【艦これ】俺氏、チ級になる その2 (52)


チ級「どうしてコウナッタ……」

ル級「大丈夫、任せてオケ!」ニヤァ

ヲ級「ヲ仕事ヲ仕事ー!」ニッコリ


※自分がもし深海棲艦なったら? という妄想垂れ流し
※独自設定、多数有り
※基本コメディ。ラブ、シリアス、バトルほとんどなし

前スレ:
【艦これ】俺氏、チ級になる
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/)

あらすじ:
サラリーマンがチ級に生まれ変わり、深海棲艦として適当に生きる

登場人物:
チ級    :主人公。空気。元がサラリーマンなので通常のチ級より弱い

旅客船姫 :深海棲艦の姫。チ級の上司。温厚だが少々腹黒。こちらも弱い。戦闘力はイ級以下

提督    :大の女好き。だが艦娘には振られてばかり。矛先を深海棲艦に向け始める


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1525417481


第八話 真実は見えるか


ここはXXXX鎮守府の指令室。

提督のスマホが鳴った。


提督(情報部員からか……珍しいな)

提督「もしも……」

情報部員「急いでそこから逃げろ! 今すぐ! 全員! はやッ、ザッザザザザザ……」

提督「おい! ノイズが酷くて聞こえない!」


スマホを見ると圏外になっている。


提督(圏外? おかしい。キャリア障害か?)


固定電話で外線をかけるが……。


提督(通じない? どこにかけても。 深海棲艦の攻撃か?)

提督「日向、警戒態勢を最高にあげろ」

日向「了解した」


鎮守府にサイレンが鳴り響く。


提督(ネットも使えん。海軍の非常用回線でも電話がかけられん。こいつはヤバイな。大本営が落ちたか?)


その時、提督の内線電話が鳴った。


提督「提督だ」

鳥海「TVを見て下さい」


提督がTVをつけると……。


TV「ニュース速報です。海軍はXXXX鎮守府を『深海棲艦 汚染地域』に指定しました。

それを受けて、政府は非常事態宣言を発令。XXXX鎮守府の周辺XXキロメートル圏内の住民は、

海軍の指示に従って速やかに退去してください。繰り返します……」


提督「見た。警戒態勢のまま指示を待て」

鳥海「了解しました」


受話器を置く提督。


提督「日向。この鎮守府が『深海棲艦 汚染地域』に指定された」

日向「……」

提督「海軍は俺たちをミナゴロシにするつもりだ。骨も残さんほどにな」


- 続く -


海軍は、深海棲艦に占拠された地域を「深海棲艦 汚染地域」と呼び、

生存者ゼロとみなし徹底攻撃を行う。

万が一、生存者がいたとしても「深海棲艦 汚染者」とみなし、焼却処分した。


提督(どうする……俺なら……艦娘の艦砲射撃……陸からは無い。まだ市民の避難が終わっていない。

艦娘同士の撃ち合いは、まだ避けるはずだ。海から……海には厳重な哨戒網がある……。

となると艦砲射撃はない……。対地巡行ミサイル……日本は持っていない……そうすると……)


提督が素早く内線をかける。


提督「基地航空隊! 戦闘機、全機発進! 今すぐ! 局戦、陸戦、艦戦、噴式機? 全部! 全部だ! 早く!

ウチ以外の航空機は、問答無用で全て迎撃しろ!!! 海軍でもだ!!! 指揮は龍驤に頼め!

予備戦力だと? 後の心配より、今生き残ることを考えろ!!!  以上!」


♪BGM:宇宙戦艦ヤマト2199 BGM ブラックタイガー
https://www.youtube.com/watch?v=5iy1sCHuPrY


構内マイクを掴む提督。


提督「提督だ! 全ての空母、軽空母に告ぐ! ただちに全スロットを艦戦に変更! 変更しだい全機発進!

領空に入った当鎮守府以外の航空機は、全て撃墜せよ! 警告は不要! たとえ海軍の機体でもだ!

責任は俺が取る! 指揮は赤城に任せる! 以上!」


また内線をかける提督。


提督「レーダー室、私だ。レーダーは使えるか?」

オペレーター「はい! 激しい電波妨害を受けてますが、改修したECCMで抑え込んでます!

