【ガルパン】みほ「僕の名は西住小次郎。」 (755)



・みほが主人公のガルパンSSです。

・基本的にシリアス路線で行きたいと思います。

・長編の予定です。

・今回が初投稿です。至らない点を多々あると思いますが、何卒よろしくお願いします。

・更新はあまり早くはないです。




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『お前のせいだ!!』


『あんたのせいで、十連覇逃しちゃったじゃない!!』


『私の経歴に箔がつく筈だったのに・・・・・・あんたのせいで台無しよ』


『人助けして善いことをしたつもり? 笑わせないでよ、この偽善者!!』


『この戦犯めっ!!』


『あんたなんか、死んじゃえばいいのに』



























『―― 死んじゃえばいいのに ――』





「ああああああああああああッ!!」

部屋の中に少女の悲鳴が響き渡る。
自らの叫び声で目を覚ましたその者は、跳ね上がるように勢いよく起き上がった。

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・。」

呼吸が荒く、目もどこか焦点が合っていない。
周りを見渡すと、そこは自分の部屋だった。ここはとあるマンションの一室。
次第に脳が覚醒していくにしたがって、目の焦点が合っていき、呼吸も整っていった。

「・・・・・・・また、この夢か・・・。」

直後に襲い掛かる凄まじい疲労感。睡眠をとったのに、まるで疲れが取れたような気がしない。
体が鉛のように重く感じられる。


それでも何とか立ち上がることは出来た。
寝汗で衣服が濡れて肌に貼り付いており、その不快な感触に顔をしかめる。
汗を洗い流すために、覚束ない足取りで浴室へと向かった。



「いやな汗だ。気持ち悪い・・・。」


そう呟いた、少女の名は西住みほ。いや、正確には西住みほ"だった"者と言うべきだろうか。


みほは脱衣所に入ると服を脱ぎ、浴室に入ると、すぐにシャワーコックを捻った。すると、勢いよく水が噴き出す。
流れ出たのはお湯ではなかった。
頭から冷水をかぶるのことになるのだが、今の彼女にはそのようなことは気にもならない。
ただ見に纏わり付く不快なものが洗い落とされていく感覚が心地良かった。
冷水が肌の上を流れ落ちる。




「ふぅ・・・。」

数分後、浴室を出た彼女は脱衣所でタオルを手に取り、体を拭く。


その時、ふと鏡に映った自分の姿が目に入る。

「・・・・・・・・・。」

そこに映っていたのは、ふくよか丸みを帯びたラインをもつ、紛れも無い女性の体だった。
彼女はそんな自分の姿を、まるで忌まわしい物でも見るかのような目で見つめていた。

「くっ・・・・!!」

堪らずに目を背ける。


すると、みほは近くに置いてあったサラシを手に取り、胸に巻き付けた。
そして力を入れて思いっきり強く締め上げる。

巻き終わると、次は学校の制服を取り出した。
それは男子用の制服だった。手際よく着ていく。

そして、再び鏡の前に立つ。
すると、先程までの少女の姿は一変し、少年の姿がそこに映っていた。

「これでよし。」



更衣を終えると、みほはすぐさま、鞄の中から書類を取り出し、目を通した。
それは転校に際して、学校に提出する書類だった。

そして、書類の氏名の欄には【西住小次郎】と記載されていた。

「西住小次郎。・・・・・それが今の僕の名前・・・。」



とりあえず、今日はここまでです。
こんな感じで、ぼちぼちやっていきます。

ミス
>>3

× ふくよか丸みを帯びた

○ ふくよかな丸みを帯びた

今日の分を投下します。


ちなみに、みほの容姿に関しては、一部に若干の変更があります。
ご了承ください。







みほがこの地に引っ越してきてから数日が経った。

ここは県立大洗学園。
学園艦という巨大水上都市の中にある、男女共学の学校である。
この学校は昔は女子校だったのだが、最近になって共学化されたため、全体的にはそれほど多くはないが、男子生徒も多数在籍している。

そして、みほは今、2年A組の教室にいる。
ショートカットの黒髪を持つ彼女は、ただ一人で佇んでいた。

髪を黒く染めており、胸をサラシで潰し、男子制服を身に纏ったみほ。
彼女は今、とある理由から男装し、自分の本当の性別を秘匿している。実際、周囲の人間もみほのことを男と認識していた。
そして名前も、「西住みほ」という本名でなく、「西住小次郎」という偽名を名乗っている。


一人で席に佇む、みほ。
周囲の生徒たちを見渡すと、友達同士で雑談していたり、一緒に弁当を食べていたりと、皆が楽しげに過ごしていた。
みほがこの学校に転校してきてから一週間近く経っているのだが、彼女は未だ友達を作ることが出来ずにいる。

「・・・・・・・。」

そんな状況に寂しさを感じつつも、みほは一人で昼食をとるために食堂へ行こうと席を立とうとする。
その時だった。


「へい、そこのカ~レシ♪ 一緒にお昼でもどう?」

「え!?」

突如、後ろから声をかけられた。
声の聞こえてきた方へ振り向くと、そこには二人の女子が立っていた。


ガタッ!!

みほは驚き、思わず跳び上がるかのように、勢いよく席から立ち上がった。

「ほら、沙織さん・・・西住さんが驚いていらっしゃるじゃないですか。」

「あ、そだね。いきなりごめんね・・・西住君。」

「あの・・・改めまして西住さん、もしよろしかったら、お昼一緒にどうですか?」

「えぇっ!! 僕とですか!?」

突然のことで、驚きを隠せない。
そんなみほに対して二人は笑顔で頷いた。













みほは二人と一緒に食堂に来ていた。

「えへへ、ナンパしちゃった♪」

「私達、一度西住さんをお話ししてみたかったんです。」

「え! そうなんですか?」

みほは若干戸惑いながらも二人との会話の受け答えをする。

「だって西住君って男の子なのに、なんか可愛いんだもん。」

「か、可愛いだなんて、そんな・・・。/////」

みほは思わず顔を少し赤くした。

「あ、そうだ。改めて自己紹介するね。私は武部沙織。」

「私は五十鈴華です。よろしくお願いします。」

「はい。僕は西住小次郎です。こちらこそ、よろしくお願いします。」

みほが恭しく答えた。
すると、沙織が何かを思いついたように口を開く。

「あ、そうだ。それじゃあ、小次郎君のことをコウちゃんって呼んでもいい?なんかその方が打ち解けた感じがしていいじゃん。」

その言葉に、みほは口元を綻ばせた。

「いいなあ・・・。まるで友達みたい。」

「何言ってるの?コウちゃん。私たちはもう既に友達でしょ。」

「そうですよ、小次郎さん。私たちはもう友達なんですから、あまり遠慮することはありませんよ。」

「華さん・・・・。」


その時、みほは自分の心の中に、なにか温かいものがこみ上げてくるのを感じた。
たった一人でこの大洗に引っ越してきてからというもの、心細く、寂しい毎日を送っていたみほ。
だから、こうして気兼ねなく話が出来る友達というものは、彼女にとっては非常にありがたいものである。
それが、向こうから友達になろうと声を掛けてきてくれたのだから、尚更嬉しかった。


「沙織さん、華さん・・・・・・・ありがとう。」


それは心からの感謝の言葉であった。





一方、その頃・・・・・。

「それは一種の情報操作なのでは?」

「大丈夫、大丈夫。」

「わかりました。では早速取り掛かります。」

生徒会室にて、三人の者がなにやら話し合っていた。

「あ、そうだ・・・・会長。」

「何?」

「この前、学生名簿の一覧を見ていたら、面白いものを見つけましたよ。」

「面白いもの?」

「はい。最近うちに転校してきた男子生徒なんですが・・・。これをご覧ください。」


彼女が取り出したのは一枚の書類。そこには【西住小次郎】と記載されている。

「ふ~ん・・・。西住ねぇ・・・・。」

「おそらく、あの西住流の者ですよ。 ですので、是が非でも彼には戦車道を履修してもらいましょう。強力な戦力になるかもしれません。」

「なるほど・・・・・たしかに面白いことになりそうだね。」

ニヤリと笑みを浮かべる生徒会長。
彼女の企みの矛先が、今まさに向けられようとしていたということを、みほ達は知る由もなかった。








本日はここまでです。
次回の更新は、出来るだけ早く投下できるようにしたいと思います。

女装か!

これは八九式乗るフラグやで



>>13
女装はないです。性別に関してみんな原作通りです。


>>14
西住みほの名前のモデルになったあの人の繋がりですね。分かります。
ただ、ここでみほが名乗っている偽名の「西住小次郎」は、史実のあの人とは全く関係ありません。
と言うか、この偽名は適当に決めました(笑)。



今日の分を投下します。









昼食の後もみほは、華と沙織の三人で談笑をしていた。
日常の何気ない出来事に関する話題や、沙織のモテモテ体験談(近所のおじさんによく挨拶されるだけのことを大袈裟に言ってるだけ)等の、実に他愛の無い話題ばかり。
特に何の変哲もなかった。

だが、それでもみほにとって、それはとても楽しい一時だった。
つい昨日までは、このように親しく話が出来る友達などいなかったのに、今はこうして友達と共に談笑に興じることが出来る。
それは誰もが、ごく普通のことだと感じるようなことではあるが、それでもみほにとっては非常に充実した時間だった。
願わくば、このような楽しい日々がいつまでも続いて欲しいとさえ思うほどに・・・。




その時だった。

ガラ、と扉が開く音がした。
すると、多くの者が入口の方を見る中、三人の女子生徒が教室の中に入ってきた。

それは生徒会役員の者達だった。
教室内がざわつく。

「誰だろう? あの人たち・・・。」

みほは怪訝そうな表情を浮かべる。
みほには彼女達が生徒会の者だということは知らなかったが、それでも周囲の人々の反応から、彼女たちがただの生徒ではないということは、なんとなく分かった。

「コウちゃん、知らないの? あの人達は生徒会の人だよ。」

沙織が答えた。そして彼女が更に続ける。

「左にいる片眼鏡をかけた、目つきが少しキツめの人が広報の河嶋桃先輩。右の方にいる温厚そうな人は副会長の小山柚子先輩。
 そして真ん中にいる小柄な人が生徒会長の角谷杏先輩だよ。」

「それにしても、生徒会が一体何の用なんでしょうか?」

華も訝しげに首を傾げた。


彼女たちは教室内を見渡している。
誰かを探しているようだった。

その時、会長の杏とみほの目が合った。

「やあ、西住く~ん。」

彼女は陽気に声をあげると、手を振りながら、こちらの方に歩いてきた。

「え!? あ、あの・・・僕に何か?」

「西住小次郎。少々、話がある。」

河嶋桃が少し威圧的な物言いで迫ってきた。
その時にみほには嫌な予感がした。






三人に教室から連れ出されたみほは、廊下に来ていた。

「あの・・・話とは何でしょうか?」

みほは恐る恐る聞いてみる。

「必修選択科目の授業のことなんだけどさ・・・・」

杏が口を開いた時、みほは妙な胸騒ぎを覚えた。
何か良からぬことが起こるような、そんな嫌な予感がしたのだった。











「戦車道をとってね。」

「・・・・・・ッ!!!!」


杏からその言葉を聞かされた瞬間、心臓が大きく跳ね上がった。
背筋が凍りつくような感覚に襲われる。



戦車道・・・それは、みほにとって忌避すべきものだった。それこそ思い出すだけでも戦慄に襲われる程に。


そもそもみほがこの学校に転校してきたのも、戦車道を避けるためだったのだが・・・・。


「待ってください! この学校には戦車道の授業はなかった筈・・・。」

「今年から復活することになったんだ。だからお前にもやってもらう。」

桃がキッパリと言い放つ。

「僕は戦車道がなかったから、この学校に転校してきたんですよ。」

「そうなの? いや~、これはもはや運命だね。君は戦車道をやる運命にあるんだよ♪」

みほが必死で抗議するが、杏にはおちゃらけた態度で流されてしまう。

「そもそも必修選択科目って自由に選べるんじゃ・・「とにかく、そういう事だからよろしく。じゃあね。」

みほの言葉を遮るようにして、話を打ち切られてしまった。
自分達だけ、言いたいことを一方的に言った杏は、桃と柚子を引き連れ、そのまま立ち去って行った。


(そんな・・・・・・。)

あまりにも一方的で強引な話に、みほは茫然自失になった。
立ち去って行く生徒会三役の背中を、ただ黙って見ていることしかできなかった。




とりあえず、今日の投下はここまでです。
次回の投下は木曜までに出来たらいいなぁ(願望)。


これより今日の分を投下します。

     パンツァーフォー
それでは、投下開始!!





みほが心の中で葛藤をしているその間も、生徒会と沙織達との口論は続いていた。
何が何でも、みほに戦車道をやらせようとする生徒会と、それに頑なに反対する沙織達との間で、話は未だに平行線状態のままである。



その時、会長の杏がおもむろに口を開いた。

「そんなこと言っちゃっていいのかな。」

杏はニヤリと口元を歪め、笑みを浮かべる。
いかにも悪巧みをしていそうな、そんな表情だった。

「そんなこと言ってると、あんたらこの学校に居られなくしちゃうよ。」

「なっ・・・・!!!」

彼女の口から出てきたのは露骨な恫喝であった。その言葉には、みほが真っ先に反応した。

(そんな・・・・・・・僕が戦車道を選ばないばかりに・・・。このままでは二人が・・・)

みほは焦燥と危機感に駆られた。
たしかに、いくらこの学校の生徒会が強い権限を持っているからといって、正当な理由も無しに独断で生徒を退学処分にするなんてことは出来ない筈。
しかし、強制的には無理であっても、自主退学に追い込む手段なら幾らでもある。
陰湿な虐めや嫌がらせ等・・・そのような手を使ってくることは十分あり得る。

勿論、杏がみほ達を脅すために、ハッタリで言っているだけという可能性もある。
しかし、もし万が一、彼女が本気だったら、自分だけでなく華達にまで危害が及んでしまう。

危害が加えられるのが自分一人だけならば、まだ耐えられる。
しかし、自分を庇ったせいで、沙織達までもが平穏な学園生活を奪われてしまう。
そう思うと、胸が張り裂けそうになった。

(華さん、沙織さん・・・もうやめて。これ以上、僕を庇ったりなんかしたら二人までもが・・・・・・。そんな事になったら僕は・・・)


しかし、そんなみほの思いを他所に、華と沙織は怯む事無く、食い下がる。

「脅すなんて卑怯です。」

「そうよ! そんな脅迫なんてしたって無駄なんだから!」

それに対して、広報の桃も負けじと言い返す。

「これは脅しじゃない。言っておくが会長は本気だぞ。」

「そうよ。悪い事は言わないから、大人しく従った方が身のためだよ。ね、悪いようにはしないから。」

副会長の柚子までもが、やんわりと脅しをかけてきた。



だが、それでも沙織達は一歩たりとも引かなかった。
露骨な恫喝に屈することなく、毅然とした態度を崩さず、みほを庇う。
自らの身の危険も顧みずに・・・。

(お願い、もうやめて。)

このままでは、みほが想像した最悪の事態になりかねない。

(酷い目に遭うのなら、それは自分一人でいい。だから二人とも、もうやめて・・・。)

みほはただ、最悪の事態にならない事を祈るばかりだった。






「解せないな。」

その時、沙織達と言い争いをしていた桃が、訝しげに言った。

「お前らは何故そうまでして、そいつを庇おうとするんだ?」

それは彼女だけでなく、みほも疑問に思っていたことだった。
何故沙織達は、そうまでして自分なんかを庇ってくれるのだろうか。どうして、そこまでして・・・。
そのような疑問は、みほも抱いていたものだった。


「そんなの決まってるじゃないですか。」

それに対して、沙織は迷い無く言い放った。










「友達だからですよ。」











「・・・・ッ!!!!」

その瞬間、みほは目を見開いた。

そして、更に沙織は言う。

「コウちゃんは私達の友達なのよ。見捨てる事なんて出来るわけないじゃないですか!!

「理由なんて、それで充分です。」

華も続けざまに言った。

友達だから・・・ただ、それだけの理由で沙織達は自分のことを庇ってくれている。
その事実がみほの心に衝撃を与えた。

(沙織さん、華さん・・・・あなた達は僕の事をそんなにも・・・。)

先程、彼女言った言葉がみほの心の中に沁みた。
自らの身の危険も顧みずに、友達として、みほの事を沙織達は懸命に庇ってくれている。
そう思うと、感極まって目頭が熱くなった。

そして気が付いたら、みほの瞳から涙が溢れていた。
零れ落ちた一筋の涙が頬を伝って流れ落ちる。


「えっ!! 小次郎さん!?」

「ちょっ、コウちゃん!! どうしたの!?」

華と沙織が、みほの涙に気づき、驚愕する。
突然の事で、生徒会の者達もギョッとした表情で固まっていた。

その場にいた誰もが、みほの胸中を量りかねていた。




そして、そんな彼女達を他所に、みほは思い悩んでいた。
自分はこのまま二人の善意に、ただ甘えていていいのだろうか?と・・・。

(二人は僕のために、ここまでしてくれているのに・・・それなのに僕は・・・・・)

ただ成り行きを見守る以外の事が何もできない自分が無性に情けなく思えた。

(このままでいいのか? 二人の善意に甘えて・・・・二人に守られるだけで・・・・本当にそれでいいのか?)

みほは自らの心に自問した。

(いや・・・・いい筈が無い。)




その時、彼女の心の中である決意が芽生えた。

(そうだ。今、僕が絶対にしなければならない事がある。それは彼女達に報いる事だ。)

みほは決心した。

(沙織さんと華さんは、僕のために立ち上がってくれた。ならば僕も彼女達のために恩返しをしなければならない。その方法はただ一つ。
 僕は戦車道を・・・・・・)

みほは決断を下そうとしていた。






その時。


―― 『戦犯!!』 ――

―― 『偽善者!!』 ――

―― 『死ね!!』 ――


みほの脳裏に再びフラッシュバックが起こった。

それは過去の忌まわしい記憶。
強烈な悪意と共に浴びせられる罵声。鮮明に思い出されたトラウマによって、また恐怖がぶり返す。






しかし・・・




(そんなもの、関係ないっ!!)


みほは心の中で恐怖を振り切った。
仲間を想う心が、恐怖心を上回ったのである。


すると、みほは腕で涙を拭い、前を見据えた。

その時の彼女の目は、恐怖に怯える者の目ではなかった。
覚悟を決めた者がする、強い意志の宿る目だった。
彼女は完全に、覚悟を決めたのだった。

「やります!! ・・・ぼくは戦車道をやります!!」

力強く宣言した。


今日はここまでです。
遅くなってしまって、本当にすいませんでした。

こんばんは。
これより投下を開始します。




「では、これより戦車道の授業を開始する。」

河嶋桃が宣言する。

第一回目の授業内容は、”戦車探し”であった。

「今、我々の手元にある戦車はこの一両だけだ。しかし、この学園は昔、戦車道が盛んだった。
 当時、使われていた戦車がまだ、この学園内のどこかに残っている筈。だからそれを探し出すんだ。最低でもあと4両を・・・・。
 それでは、これより捜索を開始する。」

こうして彼女達は戦車探しをする事となった。
どこにあるか、手掛かりも一切無い状態での捜索。しかも、この人数で隅々まで探すには、学園の敷地はあまりにも広大だった。
まさに前途多難である。






「一体・・・・・どこ探せばいいのよぉぉぉぉぉーーーーーー!!」

沙織の叫び声が虚しく辺りに響き渡った。

今、沙織達は駐車場に来ている。
華は思わず苦笑いしながら、沙織に言った。

「さすがに駐車場には置いてないと思いますが・・・。」

「だって一応は車じゃない。・・・・・仕方ないから、とりあえず裏の林の辺りでも探してみよう。 木を隠すのは林の中って言うし。」

「それを言うなら、森の中ですよ。」

沙織の言葉に対して冷静にツッコミを入れる華。
そんな二人のやり取りを微笑ましく思いながら、みほは二人の後について行った。

(ん?)

その時、みほは背後から何者かの気配を感じた。
その場で後ろに振り返るとそこには一人の、特徴的な癖毛をした女子がいる。

その者はこちらに声を掛けたそうに様子を窺っているが、中々踏み込めずにいるようだ。

そこで、みほは自分の方から声を掛けることにした。


「あの・・・・。」

「は、はい!!」

みほが声を掛けたら、びっくりしたのか、声が裏返っている。
それでも構わずに、みほは彼女を戦車探しに誘うことにした。

「よかったら、僕たちと一緒に行きませんか?」

「え、いいんですか!?」

すると、先程までの緊張した面持ちは一変して、嬉しそうな表情になった。

「えっと・・私、普通二科の2年3組、秋山優花里といいます。不束者ですが、よろしくお願いします。」

その様子を見ていた沙織達も、自分たちも名乗ろうと、自己紹介をした。

「初めまして。私は武部沙織ね。」

「私は五十鈴花と申します。よろしくお願いします。」



沙織と華に続いて、みほも名乗った。

「僕の名は西住小次郎です。」


その時、みほがその名を言った途端、優花里は顔色を変える。

「西住って、もしかしてあの西住流ですか!?」

優花里は突如、目を輝かせながら、くいついてきた。


「あの戦車道の家元、西住家の者なんですか!?」

「ええ。まぁ・・・。」

「凄い! 西住流の人にお会いできるなんて、光栄です!!」

物凄い勢いでみほに迫る優花里。その勢いにみほはかなり押され気味だった。
そんな興奮気味な優花里に、かなり困惑しながらも、沙織はとりあえず彼女を宥めようとする。

「優花里さん、とりあえず落ち着いて。 よく分かんないけど西住流ってそんなに凄いの?」

「それは勿論! 西住流とは非常に長い歴史を持つ、由緒正しき流派です。
 戦車道の流派は数多く存在しますが、その中でもトップクラスに君臨する、まさに名門中の名門。それが西住流なんです!!」

優花里のまくし立てるような言葉に沙織達は驚愕した。
沙織達は以前、みほの実家が戦車道の家元であることは聞かされていたが、まさかそれほどまでに凄いものだとは思わなかった。


そして、優花里は尚も興奮覚めやらぬ様子である。

「西住家の方にこうしてお会いできるなんて感激です!!」

「・・・・・・。」


彼女の目からは、強い憧憬の念が窺える。
その事からも分かるが、優花里は戦車道のファンで、西住流に憧れを抱いているのだろう。
それだけに、西住家の名を持つみほに相当強い期待を寄せている事が分かる。
だからこそ、その期待を裏切るようで申し訳ないと思いつつも、みほは彼女にある事を告げなければならなかった。

確かに、みほは西住家の人間ではあるが 、"西住流" の人間ではない。
その事を優花里に告げなければならなかった。

「落ち着いてください、優花里さん。 確かに僕は西住家の者ですが、正確に言うと "西住流" の人間ではありません。」

「え? どういう事ですか?」


すると、みほは表情を曇らせた。


「僕は西住流からは破門されているんです。」



その瞬間に場の空気が変わった。


それまで嬉々とした様子だった優花里は一変。
触れてはいけない所に触れてしまった、と思った優花里は慌ててみほに謝った。

「す、すいません、小次郎さん!! そうとは知らずに、無神経な事を・・・!!」

突如告げられた事実に優花里は狼狽した。

勿論、優花里にはみほの詳しい事情は何も知らない。
何故破門にされたのかも、その破門に至るまでの経緯も、当然何も知らない。
しかし彼女の過去に、重大な何かがあったことは確かである。
当然、その時に嫌な思いだってした筈だし、思い出したくないこともある筈。それは今のみほの曇った表情を見れば分かる。

その事を察した優花里は、ただひたすら平謝りするしかなかった。

「本当にすいませんでした!」

「いえ、いいんです。気にしないでください。」

するとみほは曇った表情から一転して、笑いながら言う。この状況で、彼女達に気を使わせないようにと思って言ったのだった。
しかし、それでも優花里は申し訳なさそうにしている。
そのせいで、何とも言えない気まずい雰囲気がその場を支配していた。


そんな中でみほは口を開いた。

「それはそうと・・・優花里さんは西住流には詳しいようですが、どこかでご覧になったことがあるのですか?」



「はい・・それは勿論。元々戦車道の名門という事で非常に興味があったのですが・・私が西住流に惚れ込んだきっかけは去年の事でした。
 あれは去年の戦車道全国大会の決勝戦の事です。

 あの決勝戦での西住 " みほ "さんの勇姿を見てからというもの、私は彼女のファンになりました。あの時の彼女は本当に格好良かった。」


「・・・・・ッ!!!」

それを聞いた瞬間、みほ(小次郎)は目を見開いた。
まさかこのような所で、自分の本当の名前が、出てくるとは思わなかったため、動揺せずにはいられなかった。


しかし、優花里はその事に気づかずにいる。

「あっ、そう言えば・・・小次郎さんはみほさんとはどのような間柄ですか? やっぱり兄妹ですか?」

「に、西住みほは・・・・・・・僕の姉です。」

「小次郎さんが弟だったんですか。なるほど。確かに姉弟だけあって、みほさんによく似ています。
 そう言えば、みほさんは今、どちらへ?」

「みほ姉さんは、今は海外に留学しています。」


勿論、みほ(小次郎)が言ったこの言葉は、全て嘘である。
西住みほが海外で留学しているというのは真っ赤な嘘。

本当は優花里の言った西住みほは、今彼女の目の前にいる。
似ていると思うのも当然の事。

小次郎という偽名を名乗っている、彼女こそ " 西住みほ "である。
無論、みほに弟などはいない。

この大洗に来るにあたって、名前を変えて、男装するだけでなく、髪型も髪色も変えた。
黒森峰にいた頃は、栗色だった髪も黒く染めてある。
昔は背中にまで掛かる程に伸ばしていた、ストレートのロングヘアも、今では短くカットされていた。


それらは全て、自分の本当の素性を隠すため。



自らの存在を、偽りによって塗りつぶし、覆い隠しながら生きていく。
それがみほの選んだ生き方。

否・・・選ばざるを得なかった。


友達を騙す事に少なからず罪悪感もあり、胸が痛むが、それでもやめる事は出来ない。


と言うわけで、今回の投稿はここまでです。


黒森峰時代のみほの髪型に関しては、ここでは改変されています。


(過去)
栗色のロング。

(現在)
黒色のショート。


こんな感じです。ちょっと分かりにくかったかな?


