【艦これ】暁が如く【極道】 (239)


時は2XXX年。

日本は極道の嵐に包まれた……――。



街は派手なスーツ姿のパンチパーマの男で溢れかえり、怒声が聞こえない日はない……。


大人の男たちは少しでもいい組に入るのがステータスとなり、妻がそれを自慢する。


子供たちは口をそろえて言う。「将来は、あの組に入るんだ」……と。





そんな中でも必死に商売をする者たちもいる。


しかし、彼らの多くはショバ代やみかじめ料の支払いに苦しめられていた……――。






―――とある商店街


ドンガラガッシャーン‼


団子屋の娘「――きゃあっ!!」ドサッ


団子屋の店主「お、おいっ、大丈夫かっ!」


モブ田組A「おうおうおうおう……。まーだこんな店やってるんか……」


店主「あ、あんたっ! 急に何してくれるんだ!」


モブ田B「あぁんっ!? おうおう、アニキにどんな口きいてやがるんだテメー」ガシッ


店主「ひ、ひぃっ!」


モブ田A「まぁまぁ。――俺たちはモブ田組のもんだ。おう、旦那さん。みかじめ料払ってくれや」


店主「ま、待ってくれっ! 私たちはモブ林組に払ってるんだ! 話ならそっちと付けてくれないか!」


モブ田A「あぁ? そんなの知らねぇわ、両方に払えばいいじゃねぇか。月五万でいいからよ……。なぁ、旦那さん」


店主「そんな……無茶苦茶だ!」


モブ田B「あぁんっ!? アニキっ! やっちまいますか」


モブ田A「まぁ落ち着けや。……娘さん、えらい美人さんだなぁ?」ジュルリ


娘「ひぃっ」


店主「――ッ! む、娘には手を出さないでください!」


モブ田A「じゃあ払えよ。そんぐらいあんだろ?」


店主「ちょ、ちょっと待ってください……」



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団子屋の妻「あ、あんた……!」


店主「しょうがないだろ……! 店を荒らされたら商売どころじゃない……。みかじめ料を払ってるモブ林組も役立たずだっ」


妻「うっ……!」ヨヨヨ…


店主「――これでいいんだろうっ!? お願いだから帰ってくれっ!」


モブ田A「……なんだ、やっぱりあるじゃねぇか。最初っから素直に払えばいいのによ」


モブ田B「さっすが兄貴ですぜっ!」


モブ田A「おう、旦那さん。また来月来るからよ、ちゃーんと用意しておけよ」


店主「くっ……!!」


娘「お父さんっ……」






もう、まともに商売なんてできないのかもしれない。


逃げようにも、どこで誰が見ているかわからない。


住民たちは、この終わりのない地獄を耐えるしかない。そう、思われていた……――。










――しかしっ!!



「………………ッ!」ブンッ‼


モブ田B「へっ? ――ごふぅっ!?」ドンガラガッシャーン‼


モブ田A「なっ……!! 誰だテメェはっ!?」





不知火「不知火です。……初めまして」





モブ田A「し、不知火……?」


「いいのよ、そんな馬鹿正直に名乗んなくたって」


不知火「そうでしたか……組長」


モブ田A「く、組長……だと?」




陽炎「まぁでも、あんた達には名乗っておいた方が良いのかもしれないわね。……私は陽炎よ。覚えなくていいけど」


モブ田A「ど、どういうことだっ!」




陽炎「だってこのシマ……。今日から私たち陽炎組のシマにするから」シレッ




モブ田A「なっ……! く、クソガキが調子乗ってんじゃ――」


不知火「…………」ブンッ

ゴッ‼

モブ田A「ぐふっ……」ガクッ


モブ田A(な、なんだこの力……。こいつらはいったい……)


不知火「………………」ガシッ


モブ田A「お……おい、どっから来たのか知らねぇが……。お、俺たちを……甘く見るんじゃねぇぞ……」


陽炎「……続けなさい」


モブ田A「す、すぐに本部から援軍が来る……! お、お前たちなんて……――」


陽炎「たぶん来ないと思うわよ」


モブ田A「あぁ? 何を言ってやがる……」


陽炎「あんた達の本部とやらには、もう別の組員が行ってるわ。――あぁそうそう、あんた達の本部をそのまま使わせてもらおうと思ってたから、よろしくね」


モブ田A「な、なん……だと?」






―――モブ田組・本部


谷風「――かぁーっ。もう終わりかいっ? 骨がないねぇ」


モブ田C「ひ、ひぃっ! な、なんなんだこいつ等……!」


萩風「あと残ってるのは数人でしょうか……。おとなしく出て行ってくれるとうれしいんですけど」チラッ


モブ田D「わ、わかりましたっ! 出ていきますぅっ!!」ダッシュ‼

ワーワーギャーギャー‼

ニゲロー‼

嵐「――なーんだ、磯風の姉貴を呼ぶまでもなかったなぁ」


舞風「とりあえず踊る?」


野分「馬鹿言ってないで、組長たちがここに来るまでに掃除を済ませないと……――」


―――商店街・団子屋


モブ田A「う、嘘だろ……。俺たちがこんなガキに……!」


陽炎「信じる信じないは勝手にすればいいわ」


不知火「組長……。こいつはどうしますか?」グッ


モブ田A「ひぃっ!」


陽炎「この店から盗ったもの取ったら、放っときなさい」


不知火「……組長が言うなら」パッ


モブ田A「ひ、ひぃぃいい!!」ダッシュ


不知火「………………」


陽炎「不満そうね」


不知火「いえ、そういうわけでは」


陽炎「あれでいいのよ。あいつにはスピーカーの役割をやってもらわないと。ここのシマは陽炎組のものになったぞー……ってね」


不知火「……なるほど」


陽炎「――さて。ねぇ、この店の娘よね?」


娘「は、はいっ!」ビクッ


陽炎「コレ、あいつが盗ったやつ。返しとくわ」スッ


娘「えっ……。で、でも……」


陽炎「次から何かあったら、私たち陽炎組に連絡しなさい。すぐに何とかしてあげるから」


娘「は、はい……」


陽炎「……それじゃ。不知火、もう少し掃除して帰るわよ」クルッ


店主「――ま、待ってくださいっ! な、何かお礼を……」


陽炎「お礼? いいわよ、そんなの」


店主「し、しかし、それでは私たちの気が収まりませんっ」


陽炎「そう言われても……。……あ、それじゃ――」


陽炎「この団子、二本貰っていくわね。……ほら、不知火」スッ


不知火「いただきます」


陽炎「これでチャラでいいわ。……それじゃ」パクッ

アラ、オイシイワネ
ソウデスネ

店主「す、救いの神が現れたのか……――」




それは突如として、各地でほぼ同時に現れた。





―――モブ間組・本部

ワーワーギャーギャー‼

ドォン‼

モブ間A「――く、組長っ! 大変ですっ!!」


モブ間組長「あぁん? なんの騒ぎだぁッ!」


モブ間A「か、カチコミです……!」


モブ間組長「カチコミだとォ? どこの組の、何人だ」


モブ間A「そ、それが――」


ドカァァン‼


モブ間A「ひっ!」


モブ間組長「……ガキが、一人だと……?」


「………………」ツカツカ


モブ間組長「――おいっ! でてこい!」

ワーワー‼
イキテカエスナッ‼

「………………」


モブ間組長「へっ、俺らの兵力があんなもんだと思ってたのか? 待ち伏せてるとも知らねぇでよ」


「………………」


モブ間組長「なんだぁ? ビビっちまったのか? 今さら後悔しても――!」


「………………」ニヤッ


モブ間組長(こ、こいつ笑っ――)




「…………さぁ――」




「……ステキなパーティしましょ」




――――――

――――

――


―――モブ木組・事務所


カツーン…
カツーン…


モブ木A「――あ、あいつが来るっ……。なんなんだよ……! なんなんだよォ、あのガキ共はァ!!」


カチャリ…


モブ木A「――っ!!」



「……今日は何の日?」



モブ木A「た、助け――」


バァンッ…‼





彗星のごとく現れた『艦娘』と呼ばれる極道たちは、元々シマを持っていた極道の組を潰して回り、徐々に……しかし確実に勢力を伸ばしていくのだった。



そして――。



―――モブ山組・事務所


モブ山B「――そうだ、兄貴。聞きました?」

モブ山A「あぁ? なんの話だ」

モブ山B「なんか最近、組が襲われてるらしいんですよ」

モブ山A「はっ、ガキにボコボコにされてるってやつか? おいおい、お前そんなの信じて――」



バァンッ‼



モブ山A「誰だァ? ……って、ガキ?」


暁「が、ガキって失礼ねっ! 暁よっ!」


モブ山B「こ、こいつら、もしかして……っ!」


「突然だけど、この事務所いただくわっ」

「はわわっ! 追い出しちゃうのですー!」


モブ山A「こいつ等なに言って――」


カチャリ…


モブ山A「……えっ?」



「ハラショー」


パァン…――




――そしてこれは、構成員たった四人の艦娘という組がのし上がっていく、そんな物語である。








『 暁が如く 』


 第一話
 「いいことっ? 私たち、暁組!」














※注意書き
・著しいキャラ崩壊や、暴力的表現があるかもしれません。
・基本的には駆逐艦以外は出ません。
・アニメのような形式で、12話(最終話1時間SP)でやろうと思います。
・キャラごとの上下関係は、進水日の事は考えず何番艦かで。ですが、基本的には書きやすいようにやります。
・書き溜めなんかありません。


それでは、よろしくお願いします。



『艦娘』たちが現れてから数カ月がたったある日の朝。

各地で『艦娘』たちの襲撃があった事件は、あまりにも突然で、しかしわずか数日にして大人しくなったことから、噂程度でしか知らない者たちも居た――。


―――暁組・事務所


チュンチュン…

モブ川A「――あぁんっ!? おいおい、ナメてんじゃねぇぞコラァ!」ガッシャーン


電「はわわっ。い、今すぐお茶淹れてくるのですっ」


雷「ちょっと、静かにしなさいよっ! 組長が起きちゃうじゃない」


モブ川B「はっ、まったく良いご身分だぜぇ。こんな時まで寝てるとはよぉ」


響「雷、私はちょっと出かけてくるよ……」ツカツカ…


雷「はーい、行ってらっしゃい」


雷「――それで、なんで私たちがあんた達の要求を飲まないといけないのかしら?」


モブ川A「ふざけてんじゃあねぇぞ。ここのシマはもともと俺たちとモブ山組が仕切ってたんだ」


雷「ふーん……」


モブ川A「そのモブ山組がどこに消えたのかは知らねぇが、ぽっと出のお前らが突然仕切るだと? 寝言は寝て言うもんだぜお嬢ちゃん」


雷「そう言われてもねぇ……」ウーン…


コソコソ…


モブ川B「……アニキ、なんか噂に聞いてたのとは全然違いますね……」ボソッ


モブ川A「あぁだから言ったろ、大したことないってよ。ただのガキってわけでもないみたいだが、それでも所詮はガキさ」


モブ川B「えぇ、うまい事扱えれば……」


雷「――何をボソボソ話してるのよ?」


モブ川A「あ、あぁなんでもねぇよ。……それで、話の方は理解できたか?」


雷「まぁね。……一つ確認なんだけど、元々この辺りのシマは二つの組で仕切ってたのよね?」


モブ川A「おうよ、そう言ったろ」


雷「そして、あなた達は私たち暁組を見逃す代わりに上納金を払え……ってことよね?」


モブ川A「あぁ」


雷「これがどうにも納得できないのよねぇ……」


モブ川B「あぁん? どういうことだっ」



雷「――だってコレじゃ、暁組があんた達モブ川組より下ってことになるじゃない」


モブ川B「おいおい、何も間違ってねぇじゃねぇか。なんだったら組員連れて潰してやってもいいんだぜぇ!」


モブ川A「おい、少し黙ってろ」


モブ川B「へ、へい。すいませんアニキ……」


モブ川A「――なぁ、雷とかいったかお嬢ちゃん」


雷「何かしら?」


モブ川A「身の程はわきまえなくちゃいけねぇよ……。これでも譲歩している方なんだぜ?」


雷「身の程? ――……ごめんなさい、もしかしたら私が意味を間違えてるのかもしれないわ。どういう意味だったかしら」


モブ川A「やっぱりガキだなぁ、お嬢ちゃんよぉ」


モブ川A「新顔は新顔らしく、黙って俺たちに媚びへつらってりゃいいんだよ。……これで理解できたか?」


雷「…………なるほど。理解できたわ」


モブ川A「はっ、そうかそうか。そりゃ――」




雷「――あんた達が、どうしようもない馬鹿ってことがね」




モブ川A「……あぁ?」


モブ川B「――ッ! アニキ、もうやっちまいましょ――!」



ガッシャーン‼



モブ川B「――ぅがっ……!?」


電「はわわっ! つ、つい勢い余って……」


電「急須で頭カチ割っちゃったのですっ」ハワワッ


モブ川A「お、おいっ! ――て、テメェら!!」


雷「あら、動いちゃダメよ」スッ


モブ川A「うっ……」

モブ川A(な、なんだこの鉄の塊は……。イカリ……?)


雷「もう、電ったら。どうせやるなら急須じゃなくて灰皿にしなさいって言ったじゃない」


電「い、電もなるべくならカチ割りたくなかったのです……」


雷「――まぁ、しょうがないわ。……さて、今更だけどようこそ暁組へ。たっぷり可愛がってあげるわね」ニコッ


モブ川A「あ……いや……――」



暁組の出来事とほぼ同時刻、また別の場所――。


―――陽炎組・本部

スッ…

野分「――失礼します」


浦風「ん、野分か……。急にどうしたんじゃ?」


野分「浦風の姉御にお伝えするべきが悩んだのですが、すこし表で騒いでる連中が居まして……」


浦風「騒いでる……ねぇ」


野分「はい。いまいち意思の疎通ができないのですが、若頭の名前を出していたもので……」


浦風「不知火姉さんの名前を?」


野分「追い返しますか?」


浦風「うーん……。――いや、通してええよ。ウチが対応するけん」


野分「……わかりました」





モブ藤A「――どーもどーも、アンタが陽炎とかっちゅう組長ですかぁ?」


浦風「……いえ、申し訳ないんやけど組長はいま不在ですけえ、ウチ……浦風が対応させていただきます」


モブ藤A「ほーん……。まぁ、なんでもええんやけど」


浦風「それで、今日はどのような用件でしょう?」


モブ藤A「……おい」


モブ藤B「へい。――それがなぁ浦風さん。あんたんとこの不知火ってやつが、うちの若いもんをボコボコにしてくれたんですわぁ」


浦風「不知火姉さんが……」


モブ藤B「それも無抵抗の若いもんを……。あぁーあ、若いもんの事を思うと涙がでてきますなぁ!」


浦風「それは……大変ご迷惑をおかけしました。今日はウチが頭下げるけん、どうかそれで手打ちにしてくれへんやろか」


モブ藤B「…………」ニヤッ


モブ藤B(アニキ……、やっぱり噂は噂だったみたいですなぁ)


モブ藤A(ああ……。おい、このまま畳みかけちまえ)


モブ藤B(へい)


モブ藤B「いやーいけませんなぁ浦風さん。仮にもこの世界、それだけで済んじゃ警察いらんでしょう……」


浦風「探り合いは結構ですけえ、単刀直入に言っていただけるとありがたいんやけど」


モブ藤B「じゃあ言わせてもらうわ。お宅の不知火、うちらモブ藤組に差し出してもらいましょか」


浦風「……不知火姉さんを?」


モブ藤B「おうよ。若いもんが随分痛い目に遭わされたんや。それぐらいしてもらわんとなぁ」


浦風「………………」


モブ藤A「悩んでおりますなぁ。――まぁ、なんでしたら浦風さん。あんたでも別に構いませんよ」


モブ藤B「あっはっはっは。それはいいですねアニキっ!」


野分「…………姉御」


浦風「何もせんでえぇ。……不知火姉さんが起こした火種なら、不知火姉さんが始末付けるのも一つの筋ってもんじゃろなぁ……」


野分「………………」


浦風「――わかりました。後日、不知火の方をそちらに向かわせます。この度は本当に、ご迷惑をおかけしました……」


モブ藤A「はっはっは、物わかりの良い方で助かりますよ」


モブ藤A「……しかし、陽炎組がどんなものかと来てみれば、こんな簡単に仲間を売る組だったとは……。拍子抜けですわ」


モブ藤B「まったくですなぁ、アニキ。これじゃ――」



モブ藤B「――組長の陽炎とかいう奴の度量もその程度なんでしょ」



浦風「――――ッ」ピキッ



浦風「おどりゃあ……。……こっちが下手に出とったら調子に乗りおって……」ゴゴゴゴ…


モブ藤B「……へっ?」ビクッ


浦風「――もうええわ。不知火の姉貴に任せよう思うてたけど、気が変わった。ウチがやったる」ゴゴゴゴ…


モブ藤A「え……あ、あの……」


浦風「流石のウチも、組長を貶されて黙ってるほどお人よしじゃあないんじゃ!」


浦風「――谷風ッ!!」

ササッ

谷風「へいっ!」


浦風「砲持ってこんかい……。こいつらのどてっぱらに穴開けて、〇〇〇〇(ピー)して〇〇〇(ピー)詰めたる!」


谷風「かぁーっ! お任せをっ!」


モブ藤A・B「あ、あぁあああぁ……」ガタガタ…


「……谷風、少し待て」ガシッ


谷風「おぉっ?」


――――CMへ


――――CM ①

『スクモ戦士・ナガモン』


デレッデレーデレッデレーデレッデレー♪




「きゃああぁーー!」

「わー、逃げろー!」

「う、海から悪の手先、タキュウダーがやってきたぞー!」


タキュウダー「………………」ドゥンッ‼


ドカーン‼
ワーワーギャーギャー‼

ドゴーン‼
ニゲロー‼


タキュウダー「………………」ドゥンッ‼


バゴーン‼
キャーーー‼



「く、くそ……。俺たちの街がタキュウダーなんかにやられてしまうなんて……!」

「そんな……あんまりだわ」

「――ま、待て! みんなアレを見るんだッ!」



デレッデレーデレッデレー♪

「ふははははっ! 待たせたなっ!」デデーン‼




「「「ナ、ナガモンだー!!」」」



ナガモン「私を求める声がする……。私の名を呼ぶ、駆逐艦の声がするッ!!」



駆逐艦「「「ナガモンがんばれー!」」」



ナガモン「――うぉおおおお!!」


ナガモン「ナガモン……パーンチッ!!」


タキュウダー「………………っ」ドォン‼


ザッパァン…‼


駆逐艦「「「ナガモーンっ!!」」」


ナガモン「みんなの声援のお陰で、私は強くなれたっ! これからも応援、よろしく頼むぞっ!」



『スクモ戦士・ナガモン』来シーズン放送予定! みんな、絶対見てくれよな!


