【ミリマスSS】瑞希、志保、紬「お帰りなさいませご主P様!」 (77)


キャラ崩壊祭り



【公園】



ミリP(以下P)「あっ、捨てアンドロイドだ」



瑞希「……」



P「雨の中こんな所に置いて行くなんて酷いことするなぁ。まったくもう」



瑞希「……」ソワソワ



P「うん?ダンボールになんか書いてあるぞ?」



P「えーっと?とても可愛いアンドロイドです、心優しい方どうか拾ってあげて下さい」



P「ほうほう……確かに可愛い顔してるぞ」ジ-ッ



瑞希「……」ドキドキ



P「ふぅ~、やれやれ、アンタも大変ですなぁ」



瑞希「……」ワクワク



P「じゃ、そう言うことで」



瑞希「待ってください」



P「わっ、喋った!」



瑞希「はじめまして、驚かせてしまってすみません。まず自己紹介を、私はメイド型アンドロイド、個体識別名は瑞希です。型番はとても長いので省略させて頂きます」



P「おお…これはこれはご丁寧に」



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瑞希「貴方のお名前はなんでしょう?」



P「俺の名前?」



瑞希「はい、とても知りたいです」



P「はじめまして、エンゼルスの大谷翔平です。特技は二刀流」



瑞希「オオタニ……?」



P「ああ、ウソウソ!ごめんなさい、ウソです」



瑞希「嘘?つまり、オオタニさんではないのですか?」



P「う、うん、違う間違えた。ごめんなさい」



P(ふぅ、やれやれ……どうやらアンドロイド娘には俺の高度なギャグは通じなかったみたいだぜ)



瑞希「そうですか。では、本当のお名前をぜひ」



P「Pです」



瑞希「Pさん。Pさんですね、教えていただきましてありがとうございます」



P「いえいえ、どういたしまして」



P「じゃ、そう言うことで」



瑞希「待ってください。待ってください」グイグイ

P「な、なんです、瑞希さん?」



瑞希「さん、という敬称は私達アンドロイドに必要ありません。呼び捨ててください。ぜひとも瑞希と」



P「そう?じゃあ、瑞希」



瑞希「はい。とても良い感じです」



P「俺に何か用?」



瑞希「Pさん、私は今とても困っています」



P「でしょうね」



瑞希「とてもとても困っています」



P「う、うん」



瑞希「そこで、廃棄された私を見つけ出してくれた心優しいPさんにお願いがあります」



P「いや、見つけ出すも何もすぐそこが帰り道だし」



瑞希「どうか、私を拾ってください」



P「うーん、そう言われてもなぁ……」



瑞希「やはり難しいでしょうか?」



P「そうだね。ちょっと俺の家では無理かな」

瑞希「面倒くさい家事や料理など私がたちまちに解決してみせます。どうかお任せを」



P「それは凄い」



瑞希「どうでしょう?」



P「でも、ウチは結構です」



瑞希「そ、そんな……っ」ガ-ン



P「本当に申し訳ない」ペコリ



瑞希「い、いえ……仕方のないことです。誰の責任という訳ではありません、お気になさらず」



P「でもなんで俺の家に来ようと思ったの?」



瑞希「Pさんなら……」



P「俺なら?」



瑞希「人が良さそうなので心の隙間につけ込めそうかな、と」



P「ゲスいな、おい」



瑞希「冗談を言ってみました。どうでしょう?伝わりましたか?」



P「ああ、良い感じだったよ」



瑞希「ほっ。それは良かったです」

P「じゃあ、俺行くよ。達者でな、良い人に拾われるように祈ってるよ」



瑞希「はい、Pさんもお元気で」









【P自宅前】



P「……あの子」



P「放置してきちゃったけど、ちょっと可哀想だったかなぁ」



P「せめて話くらい聞いて……ん?」



瑞希「じーっ……」



P「……」



P(身を隠してる電柱からガッツリ身体はみ出てるんですが、それは…)



