【ミリマス】美也「あの~、私になにかご用ですか~?」 (11)


「待ってくれ、待ってくれよ! そうさ、用があるんだ。

たったの五分だけでもいい、アンタはあたしの話を聞かなきゃいけないワケがある。

時間が惜しいのは知ってるさ。

だけどこのまま出発しちまっちゃ、アンタに良いことなんて一つも無いぜ。

そいつを伝える為だけにだ。ご覧の通り、あたしは無茶してここまで来たんだから。

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いいかい? あたしは知ってるとも。

アンタはこれから宝探しに出掛けるんだ。

半分冗談のつもりだから、そんなピクニックにでも行くような格好でね。

きっかけはそう、劇場で見つけた古い地図。

仲間が蚤の市で買い漁って、劇場に寄贈した本の中にその地図は紛れ込んでたのさ。


フフン、ドンピシャだろ? でもその本に挟まれてた地図は不完全だよ。

欠けてるんだ。大切な物が一枚二枚……。

ソイツは遺跡の中の見取り図でね。

そしてコイツを見な、偶然にもあたしはその欠けてるピースを持っている。


――へへっ。どうやら言ってることが嘘じゃないって、一応は信じて貰えたみたいだな。

なら早速だけど忠告するぜ。そのままの一人で行っちゃいけない。
無駄足になりたくなけりゃ絶対に行っちゃあいけないんだ。

どうしてそんな事が分かるんですかだって? 知ってるからさ!

この先に一体何があるか、そしてどんな事がアンタを待ち受けているかって一部始終。


いいかい? これは親切で言ってるだけなんだよ。

まず、もっとしっかりと準備しなきゃ。

プロデューサーに相談してテレビ局に企画を持ち込むんだ。

仲間も募った方が良いな。真面目で信頼のできるメンバー。
馬場このみに萩原雪歩、真壁瑞希と田中琴葉。

それからそう、一度は断ると思うけど説得してジュリアって奴も抱き込まなきゃいけない。

……初めはめんどくさがるだろうけども大丈夫だ。
頼りになるとか乗せちまえばコロリといっちまうタチだからさ。アレは。


それにアンタがあたしの事を信じて、今言った一切を守ってくれれば良いこともある。

きっと、そう、きっとさ! カメラの映像も証拠になってアンタの名前は歴史に残る。

少なくとも、滅多に無い経験ができることは保障するぜ。


……それで返事は? あたしも長いことはここに居られない。

最初に言ったろ、無理をしてココまで来てるんだ。

――えっ? あ、ああ! そうさ!

飛行機の時間とかなんだとかね。押してるんだよな、凄く。


で、どうなんだ? このままあたしの言うことを聞いて大人しく戻ってくれるよな?

……そ、そうか! 良かった! 話せば分かるって信じてたぜ。


じゃ、なるべく早めに帰ってくれ。

いくら765プロのアイドルと言ったって、単身ジャングルまで来るなんて無茶もこれっきりだ。

結局、日本までトンボ返りすることになるけども。

――ん? なんだ? ……ジュリアちゃんもお気をつけて?


よ、よせやい! 人違いだっ!

第一アンタの知ってるジュリアってのは、ここまで髪も伸びちゃあいないだろう?

あたしは通りすがりのダイナマイター……っと、マズった。

悪いけど今のは忘れてくれ! じゃあなっ!!」


そう言って、服のあちこちが焼け焦げている赤毛の女は逃げるように少女の前から去って行った。

しばらくすると、どこか遠くの方で何かが爆発するような音が聞こえ、空にもくもくと煙の筋がのぼって行く。


残された少女は言われた通り飛行機に乗り、日本へ帰ると折を見て劇場の仲間に声をかけるのだった。

もちろん、その手にはあの古びた地図が握られている。


「みなさ~ん、トレジャーをハンティングしに行きましょう~」

===
以上おしまい。美也の誕生日だから彼女の夢が叶うように。
あの探検の後、きっと美也の名前も歴史に刻まれたんだろうなと思ったので。

では、お読みいただきありがとうございました。

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