※『スクモ戦士』となっていますが、これはただ私が宿毛湾泊地の提督だからであって、特に深い意味はありません。

 あと、方言も頑張って調べているつもりですが間違ってたらごめんなさい。もしよかったら教えてくれるとうれしいです。

次は何年かけて完結させるの?


――――CM明け


谷風「おぉっ?」


浦風「なんじゃ、邪魔するんか? ……磯風よ」


磯風「いいや、浦風の姉御の邪魔なんかしませんよ」


浦風「ほう……。それじゃ、ウチの納得できる理由があるんじゃろうなぁ?」


モブ藤A・B(た、助けてくれたのか……!? い、今のうちに……)


磯風「姉御。こんなところで撃ったら、せっかくの畳が汚れてしまいます。しかし、姉御の怒りもわかります。ここは、この磯風に任せてくれませんか?」


浦風「………………」ゴゴゴゴ…


磯風「………………」


浦風「――……わかった。磯風に任せる」ハァ…


磯風「ありがとうございます。――浜風」


浜風「ここに」スッ


磯風「あの逃げようとしてる二人を捕まえて縛っておけ」


浜風「もう縛ってあります」


モブ藤A・B「んーー! んーー!!!」


浜風「――どうしましょうか?」


磯風「流石だな。……ちょうど、時津風姉さんの遊び相手が居なかっただろう。部屋に放り込んでおけ」


浜風「はい」

ンーー‼ ンーー‼

ズリズリ…


磯風「谷風」


谷風「へいっ!」


磯風「近隣の堅気の方々に迷惑を掛けなければ、手段は問わない。……モブ藤組を潰して来い」


谷風「かぁーっ! そっちの方が楽しそうだねぇっ! お任せをっ、行ってきます!」


磯風「……野分。後始末もあるだろうから、付いてってやれ。誰か連れていってもかまわん」


野分「はいっ」


磯風「……これでどうでしょうか、姉御」


浦風「ん、ええよ。……ウチもちょっと、不知火姉さんを探しに出かけてくるけえ。まったく、どこで何をやってるんじゃ……」


磯風「ははは……――」



―――場面は戻り、暁組事務所


ガッシャーン‼

ハワワッ‼


暁「ん……んぅ……」ガバッ


オ、オイナニシヤガル‼

ワーワー


暁「もう……なにかしら……? 騒がしいわね……」フワァ…


ガチャ


雷「――あら、組長。ほらー、騒がしくするから組長起きちゃったじゃないっ!」


電「雷ちゃんもドタバタしてたのです……」


雷「わ、私はしょうがなくよ。しょうがなくっ!」


モブ川A「た、助け……て……」ボロッ



暁「」



暁「ちょ、ちょっとっ! ダメじゃないこんなことしちゃ!」アタフタ


雷「く、組長……」


電「ご、ごめんなさいなのです……」


モブ川A(よ、よかった……! こいつはまとも――)




暁「――レディは、相手を不必要に痛めつけないものよ。……だから、ね」ニコッ




モブ川A「えっ」



雷「……わかったわ、組長」キュッ


電「なのです」ポキポキ



モブ川A「えっ――」






イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……――






暁「――あれ? そういえば響は?」


雷「あぁ、響なら早々にモブ川組を潰しに行ってたわ」


電「さすが、響ちゃんは行動が早いのです」


暁「……響だけで大丈夫かしら?」


雷「大丈夫よ。響の事だもの、きっとスマートにしてるに違いないわ――」






――モブ川組・事務所



響「Ураааааааааааааааа!!!!」ドンガラガッシャーン‼



モブ川C「うわぁーっ! な、なんだこいつはっ!」


モブ川D「か、敵わねぇ! 逃げろぉーッ!!」


ワーワーギャーギャー‼

ニゲロー‼



――――――

――――

――





グゥー…


暁「――……お腹すいたわね……」


電「なのです……」グゥー


雷「……それにしても、よかったの? 組長」


暁「えっ? なにがよ」


雷「さっきのやつ、逃がしちゃって」


暁「あぁ、いいのよ。もうこの事務所に来ることもないでしょうし、レディは無駄な労力は使わないものよ」


雷「ふーん、ならいいんだけど」


グゥー…


電「……響ちゃん、遅いのです」


暁「本当ね……。なにかあったのかしら……」




ガチャ‼


響「――遅くなってすまない。いま帰ったよ」


暁「響っ! 遅かったじゃない、どこで何を……――」ハッ‼


ドササッ‼


雷「こ、これは……!」


電「お、おいしそうなのです……!」


響「帰ってくる途中で、商店街の人たちからみかじめ料をもらってきてたんだ――」




――――――


「――あっ、響ちゃんじゃないかい? ほら、これみかじめ料だよ。持ってきな」オニギリ


響「ハラショー」


「おぉ、響ちゃんじゃねぇか。ほら、みかじめ料のコロッケ、持っていきな」コロッケ


響「ハラショー」


「響ちゃーん。これ、リンゴでよかったら持ってって」リンゴ


響「ハラショー」


「おーい、響ちゃん。これ――」


――――――



グゥー…


電「――わーっ。みかじめ料なのですー!」


暁「もうお腹ペコペコよ。ま、まあ、まだ我慢できたけどっ」


雷「それじゃあ私は食器を用意するわね」


響「ふふっ。さぁ、ありがたくいただこうか――」



アハハハ…‼
ワーイワーイ…



たった四人の弱小事務所・暁組。

しかし、そんな彼女たちがいずれ極道の頂点に立つということは、まだ誰も知らない……――。



 第一話
 「いいことっ? 私たち、暁組!」

お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


初風「――陽炎組、若頭補佐……初風よ」


初風「はぁ……、どうして私たちの組ってこう血の気の多いやつばっかりなのかしらね」


初風「まったく、少しは陽炎の組長や私を見習ってほしいものだわ」


初風「みんなもそう思うでしょ?」


初風「――さて、次回『暁が如く』」


初風「『いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組!』」


初風「……任侠桜に仁義の嵐!」


初風「――えっ、ツチノコ? ……さぁ、なんのことかしら」



デデデンッ♪


ちくしょう面白ぇじゃねぇか……乙

>電「い、電もなるべくならカチ割りたくなかったのです……」
お茶フイタwwwwww

舞ってる

>>22
舞風乙



 第二話
 「いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組」



―――暁組・事務所


ニュースヲオツタエシマス…

暁「――へー、この近くでなにかあったみたいね。ニュースになってるわ」


電「あっ、電も知ってるのです。モブ藤組が襲撃されたとか……。なんでも屋敷ごと潰されたみたいなのです」


暁「ふーん、大変ねぇ……」


雷「って、そんな人事じゃダメよ組長っ」


暁「えっ、どうしてよ?」


響「――この件には陽炎組が関わっているから……。だろう、雷」


雷「えぇ、流石ね響」


暁「むっ……。あ、暁だってわかってたし……」


雷「とにかく、何があったのか知らないけど、陽炎組が動いたんだったら気をつけないといけないわ」


電「い、電も聞いたことあるのです……。艦娘の極道で最大勢力を誇る陽炎組……」


雷「今はまだ大丈夫そうだけど、いずれお互い無視できなくなってくるわ」


暁「……艦娘同士なんだから、仲良くできないかしら」


雷「それは難しいわね、組長。……とりあえず、まず私たちはこの辺りのことをどうにかしないとね」


暁「この辺り? ――あっ、そういえば遊園地が近くにあるって聞いたわっ」


電「わーっ、遊園地行ったことないのですっ」キラキラ


雷「……でも、その遊園地は睦月組のシマだわ」


暁「えっ」


雷「睦月組は、陽炎組に次ぐ勢力を持っている組よ。……まぁ、比較的おとなしいらしいけど」


響「でも、私たちのシマの隣に位置してるから、気をつけなければいけないね」


暁「ま、まぁ、別に遊園地なんていいけど……。子供じゃないし……」


電「えぇー……。残念なのです……」


雷「ほかにも、私たちとシマが近いのは夕雲組。夕雲組も陽炎組や睦月組に肩を並べる勢力よ。ただ、おとなしい睦月組と比べると活発に動いているみたいね」


響「あとは綾波組かな。組長の綾波を一回だけ見たことがあるけど、とてもすごいオーラを放っていたよ」


暁「へぇー、おーら……」ボー…




暁「わ、私はっ? 私のおーらはどうなのよ」


響「………………」


響「――組長も負けず劣らずのオーラさ」フッ


暁「や、やっぱり? ふふん、一人前のレディなら当然よね」


電「組長すごいのですー」


響「……ほかにも、綾波組には『血霧姉妹』と呼ばれる二人の若頭補佐がいると聞くよ」


雷「あとはまぁ、吹雪組かしら。……でも、あまりパッとした話を聞いたこと無いのよね」


雷「――それで、わかったかしら組長? ひとまず、私たちの近くにシマを持ってる組はこれだけあるって事」


暁「わ、わかってるわよ。もう……」


雷「本当はまだまだ居るのよっ。ほかは私たちのシマとは離れるけど、戦闘力は一番と噂もある白露組とか、まるで軍隊とも謳われる朝潮組とか――っ」


暁「わかったって言ってるでしょっ! もう、雷はおせっかいがすぎるのよ」プンプン


雷「はぁ……、大丈夫かしら」


響「――組長」


暁「なによ、響もまだあるのっ?」プンプンッ


響「いや、組長なら当たり前のようにわかってるとは思うけど……。もし私たちのシマを取られたら――」



響「もう、商店街の人からみかじめ料をもらえなくなってしまうな。と思ってね」


暁「」



暁「――それだけは避けなければならないわ……っ!!」ゴゴゴゴ…


響「同感だ」


暁「みんなっ! みかじめ料を渡すわけにはいかないわっ。このシマだけは何があっても絶対に守り抜くわよっ!」


電「おーっ! なのです!」


雷「ふふっ、さすが響ね。私もがんばるわ、おーっ!」








「――ハァ……ハァ……」


「ハァ……こ、ここが暁組か……ッ!」


「恨みはねぇが……。俺はやらなきゃならねぇんだ……ッ!」グッ



暁「……でも、シマを守るって具体的に何すればいいのかしら」


電「パトロールとかです?」


暁「うーん、そんなに何かあるかしら……」


響「………………っ」ピクッ


響「――組長」


暁「なぁに、いい案があるの?」


響「来客みたいだ」


暁「えっ?」


響「それも、望まないほうの――」



バァンッ!!



暁「だ、誰っ?」ビクッ


「暁組組長、暁ッ! その首もらっ――」


響「…………」スッ


「――ったァ!??」クルンッ


ドザァァ!!


「……ッ!? い、いま何が……」


響「どこの誰だか知らないけど、狙う相手を間違えたね。……とりあえず、腕一本もらうよ」ググッ


「ぐっ……!? がぁあああ――ッ!」ミシミシ…


暁「ちょ、ちょっと待ちなさい響っ! ストップよ!」


響「………………」スッ


「クソッ……! クソォ……!!」ボロボロ


暁「え、な、なんで泣いてるのよっ!? 響、痛いようにしてないっ?」


響「いや、もう押さえつけてるだけだよ」


雷「――ちょっとっ? ……って、私がお風呂入ってるときに何があったの?」


電「何がというか、急にこの人が入ってきたのです」


暁「もう……、なんなのよ……」



――――CMへ

駆逐艦最大派閥の1つがいない……これは……


――――CM②

『MyOUKO-TANMEN・アシガラ 激辛ラーメンリポート編』



羽黒「……ふぅ……。な、なんだか緊張しますね」エヘヘ


羽黒「――へっ? も、もうカメラ回ってるんですかっ!?」


羽黒「あ、あの、えっと! り、リポーターの羽黒ですっ!!」


羽黒「き、今日は、鎮守府内に昨日オープンしました『MyOUKO-TANMEN・アシガラ』に行ってみたいと思いますっ!」


羽黒「――お邪魔しまーす。……わぁ、とても良いにおいがしますねっ」


羽黒「ちょっと、お客さんに話を聞いてみましょう!」


羽黒「お、お食事中すいません。お味のほうはどうですか?」


M高「す、すこし辛い……。いや、すごい辛いですけど……、と、とても――ゴホッゴホッ!」


羽黒「…………べ、別の方にも聞いてみましょう!」


羽黒「すいません、お味はどうですか?」


N智「あ、あぁ! 辛さの中にも美味しさがあって、と、とてもクセになる味だなっ!」ダラダラ…


羽黒「わ、わぁー、そうなんですかー」


羽黒「――そ、それでは、リポーターの私も一口いただきたいと思いますっ」


羽黒「……すー……はー……」


羽黒「い、いただきますっ!」


ズルルッ


羽黒「……あっ、おいし――」


羽黒「――――――――!!!???」



~~ただいま、映像をお見せできません~~




羽黒「――……ゴホッゴホッ。い、いやー、とても美味しかったですね…………」


羽黒「そ、それでは皆さんも、一度行ってみてくだひゃい……。リポーターの羽黒でした…………」ズーン…




辛さの中に辛さをっ!
  しかし、それがクセになるとの声が殺到っ!
   辛党の方は是非『MyOUKO-TANMEN・アシガラ』へっ!!




