【ラブライブ!】えりまきほの会 (169)

ラ板で落ちてしまったので立て直し
大学生の春休み(3月)

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スレタイ変えたのか

穂乃果「海未ちゃんも昔は可愛かったんだよね~」

真姫「“昔は”って……海未が聞いたら怒るわよ」

絵里「今は可愛くないわけ?」

穂乃果「もちろん今も可愛いけどさぁー」

絵里「ならいいじゃないの」

穂乃果「いやほら、ちっちゃい頃は海未ちゃん人見知りで恥ずかしがり屋だから、『ほのかちゃぁん、ほのかちゃぁん』ってずーっと後ろからついてきて」

真姫「あの海未が? ちょっと想像つかないわよね」

絵里「ねえ」

穂乃果「今考えたらあの頃の海未ちゃん可愛かったなぁって思う今日このごろなんだよ」

真姫「何? 穂乃果ってロリコン?」

穂乃果「ちっがうよ、子供ってやっぱり可愛いんだよ」

絵里「海未って高校の時はもうそんな感じではなかったわよね」

真姫「時の流れは残酷ね」

絵里「真姫もどうしてこんなに捻くれちゃったのかしら」

真姫「うるさいわね、昔からこうだったわよ」

穂乃果「捻くれてる自覚はあったんだ」

真姫「っていうか別に捻くれてませんケド?」

絵里「はいはい、ほら飲んで。全然進んでないじゃないの」

真姫「私のペースってものがあるのよ」

穂乃果「真姫ちゃんってさ、意外と弱いよね」

絵里「そうよね~、もっとグイグイいくイメージだったけど」

真姫「私アセトアルデヒドが分解できないのよ」

穂乃果「あせと……なんて?」

真姫「CH3CHO」

絵里「あー……なんだか久しぶりに聞いたわ」

穂乃果「何? シースリーピーオー?」

絵里「お医者さんの話は難しいわね」

真姫「まだお医者さんになれるかどうかわかんないわよ、国試もこれからだし」

穂乃果「でシースリーピーオーをバラバラにするの? 真姫ちゃんひどーい」

真姫「あのね、アルコールってつまりエタノールでしょう?それが分解されてまずアセトアルデヒドになるわけ」

穂乃果「エタノールって消毒用の?」

絵里「あれは流石に飲めたもんじゃないわ」

穂乃果「飲もうとしたことあるの!?」

絵里「え、いやまあ……ないけど」

穂乃果「なんだビックリした~」

真姫「絵里ならやりかねないわよね」

絵里「私のことどう思ってるのよ……」

穂乃果「ヤバイ人」

真姫「アル中一歩手前」

絵里「私がヤバイなら穂乃果も十分ヤバイわよ?」

穂乃果「いやいや私は普通だよ? 絵里ちゃんはちょっと頭おかしいけど」

絵里「何よ、私こそ普通よ。私が世界のスタンダードと言っても過言ではないわ」

真姫「過言でしょ、どう考えたって」

穂乃果「普通の人はウイスキーを2時間で空けたりしないんだよ。ねえ真姫ちゃん」

真姫「ちょっと引くわね」

穂乃果「私ちょっと寝ちゃってて、起きたら一瓶すっからかんになってんの。ええ!? って感じだよね」

絵里「だってあの時は他に何も無かったの、しょうがないじゃない」

穂乃果「だからって、ねえ? 普通全部いく? やっぱり異常だよ、絵里ちゃん酔ったことないもん」

絵里「酔う。酔うわよ。もう今も酔ってるから」

穂乃果「うっそだ~!」

真姫「ちょっと顔赤い?」

絵里「ね?」

穂乃果「ちょっとだけじゃん。そんなの真姫ちゃんに比べたら誤差だよ。真姫ちゃんいつも最後の方トマトみたいだもん」

絵里「真姫はトマトが好きだもの」

穂乃果「トマトが好きすぎてトマトになっちゃうの?」

真姫「人をトマトの妖怪みたいに言ってくれるわね」

絵里「真姫も本望でしょうね」

真姫「私はご存命よ」

穂乃果「絵里ちゃんはねザルだよ、こういうのを日本ではザルっていうの」

真姫「やっぱりロシアの血?」

穂乃果「あ、そうだウォッカ飲んでよ、ウォッカ。ここあるかな」

真姫「そういえばウォッカって本場だとウォッカって言わないんじゃない?」

穂乃果「えー、じゃあ何ていうの?」

真姫「ほら、エリー」

絵里「私?」

穂乃果「そりゃそうだよ、ロシア人なんだから」

絵里「100%ロシア人ではないけれど」

穂乃果「だいたいロシア人だよ」

真姫「世界地図みたらだいたいロシアだもの」

穂乃果「じゃあ私もロシア人かもね」

絵里「それは言い過ぎ」

穂乃果「ねー、何ていうの~?」

絵里「えーっと、водкаよ」

穂乃果「うぉどか?」

絵里「ノーノーノー、водкаよ」

真姫「どうして英語とロシア語混ぜるのよ」

穂乃果「やっぱりウォドカじゃん」

絵里「だからводка」

穂乃果「もうウォッカのままでいいや」

絵里「……まあ通じることが一番大事ね」

穂乃果「ロシア語全然わかんないよ、ちょっと考えた人ここ呼ぼう? なんであんな難しくしたのか私聞きたい」

真姫「呼べたとしても多分話通じないわよ」

穂乃果「そこは絵里ちゃんがさ」

絵里「あのね、日本語だって難しいわよ。日本の人ってひらがなとカタカナと漢字、全部覚えてるわけじゃない? これって凄いことよ」

穂乃果「いやいやいや、ロシア語の、あれなんて言うんだっけ? 顔文字とかよく使うよね?」

真姫「キリル文字?」

穂乃果「それかな? 多分それ、あれ絶対書きづらいと思うんだよね」

絵里「慣れればそうでもないわよ?」

穂乃果「絵里ちゃんは頭おかしいからちょっと参考にならないよ」

絵里「あのねぇ……」

穂乃果「あ、そうだ、ロシア語って言ったらあれ。あれ、あれだよ」

真姫「どれよ」

穂乃果「ここまで来てるんだけど、ほら、あれだよあれ」

絵里「お婆ちゃんじゃない」

穂乃果「思い出した、絵里ちゃんの練習着!」

真姫「え? ああ……」

穂乃果「ほら、何かロシア語書いてあったでしょ?」

絵里「そうだっけ?」

穂乃果「そうだよ、あれね私最初シャツ裏返しに着てると思ったの」

絵里「そんなわけないでしょうよ」

穂乃果「わーかんないよあれ。いやほんと『うわ、会長シャツ裏返して着てる……』と思ってさ。どうやったら気付くかなって大真面目に凛ちゃんと話したもんね」

真姫「それで絵里に言いにいったの?」

絵里「私何も聞いてないわよ?」

穂乃果「確かね、希ちゃんとこ行ったら『あれロシア語やで~』って言われて解決したんだよ」

真姫「今の希のマネ?」

穂乃果「えりち~、あれロシア語やんな~?」

真姫「似てる?」

絵里「全然よ。0点」

穂乃果「うわ、会長きびし~」

真姫「そりゃ生徒会長様は希のこと世界一知ってるわけだもの。体の隅々までご存知なわけだし」

穂乃果「会長やらし~」

絵里「会長は穂乃果もでしょう? ていうか何その言い方、悪意があるわよ、真姫。飲みなさいほら」

真姫「エリー、これアルハラって言うの」

絵里「私達の間に先輩も後輩もないんだからハラスメントじゃないわ」

穂乃果「運命共同体だからね、三途の川も一緒に泳ぐ約束しましたね」

真姫「私はした覚えがないんだけど」

絵里「いいから、この水あげるわ」

真姫「ちょ、どう見たってさっき頼んでた日本酒じゃない」

絵里「何言ってるの? 水でしょ?」

真姫「穂乃果も笑ってないで助けて」

穂乃果「いやまあ、高いお酒は水みたいに飲みやすいって言うからねぇ」

真姫「そんなにいいやつには見えないわよ」

穂乃果「じゃあまあ真姫ちゃんの代わりにここは私が」

絵里「なら穂乃果」

穂乃果「はい」

絵里「日本語は素晴らしいわね、乾杯とはどう書くの?」

穂乃果「杯を乾かすと書くであります!」

絵里「その通りよ! はい、かんぱーい!」

穂乃果「かんぱーい!」

穂乃果「あ゛あ゛ぁ、効くねぇ……」

絵里「五臓六腑に染み渡るわ」

穂乃果「ごぞーろっぷってどこ?」

真姫「人の体にはね、5つと6つ大事な臓器があってそれをまとめてそう言うのよ」

穂乃果「まーたお医者さんみたいなこと言ってる」

絵里「だってお医者さんだもの」

真姫「だからまだ違うって」

絵里「部活の練習着で思い出したけどさ、あれ穂乃果のも大概じゃない?」

真姫「あー……“ほ”Tね」

穂乃果「いいでしょあれ」

絵里「良くないわよ、最初見た時目を疑ったわ」

真姫「私二度見した」

絵里「私は三度見した」

穂乃果「そんなこといって実は欲しいんでしょ?」

絵里「いらないわよ。どんな思考してたらそうなるの」

穂乃果「いいよいいよ嘘つかなくて、いっぱいあるからさ」

真姫「なんなのあれ、やっぱり穂乃果の“ほ”なの?」

穂乃果「穂むらの“ほ”だよ~」

絵里「あ、そっち?」

穂乃果「ええ? なんで知らないの? あれね、うちで一枚千円で売ってるから」

絵里「安いわね」

穂乃果「でしょ? 欲しくなってきたでしょ? いいよ、2人にはタダであげる」

真姫「だから欲しくないわよ」

穂乃果「だってタダだよ? タダ」

絵里「タダより怖いものはなんとやらってね」

穂乃果「あれさ、みんなにあげるって言ってるんだけど、誰も受け取ってくれないんだよね」

絵里「それは商材に原因があるの」

穂乃果「“ほ”Tね、ちゃんとカラーバリエーションもあるから」

絵里「多分今年一番いらない情報だわ」

真姫「あれの名前、結局“ほ”Tでいいわけ?」

穂乃果「名前? 私も心の中でずっとそう呼んでたから“ほ”Tでいいんじゃない?」

真姫「大丈夫なの? 看板娘がそんな適当なこと言って」

穂乃果「いいのいいの、だから皆で“ほ”T着ようよ」

絵里「でも私達名前に“ほ”が入ってないし、“ほ”Tに申し訳ないわ」

真姫「“ほ”Tに申し訳ないって凄い言葉ね」

穂乃果「気にしなくていいよー、“ほ”はね、皆に心の中にあるから」

絵里「そんなものは私の心の中にはないのよ。失ってしまったわ」

穂乃果「言ってもね、現代人は誰しも無意識の中に“ほ”を飼ってるんだから」

真姫「飼ってない、飼ってない」

穂乃果「あれ着て皆で一緒に踊ろうよ~」

絵里「トンデモ集団ね……」

真姫「μ'sの曲でも踊るわけ?」

穂乃果「そうそうそう、っていうかちゃんと覚えてる?」

絵里「だいぶ怪しいかもね、細かいとことか。真姫は今でもピアノで弾けるの?」

真姫「誰が曲作ったと思ってるのよ」

穂乃果「ちょっと絵里ちゃん、西木野大先生に向かって失礼だよ」

絵里「ははーっ、私が悪うございました」

真姫「一応3回までのミスはセーフってことにしましょう」

穂乃果「自信無くさないでよ大先生」

真姫「素面なら平気だから」

穂乃果「別に今弾いてくれとは言わないよ」

真姫「そうなの?」

絵里「酔ってる?」

穂乃果「酔ってるね、水飲む? ほら」

真姫「日本酒でしょうが」

絵里「つまり水よ」

真姫「つまり水なわけないじゃない」

穂乃果「ロシア語だとお水と日本酒がおんなじ発音なんだよ。うっわ、おそロシア」

真姫「私絶対ロシア行かない」

絵里「まあでもグラスも空いたし次のいきましょうよ」

穂乃果「真姫ちゃん何がいい?」

真姫「ジュース」

穂乃果「もうソフドリ?」

真姫「エリーに合わせてたら私死ぬわ」

穂乃果「まあ無理はしないでいいからさ」

絵里「じゃあレッドアイとかいいんじゃない?」

穂乃果「なんだっけそれ。前も聞いた気がするけど」

絵里「ビールとトマトジュースの」

真姫「どうして混ぜるのよ」

絵里「だってカクテルだもの」

真姫「トマトジュースはトマトジュースでいいのよ、トマトジュース単体で完結してるの」

絵里「出たわね、妖怪リコピン娘」

穂乃果「トマトに対するこだわりがもう面倒臭い。あ、冷やしトマトあるよ」

真姫「いいわね。トマトにはね、血中のアルコール濃度を抑える効果があるのよ」

穂乃果「まーた難しいこと言ってるよ」

絵里「屁理屈こねてないで頼みなさい真姫」

穂乃果「じゃあそれとレッドアイ」