>>67
若干女の子寄りな、中性的な見た目をした男の子という感じです。
だいたいそんな感じをイメージしていただければ良いかと思われます。


あと、投下の方は今晩中にする予定です。


>>68
すいません、間違えました。訂正します。


× 若干女の子寄りな、中性的な見た目をした男の子という感じです。

○ 若干女の子寄りな、中性的な見た目をした男の子のような姿をした人という感じです。


遅くなりましたが、これより投下を開始します。



こうしてみほ達は、優花里も加えた4人で戦車探しをする事になった。

「じゃあ、行こうか、みんな。」

先程の気まずい空気を振り払うかのように、みほが元気よく言った。
地図を手に持ち、先頭に立って森の中を探索していく。

その時、華が何かに気づき、みほを呼び止めた。

「待ってください、小次郎さん。あちらの方から何やら鉄と油の臭いが微かに・・・。」

「臭い?」

華は森の奥の方を指差しながら言った。

「はい。私、華道をやってる関係から、嗅覚が少し敏感なんです。あちらの方から植物の香りに混ざって、明らかに異質な臭いがします。」

「本当に!?」

みほは驚いた。
まさか、臭いで戦車を探し出す人がいるなんて思いもしなかった。
もし彼女の言っていることが本当なら、相当嗅覚が鋭いという事になる。
にわかには信じられないが、それでも他にアテもないので、とりあえず、彼女の指差した方向に向かうことにした。






しばらく歩いて行くと、鉄の塊のような物が見えて来た。
そのには一両の戦車が鎮座していた。

「あっ、あれは! もしかして、38(t)戦車!?」

真っ先に反応したのは優花里だった。

「本当にあった・・・。」

みほは呟いた。
正直、みほも半信半疑だっただけに、本当に見つかったことに驚きを隠せない。


そして、優花里はその戦車に近づくと、手を触れ、興奮気味に言った。

「これはチェコスロバキアの38(t)戦車です! 間違いありません!!」

すると、優花里は手を触れていた車体に、頬擦りをし始めた。
その姿は例えるなら、愛犬家が子犬を愛でるかのような、そんな様だった。
その事からも、彼女が相当の戦車好きである事が窺える。

「大戦初期ではドイツ軍の主力戦車の一つとして、電撃戦を支えた、非常に優秀な戦車です。
 軽快な走りで走破性が極めて高く、故障しにくくて信頼性が高い。まさに傑作戦車でした。
 あっ、ちなみに(t)というのはチェコスロバキアという意味であって、決して重さの単位ではないんですよ。」

かなり饒舌に、戦車の知識を披露する優花里。
その熱く語る様は、まるで水を得た魚のように生き生きとしている。

目を輝かせながら夢中で、マニアックな知識を語る優花里に圧倒され、一同は茫然としていた。


そんな優花里に対して沙織は恐る恐る言ってみた。

「優花里さん・・・・なんか、めっちゃ生き生きしてる・・・。」

「あっ・・・・・・・・。」

その言葉で優花里は我に返る。


「すいません。つい・・・・。」

先程までとは打って変わり、急にしおらしくなった。

「私一人で盛り上がっちゃって、勝手にべらべらと・・・・・・」

ついさっきまでハイテンションは見る影も無い。
初めて会った時の、一番最初の時のような、おどおどした態度に戻ってしまっている。

「本当にすいませんでした。」

「あ、いや・・・別に、いいよ。気にしないで。こっちも、ちょっと驚いてただけだから。」

何か、気を悪くしたのかと思った沙織は、慌ててフォローを入れようとするが、優花里は気落ちしたままだった。

「そうですよね。こんなオタクなんて気持ち悪いですよね。」

「いやいや・・・誰もそんな事は言ってないんだけど・・・・。ねえ、華。」

「そうですよ、優花里さん。私達、そんな事は思ってませんから。」

華も沙織と一緒になってフォローしようとするが、それでも優花里は俯いたままで、その表情はどんどん暗くなっていく。





実は、優花里がこのような態度をとるのには理由があった。
それは彼女の過去に原因がある。

彼女は俗に言う、軍事オタクというやつである。
それも戦車に関して、かなりの深い知識を持った、上級者と言っていい程のマニアだ。
しかも、一度戦車の話で熱くなってしまうと、凄まじい勢いで語り出し、止まらなくなってしまう癖がある。

優花里はかつて、この趣味が原因で、親しい友達を作ることが出来なかった。
彼女と話題が合う人や、彼女の話についていける人が周りにいなかったからだ。

だが、それだけならまだよかった。
それだけなら優花里もここまで卑屈になる事はなかったかもしれない。


しかし、そんなある日の事。
優花里は偶然にも立ち聞きしてしまった。




―― 秋山さんって、何か気持ち悪いよね。いつも、いつも戦車の話ばっかり・・・ ――




それはクラスメート達の自分に対する陰口。それを偶然、立ち聞きしてしまった時の、彼女が受けたショックは極めて大きかった。





そんな過去のせいで優花里はそれ以来、引っ込み思案になってしまい、卑屈になってしまった。
趣味である戦車の話題も、極力人前では話さないように心掛けてきた。
しかし本物の戦車を前にした時、我慢できずに、つい素の自分を全面的に出してしまった。
その事を激しく後悔する。


(絶対に今ので、気持ち悪いって思われる。 せっかくお近づきになれたというのに、また嫌われてしまう。友達がいなかった、あの頃に逆戻りしてしまう・・・。)


悲観的な思考が彼女の頭の中を埋め尽くす。



そんな時だった。


「優花里さんって、とても博識なんだね。」

「え・・・!?」

凛とした声が優花里にかけられた。
その声は西住みほのものだった。

「西住殿・・・・・? あなたは平気なのですか?」

「平気って? 何が?」

「私の事が、気持ち悪くないのですか?」

恐る恐る、尋ねる優花里。


しかし、そんな優花里に対してみほがかけた言葉は、優花里にとってあまりにも予想外なものだった。

「そんな事はないですよ。 むしろ凄いと思います。 だって、それだけの知識を身に付けるって、決して簡単な事じゃない筈。相当、勉強したのでしょう?」

「いえ、そんな事は・・・。 知識とはいっても、何の役にも立たないただの豆知識だし・・・・。
 それに私はただ自分の好きな事をやっていただけで・・・そんな褒めて頂けるようなことは何も、ありません。」

「自分の好きな事を全力でやりきれるというのは、とても素敵な事だと思いますよ。」

「・・・・ッ!!!」



みほは、まっすぐな目を向けながら優花里に言った。

みほから告げられた言葉・・・・それが決して、ただのお世辞などではない事は、彼女の瞳を見れば分かる。
決して、気を使って、慰めるために言っているのではなく、ただ彼女は純粋に自分の事を認めてくれている。

その事が優花里にとっては何よりも嬉しい。
こんなことは今までに一度もなかっただけに、嬉しくてたまらない。

「に・・西住殿・・・・」

優花里は歓喜のあまり、体が震えた。



「西住殿おおおぉぉぉ!!!」


ついに感極まって、気づいたら優花里はみほに抱きついていた。
それに対して、みほは決して嫌がるようなそぶりを見せない。
ただ、拒む事無く受け入れた。

「よしよし・・・。」

優しい手つき、そっと頭を撫でるみほ。
その心地良さに、優花里は表情を綻ばせた。


(西住殿。私・・・あなたの事が好きです。)

自分の心の中で、秘かに想いを告げる、秋山優花里であった。


今日はここまでです。
というわけで今回は忠犬攻略編でした。(笑)


ちなみに、どうでもいい話かもしれませんが、私はマニアとオタクの違いがよく分かりません。

まほ「小次郎。私と結婚しよう」
みほ「えっ?」

こんな展開キボン

男装西住殿とか想像しただけで萌え禿げるわ

男装バレはどのタイミングなのか楽しみだ
一番あり得そうなのは、サンダース戦後に

おケイ「? アナタ、女の子じゃないの!」
みほ「!?」
大洗メンバー『!?』

みたいなのかなぁ?

まほ「西住流に逃げるという道は無い。こうなったら、ここで結婚するしかないな」

みほ「受けたち・・・・え?」

「「「「「ちょっと、待ったーーー!!!!」」」」


ふと思いついてしまった。

よく持てたな、みほは。意識不明な人を担ぎ上げるのは大変だと思うぞ。
まあ、戦場で緊急時などがありますから、そういう訓練はしていたと思うのですね

そして、そど子は、よく不純異性交遊は禁止よ!と言わなかったなww

そりゃあ西住流だからな
11話の跳躍力も鍛練の賜

そういや、そど子に反応しないのは動揺している証拠だな

丸山「・・・・・・(プクーっ)」←頬を膨らましている

まほ「小次郎、あけましておめでとう。早速だが、教会に行こう。参拝(結婚)しに」
みほ「違うような気がするのはなぜだろう・・・・・?」


皆様、すいませんでした。(土下座)


水曜までに投下するとか言っておいて、それが出来ず・・・・深夜には投下すると言っておきながら、それすらも出来ず。
今後はこのような事が無いように、気を付けます。
本当に、すいませんでした。


それでは、まず最初にレス返しです。






>>133
>>134
そう、それこそが西住流なのです。


>>135
そりゃもう、びっくりビックリ仰天ですよwwww


>>136
あれ? 丸山さん、怒ってらっしゃる?


>>138
まほさん自重してくれwwww




今日も戦車道授業が始まろうとしていた。

既に格納庫前には戦車道メンバーの一同が集合していた。
今日は何をやるのかと、誰もが思っていたその時、河嶋桃が言った。

「これより本日の戦車道授業を開始する。さっそくだが、今日は実戦形式の訓練だ。戦闘の大まかな流れを、やりながら覚えてもらう。
 各戦車には備え付けの取扱説明書があるから、まず最初に熟読しておけ。」

そう言うと、桃は各員に地図を手渡していった。
それぞれの地図には印がつけられている。

「その指定の場所まで移動し、全車が所定に位置に着いたら戦闘開始だ。ルールは簡単だ。自分以外の全ての戦車を戦闘不能にすればいい。
 それでは、これから各チームで、まずポジションを決めよう。砲手、操縦手、装填手、通信手、車長など・・・誰がどの役割を担当するかを決めてくれ。」







こうして、みほ達はまず最初にポジションを決める事から始めた。

「いきなりポジション決めろとか言われても・・・なんとか長とか、なんちゃら手とか、もう訳分かんないよ。」

沙織が頭を抱えながらに呟いた。
戦車に詳しい人ならまだしも、何も知らない人がいきなり「車長」やら「装填手」やら、そのような単語を並べられたら、こうなるのも無理はない。


そこで、みほが各ポジションについて説明をする事にした。

「車長っていうのは乗組員全体の指揮を執る人の事だよ。そして砲手というのは文字通り、大砲を撃つ人。
 操縦手は運転担当で、装填手は砲弾の大砲の中に入れる作業を担当する人、通信手は無線通信を担当する人の事を指します。」

それを聞いて沙織も得心がいった。

「なるほど。流石はコウちゃん、分かりやすい。」

全員が理解出来た所で、改めてポジション決めの話し合いをした。


その結果、各チームの搭乗割は以下のようになった。


Aチーム
Ⅳ号戦車

・西住みほ:装填手兼通信手

・武部 沙織:車長

・五十鈴 華:操縦手

・秋山 優花里:砲手



Bチーム
38(t)戦車

・角谷 杏:車長兼通信手

・小山 柚子:操縦手

・河嶋 桃:砲手兼装填手



Cチーム
八九式中戦車

・磯辺 典子:車長兼装填手

・近藤 妙子:通信手兼機銃手

・河西 忍:操縦手

・佐々木 あけび:砲手



Dチーム
III号突撃砲

・カエサル:装填手

・エルヴィン:車長兼通信手

・左衛門佐:砲手

・おりょう:操縦手



Eチーム
M3中戦車リー

・澤 梓:車長

・山郷 あゆみ:砲手

・丸山 紗希:装填手

・阪口 桂利奈:操縦手

・宇津木 優季:通信手

・大野 あや:副砲手



「ここで大活躍すれば、バレー部は復活する、廃部を告知された、あの日の屈辱を忘れるな!」

元気よく掛け声を発したのはCチームの、磯辺 典子。

このチームは元バレー部員達で構成されている。
キャプテンの磯辺 典子の他にも、近藤 妙子、佐々木 あけび、河西 忍がおり、全員がバレーボールのユニフォームを身に纏っていた。

彼女達の悲願はバレー部の復活である。

「バレー部復活のために、やるぞー!! ファイトォーッ!!」

「「「おぉーー!!」」」

彼女達は円陣を組み、気合を入れている。
その様子から、強い気迫と意気込みが感じられた。







「初陣だー!!」

Dチームでは、左衛門佐が威勢の良い掛け声を発していた。

このチームは全員が歴史好きの、所謂歴女である。
それは彼女達の服装からも窺い知れる。また、どの時代に詳しいかも推測できるような恰好をしていた。

ローマ史に詳しいカエサル(本名:鈴木 貴子)、第二次大戦時代に詳しいエルヴィン(本名:松本 里子)、戦国時代に詳しい左衛門佐(本名:杉山 清美)、
幕末史に詳しいおりょう(本名:野上 武子)など、個性豊かなメンバー達である。


「ここは車懸かりの陣で行くぜよ。」

土佐弁で意気込む、おりょう。

「いや、ここはパンツァーカイルで。」

エルヴィンも続けて言った。


「いや、一両しかないが・・・・。」

カエサルが冷静にツッコミを入れる。






一方、Eチームでは全員が取扱説明書と格闘していた。


「う~ん・・・。」

「この説明書、難しいよ。」

澤梓と山郷あゆみは頭を抱えた。

「分かり難いよ。」

「今まで聞いた事も無いような単語がいっぱいある・・・。」

宇津木優季と大野あやも、難解な説明書を相手に苦戦している。

「うぅ・・・・。」

阪口桂利奈に至っては頭から煙が出そうな有様だった。


「・・・・・・・・・。」

そんな彼女達を他所に、丸山紗希だけは明後日の方向を向いて、無言でぼんやりとしている。

彼女はいつもこんな調子なのか・・・梓達も彼女に何も言わなかった。





その時、会長の杏が桃に言った。

「かーしま、DチームとEチームへの根回しは任せる。Cチームの方には私から言っておくから・・。」

「分かりました。では、さっそく手配します。」

そう言うと、桃はカエサル達のいる方へと歩いて行った。

それを見届けた杏は、Cチームのいる方へ行き、キャプテンの典子に声をかけた。

「ちょっと、いいかな? 今日の訓練の事なんだけどさ・・・。」


 ・

 ・

 ・

 ・


「かーしま、どうだった?」

「はい。根回しは完了しました。両チームともに了承してます。あとは手筈通りに・・。」

「そう。Aチームには気づかれてないよね?」

「はい。問題ありません。」

そんな会話をしている二人を訝しんだ柚子は杏に尋ねた。

「会長、根回しって何のことです?」

「そういや、小山には言ってなかったね。
 今回の演習は自分以外の全てチームを撃破する対戦方式・・・・と見せかけてB、C、D、Eチームで手を組んで、西住君のAチームを叩くよ。」

「え!?」

サラッと、とんでもない事を言ってのけた杏に対して柚子は驚愕の声を上げた。

「何故そのような事を!?」

「ちょっと荒っぽいやり方だけど、早急に確かめておかなきゃならない・・・西住君の実力の程を。そのための、演習なんだよね。
 彼の実力次第で、今後の私達の方針も変わってくるからさ。
 だから全チームで西住君のチームを囲む。その圧倒的不利な状況で、それを切り抜ける事が出来るだけの実力を持っているか・・・そこを確認しておきたい。」



そのようなやり取りが行われている事など、みほ達Aチームには知る由もなかった。




みほ達はⅣ号戦車に乗り込み、それぞれのポジションの席についた。


「暑苦しいうえに狭い。」

沙織が顔を顰めながら呟いた。
だが、それも無理はない話である。初めて戦車に乗った人が一番最初に感じる事・・それは、その狭さ。
戦車の車内というのは必要最小限のスペースしかなく、意外と狭苦しい。

そして、そんな沙織とは対照的に、優花里はとても楽しそうにしている。

「フフフ。いよいよ戦車を動かす時が・・・。」

優花里は逸る気持ちを抑えられず、ワクワクしている様子だった。



「小次郎さん。これって、どうやって動かすんです?」

操縦席に座った華がみほに聞いた。

「まず、そこのスイッチを押して下さい。」

華は言われた通りにスイッチを押した。
するとイグニッションを入り、エンジンが始動した。
ブロロロロ、と低い音が響き渡る。

その時だった。


「ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!」

「「「!!!!!」」」

突如、優花里が興奮極まって叫んだ。
あまりにも突然の事に、周囲にいた者達はびっくりして、優花里の方を見る。

「優花里さん・・・?」

「ゆかりん・・・戦車が絡むと妙にハイテンションになるね。というかキャラが変わってない? パンツァーハイ?」

華と沙織が困惑気味に言った。
すると、その瞬間に優花里は我に返った。

「はっ!! す、すいません。」

待ちに待った、戦車を動かす瞬間がやってきた事により、興奮しすぎて、つい癖が出てしまった。


(あぁ・・・また、やってしまった。 興奮のあまり、あんな大声で叫ぶなんて、とんだ醜態。今度ばかりは絶対にドン引きされたに違いありません。)

先程とは打って変わって、急にしょんぼりしてしまう優花里。


しかし・・・・

「優花里さん、本当に戦車が大好きなんだね。」

優花里の予想とは裏腹に、みほはニコッとしながら言った。

「今の優花里さん、とっても生き生きしているよ。」

決して、引いたような様子は全く無い。
それどころか優花里の事を微笑ましく見守ってくれている。

「西住殿・・・・。」

38(t)戦車を見つけた時もそうだったが、みほは優花里がどんなに素を曝け出しても、決して引いたり、嫌悪したりはしない。
むしろ、有りのままに全てを受け入れてくれる。

みほの包容力に、優花里は強い感銘を受けた。


すると優花里は意を決して、みほの手を握って、言った。

「西住殿・・・私、あなたに一生ついて行きます!!」

「・・・ありがとう、優花里さん。」

みほは微笑みながら返した。

これを機に、優花里はますます、みほの事が好きになったのであった。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


一方、その頃、戦車道演習場に近づく一人の少女の姿があった。

その少女は、冷泉麻子。
今朝、みほと一緒に登校した少女だった。

麻子は、立ち入り禁止の看板に目もくれずに歩いている。

「ここなら誰にも邪魔されずに寝れそうだな。」


そう呟くと、麻子は演習場の奥の方へと歩いて行った。

今回はここまでです。

次回の投下は、来週中にできたらいいなあ・・・。(願望)

乙、今週中に投下しよう(提案)



原作のウサギさんチームが会長チームを狙わなかったのは、あらかじめ根回しした結果か

蝶亜美がいないのは男バレと西住バレを防ぐ為でしょうな


今回の天然ジゴロはゆかりんにしか発動しないのか……
てっきり、この演習で一網打尽にするのかと思ってたわ……

色々と吹っ切れたせいか、みほの精神メンタルが本編よりもすごく高いな
こうも、能力万能だと、みほを追い出した黒森峰では、後悔しているんじゃないか?
みほに任した仕事が一挙に全員に降りかかって、首が回らなくなるとか

乙です

ここの西住殿の黒森峰時代はどんなんだったんだろうか
西住流としては異端だけど、隊長補佐或いは臨時指揮官しては有能で、それを腐れ縁のエリカが突っ込み入れつつ援護しているのが安易に想像出来た。

待て、逆に考えるんだ

黒森峰時代のは、姉やOB、母がいるせいでみほの能力はそれほど目立たなかったが
制約がなくなったことで、一気に覚醒したと考えるんだ!

乙~
みぽりんがこの調子でハーレム築いてったら周りの友達関係がギスギスしそうだなw
みぽりんは無自覚にフラグ立てるから皆の好意には気づかなそうだし


ヒヤッホォォォウ!レス返しだぜぇぇぇぇ!!」



>>154
え? 今年中?(乱視)


>>156
それもあるけど、もっとぶっちゃけた理由として、あの人原作じゃ何もしてない、というのがあります。
操縦のやり方も教えてくれない指導教官って一体?


