歌織「プロデューサーさん、私、ドッキリに興味があるんです」【ミリマスSS】 (120)

※キャラ崩壊注意


P「……ん? 歌織さん、何か言いました?」

歌織「はい。実は私、ドッキリに興味があるんです」

P「ドッキリっていうと……あの、プラカード持ってくるような?」

歌織「ええ、まさにそのドッキリです」

P「なんだって急にそんなことを……?」

歌織「実は昨日、テレビを見ていたらドッキリ番組をやっていて……それで」

P「興味が出てきたと」

歌織「はい……」テレッ

P(影響受けやすい歌織さんもかわいい)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1524139508

歌織「あまり大声で言うのも何なんですけれど……」

歌織「ドッキリのお仕事なんて、あったりしませんか?」

P「うーん……残念ながらないですね」

歌織「そうですよね……。すみません、変なことを言ってしまいました」シュン

P(歌織さんの売り出し方の中にドッキリは考慮してなかったからなぁ……)

P(このみさんや風花ならともかく、歌織さんにドッキリを仕掛け仕掛けられというのは……)

P(いや、案外行けるかもしれないしなんかさらっと騙し通してくれそうな気もするけど)

歌織「プロデューサーさん……?」

P「あ、すみません。少し考え事をしていました」

歌織「考え事ですか?」

P「ええ。歌織さんにドッキリの仕事をとってきたら、案外さらっと騙し通してくれそうだな、と」

歌織「まあ。そんな風に思ってくださるんですね」

歌織「……あら? でもそれって……私は人を騙すのが上手と思われてる……?」

P「あ、いえいえ、歌織さんは演技派だろうなって意味ですよ!」

歌織「ふふっ、すみません。少しからかってしまいました」

P「……そういうところやっぱり演技派だと思います」

歌織「プロデューサーさんに褒められてしまいました♪」

P「でもそうだな……、歌織さんがそんなにドッキリに興味があるというのなら」

P「いっそのことやってみますか? ドッキリ」

歌織「え?」

P「実は、小鳥さんがひそかに作っていたドッキリお題箱がこの事務所に眠ってるんですよ」

歌織「音無さんが? お題箱? ドッキリのですか?」

P「そう。『いつかアイドルのみんながドッキリをやりたいって言いだした時のために作りました!』ってどや顔で」

歌織「まあ! それじゃあ……」

P「ええ。これも歌織さんの新たな一面ということで。宣材になるかもですし、やってみますか?」

歌織「はい! ぜひお願いします、プロデューサーさん!」

P「と、いうわけで。取り出したるは音無小鳥嬢謹製ドッキリお題箱です」

歌織「わぁ」パチパチ

P「……説明書きを見るに、中にドッキリのお題が入っているので引いてみて、それに従って行動すること」

P「ドッキリの対象は次に事務所にやってくる人またはアイドル」

P「だそうです」

歌織「わかりました。それでは引きますね?」

P「ええ。俺はカメラの準備してますね」

歌織「え? プロデューサーさん、撮るんですか?」

P「ドッキリですから」

歌織「き、気合を入れないとですね……!」

P「まあまあ、軽い気持ちでいきましょう」

歌織「えいっ」

P「おっ。どれどれ?」



【お題:プロデューサーと交際決定の報告をする】



歌織「……」

P「……」

歌織「……」

P「……」

歌織「……え?」パチクリ

歌織「え、えっと……プロデューサーさん……?」チラッ

P「歌織さん。捨てましょう。この箱絶対ろくなもん入ってない」

P「小鳥さんが業務中にこそこそ作ってた時点でこういう事態を疑ってしかるべきだった」

歌織「あ、ま、待ってくださいプロデューサーさん!」

歌織「せ、せっかく引いたんですからやってみなくちゃ……お題箱も浮かばれませんよ? ね?」

P「いやでも、このお題ですよ? 嫌でしょう?」

歌織「い、嫌じゃありませんから!」

P「えっ」

歌織「あっ……。す、すみません私ったら大声で……はしたない」

P「ああ、いえ……いいんですけど」

歌織「あの、プロデューサーさん。プロデューサーさんさえよかったら私、このお題でドッキリ、やってみたいです」

P「歌織さん……」

歌織「確かに少しだけ驚きましたけど……とても面白そうです」

P「面白そう……ですかね?」

歌織「はい、とても。……それに、役得です♪」

P「歌織さん?」

歌織「あっ、すみません。何でもないですよ……えっと、Pさん……」

P「えっ、名前で」

歌織「こ、交際決定の報告をするんですから。名前で呼ばなくちゃおかしいですよね……?」

P「歌織さん……上目遣いに首を傾げるのは反則じゃないですか?」

歌織「ふふっ……ごめんなさい、Pさん」

歌織「ところで交際が決定したわけですけど、どちらが告白したことにしますか?」ワクワク

P「なんかいきなりノリノリですね歌織さん」

歌織「だってせっかくのドッキリなんですから。完成度を高めたいと思うのは仕掛け人として当然です♪」

P「そういうものですか」

歌織「はい。それで、どうしましょうか?」

P「当然俺がアプローチした側でしょうね」

歌織「当然、ですか?」

P「歌織さんのような魅力的な女性を前に我慢ができなかったダメプロデューサーです」

歌織「も、もう……お上手ですね」

P「歌織さんが魅力的なのは嘘じゃありませんよ」

P「それで迫ったらプロデューサー失格なんですけどね……ははは」

歌織「……あ、そうだ。Pさん、歌織さんって呼ぶのはだめですよ」

P「え?」

歌織「歌織さんじゃ、他人行儀すぎます」

P「ええ……?」

歌織「二人きりの時は『歌織』って呼んでくれる……というのがいいかと思うんです。それっぽくて」

P「確かにそれっぽさはありますね……。でも、そこまでする必要は」

歌織「あります」

P「あの」

歌織「ありますよ、Pさん」

P「わかった……わかりました、歌織さん」

歌織「むぅ」

P「……か、歌織」

歌織「はいっ♪」

P(あかん……ずるずる引き込まれていきそうだ……)