オペ子が感謝していた、と明石さん、夕張さんにお伝えください!」

提督「分かった、伝えておく。以上だ」ニヤリ


この鎮守府はレーダーシステムをアップデートしていた。

通常装備の更新に海軍は興味を示さなかったが、新しい物好きの提督と明石と夕張は、

商人が売り込んできた最新レーダーシステムを、先行検証という名目でこの鎮守府に導入したのだった。

たいてい、兵器の購入は国策と密接にからみついて簡単にいかないのだが、

提督と商人の政治力でねじ込んだそうな。

なお、費用はお友達・お試しキャンペーン価格で、鎮守府の裁量の範囲で収まったらしい。


提督「日向、防空巡洋艦、防空駆逐艦を率いて、レーダーサイト、入渠施設、資材集積所を守れ。

特にレーダーサイトは絶対に守り通せ」

日向「了解した」

提督「ちょっと待て、この二人も連れていけ」ニヤッ

日向「了解した」ニヤッ


一秒も惜しいとばかり、急いで内線をかける提督。


提督「陸戦隊長、俺だ。艦戦の発進が済んだ空母、軽空母を、強襲揚陸艦の入ってる防空施設に避難させろ。

あそこなら爆撃、艦砲射撃に耐えられる。一番安全だ。バンカーバスター? 専守防衛の日本にはない!

それより狙撃に注意しろ。戦闘車両で射線をふさげ。歩兵戦闘車に乗せてもいい。任せる。

何? バンカーに入ったら空母が電探を使えなくなる?

戦術システムとデータリンクして、鎮守府のレーダーを使え! 以上!」


この鎮守府は、最近、なんと艦娘データリンクシステムを導入していた。

海軍は興味を示さなかったが、新しい物好きの提督と明石と夕張は(略)。

なお、アメリカの本家ハイテク歩兵システム「ランドウォーリアー」「ネットウォーリアー」計画は、

装備が重すぎる、通信や処理が遅すぎる、などの問題山積で頓挫したそうな。

そんな欠陥システムを、明石、夕張、妖精さんが変態技術で使える物に改修したのだった。

妖精さん特有の謎技術で、通信妨害にあわないというオマケ付き。


提督(次は……)


提督が次々と内線をかける。


提督「長門。戦艦、重巡を率いて、海側から来る航空機を迎え撃て。

三式弾ガン積みで。市街地に向けては撃つな。以上」


提督「球磨。軽巡、駆逐艦、海防艦を率いて、防空施設の空母と強襲揚陸艦を守れ。

艦攻の魚雷を全て止めろ。どうやってクマ? どうやってもいい!

なんだったら主砲で打ち抜け! 無茶クマ? やれ! ただし体では止めるな。絶対にだ。以上」

提督(強襲揚陸艦には対空レーダー、戦術システム、簡易入渠施設がある。

俺が敵なら、なにがなんでも潰しに行く……)


提督「大鯨。潜水艦を率いて、海中の攻撃から強襲揚陸艦を守れ。以上」


提督「沈黙隊長。突撃隊長と共に陸上からの攻撃にそなえろ。以上」


提督「鳥海。あきつ丸、まるゆと共に、陸軍との接触をはかれ。以上」


提督「参謀。指令室に来てくれ。以上」


大淀が駆け足で指令室に入ってきた。


大淀「提督! 早まらないで下さい! 今、海軍と接触をはかっています!」

提督「後にしろ」

大淀「この鎮守府は深海棲艦の汚染地域になっていません。それを説明すれば……」

提督「大淀!」

大淀「……」

提督「接触は出来たのか?」

大淀「いえ。全ての無線チャンネルで呼びかけましたが、妨害電波で通信出来ませんでした。

大淀型の持つ軍令部、大本営、海軍省直通の専用回線も使用不可です」

提督「大淀、お前さんが一番よく分かっているはずだ。情報封鎖の意味を」

大淀「……」

提督「深海棲艦相手に情報封鎖して、何の意味がある? そうじゃない。

深海棲艦ではなく、俺たちだから意味がある。

つまり海軍は汚染地域ではないことなど、百も承知ってことだ」

大淀「……」

提督「やつらの目的は、俺たちの抹殺。申し開きは無意味だ

情報封鎖の目的は、助けを呼ばせず、誰にも知られないまま、俺たちを闇に葬ること」

提督(と言っても、情報部員の切迫した電話がなかったら、俺も何かの間違いと思っただろうよ……)


思いつめた目の大淀。


大淀「外出許可を下さい。交渉に行きます」

提督「自殺は許可出来ない。すでに何重にも包囲網が敷かれているだろうからな。

これ以上は後にしろ。今は時間が惜しい」

大淀「……了解しました」


構内マイクを掴む提督。


提督「提督だ。状況を説明する。この鎮守府が『深海棲艦 汚染地域』に指定された。

その意味は分かると思う。何かの間違いだと思うが、海軍は本気のようだ。

死にたくなければ覚悟を決めろ。相手が海軍でも容赦するな。責任は全て俺にある。

なお状況説明より指示が先になったのは、緊急を要したためだ。以上」


一方、歩兵輸送車で移動中の赤城、加賀。


加賀(データリンク……初めて使ったけど、赤城さんのバイタルサインも共有できるなんて……。

良い装備ね。さすがに気分が高揚します)ハァハァ

赤城「あら、加賀さん。心拍数が上がってますね」ニッコリ

加賀(赤城さんが私のバイタルサインを……これは言ってみれば、赤城さんと私が一心同体に……)ブバッ

瑞鶴「加賀さんが鼻血を出してぶっ倒れた!」


ワーワーギャーギャー!


