【安価】異能戦【オリジナル?】 (432)

「おーい!」

高校2年生の春、新学期が始まり数日が経ったある日。
いつものように通学路を歩いていると、朝から頭に響くような元気の良い声がした。

また彼女だ。最近付きまとってくる同級生の女の子。




主人公(男)の
名前
容姿

>>2->>4の中から

同級生の
名前
容姿

>>5->>6の中から

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526654178

名前 安藤 駿
容姿 背が低くやせ型

梶原裕介(かじはらゆうすけ)
黒髪の目つきが悪い少年。美少年とはいえないが舞祭組とも言えない平凡な見た目

瀬型 櫂 せがた かい
2m間近の高身長で人相が悪い

御手洗 アサヒ(みたらい あさひ)
つり目で何処か虐めたくなるような雰囲気がある

桃月いろは
ピンク髪のツーサイドアップの女の子。胸も身長も歳相当

名前 神崎 風子
容姿 緑に染めた短髪で小学生ぐらいの身長

名前 春野うらら
容姿 癖っ毛の付いた短髪 小柄だか出るとこは出ている

男は>>3


同級生
>>5->>8の中から>>10

桃月

どうでもいいけど>>3の「舞祭組」は「ブサイク」です

祐介「……」

無視して歩き続ける。後ろからこつこつとリズム良く駆け寄ってくる音が聞こえた。

朝から騒がしくされると目立って困る。既にクラスメイトの間では不本意な噂がまことしやかに囁かれていた。

いろは「おはよう!」

まだ4月だというのに、そこには真夏の太陽のごとく明るい笑顔があった。ついでに苦手意識も。

祐介「……どうも」

会釈して視線を戻し、歩く。あまり関わらないようにしていた。お互いのためにも。

いろは「んっん~」

鼻歌を歌いながら横に並んで歩く。

祐介「何か用?」

あえて冷たい態度をとった。もちろん彼女に距離を取ってもらうためだ。

いろは「どうかなー? ふっふーん んんー」

ますます機嫌が良くなっている気がした。こちらの気は滅入るばかりだが。

ふと彼女の方を見る。名前に合う桃色の長い髪が揺れていた。

──今思い出せるのはここまでだ。
気がつけば学校の屋上にいた。普段は閉鎖されている場所で自分は何をしているのか理解できなかった。

祐介「いつの間に……?」

すぐ近くにコンピュータゲームに出てきそうな箱があった。

祐介「ドッキリか? いや、それにしては」

好奇心に身を任せ開けてみるとそこにはメモがあった。

【レンタル】「毎回違う能力が出るよ! 大切なのは運と機転。使いこなせるように頑張ってね!」

テレビ番組にしては幼稚でチープな企画だと思った。学生のイタズラにしては、さらに面白みのないものだ。
そんな風に考えていると、遠方で爆炎が上がったのが見えた。

なぜか生徒の悲鳴やざわめきが聞こえてこない。静かすぎる。

祐介「逃げよう」

まずは校舎から出ようと振り向いたその先には、既に何者かが立っていた。

顔を布で覆ったスーツ姿の男だった。

祐介「あんたも仕掛け人か? 何の番組?」

太陽が隠れ日陰が広がった刹那、肩に違和感を覚えた。
コンマ数秒遅れて激痛が走る。

祐介「うぐぅぁぁぁッ」

血が出ていた。何かしらの刃物が肩を掠めたらしい。

異常だ。あり得ない。しかし、現に起こっている。
夢であればと願うほどに悪質な現状。

目の前の男はゆっくりと、祐介に向かってくる。
何も話さず、ただゆっくりと機械的に。そして二本のナイフを構えた。

祐介「クソ……! クソッ!」

屋上の端、金網で区切られた位置まで来て一瞬、その先に気を取られ振り向いた。

祐介「…………はっ?!」

散漫した意識を戻し、眼前の敵に注目する。
男はこちらに向かって飛翔していた。

祐介はあまりの恐怖に目を閉じた。そして無力ながら自衛の意思を示した。

そして異能は発動した。

【レンタル】の異能について

指定安価については
武器、能力、それに伴う技能などをお願いします。

単純に目からビームが出るとかでもいいです。


能力>>19

超磁力を操る

ペン
自分の身体に書いた内容が5秒間だけ自分の身体に反映される
例:無敵など
ただしすでに身体に書いてあった内容は無効
速筆

スーツの男──朝野 真也(あさの しんや)は高校教師だ。

彼の異能は【暗殺者】。出勤中、気がつけば学校にいた。
普段とは違う学校の様子に戸惑ったが、祐介のと同じような箱の中を見てすぐにほぼ理解した。

殺せばいいのだと。

真也がナイフを放つ。それは祐介のと回避を許さないが故だ。

祐介「何だかわからないが、助かった!」

そして祐介の腹部にナイフが──



刺さらなかった。跳ね返ったのだ。物理的にあり得ないことだが、真也はそれが祐介の異能かと思った。

すぐにそれは間違いだと結論に至る。初撃のナイフが祐介の肩を裂いたのが証拠となった。

『反射』

速筆と化した彼には画数など問題にならない。早く書きすぎて少しヒリヒリしているがそこは堪えた。

祐介「ってえ。お前物騒なんだよ!」

『俊足』 『疾走』 『奔走』

学校からでて商店街まで走ったが、追っ手はなかった。

祐介「奔走だけはあまり効かなかったな」

息を切らしながら思考を巡らせる。自分がいた町ではあるが違和感を感じる。行動を間違えれば死ぬ可能性すらある。

祐介「次にどこへ向かえばいいんだ……」

移動先

住宅街
運動公園
ビル街

>>24

体育館を中心にテニスコートや多目的広場、ランニングコースなどが揃った施設。

祐介「やっぱり人気がないな。そういえば『ペン』の感覚がなくなってる」

異能【レンタル】は一度の戦闘につき一回ずつのみ発動できる。相手が複数の場合は、一人につき一つになる。

辺りは生い茂る木々や芝生の広場で緑が広がっている。
近くの木の陰からこちらを見ている人影があった。

祐介「またかよ……!」

逃げる構えを取ると、その人物が姿を見せた。




その人物>>27
これまでのレスで安価にならなかったものも可

初老の博士っぽい人。穏やかな表情

裕介の親友の御堂恭弥(みどう きょうや)。銀髪のイケメン

無理なら>>26

御堂 恭弥(みどう きょうや)。祐介は平凡な自分自身とは対照的な存在だと思っている。

恭弥「俺だよ、祐介」

祐介「恭弥……! なあ、これって」

恭弥「ああ、おかしすぎる。異能だとか何だとか」

恭弥と情報交換した。
この異能というのは人によって違い、恭弥の場合は固定で毎回変わることはないという。
トリガーが戦闘ではなく、その辺で練習もできるとのこと。

恭弥の今後のことを話す。

恭弥「もちろん一緒に行動するしかねえだろ」

祐介「それはわかってる。どうしたら帰れる?」

恭弥「そんなのわからねえけど、この手のストーリーは大体……」

恭弥「戦い抜いて勝ち残ればいい、だろうな。そもそも死ぬのは論外だしな」

祐介「ところで恭弥の異能って何だ?」

恭弥「まだ言ってなかったな。祐介の【レンタル】みたいに特殊なものではないんだが」




異能安価で武器(たとえば剣)などと単体で書けば適当に効果をつけます。
しかしその場合は漫画やその辺からそのまま引っ張ってくる可能性も否めません。

恭弥の異能>>30->>32のどれか

武器 如雨露
能力 水をまいた所に美しい花々を咲かせる
技能 美的センス

ハート共鳴
優しい心や正義を感じ取ることができる。これで信用できる祐介を見つけた……らしい。自身のハートを高ぶらせてエネルギー弾も出せるが、1発でかなりの体力を使う。多分協力型の能力

【探索】
自分が探しているものや生物を探せる能力
範囲を広げるほど時間がかかるが、最大1つの市まで能力範囲

【ハート共鳴】、恭弥の異能だ。
彼は祐介にこの異能で信用するに値すると判断したため話しかけたと説明した。

祐介「どうも胡散臭いな」

恭弥「まあそう言うなよ。この異能ってもの自体そうだろう?」

祐介「確かにな。それで、戦うっていうのはどういうことだ?」

恭弥「お前は一度襲われたんだろう? 無条件で襲ってくる輩がいる以上、対策を練る必要がある」

祐介「そうだな。でも異能的に言うと難しいだろ? 恭弥のは戦闘向けではなく、俺のもピンキリだろうし」

恭弥「そこで、だ。俺の【ハート共鳴】を使って仲間を増やすってのはどうだ?」

祐介「……なるほど。信じてもいいんだな?」

恭弥「俺は祐介を信じて姿を見せたんだぜ。当たり前だろ相棒!」

二人は公園を後にした。

ランドセルを背負った少年が尻餅をつく。
心底驚いてはいたが、喜びや好奇心で目を輝かせていた。


そこは住宅街だった。立ち並ぶ家の隙間から、遠方に上がる煙が見えた。




少年の
名前
容姿
>>36->>37から

名前:ジャック・サトウチ
容姿:金髪ハーフ。日本語ペラペラ


連取り禁止なら安価下

名前 桜坂 秋斗 (さくらざか しゅうと)
容姿 年がら年中半袖短パンのわんぱく坊主

桜坂 秋斗(さくらざか しゅうと)
年中半袖短パン、最近買ってもらったゲームに夢中になっている少年だ。

秋斗「すげー。何これ……」

すぐ近くに箱を見つけた。ゲームによくあるデザインのそれを見つけた秋斗は一目散に駆け寄る。

秋斗「もしかしてゲームの世界に入ったのかな?!」

期待に胸を膨らませて蓋を持ち上がる。
その中には……




秋斗の異能>>39->>40の中から

【驟雨】
自分の半径30m以内に滝の如き大雨を降らせる

動物シール
体に貼り付けるとそのシールに書かれた動物の姿や力を利用できる
物に貼れば貼られた物をその動物に代えて使役できる
一度に使えるのは4枚で剥がさないと解除できない

【動物シール】
体に貼り付けるとそのシールに書かれた動物の姿や力を利用できる
物に貼ればそれを動物として使役でき、一度に使えるのは4枚で剥がさないと解除できない。


秋斗「かっけー! そのうち勇者にとかなれるだろこれ!」

そこからは早かった。思うままに動物のシールを出現させ、動物を使役できるようになった。

その間、近くの屋根に秋斗を観察する者がいた。

秋斗はシールで作った3匹の犬と共に駆け出そうとした。
監視者はそれを見計らって屋根から飛び出した……


人物>>42- >>43のどちらか

岩崎(下の名前不明)
サングラスをかけた坊主頭の黒服の男。

【名前】氷室 零香(ひむろ れいか)
【容姿】スタイルが良く、見た目ハーフっぽいがちゃんとした日本人。

岩崎「おはようございます! 私は岩崎と申します」

丁寧な所作で挨拶をする黒服の男。
彼の手には二本の槍があった。

【聖槍・魔槍】一対の槍。そして、それらを使いこなせる技術。これが岩崎の異能である。

秋斗「お、おはようございます!」

驚きと警戒を露わにしつつ、挨拶を返す。

岩崎「お伝えしたいことがあるんですねぇ」

ニタッと口元に笑みを含ませて言う。

岩崎「実はこの異能戦はですね、これで3回目を迎えます。これもひとえに、参加者の皆様のおかげです」

秋斗「何の話してるのおじさん?」

岩崎は【聖槍】を構える。閃光と衝撃。
異能で生み出した犬の首が焼き切れていた。

祐介とは恭弥は図書館にいた。地図を見て地形をある程度理解するためである。

恭弥「やはり、多少の差はあるようだな」

祐介「そうだな。しかしこの図書館に誰もいないとは」

恭弥「半分は出会い目的で来たんだけどな」

祐介「出会い目的って言い方な……」

こんな会話が、こんな異変の中で出来ることに祐介は少し安堵する。

祐介「次は住宅街とかどうだ?」

恭弥「いっそ煙の方に行ってみるか? 戦闘は必至だろうけど」

祐介「ビル街か。中学校もアリだとは思う」


移動先

住宅街
ビル街
中学校

>>48

祐介「住宅街に行ってみよう」

恭弥「よし。地図はこのままもらっておこう」

彼らは未だ、隅の窓からこちらを伺う存在に気がついていない。

真也「……」

その命を狙う暗殺者の存在を。

【動物シール】で作り出した動物は死ぬと、シールと共に消滅する。
三枚のシールで適当な動物を作り、肉壁と化し隙を見てチーターのシールで逃げる算段ではあったが、それを許さない岩崎の猛攻が続く。

岩崎「案外、象というのは堪えるものですね。驚きです」

楽しむように、しかし逃がさぬように槍先から雷を放つ。

秋斗「なんで最初からボスが出てくるんだよぉぉ!」

あまりの力量差に叫ぶ。

刹那、槍は雷撃を止め打ち合う。秋斗と同じ制服を着た小学生が岩崎に斬りかかっていた。

ジャック「……ッ!」

秋斗に正確な回数はわからなかったが、何度も火花が散るのを見た。

岩崎「バッチリ防ぎきりましたねぇ!」

逃げるなら今だと思った。しかし、こういう時に限って足が動かなかった。

目前には刃を交える岩崎とジャック。そしてオドオドしているもう秋斗。

祐介「恭弥、あいつら」

恭弥「穏やかじゃないな。小学生に大人が武器向けてな」

祐介「カバと象もいるのか」

恭弥「誰かの、いや、あの奥の方にいる奴の異能だろうな」

二人の考えは一致していた。ハートがどうだとか以前に怯えている小学生を助ける。

恭弥「でもまあ、荒事は任せるぜ! 祐介!」

この掛け声に岩崎の注目がジャックから逸れる。これを機にジャックは秋斗を連れて走り去った。

祐介「いい判断だ。……【レンタル】発動ッ!!」

身体に力がみなぎっていく。



能力>>53

瞬速

祐介の靴が別の物に変わっていた。そしてペンの時と同じように身体が軽くなった気がした。

ステップを踏み間合いを詰める。
しかし、岩崎は槍を構えない。明らかに様子が違っていた。

岩崎「これはいけませんねぇ。まだ出番じゃ……ない……」

禍々しいオーラを纏いながらうずくまる岩崎。
祐介はそのまま飛び出し蹴りを入れ、恭弥と共にその場から離れた。

瀬型 櫂(せがた かい)と神崎 風子(かんざき ふうこ)は中学校の体育館に身を潜めていた。

2メートルを超える長身の櫂と緑髪でかなり小柄な風子。
二人とも異能を持つが、休戦、協力している。


瀬型 櫂と神崎 風子の異能>>56->>59の中から

櫂 水も蒸発させる炎を発生して自由に操る 【炎真(フレイムアドミニスター)】
風子 振ることで操られる風を発生させる扇子を持つ 【風扇】

キャンセラー
敵味方自分に関わらず、異能によって引き起こされた効果や事象を元の状態に戻せる。
ただし、死や大怪我等の大きな事象はかなりの年月を必要とする。または特殊なアイテムが必要。

櫂の異能は【炎真(フレイムアドミニスター)】
強力な炎を自在に操ることができる。

風子の異能は【キャンセラー】
敵味方自分に関わらず、異能によって引き起こされた効果や事象を元の状態に戻せる。
ただし、死や大怪我等の大きな事象はかなりの年月を必要とする。または特殊なアイテムが必要となる。


櫂「……」

無口な男だなと風子は思った。櫂はただ単に協定を結んだ相手に不快感を覚えさせないようにしているだけだった。

櫂(俺が余計に話すと怖がられるかもな……)

風子「これからどうしよう……」

怯えよりも先のことを考える風子。状況から戦いは避けられないと結論付けた。

櫂「……」

二人はまだ、同い年であることに気がついていない。

風子「ここから移動して情報を得たいなぁ」

櫂(すごいな、歳の割に頭いい)

櫂「……どこに行く?」

風子「ここからだとスーパーかな。でもビル街の方で煙が上がってたけど)


移動先
スーパー
ビル街

>>61

ビル街

すでに何棟かのビルが半壊していた。

穏やかな顔つきの初老の男性、和田は肉塊に腰を下ろし首を鳴らす。
尻の下に敷かれた肉は数分前まで少女の形をしていた。
争い、蹂躙したのだった。

和田「弱いなあ、お嬢さん」

微笑み、呟く。その雰囲気だけ見れば、休日の公園で陽を浴びているような落ち着きようだ。
しかし着ていた白衣は赤黒く染まっていた。

和田「おや。この老体はまだ休めそうにありませんね」

近くの物陰に隠れている櫂と風子の気配を察知したのか立ち上がる。
有無を言わず櫂は【炎真】を和田に放った。

櫂「……」

風子「い、いきなり?!」

櫂「……あいつは駄目だ。やらなきゃ」

尋常ではない破壊痕、和田から感じる歪な空気。
櫂は闘志を燃え上がらせた。

炎を消して視界を確保する。和田の姿はそこにはなかった。

櫂「……どこだ」

風子「上! 飛んでる!」

飛んでいるという表現には齟齬があった。

和田「ほっほっほっ……と」

歩いていたのだ。足場のない空中を。

和田「あなたの異能は火ですか。これは厄介ですねぇ」

間髪入れず球型の【炎真】を打ち出した。

櫂「……風子は下がって。火傷する」

風子「うん! ……え?」

和田「やあ、お嬢さん」

上空にいたはずの和田が二人の後ろに立っていた。
手には太刀を携えている。

和田「お嬢さんの異能は戻したり消したりできるようですねぇ。便利便利……ぜひ手に入れたい」

櫂「……!」

和田「動かない方が賢明ですよ。そうそう、大人しく。命までは取りませんから」

風子は連れ去られた。下手に刺激するとかえって危険なので櫂は何もできなかった。

櫂「クソが……」

なぜあの老人は発動すらさせていない風子の異能を看破したのか。なぜ空中で歩けたのか。

櫂「情報を集めよう」

心は未だ冷めず、風子を助け出すことを考えていた。

祐介、恭弥、ジャック、そして秋斗は公民館にいた。

秋斗「ありがとう! あ、さんきゅー?」

ジャック「いいよ、礼なんて。それと日本語話せるから」

秋斗「おおー! オレは桜坂 秋斗! よろしく」

ジャック「ジャック・サトウチ。ジャックでいいよ」

秋斗「それじゃ、秋斗って呼んでくれ!」

ジャック「……わかったよ、秋斗。よろしく」

友情が芽生えるのは早かった。二人は握手を交わし笑う。

祐介「俺達は蚊帳の外って感じだな」

恭弥「祐介ガラ悪いもんなー」

祐介「お前も無視されてるぞ」

秋斗「兄ちゃん達、誰なの?」

祐介「……はぁ」

こんな子供まで物騒なことに巻き込まれている。祐介は怒りに近い感情さえ覚えた。

秋斗「祐介兄ちゃんの異能ってなんだか魔法みたいだな。何が起こるかわからないーっていうやつ!」

祐介「今のところ何とか使えるなしか出てないからな。最悪の事態がいつくるかもわからん」

恭弥「おまけに相棒が戦闘に不向きとなれば既に最悪なんじゃねえか? はははっ」

ジャック「恭弥さんの【ハート共鳴】で僕はどう見えるの?」

恭弥「あ、ああ。それな。……ビビッときてるぜ。秋斗もジャックもな!」

秋斗「おおー! 正義の味方だー!」

ジャック「……それならいいけど」

一方その頃、運動公園に異能所持者が三人、今後の方針を議論していた。


二人だけ
名前
容姿
>>68->>69の中から

白川 奈々(シラカワ ナナ)

ライダースーツのボイン。バイクに乗ってた

水瀬奈々
グラマーな長髪の色っぽい女性

赤石竜也
赤いニット帽を被った長身の男

白川 奈々(しらかわ なな)。豊満な体つきでライダースーツを着ている。フルフェイスのヘルメットをかぶりバイザーを下ろしているので顔は見えない。

赤石 竜也(あかいし たつや)。赤いニット帽を被った長身の男。

そして、春野 うらら(はるの うらら)。小柄だが部分的にそれなりの成長がうかがえる。


うらら「やるしかないんですよね……?」

奈々「多分ね。全体数はわからないけど、最後まで生き残ればどうにかなりそうだけど」

竜也「この手のゲームではお決まりのネタだな。やり潰しただろう?」

この三人、いざ話してみると共通の話題があった。同じインターネットゲームのプレイヤーだったのだ。
そのゲームと現状を照らし合せて作戦を練る。



奈々とうららの異能>>71->>73

立札を出現させ、そこに記入した内容を周囲一帯で禁止させる(対象者の指定は不可、自分にも効果が及ぶ)

コレクター
手で触れるだけで道具や生物(人間含む)を実質無限に四次元空間に収拾し、探したいものがあればどこまでも感知できる。
ただし、収拾したものは時間が経つと勝手に出ていってしまい、大きいものほどタイムリミットが短い。電車とかになると30秒も持たない
気に入った物はお気に入りとして3個までずっと手放さずにできる

奈々
電撃を発射する銃

うらら
人形の遠隔操作 また触れている間、人形を巨大化させられる

奈々の異能【電撃銃(ママラガン)】。拳銃から狙撃銃、様々な形に変形し電撃を射出する。威力や弾数はその形状に依存する。


うららの異能【コレクター】。手に触れたものを異空間に収納できる。その許容度は無限だが時間制限があり、送り込んだものの嵩によって変動する。
3つまで指定して永久的に収納できる。


