後輩「先輩、ただいま戻りました」先輩「ん、おかー」 (158)

後輩「……先輩」

先輩「ん、何?」

後輩「誤爆してますよ、それ」

先輩「はっ、しまった。無意識のうちに」

後輩「ええ……?」

先輩「……ま、気にするような内容でもないしいっか」

後輩「もう、気を付けてくださいね?」

先輩「んむ、承知した」

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先輩「後輩ちゃん、もうご飯は食べてきた?」

後輩「いえ、まだですけど」

先輩「よっしゃ!それじゃこれ食べよこれ」

後輩「コップヌードル究極の全部乗せ味……ですか」

先輩「昨日出た新作なんだってさ」

後輩「また不摂生の塊のようなものが出ましたね」

先輩「いらない?」

後輩「いえ、もちろんいただきます」

後輩「この雑多な感じたまりませんね」

先輩「だねー」

後輩「……ふぁ」

先輩「後輩ちゃん、お疲れモード?」

後輩「え……と。全く、と言ったら嘘になりますかね」

先輩「今日はやめとく?」

後輩「いえ、せっかく明日休みですし。付き合わせてください」

先輩「無理だと思ったらいつでも言ってね」

後輩「はい、もちろん」

先輩「よーし、今日こそペアで攻略しよう」

後輩「頑張ります」

先輩「それじゃ私が先行して釣るから、後輩ちゃんはヒール優先で」

後輩「了解しました」


先輩「~♪」

後輩「……」

先輩「後輩ちゃん、攻撃バフのリキャあといくつ?」

後輩「あ、えっと、あと30秒です」

先輩「よーし、そいじゃそれまでいっちょ耐えますかぁ」

後輩(先輩、私のリキャ管理まで……)

後輩(私も頑張らな……)

先輩「後輩ちゃん、危ないっ!」

後輩「あっ……」

先輩「ふぅ、盾がなければ即死だったぜ」

後輩「すいません、先輩」

先輩「んーん、これも盾の務めさ」

先輩「ふー、お疲れ様」

後輩「お疲れ様でした」

先輩「なんとか行けてよかったよ」

後輩(先輩、前回から相当練習したんだろうな……)

先輩「後輩ちゃん?」

後輩「すいません、終始足を引っ張ってしまって……」

先輩「……」

後輩「その、やっぱり先輩は普通にパーティ組んだほう……にゃっ!?」

先輩「そんなこと言うのはこの口かー?」

後輩「せ、先輩っ、ヘッドホンしてる相手を背後から襲うのは卑怯ですよっ」

先輩「んふふ、集中してるときの後輩ちゃんは相変わらず無防備だなぁ」

後輩「むむ……」

先輩「……どーんっ」

後輩「わわっ」

先輩「少し休憩しようか」

後輩「え、でも……」

先輩「私が休憩したいの」

後輩「……ありがとうございます」

先輩「いえいえ、こちらこそ」

後輩(……先輩のふともも、柔らかい)

後輩(……いい香り)

後輩「……すぅ」

先輩(ふふ、無防備な寝顔)

先輩(……)

先輩「……ぐぅ」

つづく

後輩「……ん」

後輩(あれ、私……寝てたのか)

後輩(今何時だろ……む)

先輩「ぐごー……ぐごー……」

後輩「……ふふ」

後輩(相変わらず、だらしない寝顔)

後輩「んぅー……っ」

後輩(真っ暗だけど日付は変わってる)

後輩(先輩が起きてくるまでに、ソロで出来る日課終わらせておこう)

後輩(あ、そろそろ次のスキル覚えられる)

後輩(補助を増やすか火力を取るか……)

後輩「……」

後輩(先輩起きてきたら聞いてみよう)


後輩「……ふぅ」

後輩(……しかし、自分でもここまで続くとは思ってなかったな)

後輩(まぁ、ソロなら続けてなかったと思うけど)

『ねぇねぇ、後輩さん』

後輩『……はい、何でしょうか』

『後輩さんって、ゲームとかするの?』

後輩『……いえ、普段はあまり』

『だったらね、チョーおすすめのゲームあんの。パソコンは持ってるよね?』

後輩『はぁ、まぁ……』

『じゃあ、決まり!』

後輩『ドラゴンファンタジア……?』


【最終ログイン:二ヶ月前】

後輩『……チョーおすすめ、とは何だったのか』

後輩(まあ、あれが無ければ先輩と出会うことなんて絶対無かったでしょうから)

後輩(そういう意味では感謝してますが)

先輩「……むぎゅーっ!」

後輩「っと」

先輩「くくく、あれだけ言ったのに背中がお留守だ」

後輩「危ないのでさっきみたいに引っ張るのはナシですよ」

先輩「おはよ、後輩ちゃん」

後輩「おはようございます、先輩」

先輩「とりあえずデイリーぱぱっと消化しちゃおうか」

後輩「はい、参りましょう」

先輩「あ、そうだ。新しい武器試したいから、殲滅遅かったらごめんね」

後輩「そう言って遅かったことないですのでお構いなく」

先輩「そう言ってもらえると助かるー」

後輩「では先輩こちらからも一つ」

先輩「なんじゃらほい」

後輩「そろそろ新しいスキルを取ろうと思うんですが」

先輩「ほうほう」

後輩「どれがいいですかね?」

先輩「んー……」

先輩「後輩ちゃんのキャラってサポ専だよね?今」

後輩「はい、そうですね」

先輩「サポ特化ならヒーラーのスキルツリーを伸ばすのがいいけど……」

後輩「やはりそうなりますよね」

先輩「あと変わり種だとサモン系のスキルも面白いかもね」

後輩「サモン系……ですか」

先輩「ある程度勝手に戦ってくれるから楽だし。ヒーラー系ならトーテム招来とかサモンフェアリーとかだね」

後輩「なるほど」

先輩「戦闘用なら悪魔召喚とかもいいかな。サポ用のステ振りでもそこそこ戦力になるから」

後輩「参考にします」

先輩「うむ、私もメインでやったことは無いからあくまでも参考程度にね」

後輩「いえいえ、助かります」

後輩(そう、私のキャラはサポ特化)