真姫「結局?」

穂乃果「無理なら私貰うよ。あ、それか絢瀬宴会部長が全部処理してくれるから」

絵里「じゃんじゃん持ってきなさい」

真姫「味方で良かったわ」

穂乃果「あい。じゃ、すいませーん」

穂乃果「で、何の話だっけ?」

絵里「トマトがどうして赤いのか?」

真姫「情熱の色よ」

穂乃果「それは答えになってるの?」

絵里「っていうかそんな話じゃなかったわよね」

穂乃果「絵里ちゃんが言ったんじゃん」

絵里「ちょっと真姫~」

真姫「なんで私」

穂乃果「とりあえず一回謝っとこ」

真姫「ごめん」

絵里「許す」

真姫「許されたわ」

穂乃果「あ、それでダンスだよ、ダンス」

絵里「箪笥? 箪笥がどうしたの」

穂乃果「ここもできあがってる?」

絵里「私ね、今日結構疲れてるかもしれない」

真姫「なのに来たわけ?」

穂乃果「お酒あるとこに呼んだらこの人だいたい来るよ。木にアルコール塗っとけば多分次の日捕まえられるもん」

絵里「人を虫みたいに……今日は希もゼミの追いコンだって言うからいないのよ」

穂乃果「あー、帰っても誰もいないんだ」

絵里「だから付き合ってよ」

真姫「まあ結局いつも通りじゃないの」

穂乃果「で、μ'sのダンスだよ。箪笥じゃないよ?」

絵里「誰が箪笥とダンス間違えるのよ」

穂乃果「なんなのこの人」

真姫「いいからそれがどうしたのよ」

穂乃果「それがさ、私ね、こないだ踊ったの」

絵里「何で?」

真姫「何かあった?」

穂乃果「いやなんもないけど、プライベートで、お風呂上がりに」

絵里「服は着なさいよ」

穂乃果「着てたよ、ギリギリ」

真姫「ギリギリ?」

穂乃果「ギリギリ?」

真姫「自分で言ったんでしょ」

穂乃果「まあ、まあ多分着てた。いやそこはいいんだよ」

絵里「それでどうしてまたそんな突然」

穂乃果「なんかもう曲がさ、急に頭の中で流れ出しちゃって」

絵里「これは踊るしかないな、って?」

穂乃果「そうそう」

絵里「先生、これは耳鼻科がいいですか」

真姫「精神科案件かもしれないわ」

穂乃果「ちょっとちょっと、別に病んでないよ」

絵里「突然頭の中にミュージックが鳴り響いたら踊りだす? そこが電車の中でも?」

穂乃果「真姫ちゃんなら一緒にやってくれるよ」

真姫「いや一緒にしないでよ、私知らない人のフリするから」

穂乃果「やってみたらけっこうちゃんと覚えてて感動するよ~、でもさ、やっぱりちょこちょこ忘れてるとこあるの」

絵里「そりゃあね、完璧にはやっぱりもう無理よね」

穂乃果「なんかそれ、高坂的には凄いショックだったの。だって何十回何百回って練習したじゃん?」

真姫「まあそう言われると、確かにショックね」

絵里「あー、青春の記憶が蘇るわ」

穂乃果「ショック過ぎて、昔の動画あるかなと思ってネットで探したもんね」

真姫「そりゃ何かしらはあるでしょうよ」

穂乃果「あったんだよねまあ。でも私達のじゃなくて最近の子が動画撮ったやついっぱいあるの、知ってる?」

絵里「本物は?」

穂乃果「あったけど見てない」

真姫「そこ見ないとだめでしょ」

穂乃果「だって気になるじゃーん。で再生数多いの見て、何か違った気がしたけどさ、これはこれでアレンジ効いてて良いいなって。見る? 後で動画送るから見てよ。こっちの方が良くない?」

真姫「オリジナルがフォロワーに影響されてどうするの」

穂乃果「これさぁ、何で絵里ちゃん先に思いつかなかったかな」

絵里「そこで私に矛先向く?」

穂乃果「振り付け責任者だもん」

絵里「全部私が決めてたわけじゃないけれど。ちなみにそれは何人くらいで踊ってたの?」

穂乃果「えー? 2人だったかな」

絵里「それよ。あのね、世の中のだいたいの振りっていうのは私が先に思いついてるのよ」

真姫「大きく出たわね」

絵里「甘くみるんじゃないわよ。思いついてたけどやらなかっただけ。いい? バランスってものがあるの」

穂乃果「バランス?」

絵里「9人いるわけじゃない? それがね、全体を意識してステージ上で美しく見える構成ってものを考えた結果が、μ'sのダンスなの」

穂乃果「えー、すっごい考えてる~」

絵里「PVのカメラ割りとかも合わせて考えるのよ? 適当なことやってたんじゃないんだから」

穂乃果「卒業してから初めて知ったよ、会長かしこい」

絵里「かわいい、エリーチカ、はいハラショー」

穂乃果「真姫ちゃん、ハラショーいただきました」

真姫「ほとんど一人でやっちゃってるじゃない」

穂乃果「本日ハラショー1発目?」

真姫「多分ね」

穂乃果「あ、じゃあ後9回ハラショー言ったら今日絵里ちゃんの奢り」

絵里「またそれやるの? 私それで奢った記憶ないわよ」

穂乃果「今日こそはだよ、10ハラショーチャレンジ」

絵里「あなた達途中から数えてないじゃないの」

穂乃果「いやなんか上手いことさ、ここ2人が忘れてるタイミングでハラショー入れてくるじゃん、ほんとそういうとこ、こずるいよ」

真姫「今日も私達が覚えてないだけでもう8回くらい言ってるんじゃない?」

穂乃果「それだ! いやほんと上手いな~、今日はあと2ハラショーにしよう」

絵里「待ちなさい待ちなさい」

真姫「あと2回なら余裕ね」

絵里「じゃあもう私喋んないわよ」

穂乃果「それはズルいよ、真姫ちゃんなんか聞いてあげて」

真姫「そうね、希とはどうなの?」

絵里「ええ? 言わない」

穂乃果「ズルいズルい、気になるよ。今月の希ちゃん情報」

絵里「別にぼちぼちよ」

穂乃果「ぼちぼちって言ったって色んなぼちぼちがあるじゃん。いいぼちぼちと悪いぼちぼちがさ」

絵里「“ぼち”が多いわ」

穂乃果「だってなんかぼちぼちって言葉面白くない? ね? 多分粒あんだよね」

真姫「はぁ?」

穂乃果「ごめん、私もよくわかんない」

絵里「穂乃果って何も考えずに喋る時あるわよ」

真姫「普段からでしょ」

穂乃果「いやいやいや、まあそうなんだけど」

真姫「あ、わかったわ。きっと穂乃果は世の中の物事を全てこしあんか粒あんかに分別できるのよ」

絵里「それ何か役に立つ?」

真姫「粒あんだからこしあんだから何なの?って話ね」

穂乃果「真姫ちゃん言ったんじゃん」

絵里「その能力で我が社にどんな貢献ができますか」

穂乃果「うわ、急に面接始まった」

絵里「だって穂乃果も今年就活でしょう?」

真姫「ああ、そうね……穂乃果が働いてるとこって想像つかないわね」

穂乃果「いや私めちゃくちゃバイトしてるからね」

絵里「あ、そうだ実家継げばいいじゃない」

真姫「それで粒あんこしあんのスキルが活かされるのね」

穂乃果「和菓子屋でも使わないんだよそんなの」

絵里「でも和菓子屋さんね~、朝とか早そうだけど大丈夫?」

穂乃果「いや……継がないよ?」

真姫「えっ?」

絵里「ええっ!?」

穂乃果「まあ、しばらくはって意味だけど」

真姫「なによそれ話が違うわ」

穂乃果「話してないからね」

絵里「じゃあどうするの」

穂乃果「まあ就活? 一回社会に出て勉強してこいってさ」

絵里「社会勉強ねぇ」

穂乃果「あとお婿さん見つけてこいって」

真姫「なに? 不倫?」

絵里「まさか……海未のこと話してない?」

穂乃果「だって実際言えないでしょ~」

真姫「まあ、ねえ……」

絵里「実は私、女の子と付き合ってるんですよ~、とはね」

穂乃果「でしょ? 絵里ちゃんとこは知ってるの?」

絵里「私も親には言ってない」

真姫「あっちって宗教的にそういうの厳しいんじゃないの?」

絵里「んー、言ったらロシアに帰れなくなるかもしれないわね」

穂乃果「えー、じゃあそれうちよりきついじゃん」

真姫「でも絵里的には希と付き合うのはいいわけ?」

絵里「だってもう、好きになっちゃったものはしょうがないじゃない?」

穂乃果「わお、今の聞きました西木野さん?」

真姫「しっかりと」

穂乃果「名言ですよ」

真姫「好きになっちゃったものはしょうがない、ね」

絵里「やめなさいって」

穂乃果「でも実際そういうことなんだよね。真姫ちゃん恋ってするものじゃなくて、落ちるものなんだから」

絵里「それこないだ私が言った」

穂乃果「そうだっけ? あ、なんかスッと出てきたなと思ったらそういうことか。さすがは愛の伝道師」

真姫「エリーは愛の星で生まれたんだもの」

絵里「地球に愛を伝えに来たのよ」

穂乃果「私の色んな知識、絵里ちゃんから来てるからね。師匠だよ」

絵里「大いに敬いなさい」

穂乃果「じゃあついでに聞くけど周りになんて説明してるの? 今一緒に住んでるわけだよね?」

絵里「周りに? 仲いい人以外には私ルームシェアって言ってる」

真姫「バレるでしょ」

絵里「いやバレてないわ」

穂乃果「バレバレだよそれ」

絵里「まだバレてないのよ」

穂乃果「まだ?」

真姫「怪しいわよ」

絵里「あー……でも、私これ言ってなかったんだけど希が留学してた時期に一回ね」

穂乃果「絵里ちゃんマジギレ事件の時?」

絵里「いやだから別に切れてないわよ」

真姫「何言ってるのよ、あの時は本当に面倒だったんだから」

穂乃果「会うの怖かったもんね」

絵里「だから怒ってなかったって。あのね、私怒らせたらあんなもんじゃないから」

穂乃果「変なキレ方するんだよなこの人」

絵里「だって……だってよ? 百歩譲って留学自体は良いわ」

真姫「まだ怒ってるの?」

絵里「だから最初から怒ってないのよ、別に4年の時期に行くのもそれで卒業が1年遅れるのも希が納得してるなら良いもの」

穂乃果「じゃあいーじゃん」

絵里「でもね!」

真姫「でも?」

絵里「それを私に黙って決める!?」

真姫「まあまあまあまあ」

絵里「私聞いたの事後報告よ?」

穂乃果「どんな感じだっけ?」

絵里「エリチ~、ウチな、何月の何日に留学行くねーんって」

穂乃果「さすが、モノマネのクオリティが」

真姫「仕上がってるわね」

絵里「笑い事じゃないのよ……ねえ、私達付き合ってるのよね?」

穂乃果「もしかしたらそう思ってるの絵里ちゃんだけかもよ?」

絵里「!?」

穂乃果「ごめん。ウソ。ほんとにウソ。冗談だよ。今のはごめん」

絵里「そうよね……私の気のせいじゃないわよね」

穂乃果「今のは私が悪かったって、ほんとごめん」

真姫「大丈夫よ絵里、希のエリチLOVEは相当なものだから」

穂乃果「ほんとだよね、今でもアッツアツだし。羨ましいよ私」

絵里「本当?」

穂乃果「ほんと」

絵里「嘘ついてない?」

穂乃果「ついてない」

絵里「愛してる?」

穂乃果「愛してる」

絵里「じゃあわかった……」

穂乃果「いや最後のは私よくわかんないけど」

真姫「まあ希って秘密主義みたいなとこあるわよね」

絵里「そうなのよ!」

穂乃果「でもさ、その留学の話、相談してたらしてたで絵里ちゃん引き止めたでしょ?」

絵里「止め…………ないけど?」

真姫「今の間が全てじゃない」

絵里「それでも一回くらい私に相談して欲しかったのよ」

真姫「まあ、そうね」

絵里「その時は確かに引き止めるかもしれないわよ? でも気持ちを整理して心よく送り出す方向になってたのよ、そうしてたら」

穂乃果「あー、それはわかるよ」

真姫「穂乃果は一回ドタキャンさせたものね」

穂乃果「うぅん……まあ、急に言われるとどうしてもね。ちょっと考える時間が欲しかったんだよ」

絵里「そうでしょ?」

真姫「まあ絵里の気持ちもわかるけれど、希からしたらそれもしょうがなかったのよ」

絵里「真姫はいつも希の肩持つわよね」

真姫「だって大学4年になって、もう留学なんて行くタイミング他にないじゃない? 絵里って頑固だし万が一説得に時間かかるようなことを考えたら事後承諾で済ますしかなかったのよ」

