静香「未来と過ごす日に」 (64)

みらしず百合もの

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未来「ねえ静香ちゃん」

静香「なぁに?」

未来「どうしてアニメの女の子同士って、やたらとくっつきたがるのかな?」

静香「仲がいいからじゃない?」

未来「うーん、いくら仲良しって言っても、事あるごとに抱き着きすぎだと思うんだ」

静香「そうね、私もそう思う」

未来「しかもこう、ぎゅーって具合にさ。顔もくっつくくらい近づけちゃって…現実にあんなことしたら恥ずかしいよね」

静香「同感」

未来「それに絶対少しは「暑苦しっ!」って思ってるよね。だって真夏設定だし。あははっ」

静香「ところで未来、ちょっとそのままでいてね…よいしょ」

未来「携帯取り出してどうしたの?」

静香「はいチーズ」パシャリ

未来「いえーい」ピース

静香「…見なさい、これが今のあなたよ」

未来「……あー」

静香「何か言うことは?」

未来「…私、静香ちゃんにめっちゃくっつきながらアニメ見てましたね」

静香「まったく、なにが現実にやったら恥ずかしいよ。ギャグかと思ったわ」

未来「いやぁほら、静香ちゃんが近くにいるとね、こう条件反射と言いますか…」

静香「あー恥ずかしい、それになんだか暑苦しいわね何故かしら?」

未来「やめてよぉ」

静香「間違えた。暑苦しっ!だっけ?」

未来「もーいじわるめーっ!静香ちゃんだって離れようとしないくせに」

静香「何度言っても聞かないからいい加減慣れただけよ」

未来「えー?そんなに普段くっついてたかなぁ…」

静香「未来…」

未来「いや、そんな「あぁ、そりゃいちいち覚えてないわよね。バカだし」みたいな目で見ないでよ」

静香「そこまで思ってないわよ。まあ、お家はともかく人の目に触れるようなところでは控えてよね」

未来「あ、お母さんおかえり」

静香「へぁ!?」

未来「うっそー♪」

静香「…お邪魔しました」

未来「ごめんってばまだ帰らないで~!」

静香「わかったからまとわりつかないで!…もう、朝から騒がしいったら」

未来「でへ~♪何だかんだ構ってくれる静香ちゃん大好き~」

静香「…なら、大好きな私のために、宿題を早く終わらせなさい」

未来「え~?もうちょっとまったりしようよ。せっかくの日曜なんだし」

静香「アニメ見るために早起きしたんじゃないでしょ?午前中にやることやっておかないと、遊ぶ時間無くなっちゃうわよ?」

未来「むー…それもそっか。よし、頑張るぞー、おー!」

静香「じゃ、私マンガ読んでるから」

未来「えーそれってズルくない!?」

静香「ズルくありません。私はもうとっくに終わらせてるし」

未来「ぐぐ、何も言い返せない…はぁ、授業中に居眠りなんてしなければもっと少なかったのに」

静香「自業自得ね、まあ、わからない所は教えてあげるから」

未来「…そのマンガ面白いでしょ?」

静香「ええ、長いけど面白いわね」

未来「でしょでしょ?特に中盤からさぁ」

静香「宿題」

未来「はい…」

未来「…」カリカリ

静香(何だかんだやるときは集中してやるのよね)

