晃「そうか、君がPlaymakerだったんだな…」遊作「あなたは?」 (39)

君、起きて

三つ、三つの事を考えるんだ

生きるための三つの事、帰るための三つの事、敵を倒す三つの事…

考える事で、君はまだ生きられる

僕は、君の側に居るよ?





(YOU Lose)

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遊作「うわああああぁぁぁっっ!!」

遊作「あ………ぁぁぁ……」

遊作「はぁ……はぁ……はぁ……」

ロボッピ「ドウカサレマシタカ?」

遊作「いや……」

Ai「………」

遊作「………」ガサガサ…

Ai『え?あ、ちょっと遊作、こんな時間にどこ行くの?』

遊作「外の風に当たりに行く。少し付き合え」

Ai『えー?こんな時間から?だっておまえ、もう夜中の…』

遊作「黙れ」

Ai『昼間はあんなに人がたかってんのに、夜中ってのは静かだな…しかし人間は不便だよな、何であんな長時間のシャットアウトが必要なんだ?』

遊作「………」

Ai『あのさぁ遊作、一ついいか?』

遊作「なんだ?」

Ai『おまえさ、この後の事とか考えてんのか?』

遊作「この後?」

Ai『ハノイとの戦いが終わった後の事』

Ai「確かおまえの目的って、ロスト事件でおまえの人生を奪ったハノイへの復讐だったよな?」

遊作「それがどうした」

Ai『いや、大した意味じゃないんだけどな。俺はさぁ、ハノイとの戦いが終わったらサイバース世界に戻るつもりさ。そこには俺の帰りを待ってる仲間が居るわけだし』

遊作「言いたいことがあるならハッキリと言え」

Ai『おまえってさ、戻れる場所ってあるのか?』

晃「ふぅ……」

晃(結局深夜までかかってしまったな……葵ももう寝ているだろう。アナザー事件も終わり、残るはリボルバーのみか。一度はPlaymakerとのデュエルで敗れはしたが、奴がこのまま引き下がるとは思えないが…)

?「ちょっと、遊作?もしも~し?」

?「黙れ、聞こえている」

晃「?」

晃(あの少年は…?こんな時間に一人で……いや、彼は……)

Ai『いや、なんだ。忘れてくれ』

遊作「…そうさせてもらう」

遊作(戻れる場所……そんなものに期待する訳ないだろう、最初から)

遊作(人生が途切れた俺には、語り合う友も……かけがいのない時間も……ましてや、戻れる場所など……)

遊作(だが、あいつは。俺に希望を、俺を支えてくれた”あいつ”だけは助けださなければならない)

遊作(そうでなくては、俺は前に進めない。今は、それでいい)

遊作「っ!?」

ズキっ

遊作「ぐっ!?」

(YOU Lose)

遊作「あ……あ……あああああぁぁぁっっ!!」

Ai『おい、遊作!?』

晃「どうした!?しっかりしろ!」

Ai(財前!?なんでここに!?)

遊作「財……前……」

晃「君は、藤木遊作君……だったか」

晃(何故彼がこんな時間に。いや、とにかく今は救急車を!)

遊作「やめ……くっ……!」

遊作(頭が割れるようだ……!何も考えられない……草薙さん、仁、俺はまだ……!)

遊作「はぁ………はぁ……ぁ」

バタン

晃「っ!?おい、どうした!?一体何が!!」

Ai(さ、最悪だ……)

翌日

晃「では」

「はい、命には別状はありません。今日中には目を覚ますと」

晃「色々と無理を言ってすみません。お願いします」

トントン

晃「入ってくれ」

エマ「久しぶりね、待った?」

葵「お邪魔します」

晃「よく来てくれたな、二人共。適当にかけてくれ」

エマ「病院なんかに呼び出すなんて、どういうつもり?またハノイと関係が?」

晃「まあ、ないとは言えないな」

葵「まさか、まだデータ化された人が?」

晃「いや、あれは葵…ブルーエンジェルの活躍により解決しているだろう?」

エマ「ってことは、Playmaker絡みって事かしら?」

晃「………」

エマ「図星ね」

晃「見てくれ」

エマ「カード?」

葵「っ!!お兄様、これって!」

晃「ああ、見ての通り、《サイバース・ウィザード》だ」

エマ「流石の私も驚いたわ。説明してもらいましょうか。何故サイバースのカードをあなたが?」

晃「そうだな…さぞ疑問だろう。聞いていたんだろう?そろそろ出てきたらどうだ?彼女たちも説明を求めているようだぞ」

Ai『… おまえ、割と性格のわりぃな』

遊作「う……あ……」

遊作「ここは…!」

「目が覚めましたか」

遊作「?」

遊作(ここは、病院か?何故俺はこんなところに…)