その時……。


加賀「……」ムクッ


起き上がった加賀の目が、氷のように冷たい。


加賀「赤城さん……」

赤城「……ええ。便利ですね、データリンク」ニッコリ


データリンクから最新のレーダーデータが送られてくる。

そこには空を埋め尽くさんばかりの機影があった。


- 続く -

>>6
さっそく誤記が……

誤:何? バンカーに入ったら空母が電探を使えなくなる?
正:何? 防空施設に入ったら空母が電探を使えなくなる?


強襲揚陸艦の入っている防空施設は、こんなイメージ
Uボート・ブンカー
https://ja.wikipedia.org/wiki/U%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC

参考サイト:
米軍「歩兵ハイテク化戦略」の気になる中身
https://toyokeizai.net/articles/-/113473

「アイアンマン」さながら、米軍が開発中のハイテク武装スーツ
http://www.afpbb.com/articles/-/3001347


前スレの目次です。

第一話 チ級誕生
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/2-)
サラリーマンの俺は、海でおぼれて無事死亡。気付いたらチ級になっていた

第二話 姫、登場
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/30-)
チ級の上司の姫は、とんでもないポンコツだった

第三話 招かざる客
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/44-)
チ級の棲地に、海賊がやってきた

第四話 魂の記憶
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/226-)
チ級の棲地に、艦娘が流れ着いた

第五話 モンスター・シスターズ
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/436-)
チ級の棲地に、提督から合コンのお誘いがきた

第六話 ほっぽちゃん、東京へ行く
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/631-)
チ級の棲地に、長門からコスプレ・イベントの招待状がきた

第七話 アオバ・レポート
【艦これ】俺氏、チ級になる - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432134677/787-)
提督から青葉に秘密指令が下った

普通の兵器も艦娘には効くって事か
更新乙


XXXX鎮守府は久里浜のフェリー港の跡地にある。

周囲には、緑あふれる丘陵地、深海棲艦の攻撃で廃墟になった住宅街、工場跡地。

上空を見ると、艦戦、艦爆の大編隊。

飛行機が七分、空が三分という勢い。

一糸乱れぬ陣形で、雷雲のようにXXXX鎮守府に迫る。

その時、さらに上空の雲間で光が一瞬またたいた。


艦爆妖精「!」


橘花改の群れが、急降下しながら編隊を貫く。

すると数機の彗星が火を噴き出し、地面に引かれるように落ちていった。

即座に直掩の烈風改が増槽を落とし、迎撃態勢に入る。


龍驤「一番槍! もろたで~!!!」ニタ


隊長機の妖精と視覚共有している龍驤がほくそ笑んだ。


龍驤(とは言うものの、完全な不意打ち喰らわせたのに思ったほど落ちてないやん……。

なんちゅう練度……。こうなったら……)


急降下の速度をいかし、そのまま逃走。

流石の烈風改も追いつけず、橘花改の部隊は無傷で逃げおおせた。


龍驤「うひゃひゃひゃひゃひゃ! 逃げるが勝ちや! 技量関係あらへん! 橘花改ちゃん最高や~!

結構打ち漏らしたけど、まあ、後は赤城が上手いことやるやろ」


龍驤は橘花改を装備出来ない。

が、航空基地隊の指揮を任された龍驤は、指揮官特権で無理やり橘花改を使っていた。


龍驤(あの敵機の部隊マーク……忘れもせえへん……あれは元帥親衛隊のマーク!)


龍驤と元帥親衛隊には因縁がある。

数年前、XXXX鎮守府と元帥親衛隊が演習を行った。

その演習後のロッカールーム。

号泣する龍驤。


龍驤「親衛隊半端ないってぇ! アイツら半端ないって! (機体の)後ろ取っても、めっちゃ取り返されるもん!

そんなん出来ひんやん、普通! そんなん出来る? 言っといてや! 出来るんやったらぁ!」ダバーー


取材に来ていた青葉が半笑い。


龍驤「新聞や……全部……新聞や。(S勝利)取られたし。(親衛隊の記事が)また(全部の新聞で)一面やし。

またまたまたまたまたS勝利やし……。A勝利にしとけばよかった! A勝利にぃ!!!」

飛龍「親衛隊上手でしたね」

龍驤「どうやったら親衛隊止められるんやろ?」

加賀「あれは絶対エース部隊になるわね」

蒼龍「なりますねぇ!」

加賀「あれは凄かったわ。私握手してもらったわ」ドヤァ

龍驤「」

加賀「親衛隊を応援しましょう」

飛龍、蒼龍「はい!」

龍驤「」


龍驤たちは航空戦で親衛隊にコテンパンにやられた挙句、

青葉新聞の一面に「親衛隊、快進撃! 連続S勝利記録伸ばす!」の記事。

その記事の横には、号泣する龍驤の面白顔写真があった。


龍驤(格闘戦の技量とセンスで親衛隊に追いつける気がせえへん……。どないせいちゅうんや……)