未来「…う~、静香ちゃん」

静香「どこ?」

未来「ここの単語と…」

静香「これは……だから」

未来「なるほど、もうわかったよ。ありがとう!」

静香「いいペースね。そろそろ一息いれる?」

未来「ううん、大丈夫。気分がノッてる内に終わらせたいんだ」カキカキ

静香「…ふふ、わかったわ」

未来「静香ちゃんは大丈夫?何か飲みたかったら勝手に持ってきていいからね」

静香「そう?なら未来の分も一緒に持ってきてあげよっか」

未来「でへへ、ありがとう静香ちゃん。私、牛乳がいいな」

静香「牛乳は昨日飲み切ったでしょ、麦茶ならあったと思うけど」

未来「あぁっ、そうだった…。静香ちゃん、私より私ん家の冷蔵庫事情に詳しいね」

静香「少しは自分も確認しときなさいよ…まあ私は料理したとき見させてもらったし」

未来「もうキッチン周りは我が物顔だね!」

静香「言い方」

未来「でもでも、静香ちゃんの手料理ホントに美味しかったよ。朝ご飯も、それから昨日の夕ご飯も美味しかったなぁ」

静香「そ、そう?ありがと」

未来「あんまり手際いいから、私ほとんど手伝う事なかったよ~」

静香「そんなこと無いわ。えっと、お皿出すとかしてたじゃない?」

未来「やっぱり何もしてない…でもありがとね。私一人だったらきっとコンビニに頼ってたかも」

静香「気にしないで。料理するのはキライじゃないし、未来しかいないから他人の家のキッチンでも気兼ねなく腕を振るえたわ」

未来「大人がいると妙に緊張しちゃうもんね」

静香「へえ、未来もそういうの緊張するんだ?」

未来「私だってそりゃするよ!友達の家でおトイレ借りるときとかに親と鉢合わせたら気まずいでしょ?」

静香「友達でも気まずいと思うけど…ご両親は夕方帰るんだっけ?」

未来「うん。それにしてもお母さんたちがいない日にお泊りしてくれて良かったぁ」

静香「ごはん係として?」

未来「それもあるけど」

静香「あるんだ…」

未来「お家で二人っきりで目一杯遊ぶの、なんかワクワクしてすっごく楽しかったなぁって♪」

静香「…そうね。誰かさんはなかなか寝かせてくれなかったし」

未来「だって寝るのもったいなかったんだもん。布団の中でガールズトークは定番でしょ?」

静香「途中から何故かくすぐりに発展したけどね、主に未来からだけど」

未来「あれはちょっとしたイタズラというか…でも楽しかったでしょ?」

静香「先に眠っちゃったくせによく言うわよ」

未来「そ、そうだったかなぁ…あはは」

静香「…まあいいわ。宿題頑張ってね」パタン

未来「…先に寝ちゃって寂しかったのかな?…まいっか」

未来「…」カリカリ

静香「…」ペラ

未来「…」カリカリ

静香「…」ペラ

未来「…ふぅ、あとちょっと」

静香「…」ペラ

未来「…静香ちゃん、夢中だね」

静香「…え、何か言った?」

未来「なんか、だらっとしながらマンガ読んでる静香ちゃんって新鮮かも。貴重なオフショットって感じ」

静香「だ、だらっとはしてないでしょっ。ベッドに寄りかかってるだけで…」

未来「たまに頭乗っけて読むの、私もやるやる。首は楽にはなるけど今度は上げてる腕が疲れるんだよね」

静香「あーわかる…って観察しないで」

未来「あはは、でもちょっと嬉しいな。こんなにくつろいでるの、外じゃあんまり見ないし」

静香「アイドルはイメージ命。誰に見られてるかわからないし、常に気を張っておかないと」

未来「おープロっぽい発言」

静香「プロのアイドルよ。未来も外でバカな行動は控えてよね」

未来「言ったなー私だってプロなんだぞこのー」

静香「ちょ、ちょっとやめてよっ、あっはは」

未来「ねね、マンガどこまで読んだ?」

静香「もう…それより宿題は?」

未来「もうすぐ終わるよ。それより~」

静香「なにをそんなに急かすのよ?えっと、これくらい」

未来「もうそんなに読んだんだ」

静香「未来の家に行くたびついつい読んじゃうのよね。少しずつ読み進めて、ようやくここまで来たってくらい」

未来「そういえばそうだっけ、昨日も読んでたもんね」

静香「本当は悪いから私も買おうかなって思うんだけど、なかなかこういうのって家には置けないのよ」

未来「え、どうして?うどんの本で本棚ぎっしりだから?」

静香「そんなには無いわよっ…まあ、6冊くらい?」

未来「けっこうある…じゃあ、親が厳しいとか?」

静香「…まあ、そんなところね。ダメってわけじゃないけど、あまりいい目をしてくれないから」

未来「そっか…良かったら貸そうと思ったんだけどなぁ」

静香「いいのよ。それに、こうしてゆっくり読み進めるのも悪くないし」

未来「読みたくなったら図書館感覚で来ていいよ!なーんて」

静香「未来の図書館…みらいぶらりー」

未来「え?」

静香「何でもない」

未来「…あ、この辺、あの話が載ってるやつだ」

静香「あの話って?」

未来「えっとね、もうすぐだよ。読み進めてみて」

静香「なんなのよもう…」ペラ

未来「」ワクワク

静香「…」ペラ…

未来「」ワクワクワク

静香「…あぁ、なるほど」

未来「…なるほど?」

静香「つまり……このシーンを見せたかったんでしょっ?」

未来「わ、ぅわわっ…い、いきなり見せないでよっ」

静香「未来、顔真っ赤」

