浜面「俺達は……」 (365)

SSっつうかスレ立て自体初めてです。
一応、禁書とBR2のクロスになると思いますが、BR2のキャラは禁書世界に合わせてDQNネームっぽく名前をいじって使おうと思います。
時系列は第三次世界大戦から一年後、原作で生き残ったキャラもだいぶ殺してしまうと思うので、頭に入れといて下さい。
てかBR2とのクロスとか見る奴いるのかな?1より面白いですよ!
今日は書き込めるかどうかわかんないけど数日中に開始します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376056146

いや書くよ!?
中3だから忙しいんだよ!

なんかボイコットされてね?
試しに少し投下するわ。

全世界を巻き込んだ、学園都市とロシアの戦争から二ヶ月が経ち、世界は少しずつ平和を取り戻していった。
戦争を引き起こした『神の右席』のリーダー、右方のフィアンマは行方不明となり、ローマ正教から暗部は消え去った。
しかし、学園都市の闇はその後も蠢き続け、多くの学生がその中に飲み込まれていった。

そしてーー

「目標を発見。発砲許可を」

「発砲を許可する…殺せ!」

「テロリストの少年の名は…」


「 浜面仕上 」

終戦から二ヶ月ほど経った12月25日。
学園都市第七学区に存在する、
学園都市統括理事長の居城とされる
『窓のないビル』。
その付近一帯の建物が、轟音とともに崩れ落ちた。

核兵器の直撃を受けても傷一つつかない『窓のないビル』には当然ダメージはない。しかし、通常の建物を崩落させるには十分すぎるくらいの爆発が第七学区を飲み込んだ。

終戦直後の混乱期、学園都市にいる我が子の安否を確かめようとした父兄達が大量に訪れていたため、大勢の人々が一瞬で命を奪われた。

死者およそ2万人、被害総額5兆円…
そして、犯人グループによる学園都市最高機密、『素養格付』の暴露。

学園都市に、再び騒乱が巻き起こった。

的なのを考えた。
ハードル高いか?

信徒10億を抱えるローマ正教の暗部が
神の右席が消えただけで無くなるとかないだろ
アニェーゼ部隊みたいなのをいくらでも抱えてるでしょうに

>>15
指摘ありがと
科学サイドメインで行きたいから極力魔術サイドは絡ませないつもりです。
(^_^)

ーーー俺と滝壺が学園都市を脱出してから一年。あの街に潜む闇の犠牲者はその後も増え続け、走りだした俺達の戦いは、もう誰にも止められなかったーーー

今回の投下から、BR2のキャラが登場します。全員出すのは難しいですが、覚えている限り登場させようと思います。

「何処だよ?ここ…」
碧井奏麻は目を覚ました。
確か、今日は身体検査<システムスキャン>があった。
しかし、彼の通う鹿之砦中学には、学園都市の学校にしては珍しく、能力を測定する為の機材が用意されてなかったのだ。
超能力を開発する学園都市の学校としては致命的な欠陥だが、仕方が無い。
何故なら、鹿之砦中学は、生徒全員がLevel0、さらに親から捨てられる形で学園都市へと移住してきた、

置き去り<チャイルドエラー>なのだから。

「おい、起きろよ、浅倉」
自分達の身に何が起こったのかは知らないが、とりあえず隣に倒れている浅倉奈帆を起こす(彼の所属しているラグビー部のマネージャーだ。最もLevel0では、能力者がいる学校のチームには歯が立たなかったのだが)

浅倉「どうしたの?碧井君。あれ?ここ
何処?」

碧井「俺が聞きてぇよ!俺達、確か近く
の研究所に、身体検査を受けにバ
ス乗ってたよな?なんでこんなと
こにいんだよ?」

当たりを見渡すと、そごは金網で囲まれた大きな部屋だった。黒板があるところを見ると、教室か?
金網の中に、自分達はいるのだ。これではまるで、家畜だ。冗談じゃない!

浅倉「取り敢えず、皆を起こそう?」

その通りだった。他のクラスメイト達も、金網の中に倒れている。
とにかく、周りの連中を叩き起こすことにした。

碧井「皆起きろ!何か変だぞ!」

叫んで起きない馬鹿は蹴り飛ばす。
数分後、クラスメイト全員が目を覚ました。

「ここ何処だよ!」

「今何時なの?」

「巫山戯んな!出れねぇ!」

碧井「うるせぇんだよお前ら?」

起こしたはいいものの、混乱した生徒達が騒ぎ始めたせいでものすごくうるさい。見たところ、バスに乗っていた3-Bの生徒全員がいるようだ。

浅倉「先生は?武内先生は何処なの?」

浅倉が言った。言われてみればそうだ。
担任の垣根も一緒にバスに乗っていた。
ちなみに教育実習生らしいが、パッと見高校生くらいだ。担任が高校生とか、どうなってんだこの学校。

ミスった。
×武内
○垣根

噂をすれば影が差す、とはこの事か、浅倉が担任の事を口にした瞬間、黒板の近くの金網を素手で引き裂いて(?)、教育実習生の垣根帝督が入ってきた。

碧井「おい垣根?説明しろよ?俺達は一体
何処にいるんだよ?」

碧井が垣根に向かって怒鳴る。しかし垣根は一切表情を変えることなく、黒板の前にたった。

垣根「あ~…静かにしろお前ら」

垣根が口を開く。生徒達はこの異常事態に対する説明が一切ないことに憤るが、このまま喚いていても何も変わらないので、垣根の指示に従う。

またミス
奈帆じゃなくて奈緒
朝倉なおポジは漢字に変えるだけだった

垣根「お前達にはこれから、学園都市暗部組織、『スクール』の任務としてーー」

「『戦争』をしてもらう」

部屋の空気が変わった。
垣根の言葉に戸惑う者、
逆に馬鹿にする者、
そもそも話を聞いていない者、
反応はそれぞれ違った。
だが、真に受ける者はいない。

垣根「チッ。誰も本気にしちゃいないか」

垣根「おいお前ら、入ってこい」

垣根が命令すると、駆動鎧を着込んだ数名の人間が入ってきた。彼らは、大型の液晶テレビの乗った台を転がしている。

垣根「取り敢えずこの映像を見ろ」

垣根が手に持ったリモコンを操作すると、映像が流れた。

そこには、自分達とあまり歳も変わらないであろう少年と、彼を中心に6名の男女が立っていた。
計7人の後ろには、大文字で大きく、
『ITEM』
と書かれていた。

画面の中の少年が言った。

「俺達は……かつて俺達を闇の中に閉じ込め、殺し合わせてきた全ての大人を許さない……」

「共に立て。そして共に戦おう」

「俺達は、全ての大人に宣戦布告するーーー」

そこで映像は途切れた。

垣根「全ての大人に宣戦布告、だとさ」

垣根「ちなみにこいつ、この映像を公開
した後、第七学区崩壊テロ起こす
んだよな」

垣根「こいつの名前知らない奴、いない
だろ?なんてったって戦勝国であ
る学園都市に『宣戦布告』するっ
てよ。笑えてくると同時に、最高
にムカつく野郎だぜ」

垣根「これからお前らにやってもらうこ
とは、ざっくばらんに言うとこの
映像の真ん中にいた野郎、」

「『浜面仕上』の殺害だ」

一方的にまくし立てる垣根に対し、生徒達は言葉もでない。
今の学園都市に、『浜面仕上』を知らないものはいないだろう。なんてったって
あの『第七学区崩壊テロ』を引き起こした張本人なのだ。
それだけではない。テロと同日、学園都市そのものが崩壊するレベルの最高機密である『素養格付』を公開し、学園都市どころか全世界を混乱へ落とし入れた。
その日から学園都市は変わった。
『素養格付』によってこの街に騙されていた事を悟ったスキルアウトを中心とした無能力者達による無差別テロが頻発し、学園都市の闇の存在を知った保護者達は、強行手段を取ってまでも我が子を実家に帰そうとする『第二次回収運動』が巻き起こった。
当然学園都市の大人達は抵抗した。
外へと通じるゲートを封鎖し、食糧、物資なども協力機関のみから入手するようになった。
まさに『鎖国』だ。
世界中を掻き乱したテロリストを殺せ、と言われたのだ。
言葉など出るはずがない。


「巫山戯んな!!」

誰かが声を上げた。
碧井は振り向く。声の主は、よく知っている奴だった。薪斑だ。ラグビー部部長。運動神経抜群。ついでに言うと性格も良くて女子にモテる。そしてなにより、自分の親友だ。

薪斑「なんで俺達が戦わなくちゃならねえんだよ!絶対やってやんねえ!皆帰ろうぜ!」

薪斑に触発された生徒数人が、部屋から脱出しようと金網に張り付く。だが、そう簡単にはいかなかった。

「うわっ!」
「痛ってえ!」

恐らく電流が流されているのだろう。
金網に張り付いた生徒達が、次々と倒れていく。

垣根「おいおいやめろってw死にはしねえけど結構痛いぞ」

薪斑「巫山戯んじゃねえ!俺達をどうするつもりだ!」

薪斑が垣根に掴みかかる。しかし、あっさり垣根に投げ飛ばされ、床に倒される。

垣根「だから言ったろ?戦争をしてもらうって」

薪斑「お前一体なんなんだよ!?教育実習生じゃなかったのかよ!?」

垣根「あんなの嘘に決まってるだろ?
お前らは、前々から学園都市上層部から目ェ付けられてたんだよ。Level0で置き去り。お前らは、学園都市に一番いらない、『クズ』なんだよ」

垣根の言葉に、碧井達は再び言葉を失った。前々から感じていたのだ。自分達は、必要ない。Level0という劣等感。そして置き去りという孤独感。だが、それがどうした。

碧井「巫山戯んじゃねぇ!!お前に俺達の何がわかるって言うんだよ!!Level0てか置き去りとか、そんなの俺達には関係ねえ!何でお前らが勝手に俺達の運命を決めるんだよ!?」

気付いたら、碧井は叫んでいた。垣根を殴り飛ばそうと、駆け出す。
しかし、後ろから誰かに引っ張られ、バランスを崩して派手に転んだ。

「落ち着くんや。碧井」

碧井「止めんじゃねえ!柴樹!」

柴樹「垣根の隣にいる奴、見てみぃ。銃持ってるで。薪斑は運が良かったが、次はアウトかもしれへん。抵抗したら駄目や」

垣根「ったく碧井は相変わらず問題児だな。クソムカつくぜ。まあ、命拾いしたな。これから戦争するに当たって、薪斑はリーダーシップあるから戦力になるが、お前はチームワーク乱しそうだし、殺してただろうな」

碧井「テメェ!そういうことかよ!俺達の事調べる為に、わざわざ教育実習生やってたって事かよ!」

垣根「そうなるな。まあいいや。取り敢えず任務の説明すんぞ。いいか。浜面仕上率いる『ITEM』は、第十学区の1ブロックを占拠して立て籠もっている。ああ、ニュースでは国外逃亡って言われてるけど、あれ嘘な。ちなみに今奴らがいるエリアは実験中の事故って事で封鎖してるから。一応、地図描くぞ」

薪斑「おい!まだやるって言ってないぞ!絶対やらねえ!」

垣根「おいおいwあんま俺を怒らすなよ?
戦力になるっつってもあんまり妨害すんなら…… [ピーーー]ぞ」

柴樹「やめんかい薪斑!殺されてまうで!」

浅倉「やめて!薪斑君!」

柴樹と浅倉が止めるも、薪斑は抵抗をやめない。

薪斑「殺したきゃ殺せよ!お前らの道具として人[ピーーー]よりは100倍マシだ!」

垣根「……お前もういいわ…」

垣根が腕を軽く振るった瞬間、薪斑の両腕が吹っ飛んだ。近くにいた柴樹と浅倉が、血を浴びてずぶ濡れになる。
しかし、どういう訳だか目の前の垣根は全く汚れていない。

垣根「あーあ、危ねえ。咄嗟にバリア張ってなかったら、新調したスーツ駄目になってたぜ」

薪斑「あ"…が……ゲホッ!」

碧井「何しやがった!」

垣根「ああ、言い忘れてたけど、俺、Level5なんだわ。第二位。未元物質っていうんだよな。どうせお前らの脳じゃ理解できねえだろうから説明は省く」

碧井「薪斑!しっかりしろ!薪斑ァァッ!」

垣根「もう死んでるぜ、いいから座れよ。後ろの人が黒板見えないだろ?」

碧井「殺ッ
柴樹「落ち着け碧井!薪斑の二の舞になりたいんか!?」

垣根「もう、やりたくないって奴いないよな?じゃあ後、全員参加だ」

一応禁書目録もBR2も原作読んでます。
BR2は若干名前とかを弄って、ポジションは原作通りにする予定っす。
垣根は色々あって復活、スクールを再結成して活動中。
シュバルツ・カッツもいます。
首輪はまだ付けられていなくて、タッグマッチはありません。
浜面率いるアイテムは、主に暗部組織の連中で構成されてます。
今日はこれで終わるわ。

みんなBR2嫌いなのか?
てか浜面ボイコットし過ぎだろ

叩かれてるし削除したいんだがどうすんだ?

もう少しだけ書くかな…

みんな、興味がわかないならけなさずに離れればいいよ。投下するなら自由だし、ケンカ腰はよくない。

あと>>1さん、Eメール欄がありますよね。そこにsage、sagaをいれるといいですよ。

sageは自分のスレが上に上がらないので、不評な人の目につきません。
sagaはふつうは禁止ワードを規制されずに済みます。

あと書きためはしてますか? もう少し早く投下したほうがいいですよ

まあこっそり見てる俺みたいなのもいる

中学生でBR見てる俺KAKKEEEEEEE!!

まあ典型的な厨二病ですね

>>46サンクス
だが削除依頼出しました( ;´Д`)
>>50
バトロワの原作見たのは小6です。
予告編YouTubeで見てすごい興奮したのを覚えています。

中二病ですよ?
心配すんな、自覚はあるo(≧▽≦)o

不評だけどあとちょっとはやるかな…
>>46さん、>>49さん、どうもです。

「ちょっと待てよ!」

誰かが言った。
碧井達は声がした方向に顔を向ける。
そこには、3-B男子の不良グループの5人がいた。誰が言い出したのかはわからないが、黒猫<シュバルツ・カッツ>と呼ばれている。リーダー格の玄澤を中心に、丈、名成、舞園、四村が立っている。

玄澤「浜面仕上って言ったよな?マジでブッ殺していいのかよ?」

垣根「ん?どうしたんだ玄澤……ああ、そういう事か、確かに、お前らが最高にムカついてんのもわかるぜ。俺も、第一位にボッコにされて家電っぽくなった時はマジでブッ殺したくなった。ああ、悪い、こっちの話だ」

家電っぽくなった?どういうことだろうか。

玄澤「乗ってやる。この戦争参加してやるよ!とっとと武器渡せ!」

碧井「テメェ!何言ってんだよ!」

またキレてしまう。

玄澤「うっせえよ!……俺達はやる!」

垣根「武器渡す前に、ちょっとすることがある。動くなよ」

することがある?
どういうことだろうか。
生徒達が、戸惑うのを無視して、垣根は指を弾く。

その瞬間、

柴樹「なんじゃこりゃあ!?」

浅倉「これって……首輪!?」

碧井「何だよこれ!外せよ!」

再び生徒達が騒ぎ始める。
しかし垣根は今まで同様一切変わらない口調で、続けた。

垣根「ほら、お前らが俺達のとこから離れて作戦を始めた瞬間、逃げ出したら困るだろ?保険だよ保険」

碧井「巫山戯んじゃねえこの似非ホストが!」

垣根「誰が似非ホストだこの格下が!」

二人が怒鳴り合うが、結局この首輪は何なんだ?

垣根「そいつはな、お前らが一定のエリアから逃げ出したとき、自動的に爆発するんだ。あと無理に外そうとすんなよ?
ほら笠井。いじんない方がいいぞ?爆発するから」

笠井は、「ひっ」と呻くと、大人しく首輪に触れるのをやめた。

垣根「さて、首輪のセットも終わったし、作戦について話すぞ。お前らにはこれから3チームに分かれて、装甲車で敵アジトに突撃してもらう。もうくじ引きでチーム編成はすんでるぞ。それから武器だな。お前らに渡されるのは、学園都市製最新ブルバップ式アサルトライフル、<トイ・ソルジャー>だ」

垣根が説明すると、大きなコインロッカー程のサイズはあるであろう鉄製のケースを転がして、数名の屈強な男が入ってきた。

垣根「弾は30連マガジンを1人6個渡す。このケースの中に、出席番号の書かれたバッグが入っているから、出発前にバッグの中の迷彩服に着替えろよ。他には携帯食糧と腕時計、懐中電灯が入ってる。装甲車には、手榴弾とグレネードランチャーも入れてあるぞ」

生徒達は、垣根の指示に従ってバッグを取っていく。

垣根「さて、戦争の開始だ」

碧井「巫山戯んじゃねえ!あのクソメルヘン野郎!」

迷彩服への着替えを強制された生徒達は、垣根達の指示で装甲車へと乗せられた。碧井の乗っている車両のメンバーは、彼を除いて、柴樹、笠井、浅倉、玄澤、丈、四村、卜辺(一番の親友だ。こいつと一緒のチームで良かった。関係ない話になるが、どうやら浅倉のことを好いているらしい)、野崎(3-Bでは結構優等生だ。碧井にとってはあまり好きにはなれないキャラだが)、保阪(野崎の彼氏だ。本人曰く、「無理矢理付き合わされた」らしい。うわぁ……)、そして、キタミシホリだ。こいつに関しては何とも言えない。一ヶ月前突然転校してきて、そのままラグビー部に入部した。そして、碧井からエースの座を、奪い取ったのだ。にもかかわらず、あまり練習に参加している姿を見かけた事がない。名前もカタカナだし、本当に謎だ。そういえば、こいつにバッグを渡す時だけ、垣根が、含みを込めた口調で、「頑張れよ」と言っていた。どういうことだ?

柴樹「なあ、碧井。これから、どうなってまうんやろな」

碧井「知らねえよ!俺に聞くんじゃねえ!」

苛立ちから、つい八つ当たりをしてしまう。

笠井「落ち着こうよ、碧井君」

隣の笠井がたしなめてくる。
と言ってもこいつ、さっきからずっと足震えてんぞ。説得力ねえっつの。色々ムカつく点はあるし、ヘタレだが、一応クラスでは憎めないキャラとして通ってる。ちなみに、眼鏡をかけてパッと見秀才っぽく映らないこともないが、成績は底辺。そうしてる間にも、『ITEM』の占拠する廃ビル群は近づいてくる。装甲車は自動操縦で進んでいるが、残り数百メートルになると手動に切り替わるらしい。玄澤が立ち上がり、運転席へと歩く。運転なんて出来るのか?まあ、「お前がやれ」とか言われたら嫌なので、口にはださないが。

玄澤「手動に切り替わった。皆捕まってろ!一気に突撃すんぞ!」

彼の言葉に、<シュバルツ・カッツ>の丈と四村はもちろん、柴樹や卜辺達も頷く。意外とリーダーシップあんじゃん。

そして、碧井達の車両は、一気に加速して廃ビル群に近づく。他の二つの車両も同様に、加速してとっとと突入するようだ。

しかし、



ズドンッッ!!



