向井拓海「猫カフェに来たぞオラァ!?」 (29)



春菜「はじめまして!当店唯一の眼鏡の猫ちゃん、はるにゃんですにゃ!」

拓海「いや、なにしてんだよ」

春菜「にゃあにゃあ!眼鏡どうぞ!」

拓海「いらねえよ」


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拓海「いやいや、マジでこんな所でなにやってんだよ」

春菜「何をって……アルバイトですよ」

拓海「だったら早く猫を連れてこい。さっさとモフらせろよ」

春菜「猫ちゃんなら目の前にいますにゃ!」

拓海「それを認めたらここはイメクラになるだろーが!?」

春菜「失礼ですね!当店ではいかがわしいサービスは行ってません!」

拓海「この状況が十分いかがわしいわ!!」



拓海「だいたいなんでこんなところで働いているんだよ?」

春菜「実は今月お金が足らなくて……」カチャカチャ

拓海「アイドルの仕事があるから金には困らないだろ?」

春菜「そうなんですけど、実は布教用の眼鏡を買いすぎちゃいまして」トクトクトク

拓海「眼鏡の布教も考えもんだな。その根性は認めてやるけど」

春菜「で、困っていたところをPさんにこのお店を紹介してもらったんです」スッ

拓海「あの変態なにやってんだよ!!」

拓海「あと、妙に慣れた手つきでドリンクを出されるとムカつく!!」



拓海「金がないからって未成年がこんなキャバクラまがいの店で働くんじゃねえよ」

春菜「だからキャバクラじゃなくて猫カフェですってば」

拓海「やってることはキャバクラと同じだろーが!!」

拓海「そもそもアイドルはこんなところで働くもんじゃねえだろ!」

拓海「マスコミにばれたら事務所に迷惑がかかるし、ダチも悲しむぞ!?」

春菜「そのあたりは心配ありません。このお店は心がピュアじゃないと入れませんから」

拓海「Dream ○ Clubかよ!?」

春菜「それに私以外のアイドルもこのお店で働いているんですよ」

拓海「マジか……」



拓海「ち、ちなみに誰が働いているんだよ?」

春菜「今は雪美にゃんと志希にゃんが出勤してますよ」

春菜「留美にゃんは午後から同伴出勤ですね」

拓海「同伴って……ますますキャバクラじゃねえか」

春菜「ちなみにみくにゃんは履歴書で落とされました」

拓海「なにやってんだよ……」

春菜「あと先週まではのあにゃんとアーにゃんもいたんですよ」

春菜「今は別店舗のウサミミ喫茶で働いてるのでこっちには来ませんけど」

拓海「マジでなにやってんだよ!?」



春菜「拓海ちゃんさっきからイライラしすぎじゃありませんか?」

春菜「カルシウム取りましょう!カルシウム!」

春菜「新しいグラスにミルクティー入れてあげますにゃ!」コポコポコポ

拓海「イライラしてんのはお前のせいだけどな……でもちょっと一息つきたいからもらうわ」



拓海「はぁ……なんかもう疲れた」

春菜「だったら甘いもの食べません?パフェとかおすすめですよ?」

拓海「いらねえ」

春菜「そんな!なにか一品だけでも食べて帰ってくださいよ!!」

拓海「いや、もうほんと勘弁してくれ」

春菜「お願いします!このままじゃ私、クビになってしまうんです!」

拓海「なんでだよ!!」



春菜「実はお客さんに眼鏡を布教していたら苦情になってしまって……」

拓海「いい根性してるな」

春菜「だからお願いします!」ガシッ!

