魔騎「まぁ、こちらもはじめから魔界に挑もうとは思ってなかったからな、丁度いい」

男「そうなのか?」

魔騎「当たり前だ、いきなり行っても死ぬだけだ」



魔騎「ところで婆さん、勇者の存在はまだ魔王にばれていないだろうな?」

老婆「えぇ、ばれていたらあなた方も私らも死ぬことになるでしょう」

老婆「奴は若い芽をすぐに踏み潰す、自らの手で」

老婆「ですから・・・あまり目立たぬ行動をお願いします」

魔騎「・・・だとさ、」

男「はい、・・・でも、」

男「困っている人がいたら俺は助けますよ」

老婆「・・・お気をつけて」

男・魔騎「おう!」










老婆「勇者様・・・魔騎・・・どうか魔王を倒してください・・・」






男「おっ、ここで街は終わりだな」

魔騎「ああ、ここからは道がずっと続くだけだ、店も何もない」


男「・・・さっきの話だけどさ、黒魔球がないと魔界に入れないってことは、かなりの人間が入れないんじゃないか?」

魔騎「入る必要なんてないさ、街は憲兵が守ってくれる、魔界に行こうなんて物好きなんかいないのさ」

男「でも、それじゃあ何にも解決しないじゃないか」

魔騎「魔王を攻撃できるのはお前と光魔法だけだ」

男「そういえば・・・光魔法使えるのか?」

魔騎「・・・今から覚えるさ」

男「うん・・・頑張って」




―――歩き続けて5時間―――

男「馬車はないのかー?」

魔騎「あったら歩かねーよ」

男「そろそろ飯食おうぜ」んっ

魔騎「ああ」パシッ

魔騎「ん?米・・・おにぎりか、珍しいな」

男「えっ?そうなの?普通に売ってたけど」

魔騎「普通パンだろ?」



―――歩き続けて9時間―――

魔騎「お!見えたな、意外に近かった」

男「いや、遠いよ」

魔騎「やはりそこそこ大きそうな村だ、これなら宿屋もあるだろう」

男「ん?何か書いてあるな」

[ようこそ、ラクソン村へ]








少年「あ、お兄ちゃん、もしかしてラクソン村に行くの?」

男「ん?そうだよ、君は?」

少年「少年だよ、お兄ちゃん達は冒険者なの?」

魔騎「勇者一行だ」

少年「いぇっ!?勇者って・・・あの伝説の?」

男「おい、そんなに簡単に言っていいのかよ?!」

魔騎「あいては子供だ、それに便利だからな」ボソッ

少年「すっげー!」

少年「そうだ!村を案内してあげるよ!」

魔騎「助かる」

男「目立つんじゃないか?」

魔騎「こういう村には何か困り事がありそうだ、困っている人がいたら助けるんじゃなかったのか?」

男「・・・おう!」ニヤッ

―――ラクソン村―――

少年「そーんちょーう!」

村長「ン?どうした少年よ」

少年「お客様だよ!しかも・・・勇者様!」

村長「勇者様!?後ろの方が!?」

男「あ、はい」

村長「しかし・・・魔王によってもう存在しないはずじゃ?」

魔騎「まだいたんだよ、女王からの証明書だってある」

村長「それは確かに女王様の・・・では、本当に勇者様!?」

男「お前いったいどこでそんなものを?」

魔騎「お前がくれた手紙に入ってたぞ」

村長「おおおおお、これはすごい!今日はぜひ泊まっていってください」


ザワザワ・・・あれが勇者様か?・・・おぉ・・・ザワザワ

男「うおっ!いつの間にこんなに人が!?」





村人A「村長、宿屋はもう・・・」

村人B「そうだ!勇者様にお願いすれば良いんじゃないのか?」

村長「おお、...そうじゃった・・・」

村長「勇者様、すみませんがこの村に宿屋はありません・・・」

男「え?」

村長「最近、魔物によって壊されてしまったのです・・・」

男「魔物?ですか?」

魔騎「・・・」

村長「はい、食料も奪われてしまって・・・」

魔騎「・・・魔物の名前はなんだ?」

村長「ゴブリン・・・でございます」

魔騎「ゴブリン・・・何匹だ?」

村長「よく分かりませんが、20はいるかと・・・?」

男「やばいのか?」

魔騎「いや・・・20匹程度なら大丈夫だ」

村長「本当ですか?では!」

ザワザワ・・・すげーさすが勇者一行だ・・・ザワザワ・・・

魔騎「退治はします、しかし、しばらくはこの村に泊めていただきたい」

少年「あ、なら家に来なよ!母ちゃんもきっと喜ぶぜ!」

魔騎「なら、そうさせてもらおう」

村長「少年・・・勇者様もよろしいんですか?」

男「はい、俺はもう、もちろん」


村長「ありがとうございます」



少年「なら、もう夕方だしさ、さっそく行こうよ!」

村長「勇者様、ゴブリンどもは[近場の洞窟]に潜んでおります」

男「分かりました」

魔騎「明日の朝に向かおう」









男「いやー、魔騎もすっかりやる気になってくれたな」

魔騎「あぁ、お前のせいでな」

男「なんで!?」


魔騎「男、油断するなよ?」

男「分かってるよ」


少年「ついたよー、ここが俺の家!」

少年母「あ、おかえり、少年」

少年「母ちゃん!ただいま!」

少年母「後ろの方は誰だい?」

少年「勇者一行!!」

男・魔騎「どうも」

少年母「勇者!?どうりで村が騒がしいと思ったよ」

少年「家に泊めてあげたいんだけどいいかな?」

少年母「断れるわけないだろう?」

少年「狭い家だけど上がってよ」

少年母「あんたが言うんじゃないよ」

男・魔騎「おじゃましまーす」

少年母「じゃ、料理作ってくるからくつろいでて、少年!あんたは風呂に入りな!また泥だらけにして!」

少年「はーい」

少年母「二人は二階に部屋があるからそこでくつろいでて・・・部屋は一つしかないけどいいでしょう?」

男・魔騎「はい」













魔騎「な?俺の言った通り困り事があったろう?」

男「ああ、ところでゴブリンって強いのか?」

魔騎「魔族の中では弱いほうだろう」

魔騎「そうだ、魔族の分類についてまだ話してなかったな」

男「分類?」

魔騎「そうだ、大切なことだからよく聞けよ?」

魔騎「魔族は3つに分類される」

魔騎「第一に魔物、第二に魔獣、第三に魔人、だ」

魔騎「魔物は知能が低く話すことができない者だ、例えばスライムとかな」

魔騎「魔獣は知能が魔物より高く話すことができる者」

魔騎「魔人は知能も力もとんでもなく、話すことができ、魔獣と比べても天と地の差だ」

男「ってことは、魔王は魔人か?」

魔騎「これに当てはめるならな」

魔騎「魔物を切っても血は出ない、魔獣を切ると黒い血が流れる、魔人を切ると赤い・・・人と同じ血が出る」

魔騎「それは魔王がどれだけ力をいれて造っているかがわかる」

魔騎「まぁ、どうやってるかは知らないがそれら全てをまとめて魔族、と呼ぶんだ」

魔騎「今回のゴブリンの場合、話すことができない・・・つまり魔物だ」

男「魔獣、魔人と比べると遥かに弱いってことだな?」

魔騎「ああ、けどいずれ魔獣レベルとも戦うことになるだろう」

少年母「ご飯よーーー」

下から声が聞こえた

男「行こうっ」











少年「いやーいい湯だったぜ」

男「お母さんこれすごくおいしいです!」

イタリアンな感じの魚料理だ

少年母「ははっ、そうだろう」

少年「先に食ってるし・・・」















男「確かにいい湯だったーーー」

少年「おい!水が垂れてんぞ!」












男「もう、真っ暗だな」

村に街灯なんかない

魔騎「寝るぞ」

コンコンッ

男「ん・・・なんだ、少年か」

少年「あのさ、二人に言っておきたいことがあるんだ」

魔騎「明日のことか?」

少年「うん、俺、見たんだけどさ・・・」

少年「この前、村長が近場の洞窟に生贄の・・・女の人を連れて行ってて・・・」

男「生贄!?」

魔騎「(ゴブリンが生贄を・・・?)なぜもっと早く言わなかった?」

少年「あの・・・村長に口止めされて・・・、でも、どうしても伝えたかったんだ」

魔騎「魔物が生贄を要求するとは考えにくい...」

男「・・・村長が自ら差し出したのか、それとも・・・」

魔騎「魔獣が要求したか、・・・魔人がこんなところにいるはずがないからな」

魔騎「・・・ハァ、魔物と魔獣、それだけで力の差は大きい」

魔騎「魔獣の雑魚な奴でギリギリだ、・・・どうするかは男、お前が決めろ」

男「行くに決まってるだろ、約束したじゃん」

魔騎「・・・ハァ、だとさ少年・・・」

少年「・・・かっけーーー!」

少年「勇者、ありがとう!」

男「ああ」

少年「魔騎もな!」

魔騎「...あぁ」


少年「よし!・・・今日は一緒に寝てもいい?」

男「ああ、もちろん」




少年「じゃ、おやすみ」

男・魔騎「おやすみ」

―――朝―――

少年母「気をつけて行ってな」

男「お世話になりました」

少年母「なんだい、今日も来ていいんだよ」

少年「がんばれーー!」

男「ははっ、ありがとうございます」

魔騎「サクッと行ってくるさ」

男「では」











―――近場の洞窟―――

男「ここ、だな」

魔騎「さっそくゴブリンのおでましだ」

魔騎「魔物なら何体も倒してきた、・・・が、魔獣と戦うのは、はじめてになる、そいつは奥に潜んでいるだろう」

男「俺は初戦だ、魔物も、魔獣も」

魔騎「お前は俺に勝った、今度は二人で協力していくぞ」

男「ああ!」スッ

3つの剣がついた爪をはめる

男「行くぞ!!」

男・魔騎「うおおおおおぉぉぉぉぉおおお」

ゴブリンズ「「グゲエエエェェェエエ」」

ザシュッザシュッドス



一分後、立っているのは二人だけだった


男「案外、簡単に倒せたな」

魔騎「ああ、奥にまだ化け物がいるだろうが・・・」




―――近場の洞窟・奥地―――

男「こりゃまた・・・大層な椅子に座ってやがる」

魔騎「なるほど・・・ゴブリンを統べる者・・・」


キングゴブリン「グオオ・・・人間、我を殺しに来たか?」

立ち上がり、睨みつけている

男「5mはあるか・・・」

魔騎「キング・・・ゴブリン!!」




男「話してるってことは、魔獣ってことだ」

魔騎「死ぬなよ」

二人は身構え右と左に飛んだ

キングゴブリン「そんな武器で・・・ゴブリンを倒したと・・・」    :以下:キンゴブ

キンゴブ「脆い人間が、・・・オモシロい!」ググ

魔騎「あいつ、大木を持ち上げやがった」

キンゴブ「ふんっ」

二人に投げつける、いや、男に向かってだ

男「うわぉっ」サッ

男「危ない奴め・・・魔騎!一気に行くぞ、足狙いだ!」

魔騎「ああ!火炎魔法・装炎」

剣が炎で包まれる

男・魔騎「おらアアアア」

足元へ素早く近づき、

男「っら!」ザシュッ

魔騎「火炎斬り」ボシュッ






力強く斬る

キンゴブ「イヒ」ブンッ

負けじとこん棒が男に振られる、が

男「クッソ・・・」サッ

見事に避けた

同時にキンゴブは回転、打つ

魔騎「防御魔法・天神」ピカ

魔騎「火炎斬り」トッ

魔騎は飛び上がり、斬ろうとする

男「ダメだ!魔騎!」

ドンッ

こん棒は魔騎に命中

魔騎「ちっ」ドサっ

キンゴブ「一匹、後はお前だ」

キンゴブ「人間!」

ドッドッドン

キンゴブ「ァ?」

男「大丈夫か?!魔騎」

キンゴブ「何で棒が・・・切れてんだ」

魔騎「ああ、魔法を使った、俺が受けたダメージは半減されてる」

魔騎「けど、かなりの威力だった・・・後、頼んだぜ」

男「ああ、任せろ」

男「妙案が浮かんだ、剣借りるぜ」ギュっ



キンゴブ「何を・・・しやがったんだ?」

魔騎「何って斬ったんだよ見えなかったか?」

キンゴブ「グフ、グハ...オモシロい・・・殺してやるよ、貴様ら」


男「悪いが殺されたくないなァー」

キンゴブ「!?・・・いつ、後ろに回りこみやがったんだッ!」

男「いつって今だよ見えなかったか?」ズッ

男「こいよ、デカブツ」スッ

大木の上で身構える

キンゴブ「ぐあおいイイイ!」

大木の端は浮いている

キンゴブ「下等生物が・・・調子に乗りやがって」

木と地面、木の中間点に石が挟まっているからだ

男「一つ、教えといてやる」ギュっ

魔騎「いけッ、男」

キンゴブ「グぉお、死ねえェ!」ドンッ

魔獣は木を踏み込む、浮いていた端を

ブンッ

フワっ



男「人間にも、強い奴はたくさんいるってな!」

ドスッ

キンゴブ「ぬ・・・ァ」

男「魔騎、確かに魔獣だった」

黒い地が地面を染めていた

魔獣の黒き血に塗られた黒い地面が

魔騎「フっ」ニヤ

キンゴブ「あ、ァァ」

男「考えなかったか?あれを踏めば逆に浮いてない方が起き上がる」

男「・・・その衝撃で俺が飛び上がるってことを」

ドサッ

スしゅうううう

男「え?お、魔騎!こいつが倒れて消えた!」

魔騎「ってて、ああ、倒した魔族は消えていく、ゴブリンも消えているだろうよ」

男「そうなのか・・・大丈夫か?」

魔騎「アア、よく倒したな」

男「なははッ、心臓の位置、分からないから顔に刺しちまった」

魔騎「ったく、すげぇよ、男」


男「帰ろう、村に」

「だれかァーーー助けてーーー」

男・魔騎「何だ!?」

魔騎「・・・生贄になったやつじゃないのか?」

男「!ああ、助けに行くから待っててくれ」












男「うなっ・・・」

デブ子「うほおお、助けてええ」

まん丸と太った女性でした

―――ラクソン村―――

村長「よくぞ!退治してくれました」

村人一同「ありがとうございました!」

男「い、いやぁ」

魔騎「そんなことより、お前が出した生贄・・・連れ帰ったぞ」ホレっ

一同「生贄?」

村長「うぇ!?」

村長(生きていたのか・・・ってワシが差し出したのはもっと別品だったはず・・・)