後輩(普通は初心者でやる人がほとんどいない育成方針だ)

後輩(それもそうだろう、攻撃スキルが皆無なせいで序盤のレベル上げすらままならなかったのだから)

『君、もしかしてサポ専?』

『いきなり話しかけてごめんね。よかったらパーティー組まないかなって』

後輩(あれがなければ多分、あの日に辞めてたな)

後輩(……しかし、あの時の私の挙動不審っぷりと言ったら)

後輩(思い出しただけで恥ずかしい)

後輩「あれ、先輩」

先輩「何だね、後輩ちゃん」

後輩「随分と豪快なイメチェンですね」

先輩「似合うだろ、チョンマゲ」

後輩「半巨人族だと威圧感凄いです」

先輩「よし、肩車だ!」

後輩「先輩好きですね、それ」

先輩「ピュアホビットを肩車する紛うこと無き変態」

後輩(ゲーム内ではせめて小さく可愛くと思って選んだ種族だったけど)

後輩(なんだろう、少し悔しくもある)

後輩「……先輩」

先輩「んお?どうしたの、後輩ちゃんから甘えてくるのは珍しいね」

後輩「……言わないでください」

先輩「おっと、ごめんごめん」

後輩(……我ながら実にアホらしい)

こんな風に架空のMMOの話をだらだらと

用語解説とか需要あります……?

スレ自体に需要がなかったみたいですね……すいません
ありがとうございました

先輩「ちょっととーいれ」

後輩「いってらっしゃい……って、先輩。ヘッドホン付けたままですよ」

先輩「~♪」

後輩(行っちゃった……天然でやってるのかな)

後輩「……ん」

後輩(個人telの音……)

後輩(……)

『今度またギルハン行こー?最近一緒に行けてなくて寂しいよー』

後輩(……そういえば先輩、ギルドのサブマスなんだっけ)

後輩(ペア狩り始めてからずっと一緒にいるけど……その辺りはどうなっているのかな)

後輩(ログ……は流石に)

後輩「……っ」

後輩(水の音……急いで戻らなきゃ)

先輩「ふいー……あれ、音漏れ?」

後輩「先輩、ヘッドホン付けたままですって」

先輩「うお、マジだ!」

後輩(天然だったのか……)

後輩(……)

先輩「成功率5%は宇宙を感じるな……」

後輩(……もやもやする)

先輩「ああ、合成失敗のSEトラウマになりそう」

後輩「ねぇ、先輩?」

先輩「んー?」

後輩「たまにはギルドの活動とか、戻られてもいいんですよ」

先輩「……どしたの、急に」

後輩「へ?あ、その……さ、最近私に構ってばかりですし……」

先輩「……わしゃわしゃっ」

後輩「あひいっ」

先輩「妖怪ログ漁りめ」

後輩「……すいません」

先輩「んーん、こっちこそごめんね。言わなきゃバレないのに、言わずにはいられない気持ちにさせちゃったんだもの」

後輩「……そんなこと」

先輩「後輩ちゃんと遊ぶのが楽しくて、ついついね」

後輩「……あまりに直球過ぎやしませんか」

先輩「下手に嘘つくのも得意じゃないしね」

後輩「私も楽しいです、先輩と一緒だと」

先輩「嬉しいこと言ってくれるじゃないのー」

後輩「く、くすぐったいですよ先輩」

先輩「後輩ちゃんが心配するなら、たまには向こうにも顔出すよ」

後輩「……はい」

先輩「しかしまあ、ギルマスから催促来るくらいには空けちゃってたのかー」

後輩「早いものですね」

先輩「もうすっかりここが我が家だよ」

後輩「あながち間違いでもないですかね……先輩の荷物のが多いですし」

先輩「後輩ちゃんに無駄がなさすぎるのだ」

後輩(確かに、先輩が来るまでは机とその周辺以外全く物を置いてなかったな……)

『ねぇ、よかったらだけどさ。オフで会ってみない?』

『お、おふ……ですか』

『うん、オフです』

『実際に会って話を……ってことですよね』

『そそ』

『……』

『やっぱ抵抗ある?』

『無い、と言えば嘘になりますが……』

『そかー』

『……いえ、何事も経験ですね。私もお会いしたいです』

『無理はしなくていいよ?』

『無理はしてません』

『ほんとにほんと?』

『ほんとにほんとです』

後輩(人付き合いの苦手な自分が、あんな返答を返すなんて、正直今でも信じられない)

後輩(……無理はしてません、ってのは嘘だったけど)

後輩(あの時はまだ、先輩の事を男の人だと思っていたし)


『どこ住み?』

『南の方の……』

『わお、奇遇!どの辺かな』

『駅近くの……』

『もしかしたら、歩いていけるかも』

『え?近くにお住まいなんですか』

『うんうん、それじゃそっちの暇な日教えて~』

『え、えっとですね……』


後輩(それからとんとん拍子に話が進んで)

後輩(お互いに見た目とは真逆のキャラを使ってた事を知って)

後輩(気づけばこうして、半同棲みたいになってた)

後輩(……これって普通?初めてのオンラインゲームだから分からない)

先輩「装備を作るための装備を作るための装備集め……何この苦行」

後輩(先輩はこういうの、初めてじゃないのだろうか)