>>157
一網打尽になるのはもう少し後です。


>>158
ここのみほは、基本的に原作のみほよりも、かなりハイスペックです。


>>159 >>160
黒森峰でのみほについては、いずれ過去編でやっていきます。


>>161
そこは、まぁ・・・みぽりんなら上手く収めてくれますよ・・・・・・・・・多分。





というわけで、これより今日の分を投下します。




気を取り直して、訓練を続行する事となった。

まずは戦車を発進させ、格納庫の外に出なければならない。
エンジンはすでに起動しているので、まずはクラッチ操作とギアチェンジからである。

「右にあるのがギアチェンジのためのシフトレバーです。まずはクラッチを踏んで、ギアを1速に入れます。」

「分かりました。」

みほは、操縦手の華に丁寧な説明をした。

華は予め取扱説明書を読んでいたのだが、その説明書は難解で、いまいち分かり難かった。
そのため、こうしてみほが懇切丁寧に助言しながら、運転している。

華の操縦は非常にたどたどしいものだったが、何とか戦車を発進させ、格納庫の外に出ることが出来た。


「右の操縦桿を手前に引いて右折します。逆に左折したいときは、左の操縦桿を引きます。」

「はい。」

その後も、華はみほの指示通りに操作し、覚束ない足取りながらも、目的地に向かって進んで行った。


 ・

 ・

 ・

 ・


そして数十分後。

「華さん、ここで停まって下さい。」

みほが地図を見て、位置確認をしながら言った。
どうやら目的地に到着したらしい。

「やっと着いたぁ・・・・。座席は堅いし、凄く揺れるから、座ってたらお尻が痛くなってきちゃった。」

沙織が顔を顰めて言った。
戦車というのは決して乗り心地が良い物ではないので、誰でも慣れない最初のうちはこうなるものである。






「Aチーム、応答せよ。」


その時、無線を通して河嶋桃の声が聞こえてきた。
すぐに、みほが無線機を手に取り、返答する。

「こちらAチーム。配置につきました。」

「よし。全チームが所定の位置についた。これより戦闘を開始する。」

桃から演習の開始が宣言される。






「で、これからどうする? これって車長の私が決めていいんだよね! いいんだよね、決めても!」

「ええ。まぁ・・・・・。」

沙織が身を乗り出しながら、みほに聞いてきた。

沙織も車長席に座っていることによって、若干テンションが上がっている。
もしかしたら特等席に座っているみたいな、そんな気分になっているかもしれない。


「武部殿・・とりあえず、試しに一発撃っちゃいます?」

優花里も完全にノリノリである。

「いいね。じゃあ景気づけに一発、撃っちゃおうよ。」

「あらあら・・それは、なんともアクティブですね。」

「いや、そんな闇雲に撃っても・・・。」

沙織だけでなく、華までも一緒になって、まるで花火を打ち上げるかのようなノリだった。
さすがにこれは、みほが止めたが・・・。



そんな和気藹藹としたムードに、みほは内心少しだけ戸惑っていた。
演習中にこのような和やかな雰囲気になることなど、昔では考えられないことだった。

今でも思い出せる、あの厳しく過酷だった黒森峰時代。そして今のこの大洗での戦車道。
それらを比べると、あまりにもギャップが大きく、そして新鮮だった。

(なんだか新鮮な気分。 みんなも楽しそうだし、こういうのも悪くないかな。)

みほは思わず笑みをこぼした。




しかし、その雰囲気は次の瞬間に一変することになる。




突如、車内に激震が走った。
凄まじい爆音が響き、衝撃で車内が大きく揺さぶられる。


「きゃあああっ!!! 何!!??」

沙織は思わず悲鳴を上げた。あまりにも突然の事で、何が起きたのか、全く分かっていない。
そして沙織だけでなく、他の者達も状況を認識できておらず、動くことが出来ずにいた。


しかし、みほだけは違っていた。

(今のは着弾音! 右側の方から聞こえてきた。)

みほは瞬時に状況を理解し、ハッチを開けて身を乗り出し、周囲を見渡す。


車体のすぐそばの地面には何かに抉られて出来たような穴がある。それが砲弾によって出来た弾痕であることは、すぐに分かった。

そして顔を前に向けると、そこには一両の戦車が鎮座していた。しかも、完全に砲口がこちらに向けている。

「沙織さん! 敵、八九式中戦車! 三時方向!!」

みほのその言葉を聞かされ、一同はようやく状況を理解した。


「やばいよ!! 逃げよう!!!」

「はい!!」

沙織が思わず叫び声を上げ、すかさず華がアクセルを踏み、全速で急発進する。

そのおかげで、八九式の砲口から撃ち出された第二射をかろうじて回避する事が出来た。
しかし、八九式が後ろから迫ってくる。


追いすがる八九式を何とか振り切ろうとして激走するⅣ号戦車。
そんな中、沙織がキューポラから恐る恐る顔を出して前を見た、その時だった。

「今度は前から来てる!!」

沙織の視界に飛び込んできたのは、前方から75mmの砲口を向けながらこちらに迫ってくるⅢ号突撃砲だった。

「どうしよう・・・このままじゃ挟まれる!!」

沙織が慌てふためきながら言った。
しかし、そんな状況でもみほは至って冷静。

「華さん、右の方へ行ってください。」

決して取り乱すことなく、操縦手の華に指示を出す。

みほ達の前方・・・ちょうどⅣ号戦車とⅢ突の間に位置する場所に、道が二つに分かれる分岐点がある。
そこで、みほ達は右の道へ逃れて、挟撃を避けようとにした。

華は指示通りに操縦桿を動かし、道を右折。
何とか、挟み撃ちにされることは回避された。

それでも背後から猛追撃を受ける状況に変わりはない。
しかもⅢ突が八九式に加勢。2両で追いかけられるという・・先程よりもさらに悪化した状態に陥ってしまう。


だが、それでもみほは何ら動揺することはなかった。

「どういうわけか、CチームとDチームは手を組んでいるようですね。」

敵の砲口が轟音を響かせる中、平静のまま、後方にいる2両の敵戦車の動きを観察し、その上で二つの敵チームが協同していることも即座に看破した。

このことからも、みほの能力の一端が窺える。



そして、みほ達のⅣ号戦車は、尚も背後から猛追してくる三突と八九式の追跡を振り切ろうと全速力で道をひた走る。
散発的に飛んでくる砲弾が近距離に着弾し、砂煙を巻き上げる中、トップスピードで駆け抜けていった。



「ん?」

その時、ハッチから身を乗り出していたみほが何かに気づく。
それは前方の草むらの中。そこに何かがあった。

「あれは・・・・・・・・あっ!!」

よく目をこらして見ることによって、それが何なのかがわかった。
それは人である。
前方の草むらの中で寝転がっている女の子がいた。

このままでは轢いてしまう。

「危ない!!」

みほは即座に、急制動の指示を出した。
しかし、咄嗟に華がブレーキを踏むが、スピードがつき過ぎてしまっているため、すぐには止まれない。

「くっ・・・間に合わない!」

そう判断したみほは、ハッチから出て、砲塔の上に上った。

「コウちゃん! 一体何をするの!?」

沙織が聞く間もなく、みほは動いた。
前へ踏み込み、そのまま思いっきり足場を蹴って、前方の空中へと高く跳び上がる。

「「「!!!」」」

それを見た沙織達は驚いて目を見開く。

前に大きく跳躍して、走行中の戦車から飛び出したみほは、そのまま草むらで横になっていた女の子の傍に着地した。
すると、その人を素早く抱きかかえる。
そして再び跳躍して、すぐ後ろまで迫っていたⅣ号戦車に飛び移り、綺麗に着地した。





沙織は、この一連の動きに驚愕した。

目の前でみほが見せた跳躍力。
そして人を一人抱きかかえたまま走行中の戦車に飛び乗るという離れ業。しかもその抱きかかえ方が、お姫様抱っこであるというオマケつき。


「西住殿・・・・。」

(ゆかりん・・心なしか、羨ましそうな目してる。 まあ、気持ちはよく分かるけど・・・。)

みほに抱きかかえられている女の子のことを羨ましそうに見る優花里。
そして、沙織もまた、みほにお姫様抱っこされているその女の子に、羨望の眼差しを向けずにはいられなかった。




その時、沙織は気づいた。
その女の子、よく見てみると見知った顔だった。

「あれ!? 麻子じゃない!」

「え!?」

みほも言われて気づいた。
咄嗟のことで、相手の顔もよく見ずに助けたから気づかなかったが、よく見るとその女の子は、みほが今朝に知り合った冷泉麻子であった。

「沙織さん、麻子さんとは知り合いですか?」

「うん。麻子は私の幼馴染なの。・・・・・それにしても・・・」

「Z Z Z z z z z ・・・・。」


すると沙織は、スヤスヤと寝息を立てている麻子を見ながら、溜息まじりに言った。

「麻子ったら、また授業サボって、こんな所で昼寝してたのね。」

「Z Z z z ・・・・・・う~ん・・・。」



その時の麻子はまさに夢心地だった。

(あぁ・・・なんだか、とても暖かい。心がやすらぐ。)


みほの腕の中で心地良い暖かさ感じる麻子。

しかし、すぐさま違和感を覚えた。

(・・・・あれ? 前にもこんな事があったような気が・・・)

そこで麻子は閉じられていた瞼をゆっくり開いた。
夢うつつな状態で目を開くと、最初に見えたのは、みほの顔であった。

「あっ・・麻子さん、目を覚ましましたか。」







「・・・・・・・・・・・・・・え!? ・・・・なっ!!!!」




一瞬フリーズした直後、みほにお姫様抱っこされている自分の状態を把握し、一気に目が覚めた。
今朝とほぼ全く同じ状況である。

「これは一体どういう状況だ!!? ていうか、またお前かД¢☆¶ш▽α ///////////」

顔を真っ赤にしながら叫んだ麻子。
途中からは、もはや言葉になっていない。



(普段はクールな麻子が、こんなにパニくるなんて・・・なんか凄い新鮮。)

沙織はそんなことを思いながらも、取り乱している麻子を宥めることにした。

「落ち着いて。 麻子、こんな所で昼寝なんてしてたせいで、危うく轢かれるところだったのよ。」

沙織が、動揺していた麻子を静めつつ、状況を説明した。
危うく轢かれそうになっていたことや、危ない所をみほが助けたことなど。


そのおかげで、麻子は状況を把握し、とりあえず落ち着きを取り戻すことが出来た。
それでも顔はまだ少し赤かったが・・・。

「そうか・・・・すまなかった。 小次郎には "また"助けられたな。//////」



麻子が言った、 "また"という部分に引っ掛かりを覚えた沙織と優花里。

("また"って何!? 前にもコウちゃんにお姫様抱っこされたことがあるってこと!? やだもー!!)

(一度ならず二度も、西住殿にお姫様抱っこを!!? 何てことを・・・・・・・羨ましすぎる!!)

そんな思考が脳内を埋め尽くした。


「ここは危ないので車内に入りましょう。」

みほのこの一言で思考を中断させられた。
とりあえず今は戦闘中なので、この件は一旦後回しにするが、この演習が終わったら麻子を尋問しよう・・・そう思った沙織と優花里であった。






「ん? これは・・・・?」

一方、麻子はそんな沙織達を他所に、近くに置いてあった、ある物を手に取った。
それは、このⅣ号戦車の取扱説明書である。

「・・・・・・。」

そのマニュアルを手に取ると、一人で黙々と読み進めていく。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


その後も激しい追撃戦は続いた。


みほ達のⅣ号戦車が全速力で逃げるように、八九式とⅢ突もまた全速力で追いかけている。
八九式もⅢ突も、Ⅳ号戦車に後ろから砲弾を叩き込もうとするが、全速走行しながらの砲撃だから、中々当たらず、速力も均衡してたので、距離は中々縮まない。
ある種の膠着状態になったのだが、それも長くは続かない筈。
このまま打開策も無しに逃げ回っているだけでは、ジリ貧でしかない。


誰もがそう思っていた、その時だった。



「「「「 ・・・ッ!!!! 」」」」


ガッ、という衝突音と共に、車体が急停車。
そのせいで内部の乗員は皆、大きくつんのめって、そのまま体が前に投げ出されそうになったが、かろうじて耐える事が出来た。

その時、Ⅳ号戦車は路傍の樹木に引っかかった状態で停車していた。
どうやら、これに車体が衝突してしまったらしい。

ただでさえ、戦車の運転席からの視界というのは非常に狭いのに、それほどの道幅が無い場所を慌てながら全速力で逃げていたのだから、道端の木に車体をぶつかってしまうのも
無理はない。


操縦手の華がすぐに体勢を立て直そうとしたが、その瞬間に再び衝撃がみほ達を襲った。

「「きゃあああっ!!!」」

車内から悲鳴が上がる。


それは八九式が放った一発の砲弾が、Ⅳ号戦車の車体側面部を叩いた衝撃である。

幸い撃破判定装置は作動してないが、今のはかなりの揺さぶりとなっていた。



「皆さん、大丈夫ですか?」

みほはすぐに被害状況の確認を行った。

「うん。・・・・私は大丈夫。」

「こちらも異常無しです。」

「私も大丈夫だ。」

沙織と優花里と麻子はすぐに返事をした。
しかし、一人だけ返事をしていないことにすぐ気付く。


「華さん?」

異常を察知したみほは、すぐさま運転席の方を見る。
すると、そこにあったのは、運転席でぐったりとしている華の姿だった。

「華さん!? 華さんっ!!」

声をかけるが反応が無い。
みほが確認したところ、完全に意識を失ってしまっている。




先程の被弾時の衝撃で、華は失神してしまったようだ。


操縦手の失神によってⅣ号戦車は行動不能に陥ってしまった。

とりあえず気絶している華を運転席から降ろし、空いている座席に移す。


このまま立ち往生していたら、射撃の的になってしまう。
代わりの操縦手をすぐに用意しなければいけないわけだが、このメンバーの中で戦車操縦の経験者は、みほ以外にはいない。
つまり彼女以外に、この窮地を脱することが出来るものは皆無である。


「こうなったら、仕方がない。」

そう言うと、みほは意を決して運転席に座った。
少なからず躊躇もあったが、それ以上に、自分しかいないという事実が彼女を後押しした。


座席に座ると、目を瞑り、大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
深呼吸をすることによって、気持ちを落ち着け、集中力を高めるためだ。

すると目を見開き操縦桿を握った。
この時、彼女の中で何らかのスイッチが入ったのか、その目つきが変わっていた。

その瞳には鋭い眼光が宿っている。
それは、まさに戦う者の眼であった。










一方その頃、Cチームの面々は嬉々としていた。

「やったー。当たったよ!」

砲手のあけびは、初の命中弾に大喜びしている。


「当たったけど有効弾ではなさそう。」

「ならば連続アタックよ!! 相手が動きを止めている今こそがチャンス!!」

妙子は冷静な物言いで、それとは対照的に忍は威勢良く言い放つ。

「根性だ!! 根性で撃ち抜け!!!」

そして典子はさらに輪を掛けたように、意気盛んである。


しかし、そんな彼女達を制止するかのように、無線機から音声が聞こえてきた。

「八九式の主砲の火力では心許ない。ここは我々に任せてくれ。」

その声は、Dチームの車長であるエルヴィンのものである。


「む・・・・。 分かった。任せよう。」

そう言うと、典子は操縦手の忍に指示を出した。
道を空けるように、車体を道の端に寄せ、後続のⅢ号突撃砲の射界を確保する。


「Ⅲ突の火力なら確実に仕留められる。左衛門佐、よく狙え。」

「御意!」

左衛門佐は照準器を覗き込み、砲身の向きを微調整しながら、引き金に指をかける。
そしてレティクル(照準線)の中心に目標を捉え、指に力を入れて引き金を引こうとした。


しかし、ここで予想外の事態が発生する。
木にぶつかったまま停止していたⅣ号戦車が急に動き出したのだった。


「何!?」

左衛門佐は、この急激な動きに驚き、咄嗟に引き金を引く。
しかし、その直前にⅣ号戦車が急速に後進したため、発射された砲弾は目標には当たらず。ただ虚しく地面に穴を穿つだけとなった。


急速後進によって敵弾を回避したⅣ号戦車は、一度止まると、素早く旋回して再度加速した。

「逃げるぞ。追え!!」

「承知!」

すかさずエルヴィンが操縦手のおりょうに指示を出し、追撃体勢に移る。
そして八九式も後に続いた。






こうして再び追撃戦となったのだが、さっきまで行われていた追撃戦とは明らかに様相が違う。

先程とは打って変わって、Ⅳ号戦車は俊敏な機動を見せていた。

スピードを落とさずに全力疾走。それでいて尚且つ、鋭く左右に蛇行し、敵の照準を撹乱。
これまでとは、まるで見違えるような動きだった。

そのせいでCチームもDチームも、敵に狙いを上手く定める事が出来ずにいる。
それまでは、何とか当てる事は出来そう、といった状態だったが、ここにきて全くかすることも出来なくなったのだ。



「急に動きが変わった。ドライバーを交代したのか?」

状況の急激な変化に戸惑いながら、エルヴィンは呟いた。


「どうする? 何かAチームに、いい様にあしらわれているような気がするのだが・・・。」

カエサルが若干焦りながら聞いてきた。


「大丈夫だ。我々が有利であることに変わりはない。それに・・・・」

そう言うと、エルヴィンは手元に置いてあった地図を広げた。

「この先には橋がある。さほど幅の無い、狭い橋だ。 その橋を渡るとなれば、その前に一時停車する筈。
 だから、そこを狙い撃つ。」



そして、しばらく走り続けていると、例の橋が見えてきた。

「よし。ここでいいだろう。止めてくれ。」

エルヴィンはⅢ突を停車させた。そこは橋の手前でみほ達を狙い撃ちにできる位置である。

より確実に目標に命中させるために、停止射撃を行うようだ。同じく八九式も動きを止め、射撃体勢をとった。


間もなく、みほ達は橋に差し掛かろうとしていた。

「射撃用意!」

エルヴィンの号令と共に照準を定める。Ⅳ号戦車が動きを止めたその瞬間に仕留める腹積もりだった。


しかし、その狙いは大きく外れることになる。



「えっ!!?」

エルヴィンは驚き、目を見張った。

橋の手前で一時停止すると思われていたみほ達は停車せず、減速もしなかった。
それどころか、逆に加速し、橋を渡り始める。

「何っ!!!!」

あまりにも予期せぬことだったため、照準を修正する間もありはしなかった。

そしてⅣ号戦車は減速することなく、そのまま橋をノンストップで渡りきった。





「凄いよ、コウちゃん!! あんな狭い橋をあのスピードで走破するなんて!!」

「流石です、西住殿!!」

沙織と優花里が興奮気味に言った。
2両の敵戦車に追い回される状況を打開し、追手を橋の向こう側に置き去りにして撒く事が出来た。
そのことによる安堵と、みほの技量に対する驚嘆。この二つの気持ちで二人の心は満ちた状態である。

しかし、当のみほはこの状況に全く安堵などしていない。

「まだ安心するのは早いですよ。」

何故なら、この時のみほは誰よりも早く、新たな敵の出現を察知したからだ。


彼女の目線の先には、新たに出現した敵車輌。
それはBチームの38(t)戦車である。しかも、そのすぐ後ろにはM3中戦車、リーが控えている。

橋を渡った途端にみほ達の目の前に姿を現した。
砲身をこちらに向け、今にも発砲しそうだ。

しかし、その砲口が火を噴くよりも先に、みほは次の一手を打った。

右の操縦桿を引き、走りながら方向転換。
そのまま道から外れ、林の中に突っ込んでいった。

それを見た誰もが驚いたことだろう。

大木が所狭しと大量に生い茂る、森林の中の不整地。このような所を走破するのは、それだけでも大変なことである。
そんな場所を高速で通行しようとすれば、確実に木にぶつかるし、逆にぶつからないように走行しようとしたら、相当に速度を落とし、ゆっくり走る必要がある。

しかし、みほは違った。
木々にぶつかること無く、その隙間を縫うようにして、すり抜けて行く。
かなりのスピードでスムーズに駆け抜けていった。
まるで自分の手足であるかのように、戦車を自在に操り障害物を突破して行く。

すぐに38(t)戦車も、その後を追う。遅れて橋を渡ってきた八九式中戦車もⅢ号突撃砲も林の中に突入した。
だが、しかし立ち塞がる大木に阻まれてしまい、中々上手く前へ進めず、みほ達との間で、どんどん距離を離されていく。


そして、遂にⅣ号戦車を完全に見失ってしまった。

今日はここまでです。

次回、みほが獲物を屠るイエーガーになります。

蝶野亜美は、原作じゃ殆どしてないけど、小説版じゃメールの質問をきちんと返してくれたぞ。
まあ、影が薄いのは変わりは無いがね

そして、すげえドラテクだなww
運転席って確か、防弾ガラスなどを設置する関係で見えづらかったはず
そんな席なのに、誰よりも早く見つかるとかww

西住流ぱねえです

みほ「Ⅳ号戦車、これより目標を駆逐する!」

みほの目は外の様子は勿論、後ろにもみえてんのか?



ヒヤッホォォォウ!復活だぜぇぇぇぇ!!

というわけで、さっそくレス返しします。





>>180
マジで!? 知らんかった。
そうか。あの人もちゃんと教官の仕事やってたんだ。



>>182
タンクマイスターですね、分かります。



>>183
超能力者じゃないので、さすがにそれは無理です。
ただ狭い視界から得られた僅かな情報だけで、周囲の状況を判断しています。


それでは、今日の分を投下します。


林立する大木を、その巧みな操縦技量でひたすら躱し、駆け抜けること数分。


みほは、一旦停車させると、ハッチから身を乗り出して、周囲を見渡す。

「周辺に敵影無し。 どうやら振り切ったようですね。」


今度こそ完全に敵を撒く事が出来たようだ。

ふぅ・・と安堵の溜息をこぼす。
とりあえずは一安心と言った所だった。



まずは、失神している華の容態の確認をしなければならない。


「う~ん・・・・・もう食べられません・・・・。」

華が何やら変な寝言を言っている。
見た所、外傷も無さそうだった。

「う~ん・・・・・・・・・・・・はっ!!」

その時、華が目を覚ました。

「大丈夫ですか?」

「あっ、はい。 すいません。ご心配おかけして・・・・。」

「気にしないで。 幸い、怪我は無さそうだけど、念のため休んでいてください。」



容態の確認を終えると、ここで改めて状況を整理する。

先程の戦いで分かったことは、自分達以外のチームが裏で手を組んでいる、ということである。

(CチームとDチームは確実に協同している筈。それにB、Eチームもおそらく秘かにに通じているかもしれない。)

みほの読みは完全に的中していた。
つまり、これは実質的に1対4の戦いである。

みほは、その事を踏まえた上で、反撃の算段を立てようとしていた。
地図を眺めながら、思考を巡らす。

(開けた広い場所で戦うと戦力差がもろに出る。
 だから迎え撃つなら、この森林地帯でやるしかないんだけど・・・・視界が悪いこの森の中だと射撃の難度が格段に高くなる。)

林立する木々に視射界を阻まれるこのフィールドで、敵を射抜くのは経験者でも容易ではない。

(仮に僕が砲手をやるにしても・・それだと今度は、操縦の方が・・・・。)

操縦の方も同様に困難を伴う。
密生している大木が障害物となり、機動が阻害されてしまう。そんな中で車体をスムーズに動かすのは、熟練の操縦手でも難しい。

だが、ここにいるのはみほ以外、全員が未経験者である。
砲手にせよ、操縦手にせよ、任せるのはハッキリ言って心許無い。


(射撃と機動、この二つを完璧にこなせなければ、この1対4という戦力差は覆せない。さて、どうしたものか・・・・・。)


戦況を打開するために、なんとか作戦を立てようと、みほが思案している、その時だった。






パタン........