魔騎「おそらく、太らして食おうと思ってたんだろうよ」

おっかぁ「メイ?メイなの!?」

おっとぉ「おぉ・・・行方不明になったと思ったら村長・・・アンタ」

村長「待て・・・まて!ワシは皆のことを思ってだな!」

一同「そんちょーーう!」

村長「うわあああああああああああああ」















―――少年の家―――

少年「すげーや二人とも!ありがとう!」

少年母「まったくだよ、おかげでこの村ももっと賑やかになるだろう」

男・魔騎「...」テレっ

少年・少年母「じゃ、今日も泊まってくれよー」

男・魔騎「、はい!」











―夜ー

魔騎「いい人だな」

男「ああ」

コンコン

少年「明日にはもう出るんだろ?」ガチャ

男「ん、おう」

少年「そっか、・・・次はどこに行くの?」

魔騎「[地獄前の天国]だ」

少年「知らないや」

魔騎「ただの宿屋だ、俺達は北の国を目指している」

少年「そうなんだ・・・これからも悪い奴を倒していくの?」

魔騎「さぁな」

男「もちろんだ」

少年「へへッ、今日もここで寝る!いいだろ?」

男・魔騎「ああ」
















―朝―

少年母「気をつけて、これ、お弁当だから」

男「いろいろありがとうございました!」

少年「勇者、魔騎」

少年「俺は二人のようになる!」

少年「約束する、だから、困ってる人がいたら全力で!助けて!」

男「ああ、約束だ」

魔騎「...約束だ」

4人は互いを向き合った

そして

少年母「がんばりなーー」

男「はいっ!」

二人は背を向ける

少年「気をつけてーー」

魔騎「おう!」

歩き出す

朝日はいつもこの二人を照らすだろう


明るく、いつまでも、ずっと

>>63気をつける

男「地獄前の天国って言ったっけ?先に地獄でもあるのか?」

魔騎「ああ、俺達の実力じゃあな」

男「魔人がいるとか?」

魔騎「それはねーよ、夜になったら話してやる」

男「焦らすねえ」





―8時間後―

魔騎「あれだ、宿屋」

男「は?何だ・・・この穴は」

宿屋と道を残し、それ以外半径5mほど深い穴に囲まれている

魔騎「道の真ん中に宿屋が陣取っているわけだからどうしても泊まらなければいけない」

魔騎「別に他を通れば行けるが、ここは泊まり賃が安い、休んでおいたほうが良いだろう」



―地獄前の天国―

門次郎「ようこそ、俺の名前は門次郎だ、ここは先に払う仕組みになっている、飯込みで60バードだ」

男「はい」チャリン

門次郎「567号だ」スッ







―567号―

魔騎「ほう、風呂有り本棚ありか」

おばあ「ご飯をお持ちしました」







男「ぬぅ、実にうまかった」

男「じゃ、教えてくださいな」



魔騎「おう、俺達が今いるところ・・・実は東の国と北の国の国境付近だ」

男「おー、もうそんなところまで」

魔騎「で、さっきの門次郎は門番だろう、あれは相当強い」

男「ああ、威圧感がすごかった」

魔騎「明日、俺達が行くところ、その名は[死の谷]通称デス・バレー」

男「死?デス・バレー・・・」

魔騎「何故そう呼ばれるのか、それは魔物と魔獣の巣窟だからだ」

魔騎「キンゴブは雑魚レベルだったから良いが、今回は何が出るか分からない」

男「なるほどな」

魔騎「まぁ、その谷の長さは1kmあり、渡る方法は、魔法船か飛行魔法を使うことぐらいだ」

魔騎「魔法船は予約制、料金は30万バード、大臣クラスのやつが毎日のように乗りやがる」

魔騎「勇者といえど、乗るのは難しいだろう」

魔騎「そして、誰も飛行魔法なんて使えない」

男「じゃあ、行けないじゃないか」

魔騎「ああ、なら、直接歩くしかないってことだ」

男「ん?」

魔騎「デス・バレーダンジョン、冒険者用の道だ」

魔騎「んで、この宿の周りの穴、あれはその入り口だ」

魔騎「明日、そこから入り1km,1kmの合計2kmを歩く」

男「なるほどな、でもどうする?穴にでも飛び込むのか?」

魔騎「そうだ、だが心配する必要はない、穴の下には大きな植物が生えているらしいからな」

男「ほう、本当に物知りだな」

魔騎「そんなのは今だけだ、東以外の知識なんてまったくないからな」

魔騎「あ、北の国に入ると王都まで馬車が出ているらしい」

男「へー・・・北の国のことも知ってんじゃねーか」

魔騎「それぐらいだ、本屋で北の本でも買うか・・・」

男「ん、そういえば魔法についての本はどうした?」

魔騎「あ・・・また今度な、もう寝るわ」









男「おやすみ」

魔騎「おう」























―朝―

門次郎「これをやる」スッ

男「これは?薬草?」

門次郎「毒消し草だ」

男「毒消し・・・ありがとう」















魔騎「死んだりするなよ。じゃあ、行くぞ」ピョン

男「ああ、お前もな」ピョン




ヒュウぅぅぅぅ




魔騎「かなり深いn」ボスン

男「・・・大丈夫か?」

魔騎「・・・」

男「ああ、植物じゃなくてキノコだな、助かった・・・なんか食えそう」

オレンジ色の大きな柔らかいキノコだった

男「行くぞ、魔騎」

男(何m落ちたんだろう?500mぐらいか?)

魔騎「ちょ、待てよ」

スライム「ぴ・・・き」

男「スライム?かなり弱ってるな」

魔騎「おそらく・・・毒にかかっている、もう長くないだろう」

ガーゴイルズ「グエェエエエ」

魔騎「やつらか・・・」

男「毒持ってんのか?」

魔騎「ああ、噛まれないよう気をつけろ」

ガーゴイルズ「ぐえええええ」びゅん

男「突っ込んできやがった」スチャ

身構える

魔騎「風魔法・風霧」ヒュウウン

ガーゴイル達の動きが乱れる

男「ふっらぁ」ズババババババ

男「よし!駆除完了だ」ニッ

魔騎「この調子でいくぞ」ニッ

―200m地点―

男「おっ、看板がある」

[ただいま200m地点]

魔騎「優しい奴もいたもんだ」



―400m地点―

[ただいま400m地点]

男「どうやら200mごとに看板があるようだ」



―800m地点―

男「ついてるな、ここまで敵があんまり来なかった」

魔騎「本当にやばいのは1000mからだ」



―1000m地点―

魔騎「ここから、危なくなってくるぞ」






―1200m地点―

男「あぁ、きやがった」

魔騎「ヘルスネーク、毒持ちだ」

ヘルスネーク「キシャアア」

魔騎「弱点は頭ではなく、尻尾、火を嫌う」

男「分かった」

ヘルスネーク「ッシュ」...ッパ

男「っと・・・グ」チク

魔騎「っち、毒針を飛ばすタイプか」

魔騎「男!すぐに毒消し草を食え!こいつの毒は即効性の致死毒だ」

男「ん」パク、ドサ

魔騎「っく、火炎魔法・装炎、風魔法・風霧」

魔騎「火炎車!」

炎の渦がヘルスネークを包む

魔騎「火炎斬り」シュパ


魔騎「ふぅ・・・大丈夫か?」

男「なんとか、でも少し休みたい」

魔騎「30分休憩を取ろう」

男「ここの魔族は毒持ちが多いのか?」

魔騎「さぁ?そんなことは聞いたことないな、魔王のせいかもな」

魔騎「魔法船が墜落したとき、確実に殺すため、冒険者が来たときに確実に殺すため、とか」

男「ふーん、俺は何か別の理由があると思う」

魔騎「?」

男「よしっ、もう大丈夫だ、行こうぜ!」



―1400m地点―

魔騎「ジャングルのようなところに出たな」



―1800m地点―

男「あと200m、坂になってるな」

魔騎「もうすぐだ、魔獣が出なくて良かったぜ」

???「キッヒッヒ油断は禁物ですぜ冒険者」

男・魔騎「!?」サッ、チャキ

???「キッヒッヒいーい反応だね」

男「魔獣!?」

魔騎「ッチ!」


毒女蜘蛛「アタシはその呼ばれ方好きじゃないんだけどね、確かに魔獣だよ...名前は毒女蜘蛛」

毒女蜘蛛「久しぶりに人間に会えたわ」


男「魔騎、こいつの強さは?」ボソッ

魔騎「知らないが、知能が高そうだ」ボソッ

毒女蜘蛛「なんだい、そんなに見つめるなよ・・・」

毒女蜘蛛「・・・食べにくくなるじゃないか」ビシュッ


魔騎「っ!」スッズバ

毒女蜘蛛「あーあ、アタシの糸切られちまった」

魔騎「男、こいつも毒を持ってるかもしれない、慎重に行くぞ」

毒女蜘蛛「毒...ねぇ」ボソッ


男(ヘルスネークの毒のせいか少しふらつく・・・)

毒女蜘蛛「キッヒッヒ、さぁ捕食開始だ」





毒女蜘蛛「一ついいこと教えてあげる、ここら辺に魔獣はあまりいないわよ」

毒女蜘蛛「だってみんな、私の毒で消したもの」

魔騎「・・・毒持ちか」

毒女蜘蛛「心配しないであなた達に使わないから、食べれなくなるし」ビシュッチャ、ビシュッチャ

毒女蜘蛛が周囲の木に糸をめぐらす


男「っふ、す」ズババ

男はそれらを全て切っていく

男「何をする気だ?」

毒女蜘蛛「いいねぇ、それでこそ冒険者だ」


魔騎「火炎魔法・装炎、火炎弾」

炎に包まれた剣で炎を飛ばす

毒女蜘蛛「っや」ビシュっ

毒女蜘蛛は上に逃げる

毒女蜘蛛「炎なんて嫌よ、使わないで」

魔騎「なに言ってやがる、魔獣のクセに」

毒女蜘蛛「だからー、その言われ方好きじゃないの」


毒女蜘蛛「強化魔法・硬化」ギュイン

毒女蜘蛛「キヒ」ばしゅ、ばしゅ、ちゃっ

もう一度木に糸が張られる

魔騎「魔法まで使えるか・・・」

男「っつ」ギンッ!