未来「だって、だってほら、え、エッチなシーンだし…」

静香「最近の少女マンガって進んでるわね、こういうのも平気で載せちゃうんだ」

未来「し、静香ちゃん、びっくりしないの?」

静香「所詮マンガでしょ。別になんともないわよ」

未来「…ほんとぉ?」

静香「ホント」

未来「…その割には、視線外してるよね」

静香「…外してないから」

未来「耳、赤いよ」

静香「夕日かしら?」

未来「今は朝でしょっ、ほら静香ちゃん動くな!」

静香「や、やめなさい未来!」

未来「無駄な抵抗はやめて大人しくマンガを読みなさーい♪」

静香「無理矢理読ませようとしないでっ、ちょ、そ、そこはあまりにも過激よ!」

未来「あ、私いま、カレに愛されてるんだ…」

静香「音読するな!」

未来「すごい、体中、にで、でんきが……ぁ、ぁぅ…」

静香「恥ずかしいならやめときなさいよっ!」

未来「で、でへへ…実は私も読むたびドキドキしちゃうんだ。なんか、イケナイ気分になるというか…」

静香「じゃあなんだって読ませたがるのよ…」

未来「面白い反応してくれると思って」

静香「…へえ、ただイジりたいだけってわけね。あぁそう、わかったわ」

未来「な、なにが…?え、し、静香ちゃん…そんなくっつかれると動けないんですが…」

静香「ほら、一緒に読むわよ」

未来「なんで!?」

静香「私も未来の反応を見て楽しむことにするから。セリフは交互に読むこと、いいわね!」

未来「えぇ!?それは一人で読むより恥ずかしすぎるって!!」

静香「お、お、おねがい、抱いて……ほら次」

未来「そんなぁ……こ、こんやは、寝かせないぜ……あわわ」

未来「…」

静香「…」

未来「…すごかったね」

静香「…そうね、これ本当に少女マンガのカテゴリーでいいのかしら?」

未来「一応そうなってるけど…だって途中までは静香ちゃんも普通に読んでたでしょ?」

静香「まあ…でも、ツッコみ所はあれどお話の流れ的には、少女マンガなのよね」

未来「アレかな、リアルさを追求した、的な。それなら別におかしなことないし、うん」

静香「恋愛物なんだし、これも表現方法の一つってことよね。ええ」

未来「…」

静香「…」

未来「…宿題しよ」

静香「そ、それがいいわ。ほらほら、いつまでもくっついてないでっ」

未来「静香ちゃんからやってきたくせに…」

未来「…」カキカキ

未来「…終わったー!」

未来「あ~静香ちゃぁんつかれたよ~なでなでしてぇ…」

未来「っていない!?」

静香「未来、お昼ご飯作ったから下に…あ、犬がいる」

未来「犬じゃないよ!ただなでてもらおうと頭を…そ、それより宿題終わらせたよ!」

静香「ふふん、私の予想通りね。今ちょうどお昼を作り終えたところよ」

未来「え、じゃあ勉強終わるの見計らってお昼作ってたってこと?」

静香「声かけても気づかないくらい集中してたから、きっとお昼前には終わるかなと思って。またキッチン使わせてもらったけどよかったかしら?」

未来「全然いいよ。というかもうそんな時間なんだ。ん~っ、集中したなぁ」

静香「お疲れ様。おうどん食べて元気を…って未来?」

未来「はぁぁ…ぱたり」

静香「ベッドに突っ伏してないでお昼食べましょ?うどん伸びるわよ」

未来「…」

静香「ちょっと未来?まさか寝たんじゃ…」

未来「…ここ、微かに静香ちゃんの温もりが残ってる。えへへ」

静香「エッチ」

未来「えっちじゃないよ!」

静香「はいはい、ほら下にいらっしゃい」

未来「えっちじゃないからね?ただ思ったことを口にしただけで」

静香「わかったわかった」

未来「なんかテキトー、えっちマンガ大好き人間のくせに」

静香「ヘンな言い方しないでっ、あれは少女マンガ!!…大体それを言ったら買い揃えてるあなたはとてつもないエッチってことになるけど」

未来「そういうの目当てで買ったわけじゃ…も、もういいよこの話題は」

静香「自分から振ったんじゃないの…」

未来「いただきまーす!」

静香「いただきます」

未来「いやぁ、静香ちゃんすっかり春日家に馴染んでるよね」

静香「でも今更だけど本当によかった?他人にキッチン使わせて」

未来「お母さんも静香ちゃんなら安心ねって言ってたから大丈夫」

静香「あはは…信頼されてるみたい」

未来「さっきメッセージ送ったんだ。そしたらさ、静香ちゃんに迷惑かけるな、少しは料理覚えなさいって怒られちゃった」

静香「そんな正直に伝えなくても良かったのに…」

未来「ウソついたら静香ちゃんに申し訳ないかなって。お昼なんて完全に一人で作ってくれたわけだし」

静香「もし作ってる最中にご家族の方が帰ってこられたらと思うとちょっとドキドキだったけどね」

未来「静香ちゃんはいいよ。私なんか友達にご飯作らせて部屋にこもりっきり状態だったんだから。絶対叱られちゃう」

静香「宿題…まあ一応は勉強してたんだから仕方ないでしょ、その時は私から説明してあげるわよ」

未来「静香ちゃんの優しさが…ずず…心に沁みるなぁ…ずるる」

静香「食べながらしゃべらないの」

未来「床をドンってしたらご飯持ってきてくれそう」

静香「引きこもりの面倒はお断り」

未来「見捨てないでぇ」

静香「そうならないために普段からしっかりしなさいよ。勉強以外でも」