本を閉じる音がした。

音のした方を見ると、そこには麻子が、閉じた本を手にして佇んでいた。
彼女が手に持っていたのは、この戦車の操縦マニュアル。

そして一息つくと、麻子は言った。

「覚えた。」

「え?」


みほは目を丸くした。

そして麻子は、その一言だけを言うと、そのまま運転席に座る。

「あ、あの・・・麻子さん?」

「操縦手が必要だろ? 私がやってやる。
 操縦マニュアルなら今、読破した。操作方法は完全に頭の中に叩き込んである。」

「いや・・・でも、説明書読んだだけで、そんな、いきなりは・・・」

「まあ、見ててくれ。」

そう言うと、麻子はシフトレバーを操作して、ギアを入れた。

「いくぞ。」


すると静止状態だったⅣ号戦車が突如動き出した。
それはとても滑らかな走り出しである。




「!!!」

驚くみほ。

そして、麻子はそのままⅣ号戦車を走らせる。

まず、その場で右や左に旋回してみせた。
次に、コーナリングしながら木々を避けつつ、スムーズに前進。
木に車体をぶつけることなく、軽やかに走った。

すると、今度はUターンをした。
それは非常に滑らかなターンである。

そして、Uターンをした後、そのまま走り続けて、元の場所に戻って停車した。

「どうかな? 小次郎ほどではないが、十分に操縦は出来ていると思うが?」


この一連の動作をいきなり事も無げにやってのけた麻子に対して、みほは驚きを隠せなかった。

「麻子さん・・・もしかして以前に戦車道をやったことが、あるのですか?」

麻子が見せた操縦は、とても初心者のそれとは思えない程の物だった。

「いや。戦車の運転は今回が初めてだが・・・・・。 ただ説明書を一通り読んで、なんとなく操縦しただけだ。」

麻子は、さも当然のことのように言ってのけるのだが、説明書を読んだだけで、いきなり戦車の操縦をマスターするなどという事は、普通は無理である。
それを、いとも簡単にやってのける麻子の、その才能には、みほも舌を巻いた。


「麻子、やるじゃん! さすがは学年主席!!」

沙織も思わず、感嘆の声を上げた。



「それに・・・小次郎には借りがあるしな。 この程度のことで良ければ力になるよ。
 操縦は私に任せてくれ。」


それはとても頼もしい言葉だった。
みほは、その申し出を受けることにする。

「分かりました。お願いします。」


みほ程ではないが、麻子も十分な操縦技量があることが分かり、それによって反撃の算段も立てやすくなった。
彼女に操縦を任せれば、みほは砲撃と指揮の方に専念できる。

すると、みほはさっそく動いた。

まず、砲手席に座っていた優花里に声をかけた。

「優花里さん、席を替わって下さい。」

「了解です。」





その時、優花里はみほの目つきが、普段のものと変わっていることに気づいた。


(西住殿・・・・・!)

優花里が見た、みほの瞳・・・・それは強い眼光を宿す、力強さを感じさせる瞳であった。
まるで狩人を彷彿とさせる、そんな眼差しである。

(コウちゃん・・・・!)

(小次郎さん・・・・・・!)

沙織と華も、みほの変化に気づく。
普段の穏やかで温和な雰囲気は一変しており、まるで百戦錬磨の猛者を思わせる、そんなオーラを纏っていた。

(いつものコウちゃんとは何かが違う!)

(これが、戦う時の西住殿の姿!)

(小次郎さん・・・なんて力強い眼差し。)

その変化に皆は正直戸惑ったが、それ以上に頼もしいと感じさせられた。

1対4という圧倒的に不利な状況に何ら変わりはない。
しかし何故か負ける気が全くしなくなった。





「優花里さん。装填手の役をお願いできます?」

「はい!お任せください!」


優花里の憧れの人であるみほが、今度は射撃の腕前を見せてくれるということで、優花里はワクワクしていた。

「AP(徹甲弾)装填。」

「了解!」

彼女は嬉々として指示に従った。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


その頃のB、C、D、Eチームは、みほ達を探して、森の中を進行していた。
木々を避けながらの進撃だが、上手く避けれずに車体を木にぶつけたり、先行し過ぎた車両が遅れている車両を待ったりと、かなりたどたどしく、遅々とした進撃である。


「ええい!! 敵はまだ見つからないのか!!」

憤りの声を上げたのは河嶋桃であった。

みほ達を見失い、森の中で索敵を開始してから大分時間が立っているが、未だAチームは見つかってはいない。
だから彼女はかなり苛立ってした。


「落ち着け、かーしま。 イライラしたってしょうがないじゃん。」

「いや、しかし・・・・」

「まあ、気長に行こうよ。」

苛立ちを隠せないでいた桃を、杏が宥めていた、その時だった。




「いたぞ!!」


突如、無線機越しに叫び声が聞こえてきた。
叫んだのは、Cチームの典子である。

典子は無線を通じて全車に告げた。


「こちらCチーム。Ⅳ号戦車を発見! ただちに攻撃します。」

それを聞いた桃は、待ってましたと言わんばかりに、照準器を覗き込んだ。

「やっと見つかったか! 待ちかねたぞ!!」


みほ達のⅣ号戦車の姿を見つけた彼女達はすぐさま攻撃態勢を取る。
同時にみほ達も敵影を捕捉し、即座に後退し始めた。


再び砲声が鳴り響く。





「撃て!! アタックだ!!」

Cチームの八九式はみほ達を追跡しながら、典子の怒号と共に、Ⅳ号戦車に狙いを定めて撃とうとする。
しかし立ち塞がる木々に視射界を遮られ、思うように照準が出来ずにいた。

「キャプテン! 木が邪魔で狙いが定まりません。」

「根性だ!! 根性で狙い撃て!!」

砲手のあけびが叫ぶが、典子がそれ以上の大声で檄を飛ばす。
しかし気合を入れた所で、この視界の悪さは如何ともし難い。

それは他のチームも同様である。



「追え!! 絶対逃がすな!!!」

河嶋桃の怒号と共に、みほ達を全力で追跡するB、C、D、Eチーム。
しかし障害物のせいで思うように進めなかった。


「ああっ!! またぶつけちゃった!!」

M3中戦車リーの操縦手、桂利奈はまた車体を木にぶつけてしまう。

「桂利奈ちゃん、急いで! もたついてたら、先輩達に置いてかれちゃう!!」

車長の梓が慌てて言った。

彼女の言うように、実際Eチームは他の先行する車両から遅れをとり、大分距離を引き離されていた。


引き離されていたのは彼女達だけではないが・・・。

各チーム共に、障害物に機動を阻害されているせいで、各車輌間の距離が離れてしまっている。
木々を避けながら高速で後退するⅣ号戦車を、全力で追いかけるのに夢中になるあまり、足並みをそろえることを忘れてしまっている彼女達はバラバラに進撃していた。
これでは各個撃破の的になりかねない。

もっとも・・それこそが、みほの狙いだった。










「麻子さん、そのまま、まっすぐ後ろへ・・・。」

「分かった。」

みほは、砲塔側面のハッチから身を乗り出し、後方や周囲の状況を確認しながら、操縦手の麻子に的確な指示を出していく。
運転席からでは後ろが見えないため、代わりにみほが後方の様子を見ながら、操縦手に指示を出さなければならない。
そして麻子も、みほの指示を瞬時に解して、よくついてきている。


「ここで止まって下さい。」

接敵場所から大分後退した所で、停車させた。すると、みほはすぐさま射撃態勢をとる。

(まずは、最も先行している八九式から叩く。)

照準器のスコープを覗き込み、大きく息を吸って、呼吸を整えた。
極限まで神経を研ぎ澄まされていく。そのまま引き金の指をかけ、敵を待ち構えた。

これだけ遮蔽物が林立していると、射線が通る範囲は非常に限られている。
だから敵が木の間から姿を現し、その射界に入り込むのは、ほんの一瞬である。
その一瞬を逃さないように全神経を集中させた。


(来た。)

その時、八九式中戦車の車体の端の部分が、遮蔽物の間の視界に入りこんだのを、みほの目は即座に捉えた。
そして、そのまま車体の大部分が、照準器の中に映りこむ。

その間、僅か約1秒。その一瞬の間に、みほは狙いを定めた。

そして、トリガーを引く。
空気が激しく震え、轟音が鳴り響いた。
砲口から発砲炎と共に弾丸が撃ち出され、同時に砲尾から薬莢が吐き出される。
その砲弾は木々の間隙を縫うかのように、間をすり抜けながら、真っ直ぐ飛翔。
そして八九式の車体正面を撃ち抜いた。

着弾した直後に、撃破判定装置が作動し、白旗が上がる。

「命中・・・八九式、撃破。」

みほの放った一撃は見事に敵を撃破した。


みほが淡々と敵撃破の宣言をした、この時、沙織達は呆然としていた。
発砲時に発生した激しい空気振動が彼女達の体を揺すり、肌をビリビリと痺れさせた。
それは彼女達にとって、今まで感じたことのなかった衝撃であり、初めての体験である。

「す、凄い・・・!」

「ジンジンします!!」

沙織と優花里は目を見開いたまま、固まっている。


「なんだか・・・・・気持ちいい・・・。」

華は肌が痺れるような感覚に、えも言われぬ快感を感じていた。


「・・・・・・・・!」

麻子は無言だったが、彼女もまた何とも言い表せないような感覚を味わっていた。



「優花里さん・・次弾、装填。」

「は、はいっ!」

みほの一言で、優花里は我に返った。
すぐさま弾薬ラックに手を伸ばす。
一発の徹甲弾を取り出し、砲尾に乗せて、拳で砲弾を薬室の中に押し込む。
閉鎖機を起こして準備完了。

「装填完了。」

みほは照準器を覗き込み、第二の攻撃目標を探す。
すると今度は、38(t)戦車を発見した。








「見つけた!」

ほぼ同時に、38(t)戦車の砲手、河嶋桃が言った。

探していた敵を、ようやく見つけ出し、今、射程内に捉えている。
そのため、河嶋桃は笑みを浮かべていた。

「フフフフ・・・・ここでお前らを仕留め・・」

しかし、彼女は最後まで言えなかった。
何故なら、彼女が言い切るよりも前に、Ⅳ号戦車が撃った砲弾が38(t)戦車叩きつけられ、衝撃が襲ったからだ。
車体の上に白旗が上がった。

「な、何っ!!?」

桃は驚愕した。

互いに相手の姿を発見したのは同時だった。にもかかわらず、相手に先手を取られたのだ。
河嶋桃が狙いを定めてトリガーを引く暇すらなく、圧倒的な早撃ちで撃破された。







「命中・・・38(t)、撃破。」

続けざまに2両もの敵を仕留めたみほだったが、そのことに一喜一憂することなかった。
何の感慨も無く、ただ淡白に、敵撃破の宣言をする。
そのことからも、彼女が相当に場慣れしていることは間違いなかった。


みほはすぐに次の敵を探した。


「前方より敵、M3中戦車。」

次の攻撃目標を発見したみほ。
すると、みほは操縦手の麻子に指示を出す。

「麻子さん、 右旋回して、そのまま敵の左側面に回り込んでください。」










「どうしよう・・・先輩達やられちゃってる。」

M3の車長、澤梓は呟いた。

B、Cチームから大きく遅れていた彼女達Eチーム。
立ち塞がる木々に苦戦しながらも、やっと追いつけたと思ったら、既に先行していた2両は撃破された後だった。
しかも視界不良のせいで、敵がどこにいるのかが分からない。

「どこに、いるんだろう?」

梓は、恐る恐る、キューポラから周囲を見渡した。



「あっ、いた!!!」

その時、梓は、森の中を疾走するⅣ号戦車の姿を発見した。
ちょうど迂回機動を行っている最中である。



梓は慌てて指示を出す。

砲手の山郷あゆみに指示を出すが、その時のⅣ号戦車の位置は、M3中戦車の主砲の死角になる位置だった。
これでは撃てない。

勿論、これはみほの計算通りのことであった。
M3中戦車は、その構造上の特性により、主砲の射角が限られている。そのため左側面に大きな死角があった。
みほが迂回機動をさせたのは、その死角である左側面を突くためであった。

「あゆみちゃん、早く撃っちゃって!!」

「この大砲、これ以上左には向かないよ!!」

「桂利奈ちゃん、車体の旋回急いで!!」

「あいぃぃー!!」

相手は砲口を自分達の方に向けているのに、主砲の死角に入り込まれたことによって反撃ができず、梓は慌てて操縦手の桂利奈に旋回させようとするも、もたついてしまっている。
被弾の衝撃が、彼女達を襲ったのはその直後のことだった。


結局、Eチームは応戦する間も無く、側面を撃ち抜かれ撃破された。





その様子を、エルヴィンは遠くから双眼鏡で眺めていた。

「先行していた3両の戦車が全滅した・・・・・!」

全く予想だにしていなかった展開に、彼女も驚愕している。


そして、このままではいけない、何か策は無いかと、思考を巡らせていた。

「そうだ! あの背の高い茂みを利用して回り込もう。」

エルヴィンは閃いた。
彼女が目にしたのは、前方の、草木が生い茂っている場所である。

エルヴィンがが考えた策とは、Ⅲ突の車高の低さを生かして、背の高い茂みに身を隠しながら迂回接近することであった。

「それだ!! それなら敵の側面を突くことが出来るぜよ。」

「うむ。名案だ。」

「そうと決まれば、善は急げだ。」

おりょうやカエサル、左衛門佐も賛同する。

さっそく彼女達は動き出した。












「M3、撃破。 残るはあと1両。」

3両目の敵戦車を仕留め、最後の敵を探していた、その時だった。

「ん?」

照準器のスコープを見ていたみほは、ある物に気づいた。


(あの茂み・・・草が不自然に揺れている。)

そして、みほはすぐに気づいた。

(あの茂みの向こう側に、敵戦車が隠れている。)

この瞬間に、みほは相手の策を看破した。
敵が草木に身を隠しながら回り込もうとしていることを即座に見抜く。

みほはその足で、砲塔旋回ペダルを踏み、素早く砲塔を回す。

遮蔽物に隠れたⅢ突の、その姿を直接目で見ることは出来ないが、草木の揺れ方から、見えない相手の位置を推定した。


「ここだ!」

迷わずにトリガーを引いた。姿の見えない敵に向けられた砲口が火を噴く。




撃ち出された砲弾は、草木の壁を突き破り、その向こう側にいたⅢ号突撃砲の車体側面を、狂いなく射抜いた。




「何っ!!!?」

エルヴィンは突然の出来事に、驚愕する。

「そんな・・・我々の姿は見えなかった筈!!」


Ⅲ突の車体の上に白旗が上がった。








みほは、その白旗を視認して、言った。

「命中。Ⅲ号突撃砲、撃破。 ・・・・・敵、全車両の撃滅を確認。作戦終了。」

敵の全滅を確認した後に、みほは緊張を解くように一息つくと、座席の背もたれに背中を預けた。

「ふぅ・・・・。久しぶりだったから上手くいくかどうか分からなかったけど、何とかなった。」

先程までの鋭い眼光は消え、普段の温厚な眼差しに戻っていた。



Bチーム 38(t)戦車、Cチーム 八九式中戦車、Dチーム Ⅲ号突撃砲、Eチーム M3中戦車リー、いずれも戦闘不能。
よって、みほ達Aチームの完勝である。


今回はここまでです。
みほが獲物を屠る∠( ゚д゚)/イエェェガァァァ!、になった瞬間でした。

おりょう「ムリダナ(・x・)」

エリカ「こ・・・小次郎、わ・・私と一緒に、せ、戦車道の試合をみ、み、見に行かない?(真っ赤)」

みほ「うん、いいよ」



な感じとか




あの後、みほ達5人は戦車の各ポジションについての話し合いをしたのだった。


最も重要なポジションである車長を誰にするかという事から話し合ったのだが、これは真っ先にみほの名が挙げられた。
みほは前回の演習で、その冷静さと、卓越した判断能力をいかんなく発揮している。
だから5人の中で最も適任であるとして、沙織達、チームの皆から車長の役を頼まれ、そのため、みほは引き受ける事にした。

その他にも、砲手は華、装填手は優花里、操縦手は麻子、通信手は沙織がそれぞれ担当することになった。


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 ・

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 ・


そして再びやってきた、戦車道授業の日。


この日、みほは自動車部の人達と話があるから遅れて来るという事で、優花里達4人で先に格納庫の方に行く事になった。

そして、そこで優花里達は不思議な光景を目の当たりにする事になる。




「こ、これは一体・・・!?」

優花里は驚愕の表情で固まっていた。
その光景を前に、ただ絶句している。


そして華と沙織は、優花里とは対照的な反応をしている。

「あらあら。これは何とも個性的で、可愛らしいですね。」

「いいなぁ・・・私達もやれば良かった。」




優花里達が見ていたのは、並ベられた戦車達の、その劇的な変わり様であった。
4両の車輌が、まったくの別物と言ってもいい程に、見た目が変わってしまっている。


まず、Bチームの38(t)戦車は、なんと車体全体を派手に金色で塗られていた。
その光沢が眩しいほどに輝いて、非常に目立っている。

「いいねぇ。ゴージャスな感じがして・・・。」

杏が満足気に言う。



Cチームの八九式は比較的原形を留めていたが、車体と砲塔部に白いペンキで『バレー部復活!!』とデカデカと書かれていた。

「これで活躍すれば、宣伝になって部員も集まる筈だ。」

典子が嬉々として言った。



DチームのⅢ号突撃砲の見た目も劇的に変わっている。

車体前面や側面部は赤色、上面や後部は黄色で塗装されていた。砲身は純白の色で塗られ、その基部は浅葱色のダンダラ模様が描かれている。
更に、六文銭が描かれた赤い旗や、誠一文字が刻まれた浅葱色の旗が車体上部に取り付けられていた。

歴史マニアである彼女達が、その趣向を存分に叩き込んだ・・そんな感じの一品である。


「ふむ。格好良いぜよ。」

「これぞまさに支配者の風格である。」

おりょうとカエサルも、ご満悦といった感じで、眺めている。



EチームのM3は、ピンク一色のカラーリングに変えられていた。

「可愛い~♪ やっぱピンクだよね。」

梓もとても嬉しそうだ。


と、まあ・・このような感じで4両の戦車が、それぞれの人達の趣向によって、何とも個性的でバラエティ豊かな姿に変えられていた。

はっきり言って、パッと見ると、戦車とは思えない、摩訶不思議な見た目である。
かなり目立つし、迷彩もへったくれもあったものではない。


だから優花里は思わず、嘆いた。

「ああっ!! 38(t)戦車が・・・八九式が・・・Ⅲ突が・・・M3が・・・何か別の物に!! こんなのあんまりですよ!!」

戦車大好きな優花里には、その変わり様はかなりショックだった。


「うちのⅣ号戦車も色を塗り替えて、可愛くデコレートしちゃおう。」

そんな沙織の言葉に、優花里はゾッした。

「お願いだから、やめてください!!」



彼女は頭を抱えていた。

「こんなの・・・・西住殿が見たら何て言うか・・・・。下手したら怒られますよ。」


優花里がそんな懸念を抱いていた、その時だった。




「すいません。遅くなりま・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

「あっ! 西住殿!」

その時、遅れてやって来たみほが到着した。



「・・・・え????」

そしてみほは、変なデコレートをされた珍妙な戦車を見た瞬間、固まった。




「・・・・・・・・・・・・・。」(゚д゚ )ポカーン


ただ絶句し、茫然と立ち尽くしていた。

信じられないといった感じの表情をしている。






沈黙の時間が流れていく。



「に、西住殿・・・・。」

そんな状況の中、優花里が恐る恐る、みほに声をかけた。

(西住殿・・・・・・。怒ってますよね。これ絶対怒ってますよね。)




すると・・・・・




「プッ・・・・・・アハハハハハハ。」

「えっ!? 西住殿?」

みほが笑い出した。
突然の事に、優花里もそうだが、沙織達も面食らう。


(西住殿・・・怒っていない?)

優花里の心配とは裏腹に、みほは決して怒ってなどいなかった。
それどころか、目の前の出来事が面白くて仕方がないといった様子である。


「アハハ。 まさか戦車をこんな風に魔改造しちゃうなんて・・・・斬新で面白いです。
 こんなの昔では到底考えられなかった事だけど、こういうのも楽しくていいですよね。」

すると、みほは満面の笑顔で言った。


「戦車道が楽しいなんて思ったのは、初めてかも。」


みほがこの大洗にやって来て、戦車道を再びやり始めてから、友達の皆と一緒に体験した事は、彼女にとって何もかもが新鮮なものだった。

今までに経験したことが無い斬新な事の数々。
この大洗に来るまでやっていた戦車道とは異なる、全く新しいもの。

それに触れた当初、当然みほは面食らったが、その半面、新しいものに対して非常にワクワクしていた。


今までに無かった、新たなる戦車道。
それは、まだまだ始まったばかりなのである。


今回はここまでです。

桃「グスグス・・・・・じゃあ今度の試合は、私の作戦で?」
みほ「その作戦でいいから泣き止んでください。」
桃(作戦通り。男は女の波がに弱いというのは本当だったんだな)

生存報告。

投稿までには、もう少し時間がかかりそうです。
桃ちゃんが大活躍(?)するシーンまではすでに書き上がったんだけど、グロリアーナ戦の終盤シーンを
書くのに苦戦中です。

戦闘描写って難しいっす。(泣)

エリカ「小次郎、新年明けましておめでとう」
みほ「うん、おめでとう。あ、それと良かったら僕と一緒に初詣いきませんか?」

しほさんならみほのアンコウ踊りにTV局呼んでたよ

みほが淡々と作戦をとっているところに皆が惚れそうな予感

狼とよばれた小次郎

嘘つきは一つだけという

人狼と呼ばれたみほ

ぉk
あまり気負わないでくださいね

こんな言葉を知ってる?





夏の暑い日に汗を沢山かいた後のビールはうまい
焦らされる方が楽しみが増すのよ。

こんな習慣知ってる?


戦車道の試合で負けた学校・チームは、一日中アンコウ踊りされることを

このことを知っているか?