男「魔騎!この糸切れねぇ!」


毒女蜘蛛「キッヒッ...」

男「え」

毒女蜘蛛は男の前に高速で移動した

魔騎「男!(糸を使い、高速移動だと・・・)」

男「っく」ギュリンッ、ッキン

毒女蜘蛛はナイフを持っている

男「うらぁ!」ドンッ

まわし蹴りをいれる

毒女蜘蛛「うぉ」っぱ...ビシュ

ナイフを落とした直後、男の足に糸をつけ、殴る



男「っしま」ボォン

男「ッグフ・・・」

毒女蜘蛛「キヒッ、見事にあたってくれたね」

男「ウ、(お、重い)」

魔騎「火炎斬り!」ブオン

毒女蜘蛛「おっと」サッ

毒女蜘蛛「危ないなぁ」

毒女蜘蛛「神経毒ならいいのかな?」

魔騎「火炎斬りィ」ブオンッ

毒女蜘蛛「・・・」シュッ

魔騎「っあォ」チクッ

毒女蜘蛛「キヒッ、神経毒だよーん」


毒女蜘蛛「っっっっ」ヒュウっパパパパパパパ

魔騎を糸で巻き吊るし上げる


毒女蜘蛛「うん、ちょっと待っててね」


男「っぐ、おい!」

毒女蜘蛛「ん?なに?」

男「そいつを・・・降ろしやがれ」

毒女蜘蛛「やだね、それより次は君がこうなる番だから」

男「・・・降ろせといったんだ」

毒女蜘蛛「もし降ろしてもこの状態じゃ戦えないよ?だったらこのままアタシに食べられたほうが幸せだろう」

男「ここら辺に毒持ちの魔族が多いのはお前の仕業か?」

毒女蜘蛛「そうだけど?アタシが魔界から持ち込んだの」

毒女蜘蛛「それより彼も辛そうだから早く楽にしてあげようよ」

男「・・・毒女蜘蛛、俺はきまぐれな性格なんだ」

毒女蜘蛛「ん?」

男「今なら、お前を殺さずに助けてやる、だからすぐに立ち去れ」

毒女蜘蛛「...キッヒッヒ、アタシのパンチ一発でそんなになった奴に言われても説得力がないですぜ?冒険者」

男「そう言うと思った」

毒女蜘蛛「キヒ君は魔法使えないの?」

男「ああ、でもな、使う必要なんかないさ」

男「お前程度の相手にな」ギュッ

武器をしっかり握る

男「勝負は一瞬だ」サッ

構えを取る

毒女蜘蛛「キヒ、キッヒッヒッヒ」ニヤリ

敵は不敵な笑みを浮かべている

毒女蜘蛛「アタシはこのデス・バレーを支配している、そして一番強い、人間にやられると思うか?」

男「知るかよ、さぁ駆除開始だ!」



男「ハッ」シュン

男「フンッ」フオン

剣爪を振る

毒女蜘蛛「っや」キンッ

毒女蜘蛛「さっき良い剣が落ちててね」ギン

男「!お前、それ魔騎の・・・」

毒女蜘蛛「キヒ、最初に言ったはずだ、油断は禁物...と」ブンッ

男(野郎・・・・・・)サッ、ッパッパ

距離をとる

毒女蜘蛛「逃げるなよ、腰抜け」

男(キングゴブリンは剣一刺しで倒せた、あれも同じようにいけるはずだ)

毒女蜘蛛「アタシを殺す方法でも考えているのかな?」

男「ああ、答えは簡単だ」

毒女蜘蛛「ふーん、聞かせて?」

男「お前の脳天にコイツを刺すだけだ」

男は剣爪を見せる

毒女蜘蛛「へー、じゃ、頭を守ろうかな」

男(距離は・・・8~10mといったところか)

毒女蜘蛛「おとなしく毒食らってよ、よく考えたら焼いたら食べれると思うし」

男「お前もおとなしく俺にやられろ」




魔騎「ぅ・・・(体がいてぇ...男)」

魔騎(薬草でも食えば楽になるか?)コソコソ

魔騎は薬草の入れ物を覗く

魔騎「これ・・・は(毒消し草?なぜだもうないはずじゃ・・・)」

魔騎(まぁいい、頂こう)パクッ









男「ふぅ・・・」ジッ

毒女蜘蛛を睨みつける

毒女蜘蛛「キヒッ」ビシュ、パシッ

糸を近くの石につけた

男「石なんか持ってどうするきだ?」

毒女蜘蛛「こうするのさ」










魔騎「・・・すぐに効いてきやがった、ん?」ヒラ

魔騎「手紙?」

薬草入れに入っていた手紙を見る


p/すまんのう、おまけの薬草が腐ってたんで代わりに毒消し草を入れといたぞ、がんばれよ/

魔騎「へっ・・・雑貨屋の婆さんか・・・」

魔騎「ありがとよ」




毒女蜘蛛「強化魔法・ゴム化」ブヨン

男「そうか(パチンコみたいに飛ばして打つ気か)」

毒女蜘蛛「今からアタシは君にこの剣を刺す」

毒女蜘蛛「避けたら、高速で石が飛んでくるし、斬る、避けなくても斬る...し、石も打つ」

男「はやくこいよ、そんな説明しまくってんのか?早死にするぞ」

毒女蜘蛛「死ぬのは君だけどね・・・仲間の剣に刺されて死にな!」...シュン

男(今だ!)シュン


ヒュッ、ドウン、、ブン、サッ、

...ザクッ



男「俺の・・・勝ち...だ・・・」

毒女蜘蛛「」














魔騎「!男!火炎魔法・着火」ボワッ

魔騎(魔力は戻った、これで、この鋼鉄のような糸も解けるはずだ)

魔騎「にしても・・・男の野郎・・・」








―――――

毒女蜘蛛(あいつも突っ込んできた!)クイっ

毒女蜘蛛はゴムのようになった糸を使い、石をすごい勢いで飛ばした

男「っ」パッ

ドウン!

男は左の腕でそれを受けた

男「っく」

毒女蜘蛛(嘘だろ!?)ブンッ

魔騎の剣を振る魔獣

男「オオ」サッ

それをかわす人間

男「届けえぇぇええ」

毒女蜘蛛(うあぁ、ら)パッ

防ぐには遅すぎた

...ザクッ

剣爪が毒女蜘蛛の頭に刺さる

男「俺の・・・勝ち...だ・・・」

毒女蜘蛛「」

―――――



魔騎「無茶しやがって・・・」ブオオ

魔騎「やばいな・・・まだ解けない」



男「は、は、っく、折れたかな・・・」ピキ...キ

毒女蜘蛛「」

魔騎「男ー!大丈夫か?!」

男「魔騎・・・」


毒女蜘蛛「...」...ドしゅっン

チクッ

男「あ?」チク

毒女蜘蛛「...し・・・ね...エ・・・」

毒女蜘蛛「」

男「う・・・」ばたっ

魔騎「なっ・・・男ーーー!」

ちっっちき、プツン...ドンっ

糸が切れて落ちる

魔騎「男、男、くそっ・・・解けたっ」


男の下へ駆け寄る


魔騎「おイ!大丈夫か!?」

男「」



魔騎「毒針で打たれたのか、・・・ックソ毒消し草はもうねぇぞ!」

魔騎「・・・お・・・起きろよ、魔獣は倒したんだ後はこの先を行くだけ、」

魔騎「ほら、もうすぐ北の国だ」

男「」

魔騎「っち・・・男・・・」


男「」スウ...

魔騎「!」

魔騎「背負わしてもらうぜ」ヨット

魔騎「死んだりするなって言ったろう?」

魔騎「助けてやるからな、絶対」



魔騎は北の国へ向かうために男を背負い、あと200mほどの坂を行く、

辺りには黒い、ただ黒い血と


まるで闇にでも飲まれたように染められていく糸だけが残された

―――北の国・東の入り口―――

魔騎「来たぜ男、北の国だ」

魔騎「ここは魔法が盛んだからな、お前の毒と腕を直してくれるはずだ」

男「」スウ








ルーク「待て、門番のルークというものだ」

魔騎「あぁ、ほら」スッ

勇者の証明書を見せる

ルーク「これは・・・デス・バレーダンジョンを通ってきたのですか?」

魔騎「そうだ、一つ聞きたいが解毒魔法を使えるか?」

ルーク「いえ、使えません」

ルーク「・・・王都に行けば病院で治せるでしょうが、解毒魔法はかなりの値段がしますよ?」

魔騎「後ろの奴が勇者だ、無理にでも直させる」

魔騎「・・・馬車が出ているはずだが?」

ルーク「あ・・・はい、こちらです」





魔騎「ありがとうよ、この馬車の値段は?」

ルーク「・・・ただいまこの馬車の者が出払っておりまして・・・」

魔騎「俺は魔法が使える騎士だ馬ぐらい使える」

ルーク「...では!無料で大丈夫です、馬は王都において置いてください、後日取りに行きますので」

魔騎「助かる、王都まで何分かかる?」

ルーク「フルでとばして1時間かと」

魔騎「・・・分かった、ありがとう」

ルーク「お気をつけて」

魔騎「男、しっかりしてくれよ」

魔騎「フルでとばすからな」バシンっ

ヒヒーーン


―30分後―

ポツ、ポツ、ポツ

ザアアアアア

魔騎「雨が降ってきやがった」




―――北の国・王都―――

魔騎は走っていた

魔騎「しっかりしろよ!男」タッタッタ

男「」


魔騎「王都まできt...うわっ」ドシャッ


魔騎「はぁ、はぁ、・・・雨がやけに冷たいな・・・」

魔騎(男・・・)

道の真ん中で盛大にこけた、羞恥心なんかない、ただ助けたい

足が震える、動かない

魔騎(男・・・)


???「大丈夫?あなた達」

魔騎「ン...」

男「」

???(治療魔法・ヒール)パア

???(治療魔法・解毒)


魔騎「うぁ・・・」

男「...」スウ

魔騎「誰だか知らないが、ありがとう」

???「いえ、(治療魔法・生命帰還)」ピュン

魔騎「呪文を唱えずに魔法を・・・」

男「う・・・」

男「あれ・・・」

魔騎「男・・・!」

男「魔騎...、どこだ、ここ?」

魔騎「北の国だ、お前が魔獣を倒したんだぞ」

男「!ああ、そうだった、--ついに北の国かー」

男「ん、こちらの人は?」

魔法使い姉「私は魔法使い姉、姉ちゃんって呼んでね」:以下:姉

魔騎「助けてくれてありがとう、医者なのか?」

姉「え?・・・うん、ここじゃあ、雨にぬれるからあっち行こ」

男「いてて、ありがとうございます」

魔騎「立てるか?」

男「ああ、大丈夫」

眼鏡をかけた、賢そうで、大きな傘を持っている彼女についていく



姉「さっき、魔獣を倒したって言ったけど、どこから来たの?」

男「東の国からです」

年は二十歳ぐらいだろうか

姉「へー魔獣を倒したんだ...」

男「はい、本当にありがとうございました」

姉「ふふっ、敬語なんて使わないでよ」

姉「ところで君、腕も折れてるね」

男「あ、たぶん・・・」

姉「・・・すぐに直してあげるから家に来なよ」

男「え!?直せるんですか」

姉「うん」

魔騎「骨折が直せる?解毒魔法も使ってたし、アンタそうとうな実力者だな」

姉「・・・うん、早く行こうか」

―姉の家―

魔騎「一人暮らしなのか?」

姉「ちょっと前まで妹もいたんだけどね・・・」

姉「魔族にさらわれたんだ・・・」

魔騎「魔族に?」

姉「うん、たぶん魔獣、私は攻撃魔法できないから・・・なんにもできなかった」

姉「・・・さ、治療するよ」

男「お願いします」

姉「あ、お金もらうからね、100万バード」

男・魔騎「!」

魔騎「ちょ、金を取るのはいいが俺達は10万バードしかない」

姉「そう、なら金になる仕事を紹介してあげる、」

姉「腕を短時間で治療できる人は限られてる、でも私は治療してあげれるよ」ニコッ

魔騎「・・・確かにそうだ」

姉「仕事は、討伐依頼」

魔騎「だが、100万というのは高くないか?1ヶ月もすれば腕は完治できるぞ」

姉「・・・解毒魔法やらさっきの治療で50万だけどいいかな?」

魔騎「・・・腕の治療をお願いする」

姉「はい」ニコ



姉「この生命の糸を使うんだ」

男「生命の糸?」

姉「うん、希少なんだよ?」

姉(治療魔法・装天)

姉「開始します」ヒュババババババ

高速で糸を男の腕に通す

男「いぇ!?」

姉(治療魔法・ライフ)ヒュババババ

魔騎「すごいな、装天か?かなりの上級魔法じゃないか」

姉「ライフとの併用で高速で治すんだよ」ヒュババババ

男「なにがなんだか・・・」

姉「はい、もう終わるよ」ヒュバババババ

男「もう!?」

姉「はい、終わり、動かしてみて」

男「あ、ああ」

半信半疑で動かしてみる

男「ん、んん?動く!痛くない!」

姉「よしっ」ニコ

魔騎「・・・すごい」

男「ありがとう!」

姉「ふふっ、仕事のほうは明日に入れといたからよろしく」

男「あ、仕事の討伐って何を?」

姉「うんとね、ゴーレム、魔獣だよ」

魔騎「なるほどな、確かに奴の殻は高値で売れる」

男「強いのか?」

魔騎「体が硬いのと力が強いぐらいだ、知能は低い、動きも遅い」

姉「ふふっ、魔獣と聞いても恐れもしない、すごいね二人とも」

男・魔騎「え?」

男「めちゃくちゃ恐れてるよ?腕だって折られたし、」

魔騎「俺達は臆病者だからな」

姉「・・・ふふっ、なにそれ」ニコ

姉「二人の名前は?」

男「男だ」

魔騎「魔騎だ」

姉「男、魔騎、よろしくね」ニコッ

男・魔騎「おう!」

魔騎「ちなみにこいつは勇者でもある」

姉「・・・勇者?ほんとに?」

男「まぁ、はい」

姉「へぇー・・・あ、今日はうちに泊まっていいからね」

男「いろいろありがとう」

―朝―

コンコン

姉「男くーん、起きてるー?」

男「...ん・・・」

姉「もう昼だよ」

男「...ええ!?」

姉「うーん、昨日の腕の治療とかで疲れたんじゃない?」

男「ああ・・・討伐どうしよう?」

姉「私が送るからご飯食べてからお願い、魔騎くんは今さっき、本屋に行ったよ」

男「本屋?そういえば・・・」







―本屋―

魔騎「ふむ、これが北の国ガイドブックか・・・」

¥今だけ!これであなたも完璧な魔法使い!大辞典¥

魔騎「・・・これも買って帰るか」






―姉の家―

魔騎「おーす」

姉「あ、おかえり!」

男「うっす、この料理すごいうまいぞ!」

姉「へへっ」ニコ

男(量がハンパないけどな)

魔騎「男、これやるよ」スッ

男「ん・・・お!魔法の本!」

魔騎「俺の持ってる奴よりも詳しく書いてあったからな」

男「おおお、ありがとうぅ」

姉「男くんはどんな魔法が使えるの?」

男「え?・・・・・・」

魔騎「こいつは記憶喪失でなにもかも忘れちまったらしい」

姉「へぇーそうなんだ」

男「ああ・・・」

魔騎と過ごして数日がたった
俺はこのまま騙していていいのか?
まぁ、どっちにしろどう説明すればいいか分からない
もし話してどうして魔王を倒す気になったんだ、と聞かれてもきまぐれで、
とかしか答えられない

不思議なところだ、腕が折れてもわずかな時間で腕を元通りに直すことができる、
それに魔獣というのが恐れられているが魔法も使えない俺が倒せるんだ、
案外、一般人でも勝てるんじゃないのか?

