祈りと祈りと祈りの果てに (22)

始まりは為政者の力を示すためのものだった

「ここに大きな偶像を建てよう」

「協力したものには救いがあるだろう」


人々は協力し合い 大きな大きな偶像が建てられた

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人々は祈りを捧げた



「この子が健やかに育ちますように」



しかし 偶像には力がなかった



「どうかこの子をお救いください」



頬を超え 首まで濡らした母の祈りは届かない




時が過ぎーーー

人々の祈りは増え 偶像は力を得た



「とおちゃんがげんきになりますように」



しかし 偶像には知恵がなかった



「とおちゃんしなないでよぅ」



喉が裂けるまで叫んだ坊やの祈りは届かない




時が過ぎーーー

人々の祈りは増え続け 偶像は力と知恵を得た



「おなかいっぱいたべたいな」



しかし 偶像には魂がなかった



「・・・」



声すら出せない少女の祈りは届かない




時が過ぎーーー



「大きくなったわねぇ」

「父さん 元気なってくれてよかったよ」

「もうお腹いっぱーい あっ ケーキは入るよ!」



人々は祈りをやめた

人々は自らの力を使い 求めたものを手に入られるようになったのだ




しかし 偶像には魂が残った




時が過ぎーーー



「地震だ!」



北東の地で大地が唸りを上げた



人々は思い出した



自分達には決してかなわないものがあることを


そして 力も知恵もない偶像は何もできなかった




時が過ぎーーー

人々は再び祈りを捧げている

その日は年に一度 偶像を清める時だった

人々は祈りながらその身を清めている

そして 偶像には力も知恵も魂もあった




ーーーその時がやってきた



「地震だ!」



大地は再び唸りを上げた




ーーーしかし



人々は気がつく事はなかった




偶像には力があったーーー

 どのような脅威にも立ち向かえる巨大な力を




偶像には知恵があったーーー

 何に対してその力を向けるべきかを




偶像には魂があったーーー

 今度は必ず救って見せると


ーーーーーー

ーーー




ーーー2013年8月8日16時55分

偶像は大地震の脅威をも跳ね除けた


おしまい

なん…だと…?

誤報じゃなく
大仏さんががんばってくださったのかー


こういう時事ネタ好きだわ

その発想はなかった

民謡の歌で
八郎っての思いだしたよ


感動した

上手いな

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