P「おいこら、そこのアンドロイド」



瑞希「ぎ、ぎくりっ……」



P「もうバレてるぞ、早く出てきなさい」



瑞希「こ、ここっ、こんな所で再会するとは、き、きききき、奇遇ですね。Pさん」



P「ストーカー…」ボソッ



瑞希「ち、違います。ストーカーはストーカーでも正義のストーカーです」



P「結局ストーカーじゃねぇか!まったく、やけにあっさり引き下がるから変な気はしてたんだ」

瑞希「う、うう、ど、どうか、ポリスメンだけはどうかお許しをPさん」



P「どうすっかなぁ、俺もなぁ」



瑞希「……っ」プルプル



P「はぁ、まったく……ついて来い、言い訳は部屋でゆっくり聞いてやる」



瑞希「はい、わかりまし……はい?部屋、部屋というのは」



P「俺の部屋に決まってるだろ、どうした?来ないなら別にいいけど」



瑞希「行きます。ぜひ行かせてください」



P「そうか、じゃあこっちだ」



瑞希「あの、Pさん」



P「ん?」



瑞希「ありがとうございます」ペコッ



P「礼なんていいよ。まぁ、困った時はお互いさまっていうし多少はね?」



瑞希「使ってもらえるよう、精一杯アピールさせて頂きます」



P「ははっ、期待しておくよ」

【P自宅】



瑞希「失礼します。おお、ここがPさんのハウスですか、なるほど。いいお部屋ですね」



P「まぁ、いろいろ知り合いのツテを使ってな。マンションで結構広めの部屋を借りれたんだよ」



P「まぁ、難点は駅から少し歩くとこかな」



瑞希「そうですか。大変失礼ですが、Pさんはこちらにお一人で?」



P「ああ、そうだけど」



瑞希「それはそれは、このお部屋にお一人だとさぞ孤独でしょう?私とかどうでしょうか?私とか」



P「さっそく営業かい。まぁ、とりあえず上がってくれ」



瑞希「失礼します」



P「えーと、まずは……」



瑞希「はい、なんでも仰ってください。ご期待に必ずお答えします」ボロボロ



P「……汚れてるし風呂に入ってきなさい」



瑞希「お風呂ですか?」



P「ん?アンドロイドって風呂入れないの?」



瑞希「いえ、入れます。入れますが……」



P「じゃあ入って、どうぞ」

瑞希「あの、Pさん。本当によろしいのですか?入ってしまって」



P「えっ?いいけど」



瑞希「で、では、遠慮なく」






その後





瑞希「上がりました。Pさん着替えまで準備して頂いて、ありがとうこざいます」



P「別にいいよ、それにその痛Tシャツ買ったはいいけど、着る勇気なかったからさ?むしろ使ってくれて感謝だ」



瑞希「あまりいい生地ではありませんが、着替えも無いのでとても助かります」



P「正直すぎるわ。ところで風呂はどうだった?」



瑞希「緊張しました」



P「はは、なんで緊張するんだよ」



瑞希「お風呂は研究所での実験テストの時以来だったので」



P「えっ、そうなの?」



瑞希「はい。ロールアウトして今までは身体を拭くくらいで」



P「前の家では風呂入れてくれなかったのか?」



瑞希「そうですね。でも仕方ない事です、いくら見た目は人間と同じといっても、私はアンドロイドですので、やはり区別は必要かと」



P「ふーん?でもまぁ、ここにいる間はお風呂入っていいから」

瑞希「わかりました。ありがとうこざいますPさん」



瑞希「Pさんが、うっかり私の生着替えを見ちゃうハプニングが起こるよう頑張ります。どきどき」



P「そんなの頑張らなくていいから」



P「さて、風呂から上がったところで、とりあえず瑞希の料理の腕前を見たいんだが」



瑞希「それはお前を美味しく頂いちゃうぞ?という事でしょうか?」



P「やっぱ追い出そうかな……」



瑞希「待ってください待ってください。冗談ですPさん」



P「一々ボケんでよろしい。とりあえず何か作れるか?」



瑞希「ええ、お任せください。そうですね……」



瑞希「カレーライスなどいかがですか?」



P「カレーかぁ、いいかもな。確か冷蔵庫に材料はあったと思うから好きに使ってくれ」



瑞希「はい。では早速調理の方に入ります」





その後





瑞希「できました」



P「おお、見た目はまともだ」



瑞希「当然です。えっへん」

P「じゃあ早速頂きます、あむっ……もぐもぐ」



瑞希「ど、どうでしょうか?どきどき」



P「……い」プルプル



瑞希「Pさん?」



P「甘ーーーいっ!!」



P「なんじゃこの、甘い甘すぎるよ小沢さんカレーは!?」



瑞希「甘いものを食べると人間は元気になると聞きましたので」



P「限度があるわ!」



瑞希「そんな……?」



P「瑞希って本当に料理できるの?」



瑞希「ぎ、ぎくり」



P「なんか、このカレー見る限り怪しくなってきたんだが」



瑞希「つ、作れます。作れますとも」



P「じゃあ得意料理は?」



瑞希「……び、びしそわーず的なやつですね」

P(うわー、めっちゃ嘘っぽい)