絵里「希と同じようなこと言ってる……」

真姫「実はこれ、直接希から聞いたのよ」

穂乃果「でも実際さ、多分こんなかで一番希ちゃんに感覚近いの真姫ちゃんだよね」

絵里「確かにね、似てるとこあるのよ」

真姫「私も希の言ってることって割とすんなりわかる気がするのよね」

穂乃果「もう絵里ちゃんさ、真姫ちゃんのこと希ちゃんだと思って、あのとき思ってたこと言ったげなよ。それで今日スッキリしよ」

真姫「受けて立つわよ」

絵里「じゃあ……希」

真姫「うん」

絵里「……」

真姫「……」

絵里「今日も綺麗ね」

真姫「んふっ」

穂乃果「ちょっと真姫ちゃん! 照れないでよー!」

真姫「いやっ、どう言い返してやろうかと思ってたら完全に想定外のとこから来たの」

絵里「だから私、元から怒ってないんだって」

穂乃果「荒れに荒れてた人がよく言うよ」

真姫「そうよね、呼び出される度作戦立ててたもの」

穂乃果「今日はどうやって無事に帰ろうかってね」

絵里「え、何? そんなことしてたの?」

穂乃果「まあまあまあ、希ちゃん帰ってきてくれてよかったよ。あ、けどさ、希ちゃん行ってる間ちゃんと絵里ちゃん待ってたんだから偉いよね」

絵里「そりゃあね、待つわよ」

真姫「まあそうなるわよね」

穂乃果「まあねぇ」

絵里「待つしかないもの。あ、それでさっきの話」

穂乃果「なんだっけ?」

真姫「トマト?」

絵里「戻りすぎ」

穂乃果「トマトはもう終わったんだよ」

真姫「何言ってるの、トマトは無限に話せるわ。トマトのポテンシャルを信じなさい」

穂乃果「トマト会はトマト会でちょっと今度別枠でやろう、ね?」

絵里「じゃなくてほら、希がいない時期にね、私どうも誘われてたみたいなの」

穂乃果「あ、なんかそんな話だっけ」

真姫「モテ自慢?」

穂乃果「そりゃ絢瀬さんはおモテになりますよ」

絵里「それほどでもあるけれど」

真姫「で、何? ヤったの?」

絵里「なわけないでしょ。不貞は死で償うルールだから」

真姫「バイオレンスなルールね」

絵里「っていうか私最初全然気づかなくて、後で気づいたのよね」

穂乃果「絵里ちゃんさ、初対面の人に冷たすぎるんだよ、怖いって」

絵里「これでも丸くなったわよ?」

真姫「これで丸く?」

穂乃果「心臓弱い人だったら絵里ちゃんと会ったら死ぬよ?」

絵里「それは嬉しくてでしょ?」

穂乃果「まあそういうこと」

絵里「で、最後言われたのよ、『やっぱり絢瀬さん、男に興味ないんだ』って」

穂乃果「あ、バレてんじゃん」

絵里「いやバレてない」

穂乃果「いやバレてるよ、ねえ真姫ちゃん」

真姫「バレバレよ」

絵里「いやバレてないのよ」

穂乃果「いやバレてんだよ、やっぱりって言われてるじゃん」

真姫「疑惑が確信に変わったんでしょうね」

絵里「いえ、実際はやっぱりとは言ってなかったかもしれないわ」

穂乃果「でも最初から疑われてたんでしょそれ」

絵里「何で?」

穂乃果「何でって……そりゃこんな美人さんにずっと恋人の噂がないんだからさ」

真姫「そうじゃなければよっぽど内面に難があるかよね」

絵里「あれ? 真姫?」

真姫「やかましいわよ」

穂乃果「真姫ちゃんは高嶺のフラワーだからいいんだよ」

真姫「そうなのよ」

絵里「そうなのよって、あなた」

穂乃果「ちなみにご予定は?」

真姫「白紙だけど」

絵里「そろそろ真姫のそういう話聞きたいわね。私、真姫に愛を伝えないと星に帰れないのよ」

真姫「良いわよ、ずっと地球にいなさいよ。希を置いて帰れないでしょ」

絵里「あ、そうだわ」

穂乃果「希ちゃんも連れてけばいいんじゃないの?」

絵里「来てくれるかしら?」

穂乃果「大丈夫だよ~、ラブラブだもん」

真姫「私に付いてきなさいとか言ったらイチコロよ」

絵里「そう?」

穂乃果「そうそう、そうだよ。あ、それで真姫ちゃんは恋愛に対してどうなの、まだ全然?」

真姫「興味ないわね」

絵里「それね……だから私と同じこと言ってるのよ。高校の時までの私」

穂乃果「言ってたよね、絵里ちゃん。それが今はこうだよ」

絵里「こうって……指をさすんじゃないわよ」

穂乃果「いやだって、こうだよ。真姫ちゃんも2年後に出身地、愛の星になってるよ」

真姫「どこにあるのよ愛の星」

穂乃果「多分おとめ座あたりだろうね」

真姫「最近感じるのは2人の話を聞いてる限りは面白いけれど、自分がそうなると思うと面倒なのよね」

穂乃果「や、そんな面倒なことばっかりじゃないよ」

絵里「確かに悪いこともあるけど、良いこともいっぱいあるわよ」

穂乃果「ぶっちゃけさ、真姫ちゃんはどっち側なの?」

真姫「どっち側って?」

穂乃果「ほら、絵里ちゃん側か、普通か」

絵里「私と穂乃果側かでしょそれ」

真姫「私はノーマルだけど」

穂乃果「いやいやいやいや」

真姫「聞いといて勝手に否定しないでよ」

真姫「聞いといて勝手に否定しないでよ」

穂乃果「いや、ねえ。私いるじゃん? 絵里ちゃんもいるじゃん? ここ2人に挟まれたら真姫ちゃんもそうだよ」

真姫「オセロ理論はやめなさいって、それ言われたら私もうどうしようもないわよ」

絵里「堪忍しなさいよ、真姫」

真姫「私は断固抗議するから」

穂乃果「でも真姫ちゃんも結構おモテになるでしょ?」

真姫「同性から?」

穂乃果「そうそう」

真姫「まあ……否定はしないけどそれってμ's時代のファンって扱いでしょ?」

穂乃果「そうなるのかなぁ」

絵里「ファンに手を出したの?」

真姫「何聞いてたのよあなた」

穂乃果「じゃあカテキョの娘は?」

真姫「は?」

絵里「関係は進んだ?」

真姫「いや狙ってないのよ」

穂乃果「JKだよね? 真姫ちゃん18歳以下は犯罪だよ」

真姫「だから狙ってないし。私はね、あなた達とはオーラからして違うと思うの」

絵里「何、スピリチュアルな話?」

穂乃果「やっぱ真姫ちゃんって希ちゃんに似てるよね」

真姫「まあオーラっていうか、雰囲気がね」

穂乃果「雰囲気、ね」

真姫「絵里なんか、出ちゃってるわよ」

穂乃果「女好きの雰囲気が? まあ絵里ちゃんはね、そんな感じする」

絵里「待ちなさいよ、女の子なら誰でもいいわけないでしょうが」

真姫「ちなみに穂乃果も出てるわよ」

穂乃果「私!?」

絵里「実際そうじゃない」

穂乃果「いや、まあ……そうだけどさ。絵里ちゃんと一緒にされるのは困るよ」

絵里「同じよ!」

穂乃果「じゃあ真姫ちゃんも一緒だよ!」

真姫「私は違うわよ」

穂乃果「いやいやいやいや」

絵里「それはないわ」

真姫「それこそないわ」

絵里「どんな根拠があってそんな風に言えるのよ」

真姫「あのね、絵里も穂乃果も、2人はね、独特なのよ。高校のときから」

穂乃果「そんなに前から?」

真姫「そうね、普通の人とはあなた達違うの」

穂乃果「いやいやいや、そんなことないよ、私なんてその辺にいっぱい歩いてるもん」

絵里「穂乃果がいっぱい……?」

真姫「もしそうだったら日本が滅びるわよ」

穂乃果「ちょちょちょ、なんか意味おかしくない?」

真姫「別に変な意味ではなくて」

穂乃果「そうなの? え、まあ、いや確かに絵里ちゃんはオンリーワンだったけど」

絵里「私こそ、その辺にいっぱいいるわよ」

穂乃果「な訳ないじゃん。絵里ちゃんなんか遠くにいてもわかるもん。あれ絵里ちゃんかな? と思ったらだいたい絵里ちゃんだよ」

絵里「髪色でしか判断してないでしょ、イギリスとかフランスとかの私なのよそれ。別人なのよ」

穂乃果「いやもう、絵里ちゃんすぐわかるよ。わかりやすさで言ったらハチ公前、109、絵里ちゃんとこ、みたいな括りだもん」

絵里「あなた適当なことしか言わないわね」

穂乃果「違う違う、私大真面目だよ」

真姫「待ち合わせ場所なら穂乃果前も十分使えるわよ?」

穂乃果「私なんか一般人だよ、誰からも気づかれないよ」

絵里「一般じゃないのは一般人とは言わないのよ」

穂乃果「ひどくない? そんな言い方する?」

真姫「リーダーだから一般とは程遠いの」

絵里「そうよリーダー」

穂乃果「都合のいい時だけリーダー呼ばわりするよね?」

真姫「穂乃果は永遠に私達のリーダーよ」

絵里「そうよリーダー、私を導いて」

穂乃果「納得いかないなぁ」

真姫「少なくともね、普通を自称するならスクールアイドルで廃校を救おうなんて思いつかないのよ」

穂乃果「え……まあ、いや……そうなのかな」

真姫「二人とも異彩を放ちすぎてるのよね。マイノリティだって聞いても私別に驚かなかったもの」

絵里「真姫は私達を褒めたいの? 貶したいの?」

真姫「別にどっちでもないわ。ただ二人ともかなり特殊……っていうか独特なのよ。その他大勢の中には絶対に埋もれないわよ」

穂乃果「真姫ちゃんも大概だよねぇ」

絵里「そうよね」

真姫「断言するけどあなた達程ではないわ」

穂乃果「……」

絵里「……」

真姫「わかった?」

穂乃果「まあ……断言までされちゃったらね」

絵里「ええ……つまり、私が穂乃果に対して抱いているようなイメージを私自身にも持たれてるってことよね」

真姫「そういうことね」

穂乃果「え、何? 私のことどう思ってるのそれ」

絵里「いや、凄い人だなぁって。別に変な意味ではなくて」

穂乃果「なんかぼやかしてるよね? ね?」

絵里「違うわよ。私これ本気で思ってるから」

穂乃果「ほんと? 嘘ついてない?」

絵里「本当よ、本当。愛してるわ」

穂乃果「え? あ、私も。聞こうと思ったのに先言われちゃったよ」

真姫「なんなのよそれ」

絵里「やっぱり愛が地球を救うのよ」

穂乃果「かなぁ? あ、私次カシオレにしよ」

真姫「何かわい子ぶってるの」

穂乃果「ぶってないよ。そんなこと言う?」

絵里「焼酎にしなさい」

穂乃果「何で絵里ちゃん決めるの?」

絵里「2人して可愛いカクテルで私だけ日本酒なんて、このテーブル1人だけ酒飲みがいると思われるじゃない」

真姫「実際そうよ」

穂乃果「思われなよ」

絵里「そんな事言わないでよほのか~」

穂乃果「ええ~、じゃあウーロンハイとか?」

絵里「それがいいわね」

穂乃果「真姫ちゃんは? いい? 絵里ちゃんはそれおかわりでいいの?」

絵里「私ハイボール」

穂乃果「はいはい」

絵里「濃いめでね」

穂乃果「自分で言いなよそれ」

絵里「ねえリ~ダ~」

穂乃果「ほんと、都合のいい時だけさぁ……まあ良いけど」

真姫「さすがよリーダー」

絵里「スパシーバ」

穂乃果「あいあい。すいませーん」

続く

>>2
言うほど最初海未ちゃんの話しなかったのでこっちの方がわかりやすいかと思って変えました

絵里「話戻るけれど真姫、同性じゃなくても、医学部って男子の方が多そうだけどそういうのないの?」

真姫「まあ実際医者って男社会よね」

穂乃果「そしたらもうお医者さん選び放題じゃん」

真姫「でも私、本気でそんな暇ないのよ」

穂乃果「そんなに忙しい?」

絵里「なんだか聞いた感じ、常にテストの勉強してるわよね」

穂乃果「まとめてやればいいのに」

真姫「そうしてほしいわよ、私も」

穂乃果「あの分厚い教科書? 全部覚えるんでしょ?」

真姫「全部じゃないけど、だいたいね」

絵里「やっぱりお医者さんって大変ね」