先輩「……」

後輩(オフ会切り出してきたのも先輩だったし、それに……)

先輩「ぴーしっ」

後輩「おうっ」

先輩「難しい顔。つまらないならはっきり言ってもいいんだよ?」

後輩「いや、つまらないとかそんなことは」

先輩「……じー」

後輩「……」

後輩(場にそぐわない思考だけど、こういう時の先輩小動物みたいで可愛い)

先輩「……それならいいんだけど」

後輩(怒らせてしまったかな……ごめんなさい、先輩)



後輩「それじゃ、先輩。私もう行きますね」

先輩「ういー、いってらっしゃい」

後輩「出掛けるときはちゃんと戸締まりお願いしますよ」

先輩「かしこまー」

後輩(いまいち休んだ気がしない……目、腫れてないよね)

先輩「あ、後輩ちゃん」

後輩「はい?」

先輩「ちょっと屈んで」

後輩「髪跳ねてますか?場所を言っていただければ」

先輩「いいから屈む!」

後輩「……」

先輩「くしくし……うん、これでよし」

後輩(背伸び先輩……抱きしめたくなる)

後輩(……我慢だ我慢)


後輩「ありがとうございます、先輩」

先輩「それじゃ、おいきなさい!」

後輩「はい、行ってきます」

後輩「……ふぅ」

後輩(前までは何も考えなくて済むから仕事も嫌いじゃなかったけど)

後輩(今は早く帰りたいって感情ばかり先走る)

後輩(……思考が先輩に似てきた?)

後輩(……いいのやら悪いのやら)

後輩(よし、これで……)


「後輩くんしいいかな」

後輩(……嗚呼、返事したくない)

後輩「……なんでしょうか」

「今日、この後残れないかな?少しでいいんだけど」

後輩「……」

後輩(……スキル熟練度5倍って、今日までだったよね)

「頼めそうなの後輩くんくらいしかいなさそうでね」

後輩(頼みやすそうなのが、の間違いでは……?)

後輩「……分かりました」

後輩(すいません、先輩……)

後輩(はぁ、結局日をまたぐし……)

『遅くまでごめんね、よかったら少し奢らせてくれないか?』

後輩(じゃ、ないだろうが!コノヤロー……)

後輩(……はぁ)

後輩(次こそは断ろう、次こそは……)


後輩「ただいま戻りましたー……」

先輩「……」

後輩(先輩、気付いてない……?)

後輩(……たまにはいつもの仕返しをしてみようか)

後輩(そーっと、そ~っと……)

先輩「獲物を前に舌なめずり……三流のすることだな」

後輩「っ!!」

先輩「今だ、逆不意打ちっ」

後輩「きゃっ……」

先輩「おっと、と……っ」

後輩「っ……」

先輩「流石後輩ちゃん。クッション性抜群でなんともないぜ」

後輩「先輩は、ですよね……?いてて」

先輩「まあ不意打ちしようとした事は水に流してあげるから、おあいこと言うことで一つ」

後輩「……腑に落ちません」

先輩「……まだやるかい?」

後輩「……がし」

先輩「お?」

後輩「むぎゅー」

先輩「むおっ!?」

後輩「……」

先輩「むご、ご……」

後輩「……またやりますか?」

先輩「げ、元気一杯……ダ、ゼ」

後輩「……ぎぅ」

先輩「――――っ!!」

先輩「地球上で最も強力な毒ガス……」

後輩「いくらなんでも真空にはなりませんって」

先輩「……ふふ、後輩ちゃん」

後輩「はい?」

先輩「なーでなで」

後輩「せ、先輩?」

先輩「今日も一日お疲れ様」

後輩「……お疲れ様でした」

先輩「もう寝る?」

後輩「いえ、日課くらいは」

先輩「そか、なら一緒やろうよ」

後輩「……はい、助かります」

後輩「先輩、その装備」

先輩「お?気付いたかね。やっと強化に成功したんだ」

後輩「強化上限まで行くと光り方も尋常じゃありませんね」

先輩「スキルエフェクトも派手なやつなるからねー。斧は元から派手だけど更にさ」

後輩「……」

後輩(また装備差が開いてしまった)

先輩「後輩ちゃんも作るのチャレンジしてみる?素材集め自体はそんな難易度高くないし」

後輩「あー……と」

先輩「まあ暇人御用達みたいなとこあるし、現状でも装備は十二分だと思うけど」

後輩「……いえ、やりたいです。やらせてください」

先輩「そう?じゃあ出来る限り手伝うよ」

後輩「いつもすいません」

先輩「そこはすいませんじゃなくてありがとう、だね」

後輩「……はい、ありがとうございます」

先輩「やっぱMP自動回復バフあると範囲狩りが捗るわぁ」

後輩「その代わり、殲滅に助力は出来ませんが……」

先輩「いーのいーの、役割ってものがあるんだから。こういう時はこき使っていいのよ」

後輩「そうかもしれませんが……」

先輩「まあ、気持ちは分かるかな。盾専だったことあるし私も」

後輩「先輩が?」

先輩「意外かな?」

後輩「あ、いえ。そんな」

先輩「いやいや、今のスタイル見たらそう思うのが普通だよ」

先輩「まあ後輩ちゃんもサポ専に飽きたら火力スキル取るといいよ」

後輩「飽きるわけではないんですが……雑魚狩りのときなんだか申し訳ないので」

先輩「んもう、気にし過ぎだよ。そういう所も可愛いけどさぁ」

後輩「可愛く……はないと思いますが」

先輩「そういう所もキャワイイ!」

後輩「せんぱっ、画面はちゃんと見ましょうっ」

先輩「三歩進んで二歩下がる……」

後輩「……手伝ってもらったのに申し訳ないです」

先輩「だーから、こういう時はありがとうだって」

後輩「んっ……」

先輩「言ってるじゃ……って、いい声出すようになったね。後輩ちゃん」

後輩「……先輩が事あるごとに触ってくるからじゃないですか?」

先輩「いやー、触ってくれって言われてるような気がしてね」

後輩「……」

先輩「後輩ちゃん、目が怖ひ……」

後輩「……先輩じゃなきゃ怒ってますよ」

先輩「おやまぁ、随分と嬉しいこと言ってくれちゃって」

後輩「……フリじゃないですよ」

先輩「……じりじり」

後輩「フリじゃないですってばぁ!」

後輩「……はっ」

後輩(また寝てた……)