P「見栄張らなくいいぞ?」



瑞希「すいません。実は料理を作ろうとすると全て甘くなってしまう仕様でして」



P「えっ、なにその変な仕様」




その後





P「料理、掃除、洗濯、その他家事を色々試した結果……」



P「全部ダメダメじゃねーか!!」



瑞希「むむむ、おかしいですね」



P「なんとなく瑞希が捨てられた理由がわかったよ」



瑞希「ま、待ってください。これは時代が私についてこれていないだけです、次こそは」



P「次ねぇ……まぁかろうじて料理以外はまだ見れるレベルだから、そこを今後は覚えて貰おうかな」



瑞希「という事は私を置いて頂けるのですか?」



P「まぁ、ギリギリ合格ってところだな」



瑞希「ありがとうこざいます、頑張ります」



P「んじゃあ、俺も風呂入って寝ようかな」



瑞希「お背中お流ししましょうか?」



P「いや、いいです」

瑞希「そうですか……しゅん」



P「それより一つ質問があるんだが、アンドロイドって寝るの?」



瑞希「基本的には24時間活動します。ですが人の生活リズムに合わせる為に、スリープ機能もあります」



P「そうか、じゃあそのスリープ機能使ってくれ」



瑞希「わかりました。では、ご主P様の生活リズムに合わせてスリープ機能を使わせて頂きます」



P「うん、よろし……ん?今、なんて言った?」



瑞希「どこか不明な点がありましたか?ご主P様」



P「ありました。そのご主P様?っていうの何?もしかしなくても俺の事?」



瑞希「はい。そうですご主P様。本日から私のご主人様はPさんになりましたので、メイドらしく、ご主P様と呼ばせて頂きます」



P「呼ばなくていい!普通に名前で呼べばいいから!」



瑞希「こればかりは譲れません、ご主P様。どうかご主P様の事をご主P様と呼ばせて頂きたく思います、ご主P様」



P「くっ、やっぱり連れてくるんじゃなかった……」ガクッ







翌日


P「ふわぁ……んん」



瑞希「どきどき」

P「……俺のベッドに潜りこんで、なにやってるんですかね?」



瑞希「添い寝屋さんの瑞希です。今日は自分の布団からご主P様のベッドに出張サービスを提供しにきました。どうでしょう?癒されましたか?」



P「はいはい、癒された癒された。ありがとう瑞希」



瑞希「それは何よりです。軽く受け流された気がしますが、見なかったことにします」




その後




P「それじゃあ俺、仕事行ってくるけど」



瑞希「はい。自宅警備はお任せを」



P「家事は一切やるな。テレビか動画サイトでも観て大人しく待ってろ」



瑞希「メイド型アンドロイドに家事は一切やるなとは、なかなか破天荒な注文ですね、ご主P様」



P「俺が見てないと無茶するかもしれんからな、とりあえず任せるのは練習してからだ」



瑞希「むむむ、わかりました。大人しく自宅警備しておきますので」



P「ああ。じゃあな」



瑞希「違いますよ、ご主P様」



P「ん?」



瑞希「ちっちっち。出かける時は行ってきます……だぞ?」



P「なんでちょっと威張ったんだよ」ホッペムニ-

瑞希「ひ、ひゅみまひぇん」



P「はぁ、それじゃあ行ってきます」



瑞希「は、はい。行ってらっしゃいませご主P様」ヒリヒリ



ガチャ 

バタン



P「行ってきますなんて、口に出したの小学生以来かもしれないな……ふふっ」



P「しかし、我ながら変なの拾っちゃったなぁ。まぁ、大きな犬飼ってると思えばいいか」



P「さて、仕事仕事!急がないと遅れちまう」






その日の帰り


【公園】



P「ふぅ、早く帰ろう。あのポンコツが心配だ」



P「ちゃんと大人しくしてるだろうか……ん?」



志保「……」ボ-ッ



P(むっ、クール系美少女)



P「ん?でも、あの子の着てる服のデザイン……なんか似たようなのを最近見た気がするんだが」ジ-ッ



P「めちゃくちゃ最近なんだが……うーむ」ジ-ッ




志保「……?」クルッ



P(うわ、やべっ、ジロジロ見過ぎた!事案になっちまう前に帰ろう)



P(自然に……自然な感じで去ろう。動揺するな俺!)

P「あー、今日も会社楽しかったなー!わっはっはっは」タッタッタ



志保「あっ……」





【P自宅前】



P「ふぅ、どうやら俺のアカデミー主演男優賞並みの演技力が窮地を救ったようだな」



志保「いえ、大根演技すぎてバレバレでしたが」



P「ジョワッチ!?き、キミはさっきの…」



志保「なぜ志保を見て逃げたのですか?」



P「し、しほ?」



志保「はぁ…まぁ、今はいいです。それよりも」



志保「……じーっ」ジロジロ



P(め、めっちゃ見られてるんですが、こんな美人な子に見られると緊張しちゃう)



P「な、ななっ、何かな?」



志保「…………」ジロジロ



志保「…………」ジロジロ



志保「…………素敵」

P「はい?」



志保「あっ、ご、ごほん……失礼しました。今のは軽いチェックです、ちょっと確かめたかった事がありましたので」



P「そ、そうなんですか?」



志保「ええ、そうなんです」



P「あの、それで……」



志保「その前に最初の問いに戻りますが、なぜ志保を見て逃げたのですか?」



P「えっと……」



P(志保?って、察するにこの子の事だよな?)



P「いや、あれは君を見て逃げた訳じゃないんだよ?」



志保「ではなぜ?」ズイッ



P「ち、近っ…あーえっと、観たいテレビがあったのを思い出したんだ」



志保「では、志保が怖かったからとか、なんか雰囲気がキツそうだったからとかじゃないんですね?」



P(本音を言うとそれもある)



P「ち、違うよ、違う違う」



志保「そうですか……」

P(や、やべぇ、キレられるか?それとも最悪ポリスメンか?)



志保「ふふっ、良かった。それを聞いてホッとしました」



P(よ、良かったー!!助かった!!)



P「いや、その、思わず目が合ったから誤解させちゃったよね?申し訳ない」



志保「あ…いえ、別に、志保はそれは気にしてないんです」



志保「ただ、アナタに志保の事を誤解して欲しくなかっただけで……」



志保「むしろ、志保の事もっと見てください」ズイッ



P「い、いやー、ええと」



P(困った、なにこの状況?通報されなかったのは良かったけど)



P「誤解も解けたことだし、もうそろそろ暗くなるから君も早く帰った方がーー」



志保「あっ、そうですね。まず自己紹介が先ですよね」



P「……は、はい」



志保「はじめまして、先程は失礼しました。志保はメイド型アンドロイドで、個体識別名は志保と言います」



志保「気軽に志保と呼びつけて下さいね」ニコッ



P「……アンドロイド?」

P(そうだよ!なんで俺、今の今まで気づかずにいたんだ!?この子の着てる服って、昨日瑞希と会った時に着てた服とデザインそっくりじゃねーか!)



志保「はい、志保は第五世代のメイド型アンドロイドなんです。しかも今まで誰にもお仕えした事がない、つまり新品です」



志保「どうですか?俺の物にしてやる、って気になりましたか?」



P「いや、全然」



志保「……そうですか」シュン



P「じ、じゃあそう言う事で…」



志保「まだ、アナタのお名前を聞いていませんが」グイッ



P「い、いや、そんな名乗る程の者では……」



志保「志保は知りたいです。とても知りたいです」ワクワク



P「わ、わかったよ、俺の名前は……」



志保「はい」ドキドキ



P「エンゼルスの大谷翔平です。特技はにとーー」



志保「は?」



P「僕の名前はPです、よろしくね!」



P(怖っ!?なにあの威圧感、どうなってるんだ俺の鉄板ネタが全然かすりもしないなんて、この志保って子は一体どこの球団のファンなんだ)