穂乃果「真姫ちゃん偉いよ」

絵里「本当偉いわよ。医療って、新しい治療法とか薬とか毎日開発されてるわけじゃない? お医者さんになってからも勉強するんでしょう?」

真姫「まあそうなるわよ」

穂乃果「あー、私なら絶対無理だそれ」

絵里「真姫のこと敬いなさいよ、多分ここ半径100メートルの中で一番偏差値高いんだから」

真姫「その半径100メートルの中の偏差値に何の意味があるのかはわからないけど」

穂乃果「わ、なんだか頭良さそうなこと言ってる」

真姫「バカにされたわ……」

穂乃果「いやいやいや、そんなつもりじゃないって。真姫ちゃんがおバカなら私なんかミジンコ以下になっちゃうよ」

真姫「ゾウリムシくらいよ」

穂乃果「褒められた?」

絵里「世の中にはね、知らなくてもいいことがあるわ」

穂乃果「そう?」

絵里「そう」

真姫「そうね」

穂乃果「ふーん……でも真姫ちゃんはさ、今は余裕がないからできないだけだよね。余裕ができればすぐできるってことだよね」

真姫「作れないんじゃなくて、作らないだけだから」

絵里「言うわね」

穂乃果「だって真姫ちゃんだし」

絵里「確かに」

真姫「そうね」

穂乃果「そうねって。真姫ちゃんってさ~、恋したらどんな感じになる?」

絵里「私ね、極端だと思うのよ。『恋愛? やっぱり面倒ね』とか言って今と全然変わらないか、もうあり得ないくらいベッタベタに惚れるかどっちかよ」

真姫「私もそんな気がする」

穂乃果「ぽいよね、真姫ちゃんに中途半端はないよ。もう貢ぐか貢がせるかの勢いだね」

真姫「何言ってるのよ、そこまでではないわよ」

絵里「いやそうよ、セックスもサッとやってサッと終わるかねっとり一晩中かけるかのどっちかね」

真姫「そう?」

穂乃果「そうだねー! どっちかだよ、どっちだろうなぁ」

絵里「真姫どっちなの? 早く教えて?」

真姫「私だってわかんないわよ、実際そうなってみないと」

穂乃果「彼女でも彼氏でもいいけどできたら早く教えてよ」

真姫「まあ近いうちにね」

絵里「じゃあ話変わるけど、穂乃果は何て言ってるの?」

穂乃果「何を?」

絵里「海未との関係」

穂乃果「あー、その話?」

真姫「っていうか穂乃果が最初に言い出したんじゃない?」

穂乃果「そっか、そうだっけ。いや、私もはっきりとは言ってないんだけど、付き合ってる人がいるとは言ってる」

絵里「それはバレてるわね」

穂乃果「そうなのかな」

真姫「皆気を使ってるのよ」

穂乃果「ええ? そうなの? まあ私下ネタとかわかんないときあるからね、おかげで凄い清純派みたいなキャラになってるんだよ」

真姫「女子校育ちの」

穂乃果「そうそう」

絵里「アイドルだからイメージは壊しちゃダメよ」

穂乃果「元だからもう一般人だけどね。あれ? 私一般じゃないのか」

真姫「永遠のリーダーだもの」

絵里「穂乃果はキャラ濃いのよ、きっとアメリカとか向いてると思うわ」

穂乃果「向いてるの私?」

真姫「そもそもアメリカに向き不向きがある?」

絵里「あるのよ。希が言ってたんだけどね、向いてる人と向いてない人がいるんだって」

穂乃果「へえ」

絵里「向いてないのはほら、せっかく留学とか行っても日本人どうしでコミュニティー作っちゃって、現地であんまり友達作らない様な人」

穂乃果「え、それもったいないよ~」

絵里「でしょ? 穂乃果はそう思うタイプでしょ? あと受け身な人もダメだってね」

真姫「穂乃果は主体性の塊よね」

穂乃果「え? え? そうかな」

絵里「主体性が服着て歩いてるようなものよ」

穂乃果「そう? そうなのかな? え、なんか全然私一般じゃないじゃん」

真姫「だからそうなのよ」

穂乃果「実は私アメリカ人?」

絵里「やっぱり向いてると思うわ」

穂乃果「じゃあ私も留学行けばよかったかもね。あ、それでさっきの話だけど海未ちゃんの家にはちょっと気づかれてるかもしれないんだよ」

真姫「付き合ってますってこと?」

穂乃果「それ」

絵里「そっちにも言ってないのね」

穂乃果「うちに言ってないのに先に海未ちゃんとこに言わないよ~、海未ちゃんも言ってないと思う」

真姫「でもだいぶグレーだと思うわよ」

穂乃果「海未ちゃんしょっちゅううち来てるからね」

絵里「けど何も言われてないんでしょ?」

穂乃果「まだね、まだグレーだから。でもかなり怪しまれてるんじゃないかな」

真姫「もう穂乃果と海未の今までの関係考えたら、言っても大丈夫じゃない?」

穂乃果「大丈夫? でも万が一、万が一ね、何かあったらさ……海未ちゃん家継ぐだろうし」

絵里「ん~、難しいわね」

穂乃果「あ、それで今日の本題だよ」

真姫「今更本題?」

穂乃果「や、だってさ、二人して変な方向に話進めるんだもん」

真姫「穂乃果だって加担してたじゃないの」

穂乃果「私のせいにしないでよー」

絵里「それで、本題って?」

穂乃果「いや、まあさ……そろそろはっきりさせた方が良いのかなって思うんだよね。絵里ちゃんて希ちゃんとこれから先どうする?」

絵里「どうするって、別にどうもしないけど」

穂乃果「けどもう3年とか4年付き合ってるわけじゃん? で、今一緒に住んでるわけだし」

真姫「まさか、結婚?」

穂乃果「まあ、そういうことだよね」

絵里「でも実際問題、私達結婚できないのよ」

穂乃果「そうだけどさ、私の友達もそんくらい付き合ってね、大学卒業ってなって就職も決まったらその先の話が出てくるんだよね」

真姫「絵里なんかまさに4月から社会人ね」

穂乃果「だからさ、こう……いつまでもダラダラ付き合ってていいのかなって」

絵里「結婚……とは言わなくても将来のことを見据えたとき、これから先どうしたらいいかってことかしら」

穂乃果「そういうこと、かなぁ」

真姫「難しいこと考えてるのね……」

穂乃果「そりゃ私だって多少は考えるよ、就活もあるし。海未ちゃん子供欲しいって言ってるんだよね」

絵里「それ、希も言ってるのよ」

真姫「最近は人工受精とか体外受精とかあるし、大丈夫よ。日本でも何件か例があったと思う」

穂乃果「けどねぇ……」

絵里「ちょっとまだ想像できないわよね」

穂乃果「そうなんだよね」

絵里「簡単なことじゃないし、まだ働いてもいないわけだし」

真姫「今すぐじゃなくてもそういう手段もあるってことよ、覚えておいて損はないと思うけど。同性婚自体もフランスとかならできるらしいじゃない」

穂乃果「でもそのために海未ちゃん連れだす?」

絵里「永住権取らないとダメだものね。結局日本じゃ意味ないし」

穂乃果「そうなんだよ、海未ちゃんはやっぱり家がね、あるから」

絵里「でもね、私は別にしばらくこのままでもいいかなって思ってるのよ」

穂乃果「それはやっぱり良くないんじゃない?」

絵里「そう? 別に同棲したから特に何か変わったってわけじゃないし、仮に籍入れられたとしてもそうだと思うのよ」

真姫「婚期逃す女のセリフね」

絵里「お一人様に言われたくないわね」

穂乃果「むしろ結婚引き伸ばすオトコのセリフだよね」

絵里「ええ……」

真姫「まあ海未が勘当されたらフランスでもアメリカでも愛の高飛びよ」

穂乃果「や、まずいってそれは。なるべく穏便に済ませないと」

絵里「でも将来的に考えたらいつかカミングアウトが必要で、それこそ子供ができたら両親の手を借りないわけにはいかないわよ」

真姫「そうしたら説得するしかないわね」

穂乃果「将来かぁ……」

絵里「将来、ね」

真姫「難しいわね」

穂乃果「私最近思うんだよね。もしかしたら海未ちゃんの相手、私じゃない方がいいのかもって」

絵里「ちょっと……どうしたのよリーダー。喧嘩でもした?」

穂乃果「そういうことじゃないけど、普通に子供なんてできないし、愛とか恋とかよくわかんなくなっちゃって」

真姫「あんなにラブラブだったのに?」

穂乃果「多分それってさ、子供の頃からずーっとおんなじなんだよ。私と海未ちゃんの付き合い方」

絵里「ならそんな子供の頃からキスしてた? エッチしてたの?」

穂乃果「その辺は付き合ってからだけど……」

絵里「充分変化してるじゃない」

真姫「私から見たら穂乃果も海未も大学入ってからだいぶ変わったと思うわよ」

穂乃果「私の考え方なんて中学とか高校の頃から変わってないんだよ。周りは皆大人になってるのに」

絵里「穂乃果……私だってね、自分が大人になっただなんて、胸張って言える程大きくなってないわ」

穂乃果「絵里ちゃんも?」

絵里「ええ、これからも学ぶことはたくさんあるわけだし」

真姫「きっと二十代なんて皆そんなものじゃない? 私は大人になりましたなんて言ってるほうが精神年齢低いわよ」

絵里「真姫の言う通りね」

穂乃果「そうかなぁ……うーん……」

絵里「今すぐ大人にならなきゃいけないって思う必要はないわよ? 多分気づいたらあっという間に歳取ってるんだから」

真姫「体感時間だと20歳で人生半分終わってるらしいわね」

穂乃果「え、そうなの?」

真姫「10歳の子にとったら1年はそれまでの人生の10分の1でしょ? 20歳になったら20分の1」

絵里「やだ、半分じゃない」

真姫「80くらいまで生きるとしたら、20歳までの体感時間とそれから80歳になるまでの時間が同じくらいってこと」

穂乃果「やだねぇ……私の人生、高校の時がピークだったかも」

真姫「こら、バカ言うんじゃないわよ」

絵里「そうよ、これからもまだまだ上り坂よ」

穂乃果「……時を巻き戻して」

真姫「1億円ね」

絵里「できるの?」

穂乃果「ブラックジャックなの?」

真姫「それくらいあればタイムマシンができるまで寝てられるかもしれないわね」

穂乃果「前はこんな変なこと考えなくてよかったのに…………私ね、今春休みだから実家に帰ってるけど、昔の写真とか見てて思ったの。あの頃の好きと今の好きって気持ち、変わってないのかも」

真姫「それは……いいことじゃないの?」

穂乃果「わかんないよ、私の気持ちは幼馴染とか友情の延長線上だったら? 絵里ちゃんのとことは、意味が違うよね……?」

絵里「違いなんかないわよ。世界で一番、海未が大事なんでしょう?」

穂乃果「私も海未ちゃんも、男の人と付き合ったことなんてないし、それって私が恋愛感情だって思い込んでるだけじゃないの?」

真姫「けれど、好きだと思ったから告白して、今も付き合ってるんでしょ」

穂乃果「そうだけど、あの時は……離れたくなくて、ずっと一緒にいたいと思って……」

絵里「それよ。そういうことよ。難しいこと考えなくても、この人と一緒にいたいと思ったのならそれでいいじゃない」

穂乃果「難しいよ、全然わかんなくなっちゃった。恋ってそういうこと?」

絵里「逆に聞くけれど恋愛感情とはこういうものですって誰かが定義して、それと違ったらあなたは海未と別れる?」

穂乃果「……いつまでも海未ちゃんの時間奪ってらんないよ」

真姫「へぇ……」

絵里「じゃあ……ほら、ついさっき海未の誕生日だったじゃない? プレゼントは渡した?」

穂乃果「まあ……」

絵里「喜んでくれたでしょ?」

穂乃果「多分ね……」

絵里「喜んでくれたのよね? なら海未の笑顔見てどう思った? この人の笑顔の為ならまた明日も、いやもう1週間くらい、あーもう、いっそあと1年くらい頑張れる気がしない?」