足柄「みんなっ! 待ってるわよっ!」


――――CM明け


暁「――で、説明してもらおうかしら?」


モブ橋組長「今回はウチの若いもんが、本当に申し訳ありませんでしたっ」ドゲザッ


モブ橋A「す、すまねぇ。すまねぇ……オヤジっ!」


暁「べ、別に謝らなくてもいいわよっ! どうしてその若いもんがこんなところに来たのかを、私は聞きたいのよ」


モブ橋組長「……いや、非礼に非礼を重ねる気はねぇんですけど、こればかりは身内の話ですんでどうか……」


電「人の事務所襲撃しといて、それはないのですっ!」


雷「そうよっ! どうでもいいけど、扉直してってよねっ!」


モブ橋組長「そ、それはわかってはいるんですけど……」


響「……言わないというのなら、それでもいいさ。でも、その若いもんはウチの組長の命を狙ったんだ。ただで返すわけにはいかない」


モブ橋A「…………お、オヤジ。俺……――」


モブ橋組長「……わかりました、お話ししましょう」


モブ橋A「オヤジ……!!」


モブ橋組長「実は、情けねぇ話……ウチらは命令されてるんです。暁組を潰して来いって」


雷「なんだ、もともとその気はあったってことね」


モブ橋組長「ち、違うんだっ! 俺たちは、暁組に手を出す気はなかったんだ……」


電「どういうことなのです?」


モブ橋組長「俺だってバカじゃねぇ。このあたりのシマを少し歩けばわかる。このシマの人は幸せそうだ……。それを壊すなんて、俺にはできねぇ」


モブ橋組長「ですが、俺たちモブ橋組は小さい組です。どっか、でかい組にくっついてないとすぐに潰されちまう」


暁「その組って?」


モブ橋組長「モブ中組です……。モブ中組に命令されたんじゃ、俺たちは逆らうことができません……」


雷「……でも、手を出す気はないって」


モブ橋組長「あぁ、それでも今回ばかりは従うつもりはなかったッ! しかし……しかし……ッ!」ウゥ…


電「はわわっ。な、泣かないでほしいのです」


モブ橋A「モブ中組のやつらがッ! あいつらがオヤジの息子さんを人質に取ったんだッ! だから……、だから俺は……ッ!!」


モブ橋組長「馬鹿野郎ッ!! そんなみっともねぇ言い訳をするんじゃねぇよッ!」


暁「そんな奴らが……」


雷「これは酷いわ……」



モブ橋組長「すいやせん、恥ずかしい所をお見せしました……。――ですが、コイツがやったことは俺を思っての事だったんです」


モブ橋組長「どうか……! どうか、見逃してくれませんでしょうかっ! もちろん今後一切、暁組に近付かないことを誓いますッ!」


電「で、でもそれじゃ、息子さんはどうするのです……?」


モブ橋組長「俺だって極道の端くれ……。この世界に入ってから、覚悟はできていやす」


モブ橋A「オヤジィ……」ウゥ…


モブ橋組長「言い訳のように聞こえるかもしれませんが、俺はもともとそんな器のある人間じゃございやせん」

モブ橋組長「俺、学がないもんで。この時代、極道に入らなければ妻や息子を食べさせてやることができなかったんです……」

モブ橋組長「それでも目指してたのは、あんた達みたいな極道だ。身内だけでも、笑顔にできるような……そんな……」

モブ橋組長「だけど、そんな都合のいい事なんてあるわけないんだ。力のない俺たちみたいな組は……」

モブ橋組長「――もし、事が終わってまだ命があったら、きっちり足を洗おうと思いやす」


モブ橋組長「だから、だからどうか……!」


モブ橋A「お願いします……っ!」


暁「………………」


雷「………………」


電「………………」



暁「――ねぇ、みんな」


雷「わかったわ」


暁「えっ。ま、まだ何も……」


雷「言わなくたってわかるわよっ。息子さんを取り返しに行こうっていうんでしょ?」グスッ…


モブ橋組長「えっ……?」


電「組長はわかりやすいのですっ」


モブ橋組長「だ、ダメだっ! これは、これは俺たちの問題で……!」


暁「もう私たちも無関係じゃないわっ。息子さんを、一緒に取り返しに行きましょう……!」


モブ橋組長「ほ、本当ですかい……! お、俺は、なんてお礼を言ったら……!!」


暁「そうと決まったら、準備を……。――ってあれ、響は??」キョロキョロ



ガチャ…



響「――ただいま」


暁「ちょ、ちょっと響っ! いったいどこに――」ハッ‼











響「息子さんを取り戻して、ついでにモブ中組を潰してきたよ」



暁「でかしたわ響ッ」グッ‼



モブ橋息子「父ちゃぁーんっ!!」ダッ


モブ橋組長「うぉおお、息子よぉおおっ!!」ガバッ












――

――――

――――――


モブ橋組長「本当に、本当になんてお礼を言っていいか……!」


暁「気にしなくていいのよ。……もし、また何かあったら遠慮なく暁組に来なさい」


モブ橋A「俺はこんな人たちを……! 息子さんをありがとうございましたっ!」ウゥ…


暁「ほら、もう行きなさい。まっとうに生きるのよ」


モブ橋息子「バイバイ! ありがとう、お姉ちゃんたちっ!」








暁「――極道って、いいことばかりじゃないのね。私、みかじめ料の事しか考えてなかったわ」


電「そ、それはそれでどうかと思うのです……」


雷「……って、結局扉壊れたままじゃないっ! あーもうっ!」


響「私が直しておくよ」ハラショー


暁「あの人たちみたいに、私たちにもこれから辛いことがあるのかな……」


電「うーん……、あんまり想像したくないのです」


雷「難しいわね……」


響「………………」トンカントンカン…




暁「――でも、私たち四人で居れば、きっとどんな困難も乗り越えられるに違いないわっ!」ググッ‼


電「はわわっ! そうに違いないのですーっ!」


雷「そうよ、私がいるじゃないっ!」


響「ふふっ、ハラショー」



ワーイワーイ…
トンカントンカン…
アハハハハ‼






 第二話
 「いいことばかりじゃない? 助け出せ、暁組!」


お わ り



【次回予告】

デデンデデン♪


皐月「――睦月組、本部長。皐月だよっ」


皐月「ボク達のシマにはね、でっかい遊園地があるんだー!」


皐月「遊びに来る子供たちの笑顔……。やっぱりかわいいよねっ!」


皐月「でもね、そんな笑顔を台無しにするような事件が起こってしまったんだ……」


皐月「――次回『暁が如く』」


皐月「『かん違いの遊園地! 暁組を追い詰めろ!』」


皐月「任侠桜に仁義の嵐っ!」


皐月「……ボクは、みんなを守って見せるよ」



デデデン♪


馬鹿馬鹿しさと勧善懲悪のバランスがとれてて面白いわ
これからどうなるか期待しときます

どんな世界でも六駆は天使だな

>>6
モブ…キ…

よーし俺はこの艦娘たちの用務員さんとして働こう



 第三話
 「かん違いの遊園地! 暁組を追い詰めろ!」



―――暁組・事務所……ではないある場所


コソコソ…

暁「――……いい、みんな。わかってるわね?」


電「な、なのです……」


雷「えぇ……」


響「ハラショー」


暁「これは遊びじゃあないの。……一瞬たりとも気を抜いちゃダメよ」


電「ぜ、絶対に気は抜かないのです……!」


雷「も、もちろん、私だって!」


響「………………」


暁「――さぁ、行きましょうか……! 遊園地へっ!!」






―――数刻前・暁組・事務所


暁「こ、これは……」


電「チケット……? いったい何のチケットなのです?」


雷「えぇっと、これは……」


響「遊園地のチケットだね」


暁「ゆ、遊園地……っ!」


電「遊園地……なのですっ!?」


響「あぁ、商店街の人がくれたんだ」


暁「……こ、これが…………」キラキラ…


暁「……よしっ! みんな――」


雷「ダメよ、組長」


暁「えっ」


雷「この前も言ったでしょ? この遊園地は睦月組のシマだって……。私たちが行けるわけないわ」


電「はわわ……、遊園地が……」



暁「――で、でもっ、雷だって行きたいでしょっ?」


雷「うっ……。そ、そりゃまぁ……私だって……」ゴニョゴニョ


暁「じゃ、じゃあ……」


電「でも、睦月組の人に見つかっちゃったら怖いのです……」


暁「………………」


響「――それじゃ、偵察に行くのはどうだろう」


暁「て、偵察っ?」


響「そう。睦月組はシマも隣だし、相手の情報を知っておくのは重要だよ」


雷「スパイってことねっ!」


電「スパイなのですー!」


響「うん。……さぁ、どうする組長?」


暁「……決まってるわ。みんなっ、準備するのよっ!」


雷・電「「おーっ!」」


――――――

――――

――




―――暁組・遊園地


電「――次はジェットコースターに乗るのですっ!」キャッキャ


暁「え、えぇっ! さ、さっきも乗ったじゃないっ!」


雷「まぁまぁ、怖かったら無理して乗らなくても……」アハハハ


暁「こ、怖くないしっ!! 何回だって乗ってみせるわよっ!」フンガーッ


響「ふふっ、ハラショー」


アハハハ‼
ワーワー





「き、如月の若頭っ! これを……っ!!」


如月「……水無月? なにをそんなに慌てているの?」


水無月「た、大変なんですよぉ――っ!」



―――睦月組・本部


如月「――組長。本部前に、これが……」


睦月「そ、そんなぁ……! こ、これは本当の事にゃしぃ?」


弥生「由々しき……事態?」


睦月「と、とにかく、組員総出で探さないと……! 皐月っ、連絡をお願いっ!」


皐月「任せてよっ!」


睦月「………………」


如月「……うなだれててもしょうがないわ、組長。さ、私たちも行きましょう?」


睦月「はぅ……――」


――――――

――――

――



暁「――クレープっていうのかしら、これおいしいわね!」


電「みかじめ料の中にはないのですっ」ハムッ


雷「そうねー、事務所でも作れるのかしら……」


響「とても力を感じる……。ハラショー」


暁「さて、次はどこに遊びに……。――偵察しようかしら」


雷「お化け屋敷とかは?」


電「お、お化け屋敷は怖いのです……!」


暁「あら、電怖いの? だらしないわねぇー」ガクガク


電「組長、足震えてるのです……」



「んあ? ……あれぇ、どっかで見たことある顔だなー……?」



暁「あっ……」


電「あ、あれは、睦月組の……!」


「んー……、ちょっと待てよぉ、思いだすから……」


雷「望月……だったかしら?」


望月「――そっか、思い出した。……君ら、暁組だね?」


――――CMへ


――――CM③

『ボーキ戦隊・クウボレンジャー』



ドカーンッ‼

リュウジョーン「あーはっはっはっはっ! この大福製造工場はうちが壊してやったでー! こんなもん食べるから太るんやっ!」


イーッ‼
イーッ‼


リュウジョーン「この調子で、他の工場も……――」



「――待ちなさいっ!!」



リュウジョーン「……出よったな。クウボレンジャーっ!」



赤城「あなた達、悪の軍団タイホーンの思い通りにはさせないわっ!」


赤城「――私の赤は、燃焼の赤……! 赤城レッド!」ドカーン‼


加賀「………………………………加賀ブルー……」ボソッ ドカーン‼


飛龍「き、金曜日はやっぱりカレーよねっ! 飛龍イエロー!」ドカーン‼


蒼龍「目に優しいのはこの私っ! 蒼龍グリーン!」ドカーン‼


翔鶴「ツルのように美しく……! 翔鶴ホワイト!」ドカーン‼


瑞鶴「同じくっ! 瑞鶴ブラック」ドカーン‼



赤城「6人そろって……私たち――っ!」



「「「「「ボーキ戦隊・クウボレンジャー」」」」」ドカーン‼

加賀「………………」




リュウジョーン「クウボレンジャーめ、またもうちらの邪魔をするんかっ!」


赤城「当然よっ! 私たちが居る限り、この街は守ってみせる!」


リュウジョーン「ふはははっ! それじゃ、せいぜい守ってみぃ!」


赤城「――みんな、いくわよっ!」


飛龍・蒼龍・翔鶴・瑞鶴「おーっ!」

加賀「………………」




『ボーキ戦隊・クウボレンジャー』好評放送中っ!

みんなの応援、待ってるぜっ!

やる気あるようでない瑞鶴ブラック


――――CM明け


望月「――君ら、暁組だね?」


暁「…………み、みんな、作戦Dよ」


電「な、なのです……!」


雷「しょうがないわね……」


響「了解」


望月「ちょっと話を――」


暁「――逃げるわよっ!」クルッ


電「はいなのですー!」ダッシュ


雷「作戦ダッシュねっ!」ダッシュ


響「ハラショー」ダッシュ


ダダダダ…


望月「あー……。追いかけたほうがいいのかなー……。でもなぁ……」


三日月「――もっち、何をボーっとしてるのっ。こんな緊急事態に……」


望月「いやー、いまさぁ暁組の娘達が居たんだよー」


三日月「あ、暁組……ッ!!? ――って、なんで追いかけないのっ!」


望月「えっ? なんで?」


三日月「……でも、そうか……! 今日届いたアレは暁組の宣戦布告……ってことになるのね」


望月「…………いや、それは違うんじゃ――」


三日月「もっちは今すぐ暁組を追いかけてっ! 私は組長に報告と、入口の封鎖と……。――あぁもう、とにかく動かないとっ!」アワアワ…


望月「三日月? だから……」


三日月「ほらっ! 私は行くから、もっちも早く追いかけるっ!」ダッ‼


望月「あー……行っちゃった。……なんか面倒くさいことになりそうだけど、しょうがないかー……」





コソコソ…

暁「――お、追っては来てそう?」

電「それらしき影は見えないのです……」

雷「しかし、動きが早いわね……。もう入口の所に睦月組が居たわ……」

響「どう逃げようか……」



雷「強行突破……とか?」


暁「ダメよっ。なるべく争いは避けないと……」


電「で、でも……これじゃ私たち……」



「……なーんか、こっちから気配がするぴょん」



響「――近いっ!」

ヒョコッ

卯月「……やっぱり。暁組……見つけたぴょん!」


暁「逃げるわよ!」ダッ‼


卯月「ふふー。逃がさないぴょん!」ダッ‼

ダダダダ…

電「はわわっ! 撒けないのですっ!」


雷「マズいわね……!」


スッ


菊月「見つけたぞ……! 私が捕まえるっ!!」


暁「ま、前からもっ!?」


響「……やるか、組長?」スッ


暁「ダメって言ったでしょっ! ――仕方がないわ、みんな四手に分かれるわよっ!」


電「えっ! で、でも……!」


暁「でも、絶対こっちから手を出しちゃダメだからねっ? わかったっ!?」ハァハァ…


雷「話し合ってる暇はなさそうね……。わかったわ。それじゃ私はあっちにっ!」


電「い、電はあっちにいくのですっ!」


響「なら、私はあっちに」


暁「みんな、後でまた会いましょう……! 行くわよっ!」ダッ‼



卯月「――んんっ! バラバラになっちゃったぴょん!」


菊月「小賢しい真似を……! 若頭補佐っ! 私はあっちをっ!」ダッ‼


卯月「わかったぴょん! 卯月は誰にしようかな……」キョロキョロ


ハワワッ‼


卯月「……あれならすぐ捕まえられそうぴょん!」ダッ‼




――――――


菊月「待てっ!!」


雷「くっ……、私の方追ってきたわね……!」


――――――


電「はわ、はわわわわ……。あ、慌てすぎて観覧車に逃げ込んでしまったのです……! お、降りたらつかまっちゃうのです……」


卯月「ふっふーん、後は待ってるだけぴょん!」


――――――


暁「――こ、ここなら暗いし、安心かしら……」コソコソ…

ドロドロドロ…

暁「……ちょ、ちょっと慌てて飛び込んじゃったけど……。ここ、どこ……?」キョロキョロ


暁「少し寒いし……、なんか……まるで……お化けが――」


チョイチョイ


暁「…………えっ?」クルッ


バァ‼


暁「――――――っ!!!」



キァアアアアアアアアアアアアアアアアアア…―



文月「――……脅かしたら倒れちゃったのぉ? まぁとりあえず、運ぼっか~」


――――――

――――

――



―――睦月組・本部


電「――組長! 起きるのです、組長!」


暁「……んぅ、なによ電……」


電「わ、私たち捕まっちゃったのです!」ハワワッ


暁「……ハッ! わ、私……お化けが――っ!」


如月「――あなたが暁組組長の暁ね?」


暁「こ、ここは……!」ギシッ

暁(くっ、縛られてる……)



如月「ここは、私たちの本部だわ」


睦月「――あなたが暁ねっ!」ガシッ‼


暁「ぐっ……」


電「――っ! く、組長を放すのですっ!」ジタバタ‼


如月「組長! 少し落ち着いて!」



睦月「さぁ、捕まえたんだからっ! 早く爆弾の在りかを言うにゃしぃ!」



電「ば、爆弾っ?? ま、待ってなのです! 私たち、爆弾なんてしらないのですっ!」


睦月「そんな嘘が……!」


暁「ほ、本当よっ! 爆弾なんて私たちは知らないわっ! た、ただスパイをしてただけよっ!」


皐月「いや、スパイって……」


如月「とにかくっ! 組長落ち着いて……!」


睦月「で、でも……!」


ガララッ


長月「組長! 暁組の雷を捕らえました!」

菊月「捕らえたのは私だ」

長月「あぁわかった! どっちでもいい」


雷「ふ、二人とも! 無事だったのね」

電「い、雷ちゃん!」


長月「でも組長……。本当かわかりませんが、爆弾のことは知らないようで……」

菊月「嘘に決まってる」

雷「ほ、本当に知らないったらっ!」


睦月「――そ、それじゃあこれはっ!? この手紙と爆弾の見覚えはっ?」


暁「知らないわ! あ、暁たちは……。スパイ……というか、その……本当は遊びに来ただけで……」ゴニョゴニョ


睦月「そ、そんな……」ガクッ


如月「組長……」


電「あ、あの、私たちは怒られると思って逃げちゃっただけなのです……。逃げないから縄を解いてほしいのです」


睦月「……わかったにゃしぃ」


皐月「えっ……。組長、いいの?」


睦月「うん……。解いてあげて……」


――――――


暁「――ふぅ。……それで、爆弾ってどういうことなの?」


睦月「今日、本部の前にこの手紙と火薬の無い爆弾が置いてあったにゃしぃ……」


電「えぇっと……。『今日、遊園地に火薬のついた爆弾を五つ設置する。止めたければ止めてみるがいい。しかし、乗客を逃がそうとしたりする動きを見せたのなら、即座に爆破する。覚悟しておくことだ』……って書いてあるのです」


如月「ごめんなさいね。それ、名前が書いてないでしょう? だから三日月から報告を聞いて、この手紙の差出人はあなた達だと勘違いしてしまったのよ」


暁「な、なるほど……」


皐月「いま捜索にでてる組員に、爆弾を探すように伝えるよ」


睦月「うん、お願い……」


雷「なんか、ごめんなさい。私たちのせいで複雑になってしまったのね」


如月「まぁ、こうなったことはしょうがないわ。また一からね……」


睦月「……暁組のみなさんは、早くこの遊園地から逃げてほしいにゃしぃ」


暁「ま、待ってよ。こんなの……ほっとけないわ」


睦月「うっ……うぅ……」


如月「組長……」


睦月「グスッ……、睦月は……組長失格にゃしぃ……! 遊園地に来た人たちを守りたいのに……、睦月には……なにも……」ボロボロ…


弥生「組長のせいじゃないよ……これは……」


睦月「――だ、だから、暁組の皆さんだけでも――」


暁「――――ッ!」


パンッ‼


如月「あ、あなたっ! 組長になにを……っ!」


暁「――しっかりしなさいよっ!! 組長なんでしょうっ!?」


睦月「あ、暁ちゃん……」


暁「他の組員を見てみなさいよっ! 諦めてる人が一人でもいるのっ!? 組長が最初に諦めてどうするのよっ!!」


睦月「で、でも……」


暁「でももだってもないわっ! ……いい? アナタは、最後まで堂々としてないといけないの。……じゃないと、組員は誰に付いていけばいいのかわからないわ……そうでしょう?」


睦月「………………うん」


暁「――じゃあ立ちなさいっ! しっかりと、どんな結果も受け止める。その覚悟をもちなさいっ!」





睦月「グスッ……。わかったにゃしぃ、睦月……泣かない!」


暁「そうじゃなくっちゃ!」


暁「――さぁ雷、電っ! 私たちも爆弾を探しに行くわよっ!」


雷「わかったわっ! 私に任せてっ」


電「電がみつけてみせるのですっ!」


如月「ふふっ、私たちも負けてられないわね」


弥生「必ず……見つける……」


睦月「み、みんな……!」


ガララッ


響「――お邪魔するよ」


暁「ひ、響っ! なんでここが……」


響「様子を窺ってたんだけど、どうやら風向きが変わったみたいだったからね」


電「これからみんなで、この遊園地に設置された爆弾を探しに行くところなのですっ!」


雷「えぇっ! 響も……って、響……それ、なに持ってるの?」


響「ん、あぁこれかい? これは――」


















響「逃げてる途中で爆弾を五つも見つけてね。ついでだから全部解除しておいたんだ」


暁「でかしたわ響ッ!」グッ‼




睦月「こ、これっ! 手紙と一緒に置いてあった爆弾と一緒にゃしぃ!」


如月「五つある……。これで全部だわ!」


ワーワー‼

ヤッター‼

ワーイワーイ‼




――

――――

――――――


睦月「――本当に、感謝してもしきれないにゃあ!」ガバッ‼


暁「わわっ! ……騒がせちゃったしね、気にしなくていいのよ」


如月「いいえ、あなた達はこの遊園地を救ってくれたの。……気持ちは素直に受け取ってほしいわ」


電「……でも、結局この爆弾を置いたのっていったい……――」


ガララッ‼


「おうおうおうおうっ!! 邪魔するぜぇ!」


睦月「あっ、あなた達はっ!!」


モブ辺A「覚えてるかぁ? このモブ辺組をよぉ!!」


雷「誰なの?」

如月「もともとこの辺りを仕切っていた組よ。……今回の爆弾騒動はこいつらの仕業だったのね」


モブ辺A「がっはっはっは! お前たちはどうせ俺たちの顔なんて覚えちゃいねぇよなぁ? そのおかげで悠々と爆弾を設置することが出来たぜぇ」


睦月「あなた達ッ……! 絶対に許さないにゃしぃ……!」


モブ辺A「おいおい。そんな口を聞いていいのかなぁ? このボタン……押しちまうぜ?」スッ


モブ辺B「………………あ、アニキ」


モブ辺A「あぁ? 今いい所なんだから――」


モブ辺B「い、いや、アレってウチの爆弾じゃないですか?」


モブ辺A「あぁん? ……いち、にぃ、さん、しぃ、ご……。五つあるじゃねぇか」


モブ辺B「………………」


モブ辺A「………………」


モブ辺A「――あっ、じゃあ俺たち帰るんで」

ガシッ‼

皐月「……まぁまぁ。せっかくなんだから、少しゆっくりしていきなよ。ねぇ、みんな」

弥生「………………」ポキポキ
卯月「それがいいぴょん」ゴキッ
水無月「そうそう……」
文月「やっちゃって、いいよねぇ」
長月「久々に本気になったよ」
菊月「悪いが……」
三日月「睦月組の誇りを」