あかん 眠いので寝るの
このSSは歌織さんとイチャコラしてえという欲にまみれる予定なの
それでも気にしない人がのんびり見てくれると嬉しいって思うな

――それから暫くして。

コツコツコツ

歌織「あっ、誰か来たみたいですね、Pさん」

P「あの、最終確認なんですけど……本当にやります?」

歌織「もちろんです。女にも二言はありませんっ」

P「……わかりました。もともと歌織さんを焚き付けたのは俺ですし、もう腹を括りましょう」

歌織「ありがとうございます。でも、だめですよPさん」

P「え……?」

歌織「私のことは、『歌織』と呼んでくださるんですよね?」

P「あ、ああ……そうですね……歌織」

P(すごいな歌織さん……演技がプロだ。いやアイドルだしある意味プロなんだけど)

ガチャッ

環「おやぶーん、おはよー!」

P「……お、環か。おはよう」

歌織「あら、環ちゃん」

環「あっ、かおりだ! おはよう!」

歌織「ええ、おはよう」

P(ドッキリお題箱のルールに従うと……ドッキリの対象は環か)

歌織(環ちゃんにドッキリなんて罪悪感を感じちゃうけど……)

P(そもそも環に男女が交際するってことの意味が分かるんだろうか……?)

環「あれ? おやぶんもかおりも、どうかしたのか?」

P「え?」

環「なんだかいつもとちょっと違う気がするぞ!」

歌織「ふふっ……やっぱり環ちゃんも女の子なのね」

P「……歌織さん?」

歌織「かーおーりー」ピトッ

P「うぐっ」

P(人差し指を俺の口元に……)

歌織「……あのね、環ちゃん。実は環ちゃんに伝えておきたいことがあるの」

環「えっ? なになに?」

歌織「実はね、私とPさん……あ、プロデューサーさんは、お付き合いすることになったの」

環「オツキアイ?」

歌織「そう、お付き合い。わかるかしら?」

環「えっと……あっ、ダンジョのオツキアイってやつ!?」

P「お、おいおい、よくそんな言葉を知ってるな環」

環「うん! りおに教えてもらったんだー!」

歌織「莉緒ちゃん……」

P「莉緒お前……」

環「へー……でも、そっかあ……かおり、おやぶんとダンジョのオツキアイするんだね!」

歌織「ええ、そうなの。環ちゃん、お祝いしてくれる?」

環「うん、もちろん! おめでとう、かおり! おやぶん!」

歌織「ありがとう、環ちゃん!」

P「ありがとな、環」ワシャワシャ

環「えへへ……」

歌織「ぁ……」

P「……?」ワシャワシャ

歌織「……」

P(歌織さんから視線を感じる)

歌織「Pさん……」チョンチョン

P「なんですか?」

歌織「あの……私は撫でてくださらないんですか?」ボソッ

P「!?」

歌織「恋人なのに……」

P「か、歌織……?」

歌織「あ……名前で……ふふっ」パァァ

歌織「って……私が呼んでほしいって言ったんですものね。こほん……」

P「えっと……歌織も撫でようか……?」

歌織「はいっ、お願いしますっ♪」

P(うーん……だめだ。この人のたまに見せる子供っぽさが可愛すぎる)

P「……」ナデナデ

歌織「あ……うふふっ……私、幸せです♪」

環「かおりもおやぶんに撫でてもらってるのか?」

歌織「環ちゃんとお揃いね?」

環「うん、お揃い!」

P「かわいい」

P(かわいい)

環「あっ、そうだおやぶん! かおりとダンジョのオツキアイしてるんだったら、あれやってよ!」

P「あれ?」

歌織「なにかしら?」


環「きす!」


歌織「」

P「」

環「オツキアイしてるダンジョは熱いきすを交わすものだってりおが言ってたんだー!」

P「あいつ……自分がしたことないことを子供に教えるなよ……」

歌織「え、えっと……」

環「ねえねえ、二人はオツキアイしてるんだからするんでしょ?」

環「たまき、見てみたい!」

P「あのな環、そういうのはだな……」

歌織「……待ってくださいPさん。ここで環ちゃんの期待に応えてあげなくて何が大人でしょう」

歌織「それにここでき……キスしなかったら莉緒ちゃんが環ちゃんに嘘を教えたことに……」

歌織「だ、大事なお友達を嘘つきにするわけには……!」グルグル

P「歌織、ちょっと落ち着いて」

P「もうここらが潮時です」

歌織「あ、そ、そうですよね……」

P「環には俺が説明しますから。……すまん環、ちょっと聞いてくれ」


【P説明中……】


環「うーん……? つまり、かおりとおやぶんはダンジョのオツキアイしてないってこと?」

P「まあ、簡単に言うとそうなるな」

歌織「ごめんね、環ちゃん。私、嘘をついてしまったの」

環「そっかー。よくわかんないけど、わかったぞ!」

P「今度お詫びにデザート買ってやるからな」

歌織「私にも買わせてね」

環「ほんと!? やったー! おやぶんもかおりもだいすきっ!」

P「かわいい」

歌織「かわいい」


【環はレッスンに行きました】


P「というわけで一番最初のドッキリが終わったわけですが……」

歌織「……環ちゃん、かわいかったです」

P「ええ」

歌織「でもあんまり……ドッキリという感じではありませんね」

P「まあ、相手が相手ですからね」

歌織「逆にこっちが少しドッキリさせられてしまったような……」

P「確かに。……ところで、まだやりますか?」

歌織「もちろんです♪」

P「……わかりました」

P「それじゃあ引いてください」

歌織「はーい」ワクワク

P(大人なのに子供っぽいところを見せてくれるのが歌織さんの魅力だよな……)