奈々「それであなたの異能は何なの?」

竜也「悪いけど、その異能が書かれた紙を見ていないんだよなぁ。わからない以上、闇雲に発動させるわけにもいかないしね」

うらら「それは仕方ありませんね……。戻って確認しますか?」

竜也「いや、やめておこう。危険を冒してまで確かめることじゃないよ」

奈々(なんか胡散臭いのよねぇ、こいつ)

奈々「このチームで攻略するなら、あなたの異能を把握するのは必須だと思うのだけど?」

竜也「……わかったよ。ここからそう遠くない」


竜也は嘘をついていた。

──正午。祐介達のいる空間一帯にアナウンスが流れた。

「お昼でーす。ご飯は言ってくれたら魔法の力でお届けするよ!」

「それと、疑問になってると思うけど、生き残った人には何でも願いが叶うっていう破格のプレゼントが用意されてるから頑張ってね!」


明確な戦う理由が示された。この時点で死者は3名だった。

和田「ただいま戻りました。お土産もありますよ」

町外れの寺には三人の異能所持者が待機していた。

風子「あなた達何なのよ……?!」

和田「まあまあお嬢さん。我々の仲間になればきっといい思いできますよ」

風子(瀬型君、大丈夫だよね……。きっと助けに来てくれる)

和田「ほう、彼は瀬型君と言うのですか。あれもなかなか強力な異能ですよ」

風子「なっ……?!」

心が読まれていた。

和田「皆さん、先ほどの声を聞いていましたね? 勝ち残れば願望が叶うと」



皆さん
>>77->>80から三人
名前
容姿

若見奈恵(わかみ なえ)
和服姿の色っぽい黒髪の女性。30代後半のオーラかある

四十万 力 しじま りき
もの凄い筋肉量のタンクトップ 暑苦しい

矢吹 奏司(やぶき そうじ)
ヘッドホンを着けたダルそうな感じの青年

馬場 春斗(ばば はると)
赤髪で短髪、筋肉質の男性、ジャージを着ている。

若見 奈恵(わかみ なえ)。黒髪に藍色の和服を着た女性。妖美な雰囲気を醸し出している。

四十万 力(しじま りき)。タンクトップが弾けとばんばかりの人間離れした筋肉量の男。すごく暑苦しい。

矢吹 奏司(やぶき そうじ)
ヘッドホンをつけて眠たそうな顔をしている青年。実際寝不足。


力「女ってもガキじゃねえか。そんなやつ何の役に立つんだ?」

和田「彼女の異能が素晴らしいんですよ。異能で起きた事象を巻き戻せるとか」

奈恵「奏司、奥の部屋でその子を見張っていなさい」

奏司「……了解」

気だるそうに風子を連れて奥の部屋に消えた。

力「敵に回せば厄介だ。しかしよく連れてきたな」

和田「ええ、特に難しいことをした訳ではないのですがねぇ」

奈恵「引き続き和田は偵察を続けて。私達は必要なものの調達に」

和田は再び飛翔した。

公民館に潜む四人。

それは急に訪れた。
岩崎が壁を突き破り侵入してくる。

岩崎「ぁぁぁあああ!! 」
【聖槍】からは稲妻を、【魔槍】からは暗黒のエネルギーを放ちながら暴れ狂う。

祐介「あいつ正気じゃねえだろ」

ジャック「何あれ。僕じゃ近づけないかも」

瞬時に二人は身構える。それに数秒遅れて後の二人も戦闘の姿勢に移る。

恭弥「どうするんだよあれ! 気がおかしくなってるぞ!」

秋斗「でも大丈夫! 四人でパーティ組んでるからボスも余裕だ!」

祐介「どうだかな。魔法の時間だ。【レンタル】ッ!!」



能力>>84

浄化

邪悪を吹き飛ばす浄化の光。

祐介「これならあいつ消えるだろ!」

手からまばゆい光を出す。

岩崎「俺に……私に……わたくしに……」

岩崎「身体を寄越せえぇぇぇッ!!」

糸が絡まった木偶人形のような動きをし始める岩崎。
実は彼には人格が複数ある。

常に身体の主導権を狙い争っていた。しかし内に秘めた魂全てが邪悪で、浄化の光を受けた場合は全ての人格が拒絶し暴走する。

その場合、一度争いをやめて

岩崎「二度と私の邪魔をしないでいただきたいッ!!」

目の前の障害を全力で潰しにかかる。

祐介「あの力はまずいぞ! 本体に【浄化】が効いてねえ!」

岩崎の二槍から放たれる邪光を祐介の【浄化】の光をもって緩和、相殺していく。

恭弥「直接触れてみるしかないんじゃねえか? その力で」

距離を縮めれば威力が高まるというのは理解できた。光度が高ければそれほど効果もあるはずなのだ。

ジャック「その案しかないみたいだね。僕と秋斗で時間を稼ぐよ」

秋斗「任せて! 祐介兄ちゃん!」




ジャックの異能>>87->>89

バナナの皮を空間に出現させる

鬼の面を被り鬼と化す

ジャックの異能【鬼化面〈ラーヴァナ〉】。
文字通り被ると鬼と化す面。

ジャック「……いくよ」

整った顔立ちのジャックがまさに鬼の形相になる。短刀を手に、飛び出し岩崎の懐へ。その一振りは十の剣筋になり襲いかかる。

岩崎「その異能、オモシレ……」

腹部を裂かれた岩崎はケロッとしていた。
思い切り仰け反った岩崎はそのままジャックに槍を向ける。

秋斗「させない! ついばめカラス達!」

四羽のカラスが岩崎の顔めがけて降下して行く。【聖槍】の一振りで全て消え去ったが時間稼ぎには充分だった。

祐介「はいどうも、いい加減倒れろッ!」

視線は上空、ましてやジャックの陰に隠れて忍び寄る祐介に気がつくはずもない。
一閃、祐介の手は岩崎の腹部に触れた。傷口から直接【浄化】の力が流れていく。

恭弥「溶けていくぞ……! そいつは存在自体が邪悪ということか?!」

岩崎「だ……えぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

断末魔を上げ、みるみると溶けていく岩崎。呆気ない最期だと皆は思っていた。

泥状になった岩崎の遺体と、残った【聖槍・魔槍】。気味が悪いので誰も触れようとすらしない。


恭弥「…………」

ジャック「あんまり見ないでほしいな。僕のこの姿、醜いから」


恭弥は胸の内に秘めていた。ジャックからは共鳴がないことを。嘘をついてまで隠したのは秋斗を連れて逃げる彼の姿を見たから。それだけだった。

和田は運動公園にいた。その向かいにも一人、和田と対峙する異能所持者がいた。



対峙している人
名前
容姿
>>94->>95から

黒町美知子(くろまち みちこ)
黒髪ロングの黒縁眼鏡の優等生ポイ女性

名前:電動博士(でんどうはかせ)
容姿:ごつい大学教授で、常に身体から機械音がやまない

黒町美知子(くろまち みちこ)
黒髪ロングの黒縁眼鏡をかけた優等生風の女性だ。

和田「美知子君、久しぶりですねぇ」

美知子「ええ、お久ぶりです。和田さん」

和田「こんな所で何をしていたのですか?」

美知子「あら、和田さんも同じだと思いますが? その服、随分と無茶をしたようですね」

二人は顔見知りだった。穏やかな表情のまま和田は太刀を構えた。

美知子「あんまり無理すると血圧上がるんじゃないですか? もういい歳なんだから」

和田「心配には及びませんね。電動君も僕もあと十年は現役でいるつもりですよ」




美知子の異能>>97->>98から

温度変化
周囲や自身の温度(体温、気温)をかなり大きく変えることができる。自身に近いほど有効。
応用して氷を纏ったまま殴ったり、熱を帯びた手で物を握って溶かすことも可能

感情変換
他人の自分へ向ける感情を別の感情に自由に変えることが出来る
ただし半径10m以内に限る

美知子の異能【温度変化〈ホット&コールド〉】。
周囲や自身の温度(体温、気温)をかなり大きく変えることができる。自身に近いほど有効。
応用して氷を纏ったまま殴ったり、熱を帯びた手で物を握って溶かすことも可能。


和田「厄介ですねぇ、その異能」

美知子「ボケるには早すぎませんか? まだ私、何もしていませんけど」

和田「年の功というんでしょうかねぇ。わかってしまうのですよ。美知子君の両腕がどうしようもなく熱せられていることもね」

美知子「それなら話は早いです。和田さんは飛んでいましたね。それだけの異能なら対処も容易い」

和田「……さあ、どうでしょうか。実験といきますか」

美知子「資格持ってないくせにッ!!」

美知子は【温度変化】によってドロドロに溶けた靴を蹴り出した。

同、公民館。

祐介「おい、槍の様子が変だ!」

ガタガタガタガタ……

共鳴する音叉のごとく、一対の槍が振動する。膨大なエネルギーが生み出されていた。

ジャック「まずいよ、これ……!」

秋斗「【動物シール】!象のみんな、 踏み潰せ!」

手遅れだった。蓄えられた槍の魔力が暴走し、解き放たれる。


公民館が丸ごと吹き飛んだ。

目の前は木々生い茂る山道、気がつけばそこにいた。
ついさっきまで彼──梶原 祐介と肩を並べて通学していたはずだった。

いろは「梶原君……?」

目の前には大きい木製の箱があった。開けてみると、紙が一枚入っていた。




桃月いろはの異能>>103->>105の中から

生物に生命を与える能力
傷ついた生き物にその能力を与えれば回復する
だが、正常なものに与えると肥料を過剰に与えすぎた植物のようにダメージを与える
この能力はオーラのように目に見えるように出すことができ、形も自由に変えられる(ビームや弾丸のように放出可能)

精気吸収、キスする事で相手から生気エネルギーを吸い取る事が出来る
さらに吸い取ったエネルギーで相手能力も使えるようになる、例としていえば氷の魔法を使える能力者からキスして生気吸収すれば
その通り自分も氷の魔法を使えるようになる

次から異能に【~~】といった感じで名前をつけてください。

祐介の【レンタル】に対しての安価は~~できる能力とあればやりやすいので、そのようにお願いします。

【施命〈アイリス〉】
生物に生命を与える能力 。
傷ついた生き物にその能力を与えれば回復し、正常なものに与えると肥料を過剰に与えすぎた植物のようにダメージを与える 。
この能力はオーラのように目に見えるように出すことができ、形も自由に変えられる(ビームや弾丸のように放出可能)。


いろは「何これ。傷を癒すビームが出るってこと? でもダメージを与えるって……」

ガサガサガサガサ

いろは「わっ?! 誰かいるのー?」

いろはは突然のことに混乱していたので、正確な判断ができなかった。

いろは「と、とりあえずビーム出してみよっか」

いくつもの絵の具をぶちまけたような、多色の光線が草むらに放出された。

いろは「はぁはぁ……」

草むらの向こう側には、半分壊れたランドセルを背負った女の子が倒れていた。


女の子の
名前
容姿>>108->>110から

新沼 彩(にいぬま あや)
髪はボブカットで、少年のような格好をしてる。

赤坂楓
金髪ロングで髪に♪の形のヘアアクセサリーを付けている。小学生なのに巨乳

新沼 彩(にいぬま あや)
黒髪のボブカットで、少年のような格好をしてる。


彩「助かったよ、お姉さん……」

もともと深手を負っていた彩は【施命】を受けたことにより回復していた。といっても、治ったのは傷だけだった、

いろは「えっと……うん! とにかくこれで助かったね!」

しかし理解は出来ていなかった。見知らぬ風景、なぞの異能、息を切らす女の子。
そして再び、草と何かが擦れる音がした。

ガサガサガサガサ

彩「やば。どうしよ」

いろは「何が……? えっ?!」

彩「逃げる? ……ううん、いけるはず! お姉さん、傷を癒せるんだよね?」

いろは「た、多分! まだよくわからないけど」

その瞬間、草むらから飛び出したのはサラリーマン風の男だった。

彩「あいつ、爆弾みたいなの使ってくるから気をつけてね!」

「アヒャヒャヒャ!?!? ロリッ娘ぉぉぉ!」

いろはには目もくれず一心不乱に彩めがけて突進する。

彩「気持ち悪いなぁ、もう! 【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】!」


【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】
指定安価の異能を一時的に借りることができる。


借りた能力>>113

【クラフター】
素材さえ所持していれば、その素材で構成された物や建築物を出せる。その場でなら草木と土で壁や草結びぐらいならできると思う

彩「さっきのよりは全然良いね」

特に意味は無かったが、両の手で拝む形をとってから地面に手を当てた。

突如出現した壁に浅野 剛也(あさの ごうや)は激突する。木で枠を組み編み込んだ草を張った土の壁はそれなりの強度を保っていた。

いろは「うわぁ、痛そう」

彩「お姉さんは下がっててね」

剛也「へへへへへ、やるなロリッ娘! さっきまでとは大違いだ」



浅野 剛也の異能>>115->>116から

【命中の爆炎(ヴァレッテーゼ・フレア)】
マーカーを出現させてそこを爆発させて相手にダメージを与える能力
一度に複数の場所を爆発できる。ちなみに爆発させた場所のダメージが表示される
弱点は爆発する場所は爆発前に視界にある所であることと

爆殺鬼【ボマーハンズ】

触れたものを爆弾に変える。任意のタイミングで爆発が可能。ただし生物は爆弾に変えることができない。

【狂気の爆炎(ヴァレッテーゼ・フレア)】
マーカーを出現させてそこを爆発させて相手にダメージを与える能力 。
一度に複数の場所を爆発できる。ちなみに爆発させた場所のダメージが表示される 。
視界の範囲内でなければ爆破させることができない。


彩「次行くよ!」

しかし、彩の腹部に円形のマーカーが出現。それに気がつくと同時に爆散した。

剛也「アヒャヒャヒャッ!! ロリッ娘が腹から何か出してやがるぜ」

傷口にダメージが表示される。『30』。この数字は剛也の異能を鑑みるに大きくない数字だった。しかし彩の体を欠かさせるには足りていたのだ。

辺りには砕けた骨や腸が散らばっていた。血が止まらない。

彩「え……?」

その時、いろはが声を荒げた。

いろは「嫌……やだ! 来ないで人殺しっ!!」

剛也「てめえには興味ねえんだよ! 勝手に生きない程度に死んでろや!!」

いろは「……大丈夫、もう充分」

彩「はあ、お姉さんのそれチートだよね。一瞬で完治するんだからさ」

剛也「ロリッ娘ぉぉ……ぉぉ?」

彩は木にもたれかかり、安堵の表情を見せた。木製の槍が次々と剛也の体を穿つ。最後に小さな針で剛也の目を潰した。

剛也「あひゃ……痛えよ、よくわかんねえけど……」

彩「目隠しと縄作ったから、そいつすぐに治して捕まえておこう」

いろは「うん。えと……とにかく治すよ!」

思考を放棄し目の前の命を救うことにしたのだった。

いろはは【施命】を無色にして放つことができる。攻撃、回復共に人知れず行うことができる。

彩「うん、【クラフター】は返却されたね」

剛也「おいおい、なんで生かしておいたんだよ」

彩「私はおじさんを利用しようと思ったから」

剛也「ロリッ娘の異能じゃねえだろ?」

彩「まあね。あと、そのロリってのやめてよ。名前は教えてあげないけど」

剛也「……お子様」

彩「子供扱いするな!」

剛也「お嬢さん」

彩「よろしい」

ご満悦のようだ。剛也は木の繊維で編んだ目隠しと縄で足以外の自由を縛られている。

剛也「もう一人いたな。お前の異能だろ? まさかそこのロ……お嬢さんにただ従っただけか?」

いろは「……死ぬことはないって、そう思ったから」

剛也「はあ?」

彩「何がはあ?よ! 感謝しなさい!」

ペチペチとビンタをする彩。しかし小学生の力では剛也に何のダメージにもならない。

剛也「いたくない! けど、ありがとう。助かった! 従うから!」

至福のひとときだったと、のちに彼は語った。

剛也の腕を縛る縄を引っ張る彩が先頭を歩く。少し腰を曲げれば目隠しを外せたが、実行しなかった。

いろは「彩ちゃんの異能って決まった形じゃないんだね」

彩「そんなことないよ。【使用窃盗】は、どこかから無断で借りてこっそり返すって形だから」

剛也(彩ちゃんっていうのか)

彩「……今ニヤついたでしょ。変態」

口に雑草を詰められた。これまでで一番美味い雑草だと思っていた。

いろは「彩ちゃん、探したい人がいるんだけど……」

彩「うん、いいよ」

いろは「即決?! いいの?」

彩「もちろん。命の恩人だからね。どんな人?」

いろは「同級生の男の子。どこで何してるのかはわからないけど、近くにいる気がするの……」

彩「もしかして彼氏さん? いいねぇ」

いろは「そんなのじゃないよ! ちょっと気になるだけだもん!」

彩「へえ、片思い?」

ガールズトークは止まらない。

山を下るのに時間をかけていた。体力的にも、いつどこから敵が現れるかわからない精神的苦痛も負担になっていたからだ。

木々の隙間から開ける景色。そこには巨大な竜と傷だらけの少女がいた。

彩「いろはさん、あれ!」

いろは「うん! 襲われてる!」

剛也(え、なに? 襲われてる?)

彩は剛也を捨て置き、駆け出した。いろはもその後に続く。

竜也「グルォォォォッ」

それは人の言葉を話さず、ただ呻く怪物と化した竜也だった。


【偽・竜化〈ドラゴン〉】
竜化の異能。元の人格が消し飛び、理性なく暴れまわるようになる。致命傷を受けると解除される。


うらら「いろは……?」

いろは「うらら! ひどい傷……。すぐ治すから!」

彩「いろはさん、そのお姉さんは任せたよっ! 【使用窃盗】!!」


指定安価は>>123

【異能無効(キャンセラー)】
自分から直径1mから範囲を広げて自分の領域を挙げる
その領域にいるものの異能は無効になる
ただし、この能力を発動中は動くことはできない

【従属下 (モンスターテイム】
自分が乗っているあらゆる生物は自分の支配下に置かれる

【従属下 〈モンスターテイム〉】
自分が乗っているあらゆる生物は自分の支配下に置かれる。


彩「ラッキー! だけど乗る必要がある……!」

うららの数が【施命】によって全快していた。

いろは「うらら、どう? 動ける?」

うらら「すごい……! ありがとう、いろは。もう一人、死にかけてる人がいるの!」

手をかざすと、異空間から白川 奈々が現れた。全身がひどく引っ掻かれて、右腕が千切れていた。

いろは「……!」

うらら「驚かせてごめん。でも早くしないと……」

いろは「うん、すぐに治す。任せて!」

虹色の光が奈々を包み込む。

彩「うーん、どうしよ。……そうだ!」

それは馬で荒野をかける保安官でも、牛の戦車を引く戦士でもなかった。

彩「はいどー!」

剛也(ひ、ひひーん! 仰せのままに!)

変態〈モンスター〉とその肩にまたがる小学生だった。

竜也「グォォォッ!!」

二度、三度と爪を振るう怪物。剛也のジャンプ力は【従属下】の影響もあり常人のそれをはるかに凌駕していた。
つまり、躱すのは容易だったのだ。

剛也(何が起こっているのかはわからんが、俺はまだ飛べる!)