未来「むぅ、なんだかんだ色んな場面でお世話されちゃってるしなぁ…私って」

静香「お世話というか、未来が抜けてるだけ。やればできるんだからあまり心配させないでよね」

未来「えへへ、心配してくれてありがと。でもそれはお互い様かな?」

静香「え?」

未来「静香ちゃんはマジメで頑張り屋さんだけど、時々頑張りすぎちゃうから」

静香「…そうかしら?別に普通だと思うけど」

未来「一度倒れたくせに」

静香「それは言わないで」

未来「ごめんごめん…でも、私も静香ちゃんと同じ気持ちだってことは、わかってほしいかな?」

静香「…わかってるわ、ありがとう」

未来「それにしてもこんな美味しいおうどん、お店でも食べたことないよ。静香ちゃんはやっぱりうどんの達人♪」

静香「言いすぎよ…ま、まあおうどんには自信ありだけどねっ」

未来「う~ん美味しい!つるっとして、こう、なんか…とにかく美味しいなぁ」

静香「下手」

未来「じゃあお手本みせて」

静香「な、なんで自分が作ったものを…」

未来「静香ちゃんも食レポ出来ないんだ~」

静香「できるわよ。…見てくださいこの麺のツヤ、そして透き通るようなつゆの香しさにふっくらお揚げ。非常に食欲をそそられますね」

静香「それではいただきましょう…うん、このつるっとしたのどごしにコシのある麺の食感、あっさりながらダシの旨味がしっかり際立った風味豊かな味わい」

静香「これぞまさにおうどんの王道!一口でそう感じられるほど非常に奥の深い一品となっています」

未来「おー…!なに言ってるのかよくわかんないけどすごいかも!」

静香「そ、そう?こういうのはね、安易に美味しいって言っちゃいけないのよ」

未来「そうなんだ。美味しいなら美味しいでいいんじゃないの?」

静香「それだけじゃなかなか視聴者に伝わらないものなのよ」

未来「そっかぁ。私も練習しようかな」

静香「でも、未来ならアリかもね。食べてるだけでわかりやすすぎるくらい美味しさが伝わってくるもの」

未来「そうかな、でへへ…静香ちゃんはお家のご飯も作ったりしてるの?」

静香「自分用に作ることはあるけど、基本的にはお母さんよ」

未来「へえ、こんなに料理上手なのにちょっともったいないね」

静香「…料理するより、勉強に励んでくれた方が喜ぶみたいだから」

未来「そうなんだ」

静香「うん。でも、誰かのために腕を振るうのは、やっぱり楽しい。美味しく食べてくれる人がいたらなおの事、ね」

未来「とっても美味しいよ。毎日作って欲しいくらい♪」

静香「毎日は無理だけど、今度は一緒に作りましょうか」

未来「それもいいね。次は煮込み?ぶっかけ?あ、まずは基本の素?」

静香「うどん以外も作るわよ…私をなんだと思ってるの」

未来「ふんふ~ん…わわっ」カチャカチャ

静香「ちょっと未来、危ないわよ。しっかり持って洗いなさいよね」

未来「ごめんごめん」

静香「もう、片付けなんて一人で十分なのに」

未来「さすがにそこまでさせられないよ。ほらほら食器拭いて」

静香「はいはい」

未来「んー、なんかあれだね」

静香「あれ?」

未来「私たち、新婚さんって感じだね」

静香「はい?」

未来「仲良くリビングでご飯食べて一緒に食器を洗う昼下がり…なんかそれっぽいかなって」

静香「…ドラマの見すぎじゃない?」

未来「少しは雰囲気出してみようよ」

静香「どうやって?」

未来「えっと…あ、指切った。大変だどうしよう…的な」

静香「それ料理中にやるやつじゃ…とりあえず消毒液とばんそうこうね」

未来「現実的!?そうじゃなくてさぁ、こう指をちゅぅって」

静香「傷口からばい菌が入るからダメ」

未来「静香ちゃんのお口にばい菌なんてないよ」

静香「いや、そう…答えにくいこと言わないでよ。一応ちゃんと毎日清潔に保ってるけど」

未来「そういえば知ってる?虫歯ができるのは親が虫歯菌を移してるからだって」

静香「あぁ、子供の頃にキスなんかのスキンシップしてたら移るんだっけ?」

未来「そんなの聞いたらおちおちキスもできないよね」

静香「まあね」

未来「静香ちゃんは虫歯ある?」

静香「無いわ」

未来「私も。じゃあキスしても安心だね」

静香「そうね」

未来「…」

静香「…」

未来「今のは?」

静香「なんか違う気が…バイ菌やら虫歯菌やら、ムードもへったくれもないわ」

未来「いい線行ってた気がするんだけ……わっ、目に泡がとんだ!?」

静香「未来、大丈夫!?」

未来「う~いたた…」

静香「こすっちゃダメ!ほらかがんで。水ですすいであげるから」パシャパシャ

未来「は~い…」

静香「…これくらいでいいかな。目は開く?」

未来「大丈夫っぽい」

静香「こっち向いて、拭いてあげる」

未来「うん……あ」

静香「うーんちょっと赤いわね。大丈夫?目はもう痛くない?」

未来「…へ、平気だよ、多分」

静香「本当に?」

未来「それより…そ、そんなに見つめられると、恥ずかしいかも…」

静香「あ、ご、ごめん…」

未来「ううん、ありがとう静香ちゃん…」

静香「…」

未来「…ちょっと、新婚ぽかったかも」

静香「そ、そうかしら?子供と母親って感じじゃない?」

未来「ちょっと顔赤くなってるくせにぃ」