歌織「えいっ」

P「えー、お次は……」


【お題:プロデューサーと一晩を共にしたことをそれとなく口走ってしまう】


P「……」

歌織「……」

P「……」

歌織「……」チラッ

P「……」

歌織「え、っと……」カァァァ

P「小鳥ィ!!!!!!」

P「やっぱりだめだこの箱はアイドルの目の届く場所に置いておくべきものじゃなかったんだ」ガシッ

歌織「一晩を共にした……っていうと……その……」

歌織「…………きゃっ」

P「歌織さん、まともに考えたらだめですよ。やめましょう」

歌織「あっ、ま、待ってくださいプロ……Pさん」

P「ま、まさか……やるんですか……? このお題で???」

歌織「は、はいっ。女は度胸ですし。それに、経験は役作りの糧ですよね?」

P「まあ、それを否定はしませんけど……」

歌織「……だったら、私、やり切ってみたいです」

P「ええ……」

P(まあ、やる気になってる歌織さんを止めるのも憚られはするけど……)

P(でもこのお題はなあ……)

歌織「……一晩を共に……」

歌織「…………」チラッ

P「……?」

歌織「……ふふっ」

P「歌織さん?」

歌織「あっ、何でもありません。……それより、またさん付けに戻ってますよ?」

P「え? でももう交際決定ドッキリは」

歌織「……昨晩はあれだけ激しく、歌織って呼んでくれたのに……」

P「」

P「歌織さん……役に入り込むとすごいですね……」

歌織「演技が楽しくて……」

P「えーと……わかりました、引き続き歌織と呼ぶことにします」

歌織「はい。お願いしますね、Pさん」

P「…………」

歌織「…………」

P「…………」

歌織「……Pさん」

P「……なんですか?」

歌織「ネクタイはちゃんとしめて下さいね?」

P「えーと……それはなぜ?」



歌織「……キスマークがみんなにばれちゃいますよ?」

歌織「もちろん……ばれてしまっても、いいんですけど♪」クスッ



P「」

P(歌織さん、役に入り込みすぎだよぉぉぉぉ!)

今晩はここまで
ちょっと歌織さんがキャラ崩壊してきたけど許してほしいって思うな
ところでrelationsが大好きな>>1にぜひおすすめの失恋悲恋曲を教えてほしいの

ミキミキは失恋ソングが似合いすぎる……
day of the futureもフローズンワードもいいよね……
夜に輝く星座のようには2番のBメロがほんとすき
ていうか美咲ネーターなんてあるのね 初めて知った 教えてくれてありがとう

結果的に失恋悲恋ではないけど、初恋四章の不安にまみれた感じが好きすぎる

歌織「いっそのこと……」

P「いっそのこと?」

歌織「……本当に、キスマーク、つけてみますか?」

P「歌織さん……このドッキリを始めてから悪女っぽくなってますよ」

歌織「まあ。ごめんなさい、今とても楽しくて……」

P「楽しそうなのはわかりますけどね……」

P「でも、あんまりそういうことは言っちゃだめですよ。アイドルなんですから」

歌織「はい、それはもちろん。Pさん相手にしか言いません♪」

P「はぁ……」

P「……ん?」

歌織「……」クスッ

歌織「それにしても……」

歌織「それとなく口走る……というのは、どうしたものでしょう?」

P「いやあ……それは俺に聞かれても難しいですね……」

P「この設定だと俺は担当アイドルに手を出したダメPなんで結構クるものがある……」

P「というか冗談とはいえこの設定をアイドルに付与するのは……」

歌織「Pさん」

P「はい」

歌織「このやり取りも数度目ですけれど……歌織はやりますからっ」

P「……はい」

歌織「ううん……そうですね、何となく展開は思い浮かびました」

P「展開」

歌織「その通りに行くかはわかりませんけど……話がこう進んだらこう答えよう、みたいな感じです」

歌織「ふふ、ドッキリってアドリブ力の鍛錬にもなるんですね」

P「好意的に見ればそうですね。……内容がアレなんでなんともですが」

歌織「嘘をつくことにこんなにワクワクするなんて……いけないとはわかっているんですけど……」

歌織「でも……止められそうにありませんっ」

P「歌織さんはまじめですからね……たまには羽目を外すのも悪くはない……かもしれなくもない……」

歌織「はい、Pさん、ダウトですっ」

P「え?」

歌織「呼び捨てじゃなくちゃ、いやですよ?」

P「……歌織はまじめだからね」

***

コツコツコツ


歌織「あっ」

P「誰か来ましたね」

歌織「誰でしょう?」

P「さて……冗談が通じる相手だといいんですけど……」


ガチャッ


このみ「おはようございまーす。……って、あら、二人だけ?」

P(こ、このみさんかァァーッ!)