望月「……あーあ。知ーらない」


イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…――


――

――――

――――――


暁「――それじゃあ、暁たちは帰るわね」


如月「うん……。改めてお礼を言わせて、本当にありがとう」


雷「いいのよ。困ったときはお互いさまでしょ」


睦月「お互いさま……かぁ」


睦月「――今度はちゃんと遊びに来てねっ! チケットなんかいらないよっ。暁組ならいつでも歓迎にゃあ!」


電「わぁー! 本当なのですっ!?」


響「ハラショー」


如月「もちろんよ」フフッ


雷「よかったわね、組長っ!」


暁「ま、まぁ……そうねっ!」


睦月「暁ちゃんっ! なにか、困ったことがあったらいつでも言ってほしいにゃしぃ。睦月組は、どんなときも暁組の味方だからねっ!」


暁「……えぇ! それじゃあね!」




――――――


暁「……なんか、大変な一日だったわね」


電「まったくなのです」


雷「でも、なんだかんだ楽しかったんじゃない?」


暁「……そうかもね」


電「――それにしても、組長が睦月さんを説得したのはかっこよかったのですっ!」


響「……へぇ、どんな感じだったんだい?」


雷「そっか。響はいなかったもんね。えぇっとねぇ――」


暁「も、もうっ! 恥ずかしいから止めなさいよぉーー!」






 第三話
 「かん違いの遊園地! 暁組を追い詰めろ!」


お わ り



【次回予告】

デデンデデン♪


霰「朝潮組……若中、霰です」


霰「朝潮組は……とても、良い所……です」


霰「本当です……。みんな……良い人です……」


霰「陽炎組は……ちょっと怖いです……」


霰「……次回『暁が如く』……」


霰「『よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組』」


霰「……任侠桜に、仁義の嵐……」


霰「――え……? 私に改二です……か……? ……ほんとに?」




デデデン♪

おつ
そして霰ちゃんおめ

おつ
かわいい

いくらでもみかじめ払いたくなる

島風組とかいう最精鋭だけで構成された組

暁ちゃんの器のでかさと響のチートっぷりよ



 第四話
 「よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組」



―――陽炎組・本部


陽炎「――黒潮。最近どうかしら」


黒潮「へっ? 急にどうしたんや、組長」


陽炎「別に、ただの世間話よ」


黒潮「ほーん? まぁ、うちが任されてる財務管理の事なら、全然問題はないで。うちらには、なにより雪風がおるからなぁ」


陽炎「そう、それはよかったわ」


黒潮「ただ……あえて言うなら、不知火姉さんにもう少し大人しくするよう言ってもらえへんやろか」


黒潮「あの人は周りの被害を考えへんから……。堅気の方々に渡す金も馬鹿にならんで」ハァ…


陽炎「…………言っておくわ」アハハ…


陽炎「――あぁ、そうそう。睦月組の話って知ってる?」


黒潮「あー、あのもともとあの辺りを仕切ってた組が、遊園地で手に入る金惜しさに爆弾しかけて、返り討ちにされたっちゅう話やったっけ?」


陽炎「そう。……ただ、あの事件。暁組が関わっているらしいわ」


黒潮「へっ? 暁組が爆弾しかけたってことかいな?」


陽炎「あぁ違う違う。暁組と睦月組が協力体制にあったってことよ」


黒潮「なるほど……。それはまぁ……」


陽炎「何か動きがあるみたいね……。暁組はたった四人の組って聞いてるけど、その力は正直未知数だわ。気を付けないとね」


黒潮「まぁ大丈夫やろ。暁組のシマとうちらのシマは離れてるし……」


陽炎「そういう油断が――」


ドタバタドタバタッ‼

バンッ‼


時津風「くみちょーっ!!」ウワーン‼


陽炎「と、時津風……? どうしたのよ?」


時津風「さっき起きたらさーっ! 私のオモチャが居なくなってたんだよぉー!」ウワーン‼


陽炎「なんだ、そんなこと……」


黒潮「それなら、また何人か連れてきてもらえばええやん」


時津風「でもさー。……こんな手紙が置いてあったんだー」




黒潮「ほほう? なになに……『拝啓 陽炎組さま。お前たちのオモチャは預かった。返してほしくば明日の正午、○○の倉庫まで来い』だと。また微妙な場所を指定するもんやなぁ。うちと朝潮組の境やないか」


陽炎「それもあるけど……。ってことは、私たちに気付かれずにこの本部の中に入ったってこと?」


黒潮「……だったら、下のもんが手を抜いてたってことやろか」


陽炎「それでも考えづらいわね。……ふふっ、おもしろい事してくれるじゃない」


黒潮「ちょっ、組長が行くんかっ? 別に浦風とかに行かせれば……」


陽炎「別にいいわ、体動かしたいと思ってたとこだし。……時津風も一緒に行きましょうか」


時津風「うんっ! いくー!」


黒潮「はぁ……。まぁ、せいぜい気を付けてな」


陽炎「わかってるわ。……明日の、正午ね……――」






―――その翌日 朝潮組・事務所


朝潮「ねぇ……。私たちは、このシマの方々を助けることができたと思う?」


大潮「またセンチメンタルですねー、朝潮組長! 最近は落ち着いてるじゃないですかー」


満潮「そうですよっ! 最近は組の残党も出なくなったし!」


荒潮「うふふふ……、心配性ですねぇ」


朝潮「モブ田組と、モブ本組の度を越えたショバ代とみかじめ料。それに苦しめられてる人々は、見るに堪えなかった……」



――――――


朝潮「…………こ、これは……」


「もうダメだ……。金なんかねぇし、逃げようとしたらそれこそ殺されちまう……」

「こんなとこ、客も来るわけがねぇ。あいつらはゆっくりと俺たちが苦しむのを楽しんでやがるんだ」

「うわーん! うわーん!」


朝潮「…………ッ!!」



―――モブ本組・事務所

トントンガチャ‼

朝潮「失礼っ!」


モブ本A「……あぁ? 何の用だ」


朝潮「これはあんまりではないですかっ!? あなた達には、苦しんでる人々が見えないのですか!」


モブ本A「はっ! おいおい、お前になんの関係があるってんだ」



モブ本A「お嬢ちゃん、教えといてやる。……この世は弱肉強食さ。あいつらが弱いのがいけないのさ。あっはっはっは!!」


朝潮「…………っ!」グッ‼


モブ本A「――おい、誰か早く追い出せ」


モブ本B「へいっ!」


朝潮「――だったら、私が代わります」


モブ本A「あぁ……?」


ドゴォン‼


朝雲「さぁーって、出番よね。山雲、準備できてる?」


山雲「朝雲姉はせっかちさんね~。爆雷、投げま~す」ポイッ


カンッ…

モブ本A「なっ……――っ!!」

ドカーン‼


――――――

――――

――



朝潮「――あれから少しは……」


ドタバタドタバタッ


霞「組長ッ! 大変ですっ!」


朝潮「か、霞? いったいなにが?」


霞「住民からの電話で、〇〇の倉庫で何やら怪しい動きがある……と!」


朝潮「――っ! また組の残党がなにかを……っ? すぐに向かうわ!」





―――〇〇の倉庫


陽炎「……そろそろ時間ね。さて、どうなるかしら」

時津風「がるるー!」


バタバタ‼


朝潮「――ここねっ、この倉庫――……って、あ、あなたは陽炎組の……!?」


陽炎「そんな…………嘘でしょ。まさか、朝潮組――?」


―――CMへ


―――CM④

『パスタの国から』


アーアーーアアアアアー♪
アーアーーアアアアアー♪



イタリア「る、るーるるる……。るーるるるる……」



アーアーーアアアアアー♪



リベッチオ「パスタが無ければ暮らせないよっ!!」



アーアーーアアアアアー♪



ザラ「ここでの生活に……金はいりません」


ザラ「小麦粉と水…………、なんなら後は卵を使って……パスタを作ればいいんです」


ザラ「どうしても食べたいなら、マカロニも作ればいい」



アーアーーアアアアアー♪



ポーラ「それでもやっぱり……私はお酒が飲みたいわけでありぃ~……」


ポーラ「こっそり家を抜け出してはぁ~……地中海をみながら、お酒におぼれるのでしたぁ~……」



アーアーーアアアアアー♪




ルイージ「……あむっ……」クルクル


ローマ「………………」


アクィラ「すいません、あの――」


ローマ「子供が、まだパスタ食べてるでしょうがっ!」パリィン‼



――――――

――――

――



『パスタの国から』
 地中海テレビ系列にて放送中。



おつです

ええいCMはいい
朝潮ちゃんを映せ朝潮ちゃんの天使ぶりを!