そんな疑問を俺は思った


姉「そろそろ、行こうか」














姉「よし、この箱の中に入っててね」

姉(飛行魔法・スカイフル)フワ

姉(補助魔法・スカイダム)ヒョイ

姉・男・魔騎の三人が浮く

男・魔騎「おお!」

魔騎「飛行魔法ができるのか!」

男「この前の宿屋で話してた魔法だな」

姉「ふふっ、行くわよ!」



ビュウウウウウウウウウウン

男「うぅ・・・早いよ、姉さん」

姉「姉ちゃん!もうすぐ着くから」












トサッ
ドスンッ

男・魔騎「いってえええ!」

姉「ありゃ、ごめんね」ニコ


姉「さ、ここがゴーレムちゃんが現れたという遺跡、」

姉「[黄泉からの帰り道]です」

魔騎「ふむ、あまり人が近づかない所らしいな」

姉「うん、ゴーレムは本来、番犬的な存在で造られたんだよ」

男「番犬?何か守ってたのか?」

姉「うん、大事な魔法の宝・・・らしいよ」

姉「最近、何者かに盗まれたんだって」

魔騎「それでゴーレムが暴れてると?」

姉「さぁ?おもちゃを取られて泣いてる子供状態かもね」

魔騎「アンタは攻撃系の魔法が使えないんだろう?」

姉「そうだけど、補助することならできる」ニコ

男「ま、とりあえず進もうぜ」

草原の道から石ころだらけの道にかわった、俺達はただ黙々と歩いて行く

姉「ねー、何か話そうよー」

姉「男くんは記憶喪失になる前のこと、覚えてないの?」

男「え・・・うーん・・・この世界のこと何にも知らないからなー」

姉「つまり・・・名前ぐらいしか覚えてないんだ」

姉「魔騎くんはどうして男くんと旅に出たの?」

魔騎「・・・俺も行きたくなかったんだけどさ、男がどうしてもって」

魔騎「んで、なら俺と勝負して勝てたなら一緒に行くってことになったんだ」

姉「ってことは、負けたんだ」

魔騎「ああ、でも今はこの旅も悪くない、地獄への切符ってことは分かってるけどな」

姉「勇者ってことは、魔王を倒すんだよね?」

男「ああ、でも、あの時に姉さ・・・姉ちゃんが助けてくれなかったら俺は死んでた」

姉「ふふっ、いつでも治療してあげるよ、お金は頂くけどね」ニコッ


ドウウウン

男「なんだ!?」

姉「たぶんゴーレムが暴れてる、急ぎましょう」







―中心部―

ゴーレム「アアアアアアアア、ダレダ、オレノ、タカラヲ、ウバッタ、ヤツハ」

男「一匹か、にしてもデカイな、キングゴブリンの倍はありそうだ」

男「・・・って魔騎!これヤバクね?!」

魔騎「死ぬ気でやるしかないだろう」

姉「じゃ、私は物陰に隠れておきますね」


魔騎「へへっ、男、今回だけは大怪我しても大丈夫だぜ」

魔騎「大きな見方がいるからな」

男「ああ、でも痛いのは御免だ!」

男「行くぞ?」

魔騎「おう、」

シュインッ...バゴッ

姉「すごい・・・一瞬で斬りつけたように見えたわ・・・」

ゴーレム「ア?キサマラカ、ドロボウハ、!、ニンムヲスイコウシマス」

男「どうやら、ぜんぜん効いてないようだぜ...」

ゴーレム「マッサツセヨ」ブンっドゴッ

男「・・・こいつ、動きがめっちゃ遅いぞ・・・」

ゴーレム「マッサツセヨ」ブンっドゴッ

魔騎「男、こいつ・・・ゴーレムだけは人間が造りだしたものなんだ」

男「そうなのか?」

魔騎「ああ、しかしDr,グリードの造ったホムンクルスには遠く及ばなかったそうだ」

ゴーレム「マッサツセヨオオオ」ドゴオン

男「俺達が魔王を倒しても、また復活するかもしれないんだろ?」

魔騎「さあな、だがこのまま魔王を放っておけば、人類は全滅だ」

男「あぁ・・・もっと強くならないとな」

魔騎「よし!そろそろ倒すぞ」

魔騎「姉!!男に補助魔法だ!」

姉「姉ちゃんだってば!(補助魔法・肉体強化、腕力特化)...いいわよ!」

魔騎「男、剣爪をはずしておけよ」

男「うおォ、力が溢れてくる・・・」ギュイイン

ゴーレム「マッサツセヨ」ド...

魔騎「水流魔法・装水」

魔騎「五月雨!」ドドドドドドド

ゴーレム「グオオオ、ク・・・マッサツセヨ」ドウン

魔騎「今だ、男!全力で殴れ!」

男「え、おう!」シュッ

姉(補助魔法・硬化)

男「フンッ」ドッゴオオオオオオオオオオオオオ

ゴーレムが数m吹き飛ぶ

男「・・・え?」

魔騎「お・・・おお、人にはそれぞれ適した魔法系統がある、お前のは・・・異常にすごいな・・・」

男「俺が・・・魔法?」

魔騎「姉からの補助魔法だ、補助魔法ってのは自分で使う強化魔法の半分ほどの力しかできないはずなんだが...」

魔騎「半分でこの威力だとすると・・・」

姉「すっごーーい!二人ともすごい!」

男「あ、俺ってまた姉ちゃんに助けられたの?」

姉「いやいや、二人の力で倒したんだよ」


男「ぁ・・・」フワラ

男「疲労感と軽い痛みが・・・」

魔騎「まぁ、大体そうなる、痛みは慣れてないんだろう」

魔騎「ちなみに俺は肉体強化系は苦手でな、使えないんだ」

姉「おーい、殻、回収したよー」

男・魔騎「はやっ」

姉「へへ、帰ろうか」ニコ

姉「お疲れ様」ニコ...

―姉の家―

姉「あれ・・・うーん・・・」

男「どうかした?」

姉「計算すると70万バード分しかないや・・・」

男「マジか・・・」





姉「・・・あの、男くんにだけ、もう一つお願いしたいことがあるんだけど」

男「俺だけ?まぁ残りは骨折代とかだしな」

姉「あ、いや、実は・・・」


魔騎「おーーす、夕飯の材料買って来たぞー」

姉「ん・・・おかえり」ニコ

姉「魔騎くんもこっちにきて」

魔騎「ん、どうしたよ」

姉「さっきの続きなんだけど、男くんにだけお願いしたいことがあるの」

魔騎「男にだけ?」

姉「うん、とっても言いづらいんだけど・・・」

男「大丈夫、助けてくれた恩があるから、できる限りのことをするよ」

姉「ありがとう」ニコ...

姉「今回依頼したいこと・・・っていうのは」

男「うん」

姉「魔法石を取り返して欲しいんだ」

男「魔法石?」

姉「うん・・・ゴーレムが守ってたお宝」

男・魔騎「え」

姉「ごめんなさい、黙ってて」

姉「これから全て話します」





姉「妹がさらわれてから、私は泣いてばかりいたんだ、
  ある日棚を開けると紙が一枚、落ちてきて、それには魔法石という家に代々伝わる石についてが記されてた
  その石は悲しみを失くすことができるという噂があったの、
  それで私はすぐに黄泉からの帰り道に行ったの、そこで私はゴーレムが大事そうに石を守ってるのは見たんだ
  私はゴーレムから少しの間、石を借りて眺めてた、本当に引き込まれそうだった、悲しみが消えそうだった。」