しかし竜也の背中には微妙に届かない。

彩「うーん、もっと飛んでよ!」

剛也の脳裏に浮かぶ赤と緑の残像。この危機を乗り越えるかもしれない賭けだった。雑草をすべて吐き出し、最短でもっともわかりやすい言葉を吐く。

剛也「でっていう」

彩「え……? ああ! いいの? 本当にやるけど」

剛也「もちろん、彩ちゃん!」

彩「……落ちて死んじゃえ変態!」

彩は剛也を乗り捨てた。正確には、背中を台にして飛んだ。国民的なゲームのイメージだ。
竜の背中に到達した。

彩「乗れたけど、このままじゃ【使用窃盗】は使えないね」

彩は【従属下】を使って地面に衝突する寸前の剛也を拾い上げた。

剛也「おお、助かった? 彩ちゃん!」

うらら「あの子って何なの? 赤石さんを制御してるみたいだけど」

いろは「うん。とっても頼りになる女の子だよ」

奈々「うう……」

いろは「さあ、起きてください。傷は完治してます」

奈々「え……? 本当だ、痛くない!」

彩「おーい、とりあえず背中に集合ね!」

山道、特に会話をしていたので耳に届かなかったアナウンス。いろは達はうららからその詳細を聞くことになる。

瀬型 櫂は図書館にいた。すでに何者かが入った形跡があった。祐介や恭弥は痕跡をほぼ残さなかったので別のものとなる。



図書館にいた人>>128->>129から
異能>>130->>131から

福井悟志(ふくい さとし。あだ名:フトシ)
茶髪のまんまるの太った少年。いつも何かしらお菓子を食べている

糸色 凶 (いとしき きょう)
分厚いハードカバーの本を読むゴスロリ少女

【衣装替え(インフォース)】
自分の衣装を変えてそれによってステータスや得る能力が変わる能力

【亡者共鳴】
死んだ(または死んだと運営に判断された)者の異能や記憶を使役できる。
ただし異能は死者の遺志と逆らっていると使えないどころか反逆される。逆に死者の遺志や目的が同じだと強力になる。
精神力が強ければ一応、強制的に異能を発揮できる

梶原 祐介(かじはら ゆうすけ)>>3
【レンタル】>>17

御堂 恭弥(みどう きょうや)>>27
【ハート共鳴】>>31

桜坂 秋斗(さくらざか しゅうと)>>37
【動物シール】>>40

ジャック・サトウチ(じゃっく さとうち)>>36
【鬼化面〈ラーヴァナ〉】>>89


桃月いろは(ももつき いろは)>>6
【施命〈アイリス〉】>>103

新沼 彩(にいぬま あや)>>108
【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】>>111

浅野 剛也(あさの ごうや)>>114
【狂気の爆炎〈ヴァレッテーゼフレア〉】>>115


春野 うらら(はるの うらら)>>8
【コレクター】>>72

白川 奈々(しらかわ なな)>>68
【電撃銃〈ママラガン〉】>>73

赤石 竜也(あかいし たつや)>>69
【偽・竜化〈ドラゴン〉】>>121


瀬型 櫂(せがた かい)>>4
【炎真〈フレイムアドミニスター〉】>>56

神崎 風子(かんざき ふうこ)>>7
【キャンセラー】>>57

糸色 凶 (いとしき きょう)>>129
【亡者共鳴〈アズラエル〉】>>131


和田(わだ)>>26
【???】

若見 奈恵(わかみ なえ)>>77
【???】

四十万 力(しじま りき)>>78
【???】

矢吹 奏司(やぶき そうじ)>>79
【???】


岩崎(いわさき)>>42
【聖槍・魔槍】>>45

浅野 真也(あさの しんや)>>20
【暗殺者】>>20

黒町 美知子(くろまち みちこ)>>94
【温度変化〈ホット&コールド〉】>>97

図書館内部。凶は椅子に座り、本を読んでいる。

凶「……」

櫂「……」

二人とも、無口だった。

櫂「ねえ」

反応がない。目を凝らすと、凶の足元に鉄球と大鎌を確認できた。

櫂「……怪しいものじゃないよ」

しばらく黙り込んだ後、パタンと音を立てて本を閉じた。そして、気怠げに口を開く。

凶「誰ですか?」

櫂「瀬型 櫂。剣を使う白衣の男を探している」

凶は勢いあまり椅子を倒して立った。

凶「きょうも同じです!」

寺の一室に二人はいた。
その一人、気怠そうな青年が言った。

奏司「頃合いかな。逃げようか」

風子「え……?」

奏司「奴らはもう暴走しかけている。これ以上関わっても無駄だ」

風子「あの人たち、何を企んでいるの?」

奏司「それを知る必要はない」


矢吹 奏司の異能>>143->>145から

【奏でる者(シンフォニア)】
🎧と聴いている音楽を媒体に鎧や武器を作成する
武器は聴いている音楽にょって変化する

【擬音(オノマトペ)】
擬音を具現化する能力。様々な擬音から連想される音を具現化する事ができる。例えば「ザーザー」だったらその言葉が相手の頭の上に出て来て雨を降らせたり、「ドカーン」だったらその言葉が出て爆弾に変わる。ただし直接聞いた音ではないと能力が使えないが録音した音だったら能力が使える。

【奏でる者(シンフォニア)】
ヘッドホンと聴いている音楽を媒体に鎧や武器を作成する 。
聴いている音楽によって効果が変わる。


奏司「お前のような子供まで巻き込んで、和田は何のつもりなんだ?」

風子「歳はあなたとあまり変わらないと思うけど……」

奏司「そういう冗談は好まない」

風子「本当だよぉ!! 高校生だもん!」

奏司「……まあいい。とにかくここから離れる。仲間がいるんだろう?」

風子「うん。瀬型君って人が私を探しているはず!」


はあ、と溜息をつくとヘッドホンを装着して歩き始めた。

奏司「この先に抜け道がある」

寺を抜けしばらく行くと古いトンネルがあった。
その手前で仁王立ちをする筋骨隆々な男、四十万 力だった。
満足そうに口角を上げ腕を組み、言った。

力「和田が教えてくれたんだよ! テメェが裏切るってな!」

奏司「下がってろ。すぐに片付ける」

力「ガハハハハ!! お前のそういうところ、心底嫌いだぜぇッ!!」



四十万 力の異能>>149->>150

【剛腕(パワード)】
自分の身体能力を自由に上げる
ただし、能力前に使う身体の能力が基準でそこから落とすことができない

【脚力(フットパワー)】
そのまんま脚力がすごい。
蹴りが強いだけでなく、ジャンプ力も高く足も速い。
ただし上半身は一般レベル。

【脚力〈フットパワー〉】
そのまんま脚力がすごい。
蹴りが強いだけでなく、ジャンプ力も高く足も速い。
ただし上半身に変化はない。


力はその脚力をもってして瞬時に奏司の間合いまで入った。後手に回った奏司はまず、こちらに迫る筋肉男の突進を防ぐことだけを考えていた。


奏司「【連なる堅甲の遁走曲】!!」


【連なる堅甲の遁走曲〈フィルムシェル・フーガ〉】。奏司の【奏でる者〈シンフォニア〉】によって発動する鎧の楽曲。内側から常に新しい膜が張られ続けるので、どのような攻撃にも抜群の防御性能を誇る。


力「しゃらくせえぇぇぇ!!」


その【脚力】をふんだんに駆使して、人間のそれとは思えない不規則かつ超高速のフットワーク。さらにそこから繰り出される不可避の蹴り。


奏司「ッ……!」

脳が揺れ、視界が一瞬ぐらついた。

力「おいおい、守るだけかよ? 次行くぜぇ!」


片足を地面に突き刺し、回し蹴りの構えを見せたその時。【脚力】と【連なる堅甲の遁走曲】が発動前まで戻されていた。

風子「【キャンセラー】……!」


それは数秒にも満たない時間だったが、力の猛攻を途切れさせることができ、奏司に反撃の余地を与えた。


力「うおおぉッ?!」

奏司「やるな、子供。【絶えぬ世界の接続曲】!!」


出現したそれは、指揮棒だった。【絶えぬ世界の接続曲〈グレート・メドレー〉】は擬声語を操ることができる。【奏でる者】発動後に聞いたものでないと使用はできないが、脳内でイメージして指揮棒を振るうだけで文字を具現化させられる。


力「そんな貧弱な棒切れで何ができんだよ!」

奏司「お前の蹴りの音は既に聴いているんだよ」


指揮棒を振るうと二人の間に『ドグォン』の文字が現れた。力の蹴りがその音に達した時、威力は相殺された。

それからも、音と蹴りの応酬が繰り広げられていた。風子に迫る黒い影には気付かずに。

祐介達のいた公民館は跡形もなく吹き飛び、そこには【聖槍・魔槍】と【浄化】の光に溶かされたはずの岩崎がいた。


岩崎「俺復活ぅ~!!」

岩崎「うーん、何でだろうねぇ。何で負けたんだろうねぇ」

岩崎「まいっか」


一方、そこにいた四人は岩崎の力の暴発を【動物シール】の象で防ぎはしたが、遠いところまで飛ばされていた。

祐介「助かったのはいいけど、数秒後に死ぬよなこれ」

祐介「お、誰かいる」


その先にいたのは、交戦中の和田と美知子だった。

祐介「おーーい! 誰か助けてくれー!」

和田「おや……?」

美知子「え?」


二人がこちらに意識を向けた。和田は空中を歩き、祐介に向けて──


和田「真っ二つにしてあげますよ」


刃を向けた。


祐介「まあ、それなら……【レンタル】!! 頼むぜ!」


能力>>156

【ガス操作】
空気やガスを操ることができ、自身の体もガスに変えることができてその場合、物理攻撃はきかない。

【ガス操作】
空気やガスを操ることができ、自身の体もガスに変えることができ、その場合は物理攻撃が効かない。
ガスを出す際に能力者本人にはガスの影響はない。


和田「……なるほど」

祐介「助かったぁぁ!!」

美知子「どのみち助からない……」


和田の一太刀を、体を気体に変えて交わし地面に足を下ろした。


美知子「嘘……?! でも、それなら何故助けを求めたの……?」

祐介「訳ありでね。しかし、この状況はまずいよなぁ」

和田「君のその異能、見逃せませんねぇ。かと言って持ち帰るのも難しそうです」


──ならば、ここで殺すのみ。

目がさめた。柔らかい感触があり、布団の上に寝かされていることがわかった。そして、肩と左腕に痛みがあった。

御堂 恭弥は公民館から遠くない住宅にいた。


恭弥「痛ぇぇ……」


【ハート共鳴】に反応がある。近くに人がいるのだ。それも、すぐ横に。


いた人>>160->>161

皆本恭子
紫髪のツインテールのお嬢様な感じが漂う女の子。スタイルもよく巨乳

既存でしか無理なら風子で

間宮優一(まみや ゆういち)
気弱そうな中学生男子

皆本 恭子(みなもと きょうこ)
紫髪ツインテールのお嬢様な感じが漂う女の子。スタイルがよい。


恭弥「……そうか、爆発したんだ」

恭子「よかった、気がつきましたね!」

恭弥「君は? 助けてくれたのか?」

恭子「はい。横の家の屋根に降ってきたんですよ?」

恭弥「そうか。ありがとう! 俺は御堂 恭弥。異能は……君も異能を?」

恭子「異能ですか。……はい、持ってます。恭弥さんもなのですね」

恭弥「……」

恭子「わ、私は! 皆本 恭子ですっ! えと、名前が似てますね! 漢字はこう書くのですが……」

恭弥「お、この字一緒だ」

恭子「本当ですか?! えへへ、何かの縁を感じますね」


皆本 恭子の異能>>163->>165

>>130(+武器も変わる)
例えば、ナース服なら武器は大きいお注射で回復系の技が使えるようになる
チャイナ服なら身体能力が全体的に上がり拳法を技を使えるスタイルに

【マッドメディック】
あらゆる医療関係の道具(レントゲンや、救護車両、集中医療室などの大型機も含む)を召還&属性付与&武器にできる。効果は確かだが、攻撃も治療も激痛を与える。麻酔は一応ある。

原動力は誰かを助けたい気持ちなので、ハート共鳴と愛称がとても良いと思う

【マッドメディック】
あらゆる医療関係の道具(レントゲンや、救護車両、集中医療室などの大型機も含む)を召還&属性付与&武器にできる。効果は確かだが、攻撃も治療も激痛を与える。麻酔は一応ある。


恭弥と恭子は互いのことや、異能についての情報を共有した。


恭弥「それで恭子の異能を使って治してくれたのか?」

恭子「はい。せんぱ……恭弥君の【ハート共鳴】って飛べるわけじゃないですよね?」


恭弥君、という呼び方は一つ年下だと知った二人が五分間に渡る議論の結果折り合った形だった。


恭弥「飛ぶ? そうだ。祐介を探さないといけない。どこかに飛んでいくのを見たんだ」

恭子「いけません、恭弥君はまだ怪我人です!」

恭弥「……なあ、救急車とか出せないのか?」

恭子「だ、出せますけど……」

ジャックと秋斗は【動物シール】で大鷲を出して無事に着地していた。


ジャック「秋斗の象がなかったら死んでいたね」

秋斗「兄ちゃん達大丈夫かな?」

ジャック「あの人達ならどうにかしてそう」

秋斗「たしかに! あははは」

ジャック「……今、車が走って行った? そんな音がしたんだけど」

秋斗「ん? わからなかったなぁ」

ジャック「しばらく近くに身を潜めよう。疲れたしね」

彩「あそこに誰かいるね」

いろは「……二人かなー?」

うらら「いろは目いいね!」

いろは「どうかなー。ギリギリ見えるだけだよ」

奈々「二人ね。よく見えるわ」

奈々は【電撃銃】で狙撃銃を出し、スコープを覗いていた。

剛也「あひゃひゃひゃ、それはずるいぜ」

彩「大きいお姉さん、その人達は友好的に見える?」

奈々「あー。……戦うしかないわね。たぶん」

いた人の
名前
容姿>>169->>170
異能>>171

照喜名 光(てるきな ひかり)女
服装が派手で、ギャルの格好をしてる。

波魔 圧郎(ハマ アツロウ)男

口が少なくギョロ目。総司令官のような軍服を着た男。常に堂々としている

朝比奈(あさひな)くるみ
ツインドリルの茶髪。スマホをいじっている今時の女の子な感じ
能力なら安価下

波魔 圧郎(はま あつろう)
口が少なくギョロ目。総司令官のような軍服を着た男で、常に堂々としている。

圧郎の異能【剛腕〈パワード〉】
自分の身体能力を自由に上げる 。
ただし、能力前に使う身体の能力が基準でそこから落とすことができない。


照喜名 光(てるきな ひかり)
派手な服装でギャルっぽい。

光の異能>>175

【妖精姫(フェアリープリンセス)】
妖精に変身する能力。背中に妖精の羽が生えていることで飛ぶことが可能。さらに特殊な鱗粉出すことができ、それを受けた相手は一時的に麻痺したり眠ってしまう。
妖精なので自身の体を小さくする事ができる。

奈々「おかしいわね。片方が消えた……?」


【豪腕】を持つ圧郎は自由自在に身体能力を強化できる。それは、徐々に加速していく純粋な力だった。


光「いってらっしゃーい、おじさん! ……って聞こえてないな」

光「スマホあればキャスできたのにもったいないなー」


圧郎は思い切り助走をつけ、竜也の顔面めがけ真っ直ぐに跳躍。剛弓より放たれた矢の如く打ち出す蹴りは、空駆ける竜を射落とした。


圧郎「容易いな」

彩「うぅ、何なの?! 制御できない……!」

うらら「え、ええ?!」

いろは「みんな、捕まって! 」

剛也「あひゃひゃひゃ! 彩ちゃーん」

彩「やめろ! 触るな!」


一同、墜落。

竜と化した竜也がクッションになりほぼ全員が無事だった。しかし、本人には【偽・竜化】が解けるほどのダメージがあった。


うらら「赤石さん……!!」


竜也の腹部にはぽっかり穴が開いていた。


いろは「大丈夫だよ! まだ生きてるから!」

彩「いろはさん、任せて大丈夫?」

いろは「うん!」


竜也が虹に包まれる。しかし、傷の程度から時間を要することは免れない。


圧郎「女子供ばかりか。さて、どうする。誰が来る? そこの貴様か」

剛也「あひゃひゃ、俺はおっさん嫌いなんだよ!」

光「来ちゃった」

圧郎「勝手にしろ」

剛也「そうそう、おっさんより時代はフェアリーだろ!」

彩「相手は二人、こっちは四人だよ! 分散させて戦おう!」

奈々「ええ。そこの妖精さん、撃ち落としてあげるわ」

うらら「ええと、私は……」

圧郎「行くぞ。まずは20%といったところか」

彩「……【使用窃盗】ッ!!」


指定安価は>>179

思い付かないので安価↓

彩「【マッドメディック】ッ! とりあえずメスを。すごく切れるやつ!」

圧郎「刃物を持ったところで貴様は勝てない。私の力はまだ止まらない」


拳を彩に向けて構える。冷静を装っているつもりの彩だが、先ほどの蹴りの威力を見た故に怯えていた。


うらら「彩ちゃん……!」

彩「あの人は純粋なパワー型っぽいから、うららさんは下がってて! こっちも危ないことしないと勝てないから……!」


うららは目に涙を浮かべていた。小学生の女の子が、怯えながらも勇気を振り絞って大男に立ち向かわんとしているのに、自分は何もできない。武器はストックしていなかったのだ。


圧郎「ふんッ!!」


まさに豪腕。その一振りで周辺の瓦礫やチリが吹き飛んだ。本能的に威嚇をしていたようだ。圧郎は徐々に高ぶる力を感じつつ笑みを浮かべていた。


彩「属性付与……? そうだ!」


彩は医療用のアームを魔改造し、巨大かつ全ての指先からレーザーを射出可能な兵器を五機作り出した。


圧郎「他愛ない。本体を潰せば済む」

彩「うぅ……レーザー、一斉射出っ!!」


圧郎は駆け出す。地面には深く足跡を残しながら。

圧郎「死ね、子供」

彩「そのまま殴るの、おじさん? このメスすごく切れるんだけど」

圧郎「試してみるか?」


思い切り拳を振るう。彩は刃先を向け、目を閉じた。圧郎の右ストレートは軽々とメスを粉砕し、彩の眼前で止まった。


圧郎「生意気な子供だな。少しいたぶってやろうか?」

彩「お……おじさん趣味悪いねー。それに何だか臭いし?」


これは彩なりの作戦だった。この一瞬の間で熱線が圧郎に照射された。しかし、圧郎は動じなかった。


圧郎「無駄だ。既に私の力が上回っている」

彩「うそ……?!」


助けを求めようと辺りを見渡す彩。しかし剛也と奈々は近くにいなかった。うららは後方で立ち尽くしている。目を凝らしてみると口元を押さえて目を閉じていた。

圧郎「……悔やめ。そして訂正しろ」

圧郎は片手で彩の両手首を押さえ、足を外側から添える形で身動きを封じた。目は血走っていた。


圧郎「見てみろ。この指、どうするかわかるか?」

彩「い、いやっ……」


指がへその上あたりにめり込んでいく。肌を破り幼く柔らかい肉を押しつぶす。


四肢を封じられているため、もがくことすら許されない。
痛みが明確になるにつれて更なる恐怖、喪失感、そして痛みが彩を襲う。


彩「いやっ……やめろっ……いだぃぃ」

圧郎「思い上がるなよ子供。逆らわず死んでおけば楽だったろうに」


レーザーもメスも、そしてドリルも効かない。


うらら「私は……」


この異能戦が始まってから、うららは自身を戦えもしないゴミクズだと思っていた。異能は実際攻撃的なものではない。
赤石が竜化した時に逃げることしか出来ず、そして今現在も呆然と立ち尽くすのみである。
葛藤の中でうららは壊れる寸前だった。彩が死ねば、次は自分だ。それ以上にこの状況で無力なことに吐き気がする。


うらら「私は……。私は死んでもいい? そう、無能だから?」


しかし、奈々が助かったのは紛れもなくうららの功績だった。そのことを考慮できないほどのパニックに陥っているのだ。


私の異能は全てを収納する。考えたことは無かったけど、向こう側はどうなっているのだろう。
このまま彼女が殺されるのを見過ごす? 何か行動を起こす? 次に間違えれば確実に無能だ。生きる価値無し。いや、どちらにしろ確実に殺される。


彩「う……うららさんっ! ぐぅっ……たすけて……ッ!!」

圧郎「 興ざめだな」

うらら「彩ちゃん……?!」


思いがけない叫びにうららの葛藤が吹き飛ぶ。
胸に手を当てる。今は、今だけは不必要な感情を仕舞い込むことにした。

うらら「彩ちゃんを話せえぇぇぇ!!」


圧郎めがけて全力で走り出す。圧郎はうららの方を見ながら彩に突き刺さった指を弄る。


圧郎「ほう、向かってくるか。蛮勇だな」


近くに落ちている小石を次々と投げる。その全てが並みの銃弾を上回る威力を持っていた。


うらら(致命傷以外は気にするな……! 触れれば勝ちなんだっ)


身体中に切り傷が出来た。前に進めなくなり得る石は全て【コレクター】で予め持っていた金属でいなした。異能を用いて収納することは、できない。左肩に石がめり込んだが、足は止めなかった。


残り十歩。嫌な予感がした。


うらら「うおおおぉぉぉッ!!」

圧郎「救おうとした子供を目の前で殺されるのはどんな気分だ?」


指を抜き拳を振り上げた。彩の腹部から血が溢れる。


圧郎「挽肉の出来上がりだ」


──爆発。一瞬で二ヶ所、その異能が行使された。


圧郎「む……」


そのうちの一つは圧郎の顔面。そしてもう一つは


うらら「届けぇぇぇ!!」


うららの背中だった。脳を揺らす衝撃も、熱さもその精神の前には害を為さない。圧郎が意識をうららに向ける。
しかし、確実に触れることのできる距離だ。誤算があるならば、圧郎の身体能力が加速していることだった。


丸太のような腕が、うららの腹を貫いていた。


うららは勝った。圧郎は収納され、異次元空間に固定されたのだ。うらら自身、自分がもし死んだ場合にどうなるのかはわからなかった。彩が異能で医療用具を出現させていたのを見て、そこに希望を持っていた。