――――CM明け


朝潮「――あなたは、陽炎組の……っ!?」


陽炎「嘘でしょ……。まさか、朝潮組……?」




コソコソッ


モブ本A「へっへっへ……。どうやらうまくいったみたいだなぁ、モブ田組よぉ」


モブ田A「あぁ、作戦成功だ。うまくぶつけることができたみてぇだ」


モブ田A「くくっ……! 陽炎め……。どうせ何もできねぇとでも思って逃がしたのかもしれねぇが、俺はタダじゃ転ばねぇ男だぜ」


モブ田A「お前たちが使ってる本部は、もともと俺たちの本部なんだってことを忘れるんじゃねぇぞ。いざという時の隠し扉ってもんがあんのさ」ククッ…


モブ本A「しかし、陽炎組を連れてくるとは……。なかなかやるじゃねぇか」


モブ田A「そっちこそ。朝潮組をうまく誘導したな」


モブ本A「あいつらは馬鹿正直なもんでな。適当に電話入れてやりゃこの通りよ」


モブ田A「ふふっ……! こうなっちまえば、あいつらも争わずにはいられないはずだ……」


モブ本A「弱り切ったところを、俺たちが潰すって算段だな。ふざけたやつらだが、そうなれば俺たちも負けやしねぇ――」




陽炎「……参ったわね。……正直、まだ朝潮組とはぶつかりたくなかったんだけど……」


朝潮「……同感です」


陽炎「でも、そうも言ってられないわよねぇ? こうして出会ってしまったんだもの」


朝潮「……えぇ。幸い、ここなら大きな被害は出ないでしょうし」



陽炎「……時津風。……やるわよ」

時津風「がるるー……!」



朝潮「みんな、覚悟はできた?」

大潮「テンションアゲアゲですっ!」ガチャッ

満潮「えぇっ、いつでも」

荒潮「仕方ないわねぇ~……」




モブ田A「ははっ! いよいよやり合うみたいだぜっ!」

モブ本A「へっへっ! 本当、馬鹿な奴らだっ!」



初風「――見ーつけた」




モブ田A「――なっ!? て、テメェは……!?」


ザザッ

初風「……組長。組長の読み通り、居ましたよ。今から連れて戻ります」



ザザッ

陽炎「――あら、それはよかった。お願いね」スッ


朝潮「……見つかりましたか?」


陽炎「みたいだわ。悪いわね、猿芝居につき合わさせちゃって」


朝潮「いえ、かまいません。それよりも、陽炎さんが居てよかったです」


大潮「はぁ~っ! なかなかスリリングでしたねっ」


満潮「別に、そうでもないわ」


ズリズリ…

初風「――お待たせしました」


モブ田A「こ、この野郎っ! この縄を解きやがれっ!」ジタバタ


モブ本A「お、おいッ! これはどういうことだッ!!」


荒潮「うふふふふ。あなた達が、なにも知らなかったってだけよぉ」


モブ本A「なんだとっ!?」


陽炎「もともと、私たちと朝潮組は同盟関係にあるってことよ。……まぁ、知らなくても不思議じゃないわ。誰にも言ってないもの」


モブ田A「くそったれめ……!」


陽炎「あら、久しぶりね。とっくに逃げたものだと思ってたけど、その根性は見直したわ」


モブ田A「いつから気付いてやがった」


陽炎「最初っからよ。だいたい、色々と不自然だし」


時津風「――ねぇねぇくみちょー。こいつ、私のオモチャにしていいの?」


モブ田A「ひっ……」


陽炎「まだダメよ。……とりあえず、私たちの本部にどうやって忍び込んだのか、詳しく聞かないとね」


モブ田A「お、俺が喋ると――」

陽炎「アンタは喋るわ。……いずれ、喋りたくなる。そういうものよ」


モブ田A「…………っ」ゾクッ‼


陽炎「――朝潮。もしそっちが良ければ、この二人は陽炎組が預かるけど……。それでいいかしら?」


朝潮「はい、お願いします」



朝潮「……しかし、危ない所だったのかもしれません」


陽炎「あぁ、同盟関係に無かったらってこと? 正直、それでも私は朝潮組に手をだそうだなんて思ってないけどね」


朝潮「それはありがたいのですが……。もし、この場に居たのが陽炎組じゃなくて、白露組だったらと思うと……。少し、自分は軽率だったのかもしれません」


陽炎「……たしかに、ね。……まぁ、白露組はあの若頭が居る限り、こんな安い罠に引っかかるなんてことないでしょうけど」


朝潮「わ、私はその安い罠にかかってしまったのですが……」ウツムキ


陽炎「あははっ、そうだったわね」


陽炎「――でも、それが朝潮の良い所だと思うわ。恥じることはないわよ。……それに」


朝潮「……それに?」


陽炎「そんなあなたを支える組員が居るでしょう? ……それでいいのよ、自分の道を貫きなさい」



大潮「アゲアゲですねっ!」

満潮「ふんっ……」

荒潮「うふふふふっ」



朝潮「――……はいっ!」



陽炎「ふふっ……。それじゃ、私たちは引き上げるわね」


朝潮「わかりました。……陽炎さん、お達者で」




朝潮「――それじゃ、私たちも帰りましょうか」


朝潮「私たちのシマへっ!」


大潮「おーっ!」

満潮「はいはい……!」フフッ

荒潮「はぁ~い!」


アハハ‼

アゲアゲデス‼



――――――

――――

――





 第四話
 「よもや激突……? 陽炎組 対 朝潮組」


お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


若葉「若葉だ」


若葉「………………」


若葉「………………」


若葉「………………」


若葉「次回『暁が如く』」


若葉「『くう腹の秋月組/謎多き初春組』」


若葉「任侠桜に仁義の嵐」


若葉「……だが、悪くない」



デデデン♪

おつ
次回予告の体を為してないwwww
…だが、悪くない

しかしスレタイの元ネタと思われる龍が如く要素皆無やな。
まぁ陽炎が「トイレェェーッツ!!」とか叫んでたり
夕立が配電盤引っこぬくのは絵的に可哀想ではあるが

夕立ならやりそうな気がする



 第五話
 「くう腹の秋月組/謎多き初春組」


―――暁組・事務所


ブーン…‼
アハハ‼


暁「……んぅ。……なによ、朝から騒がしいわね……」ムニャムニャ


ガチャ


電「はわわっ! 飛んでるのですー!」


雷「で、でも、操作が難しいわね……。――って、組長っ!?」


電「あ、危ないのですっ!」


暁「えっ……?」


ブーン‼
ガンッ‼


暁「――んがっ! ……な、なにかぶつかった?」


雷「ご、ごめんね組長」

電「あー、組長が急に扉開けるからなのです」


暁「私は悪くないでしょっ!? ……これ、なによ?」


雷「ドローンっていうんだって。なんでも、今度にやるお祭りの景品なんだとか。一個くれたの」


暁「どろーん……? ふーん……」


雷「組長もやってみる?」


暁「ま、まぁ……。それじゃ、ちょっとだけ……――」




――――――

ブーン…‼

暁「――む、難しいわね……」カチャカチャ


電「天井にぶつかっちゃうのです!」


電「あぁっ、ほら! 壁に行っちゃうわ!」


暁「わ、わかってるわよっ! え、えぇっと、こっちのレバーが高さで……」エート…


ガチャ


響「――ただいま」


暁「ひ、響っ! 危ないっ――」



響「…………」パシッ


暁「あっ……」


電「組長とは大違いなのです」ボソッ


暁「わ、私だって寝起きじゃなきゃ――!」


響「邪魔をしてすまないね。……ただ組長。ちょっと問題があったんだ……」


暁「えっ、問題……?」


響「うん。口で言うより、見てもらった方が早いかもしれない――」




―――暁組のシマ・公園


秋月「――うぅ……」

照月「はぅ……」

涼月「………………」

初月「くっ……」



暁「こ、この人たちは……?」


響「シマの人たちの通報があってね。どうやら秋月組らしいんだけど、みんなここで倒れていたんだ」


電「あ、あの、大丈夫なのです?」


雷「ど、どうしましょう。救急車でも呼ばなきゃっ?」


秋月「ご…………を……」


暁「えっ? なんて言ったの?」



秋月「――ご、ご飯を……下さい……」ギュルルル…

照月「うぅ…………」グルルル…

涼月「………………」グゥー…

初月「くぅ…………」グゥ…



暁「……ご、ご飯……――?」




―――暁組・事務所


秋月「――助けていただいてっ! 本当にありがとうございますっ!!」ドゲザァ

照月「とっても、おいしかったですっ!」

涼月「この御恩は忘れません……!」

初月「すまない、助かった……」




暁「すごい食べっぷりだったわね……」


電「みかじめ料が無くなっちゃったのです……」


秋月「す、すいません……。もう何日も水しか飲んでなかったもので……!」


雷「しかし、あんた達どうしてあんなところに?」


秋月「え、えぇっと、その……。――あ、これドローンですね」


暁「ドローンがどうしたのよ」


秋月「い、いえ、実は……。私たち秋月組は日々射撃訓練を一生懸命やっていたんです」


秋月「そして、ある時このドローンを見つけて。射撃訓練に良いんじゃないか……って話になったんですけど……」


電「けど……?」


秋月「き、気付いたらお金なくなっちゃって……。そしたらもう、あれよあれよという間に土地も取られちゃって……」


秋月「今日までなんとか水だけで生きてたんですけど、ついにあの公園で倒れちゃったんです」エヘヘ…


暁「バカなの?」

電「バカなのです」

雷「バカね」

響「ハラショー」



秋月「――と、とにかくっ! この御恩はわすれませんっ! ……忘れないのですが……その……」


暁「なに、どうしたのよ?」


初月「僕たち、行くところが無いんだ……」

涼月「な、なので、その……ご迷惑だとは思うのですけど……」

照月「――どうかっ、私たちを置いてはくれませんかっ?」


暁「えぇっ!? そ、そう言われても……」


雷「まぁ、下の部屋なら開いてるわ」


電「でも……みかじめ料が……なのです」


秋月「わ、私たち、一生懸命働きますからっ!」


ブーン…


響「…………っ! 組長っ、窓の外を見て!」


暁「……あ、あれって……!?」


電「ど、ドローンの大群なのです……!」


雷「どういうことよっ!?」



モブ山A「――はっはっは!! 観念しやがれ暁組め……!」


モブ山B「さすがアニキっ! すごい執念っす!」


モブ山A「長かったぜぇ……。お前らに事務所を追い出されてから、復讐することだけを考えてやってきたんだっ!」


モブ山A「この、ドローン爆弾で……事務所ごと吹っ飛ばしてやる!!」


モブ山B「しかし、あの秋月組とかいうとこが馬鹿で助かりましたねっ!」


モブ山A「あぁ、自分たちの金とドローンが盗られてることに気付かねぇで、さらには土地までくれたんだからなぁ」


モブ山B「ははっ、いい気味ですぜ!」



響「――……どうやらあのドローン、爆弾が付いてるみたいだ。組長、ここは引こう」


暁「ば、爆弾ッ? みんなっ、逃げるわよッ!」


電「はわわっ! だ、大事な物は……!」


雷「そんなの今はいいわっ! いいから行くわよ!」


暁「――ほらっ! 秋月達も早くっ!」


秋月「…………みんな、屋上へ!」


照月「うんっ!」

涼月「はいっ!」

初月「あぁ!」


電「え、皆さん、逃げないのですっ?」


秋月「ここは秋月組にお任せを! 練習の成果、示す時ですっ!」



―――暁組・事務所・屋上



秋月「――いい、みんなっ。……一機も地上に落としちゃダメよ」


照月「任せてっ!」

涼月「近づかせるわけにはいきません」

初月「了解っ!」


秋月「さぁ、始めましょう。――撃ち方、始めっ!!」


バババババッ‼


チュドーンッ‼

モブ山A「――あっはっはっはっ!! 全部ぶっ壊れちまえっ!」


モブ山B「……あ、あれ、アニキ……。なんかおかしくないですか?」



チュドーンッ‼

モブ山A「な……っ! ドローンが空中で……っ!?」


モブ山B「そ、そんな……!」





秋月「――止めっ!」


秋月「……全部、撃ち落とせたでしょうか……」


暁「す、すごいじゃないっ! よくやってくれたわ!」


電「すごいのですー!」


雷「……あれ、響。ドローンに爆雷なんか付けて、何してるの?」


響「あぁいや、向こうのドローンがこっちに届くなら、こちらのも……って思ってね」ブーン…


雷「わぁ、操作上手じゃない、響」




モブ山A「そ、そんな……嘘だろ……」


モブ山B「全部、撃ち落とされちまった……」

ブーン…

モブ山A「――ってあれ、一機帰って来る……?」


モブ山B「いや、アレはウチのじゃないですよ」


モブ山A「じゃあアレはなんだよ」

ポトッ

モブ山B「ん、なんか落とし――」

ドッカーン‼


――――――

――――

――




暁「――しょうがないわね、わかったわ。下の部屋に置いてあげる」

秋月「わ、わぁっ! ほ、本当ですかっ!」

暁「ただしっ! ちゃんとシマの人たちの手伝いをして、自分でみかじめ料をもらうのよっ。わかった?」


秋月「はいっ! ありがとうございますっ!」

照月「やったぁー!」

涼月「精一杯、がんばりますね」

初月「あぁ、本当によかった――」


――――『くう腹の秋月組』終わり。CMへ

夕立は壊し屋。時雨は谷村スタイル。白露はダンサースタイル。
村雨はスラッガースタイルってイメージはちょっとある


――――CM⑤

『グリーンリーフ探偵事務所』



「はぁ……。提督はいま、どこで何をしているのかしら……」


「べ、べつに、司令官のことなんて気になってないし……!」


「提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん――」


「北上さん、ケガとかしてないかしら……」


「ポーラが酒瓶を持ってどこかへ……っ!?」




青葉「――青葉ですっ! そんなあなたのお悩み、解決しますっ!」


青葉「安心丁寧、明朗会計っ! 今ならお得なアフターサービスまでっ!」




―――お客様の声


「提督の居場所が常にわかるようになりましたっ。とても満足してます」

「ま、まぁ、便利だと思うわ」

「提督さん提督さん提督さん提督さん提督さん――」

「はぁあああああああ、北上さんの写真がぁああああ」

「妹をすぐ見つけることができるので、とても助かっています!」



青葉「お客様満足度No.1! この機会にみなさんもどうしょうかっ?」


青葉「まずは無料相談窓口までお気軽にお電話をっ!」


青葉「グリーンリーフ探偵事務所でした!」



地獄絵図

 『謎多き初春組』


―――どこかの倉庫


モブ村A「――……ぐっ!」ガバッ‼


モブ村A「……あ、あれ、どこだここ? 縛られてるし……、俺なんでこんなところに……」キョロキョロ


モブ村A「た、たしか、俺は……」


モブ村A「――そ、そうだ……。事務所に居たところを急に襲われて……!」


モブ村A「クソッ! つかまっちまったのか……、逃げないと」ジタバタ


モブ木A「――諦めな。そんなんで解けるんだったら、誰も苦労してねぇよ」


モブ村A「えっ? だ、誰だあんたは……?」


モブ木B「おうおう、ここに居るのは天下のモブ木組のアニキだぜぇ。気安い口きいてんじゃねぇぞっ!」


モブ木C「そうだそうだっ!」


モブ村A(俺と同じく縛られてるやつに威張られても……)


モブ木A「はっはっは……。まぁまぁ、そんな畏まんなくたっていいぜ。……で、お前は?」


モブ村A「お、俺はモブ村組のもんだ……。ここがどこだかわかるのか?」


モブ木A「はっ、わかるわけねぇだろ。俺だってお前と同じで、気付いたらここに居たんだからよぉ」


モブ木B「あぁん? てめぇアニキに変なこと聞いてんじゃねぇぞコラァ!」


モブ木C「そうだそうだっ!」


モブ村A(なんだこいつら……)


モブ木A「――ま、こんなことしてくれたのが、何処のどいつだか知らねぇが……。へへっ、後悔させてやるぜ……」


モブ木B「ひゅー! さっすが、こんな状況でも怯まない男だぜっ!」


モブ木C「さすがさすがっ!」


モブ村A「と、とはいっても……どうするっていうんだ?」


モブ木A「ふんっ、これだからひよっこは……。――まぁ見てな。俺がちょっと言葉を荒げたら、誰だって許しを請うってもんだ」


モブ木B「フーフーっ! そこに痺れる憧れるゥ!」


モブ木C「ふーふーっ!」


ガララッ‼


カツーン…
カツーン…


モブ木A「――へっ、さっそく来たみたいだぜ……。……見てなッ!」


カツーン…
カツーン…


モブ木A「おうおうおうおうッ!! いい度胸じゃねぇかあぁんっ!? 俺をどこの誰だか知ってんのかあぁんっ!?」


カツーン…
カツーン…


モブ木A「天下のモブ木組だぜぇ……! お前たちなんかなァ、バラッバラにして犬の餌にしてやるぜあぁんっ!?」


「………………」カチャリ


モブ村A(なんだ……? 暗くてよく見えないが、子供にも見える……――?)


モブ木A「ハッ! おう、いい度胸じゃねぇか! はっはっはっ、撃てるもんなら撃ってみやがれあぁんっ!?」


「…………今日は何の日?」


モブ木A「あぁんっ!? 知るかバカ野郎ッ!! いいから大人しく――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ木B「えっ」

モブ木C「えっ」

モブ村A「えっ」


カツーン…
カツーン…


カチャリ…

モブ木B「ひっ……!」


「…………今日は何の日?」


モブ木B「え、えぇっと、今日はですねーっ!! 確か○月の○日だったかと――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ木C「えっ」

モブ村A「えっ」


カツーン…
カツーン…


カチャリ…

モブ木C「あ、あぁあああ……」


「…………今日は何の日?」


モブ木C「あ、あのぉ……えっとぉ――」バァンッ‼

ドサッ…


モブ村A「えっ」


モブ村A(えぇえええええええ…………ッ!!?)




カツーン…
カツーン…


モブ村A(ま、マズいマズいマズいマズいッ!! な、なんなんだこのクレイジー野郎は……!!)


モブ村A(『今日は何の日?』だとっ!!? 答えはなんだっ? 二番目のやつが言った、ただの日にちじゃダメなのか……? で、でもそれじゃ何の日なんだッ!!?)


カチャリ…


「…………今日は何の日?」


モブ村A(は、早く言わないと殺される……! な、なにかいい答えは……、なにか……――)




モブ村A「――ぼ、ボクの命日~。……な、なんちゃって……」アハハ…


「………………」ニヤッ



モブ村A(わ、笑った……! 助かっ――)




「 当・た・り 」カチャ



モブ村A(あっ、俺死んだ……)





キィイイイイ…


初春「――待つのじゃ、子日っ!!」ピカー‼


モブ村A(な、なんだ……? 俺は死んだのか……? あれは……神か……)


子日「………………」スッ


初春「……そこのお前」


モブ村A「は……はい……」


初春「生きたいか?」


モブ村A「い、生きたいです……!」


初春「……ならば、わらわのためにその命、使うと誓えるか?」


モブ村A「はい……っ! 誓います……っ!!」


初春「そうか……。――初霜っ!」


初霜「初霜、ここに……」


初春「この者を『昇華の間』へと連れていくのじゃ……。生きることの喜び。同志と共に分かち合おうぞ」




初霜「ふふっ、ではこちらに……」


モブ村A「い、いいんですか……。私なんかが……」


初霜「私たちはね、一人でも多く救えるなら、それで満足なのよ」ウフフ…


モブ村A「うっ……ぐすっ……! ありがとうございます、ありがとうございますっ!」


初春「はっはっは……。精進するのじゃぞ」



キィイイイイ…

バタンッ



初春「………………さて、もういいぞ」

ガバッ

モブ木A「――ふぃー! いやぁー、子日の姉御っ! 今日の演技も極まってましたねぇー!」


モブ木B「何回やっても鳥肌が立っちまいやすぜっ!」


モブ木C「子日の姉御っ! 最高っす!」


子日「…………あ、あの、組長。子日、もう辞めたい……」ズーン…


初春「何を言っておるのじゃ! まだ今日のノルマが残っておるのじゃぞっ!」


モブ木A「そうっすよっ! 最高だったじゃないっすか!」


子日「で、でも……」


初春「子日……。これも我が初春組を大きくしていくためじゃ。わらわのために、もう少し頑張ってくれんか?」ガシッ


子日「…………はい」


初春「ふっ、それでこそ子日じゃ」

シュタッ

若葉「組長。準備できました」


初春「うむっ! よし、それじゃ引き続き頼むぞっ!」


モブ木A・B・C「はい、組長!」キラキラ


子日「…………はぁ……」


――――――

――――

――


 第五話
「くう腹の秋月組/謎多き初春組」


お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


白雪「――吹雪組、若頭を務めております、白雪です」


白雪「雨には雨の戦い方がある……。とは言いますが、今回ばかりはそれも難しい……」


白雪「雨は雨でも白露組。あの若頭・時雨を筆頭に『血濡れの村雨』『狂犬夕立』……どれも強敵ぞろい」


白雪「隣にシマを持ってしまったが不運。私たち吹雪組の運命は……?」


白雪「次回『暁が如く』」


白雪「『キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組』」


白雪「組長……、どうかご決断を」



デデデン♪



しまった。

白雪「次回『暁が如く』」

白雪「『キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組』」

白雪「任侠桜に仁義の嵐!」 ←New

白雪「組長……、どうかご決断を」


で、最後お願いします。



 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」


―――暁組・事務所


暁「――お祭り?」


雷「えぇ、この前言わなかったかしら?」


電「今度、このあたりの商店街でお祭りがあるのですっ!」


響「ハラショー」


暁「……そういえば、ドローンがお祭りの景品だとかなんとか言ってた気がするわ」


雷「だから、私たちも何か手伝いをしないとね」


暁「えっ? て、手伝いって言っても、何をやるのよ?」


電「お手伝いはお手伝いなのです」


暁「えぇー……、ちょっと面倒くさいかも……」


響「……そうか。残念だね」


暁「えっ?」


響「……手伝えば、みかじめ料でお好み焼きやたこ焼き、焼きそばとか貰えるかもしれないのに――」



暁「――みんなっ! 暁組の勢力を上げて手伝うわよッ!」



「「「おーっ!」」」




トントンガチャッ‼


秋月「――み、みなさんっ!」ガバッ‼


暁「秋月? そんな慌ててどうしたのよ」


秋月「そ、それが……。私たちが見回りをしてたら……その、見つけてしまって……」


暁「見つけた……? 見つけたって……なにを?」


秋月「そ、それがですね……――」



――――――

――――

――





場面は変わり、白露組の近くのシマ――。




―――モブ口組・本部


モブ口組長「――白露組だァ? はんっ、だから何だってんだよ」


モブ口A「し、しかし組長! あいつらの事を甘く見ない方が良いですよっ! あいつらのせいで、近くにシマを持ってた組のやつらは……――」


モブ口組長「ガタガタうるせぇっ! お前、いつからそんなビビりになっちまったんだ、えぇっ?」バンッ


モブ口A「――っ! く、組長……!!」


モブ口組長「おいおい、よく考えてもみろよ。近くにシマを持っていたやつらがやられただぁ? それがどうした」


モブ口A「えっ?」


モブ口組長「俺たちだって、あの程度のシマを奪おうと思えば出来たんだよ。ただ、少し面倒だっただけだ」


モブ口組長「むしろ好都合じゃねぇか。その白露組を潰せば、全部のシマが俺たちのものになるってことだしなァ……。くく、はっはっはっ!!」


モブ口A「………………っ!」


モブ口A(組長はわかってない……! 確かに、モブ口組はこの辺りでは一番の規模を持ってはいる……。そこらの組になら負けるはずはない)


モブ口A(――だがっ! 『あいつら』はそんなもんじゃない……! 俺は……この目で……――)



―――うふふふっ。いい感じ、いい感じ……。



モブ口A(――今でも、目を閉じれば聞こえてくる……。あの悪魔の声が……!)


山風「――はぁ……、……なんで私がこんなこと……」ボソッ


モブ口A「…………えっ?」


山風「…………なに?」


モブ口A「な、なにって……。お前は……!」


春雨「もう、山風。口を慎みなさい」


山風「………………」ムー


モブ口組長「……へぇ、テメェらが噂の白露組か?」


春雨「はい、どうやら知っていただけているようですね」


モブ口A(いつの間に本部の中にっ!? 組長を逃がさないと……!)


スッ


モブ口A「――ッ!!?」



海風「――ゆっくり動いてください。変なマネはしないように」


モブ口A「……わ、わかった」


モブ口組長「……で? お前たちは俺たちと戦争でもしようってのか? こんなとこまで土足で入ってきやがって……。礼儀のなってねぇガキ共だぜ」


春雨「戦争……というと、少し違うかもしれません」


モブ口組長「へぇ? それじゃなんだってんだ?」


春雨「戦争というのは、ある程度実力が拮抗してないとできないでしょう? だから、これは違うかと」


モブ口組長「言いたいことがわかんねぇな。……同盟でも組みたいってか?」


春雨「寝言を言うには、随分と目が開いているようですが」


モブ口組長「…………ッ!」ブチッ


春雨「――ここは狩場です。今から約十分後、ここにハンターが来ます」


モブ口A「狩場? ハンター? なにふざけたことを……!」


春雨「どう思おうがあなた達の自由です。――私たちは、あなた達が逃げないように監視させていただきます」


モブ口組長「ハッ! 逃げ出すのはそっちの方だろッ!! ――出て来いッ!!」


バタバタッ
ワーワー‼


モブ口組長「お前ら……、生きて帰れると思うなよ」


春雨「――江風、涼風」


江風「はいよっ!」

涼風「がってんだ!」


モブ口B「なっ……!」


ドゴッ‼
ギャーッ‼


モブ口A「だ、ダメだッ! お前たち、手を出すんじゃないっ!」


春雨「そうです。ここに居る私たちには争いの意思はありません」


春雨「――あぁ、もう時間が無くなってしまいますね……。それでは、私たちはこれで」


モブ口組長「誰が逃がすか――」

カチャリ…

山風「――動かないで……」


モブ口組長「――ッ!」


春雨「山風。……村雨姉さんに怒られますよ」



山風「………………」ムー


モブ口A(……村雨? それって……もしかして……)


春雨「――あなた達に逃げ道などありません。……生き残る道はただ一つ」




春雨「 立ち向かうこと 」




春雨「それでは、がんばってくださいね」ニコッ


――――――

――――

――



モブ口組長「お前ら……、武器は持ったか?」


ガチャガチャ…


モブ口A「く、組長。やはり、逃げたほうが……!」


モブ口組長「ここまで馬鹿にされて、逃げられるわけがねぇだろ……! ハンターだかなんだか知らねぇが、ぶちのめしてやる……!」




「お邪魔しま~す」




モブ口A「…………っ」


モブ口A(この声……。やっぱり、村雨っていうのは……!!)


ガララッ


村雨「あらあら、いい感じね……。春雨はいい仕事をしてくれるわ」


村雨「――うふふふっ。それじゃ、始めましょうか……」ニコッ


モブ口組長「――やっちまえっ!!」


村雨「 村雨……狩り、だーい好き 」



ドォン‼ドォン‼
ギャアアアア‼
ウワァアアアア‼
ドゴォン‼


――――――

――――

――


―――CMへ


―――CM⑥

『ヒエーハウス・COnGO弐番屋』


デデデデン♪

榛名「――霧島、聞いて!」


霧島「榛名、急にどうしたの?」


榛名「なんとですね! あの、ヒエーハウスが鎮守府にオープンするんですっ!」


霧島「そ、そんな……! 艦隊の頭脳と言われる私が、そんな大事なことを見逃していたなんて!」


榛名「今すぐにでもチェックしないといけませんねっ!」



金剛「――その心配は無いネー! 榛名、霧島!」



榛名・霧島「「金剛お姉さまっ!?」」


金剛「今度openするヒエーハウスのために、ちゃーんとクーポンを確保したデース!」


榛名「さすがお姉さま!」


金剛「さらに! Openしてから一週間は、ドリンク一杯無料のサービスもやってるのネー!」


霧島「すごい情報ですねっ!」


金剛「サァ! 準備はOK?」


榛名・霧島「「はいっ!」」


金剛「――Hey! そこのキミも、一緒に行くデース!」





あのヒエーハウスCOnGO弐番屋がついにオープン!

 その新感覚の味を、あなたの自身でぜひ味わってみてはっ?

  場所は『甘味処・間宮』のすぐそば!