静香「い、いいから未来はもう休んでて。後は私がやるから」

未来「もー照れちゃって…じゃあ近くで見てるね」

静香「好きにしなさいよ…」

未来「はーい」ダキッ

静香「…近すぎ」

未来「ぽいでしょ?洗い物中に後ろからギュって」

静香「はぁ…ええそうかもね。邪魔はしないでよ」カチャカチャ

未来「静香ちゃん手際いいなぁ、料理上手は片付けも上手なんだ」

静香「これくらいは基本よ基本。使ったものはきちんとお片付け…未来の部屋にも言えることね」

未来「あれはそういうポジションなの。読みたい本をすぐ読めるようにしてるだけだもん」

静香「典型的な言い訳ね。せめて人を招くときは片づけときなさいよ…はい、お終い」キュッ

未来「お疲れ様。あ、そのままそのまま」

静香「?」

未来「はいタオル。手、拭いてあげるから待っててね」フキフキ

静香「…っふ、く、くすぐったいからいいわよ…っ」

未来「いいからいいから。指の間もふきふきっと♪」

静香「ちょっ、へ、ヘンな拭き方しないで…くっふふ…!」

未来「綺麗な手だから大事にしないとね~、うりうり」

静香「あは…っ!手のひら…さ、さわさわって…くくっ、やめなさいって、未来ぃっ」

未来「指先でくるくる~」

静香「あはははっ…あーもう、こらっ!」

未来「ちょっと静香ちゃん、せっかく拭いてあげてるんだから手離してよぉ」

静香「イタズラでしょっ。というかこんなことしてたら出かける時間無くなっちゃうわよ?」

未来「あ、そうだった。午後からはお出かけするんだよね。楽しみ楽しみ♪」

静香「まったく未来ったら……あ」

未来「どうしたの?」

静香「未来、窓」

未来「窓?……あ」



ザー…

未来「…」

静香「…」

未来「…静香ちゃん」

静香「なぁに?」

未来「どうして私達、休日の昼間にお家こもってマンガ読んでるのかな?」

静香「外が大雨だから」

未来「あまりにも非常な現実」

静香「なら聞かないでよ」

未来「あ~あ、お昼前まではあんなに晴れてたのに…残念だなぁ」

静香「お出かけはまたの機会ね」

未来「ちぇ、静香ちゃんに新しい髪留め選んでもらおうと思ったのに」

静香「髪留めは逃げないわよ、別に今じゃなくてもいいじゃない」

未来「そうだけど…静香ちゃんだって行きたいところあったでしょ?」

静香「まあね、いいお天気だし一緒にテニスでもしようかと」

未来「わ~楽しそう♪私ね、テニス部にも入ってたから自信あるんだ!雑用ばっかだったけど」

静香「それは自信あるって言えるの?まあ、小さい頃からテニスやってた私に勝てるとは思えないわね」

未来「あー、そうやって昨日トランプでぼろ負けしたウサを晴らそうとする魂胆だったんだ」

静香「そんなセコいこと考えないから」

未来「じゃあまたトランプする?」

静香「やらない」

未来「なんでぇ?最後に一回だけ勝ったんだからいいでしょ?」

静香「その一回を大事に取っておきたいのよ。勝てそうな気分になったら相手してあげる」

未来「それって勝ち逃げじゃ…」

静香「なんとでも言って」

未来「しょうがないなぁ…まあ、たまにはマンガ読みながらごろごろするのも悪くないしね」

静香「なんかはっきりそう言われると気が引けるわね…」

未来「じゃあここで歌の練習でもする?誰もいないし、雨音がかき消してくれるよ」

静香「……いえ、やっぱり大人しくしてるわ」

未来「別に遠慮しなくていいのに」

静香「休養も大事な仕事と思っただけ。それに…こういう時間も大切だと思うから」

未来「…私との時間がそんなに大切なんだ?」

静香「そんなこと言ってない」

未来「そっかそっか…でへへ♪」ゴロゴロ

静香「もう…ベッド揺らさないでよ、読書に集中できないわ」

未来「静香ちゃんいっつもそこ座るよね、ベッドに寄りかかってさ。なんで?」

静香「なんでって言われても、まあ、座りがいいというかしっくりくるというか」

未来「自分の部屋でもそんな感じなの?」

静香「ううん、大半は机に向き合ってるかな」

未来「お家でもマジメなんだ」

静香「…そんなことない、ただ」

未来「…?」

静香「…何でもないわ。私、未来の部屋けっこう好きよ」

未来「え?」

静香「なんというか、落ち着く。…思わずだらけちゃうくらいにね」

未来「…でへへ、じゃあそこは静香ちゃんの指定席ってことで、いいよ」

静香「ありがと。あとここ、いい匂いするのよね。…枕元だからかしら?」

未来「へ……ちょ、嗅がないでよっ」

静香「お昼のお返し、ふふっ」

未来「…まさかここに座るのって枕元の匂い嗅げるからじゃ」

静香「そっ…そんなわけないでしょ!?」

未来「も~…ヘンタイっぽいからやめた方がいいよ」

静香「だから違うわよ!お返しって言ったじゃないっ」

未来「とか言ってまたえっちなマンガ読みだしてるくせに」

静香「少女マンガだってば!というかそれは関係無い!」

未来「あはは…そんなにハマった?そのマンガ」

静香「…まあ、過激なシーンもあるけど面白いわね。マンガって普段あんまり読まないんだけど、こんなに熱中したのは初めてかも」

未来「でへへ~、自分の好きなマンガが褒められるのって、悪い気がしないなぁ。あ、このキャラいいよね~」

静香「序盤から一貫していい人ね。だからこそうさんくさいけど」