後輩「……」

後輩「……今の時間はっ!?」

後輩「……ひいっ」

先輩「あ、後輩ちゃん。おはー」

後輩「先輩、おはようございます……じゃなくて!」

先輩「うわお、朝から忙しいね」

後輩「忙しいも何も、もうお昼ですよ!」

先輩「まーまー、ゆっくりして」

後輩「無断欠勤になのにゆっくりなんて……」

先輩「無断ではないから大丈夫だよぉ」

後輩「……?」

先輩「電話来てたから。電話出れないくらい調子悪いんで休ませますって言っといた」

後輩「……」

先輩「勝手にごめんね。後輩ちゃんを会社に行かせたくなかったんだ」

後輩(その表情、ずるいなぁ……)

後輩「……次からは、ちゃんと起こしてくださいね」

先輩「うん、ゆっくりお休み。後輩ちゃん」

後輩「はい、お休みいただきます。先輩」

後輩(平日の先輩の様子って見たことなかったけど)

先輩「ふーん、ふふふん♪」

後輩(ほんとずっとゲームしてるんだな)

先輩「……じぃ」

後輩「……?」

先輩「休ませてまでゲームに付き合わせて、呆れてる?」

後輩(私そんなに嫌そうな顔、してるのかな)

後輩(職場でもたまに不機嫌そうって言われるしなぁ)

後輩「……」

後輩「平日にも先輩と遊べて嬉しいですよ」

後輩「……にこっ」

先輩「……」

後輩「あ、あれ。先輩?」

先輩「一旦、休憩」

後輩「は、はい」

後輩「あ、あの」

先輩「ぬー?」

後輩「少し足が痺れてきました」

先輩「おうふ、ごめんごめん」

後輩「あの、あの」

先輩「今度はなんだね?」

後輩「動けないんですが」

先輩「後輩ちゃん、ふかふかしてる」

後輩「ありがとうございます……」

先輩「んぅ~……」

後輩「……いや、じゃなくて」

先輩「びゃっ」

後輩「あ、すいません」

後輩(すいません……すいません、なのか?)

先輩「急に立ち上がると危ないよー」

後輩「平気ですか?先輩」

先輩「んむ、ちこっと打っただけ。丁度いいし再開するや」

後輩「私はもう少し休みますね」

先輩「あいよー」

後輩(先輩は私の気が乗らない時は無理には誘わない)

先輩「やっぱ斧は単体性能上がるけど防御に不安が残るなぁ」

後輩(……ああ言っておいてなんだけど、少し物足りない)

後輩「……ぽむぎゅ」

先輩「おう?」

後輩「……お気になさらず」

先輩「いや、無理があるよ。頭の上に乗せられちゃあ」

後輩「……なでりこなでりこ」

先輩「今いいとこだから、これ終わったら……」

後輩「……もふもふもふ」

先輩「……」


先輩「きっさまー!!」

後輩「きゃんっ」

先輩「お、後輩ちゃん。それって」

後輩「ふふ、気付かれてしまいましたか」

先輩「このなんとも言えないデザインが堪らない……」

後輩「今はまだそいつしか出せませんが、いろいろ種類も増えていくようです」

先輩「これなんのトーテムだっけ」

後輩「えーとこれは……豊穣のトーテムですね」

先輩「効果は?」

後輩「スキルレベル1なので……生産速度2%増加と生産性効率1%増加です」

先輩「ふむ、生産補助系か」

後輩「全部これからの派生らしくて、とりあえず1に」

先輩「あー、あるよねそういうめんどいの。パッシブ系はほんとめんどい」

先輩「しかし、これからどんなトーテムが出てくるか楽しみだよ」

後輩「wikiとかに画像あったような気がしますが」

先輩「ちっちっち、後輩ちゃんわかってないなあ」

後輩「……?」

先輩「ピュアホビットのカワイコちゃんがアジアンテイストな衣装で呼び出すから価値があるんだよ」

後輩「そういうものですか……?」

先輩「未着用のスク水よりも、着たあとのスク水のほうが価値が高いのと同じね」

後輩「すいません、それはよく分からないです」

先輩「いやー、しかしキモカワだねキモカワ」

後輩(先輩って、なんか妙なもの好きな傾向にあるな)

先輩「エモート『なでる』」

後輩(……!)

先輩「流石にペットみたいに固有の反応はないか」

先輩「エモート『ハグする』」

後輩(……!!)

先輩「ふぅ、満足」

後輩(……)

後輩「エモート『蹴る』」

後輩「あ、電話……」

先輩「おっと、重要なやつ?」

後輩「……会社から、です」

先輩「おうち、こっちは気にしないで早く出な」

後輩「すいません、先輩」

先輩「いやいや、私のせいな所もあるし」


後輩「お疲れ様です」

後輩「……はい、すいません。はい……」

後輩「……はい、では明日改めて、はい」


後輩「……ふぅ」

先輩「怒られた?」

後輩「いえ、怒られるというより心配のほうが強かったと思います。こんな事初めてなので」

先輩「それならいいんだけど……これからは気を付けます」

後輩(……そういえば、今日一日先輩と一緒にいたけど)

後輩(先輩は何の仕事、してるんだろ……?)