妹のパンツを顔に被ると最高になれるということを!     byまほ


遅れてすいません。
やっぱ見切り発車ってだめですね。

まずはレス返しからです。



>>422
ちょ、おまwww


>>435
そりゃあ、もう頼もしい限りでしょうからね。


>>438
>>439
まさに狼の如し。油断すればたちまち食われます。



>>445
>>446
そのようにフォローしていただけると、本当に助かります。



>>447
それはごく一部だけの特殊例ですwww



>>448
知っているか?
そんな事をすると、捕まるという事を・・・。



前回までのあらすじ



羊「メェ~」

ダージリン「あら、可愛い子羊さん。」


羊「」バリバリ

ダージリン「!!」




狼「ガルルルル!!」

ダージリン「あら、やだ! 羊の皮を被った狼だったのね!!」



以上、前回までのあらすじでした。(適当)




では、ここから本編です。




聖グロリアーナ女学院と県立大洗学園の試合は、いよいよ佳境に突入した。

序盤では圧倒的劣勢に立たされていた大洗が、巧妙な奇策でまさかの先制。
マチルダ2両を撃破し、5対3と一気に優勢になった。

予想だにしなかった番狂わせの予感に、会場は大いに盛り上がっている。
大洗学園戦車道復活の報を聞いて、会場に詰めかけた地元の観客達は沸き立ち、そして同時に、大洗チームの者達も大いに士気を高めていた。


そんな中、みほは思案する。

(優勢に立ったとは言え、まだ気は抜けない。)



その時、みほ達の下に通信が入った。


「隊長、こちらDチーム。敵、マチルダ1両を発見した。すぐ近くの交差点で停まっている。」

それはDチームのエルヴィンからだった。
エルヴィンが言うには、Ⅲ突が隠れている場所の、すぐ近くにある交差点でマチルダ1両が停車している、との事だった。


「敵はこちらに気付いていないようだ。こっち側に背を向けている。今、路地から出て攻撃すれば背後を突ける筈。 隊長・・・・許可を。」

「分かりました。くれぐれも慎重に。」

「了解。」

そう言うと、エルヴィン達の乗るⅢ号突撃砲は隠れていた路地から表の街路へと出る。
操縦手のおりょうが車体を旋回させ、砲手の左衛門佐が照準を合わせ、マチルダの背へ、その砲を向けた。

「これで撃破スコア2両目だ。」

そう言うと、左衛門佐は獲物を仕留めるべく、トリガーに指をかけた。




しかし、その引き金を引くより前に、突如として激しい衝撃が彼女達を襲う。

「うわっ!! 何だ!?」

エルヴィンが驚き、叫んだ。

撃破判定装置が作動し、白旗が上がる。


突然の出来事で、彼女達も一瞬、何が起きたか分からなかったが、直後に彼女達はすぐに理解する。
エルヴィンがキューポラの視察口越しに後ろの方を見ると、そこにはいつの間に現れたのか、もう1両のマチルダが砲口から硝煙を漂わせながら鎮座していた。

「しまった!! これは罠か。」

エルヴィン達はすぐに気付く。
交差点の所で停まっていた敵戦車は、身を潜めている自分達を引きずり出すための囮であった。
その囮に喰らいつこうとした所を、隠れていたもう1両のマチルダが出て行って仕留める、という連携プレイである。

「くっ・・・・・隊長。こちらDチーム、戦闘不能。」

エルヴィンはすぐさま、その旨をみほに報告した。



(敵の攻め方が変わった。)

みほは即座に、敵の一連の動きを分析した。

(グロリアーナチームはこれまで、格下のチームが相手という事で、少なからず油断してたのかもしれない。でも、おそらくその認識は、もう改めたのでしょう。
 その上で、本気で僕達を粉砕しにきている。)


みほは素早く、そして的確に状況を分析した。


「とりあえず、ここから移動しましょう。 麻子さん・・ここから街路を通ってポイントB3への移動を。」

「了解。」

操縦手の麻子にそう言ったみほは、そのまま無線機で各チームへ指示を出した。

「Aチームより各車へ。ここからは作戦を変更します。」


みほの指示の下、各チームは素早く移動を開始した。

(相手が攻め方を変えてきた以上、こちら側の作戦も柔軟に変更しなくては・・・。)

そう考えたみほは、ここで陣形を大きく変更する事にしたのであった。




しかし、ここでアクシデントが起こる。


Ⅳ号戦車が曲がり角に差し掛かった時、みほの視界にある物が飛び込んできた。
緑色の無骨な形状をした物体である。

「あっ!!」

そこで、みほが見た物・・・それは歩兵戦車チャーチルMk.Ⅶだった。
突然の遭遇である。


「見つけましたわ!!」

ダージリンも思わず、大声で言った。
相手側にとっても不意の遭遇だったようだ。



「まずい、見つかった!!」

そう言うと、みほは即座に操縦手の麻子に命令を出した。

「全速前進ッ!!!」


すぐさまⅣ号戦車は急加速した。
ダージリン達はすかさず、これを追跡した。

「逃がさないわ。」

ダージリンは追撃命令を出すと同時に、無線機で僚車を呼び寄せた。

「2番車と4番車は至急、こちらに合流!! ここで、敵のⅣ号を仕留めるわよ。」


ダージリン達にとってⅣ号戦車は最優先攻撃目標であった。
何故なら、彼女達はみほが大洗チームの指揮官だという事をちゃんと認識していたからだ。

彼女達は、2両もの僚車を屠ったみほのその手腕に大きな脅威を感じていた。
敵に優秀な指揮官がいれば、それを優先して叩くのがセオリーである。
だからこの好機を逃すなと言わんばかりに、全車両での追撃をかけてきたのであった。




こうして突如、戦車によるカーチェイスが始まる。

全速度走行で追跡しながら攻撃してくるダージリン達。
そして、それを何とか躱しつつ、砲塔を後ろに向け応射しながら全力で振り切ろうと疾走するみほ達。

しかも、しばらくするとグロリアーナチームのマチルダ2両が途中からダージリン達と合流。
3両の戦車で追われる事になった。


「何とかここで振り切らないと・・・・・ん?」

その時、みほは前方にある物を見つけた。


「しまった!」

そこにあったのは、道路を塞ぐフェンスと「工事中」と書かれた看板であった。
水道管工事かなにかの途中だったのか、地面が大きく掘り下げられ陥没している。

これでは通行は出来ない。
地図には載ってない、思わぬ落とし穴であった。

その場で停車し、すぐにUターンしたが、もう遅かった。
後からやって来たダージリン達に追いつかれてしまった。


「くっ・・・・。」

みほの目の前で、立ち塞がるように3両の敵戦車が停まり、こちらに砲口を向けてきた。
今にも火を噴きそうである。

退路を断たれ、完全に袋の鼠であった。



「フフ・・・勝負あったわね。」

すると、チャーチルのキューポラから、ダージリンが出てきて言った。
追い詰めて、勝利を確信したためか、すぐには撃たず、余裕の笑みを浮かべながら、みほ達に向って言う。

「こんな格言を知ってるかしら? イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない、と・・・。」



しかしこの時、ダージリンの言葉はみほの耳には一切入っていなかった。

(敵の第一射さえ、なんとか凌ぐ事が出来れば、ここから脱出できるのだが・・・・。)

みほはこの絶体絶命ともいえる状況でも、冷静にその頭脳をフル回転させ、この窮地からの打開策を模索していたのである。




すると、ここで思わぬ事態が発生した。

ダージリン達が今まさにトリガーを引こうというその時・・・



「参上ー!」

それは角谷杏の声だった。

「助けに来たぞ!」

河嶋桃の声も聞こえる。

その声と共に突如、脇道から金色に輝く車輌が現れた。
それはBチームの38(t)戦車である。

杏達達は突如、路地裏から飛び出して来ると、ダージリン達とみほ達との間に割って入った。
そして素早くチャーチルに接近し、その砲口を突き付ける。


「発射アァッ!!!」

すかさず砲手の桃が、気合のこもった叫びと共に引き金を引き、発砲。

撃ち出された砲弾が敵を射抜く・・・・・






射抜くことはなかった。

「あ・・・・・・。」

桃は思わず言った。


「「「・・・・・・・???」」」

そして、その場にいた皆が唖然とした。
なんと、この距離で撃ったのにもかかわらず、外してしまったのだ。
至近距離からの接射であったのに、何をどう間違えたのか、外してしまう。
まさかのミスショットであった。


「桃ちゃん、ここで外す?」

柚子も呆然としたように言った。

そして、そんな彼女達には敵の、3つの砲口が向けられている。



次の瞬間、グロリアーナチーム戦車が一斉に砲撃。
たちまち38(t)戦車は大破し、戦闘不能になる。


「やーらーれーたー。」

杏がどこか気が抜けたような叫びをあげた。

そして、白旗が上がる。



しかし、次の瞬間にみほは動いた。

(これはチャンス!!)

みほは即座に次の一手を繰り出す。

「前進! 一撃離脱で、路地裏へ左折!!」



一見すると、Bチームはただ無駄にやられただけに見えた。
しかし、この時のBチームの行動は結果的にチャンスを作り出すことに成功している。
何故なら、Bチームは図らずも、相手のミスを誘発する事が出来たからだ。

この時、グロリアーナチームはみほ達の目の前で、突然現れた38(t)戦車へ向かって一斉に発砲してしまっていた。
そうする事によって、次弾装填までの間、一切攻撃が出来ない時間ができてしまう。

それは僅かな時間だが、その僅かな反撃チャンスをみほは見逃さなかった。



麻子は、みほの指示を即座に理解して、Ⅳ号戦車を急発進させ、正面にいるマチルダに迅速に接近。
すかさず華が引き金を引いて発砲。至近距離から発射された砲弾はマチルダの砲塔の付け根の部分に着弾する。


マチルダの車上に白旗が上がった。
これで3両目撃破である。敵チームの残りはあと2両。


そして間を置かずに、再発進。
左側の路地裏へと素早く逃げ込んだ。


「しまった!!」

ダージリンが気づいた時にはもう遅かった。
次弾装填が完了した時には、もうⅣ号戦車は脱出した後であった。


辛くも窮地を脱したみほ達。
ダージリン達は気を取り直し、再び追撃戦に移った。








とりあえず、ダージリン達を振り切ったみほ達だったが、このままではすぐにまた追い付いて来るだろう。

すると、みほ達の所に1両の戦車が走ってきた。

「隊長ー!!」

その声は、Cチームの磯辺典子の声であった。八九式中戦車のキューポラから身を乗り出し、みほ達の方へ手を振っている。

ダージリン達がすぐそこまで追って来ている筈だから、一息ついている暇などない。
みほはすぐさま次の手を打つ事にした。


「そこの丁字路で待ち伏せしましょう。」

そう言うと、みほは各員に指示を出した。

「Aチームはこっちの壁沿いに張り付きます。Cチームはその反対側の壁へ・・・。」


丁字路交差点の左右の壁沿いに、Ⅳ号戦車と八九式戦車がそれぞれ伏せた。



するとそこへ、みほ達を追ってやって来たマチルダとチャーチルが走ってくる。

「来た。攻撃用意。」

敵が交差点に差しかかろうとした時、みほは無線機越しで静かに言った。
砲手の華とあけびが、それぞれトリガーに指をかける。


「撃て!!」

みほの命令で、華はトリガーを引き、Ⅳ号戦車の主砲が火を噴いた。
撃ち出された砲弾はマチルダの側面を射抜く。

すぐさま車上に白旗が上がった。
撃破成功である。



すると、今度はチャーチルが典子達の前に現れた。

「撃てえっ!!」

「はい!!」

典子の号令と共に、あけびは引き金を引いた。
八九式の主砲から砲弾が撃ち出され、チャーチルの側面に着弾。

「弾かれた!」

典子は思わず叫んだ。

至近距離からの零距離射撃だったが、チャーチルの厚い装甲に弾かれてしまい有効弾にならず、撃破失敗だった。



チャーチルの砲塔が旋回し、八九式の方へ砲口が向けられた。
ここまでⅣ号戦車を最優先で叩こうとしていたダージリン達は、ここで一旦その矛先を変えてきたのである。
まず先に邪魔な八九式を仕留め、その後にじっくりとⅣ号を倒していく算段なのだろう。


「回避だ! 根性で避けろ!!」

典子が言った。

即座に八九式中戦車は回避機動をとった。
蛇行しながら迅速に後退する。




しかし、そんな八九式戦車を、チャーチルの砲火が捉えた。

「当たってしまったか・・・。」

典子が悔しそうに呟いた。


装甲の薄い八九式中戦車はひとたまりもなく、たちまち大破し戦闘不能となる。




Cチームの脱落によって、みほ達Aチームは、チャーチルと1対1で対峙する事になった。

間髪入れず、チャーチルの主砲がみほ達の方へ向けられる。


「回避!」

すぐにみほは回避機動をとる。


麻子の巧みな操縦もあって、敵の攻撃は当たらなかった。

直後にみほ達が反撃する。チャーチルめがけて発砲。

しかし、その攻撃はチャーチル装甲で弾かれてしまう。
間を置かず、敵の次の攻撃が来る前に、Ⅳ号戦車は素早く後退した。


「やはり主面装甲は貫けないか。」

みほは、改めてチャーチルの堅固な防御力を目の当たりにした。

Ⅳ号戦車の主砲では、チャーチルの正面装甲には全く通用しない。
何とか側面を突かない限りは、倒すことは出来ないだろう。

勿論、その事は敵も分かっている。
だから車体を旋回させ、常に相手に正面を向け続け、決して側面を晒そうとはしなかった。




ここで、みほは勝負に打って出た。

「ここで一気に仕掛けます。
 優花里さん・・HE(榴弾)装填。次、AP(徹甲弾)装填用意。」

「了解です!」

優花里は即座に榴弾を装填。続けて徹甲弾を取り出した。


みほの考えた戦法は以下の通り。
まず、敵戦車の前方至近距離で榴弾を炸裂させ、それを目くらましとする。
次に爆炎に紛れて、一気に敵めがけて突進。
そして素早く敵の側面に回り込み、至近距離から徹甲弾を叩き込む、というものだった。


みほはさっそく、その戦術を実行に移すべく各員に手早く指示を出していった。

「麻子さんは、合図をしたら一気に相手の左側面へ回り込んでください。」

「分かった。」

「華さんは合図と同時に砲塔を右へ向けてください。停止と同時に攻撃です。」

「はい。」

「優花里さん・・・次弾装填は迅速に。 出来ますね。」

「お任せください、西住殿。」




すると、そこにダージリン達がやって来た。
華は照準器のスコープ越しに、こちらに向かって走って来る敵戦車に狙いを定める。

その矢先、華が第一射を発砲。
発射された榴弾が敵の目の前の地面に着弾し、炸裂。爆炎を巻き上げた。

次に、麻子がアクセルを踏み込み、全速力で突撃。
一気に敵との間合いを詰めていく。


「今だ!」

そして、みほの合図で急旋回。
敵の側面に回り込もうとする。






しかし、その時にアッサムが素早く反応した。

「させるか!」

さすが熟練というべきか・・・・アッサムは、爆炎で視界が遮られる中、Ⅳ号戦車の影を目の端で捉えていたのである。
彼女が咄嗟にペダルを踏んで、迅速に砲塔を旋回させ、敵影を追う。

Ⅳ号戦車の主砲が敵戦車の側面装甲を捉えるのと、チャーチルの主砲がⅣ号戦車を捉えるのは、ほぼ同時だった。


次の瞬間、華とアッサムがトリガーを引き、2つの砲口が火を噴く。
轟音が鳴り響き、爆炎が上がった。
辺りが黒煙で覆われ、2両の戦車が覆い隠される。




そして、煙が晴れると、そこには一本の白旗があった。


「惜しかったわね。」

ダージリンは笑みを浮かべながら言った。


その白旗は、Ⅳ号戦車の車上に立っていたのである。
やられたのは、みほ達の方であった。


敵戦車の側面に回り込むことが出来たまでは良かったのだが、Ⅳ号戦車の砲撃は敵の装甲を貫くことは出来ず。
そして、ほぼ同時に発射されたチャーチルの主砲弾で射抜かれ、Ⅳ号戦車は大破してしまった。

みほ達の渾身の一撃は、あと一歩及ばず・・・遂にみほ達Aチームが脱落してしまう。


この時、ダージリン達は自分達の勝利を確信した。

初心者ばかりの新設チームにあって唯一の熟練者であった、みほを脱落させることが出来たのだ。
彼女達にとって一番厄介だった敵を倒した以上、あとに残るのは新米だけである。
あとは、その初心者を狩り出すだけだから容易い・・・ダージリン達はそう思った。




すると、ダージリンはふとⅣ号戦車の方を見た。

「ん?」

そこにあったのは、キューポラから身を乗り出した、みほの姿。
ダージリンは、そのみほの表情を見て、違和感を感じた。
何故なら、その顔には安堵の色が浮かんでいたからだ。
それはまるで、全て上手くいった、と言わんばかりの表情である。
やられた後に浮かべる表情にしては、明らかに何かがおかしい。




その直後であった。

突如、凄まじい轟音と衝撃が彼女達を襲う。


「なっ!!?」

ダージリンは驚愕する。

すぐさま判定装置が作動し、チャーチルに白旗が上がった。


「一体何が!?」

ダージリンは慌てて周囲を見渡す。

「あっ!!」

そこで彼女は見た。

二つの砲口から硝煙を燻らせる、M3中戦車を・・・。
Ⅳ号戦車に気を取られている間に、いつの間にか背後を取られていたのだ。

口径75ミリの主砲と37ミリの副砲を、装甲の薄い車体背面部に撃ち込まれたとあっては、ひとたまりもない。
当然、それは有効打となり、白旗が上がったのであった。


「そうか・・・・。これは罠だったのね・・・・。」

この時になって、ダージリンは悟った。
みほの表情・・・その真意に・・・。


失敗したと思われていた、みほ達の最後の攻撃・・・・それが実は失敗ではなく、この為の布石だったのだ。

あの時、みほ達はチャーチルに必死で応戦しながら、同時にある場所へ敵戦車を誘き寄せていた。
それはEチーム、梓達のM3中戦車が隠れ潜む場所である。


梓達がチャーチルの背後を突けるように、交戦しながら、その地点まで上手く誘導していったのだった。

更に言えば、ダージリン達が、大洗Aチームを最優先攻撃目標にしていた事を、みほは逆手に取って利用したのだ。
みほ達がダージリン達との遭遇戦になった際、敵が全車両で追撃をかけてきた。
それを見た時、みほはすぐに敵の狙いを看破する。

そして彼女達が、Ⅳ号戦車への攻撃に集中するあまり、その分、他の車輌に対する警戒が疎かになっていた事も、みほは見透かしていた。
それは、Eチームがノーマークで動き回れるという事を意味する。

その時点で、みほはこのシナリオを思い浮かべていたのだった。
敵が全力で自分を狙ってくるのなら、自分自身を囮にしてしまえば、確実に敵を釣れる。

Eチームを待ち伏せ攻撃に適した場所へ移動させ、自らを囮にして、その場所へ敵を誘い込んだ。
そして、その場所に敵が差しかかった所で、みほ達は渾身の一撃を敵に浴びる。
その攻撃で敵の足が止まった所で、隠れていたM3中戦車が背後からの攻撃で、ダージリン達のチャーチルを仕留めたのであった。

以上が事の顛末である。




みほ達のⅣ号戦車を倒した時には、ダージリンは勝利を確信したのだが、その直後に思い知らされた。
自分達が相手の策に嵌まってしまっていたという事を・・・・。

ここまで完璧にやられたら逆に清々しく感じられる。


「完敗ね・・・。」

ダージリンは一言呟いた。
この時に彼女の心境は、まさに感服である。

そして、それはダージリンだけではなく、グロリアーナチーム一同が同様であった。

「やられたわ・・・。」

「まさか彼らがここまでやるとは・・・。」

アッサムとオレンジペコも、舌を巻く思いであった。





こうして大洗学園と聖グロリアーナ女学院との試合は幕を閉じた。
結果は大洗学園の勝利である。








「やりましたよ、西住殿!! あのグロリアーナに勝つなんて!!」

「凄いよ、コウちゃん! 私達勝っちゃったよ!」

優花里や沙織が興奮気味に言う。


「やりましたね。小次郎さんのおかげです。」

「うむ。これは小次郎の作戦勝ちだな。」

華や麻子も、みほに称賛の言葉をかける。



「「「先輩ー!!」」」

そこに、Eチームの1年生達が、みほの所へ駆け寄ってきた。
彼女達も非常に興奮している。


「先輩! 私達やりましたよ!」

みほの傍へ駆け寄った梓が嬉々として言った。

隊長のみほから直々に、大役を任された1年生チーム。
そして見事に決めた彼女達は大いに喜んでいた。


「梓さん・・・よくやってくれました。」

「えへへ。」

憧れの隊長から誉められた梓は、その表情が緩ませずにはいられなかった。


「あー! 梓ちゃんずるい。」

「私も! 誉めて、誉めて!」

「じゃあ私も!」

「わ、私もがんばりました。」

あゆみ、桂利奈、あや、優季も、みほに誉めてもらいたくて、口々に言った。

「・・・・・・。」

沙希は何も言わなかったが、物欲しげな表情をしてみほの方を見ている。






その後、B、C、Dチームの面々も戻って来て、みほ達に合流した。

彼女達は互いの健闘を称えあったりして、盛り上がっている。






すると・・・・


「あなたが大洗の隊長ね。」

そこへ、ダージリンがやって来た。


彼女はアッサムとオレンジペコを引き連れて、みほの所へやって来た。

「あなたは・・・・。」

「初めまして。改めて・・・・私はグロリアーナの隊長、ダージリンよ。
 そしてこちらはチームメイトのアッサムとオレンジペコ。」

「初めまして。」

「お初にお目にかかります。以後お見知りおきを・・・。」

ダージリンに続いて、アッサムとオレンジペコも、礼儀正しく名乗った。



そしてダージリンは改めて、みほに問いかけた。

「あなた、お名前は?」

ダージリンから問われ、みほは答えた。

「西住小次郎です。」

「西住・・・? もしかして、あの西住家の? ・・・お姉さんとはずいぶん違った戦い方をするのね。」


すると、ダージリンは言った。

「素晴らしいチームね。 今日はとても楽しかったわ。」


それは、みほ達の事を認め、称える言葉である。
その言葉と共に、ダージリンはそっと右手を差し出し、握手を求めた。


「こちらこそ・・・今日は、ありがとうございました。」

みほも同じく右手を出し、応じる。
二人の間で握手が交わされた。


「あなた達とは、いつかまた戦ってみたいものですわ。」

ダージリンはそう言い残すと、アッサム達を引き連れ、去っていった。


そんな彼女達の背中を、ただ黙って見送るみほ達であった。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


その後、後片付けが始まる。
戦車道チームに同行していた自動車部のナカジマ達が、レッカー車での車輌回収作業を始めていた。


みほも手伝おうとしたのだが・・・


「いいよ。回収作業は私達自動車部でやっておくから・・・。
 それに小次郎君は地上の大洗に来たのは今回が初めてなんでしょ。こっちの方は私達に任せておいて、大洗の街を楽しんでおいでよ。」

 と言われたため、以前から大洗の街に興味があったみほは、そのお言葉に甘えて、Aチームのメンバー達と一緒に、街の散策へ繰り出すことにした。



「それじゃあ行こうか。 コウちゃん、この街に来るのは初めてだったよね。案内するよ。」

「ここの近くに戦車道ショップってありましたよね。」

「私、この辺の美味しい、お食事処、知ってますよ。」

沙織、優花里、華はノリノリだった。


すると、そんな皆をよそに、麻子は一人でどこかに行こうとする。

「私はここで・・・。」

「あれ? 麻子、どこ行くの?」

「おばあの所に顔出さないと殺される。」

「あぁ・・・・。麻子のお婆ちゃん、めっちゃ怖いもんね。」

どうやら麻子は一人、祖母に会いに行くようだ。
沙織がなんだか納得したように呟いた。


 ・

 ・

 ・

 ・

こうして、麻子と別れたみほ達一行は、楽しく談笑しながら街中を散策していった。


すると・・・


「あ・・・・。」

そこで沙織があるものに気付いた。

それは街中を走る一台の人力車。
沙織は、その人力車を牽引している男に注目した。

「あら、いい男じゃん。(コウちゃん程じゃないけど・・・。)」

そんな事を思いながら、その男を眺めていた沙織。
すると、彼がこちらの方へ振り向いた。

「あっ! 目が合っちゃった!」

その男は沙織達の方へ向くと、微笑み、こちらへ歩いてくる。

「こっち来た。 やだ、どうしよう。/////」



その時、華が口を開いた。

「新三郎。」

「え、何! 華の知り合い!?」

驚く沙織。
そんな彼女をよそに、彼は華の前まで来て、言った。

「お嬢。お久しぶりです。 お元気そうで何より・・・。」

そう言う男を、沙織は興味津々そうに見つめている。

そこで華が沙織達に言った。

「紹介します。 うちに奉公に来てくれている、新三郎よ。」

「初めまして。新三郎です。 お嬢がいつもお世話になっております。」

新三郎と名乗った男は、沙織達に挨拶した。



その時、人力車に乗っていた人が降りてきた。

その者は着物を身に纏った女性である。

「元気そうね。」

「お母様。」

その人は華の母、五十鈴百合だった。
和服がとても似合う女性である。


「そちらの方達は?」

百合は華に尋ねる。

「こちらは私のクラスメートです。」

「「初めまして。」」

みほと沙織が挨拶をする。
続けて優花里も名乗った。

「私はクラスが違うけど、五十鈴殿とは戦車道で一緒に・・・」




その時だった。
優花里の口から戦車道という言葉が出てきた時・・・・


「戦車道・・・?」

途端に百合の表情が険しくなった。


「それは一体どういう事?」

「それは・・・」

百合の問いかけに対し、華は言葉に詰まっている。

そこにいたみほ達は、急に場の雲行きが怪しくなってきた事を感じ取っていた。


すると百合は華の手を取って、においを嗅いだ。

「これは鉄と油の臭い! あなた、まさか戦車道を!?」

百合はその鋭い嗅覚で、華の手についていた微かな臭いを嗅ぎ取った。
途端にみるみる彼女の表情が青ざめていく。


「そんな・・・花を活けるための繊細な手で、戦車なんかに触れるなんて・・・・・・・・はぅっ・・・」

「お母様っ!!」

華は慌てた。
よほどショックだったのか・・・次の瞬間に、百合は気絶してしまった。


崩れ落ちる百合。
そのまま倒れそうになる。




「危ない!」

その時、みほが素早く動いた。
倒れ込む百合を咄嗟に受け止める。
地面に激突する寸前の所で百合の体を抱き留めた。


「奥様!!」

突然の事で、新三郎も狼狽していた。
沙織達も同様である。


そんな中、みほは冷静だった。
みほ百合を抱き留めたまま、容態の確認を行う。

「大丈夫。気を失っているだけです。」

幸い、大事には至らず。
その事を確認したみほは、百合を人力車の中に横たえると、すぐに指示を出した。


「新三郎さん・・家はこの近くにありますか?」

「え!? あ、はい・・・。」

「至急、搬送を。」

「は、はい!!」

狼狽していた新三郎も、みほの指示の下、迅速に動きだした。



こうして、突然のトラブルに見舞われた一同は、五十鈴家の邸宅へ向かったのであった。


今回はここまで。
試合にもようやく決着がつき、結末は大洗学園の勝利でした。

だから、あんこう踊りもありません。
ですので、みほ達のあんこう踊りを期待して、ずっとスタンバッていた方達・・・申し訳ありません。
というか、いくら胸をサラシでつぶしていても、あんな体のラインをはっきり浮かび上がらせるようなスーツなんて来たら絶対バレるわけで・・・・


次回はもう少し早く投稿できれば、と思うのですが・・・出来るかな?
出来る限りのことはやってみますが・・・。

乙!