彩「やったね……。でも、【マッドメディック】返されちゃった」

うらら「……そっか。いろは……。いろはに治して……もらおう……」


彩が辺りを見渡すが、いろはや赤石の姿はなかった。


彩「……うららさん」

うらら「うん、なんとなく……嫌な予感はしてたんだ」

彩「うららさん、ありがとう。強いよ。異能なんて関係ない。心であいつに勝ったんだ」


気を失う前に見たのは、微笑むうららの顔だった。そこに後悔はなく、でももう少し生きたかったと名残惜しさがあった。

奈々と剛也は、光を圧郎から分断すべく【雷撃銃】と【狂気の爆炎】で応戦していた。

光は【妖精姫】の飛行能力を駆使して超速で躱していく。
しかし、圧郎が威嚇のために放った空振りで光は遠くまで吹き飛ばされ、二人はそれを追った。


光「最悪なんだけどー。あのおじさん何考えてるの?」

剛也「あひゃひゃひゃ! 見つけたぜ、フェアリー!」

光「気持ち悪いのもついてくるしー。おじさんと早く合流してやっつけてもらうから」

奈々「そうはさせないわ。あなたはこの【雷撃銃】が撃ち落とす!」

剛也「そうだな、向こうでロリが頑張ってるんだよ殺すぞ」

光「なに?お兄さんヘンタイじゃん! えー、動画撮って拡散しなきゃ!」

剛也「チッ……お前らが小学生の頃はそんなのじゃなかっただろうが!! 腐れフェアリーがよぉぉぉ!!」


変態の遠吠えだった。


光「元気だなぁ。そろそろ効いてくるはずだけど」


その言葉の意味を勘ぐり始めた剛也と奈々は己の体が麻痺していることに気がついた。

剛也「動けねぇ……」

奈々「くっ……!! 【電撃銃】!!」


二発の電撃が空飛ぶ妖精の近くを通り過ぎる。


光「ざんねーん! さあて、すぐに眠たくなるはずだよー! その後はおじさんに殺されるのみ、だね~」

【狂気の爆炎】の標準が狂う。まぶたが重く、視界も保たなかった。【電撃銃】は狙うことはできたものの、全く命中する気配がなかった。

剛也「あ、やばい。目開かないわ」

奈々「寝たら死ぬわよ……!」

光「寝なくても死ぬよー」


落ちていく意識の中、考えたのは彩のことだった。


剛也「まだ名前呼ばれてねえよ」

奈々「はぁ……?」

光「じゃあたし行くねー。ばいばーい!」

剛也「俺の目を撃て。片方だけだ」

奈々「何を……」

光「もー、寝言は寝ていいなよ? 目覚めることはないから安心して何でもほざいてなー」

奈々「本気なのよね? 狂ってるけど……」

剛也「早くしろ。覚悟は出来てる」


奈々は霞む視界を凝らして【電撃銃】を構える。すでに起き上がることすら不可能で、地面に寝そべったまま標準を合わせる。

バチッ

まぶたを突き抜けて眼球を焼かれる痛み。まさに、狂気だった。その衝撃は剛也を冷静に狂わせる。


剛也「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁぁぁ!! 痛ぇぇ!! 目ぇ開いたぜぇぇ!!」


潰れた左目など意に介さず【狂気の爆炎】を発動。剛也の覚悟に共鳴するように増長したパワーは、目に見える範囲全てを爆破させた。

肉の一欠片も残すことなく焼き払った。ついでに周囲の鱗粉も払っていた。


剛也「そう、覚悟なんざロリコンになった時にもう出来ていた。チッ……痛えな。それより彩ちゃんだ。おいライダー、スコープ出せよ」

奈々「うぅ……すぅぅ……」

剛也「おいゴルァ!!」

奈々「う、ええ? 寝てた?」

剛也「あひゃひゃ、そんなことどうでもいいんだよ。早くスコープ出せや」

奈々「わ、わかったわ。はい、【雷撃銃】」


銃本来の構え方ではなかったが、遠方を伺えるのならそれでよかった。見えたのは、立ち向かううららと、愛しき少女を愚弄する男だった。
そこからは早かった。今一番、可能性のある方法を考え実行するのみ。全ては彩のために。

時を少し遡り運動公園。祐介は【ガス操作】、美知子は【温度変化】で和田と交戦していた。


祐介「瞬間移動できるのかよ!!」

和田「空も歩けますよ」

美知子「なんで攻撃を読めるの?!」

和田「美知子君、甘いですねぇ。そして君も甘ったるいことこの上ない」


その時、運動公園に救急車が来る。恭弥と恭子が降りる。

恭弥「祐介ぇぇ! 探したぞ!」

祐介「恭弥! 無事だったか! だが来るなよ、このおっさん強いぞ」

和田「ほう、親友ですか。この戦いにも飽きてきたところです」


和田は恭弥のすぐ後ろに転移、胸をひと刺し。目を見開く祐介を見てほくそ笑んだ。


祐介「恭弥ぁぁぁ!!」

恭子「きゃぁぁああああ?!!」


鮮血が和田の太刀を伝う。祐介の顔つきが変わった。周囲に力の渦ができ、両手が火炎のごとく輝く。

祐介「────【強欲な借り主〈レンタル〉】ッ!!」

祐介「更なる力を……貸してくれッ!!」

指定安価は>>192->>193

【吞み喰い〈グラトニー〉】
自らの周囲に泥の様に濁った穴を展開させる。
穴は使用者の任意で物質や能力による力を吸い込み、吸収する。
吸収した力の数程穴の展開出来る個数を増やす事が出来るが、一定量の力や物質を喰らうと穴は閉じてしまう。

【修正時間〈リバースタイム〉】
人やモノの時間を自分が触れることで自分の好きな時まで直す(戻す)能力
傷ついたり、壊されたでもなくても自分が前の形や原材料などを知っていればその時まで元に直せる
また自分に使うことも可能でまた直すときに途中介入して最終的に形などを変化させることも可能


簡単に言えば自分にも使えるようになったけど、スタンドがないジョジョのクレイジー・ダイヤモンド

祐介「ありがとよ……!」

和田「なるほど。何でも吸い込む穴と直す力ですか。しかし期待に応えてくれて嬉しいですよ。これで殺し甲斐もあるってものです」

祐介「安心しろ。……お前は俺が殺すッ!!」

美知子(駄目。きっと和田さんの異能を解明しないと勝機はない……!)

恭子「私の【マッドメディック】で……!」


恭子はその異能を攻撃に使おうとはしない。それは現状況で和田を殺め得る可能性が最も高いことを考慮した上での結果だった。
祐介が展開した泥穴を和田が切っていく。和田の持つ太刀は異能の副産物なので泥穴を潰した後再び出現させることができる。


祐介「しかし手強いな、おっさん」

和田「まだまだ若いものに負けてられませんからねぇ」


和田の異能は【六神通〈ヴィパッサナー〉】。
神足通、天耳通、他心通、宿命通、天眼通、漏尽通の六つの力からなる能力だった。和田の太刀は宿命通によるものだ。

神足通で転移や空中浮遊をし、他心通で心を読んでいた。


祐介(あの子、救急車を出していただけあって治療ができるのか……?)

和田「そのようですねぇ。優しいお嬢さんだ。しかしよそ見をされるとは、心外ですねぇ」

祐介「うるせぇ、心読むな! どういう異能なんだよそれ!」

祐介「待てよ、今俺何を……」

和田「ただの暴言だと思いますが」

祐介「うるせぇ。何だこの違和感は……」


和田の異能を解明すべく、美知子は観察していた。しかし答えにはたどり着けなかった。


祐介「決め手にならねぇか……?」

和田「いえ、君の引き当てた能力はどちらも協力ですよ。強いて言うならつかいこなせていない君に問題がありますねぇ」

祐介「クソが……!」

和田「異能を使いこなすというのは、こういうことですよ」


和田が露の構えをとる。そこからは一振りのみ。しかしそれは、緩急と転移を組み合わせて発揮する斬撃と突きの六撃。最初に目の当たりにした若見 奈恵はそれを【仏の斬〈ヴィパッサナー〉】と呼んだ。

脳や心臓を狙った二撃は【呑み喰い】で防いだ。しかし、祐介は残りの【仏の斬】を受けてしまう。

祐介の左腕が切り落とされ、血が吹き出る。


祐介「なッ……?! 【修正時間】……!」


右腕もほぼ切断されていた。ただ肉として繋がっているだけで、動くことはなかった。


和田「さあ、終わらせましょうか」

祐介「……やめろ」

和田「それは無理な相談です」


もう一度、露の構えをとる。和田は【仏の斬】を使うことはできなかった。


和田「おや……」


目の眩む閃光。その後、和田の右肘から先が焼け落ちた。
和田が首切りを中断し振り向くと


恭弥「テメェ人のダチの腕千切ってんじゃねぇよォォォッ!!!」


恭弥は今こそ、高鳴る命の鼓動を破壊のエネルギーに変える時だと確信していた。

刻むのは怒りのビートだ。

【修正時間】は体のどこかで触れなければ発動しない。それは自身に対して発動する場合も同様で、現時点で祐介が体を直す可能性はほぼない。

美知子は未だ思考を巡らせている。和田が恭弥の攻撃を避けなかった、読めなかったのには理由があるはずだと。


祐介「恭弥! 助かったぜ……!」

恭弥「おう。ざまあみろ!」

和田「……」

美知子(心を読めるとして、何か条件があるのはわかる。でもそれを確かめないと手は出せない……!)


恭弥の傷は完全に塞がっていたが、【ハート共鳴】のエネルギー弾を打ち出した反動は大きい。息を切らせている。
すぐ後ろにいる恭子は、和田の落ちた腕を視界に入れないように目を伏せていた。

和田はにっこりと笑みを浮かべながらもこれまでにない感情を胸に秘めていた。その先がなくなった腕からは定期的に血が吹き出る。焼け焦げた人間の肉の匂いが鼻の奥を突く。

泉のように湧き出る感情が何を表すのかはわからなかったが、見出せるものがあると判断し、逃げた。追ってくるものなどおらず、容易だった。


祐介「行ったか……」


祐介は腕が切断され痛みも酷いはずなのに冷静になっている自分に気がついた。腕ばかり切れてるなぁ、と思った。


恭弥「恭子、頼む」

恭子「……はい。この布を噛んでください」


【マッドメディック】の激痛。痛みがさらに強い痛みを上書きしていく。慣れることも痺れることもなくのたうち回る。


恭弥「そうそう、痛えよな。でもすぐ済むぜ」

恭子「左腕は繋がりました。……右腕の断面の損傷が激しいです」

恭弥「繋がらないのか?」

恭子「できます。ただし……」


恭子の提案に対して恭弥は涙を流しながら頷いた。

矢吹 奏司と四十万 力の交戦中。
それを見守る風子の背後には【暗殺者】の異能を持つ浅野 真也がいた。


真也「声を上げるな。そちらに刃物を向けている」


多くを殺すために強いものの下についた真也ではあったが、任せられたことといえば偵察や護衛だけだった。彼の気配遮断能力や、ナイフ術は異能に頼るものではなく殺すために考えた独自のものだ。


風子「……!」



【暗殺者】の詳細>>200

能力や読みなど

【暗殺者(キラーキラー)】
暗殺するターゲットを選んでその相手に合う武器を出現させる
安価下

【暗殺者〈キラーキラー〉】
暗殺するターゲットを選んでその相手に合う武器を出現させる 。投擲すると対象を自動追尾し、それを回避するには武器自体を破壊するか異能を解除する他はない。


真っ向勝負に向いていないが、暗殺対象の意識外から最適の武器で仕留めることのできる異能だ。しかし、出てくる武器が必ずしも使いこなせるわけではないのでナイフを携帯している。


力「しかしわからねぇ。なぜ裏切る? そのガキにそれほどの価値があるとは思えねえよ」

奏司「もののついでだ。というのでは不満か?」


力の異能が加速していく。もはや、止まることなどできない。


奏司「そろそろ本気出す」

瀬型 櫂と糸色 凶は和田を探していた。


櫂「……」

凶「……」


凶は櫂の右肩に抱えられている。不思議だという表情を浮かべていたが、なぜか安心したのでそのままでいた。
二人の前に立ちはだかる者がいた。



名前
特徴>>205->>206から

名前:雨音 奏(ウネ カナデ)
特徴:水色ジャージの高校女子。運動抜群で、爽やか元気。意外と手先が器用であることに驚かれてる。

(自分の異脳を何故か相棒のように慕っている)

名前:口無 玄互(くちなし げんご)
特徴:ロングコートを着ていて、目付きが悪い。口元にガスマスクをつけている。

雨音 奏 (うね かなで)
水色ジャージの高校女子。運動神経抜群で、爽やか元気。周囲には意外と手先が器用であることに驚かれてる。


奏「やあ、こんにちは!」

櫂「……」

凶「……」

奏「あのぉ~」

櫂「知り合い?」

凶「……知らない人です」

櫂「そっか」


有無を言わず奏に【炎真】を放つ。しかし奏は反射的に交わしていた。異能ではなく、自らの身体能力で。


雨音 奏の異能>>208->>209から

【雨の日の友達(レインロイド)】
水色の液体型異能モンスター(スライムに近い感じ)。意思があり、まるで生き物用に自分で考えて行動できる。
主に水を自由自在に操ることができ、こいつ自身は液体で基本的に物理攻撃が効かないのが特徴(例外はあり)
雨の日や水の中だとさらにパワーアップできる。また、その使い手によって関係が変わる。

奏とは友達のような感じで

水族空間(ウォーターエリア)
自分を中心に水球を展開する
最大直径は50メートルくらい
自分の息が続く限り展開可能
外から中に入ることは可能だが中から外へは出られない

【雲の天気(クラウド ウェザー)】
雲を操ることができる能力。体から雲を出して、そこから雨、雷、嵐、雹を降らすことができる。さらに体を雲に変えることができてその時はどんな攻撃も効かない。能力発動する際、雲のように体が浮くことができる。それを応用して西遊記に出てくる筋斗雲を作って空を自由に飛行が可能。

【雨の日の友達〈レインロイド〉】
水色の半固半液体の異能。自律型で、液体になることもできる。雨天や水中ではさらに強力になる。


凶「……はぁ。【亡者共鳴】」


臨戦態勢に入り異能【亡者共鳴〈アズラエル〉】を発動させる。大鎌と鎖で繋がれた鉄球が出現する。
この戦いの最序盤に殺された者の異能で、卓越した力こそないものの使いこなせる技量が付与されるため汎用性は高く、凶との相性も良い。


奏「無視は辛いなぁ。……と思ったら急に火を出してくるなんてねー」

櫂「用が無いなら去れ」

奏「うーん。用が無いと言えば無いんだけどなー。ボクの異能って水みたいなものなんだけど、キミは火だったし」

櫂「……?」

奏「これは熱いライバル展開じゃないかなーって思うんだよ!」

凶「……時間の無駄です。それに、きょうはこの人苦手です」

櫂「そうだね」


二人は再び歩き出す。奏は熱心に【雨の日の友達】について語り、せめて仲間にしてくれと懇願したが、やはり無視されるのだった。

思考が回らない。視界がぼやけ、耳鳴りもする。桃月 いろはは飛んできた瓦礫から竜也を庇い下敷きになっていた。


付近に竜也の姿はなく、戦いの気配もなかった。


いろは「動けない……!」


焦燥感。汗がにじむ。
その時、いろはを圧迫する瓦礫が吹き飛んだ。


剛也「お前の力を貸せ。仲間が一大事だ」


いろはは剛也のその姿に唖然とした。片目から血を流し身体中が煤にまみれていた。

微笑んで死んでいったうららと涙を流し気絶した彩。
剛也と奈々がうららの死を確認し、それを聞いたいろはは彩の治療を始めた。

何が起きたのかはわからない。でも、満足したような、でも何かを諦めたような微笑みはその場の皆の涙を誘った。
奈々、いろは、そして剛也でさえ残された片目で涙を流していた。

【施命〈アイリス〉】が完了するのに時間はかからなかった。意識が戻った後の彩はそこで起きたことを大まかに説明し、やはり泣いた。


剛也「……【施命】だったか? それでも死んだやつを生き返らせるのは無理なのか?」

いろは「やったとしても元の命がなければ無駄……だと思う。きっと別の生き物になるから……」

彩「……このままでいいよ。でも、傷は治して弔おう。大切な仲間だから」

しかし、死人を想う暇もなく彩たちに近づく者がいた。
それは【聖槍・魔槍】の岩崎ともう一人。

その者が持つ異能は【神の寵愛〈レンタル〉】。
異能を一時的に借りる異能。


名前
特徴>>215->>217から

逆瀬川 逆巻(さかせがわ さかまき)
逆巻いた髪型をした細マッチョ男
下克上や逆転を好み、弱い者の味方につく

名前:山畑 ヤエ (ヤマハタ ヤエ)
特徴:電動車椅子の老婆。日記帳を大事に抱えている。目は閉じて見えるるが、視力はある

愛園(あいぞの)ゆかな
金髪のツインドリルのお嬢様。赤いドレスを着ている

逆瀬川 逆巻(さかせがわ さかまき)
逆巻いた髪型をした細マッチョ男 。
下克上や逆転を好み、弱い者の味方につく。


逆巻「二対四か。オレの大好きなシチュエーションだぜ!」


その言葉で一同が応戦の構えを見せる。明らかに戦うことを前提とした接近だと察したからだ。


逆巻「やはり部が悪いか……? ここからひっくり返すのが面白いんだが」

岩崎「どっこいどっこいですね、どっこいどっこい」


彩は先の戦いのように犠牲が出るのを恐れていた。


彩「いろはさん達三人でグラサンお願い!」

逆巻「あえて一人になるか。よほど自信があるようだが……?」

彩「さあね……!」

逆巻「普段は弱き者に力を貸すことを信条としているが、此度ばかりはそうも言えないらしい。いや、目前の少女を弱者ではない」


彩「……【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】」

逆巻「【神の寵愛〈レンタル〉】ッ!!」


──戦いが始まる。


【神の寵愛】の指定安価>>212
【使用窃盗】の指定安価>>213

逆巻「【神の寵愛〈レンタル〉】ッ!!」


──戦いが始まる。


【神の寵愛】の指定安価>>223
【使用窃盗】の指定安価>>224





訂正

影人形劇場〈シャドウロール〉
視認した人の影を実体化させて操作
身体能力は元の人と同じ
また自分の影人形を他人の影人形と融合させることで身体能力がプラスされ、元の人の能力をその影人形が行使できる
ただし融合させている間は、自分はその場から動けなくなる

>>210

逆巻「【影人形劇場〈シャドウロール〉】ッ!」

彩「【雲の天気〈クラウド ウェザー〉】!!」


「──これなら勝てるッ!!」


彩「……って、えええ?!」

逆巻「ええ……ったく、真似するなよー。オレの異能とモロ被りしてるんじゃねーよ!!」


どこかから異能を一時的に持ってくる。ほぼ同一の異能を持ち合わせた二人はその本質を一瞬で看破した。


彩は逆巻の異能を警戒して雲化する。まずは上空から様子を見る。
逆巻は辺りを見渡した後、人型の影を六体生み出した。曖昧な輪郭だったが、確かに元の人間に対応したカタチをしていた。


彩「影の異能……? お兄さん、それ何なの?」

逆巻「そっちこそ。それはオレの知らない異能だが」

逆巻「悪いけど油断できねーからな。さっさと決着だ!」


六つの影が混ざり合う。混沌の巨人が出来上がる。


逆巻「オレの全霊を持って墜させてもらうッ!!」

彩「何あれ……! 油断したら死ぬかも……ッ」

影人形「【影・雷撃銃】」


曖昧な人影が取り出したそれは奈々の【雷撃銃】。彩は自身から落雷を発生させ撃ち合う。
二度、三度としのぐと影の動きが止まる。


影人形「【影・狂気の爆炎】」

彩「みんなの異能を真似してるんだ。チートすぎるっ」


マーカーをかわしつつ作戦を練る。


彩(さっきの影の数だけ異能があるなら……。狙うのは本体に限る!)