演習の後、龍驤は格闘戦をすっぱり諦め、一撃離脱一本に絞ったのだった。


そして今……。


龍驤「なんの因果か海軍同士でやりあうなんて……ホンマつらいわーー。

でもな~こっちも命がかかってるし、ホンマ堪忍やでーー。マジつらいわーー」ニタニタ

龍驤(妖精ちゃんは不死身やから、心おきなく撃墜できるしなぁ~。

磨きに磨いた一撃離脱の腕……親衛隊に通用するか試させてもらうで!!!)

龍驤「お次は……」


共有する視覚で周囲を見ると、いたる所で空中戦が始まっている。

身重な艦爆を襲撃する迎撃機と、それを迎え撃つ直掩機。

急上昇、急降下、きりもみ、宙返り。

空は爆炎と落下傘の花が満開。


龍驤「おうおう。盛り上がっとるやん」

龍驤(落下傘……。ええこと思いついたで!)ニタァ


龍驤がデータリンク通信の回線を開いた。


龍驤「キミィ! うちや!」

提督「どうした?」

龍驤「敵は元帥親衛隊やで!」

提督「間違いないか?」

龍驤「うん。部隊マークがそやった。間違いあらへん」

提督「そうか。以上か?」

龍驤「まだあるで。うち、ちょっち良いこと思いついたんや。ゴニョゴニョ……」

提督「そいつは面白いな。鳥海にやらせよう」

龍驤「以上や!」


龍驤が率いる橘花改の部隊は、相手に気づかれず、高高度からの急降下、攻撃、離脱を繰り返した。


龍驤「いける! いけるで! うちの腕と橘花改があれば無敵やん!!!

ハルトマンも仰っとる! 格闘戦は不要! 一撃離脱が正解や!!!

岩本隊でも六〇一隊でも64戦隊でも戦闘301でもかまへん!

かかってこいや!!! うひゃひゃひゃひゃ!!!」


なぜ龍驤が手練れの親衛隊相手に気づかれず攻撃出来たのか?

それは、親衛隊側の対空レーダーが死んでいたためである。

龍驤が攻撃を始める少し前、指令室でのこと。


提督「レーダー室。私だ」

オペレーター「はい」

提督「やられっぱなしは性に合わない。こっちもECM(レーダー妨害)を始めろ」

オペレーター「了解しました!」

オペレーター(ほわたぁ!!!)ポチッ

オペレーター「ECM開始しました」

提督「よし。以上だ」ニヤッ


すると海軍のAWACS(早期警戒管制機)はパニックに陥った。

XXXX鎮守府の航空機をレーダーで探知し、親衛隊の空母艦娘に通知するつもりが、

まったく見えなくなったからだ。


オペレーター(AWACS……お前はもう死んでいる……なんちって)


AWACSのECCMがあっさり突破されたのは、ECMがより新しいものだからである。

レーダーシステムをアップデートした時、最新のECCMの効果を試験するため、明石は最新のECMを借りていた。

試験後、軍事会社は直ぐに返してくれと要求したが、明石はのらりくらりとかわし、仮パク状態で今に至る。


龍驤(向こうさんのレーダーは使えんけど、こっちのレーダーは使える……最高やん!!!)ニヤニヤ

龍驤「あん時の借り、返したるわ!!! 次の獲物は……」


高高度から下を見ると、機影が見える。


龍驤「いってみよう! 突撃----!!!」


次々と急降下する橘花改。


龍驤「こんダボがーーー!!! シにさらせーーーー!!!」


ぐんぐん相手に近づくと……。


龍驤「ん? あの独特なシルエットは……」


直掩機は震電改だった。


龍驤「」

龍驤(橘花改の速度は700km/h弱。震電改は750km/h!!! アカンやつや! これ喧嘩売ったらアカンやつや~~!!!)

龍驤「ちょっちストップ! ストッ……もうあかん! 止まれへん!!! あああああああ!!!」


彗星(江草隊)をたった1機だけ撃ち落とすと、橘花改は一目散に逃げ出した。

しかし……。


龍驤「撃ち落とせたのが一機だけって、爆装している艦爆のくせに、なんちゅう機動や!

それより、はよ逃げな!!! ダメや! アカン! 振り切れん!!!」


あっという間に震電改に追いつかれ、一機、また一機と橘花改が撃墜されていく。


龍驤(ジェットエンジン! ネ20改にしとけやボケ~~!!!)


