アストラル「久しぶりだな遊馬」遊馬【39】「久しぶりだな」 (8)

アストラル「君もすっかり老け込んで…」

遊馬「もう39歳だぜ」

アストラル「そうか…」

遊馬「どうしたんだ?何か用事か?」

アストラル「いや…久しぶりに顔が見ようと思って」

遊馬「ふーん…」

アストラル「またな遊馬」

遊馬「あ、待てよアストラル!」

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遊馬「って事があってさ」

凌牙【40】「何だそりゃ?それだけで終わりかよ」

遊馬「ああ」

アリト「ナッシュ!大変だぞ!」

凌牙「どうしたんだよ」

アリト「うちの若いモンが筑紫会の連中に撃たれた!」

凌牙「何だと!?」

ドルべ「落ち着けナッシュ」

凌牙「やるなら今しかねえぞ」

ドルべ「大所帯の筑紫会だ。ベクターの調べじゃ内部抗争で組織としてはガタが来ているそうだ」

凌牙「…」

ドルべ「様子を見るべきだ。返しは後の判断で決めればいい」

凌牙「そういう事だ。若い連中に言っとけよ?返しは後だ」

アリト「んだよ…わかったよ!またな遊馬!」

遊馬「極道も大変だな」

凌牙「まあな。筑紫会ってのは九州一帯の組が連合を組んだ組織でよ…カタギのお前に言ってもわかりゃしねえか」

遊馬「ああ!」

ギラグ「アストラル…手を貸せって言うんじゃないだろな」

遊馬「俺にもわからねえよ。けど…もし」

ドルべ「それは無理だな。我々の目下の敵は九州そして東北に関西」

ギラグ「日本の極道社会制覇には先が長いぜ」

凌牙「そういうわけだ。俺も会長の座に座ってるから軽々しく動けねえんだわ…こいつらもな」

遊馬「そうか…忙しそうだもんな」

凌牙「ああ」

遊馬「何だったんだろな…悲しそうな顔してたけど」

小鳥「どうしたのよ」

遊馬「何でもねえよ」

小鳥「何が何でも無いよ。そんな顔してない癖に」

ピンポーン

小鳥「誰かしら」

遊馬「アストラル…あいつは」

小鳥「遊馬」

遊馬「ん?」

ドルべ「…」

遊馬「ドルべ?何だよ突然」

ドルべ「余計な事をしてくれたな」

遊馬「余計?」

ドルべ「昼間の事だ。何故今それをナッシュに伝えた」

遊馬「そりゃ仲間だからだぜ」

ドルべ「仲間…君はカタギで我々はヤクザだぞ?関わってはいけないんだ」

遊馬「そんなの俺には」

ドルべ「関係無い事はない。これは君の為でありナッシュの為でもある」

小鳥「…」

ドルべ「夜分に失礼した」

小鳥「もう帰っちゃうの?」

ドルべ「私のような者が居座ってたんじゃ教育上よくないだろ」

小鳥「私も遊馬と一緒よ!今も昔もシャークもドルべも仲間じゃない!」

ドルべ「…」

翌日

遊馬「ヤバい!遅刻だ遅刻!」

アストラル「…」

カイト【44】「あの遊馬が大学教授だ。あいつの親父そっくりだろ」

アストラル「ああ」

カイト「それでお前の言っている事は事実なのか」

アストラル「そうだ」

カイト「だったら遊馬を巻き込む必要はないな」

アストラル「…」

カイト「魑魅魍魎が跋扈する地獄変…俺が耳にしたデュエルモンスターの世界はこういう話だ」

アストラル「君1人だけ地獄への道を突き進むのか」

カイト「遊馬には家庭と教え子が凌牙には大勢の連中が奴の下に集まっている」

アストラル「…」

カイト「そして幸か不幸か俺は1人…迷う必要などあるのか」

オービタル「幾ら見合いを進めてもカイト様は断ってばかりであります」

カイト「俺は帰れ」

オービタル「オイラはカイト様の第一の側近であります!」

カイト「サボっているとオボミの雷が落ちるぞ」

オービタル「オボミ…か、かしこまり!」

カイト「あれで子持ちだぞ」

アストラル「オービタルとオボミには子供が居るらしいが君が製作したのか」

カイト「いやオボミが妊娠して産んだ」

アストラル「!?」

ベクター「雲雀組、鶖組、鶯組こいつらが筑紫会の主な勢力だ」

ドルべ「何か取り入る隙があれば九州制覇も少しは楽になるが」

ベクター「そうは問屋が御ろさねえんだよなぁ~この鶯組の組長ってのは琉球一家の若頭と兄弟分でよ」

ギラグ「下手そりゃそっちともぶつかるかもってわけか」

アリト「いいじゃねえか!どっちにしろ制覇目指してんだから!」

凌牙「…ドルべ」

ドルべ「?」

凌牙「会長の座に座るか」

ドルべ「何を言ってるんだ」