後輩(まだまだ先輩については知らないことばっかりだ)

先輩「後輩ちゃん?」

後輩「は、はわっ?」

先輩「今日はこのくらいにしておこっか。またお寝坊してもいけないし」

後輩「は、はい。分かりました」

後輩(……今度覚えてたら聞いてみよう)

つ つ く

後輩「……おはようございます」

「おはよう、後輩くん。もう出てきて大丈夫なのかね?」

後輩「はい、ご迷惑をおかけしてすいません」

「いやいや、身体が第一だ。迷惑だなどと考えなくていい」

後輩「……ありがとうございます」


『流石、部長のお気に入りは違うわね』

『ちょっと、聞こえちゃうわよ』


後輩(……聞こえるように言ってるクセに)

後輩(気に入られたいなら自分達もちゃんと働けば……)

後輩(……こういうこと考えるの、やだな。馬鹿馬鹿しい)

後輩「お疲れ様でした」

「あ、後輩さんっ」

後輩「……何ですか?」

後輩(同じ部署だったのは覚えてるけど……誰だっけ)

「えっと、その……お体大丈夫ですかっ」

後輩「はい、ご迷惑おかけしてすいません」

「い、いや!ご迷惑だなんて、その……そんな事言わせたかったわけじゃなくて……」

後輩「……?」

「こ、この後時間ありますか!」

後輩(最近なんなんだ……)

『ねー、一緒に飲みに行きましょー?』

『その人誘っても無駄ですよ、散々私達も誘いましたしー』

「え、え?」

後輩(……たまには役に立つ)

「あ、後輩さん、後輩っ!?」

後輩「ああもう……」

後輩(次は……うわ、結構待つな)

後輩「……」

後輩(……先輩にメールしとこう)


後輩『電車一本乗り遅れたので、結構遅くなります』

後輩「……送信、と」

後輩(まあ私が遅れたから先輩になにか支障があるわけでは……ん)

後輩(返信、早いな)

後輩(……クラゲの絵文字)

後輩(ほんと脊髄反射でメール返すよなぁ先輩)

後輩「……ふふ」

後輩「あ、いけない。これだ、乗らなきゃ」

毎回ぶつ切りですいません
不定期に更新できる時にやっていきます

後輩(一本遅れるだけでこんな時間になっちゃうんだ……)

後輩(残業してないのに残業したみたいな気分……最悪)

後輩(次からは何か言われても徹底的に躱そう、そうしよう)

後輩(……この思考も何回目?)

後輩(ふぅ……やっと着いた愛しき我が家よ)

後輩「ただいま、戻りました」

後輩「……先輩?」

後輩(またいつものパターンかな)

後輩「あ」

先輩「……」

後輩(……寝て、る)

後輩(いやいや、油断は禁物)

後輩「そろーり……」

後輩(……)

後輩(ここまで近寄っても……反応ない)

後輩(机の上にエナドリに、操作無しで強制ログアウトされた画面)

後輩(寝ないでやってたのかな、先輩)

後輩(髪跳ねてる。ふふ)

後輩(……甘い匂い)

後輩(同じシャンプー使ってるはずなのにな、自分とは全然違う……)

後輩(……)

後輩(…………)

先輩「……んが」

先輩(不覚、眠ってしまってたか)

先輩(ケチってエナドリにせずちゃんとした眠気覚ましにしておけば……ん)

先輩(身体、重……)

後輩「……すぅ……すぅ」

先輩「後輩ちゃ……むぐ、ん」

先輩(後輩ちゃんがスーツのまま寝てるなんて、よっぽど疲れてたんだろうし。起こすのは可哀想だよね)

先輩(ああ、でも昨日はそのせいで迷惑かけたんだっけ)

先輩(ああー……うー……)

先輩(……しかし後輩ちゃん、やわこいなぁ)

先輩(誰にでもこうではないと思うけど、わてくし心配にございます)

先輩(……)

先輩(出来るだけ最小の動きで、ログインを……)

後輩「……ん、ぅ」

先輩(お、思ったよりがっちりホールドされて……)

カンッ

先輩(しまった、空き缶に……っ)

後輩「む、ぅ……ん?」

後輩「……ハッ」

後輩「す、すいません先輩っ!私、こんなところで寝てしまって」

後輩(私あのまま寝ちゃってたんだ……!)

後輩「無駄にデカイから重かったですよねっ、本当に申し訳……」

先輩「後輩ちゃん後輩ちゃん」

後輩「は、はい?」

先輩「後輩ちゃんは自分の価値を理解してなさすぎ」

後輩「え、え?」

先輩(まあ、あんまり理解されても困るけどさ……)

後輩(先輩、難しい顔してる……)