残るは隊長機一機のみ。


龍驤「あっかーーーーん!!! 全滅したら翔鶴から十六万馬力パンチや!!!」


橘花改は翔鶴のものだった。


龍驤「ひっ!」


隊長機の後ろを、震電改に取られた。


- 続く -

「橘花改は785km/h出るのでは?」と思うかもしれませんが、
橘花改の対空値が震電改より低いので、最高速度を785km/h(ネ20改エンジン)ではなく、
震電より遅い696km/h(ネ20エンジン)としました。

今日は大迫(半端ない)選手の誕生日だそうで
それで投稿しました(嘘)

>>13
その辺は追々……

>>17
誤記デース……

誤:仮パク状態
正:借パク状態


龍驤(翔鶴パンチ……艦橋圧壊なんてもんやあらへん……)ぐにゃあっ……


涙目の龍驤の視界に、過去の記憶が浮かんできた。

数年前、翔鶴と一緒に出撃した龍驤。

二人とも新人で、あっけなく中破してしまった。

そこに……。


タ級(中破シテイル正規空母……確実ニ仕留メテヤル!)ニタァ


タ級が翔鶴に突撃してきた。


タ級(接近シテシマエバ、空母ハ何モ出来マイ……)


焦る龍驤。


赤城「あらあらあら」

加賀「死ぬわね、あの子」

龍驤「ほう、さすが被害担当艦……たいしたものですね……って、ちゃうわ!!! 翔鶴はよ助けな!!!」

タ級「シネ!!!」クワッ


タ級が必中の距離で主砲を斉射。

翔鶴に当たったように見えたが……。


タ級(!? 残像?!)

加賀「違うの……死ぬのは……」

タ級(ナラバ、ドコ……)


その時、タ級の脇腹に翔鶴の拳がめり込んだ。

十六万馬力が乗った拳は、戦艦の装甲こそ貫けなかったが、内臓を完全圧壊。

鼻と口から血反吐をスプリンクラーのように吹き出しながら、

タ級は水切りの石のように飛んで行く。


タ級「ア゙ア゙ア゙ア゙ッ……ゴボッボボボ……ガァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙……ガボッ……」ブクブク


苦悶の表情のタ級は、そのまま沈んでいった。


龍驤「」

龍驤(……もう戦艦いらんのとちゃうん……)

赤城「ただでさえ高速の翔鶴が、破壊された飛行甲板をパージして身軽になったら、あんなものですよ」ニッコリ

加賀「中破して、もう弓を使いませんから、手を気遣う必要もありません」


龍驤が翔鶴の手を見ると……。


龍驤「いっ……!?」

龍驤(手が複雑骨折して、骨が飛び出とる……肩も外れてプラーンプラーンや……)ゾゾゾゾ

加賀「空母としては最後の手……すべきではない戦い方……」


自身の体さえ壊す十六万馬力パンチの恐ろしさに凍り付く龍驤だった。

なお、タ級は海底で潜水艦に回収され、なんとか一命をとりとめたものの、内蔵の激痛に数か月間苦しめられた。

そして「中破した空母に、みだりに近づくべからず」と上申。

深海棲艦の交戦規定に追加されたそうな。


龍驤(戦艦でさえ一撃で屠るパンチ……ウチがもらったら爆発四散!!! 実際、オタッシャや!!!

翔鶴は橘花改を溺愛してるし……練度を上げるの苦労してたし……無理やり借りるんやなかった……)ウルウル


そんな龍驤に応えるように、隊長機が震電改の攻撃をかわし続ける。


龍驤「さすが隊長! ええ腕しとる!」パァアア


すぐさま、二機の震電改が追撃に加わった。


龍驤「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙! あっかーーーーん!!!」ダバーー


顔中、涙と鼻水まみれの龍驤。

とうとう右翼のエンジンに被弾。


龍驤「ぎゃああああああああ!!!」


ドーーーーーン!!!


龍驤「やられたーーーー!!! ……うん?」


震電改が三機とも墜落していく。


長門「龍驤、大丈夫か?」ニタニタ


長門がデータリンク回線で話しかけてきた。


龍驤「へ……?」


橘花改が逃げた先は海側で、ちょうど長門たちの射角内だった。


長門「えらく心拍数が上がってたが?」ニタニタ

龍驤「は……はよ助けんかい!!!」カァアアア

長門「射角に入ったのが、今さっきでな」

龍驤「ま……まあ……おおきにやで……あとで飴ちゃんやるわ!」ニパッ

長門(可愛い……くっ……なぜ神は龍驤を駆逐艦になさらなかったのか……)


結局、橘花改の隊長機は航空基地まで逃げ切り、龍驤は翔鶴パンチを回避したのであった。

- 続く -


同じ頃、強襲揚陸艦の入っている防空施設。

防空施設は、爆弾、艦砲射撃を物ともしない極厚の鉄筋コンクリート製。

が、海に面した部分だけ鋼鉄のシャッター。

そのシャッターに、艦攻が津波のような雷撃を仕掛けてきた。


那珂(建造されたての那珂ちゃん……アイドルデビューもしないうちにここで沈むのかな……)