歌織(相手にとって不足はありませんね……!)

P「おはようございます、このみさん」

歌織「おはようございます」

このみ「うん、おはよ。……あら? 歌織ちゃん、なんだか少し疲れた顔してない?」

P「え? そうですか?」

このみ「ちょっとプロデューサー? 担当アイドルの顔色はちゃんと見てないとだめじゃない」

P「え、ええ、すいません……歌織、大丈夫?」

このみ「……え?」

P「あっ」

P(つい呼び捨てで呼んでしまったが……やばいか?)

歌織(いいえ、これは活かさないとだめですね♪)

歌織「ご、ごめんなさいPさ……プロデューサーさん。私は大丈夫ですから」

このみ「……んん??」

P「そ、そうですか……。とにかく。調子が悪かったらちゃんと言ってくださいね」

歌織「はい、ありがとうございます。プロデューサーさん」

P(……確かに顔色が悪く見えるが……演技だよな、これ)ジーッ

歌織(顔色だって自在に操ってこそ、ですよね? プロデューサーさん)

このみ「…………二人とも、なんだか今日、少しおかしくない?」

P「えっ? いや、まさか……」

歌織「そ、そうですよこのみさん。私たち、別にそんな、全然何にもありませんからっ」

このみ「ムキになって否定するところが怪しいわねー……?」

P「は、ははは……それじゃ俺は事務仕事片付けてくるんで!」

歌織「あ、はい。お疲れ様です」

このみ「……」




このみ「……ねえ、歌織ちゃん。本当に体調は大丈夫なの?」

歌織「心配をおかけしてすみません……あの、実を言うと、ただの寝不足なんです」

このみ「歌織ちゃんが寝不足? 珍しいわね……」

歌織「はい……その、ちょっと、熱中していたことがあるというか……」

このみ「夜更かしは美容の敵よ? でも、それだけ熱中できることがあるのっていいわね」

このみ「なにかドラマでも見てたのかしら?」

歌織「え、ええっと……その……」チラッ



P「……」カタカタ

P「ん……?」チラッ

P(歌織さんがこっち見てる)



歌織「……!」ワタワタ

このみ「…………」

このみ(プロデューサーをチラ見して、すぐに視線をそらした……わよね?)

このみ「……ねえ、歌織ちゃんの寝不足って、もしかしてプロデューサーが関係してたりしない?」

歌織「えっ!? な、なんでそんなこと……?」

このみ「その反応はクロね……。なーによ、二人で飲みにでも行ってたの~?」

歌織「えっ、と……はい、実はP……プロデューサーさんにお誘いを受けて……」

このみ「ふーん……やるわねープロデューサーも。歌織ちゃんを独り占めかぁ」

歌織「ひ、独り占めだなんて……むしろ私が独り占めしたようなもので……」

歌織「ううん、違いますね……正確にはこれから独り占め、するんですけど……」ボソッ

このみ「……え?」

歌織「……このみさん? どうかしましたか?」

このみ「あ、いや、ううん……なんでもないわよ? ただ……」

このみ(……今日の歌織ちゃんはどこか、おかしいような……)

このみ(ちょっと状況を整理してみましょう)

このみ(私が出社した時点で……歌織ちゃんの顔色はどこか悪そうだった)

このみ(それは寝不足によるもので、プロデューサーに飲みに誘われてのものだったらしい)

このみ(けど……なんて言うんだろう……どうも、それだけじゃないような気がするのよね)

このみ(……そう、プロデューサーは歌織ちゃんのことを『歌織』って呼んでたわ。いっつも丁寧に『歌織さん』って呼んでたはず)

このみ(それで……歌織ちゃんも、プロデューサーの名前を一瞬口走ってたような……)

このみ(普通に考えれば……昨日の飲みで仲がより深まっただけよね……)

このみ(……いや、というかそれ以外に何があるのよ)

このみ(…………)


歌織「…………」ボー

このみ「…………」

このみ(……仮にもしもそれ以外があるとしたら……)

歌織「……昼のプロデューサーさんも素敵」ボソッ

このみ「!?」

このみ「か、歌織ちゃん……あの、なんて?」

歌織「……? あれ、私、いま何か言っていましたか?」


このみ(歌織ちゃんはいま、間違いなく無意識につぶやいた……)

このみ(昼のプロデューサーも素敵って……どういうこと?)

このみ(歌織ちゃん……あなたは、昼以外のプロデューサーも知っているということなの?)

このみ(それは……すなわち……)


このみ「…………」

このみ「……ねえ、ごめんね、歌織ちゃん……。気を悪くしたら申し訳ないんだけれど」

歌織「はい、なんでしょう?」

このみ「……、……」

歌織「このみさん?」

このみ「歌織ちゃん……あなたは……」

このみ「……プロデューサーと……寝たの?」

歌織「!」

歌織「こ、このみさん……」

このみ「……あ、ごめんなさい。今の歌織ちゃんの顔で、わかったわ……」

このみ「さっきから見てたこと、聞いたことにつじつまが合ったし……」

このみ「そう……そっか……」

このみ(その事実は驚くほどすとん、と私の胸の内に降りて)

このみ(私の頭は確かに納得、したんだけれど――)


このみ「い、いやー、なんだか意外ね! ……なんて言ったら、失礼かしらね」

歌織「……このみさん。その、私……」シュン

このみ「あ……せ、責めたいわけじゃないのよ……」

このみ「お互いの立場があるし確かにその……手放しで肯定は出来ないけど……」

このみ「ふ、二人とも成人してるし…………」

このみ「けど……あれ……おかしいわね……」

このみ「……ご、ごめんね、ちょっとお手洗い!」ガタッ



このみ(――私が出社する前……あの顔を寄せ合っていた二人は、愛の言葉を囁き合ったりしていたのだろうか?)