姉「でも、ゴーレムはその石を誰かのためにずっと守ってたみたいなんだ、
  だからすぐに取り返しに来た」

姉「君達にゴーレムを討伐して欲しいと言っているのは私」

男「・・・」

姉「私はゴーレムに石を返したわ、なぜなら、彼がずっと待っていたのは、私のお母さんだったから」



姉「でも、何物かに盗まれた」

姉「私はすぐに誰が盗んだか探したわ」

姉「情報は二つあった、先代国王が誰かに盗ませ、持ってこさせたのとゴーレムの体内に埋め込んだ」

魔騎「それで俺達にゴーレムを倒させたのか?」

姉「うん・・・本当にごめんなさい」

魔騎「憲兵にでも任せればよかったんじゃないか?ゴーレムは一応魔族、とされている」

姉「私は・・・この国に嫌われてるから・・・」

魔騎「どういう事だ?」

姉「・・・ごめんなさい、今は話せない・・・」

魔騎「・・・そうか」

姉「私は国に頼れなかった、人に・・・嫌われているの、だからこの家も少し街から外れたところにあるんだ...」

姉「私は・・・君達を利用したの...最初に二人が倒れてたとき、格好からして冒険者だと思った」

姉「男が勇者だと知って、ああ、神様が私に味方してくれているな・・・って思った」

姉「私は最低な子だよ...お金なんてただの口実に過ぎなむ・・・」スッ


男は姉の口を塞ぐ

男「もういい、そんなに自分を蔑むな」

男「姉ちゃんは、俺達が冒険者じゃなかったら助けなかったのか?」

姉「それは・・・ちが」

男「ちがうだろ?良い子だよ、姉ちゃんは」

男「俺に任せろ、魔法石だか魔法岩だか知らねぇけど持って来てやる」

男「姉ちゃんはそいつをどうする気なんだ?」

姉「あのまま・・・ゴーレムが待ち続けても、お母さんは来ない・・・」

姉「だから、せめてお墓に供えてあげようって・・・」

姉「お母さんが死んだとき、妹と一緒に、綺麗な宝石を入れてあげようって話した、約束したの」

魔騎「一度、ゴーレムに石を返したのは大岩とかに囲まれてどうしようもなかったからだろ?」

魔騎「あそこはゴーレムが暴れてかなり破損されていたからな」

魔騎「ほら、ガイドブックには大岩ばかりが写ってやがる・・・っち、この本古いやつだな」

男「っへ、やっぱり良い子じゃん!」

男「借りた恩は必ず返す!」

男「なんなら、勇者の名前にかけてもいいぜ」

姉「男・・・」グス

魔騎「っふ、じゃあ、俺は情報収集でもしてくるかな」

男「はは、あーあ、腹が減ったな」





魔騎「・・・ところで、ゴーレムには入ってなかったんだろ?つまり・・・」

姉「うん、・・・たぶん北の国の城にある、現在は先代国王の息子、 王子が住んでいるわ、彼がこの国のトップよ」

魔騎「ハハ・・・ちょうどよかったな男、黒魔球をもらう手間が省けたじゃないか」

魔騎「ついでに、魔法石も盗ってくればいい、[一人で]な」

姉「ごめんなさい、あなた[一人]にこんなこと頼んじゃって、私はとても王城になんて入れない」

姉「でも、あなたは勇者として入ることができる」

魔騎「まぁ、お前が[一人で]取ってくる間に俺は情報収集でもしておくからよ」

姉「それとこれ、もしもの時のために・・・」スッ

魔騎「まぁ・・・捕まるなよ」




男「」




男「まて、まて、まてえええええいいい」

男「確かに!俺は持ってくると言ったよ!でも盗んでくるの!?ばれたらやばくない!?」

男「それに[一人]って強調してんじゃねーよ!いや、確かに俺だけにお願いって聞いたけどさ」

姉「[一人]の方が動きやすいと思って」

男「強調ぇ...捕まったら・・・どうする?」

姉「そのときのためのコレ」

男「うん、さっきもらった、で、どうするの?コレ」

姉「捕まりそうになったら壁からシャーーーーって降りていく」

男「そうか・・・って、できるか!どこのアクションだ!どこのジャッキーだ!」

姉「ジャッキー?」

魔騎「はい、ストップ、ギャグはそこまでだ」

男「ギャグ・・・だと?俺は真剣に・・・」

魔騎「さっき格好のいいこと言ってたよな」

姉「あなたしか頼れないの」ウワメヅカイ

男「・・・魔騎、捕まったら助けろよ」


男「姉ちゃん、この俺の命にかけて盗ってくるよ」

魔騎「勇者が盗むとか言ってんじゃねーよ、捕まるぞ」



姉「ふふっ、二人とも面白いや」ニコッ

魔騎「やっと、笑ってくれたな」

男「あぁ、女は笑顔が一番だ」

姉「あーーー、二人とも図ったな!」


男・魔騎・姉「ハハハハハハハ」

姉「二人とももう大人みたい、私、二十歳なんだけどなぁー・・・私よりずっと大人びてるよ」



男「ぅ」グウー

姉「あ、ハハ、今からご飯作るね」ニコ、タッタッタ











魔騎「ま、魔獣を倒すほどの男だ、捕まることなんてないだろう?」

男「ああ、だが一つ気がかりなことがある」

魔騎「?」

男「その魔法石を盗んだ奴だよ、もしもまだ城にいるんだったら、やっかいな相手になりそうだ」

魔騎「ああ、ま、いざとなったら姉からもらったそれで逃げろ」

男「っできるか!あの城、東の城よりでかかったぞ」

魔騎「俺は案外できると思うけどな、お前なら」



姉「できたよーー!」



男・魔騎「はやっ!」







魔騎「うはー、うまかった、風呂、先に入るぞ」

姉「どうぞー」



姉「男くん、もしも明日、大変なことになったらごめんね」

男「気にするなよ、俺には大きな恩があるからな」

姉「ほんとに・・・ありがとう」

男「俺は姉ちゃん信じてるから、俺達が姉ちゃん助けるから」

男「たとえ国が見捨てても、俺達は絶対に見捨てねぇよ?」

男「だから、[他にも]困ってることがあるのなら、迷わずに相談してくれ」

姉「・・・ありがとう・・・気付いてたの?」

男「まさか、揺さぶってみただけだよ」

姉「・・・あちゃー、またやられた」

男「何か困り事があるんだな?さっき言ったことは本当だ見捨てたりしねぇ、絶対に助ける」

姉「いや・・・これは危険が大きいの・・・」

男「言ったr」姉「分かってる」

姉「だからこそ、巻き込みたくない」






男「分かったよ・・・気が変わったら言ってくれ」

姉「うん・・・ありがとう・・・・・・」



男「ところで、妹ってどんな子なんだ?」

姉「え・・・」

男「妹だよ」

姉「あ、・・・ああ」

姉「えっとね、やさしくてー、かわいくてー、明るくて、賢くて、私に何かあるとすぐに寄ってきて、
  面白くて...毎日...毎日・・・」

男「もういいよ・・・ごめん」





魔騎「ったぞーー」

魔騎「ん?どうした?なんか暗いぞ、二人とも」

姉「っよし!次は私が風呂に入ろうぞ、ハッハッハ」ニヘラ







魔騎「なんかあったのか?姉の奴、無理に笑顔を作ってる感じだったぞ」

男「さぁな、俺は待つだけだよ」

魔騎「?」












―朝―

姉「男くん、気をつけてね」ニコッ

男「ん、おう」

男「取り返すぜ」

魔騎「じゃ、俺も情報を入手してくるか」

姉「魔騎くんも気をつけてねー」ニコ


男「じゃ、」

―街―

魔騎「そこの方、ここら辺に魔族とかは出たりするのか?」







姉「うーん、これなんかいいかな?」










―北王城―

男「んー、門兵とかいなかったから入ってきたけどよかったのかな」


憲兵「いたぞーー!怪しい奴だー!」

男「へ?」






―――王子の間―――

憲兵「隊長!怪しい奴を捕まえてきました!」

隊長「・・・ばか者...そいつは男ではないか!アレを盗んだのは女だぞ!」

隊長「まだこの城にいるはずだ!探せえぇ!」

憲兵「っは!」



隊長「・・・いやー、すまなかった」

隊長「ところであなたは誰ですかな?」

男「あー・・・えっと・・・東の国から来ました、勇者です」


コツコツ

隊長「王子!」

王子「勇者とは、どういうことだ?」

王子「あの一族は滅びたと聞いたが」

男「えっと、記憶を失っておりまして・・・そこらへんはよく分かりません」

隊長「分からんだと?怪しいやつめ!」


王子「まぁ、待て」

男「あ、女王様からの証明書もあります!」スッ

王子「ほう」ペラ

王子「確かに勇者だと記されている、・・・黒魔球を取りに来たのか?」

男「・・・はい、そうです」

王子「ふむ・・・タイミングが悪かったな」

男「・・・どういう意味でしょうか?」


隊長「黒魔球は、くノ一と呼ばれるものが盗んでいった」

男「くノ一?」

隊長「ああ、忍者と呼ばれる情報暗殺機関の一人らしい」

隊長「女で大人、ということしか分からないらしい」

王子「先代国王に使えていた者だと聞いたが、僕にはなつかないらしい」


隊長「そうだ、やつはまだこの城にいるはずだ、勇者というのなら手伝ってもらってもいいか?」

男「俺が?」

王子「ふむ、あなたがいいと言うのなら是非、僕からもお願いしたい」

男「・・・(魔法石が奪えるかもしれねーな)はい、いいですよ」

王子「ありがとう」

男「・・・宝石庫とかってどこにあるんですか?」

王子「六階にあるはずだが」

男「そうですか、見つからなかったら帰りますね」

王子「はい、その後は彼らに任せましょう、見つかったのなら黒魔球を差し上げます」

男「ありがとうございます」




―街―

魔騎「ほう、そのような魔族が?」








姉「あ、これもよさそうだなー」









―北王城・六階―

男(ここが宝石庫か、探してみよう)




―30分後―

男(ないな、いったいどこにあるんだ?)




ドォン、ズゥン

上から大きな音がした


男(なんだ?なにか落ちたのか?)

―七階―

くノ一「ッチ・・・こんな仕掛けをしていたなんて・・・」


男「おーい、なにかあったのかー?」

くノ一「!」サッ



男「・・・誰もいない?」

男「っ」ゾク

後ろから殺意を感じる

男「っく」ガキイン

くノ一「・・・よく反応できたね」

男「殺意を感じたんだよ」

くノ一「そう・・・完璧に事を運ぼうとしすぎた」


男「お前だな、くノ一ってやつは」

男「黒魔球を返してもらおうか!」

くノ一「嫌だ、と言ったら?」

男「これは強制だ!」ヒュン

ガキィン

くノ一「風魔法・風乱れ」

男「よっと」サッ

右に避ける

男「ただの伸びる高速突きじゃないか」

くノ一「バカ」ッヒュ

クナイが飛んでくる

ーービュン

男「っち」カキンッ

男「途中で加速しやがって」




ヒュッ


バババ

くノ一「風魔法は最強、加速、操り、いろんなことができる」

男から流れる赤い液体

男(腕、足、頬、急所は避けたが・・・厄介な相手d)

ドスッ


男「イ」バタッ



くノ一「・・・見逃してあげる、あなた弱いから放っておいても死にそう、バイバイ」



---キランッ

男の目に、彼女が身に着けていた虹色に輝く石が見えた


―――――――――――――――
姉「男くん、魔法石っていうのは虹色に輝いてとても綺麗なんだよ」

男「へぇー虹色の石ねー、なら明日、すぐに見つかりそうだな」

―――――――――――――――




---ガシッ

男「ま・・・てよ」

くノ一「...っち」ヒュ



ドンッ


くノ一「・・・私に汚い手で触るな」

男「・・・ゥ」

くノ一「やっぱり殺す」グイ




憲兵「おおーい!こっちに誰かいるぞ!」


くノ一「・・・なぜ黒魔球を欲しがるのか知らないけど、あなたになんてあげない」ッバ

タッタッタ




憲兵「あれ?・・・!」

憲兵「さっきの人だ・・・大丈夫ですか!しっかりしてください!」

男「カ...エ...セ・・・」

―夕暮れ―

男「ん・・・」

憲兵「あ!大丈夫ですか!」

男「ここは?」

憲兵「城の中にある病院です」

男「あぁ・・・ックソ逃げられた」

憲兵「いやはや・・・勇者様にここまでダメージを与えるとは・・・」

憲兵「というか、あなたが勇者様って本当ですか?」

男「あぁ・・・ん?」ッパ

男(こいつは・・・)

男(確かあの女の靴に挟んであった紙だ、蹴られたときに取ったのか・・・)


/満月の夜、BBが可能、1156453786574563、/

男「なんだ?」

憲兵「なんです?それ」

男「なぁ、BBってなんだ」

憲兵「・・・たぶん・・・ブルーブラッドのことじゃないでしょうか」

憲兵「えっと、七階にある大変貴重な宝石です」

憲兵「東の国から買った金庫に入っているはずです・・・確か満月の夜にしか開かない仕組みでした」


男「そうか、・・・ところで今日の月はどんなだ?」

憲兵「今日の月は・・・満月ですね」


男「ほう・・・憲兵さん、一つ頼みたいことがある」ニヤ




















憲兵「ほおー!そんなことが・・・分かりました!行ってきます!」






男「待っとけよ、あの野郎!今度は全部奪ってやる!」

―姉の家―

憲兵「・・・・・・、というわけでございます」

姉「まさか・・・男くんが・・・」

魔騎「それで今、怪我の状態はどうなんだ?」

憲兵「我々が治療したので大丈夫です!」














―北王城・七階―

隊長「おい、本当に来るんだろうな?」

男「ああ」」



カチカチカチ・・・ボーン


隊長「おい、もう日が変わったぞ」

男「だから来るんだってば」






隊長「おい...おい、もう日が変わってから3時間待っているわけだが」


ガシャンッ


男「ったく、待たせやがって」

男「ほら、捕まえに行きますよ」













くノ一(いったいどこで紙を落としたんだ?)

くノ一「まぁ、パスワードは暗記したからいいか」ボソッ


ピ、ピ、ピ、ピ、p...ドオン

くノ一「!」


男「よォ、なにやってんだ?」

くノ一「お前・・・」

隊長「よく見つけてくれたな!勇者!」

隊長「とつげきィーー!」

男「な...おい!」


「「うおおおおお、捕らえろォおお」」


男「馬鹿!待てっ!」


くノ一「風魔法・カマイタチ」ボソッ

ボオオン、ブウア

「「あ・・・う・・・」」ズバア


男「っく・・・」ッダン

飛び上がり襲い掛かる

男「なんでそんなにあっさりと人を殺す!?」

くノ一「分からない」ブンッ

ッキン

男「そんなクナイ飛ばしたって無意味だ」

くノ一「・・・そう?」


隊長「うおおおぁ」グサ

男「隊長!?」

くノ一「あなたが弾いたからよ」ボソ

耳元でつぶやく

男「なっ」ゾク

くノ一「...バイバイ」ドスッ


男にクナイが突き刺さった


男「...」バタッ


隊長「う・・・ゆ・・・勇者ぁーー!」

隊長「おのれ貴様ぁ!賊が調子に乗るなよ!」

くノ一「・・・」ヒュン

隊長「」ザクッ




くノ一(・・・早く帰ろう、忍に怒られる・・・)


ピ、ピ、ピ、ピ







くノ一「ぁ」ゾク

男「暗殺が得意なんだろ?その割りに油断しすぎじゃないか?」クイ

首にクナイを突きつける

くノ一「(気付かなかった・・・)お前、何者だ」

くノ一「勇者と呼ばれていたな、勇者は存在しないはずだ、誰だ?」


--キラン

男(あった、魔法石だ)

男「あぁ、俺か?俺は男だ、勇者と呼ばれているな」

くノ一「・・・(ゆっくり、クナイを出す、後は・・・刺すだけ)」ブンッ


男「残念」フンッ

くノ一「かはっ」ズドン

ヒュッ

男「悪く思うな、拳で殴っただけマシだろ?」

ッサ

男(よしっ!魔法石取れた!)