後輩「とりあえずお風呂入って着替えてきますね」

先輩「お風呂いーね、お風呂」

後輩「先輩が先入りますか?」

先輩「え?」

後輩「え?」

先輩「めんどうだし一緒に入ればいいじゃんいいじゃん」

後輩「いや、それは流石に……うちのお風呂狭いですし……」

先輩「私は気にしないよ」

後輩「……むむむ」

先輩「何がむむむだ」

後輩「はわわ……」

先輩「……そんなに嫌なら、別に無理は言わないけど」

後輩「いや、とかじゃ……なくって……」

先輩「なら決まり」

後輩「は、はいぃ」

次回
欲求不満なわがままボディを持て余した後輩ちゃんと先輩が行き着く先は……?
※内容は変更になる場合があります

先輩「あー、いい風呂」

後輩「先に体、洗いますね」

先輩「んむー」

後輩「……ごしごし」

先輩「じいー……」

後輩「……あ、あのぅ。先輩」

先輩「どした?」

後輩「その、あまりじっと見つめられると……やり辛いというか、なんというか」

先輩「えー?減るもんじゃないじゃん」

後輩「減るなら減って欲しいですけど……」

先輩「イヤミか貴様ッッ」

後輩「暴れないでください狭い浴室でッッ」

後輩「先輩」

先輩「おう?」

後輩「泡、凄いですね」

先輩「……もしかして、このボディーソープ高いやつだったりする?」

後輩「いえ、そういうわけでは無いんですが」

先輩「そう?」

後輩「はい、思う存分どうぞ」

先輩「それじゃお言葉に甘えて……あわ♪あわ♫」

後輩「……」

後輩(先輩、スタイルいいな……私も無駄に大きくなければよかったのに……)

先輩「……によによ」

後輩「ハッ……」

先輩「あまりじっと見つられますとーやり辛いと言いますかー、そのー」

後輩「むぐぐ……す、すいません」

先輩「んふふー」

後輩「な、なわっ……」

先輩「可愛いからゆるーす」

後輩「あの、あの、先輩」

先輩「逃げようとしても無駄ゾ?」

後輩「泡がまだ髪に……」

先輩「へ……?いぎゃうっ!?」

後輩「大丈夫ですか?先輩」

先輩「……まだしぱしぱする」

後輩「……」

後輩「妙なことするから。自業自得ですよ、先輩」

先輩「……ぎろり」

先輩「後輩ちゃんのくせに生意気だーっ」

後輩「だから、暴れないでくださいってば!」

先輩「あははっ」

後輩「もう……くすくす」

後輩(先輩の髪、同じシャンプーの匂い……あの匂いはシャンプー関係ないんだ)

先輩「隙ありっ」

後輩「ひんっ!!」

先輩「ええのんかー、ここがー」

先輩「……っ!」

後輩「……」

先輩「後輩、ちゃん?」

後輩「……」

先輩「め、めがこわいよ……?」

後輩「うがーっ!」

先輩「はひ……は……」

後輩「はぁ……はぁ……」

先輩「う、でを……あげ、たな……」

後輩「……先輩、が……くすぐりに弱すぎなだけ、です……」

先輩「……はふー」

後輩「……ふぅ」

先輩「……のぼせないうちに、あがろっか」

後輩「……はい、そうしましょう」

先輩「先に脱衣所使っていいよ」

後輩「ありがとうございます」

先輩「……直だとさらにやらけぇのか」

後輩「なんか言いました?」

先輩「なーんもー」

ゆっくり続けていきます
リクエストもゆっくり消化

先輩「風呂上がりはーぎゅうにゅー」

後輩「私も貰っていいですか」

先輩「ん、いーよ」

後輩「……んく……んく」

先輩(共食い……)

後輩「……?」

先輩「後輩ちゃんも牛乳好き?」

後輩「はい、小さい頃はよく飲んでました」

先輩「小さい頃【は】か」

後輩「はい……【は】です」

先輩「私は小さい頃【から】かな」

後輩「【から】ですか」

先輩「んむ」

後輩「……」

先輩「……」


先輩「やっぱりカルシウムなんてまやかしか」

後輩「そう、なんですかねやっぱ……」

先輩「でもさ、最近はまたよく飲んでるよね」

後輩「先輩が飲んでるのを見たら美味しそうで」

先輩「あー、なんか分かるかもそれ」

後輩「先輩先輩」

先輩「んゆ?」

後輩「おひげが付いてます」

先輩「んー、ありあおー」

後輩(こうしてるとほんと、年上ってこと忘れちゃうなぁ)

先輩「さーてとクールダウンも済んだところで、今日もやりますかぁ」

後輩「やりますかー」

後輩(トーテム強いなぁ……置いておけば勝手に戦ってくれる)

後輩(トーテムが本体、なんて言われてるらしいけど)

先輩『キモカワだね、キモカワ』

後輩(それでもいいかなあ……ん)

後輩「あの、先輩」

先輩「ん、なにー?」

後輩「なんだか見慣れないキャラが歩いてます……敵対モブじゃないみたいですけど」

先輩「ふっふっふっ……気付いてしまったか」

後輩「?」

先輩「それも私だ」

後輩「まさか、先輩もサモンを?」

先輩「うむ、そのとーり!」

後輩「なんでしたっけこれ、チュートリアルで見たような……」

先輩「おー、よく覚えてるね。マンドラネギだよ」

後輩「ああ、それですそれ」

後輩(こいつは普通に可愛いな……)

後輩「エモート『つつく』」

先輩「エモート『平手打ち』」

後輩「どのジョブのスキルですっけこれ」

先輩「園芸師ー」

後輩(生産系は上げてないな……だから分からなかったのか)

後輩「生産系でも戦闘に使えるスキルあるんですね」

先輩「採取ポイントが狩場の近くだったりするからねぇ。まあ焼け石に水だけど」

後輩「こいつは何ができるんですか?」

先輩「火を吐きます」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「ネギですよね?」

先輩「ネギだね」

後輩(ほんとに火を吐いている……)

先輩「術者のステ振りが反映される上に自動回復までついてるから、妙に硬いネギだよ」

後輩「頼もしいネギですね」

後輩「エモート『なでる』」

先輩「……じろ」

後輩「あ、消えちゃった」

先輩「そんなネギより撫でごたえのあるイケメンがここに」

後輩「……」

後輩「……つつく」

先輩「んなっ」

先輩「つつく!」


後輩「モフる」

先輩「ハグる!」

見た目のイメージは違いますが、体格差はあんきらなイメージ
読んでる人がどんなイメージが気になるところ


ではまた

後輩(……眠い。眠い、けど)