特大の雷を逆巻に向けて落とした。

それは生物でも有機物でもなく、そもそも存在の識別すら危ういようなものである。

逆巻「あっぶねぇ。余力を使い切ってもいい! 【影人形劇場】こういう敗色濃い敵に挑むのがいいんだよなァッ!!」


女性型の影を二つ盾がわりにした。雷は防げたが、【影人形劇場】で融合させた本体は小さくなっていた。


彩「やっぱり無理か。次は……!」


雨雲を次々と生み出し大雨と雹を降らせる。一帯が悪天候に見舞われた。


逆巻「ゾクゾクするねぇェェッ!! 絶対に勝ってやるよォォォ!」


そして、逆巻の咆哮に応えるように影の色が濃くなっていく。光すら吸い込む黒になる。


影人形「【影・魔槍】!!」


それは逆巻のエネルギーの大半をつぎ込むことによって放たれる絶死の暗黒光線。降り注ぐ雨や氷を消し去り雲を貫いた。その先には青空が広がっている。

荒れる空の下で【電撃銃】と【聖槍】の力が衝突していた。


岩崎「突然の豪雨! それから雹!」

剛也「あひゃひゃひゃ! 視界が悪すぎんだろー! 【狂気の爆炎】!!」

岩崎「いかが……どうでしたか?!」


爆発を容易くかわし、二槍を振り回す。


岩崎「しまいには骨が砕けるぞ!」

剛也「あっぶねえええ! あひゃひゃひゃ!!」

いろは「大丈夫っ! 私がみんな治すから」

奈々「怪我はしないに越したことはないわよ!!」


電撃を放つ狙撃銃が岩崎の胸を穿つ。しかし岩崎は倒れることすらなく、即時的な蘇生を果たした。


奈々「えぇ……」


この一瞬、誰よりも剛也は冷静だった。


剛也「今度こそ爆散しな!」


岩崎の体を覆うようにマーカーが出現し


岩崎「ビャァオゥッ!!」


抵抗の余地なくその全てを消し炭にした。

地面には【聖槍・魔槍】が突き刺さっていた。大人しく、眠るように。


剛也「チッ……君の悪い奴だったな」

奈々(ブーメラン……)

いろは「ねえ、あれ! 彩ちゃんのいる方だよ!」


それは【影・魔槍】を用いた力の放出だった。


剛也「ロリが危険に晒されているッ!! 行くぜ、お前ら!」

晴天。地面の雑草には露がついていた。


逆巻「この達成感、だからやめられねぇよ」

剛也「テメェ!! ロリッ娘をどこにやった?!」

逆巻「ああ、今片付けたよ」

奈々「……?!」

いろは「嘘……?」

剛也「死にさらせやァァッ!!【狂気の爆炎】!!」

逆巻「今日のオレは運がいいな! いいだろう、【神の寵愛】ッ!」



指定安価は>>232

【知らざれる者(アンノウン)】
能力発動時に自分以外の人間に感知されずに認識もされない能力。
一言で言えば完全なステルス能力
ただし、自分からモノや人から触れるとこの能力は解除される

安価下

逆巻「【光の御子〈ライトロード〉】! 真っ黒に焼け焦げな!」

剛也「あひゃひゃひゃ!! それはこっちのセリフだボケがァッ!」


爆裂。その瞬間だけ視界に大きなズレが生まれ違和感を覚えた。


逆巻「どこを狙ってるんだよ! ほらほら、オレはここだ爆弾野郎ッ!」

剛也「命中しただろ今の……!」



その頃奈々といろはは彩の捜索をしていた。しかし、発見には至らなかった。

遥か遠方から轟音とともに生まれる、この異能戦を象徴したランドマーク。それを視認した時、各々の脳内に声が響く。


「「間引きは終わった。塔の上で待つ」」


剛也「あひゃ?!」

逆巻「予想より早いな……! しかし……」


急に聞こえた声に意識を向けた刹那、剛也は油断していた。
閃光、そして腹の底に響く爆音。


剛也「うぐあああ!! ……は?」

逆巻「あ……」


雷に打たれたのは逆巻だった。彩は【影・魔槍】の攻撃を受ける寸前に雨と雹を降らせ視界を悪くし、細かい粒になって地面に潜伏していたのだ。そして、声により逆巻の正確な位置を把握した上での攻撃である。


彩「【神の寵愛】とやらの対象を変えた時点で負けなんだよ、お兄さん」

剛也「ロリ……ロ……ロリロッ娘……」

彩「えぇ……めちゃくちゃ泣いてるじゃん」

剛也「ばかやろー!嬉し泣きだ!」

彩「そんなの知らない。いろはさん達は? ていうか何あれ」

いろは「おーい! 彩ちゃん!」

奈々「……やっぱりその異能はズルいわね」

彩「えへへ。ところであの塔って」

剛也「変な声が聞こえたけどよぉ」

いろは「間引きは終わったって?」

奈々「そのままの意味じゃない? とにかく行ってみるしかないと思うけど」


四人は街の中央部にそびえる塔に向かった。

四十万 力の蹴りを【絶えぬ世界の接続曲】で防御する。力の脚力は本調子に近づき熾烈さが増す。
その際の衝撃を和らげるために体を逸らした。目に入ったのは何者かに刃物を向けられる風子だった。


奏司「……ならば【気狂い歌姫の狂騒曲〈クレイジーディーヴァ・レクイエム〉】 」


包帯で巻かれた顔で絢爛な衣装。三日月のように口を開いた歌姫が奏でる狂気。それを聴いている以上、行動が制限され動くことができない。
その場にいる奏司以外の動きが止まる。元々は攻撃向けの異能ではなかったが、その歌声は精神攻撃になり得る。


奏司「俺のお気に入りだ。耳が幸せだろう?」

力「ッ……!!!!」


殺してやる、そう言わんとしているのが見てとれた。しかし構わず固まっている風子を抱えて走った。

色々な材料を寄せ集めて出来た塔。それは明らかに人間の技術力では不可能な大きさ、高さだった。
彩は昔どこかで見た神を目指して作られた塔の話を思い出していた。


彩「……どうする?」

奈々「すでに戦いの跡があるわね。でも、行くしかないんじゃない?」

いろは「危ない……よね。ううん、今更引き返すなんて出来ない」

奈々「そうよ!ラスボス倒して願い叶えてもらうしかないわよ!」

彩「ねえ、いろはさん。探したい人いるって言ってたよね」

いろは「……え?」

剛也「あひゃひゃひゃ! 何の話だ?」

彩「この二人連れて行きなよ。私はこの先で探す。もちろん抜け駆けとかじゃなく、命の恩人として友達として言ってるんだよ」

いろは「でも……」

奈々「はぁ……。ったく、ゲームでもこっちでもヒーラーにペコペコするのねぇ。いいわ、眼だけは良いし手伝ってあげる」

剛也「JKは俺の趣味じゃねえんだけど……。彩ちゃんなら一人でも大丈夫だろうしな」

彩「まあねー」

いろは「……ありがとう!」


一人一人が強力な異能を携える中でも友情や信頼は生まれるものである。

彩「梶原 祐介、目つきが悪い以外は普通の男の人。それだけで探せるかい!」

彩「でもまあ、いろはさんのために見つけるしかない!」

数度の命のやり取りの中積んだ経験から、彩には近づいてくる気配をすぐに察知できた。


彩「……いろはさん達じゃないよね。気合い入れよう」


来た人(既存でも可)
名前
容姿>>240

名前:火野 神威(ひの かむい)
容姿:オレンジ色の髪で、天然パーマ、額にゴーグルをつけている。身長が高くレザージャケットを着ている男子高校生。

神威「我が名は火野 神威ッ!! 趣味はドライブ異能は【功夫〈クンフー〉】、流派は蟷螂。後は拳で語り合おう!」


神威は衣服にそぐわない独特な構えをとった。高身長ゆえの長い手足も相まって迫力があった。


彩「後はって言われてもね。割としっかり自己紹介してくれてるよ、それ! 【使用窃盗】!!」



指定安価は>>243

>>150

彩「えー、肉弾戦なの? 女の子なのにー。【脚力〈フットパワー〉】!!」

神威「よくわからんが、御誂え向きの異能と見た。推して参るッ!!」

彩「探してるお兄さんじゃないし、手加減はしないよっ」


脚力に任せ思い切り回し蹴りをする。並みの人間ならその圧だけで脳震盪を起こすほどの威力だった。


神威「良い蹴りだッ!」


神威は独特の低い姿勢から上半身のみを捻りかわした。


神威「しかし単純な技だけで倒せると思うなよ? 隙あらばその首、刈り取らせてもらう!!」


蟷螂の絶技は滑らかな動きから緩急をつけて放たれる拳での連撃だった。

彩「スピードは互角……!」

神威「パワーはそちらが上ッ!!」

彩「でも……技量じゃ到底かなわないっ!」

【功夫】という異能にまで昇華された蟷螂拳は【脚力】の破滅的蹴りをかわしつつ、既に数度の技を彩に食らわせていた。


彩「やるね、お兄さん」

神威「そっちこそ。そろそろ仕留めさせてもらう!」

彩「その構え……!」


彩は蟷螂拳の低い姿勢に目をつけた。その馬鹿力をもってして片足をアスファルトの地面に突き刺した。


神威「フッ、まぬけ。それじゃあ動けないだろ!」


わかっていた。この好機を逃がさないように神威が攻めてくることも。


彩「迂闊だよっ!」


脚を思い切り突き上げる。その勢いを持ったままアスファルト片が神威を襲う。


神威「グッ……ウオオオォォォッ!!」


その拳は神速。彩の攻撃を難なく撃ち払う。舞う土煙の中、神威は全ての破片を刈り取った。


彩「だから迂闊なんだよっ!!!」


足元に集中したせいでガラ空きになった上部から振り下ろされる鉄槌。それはかかと落としだった。

彩「【脚力】が返された。うん、倒せたってことだよね」


砂煙で悪くなった視界の端、瓦礫の陰から誰かが出てきた。


和田「こんにちは、お嬢さん」


血塗れの白衣を纏う和田だった。
白衣の右腕部分は破られ、欠損した部分には包帯が巻かれていた。


彩「祐介さんじゃないよね。ううん、絶対違う」

和田「祐介……? ほう。彼を探しているのですか」

彩「知ってるの?」

和田「それはもう。でももう関係ありませんよ」


にっこりと笑う。左手にはどこからか出した太刀があった。


彩「……?」

和田「お嬢さんはここで死ぬのですからねぇ」

彩「なるほどね、わかりやすいよ。【使用窃盗】ッ!!」



指定安価は>>248

【異能殺し(キャンセラー)】
自分から半径1cmから徐々に範囲を広げてその範囲の異能力を無効にする能力
弱点は目(発動時に目に紋章が出る)。発動知友に目を閉じる能力が一度無効になってう

【黒い交渉人・ブラックネゴシエーター】


交渉のテーブルをその場に召喚し、交渉相手にイーブン以上の利益を確実に成立させる。例えば見逃すついでに相手の異能を一時的に強化させるなど。
ただし、交渉に応じない及び交渉人に危害を加えようとすれば黒鉄の巨人が現れて主をコックピットに収納、マナー違反の交渉相手に鉄槌を下す。

なお、出されたテーブルが破壊された時点で黒鉄の巨人が主を守るので、実質巨人の方がメイン。
元ネタはビッグ●ー

もしくは↑1で

彩「【黒い交渉人〈ブラックネゴシエイター〉】」


その異能は交渉が成立することを前提に前に結果を保証されている。たとえ決裂したとしても異能所持者の身を守ることが可能なため実質的に武力による脅しは意味をなさない。

交渉の際に提示した条件もまた【黒い交渉人】が確実に成就させる。


和田「なるほど。交渉しようというのですか」

彩「おじさん、優しそうだし?」


もちろん和田は彩の思考を他心通で読んでいた。


彩「おじさんの異能が何かは知らないけど、それを強化する。そのかわり私には攻撃できない」

彩「ってのは?」

和田「ふむ……。面白いですねぇ、【使用窃盗】に【黒い交渉人】ですか。似た戦い方を、いえ、異能を使うものを知っていますよ」

彩「へえ、それで答えは?」

和田「ではこちらからも。僕の異能は【六神通〈ヴィパッサナー〉】。その中には他心通といって人の心を読む力があります」

彩「うんうん。……え?」

和田「お嬢さんの考えはわかりました。その上で僕は、腕の完全な治癒と異能の強化を要求します」

彩「そんなことできるわけ……!」

和田「そのかわり、桃月いろは、浅田剛也、白川奈々には手を出しません」

彩「……! 本当に心を読めるらしいね。いいよ。でも、私にも今後危害を加えてはいけないってのも追加で」

和田「よろしい、では」

彩「うん。……交渉成立」


紛れも無い死の回避。和田は黒鉄の巨人を斬りふせるだけの余力があり、異能がそれを察知していたための結果だった。

和田の腕が少しずつ再生している。満足げな顔をして和田は塔の方へ歩いていった。

【黒い交渉人】は【使用窃盗】の戦闘終了と共に効果を失うという特性を受け付けないため、和田の異能強化と治癒、その他の条件は以後続くことになる。


彩「はぁ……。何なのあの人」


しかし、休むもなく新たな気配に気がつく。明らかに邪悪。


岩崎「どーもでぇす」

彩「えぇ……。死んだって聞いたんだけど」

岩崎「目の前におるじゃん」

彩「……?」


岩崎の持つ一対の槍が振るわれる。すでに戦いは始まっている。


彩「そろそろ負担が大きいんだけど。……【使用窃盗】」



指定安価は>>251

【限界不死鳥(リミットフェニックス)】
不死鳥に変身する能力。炎を操ることができる。他にも羽を飛ばしたり、足の爪で攻撃することもできる。しかし長く不死鳥の状態でいると能力者の体が暑くなり、最後には体が燃えるおそれがある。能力を解除すればそれが回避でき、能力を解除したまま5分でまた能力が使える。(5分になる前でも使えるがその場合、体温が下がりきってないので能力を使う時間が減る。)

彩「【限界不死鳥〈リミットフェニックス〉】!!」

彩「あっつ!!!」


朱い煌びやかな羽を広げた。体全体が高温の炎に包まれる。


岩崎「ほほ~」


強烈な熱風に身をのけぞらせる岩崎。


彩「すぐに燃やし尽くしてあげるっ!」

岩崎「こっちも容赦はしないけどな!」


矛先が炎の中心部に向けられる。

三度頭を潰し五度胸を抉ってもなお立ち向かってくる岩崎に彩は恐怖していた。


彩「ゴキブリよりしぶといよ。そろそろ炭になってほしいな」

岩崎「ほらほらほらほらほらほら!!」


槍と不死鳥の爪が弾き合う。火花が散ることはなく、轟音のみがこだましていた。
火炎も爪も効いてはいるが、殺す都度に蘇る岩崎への対策があるわけでもなくひたすら攻防を繰り返している。

岩崎が突然、【聖槍・魔槍】の刃を握りしめた。切れた手のひらからは血が滴る。


彩「不気味すぎるっての」


彩はその異常な行いを停止させるべく、全力の炎を放った。それも共に【限界不死鳥】の発動限界に至る。

炎が命中する瞬間。


岩崎「祭りはまだまだこれからだ!」


岩崎の全身が烈火に包まれる。


岩崎「パーティタイムッ!!」


そのまま自らの心臓を穿った。

二本の槍は岩崎を穿ったまま吸収されていく。死と蘇生を延々と繰り返す中で起きる膨大なエネルギーの爆発。
無理矢理にそれを利用し、岩崎と槍の存在が同一になっていく。肉体的にも、本質的にも等しくなる。


彩「なにそれ……! チートでしょ」


異形の存在に警戒して無意識に【限界不死鳥】を起動する彩。すでに加護を失い諸刃の剣と化してはいたが、そうせざるを得ないと確信していた。

聖なるものと邪なるもの。そして死と蘇生。世界の全てを体現するそれは正に……


────【神槍】だった。


【神槍】の詳細>>257

光のビームを撃てる、威力は宇宙戦艦ヤマトの波動砲クラス
小さな街なら一瞬で灰に出来る

それは有象無象を焼き払う神代の光。その初撃は激しい輝きをもってして天を貫いた。


彩「あっぶな!! このまま戦って勝てるの……?」


不死鳥はその未だ尽きぬ命をメラメラと燃やし超高速で回避していた。空を飛んでいたことが幸いし周辺や街に破壊はなかった。
しかし、すでに限界を超えて燃やし続けた彩の肉体は悲鳴をあげていた。

【限界不死鳥】を解除して地面に座り込む。

彩「これ以上は……」


──これ以上はどうしようもない。


彩に向けて【神槍】から光線が放たれた。

恐怖はあった。うららのように笑って逝くことなど到底無理だった。頬を伝う冷たい感覚。【限界不死鳥】で熱くなった表皮は涙を冷たく感じていた。

彩「そっか……」

年端もいかぬ少女にはそもそも負担が大きすぎたのだ。これまで押し込んだいろんな感情が渦巻き始めた。

寂しい。怖い。悲しい、でも楽しい時もあった。

まだまだ生きたかった。

迫り来る光がゆっくりに見えた。走馬灯は見えないが仏を見た気がした。いや、彩の目はそれを確実に捉えていた。


祐介「【我が借り物の仏〈サマーディ〉】」


和田の右腕を接合したことにより部分的にその異能を借り、擬似神足通を用いた太刀の三連撃。

神の咆哮が払い除けられた。その他の四肢とは違う色形をした右腕が少し膨張する。


彩「うわぁぁぁぁ!!」


ひとまず助かった安堵感から緊張の糸が切れて泣き出す彩。
しかし【神槍】は容赦なくこちらに矛先を向けている。

祐介「……まだ本調子じゃないが、仕方ない。【強欲な借り主〈レンタル〉】ッ!!」


指定安価は>>261->>262

【深淵(ダークネス)】
闇を操る能力。黒くモヤのようなものが闇であり、それにはどんな物理攻撃も効かず取り込まれたものは闇の世界(音も届かずに一寸の光もない暗闇に閉ざされた空間)に送られる
モヤの形を変えることもでき、武器にして使用できる。こちらもあらゆる攻撃も効かずに触れたものは闇に侵食される。完全にされたものは闇の世界に取り込まれる

【黒渦の衝撃(ブラックホールインパクト)】
ブラックホールを発生させる能力。使用者の意思で能力や相手を吸い込むことができる。吸い込んだ後、戻すこともできるがこれも使用者の意思で戻す時に爆発のような衝撃を相手に与える。それを応用して遠距離系の技などの軌道を変えることもできる。ブラックホールは何個もつくることが可能。

祐介「……ありがとな。【黒渦の衝撃〈ブラックホールインパクト〉】ッ!!」


【神槍】の光をすべて呑み込む暗黒。異能の特性として対象を指定できるそれは【神槍】およびそこから放出される光線のみを吸い込む。


祐介「【深淵(ダークネス〉】、永久の闇夜をその槍に。……悪いな。自分が果てたとも気づけない世界に送らせてもらう」


【黒渦の衝撃】の同時展開によって生み出した影と【深淵】が相まって容易く侵食していく。

唯一無二の神装は世界の裏側に引きずり込まれた。

祐介「思った以上に呆気なかったな。いや、異能の相性が良かったからか?」

彩「うぅぅぅぁぁぁん!!」

祐介「よしよし、泣き止んでくれ。えっと……?」


彩は祐介の服の端をつまんで泣き続ける。


彩「ありがとう、お兄さん……」

祐介「梶原 祐介。まあお兄さんって呼んでくれてもいいけどな」


祐介は笑顔を作ったつもりだった。元から悪かった目つきだが、度重なる戦いに精神が摩耗しさらに鋭いものになっていた。


彩「え?! ふっ……あはははは! お兄さん天才だよー」

祐介「何かおかしいこと言ったか、俺。泣いたり笑ったり忙しいな」


それは違った。彩は泣きながら笑っていた。もちろんその涙は嬉し泣きによるものだ。

彩は名乗った後にこれまでの事情を説明した。


彩「あっちにいろはさん達がいるはずだよ」

祐介「そうか。それなら、伝言を頼みたい」

彩「なんで?! いろはさんすごく会いたいって……!」

祐介「危険な目に合わせたくない。もちろん君もだ」

彩「平気だよ。もう何回も戦ってるんだ」

祐介「ちょうど同じ方向に俺の親友もいるはずだ。合流して待っててくれ。鳥になれるならすぐ行けるだろう?」

彩「違うの。私の異能は……」


【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】はその戦闘の間、無断で異能を借りる能力。
【レンタル】は一時的に異能を借りる。どちらもほぼ同じ。

二人はこう思っていた。



自分はどこから異能を借りているのだろうか、と。

祐介と彩の会話はもはや水掛け論と化していた。ラチがあかないと踏んだ祐介が折れかかった時、それは訪れた。


和田「こんにちは」


表面上は笑顔のカタチをしているが、その実、内心に燃え上がるなにかを飼っていた。

祐介の表情に似ていると一瞬だけ感じたが、それが間違いであるとすぐに理解する。


彩「おじさん、何の用……?」

和田「見てください。腕がもうここまで再生していますねぇ。これはあと10分も費やせば元どおりになりそうです」


しかし問答の余地はなく、太刀を強く握りしめて祐介に切っ先を向ける。


祐介「こっちだって恨みはあるんだ。今のうちに念仏でも唱えとけ」

和田「いいでしょう。今度こそ引導を渡してあげますよッ!!」

祐介「【レンタル】」

彩「今はまずいって。強くなってるんだよ! ……ああもう! 【使用窃盗】!」


【レンタル】>>267
【使用窃盗】>>268

【禁断の果実〈エデンノリンゴ〉】
この能力を他人に伝えることはできない。
この能力をなんらかの方法で知ってしまった者は全異能が封印される

【1発達人体験(イッパツタツジンタイケン)】

どんな武術・超能力・曲芸でも達人のごとくこなすことができる。その上、体験した内容は異能発動終了後も僅かに残り、自力で達人になる方法が理解できるようになる。

ただし1つの事に関して10秒しか持たない。他の事に手を出しすぎると、方法(メモリー)が欠落してすくなってしまう。

が、武術関連やスポーツ関連など関連付けて発動し直せば、達人になる方法(メモリー)が欠落しにくくなる

祐介「なるほどな。ったく、神がいるなら礼を言いたいな。仏? そんなものは知らん」

彩「へえ、祐介さん当たりだったんだ? まあ私もなんだけどね」


【禁断の果実〈エデンノリンゴ〉】。所持者本人はその詳細を口にすることは出来ない。並みの相手なら無意味なものに他ならない。
しかし、他心通を持つ和田に対してだけは。特に【黒い交渉人】で強化された他心通を使う和田にのみで言うならば、最強の鎖となる。