ーヒュッー

ズバぁ

男「っつゥ」ボタッボタ

くノ一「お前は甘すぎる、刺せばよかったものを・・・」

男(ももを切られた・・・っくそ、油断した)

くノ一「死ね」ッフ


男「行けエエエエエエ!」


隊長・憲兵達「「うおおおおおおおおおおおおお」」

くノ一「な・・・なに!?」

男「お前は誰一人殺してないんだよ」

男「防御魔法・天神っていうやつらしい、ダメージを半減させるんだとよ」


くノ一「っく」ボンッ

モクモク

隊長「煙玉だ!気をつけろ!」


男「ッチ」

くノ一「風魔法・風来坊」ブワア










―次の瞬間、俺は空を飛んだ

いや、飛ぶというよりも


男「お・・・落ちてる!」

男(さっきの魔法・・・)


―――――――――――――――

くノ一「風来坊」

―――――――――――――――

男(あの魔法のせいかあぁぁ)












隊長「視界が見えた・・・ぞ?」

憲兵「あ・・・あれ?」

隊長「勇者もアイツも消えた?」













男「やっべえぇえぇ(どうにかしねぇと・・・)」

男「!」

男は懐から取り出す

男「うっらああああ」ヒュン



ガシッ



シュウウウウウウウウウウウウ



ドンっ




男「はぁ、はぁ・・・姉ちゃんからもらったやつがあって良かった」

男「なかったら・・・死んでたな・・・」


男「また、助けられた」





男「はぁ、アイツら大丈夫かな・・・」

ーキラン

宝石が輝く

男「・・・姉ちゃんの家に戻るか・・・」
















くノ一(なんとか逃げれた)ハアハア

くノ一(でもBBを逃した、忍に怒られる・・・)ハアハア


魔騎「よぉ、お疲れのようだな」

くノ一「っく...」ッサ

構えをとる

魔騎「待て、俺はお前と戦う気はない」

魔騎「お前がくノ一だろ?黒魔球を盗んだそうだが・・・まだ、持ってるのか?」

くノ一「・・・だったら?」

魔騎「俺にくれないか?(男のやつ、しくったな・・・」

くノ一「・・・いやだ」

魔騎「なら、戦うしかないな」


くノ一(さっきの男のパンチ・・・悪いところにあたった)

くノ一「分かった、あげる」

魔騎「そうか、ありがとう」

くノ一「一つ聞かせて、お前とあの男は何者?」

魔騎「男のことか?あいつは勇者だ、俺はその仲間」

くノ一「・・・ありえない、勇者は存在しない」

魔騎「現に存在している」

くノ一「私は魔王が勇者族を全て殺したとこを見た」

くノ一「あいつはいろんなところにいる勇者を見つけては殺していた」

くノ一「赤子も女も、あいつは勇者族の者じゃないの?」

魔騎「さぁな、だが、あいつが勇者じゃなかったら人類の死はまぬがれない」

魔騎「最近は気温が高くなってきている、壁の力が弱くなっている証拠だ」

くノ一「あいつは弱い、今のまま戦えば魔王に瞬殺される」

魔騎「男にそう言ったら、[だから強くなるんだ!]とかいいそうだな」

くノ一「強くなる前に魔王が殺しに来るわ」



魔騎「そこは運に任せるしかないだろう?」

魔騎「さぁ、そろそろ渡してくれ」

くノ一「やっぱり、嫌だ」

くノ一「風魔法・カマイタチ」


姉(防御魔法・風化)スッ

魔騎「ありがとう」

くノ一「そんな・・・魔法が消された?」

魔騎「おい、話が違うじゃないか」




くノ一「・・・分かった、あげる」ポイ

魔騎「...」パシッ

くノ一「風魔法・風足」

くノ一「さよなら」


くノ一が去っていく














姉「へぇー、それが黒魔球ですか」

魔騎「あぁ」

魔騎「さっきの魔法なんだ?」

姉「ふふっ、秘密ですよー」

魔騎「魔法を消す魔法なんて聞いたことがないぞ」


姉「ふふっ、あ!見てください!」





男「はぁ、はぁ、俺も回復魔法的なのが使えたら走れるのに」

男「お」




姉「朝日が昇ってきました!」




男「綺麗な朝日だ...」

男「なんも変わらねぇなこの世界も、元の世界も」



―姉の家―

姉「ただいまー・・・ん、まだ男くん帰ってないや」


男「誰が帰ってないって?」ハアハア

魔騎「おい、大丈夫か?」

姉「足、怪我したんだ、すぐに治療するね」

姉(治療魔法・ライフ)ピカアア

男「ああ」

痛みが消えていく

姉「はい、完了!」

男「ありがとう」

男「やっぱりすげぇな」

現代の医療を軽く超えている

姉「ふふっ」ニコ

男「へ、はい」コトッ


きらきらと輝く虹色の石

姉「これ・・・」

魔騎「ほう」

姉「あ、ありがとう」グスッ

姉「やっぱり・・・とっても綺麗・・・」

男「へへっ」ニッ



魔騎「男、俺からもだ」コト

男「え!?」

男「黒魔球!?なんで?」

魔騎「散歩したら偶然、憲兵から聞いた奴と一致するやつがいたからな、貰った」

魔騎「ったく、こんなん盗んでどうするんだか」

男「すげーな、ん」

男「よく見たら黒魔球って数字が書いてあるのな」

2、と小さな文字で書かれてある

魔騎「え?・・・・・・やられた・・・」

魔騎「ニセモノだ、これ」



男「・・・はは、やられたな、つかなぜにそんな時間に散歩すんだよ」

魔騎「笑い事じゃないぞ、ックソやけに素直にくれたと思ったら」


姉「男くん!今からお母さんのお墓行ってきてもいい?」ワクワク

男「お、今から?別にいいよ」

姉「じゃあ、行ってくるね、夜までには戻るから」

男「そんなにかかるのか?」

姉「うん、東の国にあるんだ」

男「そうか、気をつけてな、俺はちょっと寝るよ」

魔騎「おいおい、黒魔球はどうする?」

男「ちゃんと考えておくよ」

姉「いってきまーす」











―夕方―

男「ん、あー、よく寝た」ヨイショ


男「もう夕方か・・・姉ちゃんは帰ってきたかな」










男「まだか」

魔騎「グウー」スピー

男「うん、うん、よく寝てやがる」












男「なにするかなー」

男「あ、そうだ」ヨイショ



男「あったぞ、魔法の本!少し読んでみるか」






男「なになに」ペラッ

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

バタンッ


男「ふむ、分かりやすいな、つまりまとめると」

1、魔法の種類は9つあり、火、水、風、氷、光、強化、補助、防御、治療となっている

2、火を火炎魔法、水を水流魔法、風を風魔法、氷を冷凍魔法、光を光魔法、強化を強化魔法、補助を補助魔法、防御を防御魔法、治療を治療魔法と呼ぶ

3、魔法を使うときは、種類と名前を言わないといけない

4、特例として飛行魔法など一部の魔法は9つの種類に当てはまらない

5、補助魔法は他人にかけることができる魔法だが効果は半減してしまう

6、治療魔法は他人にかけることもできるが大きな魔力を必要とする

7、一番多くの魔力を使うのが光魔法、次に、治療魔法である

8、魔法を使える人間は限られていて、9つ全ての種類の魔法を使える人間は滅多に存在しない

9、光魔法は魔族の弱点とされている

10、一部の魔族は魔法を使うことが可能である

11、何故、魔法が使えるのか、その原理は分かっていない


男「・・・すげーな」

短くそう呟く、あまりにも自分が住んでいた世界と違うからだ


男「確かに思い当たるのがたくさんあるな・・・」

男「うん・・・なんだかんだで魔騎は説明してくれてた」

男「10、については毒女蜘蛛が強化魔法とか使ってたな・・・」


男「はぁ・・・」

ため息をついてベッドに倒れこむ

男「・・・・・・」

男「俺にも魔法...使えないかなー」

男「・・・」ヨイショ

本をとってページをめくる

ペラ、ペラ、







男「魔法の使い方とか書いてあるけど分からねぇよ」ペラ、ペラ

男「・・・」

一つのページを見つめる

男「えっと」

と、言って近くの割り箸を手に取る


男「・・・っよし」





男「火炎魔法・着火!」

・・・・・・・・・
・・・・・・


男「・・・だろうな...って思ったよ」

男「思ったけどさ・・・勇者なんだろ?使えてもいいじゃん・・・」

ハァ、と小さなため息を漏らす


男「ま、たまたま火の魔法が使えなかっただけかもしれん、全部試してみるか」








ドオオオオオン






男「」


魔騎「おい!どうした?すごい音がした・・・が」

男をみると驚いた顔をしていた

男の見つめる先を見ると、大きな穴が開いていた

魔騎「お、おい、この壁の穴どうしたんだよ・・・」



男「お・・・俺、魔法が使えた・・・」


魔騎「魔法?いったい何を使ったんだよ?」






男「強化魔法」

なぜ?なんで何だ?俺が魔法を使えるはずがないじゃないか

でも、使えたのは確かに事実、事実だからこそおかしいのだ。



魔騎「強化魔法で何故こうなるんだよ!?」

男「あ、いや・・・こけた・・・」

魔騎「はぇ?」


男「魔法が使えて嬉しくて・・・はしゃいでたら、こけた」

男「そのときに拳を握ったまま壁に突っ込んだみたいな形になって・・・」

魔騎「確かに魔法が使えるようになってよかった、俺は本当にそう思う」

魔騎「自力で習得したんだから、すごいことだ、でも」

魔騎「これ、どうするよ?」


「ただいまーー」

男「姉ちゃんに言うしかないだろうよ」




―――――

時は少しさかのぼり

―東の国―

姉「お母さん」

姉「お母さん、あなたは今、天国で何をしているの?」

姉「私のせいで色々迷惑かけてごめんなさい」

姉「あなたがあの時、私を、私たちを拾ってくれたから今がある」

姉「感謝します。」

深々と頭を下げる

姉「これは・・・この石はとってもカッコイイ男の子がとってきてくれました」

姉「これはもともとお母さんの石です」

姉は石をとり、魔力のような、何か得体の知れないエネルギーを注ぎ込む

姉「これでもう盗まれることもありません」

姉「この石はここにおいて行きます」

コトッ

姉「・・・」

姉「また誰かをかばって痛い目を見てませんか?」

姉「もしそうなら、あなたは可哀想な人です」

姉「でもわたしは、そんなお母さんが・・・大好きです」



姉「また・・・ここに来ます」ニコ

―――――



―姉の家―

「ただいまー」

魔騎「帰ってきたぞ」

姉「大きな音が聞こえたけど何かあったのー?」

男「えっと・・・ごめんなさい」



・・・・・・

姉「あちゃーそうなの?」

男「はい...」

姉「気にしなくていいよっ、これぐらいなら私が直せるから」ニコッ

姉「ほらっ、男くんには助けてもらったし、ね?」

姉「でもさー、魔法が使えるようになってよかったね」ニコ

男「うん・・・」

姉「本当に気にしないでいいからね?」

男「...はい」

姉「魔法は全部の系統使えるの?」

男「光魔法以外試したんですけど、強化魔法だけです、光は本に載ってなくて・・・」

姉「あー光魔法はよく分かってない魔法だからね、せっかく魔王に対抗できる魔法なのに・・・」


魔騎「今日は俺が飯をつくろう」

姉「あっ、じゃあ私はお風呂沸かしてくる」












―飯時―

姉「男くんは明日どうするの」

男「ん、北王城に行こうと思う」

姉「北王城に?へぇー、魔騎くんは?」

魔騎「情報収集の続きだ」

姉「そっか、じゃあ、私は壁の修理をしようかな」



―翌朝・北王城―

王子「おお、勇者よ無事だったか」

王子「先日はありがとう、黒魔球は見つかったか?」

男「いえ、実はまだ」

王子「そうか、すまない」

男「いえ」

男「俺達はちょっと用事を片付けて先に進もうと思います」

王子「そうか、気をつけてくれ、僕もできるだけの援助をしよう」

王子「これを」スッ

男「これは」

王子「15万バードだ、気にせずに受け取ってくれ」

男「・・・はいっ、ありがとうございます」



―街―

男「はぁ・・・黒魔球どうすっかな・・・」

「男くんっ、もう王子様と話は済んだの?」

男「おっ!」

姉「へへっ、なら一緒に買い物行こうよ!」ニコ

男「姉ちゃん!」

姉「壁の修理なんかいちころだったよ」

男「本当に?」

姉「うん、さ、いこいこ」


姉「ここのご飯ね、すっごくおいしいの」



姉「お、セール品だ!」



姉「あそこっ、あそこ行こう!」


男「あー、もう夕方だな」

姉「うん、とっても楽しかった」ヘヘ

「仲いいなー」

男「あっ、よぉ」

魔騎「帰りか?」

姉「そうだよっ、一緒に帰ろうか」


男「何か情報あったか?」

魔騎「なに、魔族がどうのこうのってだけだ」




―姉の家―

男・魔騎「ただいまー」

姉「ふふ、おかえり」

















魔騎「今日の夕飯、激ウマだったな」

男「ああ、お前の二倍はうまかった」

魔騎の料理もかなり美味い



姉「お風呂、どっちか入ってねー」

男「どうぞ」

魔騎「じゃ、俺が行くよ」









なんで魔法が使えるのか考えることはやめることにした
だって説明のつけようがない
それより今は・・・利用したい


男「さぁ、姉ちゃん、これで二人きりだね」

姉「えっ、・・・うん」


魔騎(なっ、あいつら、そんな関係に!?)ノゾキミ


男「俺達さ、そろそろ先に行こうと思うんだ」

姉「あっ、そうなんだ・・・」

魔騎(確かにそろそろ出たほうがいい)


男「でもな、そのまえに、その・・・クエストが残ってる」

姉「え?」

男「ほら、クエストだよ、クリアするか破棄するかしないと先に進めないやつ」

姉「うん」

姉「王子様からなにか依頼でもされたの?」

男「いや、お姫様からだ」

魔騎(ん?)

男「姉ちゃん、この前に言ってたやつ、俺達に任せてくれ」

姉「・・・ダメだよ」

男「石は取り返せた、魔法も使えるようになった」

姉「そんな問題じゃないの、死ぬかもしれない、危険なんだよっ!」


男「勇者は!!人を助けなければいけない、そんな気がする」

男「魔騎だって、絶対に助けたいと思うだろう」

魔騎(ああ、何かあるなら助けたい)

姉「これだけは、本当に・・・ダメ」


男「・・・東の国、俺達はそこから来た、その国で一人の少年にあった」

男「その子はこう言ったんだ」


俺は二人のようになる!
約束する、だから、困ってる人がいたら全力で!助けて!