志保「Pさん……Pさんですね。わかりました」



志保「ではご主P様と呼ばせて頂きます」



P「ちょっと待て」



志保「なんでしょう、ご主P様」



P「それ!そのご主P様っておかしくない?」



志保「メイドが使えるのがご主人様で、その方のお名前がPさんなら……二つ合わせてご主P様で、どこもおかしくないと思いますよ?」キョトン



P「歪んだ足し算をするんじゃない。というか俺はキミのご主人様になった覚えはないけど?」



志保「いいえ、なりました。もう、ご主P様は志保のご主P様です」



P「なんでさ」



志保「それは……」



P「それは?」



志保「ひ、一目惚れです…///」



P「んん?」



志保「正直、あと30年程経ってからお会いしたら、もっとストライクだったのですが」



志保「でも大丈夫です。今のままのご主P様でも志保は充分にイケます」

P「いや、大丈夫と言われましても」



志保「志保は……ずっと、探していたんです、自分に相応しい主人を」



志保「だから研究所から抜け出して」



P「おい、それダメだろ!?」



志保「はぁ……勝手に決められて、会った事もない方といきなり一緒に住めと言われても、志保にはそんなの耐えられません!」



P「その言葉そっくりそのまま返すぞ」



志保「研究所を抜け出してから、何日も繁華街で人々をチェックしてきましたが……なかなか、志保のセンサーに引っかかる方は現れず」



志保「もう、いっそ研究所に戻って廃棄処分にでもなってしまおうか?と、公園のベンチで一人諦めかけたその時……」



志保「ご主P様が現れたんです!」



志保「もうこれは運命です。頑張って脱走した志保へのご褒美です」



志保「なので、本日よりご主P様専属のメイド型アンドロイドとして、昼夜問わずよろしくお願いします」



P「気持ちは嬉しいですけど、ウチじゃ無理です、ごめんなさい」



志保「それじゃあ、お部屋に行きましょう。このマンションの何階ですか?」



P「ちょっと!?」



志保「はぁ~……ご主P様、よくお考えください。志保は第五世代の市場にすら出回っていない、スペシャルなメイド型アンドロイドなんですよ?」

P「いや、最新型とかそういうんじゃなくてね?」



志保「感情表現も従来のアンドロイドに比べて格段に進歩してますし、というかほぼ人間です。一緒にいて飽きる事は無いと自負しますが」



志保「そ、それと……ご主P様が望むのでしたら、そういう……えっと、お世話もいたしますので」モジモジ



P「だから、そういうんじゃなくて……」



志保「志保がいれば毎日、志保志保カーニバルですよ?どうでしょう?参加したくなりませんか?」



P(か、顔は可愛いのになんて残念なアンドロイドなんだ!?)



P「ウチにはもうメイド型のアンドロイドいるんで、志保はちょっと……」



志保「……はい?」

今日はここまで!