後輩(あとちょっとでスキル上がりそうだし、上げてしまいたい……)

後輩「……くぁ」

先輩「大丈夫、後輩ちゃん。明日も仕事でしょ?」

後輩「だーいじょぶです……多分」

先輩「大丈夫じゃないやーつ、もう寝なさい」

後輩「……先輩は」

先輩「へ?」

後輩「先輩は寝なくてお仕事大丈夫なんですか?」

先輩「……あー、うん。そういや言ってなかったけ」


先輩「私、働いてないんだ。今」

後輩「……」

先輩「引く……よね、うん。それが普通だと思う」

後輩「あ、いや……その」

先輩「おいおいとは思いながらね、甘んじちゃってたな今の環境に」

後輩「……あ、ぅ」

先輩「……でもやっぱ、今日はもう寝よ?」

後輩「……はい」

後輩(……ほんとバカだ、私)

後輩「……」

後輩(……ダメ、眠れない)

後輩「……水、飲も」


後輩「んぐ、んぐ……っぁ」

後輩(……いつもなら先輩まだ起きてる時間)

後輩「……はぁ」

後輩(少し考えれば予想できた事なのに)

後輩(……そもそも、気にすることでもなかったよね)

後輩(それに、別に働かなくても私が……)

後輩(……)

後輩(…………)

後輩「……っぅ」

後輩(まぶし……朝?)

先輩「おはよ、後輩ちゃ……」

後輩「あ、おはよーございます、せんぱい」

先輩「後輩ちゃん、もしかして寝てない……?」

後輩「あー……たぶ、ん?」

先輩「とにかく、顔洗お!顔!」

後輩「……」

後輩(……先輩も、酷い顔)


またゆっくり、やってきます

後輩「……おはようございます」

「おう、おは……って、大丈夫か?」

後輩(……精一杯誤魔化したつもりだったけど、やっぱだめか)

後輩(……でも、一応とぼけてみよう)

後輩「……?」

「まだ体調が優れないようなら、休んでも良かったんだぞ」

後輩「いえ、流石にそれは……」

「そうか?まあ、あまり無理はせんようにな」

後輩「はい、ありがとうございます」

後輩(……優しさはありがとうございます、なんだけど)

『……ヒソヒソ』

『……ひそひそ』

後輩(……放っておいて欲しいときもあるな、正直)

後輩(こういう時、先輩なら気を利かせて放っておくか……)


先輩『後輩ちゃんになんか文句あるのか、(゚Д゚)ゴルァ!』


後輩「……クスクス」


『何笑ってんのあいつ』

『キモ……』

「後輩さん……」

『じゃ、うちらこの辺で上がりまーす』

「うむ、お疲れ」

後輩「……私は少し残ります」

「休みの時のことは気にしなくていいんだぞ?」

後輩「……いえ、そういうわけでは」

後輩(まだ少し、心の準備がしたいだけ……)

「そういうことなら無理に止めもせんが、ほどほどにな」

後輩「はい、ありがとうございます」

「あ、部長!自分も残っていいですか!」

「む……いや、ちょうどいいか。よろしく頼んだぞ」

「はい!」

『……』

後輩(……ありがた迷惑、と思っちゃいけないんだろうけど)

後輩「……ふぅ」

後輩「それじゃ、そろそろ帰ろうか」

「あ、はいっ」

後輩「ありがとうね、付き合ってくれて」

「いえ、自分が要領悪いだけですので……」

後輩「そんなことないと思うけどね……」

「そう、でしょうか……」

後輩(……何言えばいいか分からないや、こういうの苦手だ)

「で、ではっ、お疲れ様でしたっ」

後輩「うん、お疲れ様」


後輩「……んぅー、んっ」

後輩「……早く帰ろう」

後輩「……あれ」

後輩(鍵が掛かってる……珍しいな)

後輩「えーと、鍵、鍵……」

後輩(こうして鍵を探すのは久々な気がする)


後輩「ただいま帰りましたー」

後輩(……電気も、付いてない)

後輩「せんぱーい?」

後輩「……」

後輩(隠れてるわけでは、なさそう……?)

後輩「ん……なんだろう、この紙」


【今日は遅くなります。先に寝てていいからね。chuッ。先輩より】


後輩(……文面は柔らかいのに、やたら達筆な字。先輩で間違いなさそう)

後輩「……ふー」

後輩(遅くなります……か)

後輩(私も十分、遅くなったはずだったんだけど)

後輩(……先輩も帰りづらい、とか)

後輩「……」

後輩(ダメだ、落ち着かない)

後輩「……とりあえず、お風呂……」

後輩「はふー……」

後輩(後の祭り、後悔先に立たず、覆水盆に帰らず……)

後輩(このまま帰ってこないとか……ない、よね?)

ぶんぶんっ

後輩(悪い方にばっか考えるの、やめよう)

後輩「……あがろ」


後輩「先輩お風呂空きましたー……っと」

後輩「……あー」

後輩(部屋が凄く、広い) 

後輩「……ゲーム、しよ」

後輩「はふー……」

後輩(後の祭り、後悔先に立たず、覆水盆に帰らず……)

後輩(このまま帰ってこないとか……ない、よね?)