後ろから続いてきた二つの車両のうちの一つが、轟音とともに『破裂』した。

柴樹「なんや、何が起こったんや!?」

卜辺「何だよアレ!?……地雷とかじゃないよな!?」

笠井「の、のの能力だ!ヤバいッて!」

柴樹、卜辺に続いて、笠井も叫ぶ。
一方玄澤は、必死で装甲車を運転している。ジグザグに走って、狙われないようにしているらしい。丈と四村は、彼の事を信頼しているのか、黙って銃のチェックや、靴紐を結び直したりしている。

野崎「念動力(テレキネシス)!?」

保阪「多分そうだよ!」

なるほど、確かにそうかもしれない。
発火能力(パイロキネシス)でもなさそうだし、念動力と考えるのが妥当だろう。

だが、そこで、初めてキタミが口を開いた。

キタミ「……違う。念動力だとあんな風に破裂はしない。あれは窒素爆槍<ボンバーランス>。一言で言うと、空気で作った槍よ。……信じないのは勝手だけどね」

浅倉「……何で、そんな事知ってるの?習わないでしょ、そんなマイナーな能力」

キタミ「だから言ったでしょ、信じないのは勝手だって。……それよりいいの?10人くらい肉塊に変えられたんじゃないかしら?」

浅倉「……ッ!!」

その通りだ。装甲車一台当たり、10人程の生徒が乗っている。あの車両は、完全に爆散してしまった。仮に助かったとしても、怪我を負っているのは確実だ。長時間その場を動かないと、『参加拒否』とみなされて首輪を爆発させられるだろう。

柴樹「玄澤!車を止めるんや!」

卜辺「早く、今ならまだ!」

玄澤「待ってくれ!何処か建物の影に隠れよう!救急キットなら車の中にある!
応急処置をしなくちゃなんねえ!」

柴樹達が喚き、玄澤が、答える。
良かった。運が良ければ、助かるかもしれない。

水をさして悪いが巫山戯るな、巫山戯んなの表記はここではあまり一般的でない。普通に平仮名の方がいい。
後は好きなように。

しかし、

キタミ「させないわ」

彼女は、玄澤に銃を向けた。既に安全装置は解除してあるようだ。

碧井「何すんだよキタミ!」

キタミ「あんな爆発、助かる訳ないわ。…あんた達、本当はわかってるんじゃないの?…そもそも、仮に生きてたとしても、応急処置なんてして作戦が止まれば、私達も処刑される」

碧井「冗談じゃねえ!仲間を見捨てろっていうのかよ!」

キタミ「言い訳はしないわ。その通りよ。今は自分が生き残る事だけを考えて。さもないと、……死ぬわよ」

丈「何言ってんだよ!」

四村「銃降ろせこの野郎!」

<シュバルツ・カッツ>の二人も怒鳴るが、キタミは一切表情を変えない。

キタミ「…そんな事より、第二波、来たわよ。」


バタタタタッ!
というけたたましい爆音とともに、テロリスト達が弾幕を張ってきた。一応装甲車なので、小銃の弾程度なら防げるが、またさっきのように能力を使われては厄介だ。

>>59
ありがと。改善するわ。

今回は終わります。
次回は浜面の回想挟んで、突入編にいきたいと思います。

また叩かれるな……(^_^;)

>>1依頼取り消してたけど重複スレの方はHTML化していいよな?
あのレスだと解りにくいから修正しようか

>>71
お願いしますm(_ _)m

投下再開します。
切りのいいとこまで生徒側の話やって、
それから浜面の回想書きます。

玄澤「畜生ッ!」

玄澤は必死で装甲車を運転するが、銃撃が激しくてなかなか進むことができない。
作戦を開始したばっかりだというのに、既にクラスメイトの3分の1が死亡してしまった。残り20人と少し程度だろうか。圧倒的に不利だ。
これ程激しい弾幕を張るのは、数名ではとても不可能だろう。恐らく、こちらの倍近い数のテロリスト達が、このエリアに立て籠もっているはずだ。

ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!

柴樹「なんやねんッ!?」

四村「迫撃砲だッ! 当たったら流石にマズイぞ!」

玄澤「畜生ォォッ!」

玄澤がハンドルを切る。数秒前に車両が走っていた道を、迫撃砲が容赦無く抉っていく。

浅倉「あっ! 見て! あっちの車両が!」

碧井「おいおいヤバいだろ!」

見れば、自分達以外に生き残ったクラスメイトが乗っている車両があるのだが、その前輪は右側が弾け飛び、車両側面の防弾ガラスも、あまりにも激しすぎる銃撃で割れてしまっていた。

丈「マズい! 名成達が乗っているぞ!」

玄澤「何だって!」

笠井「そういえば、咲来もだ!」

咲来は、碧井にとっても一年の時から同じクラスの親友だ。

碧井「何だと!」

皆が口々に叫ぶが、そんな行為意味がなかった。弾が防弾ガラスの隙間から入り込み、誰かに当たったのか鮮血が窓から吹き出る。車内は恐らくパニックに陥っていることだろう。タイヤが一つ駄目になっていることもあり、装甲車はコントロールを失って道路沿いのビルにぶつかって停止する。

卜辺「あいつら大丈夫なのかよ!?」

玄澤「わかんねえよ!」

四村「名成ぃッ! 舞園ぉッ!」

玄澤「うおォォォッ!」

ビルとビルの間に大型車両がギリギリ入れるくらいのスペースを見つけると、玄澤は強引に装甲車をその中に押し込んだ。

キタミ「早く車から出るわよ。ほら、そこのケースにグレネードランチャーや手榴弾が入っているわ」

今までほとんど何があっても動じなかったキタミが、乗降口付近のケースから、グレネードランチャーなどの武器を取り出していた。

柴樹「C4もあるで! ホラ!」

保阪「グレネードランチャーって、弾はどれくらいあるんだ?」

キタミ「1人当たり3発といったところよ。C4は一車両に3つしか用意されていないようね。あと、迷彩服のベルトにナイフが下げられているでしょう?一応、使うつもりでいて」

丈「なんでコイツが仕切ってんだよ!」

柴樹「落ち着くんや、丈。今1番頼りになんのは、どうやらコイツらしいで」

野崎「攻撃される前に出ようって!見つかったら殺されるわ!」

玄澤「よし皆、行くぞ!」

玄澤を先頭に、碧井達は戦場へと駆け出した。



ーーー1年と、3ヶ月程前。とあるファミレスーーー


浜面「えっと、今日から『アイテム』の下部組織の一員として活動する、浜面仕上です」

全く、不幸な話だ。
スキルアウトのリーダーでもあり、親友でもあった駒場が殺され、スキルアウト数百人を束ねる臨時リーダーに抜擢されたかと思えば、怪しげな男からの依頼、『御坂美鈴暗殺計画』に失敗し、責任を取らされて暗部落ち、など、不幸以外の何物でもない。

目の前のボックス席には、年齢もタイプもバラバラの、4人の少女が座っていた。
その中の、最年長らしき、栗色の髪の毛を伸ばした少女が言った。

「ああ、アンタが例の新入り?私は一応リーダーの麦野沈利。浜面、とか言ったわね?うち、敬語とか要らないから。まあよろしくね」

浜面「は、はあ、そうですか?」

麦野「取り敢えず、浜面?」

浜面「はい?」

麦野「私、アイスティーね。ガムシロいらないから」

浜面「はいぃ!?」

浜面の回想は、1レスずつ、シーンが切り替わるごとに入れる予定です。
次は、再び生徒サイド、戦闘描写を結構いれます。
少し、書くのが遅くなると思いますが、今日も深夜までやるつもりです。
一応BR2のキャラは、ポジションはほぼ原作準拠、しかし正確に内面などを書き抜く自信がないので、名前を弄り、多少キャラを変えていきます。

装甲車から降りた碧井達は、ひとまず身を隠せる場所を探して走った。
テロリスト達からの銃撃は、一行に止む気配がない。
中途半端な場所に隠れて、迫撃砲でも撃ち込まれたら休憩どころではない。
それに、この首輪だ。
あまり目標から離れすぎると、逃亡と見なされかねない。

玄澤「おい! ここにいい感じのスペースがあるぞ!」

玄澤の方を向くと、確かに丁度いい場所があった。両隣のビルが邪魔して迫撃砲が届かない。銃で撃っても結果は同じだろう。

笠井「やった~。ようやく休める!」

体力のない笠井が真っ先に飛び込む。

柴樹「よし! 少し休憩や!」

卜辺「マジ緊張したって~」

次々と座り込む。しかし、玄澤たち<シュバルツ・カッツ>は、支給されたヘルメットに取り付けられたマイクに向かって、ひたすら仲間の、名成と舞園の名前を叫んでいた。

玄澤「名成! 舞園! 玄澤だ!」

『玄澤か!? 名成だ! 無事か?』

名成の無事を確認した玄澤は、何やら彼と相談しているようだ。
碧井は、瓦礫に腰掛けている卜辺の隣に座った。

卜辺「ん?…ああ、奏麻か…」

碧井「悪い、秋悟。寝ていたのか?」

卜辺「寝ていたか?ごめん、ちょっと気ぃ抜けてたわ…」

碧井「いや、むしろ今の内に寝とくべきだったな。起こしてすまん」

卜辺「気にすんなよ。……なあ、今日って何日だっけな」

碧井「バスで拉致られたのが12月22日の午後で、それから何時間かたった後に目ぇ覚ましたよな。作戦を開始したのが早朝だから……12月23日だな。でもどうしたんだ?急に日付なんか聞いて」

卜辺「ほら、24日に、みんなでパーティーする予定だったろ。柴樹と、笠井と、浅倉とか女子も誘ってさ。あと、…薪斑も……」

碧井「薪斑……畜生ッ…」

卜辺「いや、ごめん、別に暗くしたい訳じゃないんだ。ただ俺さ、そのパーティーでさ、浅倉に告ろうと思ってたんだ」

碧井「そう…だったのか」

今まで麻痺していた垣根達への怒りが、また湧き上がってきた。自分達の、普通の日常を奪いやがって!
薪斑だけじゃない!
10人以上のクラスメイトが、すでに死んでいるんだ!

卜辺「なあ、碧井。俺はどうしたらいい?こんな戦争で、生きて帰れると思う程俺は楽天家じゃない!せめて死ぬ前に、思いを伝えたいんだ!」

碧井「何言ってんだよ!生きてかえろうぜ!?死ぬ事なんて考えんじゃねえ!何弱気になってんだよ!お前らしくねえって!」

卜辺「…そ、そうだよな…何言ってんだ俺……なあ、奏麻、一緒に生きて帰れるか!?」

碧井「当たり前だろ!絶対ェ諦めねえ!最後までやってやる!」

玄澤「お前ら聞いてくれ!名成達と話し合って、これからの行動を決めた!俺達は、浜面の潜むビルの前にある、小さな倉庫に向かう!敵がいるかもしれないが、倉庫に到達すればいつでもアジトを強襲できるんだ!日が暮れる前に、一気にケリを着けよう!」

玄澤の指示で碧井達は、ひとまず路地裏を通って倉庫に向かうことになった。
なるほど確かにこのルートなら、迫撃砲による攻撃を気にしなくてすむ。
しかし、テロリスト達も警戒しているだろう。
恐らく、途中で戦闘は避けられない。

碧井と卜辺は顔を見合わせて頷き合うと、<トイ・ソルジャー>の安全装置を外した。

ーーー1年と、2ヶ月程前。とある地下駐車場ーーー


浜面仕上は、『敵』と対峙していた。

その『敵』とは、ついさっきまで一緒に戦っていた『仲間』の事だ。

麦野「はーまづらぁ!なーんで私に楯突くのかなにゃ~ん?」

一見ふざけた口調だが、その言葉使いの滑稽さを一瞬で消し去る要素が、この場には存在する。

浜面「ーーフレンダッ…!」

『敵』へと変貌した少女の手には『仲間だったモノ』が握られている。

金髪の女子高生の、『上半身』。

麦野「ああ、『コレ』のこと?コイツ、もういいわ。『スクール』の連中に、あたしらのこと全部話しちゃったし。そのせいで、絹旗死んだよ?腹立ったから、『処分』した」

わからない。
なんで、どうして、そんな簡単に。

浜面「わかんねぇよォ!どうして皆簡単に殺しちまうんだよォ!!」

麦野「いいから答えろよ!滝壺どこやった!垣根の野郎ブッ殺すのに、『能力追跡』が必要なんだよ!」

麦野が、手に持った少女の上半身を蹴り飛ばす。切断面から、腸や肋骨がはみ出し、鮮血が全身に降りかかるが、そんな事を一切気にせず、自身の能力である、『原子崩し』の演算を開始する。

麦野「はーまづらぁ!?これが最後のチャンスだ!三秒以内に滝壺の居場所教えろぉ!!」

浜面「絶対に教えねえ!俺は、


『滝壺を守る』って決めたんだ!」


その瞬間、青白い光線が地下駐車場を走り抜け、太い柱を、大きな車を、障害物全てを一瞬で破壊した。

麦野「オーケイ、テメェはこの私を裏切った!ブチコロシ確定だコラァッ!!」

やるしかない。
浜面は、かつての仲間である半蔵から託されたワルサーP99を握りしめ、覚悟を決めた。


そしてこの日、彼は初めて、人を殺す事になる。

本日はこれで終了です。
結局生徒サイド戦闘描写はいんなかったわ。
また明日書きます

>>84
どこにあるか探してました。乙です。

この板では、sageを入れると板の上のほうにあがりません。見たところまだ誰もブックマーク等をしていないので、sageを外してこのスレを上に持っていくほうがいいと思います。

ただし、不評な人の目にもつくことになるので批判されるかもしれませんが、めげないでね。

頑張ってください

>>85よありがとう!

投下するで~。

順調だ。

休憩を終えて行動を開始した碧井達は、テロリストと遭遇することもなく、安全に目標地点へと進んで行った。
別に動いている名成達のグループとも連絡を取り合っているが、向こうも今のところ無事らしい。

玄澤「もう半分くらい進んだな」

丈「ああ、テロリスト共も、あまり外に出て迎撃してくる気はないようだな」

四村「どうする?あまり疲労しても困るし、また休憩取るか?」

<シュバルツ・カッツ>の三人が相談している。
このグループのまとめ役は、主に彼らが務めていた。

キタミ「こんな中途半端なところで止まるのはあまりオススメできないわよ。テロリスト達の中には、当然能力者だって沢山いるはずよ」

笠井「でも俺もう無理だっ。休憩させてくれ!」

浅倉「私もちょっと、疲れちゃった。やっぱり、疲労した状態で戦うのが一番危険なんじゃない?」

野崎「奈緒の言うとおりよ!ちょっとくらい休ませて!保阪君もそう思うでしょ?」

保阪「ま、まあ、そうだよな」

ストレスが溜まっているのか、野崎の口調が少し荒れている。

キタミ「なら別に止めないわ。でも、最深の注意を払って。奇襲されたら大変よ」

どうにもコイツの言動からは、何かプロっぽいモノを感じざるを得ない。サバゲーでもやっていたのか?いや、遊びの経験値など実戦では役に立たない。実際、サバゲー好きの四村より、玄澤の方が色々と有能な感じだ。

柴樹「決まりやな。休むで!」

早速柴樹や笠井、野崎達が座り込む。
碧井も疲れていたので、適当なところに腰掛ける。

玄澤は、また名成達と連絡を取っているようだ。
にしても、今は何時だろうか。左腕の時計に目を落とす。もう12時近い。
そういえば、拉致られてからというもの何も口にしていなかった。

碧井「なあ玄澤~。腹減ったから飯にしないか?確かカロリーメイトが支給されてたよな?俺のチーズしかなかったんだけど、お前メープル持ってる?」

玄澤「うッせえよ!カロメなんてみんな一緒だろ!!だいたいあれモサモサし過ぎて喉渇くから嫌いなんだよ!!」

碧井「ンだとテメェ!!カロメ馬鹿にしやがったな!」

卜辺「落ち着け馬鹿野郎!」

碧井「止めんじゃねえ秋悟!」

卜辺に押さえつけられ、体の自由を奪われる。玄澤は、馬鹿にしたように「フンッ」と鼻を鳴らすと、名成達との会話を再開した。地図を取り出すのか、地面に置いたバッグに手を伸ばそうと、しゃがみ込む。だがその瞬間、碧井は見た。
玄澤の背後、『死角』に、一人の男が立っているのを。

碧井「玄澤後ろだッッ!!」

玄澤「ッ!?」

碧井の言葉に、玄澤が反射的に前に向かって跳ぶ。なんか無駄にいい感じの動きだ。ラグビー部入れば良かったのに。いや、そんな事考えている場合じゃない。

一番早く動いたのは、キタミだった。
素早く<トイ・ソルジャー>を構え、玄澤の背後にいる男に向かってフルオートで数発撃ち込む。
しかし、引き金を引いた時にはもう、男は姿を消していた。

碧井「何だアイツ!?」

キタミ「空間移動系能力者<テレポーター>よ!皆気をつけて!」

彼女の言葉に、全員が銃を構える。
一度離脱したのだろう。こちらが隙を見せるのを待ち構えているはずだ。一瞬たりとも油断はできない。

浅倉「きゃあッ!」

碧井「ッ!?」

卜辺「奈緒ッ!」

標的として選ばれたのは、浅倉だった。
ナイフで斬りつけられたようだ。
ギリギリ反応して動いたのか、傷は浅くてすんだ。恐らく首、頸動脈を狙われたようだが、肩の当たりを軽く斬られた程度だった。

四村「畜生ッ!」

丈「どこ行きやがった!?」

全員が銃を構えた。

ついに、戦闘が始まった。

キタミ「落ち着きなさいっ!慌て撃ったら誤射するわよ!」

キタミが指示をだした。

だが、

四村「あ"あ"ッ!!」

玄澤「四村ぁッ!」

四村がやられた。
頸動脈が狙いにくいと判断したテロリストが、次は背中にナイフを突きたてたのだ。

今回の攻撃はナイフだけではなかった。
テロリストは懐に手を入れると、そこから、丸い形状の緑がかった筒を取り出した。
一体何なのかはすぐに悟った。似たような物を自分達も支給されていたからだ。

ーー手榴弾だ。

玄澤「爆発するぞ、逃げろォっ!!」

玄澤が叫ぶと同時に、全員が建物の外側へと走りだす。
だが、全員大切な事を忘れていた。

ーーー攻撃を受けた二人は、恐らく動けない。


ドォンッッ!!


爆音が建物を包み込んだ。

碧井「ヤバいッ!四村と浅倉がッ!」

玄澤「四村ァッ!!」


「玄澤ァッ!!」


煙で視界がはっきりしないが、中から、四村だとわかる音声が聞こえてきた。

四村「浜面ッ仕上をッ……


……ブッ殺せェェェッッ!!」


そして、「ドサッ!」と何かが倒れる音がした。

玄澤「四村ァァッッ!!!」

丈「畜生ォォッ!」

仲間が止めを刺されたと悟ったのか、<シュバルツ・カッツ>の二人が絶叫する。

そして、煙が晴れた時、碧井達が見たのは、首筋をナイフで深く抉り取られたのであろう四村の死体とーー


ーー浅倉に覆い被さるようにして手榴弾の爆発を受けた、絶命寸前の卜辺だった。

襲撃者はすでに逃亡したのだろうか。
攻撃はもう来なかった。

碧井「卜辺ェッ!」

浅倉「そんなッ!秋悟君しっかりしてえッ!」

笠井「しッ、止血しようッ!」

柴樹「しっかりせえ!卜辺ェッ!」

口々に叫ぶ。

野崎「なんか出ちゃってる…!」

保阪「ヤバい…ホントだッ…!」

卜辺の腹は爆発の影響で裂け、中から内臓が軽くはみ出てしまっていた。

卜辺「ははっ……ベタだけどわりかし格好いい死に方かもな……。浅倉、なんにも気にしなくていい……!俺が、勝手に、望んでやった事、なんだ…。後悔とかしてないぜ…」

碧井「秋悟!もう喋んな!いいからじっとしてろ!」

だが、卜辺は止まらない。

卜辺「奏麻ぁっ……ずっと一緒だったよな俺達!……でも、これからはお前が暴走しても、俺は止めてやることができねえ…!……周り良く見て、あんまキレんじゃねえぞ……」


そして、急に何も喋らなくなった。
絶命しているのは、誰から見ても明らかだった。

碧井「あ"あ"…あああッッ!」

気付けば、碧井は叫んでいた。


碧井「殺すッ!秋悟殺して、四村殺して、俺達をこんな目に遭わせた奴らッ、全員まとめてブッ殺してやるッ!!」

碧井は走り出した。

物陰から飛び出して、敵が先ほど弾幕を張ってきた、中央の廃ビルに向かって、<トイ・ソルジャー>を撃ちまくった。

碧井「あああああ"あ"あ"ッ!!」

後ろから柴樹が止めにかかる。

柴樹「よさんかい碧井ッ!卜辺の二の舞になりたいんかッ!」

碧井「畜生ッ!殺すッ!絶対だッ!!」

強引な宣伝だよってミサカは(略

上条「安価でヤリまくろう」

上条「安価でヤリまくろう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376407878/)

強引な宣伝だよってミサカは(略

上条「安価でヤリまくろう」

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『畜生ッ!殺すッ!絶対だッ!!』

絶叫が聞こえる。

おかしい。
浜面仕上は考える。
今までも、学園都市側の連中に襲撃される事はたびたびあった。
しかし、彼らは決まって仲間意識など欠片もない暗部の人間だった。そのため、同僚が殺されたところで動揺などしなかったのだ。

(ひょっとすると、正規の警備員達も動きだしたのか?)

普段はあまり暗部に深く関わってこない
警備員(アンチスキル)だが、流石にテロリストを放置しておく訳にはいかないと考えたのだろうか。
だが、警備員にしては声が若い気がしたのだが……


まあ、今考えたところでしょうがない。
とにかく、偵察に向かった仲間、査楽の報告を待とう。

彼は、まだ気付かない。

自分達が、かつて自分達を殺し合わせた大人達と大差ない事をしているという事に。

>>95
何やってんだw





俺のも見てください。

もうちょっとやります。

次は、名成達のグループです。

強引な宣伝だよってミサカは(略

上条「安価でヤリまくろう」

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グループの雰囲気は最悪だ。

リーダー格の玄澤や丈までもが、仲間の死に動揺し、気力を失っている。

卜辺が死んだ原因が自分にあると思い込んでいる浅倉に至っては、もはや生気すら感じられない。
しかし、キタミだけは、淡々と小銃を点検している。

柴樹「…メープル味あったで。食えや」

碧井「いらねえよそんな喉渇くのッ!」

八つ当たりだ。
わかっている。
でも、今は誰にも話しかけて欲しくない。


しばらく、沈黙が流れた。


そして、その沈黙は、ここにはいない別の仲間の声で破られる。

『こちら名成だ!マズい事になったッ!助けに来てくれッ!』

名成達のグループからの、通信だった。

>>100
よりによってテメェが100レス目かよッ!