比叡「気合! 入れて! 待ちますっ!」


比叡「――皆さんっ! ぜひ来てくださいねー!」




―――CM明け


―――白露組・本部


「――ねぇ、時雨?」


時雨「はい、組長」


白露「白露組はまだ一番じゃないの?」


時雨「はい、まだです。いま、みんな頑張っている最中ですから」


白露「ふーん……。いつ一番になれるの?」


時雨「大丈夫ですよ。そう遠くない未来に……必ず」


ガララッ


村雨「――はいはーい! 村雨、いま戻りましたー」


時雨「あぁ遅かったね。また遊んでたのかな?」


村雨「そうかも。いい感じに……ね」


時雨「――五月雨」


五月雨「は、はいぃっ!」


時雨「村雨にタオルを。そのままじゃ畳が汚れちゃうよ」


村雨「えっ?」ボタボタ…


五月雨「も、持ってきますっ! ――あっ」ガッ


ドンガラガッシャーン‼


村雨「もう、大丈夫? ……ちょうどいいから、村雨ちょっとお風呂に入ってこようかな」


時雨「そうするといいよ」


村雨「――あら、夕立は?」


時雨「夕立なら、もう行っちゃったよ」


村雨「えぇっ? まだ止めておく予定じゃなかったの?」


時雨「まぁ、いいんじゃないかな。春雨たちに様子を見に行ってもらってるし」


村雨「村雨も行きたかったなー……」


時雨「お風呂に入ってからでも、きっと間に合うさ。何しろ相手は――」



時雨「――あの吹雪組だからね」




村雨「残ってればいいけど……」


時雨「それでも艦娘さ。人間とは違う……」


ガララッ‼


時雨「――あれ、夕立?」


夕立「………………」ムスーッ


村雨「もう終わった……ってわけじゃなさそうね。なにがあったの?」


夕立「…………居なかったっぽい」ムスー


村雨「居なかったって……」


時雨「ふふっ。へぇ……なるほどね――」








―――暁組・シマの空き家


暁「――それで、これを見つけたってわけね」


秋月「はい……」


「あ、あのごめんなさいっ! 撃たないでくださいっ!」ヒーッ‼


初月「どうしようか?」カチャ


暁「砲は下ろしていいわ」スッ


雷「あなた達、吹雪組よね? ……どうしてこんなところに?」


吹雪「あ、あのっ! 私たちのシマが、し、白露組に狙われてるって情報が入って……」


電「えっ! あ、あの白露組なのですっ?」


白雪「……えぇ。ですので、早々にシマを引き上げてきてしまったのです」


吹雪「苦肉の策だったんですが……。幸い、白露組は堅気の人たちには興味が無いみたいなので……。お別れを言う暇は、ありませんでしたけど……」


響「それで、何故ここに?」


叢雲「ここが暁組のシマだって知らなかったのよっ!」


磯波「ほ、本当です! 私たち、逃げるのに一生懸命で……」


浦波「ほとぼりが冷めたら、こっそり出て行こうと……してたんですけど」


初月「そこを、僕たちが見つけたってところか」


吹雪「はい……」



吹雪「――お、おねがいですっ! 本当に悪気はなかったんです! 見逃してもらえれば、すぐ居なくなりますから!」


暁「……別にいいけど。あなた達、行くところはあるの?」


吹雪「あ、いや……。はぁ……」ガックシ…


雷「……どうするの、組長?」


電「ちょっと、可愛そうなのです……」


暁「…………そうね。私に一つ、良い案があるわ」


雷「案……?」


暁「――吹雪組のみんな、あなた達が良ければこのシマに居てもいいわよ」


吹雪「ほ、本当ですかっ!?」グワッ‼


暁「ただしっ! ……条件として、吹雪組にはある仕事をしてもらうわ」


吹雪「し、仕事……ですか? そ、その仕事っていったい……?」


暁「……それは――」


――――――

――――

――




ワーワー‼
ドンチャンドンチャン♪
アハハハッ‼



吹雪「――綿あめー! 綿あめはいかかですかー!」


白雪「甘くて、おいしいですよー!」


初雪「なんでこんなことに……」ズーン…


深雪「まぁまぁ、初雪の姉貴! 綿あめでも食べて……」


叢雲「はいっ、お釣りよ! ――って、なに見てるのよっ」


暁「うんうん。よく仕事してるわねっ!」


雷「いいじゃない!」


電「なのです!」


叢雲「ふん、組長命令よ。あんたの言うことを聞いてるわけじゃないわ」


磯波「だ、ダメですよ叢雲姉さん……。お客さんもいますし……」





雷「――お祭り、手伝ってもらえてよかったわね」


暁「ふふんっ。やっぱりレディは頭を使わなきゃね」


電「お祭りって、賑やかで楽しいのですー!」



「射的ー! 射的はいかがですかー!」



暁「あっ、射的もやってるみたいね!」



秋月「秋月の射的屋ですよー! いかかですかー!」


照月「照月の射的もどうですかー!」


涼月「涼月も、射的やってます……!」


初月「少しぐらい譲り合おうよ姉さん……」ハァ…



暁「あははっ、相変わらずね」


響「――それじゃ、射的やろうかな」


秋月「はい、どうぞー!」


響「………………」スッ


パパパパッ‼


秋月「ちょっ! ひ、響さんストップストップっ!!」



電「わぁー! 響ちゃんすごいのです!」


雷「あはは、容赦ないわね」


暁「――さてっ! 私たちも、何か手伝えることがないか聞いてみましょうか」


雷「そうねっ」


電「なのです!」


響「ハラショー」ドッサリ


秋月「け、景品が……」


暁「――それじゃ、みかじめ料獲得のため、みんな張り切っていくわよっ!」


「「「おーっ!」」」



 第六話
 「キケン、近寄るなっ! 武闘派集団白露組」

お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


春風「神風組、若頭補佐……春風です」


春風「最近、他の組の動きが激しくなっているみたいですね」


春風「私たちはただ、静かに暮らせればそれでいいのですけれど……」


春風「はたして、『風』はどこへ吹くのか」


春風「次回『暁が如く』」


春風「『けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源』」


春風「任侠桜に仁義の嵐……ですね」


春風「風が嵐にならないことを祈りましょう……」



デデデン♪


おつ、吹雪型はみんないい子だなぁ
そしてやった!次は神風型か!



 第六話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」



―――陽炎組・本部


陽炎「――はぁ……まったく、白露組は余計な事をしてくれたもんだわ……」


不知火「………………」


黒潮「そやなぁ……。まさか、睦月組・秋月組に続いて吹雪組まで……。暁組、たかが四人と見くびってたわぁ」


陽炎「まぁ、まだ同盟を組んでいると決まったわけじゃないけどね。大きい動きは見られないけど、油断はできないわ」


磯風「ふむ…………」


浦風「それで、組長……。ウチらはどうするんですか?」


陽炎「出来ることなら、白露組と同盟を結べればいいんだけど……。あの白露組が相手じゃ、望みは薄いわね。むしろ、何処でこちらを狙ってるのかわからないわ」


初風「朝潮組を抜いて、シマが近いのは初春組とかかしら。……でも、初春組もいい噂聞きませんね」


陽炎「……そうね。あとは親潮の結果次第ってところだわ……。――とりあえず、いつも以上に見回りは強化しときなさい」

ハイッ‼

陽炎「……さぁ、神風組はどう動くかしら――」


――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――それで……。この度はいったい何の用かしら? ……陽炎組の親潮さん?」


親潮「まずは、私たちの話を聞いていただける場を用意していただき――」


神風「前口上はどうでもいいわ。用件をいいなさい」


秋雲「ちょ、ちょっとその言い方は――!」グッ‼


スラッ


秋雲「――うっ……」


旗風「お座りください。ここは私たちの本部ということをお忘れなきよう」


親潮「……秋雲、ここは大人しくしていて。……ありがとう」


秋雲「うぅ……」シブシブ


春風「旗風も……、その物騒なものはしまっておきなさい」


旗風「はい……」スッ



親潮「――最近、睦月組や吹雪組に動きがあったことをご存知でしょうか」


朝風「あぁあれね。噂程度には聞いてるわ」


親潮「その中心にいるとされるのが暁組です。近頃動きが活発になりまして、今や私たち陽炎組にも匹敵するほどの勢力となっています」


親潮「朝潮組とはほぼ同盟関係にあるのですが、なにしろ近くにはあの白露組がシマを持っていることもありまして、陽炎組としてはとても動きづらい状況です」


松風「……なるほど。それで僕たちに協力を求めに来た……と。そういうことかな?」


親潮「話が早くて助かります。……神風さん、どうか陽炎組に力を貸してはいただけないでしょうか?」


神風「そう。まぁ、言いたいことはわかったわ。……どう思う、春風?」


春風「……そうは言いましても。その暁組と私たちのシマは離れていることもありますし、直接は関係ないように思えますけど……」


神風「そうなのよねぇ。それ、私たちになにか得なことってあるのかしら?」


親潮「……これはあくまで推測にもなりますし、私個人の考えでもありますが――」


親潮「あの白露組の事は、神風組の皆様もよくご存じかと思います。今回、いよいよ白露組はシマの拡大のため吹雪組に仕掛けました」


親潮「……しかし、吹雪組がそれをいち早く察知し回避しました。……それでは、その白露組の次の矛先はどこへ向くと思いますか?」


神風「へぇ、なるほどね。たしかに、無い話じゃないわ」


親潮「陽炎組に協力していただけるのであれば、もしもの時には共に戦うこともできますし、もしかしたら白露組も避けるかもしれません」


神風「……そうね。――みんなはどう思う?」


朝風「心外だわね。私たちが白露組に後れを取るって、そういいたいの?」


親潮「い、いえっ! そういうことでは……」


春風「私は、なるべくであれば争いは避けたいところではありますが……。組長の選択に従います」


松風「ボクも、組長が戦えというなら戦うし、協力しろというなら協力してもいいかな」


旗風「私も、春風姉さんと同意見です」


神風「そう……」


親潮「……神風さん、悪い話ではないと思うのですが」


神風「――……決めたわ」パンッ


親潮「……っ! それで、お答えは……?」


神風「えぇ、私たち神風組は――」


――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


陽炎「――断られた? それは本当なの、親潮?」


親潮「大変申し訳ありません。私の力不足で……」


秋雲「く、組長っ! 親潮の姉貴は悪くなんてありませんでした! ただ、神風組にその意思なかったってだけで――っ」


陽炎「あー、大丈夫よ秋雲。別に怒ってるわけじゃないし、なんかそんな感じしたのよね」


秋雲「へっ?」


親潮「そ、そんな感じというと……?」


陽炎「神風組は……なんていうか保守的なの。この段階じゃ、まだ動かないのもしょうがないと思うわ」


親潮「なるほど……」


陽炎「とにかく、二人ともご苦労だったわね。ゆっくり休みなさい」


親潮「わかりました。失礼します……」


黒潮「――せやかて、これはちぃ~とばかしマズいんやないか?」


陽炎「そうね……。ただ、暁組の近くには夕雲組と綾波組がシマを持っているわ。まだ接触してる話は聞かないし、この二つの組に注意しておきましょう」


初風「……じゃあ、神風組のほうはどうしますか?」


陽炎「まぁ、白露組の動き次第ね。神風組の方から仕掛けてくることは無いでしょうし」


陽炎「……もし、白露組が神風組を狙うような動きを見せたら、私たちも動きましょう。恩を売っておいて悪い事は無いわ」


初風「わかりました。そう手配します」


陽炎「……なにもないのが一番だけど、難しいものね」


不知火「そうですね」


黒潮「――まぁ、お二人さんはこの陽炎組の柱や。だから堂々としててもらわんと困るでぇ。……めんどうなことは、うちらにまかしとき」


陽炎「……えぇ、わかってるわ。優秀な組員ばかりだもの」フフッ…



陽炎「……だからせめて、追い風が吹いてくれるように祈りましょうか――」



――――――

――――

――



―――『けんもほろろ、神風組』おわり。CMへ



―――CM⑦


・ナレーション:香取


鹿島「――ふぅ……」


彼女の名前は「鹿島」。

とある鎮守府を支える練習巡洋艦であります。

今日も彼女は練習遠洋航海の準備に追われていました。


鹿島「はい、それではみなさん、準備は出来ましたか?」


多忙なはずの鹿島さんですが、毎日笑顔を欠かすことはありません。

そんな彼女の笑顔のお陰で、鎮守府の皆はつらいことにも耐えられるのかもしれませんね。


鹿島「――うっ……」


しかし、いくら艦娘とはいえ彼女にも疲労が溜まっていきます。

最初はだましだまし働いていた彼女も、ついには体を壊して寝込んでしまいました。


鹿島「はぁ……、模範となるべき私がこんなんじゃ……」


それほどまでに一生懸命であった彼女。

もしかしたらこれも仕方のない事だったのかも知れません。

鹿島さん自身もそう思い込もうとしますが……――。


鹿島「普段からもっとしっかりしておけば……」ウゥ…


こうして寝込んでいる最中も、鎮守府や提督にかけた迷惑の事を考えてしまうたびに、彼女は自責の念に押しつぶされそうになっていました。


鹿島「……よしっ!」


しばらくして、復活した鹿島さん。

寝込んでしまった分を取り戻そうと、必死になって働きます……が――。


鹿島「…………っ」


また倒れてしまったらどうしよう……。

彼女の頭の中にはそんな考えが常に付きまとうようになってしまったのです……。




鹿島「――ぷはぁ!」


――そんな時に出会ったのが、この青汁でした!


鹿島「はい、常に持ち歩くようにしてますね! 栄養も取れますし、なによりマズいってイメージがあったんですけど、これはおいしいんですよ!」


青汁を飲み、前よりも笑顔を見せるようになった鹿島さん。これからも、元気でいてほしいですね!

さぁ、テレビの前のあなたも! いまなら一週間無料お試しパックもご用意してます!

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『健康青汁 ~鹿島さんver~』

ごめんなさい。
>>94が「第六話」になってますが、「第七話」でした。


『陽炎組の収入源』


―――モブ上組・某所


ジジー…


ドゥンドゥン♪
ガチャガチャ…‼

モブ上A「――ヒマだなぁ……」


モブ上B「いやいやー、ヒマなのはいいことじゃないっすか先輩!」


モブ上A「まぁそうなんだけどよ。毎日毎日、こうやってパチンコスロットに金を突っ込むやつらを、監視カメラで見てるだけってのは飽きるぜ」


モブ上B「まぁまぁ……。――そんなことより先輩。この後イイ所行きましょうよ~」


モブ上A「あぁ? ったくお前は……」


ジジー‼


――あの、すいません! ちょっと、三番通路のほう見てもらえますかっ?


モブ上A「え? あいよ……――」カチャカチャ…


モブ上A「――なっ!!? あ、あいつはまさか……!!」





ジャラジャラ…‼
ザワザワ…
スゲー‼
アレ、コドモジャナイノカ…?



雪風「打ちますっ! 打ちますっ!」ジャラジャラ…


天津風「……別にそんな掛け声はいらないのよ。ひねってればいいの」


雪風「でも、それじゃつまんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「つまんないって言ったって……。雪風、理解してるの?」


雪風「わかんないですっ!」ジャラジャラ…


天津風「そう……。まぁいいわ」





モブ上A「――あ、あれはッ!! 最近このあたりのパチ屋を荒らしまわってるっていう……!!」


モブ上B「た、たしか陽炎組っていうところのやつなんでしたっけ?」


モブ上A「……なんていう勢いだ……! おい、あの台の確率さげろっ!」


モブ上B「りょ、了解っす!」カチャカチャ…





雪風「これ、壊れてます! 7しか揃わないです!」ジャラジャラ…


天津風「そう。でも、それはいい壊れ方だから安心していいわ」




モブ上A「ど、どうなってるっ!?」


モブ上B「そ、そんな……!? なんで……」カチャカチャ


モブ上A「……クソッ!!」ダッ‼


モブ上B「先輩っ!」




モブ上A「――お、おいっ!」


雪風「へっ?」


天津風「――あぁ、大丈夫よ。雪風はそのままで」


天津風「この店の人かしら? 何のよう?」


モブ上A「お、お前たち、噂は聞いてるぞ……!」


天津風「へぇ……。だからどうしようって?」


モブ上A「こ、こんなのイカサマだ!」


天津風「やだ、言いがかりもいいところね。じゃあ、他の台に移ればいいのかしら?」


モブ上A「ふ、ふざけるなっ!! テメェら――」


ガチャリ…


天津風「ふざけてるのはどっち? ……その頭、風通し良くしてあげましょうか?」

ワァ…‼
ザワザワ…
ナンダナンダ?

モブ上A「うっ……」


天津風「黙ってみてなさい。あんたにできるのはそれだけよ」


モブ上A「く、クソォ……!」



――――――

――――

――



雪風「お菓子がおいしいです!」モグモグ…


天津風「なんかいっぱい貰えてよかったわね」




天津風「……さて、それじゃ次はあの店に行こうかしら」


雪風「でも、雪風は遊んでていいのでしょうか……」


天津風「いいじゃない。これでいいって組長に――」


オウッ‼


天津風「――言われて……るんだし……」


雪風「あれ? この声って……」


天津風「……マズいわね」


「見ーーーつーーーけたっ!!!」


ズサァアアアア‼


天津風「……島風……!」チッ…


島風「やっと見つけたよ、天津風! 情報通りだったね」


天津風(情報……?)


天津風「――何度も言ってるけど、あんたと勝負する気はないわよ」


島風「なんて言って! 島風からは逃げられないよ!」


天津風「……雪風、行くわよ」ボソッ


雪風「……えっ――」グンッ


天津風「逃げるわ!」ダッシュ


雪風「わわっ!」


島風「…………ッ!!」ビュンッ‼


天津風「……なんとか、逃げきれたり――」


島風「――おっそーい!」


天津風「って、そりゃそうよねっ!」グッ


天津風「雪風! A作戦よ!」


雪風「A作戦っ? えーっと、A作戦は……」


天津風「――あぁもう、息止めてなさい!」ブンッ‼


ボワッ‼


島風「――っ!! ゲホッ……ゲホッ……!」





島風「――ふ、二人はっ!?」


ガラーン…


島風「あーっ、逃げられたー!」



――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


天津風「――っていうことがありまして」


時津風「わぁーっ、雪風だー!」


雪風「時津風、お菓子食べましょう!」

ワーイワーイ‼

陽炎「そう……それは災難だったわね」


天津風「島風は確かに『情報通りだった』と……」


陽炎「あの島風を人間が捕まえられるとは思えないわね」


黒潮「ってすると……」


陽炎「えぇ、どこかの組が天津風たちの情報を流したってことね。……でも、問題はどこの組が流したかじゃなくて、何処から漏れたのか……よ」


不知火「……まさか――」


陽炎「なるべくなら考えたくはないけど……。一つの可能性としては――」


天津風「陽炎組の中に……?」


黒潮「はぁ……」


陽炎「明日、陽炎組を全員集めましょう」


黒潮「……流したのは暁組やろか?」


陽炎「情報を聞く限りそんなことするようには思えなかったけど……。白露組もこんな小細工はしないでしょうし。困ったわね……――」


――――――


コソコソ…


秋雲「いやぁ、これはちょっとマズいかもなぁ……――」



 第七話
 「けんもほろろ、神風組/陽炎組の収入源」

お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


萩風「陽炎組若中、萩風です」


萩風「実は私、陽炎組のご飯を作ったりしているんですよ」


萩風「そんな意味では、みなさんの健康を任されているような気がして責任重大です」


萩風「…………ですが、最近陽炎組はピリピリしてます」


萩風「はぁ……、陽炎組はどうなってしまうのでしょうか……」


萩風「次回『暁が如く』」


萩風「『私計か、それとも……。秋雲の苦悩』」


萩風「任侠桜に仁義の嵐!」


萩風「……秋雲? あなたは陽炎組……なのよね?」



デデデン♪


おつ
島風はどーいう立位置なんやろ?