未来「へー、静香ちゃんはそういう見方するんだ」

静香「外面が良すぎる大人ほど何考えてるかわからないもの、未来も気を付けなさいよ」

未来「な、なんで私…?」

静香「ほいほい騙されそうで危なっかしいのよね」

未来「そんなにバカじゃないよ、それに私の周りはいい大人のひとばっかりだし」

静香「どうしてそう言い切れるの?」

未来「だって劇場の大人はみんなそうでしょ?それに社長もいい人だし、小鳥さんもいい人、プロデューサーさんもいい人…ほらね?」

静香「…まあいいけど、芸能界にはいい大人ばかりじゃないのよ?」

未来「この不良キャラみたいな悪い人?」

静香「流石にこんなあからさまじゃ…それにこの子、見た目は軽いけど根はいい子っぽいわ」

未来「あ、そうそう!第一印象はムッとしたけど、最新話ではね…」

静香「ネタバレは絶対NG!」

未来「もがもが…」

ざーざー…



未来「…」ペラ

静香「…」ペラ

未来「…はふぅ、ちょっと疲れた」パタム

静香「…」ペラ…

未来「静香ちゃん、今どのくらい?」

静香「このくらい」

未来「けっこう読むの遅いんだね」

静香「隅々まで見ないと落ち着かないから」

未来「ふーん」モゾモゾ

静香「…」ペラ…

未来「…」ジー

静香「…」

未来「…」

静香「…」

未来「…」

静香「未来」

未来「ぅわっ…急にこっち向かないでよ」

静香「そっちが見つめてくるからでしょ、なに?」

未来「いや、瞳の動き見るの楽しくて。こうスーって動いたりキョロキョロってしたり」

静香「なんだか悪趣味よそれ。…でも、流石に目が疲れたわ」

未来「普段あんまり本読まないって言ってたしね」

静香「マンガを読まないって言ったの。小説くらいならそれなりに読むけど」

未来「こんな分厚いノンフィクション小説とか?」

静香「…それ、誰から聞いたの?」

未来「プロデューサーさんから」

静香「あの人は…」

未来「あ、違うよ。あの時は静香ちゃんのいる場所聞いただけ。で、行ってみたらウツラウツラな静香ちゃんがいてさ」

静香「もう…恥ずかしいから忘れてちょうだい」

未来「うんうん、ちょっと背伸びして難しい小説読んだら寝落ちした静香ちゃんのことは忘れるね」

静香「……はぁぁ」ポフ

未来「あ、私の枕勝手に」

静香「たまたま頭のところに置いてあったんだから、これはもう私の枕よ」

未来「私も入れてよ~私の枕~」グリグリ

静香「頭で押さないで…私の枕よっ」グリグリ

未来「ぬぬぬ…」グリグリ

静香「むむむ…」グリグリ

未来「……半分こにしよ?」

静香「賛成……よいしょっと」ギシッ

未来「今度はベッドまで盗られた」

静香「半分こ、いいでしょ?」

未来「構わんよ」

静香「偉そうに」

未来「私のベッドだもーん」

静香「はいはい、ありがと」

ざー…ざー…ざー…



静香「ちょっと強くなってきたわね」

未来「でも天気予報だと夕方くらいには止むってさ、帰りは大丈夫じゃないかな?」

静香「そう」

未来「…」

静香「…」

未来「なにかする?」

静香「なにしよっか」

未来「そうだなぁ」

静香「…」

未来「…」

静香「…」

未来「…」

静香「静かね」

未来「だじゃれ?」

静香「そのままの意味」

未来「うん。雨音はするのに、なんか不思議だね」

静香「規則的な雨音が部屋の静けさを引き立ててる…といったところね」

未来「おー、怖いドラマとかそんな感じかも」

静香「こんな日に一人でお留守番って、怖い?」

未来「別に」

静香「ほんと?」

未来「…ちょっとは寂しいけど」

静香「怖いんだ」

未来「静香ちゃんは?」

静香「どうかしら?」

未来「静香ちゃんも怖いんでしょ?」

静香「…そうかもね」

未来「え?」

静香「だって…子供だから」

未来「子供…」

静香「そう、子供」

未来「…」

静香「…」


しとしと…

未来「…お泊りしてくれてありがとね。おかげで寂しくなかったよ」

静香「私も……家にいるより楽しかったわ」

未来「大人がいないから?」

静香「未来と一緒だから」

未来「そっか」

静香「うん」


未来「…大人ってさ」

静香「うん?」

未来「なんだろうね」

静香「ざっくりしすぎ」

未来「私はまだ、ちょっと想像できないかなって」

静香「大人の自分?」

未来「年を取ったら、大人になれるのかな?」

静香「年を取っても、大人になれない人はたくさんいるらしいわ」

未来「ふぅん、難しいね」

静香「…未来、こっち向いて」

未来「なぁに、静香ちゃん?」

静香「…」

未来「…静香ちゃん?」

静香「髪留め…今度はシンプルな、落ち着いた色を選びましょうか」

未来「どうして?」

静香「その方が大人っぽいからよ」

未来「星型の装飾は子供っぽいかな」

静香「可愛いけどね、似合ってる」

未来「ありがと。静香ちゃんのバレッタは大人っぽいよね」

静香「派手なのは選ばないから」

未来「私も今度選んであげるよ」

静香「お願いしようかな」

未来「うん…」

静香「……あるいは」スッ

未来「んっ」

静香「髪留め外すわね」

未来「うん」

静香「前髪を下ろして…この方がカッコいいかも」

未来「そうかなぁ?いっそ全部下ろしちゃおうか」

