放課後、図書室、乙女が二人、そんなシチュエーションでありがちな百合をひとつ。 (10)

A(今度の課外実習、クラス別でも組めるそうだから、Bさんと一緒の班になりたい。けど、誘う勇気なんて私にはないし…)

B「あら、私が放課後の図書室に一番乗りだと思ったら先客がいましたのね」

A「Bさんっ!?あわ、あわわわわ!!」

B「驚かせてしまったかしら?」

A「い、いいえ!全然大丈夫!全然驚いてないですよ!太陽とシスコムーンがT&Cボンボーに改名した時のに比べれば全然驚いてないですから!!」

B「そう?ところで図書委員さんはまだ来てないのでしょうか?」

A「あっハイ!はいはい!私が図書委員です!はい!」

B「ああ、図書委員なら私より先に来てたのも納得ですね」

A「いえいえいえっ!わわわ私も今来た所ですし!今、今さっき!つまりほぼ同時!だからどっちが先じゃなくておんなじ!この鳥たちが何処から来て何処へ行くのかと同じくらい同じですって!!」

B「ふふふ、やっぱりAさんって面白いかたですね」

A「…!」

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A(私が……面白い……!?考えろ、考えろA!あのBさんが私のような路肩の石みてぇなガールを手放しに褒めると思うか?
答えはNOよ!
考えろ考えろヒントはあるはずだ何かヒント…そう、図書委員!
Bさんは図書委員を探していた!つまり、本を借りる、もしくは返却したいに相違ない!
そして返却するだけならば私のボキャブラリーなど不要よ。
そう、Bさんは本を借りたいのだ!
その上で考える。Bさんは私を面白いと言った。
読め…言葉の裏の真意を…幼女戦記のコミカライズが如しに原作の行間を読み尽くす勢いで…………見えたッ!!
間違いない!Bさんの真意、すなわち『オメーなかなか面白ぇなぁ!オラおでれぇーたぞ!
じゃ、Aさんにも分かりやすいように、スーパーサイヤ人ってのを説明してやんよ!
これがスーパーサイヤ人1!これが2!そしてこれがああああああ限界を超えたああああああスーパーサイヤ人3だあああああ!!!
さぁて、スーパーサイヤ人3となったオラにオススメの本を紹介してくれよ』……これだ!間違いないわ!!)

B「Aさん?」

A「うう、すみません。私はBさんのように闘いが好きじゃないんですぅ……」

B「ごめんなさい。ちょっと意味が分かり兼ねますわ」

A「えっ!?オススメの本を紹介して欲しいんじゃなかったんですか?」

B「えっ!?確かにそのつもりでしたが…えっ、なんで分かったんです!?えっ?」

A(どどどどうしよう!?心の中でBさんをスーパーサイヤ人にしたから解を得たなんて言ったら変な奴って思われちゃう!なにか言い訳を……そうだ!)

A「じ、実は私、人の心が読めるんです!」

B「まあ!興味深いですわ。でしたら、今私が何を考えているのか当てて下さる?」

A(えぇぇ…、そんなのわかる訳ないよぅ。うぅ、しかし思考放棄は愚の骨頂、人間は考える葦である!考えろ考えろ!人間は…葦…足…足と言えば走る…走る……そうか!)

A「まっすぐ行ってぶっ飛ばす!右ストレートでぶっ飛ばす!どうです正解ですか!?」

B「ふふふ、全然違います。正解は、『もっとAさんと仲良くなりたい』でした」

A「アイエェェエー!!?」

B「実は、Aさんが居るって知ってて図書室に来たんです。私、Aさんと友達になりたいっ!」

A「ぐわあああああああああ!!?!?」

A(なになになにこの展開!喫驚仰天、瞠目結実、天地無用!
夢?夢なの?現実なの?ドラマなの?アニメなの?アニメじゃないの?本当のことなの?
一人~じゃもう~分から~ないよ~誰か~教~えてくれ~)

A「わっわわわわ!わたっ!わたし、わたもも!わたっ!わたモテ!ネモすき!加藤さんすき!わたっ!わたた私もBさんと友達になりたいと思ってたの!!」

B「本当に!?やだ嬉しいっ!どうしよ舞い上がっちゃいそうで恥ずかしい」

A「わたっ!私の心も舞い上がれ朱雀ふしぎ遊戯だよぅ!」

B「うん?うん!それで、それであのですね!
今度の課外実習なのですけどっ!
もし良かったら私と………」

A(ドキドキ!ドキドキ!ドッキリドッキリどんどん!)

B「ああダメっ!やっぱり恥ずかしくて言えないっ!同じ班になって欲しいだなんて、もし断られたらと思うとショックすぎて口が裂けても言えませんですわーーー!!」

A(あの、いつも凛とした百合の花のようなBさんが口をつむぐなんて、一体何を言い淀んでいるの…?考えろ考えろ!行間を読め!スーパーサイヤ人ゴッドになれ!魔族大隔世を起こせ!海賊王に俺はなれ!鉄腕アダム面白いからみんな読め!
何か、そうだヒントだ!Bさんの言葉…『一緒の班になりたいなんて口が裂けても言えない』……そうか分かったぞ!)

A「謎は全て解けた…!」

B「まさか…!」

A「つまりBさんは私と一緒の班になり……」

B(ビックリビックリびんびん!)

A「ひゃあああああダメもし違ってたらと思うと怖くて言えないいいいいいー!!!」

B「だだだ大丈夫!大丈夫だから!多分合ってる合ってる!きっとそれで正解ですからあああああ!!!」

A「ここここうなったらァァアー!!
おまじない!おまじないが必要よ!
おまじない!それは私に勇気をくれる魔法の言葉!唱えます恋のおまじない!!」

B「!」

A「パラレル パラレル、ケロケロちゃいむ、主よ種も仕掛けもないことをお許しください、ポンポコリンのヘンポコリンのニャー、天空(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚の刃よ 我が力 我が身となりて 共に滅びの道を歩まん 神々の 魂すらも打ち砕き……
ラグナ・ブレェェェーーーーッド!!!!」

ズドムッッ!!

B「ぐわあああああああああー!!?!?」

A「闇へと還れェェェエエーー!!!!」

B「おのれぇぇぇ…!!?
ぅぐっ…だが、私を倒した所で、すぐに…第二第三の私が…貴女を同じ班に……誘…う……ガクーーーッ!バターン!」

A「Bさん……?Bさ………っ!
Bさああああああああああーーっっん!!!」



こうして課外実習当日



A「いやぁ、まさか本当にBさんと一緒の班になれるなんて、夢みたいですよぅ」

B「………私は三人目だから」



ありがとうございました。

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