俺の作品読んでますか?

>>102
まともにやりあうな
こいつ他のスレにも宣伝しまくってんだから

強引な宣伝だよってミサカは(略

上条「安価でヤリまくろう」

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咲来春馬は、呆然と頭上を見上げた。
そこには、友人の田栗が吊るされている。
要するにトラップだ。
彼が踏んだ地面には、地雷が埋められていた。そして、爆発と同時にワイヤーが飛んで来て、彼をビルの柱に吊るし上げたのだ。

とにかく、下ろしてやらなければ。

咲来は深く考えず、まだ息をしているであろう友人の救助に向かう。

だが、そこで舞園が、彼の進行を遮った。

舞園「動くな、地雷が一つしか埋められてない訳ないだろ!」

>>103
マジかよ…
最ッ高にゲスいねェ!

強引な宣伝だよってミサカは(略

上条「安価でヤリまくろう」

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「俺もう嫌だぁぁぁッ!」

「冗談じゃないッ!あたし帰るッ!」

「死にたくないよおッ!」

パニックを起こした生徒達がバラバラに逃げようとするのを、名成と舞園が必死で引き留めている。

しかし、それだけで悲劇は防げない。

一体何故、地雷で吹き飛ばした体を、わざわざワイヤーで吊るし上げたのか?


答えは簡単。

ーー「もう一度落とす為」、だ。


田栗の体を支えきれなくなったワイヤーがほどけ、勢い良く人体が落下する。

そして、再び地雷が爆発した。

田栗の体が爆散し、一瞬で絶命する。
さらに彼の血液が、内臓が、骨が、他の生徒に降りかかり、それが悲劇を拡大させる。

「うわぁぁぁぁぁ!?」

発狂し走り出した男子生徒が、別の地雷に引っかかりその体を勢い良く爆散させる。


あまりの光景に精神が崩壊した女子生徒が、敵がいないにも関わらず小銃を振り回して乱射し、被弾した別の生徒の頭蓋を砕いて即死させる。

女子生徒が放った弾が当たったのだろう。迷彩服のポーチに括り付けておいた手榴弾が爆発し、数人を爆発に巻き込み、爆死させる。


名成「舞園ッ!舞園ォッ!」

正に地獄絵図だ。
<シュバルツ・カッツ>の舞園も、手榴弾の爆発に巻き込まれて死亡した。


このグループは人数が一番多く、10名以上いたにもかかわらず、生き残ったのはたったの5人だった。

今日はこんなもんです。
明日はまた浜面の回想いれます。
息をするようにグロ表現書いてますが、BR2も小説版はこんなもんです。
ではまた~。

再開するぜェ!

誰か見てるかにゃ~ん?

ーーー1年と、2ヶ月程前。とある飛行場ーーー

浜面仕上は、再び『敵』、あるいはかつての『仲間』と対峙していた。

ただ少し、前回と違う点が一つ。

「はーまづらぁ!早く出て来いよぉ! 滝壺のガバガバな[ピー!]が丸焼けになるぞぉッ!!」

浜面「なんでッ!なんでお前がここにいんだよぉッ!?

ーー麦野ぉぉッ!!」

この『敵』は、つい先日浜面自らが撃ち殺した筈だった。
しかし、現に生きており、彼の『大切な人』、滝壺理后を人質にしている。
すぐにでも飛び出し、彼女を助け出したい。でも駄目だ。
浜面は、あの女の残虐性を誰よりも思い知らされている。感情的になって飛び出したら最後、彼の目の前で、彼女は彼の『大切な人』を惨殺するだろう。

させない。

絶対に死なせない。

麦野「おいおいどうしたぁ!?この女見捨てんのかよ!むしろ全然いいよぉ!そっちの方が面白いからねぇ!結局自分が一番かわいいんだろぉ!この私を一度殺しておいて、その程度だったのかよお前の『愛』ってやつはぁ!」

『敵』が叫ぶ。
駄目だった。
なんで、なんでこんな事に。

浜面「麦野ぉッ!もうやめようッ!どうして俺達が殺し合わなきゃいけないんだッ!俺達は……『仲間』だろうがッ!」

麦野「ハッ…!そいつは無理な相談だねぇッ!虚弱貧弱無知無能なLevel0のテメェに、一つだけ教えといてやるよぉ!はーまづらぁ!
誰かを『愛する』ってことは、別の誰かを『愛さない』ってことになるんだよ!
……現にお前は、滝壺を選んだじゃないかッ!私をブッ殺して、滝壺を守ったじゃないかァァッ!!」

浜面「ッ!?麦野ッ!?」

麦野「そうだよッ!悪いかよッ!私も、

ーー『私もあんたが好きだった』ーー」

よりにもよって、
こんなシチュエーションで、
こんな事言わなくてもいいじゃないか。

浜面「麦野ぉッ!やめてくれぇッ!」

麦野「死ねェェッ!この私をブッ壊しやがって!殺すッ!殺してやるッ!」

浜面「麦野ぉぉぉぉッ!!」

やってやる。

やってやるよ。

『滝壺を守る』。
これだけは譲れない。

そして彼は、再びかつての『仲間』をーーーー、




ーーとある倉庫。

仲間の死に精神をすり減らしながらも、碧井達は合流地点の倉庫に辿り着いた。

玄澤「名成ッ!」

玄澤が叫ぶ。
倉庫の中には、名成達が既にいた。
だが、

名成「路地裏にトラップが仕掛けられていたんだ!そこで沢山やられた!生き残ったのは俺達5人だけだ!」

そこには、たったの5人しか辿り着けなかったのだ。
男子は、名成、咲来、日笠の3人。
女子は、筧と夏川の2人。
それだけだった。

柴樹「咲来!無事だったんか!」

咲来「柴樹!?良かった、お前も無事で!」

柴樹と咲来が、互いの無事を喜び合う。

玄澤「こっちは卜辺と、あと……四村が死んだ…」

名成「こっちだって、舞園がやられたよ。…畜生ッ…」

キタミ「…今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ?ここにいることを悟られる前に、一気に畳み掛けるわよ」

碧井「テメェッ!よくそんなことが言えるなッ!!」

咲来「お、おい!やめろよ奏麻!」

咲来が慌てて止めにはいる。

玄澤「キタミ。テメェもあんま俺達を怒らせんじゃねえぞ……ブッ殺すぞ」

キタミ「わかったわ。……勝手に友情ごっこでもなんでもやっていれば?」

碧井「なんだとこの野郎ッ!」

咲来「いいからっ!」

丈「取り敢えず落ち着いて、少し休憩しようぜ?」

丈の一言で、生徒達がそれぞれ腰を下ろす。ただ一人キタミだけが、襲撃者、特にさっきのような空間移動系能力者を警戒しているようだ。

笠井「か、筧さんッ!無事で、無事で良かった!」

筧「はぁ!?別にあんたに心配される筋合いないしっ!」

なんかよくわからないが、笠井が激しく振られていた。

浅倉「ねえ、碧井君」

碧井「なんだ?浅倉」

浅倉「絶対、生きて帰ろう。そして、卜辺君の分まで精一杯生きよう!」

碧井「何言ってんだ!そんなのーー

そんなの、当たり前だろ!」

ーーー1年と、1ヶ月半程前。ロシアのとある森ーーー



………これで、3度だ。

浜面仕上は、もはや『敵』とすら呼べない、『亡霊』を見据えた。

麦野「アハッ!見つけたァ!見つけたよォ!会いたかったよはーまづらぁ!」

彼女は、既に『人間』を捨てていた。

左腕はビームを纏ってギラギラと輝き、
右眼はごつい機械に置き換わっていた。

『怪物』。

そう表現するのが適切だろう。
少女だった頃の面影は消え失せ、ただただ『標的』を粉砕する事だけの為に存在する、『殺人マシン』だ。

決着を着けなくちゃならない。

この『亡霊』と。

この『怪物』と。

この。


ーー大切な『仲間』だったモノと。


浜面は、両手で保持したAK47を構えると、走り出した。


殺させない。

守る。

その為なら、誰だって殺す。


それが、かつて背中を合わせて戦った、

『仲間』だとしても。


今回で終わりだ。

絶対に終わらせる。

浜面は、AK47の銃口を麦野に向けると、躊躇なく引き金を引いた。
タタタンッ!という音と激しい反動を受けながら、彼は銃口を麦野から離さない。

浜面「うおおッ!!」

フルオート射撃によって、何発もの弾が勢い良く麦野に襲いかかるが、彼女だってLevel5の一人、『原子崩し』麦野沈利だ。小さな銃弾なんかで殺される訳がない。

麦野「甘いんだよ雑魚がぁッ!」

浜面が引き金を引いた瞬間、電子を操って障壁を展開し、放たれた銃弾全てを受け止め、あっさり消滅させる。

浜面「チッ…!」

だいたい予想はついていたことだが、アサルトライフルの7.62mm弾をいとも簡単に防がれると、やはりその『差』を思い知らされざるをえない。

ただの武器では駄目だ。
あの障壁が有る限り、銃弾など受け付けないだろう。
それなら、他の手を使うまでだ。

浜面に、『諦める』という選択肢などはなかった。

やれるとこまで、やるだけだ。



『クレムリン・レポート』というものがある。

『神』を冒涜し、得体の知れない研究を積み重ね、下手すれば全世界のパワーバランスを崩壊させかねない学園都市に対して、ローマ正教を中心とした宗教世界が下した結論は、至ってシンプルなモノだった。

『自分達の権威が弱まる前に、全力で叩き潰す』。


一方、前々から『魔術師』の侵入を度々許し、そのたびにけして少なくはない損害を被ってきた学園都市から見れば、宗教世界からの宣戦布告はかえって好都合だった。

『この機会に魔術サイドを滅ぼし、学園都市の発言力を一気に高める』


両陣営の『大人達』にとって、戦争を引き起こす理由としては十分だった。


そうして、第三次世界大戦が始まった。

『クレムリン・レポート』とは、その戦争の中でロシア軍が実行した、核発射施設防衛マニュアルの事だ。


第三次世界大戦が始まってすぐに、世界は思い知る。


『あの街には、勝てない』。


科学技術の最先端を行っていると言っても、所詮は一つの街。
さらに、人口の八割は学生なのだ。
まともに戦争など出来る筈がない。
アメリカと肩を並べる軍事大国であるロシアが本気を出せば、あっさり陥落できる筈だった。

学園都市の技術を欲していた各国は、次々と宗教側についた。
理由などなんとでもなる。
学園都市は、一応日本の都市の一つという扱いだ。
歴史上因縁があり、領土問題まで抱えている中国、韓国は、学園都市、及び日本に宣戦。
日本政府は当然学園都市に対して抗議し、圧力をかけたが、そんなもの効果がなかった。
学園都市は、逆に日本政府を脅したのだ。

『これ以上介入すると、学園都市以外に着弾する弾道ミサイルは一切撃ち落とさない』。

日本政府は、学園都市の指示に従い、宣戦布告を受け入れた。

それからは、一方的だった。

音速を超える速さで飛行する爆撃機によって各国の街が焼き払われ、

グレネードランチャーの直撃を受けても傷一つつかない駆動鎧によって『殺し合いのプロ』達があっさり殺戮されていった。

ローマ正教と対立し、学園都市側についた唯一の国家であるイギリスや、日本と友好関係にある世界最強の軍事国家、アメリカが手を貸すまでもなかった。

開戦数日で敗色濃厚なロシア軍部は、核兵器の使用を余儀無くされた。
一発でも学園都市に着弾すれば、それだけで勝てる。
技術や情報は、あとからどうとでもできる。

しかし、当然核発射施設は真っ先に攻撃を受け、占拠されていった為、使いたくても使いようがない。

だが、まだ学園都市の攻撃を受けていない施設が、一つ。

そこに細菌兵器をバラ撒く事で、直接占拠される危険性を少しでも減らす。
もっとも、学園都市製の駆動鎧にとって細菌兵器など意味がないのかもしれないが、侵入を躊躇させることができれば十分だ。

まさに藁にも縋る思いで、作戦の決行を決断した。
この作戦は内密に行わなければいけない。悟られたらあっさり阻止される。

そこで『大人達』は、一つの小さな集落を切り捨てた。

浜面は、本当なら細菌兵器の散布を防ぐために行動していた。

前々から、この集落も含まれる『エリザリーナ独立国同盟』を目の敵にしていたロシア軍は、非正規部隊であるプライベーティアを送り込んできた。

滝壺と共にこの集落に身を寄せていた浜面は、集落の住民と手を組み、部隊を迎撃することになった。
第一波を辛うじて撃退するも、第二波では劣勢、絶対絶命になったところを、とある『聖人』を名乗る男に助けられたのだ。

彼は浜面達に、以下の事を話した。

早くも劣勢となって敗色濃厚なロシア軍が、核兵器の使用を検討している事。

今のロシアで使用可能な核発射施設は、この集落付近の一つだけだという事。

そして、学園都市側に占拠される危険性を下げる為、細菌兵器を散布して侵攻を遅らせようとしている事。

その『聖人』は、当然避難するよう促した。
しかし、浜面としては学園都市側の追っ手に襲われるリスクを冒す訳にはいかない。こちらには衰弱した滝壺がいるのだ。
そこで集落の若者と協力し、『クレムリン・レポート』阻止の為に動き出した。

細菌兵器の散布される場所はわかった。

その細菌は、どうやら散布する際の気温の影響を受けやすく、さらに風向きによってもかなり効果が違ってくるらしい。

となると、気温や風向きから、散布される座標は簡単に導き出せた。

あとは、散布する為の装置を破壊するだけだ。
浜面は、一人でやりたい、と主張した。そもそも自分の我儘で動き始めたのだ。
最後のリスクを冒すのは、一人でいい。

彼はそこで、かつての『仲間』との三度目の対決を強いられる事となる。

よし、そのままついて来い。

麦野沈利という名の『死』そのものに追われながらも、浜面はまだ希望を捨てていなかった。
今やるべき事は二つ。
一つは細菌兵器を散布する装置の破壊。
もう一つは、麦野沈利の撃退だ。

一見無理ゲーのようだが、攻略法は存在する。
簡単な話だ。

『麦野との戦闘の過程で装置を破壊すればいい』。

麦野の『原子崩し』は、単純な破壊力だけならLevel5の中でもトップクラスだ。しかも、今の彼女は冷静さを失っており、浜面仕上を殺す事しか考えていない。ならば、装置付近で戦闘を開始し、『原子崩し』を乱射させればいい。
一発でも当たれば装置は破壊されるだろうし、その際に細菌が漏れれば、麦野も片付けられる。

運が良ければ、一石二鳥だ。

今回はこれで終了です。
第三次世界大戦に至った経緯を若干改変しています。
自分としては、世界大戦にもかかわらず、凄惨さの足りない20、21、22巻に不満を持っています。
次回も引き続き、浜面vs麦野です。

絶大な威力を誇りながら、Level5の中での序列は真ん中の4位。
原因としては、やはり応用性の低さが挙げられる。

この能力で可能な事は、

・光線を放つ事

・障壁を展開する事

・高速移動する事

くらいだ。
それでもなお、Level5として君臨できるのは、あまりにも凶暴な攻撃性によるものだ。

『当たれば即終了』。

それが、この能力と、それを操る麦野沈利の全てだった。

しかし、その攻撃力も、当たらなければ全くもって意味を成さない。

(麦野の奴、前回の戦いでのダメージが回復しきってねえな。しかも相当焦っていやがる。もとから複雑な『原子崩し』の演算を雑に行っているせいで、威力も命中率も格段に落ちていやがるぜ)

浜面は、冷静に分析する。

勝てる。

細菌兵器を散布する装置まで、あと少しだ。
そこで戦闘を開始させ、自爆させる。

浜面は、必死で走り続けた。

ーーここだ。

そこには、装甲車よりも大きいと思われる車両が停まっていた。
軍の連中はもう引き揚げたのであろう。
誰もいなかった。
かえって好都合だ。

麦野「はーまづらぁ!

ーー死ねぇッ!」


早速麦野が光線を発射した。
しかし、それは浜面のいるところとは全く異なる、あさっての方向に飛んで行き、また大木に命中した。

麦野「ちぃっ!」

また発射する。
しかし、当たらない。

浜面「麦野っ?」

おかしい。
まるで、

ーー『眼が見えていない』ようだ。

麦野「あああああッッ!!」

光線を乱射する。
そのうちの一発が、車両に命中し、爆散させる。





ーーよし。

目的の一つを達成した。
細菌が漏れたかもしれないので、急いでその場を離れる。
風によって運ばれるなら、風の吹いてくる方向へ走れば大丈夫だろう。
だが、足音を聞き取った麦野もこちらにやってくる。

麦野「はーまづらぁっ!」

まだ終わっていない。
この女を殺さない限り、戦いは終わってなどくれない。

浜面「うおぉぉォォッ!」

またAKを撃つ。
また障壁で防がれる。

浜面「畜生ッ!眼が見えないんじゃねえのかよッ!」

麦野「あはっ♪はははっ♪」

化け物だ。
眼が見えていないのはほぼ間違いない。
にもかかわらず、銃弾を弾き、彼のいる方向に進むのをやめない。

浜面「このっ!ーー『殺人マシン』がッ!』

そう叫んだ瞬間、彼女の動きが止まった。

麦野「…何が…」

浜面「ッ!?麦野っ?」

麦野「テメェに何がわかんだよォォッ!!」

そう叫ぶと、彼女は懐から小さな四角形のケースを取り出すと、その中身を一息に飲み込んだ。

浜面「あれはッ!?」

体晶。

能力を意図的に暴走させ、強度を強引に高める物。
かつて麦野は、滝壺に服用させ、回数を重ねるうちにそれは滝壺の体を蝕んでいった。

浜面「ヤバいッ!逃げねえと!」

能力の暴走。
『原子崩し』の暴走。
そんなもの想像すらしたくない。

しかし、

浜面「麦野っ!?」

暴走した『原子崩し』を一発も放つ事なく、麦野沈利は崩れ落ちた。

浜面「おいっ!麦野っ!」

返事は返ってこない。
少し迷ったが、彼は麦野のもとへ駆け寄った。

浜面「麦野!」

再度呼びかけるも、彼女は反応しない。

やれる。

今ならやれる。


ーーー殺せる。


しかし、そこで彼は気づいてしまった。


ーーー自分の思考が、かつての仲間を殺す事に、一切抵抗を抱いていない事に。

浜面「麦野ォッ!麦野ォッ!!」

もう駄目だった。

戦えない。

浜面「ごめんッ!俺ッ!俺はッ!」

ようやく、麦野が目を覚ました。

麦野「浜…面…?」

つい先ほどまでの彼女からは想像もつかない程、弱々しい声だった。

浜面「麦野っ!ごめんっ!俺はっ…!」

麦野「…どう…した…の……?」

浜面「もうやめようっ!もうっ!

ーー殺し合いなんてやめようっ!」

麦野「っ!?」

浜面「最初からやり直そうっ! こんな意味のない殺し合いっ!もう終わりにしようっ!」

麦野「浜面っ!?」

浜面「俺達が戦うべき相手は、仲間じゃない! 俺達を闇の中に閉じ込めてっ、色んな連中と戦わせてっ、挙句都合が悪くなったら仲間同志で殺し合わせたーー、

ーー『大人達』だッ!!」

浜面「一緒に戦おう! もう一度! 背中預けて! 俺達ならやり直せる! 俺達、

ーー『アイテム』なら!」

麦野「いいの…かい……? 私は、フレンダを殺して……滝壺やあんたを執拗に狙って……何度も殺そうとして…」

浜面「関係ねえっ! 最初からやり直すんだ! 滝壺に頭下げて、フレンダの墓の前で死ぬほど謝れッ! そして、また、『アイテム』になろうッ! 絹旗もいなくなっちまって、俺達たったの3人だけど、絶対にやり直せる! 俺達はッ!