穂乃果「……多分」

真姫「まどろっこしいわね……」

穂乃果「だって……」

真姫「なら例えばよ? 海未が知らない男と手を繋いで歩いてたらどう思う?」

穂乃果「……」

絵里「ちょっと、それはまずいわよ」

真姫「別に女でもいいけど。愛なんてつまり独占欲よ。そうじゃないの?」

穂乃果「わかんないよ……」

真姫「いっそのこと『穂乃果。私、別に好きな人ができてしまいました』、なんて言われたら?」

穂乃果「そうなったら……むしろそうなって…………別れた方が、グスッ……」

絵里「あぁ、ほら……泣かない泣かない」

穂乃果「海未ちゃんのためなのかも……」

絵里「よしよし、穂乃果」

穂乃果「泣いてないよ…………」

絵里「……真姫?」

真姫「いや……ごめんなさい。これ、ハンカチ」

穂乃果「……ありがと」

絵里「……」

真姫「……」

絵里「あー……」

穂乃果「ごめん、ちょっとお手洗い」

真姫「……」

絵里「……」

続く

真姫「……ごめん」

絵里「私じゃなくて穂乃果に言いなさい。ね?」

真姫「ええ……ちょっとショック療法でいこうと思ったんだけど……」

絵里「度が過ぎるのよ、真姫。これで破局でもしたら次のμ's同窓会、雰囲気最悪よ」

真姫「縁起でもないこと言わないでよ」

絵里「きっかけは今日この場だからね?」

真姫「……あれだけ相手のこと思いやれるのに、どうしてああなっちゃうのかしら」

絵里「思いやるからこそ、自分も相手も時々わからなくなるのよ」

真姫「経験あり?」

絵里「まあ……しばらく距離置いたほうがいいかもしれないわね」

真姫「酸いも甘いも乗り越えてると思ってたけど、外野にはよくわからないものね」

絵里「とりあえず穂乃果が帰ってきたらフォローいれなさい」

真姫「フリが雑過ぎるわよ……」

絵里「いいから」

真姫「まあ……最大限努力する」

絵里「何か楽しい話とかないの?」

真姫「突然言われてもね……」

絵里「いいからひねり出すのよ」

真姫「じゃあ私、最近ペット飼いたいの」

絵里「いいじゃない。ちなみに何飼いたいの?」

真姫「鳥」

絵里「鳥?」

真姫「そう」

絵里「犬とか猫じゃなくて?」

真姫「間を取って」

絵里「犬と猫の間を取ったら鳥になる?」

真姫「なるのよ」

絵里「そういうものかしら……?」




穂乃果「ごめん、お待たせ」

真姫「あー……穂乃果」

穂乃果「ん?」

真姫「さっきのは……ごめんなさい、例えが悪かったわ……先のことを考えたら不安にもなるわよね。私は想像しかできないけれど……」

穂乃果「……」

真姫「でも穂乃果がいない時の海未ったら凄いのよ? この前も散々惚気けてくれて、正にほの字って感じ……穂乃果だけに」

穂乃果「……真姫ちゃんは慣れないことしないほうがいいよ?」

真姫「~~っ」

穂乃果「いいって、別に気にしてないから」

真姫「あれ……?」

絵里「無理しなくていいのよ、何でも聞くから」

穂乃果「無理なんてしてないよ~」

絵里「本当に? カシオレも頼んでいいのよ?」

穂乃果「今更? あれは意味がわかんないよ、もうそういう気分じゃなくなっちゃったし」

真姫「深く謝罪申し上げるわ」

穂乃果「なんなの? カシオレ頼んだら、猫被ってるって言われてさ、こないだはカルーア頼んだらそんなのコーヒー牛乳でしょって引っ叩かれるしさぁ」

絵里「ごめん。ごめんなさいって、でも引っ叩いてはないから」

穂乃果「言葉の暴力がすごいんだよ、パツキンとお医者さんに囲まれて両サイドから虐められる私の気持ち考えて欲しいよ」

真姫「すみません」

絵里「お詫びします」

穂乃果「え……普通に謝られると私も困っちゃう」

絵里「なんなのよ」

穂乃果「まあ私もまさかあんなんで涙が出るなんて思わなかったし。……や、別に泣いてないけど」

絵里「私はずっと目瞑ってたから何も知らないわ」

真姫「私耳も塞いでたから、大丈夫」

穂乃果「それはどうなの?」

絵里「本当なのよ、信じて」

穂乃果「ウソついてない?」

絵里「ついてない」

穂乃果「愛してる?」

絵里「愛してる」

真姫「右に同じ」

穂乃果「いや……うんよくわかんないけど」

絵里「富士山より高く、日本海溝より深く愛してる」

穂乃果「それは希ちゃんに言ったげなよ」

絵里「希にも言う。言うから」

穂乃果「“愛してる”、ね……あれ思い出したんだよね、1年目の誕生日の時」

真姫「……夢の国行った時?」

穂乃果「それは別のやつ。私手紙貰ったんだよ、海未ちゃんから。あれは泣きそうになって、っていうか泣いたの。ギャン泣きしたもん」

真姫「ギャン泣きって」

穂乃果「ギャン泣きだよ。私、危うくスルメになるとこだったんだから」

絵里「元がイカじゃないからスルメにはならないわ」

穂乃果「あ、そう? まああれ思い出したらまたトイレで泣きそうになってさ。……あの時の気持ちは嘘じゃなかったし、今もきっとあるし……これって愛?」

真姫「そんな尊い感情、他にないわよ……と私は思う」

絵里「そうよ、そういうことよ」

穂乃果「じゃあ私、海未ちゃんのこと、恋人として好きでいていい?」

真姫「いい。いいわよ」

絵里「いいに決まってるでしょ!」

穂乃果「私、海未ちゃんのこと愛してる? 愛してる!」

絵里「愛してる!」

真姫「ええ? それは何……? 私は言わないわよ」

穂乃果「決めた。もし海未ちゃんが別れるって言われても私別れない。海未ちゃんは私が幸せにする!」

真姫「おお……」

絵里「よく言ったわ! さあほら、飲みなさい飲みなさい」

穂乃果「イェイ! かんぱーい!」

絵里「乾杯!」

真姫「か、乾杯」

穂乃果「あ゛あ゛ぁ……」

真姫「強いわね、リーダー……」

穂乃果「伊達に何年もリーダー呼ばわりされてないよ」

絵里「流石よリーダー」

穂乃果「あ、でも真姫ちゃんの初体験の話は今度じっくり聞かせてもらうことにしよ」

真姫「ヴェェ……」

絵里「甘んじて受け入れましょう、真姫」

真姫「覚悟しておくけど……」

穂乃果「それでさ、絵里ちゃんのプロポーズ考えようよ」

絵里「え? なんで突然?」

穂乃果「だって絵里ちゃんとこが先やってくれないと私どうしたらいいかわかんないし」

絵里「たまには穂乃果が先にやってくれてもいいのよ?」

穂乃果「先輩」

絵里「先輩禁止」

真姫「……都合の悪い時は忘れるくせに」

絵里「なにか言った?」

真姫「何でもない」

穂乃果「よく考えてみてよ、絵里ちゃん4月から社会人でしょ? だけど希ちゃんまだ大学生じゃん? すれ違っちゃうよこれ」

絵里「まあ、確かに……研修でしばらく東京から離れるかもしれないのよね」

穂乃果「まずいじゃん! あれ? そしたら次いつ集まれる?」

絵里「少なくともお盆は帰って来られると思うけど」

穂乃果「じゃあまたそん時皆でね。でも寂しくなっちゃうね~」

真姫「絵里が社会人……感慨深いわ」

穂乃果「なんだか似合わないよね」

絵里「何? 家でゴロゴロしてる方が似合ってるって言いたいの?」

穂乃果「そういう意味じゃないよ、なんかこう、人の下で働いてるのが想像できないっていうかね」

真姫「顎で人をこき使ってるイメージよね」

絵里「私そんな感じ?」

穂乃果「できる女社長みたいな。絵里ちゃん起業しよう、それがいいよ。ついでに私雇って」

絵里「穂乃果はまず就活して社会勉強してきなさいよ」

穂乃果「だってやりたいこととかよくわかんないし」

絵里「夢とかないの?」

穂乃果「夢ねえ……私ちっちゃい頃お花屋さんになりたいとか言ってたかな」

絵里「いいじゃないの。お花屋さん業界目指しましょ」

穂乃果「でもね、あの頃の女の子の夢ってだいたいお花屋さんかケーキ屋さんしかないんだよ」

真姫「確かに周りはそんな感じだったかもしれないわね」

穂乃果「でしょ? 花屋かパティシエの二択なの。あ、幼稚園の先生とかもあったね」

絵里「三択じゃない」

穂乃果「似たようなもんだよ、だいたい皆この辺になるんだって。なんか可愛くて女の子っぽいから。私にもあんな頃があったんだなぁ」

絵里「今だって充分可愛いわよ」

穂乃果「ごめん、私には海未ちゃんいるから」

絵里「私フラれた?」

真姫「そういうこともあるわ」

穂乃果「真姫ちゃんはさ、夢ってなんだった?」

真姫「私? お医者さん」

穂乃果「そうだった……真姫ちゃんはそれだった……」

絵里「歌って踊れるお医者さんでしょ?」

真姫「踊りはしないわよ」

穂乃果「え、踊ろようよ、“ほ”T着てさ」

真姫「踊りはしないけど、歌って弾けるお医者さんよ。弾きながら踊れはしないでしょ」

穂乃果「確かに……絵里ちゃんは今のとこで夢叶えられそうなの?」

絵里「子供の頃とは違うけどね、まあ一応」

穂乃果「そっかぁ」

絵里「んー、でもね、これ誰にも言ってないんだけど、いつかカフェとか開いてみたいってちょっと思ってるの」

穂乃果「いいね、私そこで働く」

絵里「まだ思ってるだけよ」

穂乃果「大丈夫、それまで修行しておくから。ロシア料理も覚えておくよ、ほらアレとか、アレだよ」

絵里「全然わかんないわよ」

穂乃果「ダメだ私、記憶力がおばあちゃんだ……なんかさ、あるよね。ほら、ロシアン水餃子」

真姫「もしかして、ペリメニ?」

穂乃果「それだ! 真姫ちゃんよく覚えてるね」

絵里「あぁ……」

穂乃果「ロシア語難しいんだって。ペリの後にメニって続く感覚とか全然わかんない」

絵里「昔の人に言ってちょうだい」

穂乃果「二外でロシア語選ばなくてほんとよかった」

絵里「教えてあげたのに」

穂乃果「え、ハラショーしか教えてくれなさそう」

絵里「バカにしてるわよね」

穂乃果「してないしてない。むしろリスペクトしてるよ。絵里ちゃんあれだよね、何リンガルだっけ」

真姫「トリリンガルじゃない?」

穂乃果「それだ、トリだ」

絵里「英会話はまだちょっと怪しいけど」

穂乃果「でもあれの点すっごい高いじゃん。そりゃ内定だってすぐ貰えるよねぇ……」

真姫「私もお医者さんになれなかったら絵里に雇ってもらおうかしら」

穂乃果「え、ダメだって、それは困るよ」

絵里「穂乃果は困らないでしょう」

穂乃果「困るんだって。私、友達がお医者さんになったんだよねって周りに言いたいんだから」

真姫「別に穂乃果のために医者になるわけじゃないのよ」

絵里「まあもし真姫を雇うならピアノ弾いてもらおうかしら」

穂乃果「いいねそれ、雰囲気いい感じ」

真姫「いや、私はレコード選ぶだけの係やるから」

穂乃果「社会を舐めてるよね」

絵里「けれど大学生ってそんなものなのよ」

穂乃果「あー就活どうしよ……」

絵里「とりあえず色々見た方がいいわよ。世の中色んな会社があってびっくりするから」

穂乃果「そうだねー……で、どうする? 絵里ちゃん東京いない間に希ちゃんに悪い虫がついたら」

絵里「ええ……? そこ戻るの?」

穂乃果「戻るよ。だってあり得ない話じゃないよね?」

真姫「まあ……」

絵里「それは……困るわ」

穂乃果「でしょ? 希ちゃんも可愛いんだからさ、今も誰かに言い寄られてるかもしれないよ?」

絵里「そんなのダメよ」

穂乃果「だからさ、指輪してればそういうのは寄ってこないと思うんだよね」

絵里「ゆ、指輪……」

真姫「頭抱え込んじゃったわよ?」

穂乃果「渡すしかないよもう」

絵里「でも一応ペアリングなら今もしてるし……」

穂乃果「足んないよ、両手両指全部つけるくらいじゃないと」

真姫「それはゴチャゴチャしすぎ」

穂乃果「あ、そっか。でも絵里ちゃんもこないだナンパされたんでしょ? 右手だったらファッションだと思う人いるんだって」

真姫「じゃあやっぱりこっちの指に?」

穂乃果「欲しくない?」

絵里「それって婚約ってことでしょ……? 焦らなくていいと思うけど……結婚自体は日本じゃあれなわけだし」

穂乃果「もしできるならそのつもりはあるってことで」

絵里「う~ん……」

穂乃果「やっぱりね、どこかで区切りは必要なんじゃないかなぁ」

絵里「……まだ早いんじゃない?」

穂乃果「真姫ちゃん的にはどう? 早い?」

真姫「絵里って今年大学卒業ってことよね」

絵里「ええ」

真姫「私はあとそこから2年学生で、卒業してもそれから研修医なのよね。しばらく落ち着かないだろうから全然先の話に聞こえるわ」

穂乃果「真姫ちゃんは特殊だったかぁ……」

真姫「でも大事なのは希がどう考えてるかでしょ」

穂乃果「んー、まあ結局そこだよね」

絵里「そういう具体的な話はまだしてないわよ」

穂乃果「誰かにそれとなく聞いてもらおっか」

真姫「凛とか?」

穂乃果「また山登るって言ってたから丁度いいかもね」

真姫「じゃあ海未にも一緒にね」

穂乃果「うぇ、ちょっと怖いかも」

真姫「大丈夫よリーダー、弱気にならないで」

穂乃果「その辺お互い避けてたんだよねぇ、海未ちゃんもどう考えてるかわかんないや」

真姫「私に付いてきなさいってもうズバッと言ってやりなさいよ」

絵里「隨分簡単に言ってくれるわね……」

真姫「もしかしてまだ遊びたいとか?」

絵里「人聞きの悪いこと言わないで」

穂乃果「段々遊べる歳じゃなくなってくるよ?」

絵里「歳の話もやめなさい。だいたいそれは穂乃果もでしょ」

穂乃果「私はこれでも一途だからいいんだよ」

絵里「そうだ、十何年越しの恋だったわね……」

穂乃果「そう聞くと私凄いね」

真姫「やっぱり先に穂乃果がやったら?」

穂乃果「ええ?」

絵里「海未ならOKしてくれるわよ」

穂乃果「かな? 適当なこと言わないでよ?」

絵里「今まで散々自分が適当なこと言ってきたじゃないの」

穂乃果「お願いだからここは真面目にやってよ」

真姫「海未に断る理由がないと思うわよ」

穂乃果「ほんと? 本気で言ってる? 大丈夫?」

絵里「心配事と言ったら結局日本での結婚をどう定義するかじゃない? あとはそれこそ……こう、アレとか」

穂乃果「何? 言ってよ」

絵里「いいの? ……ほら、浮気とか……」

穂乃果「そうだったら首絞めようかなぁ」

真姫「嘘か本気かわからないからやめて」

穂乃果「冗談だよ。半分くらい」

真姫「半分……?」

絵里「半殺し?」

穂乃果「許しちゃう気がするんだよねぇ……今更嫌いになんかなれないし。そうだ、こっちも浮気は死刑ってことにしようかな」

真姫「誰かが突然死んだらそういうことだと思っていいのね」

絵里「私は長生きするわよ?」

穂乃果「して欲しいよ」

真姫「まあ大丈夫よ、海未に限ってそれはないと思う」

穂乃果「だよね……? 実際そうなったら私ほんとなにもできないと思うし」

絵里「海未の浮気に対するスタンスってどうなの?」

穂乃果「私がしたらってこと?」

絵里「そう」

穂乃果「多分その場で泣いたり怒ったりとかはしないよ。しばらく家に引きこもってそのうち別れましょうって文書で送られてくるね」

絵里「一方通告なのね……」

穂乃果「あ、でもその前にことりちゃんに刺されるかもしんない」

真姫「ここでことり」

穂乃果「ここでことりちゃん」

絵里「誰よりも応援してるものね」

穂乃果「けど勝手に結婚式と新婚旅行のプランまで建てるのはやり過ぎだと思うんだ私」

真姫「ことりプランは新婚旅行まで進んだの?」

穂乃果「行くなんてまだ一言も言ってないんだよ……」

絵里「いいじゃないの、そういう記念は大切よ。どこに行くの?」

穂乃果「いや、決めてないけど」

絵里「ことりの中では決まってるんでしょう?」

穂乃果「まあ……ことりちゃんの予定ではね? あくまでことりちゃんの頭の中ではね? エーゲ海かカスピ海か地中海ってことになってる」

真姫「海未だけに?」

穂乃果「多分そう……」

絵里「いいわねそれ」

穂乃果「良くないよ~……」

絵里「だって浜辺で寄り添いながらこう、2人で語らうわけでしょ?」

真姫「ビーチを眺めながらね」

絵里「そうよ、『穂乃果、綺麗な海ですね』なんて言って。そしたら穂乃果はこう、『そうだね、でも海未ちゃんの方がもっと綺麗だよ』ってね」

穂乃果「い~わないよそんなの!」

絵里「言いなさいよ、言わないと日本に帰ってこられないわ」

穂乃果「そりゃLOVE星人なら真顔で言えるかもしれないけどさ」

絵里「じゃあ言ってくれないと私が星に帰れないの」

穂乃果「いいよ、地球に骨うずめなよ……」

絵里「真姫はアリでしょ?」