拓海「ちょ、くるし!離せ!」

春菜「せめて一品だけでも!」ギリギリギリ

拓海「わかった!頼むから!注文するから離せ!」

春菜「ありがとうございますにゃ!」

拓海「いったいどこにそんな力があんだよ」


春菜「どうぞ、メニューですにゃ!」

拓海(なんか軽めのもの頼んでさっさと帰るか)ペラ


メニュー
・槇原志保特製!ジャンボバケツパフェ!
・ロシアンイチゴパスタ
・お刺身盛り合わせ
・オムライス


拓海「…………」ゴクゴクゴク

拓海「ふぅ……よし、説明してもらおうか」



拓海「まず一つずつ聞いていこう」

拓海「このジャンボパフェってなんだよ?」

春菜「さっすが拓海ちゃんお目が高い!それは厨房で働く志保さんが考案したメニューです!」

春菜「容量8Lのブリキのバケツにこれでもかという量の生クリームとチョコレートを流し込み」

春菜「上部にはお菓子やフルーツで可愛くトッピングした胸焼け間違いなしの人気商品!」

春菜「一度にたくさんのネコちゃんと食べさせあいっこができるんですよ!」

拓海「いや、大きすぎだろ……普通の大きさのパフェはないのか?」

春菜「ありません。志保さんがこれ以外作りたがらないので」

拓海「いや、作らせろよ!!」



拓海「じゃあ次だ。このロシアンイチゴパスタってなんだ?ありすの差し金か?」

春菜「はい、ありすちゃんが考えた遊び心満載のメニューです!」

春菜「一口サイズに盛り付けられたイチゴパスタの中に一つだけ激辛ハバネロソースが練りこまれたものがあって!」

春菜「みんなで食べて盛り上がれるというコンセプトのパーティーメニューです!」

拓海「……なるほど、コンセプトは完璧だな。コンセプトは」

春菜「問題はどれを食べてもハズレっていうことろですね」

拓海「わかってるなら止めろよな」

春菜「でも他人が食べてるのを見ると笑えるんですよ」

春菜「店長がフリルドスクエアのみなさんに試食させてた時は抱腹絶倒ものでしたし」

拓海「なにしてんだよ!?」



拓海「で次だ次!なんだよこの刺身の盛り合わせって!」

春菜「なんとか食べられるものを用意しようと思った苦肉の策なんです」

拓海「だったらフルーツの盛り合わせとかでいいだろ!なんで刺身なんだよ!?」

春菜「果物は志保さんとありすちゃんが全部使ってしまうんで残らないんです」

拓海「そいつら厨房向いてないだろ!!」



春菜「でもこの刺身すごいんですよ!魚は早朝の築地で七海ちゃんが目利きして仕入れた新鮮なもの」

春菜「それを捌くのは料理長の首藤葵ちゃん!」

春菜「しかも葵ちゃんは志保さんやありすちゃんと違って融通がきくから頼めば海鮮丼にもしてますし」

春菜「お昼をすぎると品切れになっちゃうくらいの大人気メニューなんです!」

拓海「もう猫カフェやめて定食屋にでもしたらどうだ?」



拓海「で、最後のオムライスはどうなんだ?変なもの入ってないだろうな?」

春菜「それは響子ちゃんが作ったものです。味はお墨付きですよ」

拓海「なら安心だなそれ頼むわ」

春菜「デザートにパフェはいかがですにゃ?」キャピッ

拓海「可愛く言ってもいらねえよ。バケツパフェなんて誰が食うか」



春菜「じゃあオムライスができるまでネコちゃんと遊びましょう!」

拓海「…………」

春菜「にゃあ~!にゃあ~!遊んで欲しいにゃ~」スリスリ

拓海「…………」

春菜「にゃお~!にゃお~!」ゴロゴロゴロ

拓海「…………」



春菜「////////」

拓海「恥ずかしいならやらなきゃいいだろ……」

春菜「いえ、その……サービスの一環としてですね////」

拓海「いらねえ、オムライス食ったら帰る」

春菜「そんな!拓海ちゃんは猫カフェに来てネコちゃんに触らずに帰るんですか!!?」

拓海「そもそもここは猫カフェじゃないし、春菜はネコじゃなくて人間だ」



春菜「なんなんですか!ここは猫カフェじゃないとか私はネコじゃないとか!?」

拓海「キレるんじゃねえよ、どうみても今の春菜はネコミミつけただけの人間だろうが」