「もしもし?聞こえていますか?」

遊作「あ…」

晃「申し訳ない、ここは私に任せてもらえませんか?彼も混乱しているようなので」

「わかりました。ですが酷く衰弱しています。長時間は避けてくださいね」部屋を出て行く

エマ(なるほど、この子が…ロスト事件のデータを見た時から、晃の妹さんと同じ年くらいの年だとは推測してたけど)

葵「………」

晃「一度会っていたな、その節は妹が世話になった。改めて礼を言うよ」

遊作「はぁ…」

晃「いきなりで悪いが、君が気を失う前のことを教えてくれるか?」

遊作「気を失う前のこと……?」

遊作(俺は気を失ってここで寝かされていたのか……?)

晃「驚いたよ。私がたまたま夜勤だったから良かったものを、あのままだったらどうなっていたか」

晃「…が、少しは君に恩返しが出来たかな?」

遊作「?」

晃「私も葵も、君に何度も助けられてきた」

晃「リボルバーは言った。Playmakerの正義感を利用して、
ブルーエンジェルを、葵を、私の妹を人質に取ったと」

晃「葵とデュエルした事、屋上で倒れている葵を発見した事。赤の他人であるはずの葵の為に危険な橋を渡ろうとした事」

晃「これだけの情報がありながら、何故君にたどり着けなかったのかな?」

晃「藤木遊作君…いや、Playmaker」

遊作「………」

晃「君が、Playmakerなんだろう?」

Ai『あはは、飛んだ災難だったなー、遊作』

遊作「?」

遊作(なんだこいつは…?プログラムにしては、感情豊かだな…)

Ai「安心してほしい、SOLテクノロジーにAi(イグニス)の事は話していない。もちろん君の正体を世間に広げる気もない。申し訳ないが、見逃す気もないが」

晃「SOLテクノロジーとしてではなく、私個人として君の力になりたいんだ。一体LINK VRAINSに何が起きている?教えられる範囲でも、どんな些細なことでも良い。教えてくれ」

遊作「わかりません」

晃「秘密は守る」

遊作「いや、違うんです」

晃「違うとは何が違う?」

遊作「わからないんです」

晃「わからないとは?」

遊作「あなたは……いや、俺は、一体誰なんですか?」

葵「え?」
晃「え?」

エマ(そう来るのね…)

設定
・記憶喪失になった遊作が周りと交流する話が主
・主に活躍するのは財前兄妹と草薙さん
・遊作が本編に比べて周りに柔らかい
・遊作のキャラに違和感あるかも
・作者は新マスタールールでデュエルをやった事ないので、まだわからないがデュエルはないかも

続きは夜になると思います

晃「記憶が、消えてる?」

葵「一体、どうして…」

「本来、記憶喪失とは脳が損傷した場合に引き起こされることが多いのです。ですが、彼が頭を強く打った痕跡はありません。おそらくは、精神的なショックによるものかと」

エマ「精神的なショック…ね。晃」

晃「ああ、わかってる…」

「ひとまず、ご両親に連絡を…」

「その必要はないさ」

葵「っ!?」

草薙「話は聞かせてもらった。遊作が世話になったようだな」

「あなたは……」

草薙「怪しいものじゃない。遊作の保護者のようなものです」

エマ「うん?」

エマ(この人、確か…)