真姫「ベタ過ぎない?」

絵里「そう? いいと思うけど……」

穂乃果「そういうので喜んでくれるのは希ちゃんの優しさだよ。プロポーズもその感じでいくの?」

絵里「結局そこ戻る?」

穂乃果「今思い出した。真姫ちゃん的にはどういうのがいい?」

真姫「私?」

穂乃果「一番希ちゃんに感覚近いから」

真姫「そうね、私回りくどいのは嫌」

穂乃果「ほら、真姫ちゃんもそう言ってる」

絵里「じゃあ真姫はどういうのならいいのよ」

穂乃果「もうシンプルにズバッと?」

真姫「結婚しようの一言でいいんじゃない?」

絵里「いいんじゃない? って」

穂乃果「シチュエーションは?」

真姫「シチュエーション?」

穂乃果「ほら、夜景の見えるレストランでー、とか」

真姫「私、そういうのはいい」

穂乃果「あ、そう? そこもシンプルかと思った」

真姫「普段からそういう所に行ってるならいいかもしれないけど、背伸びして突然そんなとこ行ってもね。何かあると思って身構えるわよ」

穂乃果「なるほどね~、確かにそうかもしんない」

絵里「じゃあ日常の感じで?」

真姫「そうね……それでいて私の予想を超えてきてほしい」

穂乃果「うわ、これ真姫ちゃんと付き合う人大変だ」

絵里「お医者さんの予想はなかなか超えられないわよ。全部想定内でしょ」

真姫「そこは頑張って不意を突いてよ」

穂乃果「じゃあサプライズみたいなやつ?」

真姫「周りを巻き込まないのならいいかも」

穂乃果「お、これだよ絵里ちゃん」

絵里「でも希ってそういうサプライズとかいらないって言ってるのよ」

穂乃果「真姫ちゃんダメじゃん」

真姫「私に言われてもね。希じゃないし」

穂乃果「あー、でも希ちゃんの言ってることわかるかも。私おんなじタイプだ」

絵里「予想外なのはいらない?」

穂乃果「だって人間完全にオフな時ってあるでしょ? そういう時にドーン! と来られても私何も言えない気がする」

絵里「それは、そういう素の反応が見たいからやるんじゃないの?」

穂乃果「やだよ~、もしそれでさ、たいしてビックリできなかったり泣けなかったりしたらどうすんの? 私申し訳ないよ」

真姫「意外よね、穂乃果って派手なの好きそうなのに」

穂乃果「いやいやいや、私なんて地味に生きていければそれでいいんですよ」

真姫「ウソつきなさいよ」

絵里「結婚式はドーンと派手にやるんでしょ?」

穂乃果「やる予定ないよ。もしね、海未ちゃんじゃなくても結婚するってなったら私、式とかいらないと思ってるんだよね」

絵里「一生に一度っきりなのに?」

真姫「理想はね」

穂乃果「だってお金かかるしさ」

絵里「現実的な考え方するわね」

穂乃果「私これでも商売人の娘だよ?」

真姫「でもことりはやるって言ってたわよね」

穂乃果「ことりちゃんの中ではね?」

絵里「やってよ、ご飯食べにいくから」

穂乃果「何しに来るの? ことりちゃんプランだとLove wing bellやってもらうことになるんだからね?」

絵里「穂乃果と海未のためならねぇ」

真姫「一肌脱ぐのもやむなしよ」

穂乃果「何で乗り気なの……? やんなくてもいいよ……ご祝儀だけちょうだい」

絵里「それはダメよ、2人のドレス姿見ないと」

真姫「死んでも死にきれないわ」

穂乃果「じゃあ二人ともうちで何か買ってくれればいいよ。回り回ってそれが私の仕送りになるから」

真姫「それがこうやってここで消費されるわけでしょ?」

絵里「つまり今日は穂乃果の奢りね」

穂乃果「ええ!?」

真姫「ありがとう穂乃果」

穂乃果「おかしいおかしいおかしい」

絵里「だって穂乃果のお小遣いは私達のお金ってことでしょ」

真姫「穂乃果が全部払えば私達も払ったことになるじゃない」

穂乃果「そんなわけ……お医者さんとパツキンで結託するのはズルいよ」

絵里「すみませーん、ジントニックください」

真姫「私、マンゴージュース」

穂乃果「ええ……?」

続く

食べ物は適当にちょいちょい頼んでると思います

絵里「穂乃果の奢りのお酒はおいしいな~」

穂乃果「そこはさ、公平に決めようよ。2対1は卑怯だよ。私泣くよ?」

真姫「まあロシアンジョークってことで」

穂乃果「質悪いよね、これは絵里ちゃんプロポーズして詫びてよ」

絵里「穂乃果に?」

穂乃果「え、ごめんなさい」

絵里「またフられちゃったわ……」

真姫「骨は拾ってあげる」

穂乃果「いやいや、希ちゃんに決まってるじゃん」

絵里「もうそれはいいじゃない」

真姫「私さっき思ったんだけど、希がサプライズだめって言ってるの、穂乃果とは違う理由な気がするのよ」

穂乃果「そうなの?」

真姫「いやわかんないけど、勘が良さそうだし気づいちゃうんじゃない?」

穂乃果「あ~、かもね。そっちのタイプだ希ちゃん」

真姫「っていうか絵里が下手なのかもね」

絵里「私が悪いの?」

穂乃果「あれだ、絵里ちゃん不法侵入事件」

絵里「ちょっ、変な言い方やめなさい、別にあれは失敗したんじゃないから」

穂乃果「でも危うく捕まるとこだったじゃん」

絵里「警察沙汰になんかなってないわよ」

真姫「なりかけたんでしょ」

穂乃果「帰ってきたら聞いてないのに誰か家いるって怖すぎるよね」

絵里「私あれ未だに何故バレたのかわからないの」

穂乃果「どうせ鍵かけ忘れたとか靴しまい忘れたんだよ~」

絵里「どっちもやった記憶あるんだって」

穂乃果「ん~、スピリチュアルだね」

絵里「誰か希にリークした?」

穂乃果「してないよ、そもそも聞いてなかったし」

真姫「どっちにしろ、絵里が希を驚かそうとか考えない方がいいわよ」

穂乃果「少なくともあれが何で失敗したのかわかんないうちはやんない方がいいよね」

絵里「まあ……その後にもうああいうことはやらないでいいって言われたからやらないけど」

真姫「喜ばすのと驚かすのはイコールじゃないのよ、絵里」

穂乃果「だね」

絵里「じゃあ穂乃果はどうやる?」

穂乃果「私? ん~、どうしよう」

絵里「まずセリフからね」

穂乃果「言わないよ恥ずかしい」

絵里「私も真姫もあなた達の夜の営み方まで知ってるんだから、今更恥ずかしがることなんかないわよ」

穂乃果「それとこれとは別だよ」

真姫「あのね、私気づいたんだけど」

穂乃果「どうしたの真姫ちゃん」

真姫「さっきからどうしてあなた達が求婚する側だと思ってるの?」

穂乃果「え?」

真姫「海未と希も同じこと考えてて、明日あなた達が言われる可能性もあるわよね」

穂乃果「うん。うん……おお?」

絵里「じゃあ希から?」

真姫「普通男の人からするものだと思うけど、あなた達そうじゃないし」

穂乃果「あれ? 確かに、なんで私からするもんだと思ってたんだろ? あれ?」

真姫「あれ? じゃないわよ」

穂乃果「え? じゃあ海未ちゃんから? くるの?」

真姫「そういうこともあるんじゃない?」

穂乃果「え、やだ、どうしよう」

真姫「やなの?」

穂乃果「やじゃないよっ。え、ウソ、え、どうする?」

絵里「どうするって、私に聞かれても」

穂乃果「海未ちゃんから? やだ、それもいいな~!」

真姫「やなのかいいのかどっちなのよ」

穂乃果「だからやじゃないって言ってるじゃん。ちょっと、それ考えてなかった、どうしよう!」

真姫「じゃあ断る?」

穂乃果「断わんないよっ、え、なんか緊張してきた」

絵里「まだ早いでしょ……」

穂乃果「でも海未ちゃんからか~、あり寄りのありだね」

真姫「実際そうなるかは知らないけど」

穂乃果「ちょっとアピールしてみようかなぁ。ことりちゃんからそれとな~く言ってもらうってのもあり?」

真姫「ことりプランを伝えてもらえば?」

穂乃果「あれはちょっとやり過ぎな気がするんだよね。絵里ちゃんはどうなの? 希ちゃんからっていうの」

絵里「いや、ちょっと……」

穂乃果「ダメ?」

真姫「やっぱりまだ遊びたいのね」

絵里「違うわよ……嫌ってわけじゃないけど……もしいつかそういう日が来るなら私からだと思ってたから」

穂乃果「私もそんな気がしてたけど、確かに真姫ちゃんの言う通りそうとは限らないよね」

真姫「逆に何でそれ考えなかったのよ」

穂乃果「何でだろう、不思議だね。今日真姫ちゃん居てくれてよかった~!」

真姫「他人事みたいに……」

穂乃果「むしろね、そういうのどうやって決めたらいいの?」

真姫「んー、普段リードしてるかしてないかとか?」

穂乃果「じゃあ私かな」

絵里「私振り回されてる」

穂乃果「絵里ちゃんはそんな感じだよね」

真姫「じゃあ希からってことにしましょ」

絵里「そうなる?」

穂乃果「真姫ちゃん理論だとそうなるよ」

真姫「私はあなた達のルールとかよくわからないけど」

穂乃果「真姫ちゃん以上にわかってくれる人他にいないよ」

絵里「でも希から……?」

穂乃果「なんか納得いってないみたいだから別の決め方真姫ちゃん教えてよ」

真姫「なんで私が」

穂乃果「お願いしますよ西木野大先生~」

真姫「ええ……? じゃあプロポーズも告白した方からすれば?」

穂乃果「おお、これなら絵里ちゃんだ」

絵里「いや……希なの」

穂乃果「え? 違うよ、最初は絵里ちゃんでしょ」

絵里「最初は希からなのよ」

穂乃果「ええ? 何でこんなとこでウソつくの? 絵里ちゃんからだよね?」

絵里「何故そんな誤解をしているの?」

真姫「私も穂乃果と同じように思ってたけど」

穂乃果「だってあの感じは絵里ちゃん……だったよね」

絵里「まあ本当の最初は私からだったかもしれないけど……」

穂乃果「じゃあそうじゃん」

絵里「でも最終的に、希に言わせたの」

穂乃果「言わせた? 最終的に?」

真姫「恐ろしいわね」

穂乃果「なんか違法なことしたんじゃないよね?」

絵里「合法よ。だから希から、こう……ね、付き合いましょうかって話になって」

穂乃果「じゃあもう今度も希ちゃんに言わせる方向でいこ。ゼクシィとか家に置いとく?」

絵里「それはなんか嫌」

穂乃果「ならどうしたいの?」

絵里「えー、だって……」

真姫「絵里は自分のこと彼氏役だと思ってるんでしょ」

穂乃果「あ、絵里ちゃんかっこつけしいだもんね」

絵里「な……! 違うわよ」

穂乃果「ほんとに~?」

絵里「本当です」

穂乃果「んー、何で普通は男の人がするもんなのかな」

真姫「それはプライドとかあるんじゃない? 多分」

穂乃果「ふ~ん……俺が養っていくんだ、的な? 絵里ちゃんそうなの?」

絵里「……一応ね、私の方が先にお給料貰う立場になるわけじゃない?」

穂乃果「でも同い年だよね?」

絵里「まあね」

真姫「むしろ希のほうが先に歳取るわね」

絵里「まあ、そうだけどでも立場的に、ほら」

穂乃果「二人三脚で歩いていくんだよ、どっちが上とか下とか、偉いとか偉くないとかじゃなくて」

絵里「それはその通りだと思うわよ。けど、もし、もしね」

穂乃果「もし?」

絵里「もしもね、そのプロポーズ……のようなこと?」

穂乃果「それは多分プロポーズだよ」

絵里「まあ、するならね……私がやりたい、かな」

穂乃果「お、聞きました?」

真姫「聞きました」

穂乃果「やりたいならやろうよ絵里ちゃん、やるしかないよ」

真姫「言質とったわね。いつにする?」

絵里「待って、待って」

穂乃果「やっぱりやるなら記念日とかだよね」

真姫「じゃあ次の希の誕生日」

穂乃果「いいね、6月にしよう」

絵里「待ちなさい」

穂乃果「違ったっけ?」

絵里「あってるけど……何? 穂乃果と真姫はブライダル業界の回し者なの?」

真姫「まさか」

穂乃果「むしろ恋のキューピッドと呼んでほしいよ」

絵里「そんな可愛いものには見えないわ……」

穂乃果「ディスられてるよ、真姫ちゃん」

真姫「穂乃果もだと思うけど」

絵里「いいから2人で勝手に話を進めないで。いい?」

穂乃果「だってやるって言ったし。ねえ」

絵里「やりたいとは言ったけど、やるとはまだ私言ってないからね?」

穂乃果「だからいつやろうかって話をしてるんだよ」

絵里「待って、待って、待って」

穂乃果「絵里ちゃんはいつがいい? 希ちゃんの誕生日か交際記念日」

絵里「だから待ちなさいって」

穂乃果「待ってるのは希ちゃんだよ~」

真姫「そうよね」

穂乃果「イケると思うけどなぁ」

真姫「じゃ、私から探り入れとくから。それでいいでしょ」

絵里「真姫?」

穂乃果「凛ちゃんは?」

真姫「よくよく考えたら凛だけじゃちょっと不安よね」

穂乃果「そんなことないよ、凛ちゃんもリーダーだから。信じてあげて」

絵里「2人とも信じてるわよ。信じてるけどもね、そういうことじゃなくて」

穂乃果「じゃなくて?」

絵里「私だってね、いつまでも学生気分じゃいられないのはわかってるわよ?」

穂乃果「でしょ? でしょ?」

絵里「けれど何も今すぐじゃなくても」

穂乃果「今だよ、ナウだよ」

真姫「まあ絵里が躊躇う気持ちもわかるわよ。お互い自立してからでも遅くはないだろうってことでしょ」

穂乃果「そっか……そういう考え方もある?」

真姫「私はそれで後悔することになっても知らないけどね」

穂乃果「お、そうだそうだ」

絵里「縁起でもないこと言わないでよ……現実として難しいのは二人だって知ってるでしょう? 私達、普通とは違うんだから」

穂乃果「んー、“普通”ね」

真姫「『これが普通の生き方です』なんて、そんなの誰かが決めてるわけじゃないわよ?」

穂乃果「おお、確かに」

絵里「それでも暗黙の了解ってものがあるでしょう。私達が少数派なのは間違いないんだから」

穂乃果「まあ、そうだね」

真姫「多数決で決めても少数派の意見も尊重しましょうっていうのが民主主義でしょ」

絵里「理想だけ語っててもご飯は食べられないのよ真姫」

真姫「あのね、普通の基準なんて人の数だけあるわよ。例えば私はあれ信じられないんだけど、講義で毎回最前列に座ってる人とかいるじゃない?」

穂乃果「あ、いるよね! で、授業中すんごい頷いてる人」

絵里「勉強熱心なんでしょ」

穂乃果「でもテスト前に話してみたりすると意外とそんなに成績良くなかったりするの」

真姫「それは……人それぞれだと思うけど」

穂乃果「そうかな。そっか」

真姫「まあとにかくその人にとっては最前列が定位置で当たり前なのよ」

穂乃果「真姫ちゃんはいっつも後ろの方にいそうだよね」

真姫「よくわかるわね」

穂乃果「なんかそんな感じする」

絵里「真姫の言わんとすることは理解できるわよ。そういう当たり前の違いは誰にだってあるわ。あくまで個人個人でみたらね」

穂乃果「んだね」

絵里「でもね、真姫は理解がある方だと思うけど、世の中わかってくれる人ばっかりじゃないの」

真姫「最初から全員と仲良くなろうと思うことが間違いなんじゃない?」

穂乃果「ええ?」

真姫「付き合う人って最後はどこかで選ぶ必要もあるのよ」

穂乃果「きっつ、それって真姫ちゃんの経験談?」

真姫「秘密」

穂乃果「出た、女の身だしなみだ」

絵里「……わかるわ、わかるわよ。受け入れるかどうかは個々人に任せても、多様性は認めましょうって」

穂乃果「皆違って皆いいよね、うん」

絵里「でも現実にそんな社会がどこにあるの。色んな人がいるってことをまだまだ皆が皆認められるわけじゃないの」

真姫「絵里は何がそんなに怖いの? 社会が嫌なら山にでも籠もってなさいよ」

絵里「あのね、山って……」

真姫「女同士は自然じゃないわね、自然じゃないからいけません? そんなの勝手に言わせておけばいいじゃない」

絵里「いいわよ私は今更どう言われたって。嫌でも目立つみたいだし。でもね、希を同じところにはつれていけないの」

穂乃果「ちょ、ちょっと2人ともヒートアップしてきたよ?」

絵里「穂乃果も当事者でしょ」

穂乃果「あ、はい……」

絵里「さっきからどっちの味方なの」

穂乃果「うぇ? 私? 私は……弱い者の味方だよ?」

絵里「じゃあこっち」

穂乃果「や、やだよ、真姫ちゃん今日キレッキレだもん」

真姫「ならこっち」

絵里「ほーのーかー、言ってることが違うわよ」

穂乃果「まあまあちょっと2人とも落ち着こ?」

真姫「別にケンカしたいわけじゃないわよ」

絵里「まあそうでしょうね」

真姫「私としては2人とも、周りがどうとか、社会がどうとか、親がどうとか、そういうことで生き方変えないで自分の道、貫いてほしいの。そしたら絶対、大物になるんだから」