凌牙「理事のお前が座に付けば誰も文句は言わねえだろ」

ドルべ「私が文句を言う。君は人の上に立つべき男なんだぞ」

凌牙「人の上?ここに居る誰もが人の上に立ってるじゃねえか」

ベクター「わかっちゃいねえなナッシュ」

凌牙「あ?」

ベクター「理事のこいつでも直参の俺らでもねえんだ。会長のお前について来てるんだよ…俺以外はよぉ~」

ミザエル「こいつ…裏切る気でいるんだな!?何処に誘われた!関西か?東北か!?」

ドルべ「やめろミザエル」

アリト「いつもの軽口じゃねえか」

ベクター「アストラルがどうか知らねえが俺らはカタギの遊馬とは違う世界で暮らしてるんだよ」

ギラグ「一歩引くべきだぞ。俺らなんかと関わりがあっちゃ遊馬の生活がダメになっちまう」

アリト「いいんじゃね?ダチなのは今も昔も変わらねえんだし」

ドルべ「みんな同じ意見だ。我々には前へ進むしかない…この世界でしか生きられないんだ」

ミザエル「それは遊馬だけではない。カイトやメラグにもな」

凌牙「…」

凌牙「…ほらよ」

カイト「自分で渡せ」

凌牙「渡せるか!俺は」

カイト「天下の七星会の会長か」

凌牙「お、おう」

カイト「アストラルに会った」

凌牙「知ってるよ」

カイト「…」

凌牙「て言うかアストラルは何を伝えに来たんだよ」

カイト「デュエルモンスターの生活する世界…」

凌牙「そんなもんがあるってのか」

カイト「ああ」

凌牙「俺には関係ねえ話だぜ。今の俺はただの」

カイト「ヤクザか」

凌牙「ああ!俺はヤクザで遊馬は教授…てめえは科学者じゃねえか!」

カイト「…」

凌牙「てめえの生活を手放せるのか?」

カイト「俺の代わりは幾らでもいる」

凌牙「俺にはいねえんだよ。そもそもそういう問題じゃねえんだよ!」

カイト「デュエルモンスターの世界でこの世界へ侵攻しようとする輩が居るそうだ」

凌牙「関係ねえよ」

カイト「だろうな。お前には関係の無い話だ」

凌牙「精々頑張って来いよ」

カイト「…」

凌牙「…」

ドルべ「聞いているのかナッシュ」

凌牙「最近暴れてねえよな」

ドルべ「そうだろうな君は」

凌牙「会長だからか」

ドルべ「…」

凌牙「俺の腹ん中のデュエリスト魂が煮えたぎっちまってよ」

ドルべ「…そうか」

凌牙「どうせ止めるんだろ?悪りいが俺は!」

ドルべ「会長代行なら任せてくれ…我々のシマは守り抜く」

凌牙「な、何だそりゃ」

ドルべ「どうせこうなるだろうと思ったよ。やはり君は生粋のデュエリストだな」

凌牙「いいのかよ」

ドルべ「頑固者のミザエルや下の連中の中には反発の声が上がるだろう…だから私が居る」

凌牙「…」

ドルべ「君が留守の間は私が組織を守り抜く。それだけは今も昔も変わらない事だ」

凌牙「すまねえな」

ドルべ「君の思いつきは今に始まった事ではないからな」

凌牙「言ってくれるじゃねえか」

ドルべ「何年の付き合いだと思っているんだ」

凌牙「数えたら日が暮れちまうぐらいの付き合いだわな…」

ドルべ「会の手綱は私が握る。存分に暴れて来いナッシュ」

凌牙「任せとけよ。必ず生きて帰って来るからよ」

ギラグ「…」

アストラル「この穴を潜ればデュエルモンスターの世界だ」

カイト「…」

凌牙「待てよ」

アストラル「シャーク!?どうして君が!」

凌牙「別にいいじゃねえか」

アストラル「しかし君は」

遊馬「俺も居るぜ」

アストラル「遊馬…」

カイト「家族はいいのか」

遊馬「安心しろよ。大丈夫だって!」

アストラル「良くここがわかったな」

遊馬「ただでさえ目立つカイトが表でウロウロしてるんだぜ?それに」

アストラル「それに?」

遊馬「アストラルの居場所なら何処だろうと見つけてやるぜ!」

アストラル「遊馬…言ってくれるじゃないか」

凌牙「俺達はもう若くねえ…こんな戦いは二度とねえかもしれねえ」

カイト「ヤクザのお前が言う事か」

凌牙「うるせえな!」

遊馬「そういや何処に行くんだ?」

アストラル「そこからか…」

カイト「家族も組織も放り出して幾つになっても身勝手な奴らだ」

凌牙「放り出す?放り出しちゃいねえよ」

遊馬「必ず帰る!俺達4人が居れば誰にも負ける気はしねえよ!」

カイト「フッ」

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