男「俺はその約束を守りたい」

姉「・・・」

男「・・・ふぅ」

男「依頼、クエストならいいだろ?」

男「なにをして欲しいかだけ、言ってくれ」

男「それに見合った報酬をもらえればいい」

男「危険かどうかは俺達が判断する」




男「魔騎、早く来い」

魔騎「おう」ヒョイ

姉「魔騎くん・・・」

魔騎「報酬は70万バードでどうだ」

姉「!・・・それって」

男「いいねぇ、そんだけあればどんなに危険だって行けるなー」

姉「二人とも・・・」

男「言ったはずだ、助ける。」

男「さぁ、依頼内容を教えてください」

姉「・・・ほしぃ」

男「...」ニヤ

姉「妹を・・・助けてほしい!」


男・魔騎「その依頼、我ら勇者一行が引き受けましょう!」






姉「私の妹がさらわれたのは2年前」

魔騎「2年!?」

姉「誰にも頼れなかったの、私も、妹も」

男「...」クイ

魔騎に理由は聞くな、と合図を送る

姉「鬼・・・そう、鬼にさらわれた」

姉「やつらは[鬼ノ島]と呼ばれるところにすんでる」

姉「北の国と魔界の国境付近にある島よ」

姉「鬼・・・といえば、魔獣」

姉「鬼ノ島にはそいつらのボス、[鬼王]がすんでいるらしいわ」

魔騎「まさか・・・魔人か!?」

姉「そうよ」

姉「だから、ダメだって言ったの、魔獣と魔人の強さの違いは知ってるでしょ?」

魔騎「ああ、比べ物にならない」


男「・・・[らしい]だろ?」

男「いたら、すぐに逃げる、それでいけばいい」

魔騎(男が逃げるとは思えない・・・)

姉「2年たってる、もう妹も」

男「助けを求めてるかもしれない」

姉「・・・」


男「そこで死ぬなら、魔王なんて倒せない」

男「傷ができたら、姉ちゃんが助けてくれ」

姉「分かったわ、お願いします」

そんな感じで鬼ノ島へ行くことになった

魔騎「おい、男、魔人に会ったら本当に逃げるんだろうな?」

男「・・・あぁ、俺だって死にたくねぇ」


今、元の世界に戻れるとしたら俺は・・・




戻らないだろう







―早朝―

姉「じゃあ、行くよ」




―鬼ノ島―

南へ飛んで行くとそこへ着ける


男「少し・・・暖かいな」

魔騎「北の国だが、南側は少し暖かいみたいだな」

姉「・・・」

男「行こう」

とは、言ってもずっと一本道だ

魔騎「無駄な体力を使わなくてよさそうだ」




―奥地―

側近鬼「鬼御さま、この島に人間が三人?入ってきたと思われます」

鬼御「そうか、父があそこに住み始めてから俺はここに来た」

側近鬼「はい、そうですなぁ」

鬼御「どうだ?お前から見て俺は強いと思うか」

側近鬼「はい、[魔獣]のなかではトップクラスでしょう」













鬼a「人間は久々に拝んだな、魔界へ入るのか?」

男「いえ、ただの鬼退治に来ました」ヒュン

ギイン

男は切りかかるが鬼のこん棒に防がれる

鬼b「そうか、死ににきたか」


鬼c「なんか人間じゃないような臭いもするなぁ」

鬼d「ああ」

魔騎「姉、隠れてろ」

鬼e「めんどくせぇ」

魔騎「男、行くぞ」ヒュ




鬼a「・・・名を」

男「なんてこともない、ただの桃太郎でございます」

男「美女と野獣を引き連れてきました」ヒュッ

鬼a「・・・」ザシュ


男「以後、お見知りおきを」ニヤ

鬼a「いたいな」

鬼a「お前らアアアア、強化しろォォ」

鬼b/c/d/「もう、すでに」

鬼e「めんどくせぇ」


魔騎「っち」クイ

魔騎は姉に合図を送る

姉「・・・」コクリ

姉(補助魔法・肉体強化)


魔騎「火炎魔法・装炎ッ」









男「っく」ハアハア

鬼a「あいつに4体任せてよかったのか?」

男「あれ4匹とお前なら、お前のほうが強いように感じるが?」

鬼a「当たり前だ、俺は[鬼王]様に鍛えられたからな」

鬼a「あ、いい情報だ、ここの鬼はほとんど魔界に行ったからな、ここにいる鬼は俺達・・・ぐらいだ」

男「そうかい、残念ながら俺達は大将殺りに来てんだよ」












姉「二人とも、危ない状況だ・・・」

姉「私はまた・・・無力なの?お母さん・・・」







男「っふ、っは」ド、ドゴ

鬼a「うっ、人間が・・・大将だと?あっちのガキだってもうフラついてるぞ」

鬼a「俺達を舐めるな、ガキが」

男「あ?」ブン

ザシュッ

男「舐めてんのはお前だ、餓鬼」



魔騎「うらぁ!」ドシュ

鬼e「」

鬼b「e!ック」ド

バアン、ガアン、

鈍器の音、切る音、感じる殺意

魔騎「水流魔法・装水、五月雨」

短く呼吸を整えながら唱える

魔騎(男について行ってから自分が変わったように感じる)ドドドドドドド

魔騎「(男と同じだ、救いたいと、ただ、思う)うおおおおおおおおお」ドドドドド

鬼b/c/d「」

魔騎「・・・」バタッ













鬼a「な・・・鬼達が・・・」

ドンッ、ザク
蹴りと、突き刺し

男「油断するな、油断するとどっかの蜘蛛の糸にでも捕まるぜ」

鬼a「あ・・・」ザシュ

男「悪いな」

鬼a「」







タッタッタタ

急いで姉が駆け寄ってくる

姉「魔騎くん!しっかり」

姉「治療魔法・生命帰還」

焦っているのか口に出して唱えた

魔騎「っぐぉ」

男「だーい丈夫か?」ハアハア

魔騎「っへ、お前こそ」



姉「ふ・・・二人とも、もういいよ、ありがとう」

男・魔騎「まだだ」

魔騎「まだやれる」

男「ああ、だから先へ進むぞ」

姉「・・・(治療魔法・ヒール)」パアア

男「あぁ・・・ありがとう」

姉「こちらこそ」








側近鬼「あちゃーー、死んじゃったんですか」

男・魔騎・姉「!?」

側近鬼「ようこそ、元地獄の鬼ノ島へ」


魔騎「男、先に行け」

男「俺も今、そう言おうと思ったが・・・」

男「姉ちゃんは魔騎を頼む」ボソ

姉「ちょ・・・一人なn」

タッタッタ

全部を話すよりも先に男は走り去る


側近鬼「よかったんですか?彼一人で?」

側近鬼「ま、奥にいるのは強いだけの魔獣ですが」

魔騎「そうか、魔獣か」

側近鬼「ええ、それよりそこの娘、何者です?人間ですか?」

魔騎「あ?どういう意味だ?」

側近鬼「いえ、なんでもないです」

側近鬼「あ、魔王様だ」

空を指す

魔騎「え?...」ドゴォン

魔騎「っがァ・・・」

側近鬼「駄目ですよ、油断したら」

側近鬼「馬鹿なんですか?魔王様が来るはずないでしょう?」

魔騎「て・・・めぇ」



―奥地―

男「こんにちはー、どうも、桃太郎です」

鬼御「あァ」ヒュ

キイン

男「なにするんです?石なんか投げるなよ、危ないだろ」

鬼御・男「化け物が」



男「ん?」


鬼御「お前が勇者か」

男「は?え?」

鬼御「俺の側近は予測ができるんだよ」


鬼御「そして、側近によるとお前は俺に殺される」












側近鬼「大丈夫ですか」ドン

魔騎「っうう、はっ」

姉「魔騎くん!」

魔騎「っく」ギュッ

ここまでか・・・悪いな、男
お前は勝てよ、姉のためにも

側近鬼「強化魔法・肉体強化」ニイイ

側近鬼「腕力特化」ブワ

側近鬼が重そうな、こん棒を持ち上げる

魔騎「...」

魔王・・・お前はぜっ・・・

側近鬼「はァ!」ブン


姉(防御魔法・風化)サア

魔騎(!降りが遅くなった)

魔騎「アアアアアアア」ブオン

ヒュンッッ


―ドサ



側近鬼「腕が」

魔騎「・・・」ブオン

ヒュン

ズバアアア

側近鬼「これは・・・困りました」

側近鬼「腕を切り落とす・・・と、は」

側近鬼「...」バタッ












―奥地―

鬼御「よォ、どォした?もう終わりか?」

男「ぁ・・・あく」

鬼御が男の首を絞める

鬼御「あーあ、つまらん、弱い、弱すぎる」

男「ゥゥ・・・」


「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」

弱い、弱い、弱い

くノ一「・・・見逃してあげる、あなた弱いから放っておいても死にそう、バイバイ」

バイバイ、バイバイ

弱い、弱い、よわ
アアアアアアアアアアアア

「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」


男「ッ」ドン

強烈な頭突きをする

男「ック・・・」

鬼御「ッツ」パッ

手が離れた


男は距離をとる

男「ぁァ強化魔法・肉体強化ァ!」ドギュウ

鬼御「無駄なことを・・・強化魔法・肉体き」

ボゴオン

鬼御が空を舞う

鬼御(アウッ)

鬼御をなにをされたのか分からなかった

男にとってはなんでもない

ただ、殴っただけだ

姉「ほんとに大丈夫?」

魔騎「ああ、男が戦ってる、急ぐぞ」

タッタッタッタッタ


側近鬼「・・・」


側近鬼「私は、鬼御(クソ)さまに嘘をつきました」

側近鬼「殺されるのはお前だ、鬼御(カス)」


側近鬼「さて、」ムクリ

側近鬼「私はそろそろ、しに行きますか」










側近鬼「魔王様に報告を」









―奥地―

鬼御「グゥ・・・ア・・・」

たった一発のパンチで起き上がれなくなっていた

鬼御(なんだ、コイツは)


男「ウオアア」ギリッ

男は飛び掛る

鬼御(コイツは・・・人間の目じゃねぇ)


―――――――――――――――

側近鬼「鬼御さま、勇者が来たらこう言ってください」

鬼御「あア?」



側近鬼「[化け物が]」

―――――――――――――――

鬼御(そうだ・・・この目は親父が本気を出したときと同じ・・・)


男「ッォ」ブンッ

鬼御「狩る...ときの・・・目」







―ズブォグオン

剣爪をはめたのでまず爪が刺さる

あまりの威力に鬼御の体が地面にめり込まれる勢いだ

鬼御(側近鬼・・・この大嘘吐きが)

鬼御「」



鬼御が死ぬのと同時に男は座り込む

男「っぐ、はっ、っは、っは」

短い呼吸を続ける


「男くーん!」
「男ーーー」


魔騎「これは・・・」

姉「っ...すぐに治すから!」

結論からいうと妹はいなかった

奥に鬼が一匹いたので脅し聞いてみると「魔界へ連れて行かれた」そうだ

俺はかなりの疲労を負っていた

記憶が少し朦朧としていたが今は大丈夫だ

でも、俺は救えなかった

彼女の妹を。






―魔界―

側近鬼「そういえば・・・私が攻撃したとき、魔法が消される感覚がしたが・・・まさかあの娘・・・」




―姉の家―


男「うぁ、ん、治療ありがとう、助かった」

姉「ううん、当然だよ」

男「ごめんな」

姉「ま、いないかもしれないって思ってたし、大丈夫」

男(妹のことを聞くだけで泣くような子が大丈夫なわけないだろう)

姉「これ」スッ

男「ええ?!いや、いらないよ」サッ

依頼報酬の70万バードだ

姉「いや、私の気持ちだから」スッ

男「いやいや、依頼失敗しちゃったしさ、これがないと困るだろう?」サッ

姉「気が済まないから、お願い」スッ!