このみ(そんなところに思考が飛んだ瞬間、どうしようもなく胸が締め付けられる思いがして……)

このみ(気が付けば私は歌織ちゃんから逃げるように事務所の出口へと向かっていた……)

P「……待った」ズイッ

このみ(出口にたどり着いた私を遮るように立ちふさがったのは、プロデューサー)

このみ(私と歌織ちゃんの会話は彼にも聞こえていたに違いない)

このみ(何か、言い訳でも並びたてるつもりなのだろうか?)

このみ(だけれど、私は結局部外者で、何かを言われる立場でもない)

このみ(いや、むしろ……当事者になれなかった……)

このみ(そんなことを考えたら、私の胸はより一層締め付けられてしまった)

このみ(ああ……そうか……私は……)

このみ(彼のことが……)

このみ「ぷ、プロデューサー……ど、どいてちょうだい……」

P「いえ、どきません。このみさん、これだけは言わせてほしいんです」

このみ「な、なによ……」

P「……後ろを見てもらえますか?」

このみ「え?」


歌織『ドッキリ大成功』


このみ「…………」

このみ「…………」

このみ「…………」

このみ「……はぁぁぁぁぁ!?」

***

このみ「……で? つまり?」

このみ「プロデューサーと一晩を共にした設定でドッキリを仕掛けようと?」

歌織「はい……」セイザ

P「はい……」セイザ

このみ「アイドルに何やらせてるのよ!?」

P「それは本当にその通りでございます! はい!」

P「でも……歌織さんに頼まれたら力になってあげたくなるのが人の性……」

歌織「プロデューサーさん……!」

このみ「あーあー! 見せつけてくれちゃって!」

このみ「まったく。歌織ちゃんもアイドルなんだから悪ノリしすぎちゃだめよ!」

歌織「ごめんなさい……」

このみ「……ところでプロデューサー?」

P「はい」

このみ「事務所の仲間にドッキリを仕掛けたお詫びはあるのかしら?」

P「ええっと……」

歌織「環ちゃんにはデザートを買ってあげる予定でしたけど……」

P「このみさんは今度……飲みに行きましょうか」

このみ「いいわね。……当然二人きりよね?」

P「えっ?」

歌織「!?」

このみ「それじゃあ、そういうことで決まりね♪」

P「は、はぁ……」

歌織「……」

このみ「歌織ちゃん」

歌織「はい」



このみ「だいぶ楽しんでいるみたいだし……私にも、これくらいの役得はあってもいいわよね?」ボソッ

歌織「……ええ、そうですね。ふふっ……」ボソッ

結構駆け足気味に一晩共にした編はおしまい
次回はなんだろうね……「左薬指に指輪が光ってる編」かな……?
一応まだ続くということで次回もよろしくです

***

【それからまたしばらくして】

莉緒「二人とも、話はこのみ姉さんから聞いたわよ~」

歌織「莉緒ちゃん」

P「莉緒? 急にどうしたんだ?」

莉緒「ふっふっふ……私をのけ者にしようだなんてプロデューサー君も歌織ちゃんも人が悪いんだから」

歌織「莉緒ちゃん? 言っている意味が……」

莉緒「二人とも、ドッキリをやってるんでしょう?」

P「正確にはやってたが正しいけどな」

歌織「このみさんには、怒られてしまいましたしね」

歌織「……同時に挑発もされてしまいましたけど」ボソッ

莉緒「歌織ちゃん、何か言った?」

歌織「ううん、なんでも」

莉緒「そーお? ならいいんだけど……」

莉緒「ていうかドッキリよドッキリ! 私にはしてくれないの?」

歌織「り、莉緒ちゃん……ドッキリを期待してたらドッキリの意味がないと思うのだけど……」

莉緒「えー? セクシーな寸劇が見れるって聞いて期待してたのにぃ」

P「寸劇って……」

歌織「セクシーって……」

莉緒「ねえねえ、せっかくだし見せてちょうだいよ。ね? 歌織ちゃん!」

P「いや莉緒、それじゃもう完全にドッキリの趣旨から外れてるから」

莉緒「でも、アダルトな雰囲気のドッキリだったってこのみ姉さんが言ってたし」

莉緒「歌織ちゃんもそういうのが得意だということは、セクシーアイドルとして強力なライバルが登場したってことじゃない?」

莉緒「ライバルの実力はぜひこの目で見ておかなくちゃ!」

P「いやそもそも莉緒はセクシーアイドルじゃなくない……?」

莉緒「またそうやってイジワル言うんだから。本当は私の色気にクラクラ来てるくせにぃ」ツンツン

P「来てない来てない。あと指ツンツンしないで」

歌織「……」

莉緒「ふっふっふ……どう歌織ちゃん? やる気になった?」

歌織「……わかったわ、莉緒ちゃん。私の負けね」

P「歌織さん?」

歌織「プロデューサーさん、私、莉緒ちゃんの期待に応えます」

P「あ、はい」

莉緒「ふぅん……そのお題箱にドッキリのお題が入ってるんだ」

歌織「そうなの。一般的なお題とは少し外れてるけれど……」

P「でもこれドッキリの内容見られてたらドッキリじゃないよな?」

莉緒「いいのいいの、私が見たいのは歌織ちゃんのセクシー演技なんだから!」

歌織「セクシーなお題になるかはわからないけど……頑張るわね」

P(かおりお……いいよね……)