この時点で和田は【六神通】を封じ込められた。祐介の右腕に残った微かな力すら消え去った。二人の持っていた太刀も消え去る。


和田「これは失敗しましたねぇ。僕の負けです。出来れば見逃していただきたいのですが」

祐介「何……?」


あっさりと負けを認める和田に戸惑う祐介。


彩「祐介さん! 何があったのかは知らないけど、頷くと異能が消えるんじゃないの?!」

祐介「あ、ああ。そうだ」


たった数秒の気の緩みの先にあるのは紛れもなく死だった。


祐介「俺なんかよりしっかりしてるんだな。頼りになる」

彩「どーも。それじゃ私も行くよっ!【一発達人体験】!」


現状で和田と祐介に異能で戦うすべはない。
蟷螂の構えから前進、容量一杯十秒間の乱撃をすべて和田は弾いた。


彩「嘘……!」

和田「まったく、浅く広くとは言えど多趣味で良かったと思いますよ」

思い当たる武術をいくつか食らわせる。達人の域に達したそれらは、おおよそ正確に防御する和田へじわじわと鈍い痛みを与えていた。


和田「動きが読めないというのは辛いものですねぇ。転移もできません」

彩「それじゃあさっさと倒れて欲しいなッ!!」


和田の消耗が限界に達した。右腕は治癒しながらも変形し歪みきっている。全身からメキメキと悲鳴が上がっていた。


彩「秘門蟷螂……!」


最後にその命を刈り取ろうとした。和田はとうに立っていることすら出来ないはずの足で祐介の元へ走った。


彩「え……?!」

祐介「ッ!! 来るか……?」


和田の顔は未だ笑顔。しかしその眼には澄んだ悪意がある。
終わらせたのは、かつて自らの肘先についていた腕だった。祐介の右ストレートが和田の微笑みを終わらせた。

ぐちゃっとしたその感触はたとえ借り物の腕であろうと消えることがなく、一生忘れることもない。

【禁断の果実】が解除される。念のため和田の息を確認したが、確実に死亡していた。


祐介「さあ、伝言頼んだぞ」

彩「祐介さん……!」


いち早く強者の気配を感じた。


祐介「……誰だ!」



並みの異能所持者ではない。これまでにその異能で何人も殺してきたのか、死の匂いが染み付いていた。



きた人
名前
特徴>>276->>277から

名前:R-Ⅹ(アールクロス)
容姿:見た目では普通の人間だと思ってしまうほど精巧に作られたアンドロイドの女性(話す時は普通に話せる)。銀髪で肌が白い。メイド服を着てる。
異能とはまた別に相手の分析や自己修復機能、飛行など様々な機能がついている。

観月 沙夜(みづき さや)
黒髪でオドオドした感じの女の子
いじめられっ子だったが、異能に目覚めたことで自分も人を傷つけることを楽しむようになってしまった

>>276を書いた者です。容姿だけ訂正で
「~アンドロイドの女性」→「~殺戮型アンドロイドの女性」に直してください。

観月 沙夜(みづき さや)
黒髪でおどおどした女の子。

彩は彼女と面識があった。


彩「沙夜さん……?」

沙夜「新沼……さん……?」


祐介は見た。いかにも大人しそうな少女が獲物を捕らえた肉食獣のように舌なめずりするところを。


祐介「友達か。……それなら」

彩「と、友達っていうか……うーん。あんまり話したことないんだけどね」

沙夜「ごめんね……ごめんね……」


感情の高ぶりの表れを見せないために顔を手で覆う。


彩「どうしたの……? 祐介さん、何か妙だよ」

祐介「そうだな。【使用窃盗】、まだいけそうか?」

彩「それって……!」

沙夜「じゃあ、殺すね」


沙夜の異能>>281

金属変身(メタルメタモルフォーゼ)
身体の全てまたは一部を鉄に変える
また元の体積の範囲内で形状を変えて変身可能
液体金属になり行動することも可能

【金属変身〈メタモルフォーゼ〉】
身体を自由に金属に変える。
また元の体積の範囲内で形状を変えたり、液体金属の状態で動くことも可能。


沙夜は右腕をモーニングスターに変形させる。
体積を変えられないという性質上、リーチを長くする代わりに片腕を無くす。細い鎖の先に棘付きの鉄球という形状はやはり都合が良かった。


祐介「いやな、少し無茶をし過ぎたようだ。少し時間を稼いで欲しいかも……」

彩「こっちも連戦でヘトヘトなのに! ううん、まだいける。沙夜さん、今更やめるって言っても聞かないからねっ。【使用窃盗】ッ!!」

沙夜「痛めつけてあげる……!」



指定安価は>>285

【狂気の爆炎〈ヴァレッテーゼフレア〉】

彩「ううっ……なんだか寒気が。でも【狂気の爆炎】ッ!!」


それは視爆の狂宴。視界内でありマーカーを設置してしまえば、強力な爆発を起こすことのできる異能。
以前は自らを殺すために行使されたものである。


彩「まあ、強いのはわかってるし……!」

祐介「来るぞッ!!」


力強く振るわれる無慈悲の打撃。それを【狂気の爆炎】でずらす。


沙夜「……チッ」


第二撃。前より爆破までの感覚が短くなった。視界内でマーカーを固定した座標まで鉄球が到達するのが早くなっていた。
ここからあと八度、同様の攻防を続けた。

このままではジリ貧で、五度ほど続ければ避けきれなくなる。祐介も察していた。
しかし沙夜もそれは同じで、【狂気の爆炎】を受け続けている鉄球部分に疲労が蓄積されつつあった。


沙夜「なんで抵抗するの……? 新沼さんも、利賀さんみたいに殺してあげるのに」

彩「利賀さんって……真希のこと?」


利賀真希。彼女らの同級生の名前だった。真希と沙夜は幼馴染で、学校やそれ以外の時間ほとんどを二人で過ごすほどだった。
しかし裏では沙夜に対して酷い扱いをしている、所謂いじめっ子だった。
世間からはオドオドしている沙夜のそばにいてあげる優しい子として見られていたが、その実は陰険で沙夜をしたいがままに虐げていた。


沙夜「最後にお腹を引き裂いた時に、腸が出てきたの。理科の教科書に載ってるのとはちょっと違ったけど……」


満足げな表情で言う。それは彩に対する殺害方法の予告でもあった。


彩「腸って……。トラウマなんだけどなぁ!!」


かつて【狂気の爆炎】によって負わされた怪我を思い出していた。

祐介「彩、目を閉じろ!」

彩「え?」


残り二回。弾いたタイミングで言った。何か策があっての発言と信じて目を閉じる。ちょうど目が乾いていたので、助かった。

祐介は沙夜に向かって駆け出した。


沙夜「あなたより新沼さんを殺したい……のですが……」

祐介「そういう訳にもいかなくてな! ここでケリをつけさせてもらうぜ!」


──宿命通、仮装展開。この一振りは右腕の前世を映し出すもの。すでに刃こぼれをおこしているが問題はない。


沙夜「ううん、いいんです。……あなたからでも」


距離が短くなった分、より大きくなり凶暴さを増した鉄槌。ただ機械的に祐介を狙う。


祐介「これが最後かもな。【我が借り物の仏〈サマーディ〉】ッ!」


欠けても折れても止まらない三連撃。それは沙夜の攻撃を防ぐまではいかずとも勢いを押し留めることができた。しかし反動として祐介は弾き飛ばされる。


祐介「ああ……やっぱりな。反動はあると思っていたさ」

沙夜「迂闊……!」


しかし、概ね計算通り。


祐介「彩ァァァッ!!」

それは爆撃開始の合図。照準は沙夜、たった一人。今、狂気が爆ぜる。

水銀、ダイヤモンド、タングステン。思い当たる金属に変化するがどれも無駄だった。その熱、爆破の威力は否応なく沙夜を破壊する。


沙夜「まだ……人を嬲りたい。傷つけ……たい……」

彩「それは間違ってる。沙夜さんは狂ってる。何がそうさせたのかはわからないけど……ううん、わかりたいとも思わない」


悪意に錆びついた命が粉々に割れた。


彩「……ふぅ。沙夜さん、ごめんね」

祐介「おーい、終わったみたいだな」

彩「うん。祐介さ……祐介、どうしてもいろはさんのところには行かないの?」

祐介「それがそうもいかなくなった。腕が死に始めている。どうにかしないとまずいな」

合流までは早かった。そして結論から言うと、初めて見る泣き顔に戸惑った。桃月 いろはは、祐介の顔を見るなり涙を流し始めたのだ。

いろは「ううぅ……よかったぁ。梶原くんっ」

祐介「お、おい」

剛也「あひゃひゃひゃ!! 感動の再会ってやつか?」

奈々「ちょっと。茶々入れない方がいいと思うわよ」

恭弥「おい! それより腕治すぞ。できるか、恭子」

恭子「はい。……でもこの腕、もっと根本的なところから崩れ始めてます。再び接合し直しても……」

いろは「私が治すよ!」

彩(賑やかだなぁ……)

街の中心にそびえる塔の中層。若見 奈恵は四十万 力と浅野 真也。そしてもう一人の仲間を従えていた。

名前
特徴>>293

西条院 剣裁(サイジョウイン ケンサイ)♂


資産家生まれの中学生であり、インテリクール気取りな坊っちゃん特有のお調子者セリフはあっても全くのハッタリではない。過去に敵対してた熱血キャラと共に難事件を解決したことがあり、熱血キャラと遭遇すると熱くなる。

今まで通り大金とコネと英才教育に、
根性気合い熱血を足して、今回の難事件も解決する予定だったとか。

つまり、脳と筋肉のハイブリット。脳筋インテリ。暴れる大図書館。

なお、弱点は幽霊。

(異能戦を事前に把握できていた貴重な存在にするかはイッチ次第)

若見春奈(わかみ はるな)♀
若見奈恵の実の娘。黒髪のロングの着物姿でお嬢様のオーラが滲み出ている。
自分を育ててくれた母親を尊敬して慕っており、母の命令ならそれに従う基本的にはお人形タイプ。
ただ、本人は善意がある方なので母親の行動には疑問を思ったりする(状況によっては決別する可能性はあり)

奈恵「春奈……。お前を頼ることになる」

春奈「お母様。この身は全てお母様のモノ。存分に使ってください」

力「俺も行くぜ」

奈恵「その必要はない。春奈が全て終わらせる」

力「そうかい。じゃあ下層の方で昼寝でもするか」


春奈は奈恵の実娘。今時の少女にしては珍しく和服を着ている。奈恵は春奈を世界の何よりも信頼し、春奈も同様に敬意を示し、言うことを全て聞いてきた。それは異能を得てからも変わらない。


春奈「それでは、行ってきます」


一礼し、春奈は下層への大階段を下っていく。


力「ったくよぉ、過保護すぎやしねえか? いや、一人で行かせるあたり少し違うのか」

奈恵「あれは私の子。そうするのが一番いい」

力「そうかよ。まあ俺には関係ねぇけど」

祐介達が合流してから一時間が経過した。奈々と恭子がそれぞれの異能を駆使して偵察をしていた。

二人の報告では他の異能所持者達も塔へ入ることはなく様子を伺っているのだという。


祐介「ここから先、ただ進むだけじゃ勝てない。むしろいい的になるのが関の山だろう」

彩「でも私と祐介の異能は複数人相手に向いてないよね。一人で行動するのも危険だよ」

いろは(祐介?! いつのまに……!)

剛也「あひゃひゃひゃ!! 誰か目薬持ってないか? 乾いて仕方ねえよ!」

恭子「【マッドメディック】。……これをどうぞ」

彩「その異能……!」

剛也「痛えええええェェェッ?!!」

恭弥「おいおい。効き目は確かなんだ。耐えるんだ!」

奈々「水、持ってきた方がいい?」

いろは「な、治せるのか? そもそも怪我じゃないんだし……」

祐介(賑やかだな、おい)




若見 春奈の異能>>297->>298から

【食異鬼〈スキルイーター〉】
自身の半径1メートル以内に侵入してきた異能の力を喰らい無効化し、さらに喰らった異能を使用することができる
異能を喰らわれるたびに、その者の異能は弱体化していく
喰らった異能を使用している間は、異能を喰らう力は発動できない

【分身小隊(アバター小隊)】


武装した分身を数十体生産し、その指揮を執ることができる。偵察に向かわせることも可能。
応用して小隊の武器や車両、無線、防具の使用も可能。

中には近未来兵器を取り出せることもあり、そのうちの1つにジェットパックがある

幼馴染「てなわけで買い物に行くよ!」

男「あの、僕今お金ない……」

幼馴染「いいから。お前に死なれたら親父さんにクビにされちまう。頼むからちゃんと食っとけよ」

男「はいはい……」



昼前

男「(ついでに鵺神や他の神々がどうなっているかを確認するか……)」


【選択安価】↓1&↓2&↓3

a)鵺神
1~5:天界に向かい、暴飲暴食を繰り返す
96~100:男のボロアパートに住み着く
7~95(奇):懐く
6~94(偶):甘噛みしてくる
b)他の神々
1~5:炊き出しに満足してこの地域を祝福
96~100:些細なトラブルで神同士の喧嘩開始
7~49(奇):男を不審に思う
6~50(偶):男に興味なし
51~95(奇):満足しておとなしくなる
52~94(偶):男に話しかける
c)他の神々・男に話しかけるver.
安価神「」


【ab記号のみ。
cその他枠
ダブリaだった場合、十の桁奇偶判定です。
aナシだった場合、鵺神を見失います】

間違えました。ごめんなさい。

祐介「そろそろ出発する。死にたくない者、戦いたくない者はここに残ることだ」

祐介「いつぞやのアナウンスでは『生き残った者』の願望を叶えると言っていた。ここからは俺の予想だが、この塔を誰かが攻略した時点で生存していれば認められる」


祐介は一同の顔を見た。誰一人として迷いは無かった。


祐介「……ったく。ここまで来ただけのことはあるな」

彩「祐介、でも皆一緒には行けないんだよね?」

祐介「ああ。チームでわける。色々と思うところはあるが、これに関しては力量バランスだけじゃ一概に言えない」

奈々「それで、ほぼ初対面のあなた達と連携が取れるのかしら?」

恭弥「行くのは決めたんだけどな、戦力として数えられねえよ俺」

祐介「俺は一度命を救われているんだがな。それに俺と彩の異能もピンキリだ」

剛也「あひゃひゃ! どうすんだよ」

恭子「私はっ! 私は、恭弥君と一緒に……!」

祐介「……この先何があるかわからない。後悔はないようにな」



祐介は誰と行く?>>303

いろは、彩

三つのチームに分かれた。
一つ目は彩、いろは、祐介。
二つ目は恭弥、恭子。
そして最後は剛也、奈々。


剛也「チッ……」

奈々(えぇ……。そんなに嫌われてるの私?)

恭弥「行こう」

恭子「はいっ……!」

彩「いろはさん、祐介」

いろは「うん!」

祐介「出発だ」

皆、別のルートから塔を目指す。祐介達は先ほどまで戦っていた道を選んだ。


和田の遺体そばには既に数名の痕跡があり、敵の予感もしていた。

しかし祐介らの前に現れたのはどの痕跡にも当てはまらない何者かだった。
恐る恐る近づくと首から白い何かをぶら下げているジャック・サトウチがいた。


ジャック「お兄さん、生きてたんだ!」

祐介「よう。秋斗は?」

ジャック「すぐ近くにいるよ」


かなり異常な様子だった。ジャックは【鬼化面〈ラーヴァナ〉】を装着しており両腕が少し湾曲していた。


いろは「怪我してるの……治してあげるよ!」

祐介「ま、待て。ジャック、その首にぶら下げてるのは……!」


彩はそれが何か気がつくと酷い嫌悪感に苛まれた。


ジャック「これ? 秋斗だよ、お兄さん。秋斗の背中の骨」

祐介「そうかよ。テメェ、本物の鬼になったか」


祐介の形相が変わる。


ジャック「……僕の異能は【鬼化面】。堕ちた鬼に情けは無用だ」


無言で短刀を構えた。


祐介「【レンタル】ッ!!」


指定安価は>>307

【鉄棒蹴法〈トンファーキック〉】
トンファーを装備し使いこなせる達人となる
またキック力も上昇する

祐介「【鉄棒蹴法〈トンファーキック〉】」


二本のトンファーがジャックの短刀を弾いた。ジャックの首にかかった骨が落ちる。


ジャック「……へえ」


しかし、すぐに祐介の懐に入り込む。


彩「祐介、そいつ強くない?! 私も……!」

いろは「……!」


いろはは初めて見る祐介の異能に驚いていた。
祐介はトンファー術に蹴りを組み合わせ、一定の間合いを維持しつつ打撃を叩き込む。

祐介「なぜ、秋斗を殺したッ?」

ジャック「僕はね、お兄さん。いつか槍の人と戦った時から……ううん、実際には」


短刀の間合いからはるか遠く、鬼は飛翔する。


ジャック「──その前から、人斬りを楽しんでいたんだ」


鬼の腕は人の身体ではあり得ない角度で振りかぶられた。それこそが自身の腕を湾曲させた原因。異能の補正を受けてなお反動を受ける大技だ。


祐介「蹴りは……間に合わないか」


両腕で防御の姿勢をとり、後方へ蹴りだす。まともに受ければどうなるかわからない。

祐介含めその場の全員が察した。その攻撃は防ぎきれない。


ジャック「……!」


トンファーごと祐介の両腕が切断された。跳躍と防御が無ければ確実に首に命中していた。


祐介「クソがッ!」


血しぶき舞う中、斬撃の反動を生かして全力の後ろ回し蹴りを食らわせる。
それでもジャックは受け身をとり、立て直す。


彩「いろはさん、治療! 自傷しながらの攻撃は好きじゃないよ。【使用窃盗】!!」



指定安価は>>313

【黄色い声援〈チアリズム〉】
チアガールの衣装へと変わりポンポンを持ち
応援する相手の異能・身体能力・士気を向上させる

いろは「【施命〈アイリス〉】! すぐ治すから、耐えてね梶原君っ!」


虹色の光が祐介を包み込む。


彩「うぅ……。【黄色い声援〈チアリズム〉】」


顔を赤らめた少女が着ているのはチアガールの衣装。そしてその異能は応援することで発動する。


彩「……ばれ」


発動の実感はない。


祐介「ジャック……!」

ジャック「再生するなら、次は頭を貰うよ」


祐介の両腕が完全に治癒された。


いろは「彩ちゃん、チアリーダーになってる?!」

彩「こ、こんな時に?! ううぅっ、祐介! 頑張れーー!」


恥ずかしさを紛らわすようにポンポンを振り回しながら叫ぶ。やけくそ気味の応援だが、祐介に力がみなぎる。


祐介「さあ、第二ラウンドだ」


トンファーを半回転させ鎌のようにして振るう。どちらかの手で斬撃さえ防げば残った方でジャックの腕を狙うことができるためだ。【黄色い声援】を受けた祐介にはそれが可能だった。

ジャック「また……腕ッ?!」

祐介「俺だって何度か腕切られてるんだ」


メキメキと硬いものにヒビが入る音がする。確実に蓄積されていくダメージ。


彩「がんばれーー! フレフレ祐介ーっ!」

いろは「梶原君……!」


ジャックの腕は限界を超え、骨を粉砕されても止まらない。人を斬るという欲求のたかが外れているのだ。
再び間合いを開き、飛びかかる体勢に移る。


祐介「なあジャック。仲間殺しを悔いる気持ちはあるか?」

ジャック「フッ……無いよ。今だってほら、一人殺すところだ」


理解していた。【黄色い声援】で強化された現在のトンファーでさえ先ほどの斬撃は防ぎきれない。それはジャックの腕の損傷を加味しても変わらない。


ジャック「次は頭だ」


飛翔。腕は思い切り後ろへ。退路は無く、防御も叶わない。なので祐介はトンファーを……


祐介「いっそ地獄まで堕ちるんだな、鬼」


思い切り投擲した。


ジャックに避けるすべはなく、顔面と胸部にトンファーが命中。視界が塞がり肋骨および肺にも打撃。


祐介「……秋斗、ジャック。救えなかったな。すまない」


力なきその体は勢いそのままに瓦礫へ突進。見る影もなくなっていた。


彩「……終わった? ゆ、祐介! 大丈夫?!」

いろは「かじ……祐介君!」

祐介「本当は救いたかった。いいや、俺には荷が重すぎるか? それとも根本的なところから……」


祐介は思考を止め、二人に笑顔を見せる。彼女たちがいなければ勝てなかった。まずは礼を言うことにした。

祐介「さっきの服はチアガール?」

彩「それは思い出したくない」

いろは「似合ってたと思うけどなぁ」

彩「そういう問題じゃないの、いろはさん。私はそんなガラじゃないから」

いろは「えー。てっきり趣味だと思ったけど? ね、祐介君?!」

祐介「そうだな。……ってアレは何だ!!」


塔の周りには何台もの戦車や装甲車、そして戦闘服に身を包んだ兵士達が隊列を組んでいた。


祐介「これも異能なのか……?」

彩「チートだね」

見つかれば集中砲火を食らうであろうその状況下、突如現れた彼は声を張り上げる。

逆巻「下克上、最高にいいじゃねえか!! オレの大好きな戦場だ!」

祐介「誰これ」

いろは「……うーん。どこかで見たような?」

彩「何だっけかなぁ。この人についてすごく大事なことあったんだけど、忘れた」

逆巻「忘れんなモロ被り! 今回は味方してやるけどすぐに決着つけるかんな!」

彩「それ! 異能がモロ被りなんだ!」


ならば、と駆け出す。少し遅れていろはも走る。そして三人はその異能を発動する。

「【レンタル】ッ!!」
「【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】!」
「【神の寵愛〈レンタル〉】ッ! ってお前もモロ被りかよぉぉ!!」


指定安価は順に>>319->>321

逆巻生きとったんかワレェ!