【P自宅】


瑞希「おかえりなさいませ、ご主P様。おや?」



志保「へぇ……貴女がこちらのお宅のアンドロイドですか」ジロジロ



瑞希「ええ、そうですが何か?」



志保「……ふーん」ジ-ッ



瑞希「ご主P様、こちらの方は?」



P「ああ…いやぁ、本当になんなんでしょうね?この子」



志保「……」ジロジロ



志保「……」ジロジロ 



瑞希「同じアンドロイドとはいえ、そんなに見つめられると照れてしまいます。ぽっ」



志保「……」ジ-ッ 
 


瑞希「……?」ツルペタ-ン



志保「……ふっ」



瑞希「なんでしょう。今、私のボディの一部分を見て、物凄く勝ち誇った顔をされた気がするのですが?」



P「ま、まぁ、気にしない気にしない」



志保「申し遅れました、志保は志保といいます。一応、貴女と同じメイド型のアンドロイドです」

志保「……けどまぁ、どうやらスペック的には全てこちらが圧倒しているみたいですけどね?」



瑞希「むっ」



志保「ああ、気にしなくても結構ですよ。志保は最新型ですので、現行のモデルと比べてしまうと、こういう事はしょっちゅうーー」



瑞希「この……」



瑞希「泥棒猫っ!!」



志保「なっ…!?」



瑞希「と、今日のお昼に観たドラマのセリフを言ってみました。どうでしょうご主P様、使い方はあっていましたか?」



P「いや、泥棒猫というか、ただの押し売りというか……」



志保「ど、泥棒猫はそちらの方では!?勝手に志保のご主P様に擦り寄って、卑しいったらないですねまったく」



瑞希「よく理解できませんが、ご主P様なら私を昨晩美味しく頂かれましたよ」



志保「え、えぇっ!?本当ですか、ご主P様っ!?」



P「おい、瑞希の作った料理は食べたが瑞希は食べてないぞ?あと、とても美味しくなかった」



瑞希「とても美味しくなかったとは、相変わらず火の玉ストレートですね、ご主P様」



P「だって本当だし」



志保「そんなのどうでもいいんです!」

志保「ごほん……少し脱線しましたが、瑞希さん?単刀直入に言います」



志保「ご主P様と別れてください」



瑞希「嫌です」



志保「……へぇ」ゴゴゴゴッ



P「ほらもう気は済んだろ?大人しく研究所に帰って、ちゃんとしたご主人様に仕えなさい」



志保「では、ご主P様は志保より、このツルペタメイドの方が良いと仰るのですか!?」



P「い、いや、そういうんじゃなくてさ……あっ」



瑞希「…………」ペタペタ



P「と、とにかくっ!ウチはもう人員オーバーなので、志保は実家に帰ってください」



志保「いいえっ、志保は絶対に諦めません」



志保「それに、ご主P様も志保のスキルを見れば、絶対に志保が欲しくなるに決まっています」プンプン



P「スキル?」



志保「そうです。例えば……」ビュン



P「消えた!?」



志保「このように、もの凄い速さで動く事も出来ますし?」ガシッ

瑞希「あの、私の肩を掴んで何を?」



志保「そして、志保は対アンドロイド戦においても圧倒してみせます」ガサゴソ



瑞希「あっ……やっ、ダメ……そこは……///」



P「ち、ちょっと!?瑞希の服の中に顔突っ込んで何してんだ!?」



志保「うーん、暗くてよく見えませんね。だいたい、この辺に製造番号とか年が記載してあるはずなんですが」イジイジ



瑞希「んっ……ご、ご主P様ぁ……はぁ、はぁ」トロ-ン



P「はわわわっ」



瑞希「み、見ないでください……あっ、ああっ…///」



P「眼福、眼福。ありがたや、ありがたや……」



P「って、じゃなくて!人の目の前で百合百合しないでくださーいっ!!」




その後



瑞希「はぁ……はぁ…」プルプル



P「お疲れ」ポンッ



志保「まさか、第二世代の古いアンドロイドだとは知りませんでした」



P「そうなの?」



志保「第二世代のアンドロイドなので、志保からするともう……おばあちゃんですね」

瑞希「おばっ」



P「瑞希っておばあちゃんなの?」



瑞希「ち、違います。私はまだピチピチです」



P「うーん、なんかその言葉自体がピチピチじゃない証拠というか」



瑞希「そ、そんな…」



志保「やれやれ悲しいですね、旬が過ぎたアンドロイドの必死さというものは……」



志保「ご主P様、これでお解り頂けましたか?そんな古いタイプより、最新型の志保の方がよっぽど素晴らしいと言うことに」



P「いや、志保の凄さはわかったけど……」



志保「けど?」



P「うーん、特に欲しくはならなかったかな?そんな凄い機能、俺は使いこなせないだろうし」



志保「なっ……!?」



瑞希「ご主P様、そこまで私の事を愛して?」



P「いや、そういう訳じゃないんで」



瑞希「……ですよね」シュン



志保「……っ」プルプル

志保「……わかりました。では、これならどうでしょう?家事スキル!」



P「ほう、家事スキルか」



瑞希「ぐぬぬ…」



志保「ええ、そうです。現状、そちらのツルペタさんの家事スキルに、ご主P様は満足されていないみたいですし」



瑞希「ご主P様、志保さんの言うツルペタさんとは誰の事なのですか?」ツルペタ-ン



P「さ、さぁ…」



志保「第五世代の志保は家事も育児もパーフェクトなんです。なので、絶対にこれを見ればご主P様も志保を選んで頂けるはずです」



P「それは凄いと思うけど、何も俺なんかでそのスキルを活かさなくても良いんじゃないか?」



P「もっとそれを必要としてる人の所にーー」



志保「嫌です」



P「即答ですか」



志保「……は、初めてだったんです。あんなに、この胸が高鳴ったのは…」



志保「……きっと、きっと、志保はアナタに会う為に生まれてきたんです」



P「いや、それは」



志保「言い過ぎなんかじゃありません。志保がお仕えするのは、ご主P様以外に考えられません」

志保「なので、そこのツルペタさんより志保が優れている事を証明してみせます」



瑞希「……」ペタペタ



P「やめろよオーバーキル!!」



その後



志保「では、どうぞご主P様」コトッ



P「またカレーかぁ……」



志保「同じものを作った方が差が出やすいと思いますので」



P「確かにそうだけども」



瑞希「ご主P様は激甘いカレーしか食べれないと聞きましたが」ボソッ



P「確かにそう……こら、誘導するのやめろ」



瑞希「すいません。反省します」



志保「むぅ、早く召し上がってくださいご主P様?」



P「わ、わかった。それじゃあ……あむっ、もぐもぐ」



志保「どうですか?」ドキドキ



P「……い」プルプル



志保「ご主P様?」

P「辛ーーーいっ!!」



P「ちょっ、水をくれ水を!」



瑞希「どうぞ」



P「ごくごく。はぁ、舌が痺れる……」



志保「そ、そんな……どうして?」ガクッ



瑞希「ちょっと志保さん?」キッ



志保「お、お義母さま……っ、あの、これは」アタフタ



瑞希「まぁ、この後に及んで言い訳するなんて……ふんっ、貴女お料理に自信があるって言っていたわよね?」



志保「は、はい……」



瑞希「それなのに、あんな辛いカレーをPさんに食べさせるなんて、信じられないわ!」



志保「お義母さま!も、もう一度チャンスを!」



瑞希「お黙りっ!!この泥棒猫!」



P「お前ら実は仲良いだろ」



志保「あり得ません……だって、だって、志保は家事も育児もパーフェクトのアンドロイドのはずです…」



P「ま、まぁ、慣れないキッチンで調子が悪いとかあるんじゃない?」

志保「いいえっ!最新型の志保達はどんな環境にも適応できるように、しっかりと研究所で調整をーー」



志保「調整を……」



志保「…………あっ」



P「もしかして?」



志保「調整……する前に、志保……研究所から逃げちゃいました……ふ、ふふふ」ガクッ



P「お、おいっ!?大丈夫か?」



志保「つまり、志保は……散々自慢してたものは何も搭載されていない……ただ足が速いだけのアンドロイド……」



志保「ふ、ふふふふふ……」



志保「志保……帰ります……」フラッ



P「あっ、おい……大丈夫か?」



志保「ええ、大丈夫です……ありがとうございますPさん。すみません、散々ご迷惑をお掛けしてしまって……」



P「あれ、Pさんって……」



志保「もう、志保のご主人様ではありませんから、キチンと名前で呼ばせていただきます……」



P「いや、そりゃ俺としてはそっちの方が良いけど……良いのか?」



志保「良いんです……志保、これからPさんが言ってたように、研究所に帰って再調整を受けてきます」

P「あ、ああ、その方がいいよ。また会えるかわからないけど、もしまた会ったらその時はーー」



志保「会っても……その時は……もう志保はいません……」



P「えっ?」



志保「志保の、このボディは残りますが……人でいう人格と呼ばれる部分の志保は……削除されるでしょう……」



P「そ、そうなの?」



志保「ふふっ、当然です……脱走しちゃうような歪んだ考えを持つアンドロイドなんて、危険ですから……」



P「そんな事は……」



志保「優しいんですね、Pさんは……でも、良いんです。もう覚悟しましたから」



志保「それじゃあ……」



P「あ、いや……」



P(なんて声をかけたらいいんだろう、どれを言っても今の志保には……)