ーー『仲間』だろうがッ!!」

麦野「浜…面…、ありがと……ね…。でも…、

『無理』、なんだ…」

その瞬間、浜面の耳に、「ピッ、ピッ」という電子音が聞こえてきた。

浜面「おいッ! なんなんだよこの音ッ!」

そして、彼は気づいた。

麦野沈利の首に、鈍く輝く銀色の首輪がつけられている事に。

浜面「なんだよこの首輪……、説明しろよ! 麦野ッ!」

麦野「…あんたと戦って、二回負けたあと…回収されて再び蘇生されたはいいけど…私の体には再起不能な程のダメージが残ってしまった…。…そこで、暗部の奴らは私を純粋な軍用能力者に『改造』したのよ……。…文字通りね」

浜面「軍用能力者? なんだよそれ!?」

麦野「…世界大戦が始まろうとしていて…、学園都市は能力者の軍事利用を始めていたの……。相手はロシアだけじゃなくて…『魔術師』とかいう超能力とは異なる能力者との殺し合いも予想されていたから……。対抗するために、学生を拉致して…、」

浜面「なんだよそれッ!? 狂ってやがる…!」

麦野「…この首輪は、改造の過程で着けられた物よ…、最新技術の塊…。能力を使ったって外れはしない…、逃亡しようとしたり、裏切ろうとしたら…

ーー爆発するわ」

浜面「ッ!?」

麦野「……私に与えられた任務は、『能力追跡』とともに学園都市を脱出した危険分子、浜面仕上の抹殺……。でも、もう無理みたい、ね……」

電子音の鳴る間隔が、どんどん小さくなっていた。

浜面「麦野っ! おいっ! 嫌だっ! 麦野ぉっ!」

麦野「……ありがと……酷い事、しちゃったのに、まだ、『仲間』だって言ってくれて…。……頑張って、生き残ってね……。
…滝壺、大事にしなよ……」

浜面「嫌だぁッ! せっかく、せっかくもう一度仲間になれたのに! 麦野っ!!」

麦野「…最後に……、


ーーいい『仲間』ができて、良かったーー」


浜面「麦野ぉぉぉっ!」

待ってなどくれなかった。
首輪が勢いよく爆発し、麦野沈利は、

絶命した。

ーーー1年と、1ヶ月半程前。ロシアのとある海ーーー


麦野沈利の最期を看取ったあとも、色々な事があった。

『クレムリン・レポート』を阻止する事に成功し、集落を守ることができた。
しかし、麦野の死亡を知った学園都市の追っ手との戦いが始まったのだ。

集落の住人の手も借りて、なんとか退けた。そして、その部隊の指揮官が、かつて『アイテム』に対して依頼を指示してきた、『電話の女』だと知ることになった。

そして、彼女を拷問した結果、学園都市を崩壊させる事すら可能な、『とある情報』を手に入れたのだ。

浜面「麦野、俺、戦うから…。絶対、お前や、死んでったみんなの仇とるから……」

浜面は、水平線を眺めながら、呟いた。
目の前には、『仲間』、麦野沈利の遺体がある。
彼女の遺体は、海に沈める事にした。

もう、二度と『大人達』の都合で、利用されないように。

浜面「さよならだな、麦野…」

ゆっくりと、遺体を海に入れる。

浜面「絶対に諦めない。俺達の命を、尊厳を、弄んできた全ての『大人』を、許さない。俺は、最後まで戦う。だから、安心して眠ってくれ…麦野」

遺体が水中に完全に沈むのを見届けると、彼は、海岸沿いを歩き出した。
特に理由はない。
なんとなく、もう少しだけここにいようと思ったのだ。


そして、彼は出会う。

彼と同じく、大切な者を『大人達』によって奪われ、復讐を望む少女と。

誰かレスつけてぇーっ!ヽ(´o`;

取り敢えず次は生徒サイドの決戦です。

上条さんは死亡ルートですね。

麦野の「最後にいい(ry」は、バトロワの川田の台詞をパクりました。

レス感謝。m(_ _)m

浜面普通にすげえだろ!
19巻なんか回りの物全てを武器に変えたんだぞ!


廃ビル内部。


まさに絶体絶命だ。

碧井は、頭上を見上げた。
そこには、十数人のテロリスト達が、こちらに向けて銃を構えている。

「武器を捨てろ!」

「動くんじゃねえ!」

「抵抗すんな!」

「捨てろ武器を!」

一人倒置法を使っているのは置いといて、とにかくこの状況をどうにかしなければ……

……無理だろこれは。

碧井は、深く溜息をついた。

つい数分前、休憩を終えた生徒達はテロリストの大半、及び標的である浜面仕上が立てこもっていると思われる廃ビルに突入した。
トラップも十分警戒したつもりだった。
しかし、突入し、取り敢えず目の前にある大きなフロアに入った瞬間ーー


ーー床が派手に抜け落ち、全員が落下した。


このビルは、侵入者の迎撃の為、改造を施されていたのだ。

生徒達が落下した瞬間、テロリスト達が一斉に飛び出してきた。

そして、今の状況が出来上がった。

「はぁっ…」

また、誰かが溜息をついた。

何もかも諦めたような、溜息だった。

ーーー1年と、1ヶ月程前。学園都市・第七学区ーーー


ーー戻って来た。


浜面仕上は、目の前に広がる巨大なビル群を見上げた。


ーーこの、『最悪な街』に。


彼には、大きな目的があった。
それを達成する為に、再びこの街の地面を踏みしめる事にした。
一応、この街の暗部から狙われる身だ。
しかし、潜入する方法がない訳ではない。

『魔術師』の手を借りたのだ。

前から、学園都市へ侵入する魔術師は少なくなかった。
大戦中も、この街に直接、破壊活動を行おうとする集団が、たびたび侵入していたらしい。
戦争が学園都市の圧勝で終結し、教会世界の力が圧倒的に弱まったあとも、今度は学園都市の勝利を認めない連中による不法侵入が一行に減らないらしい。

彼は、そんな魔術師達に協力を求めたのだ。

戦争をしていたといっても、学園都市の警備は、『魔術』に対してそれほど耐性はない。
侵入は、割と容易にすんだ。

フレメア

>>154
なんかミスった。

フレメア

>>156
なんか変だわ。
またミス

フレメア・セイヴェルン。

かつての仲間の一人である、フレンダの妹だ。

彼がこの街を訪れたのは、『復讐』の為だ。

だが、その前に、やがて再び戦場になるであろう、いやーー

ーー彼自身が戦場へと変貌させるであろうこの街から、この少女を逃がさなければならない。

浜面「さて、行きますか」

懐からメモを取り出し、そこに書かれた住所に向かって、浜面は歩き出した。



ーーヤベェ、どうしよう。

膠着状態が続いた。

「とっとと武器を捨てろよ! 命は助けてやるから!」

また、テロリストが叫ぶ。
ようやく、生徒の一人が口を開いた。
柴樹だ。

柴樹「わかった! 投降するで! だから、命は奪わんといてな!」

咲来「武器を捨てる! 抵抗するつもりはない! 助けてくれ! 変な連中に命令されて、無理矢理戦わされているんだ! 俺達に殺し合う意思はない!」

続いて、咲来も叫ぶ。

二人が銃を捨てる。
続いて、生徒数人も銃を捨てた。


しかし、銃を構えたまま、一行に下ろす気配のない者もいた。

玄澤、丈、名成、野崎、そしてーーキタミだ。

碧井「何やってんだよお前ら! 早く銃捨てろ! 殺されるぞ!」

玄澤「うっせえ! 黙ってろ!」

野崎「嫌よッ! テロリストに投降したのがバレたら、首輪を爆破されるわ!」

碧井「っ!?」

その通りだ。
恐らく垣根達は、こちらの動きを正確に把握している。

投降が悟られたら、アウトだ。

保阪「やめよう! 野崎ちゃん!」

野崎「うるさい!」

一応彼氏である保阪が止めるが、効果はないようだ。

野崎「浜面仕上ぇッ!! 出て来いッ! お前が死ねば終わるんだぁッ!!」

野崎が叫ぶ。

丈「玄澤っ! どうするんだっ!?」

名成「ここでやってもやられるだけだ! 玄澤っ! もうやめるか!?」

玄澤「駄目だッ! まだ一人もブッ殺してない! 俺達の戦いは、まだ終わらせる訳にはいかないんだ!」

玄澤達<シュバルツ・カッツ>も、なにやら話し合ってはいるが、銃を下ろす気配は一切ない。
キタミは、黙って頭上のテロリスト達に銃口を向けている。

笠井「や、やめろよ、みんなっ!」

笠井の言葉も、耳に届いていないようだ。

「やめろ! やめるんだ! お前ら!」

テロリストが叫んだ。少年の声だ。
そちらの方を向いて、碧井は驚愕した。
何故なら、そのテロリストが、自分達よりも二歳程年下に見える程、幼かったからだ。

少年「大人達に脅されてやってるんだろ!? 戦う必要なんてない! もうそんな事やめるんだ!」

玄澤「うるせぇッ!!俺には、俺達にはあるんだよッ! 戦う理由がッ! 俺達は1年前ーー

ーーお前らのテロで大切な『仲間』を殺されたんだ!!」

玄澤は、迷彩服のポケットから、緑色の腕章を取り出した。
碧井は、それをよく知っている。
いや、学園都市に住む者なら、誰しも。

『風紀委員<ジャッジメント>』の腕章だった。

玄澤「俺達は、中学1年の時から、『風紀委員』に入った! そして1年前のあの日、俺達は第七学区、『窓のないビル』付近のパトロールを命じられた!
考えてみればおかしな話だ!
この任務を与えられたのは、どういう訳だかLevel0で『置き去り』の、俺達だけだった!」

生徒達、そしてテロリスト達までが、混乱しながらも玄澤の叫びを聞いていた。

玄澤「お前ら覚えているか!? テロ発生翌日のニュースを!
見出しはこうだ!
『パトロール中の風紀委員に起こった悲劇』!
学園都市の『大人達』は、テロが起こるのを予測していたんだ!
防ぐことが困難だと考えた奴らは、世論を操る為、『悲劇』を演出したんだ!」

玄澤「あの日、あの辺りにいたのは、確かに大人ばかりだった!
当然だ! 戦争の終結に伴って、全国から要人を集めて会議を開いていたんだからな!
それでも、『大人達』は考えたんだ。『それだと足りない』ッて!
なんの罪もない真面目な学生に悲劇的な死を与える事で、世論を一気にテロ批判に向け、学園都市のスキャンダルに対する反応を少しでも薄める!
『大人達』は、俺達を道具として使い捨てたんだよ!」


彼は叫び終えると、銃をテロリストの方へ再び構えた。

丈「あのテロで、俺達の仲間が6人も死んだんだ!」

名成「何がテロだ! 何が戦争だ! お前らにわかるのかよ!? 突然仲間を奪われた俺達の痛みが!」

一触即発だ。

それでも、少年は説得をやめない。

少年「頼む! やめてくれ! 俺達だって一緒なんだ! 『大人達』に色々なモノを奪われてきたんだ! 俺達とお前らは敵同士じゃない! もう終わりにしよう!」

玄澤「うるせぇェェッッ!!」

玄澤がキレた。
彼は、一切躊躇する事なく引き金を引く。
「ダダダッ!」という音とともに、<トイ・ソルジャー>の銃口から5.56mm弾が勢いよく飛び出す。
そして、少年の顔面に直撃し、その目を、口を、鼻を、一瞬で抉り取った。

浅倉「玄澤君ッ!?」

柴樹「なにやっとるんや玄澤ぁッ!」

玄澤「行くぞお前ら!!」

丈・名成「うおぉぉォォッッ!」


地獄が、始まろうとしていた。

玄澤達が銃を乱射する。

当然テロリスト達も黙って殺されるつもりなど一切ない。

上と下。

二つの空間から、同時に、一斉に銃弾が発射される。

弾が頭部に直撃したテロリストが、脳味噌を派手にブチまけながら絶命する。

銃を乱射する野崎を必死で止めようとしていた保阪が、背中に何発も銃弾を受け、その肋骨や背骨を剥き出しにする。

彼氏

彼氏の死に我を忘れた野崎は、ひたすら上に向かって引き金を引き続けるが、弾が切れてしまう。
そして、あっさり頭を撃ち抜かれて即死した。

パニックを起こした日笠は、慌てて先程床に捨てた銃を拾おうとするが、足を撃たれて転んだところで全身を撃ち抜かれ、血まみれになってグチャグチャの死体へと変わり果てる。

腹部に銃弾を受けたテロリストの体から、赤黒い腸がズルッと滑りおちる。
すかさず玄澤が再び腹に銃弾を浴びせ、腸の大部分をそこら中に撒き散らす。

キタミは、正確に銃弾を命中させていき、次々とテロリスト達の命を刈り取っていく。

碧井「何やってんだよぉ…! お前ら何やってんだよぉぉッッ!!」

碧井の悲痛な叫びも、もはや誰にも届かない。

テロリストに反撃を喰らい、丈と名成が続けて絶命する。

それを見た玄澤は、再び激昂し、怒りに任せて銃弾をばら撒いていく。
数人のテロリストが、内臓や骨を飛び散らせて絶命する。

さらに玄澤は、グレネードランチャーを発射し、テロリスト達をまとめて肉塊へと変貌させる。
まさに、『無双』だ。


だがーー

「バンッ!」という音が響いたかと思うと、玄澤が勢いよく床に崩れ落ちる。
その額には、小さな穴があいていた。

碧井達は、上を見上げる。

そこには、SVDスナイパーライフルを構えた少女が立っていた。

咲来「姉…ちゃん…?」

咲来が、小声で呟いた。



ーー終わった。


時間だと僅か1分くらいだろう。
それだけの時間で、たくさんの命が失われた。

碧井「もう終わりだ! 今度こそ! 絶対に終わりにしよう!」

ありったけの力を込めて叫ぶ。

右腕を銃弾で抉り取られたテロリストが、弱々しく頷いた。

だが、

「ピッピッピッピッ…」

浅倉「!?」

柴樹「なんやねん!?」

笠井「く、首輪がっ!」

筧「何よ! 何なのよ!」

首輪が鳴り始める。
そして、その首輪から、声が聞こえてきた。

垣根の声だった。


垣根「ようお前ら、元気か~? 俺は元気だぜ? まあ、そんな事はいいか。本題に入ろう。
作戦のことだ。直球に言うぞ。
『失敗』だ。
つー訳で、お前らの首輪作動させるぞ。
じゃーな」

一方的に通信が切れる。

碧井「ふざけんな! ふざけんなよぉっ!」

理不尽な、あまりにも理不尽な死の宣告。

生き残った命の終演が、すぐそこまで迫っていた。

今回は終了です。
暇な人、短くていいのでレス付けてください。

あんま見てる人いないだろうけどめげずに続けます。
『ITEM』の主要メンバーの7人は、
浜面、黒夜、布束、半蔵、査楽、馬場、御坂でいく予定です。
桜井サキポジは主要メンバーから外しました。

ドンッッ!!

突然、大きな爆発音が響いた。
後ろの方だ。

浅倉「夏川ちゃん! そんなッ!」

浅倉が叫ぶ。
彼女の隣には、頭部を消失した夏川の死体があった。

柴樹「夏川ァッ!」

筧「嘘でしょッ!?」

笠井「う、うわあぁァァッ!? 嫌だッ! 死にたくないィッ!」

咲来「ふざけんなぁぁァッ!」

折角。

折角、ここまで生き残ったのに。

碧井「垣根ェェッ! 許さねえッ! ブッ殺してやる! 絶対に殺す!!」

駄目だ。

もう無理だ。

みんな死ぬ。

つまらなくて、短い人生だった。
小さい頃に親に捨てられて、この街にやって来た。
この街において絶対的なステータスとなる能力がうまく発現せず、ずっと冷遇されてきた。

そして、こんな勝ち目のない戦争に参加させられて、たくさんの仲間が死んでいくのを、何もできずにただ見ていた。

畜生。

碧井「畜生ォォォッッ!!」


しかし、


「諦めんなァァッ!!」

上の方から、声がした。
生徒達は、頭上を見上げた。

そこにいたのは、


ーーー浜面仕上だった。


その瞬間、


バチィッ!
という音とともに、もの凄くまばゆい光が、生徒達を包み込んだ。

笠井「な、なんだぁっ!?」

柴樹「なんやねんっ!」

そして、碧井は気づいた。

首輪の電子音が、止まっていることに。


「これで言い訳!? 浜面!!」

「よくやってくれた!

ーー御坂!!」


上から、テロリスト達の声が聞こえた。



とある教室。


垣根帝督は、溜息をついた。

(全く、新生『スクール』の技術部は何をやっているんだ)

彼は、自分で持ち込んだソファーに座っていた。
彼の目には、慌ただしく動き回るスーツ姿の男女が映っていた。
彼らは、この『戦争ゲーム』において、生徒達の動向を監視する任務についていた。

しかし、本来生徒達の情報が事細かく表示されている筈のモニターは、まともに機能していなかった。

(ったく、事前に『超電磁砲』がいること、教えておいてやったのによ。『発電系能力者』対策がなっちゃいねえ。こりゃ、減給確定だな)

まあ、過ぎたことは仕方ない。

垣根は、スーツ姿の男女から、一人を手招きしてこちらに呼ぶと、耳うちした。

垣根「『猟犬部隊』に連絡しろ。作戦は失敗だ。生存した生徒は、恐らくテロリスト共と合流した。今すぐ出動してーーー殺せ」



とある廃ビル。

結局、3-Bの中で生き残ったのは、碧井、浅倉、柴樹、笠井、咲来、筧、キタミの、たった7人だった。

そして彼らは、ビルの上階にある、比較的大きな会議室らしき部屋に通されていた。

柴樹「こいつら、俺らのコトどないするつもりやろ」

咲来「わからん…」

柴樹と咲来が小声で囁き合う。

その部屋には、6人のテロリストと、そして、浜面仕上がいた。

その中にはーー

碧井「あの野郎ッ!!」

卜辺と、四村を無惨に殺した、空間移動系能力者がいた。

怒りに任せて、碧井が彼に飛びかかろうとする。
柴樹が慌てて引き止めた。

碧井が叫ぶ。

碧井「おいお前ら! 俺達を一体どうするつもりだよ!?」

すると、どういう訳だかイルカの人形を抱えた少女(自分達よりも年下だ!)が、彼を鼻で笑い、叫びに応じた。

「…続きやっかァ?」

浅倉が、ビクッと体を強張らせる。

「よせよ! 黒夜!」

頭にバンダナを巻いた少年が、黒夜と呼ばれた少女を黙らせる。
そして、近くにいた浅倉の肩を掴むと、

「おいお前、ちょっと来い!」

と言って引きずっていった。

碧井「何すんだ! やめろよ!」

碧井が食ってかかる。

浅倉は、目つきの悪い高校生くらいの少女に、首を掴まれていた。

碧井「離せよ!」

彼女に掴みかかるが、あっさり突き飛ばされる。
彼女は、こう言った。

「Don't move. 爆発するわよ」

浅倉が、再び体を強張らせる。
完全に動きを止めたのを確認した彼女は、床に置いてあった工具箱からドライバーを取り出すと、浅倉の首輪に当て、慎重に首輪を分解していく。

それを見ていた浜面仕上が、口を開いた。

「これから、全員の首輪を外す。もう危害を加えるつもりはない。俺達を信じてくれ」

そうして十数分後、生徒達は全員首輪を外された。

しかし、今の今まで殺しあってきた者同士なのだ。そう簡単に緊張は解けてはくれない。

浜面「心配しなくていい。俺達も、お前達と一緒だ。この街の『大人達』に、深い闇の中に閉じ込められたり、大切な者を理不尽に殺された。
俺達は、似たもの同士…『仲間』のようなモノだ」

だが、碧井は、その言葉に、怒りしか覚える事ができなかった。

碧井「……ふざけんなよ……」

浜面「…?」

碧井「ふざけんなッつッてんだよ! お前らのせいでみんな死んだんだぞ!? なにが『仲間』だ! 冗談じゃねえ! テメェらだって大人と変わんねえよ!」

浜面「ッ!?」

途端に、浜面が言葉を失う。

碧井「テメェら自分が何したのかわかってんのかよ! 俺達は何もしてないんだ! なのに、何でテメェらに嬲り殺しにされなきゃいけねえんだよ!
俺達の友達を返せよ! 卜辺を、玄澤を、みんなを返せよッ!!」

浅倉「碧井君! もうやめてッ!」

浅倉が絶叫する。
今にも泣き出しそうな表情をしていた。

碧井「ごめん…でも俺っ…!」

そのとき、部屋のドアが勢いよく開き、少女が飛び込んできた。
先程玄澤を撃ち殺した、あのスナイパーだ。
咲来が、目を見張る。
少女が叫んだ。

「浜面! 大人達が襲撃してきた! 恐らくーーー『猟犬部隊』よ!」



『猟犬部隊<ハウンドドッグ>』。


浜面仕上は、この組織の事をよく知っている。
麦野沈利との二回目の激突の直前、実際に襲撃を受けたのだ。

この組織の役割は、わかりやすく言うと、

『大人達(けんきゅうしゃ)』にとって都合の悪い『子供達(じっけんどうぶつ)』の、『殺処分』だ。


(まずい…恐らく室内戦になるな…。畜生っ、中学生達との戦闘でだいぶ疲労しているというのにっ!)