【英雄変身〈ヒーローチェンジ〉】
変身ポーズを決めながら「変身」と叫ぶことでヒーローコスチュームを身にまとい身体能力と五感が強化される
また必殺技名を叫んだ直後の攻撃は必殺の威力となるが変身が解除されてしまうため再度変身する必要がある
(裏技として「必殺パンチ」を宣言しつつ「必殺キック」を放ってもよい)

【溶岩の身体(マグマボディ)】
身体をマグマにかえる能力。能力発動する時に切断、木っ端微塵などなっても再生が可能。もちろんマグマを飛ばしたり、身体をマグマのような液体化する事ができる。ただし水などの液体をかけると身体が乾くまで能力が使えなくなる。身体の一部を武器のようにかえたり、身体全体をかえることができる。
(他の二人みたいにヒーローの衣装にもかえることができる。)

ヒーロー、ヒロイン、怪人がそろったか

祐介「【英雄変身〈ヒーローチェンジ〉】ッ!」

彩「【女傑転身〈ヒロインフォーゼ〉】。……また衣装変わるのかぁ」

逆巻「【溶岩の身体〈マグマボディ〉】!! オレだけ戦隊モノじゃないのかよ!」


異能を発動後、坂巻以外の二人には変化は見られない。


祐介「彩も似た異能か? それとお前、戦隊モノじゃなくてライダーの方だ! 変身ッ!!」


素早くポーズを決めた祐介は漆黒に染まる、洗練されたデザインのヒーローになった。


彩「くそぉ、変身!」


こちらは少女らしいピンクの派手なデザインだ。祐介と違って顔部分が露出しておらず、やはり赤く染まった顔を手で覆っていた。


いろは「何だかすごいことになったなー。待ってよ祐介君ー!」

全身に力がみなぎる。そして彩と感覚を共有する実感があった。

祐介「恥ずかしいいのか……」

彩「……。悪くないね」


誰かと心を通じあわせる、というのは気持ちが良いものだ。

坂巻「いや、待てよ。溶岩の放出と凝固を応用したら……!」

坂巻「よし、ヒーロー! オレをあいつらの上空に投げてくれッ!!」

祐介「いいのか?」


確認をしたが坂巻の返事が来る前に投げ飛ばしていた。思考の回転と身体能力が高まり、先取りしすぎたのだ。


坂巻「うおおおお?! 容赦ねえなおい! だがまあ、変身!!ッてねぇ!!」


坂巻は祐介のポーズを真似て身体の周囲に溶岩を纏う。祐介のそれに似たデザインで、細部は赤く輝いていた。


坂巻「行くぜぇぇッ!!」


落下する坂巻に兵士達が気づく。容赦なくためらいなく一斉に射撃が始まる。

坂巻が地面に衝突、周囲へ溶岩を炸裂させたと同時に遠方でも爆発、銃声や炎が上がった。

三人のヒーローは銃弾を物ともせず集団に突進。最新鋭の装備に身を包む兵士をなぎ払う。
激しい戦闘の最中、祐介達は気がついていなかった。


真也「動くな。お前に刃を向けている」

いろは「……!?」


流れ弾に当たらぬよう、身を隠していたいろはの元に現れた暗殺者。

彩「祐介、後ろ!」


戦車砲が祐介の側頭部をかすめる。しかし今の彼らに戦車を潰すことなどそう難しくはなかった。


祐介「必殺キック!!」

彩「……ひ、必殺パンチ!」


祐介と彩はその身体能力で。


坂巻「オレのマグマで溶け落ちろッ!!


坂巻はその煮えたぎるマグマで。


偶然にも、【分身小隊】は複数の異能所持者に対して分散し戦力を落として戦闘を開始したために隊一つあたりの人数が減っていた。

タワー上層部。正確には最上層と中層の間だが、そこには塔の主直属の手下が揃いつつあった。


名前
特徴
>>330->>332から2名

桃月恵(ももつき めぐみ)
ピンク髪のショートヘアの赤い服を着ている女性。ナイスバディで服は胸あたりが開いている
いろはの実の姉であり、どちらかと女性的ないろはとは対照的で大雑把で細かいことを気にしない男勝り。姉御気質で頼れるお姉さん系。喧嘩も強い
シスコンでいろはをベタベタ。彼女のことを大切に思っており、彼女のためにはなんだってする(一応、ヤバイ性癖持ちではなく、これでもノンケ)

名前 シロク・ハイグレー
特徴 シルクハットとステッキを身につけたマジシャンの中年男性
よく相手を褒め称える性格だが皮肉の場合もある

>>326->>328
逆巻でした

階層の中心に桃月 恵と千堂院 カルマがいた。カルマは顔の上半分が隠れる形の仮面をつけており、無口で口元に感情を出さないためその思考を読むことは難しい。


カルマ「……」

恵「何か喋れよ!!」

カルマ「……」


恵はいろはの実姉だが、性格が真逆である。無視をするカルマの仮面を取ろうと手を伸ばすが全てひょいひょいと避けられる。

祐介達と交戦中の兵士達が退いていく。


祐介「そろそろ終わりのようだな」

彩「まだ油断は駄目だよっ!」


祐介から伝わる安堵を感じとる。しかしそれは彩も同じだった。彼らはまだいろはの状況を察知しておらず、どこかに隠れているものと思っていた。


そして、兵士の後退には理由があった。電動 博士(でんどう はかせ)。かなりの筋肉質で身体から機械音を出している。塔の主直属の部下たる彼がちょうど現れたのだ。



博士の異能>>337

【零と一(マトリクス)】
物質を創造する。

【零と一〈マトリクス〉】。それはただ、生み出すもの。それ故に──


祐介「な……何だアレは?!」


すぐに彩にも伝わる。


彩「え……?」

逆巻「お、大きいなおいッ!!」


賊を潰さんと落下する超巨大な岩石。かろうじて逆巻の【溶岩の身体】で通路を開けて回避に成功する。しかしこの時点で三人の異能が解けた。


博士「我らが主人の首を狙う者共だな? あのお方は既に間引きは済んだと申されたが……」

博士「今一度、篩にかけさせてもらう」


二人を残し、博士の前に立つ祐介。その意図を汲んだ逆巻は彩に目配せする。


祐介「節約だとか温存とは言ってられないらしい。それに、あのお方とやらの話も聞かせてもらいたい」

博士「ここまで生き残るだけのことはある。もとより初撃で仕留めるつもりもない」

祐介「そうかよ。じゃあ早速【強欲な借り主〈レンタル〉】ッ!!」



指定安価は>>339->>340

【破壊者<デストロイヤー>】
自分が触れたものは問答用で破壊する
原理や理屈関係なく完全に破壊される。例外はない

【模型人体〈マネキンマン〉】
自分の身体を服ごと分離し宙に飛ばして操作できる
またバラバラにした各部位に目や耳などの感覚器官を生やせる

祐介「【破壊者〈デストロイヤー〉】と【模型人体〈マネキンマン〉】。悪いがその篩、壊させてもらう」

博士「【零と一】。……ならば何度でも創り出すのみ」


祐介の両腕が身体から離れる。


逆巻「あんな感じのロボットっているよな」

彩「……腕が切れてる」


博士はそれに対して再び巨大な岩石を複数出した。しかしものの道理や摂理を顧みずに破壊する。


博士「……」


彼の思考が追いつく前に、生み出すもの【零と一〈マトリクス〉】とその器さえも破壊し尽くされた。


祐介「運が悪かったと思え。こっちは借り物の力。何が出るかはわからないんだ」

その頃、中央塔内部。


力「やるじゃねえか」

いろは「何……?! 誰なの?」

真也「……」

春奈「戦況が芳しくありません。全勢力の二割程が削られました。敵は想定以上に強力です」

春奈「……?!」


突如、春奈の顔つきが険しくなる。


力「どうしたんだよ」

春奈「……ッ。【分身小隊】、五割が消滅しました……!」


塔の外では影すら飲み込むほどの閃光が走っていた。

それは全ての暗闇を、影を、混沌を飲み込んだ神の槍。【深淵『ダークネス〉】の暗黒異空間を克服した【神槍】は破壊の光を放ちながら、こちらの世界に再臨した。


祐介「……! 彩、無事か?!」

彩「はーい、なんとかね」

逆巻「一体何だってんだ」

彩「いろはさんはどこ?」

祐介「探そう。だが、今の光は……」

逆巻「あの槍だ。上を見ろ!!」


【神槍】は遥か上空に佇んでいた。
超威力を誇る破光。祐介達は既にボロボロだったが、その被害を大きく被っていたのは浅野 剛也と矢吹 奏司だった。


祐介「ケリをつけに行く。【レンタル】ッ!」

彩「いろはさん、無事でいてね。【使用窃盗】」

逆巻「相手にとって不足なしッ!! 【神の寵愛〈レンタル〉】!!」



指定安価は上から順に>>345->>347

【食異鬼〈スキルイーター〉】
触れた異能の力を喰らい無効化し、さらに喰らった異能を使用することができる
異能を喰らわれるたびに、その者の異能は弱体化していく
喰らった異能を使用している間は、異能を喰らう力は発動できない

>>312

祐介「【食異鬼〈スキルイーター〉】!」

彩「なにこれ……?! 【調律師〈チューナー〉】」

逆巻「上等だッ! 【吸血鬼〈ディープブルー〉】」


彩の周囲にはホログラムが身を囲うように展開され、それぞれには異能所持者の名前が連ねてあった。


逆巻「来るぞッ!!」


【神槍】の先が狙いを定める。放たれた光線は距離感がわからなくなるほど広がっていた。


彩「【レンタル】及び【食異鬼】を強化する。……あれ?」

彩(【神の寵愛】が無い。ううん、あの槍っぽいのもリストにない。何でだろう……?)

祐介「喰らい尽くすッ!!」


祐介が手をかざし、エネルギーを奪っていく。あまりの眩しさに目を開けることが出来なかったため、三人はまだ気がつかない。【神槍】は祐介を穿たんとして超速で進んでいた。

それは逆巻や彩が目を覆っていた腕を下げ、明らかに近づいている槍を視認した瞬間。無意味と理解しつつ彩は強引に【食異鬼】を解除、祐介の手から奪取していた力を解放する。
片や逆巻は禍々しい魔剣を構えた。しかし間合いは遠くどうあがいても間に合わない。

光線を二つに割りながらなお止まらない【神槍】。しかし、側方から様々な色が混ざり合う麗しい音色。



──それは有無を言わさず対象を焼き払う魂の演奏。



刃が欠け、その内に蓄えられたエネルギーが溢れ出す。完全なる撃破とはいかずとも、本来なら既に武器として使用できないほどに追い込んだ。

合流後、塔の付近を探索し和田の遺体を発見した神崎 風子達は【分身小隊】を避けつつ塔の入り口を偵察していた。
拡散する閃光、暗転する視界。そして衝撃。雨音 奏は異能【雨の日の友達〈レインロイド〉】を身にまとい光を屈折させる。熱は異能の特性でなんとか防ぐことが出来た。


凶「……痛いです」

風子「何……? って瀬型君?!」


小さな少女二人を大きな体躯の瀬型 櫂が覆いかぶさるように庇った。しかし……


奏「キミ達、いいや、風子っ!! 今すぐ【キャンセラー】を使うんだ!」

櫂「……!!」


【連なる堅甲の遁走曲〈フィルムシェル・フーガ〉】で硬化した矢吹 奏司が自身を犠牲にして櫂達を守っていた。その四肢は千切れかけ、顔や胴の半分は焼けている。異能の媒体としていたヘッドホンは消え去っていた。

風子の異能は損傷の程度によって、それなりの時間やエネルギーを必要とする。つまり、間に合わない。


風子「【キャンセラー】……! 絶対に大丈夫なんだからっ!!」

櫂「諦めるな……!」

奏司「よせ。もういい」


普段は気だるげな表情で冷淡な性格の奏司が満たされた笑顔を見せた。そもそも【奏でる者〈シンフォニア〉】は自身が聴いた音楽を具現化する能力。媒体無しに発動するはずがなかった。


奏司「出会ったばかりだと言うのに、そこまで気にかけるとはな」

櫂「……何を」

奏司「いや充分だ。奴らから逃げた結果がこれなら、間違いではなかった」

凶「だめです……!」

風子「嫌っ……」


しかし、ヘッドホンが無くとも聴こえる音色。命の鼓動が奏でる一曲。


奏司「観客〈おまえたち〉に捧げる」

奏司「【燃ゆる生命、我が終曲〈グランド・フィナーレ〉】」



──それは、奏者の最後。

【絶えぬ世界の接続曲】
【気狂い歌姫の狂騒曲】
【赧い想いの小夜曲】
【輝く黄金の装飾曲】
【連なる堅甲の遁走曲】

全てが一度に出現し混ざり合い、遠方の何かに向かって飛ぶ槍めがけて放たれる。


奏司「ああ……ありがとう」

逆巻「今だーーッ!!」


魔剣が槍と撃ち合い火花を散らす。漏れ出る【神槍】のエネルギーを【吸血鬼】が吸い取っていく。


神装は本来の威容を失い、力なく浮遊していた。


祐介「トドメだ」

逆巻「行くぜ!!」


祐介は喰った残りを、逆巻は魔剣が吸った力を同時に放つ。今度こそ、【神槍】は消え去った。

死者の亡骸を弔う四人の周りには【分身小隊】が集結しつつあった。


奏「……まったく。ボクは頭悪いけど、これだけは言えるよ」

奏「キミ達は馬鹿だ」


余韻に浸る間も無く迫る敵意に、怒りを露骨に示す奏。そこには太陽のような笑顔はなかった。


櫂「進もう」

風子「……うん」

凶「【亡者共鳴〈アズラエル〉】。きょうも行きます」


奏に続いて各自がその異能で近代装備に身を包む兵隊を散らしていく。

中央塔中層。そこには若見 奈恵と浅野 真也がいた。

真也「……」

奈恵「何か用? 戦況が芳しくないから嫌味でも言い来たの?」

真也「【暗殺者〈キラーキラー〉】」

奈恵「……そう」




若見 奈恵の異能>>358

花咲令嬢〈ブルーメンフロイライン〉
自分の体液をかけた所から美しい花々を咲かせ、またツタを伸ばして対象を拘束
血を元にした場合は生物に襲いかかる凶悪な吸血植物を生やせる

奈恵「【花咲令嬢〈ブルーメンフロイライン〉】」


指の先を袖に忍ばせていたナイフで切った。鮮血は床に落ち、そこからは異形の吸血植物が生まれる。


真也「無駄だ」


【暗殺者】は常に対する敵に最適な武器を出現させる。それは暗殺という概念に関係なく、状況によって選ばれる。

そして、今回は火炎放射器だった。

民家の残骸に身を隠す二人。眉間にしわを寄せ、目を瞑る剛也に奈々はそっと抱擁する。


剛也「……何のつもりだ?」

奈々「私がついてるから、心配するなってことよ」

剛也「チッ。ロリッ娘ならともかくお前なんかに気をつかわれるほど落ちぶれていねぇよ」

奈々「でも見えていないんでしょ?」

剛也「ああ。使い物にならねぇ。置いていけ」

奈々「それはできない。仲間は見捨てないと決めたから」


【神槍】の閃光を、その異能が目で見た場所に限定されることもあり長時間直視した影響で視力が著しく低下していた。空間や相手を視認することができないほどだった。

カルマ「……」

恵「むぅ……。何だか煙いな」

「電動が死んだ」


二人はその声を聞くと同時に頭を垂れた。


「楽にしてくれ。今回もまたイレギュラーが紛れている」

カルマ「……」

恵「……岩崎と女の子?」

「逆瀬川 逆巻。いずれ登ってくるだろう」

恵「──。うちの妹はどこにいる?」

「その名は棄てた。……まあいい。ちょうどこの下にいる。行くか?」

恵「……」

「許す」

恵「そりゃどうも」

祐介「いろはー!」

彩「いろはさーん!」

逆巻「ピンクー、どこだー!!」


祐介達はいろはを探していた。返事は無かったが、彩があるものを発見した。


彩「祐介、モロ被りお兄さん、あれ見て!」

逆巻「逆瀬川 逆巻だ。覚えておけ」

祐介「んなことより、あの虹。ったく、いつのまに置いていかれたんだかな」


塔から横に七色の光が伸びていた。それは明らかに【施命〈アイリス〉】のものだ。三人は改めて名乗りあった。そして、再び塔へ歩みを進める。


そこからは早かった。既に【分身小隊】は分散し祐介らの周囲にはおらず、まるで誘い込むように塔の入り口までが開いていた。


祐介「罠だろうな。人質までとって」

彩「人質?」

逆巻「オレはよく知らねーけど、あれがピンクの異能なら緊急事態なんだろうぜ」


入り口をくぐった三人の前には四十万 力と若見 春奈が立ちはだかる。


逆巻「なるほどな。それらしくなってきた!! オレは先に行かせてもらうぜッ!!」


逆巻は力の蹴りをたやすく避け、上層へ駆け上っていった。


祐介「お、おい!」

彩「はぁ……」

祐介「仕方がない。それじゃあまずは」

彩「うん。囚われのお姫様を助けるのは」

祐介「こいつらを蹴散らしてからだ。【レンタル】ッ!!」

彩「【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】!」



指定安価は上から順に>>365->>366

【念磁力〈マグネティックフォース〉】
対象物(複数可)に念じた強さに応じて強力な磁力を付与させる
磁力を保つには常に念じ続けている必要がある
S極かN極かを選択可能

【愛の重力<ラブリーテーション>】
好意(恋愛感情)がある相手が近ければ重力を重くする能力になり、逆に遠ければ重力を軽くする能力が使える

力「お前の親は気に食わねぇけど、子は親を選べねぇからな」

春奈「貴方は母を侮辱するのですか……?」

力「さあな。親はともかく子の方は数ミリだけマシってもんだ」

春奈「……?」

力「共闘してやるって言ってるんだ。あの傲慢な奴の命令などもう聞かねぇ」

春奈「後でその言葉、撤回してください……!」

力「そっちこそ、いい加減乳離れするんだな。行くぞッ!!」

力は勢いをつけて飛び出した。しかし、すぐにその足は止まる。


祐介「【念磁力〈マグネティックフォース〉】! お前の足と床に磁力を発生させた!」

力「それは……どうかな……!」


爆発のような音を立てながら一歩ずつ前進する力。足の筋肉は膨張し血管が浮き出ている。


祐介「向かって来るかッ……!」

力「俺も負けてらんねぇえからなッ!!」

彩「お姉さんは私が倒す!」

春奈「小さな子でもここを通すわけにはいきません」

彩「【衣装替え〈インフォース〉】」


彩の服が光を放ち形を変えた。同時に春奈も戦闘服に換装していた。


彩「やっぱりお姉さん、外の兵隊の親玉だね」


彩は近未来的な外骨格に身を包んだ。手には刀を持っている。
春奈が銃を掃射した。彩は最低限の数発を弾いて走りだす。

逆巻が階段を駆け上がる。途中でいろはらしき者を見かけたが、ここで自分が助けるのも野暮だと思い、あえて無視した。

そして、先程見たものとそっくりな桃色の髪の女と出くわす。


恵「……誰? 」

逆巻「オレの名は逆瀬川 逆巻!! 悪いが通させてもらうッ!!」

恵「だったら尚更……!」


恵はその体格に合わない大きさの戦斧を振るう。


逆巻「っぶねぇ! まあ一筋縄にはいかねぇか。【神の寵愛〈レンタル〉】ッ!!」



指定安価は>>373

【雨樋う彫刻〈ガーゴイル〉】


朝昼は石の装甲を纏って、石のツメを武器にする。また雨や水属性に耐性を持ち、雷を呼び寄せる。石の装甲は発動者に重く感じさせない。流動物のマグマにも耐性あり。

夜になると覚醒して化け物としてのガーゴイルになり、翼が生えて飛ぶことができる。また火球を吐くこともできるようになる。

弱点は、化け物のまま朝を迎えると石像になって動けなくなり眠ってしまう。その代わり、次の夜まで命の保証あり。



豆知識:ガーゴイルは元々、雨樋の機能をもつ彫刻のことを指す

逆巻「【雨樋う彫刻〈ガーゴイル〉】 ッ!」


逆巻は瞬時に石の怪物と化した。その長い爪は研がれた刃物のようであり、力強くもあった。


恵「たしかにその異能、イレギュラーたる存在だ!」


一瞬にして戦斧が槍になっていた。恵は軽々と回転させ構える。それに対して逆巻は怯むことなく前方へ進んだ。


逆巻「何がイレギュラーだ。この異能だってその辺に似たのがいたぞ」

恵「そんなの私が知るわけねぇだろうがッ!!」


先ほどの斧と同様に槍も使いこなすその絶技。恵の異能は【一発達人体験】。それは借り物の術理。

彩の持つ刀には超振動装置が組み込まれている。そのため従来の刀よりもはるかに高い切れ味を誇っていた。
これは現実的には実用段階に至っておらず、【衣装替え】による産物に他ならない。

しかし、春奈も負けじとジェットパックを装着、飛翔。その手には擲弾銃と高周波刀があった。【分身小隊】においてもジェットパック同様に未だ世に出ぬ装備も含まれていた。


彩「へえ、進んでるね。その装備」

春奈「そちらこそ」


春奈が擲弾を撃ち出す。彩は難なく躱し、爆風を利用する。


彩「どうせ変身するなら……!」

春奈「飛んだ……?! 来るッ……!」

彩「もっと可愛い服が良かったぁぁ!!」


そこから一太刀、切っ先を振り下ろす。肩から胴まで、その刃をもってして切断した。

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加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」
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力「ウォォォオオオッ!!」