莉緒「プロデューサーくん? なんだか邪心を感じるわよ~?」

P「いや、なんでもないぞ」

歌織「……? それじゃあ引きますね」

莉緒「はーい」

ガサゴソ

歌織「えいっ」

莉緒「どれどれ?」


【お題:プロデューサーにエンゲージリングをプレゼントされた】


P「」

歌織「指輪……」

莉緒「あらあら……ご丁寧に指輪までついてるわよこのお題」

P「……これ、ウェディング雑誌の仕事でサンプルにもらったやつだ……」

P「小鳥さん、あなたって人は……」

莉緒「さてさて、お題も決まったし。二人の演技見せてくれるのよね、歌織ちゃん、プロデューサーくん?」

P「……歌織さん」

歌織「わ、私は、いつでも準備万端ですっ!」

P「……ていうか、ここでプレゼントするのか?」

莉緒「まあ……そこは仕方がないわよね」

莉緒「本当だったらもっとムードがある場所とかのほうがいいんでしょうけど」

歌織「いいえ……場所なんて関係ありません」

歌織「あなたに贈られたものにはすべて、確かな想いがちゃんと詰まっているって……」

歌織「歌織は、信じていますから……」



P「か、歌織さん……」

莉緒「くっ……いきなりやるわね……歌織ちゃん!」

歌織「……ごめんね莉緒ちゃん、これ結構恥ずかしい……」カァァ

P(そりゃそうだろうな……)