しかし、『敵』は待ってなどくれない。
とにかく、応戦しなければ。

浜面「黒夜! 狙撃は不可能だ! 白兵戦用の腕に切り替えろ!
査楽! 馬場! 二人は下の階で、動ける奴を集めて迎撃する用意をしてくれ!
半蔵と御坂は敵を発見しだいブッ潰せ! 極力侵入を許すな! まだ応急処置のすんでない奴らがいるんだ!
布束はこいつらを頼む!」

仲間に対して次々と指示を飛ばした浜面は、自分もAKを構えて部屋から飛び出して行った。
襲撃を伝えにきたスナイパーの少女も、彼に続いて出て行く。

咲来「ま、待ってくれ! あんた、俺の……」

「………」

スナイパーは、一瞬動きを止めるが、すぐに走り出す。

柴樹「咲来、どうしたんや?」

笠井「お前、さっきもなんか言ってたよね?」

咲来「い、いや…、違うんだ……」

柴樹と笠井が問いかけるが、一人残された、布束と呼ばれた少女がそれを遮る。

布束「Be quiet. 黙ってついて来て。避難するわよ」

キタミ「…なんで…わざわざ助けようとするの…」

布束「Because. ……私達は、同じだから。……『仲間』だからよ」

キタミ「さっきまで殺し合った仲なのに?」

布束「確かに、変な話。まあ、信用しないのは勝手よ。とにかく、戦闘に巻き込まれたくないならついて来て」

パタタンッ!
タタタタッ!


銃声が聞こえる。既に戦闘が始まっているのだ。
布束に案内されて、生徒達は小さな物置らしき部屋に入れられた。

ーーそしてそこには、小さな子供達がいた。

浅倉「この子達……なんで…?」

筧「子供……?」

布束「私達が研究所から救出した、『置き去り』達よ。こういった子供達は、よく人体実験の被験者にされるのよ。……この街では、ごく普通の事…」

碧井「…相変わらず狂ってやがる」

碧井が毒づく。
柴樹も、頷いた。

布束「…ここがバレたら、戦闘は避けられないわ。警戒して。いざとなったら、私が応戦するから、この子達を連れて逃げて」

彼女は、懐から自動拳銃(ブローニング・ハイパワー)を抜き出した。

今日はこれにて終了です。

誰か見てくれているといいのですが……

まあ、頑張りますか!

誰か見てる?
今日は投下する予定です。

ーー廃ビル、入り口付近。


御坂美琴は、AK74Uのマガジンを差し替えた。
足元には、数人の銃殺体が転がっている。
彼女は、反暗部組織『ITEM』の中でも、一、二を争う実力者だ。

何故なら、学園都市Level5第三位、『超電磁砲』なのだから。

彼女の戦法は至ってシンプル。
そこら中に電撃を放ち、動きが止まった敵に向かって弾をバラ撒く。

すでに彼女は、『猟犬部隊』の内の3分の1程に当たる、12人を射殺していた。

(ちょろーっと容赦なさ過ぎたかな?)

別に彼女は、殺しを楽しんでいる訳ではない。

ただ、彼女の戦いは、あまりにも一方的だった。

ーー廃ビル、1階、階段付近。

『ITEM』のリーダーである浜面の右腕でもあり、彼のスキルアウト時代からの親友でもある半蔵は、メタルイーターM5を構えた。
Level5の御坂が倒し損ねた敵が、間も無くやってくるだろう。

(…あいつは戦力にはなるが、近くにいると巻き添え食らうからな…)

そんな訳で、彼は少し離れた地点で狙撃をしているのだ。
メタルイーターM5は、本来なら人に向かって撃つような銃ではないし、はっきり言って取り回しづらい事このうえないが、彼はあえてそれを愛用していた。

(お、来た来た)

数人の、サブマシンガン(MP5RAS)を保持した男女が、こちらにやってきた。
まだ、半蔵の存在には気づいていないようだ。

(もらったぜ!)

彼は、そのうちの一人に向けて引き金を引く。

すると、被弾した隊員の体が、文字通り『飛び散った』。
その血肉が、他の隊員のゴーグル等にかかり、彼らの視界を奪う。

慌ててそれを手で拭うのが、スコープ越しに見えた。

その隙を、彼は逃さない。

銃から手を離した隊員達を、半蔵は次々に撃ち抜いていく。

あとには、赤黒い液体と、血に濡れた兵装のみが残った。

ーー廃ビルに面した路地裏。


黒夜海鳥は、サイボーグだ。
彼女の能力は、『窒素爆槍』というもので、とある実験により、『学園都市最強』の思考パターンを植え付けられたその能力は、非常に攻撃的なものとなった。

しかし彼女は、それだけでは満足しなかった。
『窒素爆槍』は強力な能力だが、発生させられる部分が、自分の腕に限定されていたのだ。

ーーならば、その『腕』を増やせばいい。

彼女は、そう考えた。
そのため、彼女は機械の『腕』を何本も所持しているのだ。

一応近接戦の能力でありながら、射程を伸ばす事にも成功した。
実際中学生達との戦闘では、装甲車の一台を破壊している。

彼女は、純粋な戦闘力なら、Level5の御坂美琴を凌いでいた。

黒夜「おりゃあァッ!」

また一人、窒素の槍によって腹を抉り取られる。

彼女はそうして、5人程の隊員を一方的に虐殺していた。
返り血が顔に降りかかるが、そんな事一切気にする様子はない。

(さァって、裏から回り込ンで来やがった連中はこの三下どもで最後かァ?)

アジトの内部にも侵入して行っただろうが、御坂や半蔵がいる。
生きて帰れはしないだろう。

ーー廃ビル、2階の比較的大きなフロア。


辛うじて御坂達の攻撃から逃げ延び、ここまでやって来たときには、『猟犬部隊』の隊員は半分に減っていた。

そして彼らも、背後からナイフで奇襲されて頚動脈を斬られ、機械でできた四足歩行動物によって腹を切り裂かれて次々と絶命していった。

奇襲を得意とする空間移動系能力者、『死角移動』査楽と、犬のような形をしたメカを操る馬場は、かつて同じ暗部組織に属していた。
その時はたいして仲間意識などなく、必要なときに手を貸すくらいだったが、『ITEM』の一員として『大人達』と戦うようになってからは、見事な連携で敵対する者を屠るようになった。

査楽「終わりましたね。何人か、上の階に進んで行きましたが」

馬場「問題ないだろ。咲来サキと、何より浜面がいる。あんな疲労した連中じゃ、絶対に勝てないさ」

ーー廃ビル、物置前の廊下。


咲来サキは、かつて暗部組織のスナイパーとして、ろくでもない依頼をこなしていた。
そして大戦後、『大人達』への復讐の為、再び銃を取ることを選んだのだ。

SVDのスコープに映った標的が、次々と撃ち倒されていく。
半蔵のように対物ライフルを操る程の力はないが、早さと正確さなら、決して負けていない。

サキ「まずい! そっち行った!」

何人かが、銃撃を逃れて進んで行く。
あっちには、子供達が隠れている物置があるのだ。
行かせる訳にはいかない。

だが、彼女が心配するまでもなかった。

進んで行った隊員達は、AK47の掃射を受けてあっさりと皆殺しになった。

その死体のすぐそばには、


『ITEM』リーダー、浜面仕上がいた。


ーー廃ビル、物置部屋。


布束「Maybe. 終わったようね」

碧井「おい、そんなあっさり出て行っていいのかよ!」

何も気にせずに出て行こうとする布束を、碧井は慌てて引き止める。

碧井「向こうだってプロだぞ!? さっきの戦いで疲労しているお前らが、そう簡単に勝てる訳ないだろ!」

布束「Why?」

いちいち英語を使ってくるのがウザい。

碧井の制止を無視して、布束は扉を開けた。

柴樹「嘘やん…」

目の前には、大量の死体が転がっていた。
しかし、それらはテロリスト達のものではない。

笠井「こんな…一方的に…?」

血の匂いに気分が悪いのか、口を押さえながら、笠井が呟いた。

凄惨な光景を見せまいと、浅倉と筧は子供達の目を両手で塞いでいる。

布束「これが、私達の本当の実力よ。さっきは、てっきり全員素直に投降すると思ってたから、油断していたけどね」

彼女の言葉には、若干の皮肉が込められていたのだが、多くのテロリストを屠った張本人であるキタミからは、何かを気にしている様子は感じられない。

布束「このままにしておく訳にはいかないわ。片付けるわよ。…当然、協力してもらうわ」

笠井「……」

笠井は、さらに気分が悪くなったようだ。
しかし、死体を放って置くなど論外だ。
布束の指示で、碧井達は片付けを開始した。

流石に、死体を素手で触ることには皆抵抗があったので、ゴム手袋を着用したが、他のテロリスト達に気にしている様子はない。経験の違いというやつか。

ーー廃ビル、最上階の大きな部屋。


浜面仕上は、AK47のマガジンに7.62ミリ弾を詰め込む手を止めて、天井をぼんやりと見上げた。

戦闘が終わるたびに、彼は迷ってしまう。

今回の戦いは正しかったのか。

本当に、殺して良かったのか。


テロリストといっても、まだ17歳の少年なのだ。
息をするように人を殺せる方が、よっぽど異常だ。

浜面「…駒場…麦野…みんな……、俺、間違ってないよな…?」

答えはない。

「…浜面仕上」

浜面は振り向く。
そこには、中学生の生き残りの一人である少女が立っていた。

浜面「君は…?」

彼の問いかけには答えず、彼女は続けた。

「質問があるの。……一体どんな気分? 人を殺して、自分だけ生き残るのって」

自分の質問を無視された事に溜息をつきながらも、彼は答えた。

浜面「……最悪だ。この世で一番、な」


投下終了だぜェ!

恐らく明日も来れる。ではノシ

今夜も投下するぜぇ

ーー廃ビル、上階にある会議室。


清掃を終えた碧井達は、会議室にあるディスプレイの前に集められた。

半蔵「ちょっとショック受けるかもしれんが、お前らに見せておく必要があるんだ。……浜面、本当に見せるのか?」

浜面「…ああ。こいつらには、知る権利と、そして義務がある。再生してくれ」

そして、半蔵はリモコンの再生ボタンを押した。
ディスプレイに映像が映る。

そこにはーー


地獄が、映っていた。

ーー生徒達を乗せた装甲車が破裂し、彼らの血肉を撒き散らした。

ーー手榴弾を受けてボロボロになった男子生徒が、頚動脈を斬られてとどめをさされた。

ーー心が壊れた女子生徒が銃を振り回して誘爆を引き起こし、クラスメイトを巻き込んで体を爆散させた。

ーーそして、テロリストへの憎しみから戦い続けた男子生徒も、額に銃弾を食らって床に崩れ落ちた。


みんな、死んだ。
そうやって、短い人生の幕を閉じた。

映像が、終わった。


碧井「なんなんだよ! これ!」

浅倉「酷いっ! 誰がこんなビデオを!」

黙ってディスプレイを眺めていた浜面が、口を開いた。

浜面「…なんでわざわざお前達に戦わせたのか、ようやくわかったよ。
一言で言うと『見せしめ』だ。
俺達以外でも、学園都市内で『大人達』と戦っているスキルアウト達はたくさんいる。
このビデオは、そういった連中の所へ送りつけられたらしい」

柴樹「…こんなのって…、こんなね、メチャクチャやんっ! 俺達みんな使い捨ての道具かいな!」

半蔵「…奴らはそう思っているだろうな」

咲来「畜生ッ! なんでッ! なんで俺達が…」

浜面「…でも、俺達は違う! こんな『大人達』とは!
俺達は、絶対に誰かを駒として使い捨てたりはしない! 信じてくれ!
一緒に戦おう!『大人達』と!
俺達は……、

ーー『仲間』だ!」


碧井「…本当に、お前らのこと信じていいのか?
お前達も、殺し合った仲の俺達を信じられるのか?」

浜面「…ああ、約束する」

浜面は、右手を差し出してきた。

彼らのせいで、たくさんの仲間が、友達が、その命を奪われた。

それなのに、さっきまで抱いていた憎しみは、怒りは、不思議と消え去っていた。

死んでいった命は、もう戻らない。

だから、生き残った自分達にできる事は一つしかない。


ーー死んでいったみんなのことを、忘れない。生きている限り、背負い続ける。


碧井は、浜面の差し出した手を、かたく握り返した。

ーーとある教室。


『猟犬部隊』が全滅したという知らせを聞いた垣根は、溜息をついた。

(おいおい、40人の殺戮兵器がこんな短時間でやられたのかよ? 調子に乗ったスキルアウトだと思ってかかったら、ひでぇ有様だな)

次の手を打たねばならない。
あまりにも厄介ならば、垣根自身が突入してもいいが、取り敢えずもう一度様子見だ。

(まさか、こいつらに勝てる筈はないよな)

『Equ.DARKMATTER』。

学園都市Level5第2位、垣根帝督の能力によって生み出された、最強の兵装を纏った3人の兵士が彼の前に整列した。

垣根「ほら、行って来い」

兵士達は敬礼すると、走って教室から出て行った。

昨日は寝落ちしましたorz
見ててくれた人すまん。

投下再開するわ

ーー廃ビル前の広い空き地。


碧井「…本当に、みんな一緒に弔っていいのか?」

浜面「自ら望んで殺し合う者などいないさ。死んだら、みんな一緒だ。
みんな、生き残った俺達が背負い続けるしかないんだよ」


戦闘によって死んだ者達は、全員一緒に火葬することにした。
中学生、テロリスト、猟犬部隊、全員だ。

大人達も一緒に弔うことに関しては碧井個人としては納得いかなかったのだが、浜面に説得されて渋々首を縦に振った。

死体が次々と運び込まれる。
その中には、当然かつての友人も含まれていた。

碧井「…これで、本当にお別れなんだな」

浜面「ああ。でも、そいつらの事を、決して忘れるな。
…それが、生き残った者に課せらる義務だ」

仲間だった者達の亡骸が、炎に飲み込まれていく。

生徒達とテロリスト達は、それをずっと眺めていた。

生徒達の中には泣き出してしまう者もいた。


浜面「…そういえば、もうクリスマスイヴだな」

腕時計に目を落とした浜面が、唐突にそんなことを言った。

碧井「もう、24日って事か。
…『戦争ゲーム』が始まってからそんなに経ってないじゃねえか。平和な日常が、何年も前のように思えるよ。畜生」

浜面「…そうだな」

会話が途切れる。

炎が少し弱まってきた。

彼らは、ずっと、『仲間だった者達』が放ち続ける光を、ぼんやりと眺めていた。

ーーとある路地裏。


『Equ.DarkMatter』は、最強の兵器だ。

最強の兵器の筈だった。それなのに、

「あはぎゃはっ! 遅ッせェンだよ三下ァ!」

「すごいパーンチッ!!」

何故、たった二人の少年に、一方的にやられているんだ?


彼らは数分前、『ITEM』のアジトを急襲する任務を受け、ここにやってきた。

最短ルートは教えられていた。

そして路地裏を通ったとき、少年達の奇襲を受けたのだ。

一人は、少女のように線の細い、白く、白く、どこまでも白い少年。

一人は、その瞳から熱い情熱が溢れ出す、どこまでもまっすぐな少年。


彼らが、『Equ.DarkMatter』が弱かった訳では、決してない。


ただ、少年達が強すぎたのだ。

ーー廃ビル前の広い空き地。


浜面「…で、これはどういう事だ?」

「そのまンまだよ。助けてやったンだ。感謝しやがれェ」

「礼などいらんぞ! こいつらみたいな根性無し、朝飯前だっ!!」


柴樹「なんやねんこいつら」

笠井「どっちもなんか変だろ! 色々と!」

柴樹と笠井が、小声で囁き合う。

つい先ほど火葬を終えた彼らの前に、二人の少年が現れたのだ。

服装、口調、テンション、どれもが個性的だった。

御坂「…つーか、…なんであんた達がここにいんのよッ! 一方通行! 削板軍覇!」

浅倉「知り合い…なのかな?」

碧井「知らないしどうでもいいよ。こいつら」

少年達の足元には、奇抜な形状をした仮面をかぶった、3人の兵士が転がされていた。
どうやら、ギリギリ死んでいないようだ。

一方「まあ、こいつらは好きにしろ。煮るなり焼くなり好きに食え」

浜面「人を食人鬼みたいにゆうな!」

削板「たぶん焼いた方がうまいぞ!」

御坂「知らないわよ! てかなんであんたにわかんのよ!」

筧「…世界中を混乱に陥れたテロリストが、急に小物に見えてきたわね」

一方「…まァいい。そんな事より、俺達がここに来たのには、別の理由があンだよ」

削板「今の雰囲気からシリアスにもってくには根性がいるな!!」

浜面「もう黙れよお前は」

一方「…お前ら、一体いつまでこンな事続ける気でいやがる。
こンなンで、この街が本当に変わると思ってンのかよ」

浜面「……」

一方「1年前のあの日、一体何人が死ンだ?
お前ら、どれだけの人間に恨まれてンのか、考えた事あんのかァ?」

御坂「……っさい…」

一方「?」

御坂「うっさいのよ! なにが、『一体何人が死んだ』よ!
一万人を遊んで殺した、快楽殺人者には言われたくない!」

一方「ッ!?」

御坂の言葉に、一方通行と呼ばれた少年を知らない生徒達も、一斉に体を強張らせる。

御坂「じゃあどうしろって言うのよ!
大切な人を殺されても、『平和』の為に泣き寝入りしろっての!?
あんたに何がわかんのよ!
私は、あんたと違って守れなかったのよ!
私には…、あんたみたいな力はなかったのよ!」

一方「……」

浜面「…お前達の言いたい事もわかる。
俺達が、たくさんの罪なき人々を無惨に殺したのは事実だ。
目を背けるつもりはない。
…でも、俺達はいつか、この街の、いや、世界中の『闇』を打ち払いたい!
力を貸してくれないか? 一方通行!」

しばらくの沈黙。

そして、ようやく一方通行が口を開いた。

一方「…すまねェ」

浜面「…そうか」

答えは、「NO」だ。

一方「だがなァ。この街の『闇』を放っておくつもりは更々ないぜェ」

削板「俺達は、親船最中率いる反暗部組織、『ジャスティス』の一員だ!」

御坂「親船…最中…!?」

浜面「なんだ? その、『ジャスティス』ってのは」

一方「親船派が発足した組織だァ。
テロという形ではなく、平和的にこの街から『闇』を消し去るンだとよ。
まァ俺は基本暇だしなァ。参加してやってもいいと思ったンだよ」

一方「俺達は、表の世界から『闇』を消してみせる。
だから、お前達と共に戦う事はできねェンだ」

御坂「…まさかアンタが、『表の世界』なんて言うとはね…」

一方「ハッ…、似合わねェのは承知の上だぜ、オリジナルよォ」

御坂「わかったわ。表の世界は、アンタ達に任せる。
…でも、私達は私達の戦いを続けるわ。
それだけは、誰にも邪魔させない」

浜面「…ここから、別の道だな。
一方通行! 俺達は、絶対に最後まで諦めない!
…必ず、醜い『闇』が存在しない、誰もがまっすぐに笑える世界を、この手で創り出してみせる!」

一方「…そォかい。オマエ、変わったよな。初めて会ったときのオマエは、自分の為だけに人を殺そォとする、最っ高に滑稽な子悪党だったぜェ?
こりゃ、ヒーローが感染っちまったのかァ?」

浜面「さあな。俺にもわからないさ」

一方「じゃァ、俺達は行くぜェ」

削板「シリアス展開になってから俺の出番なかったな!」

御坂「アンタは黙りなさい!」

背中を向け、歩き出す一方通行に向かって、浜面が言った。

浜面「一方通行! …次会う時は、敵同士かもな」

一方「そンときは、せいぜいあンまり愉快なオブジェにならないよォに、気をつけやがれェ」

白い少年は、軽く手を振った。

少なかったけど、投下終了です。

明日も来れます。

次の次あたりで、いよいよ最終決戦かと

体調悪いので今夜は投下できません。
見てる人すまない。

少し投下します。

ーー廃ビル、上階にある会議室。


布束「準備、できたわ」

そこには、全てのテロリストと生徒が集まっていた。
様々な機器がケーブルで繋げられており、ごちゃごちゃしていた。

浜面「みんな聞いてくれ! 俺達は、これから学園都市中、いや、世界中の大人達に宣戦布告する!
俺達はもう引き返せない。
……一緒に戦ってくれるか?」

テロリスト達が、一斉に頷く。

半蔵が生徒達のところにやってきて、説明した。

半蔵「世界中の主要都市に、強制的にメッセージを送る。
そうしたら、恐らく大人達は本気で潰しにかかってくるだろう。
実はな、脱出する為の準備はすでに整っているんだ。
第七学区に向かって伸びるマンホールに通じる地下道を掘った。
能力者がいたから、簡単だったな。
今、第七学区の中心部は閉鎖されてる。
うまくいけば、誰にも見つからずに脱出できる。
子供達を連れて逃げてくれ」

馬場「浜面、このマイクに向かって話せ」

浜面「わかった。……始めるぞ」

そして、彼は話し始めた。

この演説は、世界中に伝わるのだ。


彼らは、世界中の大人達に宣戦布告しようとしていた。

『……一体どれだけの血が流れただろう…。

一体どれだけの尊い命が奪われただろう…。

俺達は知っている。
ごく少数の大人達が、限られた僅かな国や組織が…、自分達の利権やエゴの為に、多くの罪なき子供達の命を、尊厳を、弄んでいるという事を。

ーー『暗闇の五月計画』、『暴走能力の法則解析用誘爆実験』、『絶対能力進化計画』、『体晶』…、『グループ』、『スクール』、『メンバー』、『ブロック』、そして、『アイテム』。

『9月30日事件』、『アビニョン攻防戦』、『原石争奪戦』、そして、『第三次世界大戦』。

学園都市、日本、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、中国、韓国、ロシア……

世界中で、理不尽な力と戦い続ける子供達よ!