Ai『おっ、草薙ちゃん!いいところに来た!遊作を助けてやってくれ!』

エマ「…あなた、Playmakerの正体を?」

草薙「なぁに、隠すだけ無駄なことくらいわかってるさ。場所を変えよう。こうなったら、君達にも全てを話す」

数分後

エマ「なるほど…Playmakerとリボルバーの戦いの時、私をあの中に送り込んだのはあなただったのね」

草薙「そういう事。悪かったな、良いように使ったりして」

エマ「あの時からPlaymakerにも仲間が居るとは睨んでいたけど、まさかそれがホッドドック屋のお兄さんだったなんてね」

晃「何故ここがわかった?」

草薙「もちろん、そいつが教えてくれたのさ」

Ai『おい、バラすなよ!』

晃「…あなたも、随分と辛い目にあったんだな」

草薙「辛い?冗談はよしてくれ。それは仁の方だ。それに…」

草薙「…遊作をこんな風にしてしまったのは、俺の責任だ」

草薙「あいつは強い。だから大丈夫だと言い聞かせていたのかもしれない」

草薙「真実を知りたい……仁を助けたい……俺は、その思いであいつの力を利用したんだ」

晃「…こんな状況で赤の他人である私の言葉など届くまい。が、これだけは言わせて頂きたい」

晃「あなたの弟を、あなた自身を、彼を、彼の家族を、時間を、全てはロスト事件がもたらしたもの。その傷跡が彼の“今まで"をも奪った。例えどんな事があろうと、彼はあなたを責めない。それはあなたが一番よくわかっている筈です」

草薙「…ありがとう」

葵「………」

遊作(俺は誰だ?何故ここに居る…?)

遊作(わからない……何もわからない。思い出せない。ただ──)

遊作(…何か、とても大切な何かを失ってしまった気がする)

トントン

遊作「…?誰だ?」

「失礼するわ」

遊作「…君はさっきの」

葵「調子はどう?藤木遊作君」


遊作「…藤木遊作、それが俺の?」

葵「…そうよ、まだ何も思い出せないみたいね」

遊作「すまない…」

葵「謝らないで、あなたは何も悪くないんだから」

遊作「君は俺の友人だったのか?」

葵「え?あ…というより、ライバルってところかしら」

葵(LINK VRAINSで…もっとも、私が一方的に対抗意識を持ってただけなんだけど)

遊作「ライバル?」

葵「まあ、一応、同じ部でもあったわね」

遊作「…その反応、何か訳ありなのか?」

葵「何も覚えてないのに鋭いのね。でも心配しないで。ここにあなたの敵はいないわ。私も兄さんも、みんながあなたを助けたいって思ってる。それは事実よ」

遊作「…そうか」

葵(…半信半疑って顔ね。仕方ないとはわかってるけど、少しへこむかも)

葵「………」

遊作「どうした?」

葵(Playmaker……この人が……)

財前、ないんだよ…俺には…

人生が途切れた俺には、お前が言った友と語らう未来も…かけがえのない時間も…

葵「…藤木君、一つ聞いていい?」

遊作「なんだ?」

葵「正直に答えてくれる?あなたは、本当の記憶を取り戻したいと思う?」

葵(…私は、何を言っているのだろう?)

遊作「…どうだろうな」

葵「何もわからないんでしょう?それを怖いとは思わないの?」

遊作「確かに、俺は目の前の君どころか、自分の名前すら思い出せない」

遊作「どこで生まれたのか、どうやって生きてきたのか、父は、母は、友人、自分にとって大切な人は居たのか」

遊作「わからない。何一つとして。ただ──」

遊作「心のどこかで、今のままでいい。思い出したくない。そう叫んでる自分が居る…」

遊作「…そんな気がするんだ」

葵「っ…」

遊作「いや、赤の他人の君達にこれほどの迷惑をかけたんだ。無神経だった」

葵「…ありがとう」

遊作「ん?」

葵「いや、なんでもないわ。そんな謙遜するものじゃないわよ。あなたにはいくつも借りがあるの。それに、兄さんも言ったでしょう?私達は、あなたの味方なんだから」

遊作「すまないな、財前さん?」

葵「葵でいいわよ、兄さんと紛らわしいでしょう?遊作」

遊作「ああ、わかった」

トントン ガチャ

晃「葵、ここに居たか」

葵「お兄様」

晃「今日はもう帰ろう、藤木君はしばらくは入院生活になると思う。すまないが、記憶の方はなんとも…」

遊作「わかっています。迷惑をおかけしました」

晃「とんでもない。行こう、葵」

葵「またね、遊作」

ガチャ

遊作「………」




葵「お兄様、草薙さん達は?」

晃「ああ、あの二人なら…」

エマ「Playmakerに会いに行かなくていいの?あなたなら、彼の記憶を戻せるかもしれないわよ?」

草薙「それはハッカーの仕事じゃないさ、それに、今のあいつに俺は必要ないだろ」

エマ「私としては、Playmakerに記憶を取り戻してもらわないとやばい気がするけど」

草薙「リボルバーの事か?」

エマ「…あいつは必ず仕掛けてくるわよ。そうなったら、リボルバーと対等に渡り合えるのは彼しかいない」

Ai『そうそう!おばさんいいこと言う!』

エマ「まあ、複雑よね。そうなったら、ロスト事件、イグニス、サイバース、その全てを思い出してしまう事になるんだもの」

草薙「…俺を試してるのか?」

エマ「なら遠慮なくそうさせてもらいましょうか?あなたさっき、Playmakerの保護者と言っていたわね?ならもし、Playmakerとあなたの弟──仁君だったかしら?どちらから一方しか助けられない道があったとしたら」

エマ「…あなたは、二人を天秤にかけられるの?」

草薙「………」

エマ「なぁんてね、冗談よ。今日はPlaymakerの正体を掴めただけで満足満足」

ブウゥゥウン!