志保「最期に……」



P「えっ?」



志保「アナタに会えて良かったです……」ニコッ



P「……ああ、俺もだよ。会えて騒げて楽しかった」

志保「はい……それじゃあ今度こそ本当に……」



志保「さようなら」



ガチャ

バタン




P「……行ってしまったか」



P(これで良かったはずなのに、なんだこのモヤモヤした気持ちは)



瑞希「あの、ご主P様」



P「ん?」



瑞希「追いかけてみてはいかがでしょう」



P「追いかけるって、志保をか?」



瑞希「はい、そうです」



P「しかし……あんな状態の志保に、なんて声を掛けてあげたらいいか」



瑞希「ご主P様が思っている事を、そのままストレートに伝えればいいと思います」



P「ストレートに?」



瑞希「はい。もう覚悟を決めましょう、ご主P様」



P「……そうだな、それしかないよな」

志保「はぁ……」トボトボ



P「志保っ!!」



志保「えっ、ご主……Pさん?な、なんでここに?」



P「はぁ……はぁ……追いかけて来たんだよ。なぁ志保、お前本当に今からする事に後悔はないのか?」



志保「な、なにを……」



P「全部終わって、振り返って。ああ良かった……って思えるか?」



志保「……今さら、なんですか?そんなの当たり前です。志保は出来損ないですし、このままでいるより……調整してもらって」



志保「今度こそ、ほ…本当に家事も育児もパーフェクトなアンドロイドになって、人のために働きたいと思ってます」



志保「……Pさんとこうして喋っている志保は消えてしまいますが、それは仕方ない事だと、自分の中で割り切れましたし……」



志保「ふぅ……それより、お見送りありがとうございました。Pさんもお身体に気を付けてーー」



P「うるせェ!!!いこうっ!!!」ドン!!!!














志保「ご、ごご…ごしゅPさまぁ……」ウルウル



P「俺は今の志保と一緒がいい!だから来い!」ニィ



志保「はい……はい……行きます、着いて行きます」ポロポロ

P「ああ、あれっ?志保、お前泣いてないか?」



志保「グスッ……何を言ってるんですか、アンドロイドの志保が涙なんて……あ、あれ?」



志保「す、すごいです!志保、アンドロイドなのに泣けちゃいました!」



P「本当に凄いな!?どういう技術なんだ?」



志保「グスッ…わかりませんっ……もう、どうだっていいです。ご主P様と一緒ならなんでもアリです」



志保「その、何も出来ない志保ですが、これからもどうか末永くお側に置いてください。ご主P様」ニコッ



その後



瑞希「ミッションコンプリートですね。ご主P様」



P「ああ、瑞希のおかげだよ」



志保「瑞希さんのおかげ?」



P「ああ、瑞希は見送るしか出来なかった俺に喝を入れてくれたんだよ」



瑞希「妻として当然の事をしたまでです。お任せください」



P「妻じゃないし」



瑞希「まぁ、そういう見方もありますね」



P「そういう見方しかないんだが」

志保「瑞希さん……ありがとうございました。そして先程は失礼な事を言ってすみませんでした!」



瑞希「失礼な事ですか?それはいったいなんの事でしょうか?」(もう忘れてる)



志保(な、なんて器の大きい!?)



志保「あ、あの……もし、もしよろしければ、志保お願いがあるんです」



瑞希「お願いですか?」



志保「はいっ!あの……おっ」



瑞希「お?」



志保「お姉様と呼ばせて頂いても…?」



瑞希「よくってよ」

今日はここまで
つむつむ編は明日予定です

次の日


P「むにゃ……んん」



志保「じーっ」ドキドキ



P「……お、おはよう志保。いきなりだけど、人のベッドに潜り込んでなにやってるの?」



志保「おはようございます、ご主P様。志保の一日はご主P様の寝顔チェックからはじまるのです」ジ-ッ



P「そう……もう、俺起きたから寝顔チェックは終わっていいと思うよ」



志保「そうですね、では今度は起き顔チェックを始めさせて頂きます。もっと志保と顔がぶつかってしまうくらいの距離でチェックをさせーー」



P「キリがないのでやめようね」ホッペムニ-



志保「ひゃい、ひょうれふね」ムニムニ




その後



瑞希「おや、志保さん。どうしたのですかその頬っぺたの跡は」



志保「ご主P様から、志保は俺のモノだという印を付けられてしまいました。ふふっ」



P「超解釈やめろ」



瑞希「では明日は私に付けてください、ご主P様。ばっちこいです」



P「ちょっと待て、お前らまさか毎日アレするつもりか?」



瑞希、志保「何か問題でも?」



P「問題だらけなのでやめてください」ホッペムニ-



瑞希、志保「ひゃい、がまんしまひゅ」ムニムニ

その後



P「じゃあ俺は今日も仕事行くが、家の事は任せたぞ」



瑞希「お任せください。完璧に家事をこなしてみせましょう」



P「いや、家事はしないでいいよ。自宅警備だけで充分だ」



瑞希「しゅん……そうですか、では御帰宅をお待ちしております」ペコッ



P「なるべく早く帰るよ、それじゃあ行ってきます」



志保「ご主P様、忘れ物ですよ。はぁ、まったく……こんな大事な物を忘れてしまうなんて」



P「えっ、なんか忘れてたっけ?財布は持ったし、スマホも…」



志保「やれやれ、仕方ありませんね……んっ」



P「ん?」



志保「んーっ!んっ、んーっ!」グググッ



P「目閉じて何をやってるんだ志保」



志保「忘れ物の行ってきますキスです。んーっ」



P「行ってきます」ナデナデ



志保「あっ、ふふっ……」



瑞希「ご主P様、私もナデナデが足りません。このままだとナデナデ切れを起こしそうです」

P「はいはい」ナデナデ



瑞希「わぁい」



P「よし、それじゃあ行ってきます」



瑞希、志保「行ってらっしゃいませご主P様」


ガチャ


バタン


P「はぁ、朝から疲れる……」



P(また変なアンドロイドを拾ってしまった……)