まほ「小次郎は狼なのよ、気をつけなさい~!」
まほ「私の弟だから、諦めなさい~!!」
まほ「可愛い顔していても 心の中は 
オオカミが牙をむく そういうものよ」
また「この弟は大丈夫だなんて、うっかり信じたら、ダメダメダメ、駄目駄目よ!」
まほ「SOS!SOS!ほらほら呼んでいるわ、今日もまた誰か乙女のピンチ~!」

>アンコウ踊りはしません

まほ「ガッデム!!」ぐしゃ!←怒りのあまり手に持っていたカメラを破壊する音

乙です
今日はパンツの日だけど小次郎のパンツはダイジョブだろうか

これがウサギさんチームが重戦車キラーに開眼するきっかけになったという・・・・

みほ「だいじょうぶですか?」

ガシッ

みほ「!?」
百合「・・・ねえ。熟女に興味ない?」


こんなフラグを想像しましたww

>>478
履帯重いんだぞー!!

まほ「泥棒猫の描写はまだか!?」

エリカ「みほ……どこにいったのよ?」

>>487
エミ「みほならドイツで私の横で寝てるわ」

更新してくださいなんでもしますから


大変お待たせいたしました。
まずはレス返しをします。


>>472
まほさん、いきなりどうしたんすかwww


>>473
ちょっ、おちつけ!!


>>474
たしかにそれも心配だが、私としては、使用済みサラシの方が心配だ。汗とか吸ってるし・・・。


>>476
まさにキラーラビットwww


>>477
華「絶許」 みたいな感じになってしまうwww


>>479
がんばれ(他人事)


>>481
昼ドラの姑か!?


>>487>>489
エリカ「よろしい、ならば戦争だ(血涙)」


>>491
ん?今なんでもするって言った?



それでは、これより今日の分を投下します。





華の母、五十鈴百合が突然に意識を失って、倒れてしまうというトラブルに見舞われたみほ達。
みほの冷静な指示の下、百合は五十鈴家邸宅に搬送された。


そして百合は今、寝室で寝かされ安静にしている。
みほ達は華と共に応接間で座っていた。


そこで優花里が申し訳無さそうに言う。

「すいません、五十鈴殿・・・。 私が戦車道の事を口にしてしまったばかりに・・・。」

「いいえ。元はと言えば、私が戦車道の事を、ちゃんとお母様に話していなかったのが原因です。」

そう言うと、華は話し始めた。

「お母様は戦車道というものを非常に嫌ってました。
 偏見と言いますか・・・・戦車道は野蛮なものだと言って、忌避していたんです。」

華が言うには・・百合は戦車道というものを、野蛮なものと決めつけ、忌み嫌っていたらしい。
華が戦車道をやっているという事を知った際に、ショックで卒倒してしまった事からも、どれ程嫌っていたかが窺える。
あの時の、彼女のあの動揺ぶりは相当なものであった。


「それでも、私はどうしても戦車道がやりたかった。
 戦車道をやる事によって、今までの自分には無かった、何か大きな物を得ることが出来るような気がしたんです。
 でもお母様には、その事を言いだせなくて・・・。」

華は、今回の事の顛末について、みほ達に説明したのだった。

華が抱えている事情。
母の百合から猛反対される事が分かりきっていたから、華は彼女には内緒に戦車道をやっていたのだった。



すると、みほが言った。

「それで、これからどうするんです? 戦車道の事は・・・。」

それは、戦車道をこれからも続けていけるのか、それともやめるのか、という問いである。
それは沙織と優花里も気にしていた事だった。


このままでは華が戦車道をやめる事になってしまうかもしれない・・・
もう二度と一緒に戦車道が出来なくなってしまうかもしれない・・・

その事を彼女達は心配していた。


そんな彼女達に、華は答えた。

「戦車道をやめるつもりはありません。これからも皆と一緒に、戦車道を続けていきます。」

その華の言葉に、みほも沙織達も、とりあえず安心した。



しかし・ ・ ・ ・



「ただ・・・・お母様はその事を許さない筈です。・・・もうこの家にはいられなくなるでしょう。」

その時、みほは見た。華の表情を。

「それじゃあ・・・・!」

「はい。 お母様からは勘当されてしまうかもしれませんが、それでも私の意思は変わりません。」

その時、みほは華の表情から、悲壮な決意を感じ取った。
華はこの家にいられなくなる事を覚悟の上で、戦車道を続けていく事を選んだのであると・・・そのようにみほは悟った。



すると、応接間の襖が開いた。

「お嬢。奥様が目を覚ましました。」

そこにいたのは新三郎である。
彼は非常に深刻そうな顔をしていた。

「お嬢に大事なお話があるそうです。」

しかし、華は言った。

「私はもう戻りません。」

「お嬢!」

「お母様には悪いけど・・・」


だが、新三郎は引かなかった。

「お嬢・・・・差出がましい事を言うようですが、お嬢のお気持ちはちゃんと奥様にお伝えすべきじゃないでしょうか。」


すると、それを聞いていたみほが口を開いた。

「僕もそう思います。」

みほも新三郎同様に、このまま華が母と別れる事を良しとはしなかった。
それは華の事を、本気で案じてのものである。

このまま何も告げずに別れてしまったら、絶対後で後悔する・・・みほはそう思っていた。
大切な仲間である華には、そんな事にはなって欲しくはなかったのである。

更にみほは言う。

「華さんが真剣な想いで戦車道をやっているのなら、その想いをちゃんと伝えれば、もしかしたら分かってもらえるかもしれません。」

「小次郎さん・・・。」

その時、華はみほの目を見た。
それは自分の事を本気で心配してくれている・・そんな目である。

そこで華は決断した。

「わかりました。・・・・・私、お母様の所へ行ってきます。」

そう言うと華は立ち上がったのであった。


 ・

 ・

 ・

 ・

そして華は今、母のいる寝室の中にいた。
そして、みほ、沙織、優花里の3人は寝室の前におり、中の様子を窺っていた。
3人とも華の事が心配で居ても立ってもいられなくなったのである。

「華、大丈夫かな?」

「とりあえず、ここは偵察を・・。」

沙織が襖の隙間から中を覗き、優花里は襖に耳を当て、中の音を聞こうとしている。


すると、中から声が聞こえてきた。

「どうしてなの? 何で戦車道なんかを・・・。あなたには華道があるじゃない。
 それとも、まさか華道が嫌になったの?」

「いいえ、そんな事は・・・。」

「じゃあ、なんで? 何か不満でも?」

百合は華に問いかける。
彼女にとっては、自分の娘が戦車道を始めた事は、非常に理解しがたい事であったからだ。

すると、華は答えた

「そうじゃないんです。
 ただ・・・私、昔から、どんなに花を活けても、いつも何かが足りない・・・何かが欠けているような、そんな気がしてならなかったんです。
 だから・・・・・。」

それは華が戦車道をやっている理由である。

自分の華道に足りないものは何なのか・・・戦車道を通して、その答えを見つけ出すことが出来るかもしれない。
戦車道を学ぶ事によってで、自分の華道が新たな境地にたどり着けるかもしれない。
華はその一心で、戦車道を選んだのである。

しかし百合にはどうしても理解できなかった。
だから百合は、何とかして戦車道をやめさせようと、華を説得しようとする。

「いいえ。そんな事は無いわ。あなたの活ける花は可憐で清楚。まさに五十鈴流そのものよ。」

しかし、華は譲らなかった。

「それでも・・・・・それでも私はもっと力強い花を活けたいんです!」

華は強く言い切る。
それは百合にとって、娘の初めての反抗であった。


百合はその事にショックを受ける。

「そんな・・・・・・。 素直なあなたは一体どこに行ってしまったの? これも戦車道のせいなの?」

彼女は嘆くように言った。

「戦車道なんて・・・・不格好で野蛮で古臭いだけじゃない。 戦車なんて全部鉄屑になってしまえばいいんだわ!」







「鉄屑・・・だと・・・。」

「まあまあ、落ち着いてゆかりん。」

その時、戦車が大好きな優花里が額に青筋を浮かべながら呟き、沙織がそれを宥めた。






とにかく、華と百合は互いに一歩も譲らずにいた。
戦車道なんか野蛮な物だと主張し、華に戦車道を辞めさせようとする百合。



それに対し、華は・・・・

「それでも、私は戦車道はやめません。」

強く言い切った。

二人の意見は決して相容れる事がのなかった。
お互いに決して引かない。




そんな中、みほ達はただ事の成り行きを見守る事しかできなかった。

今、親子の間には思わしくない空気ができている。その事をみほは感じ取っていた。


(まさか・・・・。)

この時のみほは嫌な予感が脳裏をよぎっていた。

(いや、さすがにそんな事は・・・・。)

みほはすぐにその考えを振り払った。
しかし、この予感は奇しくも的中してしまう。




百合は華を睨むようにしながら言い放った。

「わかりました。 それじゃあ、もう二度とうちの敷居は跨がないでちょうだい。」

「「「!!!」」」

その場にいた誰もが驚愕する。
それは突然、華に言い渡された勘当宣告である。


新三郎が即座に止めようとするが・・・

「奥様っ!! いくら何でもそれは・・・」

「新三郎はお黙りっ!!」

「・・・っ!!」

百合に一喝されてしまい、何も言えなくなってしまった。





それを聞いていたみほ愕然とした。

(そんな・・・・)


あまりにも突然の出来事に驚き、ショックを受けていた。

(こんな事があっていいのだろうか。 華さんはただ戦車道をやりたかっただけなのに・・・・・それなのに、こんな事って・・・)

大切な仲間である華がこんな目に遭わされているという事に対して強い憤りを感じたのである。

同時にみほは、百合が何故あんな事を言いだしたのかを考えた。

(きっと百合さんは冷静さを失っている。だから、あんな事を言ってしまったんだろう。
 そんなの駄目だ! そんな形で親子が別れるだなんて・・・・そんなの絶対に後悔する。)






すると、みほは唐突に、ある事を思い出す。
それは、かつてみほが生徒会から、戦車道を履修するように迫られ、脅された時の事だった。

その時に彼女を生徒会の者達から庇ったのは他ならぬ、華達である。
かつて華は、みほの事を友達だと言い、我が身をかえりみずに庇ってくれた。
みほはその事には今でも感謝しており、大きな恩を感じている。

みほは今一度その事を思い出した。


華は大切な友達であり、掛け替えのない仲間。
その華が、母からの勘当宣告を受けるという、人生の岐路に立たされている。
なのに自分は、ただ黙って見ているだけでいいのだろうか? という思いが湧き上がってきた。

みほは必死で考える。
自分に何かできる事は無いか。何とかこの場を収める方法は無いか。

たしかに、これは家庭の問題と言ってしまえばそれまでかもしれない。
他人がとやかく口出ししていい問題じゃないかもしれない。

(それでも!!)

それでもみほは、黙って見過ごす事など出来なかった。





気付いたら、みほは動いていた。

「お待ちください!!」

大きな声で言うと、襖を勢いよく開けた。

「ちょっ、コウちゃん!?」

「西住殿!?」

隣に居た沙織と優花里が驚く、みほは構わずに部屋の中へ入って行き、華と百合がいる方へと歩いて行く。


それに対して百合は怪訝そうな顔をしながら言う。

「何ですか、あなたは・・・」

この時、百合はみほが自分に文句を言いに来たのだろうと、思った。
しかし、それは違っていた。

「部外者は口出ししないで・・・」

口出しするなと、言いかけた時、彼女は絶句した。


この時、百合が見たもの・・・それは自分に対して、平伏して深々と頭を下げていた、みほの姿。
それは所謂、土下座であった。

「えっ!?」

全く予想だにしなかったみほの行動に、百合は思わず目を白黒させる。

「なっ! 小次郎さん!!?」

華も驚く。

そして、そんな彼女をよそに、みほは土下座しながら言った。

「お願いです。どうか華さんを見捨てないでください。」

みほは百合に懇願した。

「ちょっと、何なの突然!!」

突然の事に、百合は混乱気味だった。


しかし、それでもみほは構わずに言う。


「華さんは、ただ・・・成長した自分の姿を、あなたに見てもらいたいだけなんですよ!」

みほのその発言は、華の真意を汲み取ったものであった。

あの時に華が言った言葉・・・


 ―― 戦車道をやる事によって、今までの自分には無かった、何か大きな物を得ることが出来るような気がしたんです。 ――


その言葉の真意を、みほははしっかりと汲み取っていたのであった。



みほの発言に、百合はハッとする。
それまで百合は、華が戦車道をやったのは、単に自分に対する反抗なのだとばかりに思っていた。
しかし、それは違うと、悟る。


更にみほは続けて言った。

「このまま別れてしまったら、絶対に後悔しか残らない筈です。
 お願いです。どうか、冷静に。」

この時に百合は自分が冷静さを失っていた事に気付く。

よくよく考えてみれば、自分は戦車道の事をよく知らない。
本当は、戦車道ってそんなに悪いものではないのではないか。なのに偏見だけで蔑視してしまっていたんじゃないのか・・・そう思えてきた。

そして何よりも目の前で、自分に土下座している、みほの姿・・・
そうまでして、必死で自分を説得しようとするみほの姿からは、華の事を本気で思いやる心が伝わってくる。


その、みほの熱意に百合は心を打たれ、同時に己を恥じた。

(友人の彼はこんなにも華の事を思ってくれているのに・・・それに引き替え、私ときたら、自分の考えを押し付けるばかり。)



百合は先ほどまでの自分を反省した。


「ごめんなさい。 私も少し、冷静さを欠いていたわ。」

百合はそう言うと、改めて華と向き合った。

「華。」

「お母様・・・。」

「それでも私は戦車道を認める事は、少なくとも今は出来ません。だから・・・」

そして、百合は華の目を見ながら言った。

「だから、その戦車道を通して、私を納得させられる作品を作り上げる事・・・・それが出来たなら、その時は戦車道を続けていくことを認めましょう。
 これが最大限の譲歩よ。」

「お母様!」

その時、華はパァっと表情を明るくさせた。
説得が成功したのである。



すると、みほが再び深々と頭を下げながら言う。

「ありがとうございます。」

まるで自分の事のように、みほは喜んだ。
かつて自分を助けてくれた恩人である華。そんな彼女に恩返しする事が出来たのなら、みほにとって、こんな嬉しい事はなかった。



こうして華と百合は、みほの懸命な説得によって、ケンカ別れにならずに済んだのである。
この時、華はみほに心の底から感謝したのであった。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


突然のトラブルも、みほのおかげで無事に事態は収まり、華はみほ達と一緒に帰路に付こうとした。


その時である。


「華・・・ちょっといいかしら?」

百合は華を呼び止めた。

「何でしょう、お母様。」

「別の事で、ちょっと話があるわ。」

百合に呼ばれ、華はみほ達に「先に行っててください」とだけ言うと、再び母の元へ行き、二人きりになる。






「彼・・・・たしか西住小次郎君だったかしら。」

「ええ。私の友達です。」

「そう。良い友達を持ったわね。」

「はい。」

華は改めて、みほの事を思う。
自分の為に、頭を下げてまで、百合を説得してくれた事に、華は改めて心から感謝した。




すると百合が言った。

「それで小次郎君の事なんだけど・・・・彼、本当にただの友達なの?」

「・・・と、言いますと?」

質問の意図が分からず、華は聞き返す。

すると、百合は小指を立てながら言った。

「本当はあなたの・・・・“これ”なんじゃないの?」

「・・・・・・・?」

華は最初、首を傾げた。

「え!?」

しかし少し間を置いて、百合の言った言葉と、立てられた小指の意味を察した。
華の顔が瞬く間に真っ赤に染まっていく。

「なっ!? ちょ、お母様!! 別に彼とはそんなんじゃ・・・///////」

「あら、そうなの? 私はてっきり彼は華の“これ”なんだとばかり思ったのに。 遂に娘にも春が来たって・・・。」

「いや、違うんですよ。本当に彼とはそんなんじゃなくて・・・そりゃあ、そういう関係になれたらいいなとは思ったことはありますけど・・・/////」

「え? 何ですって?」

「な、何でもありません! ///」


ますます顔を赤くする華をよそに、百合はみほの事について今一度考えてみた。

華の為に全力を挙げて自分を説得しようとした、その熱意。人の為に頭を下げる事も厭わないその姿勢。

百合は“西住小次郎”に理想の男性像を見出していたのである。





「とにかく、彼のような男にだったら安心して娘を任せられるわ。彼は是非とも、我が五十鈴家に婿として招きたいわね。」

「なっ!!」

百合のその言葉に、華は絶句した。

そして、同時に想像する。
もし本当にそうなったらどうなのか、と。

(小次郎さんが、お婿に・・・・。)

華は頭の中で妄想した。
そしてイメージとして思い描く。“五十鈴小次郎”の姿を・・・。

(悪くはないかも・・・・というか、むしろ最高!!)








一方その頃のみほはというと・・・

「華さん、遅いな。」

そんな事態になっているとはつゆ知らず、ただ華の帰りを待っているのであった。


今回はここまでです。

どうも最近スランプ気味です。
制作意欲はあるのだけど、どういうわけか中々筆が進まない。

せめて2週間に1回以上のペースに出来ればなぁ・・・。



あと、劇場版が遂に公開となりましたね。
映画館が近くにないけど。
金もないけど。

乙です
てっきり華さんは勘当されたらみほの部屋に転がり込むかと思ってましたw
劇場版は凄く良かったですよ
もう映画自体も面白いし新キャラも良い性格してました

五十鈴家の天井裏にて

まほ「私のみほを狙うブラックリスト追加・・・・っと」

私の可愛いいm…みほに手を出すのはやめるべきだ

どうして二次創作だとおねえちゃんシスコンこじらせた変態になってしまうん?

これ、真実(男装)を知ったらどうなるんやろw
今からでも遅くない。手術を

ペパロニ「へい、そこの彼氏。ウチの美味しいパスタ食べない?」
みほ「えっ?」

百合「小次郎君、親子丼いかが?」

エリカ「もきゅ・・・・もきゅ・・・・はあっ。大好きなハンバーグなのに美味しくない
    みほが作ったハンバーグが一番美味しかったわ。
    本当にどこいったのよ?みほ・・・・・・」

みほ
「戦車が足りない・・・・優秀な人も欲しい・・・・」

報告いたします。
次回投下分の原稿が99%出来上がりました。明日の(正確には今日の)夜までには完成させて、投下します。



>>511
流石にそれはまずいっすね。
同じ屋根の下で暮らしてたら絶対にばれるし、そうじゃなくとも表向きは男と女なわけで・・・。


>>513 >>514
まほさんは黒森峰に帰ってどうぞ。


>>515
たぶん、バルクホルンのせい。


>>516
まほ「絶対阻止!!」



>>517
みほ「いただきます。」パク モッチモッチ モッチモッチ

ペパロニ「・・・・//////」キュン



>>518
みほ「親子丼? たしかにあれって美味しいですよね。」←意味を分かってない



>>520
元気出せエリカ。みほの七五三の時の写真をあげるから。







では、これより本編です。




五十鈴家での騒動が無事に解決した、その後の事である。
みほ達は先に家の表に出て、華を待っていた。


すると、そこへやって来た新三郎がみほに声をかけてきた。

「あ、あの・・・。」

「はい? どうしました?新三郎さん。」

「西住さん・・・この度は本当にありがとうございました。」

新三郎は深く頭を下げながら言った。

「西住さんのおかげで、お嬢と奥様が最悪の形で別れずにすみました。」

「いえ・・僕なんて別にそんな大した事はしてませんよ。」

「いいえ。そんな事はありませんよ。全て西住さんのおかげです。改めてお礼を言わせてください。・・・・・・それで・・・」


すると、新三郎は心なしか小声になる。

「それで、西住さん・・・話は変わるんですが」

「はい? 何でしょう?」

「ここだけの話なんですが・・・・西住さんとお嬢とは一体どのようなご関係なんですか?」

「え? 華さんとの関係ですか?」

「ええ。」


それは新三郎が、みほを見た時からずっと気になっていた事だった。

新三郎から見れば、華の学友として紹介された者達の中にいた唯一の男。
そして、先ほどの騒動に際に、身を挺して華を庇った、みほの行動の事を考えると、ただの男友達とは思えなかった。


(もしかして、西住さんはお嬢の恋人なのでは?)

そんな疑問を抱いた新三郎。
だから彼はみほに問いかけた。二人はどのような関係なのかと・・・。



その問いに対して、みほは答えた。


「華さんは、僕にとって“大切な人”です。」


みほにとっては、華は恩人である。
ただの“友達”という一言で片づけられるものではなかった。
だからみほは華の事を“大切な人”と言った。





しかし・・・・



(そうか。やはり、そうだったのか。 “大切な人”か・・・・・遂にお嬢にも春が来たんだ。)

この時、二人の間で微妙にすれ違いが発生していた。

みほは華の事を、仲間という意味で“大切な人”と言った。
しかし、新三郎はみほの言葉を、恋人という意味での“大切な人”と解釈。
つまり二人は互いに相手の言葉の意図を誤解していたのだった。


そうとも知らずに、新三郎は心の底から歓喜した。
五十鈴家に仕える者として、こんなにめでたく、こんなに嬉しい事は他にない。

「西住さん!!」

「はい。」

「お嬢を・・・・お嬢を、よろしくお願いします!!」

その新三郎の言葉に対し、みほは言った。

「はい。お任せください。」

勿論、それは仲間として・・という意味であるが、新三郎はその事に気づかず、お互いにすれ違ったままである。



新三郎は誤解に気づかないまま、遂には感極まって嬉し涙を流した。


(お嬢・・・どうか末永くお幸せに。)



そんな新三郎の真意など知る由も無いみほ。

すると、みほはポケットからハンカチを取り出した。

「あの・・・新三郎さん。」

「グス・・・はい?」

「良かったら、これをどうぞ。」

そう言うと、みほはハンカチを差し出した。
理由はどうあれ、目の前で涙を流す彼の姿を見たみほは、放っておけなかったのである。

「ありがとうございます。」

新三郎はそのハンカチを受け取ると、涙を拭った。

(ん? このハンカチ・・・・・)

心なしか、そのハンカチは良い匂いがするような気がする。
その時、彼はふとみほの方を見た。

新三郎と目があったみほ。
すると、みほはそっと微笑んだ。


「・・・・!!」

その笑顔を間近で見た新三郎は、思わず目を見張り、息を呑んだ。


(西住さん・・・・・よく見ると凄い美形だ!)

それまでは、あまり意識していなかったが、改めてみほの顔を見た彼は思った。
こうして見ると、非常に美形であると。

整った顔立ちをした中性的な容姿。
精悍で凛々しく、それでいて尚且つ、どこか少女のような愛らしさをも感じさせる、その容貌や仕草。
新三郎の目には、みほの姿はまさに美少年として映っていた。


そしてその時、新三郎は自分がみほに見惚れ、ドキドキしてしまっている事に気付く。

(ハッ!!)