エマ「ま、この答えの正解を導き出せるのはあなたかPlaymakerだけよ。一番苦しんだ人の出す答えが」

草薙「…加減してくれよ」

エマ「ごめんごめん、じゃーね、草薙翔一君?」

Ai『おばさ~ん!!』

草薙「君かよ…」

数日後

遊作「くらえ!ダイレクトアタック!」

「ぐああああぁぁぁっ!」LP0

「ぶ、部長!」

島「ま、マジかよ…あの部長が」

島(藤木の奴あんなに強かったのか?だったらあのお粗末なデッキは…)

遊作「これでいいんですか?」

「負けたよ、藤木遊作君!改めて、ようこそデュエル部へ!君ならばこのデュエル部…いや、もしかしたらLINK VRAINSのカリスマデュエルにも通用するかもしれない!」

遊作「宜しくお願いします。で、おまえは?」

島「だ~!!また忘れたのかよ!島!島直樹!!」

遊作「そうか、これから宜しくな。島」

島「お、おう…」

葵「………」クスッ

島「なぁ財前、藤木の奴なんかキャラ変わったって思わねえか?それに今更デュエル部に戻って来るなんて」

葵「さあ?そもそもデュエルが好きなら誰でも歓迎なデュエル部でしょう?遊作だってその一人よ」

島「???」

島(あれ?財前もなんか…しかも今遊作って…)

『では本日より、藤木君の正式な入部者として歓迎します!』

『頑張ってくれよ、新エース!』

『デュエル部の新エースは俺だぁ!』

草薙「………」

晃「流石は数々の場面でPlaymakerをサポートしてきただけはある。ハッキング技術はお手の物か」

草薙「財前…」

晃「さぞかし複雑でしょう」

草薙「ああ、俺だって初めて見たよ、こんな楽しそうな遊作は」

晃「だが、これがあるべき姿なのかもしれない。学校に行き、友と未来を語らい、青春というかけがえのない時間を仲間と過ごす。彼にはその権利があったはずなんだ」

草薙「ああ…」

晃「まだ打ち明けてはいないのですね?」

草薙「わかってる…ハノイの計画を阻止するには、遊作の力がどうしても必要になる。俺だってわかってるさ…」

草薙「…当然、真相を打ち明けるのが遅ければ遅くなるほど、傷が深くなることも」

草薙「だが、もう少し……もう少しだけ……」

晃「わかっています……」


君、起きて

三つ、三つの事を考えるんだ

生きるための三つの事、帰るための三つの事、敵を倒す三つの事…

考える事で、君はまだ生きられる

僕は、君の側に居るよ?







遊作「っ!?」

遊作(夢、か…)

葵「あ、やっと起きた?」

島「おらおまえら、早えとこ部活行くぞ!」

遊作「ああ…」

葵「何か悪い夢でも夢でも見てた?」

遊作「いや…なんでもないさ」

島「藤木、今日こそは勝たせてもらうからな!」

葵「懲りないわね、島君も」

遊作「だが、諦めの悪いところがいいところでもある。根っからのデュエルモンスターズ好きなら尚更な」

島「ん?今日はお得意の三つじゃないんだな」

遊作「三つ…?」

島「いや、だってお前…」

葵「…早く行きましょう、今日は視聴覚室だったわね?」

島「おう!」

遊作(結局、俺は誰だったのか?家族は?それに、さっきの夢は…)

遊作(まあいい。いずれ知る時が来るはず。それに俺には、葵や島と…)

遊作(今は…もう少しだけこの幸せを味わっていたい…)

遊作「三つ…か」

終わり

終わり。鬼塚やリボルバーも出したかったけど、ちょっと絡め辛かったので…
機会があったら、記憶のないままハノイの塔編を書くかも(いや、その前に新ルールを完璧に把握しなければ…

読んでくれた人ありがとう!

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