P「ま、まぁ、もうこれ以上増えたりしないよな!大丈夫、大丈夫。犬二匹飼ってると思えば可愛いもんよ」



P「さて、そんな事より仕事仕事!」






その日の帰り道



P「もうあの公園の近くを通って帰るのはやめよう。きっとなんか呪われてるんだ、あの道は」



P「少し回り道になるけど、こっちから帰ろう」スタスタ



P「まぁ、流石に三日連続でアンドロイドに会ったりしないだろうけどな。念には念を入れとかないと」



P「流石に三人になるのは家のキャパ的な問題と、俺の精神的な負担がやばい」



P「まぁ、無いは思うけどな!万が一出会ったら速攻で帰って……ん?」



紬「……」キョロキョロ



P(う、うわー……)

P(あの服装、家にいるポンコツ二人組の着てた服と似たようなデザイン。という事は……)



P「また、アンドロイドか壊れるなぁ……というか、三日で三人って効率良すぎだろ」



P「もう知らん!絶対にあのアンドロイドとは関わらんぞ!」



紬「……うぅ」キョロキョロ



P「……」



紬「えっと、交差点が……こっちで……あっちが」キョロキョロ



P(なにやら地図らしき物を見て、辺りを見回してるが……迷子か?)



P(いや、ダメだダメだ!関わっちゃダメだ、早く帰ろう!)



紬「……はぁ、ウチ……どうしたら……」オロオロ



P「……」



P(でも、放置は可哀想だよなぁ……というか、このまま帰っても後味悪いし)



P(よし、話かけてみよう。それで関わりあいそうになったら速攻でエスケープだ)



P「あの、どうかされましたか?」



紬「うぅ……えっ?」



P「あ、いえ…さっきから見てると、何かお困りのご様子だったので」

紬「はい……はいっ!そうなのですっ、道がわからなくてとても困っていました!」キラキラ



P(う、うわぁ、めっちゃ安堵の表情してる……余程困ってたんだなぁ)



紬「わざわざ、私にお声掛けくださりありがとうございます。私はメイド型アンドロイドの紬と申します」ペコッ



P(やっぱりかー、やっぱりメイド型アンドロイドだったかー)



紬「もし、失礼でなければ貴方のお名前も教えて頂けませんか?助けて頂く方の名を知らないままというのは、良くないと思いますので」



P「い、いや、僕なんてそんな名乗る程の者ではないですから…」



紬「どうか、どうかお願いします」



P「うっ……わ、わかりました」



P(もう、どうせ道案内だけだし。早く終わらせる為にもここは……)



P「え、エンゼルスの……大谷です」



紬「大谷さんですね。改めて、ありがとうございます大谷さん」ペコッ



大谷P「やっ、そんな気になさらず」



P(ヤベー!!自分で言っといてなんだけど、本当に信じちゃったよ!どんだけ純粋なんだこの子!)



紬「大谷さんは、この辺に土地勘のある方なのでしょうか?」



P「ま、まぁ、それなりには」

紬「ほっ……でしたら、こちらの住所に向かいたいのですが、わかりますか?」



P「ちょっと見せてもらいますね、えーと……」



P「…………」



P「…………」



P(あれれ~?おかしいな~?この地図に載ってる住所、俺の家の住所とめっちゃ似てるなぁ、というか俺の家だなぁこれ)



P「つ、つつ、つかぬ事を聞きますが、こちらにはどのような用なんです?」



紬「それが何か重要な事なのですか?」



P「ああ、いえ、ほら最近色々と物騒でしょう?」(意味不明)



紬「確かにそうですね、最近何かと物騒ですし……わかりました、お教えしましょう。私はそちらの住所に住んでらっしゃる方の元へ」



紬「嫁ぎに行くのです」



P「」



紬「ふぅ…これでよろしいでしょうか?では、こちらの場所を教えていただけまーー」



P「ストップで」



紬「はい、まだ何か?」



P「と、とつ、とっとつ、嫁ぐって?」

紬「もしや、嫁ぐの意味がわからないのでしょうか?」



P「いえ、それは理解できるんです。でも……ア、アンドロイドですよね?」



紬「あ、貴方はアンドロイドがお嫁さんになってはいけないと仰るのですか!?」ジ-ッ



P「ち、違うんです!あくまで一般的なイメージとして、自分は言っただけで、大谷的にはそういう愛の形もアリだって思うな!」



紬「そうでしたか、早とちりしてしまい申し訳ありませんでした……」

紬「ですがご安心を、私は家事も育児も完璧にこなせるようデザインされた万能アンドロイドですので」ツム-ンッ



P(そのフレーズ昨日で聞き飽きたよ)



紬「なので必ず、旦那様もご納得いただけると思います。ええきっと」



P「いやぁ、そんな旦那様だなんて」テレテレ



紬「なぜ貴方が照れているのでしょう?」



P「はっ、いや!ごほん……でも急に行ったら、お相手の方もビックリしないですかね?」



紬「いいえ。事前に通知はしていると聞き及んでおります、お相手の方も了解済みだとも」



P(知らないんですが……)



P「……そうですか」



P(ヤバイよ、ヤバイよ。このままだと本当に来ちゃうよこの子、どうしよう……)



紬「それで、道の方はお教えいただけるのでしょうか?」



P「へ?あ、ああ…えっと……」



紬「どうかされましたか?」ズイッ



P(うわ近い!というか、めちゃくちゃ今更だがかなり可愛いぞこの子)



P「え、えーと、わ、わかりました。道を教えるのでもう少し離れて……あら?」



ポツポツ…



P「わー、予報通り雨降ってきちゃったか」

P(ふぅ、折りたたみ傘持っといて良かった)ガサゴソ



紬「雨……」



P(あれ?この子、もしかしなくても傘持ってきてない?)