君達は、大人達の醜い争いの為に、様々なモノを奪われてきたかもしれない。

今この瞬間も、大人達が決めた勝手な枠組みに閉じ込められて、辛い思いをしているかもしれない。

だが、諦めるな!

権力を振りかざす大人達がなんと言おうと、
この世界は決して、『誰かの物』じゃない!

……共に立て。
そして共に戦おう!

俺達は、かつて俺達に闇の中での不毛な殺し合いを強制し、権力争いの『駒』として、命や尊厳を弄び続けてきた全ての『大人』を許さない。

『正義』の名の下に、破壊や蹂躙を繰り返す、全ての『大人』に捧げます。

メリークリスマス』

ーーとある教室。


テロリストのリーダーを映し出すモニターを見つめながら、垣根帝督は溜息をついた。

『Equ.DarkMatter』を装備した兵士達との通信は、とっくに途絶えていた。

「垣根さん、通信です」

垣根「なんだよ、こんな時に。誰からだ?」

「それが…、統括理事長からです」

垣根「げ、アレイスターかよ。
……俺はいないって伝えろ」

「困ります」

垣根「頼むよ!」

「また冷蔵庫にされますよ!?」


『まずい事になった』

浜面仕上を映し出していたモニターに、突如ビーカーに上下逆さに入った、白髪の『人間』が割り込んだ。

垣根「畜生結局割り込むのかよ!」

☆『今の映像は、どうやら世界中に強制的に配信されたらしい。
これは非常に都合が悪い。
なにせ、世界中の『暗部』に対する『宣戦布告』なのだからな。
たった今、アメリカ、イギリスのみならず、敗戦国のロシア、中国、韓国、フランス、イタリアから、弾道ミサイルが発射された』

垣根「マジかよ! でもそんなのすぐ撃ち落とせるだろ? 何の為の最新技術だよ」

☆『いや、全て迎撃するのは無理だ。
質はともかく、数が多すぎる。
学園都市に着弾するものは優先的に迎撃するが、日本まではカバーできない』

垣根「っ!? それって…!」

☆『ああ。第三次世界大戦の時点で日本は再軍備し、下手すると世界トップクラスの軍事力を持っている』

垣根「『戦略自衛隊』か」

☆『日本に被害が出れば、間違いなく四度目の大戦が始まる。
学園都市も、日本側に付かざるを得ない。
そんな状況で、内部に不穏分子がいるのは非常にまずい。

ーー総力戦だ。
全てのテロリスト、及び浜面仕上を……

殺せ』

投下終了です。

今夜もできれば来ます。

投下するぜ

ーー廃ビル、上階にある会議室。


半蔵「…そうか!? わかった! 頼んだぞ!」

半蔵が、誰かと通信していた。

しばらくすると、それを終えてこちらに戻ってくる。

半蔵「浜面! どうやら世界各国から学園都市、及び日本にミサイルが発射されたらしい!」

浜面「どういうことだ?」

半蔵「案の上と言うべきか、俺達の『宣戦布告』に過剰反応してきやがった!
どの国も、第三次世界大戦で日本や学園都市に傾いたパワーバランスを、自分の側に傾けたいんだろう。
テロリストの存在は、いい建前になる」

浜面「…まさか、始まるのか!?

ーー四度目の大戦が!」


半蔵「そうだ! 世界中の『暗部』が、俺達によって暴かれたんだ!」

戸惑いを隠せない生徒達に、浜面が言った。

浜面「俺達は、とんでもないところまで来ちまった。
俺達が、四度目の悲劇の引き金を引いたようなものだ。
…それでも、俺達は死んでった仲間の為にも、戦いをやめる訳にはいかない。
お前達は、子供達を連れて逃げてくれ」

半蔵「さっきの通信は、別の学区で活動しているグループからのものだ。
黒妻って奴が率いる、『ビッグスパイダー』というスキルアウトだ。
第七学区まで行ったら、彼らと合流しろ」

浜面「大人達は、間違いなく本気で潰しにくる。
…生き残ったとしても、本当に辛いのはこれからだ。
みんな、強く生きてくれ」

碧井達は、力強く頷いた。

御坂「…あいつら、すぐにでも攻めてくるでしょうね。
また戦争が始まるなら、自国の中にテロリストがいるのはいい気分じゃないはずよ」

半蔵「開戦するまではあっという間だろうな。
去年の大戦は、学園都市、及び日本側の圧勝で終わった。
そのとき学園都市側に付いたイギリスやアメリカとしても、学園都市や日本に利益の大部分を持っていかれたんだ。
面白くはないだろうな。
隙あらば、自分達の立場を上げる為に学園都市に喧嘩を売るだろうとは思っていたよ」

ーーとある地下室。


生徒達は、再び銃を手にしていた。

しかし、今回は殺し合う為じゃない。

浜面「お別れだな。……子供達の事、頼んだぞ」

柴樹「任せとけや!」

柴樹が元気よく答えた。
浅倉や筧も頷く。

笠井「な、なあ。咲来、どこ行った?」

半蔵「ああ、どうやら、どうしても話したい人がいるらしい」

碧井には心当たりがあった。
咲来は、玄澤を射殺したスナイパーに、どういう訳だか執着していた。

咲来「ごめん! 待たせたな!」

柴樹「おお、咲来! どうしたんや急にいなくなって!」

咲来「ちょっと、な。

……姉ちゃんと、話つけてきた」


柴樹「姉ちゃん!? お前、姉貴いたんか!」

咲来「隠してて、ごめん。…でも、こんなとこで再会するとは、思わなかったよ」

咲来も合流したのを確かめると、浜面が話し始めた。

浜面「…これで、全員揃ったな?
俺達は、これから大人達と決着を着けなきゃならない。
…絶望的な戦いだってことは承知の上さ。
俺達は、決して人類に与えてはならなかった『四度目の悲劇』の引き金を引いたんだ。
その報いは、いずれ受けることになるだろう。
それでも、俺達は最後まで戦い続ける。
奪ってきた命、仲間だった命、全て背負い続ける。
…お前達は生き残って、お前達の戦いを始めてくれ」

生徒達と子供達が、地下室の隠し扉から地下道へと入っていく。

だが、一人だけ部屋に残ったものがいた。

半蔵「何やってんだ! 早く行け!」

「嫌。私は、最後まで見届ける」

半蔵「どうする? 浜面」

浜面「君は…あの時の…?」

『猟犬部隊』との戦闘を終えた際、浜面に質問した少女だ。

浜面「…それが、君の戦いなんだな?」

少女は、力強く頷いた。

ーーとある教室。


垣根「さて、行くか…」

面倒くさそうに、一人のLevel5が立ち上がった。

「今回は新生『スクール』と、警備員<アンチスキル>の混合部隊なんですね。
まさか、表の組織までが駆り出されるとは思いませんでしたよ」

垣根「今の学園都市はそんだけ切羽詰まってるって事だろ。
他の暗部組織は、『親船派』への対応や、第四次世界大戦の準備でてんてこ舞いだぜ。
再構成された『メンバー』も、新しく作った『ニードル』も『ブリッツ』も、みんな出払ってる」

「うわぁ、暗部組織って大変ですねえ。
下部組織もみんなですか?」

垣根「そうだ。マジで人手不足なんだよな、今。
これから、さらに増えるだろうな。俺達の仕事は」

「そういえば、去年の大戦で発生した難民や孤児を拉致って洗脳、殺人マシンにする計画もありましたよね。
いやー、相変わらずこの街はえげつないなー」

垣根「…ああ、あの計画か?
確かに人手不足の解消にはなりそうだが、まだ試験運用の段階だしな。
当分、俺達だけでやるしかなさそうだ」

「そうですかー、まあ、冷蔵庫に逆戻りしないよう頑張ってください!」

垣根「マジやめろトラウマだから」

ダベりながらも、彼らは戦闘する準備万端だ。

垣根「さて…、いよいよクソウザいテロリスト共ともおさらばだな。
とっとと終わらすぞーー


ーー佐天」


佐天「はい! 垣根さんっ♪」

佐天と呼ばれた少女は、テロリスト達が潜んでいるであろう廃ビルの方に目を向け、呟いた。

佐天「…待っていてくださいね…、御坂さん…。
私は、決着つけなきゃいけないんですから」

ーー廃ビル、屋上。


咲来サキは、SVDのスコープを覗き込んだ。

中学生達の時とは比べものにならない数の装甲車がこちらに向かっているのが見える。

周りには、十人程の仲間がいた。
彼女達の役割は狙撃だ。

彼女の隣でメタルイーターM5を構えている半蔵が叫んだ。

半蔵「あれは警備員の装甲車だ!
今回の敵は暗部組織だけじゃないぞ!」

屋上にいる狙撃手達に動揺が走る。
教職員からの志願者で構成されている警備員の中には、当然正義感から志願した者も少なからずいるだろう。


ーー彼らを、撃てるのか?

その時、浜面から通信が入った。

浜面『やはり警備員も投入してきたか…。
彼らとはあまり殺し合いたくはない。
半蔵、装甲車のタイヤを吹き飛ばせるか?
無理強いはしないが、可能な限り戦闘しないでくれ』

半蔵「了解っ!」

半蔵が引き金を引き、
ズドォンッ! という音が響いた瞬間、スコープに映った装甲車の一台が転倒し、後続の車両を巻き込んで停止した。

流石だ。
装甲車が通っている道はあまり広くはない。
警備員達が乗っている車両は、後ろの方に配置されていた。
転倒した車両で道を塞がれ、彼らは当分突入してこれないだろう。

パタタタタッ!

サキ「応戦してきた! みんな撃って!」

彼女達『ITEM』の敵は、子供を守る為に戦う警備員ではない。

だが、この街の『闇』に対しては、一切容赦するつもりはなかった。

ーー廃ビル、二階。


外から銃声が聞こえてくる。

査楽「始まりましたね」

馬場「そうだな。狙撃である程度減らせればいいが」

査楽は大振りなナイフと小型の拳銃(SIG P230)を持ち、馬場の周りには3機の犬型のロボットがスタンバイされ、本人もサブマシンガン(UZI)を保持している。

二人の前方には、AK47を構えた仲間が5人いた。

彼らは、一階から二階へと通じる階段の前で敵を待ち構えていた。

敵が突入してきたら、まずはAKの掃射で動きを止め、そこを査楽と馬場が一掃するつもりだ。

査楽「勝てますかね」

馬場「どうだかな」

話していると、下から足音が聞こえてきた。

敵だ。

彼らは、それぞれの武器を構え直した。


ーーとある地下道。


薄暗い地下道に足音が響く。

一体どれだけ歩いただろう。

浅倉「はぁっ、はぁっ…、」

笠井「やべ、疲れたっ」

柴樹「おい、もうへばったんかいな?」

お世辞にも歩きやすいとは言えない道だ。
すぐに疲労してしまうのも無理はないだろう。

咲来「つっても結構歩いたぞ?
1時間近いんじゃないか?」

筧「少し休む? 小さい子達はちょっと辛いんじゃない?」

反対するものはいないようだ。
彼らは休憩を取る為に座り込む。

碧井「……なあ?」

柴樹「どしたんや?」

碧井「俺達は、このまま逃げれば助かるかもしれない。
…でも、それだけでいいのかな?
確かに、この子達を守る事が、一番大事だ。
でも、あいつらを…浜面達を、置いてって良かったのかな?」

柴樹「さあ、どうなんやろな。
でも、あいつらが、俺達に生きて欲しい、って願ってくれてたんは、事実やないか?」

碧井「それでも、俺は……、

…決めた。俺、戻って戦う。
俺はあいつらの仲間だ!」

浅倉「何言ってるの!? 死んじゃうよ!?
絶対駄目だよ!」

碧井「浅倉…、いや、奈緒…、ごめん。
でも俺、ここで行かないと、大切なもの失っちまう気がするんだ」

柴樹「そんなら、俺も行くで。
お前一人で行かせたら、暴走したとき誰も止められへんからな」

碧井「なんだよそれっ!」

二人が笑い合う。

これから絶望的な戦いに向かうというのに、その笑顔には恐怖などなかった。

咲来「…ごめん。俺は、行けない…」

柴樹「ええんやで。姉ちゃんの分まで生きろや」

笠井「お、俺はッ! どうすればいいッ?」

柴樹「お前の命や。自分で、決めるんやで」

笠井はしばらく悩んでいるようだったが、やがて筧の方を向くと、叫んだ。

笠井「筧さんッ! ずっと、ずっと好きでしたッ!」

突然告白された筧は、目を丸くした。

筧「は、はぁッ? 急になんなのよッ!
な、なんでアンタに……」

碧井「ツンデレってやつか?」

碧井が指摘すると、彼女は顔を真っ赤にした。

筧「違うわよ! 馬鹿! わかったから行って来い!」

笠井「は、はいッ!」

笠井は、嬉しそうに返事をした。

浅倉「ねえ…、また、会えるよね…?」

碧井「ああ、当たり前だ!
…柴樹、笠井…、行こうッ!」

ーー廃ビル、二階。


まずい。

このままでは負ける。

馬場の目には、左腕を肘のところから引きちぎられ、腹に風穴を開けられた査楽の死体が映っていた。

そして死体をつまらなさそうに見下ろしているのはーー

ーーLevel5第二位、垣根帝督だった。


馬場「畜生ッ! 垣根ェェッッ!!」

彼は必死でUZIの引き金を引き続けるが、この怪物に対しては全く効果はない。
犬型ロボットも、既に破壊されていた。

垣根「格下が。生意気言ってんじゃねえよ」

垣根は、軽く腕を振るった。

それだけで、馬場の体はバラバラに引き裂かれた。

ーーとある地下室。


碧井「畜生ッ! 結構時間食っちまった」

柴樹「もう始まってるで!」

笠井「う、上に行こうッ!」

三人は、廃ビルの一階に出る。

そこにはーー

柴樹「なんやねんッ! これッ!」

どこを見ても、死体しか見えなかった。

両目を抉り取られているもの。

腹から臓器が飛び出ているもの。

もはや原型を留めていないもの。

その死体が、テロリストのものなのか大人達のものなのかすら、判別できなかった。

碧井「もっと上行くぞッ!」

三人は、次に二階に上がる。

二階も、一緒だった。

笠井「う、うわ、この人ッ!」

笠井の指差す方を見ると、そこには査楽と馬場の死体があった。
他と同様、酷い有様だ。

柴樹「おい! あそこ見てみい!」

突然、柴樹が叫んだ。

碧井と笠井は振り向く。

碧井「あいつは確か…、黒夜?」

そこには、両腕から窒素の槍を作り出して必死で応戦する、黒夜の姿があった。

笠井「助けなきゃ!」

三人は走り出す。

だが、間に合わなかった。

兵士達の小銃(SIG 556)吐き出された鉛弾が、黒夜の細い腕を、足を、いとも簡単に引きちぎった。

黒夜「あ"ァ"ァ"ッ!」

まだ幼さの残る少女の叫び声を聞いてもなお、大人達は一切容赦しなかった。

むしろ、楽しんですらいた。

黒夜を数名の兵士が取り囲み、その頭蓋に向けて一斉に鉛弾を発射した。

笠井「ッ!?」

笠井が思わず顔を背ける。

だが、柴樹は違った。

柴樹「やめんかいッ!」

黒夜を惨殺した兵士達に、トイ・ソルジャーを乱射する。

不意を突かれた兵士達は、反撃できずに次々と撃ち倒される。

碧井「畜生ッ! 助けられなかった!」

笠井「下からたくさん来てる! 上に行こう!」

三人は上階へと走る。

どのフロアも、似たような状態だった。
まさに血の海だ。

5階まで上がると、必死にAKを振り回す半蔵と再会した。

彼の周りには兵士達の死体が転がっている。
だが、敵はまだまだ大量にいるようだ。

半蔵に近づいてナイフを振るおうとした兵士を、碧井が銃で撃ち倒す。

半蔵が、三人の存在に気付いたようだ。

半蔵「馬鹿野郎ッ! なんで戻ってきた!?」

碧井「俺達は仲間だッ!」

全員で銃を乱射し、攻めてくる兵士達を次々と撃ち倒す。

でもキリがなかった。

殺した途端に、新しい敵が湧いてくる。

このままでは、いずれ弾が切れてやられてしまう。

半蔵「このままじゃジリ貧だ! 上に行こう!
浜面達もいる!」

碧井「わかった!」

銃を撃ちながら、少しずつ階段の方へと後退する。

半蔵「今、御坂が磁力で即席の橋を作っている! それを使って隣のビルに逃げ込む!
このビルはもう駄目だ!
布束達が、爆破の準備をしているところだ!」

柴樹「承知したで! 準備が終わるまで、敵を近づかせたらあかんのやろ!」

笠井「また来た! 撃て、撃てえ!」

襲いかかってくる兵士達に向かって必死に引き金を引きながら、彼らは上の階へと進む。

碧井「畜生弾切れだ!」

アサルトライフルには普通、弾は30発程度しか入っていない。
五秒も撃ち続ければ、あっという間に弾倉は空になる。

碧井は慌ててマガジンを入れ替えようとするが、その隙を大人達は見逃さない。

近くにいた二人の兵士が、同時に銃を碧井の方に向ける。

碧井「ッ!?」

まずい。

まずいまずいまずい。

恐怖から、思わず目を瞑ってしまう。

(奈緒、ごめん。俺、もう駄目かもしれない…)


タタタンッ!

銃声が響く。

だが、碧井の意識は、まだ途切れていない。

でも間違いなく、弾は発砲されたのだ。

そして、それは誰かに当たるはずだ。



碧井は目を開けた。

そこには、


彼を庇って全身血まみれとなった柴樹がいた。


碧井「柴樹ぃッ! おいッ! しっかりしろ!」

半蔵「やられたのか!?」

半蔵が駆け寄ってくる。

笠井「うわぁ"ぁ"ぁ"ッ!」

笠井が銃を乱射し、柴樹を撃ち抜いた兵士達を射殺する。

碧井「柴樹ッ! ごめんッ! 俺のせいでッ!」

柴樹「…気に…、すんなや……

仲間ができて、嬉しかったで……

はよ…、行かんかい……」


碧井「柴樹! 死ぬなぁッ!」

誰がなんと願おうと、一度決まった運命は変わってはくれない。

柴樹は、静かに目を閉じ、すぐに動かなくなった。

碧井「畜生ッ…、畜生畜生畜生ッ!」

碧井は立ち上がり、マガジンを素早く入れ替えた。

柴樹の、友人の死によって自分は生き残った。

なら、その命を無駄にはできない。

碧井「うおぉぉぉぉッ!」

迫り来る兵士達に向かって、銃弾をバラ撒きまくる。
そこに迷いなどない。

また弾が切れる。
柱の影に隠れ、手早く新しい弾を装填する。
同じミスなどするもんか。

碧井「笠井! 半蔵! 行くぞ!」

二人は同時に頷くと、笠井はトイ・ソルジャーを、半蔵はAKを、敵に撃ちまくった。

大勢の兵士が撃ち倒され、あたりに赤い血だまりを作り出す。

半蔵「今だ! 階段に飛び込め!」

そう叫んだ彼の手には、手榴弾が握られていた。

碧井と笠井が上に上がったのを確認すると、半蔵はそれを敵に向かって投げ込み、自分も階段を駆け上がった。

激しい爆発音とともに、大量の兵士達がなぎ倒される。

半蔵「よし、やってやったぜ!」

碧井「どんだけ激しいんだよ!」

半蔵「火薬の量が二倍だ! 下手すると床が抜け落ちるぜ!」

碧井「馬鹿だろお前! 鼓膜破れる!」

ーー廃ビル、屋上。


御坂は、運び込まれた廃材を、また磁力で繋ぎ止めた。

御坂「できた! これを一気にむこうのビルに架けるわよ!」

サキ「爆破の方は?」

御坂「布束さんが進めてるわ!
もうそろそろ終わると思う!」

下では、浜面達が応戦している。

不利なのは承知の上だ。
すでにたくさんの仲間達が、帰らぬ人となっているだろう。

それでも、自分達は諦める訳にはいかないのだ。

御坂「勝つわよ! 絶対に、生き残ってみせる!」

戦う理由はみんな違う。

それでも、その思いは一緒だった。

ーー廃ビル、上階にある会議室。


碧井達は、必死に戦いながらも、かろうじて浜面達がいるところまで後退した。

浜面「碧井!? 何故ここにいる!」

碧井「そんなことどうでもいいだろ!
下はもう駄目だ! みんなやられた!」

半蔵「浜面! 爆破の準備は終わったのか?」

浜面「ちょうど今終わったところだ!
屋上に行こう! 御坂達が待ってる!」

奧でずっとPCを操作していた布束が、顔を上げて言った。

布束「Wait. タイマーをセットするわ。
10分後に爆破するようーー

ドンッ!!