穂乃果「なれます?」

真姫「なる。なりなさい」

穂乃果「そう言われてもなぁ……」

絵里「ねぇ」

穂乃果「んーまあ、ビッグになれるかは知らないけど、さっき真姫ちゃんが言ったみたいに何て言うか……最初っから喧嘩腰? の人ってたまにいるよね」

絵里「穂乃果にも?」

穂乃果「いるよ~。私ネットで、あ、これ別に最近じゃなくて高校の時の話だけど、ちょっとあれこれ見ちゃったんだよね。μ'sの評価的なサムシング」

真姫「あれほどにこちゃんが止めろって言ってたじゃない」

穂乃果「だって気になるもん、好奇心に勝てなかったんだよ。真姫ちゃんが言うところの医学的興味ってやつ?」

真姫「満たされたのそれ」

穂乃果「まあね、色々あったから。真姫ちゃん可愛いとか、絵里ちゃん格好良いとか、何でセンターが高坂なの、とか」

真姫「だから止めろって言われてたのよ」

穂乃果「あはは、そうだよね。すっごい凹んだもん」

絵里「けどそんな時あった?」

穂乃果「あったんだよ。でも凹んだけどさ、最後はそういう人たちにも納得してもらえるよう頑張るしかないじゃんね」

真姫「メンタル強いわね」

穂乃果「私本番とか強いんだよ? 知らなかったでしょ?」

絵里「私、穂乃果のそういうところ好きよ」

穂乃果「あ、やめてよ、そうやって煽てて人のこと潰そうとしてるんでしょ。手口はもう知ってるんだから」

絵里「そんなつもりじゃ……でも頑張っても無理だったら穂乃果はどうする?」

穂乃果「そしたら? もっと頑張る?」

絵里「根性論?」

穂乃果「なんとかなるよ、やればできるって」

絵里「ヤッても子供はできないけどね」

穂乃果「……急にぶっ込んでくるよね絵里ちゃん」

真姫「そういうとこあるわよね」

絵里「んもう…………わかったわよ。やる」

穂乃果「お、何を?」

絵里「プロポーズ、します」

穂乃果「おお……! おお!! イェーイ!!」

真姫「いぇーい」

絵里「こうでも言わないと今日帰れなさそうだし……」

穂乃果「当たり前じゃん、帰さないよ」

絵里「じゃあとりあえず前向きに検討するっていう方向で」

穂乃果「それじゃダメだよ、有限実行の女、絵里ちゃんでしょ」

真姫「まあ意思が固まっただけ大きな一歩よ」

穂乃果「んー、そっか。じゃあ絵里ちゃん今年中ね」

絵里「ええ……?」

穂乃果「記念になんか良いの頼も。ボン・ジョヴィみたいな名前のやつ」

真姫「ボン・ジョヴィ?」

穂乃果「あ、ごめんあれだ、ドンペリ」

絵里「そんな良いのはないわよ。テキーラ持ってきて」

穂乃果「無理無理無理無理」

絵里「グっといきなさい、女は度胸と愛嬌なのよ?」

真姫「欲張りね」

穂乃果「テキーラは論外だけどやっぱシュワシュワ系がいいよね」

絵里「ある?」

穂乃果「なーい。じゃ、一週回って、ビール」

絵里「まあいいけど」

真姫「ちょっと微妙」

穂乃果「じゃあイケる」

真姫「ヴェェ……」

穂乃果「すいませーん」

ちょこちょこ直したけどとりあえず落ちたとこまでおわた
続く

穂乃果「そういえばね、梅酒の牛乳割り。知ってる? 美味しいんだよ?」

真姫「知ってる」

絵里「何度も聞いたわ」

穂乃果「そうだっけ。じゃあもっかい聞いてよ」

絵里「海未が好きなんでしょ」

穂乃果「今度はね、飲む梅酒」

真姫「飲めない梅酒がある?」

穂乃果「違う、飲むヨーグルト割りだった」

絵里「んー、なるほど」

真姫「どこ間違えてるのよ」

穂乃果「あれもね、いいんだよ」

絵里「でもビール頼んでからそんな話しないでよ」

穂乃果「よくよく考えたら梅酒いきたい気分だったんだよね」

真姫「もう来ちゃったわよ」

穂乃果「じゃあとりあえず乾杯しよ」

絵里「とりあえず」

真姫「とりあえずね」

穂乃果「絵里ちゃん婚約おめでとー!」

真姫「おめでと」

絵里「まだしてないっつの」

穂乃果「これから計画つめないとね。だいじょーぶ、こっちには西木野大先生がついてるから」

真姫「大船に乗ったつもりでいなさい、絵里」

絵里「その自信はどこからくるわけ?」

穂乃果「やっぱり6月がいいと思うんだよね。ほら、4,5,6で給料3ヶ月分の指輪」

絵里「いきなりお給料全額回せるわけないじゃないの」


穂乃果「いけるいける。じゃあローンにしよ。100回払いで」

真姫「黙ってそんな大金使われちゃ今後が心配になるわ」

穂乃果「じゃあ真姫ちゃんにボツくらったから給料3ヶ月分は無し」

絵里「真姫の言うことは素直に聞くのね」

穂乃果「真姫ちゃんが白って言ったらカラスも白だよ。知らないの? お医者さんは絶対だから」

真姫「タイタニックに乗ったつもりでいなさいよ」

絵里「やだぁ……降りたい……そもそも指輪って先に用意しておかないとダメ?」

穂乃果「そりゃそうだよ、おもむろに箱を取り出してパカって。されたいよね?」

絵里「後で一緒に選びにいくっていう手もあるわよ」

穂乃果「選んでくれたって気持ちが大事なんだよ。真姫ちゃん的には?」

真姫「五分五分」

穂乃果「五分ときた」

真姫「絵里のセンスなら平気だと思うけれど、自分で選びたい気持ちもある」

穂乃果「乙女心はよくわかんないねぇ」

絵里「氷山見えてきちゃったわよ、この船沈むわ」

穂乃果「じゃあここの選択は絵里ちゃんに任せる方向で」

絵里「2人ともさっきから面白がってるだけでしょ?」

穂乃果「そんなことないそんなことない。私はいつでも2人の幸せを願ってるよ」

真姫「これも一種の愛よ」

穂乃果「そうそうそう、LOVE星人が私達に教えてくれたことだから。絵里ちゃんの失敗からその反省を私の時に活かしたいとか微塵も思ってないから」

絵里「失敗前提で話すのやめてくれる? いっつもこうやって私のこと実験台にしようとしてくるのよ。この悪行を許していいの真姫?」

真姫「これは穂乃果……ギルティよね」

穂乃果「ええ? 裏切り?」

真姫「お医者さんは常に公平な立場なのよ」

穂乃果「待ってよ、私の周り敵しかいないじゃん」

絵里「時にはキツく当たる時もあるけれど、あなたの為なの。わかってちょうだい」

真姫「これもLOVEよ」

穂乃果「それそんな便利な言葉だっけ?」

真姫「もういっそ、穂乃果と絵里で一緒にやったら? 全部解決ね」

穂乃果「え? ダブポーズ?」

真姫「どこ略してんの」

絵里「何も解決してないし。それでもし片方だけダメだった時の空気考えなさいよ、どうするのよ」

穂乃果「土に還りたくなるね」

真姫「エリーはそういう後ろ向きな考えが悪いところよ。穂乃果を見習いなさい、やればできるの精神よ」

穂乃果「え、そうだね。やればできるよ」

絵里「ダブポーズ?」

穂乃果「それはやっぱやだなぁ」

絵里「変な略し方したのは穂乃果じゃないの」

穂乃果「そこじゃなくて、一緒にってとこ。会長絶対後でダメ出ししてくるじゃん。ここはこうした方が良かった、ああ言った方が良かったって」

絵里「しないわよ、私は褒めて伸ばすタイプなの」

穂乃果「あそこで間を取るのは良かったとか、あの言葉はグッときたとか言われるのも逆にやだよ」

絵里「何笑ってるのよ真姫」

穂乃果「元はと言えば真姫ちゃんが変なこと言うからこうなってんだよ」

真姫「いや……のんちゃんも褒めて伸ばしてるのねと思ったら」

穂乃果「ふふっ」

絵里「どこに笑うとこあった? ねえ?」

穂乃果「そっか、のんちゃんも褒めて伸ばしてるんだ」

絵里「のんちゃんって言うのやめなさい」

真姫「良いと思うわよ、のんちゃん」

絵里「たまにしか呼ばないからね?」

穂乃果「いいよ嘘つかなくて、全部わかってるんだから」

真姫「のんちゃん、エリチって呼び合ってたら一日終わってるんでしょ?」

穂乃果「ヒューヒュー」

絵里「あのね、そこまで暇じゃないのよ」

穂乃果「そうは言っても半日くらいなら?」

絵里「…………付き合いたての頃ならまあ」

穂乃果「ヒューヒュー!」

絵里「半日とか言うなら穂乃果のとこもそういうことやってるんでしょ?」

穂乃果「今更そんなアホなことしないよ、バカじゃないの?」

絵里「なんなのよ、私の周り敵しかいないじゃない」

穂乃果「仲間やね、エリチ」

絵里「引っぱたくわよ」

穂乃果「暴力反対!」

真姫「まああんな巨乳を好き勝手してるんじゃ敵は多いでしょうね」

穂乃果「あ、真姫ちゃんは巨乳が好きなんだ」

真姫「ちがっ」

絵里「墓穴掘ったわね真姫!」

真姫「何で嬉しそうなのよ!」

穂乃果「人の争いは醜いねぇ」

絵里「これではっきりしたわ、真姫もこっち側よ」

穂乃果「そっかぁ、真姫ちゃんは巨乳を好き勝手したいのかぁ。皆に言っとこ」

真姫「やめなさい引っぱたくわよ」

穂乃果「2人ともすぐ暴力で解決しようとするよね! そういうのよくないよ!」

真姫「あなたは最低ですってバシーンといくわよ」

絵里「あれ腰入ってたわね」

穂乃果「それ私笑えないんだよ。いや怒んないでよ、真姫ちゃんの気持ちはわかるもん、おっぱいは皆好きだから」

真姫「とんでもない持論持ち出してきたわね」

穂乃果「だって銭湯とか温泉で綺麗な人いたら見ちゃうじゃん」

絵里「おっぱい?」

穂乃果「おっぱい」

絵里「穂乃果ったら私の事そんな目で……」

穂乃果「自意識過剰は私無視するけれど」

絵里「待って、ごめんなさい」

穂乃果「巨乳は人生楽しそうでいいよね」

真姫「エリーは人生楽しいでしょ?」

絵里「これはまた私が責められる流れね」

真姫「巨乳税よ」

穂乃果「どうせ巨乳は巨乳の悩みがあるとか言うんでしょ、わかってるよ」

絵里「ならそこを汲み取りなさいよ」

穂乃果「あー、一度くらい私だって巨乳を好き勝手してみたいよ」

絵里「私それ海未に言っておくわ」

穂乃果「待って、待って、ほんとにやめて。お金払うから。私ことりちゃんに刺される」

真姫「必死過ぎるでしょ」

穂乃果「おかしいな、おっぱいの話は誰も幸せにならないよ……」

絵里「もうおっぱいの話はやめましょう、それがいいわ」

真姫「そうね。じゃあ……」

穂乃果「……」

絵里「……」

真姫「……別に何もなかったわ」

穂乃果「それはおかしい」

絵里「『じゃあ』の責任を取りなさいよ」

続く

真姫「わかったわよじゃあ、じゃあ、穂乃果はいつまで海未のこと海未ちゃんって呼ぶの?」

穂乃果「5秒待たされてそんなこと?」

真姫「何求めてるのよ、穂乃果の5秒に相応しいでしょ」

穂乃果「私に5秒くれたら100円は稼げるからね」

真姫「じゃあ、はい」

穂乃果「ごめん、今日は調子が悪いや」

真姫「すぐバレるウソつくのやめなさいよ」

穂乃果「5秒で小銭稼げるなら私働かなくていいしね」

絵里「でも穂乃果、確かに海未の呼び方は気になるわ」

穂乃果「何?そんなに変なの?」

絵里「変じゃないけれどね、10年先、20年先もそうなのかなって」

穂乃果「ん~、でも海未ちゃんは海未ちゃんだし?」

真姫「呼び捨てはどう?」

穂乃果「それはたまにはあるけれどね」

絵里「耳元で?」

穂乃果「いや耳元に限らなくていいよね?」

絵里「でも海未って耳弱いんでしょ?」

穂乃果「それはさ、あのさぁ……」

真姫「海未の性感帯どこだっけ?」

穂乃果「真姫ちゃんそんなに酔うほど飲んでないでしょ!」

真姫「違う、違うの。医学的興味なの」

穂乃果「前も言わされたからもう知ってんじゃん」

真姫「知らない。忘れちゃった」

穂乃果「それが社会で通用すると思わないでよ?」

絵里「学生が学生に言っても説得力ないわよ? ほら穂乃果、真姫の医学的興味を満たしてあげましょ」