海面スレスレを散開して飛んでくる艦攻には、三式弾の効果が薄く、

軽巡、駆逐艦、海防艦たちは、海の上で悪戦苦闘。


那珂「きゃぁああああ!!! こないでーー!!!」


魚雷を打ち抜くどころか、避けるだけで精一杯の那珂。


球磨「那珂ッ! 落ち着くクマ!」

那珂「そう言われても……」

球磨「先輩を見るクマ」

那珂「え……」


那珂が前線を見ると……。


天龍「オラオラオラァ!!!」スパスパ

龍田「今日の天龍ちゃん……いつにも増してカッコいいわぁ~~♥」ヒュンヒュンスパスパ


怒涛の勢いで迫る魚雷を、器用に切り捨てている。


那珂「」

球磨「ルーキーは先輩が打ち漏らした魚雷だけなんとかすればいいクマ」

那珂「それでも那珂ちゃんには、ハードルが高いっていうか……」

球磨「こういう時は先輩を頼るクマ」


天龍に教えを乞う那珂。


那珂「天龍ちゃん! どうすればいいの?!」

天龍「あぁ~ん? 新人か? 簡単だぜ! 魚雷を提督のナニだと思えばいい!」スパスパ

那珂「」

天龍「そう思うと、不思議と簡単に切れるぜッ!!!」スパスパ

那珂「」

那珂(だめだこりゃ……)


龍田に聞くと……。


龍田「簡単よぉ~~。魚雷を天龍ちゃんを狙う提督のいやらしいアレだと思えばいいのよぉ~~」ヒュンヒュンスパスパ

那珂「」


軽巡を恋愛対象外と宣言した提督は、ガッツリ嫌われていた。


那珂(さっぱり参考にならない……)ズーーン

龍田「フフッ♥ そんな顔されちゃうとぉ……昔の天龍ちゃんを思い出してぇ……濡れるッ!(エコー)」ヒュンヒュンスパスパ

那珂「」

那珂(くっ……それでも……それでも生き残るため、なにか、なにか聞き出さないと……)

那珂「ど、どうすれば、そんなに落ち着いていられるの?!」

龍田「そうねぇ~~。やっぱり実戦経験かしらぁ~~」ヒュンスパヒュンスパ

那珂「……」

龍田「こんな攻撃、退屈しちゃう~~。あくびが出そぉ~~。深海棲艦ならこんなもんじゃないわぁ~~♥

雷撃、爆撃はあたりまえ~、加えて砲撃があってぇ~、駆逐艦の捨て身突撃があってぇ~」ヒュンスパヒュンスパ

那珂「……」

龍田「戦艦が素手ゴロを仕掛けてくるのよぉ~~♥」ヒュンヒュンスパスパ

那珂「」


錯乱する那珂。


那珂「もぉーー!!! もぉーー!!! おうちに帰るーー!!!」ジタバタ

球磨「ステイ! ステイクマっ!」

那珂「無理ぃ~~!!! 無ぅ~~理ぃいいい~~!!!」ジタバタ

球磨「あいつらは遠征行き過ぎて、頭がおかし……経験が極まってるクマ。参考にならんから、別のヤツに聞くクマ」


サーベルで奮闘している木曾に聞くと……。


木曾「不安なのか? 大丈夫だ。魚雷をお前の指揮官のブツだと思え。俺を信じろ」ザシュザシュ

那珂「」

北上「あー、なんかさー、アレと思えばいいんだよねー。提督の」バシュバシュ

那珂「」

大井「北上さん尊い! 北上さん尊い! 北上さん尊い! 北上さん尊い!」鼻血ダバー

那珂「」


ふと那珂が神通を見つけた。


那珂「神通ちゃん! 助けて! みんな話が通じないの! どうすればいいの?!」

神通「昔昔、大昔、『百発百中』で有名な養由基という弓の名手がいました……」クドクド

那珂「……」

神通「……ある日、養由基のところに男が来て言いました……」クドクド

那珂「……」

神通「……それが『百発尽息』。大事な一発を外せば、百中しても無駄になるのです。

裏を返せば、百発外しても、大事な一発を当てればよいのです。

決して焦る必要はありません……。あ、那珂ちゃん、どこに行きましたか?」キョロキョロ


シャッターへ放った魚雷を全て阻止された親衛隊。

らちが明かないとばかり、鉾先を艦娘に向け始めた。

艦攻に加え、艦爆の大軍が艦娘を襲う。


那珂「きゃあ~~~~! こっちを狙って撃ってきた~~!!!」


豪雨のような爆撃、魚雷の中、流れるように疾走するベテラン艦娘たち。


多摩「……」スススススススス

那珂(あの動きは……北斗七星……!? 『七星点心』かな……)