>>104
島風は、業界最速の配達員。裏の顔は気まぐれヒットマンやで。
ただ、なんやかんや色々あって天津風を目の敵にしてるって設定だけど、特に深い意味はないから気にしなくていいよ。



 第八話
 「私計か、それとも……。秋雲の苦悩」



―――陽炎組・本部


ザワザワ…


陽炎「――さて、みんな集まったかしら」


シーン…


陽炎「今日みんなを集めたのは、最近活発になってきている他の組についてよ」


磯風「……それは人間の、ということですか?」


陽炎「いいえ、違うわ。……まぁたしかに、徒党を組んで陰で何か企んでるんじゃないかって噂もあるけど」


陽炎「――ただ、今日は艦娘の組についてよ。暁組の事はみんな知っているかしら?」

ザワザワ…

陽炎「そう。最初は気にも留めてなかった組だったんだけどね。それが今や、睦月組・吹雪組・秋月組と手を組み、私たち陽炎組に匹敵するほどの勢力になってるわ」


陽炎「私たちも何とか対抗していきたいんだけど、残念ながら周りに敵が多すぎる」


陽炎「……そして、新たな問題も浮上してきたわ」


初風「……問題、ですか?」


陽炎「……黒潮、お願い」


黒潮「――はいはいー」


黒潮「みんな、おはようさん。……問題っていうのはな、資金源のことなんや」


黒潮「えーっと……うちら陽炎組は、基本的に他の人間の組から資金を調達しとる」


黒潮「まぁ、まっとうにやってるところはええんやけど、主にはあくどい商売やってるとこに対してやな」


黒潮「最近になると、みんなの働きもあってか数は減ってるように思う」


黒潮「――ただ、おかしな報告も増えてきてな。これがその問題っちゅうやつや」


黒潮「『逃げられた』……そういう報告が多くなってきたんや」


浜風「そういえば、たしかに……」


谷風「あぁー! そんなこともあったねぇ」


嵐「偶然だったり……」


野分「話の意図を考えなさい。これはつまり……」


舞風「あれあれ? ……まさか、暗い話かなー」





浦風「――待ってくれんじゃろか本部長ッ!! ウチには……本部長がイヤな事を言っているように聞こえてしまうんよ……」


黒潮「……そうやな。うちもできることなら言いたくはないんやけど、こればっかりはそういうわけにもいかん」


浦風「それじゃ、やっぱり……」


黒潮「そうや……――」




黒潮「 この中に、陽炎組の情報を流してるもんがおる 」




時津風「そっかぁ……」

浦風「……まさかなぁ」

磯風「ふむ……」

浜風「この中に……っ」

谷風「そいつぁ……」

野分「………………」

嵐「マジかぁ……」

舞風「うはー……」

萩風「そ、そんな……」

秋雲「………………」シラー…



陽炎「――みんな、静かに。……こうは言ったけどね、可能性としては違うことも考えられるわ」


陽炎「人間の組が私たちを混乱させるためにやってるのかもしれないし、私たちもまだ決めつけてはいない」


陽炎「……でも知っておいて」



陽炎「――……もし、それが原因で陽炎組の誰かが危険な目に遭うのだとしたら、私はそいつを許さない」ゴゴゴゴ…‼



陽炎「……以上よ。解散していいわ」



秋雲「………………」ダラダラダラダラダラ…


萩風「……秋雲? 大丈夫、すごい汗だけど……?」


秋雲「へ、へっ!? ちょ、ちょーっと暑くてさ……あはは……」


萩風「そう、かな……?」アツイ…?



――――――

――――

――




陽炎「――もし陽炎組の中に居るのだとしたら、浜風から下の組員かしらね……」


黒潮「たぶん、そういうことになるやろなぁ……」


陽炎「……不知火。情報を受けている組はわかった?」


不知火「断定はできませんが、綾波組か夕雲組。……おそらくは夕雲組かと」


陽炎「そう、ご苦労さま。……夕雲組から目を離さないでおきましょう。小さな動きも見逃さないで」


不知火「はい」


陽炎「ふぅ……。もう、迷ってる暇はないのかもしれないわね……」


黒潮「……どうするつもりなんや?」


陽炎「……神風組と初春組、そして……白露組。この三つに同盟を持ち掛けましょう」


黒潮「なっ……! 初春組はともかく、神風組は断られたばかりやないかっ? それに白露組にもなんて……!」


陽炎「もう事態は動き始めてるわ。この前とは違う。……神風組も動いてくれると思う」


黒潮「だとしても、なんで白露組にも……。それなら綾波組のほうがええと思うけど」


陽炎「綾波組は……なんて言えばいいのかしら。静かすぎるのよ」


黒潮「どういうことや?」


陽炎「ここまで夕雲組も綾波組も……、どちらも大きな動きを見せてないわ。大人し過ぎる気がしない? ……イヤな予感がするの」


黒潮「だからって……」


陽炎「それに、いつまでも白露組っていう爆弾を抱えてるわけにもいかないでしょう。もし、同盟がダメなら……やるしかない」


黒潮「…………そうかぁ」


黒潮「わかったわ。組長がそこまで言うんやったら、うちも何も言わん。……やったろうやないか」


陽炎「悪いわね……。ここが正念場よ――」


――――――

――――

――


秋雲「………………」ゴソゴソ…

萩風「――あら、秋雲? どこかに出かけるの?」

秋雲「あ、あぁ、萩風の姉貴! うん、ちょっと出かけてるくる……」アハハ…

萩風「そう……。気を付けてね」

秋雲「あはは、大丈夫大丈夫っ! それじゃ、いってきまーっす!」

萩風「………………」


―――CMへ


―――CM⑧

『☆アイオワのテレビショッピング☆』


サラトガ「――ハァ……」


イントレピッド「Hey,Sara? そんな落ち込んでどうしたの?」


ガンビア「そ、そうですよ! らしくないです……」


サラトガ「それが、最近出撃が少なくて……ちょっと運動不足かも……」


デデーン‼


アイオワ「――Hi! Sara、あなたのその悩み解決するわっ!」


サラトガ「えぇっ? でも、どうやって……?」


アイオワ「今回紹介するのは、こちら!」

ガラガラ…

イントレピッド「こ、これはランニングマシーン?」

ガンビア「で、でも、水が入ってます……」


アイオワ「そう! これはジェット水流によって、まるで出撃の時の海の上を走るように運動できるマシーンなのよっ!」


サラトガ「Wow! これなら出撃できないときも、部屋の中で同じだけの運動ができるわねっ!」


イントレピッド「うーん……。でも、ずっと部屋にあるとさすがに邪魔じゃないかしら……?」


アイオワ「Don’t worry! ――カモン、Samuel!」


サミュエル「Nice to meet you! よろしくね!」


アイオワ「それじゃ、さっそくお願いできるかしら」


サミュエル「OK! ――よいしょ……」カチャカチャ…


ガンビア「わぁ! あんなに折りたためるなんて!」


サラトガ「それに、あんなに小さい子でも動かすことができるのねっ!」


アイオワ「これなら使いたい時すぐに出すことができるし、しまう場所も選ばないわっ!」


イントレピッド「たしかに、これはすごいわねっ! ……でも、やっぱりお値段は高いの?」


アイオワ「フフーン! この私を甘く見てもらっては困るわ!」


アイオワ「今ならなんと、このPriceで!」ガシャーン


サラトガ「Fantastic! なんてお買い得なのかしら!」


アイオワ「――さぁ、そこのあなたも! いますぐチェック!」


おつ、秋雲の胃がマッハですなぁ
そして暁のハードルが周りに勝手に上げられていく…


―――CM明け


―――某所


秋雲「………………」コソコソ


「――秋雲」


秋雲「――うわぁっ!」ビクッ


風雲「な、なによ……! そんなビックリしなくてもいいじゃない……」


秋雲「か、風雲の姉貴か……。はぁ、心臓に悪いよ」


風雲「…………? どうしたの、今日はやけにビクついてるわね」


秋雲「あ、あぁー……。それが……さ――」




――――――


風雲「――なるほど、ねぇ。そっか、私たちが邪魔してるのバレてるんだ」


秋雲「まだ、秋雲としては疑われてはないかもだけど……」


風雲「……じゃあ、こっちに来たらどう?」


秋雲「え?」


風雲「これが引き際なのかもしれないわ。秋雲だって、そんな神経すり減らすのは疲れるでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「――というか、もともと夕雲組長だって反対してたのよ。秋雲にだけそんなことはさせられないって」


秋雲「……いいんだよ。これで、いいんだ……」


風雲「はぁ……、最初にあんたが夕雲組に接触してきたときは警戒したものだけど、いまならわかるわ。……誰かのために、動いてるんでしょ?」


秋雲「………………」


風雲「でもね、物事にはどうしようもないこともあるの。……もう十分、秋雲は頑張ったわよ。後は夕雲組がなんとかするわ」


秋雲「――ダメだよ」


風雲「なんで……って聞いてもいいの?」


秋雲「……まず、風雲の姉貴は勘違いをしてる。……これは私のためなんだ。誰のためでもない」


風雲「………………」


秋雲「私のため……。そのために、夕雲組を利用してるんだ。……ただ、それだけなんだよ」


風雲「……そう。まぁ、それでもいいわ――」



――

――――

――――――


秋雲「――こんなもんかな。……それじゃ、引き続きよろしく頼むよ」


風雲「えぇ、わかったわ」


秋雲「あ……それと、これからはこう頻繁に会えないかもしれない。今までみたいに、曜日で会うのは止めにしよう」


風雲「いいけど……。どうするのよ?」


秋雲「何とか連絡するよ。……さて、それじゃ――」



カランッ…



風雲「――誰ッ!!」ガチャ‼


萩風「あっ……あの……!」


秋雲「は、萩風の姉貴……っ!!?」


萩風「――――っ」ダッ


風雲「逃がさないわ――」


秋雲「ま、待って!!」バッ‼


風雲「どきなさいっ! 見られてるのよっ!?」


秋雲「あ、秋雲が……! なんとか説得するから……、だから……!」


風雲「…………ハァ……。……秋雲、こうなってしまった以上しょうがないわ。夕雲組に行きましょう」


秋雲「……いいや、行かない」


風雲「………………。――そう、それじゃもう終わりね。秋雲があの娘を説得できようができまいが、次からのあんたの情報は信用できなくなる」


秋雲「うん、わかってる」


風雲「……それでも、戻るのね?」


秋雲「………………」コクッ


風雲「――じゃあ、もう何も言わないわ。……もしなにかあったら、ここに連絡しなさい」スッ


秋雲「これは……?」


風雲「私の連絡先よ。……夕雲組としては動けないかもしれないけど、風雲としてなら動けるかもしれないわ」


秋雲「……わかった。ありがとう、風雲の姉貴―――」



――――――


―――陽炎組・本部

秋雲「………………」ゴクッ

ガララッ‼

秋雲「た、ただいま帰りましたー……」


浦風「――あぁ、秋雲。おかえり」


秋雲「――ッ! あ……えと……」

浦風「…………? どうしたんじゃ、そんな顔して……」

秋雲「…………えっ? ――あ、あぁいやっ、なんでもないです!」ヘヘヘ…

浦風「そ、そうなん……? なにかあったら、遠慮なく言うんよ?」

秋雲「はい、ありがとうございます……――」


―――陽炎組・本部・厨房


萩風「………………」トントントン…

ジュー…

秋雲「――萩風の姉貴」


萩風「………………」


秋雲「なんで、黙ってるんだ?」


萩風「……言えなかった。……なんででしょうね」トントントン…


秋雲「報告するならまだ間に合う。……これじゃ、萩風の姉貴も共犯になっちゃうよ」


萩風「止めないの?」


秋雲「しょうがないよ。全部、私の責任だから……」


萩風「………………」


萩風「――秋雲、今日は健康ハンバーグを作ってみたの。配膳、手伝ってくれる?」


秋雲「萩風の姉貴っ! どうして――」


萩風「だって! ……秋雲は、苦しんでるじゃない!」


秋雲「――――っ」


萩風「それに、可愛い妹分だから……。ふふっ、私たち……共犯だね」


秋雲「なんだよ、それ……。…………ありがとう」ボソッ…


――――――

――――

――

 第八話
 「私計かそれとも……。秋雲の苦悩」


お わ り



【次回予告】

デデンデデン♪


高波「夕雲組若頭補佐、高波……です!」


高波「ついに私たち夕雲組が動き出す時が来た……かも!」


高波「でも、私たちの動向は陽炎組に見張られちゃってたりするかもですけど――」


高波「夕雲組は陽炎組なんかには負けない……です!」


高波「次回『暁が如く』」


高波「『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』」


高波「任侠桜に仁義の嵐……かも!」


高波「――へっ!? さ、最後に一言って……聞いてないかもっ!」



デデデン♪


読んでる人居るかな?

ちょっと聞きたいのですが。
自分はこのサイトでSSを書く時って、基本的には行数いっぱいに使って書くようにしてるんだけど、これって読みにくかったりしますか……?
「行数全部使ったら読みにくい」という意見があったので……。

出来ればこのままでやりたいのですが、読みにくいって人が居るなら直そうかなと思ってます。

問題ないかも!

読んでますよ
自分もこのままで問題ないと思います(むしろこの方が好き)

今のままでいいと思うぜ

作者雑談スレに書かれました?
自分はレスを10行とかでぷつぷつ切られる方が読みにくい
というか露骨なレス稼ぎに見えてよっぽどの良作でないと読むのをやめる
場面とかの切り替えとかでレスを切る人もいるしやりたい様にされるのが一番かと
更新がまとまって有ると続きがどうなるのかの展開を考えやすいから自分は好きですね
いつも楽しませていただいています

このままで大丈夫だぞ

このままで大丈夫
止まるんじゃねえぞ

みんなレスありがとう。

>>119
そうなのです。そのスレでそういう話になっていて「そういう意見もあるのか」と少し不安になってたのですが、杞憂だったみたいで安心しました。

SSの書き方にも依るのかもしれませんね。
私は擬音とか色々入れやすくするために行間が結構空いてるので、むしろいっぱいに使った方が良いのかもしれません。

なにはともあれ、読み辛くはないようなのでよかったです。

このまま続けます。



 第九話
 「のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟」


―――暁組・事務所


ザザッ…

暁「――あれ? ……テレビの調子がおかしいわ」


電「はわわっ! こ、これじゃ、じゃんけんができないのです……」


雷「うーん、困ったわね……。叩けば治るかしら」スッ


電「わーっ! だ、ダメなのです! きっとテレビじゃなくてアンテナの方なのです……」


暁「アンテナかぁ……。でも、いま響いないし、秋月組のみんなも出ちゃってるのよね」


雷「……あっ、そうだ」

ゴソゴソ…

暁「…………? なに探してるの?」


雷「じゃーん! DVDよ!」


電「たしかに、DVDなら見れるのです! けど、内容はいったい……?」


雷「――ホラーよ」


暁「」

電「」


雷「どうする、組長? 組長が怖いならやめましょうか」


暁「なっ……! ぜ、全然怖くなんかないわ! いいわよ、見てやろうじゃない!」カチーン‼


電「はわわ……。電は怖いの苦手なのです……」

ワーワーギャーギャー

――――――

――――

――



―――神風組・本部


神風「――あらあら。これはこれは……」


朝風「まさか……アンタが来るとはね」





陽炎「実際に会うのは初めてかしら? ……先日は親潮が世話になったわね」








春風「随分と、度胸のあることですね」


松風「いいじゃないか。そういうの、嫌いじゃないよ」


神風「……それで、今回はいったい何の用? ――と、言いたいんだけど……」



不知火「………………」ゴゴゴゴ…



神風「そっちのが、随分とやる気じゃない。……でも、戦争をしに来たわけじゃないでしょう?」


陽炎「えぇ、もちろん。……不知火、大人しくしなさい」


不知火「ずっと大人しくしてます」


陽炎「わかったから。ジッとしてて」


不知火「………………」ムスッ


陽炎「ごめんなさいね、気にしないでくれると助かるわ」


神風「ま、いいわ。――それで、陽炎組の組長さんが、こんな小さな組に何の用かしら?」


陽炎「どうやら、回りくどい言い方は好まないようね? 私もそうだから、単刀直入に言わせてもらうわ――」


陽炎「――私たち陽炎組と、同盟を組んでほしいの」


神風「はっ……。また答えないといけないの? 断ったつもりだったけど」


陽炎「前回とは状況が違うわ。……もう少しで、私たち艦娘の間にある均衡が崩れる。そんな予感がするの」


神風「『予感』ね。そんな曖昧なもので私たちは動かないわ。……で、話は終わり?」


陽炎「……もう一度、よく考えなおしてくれないかしら?」


神風「…………解せないわ。何故、陽炎組ともあろうものが、私たちなんかに頭を下げるの?」


神風「正直に言えば、神風組が陽炎組と戦えば、神風組が勝つ見込みは少ない。それぐらいは私でも分かる」


神風「――あなたは、私たちを力で屈服させることもできたはず……。それが何故?」


陽炎「そんなの、単純な話よ……」



陽炎「――私たち陽炎組と神風組は、同等の立場として一緒に戦ってほしいの」



神風「………………!」


陽炎「……でも、ダメなら諦めるわ。今後一切、陽炎組は神風組に関わらないことを――」


神風「――わかった」


陽炎「……え?」



神風「『わかった』って言ったの。何度も言わせないで」


陽炎「それじゃ……!」


神風「えぇ、私たち神風組は、いついかなる時も陽炎組に味方するわ」


朝風「ちょ……! 組長、それは……――!」


神風「――黙りなさい、朝風。もう口に出してしまったの。今さら無しだなんて言えないわ」フフッ…


朝風「はぁ……。まったく……」

春風「……私は、組長がそれでいいのであれば」

松風「……ま、それもおもしろいかもね」

旗風「私も、異論はありません」


陽炎「……感謝するわ」


神風「どうするの? 盃でも交わすのかしら?」


陽炎「それはまたの機会に。……実は、もう一つ厄介なものを抱えてるのよ」


神風「ふぅん……?」


陽炎「……初風。イヤな役を押し付けちゃったわね……――」



――――――

――――

――



―――白露組・本部


クスクスクス…
アハハハ…
ドウシテヤロカシラ…


初風「………………」ダラダラ…


時雨「……ようこそ。初風さん……だったかな?」


初風「え、えぇ……――」


初風(なんなのよこれ……。まるで生きた心地がしないわ……)


ヤッチャッテイイッポイ?
ダメヨ…マダ…
クスクスクス…


初風(――あぁもう……。組長、恨みます……)


時雨「まぁ、そう緊張しないで。リラックスしてよ」


初風(くっ……出来るわけないでしょう……!)