静香「じゃあサイドも解いてみるわね」

未来「ふふ…くすぐったい」

静香「じっとして…はい」

未来「手慣れてるね」

静香「何度も結んであげてるからよ」

未来「どう?」

静香「いいかも、大人っぽい」

未来「ほんと?でもこれじゃあ特徴無くなっちゃうんじゃ…」

静香「何かを得るには何かを捨てなければいけない」

未来「それっぽいこと言って、ホントに大人っぽい?」

静香「んー…部屋の薄暗さがそう思わせるのかしら?」

未来「確かに暗いね、まだ浅い時間なのに」

静香「この天気じゃ仕方ないわ」

未来「電気付ける?」

静香「…いい」

未来「そだね。…くく」

静香「なに?」

未来「静香ちゃんの顔、ちょっとホラーだよ。髪が半分顔に掛かっててさ」

静香「呪ってやる」

未来「真顔は本当に怖いって。直してあげるから許して」スッ

静香「ん…じゃあ許す」

未来「…さらさら、気持ちいい手触り」

静香「なにしてるの?」

未来「…枝毛探し?」

静香「人の髪の毛で遊ぶ子は…呪ってやるぅ」ワシャワシャ

未来「ふわわ…っ」

静香「…ふふ、わんこ撫でてるみたい」

未来「もー…髪ぐちゃぐちゃ」

静香「どうせ今日は家出ないからいいじゃない」

未来「人の髪と思って…ふんだ」

静香「直してあげるから…ほら、こっち向きなさいって」

未来「…」

静香「みーらーいー?」

未来「……」

静香「…えいっ」ツン

未来「ひゃんっ」

静香「こっち向かないと、今度はくすぐるわよ?」ツンツン

未来「ぷっ、あは…!もう、くすぐってるじゃんっ」

静香「つついてるだけよ、弱いわねぇ」クリクリ

未来「あははは…っ!わ、わかったからやめへぇ…っ」

静香「素直でよろしい」

未来「はぁ、はぁ、はー…もう、静香ちゃんのばか。これでいい?」

静香「あ…」

未来「?」

静香「未来、今、大人っぽい…」

未来「え?」

静香「乱れた息と、口に髪が…こう、流れて」ツツ…

未来「んふ、くすぐった……」

静香「…色っぽく見えるわ」

未来「ほんと…?」

静香「うん……よく、見せて」

未来「いいよ」

静香「…もっと」

未来「…うん」

静香「…」

未来「……近、くない?」

静香「…暗いから」

未来「近すぎ、だよ…」

静香「そうね」

未来「…」

静香「…もう少しで、届いちゃいそう」

未来「……どこが?」

静香「わかってるくせに」

未来「…」

静香「もっと、近づいたら…」

未来「…うん」

静香「私達、大人になっちゃうかも」

未来「…」

静香「…」

未来「………」


静香「………」


未来「……」


静香「……」


未来「…」


静香「…」




未来「……んっ」

静香「ん…」

未来「ん、む…っ」

静香「……っは、はぁ」

未来「はー…ふ…」

静香「…ふふ」

未来「…えへへ」

静香「しちゃったね」

未来「うん、しちゃった」

静香「…どうだった?」

未来「…わかんない、けど…熱かった」

静香「私は…やわらかかった」

未来「…」

静香「…」


静香「…もう一回…してみる?」

未来「…」コク

静香「……ん…っ」

未来「……ん、ふ…っ」



静香(とんでもないことしてる…鼓動がうるさいくらい高鳴ってる…でも、妙に冷静な自分がいる)

静香(多分この気怠い空気と、部屋の薄暗さと、雨音が生み出す静けさが雰囲気を作ってしまって…)

静香(目の前でじっと待つ未来に、今なら何でもできるって、ヘンに気が大きくなって…)

静香(あっさり、超えちゃった……イケナイこと、なのに)

未来「ん…ん、ぷはっ…はぁ、はぁ」

静香「は、ん…っ……ごめん、苦しかった?」

未来「は、は……マンガと…ちょっと違うね」

静香「あの少女マンガ?」

未来「あんなに考え事、してらんない…頭真っ白」

静香「ある程度説明しないと、読者に気持ちが伝わらないでしょ?」

未来「…食レポと同じ?」

静香「ふふっ、似たようなものかも」

未来「…静香ちゃん、なんか余裕だね」

静香「そんなことないわ…手、貸して」

未来「え……あ」

静香「心臓…ドキドキしすぎて、痛いくらいよ」

未来「うん…静香ちゃんのおっぱい触っちゃった」

静香「そっちじゃないでしょ、もう…」

未来「こういうのもマンガで見た…もっとエッチなことも、してたっけ」

静香「そうね」

未来「あんな、すごいことしたら…頭、バカになっちゃうかも…」

静香「……して、みたいの?」

未来「え…」

静香「だって、手、放そうとしない」

未来「あ…これは、ちがくて…」

静香「私は……してみたいって、思う」

未来「…」

静香「…」


未来「す……する?」

静香「…イヤなら、言って……ちゅっ」

未来「ぅ、む…ふぁ…っ」

静香(そうだ、昨日もこんな空気になったっけ…布団の中でくすぐりあってたら、時々妙な気分に…)

静香(あの時は未来が先に眠ったから、私も思いとどまれたけど…やっぱり、ムリみたい)

静香(あとには引けないとわかってても、もう、止められない自分がいる…)

静香(あの少女マンガみたいなこと…あれは、男女だったけど)

静香(そんなの…もう関係無い)

静香(今はただ、未来のことを…)