春菜「じゃあみくにゃんはどうなんですか!?」

春菜「ネコミミつけただけのただの人間じゃないですか!!」

拓海「いや、みくもネコアイドルであって猫じゃないだろ……」



春菜「そんな細かいこと気にしちゃダメですよ!」

拓海「いや、細かくはないと思うぞ?」

春菜「いいから!さあ、撫でてください!」グイグイ

拓海「ちょ!頭を押し付けんじゃねえ!」

春菜「にゃあ!にゃあ!はるにゃんは甘えん坊ですにゃあ!」スリスリ

拓海「わかった!なでる!撫でるから!胸に頭を擦り付けるな!」



拓海「じゃあ撫でるぞ」

春菜「……お、おねがいします//////」

拓海「…………」サワサワ

拓海(いざ触ってみるとこの感触……)ナデナデ

拓海(なんだかクセになる)サラサラ

春菜「/////////」



拓海「…………」ナデナデ

春菜「あ、あの拓海ちゃん?」

春菜「流石にスキンシップが激しいかにゃ~なんて」

拓海「…………」サワサワ

春菜「ちょ、ちょと!流石に喉元はくすぐったい……って、眼鏡はダメですって!?」

拓海「…………」ベタベタ

春菜「レンズを触らないで!そこはメガネが汚れちゃ……きゃあ!」

拓海「触れって言ったのはそっちだろうが!大人しくしろよオラァ!?」ガバァ!



ちひろ「おまたせしました!ご注文いただいたオムライs…何やってるんですか?」

拓海「げ!?ちひろさん!なんでここに!?」

春菜「店長ぉ~!」グスングスン

拓海「て、店長!?」

ちひろ「うちはいかがわしいお店じゃないから過度なスキンシップはご遠慮いただきたんですけど」ゴゴゴゴゴゴゴ

拓海「いかがわしいことなんてするわけねえだろ!ほら、春菜もなんとか言ってくれ!」

春菜「私、(メガネのレンズを)汚されました」シクシク

拓海「誤解を招く言い方をすんじゃねーーー!!」



ちひろ「これは問題ですよ。現役アイドルが猫カフェでネコちゃんをいじめるなんて……」

拓海「いや、春菜もアイドルだし、そもそもこの場に猫はいな… 「なにか文句ありますか?」

拓海「いえ、ないです」

ちひろ「とりあえずどう責任を取るか相談しましょう。事務所まで来てください」ガシッ

拓海「責任ってなんだよ!放せ!何すんだコラァ!?」ズルズルズル



~~~数日後~~~


夏樹「ったく、なんでこのメンツで猫カフェなんだよ」

里奈「だってここのジャンボバケツパフェ食べたいしー!みんなも手伝ってぽよー!」

涼「ジャンボバケツパフェって……こんなもの頼むつもりなのか!?」

亜季「さ、さすがに尻込みしてしまいますな……」

里奈「超レッスン頑張ってるし大丈夫っしょー!」

夏樹「で、さっきから見当たらないけど……猫はどこにいるんだ?」



春菜「いらっしゃいませ!当店唯一の眼鏡ネコちゃん、はるにゃんですにゃ!」

拓海「し、新入りの拓海にゃんですにゃ!」

涼「…………」

亜季「…………」

夏樹「…………」

里奈「ウケるー!」キャッキャ

拓海「…………」

拓海「!!?!?」ボン!



拓海「ちっくしょー!やっぱこんな恥ずいことやってられるか!!」

春菜「ちょっと!ダメですよ!また店長に怒られて刑期が延びますよ!?」

拓海「うるせえ!アタシは気ままな野良猫なんだよ!!」バタバタバタ

春菜「脱走はダメですって!保健所に捕まって去勢されます!」

春菜「待ってくださいってばー!」パタパタパタ



夏樹「……どうやらここは猫カフェじゃなかったみたいだな」

亜季「潜入先を間違えたようですな。今日のところ自宅への帰還を提案するであります」

涼「そうだな、明日詳しい話を聞こう」

里奈「とりあえずプロデューサーにさっきの写真送るぽよー☆」

「「「やめろ!!!」」」

終わりです。

これからひとりで猫カフェ行って来る。

乙!


はるにゃんに癒されたい

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