多摩「ふぁ~~……たるいけど仕事するにゃ……」テシテシ

那珂「」


猫パンチで魚雷の向きをシャッターからそらしている。

球磨のほうを見ると……。


球磨「グマ゙ッ!!!」ザバッ

那珂「」


熊が鮭を取るように、魚雷を跳ね飛ばしていた。


那珂(もうだめ……ついていけない……いっそ……那珂ちゃんは資材に戻りたい……。

2個の燃料缶、4個の弾薬、11個の鋼材に戻って……静かな倉庫で平和に過ごしたい……)


その時……。


球磨「攻撃が激しくなってきたクマッ! ベテラン以外、後方に下がるクマッ!!!」

那珂(さっすが球磨ちゃん! 優秀~優秀~! よぉし! 那珂ちゃん、舞台裏に戻ります!)パァアアアア


後方に下がろうとする那珂の両腕を、誰かが掴んだ。


那珂「え?」

神通「那珂ちゃん、どこに行くのですか?」ニッコリ

ベテラン那珂「新人の那珂ちゃん! 那珂ちゃんが輝くのは~~最前列って決まってるんだよ!」ニッコリ

那珂「」

神通「那珂ちゃんセンター!」

ベテラン那珂「一番の見せ場です! きゃは☆」

那珂「『きゃは☆』じゃねえんだよ!!!」

ベテラン那珂「アイドルはそんな言葉、使っちゃだめだよ☆ ほら! 那珂ちゃんスマイルー!」キラッ

那珂「こんなのアイドルのお仕事じゃな~~い!!!」

ベテラン那珂「那珂ちゃん、現場はいりまーす♪ どっかぁーん☆」

那珂「いやぁああああああああ!!!」ズルズル


鬼神のごときベテラン艦娘たちに混じって前線に残った新人・那珂。

阿鼻叫喚の地獄を見たそうな。


- 続く -

なお、第7.5話は、Pixiv 孤我一さんの「クレイジー深海艦隊漫画」、「クレイジー深海艦隊漫画2」にインスパイアされてます。

謹賀瑞雲
あけましておめでとうございます
保守ありがとうございます

年始の休みで、少し投稿出来ると思います
よろしくお願いいたします


その頃、レーダーサイト周辺では、摩耶、秋月型四姉妹、アイオワが奮戦していた。

レーダーサイト中心の輪形陣を組み、全員、デジタル迷彩のヘルメット、

ボディアーマー、バリスティック・サングラスを着用。

足元はコンバットブーツ。


摩耶「ぶっコロされてぇかぁ!!! クソがぁあああ!!!」ズガガガッ


ハリネズミのような砲身、機銃から、絶え間なく対空砲火を放っている。

その横で……。


武蔵「まだだ……まだこの程度で、この武蔵は……沈まんぞ!!!」ドガガガッ


新人の武蔵が「つるはし」で穴を掘っていた。

艤装は無く、黄色いヘルメット、白いランニング、軍手、グレーのズボン、コンバットブーツ。

首の手ぬぐいがアクセント。


少し前の司令室。

日向はPCで何かのファイルをダウンロードしている。


日向「……提督」

提督「なんだ」

日向「もう少し人手が欲しい」

提督「分かった。長門、高翌雄、球磨には話を通しておく。好きなやつを使え」

日向「了解した」


日向は司令室を出ると、移動しながら通信回線を開いた。


日向「摩耶、日向だ」

摩耶「おう! 聞こえてるぜ」

日向「秋月、照月、涼月、初月、アイオワを率いて、レーダーサイトを守れ」

摩耶「……レーダーに全振りだけどよ、他の所はいいのか?」

日向「レーダーサイトが落ちれば、その時点でゲームセット。制空権を奪われる」

摩耶「了解だ。任せろ!」

日向「それと、ヘルメット、バリスティック・サングラス、ボディアーマーを着用しろ」

摩耶「はぁ?」

日向「狙撃とレーザー照射への備えだ」

摩耶「んだよぉ!」

日向「それと脚部艤装は格納。陸上戦闘用のコンバットブーツを履け」

摩耶「けっ……。わぁーってる。わぁーってるよ! 了解した!」

日向「摩耶は以上だ」


日向「由良、聞いていたか?」

由良「はいっ」

日向「ゴトランド、ザラ、鬼怒、浜風、磯風を率いて、資材集積所の搬入出口を守れ」

由良「……」

日向「資材集積所の本体は防御不要。地下にあるからな。しかし、搬入出口が落ちたら、資材にアクセス出来なくなる」

由良「……」

日向「そうなったら……『詰み』だな」

由良「由良っ、了解しましたぁ!」


日向「利根」

利根「うむ!」

日向「筑摩、那智、皐月、文月、初霜を率いて、入渠施設を守れ」

利根「ほほう。天龍、龍田、五十鈴は?」

日向「断られた。対雷撃、対潜の要だとか」

利根「ふむ。航空基地はよいのか?」

日向「あそこは防空のプロだ。それに龍籠がベテランの千歳、千代田、隼鷹を連れて行った」

利根「なるほどのう。了解した。任せておれ!」