莉緒「でもいい感じね。歌織ちゃんの一言でムード高まってきたわよ~!」

P「そうか?」

莉緒「水を差さない!」

P「はい」

莉緒「じゃあ……場所は仕事終わりの事務所」

莉緒「みんなが帰って静まり返った事務所に残るよう言って、プロデューサー君が歌織ちゃんを呼び出したところからね!」

P「莉緒は監督か何かなのか?」

莉緒「つべこべ言わない。この百瀬莉緒プロデュースに任せなさい!」

P「はい」

歌織「えっと……それじゃあ私、ここら辺に立ってたほうがいいかしら」

莉緒「いいわね。歌織ちゃんは静寂が満ちる事務所の中、窓の外をぼんやり見つめている……」

莉緒「煌めくネオンライトの光が照らす街並みの中に、愛しいプロデューサー君の姿を探しては一つため息……」

莉緒「『プロデューサーさん……私を呼び出したりなんかして一体どうしたのかしら』……ハイ復唱!」

P「ノリノリだなこの子」

歌織「Pさん……私を呼び出したりなんかして一体どうしたのかしら……」

歌織「最近は二人の時間もあまりとれていないし……」

歌織「も、もしかして、別れを切り出されたり、なんて……」

歌織「……そんなの、いや……」ジワッ



莉緒「きゃ~! やるわね歌織ちゃん!!! あの切なげな瞳を見た!? プロデューサー君!」

P「見てる見てる。でも興奮する莉緒で全部台無しだよ」

莉緒「こほん……そうね、落ち着かなくちゃ」

莉緒「と、歌織ちゃんの独白が入った後にプロデューサー君の登場ね。あとは流れでやっちゃって!」

P「雑だな!?」

莉緒「いいからいいから」

P「――歌織さん」

歌織「あっ……」ゴシゴシ

歌織「Pさん。お待ちしてました」クルッ

P「すみません、俺が呼んでおきながら待たせてしまって」

歌織「いえ、いいんです。ちゃんと来てくれましたし……」

P「それはそうですよ。歌織さんとの約束なんだから、すっぽかしたりなんかしません」

P「雨が降ろうと雪が降ろうと……槍が降ったって必ずあなたのもとに行きますから」

歌織「Pさん……。……ふふっ」

P「歌織さん?」

歌織「あ、ごめんなさい……。少し、自分の馬鹿さ加減にあきれてしまったんです」

P「?」

歌織「私、さっきまで少し不安を抱えていたんです」

P「不安、ですか?」

歌織「……最近、Pさんの頑張りのおかげで、アイドルとしてとても充実した時間を過ごさせてもらっていますよね」

P「いやいや、俺なんて。むしろ歌織さんの頑張りあってのことですよ」

歌織「ありがとうございます。……でも、その、とても濃密なお仕事をさせて頂いているのに反比例するように……」

歌織「Pさんとの時間は、あんまりとれていなかったじゃないですか……」

P「それは……はい。……俺としても申し訳なく思ってます」

歌織「あ、謝らないでください! これは、私のわがままですし……」

歌織「ただ、それで……少し、不安になってしまって……」

歌織「もしかして今呼び出されたのは、別れを切り出されるんじゃないか……なんて」

P「歌織さん……」

歌織「ごめんなさい……Pさんからの愛を、疑うようなことを言ってしまって……」

P「いいんです……不安にさせたのは間違いなく俺の落ち度だ」

P「すまない……歌織」

歌織「……!」

P「……俺も、歌織に会える時間が……」

P「いや……歌織を感じられる時間が少なくて……つらかった」

歌織「Pさん……!」

P「……でも、もうそんな不安は二度と感じさせたりしない。誓うよ」

歌織「えっ……?」

P「歌織、聞いてほしいことがあるんだ」

歌織「は、はい……」

P「初めてあなたを見たとき……俺はどうしてもあなたをこの手で輝かせたいと思った……」

P「誰もが憧れ、誰もが魅了されてしまうような、そんなアイドルにしたいと……」

P「……だけど、やっぱり一番すぐそばにいた俺は……どうしようもなくあなたの美しさに囚われて」

P「いつしか歌織を……俺一人だけのものにしたいと願うようになってしまった」

歌織「Pさん……」

P「結局……俺たちは結ばれたけど……」

P「だけど、俺はもう、それですら満足できなくなってしまった」



P「……俺は歌織のすべてが欲しい」

P「俺のすべても、歌織に捧げるから」

P「だから……俺と結婚してほしい。歌織」パカッ

歌織「――――!」

歌織「P……さ、ん……わ、私……」ジワッ

歌織「そ、そんな……う、嘘じゃないですよね……?」

P「嘘なんかじゃない」

歌織「ほ、本当に……私なんかで……」

P「歌織じゃなくちゃだめだ」

歌織「ぁ……わ、わたし……わたしっ……!」

P「歌織」

歌織「Pさん……Pさん……!」ギュッ

P「!?」

莉緒「!?」

歌織「わ、私……うれしいです……!」

歌織「Pさん……不束者ですが……よろしくお願いします……!」ギューッ

P「あ、うん、わかりました……」

莉緒「ふわぁ……ふわぁ~!」バタバタ

P「莉緒たすけて」

莉緒「す、すごいじゃない……素面でプロデューサー君に抱き着いちゃうなんて、歌織ちゃんやるわね……」ドキドキ

P「聞いてない」

歌織「……Pさん」

P「はい」

歌織「指輪……嵌めていただけますか……?」

P「えっ」

歌織「最後まで……演じきってこそですよね……?」

P「はい」

歌織「……」ドキドキ

P「えっと、それじゃあ嵌めますけど……」

歌織「はいっ……」

P(左手はやめておこう)

歌織「……」ズイッ

P「……」

歌織「こっち、です♪」ニコッ

P「……」

P(左手を……笑顔で差し出してくる……ッ!)

歌織「Pさん?」

P「……あの、歌織さん……」

歌織「私に全てを捧げて下さるんですよね? ふふっ」

P「……はい」

P(自分の言動を思い返すと恥ずかしいってレベルじゃないぞ!)

P「……」

P(無心……無心で……)

P(あー……手がすべすべだよ……。抱き着かれた時も柔らかかったなぁいろいろとなあ!)

P(いや無心無心……これは演技演技……)スッ

歌織「あっ……」キラリ

歌織「……ありがとうございます、プロデューサーさん♪」

P「いえ……最後まで演じきってこそですもんね……はい」

歌織「ふふっ、殿方に手を取ってもらって指輪を嵌めてもらうなんて……」


ガチャッ


琴葉「おはようございま……」

歌織「……私、プロデューサーさんに指輪をもらえて、とっても幸せです♪」キラッ

琴葉「…………え?」

歌織「あ」

莉緒「あ」

P「あ」

今晩はここでおしまいですよ! おしまい!
ドッキリじゃなくてただのシチュエーションだし展開もセリフ回しもなんかいろいろ雑だけど許してほしいの!
ところでクール系美少女ユニットもいいけど重力系美少女ユニットはないのかなーって! うっうー! 