穂乃果「いやだから、海未ちゃんだよ? 海未ちゃんの性感帯そんなに気になるとこじゃないよね?」

真姫「気になる」

絵里「非常に気になるわ」

穂乃果「あのさ、これがね、2人とも知らない人だったら私もいいかもしれないよ?」

真姫「なら」

穂乃果「なら、じゃないよ。海未ちゃんだよ? 会うでしょたまに」

絵里「そりゃまあ」

真姫「この前私お茶したのよ」

穂乃果「どう思うの? 『あー、ここ穂乃果がゴニョゴニョしたんだろうなぁ』って考えるでしょ? やだよ私!」

真姫「考えないわ。実は私、何も考えずに生きてるの」

穂乃果「そんなんじゃお医者さんなれないよ」

絵里「これ教えてくれたらお医者さんなれるから」

真姫「そうなの、穂乃果」

穂乃果「いやいやいや」

絵里「でも?」

穂乃果「言うわけないじゃん! 耳だよ!」

絵里「さすがよリーダー」

穂乃果「っつ~……」

絵里「よく言ったわね」

穂乃果「なんで真姫ちゃんが毎回そんなウケるのかわかんないよ私……」

真姫「だって……海未にも……んふっ」

穂乃果「ほんとやめてほしい」

真姫「違うの、海未にも弱点があると思うと安心するのよ。海未もちゃんと地球人なのね」

穂乃果「名前からして地球感溢れてるじゃん」

絵里「でもフィジカル強いのは間違いないじゃない?」

穂乃果「別に無敵じゃないよ海未ちゃんだって」

絵里「地震が怖いあたり、地震という概念が存在しない星からきた可能性が……?」

穂乃果「ないよね。星人仲間作ろうとしないで」

真姫「まあそんな海未でも、耳だけは鍛えられなかったということね」

穂乃果「そりゃ無理だよね」

絵里「私は耳強いわよ?」

穂乃果「何の自慢なの、いらないんだよその情報」

絵里「私ね、耳動くのよ」

真姫「知ってる」

穂乃果「やってていいよ、私お手洗い行ってくるから」

真姫「私も」

絵里「シッダウン」

穂乃果「ごめん、前も見たからあんまり気になんない」

真姫「最初ならまだしもね」

絵里「そう言わずに」

穂乃果「っていうか普通にお花摘みたいんだけど」

真姫「私も」

絵里「あなた達は何故私を置いていくの?」

穂乃果「なら一緒に来たらよくない?」

絵里「私一緒にお手洗い行くのってキライなのよね」

真姫「じゃあ待ってなさいよ」

絵里「その間、私が寂しいとは思わない? 何するの私?」

真姫「虚空でも見つめてれば?」

絵里「そんな時間の使い方ある?」

穂乃果「絵里ちゃんは耳ピクピクさせてればいいから」

絵里「3人いて2人でどっか行っちゃうのがおかしいでしょっていう話よ、どっちか残りましょ」

穂乃果「もー、めんどくさいなぁ」

絵里「2人は私とトイレ、どっちが大事なの!?」

穂乃果「トイレでしょ」

真姫「トイレよね」

絵里「言い切ったわね」

穂乃果「トイレ行けなくなったら困るもん」

絵里「わかったわ。じゃあこうしましょう。私にジャンケンで勝ったら行っていいわ」

穂乃果「はいさいしょはグッ、ジャンケンポン」

真姫「……会長、持ってるわね」

穂乃果「絵里ちゃん無駄に強いよ……」

絵里「何も2人して負けなくても。そんなに私といたかったのね。嬉しいわ」

穂乃果「これが希ちゃんパワー? アゲマンだね」

真姫「いらないとこで使ったわね」

穂乃果「おかげで漏れそうなんだけど」

絵里「漏らせばいいじゃない」

穂乃果「それで解決すること、この世にないよ」

真姫「お菓子を食べればいいじゃないみたいに言われてもね」

穂乃果「もうよくない? 行っていい?」

絵里「私も行きたくなってきた」

真姫「エリーは荷物番」

絵里「ジャンケンやる?」

穂乃果「もういいよ、全部持ってこ。皆で行こ」

絵里「最初からこうしてれば良かったわね」

穂乃果「なんだかなぁ」

違うんですよ、この人たち無限に話し続けるんですよ
続く

穂乃果「トイレが綺麗なのはポイント高いよね」

絵里「入れたら出るものね。そこまでちゃんと面倒みてくれないと」

真姫「食べ物屋でそんな話しなくても」

穂乃果「でもこれ大事なとこなんだよ。トイレでお店の良し悪し決まるから」

絵里「汚いところは行っちゃだめよ真姫」

穂乃果「まあお医者さんはそんなところはいかないよね」

真姫「それはわかんないわよ」

穂乃果「そう?」

絵里「でね、あだ名で呼ぶのはどう?」

穂乃果「帰ってきて突然何? 誰を? 海未ちゃん?」

絵里「そうよ、海未よ」

真姫「のんちゃんみたいに?」

穂乃果「それだとうんちゃんになっちゃうんだけど」

絵里「のんちゃんスタイルにしろとは言ってないわ」

穂乃果「だいたいあだ名なんていつ呼ぶの」

真姫「耳元で呼ぶ時じゃない?」

穂乃果「耳から離れなよ」

絵里「うみみは? どう?」

穂乃果「だから耳から離れなよ」

真姫「これはきっと海未という漢字から着想を得てるのよ」

絵里「耳ともかけてるの」

穂乃果「何上手いこと言ったみたいな顔してんの」

真姫「会長かしこい」

穂乃果「かわいい」

絵里「エリーチカ、はいハラショー」

穂乃果「ハラショー入りましたー」

絵里「やっぱりうみみっていいと思わない?」

穂乃果「あれ読み方間違われんの海未ちゃんキライなんだよね。結構気にしてるよ?」

真姫「絵里、ハラショー」

絵里「え? ハラ……あ」

穂乃果「あ! そうだ絵里ちゃん今ハラショー言ったよね!!」

絵里「いえ、言ってないけど」

穂乃果「言った言った、ハラショー入ったもん。忘れてたよ10ハラショーチャレンジ」

絵里「言いかけただけ」

穂乃果「その前。私忘れてるこのタイミングで言ってくるとかほんとやり方が小賢しいね」

絵里「忘れてる方が悪いじゃない! 私も忘れてたのに」

穂乃果「でかしたね真姫ちゃん」

絵里「やってくれたわね真姫」

真姫「これで9回目ね」

穂乃果「ハラショーリーチじゃん、今日9割絵里ちゃん負担だね」

絵里「カウントがおかしいわよね」

真姫「あと一回言って気持ちよく10割負担しましょ」

絵里「私もう喋んないわ」

真姫「ずるいわよ、海未のあだ名考えるんだから」

穂乃果「言い出しっぺの法則だよ」

絵里「うみみ案でよくないかしら」

穂乃果「だからそれ嫌がるんだって」

真姫「Seaちゃんは?」

穂乃果「“海”のしー?」

真姫「そういうこと」

穂乃果「いつまでもちゃん付けで呼ぶのが良くないって話じゃなかった?」

絵里「だからうみみ」

真姫「Seaうみみ」

穂乃果「足せばいいってもんじゃないよね」

絵里「言い出しといてなんだけど海未のあだ名、難しいわね」

穂乃果「時々呼び捨てで、だいたい皆園田さんか海未ちゃん呼びだからね」

真姫「そのうみ」

穂乃果「ヤンクミ感出てきちゃったよ」

絵里「要件としては呼びやすくて、愛嬌がある。これね」

穂乃果「そういうあだ名って言ったら、うみりんとかうみたんとかうみぽんとかこういうのでしょ?」

真姫「何よ、たくさん出てくるわね」

絵里「既にそう呼んだことがあると」

穂乃果「ん、ん~? いや~?」

真姫「何そのごまかし方」

穂乃果「いやなんか私のほうがしっくりこなかったんだよ。海未ちゃんに慣れすぎて口が拒否するの」

絵里「あぁ、なんだかわかるわ。自分のことじゃないけれど、凛がいつか花陽のことかよちんって呼ばなくなったら私違和感で死ぬ気がする」

穂乃果「あー」

真姫「確かに将来どうなるか気になるけれど、あれは死ぬまでああな気がするわ」

穂乃果「あの2人は……そうだね、ずっとあの感じでいてほしい」

絵里「世間に擦れずに生きてほしいわ」

穂乃果「凛ちゃんも花陽ちゃんもちょっと可愛がられ方尋常じゃなくない?」

絵里「しょうがないわ、可愛いんだもの」

穂乃果「まあそうなんだよね。あれは才能だね」

絵里「いや、真姫も大丈夫よ、私可愛がってるわよ」

真姫「別に何も言ってないんだけど」

穂乃果「や、大丈夫、私も可愛がってるから。安心して」

真姫「だから別に何も思ってないわよ」

絵里「今度いいとこ連れてってあげるわ」

穂乃果「いいね、回らないお寿司屋さん行こうよ」

絵里「お寿司は……お医者さんの担当ってことで」

真姫「ちょっと、連れてってよ絵里」

絵里「それは私が偉くなるまで待って」

穂乃果「絵里ちゃんならもうスイスイスイ~ってすぐ出世するよ」

絵里「5年で社長になるから。それまで待ってて」

真姫「期待してる」

穂乃果「真姫ちゃんは最近どうなの? 凛ちゃんと花陽ちゃんとは」

真姫「凛と花陽? 初詣以来、直接あってないわね」

穂乃果「ダメだよそれ~」

真姫「なかなか予定合わないのよ。2人とも忙しそうだし」

絵里「一番忙しいの多分真姫でしょ?」

穂乃果「真姫ちゃんから誘わないとダメだよ」

真姫「そう……?」

穂乃果「あの2人だって真姫ちゃんが忙しそうだから、きっと遠慮してるんだよ。絵里ちゃん見習いなよ」

絵里「私穂乃果呼ぶために海未説得するからね」

真姫「んー……じゃあ私から誘ってみる」

穂乃果「なんかね、真姫ちゃんはほっといても1人で生きてきそうだから、私ちょっと心配なんだよ」

真姫「まあ1人のほうが楽な時も多いけど」

穂乃果「そういうのがダメ」

絵里「真姫もちょっと甘えてきなさいよ」

真姫「はぁ?」

穂乃果「一回さ、お姉ちゃんって呼んでみよ?」

絵里「お姉さまでもいいわよ?」

真姫「雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんが泣くわよ」

穂乃果「ユッキーは最近生意気だからさぁ、私のこと荷物持ちとしか思ってないの」

絵里「亜里沙も最近私のことあんまり頼らなくなってきたから、お姉ちゃん寂しいわよ真姫」

真姫「知らないわよ、絶対言わないから」

穂乃果「こういうとこがね」

絵里「素直じゃないのよ」

真姫「絵里も穂乃果も、恋人にかまけてて忙しいんでしょ。ちょっとは相手してあげたら?」

穂乃果「こっち側の問題になっちゃう?」

絵里「じゃあ私長女、穂乃果が次女。で、三女が真姫」

真姫「じゃあの意味がわかんないんだけど」

穂乃果「いいじゃん、長女は褒めて伸ばしてくるよ。絵里お姉ちゃんちょっと褒めてみて」

真姫「やめなさいよ」

絵里「いいじゃない褒めさせてよ、真姫は服のセンスが良いわよね」

真姫「内容が全然ないじゃない」

絵里「いやいやまだよ、これからだから。今日の服なんて凄く似合ってるわよ? でもね他の人が着てもこんなに似合わないの、やっぱり真姫が着るからなのよね」

真姫「黙りなさいって」

絵里「もう……口ではキツく言う時があっても誰よりもあなたが優しい娘なのは私知ってるんだから。じゃなきゃあんな風に聞いた人皆がハッピーになれる素敵な曲弾けないもの」

真姫「いい、もういい」

絵里「勉強だってお医者さんになるためにとっても頑張ってるわよね。けれど真姫は弱音も吐かずに隠れて努力するタイプだから、私もあなたのこと、ちょっと心配なの。辛い時は1人で抱え込まないでお姉ちゃんのこと、頼って欲しいな」

真姫「…………お姉ちゃん」

穂乃果「真姫ちゃんが落ちた!」

真姫「今のは口が滑った」

絵里「さあ真姫、お姉ちゃんの胸においで!」

真姫「絶対しないから」

穂乃果「照れてる照れてる~!」

真姫「もうやだ、ほんっとやだ」

真姫ちゃん誕生日おめでとうなのだ
続く

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