日向「以上だ」


日向は工廠にたどり着いた。


日向「明石」

明石「出番……です?」

日向「これを用意してくれ。あるだけ全部」ペラッ

明石「お……お任せください!」


回線を開く日向。


日向「長門、聞こえるか?」

長門「どうした?」

日向「『戦艦』の力を借りたい……」


その後……。


新人・陸奥「あら。あらあら」

新人・比叡「ひえ~っ! 」

新人・ウォースパイト「Oh my god...」


工廠に集まった新人、駆け出しの戦艦たちの前に、日向が現れた。

黄色いヘルメット、黒インナー、軍手、グレーのデジタル迷彩ズボン、コンバットブーツ。

肩には、つるはし。


日向「諸君。まだ練度が低く、対空装備が行き渡らないため、待機を命じられている諸君。

忸怩たる思いにかられているだろう。だが案ずるな。我々がこの戦を勝利に導く」

新人・長門「いいだろう! しかし、何をするのだ?」

日向「コンストラクションとロジスティックス」

新人・長門「日本語で言ってくれ」

日向「まあ……蛸壺掘りと弾運びだな」

新人・長門「」


日向が新人・長門につるはしを渡した。


日向「時間がない。全員、艤装を格納。低速艦は蛸壺掘り。ただちに服を着替え、工廠の『得物』を持て。

高速艦は弾運び。コンバットブーツにだけ履き替えてくれ」


新人・長門たちは服を着替え始めた。


日向「弾運び班は準備が終わったようだな。弾運び班! 対空砲火は弾幕が命。絶え間ない弾薬補給が必須となる。

鎮守府の防空は、正に諸君の働きに掛かっている。なお戦艦はドラム缶を装備できないため、これを使う」


日向の指先の向こうに、数台のリヤカー。


新人・リシュリュー「びゃあぁぁああっ?! Non! これは私の、戦艦の仕事ではありません! 拒否します! 」

日向(まあ……フランス艦らしいな……)

日向「長門、なんとかしろ」

新人・長門「」


説得を始める新人・長門。

それを横に、説明を続ける日向。


日向「輸送トラックは使えない。艦載機のいい的だ。大きくて取り回しが悪い。機銃にさえ耐えられない。

その点、戦艦なら機銃も平気だ。リヤカーのサイズなら小回りがきき、物陰に隠れられる」


長門の説得が終わった。

が、リシュリューは不満顔。


日向「では、弾運び班は全員リヤカーを引いて、資材集積所の搬入出口に移動。

榛名、補給要請の窓口を任せる。霧島、配車の計画、指示を任せる。移動開始」


爆走するリヤカー集団。

渋々ついていくリシュリュー。


日向「蛸壺班も用意が出来たな。説明の前にデータを送る」


日向は戦艦たちに、データリンク回線でファイルを送った。


日向「諸君には、対空任務の艦が隠れる塹壕を掘ってもらう。鎮守府の要所、特にレーダーサイト周辺には遮蔽物がない。

海上と違い、陸上では移動が遅く爆撃回避が難しい。非常に危険だ。至近に爆弾が落ちた場合、簡単に吹き飛ばされてしまう」

新人・長門「だが……足を止めて塹壕を掘っている我々も攻撃されないか?」

日向「だからこそ戦艦の出番だ。艦載機の250kg爆弾が直撃したぐらいでは沈まない」

新人・長門「……500kg爆弾ならば?」

日向「……」

新人・長門「……」

日向「……」

新人・長門「……」

日向「まあ……話を続けよう」

新人・長門「」


シャベルとつるはしを手に取る日向。


日向「土の場所はシャベル。舗装されている場所はつるはし。掘る時『地中配管』に注意しろ。

送ったファイルは『地中配管』の見取り図だ。特に送電線は絶対に傷付けるな」

新人・扶桑「了解したわ……」

日向「まあ……心配するな。塹壕の効果は私が保証する。南方の戦いで深海棲艦の苛烈な艦砲射撃、

爆撃を生き延びたのは、陸戦隊と共に掘った塹壕のおかけだ」ニヤッ

新人・長門「……」

日向「最初はレーダーサイト。諸君、抜錨だ」

新人・ガングート「Ураааааааа!!!」


シャベル、つるはしを頭上に掲げ、戦艦たちは雄たけびを上げる。

そこには、異様にテンションの高いガングートと、

王冠の代わりにヘルメットをかぶり、王錫の代わりにつるはしを持つウォースパイトの姿があった。


続く

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年11月05日 (月) 02:50:14   ID: cKUMQUjp

続きがある気になる作品ですなー

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