新三郎はそんな自分に驚愕した。
そして咄嗟にみほから視線を逸らす。

(そんな馬鹿な!! 今、俺、西住さんの笑顔にときめいていた!? いや、ありえん!!
 そりゃ、たしかに西住さんはよく見ると結構可愛いけど、れっきとした男の子なんだぞ!! 可愛いけど・・・・/////
 て、イカン!何考えてるんだ、俺! 落ち着け・・・落ち着くんだ、俺。
 相手は男の子なんだ。絶対にありえない。 そうだ、気のせいだ。きっとただの気のせいなんだ。そうに違いない。)


若干、思考がパニック気味になっていた新三郎は心の中で自分自身に言い聞かせる。
そして、今一度みほの方を見た。


「・・・・?」

その時のみほは、突然に目を背けた新三郎を見て、不思議そうに小首をかしげていた。
まるで小動物のような、その可愛らしい仕草を見た新三郎は、更に心臓が高鳴り、頬が赤く染まる。


(気のせいじゃなかったあああぁぁぁ!!!
 う、嘘だ! よりによって男の子・・・しかもあろうことか、お嬢の恋人!! そんな相手に俺は・・・・うああぁぁぁぁ!!!)


みほの本当の性別など知る由もない新三郎は、脳内大混乱に陥った。

(いくらなんでも、それはまず過ぎる。
 仮にお嬢の恋人である事を抜きにしても、西住さんは現役高校生・・・・対して俺なんて、おっさんじゃないか!
 下手すれば、親子ほどの歳の差だぞ!! というか、それ以前の問題だ!!!
 まあ、たしかに西住さんは可愛くて、パッと見、まるで女の子みたいな、愛らしさを感じさせるけど・・・・
 どんなに可愛くてもれっきとした男の子なんであって・・・俺自身も男♂なんであって・・・・それは禁断なんであって・・・。)


何やらさっきから思考が混乱している上に堂々巡りしている。
そんな新三郎にみほが声をかけた。

「あの・・・新三郎さん?」

「は、はひぃっ!!! ////」

思考に没頭してしまっていた新三郎は、声をかけられた途端に激しく動揺し、声が裏返ってしまった。


「大丈夫ですか?」

「だだだだ大丈夫でふ!! ////」

しかも、思いっきり噛んだ。


この時の新三郎は明らかに挙動不審であった。
そして、そんな新三郎に対し、みほは心配そうに、顔を覗き込む。

「どうしました? どこか具合でも悪いのですか?」

「・・・・ッ!!! /////」

みほからすれば、新三郎の様子が急におかしくなったので、何か体調に異変があったのかと思い、心配になったのである。
実際には、ただみほの容姿にドキドキしているだけだった。
だが、そのような事など知らないみほは、彼の事を心配し、顔を覗き込んだ。


(うわぁ・・・西住さん、近い!近いよ!! //////)

しかし、そのせいで新三郎はみほの顔をより間近で見る事になり、高鳴っていた心臓がより激しく鼓動し、顔もみるみる真っ赤になっていった。


「ななな何でもないです!」

すると、狼狽える新三郎に、みほは更に近づいていった。

「本当ですか? 何か顔色も悪いように見えますが・・・。」

「ほ、本当に大丈夫です!」

後ずさる男に、迫る美少年。
傍から見ると、絵的にかなりヤバイ状態である。



そして、そんな二人から少し離れた所にいた優花里と沙織は、赤面しながらも、その様子をまじまじと見つめていた。

(新三郎殿・・・・・あんなに頬を赤くして・・・。西住殿に一目惚れしてしまったんですね。西住殿の魅力が遂に同性までもを虜に・・・。 //////)

(これって禁断の恋じゃん! やだもー!! これが俗に言う、BLってやつ? 初めて見た。 /////
 でも。コウちゃんは全く他意は無さそうだけど・・・。)


そして、華と百合もその様子を離れた所から見ていた。

「新三郎・・・・・。」

「小次郎×新三郎。これはこれでアリね。 //////」

「えっ!!?」



  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


その後、みほ達は五十鈴邸を後にし、学園艦の停泊している港へと帰還する。
その頃にはもう日も沈んでいた。



「遅かったな。」

そこには、用事を済ませて、先に戻っていた麻子が立っていた。

そんな麻子と合流したみほ達は、そのまま学園艦へと乗艦する。


「出港予定時刻ギリギリよ。」

「悪いな、そど子。」

「誰がそど子よ! 私には園みどり子っていう名前があるのよ!!」

「あーはいはい。わかったよ、そど子。」

「コラッ!!」

風紀委員のそど子と麻子が言い合いを他所に、みほ達は素早く乗り込んでいった。





こうして学園艦はみほ達を乗せて出港・・地上の大洗の街を後にし、再び大海原へと漕ぎ出していったのであった。


すると、麻子が沙織に尋ねる。

「随分と遅れてきたが、何かあったのか?」

「それは・・・・色々とあったのよ。色々とね。 /////」

「・・・・・?」

その時の沙織は、みほと新三郎の、例の事を思い出し、再び顔を赤くした。

(本当に何があったんだ?)

その沙織の意味深な表情を見た麻子は、怪訝そうな顔をした。




すると、そこに生徒会の杏達がやって来た。

「みんなー。今日は本当にお疲れ様。」

杏は皆に労いの言葉をかける、次にみほに向かって言った。

「西住君・・今回の勝ちはひとえに君のおかげだよ。
 これからは作戦も、西住君に任せようと思うんだけど、いいよね。」

「えっ!!」

杏の隣にいた桃が、思わず声を上げた。
しかし、今回の試合で作戦の崩壊をカバーしてくれたのは、間違いなくみほである。
だから、さすがの桃も文句は言えなかった。

「まあ、会長がそう仰るなら・・・。」

そう言って、桃は渋々従った。


「あとさ・・・グロリアーナから、西住君宛に荷物が届いたんだけど・・・これ。」

すると、杏は一つの小包をみほに手渡した。


「グロリアーナから? 一体なんだろう?」

そう言ってみほは小包を開封した。
開けてみると、そこに入っていたのは、紅茶の茶葉とティーセット。あと、手紙が入っていた。

みほは、その手紙を開いて読んでみた。



『今日の試合は非常に面白かったわ。
 久しぶりに楽しい試合ができて、私はとても満足よ。
 あなたとは、またいつか戦いたいわ。
 もし機会があったら、私達ともう一度試合をしましょう。

 グロリアーナ隊長、ダージリンより。』


手紙には、そのように書かれていた。


「聖グロリアーナ女学院は好敵手と認めた相手にのみ、敬意を表して紅茶を送る習慣があるそうです。
 これは凄い事ですよ、西住殿! あの名門のグロリアーナから認められたという事です!!」

優花里が興奮気味に言った。




「ん?」

その時、みほはある事に気付いた。

「あれ? よく見たら文に続きがある。」

よく見てみると、手紙の文章の最後の方に続きがあった。
みほは改めて目を通してみた。



『追伸。
 もしよろしかったら今度一緒にお食事でも、いかがかしら?
 綺麗な夜景を見ながら食事ができる、いいカフェがあるわ。
 そこには、とっても美味しい紅茶やケーキがあるの。
 そこで、あなたと一緒に紅茶を飲む時を楽しみに待ってるわよ。』


手紙の最後の方には、そう書かれていた。




その時、その場にいた誰もが察した。
この人も、小次郎(みほ)惚れ込んだクチか、と。

試合直後に名前を聞きだし、その後で贈り物に手紙を添えて、アプローチをかける。
その上で食事に誘うという、まさに積極攻勢。
恋愛と戦争では手段を選ばないと言われる英国淑女(本当は日本人だけど)の大胆な強襲作戦(?)である。


そのダージリンの意図を察した、優花里、沙織、華、麻子は思った。

(西住殿が、遂に他校の人までも魅了してしまった。)

(この人もコウちゃんを狙ってるの? やだもー!)

(私も、この人くらい積極的な方が良いのかしら? /////)

(コイツ・・・中々やるな。)





そんな中、当人のみほはと言うと・・・・




(ダージリンさん、良い人だな。 これが所謂、戦いの中で芽生えた友情ってものなのかな。)


みほだけは分かっていないようだった・・・・・。


何にせよ、こうして色んな意味で、グロリアーナが新たなライバルとして、大洗の前に突如立ち塞がったのであった。










一方・・・その頃、五十鈴邸では・・・・。



「俺は、どうしたらいいんだ。」

新三郎が一人悶々としていた。

みほに対して、突然に芽生えてしまった感情。


「お嬢の恋人にそのような感情を抱くことなど・・・。」

いけない事だと思いながらも、拭い切れない恋心。






―― 新三郎さん・・・・ ――





今でも思いだせる、あの笑顔。
あの愛らしさ。



「俺は一体どうしたらいいんだああぁぁ!! 俺はノンケの筈なのにいいぃぃぃ!!!」


一人苦悩する新三郎。


勿論、みほはこの事など知る由もなかったのであった。


短いけど、今回はここまでです。

まほ「核榴弾装填。目標はみほを狙う不埒な男だ」

乙です
まほ「ことしのくりすますぷれぜんとはみほがほしいです」~さんたさんへ~
まほ「よしこれで完璧だな」


さぁ、新三郎さんこれでも読んで元気出しな(ゲス顔)⊃男の娘本

>>537
しほ「みほちゃんはおかあさんとすごしたいみたいなのでごめんなさい」
これでみほを実家に呼べば独り占め…!

そろそろ抽選会か
まほとエリカの出番だな

>>520>>521
まほ「おね・・・・サンタさんに任せろ」

翌日

みほ「・・・・部屋から出て見ればマンションの入り口にパンターF型とその中に縛られたエリカさんがいた件」

今日はクリスマス

ということで壁殴り代行ならぬ、戦車砲撃(車長まほ)を募集してます
カップルに天誅を下したい方は一回1000円です

>>545
熊本のN邸へ一発
変態に天誅を

しほ「新年あけましておめでとう。では姫初めしましょう。小次郎」

ダージリン「こんな格言知ってる?好きな人がいるなら
意中の相手を酔わせて一緒の布団に入るのよ」



明けましておめでとうございます。
新年第1回目のレス返しです。



>>536
オーバーキル過ぎるwww


>>537
サンタ「いや、俺に言われても・・・。」


>>538
新三郎「いや・・・何か違うな。
    確かにこれも可愛いけど、小次郎君を見た時の、あの心を射抜かれるような感覚がない・・・・って、何やってんだ俺はあああ!!!!」


>>539
サンタ「いや、あんた何やってんの!?」


>>543
残念ながらエリカの出番はまだ先です。ただ、まほは・・・。


>>544
サンタ「とりあえず、俺の名を騙るのは勘弁してくれないか。」


>>545
1000円って、ちょっと高くない?(参加しないとは言ってない)


>>546
ギクッ!!  そ、そうだよね。そういうのは良くないよね。ほ、本当にけしからん(目逸らし)


>>547
みほ「え? 書初め?」(聞き間違い)


>>548
憲兵さん、こっちです!




それでは、これより本編を投下します。





その日、みほは生徒会から呼び出しを受けていた。

「一体なんだろう?」

そう言いながら、みほは生徒会室へ向かった。






「やあ、西住君。待ってたよ。」

みほが生徒会室に行くと、そこには杏がいた。


「それで、会長・・・お話とは?」

すると、杏は言った。

「以前から頼んどいておいた、隊長の件なんだけどさ。」

「・・・あっ!」

その言葉で、みほは思い出した。

以前にみほは杏から、大洗チームの隊長をやってもらいたいと依頼されたことがあった。
その時、みほはその場で返答をせずに保留してもらったのである。
グロリアーナ戦の時にみほがやっていたのは、あくまでも臨時の指揮官であって、まだ正式には隊長になったわけではなかった。
しかし白熱のグロリアーナ戦や、その後に起きた騒動など色々あって、そのせいですっかり忘れてしまっていたのだ。



「それでさ・・引き受けてくれる気になったかな?」

「そ、それは・・・・・・・。」

みほは言葉に詰まった。


みほは、その問いに返答することが出来なかった。
彼女の中には未だ躊躇いがあったのだ。

自分なんかに隊長が務まるのか、という懸念。
そして、失敗してしまうのではないか・・・皆を失望させてしまうのではないか、という不安な思い。

つまり、みほは自信が無いのである。
グロリアーナ戦であれだけの成功を収めても、それでもみほは自分に自信が持てずにいた。


「すいません。・・・もう少し時間をください。」

みほは、そう言うのが精一杯だった。
結局みほはその場で引き受けることは出来ず、また保留してもらった。


   ・

   ・

   ・

   ・


その後、みほは一人で考え込んでいた。

(僕なんかに隊長が務まるのだろうか。 かつて、全てを投げ出して、黒森峰から逃げてきた、僕なんかに・・・・。)

そのようなネガティブな思考が頭の中で渦巻いていた。

いっその事断ってしまいたいとも思ったが、その反面、これだけ自分に期待してくれている人がいるのに、その思いを無下にする事は出来ない、とも思った。
そんな考えが葛藤し、答えを出せないまま、ただ時間が過ぎていく。



(誰かに相談した方がいいかな?)

このまま一人で考えてても、埒が明かない。そう思ったみほは、誰かに相談する事を考えた。
そして、その相談相手を誰にしようか、と考える。


すると、ある人物の事が頭の中に思い浮かんだ。
それは、みほが最も厚い信頼を寄せている人である。

(相談するなら、あの人しかいない。)

そう考えたみほは携帯電話を取り出す。
そして、その人物のメールアドレスへと一通のメールを送信した。

縋るような思いでメールを送ったみほは、そのまま携帯電話を閉じる。


   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


そして、翌日。
その日は休日であり、戦車道の訓練も休みである。


みほは自宅の前に立っていた。


「そろそろかな?」

みほは腕時計を見ながら呟く。
その日、みほはある人物と待ち合わせをしていたのだった。
そして、もうすぐその約束の時間になる頃である。






すると、そこへ一台のタクシーがやって来た。
そのタクシーは、みほがいる所の近くの場所で停まる。


その者は運転手に運賃を手渡すと、その車から降りた。
そして、みほの方を向くと、微笑みながら言う。

「久しぶりだな。みほ。」


その者の姿を見た途端、みほの表情はパァと明るくなる。
それは、とてもうれしそうな表情であった。
そして、みほは笑顔を浮かべながら、その者に駆け寄る。



「お姉ちゃん。」



そう・・・みほの前に現れたその者は、西住まほであった。

みほの実の姉であり、西住家の長女。
そして名門、黒森峰女学園の現隊長である西住まほ、その人であった。


実は、昨日みほがメールを送った相手は西住まほだったのだ。

それは時を遡る事、15時間ほど前の事である。











「では、本日の訓練は以上だ。解散。」

その日、まほは戦車道の訓練を終えて、帰ろうとしていたところであった。

彼女はロッカールームへ行くと、鞄の中から携帯電話を取り出した。
戦車道の訓練中は携帯電話は持ち込めない。

まほは携帯を手に取ると、メール着信がある事に気付く。


「ん?誰だろう?」

まほは新着メール欄を開く。
すると、そこには差出人みほと表示された一通のメールがあった。


「みほ!!」

まほは目を見開いた。
彼女は間を置かず、即座にそのメールを開封する。

すると、そこには以下のようなメッセージがあった。



『突然このようなメールを送ってしまって申し訳ないのですが、折り入って相談したい事があります。
 今度の休日に会えませんか?』


メールの本文には、そのように書かれていた。
みほからの突然のメールであったが、まほは迷わずに、すぐさま返信した。




『わかった。
 明日の8時までにそちらに向かう。待っていてくれ。』



まほはそのように簡潔に返信すると、すぐに出立の準備に取り掛かった。

手早く着替えると、すぐさま空港に問い合わせて、航空券を手配する。



「みほ・・・・何かあったのか?
 まあ何にせよ、みほが私の助けを必要としているのなら、私はどこへだって駆けつける。」

そう言うと、まほは黒森峰学園艦の空港へ行き、大洗学園艦行きの便に搭乗したのであった。







こうして、まほは急遽、大洗学園艦へと来訪したのである。


大洗の空港に到着すると、彼女はタクシーに乗り継ぎ、みほの元へと向かった。


   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


「どうぞ。あがって。」

「ああ。」

みほに招かれ、まほは部屋の中へと入っていった。
そこは生活に必要なもの以外は何も置いてないような、やや殺風景な部屋だった。

まほは、そんな部屋を見渡しながら言った。

「みほ。こっちでの暮らしは、どうだい?」

「うん、それなら大丈夫。ここでの生活にも大分慣れてきたし・・・それに友達もできたよ。」

「そうか。 正直、心配だったんだが、それを聞いてとりあえず一安心だな。」


まほは、みほの一人暮らしの事に関して、何かと心配していたのだ。
しかし、みほの話を聞いて、とりあえずは安堵した。






「それでな、みほ・・・・・・。」

「ん? 何?お姉ちゃん。」

すると、まほは非常に言いにくそうにしながらも、ある話を切り出した。


「男装の事なんだが・・・・」

「・・・・ッ!!!」

その時、みほの表情が曇った。


まほは言いづらそうにしながらも続けて言う。

「みほ・・・・いつまでも、このままってわけにはいかない。 いつかは必ず本当の自分に戻らなければならないんだ。」

「うん。分かってる。 分かってはいるんだけど・・・・でも・・・」

みほは口籠もった。


まほの言うとおり、いつまでもこのままでいる事など不可能である。
遅かれ早かれ、いずれは本当の自分である“西住みほ”に戻らなければならない。
みほ本人もその事はちゃんと分かっている。


しかし、それでも己を偽り、“西住小次郎”として生きる事をやめられずにいた。

それは過去の忌まわしい記憶に起因するものである。
みほは、そのトラウマから自身の心を守るために、“西住小次郎”という本来の自分のとは別の存在に成り切っている。
そうする事によって、辛うじて精神の平衡を保っているのだ。

みほが今日までに日常生活を送って来れたのは“西住小次郎”があってこそである。
故に、そこに依存しまい、止めるに止められなくなってしまっているというのが、みほの現状であった。


「いつかは本当の自分に戻る。・・・・でも、今はまだ・・・」

「そうか。」

「ごめんなさい。」

「いや、いいんだ。 焦らずにゆっくりいこう。」

みほの曇った表情を見て、まほは咄嗟にこの話題を打ち切った。

まほとしても出来れば、このような話はしたくはなかった。嫌な事も思い出させてしまうから。
しかし、それでもしなければいけないのは、まほとしても辛いところである。










「そう言えば、私に相談したい事があると言っていたが・・・・」

ここで、まほが本題を切り出した。


「うん。その事なんだけど・・・・お姉ちゃん・・・」


すると、みほは言った。






「僕・・・・また戦車道をやる事になったんだ。」

「え!!」

まほは驚いた。
まさか、みほの口からそのような言葉が出てくるとは思ってもみなかった。


「ごめんなさい。本当はもっと早く言うべきだったんだけど、中々言いだせなくて・・・」

「いや、そんな事は別にいいんだ。 それよりも、みほ・・・本当に戦車道を?」


まほは俄かには信じられなかった。
何故なら、黒森峰であの事件があって以来、みほはすっと戦車道を忌避していたからだ。
下手をすれば、もう二度と戦車道に関わらないのではないか、とすら思っていたほどだった。
それが突然の心境の変化である。


「何かあったのか?」

まほは問いかけた。


すると、みほは事の経緯を詳しくまほに説明した。
生徒会から戦車道の履修を迫られた事や脅された事・・・そして友達が自分を庇ってくれた事を。
仲間達との出会いや、再び戦車道をやる事になった経緯などを詳しく説明したのであった。


   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


「そうか。 良い仲間と出会う事が出来たんだな。」

まほは嬉しそうに言った。

この時のまほの心の中にあったのは、安心と喜びであった。

みほが大洗でも上手くやっていけてる事・・・そして何よりも友人に恵まれている事・・・その事に対する安心。
そして、みほが再び戦車道を志してくれた事に対する喜びの感情・・・それが今のまほの心中を占めるものであった。


みほが戦車道をやめようとした時、まほは彼女の意思を尊重して、止めなかった。
でも本当は、出来る事ならみほに戦車道を続けて欲しかったというのが、まほの本心である。

だから、みほから再び戦車道をやると言われた時、まほは嬉しかった。


「本当にごめんなさい。勝手な事ばかりしてしまって。」

「いや、謝る事はないさ。 むしろ私は嬉しいよ。
 たとえどこに行っても、みほには私と同じように、戦車道をやっていてもらいたかったから。」

まほは本当に嬉しそうに言った。




「それで・・・・今回相談したい事というのも、その戦車道に関わる事か?」

「うん。」

ここで本題に入った。


「会長から、チームの隊長をやってくれないか、って頼まれてるんだけど・・・。」

「いいじゃないか。 何か問題でも?」

「正直、自信が無い。 僕なんかに務まるかどうか・・・。」


すると、まほは意外そうな顔をした。

「何を言う? 部隊指揮だったら黒森峰の頃にも何度もやった事があるし、ちゃんとこなしていたじゃないか。」

「いや、違う。
 僕が黒森峰でやったのは、あくまでも副隊長。 隊長であるお姉ちゃんのサポート役をやってたにすぎない。
 僕自身が隊長をやった事なんて今まで一度もなかった。」

すると、みほは言った。

「ねえ、お姉ちゃん。
 戦車道の隊長というのはただの指揮官じゃなくて、チームを引っぱっていく存在なんだよね。お姉ちゃんのみたいに。
 正直、僕なんかがチームを牽引していく所なんて想像もつかない。
 いくら公式戦が無いといっても、もし僕が隊長をやって失敗してしまったら皆を失望させてしまう。
 僕はそれが怖くて・・・。」


「・・・・・・・。」


みほは自らの心境・・・その不安な気持ちを姉に打ち明けた。
隊長という肩書きを背負うという事・・・みほはその事に、不安な気持ちで一杯だったのだ。

杏の頼みを断れず、まほに相談したが、いっその事、止めてもらいたかった。

みほは隊長に向いていない・・・やめた方がいい・・・と。

そうハッキリと言われれば、踏ん切りがつく。
そんな思いでみほは姉に相談したのだった。






「なるほど。みほの言いたい事はよく分かったよ。」

すると、それまでみほの話を黙って聞いていたまほが口を開いた。

「だったら私が断言しよう。
 みほには隊長としての素質だって十分にある。みほなら必ず出来る筈だ。」

「・・・・!!」


みほは驚いたが、まほは構わず続けた。


「私はずっとみほの事を見てきた。
 みほの才能も・・・そして努力も。今まで、みほの事を誰よりもしっかり見てきた私が言うんだから間違いない。
 みほだったら、チームの隊長としての務めをしっかり果たす事が出来る筈だ。
 もっと自分に自信を持て。」

「お姉ちゃん・・・・。」


まほのその言葉は、みほにとって、とても心強いものである。


すると、まほはそっとみほの肩に手を置いて言った。


「それにな・・・私も見てみたいんだよ。隊長として活躍するみほの姿をな。」

「本当に・・・・・・・本当に僕なんかで大丈夫なのかな?」

「ああ。私が保証してやる。 だから、思い切ってやってみろ。」


みほの胸中に渦巻いていた不安な気持ちが、まほの言葉によって一気に霧散する。
みほが誰よりも信頼している実の姉・・・そのまほの言葉は非常に大きかったのだ。



「ありがとう、お姉ちゃん。 おかげで決心がついたよ。」

あれだけ強かった躊躇いや不安な気持ちが、まほの励ましによって消えた。
そして、自分に期待をかけてくれる者に応えよう、という思いが湧き上がってくる。


「僕・・・隊長をやるよ。」

みほは決意したのであった。


   ・

   ・

   ・

   ・


「やっぱり、お姉ちゃんに相談して良かった。」

まほの助言のおかげで問題が解決し、みほは胸のつかえが取れるような思いだった。
だから、この時のみほの表情はとても明るく、それを見ているまほも何だか嬉しくなる。


「そうだ。お姉ちゃん、お茶飲む?」

「ああ。じゃあ、一杯いただこうかな。」

すると、みほは台所へ行き、お茶を汲もうとした。
しかし、そこで茶葉が無くなっている事に気付く。


「あっ! お茶が切らしてた。 ちょっと買ってくるね。」

「みほ、私も行こうか?」

「いいよ。僕が買ってくるから、お姉ちゃんはくつろいでて。」

そう言うと、みほは出かけて行った。






みほが外出し、部屋にいるのは、まほ一人だけになった。


「・・・・・。」

その場でじっとしていたまほだったが、しばらくするとスッと立ち上がった。
そして、そのまま部屋に置かれていたベッドの方へ歩いて行く。


そして言った。


「こ、これがみほの使っているベッドか。//////」

何やら顔が少し赤くなっている。
そして、手で触って感触を確かめた。


「ベ、別にそういうアレじゃないんからな。//////
 みほがちゃんとしたベッドを使っているかを確かめるだけであって、決して、そんないやらしいアレなんかじゃないんだからな。//////」