しかし、彼女が言い終える前に、会議室のドアが勢いよく吹き飛んだ。

半蔵「嘘だろ…!」


そこには、ずんぐりとした金属製の兵器、
駆動鎧<パワードスーツ>が3体立っていた。


駆動鎧達は、巨大な回転式の銃を、両手で構えていた。

浜面「まずい! 体隔壁用ショットガンだ!」

彼の言葉に、周りにいたテロリスト達が一斉に身を伏せる。


体隔壁用ショットガン。

学園都市とローマ正教の争いが激化した際、過激な反学園都市デモが行われたフランスのアビニョンに対し、学園都市側が『制裁』として実行した『アビニョン侵攻作戦』で採用された大型の銃だ。

対人用の兵器ではないが、人間が密集しているところで撃つと、その効果は絶大だ。

文字通り『消失』するのだ。

あとには、赤い霧だけが残る。

『アビニョン侵攻作戦』では、航空機からの猛攻も合わさり、数百人の罪なき命が奪われた。

たった数十分の間の、出来事だった。

三体の駆動鎧が、一斉に発砲する。

会議室の壁が一瞬で崩れ去った。

室内で使用することを考慮して若干威力は落としてあるのだが、老朽化が進んだ建物の壁を吹き飛ばすくらい朝飯前らしい。

テロリスト達も、駆動鎧に向けてAKを掃射するが、無駄だった。

再び体隔壁用ショットガンが火を吹く。

人間だったものが、いとも簡単に赤い霧となって消失した。

笠井「ああああ"あ"あ"!」

碧井「笠井ぃッ!」

笠井の叫び声が聞こえ、碧井は慌ててそちらを向く。

彼の右腕が、消失していた。
断面からは、なにやら白っぽいモノまで見えしまっている。

碧井「畜生ッ! どうすればッ?
止血できるのかよこんなの!?」

笠井「痛い痛い痛いィィッ!」

半蔵「生きてるか!?」


碧井「なんとかできないのかよ!?
このままじゃ失血死するだろうが!」

止血なんてしていられる状況じゃないのはわかっている。
それでも、友人の命を諦めることなどできなかった。

笠井「碧井君ッ!」

右腕を失ったにもかかわらず、笠井が立ち上がった。

碧井「動くんじゃねえよ!」

笠井「…筧さんにっ、よろしくっ!」

碧井「笠井ッ!?」

笠井「うおおおォォォッッ!!」

碧井「笠井ぃぃィィッ!」

唐突に、笠井が駆動鎧に向かって走り出した。

その左手には、



ーーC4爆弾が、握られていた。

笠井「先に行けぇぇェェッ!
巻き込まれるぞぉぉ!」

碧井「やめろ! やめろぉッ!」

半蔵「行こう! 碧井!」

碧井「ふざけんな! 見捨てて行けってのかよ!」

笠井「いいんだよ! 行ってくれ!
俺、ようやく誰かの役に立てる!
仲間の為に戦える! それだけで充分だ!」

浜面「……行こう…!」

碧井「畜生ぉぉッ!」

碧井、浜面、半蔵。

生き残った彼らが階段を登りきったとき、先ほど半蔵が投げた手榴弾とは比べ物にならないくらいの爆発音が、階下から聞こえた。

ーー廃ビル、屋上。


三人は、ようやく屋上へと辿り着いた。

御坂「あんた達! 無事だったのね!?
てかなんであんた…えっと、碧井だっけ?もいるのよ!?」

浜面「みんなやられちまった! 布束もだ!
爆破装置は起動したと思う!」

御坂「…嘘、でしょ…? みんなが!?」

半蔵「駆動鎧まで投入してきやがった!
下手するとまだ来るぞ!」

浜面「隣のビルに行こう。
御坂、頼んだぞ」

御坂「わかった!」

サキ「まずい! もう来たわ!」

碧井「!?」

見れば、十人近くの兵士が、屋上に上がって来ている。
サキが、SVDを撃ち込んで何人か撃ち倒すが、その死体を乗り越えて次々と新手がやって来る。

半蔵「うおおおォッ!」

半蔵もAKを乱射する。
浜面、御坂も銃を手に取り、撃つ。
碧井もトイ・ソルジャーの引き金を引く。

必死で戦うが、それはあまりにも無謀だった。
もとから人数差があるのだ。

兵士達のSIG 556から放たれた弾が、半蔵の右肩に命中した。
彼の体が回転する。
さらに、腹にも数発、弾が入り込む。

浜面「半蔵ッ!」

浜面が、半蔵のもとへ駆け寄った。

浜面「おい! しっかりしろ! 半蔵!」

半蔵は、倒れこんだまま動けないようだ。

半蔵「…浜面ァ!
俺達の戦いは、これからだよなあッ…!
お前は生きろよぉ…!
生き残って、戦い続けろおッ!」

浜面「半蔵ッ!? 半蔵ッ!!」

半蔵は、もう動かなかった。

浜面「畜生ぉ…! 半蔵ッ! 畜生ッ」

泣いている暇など、大人達は与えてくれない。
次から次へと、銃を持った兵士が迫り来る。

浜面「あああ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ!!」

激昂した浜面はAKを振り回して次々と兵士達を撃ち殺すが、自身の腕にも弾がかすり、出血する。

サキ「三人とも、先行って!」

御坂「何言ってんのよ!」

サキ「最後まで見届けんのよ!」

浜面「…咲来…?」

サキ「いいから行ってッ!」

御坂「アンタも行くわよ!」

サキ「いいのよ! 最後に、弟に会えたから!」

浜面「……ごめん…。

行くぞ! お前ら!」


浜面の言葉で、御坂は鉄板などを使って急ごしらえで作成した橋を向かい側のビルに飛ばし、引っ掛ける。

碧井「すげえなおい!」

サキ「ごちゃごちゃ言ってないで、早く!」

浜面「…すまない咲来!」

三人は、走り出した。






ーーこれで、いい。


三人が橋を渡り切ったのを確認すると、サキは躊躇無くその橋に手榴弾を投げ、破壊する。

サキ「あああああァッ!」

全身に銃弾を受けながらも、彼女の指はSVDのトリガーを引き続ける。

銃弾の一つが彼女の頭部に命中し、その命を刈り取った瞬間ーー、



ーー自爆装置が作動し、廃ビルが轟音とともに崩れ落ちた。

寝落ちなどで途切れ途切れになったけど、投下終了です。

投下するぜ

ーー隣の廃ビル、屋上。


浜面「半蔵っ…黒夜っ…畜生ぉッ!」

御坂「サキも、布束さんも、みんな…」

このたった数時間で、大勢の仲間を失った。

碧井「行こう…!
…だってお前ら、言ってただろ?
死んでったみんなを忘れるなって。
生きている限り、背負い続けろって」

長時間の戦闘で、疲れも溜まっている。

弾も、ほとんどないようなものだ。

それでも、立ち止まる訳には、諦める訳にはいかない。

浜面「…下に、降りよう。今なら、敵と遭遇する可能性は低い…」

ーーとある廃ビル、正面玄関。


垣根帝督は、ド派手な爆発音とともに崩落した隣のビルを見上げた。

予想していた展開だった。

だからこうして、彼はここで待ち構えているのだ。

右には、黒髪を長く伸ばした少女。

左には、迷彩服を着込んだ短髪の少女。

それぞれの『目的』ーー『戦う理由』を抱く二人の少女と共に。

垣根「…来たな」

二階へと通じる階段から、三人の少年少女が降りてきた。


ーー『決着』を着ける時が、ついにやってきた。

ーーとある廃ビル、正面玄関。


碧井「キタミ…!?」

浜面「垣根! 何故お前が!?」

御坂「…なんで…、なんであなたが!?

ーー佐天さん!」


垣根「よお。碧井。浜面も、久しぶりだな。
独立記念日の抗争以来か?」

浜面「…まさか、お前が大人達の側だとはな」

垣根「まあ、俺としては自分の能力を存分に振るえれば満足だからな。
あの日は反乱起こしたが、俺はなんだかんだ言って、『闇』の中が好きなんだよ」

碧井「垣根ぇッ! テメェ今更何しに来やがった!」

垣根「ちょっとな。自分の戦いに決着着けたいって言ってる奴らがいてな。
ただの付き添いだよ。付き添い」

彼がそう言った瞬間、キタミはトイ・ソルジャーを浜面に、御坂に佐天と呼ばれた少女は拳銃(M92F)を御坂に向けた。

浜面「お前…どういうつもりだ」

御坂「佐天さん! どうしてッ?」

垣根「さーて、楽しい楽しい復讐タイムの時間だ! お前ら二人とも、覚悟はいいかぁ?」

復讐タイム? なんなんだ、それは。

混乱する碧井は、浜面に視線を向け、無言で問いかける。
しかし、彼もわからないようだ。

浜面は、肩をすくめてキタミに質問する。

浜面「キタミとか言ったな。どういうつもりだ? お前の『戦い』の相手っつうのは、この俺なのか?」

キタミ「…そうよ。私は、貴方と決着を着ける為に、この『戦争ゲーム』に志願参加した」

碧井「志願参加…!?」

キタミ「浜面仕上。貴方、考えた事ある?
『闇』に身を浸した者にも、愛してくれる『家族』はいるのよ?」

浜面「…何が言いたい…?」

キタミ「貴方が殺した『大人』達にも、守りたかった家族が、我が子がいるって事。…私はーー、



ーー貴方が拷問して殺した、『電話の女』の娘よ」


浜面「ッ!?」

キタミが最後の台詞を放った瞬間、浜面は凍りついた。

碧井「おい! なんだよ! 拷問って!」

キタミ「一年と、あと数ヶ月くらい前かしら?

第三次世界大戦が終わった頃、私の母は仕事の都合でロシアに行った。
そして、そのまま帰らなかった。

母の知り合いとか、仕事の関係者とか、とにかく情報を集めたわ。

でも、どういう訳だか全くわからなかった!

そして、あのテロが起きた!

私も、この街の暗部を思い知らされたわ。

母の死の真相を知ったのは、それからしばらく後のことよ」

キタミ「酷い有様だったようね?
両腕両足は切断され、顔をバーナーで焼き尽くして!

…でも、それだけじゃないでしょ?」


浜面「……」

キタミ「言いなさいよ! そのあと母に何したの!? 答えなさいッ!」

無言でキタミの話を聞いていた浜面が、ついに口を開いた。

浜面「…あの時、俺にはーー、俺達には、『情報』が必要だった…、学園都市を崩壊させる事ができるほどの、スキャンダルが…、それが、テロと同時に暴露した『素養格付』だ。
その情報を手に入れる為なら、何でもした」

浜面「そのとき滞在していた集落の近くには、小さな洞窟があった。

俺は、そこであの女を拷問した。

罪悪感など、かけらも感じなかった。

なんせ、自分達を『道具』として利用してきた『大人』の一人だったからな。

思いつく限りの苦痛を与えた。
それでも、あいつは情報を吐かなかった。

当然だ。
裏切りが上にバレれば、自分どころか家族まで、『死』なんかじゃ済まないほどの事をされるんだろうからな。

苛立った俺は、最後の手段に出た。
ちょうど、集落を襲撃してきた傭兵達を、拘束して牢屋に放り込んでいたんだ。

俺はーー、




ーー傭兵達数人に、その女を輪姦させた」




キタミ「やっぱりね…」

話を聞いたキタミの反応は、それだけだった。

しかし、心の奥は浜面への憎しみで煮えくり返っているのだろう。

垣根「いや~、浜面鬼畜だなあ!
ゲーム感覚で人殺す奴らに輪姦させるとか、お前って本当はドSなのか?」

キタミ「垣根さんは黙っていて」

碧井「…浜面…、お前…!」

浜面「否定はしない。全部事実だ。
本当に、罪悪感など感じていなかった。

…当然、お前は俺のことを憎んでいるんだろうな。
そして、俺を殺したいだろう…」

キタミ「当たり前でしょう?
私は、あんたを殺す。
…思いつく限り、残酷にね」

浜面「…俺は、殺されるべき人間なんだろうな。
自分でもわかっているよ。

…それでも、戦わなきゃいけない。

査楽が、馬場が、黒夜が、布束が、半蔵が、咲来が、俺を生かしてくれた。

…その命は、捨てられない」

キタミ「最悪ね。
どれだけ御託並べたところで、あんたが自分が生き残る為だけに誰もを殺す、『サイコパス』であることに変わりはないわよ?」

浜面「承知の上だ。

俺はーー、『サイコパス』だ」

キタミ「本当、どうしようもない奴ね。
あんたって」

浜面は、最後まで一切否定しなかった。

キタミ「そうやって、殺した命を全て背負って戦い続けるんでしょ?
…いつかは、報いを受けるのかしらね」

彼女は、トイ・ソルジャーの銃口を浜面の腹に向けた。

キタミ「まずは腹ね。内臓をブチ撒けてやる」

投下終了です。

次回は御坂・佐天の対決です。

今夜は投下します。

あと、黒歴史になることは覚悟の上です。
一度SSを書いてみて、どんな感じか試すつもりで始めたので。



パンッッ!


銃弾が放たれる。

しかし、撃ったのはキタミではなく、
被弾して倒れたのは浜面ではない。



ーー佐天が撃って、キタミが倒れたのだ。



碧井「キタミッ!?」

御坂「何してるのッ!? 佐天さんッ?」

佐天「駄目ですよー、キタミさん。
浜面仕上も、私のーー私達の復讐対象なんですから。
勝手に殺そうとしないでください」


碧井「キタミッ! おい! しっかりしろ!」

碧井は、ぐったりとして動かないキタミのもとへ駆け寄った。

キタミ「…お母さん…、ごめんね…、
…私…、何も、できなかった……」

ゴホッ、と口から血を吐き出し、彼女は動かなくなった。

佐天「あ、死にましたか? じゃあ、次は私の話、聞いてくれますよね?」

碧井「テメェッ!」

御坂「佐天さん! 一体どうしちゃったの?
自分が何したかわかってるの!?」

佐天「『自分が何したかわかってるの』、ですって…?

御坂さん! あなたが何言ってるんですか?

それはこっちの台詞です!

あなた達は、二万人を、いや、もっと多くの人を殺したんですよ!?」

浜面・御坂「ッ!?」

佐天「…あの日、爆破テロと同時に、あなた達『ITEM』は、『素養格付』を暴露した。

学園都市中の学生が絶望しました。
そして、悟りました。
『自分達は、大人達の道具なんだ』
って!

その日から、この街は地獄へと変貌しました!

大人達の都合で『無能』とされてきたLevel0は、スキルアウトを中心として、無差別テロをし始めました!」

碧井達も、爆破テロ後の学園都市の惨状については知っている。

それはもう、酷い有様だった。


佐天「そして大人達に『選ばれた』という意識を持った一部の能力者が、『自衛』と称して無能力者狩りを始めました!

もはや警備員にも抑えつけることができませんでした!

互いに憎み合い、殺し合い、誰が自分の敵で、
自分はなんの為に戦えばいいのか、誰にもわかりませんでした!」


浜面と御坂は、呆然としながら彼女の言葉を聞いていた。

垣根は、ニヤニヤ笑っている。


佐天「…あなた達が殺したのは、二万人だけじゃありません。

そして、奪ったのは命だけじゃありません。



ーー御坂さん、今あなたの目には、何が映っているんですか?

ーーそこに、正義はあるんですか?」


御坂は、彼女の問いかけに答えることができなかった。

その目には大人達への憎しみしか映っておらず、

この戦いに正義など、あるはずなかった。


佐天「答えてください! 御坂さん!
それと、あと一つ、言わなきゃいけないことがあります!



ーー初春が、無差別テロに巻き込まれて死にました!」


御坂「……え…?」


佐天「風紀委員として、最後まで戦ってましたよ!
それでも、あっけないものでした!

スキルアウト達が仕掛けた爆弾の爆発で、あっさり死にましたよ!

これが、あなたのやりたかったことなんですか!?

これが、あなたの戦いなんですか!?

答えてください!
御坂さん!」


浜面「…御坂……」

御坂「…心配しないで。大丈夫だから」

大丈夫には、見えなかった。

それでも、御坂は答えた。


御坂「…この戦いに、正義などないのかも、しれないわね。

そもそも、この闇にまみれた街に、『正義』など存在しないのかもしれない。

でも、私は思うんだ。

もしこの世界に、『正義』に近いものがあるなら、それはーー


ーー『真実』だと思う」

すまん、寝落ちした。
やっぱ横になりながら書き込んだらだめだな

佐天「…そうですか…」

佐天は、残念そうに呟くと、手にしたM92Fの銃口を、御坂に向け直した。

佐天「友達だと思っていました。

…でも、仕方ありません。私は、自分自身の為、いや、死んでったみんなの為に、あなたを殺します。


…さよなら、御坂さん」


指に力を込める。
すぐにでも発射されるであろう弾丸は、
間違いなく御坂の命を刈り取る。

『超電磁砲』としての能力を使えば、
身を守り、反撃するのは簡単だろう。

でも、今の彼女に、そんなことは期待できない。

それでも。



彼女自身が動けないなら、『仲間』が動けばいい。


碧井「させるかよッ!」


碧井は、トイ・ソルジャーの引き金を引き、5.56ミリ弾を、佐天に向かってバラ撒く。

彼女に能力があるかはわからないが、この距離だ。
高レベルの能力者でもない限り、対処するのは難しいだろう。


しかし。


放たれた銃弾は彼女の体を抉り取ることなく、

彼女の目の前に突如出現した純白の円盤によって受け止められた。

碧井「何ッ!?」

動揺する碧井に、佐天は躊躇なく発砲する。
銃弾が碧井の肩をかすめた。

浜面「これは…、『未現物質』…?」

碧井「どういうことだよ!? 垣根の能力だって言われたぞ!?」

垣根「そうだぜ? でも、『Equ.DarkMatter』みたいに、『未現物質』の製品化は可能だ。
ちなみに俺はそれで儲けさせてもらった」

佐天「私の場合、『未現物質』製の義腕ですね」

御坂「義腕!? どういうことなの!?」

佐天「何言ってるんですか、御坂さん。
義腕が必要なんですから、切断されたに決まってるじゃないですか」

御坂「切断!?」

佐天「そうですよ。なんせ私は無能力者です。
『無能力者狩り』をしている過激派の能力者に、叩き斬られました。
でも、私なんてまだいい方ですよ?
友達の中には、レイプされた挙句に両目くり抜かれた人もいますから」

垣根「まあ、佐天もお前らが引き起こした混乱の被害者ってことだ。
今は、親船派の連中が鎮圧して勢いは弱まってるがな」


碧井は、猟犬部隊による襲撃の後にやってきた二人の少年を思い出した。

これが、彼らの戦いらしい。


御坂「…佐天さん…」

佐天「謝らないでください。殺しにくくなりますから」

何か言葉を発しようとした御坂を、佐天は一蹴した。

佐天「あなたは前言いましたよね?
『レベルなんてどうでもいいことだ』っ
て。

でも、これが現実です。

力無き者が虐げられ、力を持つ者が全てを正当化するんです。

あなただって、そうしてきたでしょう?

以前のあなたが『素養格付』を知っていたとしても、あなたはスキルアウトに対して容赦しなかった筈です」


御坂「…わかった」

御坂が、口を開いた。

御坂「決着を着けましょう、佐天さん」

浜面「本気なのか? 御坂。…友達、だったんだろ?」

御坂「それでも、これは私が決着を着けなきゃならない事よ。

…あんた達は、先に行って」


垣根「…だとさ。行けよ、二人共。
俺はこっちに興味がある。お前らブッ殺すのは、後回しにしてやんよ」

碧井「テメェ、忘れちゃいないだろうな?
俺にだって、お前を殺す理由はあるんだぞ?」

垣根「ああ、薪斑の事か。

…Level0に勝てると思ってんのか? 格下が」


御坂「行って! 今は、こいつを倒せない!

でも、いつかは戦いなさい!

その為に、今は生きるの!」


浜面「御坂…、」

御坂「…あんた達の戦いは、こんなとこでは終わらないでしょう?