コンコン

『未来帰ったわよー』


静香「…!?」

未来「お、おかえりお母さんっ!あのね、今静香ちゃん寝てて、あの…!」


未来母『あらそうなの?じゃあ帰りにでも挨拶するわね』スタスタ…


静香「……」

未来「……」


静香「…はぁ~っ」

未来「っは、はー…びっくりしたね」

静香「別の意味で心臓が痛いわ…」

未来「き、求心飲む?今持ってないけど」

静香「いや大丈夫だから落ち着いて」

未来「…わ、もうこんな時間なんだ。全然気づかなかった」

静香「そうね、もう…帰らなきゃいけない時間だわ」

未来「うん」

静香「…」

未来「…離れないの?」

静香「…もうちょっと、いい?」

未来「うん…いいよ」

静香「…」

未来「…」

静香「……あの、ね。未来さっきの」

未来「静香ちゃん」

静香「な、なに?」

未来「帰る前に髪直してってよね。静香ちゃんが乱したんだから」

静香「え?う、うん…わかった」

未来「…でも静香ちゃんに髪触られるのってなんか好き」

静香「あんな触りかたでも?」

未来「うん、好き」

静香「…そっか」

未来「でへへ」

静香「…まさかたまに寝癖付けたままなのはそのため?」

未来「それは誤解だよぉ。多分夜更かしして遅刻ギリギリだからとか、そんな感じ」

静香「それはそれでダメじゃない…身だしなみはきっちりとね。あと夜更かしも控えるように」

未来「わかってるって」

静香「…それじゃ起きましょ。髪、梳いてあげる」

未来「はぁーい♪」

静香「どうも、お邪魔しました」

未来母「またお泊りにきてね。未来すっごく喜ぶから」

静香「はい、いずれまた」

未来母「それとキッチンも綺麗に使ってくれて嬉しいわ。とてもうどんを一から作ったとは思えないくらい。未来に使わせるとそりゃもう…」

未来「お母さんもういいからっ」

未来母「あははっ。私にも今度食べさせてね?」

静香「は、はい。また用意します…失礼しました」

未来「もう…あ、途中まで送っていくね」

静香「いいの?」

未来「いいのいいの。せっかく結びなおしてくれたんだし」

静香「ありがとう、じゃあ行きましょうか」

未来「うわー、さっきまでの雨がウソみたい♪」

静香「ほんと、もったいない一日だったわね。もう日も落ちそうよ」

未来「でも見て、綺麗な夕日。ちょっと得した気分かも」

静香「単純なんだから。…足元気を付けて、水たまり踏まないようにね」

未来「わかってるわかってる…おっとと」

静香「危なっかしいんだから…手、繋いでいきましょ」

未来「うん♪あ、そういえば学校でさ…」



静香(いつも通りの他愛ないお喋り…でも、さっきまであんなことしてたのよね)

静香(大人が……いえ、好き同士がする、イケナイこと。…それも、女の子同士で)

静香(雰囲気に呑まれていたとはいえなんて大胆な事を…あぁ恥ずかしい)

静香(……未来は、イヤじゃなかったかな?私から迫ったようなものだったし、もし本当はイヤで言い出せなかったとか…)

静香(はぁ…そんなの聞けば一発なのに、この期に及んで臆病な自分が邪魔をするのよね)

静香(万が一…だったら、と思うと……あぁ、もう)

静香(私って、つくづく未来のことが好きみたい…)

未来「…しーずーかちゃん?」

静香「ふぇっ、な、なに?」

未来「ぼーっとしてたけど、大丈夫?」

静香「ごめんなさい、ちょっと考え事してて…」

未来「ふーん……ねね、次はいつお泊りしてくれる?」

静香「スケジュール次第だけど、近いうちにまた、ね」

未来「やったぁ♪…あ、静香ちゃん。ちょっと手を上げてみて」

静香「手?…こう?」

未来「ふーむやっぱり…張りがあって、ほどよい弾力」フニフニ

静香「ちょ、二の腕なんか触ってどうしたのよ?」

未来「私のも、ほらほら」

静香「?…いいけど」フニフニ

未来「どんな感じ?」

静香「どんなって言われても…柔らかくて、ちょっとクセになる感じ?」

未来「あー、静香ちゃんやっぱりエッチだ」

静香「なんでそうなるのよっ」

未来「…ふふ、知ってる?」

静香「…?」

未来「二の腕って、おっぱいとおんなじ柔らかさなんだって」

静香「え…」

未来「静香ちゃんの、けっこう感触近かったかも」ニギニギ

静香「な…っ」




未来「今度、私のも確かめてね」ボソ

静香「っ…!?」


未来「…あはっ♪赤くなってる~」

静香「ゆ……夕日のせいだから」

未来「んー、今度はそうかも?」

静香「…いじわるね。ほら、もうここまででいいから早く帰りなさい。暗くなるわよ」

未来「はーい。感触忘れないでねー」

静香「とっとと帰りなさい」

未来「でへへ…ばいばーい、また学校でっ!」タタッ

静香「帰り転ばないでよ!…ばいばい」


静香「……あなたも真っ赤じゃない。夕日に負けないくらい」

静香「ふふ♪」

静香(そうよね…考えてみれば当たり前の事)

静香(自分をバカだとは言うけれど、望まない事を受け入れて、簡単に流されるような弱い子じゃない)

静香(そんな未来だから、私は…)





静香「とりあえず…次のお泊りまで、うどん捏ねるのは控えようかな」ニギニギ

静香「…じゃなくてっ!気持ち、ちゃんと伝えるのが先ね。こういうのはケジメが大事だし、うん」

静香「……はぁ。やっぱり私、けっこうエッチみたい」

おしまい

エロいいね、乙です

>>2
春日未来(14)Vo/Pr
http://i.imgur.com/WoJTrFI.jpg
http://i.imgur.com/rM1p4Pf.jpg

最上静香(14)Vo/Fa
http://i.imgur.com/ST3UHF5.jpg
http://i.imgur.com/elElgN9.jpg

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