魔騎「じゃ、受け取るわ」ヒョイ

男「おい、魔騎」

魔騎「姉がどうしてもって言うんだ、そこはもらってあげろ」

男「・・・んゥ」



姉「そうそう!これもお礼」ニコ

ハイ、と、にこやかに渡してくる


魔騎「こいつぁ」

姉「西に行くんでしょ?雪道があるし寒いからと思って」

セーターと防寒着とマフラーだ

姉「マフラーは手編みだよ」ニコッ

男に緑とオレンジ、魔騎に青と黄色

男「っ」

男・魔騎「ありがとう!」

姉「ふふっ、防寒着は王都で買っといたんだ」ニコ

男「あのさ、姉ちゃん」

姉「ん?」

男「俺達は魔王を倒しに魔界へ行く」

男「そのときに妹を見つけて、ここへ連れ帰る!」

姉は、にこりと微笑む

姉「はいっ、!」


魔騎「そうだな、この写真、貰っていいか?」

姉「妹の写真・・・うん、いいよ」


男「明日の朝、ここを出る」











―夜―

魔騎「男、黒魔球はどうする?」

男「情報収集をしながら、居場所を見つけて、手に入れる」



姉「おーい、最後なんだから皆で談笑しようよ」


その夜はとても賑やかな夜だろう

姉「あーあー、寂しくなるなぁ・・・」

男は眠りに落ちていくときにそんな声を聞いた、ような気がした






―朝―

魔騎「男、忘れ物はないか?」

男「ん、ああ、全部持ってるよ」














姉「気をつけてね」

姉「あ、男くん、これあげる」

男「ネックレス?」

姉「うん、お母さんの形見なんだ、魔騎くんにはないけどごめんね」

男「っいいのか?」

姉「うん、もらってほしいの」



その後、俺達は分かれた、そして5分後

魔騎「男、ネックレス似合ってるぞ」

男「そうか、ありがとう」

魔騎「にしても、惜しかったな」

魔騎「姉が仲間に入ればかなりの戦力アップになったろう」

魔騎「あいつ、金とかも大丈夫なのかな」

男「仲間、か・・・確かに仲間に入れば俺達の冒険はかなり楽になる」

男「でも、姉ちゃんは来ないと思うぜ」

魔騎「まぁ、確かにな」

男「それに、」

魔騎「男」



男「ん?」

魔騎「姉は妹を待つだろうよ」

魔騎「この70万バードはお前に渡す、どう使おうがお前の自由だ」

男「俺に・・・」

魔騎「あぁ、お前にだ。そういえば次は雪道だっけな」

男「あ、悪い魔騎、忘れ物してきた、ちょっと取ってくる」

魔騎「そうか、急げよ」

魔騎(忘れ物・・・ね、俺が出る前に聞いたろ、嘘が下手なやつだ)








―姉の家―

姉「お、男くん?どうしたの?」

男「あ、いやさ、一つ言い忘れたんだが」

男「一緒に来ないか?」


姉「男くん」ニコ

姉「私はここで、あなたと、妹が帰るのを待ちます」ニコッ

男「あ、ああ」

姉「そのネックレスをあげた理由、それは何度も私を守ってくれたネックレスだから」

姉「男くんは誰かを守りすぎる、だから今度は私とお母さんがあなたを守る」

男「・・・っへ」ニッ

男「なら俺もコレをやる」スッ

姉「ネックレス・・・」

男「トラのネックレスだ、今度はそいつが姉ちゃんを守っていてくれる」

俺がはじめ、この世界に来たときに持っていたネックレスだ

姉「ふふっ、ありがとう」

男「じゃあ、行くよ」


姉「うん・・・気をつけて!」ニコリ


男「さよならは、言わないぜ」

姉「うん、はい」

男・姉「また会おう」





魔騎「おう、忘れ物はとってきたか」

男「おう、悪いな、やっぱり置いていくことにした」









姉「今日も綺麗な空だなー」

姉「あれっ?なんだこれ」

机に置かれている茶色の封筒を見つける

裏には大きく汚い字で「治療代」と書かれている


ビリッ

ペラ


/この70万バードは治療代です。/

もう一枚あるようだ

ペラッ

/今日も空が綺麗です、空はいつも青い色をしている。
 知っていますか?―――――/


姉「・・・」


姉「[勇者様]、知っていますか?」










男「おい、魔騎、あの雲スライムみたいだな」

魔騎「スライム?ソフトクリームだろ」

今日の空は綺麗な青色だ


男「魔騎、知ってるか?空っていうのはな」

男「どこにいても、どんな場所にいても」








男・姉「つながっているんだぜ(ですよ)」










俺達は馬車に乗り北の国の3分の2ぐらいまで来ていた

ルーク「馬車で来れるのはここまでです」

魔騎「門の仕事があるのに悪かったな」

男「ありがとう」

ルーク「いえ、他の者に任せておいたので大丈夫です」

魔騎「アンタのおかげで3日で来るところを1日でこれた、感謝する」

ルーク「いえ、では」

ルーク、東から北へ入るときの門番らしい
北の王都から出た後に偶然会い、俺達をここまで運んでくれた


魔騎「ここからは雪道だ」

男「姉ちゃんからもらった防寒着のおかげで助かるな」




ギュッギュッ

男が先頭を歩き、雪を踏み固めていく

魔騎「慣れているな、俺は初めてこんなところを歩いたぞ」

男「いや、何回か・・・雪国に行った記憶があるんだ」

魔騎「そうなのか?記憶がだいぶ戻ったんじゃないか?」

男「・・・いや」


ヒュオオ

冷たい北風が吹く


男「・・・防寒着を着ててもかなり冷えるな」

魔騎「ああ」

魔騎「そういえば、ここらにはイエティとかっていう魔獣が出るらしい」

男「イエティ?」

魔騎「雪の中とかで現れては、人を連れ去るらしい」

男「そうか、ところで今は昼だよな?」

魔騎「ん・・・ああ、昼だろう」

男「そうか、空を見ても暗く曇ってるから分からねぇ」

魔騎「昨日は馬車で寝たし、昼ごろから一日だから今は昼だろう」


ギュッギュ

男「次は・・・村か?」

魔騎「えーと、村だな」

魔騎「よく冒険者も泊まりに来るらしいぞ、有名な村だ」

男「後どれぐらいで着く?」

魔騎「分からん」

男「はぁ・・・くノ一がいるといいんだがな」

魔騎「そんなに都合よくいかないだろう」


ヲオオオオ

獣のような鳴き声が聞こえた

男「おい、今のイエティじゃないか?」

魔騎「さぁな、それより俺達は先へ急ぐべきだ」

魔騎「いつ、俺達のことが魔王にバレるか分からん」


―――――――――――――――

老婆「奴は若い芽をすぐに踏み潰す、自らの手で」

老婆「ですから・・・あまり目立たぬ行動をお願いします」

―――――――――――――――

男「・・・分かっている」







―夕暮れ―

男「お、村だ」

雪がふぶくのでよく見えないが、確かに村があった

魔騎「スーザン村・・・か」


―スーザン村―

村人1「ん・旅の人ですか?」

男「俺達、魔王討伐の旅をしているんです」

男「今晩泊めていただけますか?」

村人2「魔王討伐だって!?」

村人2「そんなことやめておけ、命が何個あっても足りないぞ」


男「誰かがやらないと、どっちみち人間は消えますよ?」

村人2「分かってる・・・俺達の未来はな、」

村人2「魔族に殺されるか、マグマでなくなるか、の二択しかないんだ」

村人1「最近では、魔王討伐のための軍が西の国でつくられたという噂だぞ」

村人2「ああ、だから何もお前がやる必要はない、まだ若いんだ、人生を楽しめ」


魔騎「おい、悪いがコイツは勇者だ、コイツが一番、魔王を倒すのに大きな力となる」

村長「ゆ・・・勇者だと?」

魔騎「村長か?これは証明書だ」スッ

村長「こ・・・こんなことが・・・」

村長「あなたは希望です」

村長は男を見つめる

村長「人類の」


村人1「勇者・・・」

村人2「驚いたな」

村人2「西の国で軍に入ったらどうだ?」

村人2「そこは光魔法が使える人がかなりいるらしいぞ」


男「軍に?」

村人2「俺はそっちのほうが良いと思う」

村人2「勇者といっても、まだ、子供だ、二人旅なんて危険すぎる」

村人2「それにあんたの命は他には変えられないものだ」

男「・・・」


村長「とりあえず、今日は泊まっていってください」



村人2「狭いとこですまないな、まぁ、くつろいでくれよ」

男「いえ、ありがとうございます」

魔騎「なぁ、アンタ」

村人2「ん?」

魔騎「さっきの話だが、軍ができたと言った、魔王は何かしてこないのか?」

村人2「さぁ?魔王だぞ?来るとしても魔獣とかじゃないのか」

村人2「魔人クラスなんて悪魔の巣ぐらいにしかいないだろうし、」

村人2「万が一、魔人がきても、光魔法の使い手たちだ、逆に返り討ちにされるだろうよ」

魔騎「魔王なら・・・自分自ら潰しに来るだろう」

村人2「え?」

魔騎「俺は魔王を見たことがある」

男「え」


魔騎「例えるならやつは・・・」


魔騎「死神だ」





―魔界・魔王城―

―――魔王の間―――


魔王「・・・それは本当か?側近鬼よ」

側近鬼「はい、確かに勇者が現れました」

魔王「そうか、どっちに行くと思う?」

側近鬼「それは分かりませんが・・・東か、西だと思います」

側近鬼「あの勇者はまだ未熟でした、魔獣を何匹か送り込めばいいかと」


魔王「先代の魔王たちは、勇者が来るまでここに閉じこもってたらしい、そして殺された」

魔王「バカなやつらだ、だが、僕は違う」


魔王「僕は潰す」

魔王「勇者が来る前に、僕の手で」

―村人2の家―

男「な、そんなの初めて聞いたぞ」

魔騎「すまん」

村人2「魔王を見たことがあるだって?」

村人2「あれを見たものは必ず殺されると聞いたが・・・」

魔騎「らしいな、だが俺は生き残った」

村人2「よく・・・魔王を倒そうと思ったな」

魔騎「ああ、俺は臆病者だ、だけど勇者となら、コイツとなら勝てそうな気がする」

魔騎「こいつと会うまで俺はずっと、魔王を恐れてた」

魔騎「あんな奴と戦うなら死を選ぼうとも思った」

魔騎「だからコイツと一緒に魔王討伐なんて死んでも御免だった」

魔騎「だが、今は違う」

男「お前・・・だからあの時・・・」

―――――――――――――――

魔騎「それと、俺はお前の仲間にはならない!」

男「ん?」

魔騎「仲間にはならないと言ったんだ!」


魔騎「俺は強いやつじゃないと認めない!」


魔騎「俺は臆病者だからな、お前と違って」

―――――――――――――――

魔騎「魔王を殺す、絶対にだ」ギリッ

村人2「・・・」

男「魔騎・・・」


「い・・・イエティだああああ」


「魔獣があらわれたぞおおおお」


男「な・・・」

魔騎「男!行くぞ」

男「ああ!」

二人は飛び出していった


・・・・・・

村人2「まだ若いってのに・・・」

村人2「・・・すまねぇ」



―魔王の間―

魔王「腕はどうした?」

側近鬼「・・・勇者の仲間に・・・」

魔王「・・・すぐに治してやろう」

魔王「お前は唯一、予測能力を持っている、僕には必要だ」

魔王「治ったら、鬼王のもとに行け」

側近鬼「ありがとう・・・ございます」



側近鬼「魔王様、実はもう一つ・・・」

魔王「なんだ?」

側近鬼「勇者達と一緒に娘がいました」

側近鬼「少々、人間の臭いとは違っていました」


側近鬼「私が魔法が使ったときにかき消されるような感覚も・・・」

側近鬼「もしかしてやつは・・・七帝では?」


魔王「そうか・・・北の国にいたか・・・」

魔王「・・・やつが妹としていたやつはどこだ?」

側近鬼「・・・魔界にいることしか」

魔王「そうか」


魔王「怠惰の感情、魔法使い姉を名乗っていたが・・・」

魔王「[あの女]のせいでやつは要らない感情を持った」

側近鬼「やはり・・・」

魔王「・・・回収する、回復しかできんとはいえ七帝だ」



側近鬼「勇者はどういたしましょうか?」

魔王「僕はこのとおりだ」

側近鬼「・・・何を造っておられるのですか」

魔王「巨人だ」

魔王「そのために僕は動けない、本来なら勇者は僕が殺したいが・・・」

魔王「・・・竜人を向かわせてくれ」

側近鬼「御意」

魔王(しかし、勇者族は全員、殺したと思ったが・・・生き残りがいたのか?)




―スーザン村―

男「魔騎、過去に何があったのか知らねぇ、聞かねぇ、けどお前の覚悟はよく伝わった」

男「絶対に魔王を倒そうぜ」

魔騎「おう」


村長「ゆ・・・・勇者様!こっちに魔獣が!」



「うわあああ、憲兵を呼べえぇぇえ」

「ヲオオオォ」


男「あれか・・・4mだな」

魔騎「火炎魔法・装炎」

魔騎「火炎弾」バシュウシュ

ドドン

イエティ「ヲオオ」グラ


男「強化魔法・肉体強化、脚力特化」ググ

イエティ「人間・・・敵、皆殺し、女、俺のもの」

バシュン
と、男が地面を踏んで飛び掛る

男「まわし」ヒュ

ドゴオン!


・・・・・・・・・

魔騎「ったく、お前のおかげで魔獣を恐れる必要はもうないな」

男「まさか一発で倒れるとは・・・」


「あれが勇者様だああ」
「嘘だろ・・・魔獣を一撃で・・・」
「おい、あの人たちなら魔王を倒せるんじゃないか?」




―夜・家―

村人2「二人には驚かされっぱなしだ」

魔騎「そうか」

村人2「明日も泊まるか?」

男「いや、明日の朝には出ます」










???「へぇ♪勇者?」

村人1「ああ、らしいぜ」

村人1「ところでアンタは冒険者なのか?」

???「ま、そんなもんだよ」



―朝―

男「お世話になりました」

村人2「いや、また来てくれよ」





―魔界―

鬼王「・・・聞いたぞ、勇者が出たんだってな」

竜人「ああ、おかげで俺が殺しに行くことになった」

鬼王「もう怪我はいいのか?」

竜人「人間に殺される俺だと思うか?」

鬼王「ワシは思わん」

鬼王「どこにいる?勇者は」

竜人「北、西、東、のどれかだ」

竜人「北にはもういない、という情報もある」


竜人「俺が行くのは、[東の国]だ」












男「んで、次はどこに行くんだ?」

魔騎「次は西の国だ、西へは簡単にいけるぞ」

男「そうか、もうデス・バレーみたいなのはないんだな」

魔騎「あぁ、結局、黒魔球はどうする気だ?」

男「西の国は確か・・・商業と情報の国だろ?」

男「そこで...情報をつかむ!」

魔騎「考えたな」


今日の空は晴天だ

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