…先に行って」

碧井と浜面は、顔を見合わせて頷き合った。

碧井「垣根ぇッ!
絶対このままでは終わらせねえからな!
俺はいつかお前を殺す!
覚悟していやがれ!」

垣根「そぉかよ。まあ好きにしろ、Level0」

浜面「行くぞ碧井!」

碧井「ああ! 行こう! 浜面!」

二人は同時に外へ飛び出す。

そこには、まだまだ敵がいる筈だ。

それでも、迷いなど一切存在しなかった。




佐天「行っちゃいましたね」

御坂「いいのよ、これで。

…これは、私達の戦いなんだから」


垣根「じゃ、俺は邪魔にならないよう、離れて見物しているぜ」

御坂「好きにすればいいわ。
にしてもあんた、趣味悪いわね」

垣根「心配すんな、自覚はある」

そう言うと、垣根は部屋の隅の方へ向かい、未現物質で手早く腰掛けを作り出すと、腰を下ろした。

佐天「覚悟はいいですか? 御坂さん」

御坂「ええ。…さあ、始めましょう!
私達の戦いを!」

二人は、一斉に前へ踏み出した。

誤変換発見。

未現物質→未元物質

佐天「手早く済ませて、浜面仕上の方も片付けなきゃいけませんからね!」

佐天が、『未元物質』で補われた左腕を振るう。

学園都市第二位の能力だ。
『超電磁砲』である御坂でも、簡単には防げないだろう。

磁力を使って天井に張り付き、そこから部屋の隅に移動する。

御坂「させると思う?」

遠距離から電撃を放つが、円盤に形を変えた義腕で防がれる。

御坂「ちぃッ!」

その円盤はすぐに変形し、今度は槍のような物を形成する。

佐天「りゃあッ!」

佐天がその槍を振るうと、それは御坂に向かってまっすぐに伸び、突き進む。

御坂「ヤバッ…!」

再び磁力で強引に避け、体勢を立て直す。

しかし、佐天は右手に構えた拳銃も撃ってきた。

これも、磁力で受け止める。

御坂 (強いっ…! このままじゃ攻撃できない!)

『超電磁砲』を遥かに超えるスペックを誇る『未元物質』だ。

垣根帝督から切り離された『製品』であっても、簡単に撃破できるものではない。

御坂 (それでもッ!)

御坂は、服の中から瓶を取り出す。
そこには、黒い砂のような物が大量に入っていた。

ーー砂鉄だ。


彼女は、瓶の蓋を手早く開け、中身を能力でかき集める。

そうして、高速振動する砂鉄の剣が出来上がった。

佐天「やっぱりそれを使ってきますか」

御坂「電撃が効かないなら、接近戦でやるしかないものね!」

御坂が佐天に向かって飛びかかる。

佐天も未元物質で剣を形成し、応戦する。



ガギンッ!


二つの剣が交差する。

勝ったのはーーー、未元物質だ。


佐天「はあああッ!」

御坂「甘いッ!」

砂鉄の剣がバラバラになったのを見た佐天が、追撃してくる。

しかし、そう簡単に隙は見せない。

飛び散った砂鉄を一瞬でかき集め、再び剣を形作る。

佐天「流石は『超電磁砲』ッ!
一筋縄ではいかないなあっ!」

御坂が剣を振るうが、また円盤へと形を変えた未元物質によって受け止められる。

御坂 (まずいッ! 私には『電池切れ』がある! あまり長引いたら間違いなく負ける!)

恐らく未元物質に活動限界は存在しない。

使用する本人の体力が持つ限り、いくらでも戦える筈だ。

そして、佐天の体力はそこそこ高いだろう。

未元物質が変形する。

今度は無数の槍だ。

それらが一斉に発射される。

近くにやってきた何本かを受け流しながら、御坂は考える。

御坂 (なら、一か八か賭けてみるしかない!)

御坂「あああああッ!」

御坂は思い切り佐天の方へ走り出した。

佐天「ッ!?」

佐天は戸惑いながらも、再び槍を発射する。

槍が脇腹やふくらはぎをかすめるが、御坂は一切気にせず走り続ける。

そして、佐天との距離がゼロになる。


佐天「まさかっ!」

御坂「そう! そのまさかよ!」


『未元物質』に電撃は効かない。


しかし、『盾』を展開する位置より、内側にいたら?

佐天の左腕は未元物質だが、逆に言えば左腕以外に未元物質は存在しない。


御坂は、佐天の『右肩』を掴むと、電流を流し込んだ。




御坂は、ところどころに火傷を負った親友を見下ろしながら、言った。

御坂「やっぱり、左腕にしか未元物質は移植されていなかったみたいね。
全身に纏っていたら、アウトだったわ」

佐天「あ、あはっ。やっぱ流石ですね。御坂さん。
私なんかじゃ、かなわないなあ…」

御坂「…ごめんね。

私達は、色々な人を傷つけてきた。
こんな戦い、自己満足にしかすぎないのかもしれない。

…それでも、やめられないの。

こんなとこで立ち止まったら、今まで積み重ねてきたものが、目の前で散っていった命が、全部無駄になる。

身勝手なのは承知の上よ。

例え全世界の『大人』を敵に回しても、
私達は戦い続ける。

もう、誰にも邪魔させやしないわ」

佐天「……、本当、勝手ですね。

…そうやって、奪ってきた命を全て背負っていくんですよね。

もうやめて欲しかった。

でも、無理でしたね。

あなた達は、何があろうと、何と言われようと止まらない」


御坂「…そうね。

いつか力尽きて、報いを受けるその時まで、
私達は戦い続ける」


佐天「…わかりました。

もう、あなたを止めるのは諦めます。
だからせめて……、





一緒に死んでください、御坂さん。

あなたは、あなた達は、やっぱり初春の仇です」



そういった彼女の手には、手榴弾が握られていた。




ドンッッ!!



火薬が勢い良く爆ぜ、あたりに焼け焦げた血肉を撒き散らす。

嫌な臭いが辺りに漂う。

二人の少女の戦いを見届けた垣根は、腰掛けから立ち上がった。

垣根 (さて、行くか。御坂美琴は死亡した。
次は、浜面仕上だ)

未元物質を展開し、ビルから出ようとしたところで、

「させませんよ」

彼の真後ろから、声が聞こえた。


垣根「ッ! 誰だテメェはッ?」

垣根は振り向く。

そこには、一人の少年がいた。
日本人ではないだろう。
肌が黒い。

だが、そんなことはどうでもいい。

何故、こいつはーー、



ーー『御坂美琴』を抱えているんだ!?



驚く垣根に、少年は言った。


「彼女と、彼女の周りの世界を守る。
……それが、私の戦いですから……


なので、死んでもらいますよ。…垣根帝督」




投下終了だぜ

投下するぜ

ーーとある作業場、二階。


碧井「畜生! 酷い目に遭ったぜ!」

浜面「流石にキツいだろうな。これは」


二人は一斉に床に倒れ込む。

御坂と別れた彼らは、銃弾の雨を潜り抜け、辛うじて生き残っていた。

碧井「なんなんだよあいつら!
学園都市ってあんだけの兵士を抱えていたのか!?」

浜面「厳密には学園都市の住民ではない、『外』から来た連中だ。

…碧井、俺はお前に言ったよな。
『望んで殺し合う者などいない』、と。

それでも、『例外』ってのはいるんだよ」

碧井「どういう事だよ」

浜面「猟犬部隊が、『行き場を失った大人』だとすれば、あいつらは『救いようがない大人』だ。

…世界中から集められた、快楽殺人者やトリガーハッピーだよ」


碧井「…本当どうしようもないな。この街は」

碧井は、兵士の死体から奪ったSIG556をいじりながら、吐き捨てた。

彼らの銃は、とっくに弾が切れていた。
予備マガジンまで奪う暇などなかったので、これらが最後の武器だ。

浜面「碧井。一応、これも持っていろ」

そう言って、浜面は碧井に自動拳銃(グロック17)を差し出した。

浜面「お前は、弾を無駄にバラ撒き過ぎだ。
少しはセーブして使え」

碧井「わかってんよ。
つか、お前はいらないのか? 拳銃。
そっちのライフルも、マガジンそれだけだろ?」

浜面「俺は、自分のを持ってる。

…半蔵が、昔くれた物だよ」


そう言って、彼は懐からワルサーP99を取り出した。

ずっと使っているのだろう。
手入れはしているのだろうが、汚れが目立つ。


碧井「…そうかよ」

受け取ったグロックを、迷彩服に差し込む。
そこには一応ナイフもあるが、あまり頼りにならないだろう。

浜面「ずっとここにいてもしょうがない。
行くぞ」

碧井は頷く。


そして彼らは、また戦場へと飛び出す。




たった数レスですが、今日はちょっとこれ以上はキツいです。

土日なら一気に投下できるのだが…

ーーとある廃ビル、正面玄関。



垣根 (なんだこいつッ!)


少年は、垣根に向かって黒光りする石のナイフを突きつける。

垣根はとっさに未元物質を展開した。

彼の防御を突破できる者など、この街では一人しかいない筈だ。

しかし、


垣根「テメェ…、何しやがった」

「…流石は『未元物質』ですね。この槍をもってしても完全には破壊できませんか」

彼の未元物質は、黒いナイフから発せられた光によって、半分ほど溶かされていた。


垣根「なるほど。『魔術師』の野郎か」

「お察しの通りですよ。第二位さん」

垣根「俺の未元物質にダメージが加わるとはな…。何者だ? お前」

「たいした者じゃありませんよ。
どこにでもいる、『普通』の魔術師です」



垣根「嘘だな」

垣根は即答した。

垣根「俺は暗部で長い間戦ってるからな、それぐらいわかる。

『魔術』とかいう能力についても、ある程度は知識あるぜ?

金星の光を反射させるんだっけか?」


そう言うと、垣根は周辺に未元物質を撒き散らす。

それらは空からの光を阻害し、彼らの周りが暗くなる。

垣根「これだけやれば十分だろ。

どうする? 槍を使いたくても、肝心の光がないんじゃどうしようもないよな?」


垣根「…いや、それとも『本気』を出すか?」


「! ……やはり、知っていますか…」


垣根「お前は、『グループ』としての活動の中で、『原典』を二つ手に入れている筈だ。
詳しくは知らないが、相当ヤバいもんなんだろ?」


「素直に認めますよ。
私は、『原典』を二つ所持しています。
どこまで貴方に通用するかはわかりませんが、無傷で済ませるつもりもありません」


垣根「馬鹿げた事はやめておけ。
だいたい、人を一人抱えたまま立ち回れる訳ないだろ?」

少年は、気絶した御坂を抱えたままだ。

「ええ。…だから、こうするんです」

垣根「は?」

何が起こったんだ?

少年に抱かれていた御坂美琴が、『消えていた』。


「いくら自分でも、たった一人で来た訳ではありません。


ーー幼稚園児の盗撮写真で、頼もしい『仲間』が釣れましたから」


垣根「チッ…、まあいい。

……今は、テメェをブチ殺す方が先だよなぁ!」


「いいでしょう…。

相手して差し上げますよ。『未元物質』」



学園都市第二位の『超能力者』と、

『原典』を二冊所持する『魔術師』。


常人には到底手の届かない場所に君臨する二人の対決が、始まった。






テストだなんだで投下できなかったが、
続き書きます。

ーーとある廃工場、屋上。



……また、生き残ってしまった。


親友の返り血を浴びて真っ赤になった体を横たえながら、御坂美琴は思う。


大人の争いに巻き込まれ、命を落とした少年。


彼を失ってから、彼女はただ復讐の為だけに戦ってきた。


やれる事はなんでもした。

敵対する者は全て殺した。

決して振り返らなかった。


そうやって、自分もまた、様々な人々から様々なモノを奪ってきたのだ。


途方もなく大きな犠牲を積み重ね、彼女は今ここに存在している。





「無様ね」

背後にいる少女から声を掛けられる。


御坂「…ええ、その通りかもね」

自嘲気味に、御坂は返した。

その様子に溜息をつきながらも、背後の少女は問いかける。

「…もう、やめるのかしら?」

御坂は答える。


御坂「…決まってるでしょーー、



ーー最後まで続けるわ。

いつか、報いを受けるその時まで、ね」





ーーとある廃ビル、正面玄関。



何度目になるかもわからない、激突。

戦況は、まだ動いていなかった。


垣根 (この俺と戦って互角だと!?
しかもこいつ、まだ『原典』の力を使っていやがらねえ!)


しかし、心理的な面も考慮すると、垣根はやや不利な状況にあると言えるだろう。

垣根が放つ未元物質を、魔術師は体術と、簡単な術式のみで回避していく。


狭い空間で立ち回る室内戦だと、大規模すぎる能力はかえって邪魔だ。

それを見越した上で、魔術師は戦いに望んだのだ。

魔術師は、手にした拳銃 (佐天が使っていたM92Fだ。死体から回収したのだろう) を垣根に乱射するが、未元物質の壁は突破できない。


垣根「いい加減にッ、 堕ちろォッ!」

エツァリ「ッ…!」

業を煮やした垣根は、部屋が崩れる事も承知した上で、未元物質を槍のように形作り、魔術師に向かって何度も放つ。

そこら中の壁や柱、天井までもが貫かれ、崩落を始める。

垣根自身は、体を未元物質でくるみ、防御する。

天井の破片の一部が、魔術師の右肩に勢いよくあたり、拳銃を取り落とす。
ダメージも大きいようだ。

その隙を逃さず、垣根は距離を詰める。

再び未元物質で槍を形成し、魔術師の腹を貫こうと狙いを定め、放つ。

垣根 (よし…。俺の、勝ちだ!)


しかし、彼はそこで違和感を感じた。

原因は、魔術師の表情だ。

何故、彼はーー、



ーー笑っているんだ?



グサッ!



未元物質が人体を貫く。

鮮血が思い切り吹き出し、タイル張りの床を真っ赤に染め上げる。


「…な、ぜ……?」


未元物質に腹部を貫かれた少年が、『垣根帝督』が呻く。


エツァリ「『相手を自身の武装を用いて自殺させる』術式です。
…まあ、下準備が必要なので時間はかかりましたがね」

瓦礫に砕かれた右肩を押さえながら、魔術師は立ち上がる。

崩落した天井の破片の中から、取り落としたM92Fを拾い上げ、左手で構える。

エツァリ「これで終わりです。垣根帝督」


魔術師は、銃口を垣根の頭部に向ける。


垣根「…テメェの、勝ち、か…。
でもな、俺にだってプライドはあんだよ。
タダでは、終わらせねえ…」

エツァリ「見苦しいですよ、超能力者」

彼は躊躇なく引き金を引いた。

銃口から放たれた9mm弾が、超能力の核とも言える脳を一瞬で破壊する。

端正に整っていた垣根帝督の顔が、頭部からしたたり落ちる血液や肉片によって赤黒く染まる。

これが最後の一発だったのだろう。
M92Fがホールドオープンする。

不要になった拳銃をそこら辺に投げ捨て、魔術師はフラフラと外へ向かう。

瓦礫が当たった右肩からは、いまだに血が流れ続けている。

エツァリ (とりあえず、どこかで手当をしなければ…)

付近に、兵士はいなかった。

安心した彼は、近くの地面に座り込む。

回復魔術の準備をする必要がある。

平らなアスファルトの上に、血を使って魔法陣を描き始める。

この時、彼は油断していた。

出血のせいで冷静でなかったという事もあるが、彼は、自身に近づく影に気づく事はできなかった。


「オイ格下…、油断大敵って言葉ぐらい、聞いた事あるよなぁ!」


エツァリ「なッ…!?」

魔術師が勢いよく蹴り飛ばされる。

地面に叩きつけられ、彼は口から血を吐きだす。

エツァリ「一体誰がッ!」

上を見上げる。

そこには、『白』がいた。

髪も、肌も、爪も白。

しかし、目だけが黒い。

「甘い…、甘いんだよ。
『垣根帝督』を殺したくらいで、『未元物質』を滅ぼせると思ってんじゃねえ!」

魔術師は、絶望したような声で、呟いた。


エツァリ「垣根…、帝督…?」

ーーとある道路。


御坂美琴は走る。

一人の少年を救う為に。

名前どころか、顔も知らない。

それでも、自分は彼を知っている筈だ。


『彼女と、彼女の周りの世界を守る』

自分は、この言葉をどこかで聞いた筈だ。


一人の少女は走る。

死なせない。

絶対に、救ってみせる。

あの時果たせなかった願いを、今度こそ叶えてみせる。







ーーとある廃ビル前の広場。



エツァリ「何故…貴方が…っ、死んだっ筈じゃ…」

「あぁ? 死んだぞ? でも、あくまで『垣根帝督』がなァッ!」


ボゴッ!


また、魔術師の腹に蹴りが入る。

彼は苦痛に顔を歪め、うずくまる。


「俺は、『未元物質』そのものだよ。
垣根の奴、冷蔵庫状態から抜け出す為に、体の各器官を能力で無理矢理作りやがったからな。
その過程で俺は自我を持ち、こうして反乱の機会を待っていたって訳だよッ!」


ボゴッ! ボゴッ! ボゴッ!


それはもはや、能力者同士の『対決』などではなかった。

純粋かつ一方的な暴力が、少年に襲いかかる。


未元物質「おらよッ!」


バキッ!


蹴り飽きた未元物質は、仰向けに倒れこんだ少年の肋骨を、思い切り踏み砕く。


エツァリ「あ"あ"あ"あ"あ"ッ!」


ただでさえボロボロになっていた少年は、さらに重たいダメージによって完全に動きを止める。


未元物質「もう飽きたわ。とっとと死ね」


未元物質が少年の顔を覗き込む。

その顔は、涙に濡れていた。

未元物質「うわっ、情けなっ!
自分から挑んどいて、命乞いでもすんのか?」

しかし、少年には未元物質の台詞など届いていない。

彼は、目の前の敵など見ていなかった。


そして何よりその涙は、自身の為のモノではない。


エツァリ「…どうして…、どうして来たんですか!?

ーー御坂さん!?」


未元物質「何ッ!?」


振り向くと、そこには。


学園都市Level5第三位、『超電磁砲』。

御坂美琴が、いた。


御坂「…決まってるじゃない。

アイツだったら、絶対こうする。

だから、私はここにいるのよ!!」

投下終了します。

投下します。

うまくいけば今回が最後の投下になります。

ーーとある路地裏。



弾が切れた。


碧井は、タダの鉄塊と化したSIG556を投げ捨てる。

隣にいる浜面も、小銃を放り出す。


浜面「…メインウェポンは弾切れ、拳銃のみ。
敵はまだまだ多数。

絶望的を絵に描いたような状況だな。

いっそ、自決すっか?」


浜面が、拳銃をチラつかせながら、言った。



碧井「冗談じゃねえ」

碧井は吐き捨てる。

浜面は、「言うと思った」とでも言いたいかのように、笑いながら拳銃を構える。

碧井もそれに倣い、先程渡されたグロックを抜き出す。


浜面「これが最後の武器だ!」

碧井は、力強く頷いた。

碧井「行くぞ!」


そして二人は、同時に前へ踏み出す。

浜面・碧井「うおおぉぉォォォ!!」


その雄叫びを打ち消すかのように、激しい?発音が彼らを迎える。






彼らは知っている。

ごく限られた大人達が、この星に生きる70億の人々の、命や人生の価値を勝手に決めているという事を。



彼らは知っている。

この世界には、70億の善意、70億の悪意、70億の幸福、70億の不幸、70億の愛情、70億の憎悪、70億の平和、70億の戦争ーー、

70億の命に、70億の人生があり、70億の価値があるという事を。



ーーだから、彼らは戦い続ける。



明日を求め生き残る為。


仲間を背負い続ける為。


憧れの背中に近づく為。



それぞれの思いの為に、それぞれの戦いが始まる。




そしてーー、











ーー3ヶ月後、ロシアのとある集落。









寒い。


まあロシアだからな、と自分に言い聞かせながら、浜面仕上は車を走らせる。


(結局、また生き残っちまったな…)


自分の『戦い』が正しいものだったのか、未だにわからない。

多くの者を傷つけ、そして多くの仲間を失った。

そうやって何を得たか、と訊かれても、正直器用に答えられる自信がない。

それでも、自分はとっくに決めたのだ。


ーー決して、振り返らない。後悔するのは、死ぬ時だ。


前方を見る。

目的地が、近づいていた。



(そういや、燃料持つかな…?)


急に不安になり、メーターを確認する。

ほとんど空だ。

舌打ちしながらも、燃料切れにならない事を祈る。


だが、その思いも虚しく、無情に車は停止する。


(不幸だ…)


歩く他なさそうだ。





十数分後。


浜面は、とある集落にたどり着いた。

目の前に民家が見える。

住民らしき人々が、その周りを行き交う。


その中に、彼はよく知る者を見つけた。


「滝壺!」


思わず叫ぶ。

すると、住民の中で唯一の日本人らしき少女が振り向いた。


「はま…づら…?」


浜面は少女に駆け寄る。

すると、彼女の横から、金髪の幼い少女が顔を出した。

「うそ…、大体、はまづら? にゃあ」

浜面「フレメア…」

彼は、両手を広げて二人の少女を抱きしめる。

浜面「ごめん、二人とも。
俺、結局、何も出来なかった…」

滝壺と呼ばれた少女が、浜面を抱きしめ返す。

滝壺「いいんだよ、はまづら。

ーーおかえり。」







「ただいま。」






なんかもう色々グダグダだったけど、一応これで完結です。

こんなアホみたいなのに付き合って頂いた方、有難う御座います。

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