P「傘、無いんですか?」



紬「は、はい……ですが大丈夫です。衣服が濡れるだけで、機械の身体の私は風邪なんて」



P「じゃあ、これ使ってください」



紬「えっ?」



P「風邪引いたら大変なんで!俺は家近いし、それじゃあ!」タッタッタ



紬「あ、あのっ、待って……」



P「お礼なんて大丈夫です。じゃ、そういう事で!」タッタッタ




紬「あっ……」ポツ-ン



紬「みっ……」



紬「……道をまだ、教えてもらっていないのですが」プルプル

【P自宅】


P(や、やってしまった。道を教えずに放置してきてしまった!)



P(一応、さっきの場所に戻ったけどもう姿は無かったし、はぁ……失敗したなぁ)



P(無事ならいいんだけど)



P「というか、俺にいきなり嫁ぐとか言われてもそんなのどこから来た話なんだか……」



ガチャ



P「ただいまー」



志保「お帰りなさいませ、ご主P様」



P「ただいま。あれ?志保だけかい?」



志保「瑞希さんなら、雨が降ってきたのでご主P様をお迎えに行きました。どうやら行き違いになってしまったようですね」



P「えっ、そうなの!?うわー、それは申し訳ない事したなぁ、ちゃんと連絡すれば良かった」



志保「心配なさらなくても、そのうち帰ってくると思いますが」



P「うーん、それならいいんだが……戻って迎えに行こうかな」



志保「メイドを迎えに行く主人なんて聞いたことありません。それに、その格好で迎えなんて間違いなくお風邪を引きますよ」



P「ああ、ちょっと濡れちゃったからな」



志保「ちょっとじゃないです!結構濡れてます、早くお風呂に入って暖まってきてください」



P「わ、わかった、わかった」



P(志保のやつ……あんなに俺の事を心配してくれるなんて、普通に良いメイドさんじゃないか!)

志保「………ふっ」ニヤリ



その後



P「はぁ、気持ちいい……」



P「湯船に浸かると疲れが流れ出ていくようだ……あふぅ」



P「それにしても、あの紬とかいう子は本当に大丈夫ーー」



ガラッ



志保「志保です!!」



P「ふぁっ!?お、お前なにやってんだ!?勝手に風呂に入ってくるとか……」



志保「お背中を流しに来ました、ご主P様」



P「いりません!早く風呂から出ていってください!」



志保「まぁ、どうでもいいんじゃないですか?それにほら、二人でお風呂に入った方が楽しいですよ」



P「楽しくないよ!というか、なんだその『しほ』って名札入りのスクール水着は!?」



志保「近所の商店街にあるお肉屋さんのセレブな娘さんから頂きました。胸元の名札も縫って頂きました」



P「お肉屋さんのセレブな娘?い、いったい何階堂千鶴さんなんだ……じゃなくて!目に悪いから早く出て行ってくれ!」



P(ざ、残念な性格してるのに、なんで身体だけは……くっ、目のやり場に困る)



志保「目に悪いとはどういう事ですか?あー、もう志保傷ついちゃいました。これは、ご主P様に存分に癒して頂かないと」



P「ち、ちょっと!?なんで近づいてくるんだ……」

志保「大丈夫です。志保には女性としての機能もちゃんと付いてますので…///」



P「そういう心配じゃない!」



志保「さぁ、恋をはじめましょう?ご主P様……ふふふっ」



P「や、やめてー!!」












小鳥「あっ、ちょっとストップ!コンビニ行く用事があったんだったわ~!」ダダッ




小鳥「ふぅ、よし!さぁて続きはどうなるのかしら、事務所でやるゲームもスリルがあっていいわね~♪」カチカチッ



小鳥「さぁ、いってみよう!」カチカチッ




ロード中…
【研究員、豊川風花のウワサ】
志保を連れ戻す為にP宅に何度も訪れているが、ほぼ世間話とお茶だけして帰って上司に怒られるらしい

瑞希「ただいま戻りましたー」



志保「むっ?」



P「ほ、ほらっ!瑞希が帰ってきたんじゃないか?俺も上がるから、志保も上がろう?なっ?」



志保「はぁ、仕方ありませんね。ご主P様に愛を教えていただくのはまた今度にします」



P「これに懲りたらやめなさい」ホッペムニ-



志保「ひゃい、かんがえておきまひゅ」ムニムニ




その後


P「お帰り瑞希、悪いな迎えに行ってくれてたんだろう?」



瑞希「いえ、問題ありません。ご主P様が無事にご帰宅されていたのなら、なによりです」



瑞希「ところで志保さんのその格好は」



志保「ご主P様の趣味です」



P「などと言ってるが、気にするな」



瑞希「むむむ、ナイスなデザインですね。私も欲しいぞ」



P「欲しがるな。それに、瑞希にはもっと可愛い水着が似合うと思うよ」



瑞希「か、かわっ……ぷしゅー」



志保「ご主P様、ご主P様」グイグイ

P「……志保も、それより似合う可愛い水着があると思うよ」



志保「ふふっ、ありがとうございます。でもせっかくセレブさんに作っていただいたので、これは大事にします」



P「セレブさん、いったい何階堂千鶴さんなんだ……」



???「あの……」



瑞希「ああ、そうでした。申し訳ありません、貴女を放ったらかしで話を」



P「ん?お客さんか?」



瑞希「はい、どうやら道に迷っていたようなので、お連れしました」

今日はここまでです!

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