ぶんぶんっ

後輩(悪い方にばっか考えるの、やめよう)

後輩「……あがろ」


後輩「先輩お風呂空きましたー……っと」

後輩「……あー」

後輩(部屋が凄く、広い) 

後輩「……ゲーム、しよ」

後輩「……」

後輩(……こういう時まとめ狩りって、頭空っぽで出来るからいいな)

後輩(そういえば、範囲火力のトーテム使えるようになったんだっけ)

後輩「【天変地異のトーテム】ポチッ、と」

後輩(一気に4つ設置されるんだこれ)

後輩「4属性攻撃ってことかな……」

後輩(敵の注意を惹きつけるのもトーテムだし……どんどんトーテムが本体に)

後輩「……あっ」

後輩(しまった、巡回の強MOB引っ掛けた……っ)

後輩(いつもこいつ、どうしてたっけ……)

後輩(間違えて引っ掛けたときはいつも先輩が……)

後輩「あっ」

後輩(挑発トーテムが二発で……)

後輩(まずいまずい、どんどんトーテムがやられて……)

後輩「に、逃げな……い、と」

後輩(……一撃)

後輩(先輩のキャラ、こんな攻撃耐えてるんだ……)

先輩『美味しい狩場には定期的に3ランクくらい上のMOBが巡回にくるから、気をつけてね後輩ちゃん』

後輩(……今思い出しても遅いよ、ポンコツ頭)

後輩「……はぁ」

後輩(デスペナ喰らったら、むしろマイナス……)

後輩(五分の蘇生待機、してみようかな)


後輩(……あと二分)

後輩(こんな辺鄙なところにそうそう人も来ないか、やっぱ)

後輩(諦めて拠点に……)


【あなたのキャラは蘇生を受けました。許可しますか? >はい いいえ】


後輩(……あ、蘇生)

【中の人、まだいるかな?】

【巡回来るから、起きるなら早くしたほうがいいよー】

後輩(わ、あっ、えと……とりあえず、はいを押して……)

【ソロで巡回釣ると大変だよねー】

【サポ振りっぽいし尚更かな】

後輩「は、はい……そう、ですね」

後輩(ドラゴンナイトとバード……範囲狩りのペアかな)


竜「よかったら一緒に狩らない?」

詩「うんうん。三人いれば巡回も怖くないしねー」

後輩「へ?あ、えと……その」

後輩(…………)

竜「あー、いきなりで怖がらせちゃったかな……」

詩「ごめんね、唐突に」

後輩「いえ、その……よ、よかったら……ご一緒、させてください」

竜「おっ( ^ω^)おっ」

詩「喜んでー」

後輩(……私も自分で色々できるようにならないと、な)

ちびちびやります

竜「普段からソロでやってるの?」

後輩「いえ、普段はお二人と同じようにペアで」

詩「相方さんのジョブは?」

後輩「えーと……確か、セイントナイトです」

詩「タンヒラのペアかー、いいねー」

竜「なんだよ、含みある言い方だな」

詩「DPS二人のペアって、ねぇ?」

後輩「へ?あ、えーと」

竜「詩人も回復あるじゃん」

詩「癒やしのトーテムにも負ける軽いHOTがね」

竜「まー、確かにピュアヒーラーは違うねやっぱ」

後輩「大したことはしてないですが……」

詩「いやいや、ヒーラーやってくれてる時点で大したことなんだよ」

後輩「そう、なんでしょうか」

竜「うんうん。高レベル帯はヒーラー人口少ないからねぇ」

詩「サブスキルまでしっかり上げてる人なら尚更」

後輩「……」

後輩(なんだか、悪い気はしない)


竜「あ、経験値2倍切れた」

詩「ん、こっちもだ。ちょうどいいしこの辺にしておこうか」

後輩「あ、はい。分かりました」

竜「サポに回らせてばっかでごめんねー」

後輩「いえ、普段通りですので……」

詩「また誘っていいかな?」

後輩「えっ、あー……っと……は、い」

竜「フレ申請、送っとく!」

詩「よかったら許可、しといてねー」

後輩「……」

後輩「……はふー、ぅ」

後輩(先輩以外の人と遊んだの、いつ振りだろ……)

後輩(……なんでだろ、ドッと疲れた)

後輩(悪い人たちじゃ、なさそうだったけど)

後輩(……だめだ、ねむけが……)

後輩「……」


先輩「ただいまーっ、と」

先輩(おや?電気が点いてるな)

先輩「後輩ちゃん、こんな時間まで起きて……むぐ」

先輩(後輩ちゃん、また寝落ちしてる。最近疲れてるんだね)

先輩「……む」

先輩(チャットログ……)

後輩「……ん、ぅ」

後輩(関節、痛……)

後輩「時間……じか……ん」

後輩「……ひぁっ」

後輩「先輩っ、起こしてくれてもいいじゃな……」

後輩「……」

後輩「……今日、日曜……」

後輩「──はーっ」


後輩(……先輩、昨日帰ってこなかったのかな)

後輩「……んく、んく」

後輩「ぷは……」

後輩(なんか、一人いないだけで部屋ってこんな広く感じるんだ)

後輩「……」

『フレンド申請が2件届いています』

後輩(先輩、帰ってこなかった……んだよね?)

【>はい いいえ】

後輩(……気乗り、しないな)

【はい >いいえ】

後輩(でも、フレくらいいてもおかしいことじゃないし……)

【>はい いいえ】

後輩(…………)

ガチャ

後輩「……!」

後輩(ドアの音……っ)

先輩「お」

後輩「おかえりなさい、先輩」

先輩「ただいまなさい、ねぼすけくん」

後輩「たはは……お恥ずかしい」

後輩(先輩の外着、久々に見た気がする)

先輩「後輩ちゃん、もうお昼なんか食べた?」

後輩「いえ、さっき起きたところです」

先輩「おお、そいつは重畳」

後輩「?」

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