琴葉「……」スタスタ

歌織「……」

琴葉「……歌織さん。その指輪」

歌織「プロデューサーさんに頂いたの」キラッ

琴葉「へぇ……。そうですか」


莉緒「……あ、あ~……私、用事があったのを思い出したからちょっと出てくるわね♪」

P「逃がすか!」ガシッ

莉緒「ちょ、ちょっとプロデューサー君! 離して~!」

P「お前だけは逃がさん!!」

莉緒「私何にもしてないじゃないの!」

P「どの口が言うか!」

琴葉「……でも、よくないと思いますね」

歌織「あら、なにが?」

琴葉「左手の薬指に指輪をつけて……歌織さんが意味をご存じでないわけはないでしょう?」

歌織「ええ、そうね。もちろん私も、この指にこのリングを嵌める意味はよくわかっているつもり」

琴葉「私たちは……アイドルですよ?」

歌織「うん、琴葉ちゃんの言う通り。私たちはアイドルね」

琴葉「……よくないですよね。指輪」

歌織「……彼から嵌めてくれたのに?」

琴葉「……誰に嵌めてもらったかどうか、は、今の主題ではないはずですよ」

歌織「ふふ、そうかも。でも、気になっていたんでしょう?」

琴葉「いえ、別に……。指輪なら、私もあの人から貰いましたし……」

歌織「……あら、そうなのね」

琴葉「そもそもその指輪……質感からして本物ではないんじゃないでしょうか?」

歌織「本物か偽物か……より、指輪を嵌めてもらったという事実のほうが重要じゃないかしら?」

琴葉「そうですか? もしそうだとするなら、歌織さんって意外と低燃費なんですね」

歌織「何が言いたいのかな、琴葉ちゃん?」

琴葉「いえ……『特に何の意味もない日』に、『偽物の指輪』を貰って、喜色満面ですから。喜びのハードルが低いのかな、って」

歌織「……ふぅん?」

琴葉「まあ、『誕生日』の『プレゼント』に指輪を貰った私がとやかく言うことじゃありませんね。すみません」

歌織「あ、そうなのね……誕生日にリングを送られた後、特に何もないんだ……ふふっ」

琴葉「……はい?」

歌織「あら? どうかしたかしら、琴葉ちゃん?」

琴葉「いえ、何でもありませんけど……」

P「おい莉緒! どうにかしてくれこの空気!」ボソッ

莉緒「無茶言わないでよ! 大体プロデューサー君、琴葉ちゃんに指輪渡してたわけ!?」ボソッ

P「いや、まあ、それは誕生日プレゼントで……いや今の主題はそこじゃないだろ!?」ボソッ

莉緒「まあ、そうかもだけど……! どうしてこんな空気に……!」ボソッ



琴葉「ふふっ……。レプリカで喜べるほど安くありたくはないなって……それだけです」

歌織「あらあら……。私も、自分の気持ちに素直になれないほど子供でいたくないな」

琴葉「……」

歌織「……」

琴葉「面白い視点ですね、歌織さん」

歌織「私もそう思うわ、琴葉ちゃん」

琴葉「でも実際、その指輪は偽物なわけですよね?」

歌織「……そうね」

琴葉「事務所のみんなも勘違いするから、外したほうがいいと思いますよ。……あと、歌織さんも『勘違い』したままじゃ不憫です」

歌織「そう、勘違いね……」

琴葉「……?」

歌織「……」カチッ


P『……俺は歌織のすべてが欲しい』

P『俺のすべても、歌織に捧げるから』


歌織「……『抱きしめられながら』こんなこと言われてしまっては、『勘違い』するのも無理ないわよね」

琴葉「……」


P「なんで録音してるの。ねえなんで録音してるの。そもそもこのセリフの時抱きしめてなくない!?」

莉緒「女同士の戦いの中……少しの嘘は許されるということね……!」

P「何の話だ」

琴葉「……」

歌織「……」

琴葉「……」

歌織「……」

琴葉「……」

歌織「……」

琴葉「……あの、歌織さん」

歌織「……そうね、琴葉ちゃん。そろそろやめましょうか」


P「……え?」

莉緒「……え?」

琴葉「と、いうわけで」

歌織「……即興ではありましたが、琴葉ちゃんとの修羅場ドッキリ。いかがでしたか?」

P「え?」

莉緒「ええ!? なによそれ!?」

琴葉「何って、そのままですよ、莉緒さん。ちょっと修羅場っぽく演じてみました」

歌織「目と目で通じ合えたわね、琴葉ちゃん」ニッコリ

琴葉「はい。事務所に来た瞬間にわかりましたから」ニッコリ

P「そ、そうか……」

莉緒「も~! 心臓に悪いわよ!」

琴葉「そもそも、莉緒さんもいるのにプロデューサーが指輪を渡すシチュエーションがおかしいじゃないですか」

莉緒「た、確かに……」

歌織「ふふっ、琴葉ちゃんとのやり取り、とても面白かったです♪」

P「ま、まあ……二人が険悪になったのでないのならよかったよ……」

莉緒「ほんとよもう……。どうしたらいいのか本気で困っちゃったわよ」

琴葉「ふふ、ごめんなさい」

歌織「反省しています。だからどうか、許してくださいね。プロデューサーさん、莉緒ちゃん」

P「いえ……まあ悪ノリした俺にも責任がありますし……」

琴葉「さっきの録音……プロデューサーもやっぱり一枚噛んでいるんですか?」

莉緒「そう、そうなのよ琴葉ちゃん! ここにVがあるから見てみましょ」

歌織「恥ずかしいわ……」

P「恥ずかしい……」

琴葉「録画までしてたんですか……?」

【琴葉視聴中…】

琴葉「えっ、なんですかこれは」

琴葉「こんな羨まし……セリフをプロデューサーから……!?」

琴葉「だ、抱きっ……!?」

琴葉「――歌織さんっっ!」キッ

歌織「……」ニッコリ

琴葉「……プロデューサー、私もこのドッキリ、やります」

歌織「ううん、琴葉ちゃんには少し早いと思うわ。……少し、大人向けですもの」

琴葉「……私にだってできますよ。きっと、歌織さんよりもうまくね」

歌織「あら、そう……ふふっ」

琴葉「ふふっ……」



P「……あ、あれぇ?」

莉緒「ねえプロデューサー君……ドッキリだったのよね、二人の修羅場。ねえねえ……」

P「俺に聞かないで……」



歌織「――プロデューサーさん」

琴葉「――プロデューサー」


歌織・琴葉「「どっちのドッキリが見たいですか?」」ニッコリ




歌織「プロデューサーさん、私、ドッキリに興味があるんです」 おしまい

というわけでちょっと駆け足気味ながらおしまいです
お付き合いいただいた皆々様ありがとうございました
歌織さん、莉緒ちゃん、琴葉が出せて僕は満足です……
多分次もかおりおスレを立てるでしょう。その時までさらば

琴葉の演技はここでもガチだな
乙です

>>1
桜守歌織(23) An
http://i.imgur.com/9bBTslk.png
http://i.imgur.com/p8Qz8dc.png

>>25
大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/kz0cmln.jpg
http://i.imgur.com/AfjhE99.png

>>56
馬場このみ(24) Da/An
http://i.imgur.com/MYMlnKS.jpg
http://i.imgur.com/xqCmW34.png

>>80
百瀬莉緒(23) Da/Fa
http://i.imgur.com/K6xrSvf.jpg
http://i.imgur.com/ME7L1hW.png

>>95
田中琴葉(18) Vo/Pr
https://i.imgur.com/QRyBVJZ.png
https://i.imgur.com/nWx3NuB.jpg

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