祐介「いい加減潰れろッ……!」


その巨体は確実に一歩ずつ、じわじわと近づいてくる。
全身全霊で念じる祐介の目の端に映る兵士の姿。刹那、気が他へ向いた。彩が切りかかっているのは【分身小隊】で、後方から狙撃銃の照準器を除いているのが春奈だった。
【念磁力】の緩みを力は見逃さなかった。


力「オラァッ!」

祐介「……!」


かなり甘く当たったその蹴りは、しかし祐介を行動不能にするには充分だった。
そして銃声がこだまする。

腹部に嫌な感触があった。血が吹き出ていた。


彩「え……?」

春奈「……もう一度」


すでに慣れたつもりでいた怪我だが、やはり恐怖感や喪失感などがドロドロに混ざった心境になる。
再度銃声。銃弾は肉を捻じ曲げながら太腿に食い込む。


彩「いや……」


力なく床に落ちる。


春奈「さあ、終わらせます。苦しいのは嫌ですよね」


同じく力も祐介を終わらせるべく脚を振り上げていた。
目は虚ろに開き彩の方を見るが、そこに意思はない。
意識と無意識の間に干渉する波長。頭痛と震えを伴いながら、視えたそれは──。


「いつからか、それは蓄積されていった。いつからか、俺〈それ〉は排除の対象になっていた」


その強さ故にただ一人残ってしまった勝者。


「全てを持ち得て、しかし借り物のお前は何を願う」


その片鱗を垣間見た。受容は出来なかったが、少しだけ理解はできた。同じ末路を辿るわけにはいかない。
身体に力が湧いてくる。祐介の背中からは日輪のごとき光が溢れ出す。すでに限界を迎え、乗り越え、我が物とする。


力「何だ……?!」

祐介「……救えない。何も、誰も。だから、彩は……皆は……。……だから【全て救う神託の光〈レンタル〉】ッ!!」


光は三つに分かれて、やがて一つに収束する。


指定安価の>>379->>381を混成。

【再構築<アップデート>】
光の空間を作り、その空間に包まれたものは使用者により再構築される
再構築できるものは本来より状態が悪いもの生物、物である
再構築したものは全て本来が正常な状態より性能や状態が向上する

>>312

祐介「なに、簡単なことだ。皆を救いたいだけなんだ。この想いに嘘はなく、ただ覚悟するならば」

祐介「そこにおまえは含まれていないってところかな」


日輪が輝きを増す。祐介の手には剣があった。
【再臨せし星屑の魔剣騎士〈リ・スターダストナイト〉】の一振りは無数の星屑であり、無数の魂喰らいでもあった。しかし、その真髄は【再構築〈アップデート〉】にある。


力「ハッ! 救いだと? この世界で殺して殺して殺して殺しまくって何を今更救うってんだッ!!」

祐介「たしかに俺は小学生の子供すら救えない。無力だよ。この異能だって借り物だ。……けれど、今残っているものを失いたくないッ!! 」


魔剣の柄を起点に出現する光の空間。そのフロア一帯が呑まれていく。


彩「う……祐介……」

春奈「これは……?! 【分身小隊】展開ッ!!」


中隊規模にまで増えた【分身小隊】だったが、次々と消滅していく。【星屑の王子様〈スターダストプリンス〉】の星屑が兵士達の脳や心臓をピンポイントで穿つ。たとえ耐え切れたとして、付与された【吸血鬼〈ディープブルー〉】の効果が息の根を止める。

彩「祐介……?」


なぜだろう。その光はあの槍以上に純粋なものに見えるけど……。その顔や手は何故、暗くて血に濡れてるの?


【再構築】の聖空間により彩と祐介の損傷部が再構築されていく。しかし、新たな力を得て危機も乗り越えたはずの祐介の顔は晴れなかった。


力「ぐッ……お前、いい顔してるじゃねェか。地獄で……待ってるぜ! ハハハハハッ!!!」

祐介「……」


首を切り落とした。

地を這う一人の少女。死を目前にして縋るのは。


春奈「お……かあ、さ……ま」


これまでの全てだった。一段ずつ満身創痍ながらも確かに這い進む春奈の背後には断頭せんと剣を構える祐介。


祐介「……」

春奈「嫌……」


死角からごく軽い衝撃。それは彩が抱きついていたのだ、


彩「もういいよ……。傷は治して、動けなくすれば良い」

祐介「……!」


祐介はひとまず感情の渦巻きを心の隅に追いやることにした。

二人はそのまま階段を登る。どこに隠すでもなく、いろはは通路で拘束されていた。


いろは「ぷは。祐介君。助けに来てくれるって信じてたよ」

祐介「当たり前だ。怪我はないか?」

いろは「うん。大丈夫。えへへへ」


照れた風に笑ういろは。


いろは「嬉しい」

祐介「……そうか」

彩「ねえ! さ! か! ま! き! さんはどこかなー?」


あえて邪魔するように割り込む彩。少しだけ、寂しかったのだ。

同刻。櫂、凶、風子、奏の四人は【亡者共鳴】により強化された【動物シール】の鷹で外側から塔の上層部を目指していた。

塔の頂上では千堂院 カルマが臨戦態勢で待ち構えていた。




カルマの異能>>389->>391から

【悪食手〈ジャンクイーター〉】
手の周囲にある無機物をえぐり体内に取り込み再構築し再構築した物体を手の表面付近から吐き出せる
小さく分割してショットガン、ガトリングガンのように吐き出すこともできる
いくらでも体内に取り込むことができ、取り込んだ分だけ体重が増加する

<拡張時間【ワン・オン・テンタイム】>
能力発動後に自分の以外の人間が1秒で動くとしたら自分は10秒の時間を動くことができる能力
つまり、相手より10倍の時間を持つことができる能力
基本的に攻撃などが当たらなくなるが、身体能力がアップするわけではないのでそこに注意


カルマ「その業は計り知れない。【死の毒〈デス・ポイズン〉】」

カルマ「──【身業〈カーヤ〉】」


身体の全てが猛毒となる。周囲の空気、血液、その肉の余すところなく害悪。


そして櫂達が着地。最初に飛び出したのは凶だった。


凶「【亡者共鳴】。いきます!」



「上ではカルマと櫂達が戦っているな。風子と凶の異能は強いぞ」

「下は……。まあいい」

「そろそろ俺も動くか。では──」


行き先
塔 屋上、上層、中層、外部から>>398

【分身小隊】が退いた。奈々は剛也と肩を組み塔を目指す。剛也は介助無しに動くことは叶わず、奈々は自身の異能に戦力的な限界を感じていた。


剛也「あひゃひゃひゃ! 勝手に仲間にしてんじゃねえよ」

奈々「うるさい! 何と言おうと少しだけ我儘に付き合ってもらうからね」

「──駄目だ」

奈々「梶原 祐介……じゃないわね。誰?」

「【電撃銃】の白川 奈々。そして【狂気の爆炎】の浅野 剛也だな」

剛也「何だ? どうしたんだよ」


容姿は祐介に瓜二つだったが、全身に無数の傷跡がある。


「此度のお前達はどんな末路を辿るか、見せてもらおう」


まずはじめに仲間を失った。取り戻そうとした。
次に異能を失った。構わなかった。
最後に己を失った。……。


「前回の俺は、俺を見てこう言ったな」

「──梶原 祐介の末路と」

「故にこの異能もまた【末路〈テイカー〉】」

再び屋上。カルマの【身業】は戻されていた。


風子「【キャンセラー】!!」

カルマ「ならば」


回し蹴りで牽制する構えを見せたカルマの間合いに入った凶は、あえて真上に飛び上がった。


凶「【妖精姫〈フェアリープリンセス〉】。……え? きょうは携帯電話持ってないです」


死後の魂が干渉してくるのは珍しく、死して尚も情報の共有手段として端末からの生配信を要求するものなど他にいるだろうか。

そもそも【亡者共鳴】で異能のみを使役してしまえば、型落ちはするが、使い捨てのように発動させることができる。この場合と魂ごと共感を得て使役した時の威力とは段違いになる。


櫂「【炎真】」

奏「【雨の日の友達】、行けぇっ!!」


火炎と激流を一度に放出、その着弾点で混ざり合い爆発。
迷いなく己が異能を叩き込む。櫂は爆風から風子を庇い、奏はスライム状の【雨の日の友達】で身を守った。

櫂「やったか……?」

奏「なんでそんな事言うのかなー。倒せてない感出ちゃうのわからないかなー」

風子「瀬型君……」

櫂「ごめん」


カルマは足場を腐食させ、櫂達の攻撃から逃れていた。


凶「外れたようです。追うのです」

奏「異能を戻せるってバレたから、こっちも気をつけていかないとね」


一同は塔内部へ。

エタりました

まだ続く予定でしたが、とりあえずこの異能戦が終わるところまでは書かせていただきます

すみません

逆巻「オレ達の異能も似てるよな!」

石の爪と鉄の刃が火花を散らした。

恵「何言ってるんだよ……!」

逆巻「その強気な性格は嫌いじゃねえぜ! できれば退いて欲しいところだ」

恵「それは無理だ! お前を倒して妹に会う!」

逆巻「妹……? あのピンクのことか?! たしかに容姿だけは似てるような」

恵の形相が一瞬変わる。あらゆるところで人が死ぬこの世界で大切なものの安否というのは元の世界のそれよりも重要なことなのだ。

恵「私の妹はどこにいる──」

逆巻「お、おい! 待てよ! あいつはオレの仲間だ。すぐ下にいる。無事だ」

まるでタイミングを見計らったかのように祐介やいろは達が逆巻のいる階層に到着した。

いろは「嘘……。お姉ちゃん?!」

恵「いろは!!」

その交戦の雰囲気から祐介は身構えるが、反応の許容を超える速度で恵が接近していた。
その背後から逆巻。

逆巻「ほらな、無事だって言ってんだろ」

恵「うぅ……」

途端に顔を赤らめる。そして一言だけ、先程まで刃を交えた相手を指差して

恵「……私この人のこと」

いろは「……?」

恵「好きかも」

驚愕する祐介といろはを尻目に逆巻はひどく悲しい顔をしていた。

勢いに任せて打ち明けた恵だったが、その後はいろはにべったりついていた。
上層階へと続く階段から一行の元にナイフが飛んできたが、恵の異能による大楯で防ぎきる。

彩「ぼーっとしてる場合じゃなかった!」

真也「ィィィ──」

とても人とは思えぬ顔つきに成り果てた真也は言葉にならない掠れた歓喜の声を上げた。

逆巻「下がってろ。お前ら消耗してるだろうからな。オレがいく」

逆巻「【神の寵愛〈レンタル〉】」


指定安価は>>413

【悪食手〈ジャンクイーター〉】
手の周囲にある無機物をえぐり体内に取り込み再構築し再構築した物体を手の表面付近から吐き出せる
小さく分割してショットガン、ガトリングガンのように吐き出すこともできる
いくらでも体内に取り込むことができ、取り込んだ分だけ体重が増加する

いざという時の準備は整っている。投擲術を使うと知っている祐介は尚更のことである。

真也「ゥェェ──」

逆巻「弾丸防ぐなんてな。大した奴だぜ」

真也の両手には小型の超振動刀が握られていた。その一振りは【悪食手】を弾くことができる。
次々と手に出現する刀を投げナイフの要領で飛ばす。

彩「逆巻さん! なんで撃たないの?!」

恵「ッ……!」

いろは「嫌……」

逆巻は防御の姿勢もとらずに座り込む。刀を掠めた肩や太もも、腹からは血が吹き出す。
トドメと言わんばかりに真也が飛びかかる。首をはねる姿勢をとった。

逆巻「動けないんじゃない。動かねぇだけだ」

真也「──殺ス」

殺戮の狂気を愛した者へ両手をふりかざす。

逆巻「負けそうじゃなくて、ここから逆転するんだよッ!!」

悪には罰を。その者は剣山、身体を貫く針の群れ。
逆巻の掌からは無数の針が吐き出されていた。

逆巻「なにも出せるのは弾だけじゃねえんだよな。オレの勝ちだ」

「よう」

それはどこからともなく現れた。まるで今までずっと有ったように。
祐介と彩、いろはが驚愕。恵はばつの悪そうな顔をする。逆巻は……。


逆巻「……やっとたどり着いた。オレの逆転劇はお前を倒して終わりだ」


ただ一人、敵意を燃やしていた。


恵「……私はただ、見届ける」

彩「どういうこと?」

祐介「何か知っているのか?」

逆巻「あれがラスボスだ。自ら出てくるとはな」

「イレギュラー。そしてお前達は力をつけすぎた。それは危険だ」


己が使命を全うするため。役割〈ロール〉は知らされていた。真髄を晒しだす絶好の機会。


逆巻「今こそ名乗らせてもらおう。逆瀬川 逆巻! この異能戦を、神と他の人類の窮地を覆す男だ!」

逆巻「最後の異能ッ!! 【神の威光〈セラフィム〉】」


翼が一対。燃え盛る炎は決意の情熱。

指定安価>>417を神威級まで強化

【Ω〈最後ノ手段〉】


あらゆる異能に対抗する為の疑似異能。

異能に満ちた空間にハッキングし、各システムの数値をランダムに書き換え、暴走させる。ハッキング完了までには時間かかるが、制圧しきった部分までならランダムに数値を書き換えできる



(本来は異能バトルに対抗するための手段だったが、ラスボスの手に渡ってしまう瀬戸際展開とか大好きです。)

「何を言いだすかと思えば。それは自業自得……いや、身から出た錆だろうに」

いろは「祐介君……?」

祐介「あれは……。あれは俺じゃあない。安心してくれ」

彩「【神の寵愛】に【神の威光】。逆巻さん……」

逆巻「全てはこの時の為に。【Ω〈最後ノ手段〉】」


サーバアクセス──上書き開始。


「【異能殺し〈キャンセラー〉】」


不発。しかし口元には微笑。


「だろうな。これ程のイレギュラーともなると効く訳がない」

逆巻「……ッ。思った以上に情報量が多い!」

「面白い。時間をやろう。そこの2人を嬲り殺すまでだ」

祐介「来る、か……ッ!」


ひどく歪な鏡合わせを見ている、祐介はそう思った。対峙して殺意を向けられ始めて気がつく。


────怖い。


彩「祐介……?! 【使用窃盗〈フシアナクグリ〉】ッ! 」


指定安価は>>420

【爆弾女体〈ダイナマイトボディ〉】
爆弾柄のビキニを着た巨乳美女に変身
自分の身体を自由に爆発させることができ、また5秒間触れ続けたものを爆弾に変えることもできる
爆発や熱によるダメージを受けない身体となるが反動で乳は揺れるため連続で爆発しすぎるとポロリする

圧倒的な存在の前で一体どう抗えというのだろう。もはや逃れようのない末路。それはすぐ目の前だ。


祐介「……ッ」

いろは「回復だけは任せて!!」

彩「【爆弾女体〈ダイナマイトボディ〉】。うわっ、無慈悲にもシリコンが……? じゃなくて」

彩(ここはきっと私じゃなくて……)

彩「いろはさん。私はいいから、祐介お願いっ……!」


身体の末端部分に起こした小爆発で浮き上がる。異能の補正によって大きさが変わっても四肢が馴染む。


「いいだろう。少し戯れるとするか、彩」

「【戦神鉄槌〈ミョルニル〉】」

これまで沢山の異能を使ってきたからわかる。アレに触れてしまうと私は潰される。

これまで何度も致命傷を乗り越えてきたからわかる。アレは私を魂ごと潰す。

祐介が怯えている。幾度も私を救ってくれたあの祐介が、だ。
だからこそ私は戦う。

ああ、この爆発を見るとあいつの顔が頭に浮かぶ。……嫌だけど。

生きてるかな。

櫂達とカルマは再び対峙していた。【身業】による毒は目視が可能であり、カルマはそれを漂わせているために近づき難くなっていた。

カルマが場を屋内に移したのはその異能を最大限に発揮するための策といえる。相手が複数であり、遠距離攻撃が可能であっても無闇に攻めてこないとの確信を持てたのは経験と洞察力の高さからである。

事実、櫂も奏も警戒してすぐには手を出さなかった。
しばらくの沈黙の後、カルマが口を開いた。


カルマ「惜しい。それほど強力なれど愛されぬと言うのか」

奏「何を言っているのかサッパリだね」

櫂「こいつは善くないものだ。倒す」

風子「……うん」

凶「【亡者共鳴】。……【動物シール】」


四匹の闘牛。我先にとカルマへ突進した。


カルマ「度し難き。ならば、【口業〈ヴァーク〉】」

視界は澄んでいた。体調も良いはずだ。だが、身体も心も動かない。


いろは「祐介君……! ねえ、どうしたの?!」

恵「……」


今ここで飛び出さなければ……いや、前に出たとしても間に合わない。また、仲間を失う。


剛也「【狂気の爆炎】!! あひゃひゃひゃ!! 来たぜクソ共! 祭りの会場にな!」

奈々「はぁ。空気読めてるのか読めてないのかわからないわね」


救われた。簡単なことだった。


「……まだ歯向かうと言うのか。俺の詰めの甘さは悪い癖だ」

彩「うおお、ナイス! 死ぬかと思ったぁぁぁ!!」


彩はすぐに距離をとった。剛也は【戦神鉄槌】の一撃を爆破で防いでみせたのだ。


祐介「ふははははは……ははははは!!!」

いろは「っ……?!」

剛也「いいねえ、狂ってやがる」

祐介「ふぅ。それはお前だ。……負けたよ、皆には。それでも、俺個人としてあいつにだけは……自分自身にだけは負けられない」

「来るか? そこらの雑魚共を間引くのも一興だが、その前に相手をしてやらんでもないぞ?」

祐介「いろは、彩。もう大丈夫だ。俺が行く。……【全て救う信託の光】!!」

「所詮は借り物の理。すぐに綻びる」

祐介「それでも、お前と同じ道だけは辿らないッ!!」


二人の力が激突する。

指定安価は>>425->>426を混成

【無限再生<リバースサイクル>】
この能力が発動しているとどんなに破壊されようが消滅されようが魂を消されようが完全に正常の状態に戻す
自分にも他人も可能な実質、不死身になれる能力と言えよう

【産地直送<サンチチョクソウ>】
自分も対象も気違いになる

【無限再生】と【産地直送】が混ざり合う。


祐介「チッ……出力が低いか……!」

逆巻「……!」

祐介「逆巻! 時間を稼げばいいんだろう?」

逆巻「ああ、そうだ」

祐介「【無限狂賽〈エンドレス・サニティロール〉】」


それは狂乱、そして再生。不死身、不滅故の終わりなき崩壊。


「何を……した?」


初めて奴の顔が曇る。脳内に邪念が入り込む。振動が染み込み視界が揺らぐ。歪みが更に歪む。


祐介「根気比べしようぜって言ってんだよッ!」

「……!」

感覚的に表すとそれは何時間も何日も続く地獄であったが、現実の時間にして約3分。悲鳴を上げ始めたのは祐介でも末路でもなく、異能【全て救う信託の光】だった。


彩「光が消えていく……!」

「ふう。やはりお前は梶原 祐介だよ」

祐介「なぜだ……ッ! 何をしたッ?!」

「梶原 祐介の異能は何らかの条件を満たした場合に消失する」


それは紛れもなく事実だった。今回で三度目にあたる異能戦の梶原 祐介も例外ではない。
しかし、この時点で末路への一番の脅威となり得るのは逆巻ではなく祐介だった。というのも、これまで二度の経験から末路が確信していることがあったのだ。


「こうなった以上は速やかに消えろ。【幻想腕肢〈アナヴォイダブル〉】」


目視も回避も不可能な重圧が両側部からかかる。飛び出そうとした逆巻が寸前で止まる。いろはからの目配せで察することができたのだ。


いろは(大丈夫。ずっと治し続けるから……!)


【施命】を持ってしても祐介の身体に鈍い痛みは蓄積されていく。腕がメキメキと鳴り始めた。


祐介「まだだ! 何だっていい、力を貸してくれ……。【レンタル】ッ!!」


指定安価>>430を極小展開

【星勇者の聖剣〈エクスターカリバー〉】
引力により物体、概念問わずあらゆるものを自身に引き寄せ、断ち切る聖剣を装備する

祐介「使わせてもらうぜ。……星の力は此処に成る。悪化の醜腕を引き寄せ断ち切らん」

「ったくよぉ、ベラベラと無駄なことばかり出てくるなぁおい」


しかし、その一振りは【幻想腕肢】をその概念ごと斬り伏せた。


「ここで足掻けばそれは悪手だろ。【戦神鉄槌】」


二人がこのまま競り合えば祐介は負ける。その場のほぼ全員が瞬時に判断できた。現在の【星勇者の聖剣】を持ってしても明らかに重要な何かが不足していた。それ故【戦神鉄槌】に敵うことはない。末路にその刃は届かない。

そこですぐに行動に移ったのは剛也だった。【狂気の爆炎】の標準を末路に合わせた。しかし、それでも止められないと思えた。祐介の聖剣にすら劣る。
見ているしかなかった。

奈々と彩もコンマ数秒後、思考が追いつく。


逆巻「間に合え……!【異能無効〈キャンセラー〉】」

「【逆理〈カウンター・キャンセラー〉】。それは罷り通らねえよ」

もう人少ないと思うので安価少なめにして更新していきます
よろしくおねがいします

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