李衣菜「それで、私にこれをどうしろっていうんですか？」

P「せっかく李衣菜に、って話だし、もらってあげたらどうだ？ 俺の机の上に置いてあったものだし、多分毒とかは入ってないだろ」

李衣菜「いや、事務所内で毒盛られるとか怖すぎますって……」

P「大丈夫大丈夫。おいしそうなドーナツだし、もらってやったらどうだ」

李衣菜「まぁ、確かにおいしそうですし、1つだけでも……。…………あ、ほんとにおいしい」


？？？「…………」ｼﾞｰｯ

～べつのひ～

李衣菜「レッスン終わったー！ あ、お疲れ様です、Pさん」

P「李衣菜か、お疲れ。丁度いいところに来てくれたな」

李衣菜「丁度いい……？」

ドーナツ「やぁ」

李衣菜「…………Pさん、またですか？」

李衣菜「しかも前のやつとお店が違う……。なんというこだわり……」

P「これ、俺でも知ってる有名なお店のやつじゃないか」

李衣菜「そうなんですか？ それなら食べても大丈夫かな……」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

P「ん、どうした李衣菜？」

李衣菜「なんでもないですよ！ せっかくですし、Pさんもドーナツ食べながら一緒に休憩しましょう！」

P「お、いいな！」


？？？「…………」

～さらにべつのひ～

有香「李衣菜ちゃん、その衣装可愛いですね！」

李衣菜「いやー、ほんとはもう少しロックな衣装のほうが好きなんだけど、Pさんがどうしてもって言うからさー」

有香「可愛い衣装も似合ってますよ、李衣菜ちゃん！」

李衣菜「ほんと？ 照れるなぁ……」

ｶﾞﾁｬ
P「入るぞー？ お、2人とも、衣装よく似合ってるじゃないか」

2人「「お疲れ様です、Pさん」」

P「ところで、李衣菜にこれを……」

李衣菜「私に……？ って、これ、もしかして……」

有香「ドーナツ、ですよね……」

李衣菜「もう、またなんですか……？」

有香（また…………？）

李衣菜「しかも今回は丁寧に手紙まで。『李衣菜ちゃん、その衣装可愛いよ！』って、何これ、本当に怖いんですけど。どこかで誰かに見られてるとか……？」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

P「今日も気付いたら机の上に置いてあったんだよな。ほんと誰が何のためにこんなことを」

李衣菜「Pさんのイタズラって訳じゃないですよね……？」

P「まさかそんなはずが。だいたい、その手紙だって明らかに女の子っぽい字じゃないか」

李衣菜「確かにそうですけど、でも……」

有香「……さっきから気になってたんですけど、それ、ただの差し入れじゃないんですか？」

李衣菜「じつはかくかくしかじかで……」

有香「な、なるほど……。それは確かに怖いですね」

李衣菜「でしょ？ でも、ドーナツはおいしいから結局食べちゃうんだよね。ドーナツに罪は無いわけだし」

有香（なんだか法子ちゃんみたい……）

李衣菜「経緯はどうであれ、こんなおいしそうなドーナツを放っておくわけにはいかないよね！ というわけでPさん、休憩してもいいですか？」

P「構わないが……。とりあえず衣装着替えてからにしたらどうだ？」

李衣菜「す、すいません！ ドーナツがすごくおいしそうで……」

有香「李衣菜ちゃん、本当にドーナツが好きなんですね」

李衣菜「最近、なぜかドーナツがことあるごとに差し入れされてるからねー。私もはまっちゃいそうかも、なんて……」

有香「不思議な話ですけど、法子ちゃんが聞いたら喜びそうです。あ、私も頂いても大丈夫でしょうか？」

李衣菜「もちろん！ Pさんも、3人でお茶会しましょう！」


？？？「…………よしっ」

～後日～

李衣菜「ん～！ このドーナツおいしー！！」

かな子「あ、李衣菜ちゃん！ そのドーナツおいしそう！」

李衣菜「なんか最近差し入れでたくさんもらうことがあってすっかりはまっちゃってー」

かな子「李衣菜ちゃんも？」

李衣菜「……え？」

かな子「私も、最近誰かからのドーナツをたくさん差し入れでもらってるんだけど……。あんまり食べたらダメだってPさんが……」

李衣菜「私だけじゃなかったんだ……」

かな子「私の他にも、優さんや仁奈ちゃんも同じようなことがあったんだって。本当に不思議だよね」

李衣菜「もうこれ不思議とかそういう次元じゃなくて普通に怖いんだけど」

かな子「おいしいから大丈夫だよ！」

李衣菜「そういう訳じゃ……、いや、もうそれでいいか……」

有香「…………、ということが最近あったみたいなんです」

ゆかり「とても不思議な出来事ですね……」

法子「そうかな？ みんな一緒にドーナツしてくれて嬉しいな！」

法子「あたしも大好きなみんなと、ドーナツしたい♪」

有香「これ、事務所では『謎のミステリードーナツ』って噂になっているんですけど、やっぱり法子ちゃんが関係しているんでしょうか？」

法子「ミステリードーナツかはわかんないけど、最近色んなアイドルにドーナツのことをもっと知ってもらいたくて頑張ってるんだ！ こっそり配ったりもして！」

有香「それ、まさにそれのことですよ！」

法子「え？？？」