一体誰に対して言い訳しているのだろうか、まほは一人でぶつぶつと呟いた。


「ほら・・睡眠環境って、健康のためにはとても重要じゃないか。
 そのためにも、ちゃんと安眠できるような良質なベッドや枕を使っているのかどうかを確認しなければならない。」


そう言うと、まほはベッドに腰掛けた。

「だから、ほんのちょっとだけ・・・//////」

そして、まほはそのまま横になった。


「ふむ。これは中々いい。」




ここまで来たら、もはや今更言うまでもないが、まほは所謂シスコンというやつである。
妹であるみほの事が大好きで、目の中に入れても痛くない、というくらいに溺愛していた。
みほの事が可愛くて愛おしくて堪らない、そんな感じの人なのだった。


(みほの匂いがする。///////)

みほの前ではクールに振る舞ってきたまほ。
しかし内心は、今すぐにでも力いっぱいにみほを抱きしめてクンカクンカしたり、prprしたいと、ずっと思っていた。

当然、その事はみほには悟られてはいない。
だからこそ、みほは姉の事を心から尊敬し、憧れ、理想の姉としての人物像を、まほに見出している。

そのみほの抱いているイメージを壊すわけにはいかないと、まほ必死で己の欲望を抑え、良き姉であり続けた。

でも、やっぱり本当はクンカクンカしたり、prprしたい。
だからこうして、果たされない欲求の憂さを晴らすために、みほの見ていない所でこっそりと、このような事をしているのである。
みほのベッドに、その体を横たえて、枕に頬ずりをしたりする。





そんな状態がしばらく続いた後、まほは次第に眠くなってきた。


(あれ? 何だか眠くなってきた。)

ベッドの質が良かったせいか、まほは心地良い睡魔に襲われ、徐々に瞼が重くなってきた。


(いかん。このままでは寝てしまう。 あぁ・・・でも、もうちょっとだけ・・・・・・Z Z Z z z z。)

そして、瞼が完全に閉じられる。









「ただいま。」

そこへ、みほが帰って来た。


「あれ? お姉ちゃん?」

みほが部屋に入ると、そこにはベッドの上ですやすやと寝息を立てるまほの姿があった。


「Z Z Z z z z ・・・。」

「お姉ちゃん・・・疲れてたのかな。」

そう言ったみほは、まほを起こす事無く、そのままそっと布団をかけてあげた。


   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


「Z Z Z z z z z ・・・・ん?」

まほは目を覚ました。

(ハッ、いかん! いつの間にか眠ってしまっていた。)

まほは慌てて起きようとした。
しかし、その時にある事に気付く。


(あれ? いつの間にか掛布団が・・・。)

いつの間にか掛布団が自分の体を覆っていた。



(ん? ・・・・あれ!? 誰だ!!?)

そして、その布団の中に自分以外にも誰かがいる事に気付く。
寝起きの頭が急激に覚醒していった。


まほはすぐに布団を捲り、自分の隣にいる者を確かめる。

「んぅ・・・・お姉ちゃん・・・Z Z z z。」

「!!!!!!!!」

そして一気に眠気も完全に吹き飛ぶ。
まほの隣で、みほが寄り添うように眠っていたのだ。


(何ここ!! 天国!?)


「ん・・・・あ、お姉ちゃん。」

すると、みほが目を覚ました。

「すまない。起こしてしまったか。」

まほはさっきまで緩んでいた表情を一瞬で引き締めた。


「えへへ。こうして一緒に寝るのも本当に久しぶりだよね。」

「ああ。そうだな。昔はよく、こうして一緒に寝たものだな。」

まほは表面上は冷静にしていたが、内面は大変な事になっていた。

(うわあああああ!! みほおおおおお!!!  天使だ!! 天使が私の隣に寄り添っているよ!!!)

この時のまほは、まさに脳内大混乱である。



「こうすると温かいね。」

そう言ったみほが、まほに抱きつくように、更に体を密着させた。


(はぅっ!!////)

無邪気に甘えてくるみほに、まほはえも言われぬ多幸感を感じる。


(うおおおおおおおおおおおおおおお!!! みほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! ///////)






その後、妙に肌がツヤツヤした状態で戻って来たまほの姿が、黒森峰の生徒に目撃されたされたとか・・・。



   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


そして、後日。
みほは学校で再び生徒会室へ行った。


「やあ、西住君。 先日の例の件なんだけどさ・・・どう? 受けてくれる?」

杏の問いに、みほはハッキリと答えた。

「はい。謹んでお受けします。」

みほが大洗の隊長に、正式に就任した瞬間であった。


今回はここまで。
うちのまほはこんな感じの人です。

あと、トリップの事なんですが・・・やっぱり変更は無しで、今まで通りでいく事にしました。

やっぱり変態お姉ちゃんじゃんwwwwwwwwwwww


まほ義姉さん、あんたとは良い酒が呑めそうだ。

二人が寝た天井裏にて

しほ●REC

過去に何があったんだが?
解離性同一性障害になりかけとるし

エリカも突撃していいのよ?

悩んでる新三郎が1番ノーマルという

まほ「私が認めん!!」

堅物軍人「姉なら当然だ」

いつ男装バレするんだろ

工事することはあるのかね?

小次郎くんのオヤツは当分チョコだろうなあ

まほ「昨日はバレンタイン。既にみほへの愛を込めた荷物が届いてるだろう」

みほ「……マンションから出ようと思ったらチョコでコーティングしたティーガーと
その中にリボンで縛られたエリカさんや赤星さん達がいた件」

知っているかしら?
欧州ではバレンタインに男性が女性に花束を贈るのよ。


おかしいわね、もう1日経っているのに。

これ大洗と西住は性別偽って公式に出たら参加選手の名簿で西住は男と表記されるから公文書偽造とかになるんやない?
つか良く性別偽って転校できたな

追いついた。
姉妹仲が良好かと思ったらまぽりん化しているとは…



それでは3ヶ月ぶりのレス返しを・・・・。



>>566
変態という名の淑女です。


>>567
まほ「誰が義姉さんか!!」


>>570
しほェ・・・・・


>>571
詳しい話は言えませんが、その辺の話はかなり重い話になります。


>>572
エリカ「しょ、しょうがないわねぇ・・・・/////」


>>573
新三郎・・・・・哀れ。


>>574
いい加減、妹離れしようぜ、まほさん。


>>576
出たな!? 元祖!!


>>578
工事はありません。というかそんな事しようとしたら絶対にまほが阻止する。


>>585
手作りチョコの山ができてそうwwww


>>586
みほ「流行っているのかな?」


>>587
田尻さんも自重してwww


>>599
まあ、その辺の事はネタバレになるから詳しくは言えませんが、色々と手を回したんですよ。


>>600
うちのまほはこんな感じです。
シスコン拗らせてます。





ではこれより本編を投下します。




みほが大洗戦車道チームの隊長に正式に就任したという事はすぐさま知れ渡る。

その事に多くの者は喜んだ。
以前から、みほに隊長をやってもらいたいと思う者は大勢いたのだ。

グロリアーナ戦でみほが見せた、その卓抜した指揮能力。
そして常に冷静さを崩さず、時には仲間を勇気づける、その凛々しく頼もしい姿。
そんなみほが自分達の上に立つ事を多くの者達が望んでいたのだった。


「遂に西住殿が隊長に。 これから楽しみですね。」

優花里は本当に嬉しそうにしていた。


「まあ、妥当なところだろう。小次郎以外でそれが務まる奴は他にはいない筈。」

麻子もこの事に納得している様子である。


「コウちゃんが隊長かぁ・・・何か凄くいいね。」

「ええ。とっても素敵ですね。」

沙織と華も喜んでいた。





「いよいよ、小次郎君が我らの隊長に。」

エルヴィンも、みほが隊長になる事を歓迎している様子である。

そして、エルヴィンは思考を巡らせた。

「もし隊長の指揮下で、大活躍をする事ができれば・・・・・。」

そう言って、エルヴィンは想像する。








『貴官の活躍を称え、ここに鉄十字章を授与する。 貴官には、これからも期待しているよ。』



「・・・・みたいな感じになるかもしれない。////」

妄想の中で、何故かドイツ軍服を身に纏ったみほから勲章を授けられたエルヴィンは、少し頬を赤くした。


「我々も心してかからねばな。・・・・・・西住隊長・・・////」

「西住隊長の下で手柄を上げるぞ。そ、そうすれば・・・/////」

「敵将を討ち取り、その首級を西住隊長に捧げるぜよ。 そうすれば、きっと・・・////」

そして、カエサル、左衛門佐、おりょうも、それぞれ想像して頬を赤くしながらも、意気込んでいる。





「私達も頑張らなきゃ! 頑張って西住隊長に褒めてもらうんだ。/////」

「「「「「おおー!!////」」」」」

梓も頬を朱色に染めながらの意気込み、同様に頬を染めていた、あゆみ、桂利奈、優季、あやが頷き、同じく意気込んだ。

「・・・・・・。////」

そして紗希は相変わらず一言も喋らなかったが、頬を赤くしながら黙って頷いていた。




「わ、私達も、頑張るぞー!! 小次r・・・じゃなくて、バレー部復活のために!! ////」

「「「「おおー!!////」」」

元バレー部の典子達も同じ様に張り切っていたのである。






すると、そこへみほがやって来た。

「すいません。遅くなりました。」

その時のみほは、何やら大量の紙の束を両手で抱えていた。

「よいしょ。」

重そうに紙の束を抱えていたみほは、適当な場所を見つけると、そこに置いた。


「西住、何だそれは?」

近くで見ていた桃が尋ねた。
すると、みほは答える。

「これですか? これは、これから使う書類です。」

そう言うと、みほは紙の束の中からいくつかの書類を取り出す。

「まず、これは人員育成計画書です。今後のチーム訓練の基本方針や、トレーニングメニュー等をまとめた上げてあります。」


そう言ったみほは、続けて別の書類を取り出し、それを生徒会長の杏に手渡した。

「あと、これは各種部品や燃料、弾薬等の調達費用の予算見積書になります。」

「ありがとうね、西住君。私達、戦車の事にはあまり詳しくないから、こういうのがあると助かるよ。」


そして更にみほは続けて言った。

「そして、これは座学用のテキストです。人数分用意しときました。今日の訓練はこれを使った座学中心でいきます。」

みほが取り出したのは冊子状にまとめられた教材であった。

それを見た桃は驚いた。

「 西住・・・これ全部、お前一人で作ったのか?」

「はい。一冊分作って、あとは人数分コピーしたんですけど・・・。」

その座学用のテキストは、みほの手作りの物であった。
戦車道をやる上で必要な心構えや、注意しなければいけない事、そして戦車戦術等がイラスト付きで非常に分かりやすく書かれている。

それを見た者達は皆、驚き、そして感心した。
同時に、これだけの物を短時間で作り上げたみほの、その並々ならぬ意気込みを皆が感じ取っていた。


そして、そのみほの様子を見て、ある者がほくそ笑んだ。
それは生徒会長の角谷杏。みほを戦車道に引き込んだ張本人である。

(西住君、最初は乗り気じゃなかったようだけど、今は張り切って、隊長をやってくれてるみたいだね。 よかった。)

杏は思惑通りに事が運んだことに、まずは一安心していた。

(うちのような新設の弱小チームが勝つためには、西住君の隊長としての力がどうしても必要だからね。
 だから嫌々やってるようじゃ駄目。
 隊長として全力でチームを引っぱってくれないと・・・・じゃないと“全国大会優勝”なんてそれこそ夢のまた夢。)


杏は秘かに全国高校戦車道大会の制覇という壮大な目標を立て、その目標目指して邁進していたのだった。

みほはその事を未だ一切知らされてはいないのだが・・・・。



何はともあれ、みほの隊長としての活動が遂に始動。
みほの指導の下、大洗戦車道チームの本格的な訓練がここからスタートしたのであった。










みほが隊長に就任しての初日。
この日の訓練は座学中心のものとなった。


教室に集まった一同。
皆は各自席に付き、みほから配られたテキストに目を通す。

「それでは、テキストの6ページを開いてください。」

そして、みほは教室の前のに立ち、黒板を使いながら、解説をしていった。

「操縦手の心得についてです。
 操縦手というのは、ただ車輌を走らせればいいというものではないのです。
 砲手がより目標を狙いやすくするするには、どのように走行すれば良いのか・・・操縦手は常にその事を考えながら操縦桿を握らなければなりません。
 戦車の射撃において、操縦手と砲手との連携は非常に重要なのです。 砲手の照準のアシストを行うのも操縦手の役目であると考えてください。
 特に砲塔がないⅢ突や、M3のような特殊な戦車の場合は、その事が特に重要になってきます。
 主砲の可動域が狭いので、まず操縦手が車体の向きを調整し、その限られた射界に敵を捉えなければなりません。」
 
操縦手に必要な事について解説していく、みほ。

「操縦手は常に砲手の目線に立って考え、操縦桿を握る・・・・それが優秀な操縦手になるためには必要なのです。」

みほは丁寧に分かりやすく説明していった。


こうしていると、まるで学校の優しい先生みたいである。
というよりも下手な教師よりも教えるのが上手いかもしれない。

みほは非常に丁寧に解説をしながら座学を進めていった。


「ふむふむ、なるほど。この場合はこうした方がいいのか。」

「ああ・・・・あれってそういう事だったのか。」

聞いていた者達は口々に言った。
今まで適当でやってしまっていた事や、セオリーを知っていてもその意味までは知らずにやっていた事などは、多々あった。
しかし、それがみほの座学を受ける事によって、理解を深める事ができたのである。

これによって、実戦における各員の動きは大きく改善されることが期待できる。


「では次は、テキスト12ページを開いてください。」

このような感じで、みほは座学を進めていくのであった。


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そして、また別の日・・・・

「今日は戦車を使っての訓練です。 この前の座学でやった事も踏まえて、実際に戦車を動かしていきましょう。
 それでは乗車開始。」

「「「はい。」」」

みほの掛け声とともに、各員が戦車に乗り込んでいく。


「今日は、前日に配布したトレーニングメニューの、1番でいきます。
 ここからA地点まで移動。その後は、そこに設置されている的を使って射撃訓練を行ないます。
 それでは、これより各車行動開始。」

みほがそう言うと、各チームの車両が動き出した。
この日の訓練がスタートする。







そして訓練中、みほは各車の動きをしっかり観察した。

「Eチーム。コーナリングの時に少し外側に膨らみ過ぎています。曲がる前にもう少し減速を。」

「はい。」

拙い動きがあれば、すぐに無線で指示を出し、アドバイスをしていくみほ。



そして射撃訓練中にも各車の動きを観察する事を忘れない。


「Cチーム。撃つ直前は極力車体を揺らさないように。」

「はい。」

「Bチーム。落ち着いてよく狙ってください。 レティクルを使って、もっと正確に距離を測って。」

「わ、分かってる。え~と、この距離は・・・・。」

みほは、広い視野で訓練全体を見渡し、改善すべき点を見つけては、即座に指示をしていく。







そして訓練が一通り終わる後、最後にみほが、観察によって分かった事を全チームの各員一人一人に言って回った。

「左衛門佐さん。停止後の射撃の際に、早過ぎるタイミングで引き金を引いてしまう傾向があります。
 今後は射撃前に一呼吸置いてから撃つようにしてみましょう。
 それだけでも、命中率の向上が期待できます。」

「御意。」

みほは、各員の癖や傾向を的確に見抜いていき、それに合ったアドバイスをして回る。
そのアドバイスはとても分かりやすく、丁寧なものであった。


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みほが隊長に就任してから、大洗戦車道チームは彼女の指導の下で訓練を積み重ねていった。
そんなある日の事である。


「何か・・・最近、私達上達してない?」

山郷あゆみは言った。

「あゆみちゃんも? 私もそう思ってたところなんだ。
 西住隊長のおかげかな?」

阪口桂利奈がすぐさま同意する。

そして、彼女達達だけでなく、他の皆も同じように感じていた。
みほは教えるのがとても上手かったらしく、彼女の指導の下で皆はどんどん上達していったのである。
本人がその上達を自覚できるほどに・・・。

みほの指導は確実に成果を挙げ始めていた。





そして、みほの指導によって腕を上げた者達の中でも、五十鈴華は特に成長が著しい者である。


この日も、大洗チームは機動や射撃の訓練をやっていたのだが、この時に華が、その上達した腕前を見せた。

照準器を覗き込んだ華は、遠方に設置されていた的を確認する。

(小次郎さんの教え通りに・・・。)

みほにアドバイスされた事を意識しながら、狙いをつけ、引き金を引いた。

すると、発射された砲弾が、第一射で的の、ど真ん中を射抜いた。
見事な初弾命中である。


「一発で当てましたね、華さん。お見事です。」

命中を確認したみほが言った。

「ありがとうございます。」

華も大喜びであった。



(やはり思った通り。華さんには砲手の才能があったんだね。)

みほはグロリアーナとの練習試合の時、華の砲撃をその目で見ていた。
その時に、彼女の才能を見抜いていたのだ。
そして、この日までその才能を徹底的に研くように意識し、華に指導をしてきたのである。
そのおかげで、花の射撃の才能が見事に開花しつつあった。

これも隊長としての、みほの成果のうちの一つである。
みほは指導者として、その力をいかんなく発揮していたのだった。





そして、そんなみほが、今日も思考を巡らせていた。

(桃先輩の射撃の腕が、どうにもおぼつかないなぁ。)

みほが考えていたのは、Bチームの砲手である河嶋桃の、射撃能力の事であった。

桃の腕前には大きな問題がある。
それは致命的に命中率が低すぎるという事であった。

とにかく当たらない。
当たっているところを誰も見た事が無い。
その射撃精度の悪さは、前回のグロリアーナ戦でもモロに出てしまっている。

(桃先輩、砲手には向いていないのかな? どちらかと言ったら装填手の方が向いてそうな気がする。)

そしてみほは、更に考える。

(そういえば、杏会長って結構肝が据わっているよね。 ああいう性格の人の方が砲手には向いているかな?)


すると、みほは閃いた。

(そうだ。 会長と桃先輩で、ポジションを交代させれば、それでBチームの戦力は大きく強化されるかもしれない。)

そう思ったみほは、さっそく杏と桃に、ポジション交代を進言した。


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「試しに、二人のポジションを交代してみるというのはどうでしょう?」

「面白そうだね。ちょっとやってみようよ。」

「まあ、会長がそう仰るのなら・・・・。」


みほの進言によってポジションを交換してみた杏と桃。



すると、効果てき面だった。

みほが予想した通り、杏の砲手としての資質はかなり優秀だった。
正確に目標を射抜いていき、高い命中率を記録。

そして桃も、みほが見込んだ通りで、装填手の方が適していたらしい。
次々と素早く砲弾を装填していく彼女の腕によって、主砲の速射性が大きく向上。

砲手としての杏の力と、装填手としての桃の力。
みほの考えは完璧に的中し、この二つの力が発揮されるようになった結果、Bチームの攻撃力は大幅に強化されたのである。


これもまた、みほが挙げた成果の内の一つなのであった。


今回はここまで。
西住先生の戦車道教室でした。
みほにドイツ軍服を着せると、絶対格好良いと思う、今日この頃・・・。

ちなみにBチームはこれから、ポンコツ桃ちゃんに代わって、会長が撃って撃って撃ちまくります。

しほ「君は誰と結婚する?」
百合「華と、それとも」
好子「優花里?」
まほ「君は姉と結婚する、小次郎巡るよ純情」

ここで皆様にお知らせです。

現在、このガルパンSSを投稿している私ですが、突然に全く別作品の二次創作ネタが急遽頭の中に思い浮かんでしまいました。
(ちょっと気分転換にと思って某アニメのDVDを購入したのが運の尽き・・・。)

それ以降、頭の中に次から次へとネタが湧いて来て、収拾がつかない状態に。
ですので気分転換と頭の整理も兼ねて、そっちの方の投稿もやっていきたいと思います。

勿論、このガルパンSSの方もちゃんと続けていきます。
つまり新ネタとガルパンSSの同時進行で制作をしていく形になります。

トリップは同じく、「◆MBDL96yQmCZm」を使いますので、もし見かけたらそちらの方もよろしくお願いします。

この前言ってた新ネタの事についてなんですが・・・
何を血迷ったのか、予告編みたいな物を、パスタ食いながら、ノリと勢いだけで作っちゃいました。それをここに投下します。

ガルパンSSと新ネタSSとその予告編の制作という、3つの事を同時に進めていく事から、作戦名は

「3種のチーズピザとビーフストロガノフとフィッシュアンドチップスアンドビネガーとグリューワインとアイスバインと
 フライドチキンステーキwithグレイビーソースとアンコウ干し芋蛤とすき焼きとニュルンベルクとマイスタージンガー作戦」

です!!

学園都市。
科学と超能力の街に、その人はいた。

御坂美琴。
学園都市230万人の頂点に君臨する7人のレベル5のうちの一人。


そんな彼女の前に突如現れた謎の少女。

美琴「ベランダで修道女が天日干しされている・・・。」

インデックス「お腹減ったんだよ。」


その少女は自らを、10万3千冊の魔導書を持つ魔術師と名乗った。

インデックス「悪い魔術師達に追われてるんだよ。」

美琴「魔術師ねぇ・・・。」



この出会いを切欠に、事態は急転する。


ステイル「ステイル・マグヌス、と名乗りたいところだけど、ここはFortis931と言っておこうかな。
     これは所謂・・・・・殺し名。」


神裂「神裂火織と申します。魔法名の方は出来れば名乗りたくないのですが・・・。」


インデックスを狙う魔術師達。

美琴「インデックスは私の仲間。・・・・私は、あいつの味方であり続けるって決めたのよ。」

しかし、美琴はこれに敢然と立ち向かう。




ステイル「炎よ!巨人に苦痛の贈り物を!!」


神裂「このド素人がっ!!」

激突する超能力者と魔術師。
その戦いの果てにあるものは一体何か。










インデックス「じゃあ、私と一緒に地獄の底までついて来てくれる?」










美琴「地獄の底から引っ張り上げる。力づくでも!!」





そこに希望は・・・救いはあるのか。




【とある魔術と超電磁砲】



近日投下開始。

以上です。
実際と異なる場合もありますので、ご了承ください。

これでもう後には引けない。
こうやって自らの退路を断ち切っていくスタイル。

エリカ「試合が始まりましたね」
まほ「ああ」●REC
しほ「ええっ」パシャパシャ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月19日 (土) 14:07:29   ID: ck8vXvtZ

面白いです

2 :  SS好きの774さん   2016年01月15日 (金) 10:10:39   ID: xjHXssIL

まほさんwwx

3 :  SS好きの774さん   2016年06月18日 (土) 05:39:54   ID: N0SLfxKY

つまんねえんだカス
ポケモンタグ消せやタヒね

4 :  SS好きの774さん   2016年06月21日 (火) 16:02:47   ID: aprdWuxS

↑お前がタヒね

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