――――――



―――数刻前・陽炎組・本部


初風「――わ、私が、一人で白露組に……!?」


陽炎「ごめんね、初風。本当なら私が行こうと思ってたんだけど……」


陽炎「みんなが『私が行くなら着いていく』って聞かないのよ……」


黒潮「当たり前や。自分の立場ってもんを考えろっちゅうんや」


陽炎「不知火にはそういうのは無理だし、黒潮も向いてないし、親潮にもちょっと荷が重いかなって」


陽炎「――初風、あなたが適任なの。どうか、お願いされてくれないかしら」


初風「で、ですが、一人ですか……?」


陽炎「今回、白露組と交渉をするなら、出来るだけ戦闘の意思を見せないで欲しいの」


陽炎「……これは難しい任務よ。……今回ばかりは、無理にとは言わないわ。イヤならイヤと言っても、誰も責めない」


陽炎「でもね。同時に、この任務は初風にしか出来ないとも思っているわ」


初風「………………」


陽炎「……どう?」


初風「……ズルいですよ、そんなの……」


陽炎「ごめんね……」


初風「――あぁ、わかりましたっ! この初風、たとえ首を落とされてもこの任務、遂行して見せます!」


陽炎「……よく言ってくれたわ。……初風、よろしく頼むわね――」


――――――

――――

――


初風「……断ればよかったかしら……」ボソッ


時雨「……なにか言ったかな?」


初風「――い、いえ。……それで、今回は私たち陽炎組と白露組で同盟を結びたい……という話で来たのですが……」


時雨「同盟……ね。一つ聞きたいのだけど、それは僕たちにとってどんなメリットがあるのかな?」


初風「……最近、暁組という組が急激に力を付けてきてます。それに対抗する形で――」


時雨「答えになってないなぁ。それじゃあ僕たち白露組は、陽炎組と同盟を組まないと潰されてしまう……と、キミはそう言いたいの?」ゴゴゴゴ…


初風「――そ、そういう……わけでは」


初風(なんていうプレッシャー……。若頭の時雨……噂以上ね……)



村雨「同盟なんてそんなものより、陽炎組に乗り込んじゃったほうが面白いんじゃないかなぁ?」


初風「なっ……!」


夕立「賛成っぽい! それじゃあ……、この人はヤっちゃっていいっぽい?」ガチャ


時雨「うるさいよ。……いま僕が話してるんだ」ギロッ


時雨「――でも、それも悪くない意見だ。まさか陽炎組が、そんなに弱腰だとは思わなかったよ」

クスクスクス…
アハハ…
ヨワイノネ…

初風「――ッ!!」グッ…


時雨「……話は終わりかな? それじゃ、いい機会だ。僕たち全員で、陽炎組まで送って差し上げようじゃないか」ニコッ


初風(……やられる? 逃げなきゃ……!?)


初風「――ふふっ……」


時雨「…………何かおかしいかな?」


初風(――『逃げる』? 陽炎組を馬鹿にされたまま、私は逃げるっていうの? ……あり得ないわ)


初風「……いい度胸だわあなた達。陽炎組を敵に回す事、後悔させてあげ――」




白露「――ねー、時雨? 同盟ってなに?」




時雨「あぁ、組長……。同盟というのは、弱い者同士が力を合わせることです。僕たちには……」


白露「じゃあ、組むのと組まないの。どっちが一番に近いの?」


時雨「……そういう意味では、組んだ方が早いかもしれませんけど――」


白露「――じゃあいいよ。同盟の話」


初風「へっ?」


時雨「……組長がそういうのであれば」


時雨「――っていうことになったよ。よろしくね、初風さん」ニコッ


初風「あ、あぁ……はい……」


夕立「えぇー! そんなの――」


時雨「――夕立、これは組長の意向だよ? まさか逆らうのかい?」ゴゴゴゴ…


夕立「じょ、冗談っぽい……」シュン…



初風「…………け、結果オーライって所かしら……」




時雨「――でもまぁ、僕たちの同盟はその暁組とのいざこざが終わるまでだ」


時雨「それが終わったら、僕たちは即座に君たちの敵になる。……これでいいかな?」


初風「えぇ、かまわないわ」


時雨「初風さん、先ほどまでの無礼は詫びよう。……実際の所、ここに一人で来るだなんて……相当な実力と、信頼があるんだね」


初風「……まぁね」フンッ


時雨「ふふっ……。まぁ、こういうのも面白い。そう思うようにするよ――」


――――――

――――

――


―――CMへ



―――CM⑨

『サーチ♥ライト』


―――猫鳴警察署

ダンッ

球磨「――くっそー『怪盗サーチ♥ライト』め……! また予告状なんて出してきやがったクマ!」

多摩「球磨主任……。今のうちからそんなに緊張しててもしょうがないニャ」

球磨「しかしだクマ! いつまでも舐められてるわけにはいかんクマ!」

北上「まぁーさー。こういう時はあの喫茶店でも行って落ち着こーよ」

球磨「……それもそうクマね――」


―――喫茶店『サーチライト』

カランカラン…

那珂「――いらっしゃーい!」キャピッ


球磨「来たクマー」


神通「――あれ、皆さん。なにか神妙な面持ちですね」


多摩「また予告状が届いたのニャ……」


川内「あー、あの『怪盗サーチ♥ライト』から? 早く捕まえちゃってよー。偶然にも同じ名前のこの店が悪く見られちゃうしさ」


球磨「うぐっ……。く、球磨達だって頑張ってるんだクマ……」


神通「そうですよ、姉さん。……はい、コーヒーです」コトッ


北上「でもさー、なんであの怪盗たちは予告状なんて出してくんのかねー。黙って盗ってきゃいいのにさ。そうすれば、私たちだってこんな動かなくてもすむんだけどなぁ」


那珂「あー! 刑事さんがそんなこと言ってもいいの?」


北上「あははー、いいのいいの」


カランカラン…‼


木曾「球磨主任! やっぱりここに……。今日は会議だってのを忘れたのか?」


球磨「あっ……」


神通「あはは……。それじゃ、お仕事頑張ってくださいね――」




――しかし、そんな彼女たちには裏の顔があった!


神通「――川内姉さん! 那珂ちゃん! 行きますよ!」

川内「おーっ!」
那珂「いえーいっ!」


闇夜を駆ける三つの影。そして照らされる探照灯!
 そう、彼女たちこそが『怪盗サーチ♥ライト』だったのだ!


『サーチ♥ライト』
 二水戦テレビ系列にて絶賛放送中!

二水戦テレビはどこに行けば見れますか!!?

キャッツアイかぁ
懐かしいなぁ、シティハンターにも喫茶店の名前だけ出てきてたりしてたの思い出した
本編も続き待ってます

>>130
二水戦テレビは、水雷魂を持ってテレビつければきっと見れるよ。


―――CM明け


―――暁組・事務所


アナタハダァレ?

暁「………………」ゴクッ

アハハ‼アハハハハハ‼

雷「んー! んーー……!」チラッ

ソレハナァ…―

電「はわわ……! はわわわわ…………!!」ガタガタ…


オマエダァアアアアアアアアアアアアアア‼


「「「いやぁああああああああああああっ!!」」」


ガチャ…

響「ただいま。いま、なにか悲鳴が聞こえたような――」


「「「きゃあああああああああああああ――!」」」


暁「――って! ひ、響じゃない!! び、びっくりさせないでよ、もうっ!!」


響「……すまない」


電「はわ………………」チーン…


雷「こ、こんなに怖いなんて、聞いてないじゃない……!」


響「……ふーん、ホラー映画を見てたのかい?」


暁「ま、まぁね! ぜ、全然怖くなかったけど!」

電「……電はすごい怖かったのです……」

雷「ウソよっ! 組長だって叫んでたじゃない!」

暁「そ、それは――!」


響「――まぁまぁ。それよりも……」


暁「…………? それよりも?」


響「いや、そこに居る赤い服の人は誰かな……って思ってね」


暁「」ピキッ

電「」パキッ


雷「――だ、騙されないわっ! そういって、響は私たちを驚かそうとしてるのね!」

響「そう言われても……」

暁「そ、そうだわっ! ふんっ、どうせ誰も居な――」クルッ


早霜「…………こんにちは」フフッ…


――イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……


――

――――

――――――


暁「――ゴホンっ。……えーと、それじゃ改めて……」


暁「……私たちの事務所に勝手に入り込んで、あなた誰なのよっ?」


早霜「ごめんなさい……つい。映画を見終わるまで、待っていようかと思ったのですけど……」


雷「というか、いつから居たの?」


早霜「ずっといましたよ。ずーっと……」フフフ…


電「この人怖いのです」


響「……その服から察するに、キミは夕雲組だろう? ……いったいどんな用件で?」


早霜「それは、まず私の口よりもこれを……」スッ


暁「……DVD? ……こ、怖いのじゃないのよね?」


早霜「ご安心を……。夕雲組長からの伝言です……」カチッ



夕雲『――初めまして、暁組の皆さん。夕雲組組長、夕雲と申します』

夕雲『このような形での挨拶となってしまい、大変申し訳ない気持ちであります』

夕雲『ですが、いま夕雲組はとある事情から陽炎組に目を付けられていまして、外出はおろか通信機器すらも傍受されている可能性から、使うことができないのです。どうかご容赦くださいますようお願いいたします』

夕雲『私どもの方にも、暁組の活躍は聞き及んでおります。さぞ、組長様は器の大きい方なのでしょう』


暁「そ、それほどでも……あるわね」

雷「………………」

電「………………」


夕雲『――そこで一つ。無茶な事なのは承知の上で、暁組にお願いしたいことがあるのです』

夕雲『陽炎組に居る私たちの内通者。秋雲の救出をお願いしたいのです』


暁「救出……?」


夕雲『こうなってしまった経緯は話せば長くなってしまうので割愛しますが、彼女は多くの情報を私たちに与えてくれました』

夕雲『私たちはその情報をもとに、陽炎組の力を削っていたのですが。しかし、陽炎組も馬鹿ではありません。ついに情報提供の事が感付かれてしまったのです』

夕雲『まだ秋雲さんが内通者だということは気付かれていないようですが、それも時間の問題でしょう』

夕雲『……そこで、陽炎組の目がこちらに向いている隙に、秋雲さんを暁組に救出していただきたいのです』

夕雲『もちろん、本来であれば私たち夕雲組で解決しなければいけないことでしょう。しかし、先ほども申しました通り。夕雲組は陽炎組に目を付けられてしまっていて動くことができません』

夕雲『……無茶なお願いなのはわかっています。強要はできませんし、お断りしていただいても構いません』


夕雲『――……ですが、もしやっていただけるとの事であれば、私たち夕雲組は暁組に絶対の忠誠を誓いましょう』

夕雲『どうか、ご一考いただければ幸いでございます。……これ以上の詳しい話は、その場に居る早霜にお聞きください』



早霜「――以上が、夕雲組長からのお言葉です」



暁「きゅ、救出って……あの陽炎組相手に……? な、なんで私たちなのよっ?」


早霜「……それはそうでしょう。いまや、あの陽炎組に対抗できるのは、睦月組・吹雪組・秋月組を傘下に置く、あなた方暁組だけなのですから」


電「さ、傘下って……?」


雷「……まぁ睦月組はともかく、他二つはそう見えてもおかしくないわね……」


響「――しかし、理解できないな。なぜ、その内通者一人のためにそこまでするのか……。もともと、そういうリスクは承知の上なのでは?」


早霜「……それについては、少し複雑なのです……。その秋雲ですが、もともと私たちが送り込んだものでもありません」


暁「どういうこと?」


早霜「秋雲は元から陽炎組の組員なのです。……それが、ある時私たちに接触してきて情報を提供してきたのです」


雷「へぇ……。どんな見返りを望んでたのかしら?」


早霜「……いいえ、秋雲は見返りを要求しなかったのです。ただ、陽炎組が大きくなるのを止めてくれればそれでいいと」


電「え、えぇっと……?」


早霜「それ以上のことはわかりません……。秋雲本人に聞いてみないことには」


響「……それで? 夕雲組が秋雲一人のためにそこまでする理由は?」


早霜「……夕雲組長は仁義を重んじるお方です。秋雲を見捨てておくのが我慢ならないのでしょう」


暁「……か、考える時間はどれくらいあるの?」


早霜「実は……あまり猶予がありません。なぜかと言いますと、このDVDを録った後に陽炎組の萩風という組員から電話があったのです」


早霜「『秋雲を、守ってほしい』と」


電「で、でも……、さっき通信機器は……」


早霜「そう。おそらくは下の組員まで詳しく話をしていなかったのでしょう……。萩風のその電話はたぶん……」


雷「もし、私たちが断ったら?」


早霜「……その時は、夕雲組と陽炎組の戦争になるでしょう。……勝ち目は薄いかもしれませんが」


暁「……みんなはどう思う?」


電「い、電は……よくわからないのです……」


雷「難しいわね……。夕雲組が味方になるのはすごいことだと思うけど……」


暁「……響は?」


響「――私は反対だ。『絶対の忠誠を誓う』とは言っても、夕雲組がそれを守る保証はどこにもない」


響「陽炎組を相手にすれば、私たちだってタダじゃ済まないかもしれないんだ……」


暁「…………そうよね」


早霜「さっき夕雲組長が言った通り。断ってもそれはしょうがない事です。暁さんが気に病むことではありません」


暁「………………」


雷「組長…………」

電「はわわ……」

響「…………組長」


暁「――……決めた」


早霜「…………はい」






暁「 秋雲救出の件。私たち暁組が請け負ったわ 」






早霜「…………え……?」


雷「――ふふっ! 組長なら、そう言うわよね!」


電「なのですっ!」


響「………………っ!」


暁「…………響。あの、えっと……」


響「――ハラショー。……それでこそ、我が組長だ」


暁「え? いいの……?」


響「もちろんさ。……私は、それがたとえ地獄へ通ずる道だとしても、組長と共に歩くよ」ハラショー


暁「響……!」


早霜「あ、あの……! 本当に……」


暁「――早霜、帰って夕雲さんに伝えなさい。秋雲は、私たちが必ず救い出してみせる……ってね」ニコッ


早霜「――っ! ……必ず」グッ



暁「戦争だなんて、そんな物騒なこと止めた方が良いに決まってるわ。……みんなを集めましょう。今すぐに作戦会議よ!!」

雷「えぇっ! 秋月達に伝えてくるわね!」

電「い、電はお茶とお菓子を用意するのです!」

響「それじゃ、私は作戦を考えようかな……」


 第九話
 『のうある鷹はなんとやら? 夕雲組の覚悟』

お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


曙「綾波組の若中をやってるわ、曙よ。……お相撲さんではないわ」


曙「あーあー、まったく面倒くさいことになってきたわね」


曙「正直な話、陽炎組と夕雲組が戦争したところで、私の知ったことじゃないわ」


曙「……でもまぁ、組長が言うんだったら仕方がないか」


曙「見てなさい。目に物を見せてあげるから」


曙「次回『暁が如く』」


曙「『嫁菜の如く』」


曙「任侠桜に仁義の嵐……ってなによこれ?」


曙「ホント……冗談じゃないわ」


デデデン♪


乙でございます

提督って概念が存在しない世界観?

暁さん素敵すぎます

響が暁を大好きなことがよくわかる、尊い


 第十話
 「嫁菜の如く」



―――陽炎組・本部・昼

ザワザワ…
プップー‼
ワーワー‼


嵐「――なんだぁ? 今日はヤケに人の往来がある気がするなー」

野分「そうね。なんでも、遊園地の料金が半額になったり、有名人とかもくるみたい」

谷風「かぁーっ! 粋だねぇ!」

浜風「……しかし、何故急に?」

舞風「まぁまぁいいじゃん。楽しいのはいいことだよ!」


秋雲「あはは……」

スッ

初風「……秋雲」ボソッ


秋雲「…………っ! ――は、初風の姉貴……」


初風「ちょっと話があるの。……来てもらえる?」ゴゴゴゴ…


秋雲「………………!」ゴクッ

秋雲(――もうバレたのか……。思ってたより早かったな……)

秋雲「……はい。行きます……」


――――――


黒潮「――おぉ、秋雲。急に呼び付けて悪いなぁ」


秋雲「い、いえ……。そ、それで、お話というのは……」


黒潮「それがなぁ、この前話した内通者の事なんよ」


秋雲「………………」


初風「……もう目星はついたの。でも、いま組長の心労を増やすのも嫌でね。……わかるでしょう?」


秋雲「……はい」


黒潮「それで、その目星っていうんがな――」


秋雲「…………っ」ギュッ…






黒潮「萩風……だったんよ」






秋雲「…………えっ、萩風の姉貴?? ど、どうしてっ!?」


初風「気持ちはわかるわ。私だって、最初は信じたくなかったけど……」


黒潮「実はなぁ、うちらは情報の流出先が夕雲組と見て、いろんな角度から様子を見てたんやけど」


黒潮「……この前、一つの通信を傍受したんや」


秋雲「ぼ、傍受……?」


黒潮「それはなぁ、夕雲組の若頭補佐……風雲への通信だったんよ。……残念ながら内容までは把握できんかったけども、おそらくは萩風の声やったと思う」


秋雲「そんな…………」


初風「秋雲、あなたには何か決定的な証拠を掴んでほしいの。萩風もあなた相手だったら気を許すと思うから」


秋雲(萩風の姉貴が風雲の姉貴に……? いったい何がどうなって……。――とりあえず、ここは承諾して様子を見ないと……)


秋雲「わ、わかりました。なんとか、やってみます」


黒潮「すまんなぁ秋雲。よろしく頼むわ……――」



――――――



秋雲「――やっぱり無い……。風雲の姉貴にもらった、あの連絡先の紙が……」

トントン…

秋雲「――っ! ……は、はい!」


萩風「秋雲? ちょっと話があるの」


秋雲「……ちょうどよかった。私も、萩風の姉貴に話があるんだ」


萩風「そう。……じゃあ入るわね」ガチャ…


秋雲「萩風の姉貴……! 風雲の姉貴に連絡したのかっ!?」ガシッ


萩風「えっ!? そ、そうだけど……、なんで知ってるの? 秋雲も連絡を?」


秋雲「違うんだ……。その連絡の事が、もう本部長達にバレてる」


萩風「そんな……!」ハッ…


秋雲「なんでそんな勝手な事をしたんだよっ!」


萩風「……ごめんなさい。――でもっ、秋雲は陽炎組に居ないほうがいいと思ったから……! 結果的に私のせいでこうなってしまったけど、いずれはこうなる。隠しきれるはずがないもの」


秋雲「それならそれでよかったんだ! ……その連絡のせいで、本部長達は萩風の姉貴を内通者だと思ってる!」


萩風「…………っ! ――なら好都合ね。秋雲が逃げやすくなる」


秋雲「馬鹿なこと言うなよッ!」


萩風「実はね、私が今日ここに来たのは、さっき折り返しの連絡があったからなの」


秋雲「えっ……? 風雲の姉貴から……?」


萩風「えぇ、連絡とは言っても『朝霜を見た時、雲が集まる場所で』っていう謎めいたものだったけれど」


萩風「でも、その話を聞いてわかったの。傍受されてることを知って、暗号を使っているんだ……って」


秋雲「………………」


萩風「きっと明日の朝に、その『場所』に行けば――」


秋雲「……違う。冬じゃないから……」


萩風「え?」


秋雲「明日の朝じゃないんだ――」




秋雲「――今日の……夕方だ」




――――――

――――

――



―――某所・夕方

コソコソ…

萩風「――ほ、本当に夕方でいいの? 『朝霜』って確かに言ってたと思うんだけど……」


秋雲「教えられたんだ。こういう時の言葉に矛盾があれば、別の意味を考えろって」


秋雲「『雲が集まる場所』っていうのは、秋雲と風雲の姉貴の落ち合い場所ってことだと思う」


秋雲「でも『朝霜』は冬の季語で季節外れ。――それと同時に、『夕雲』組の組員の一人だから……」


萩風「なるほど……? ――でも、私も来て大丈夫なのかしら」


秋雲「こうするしかないよ。秋雲は残ってもよかったのかもしれないけど、萩風の姉貴だけじゃ信じてもらえないだろうし……」


萩風「……ご飯、作れなかったから……。みんな、もう気付いてるのかな」


秋雲「どちらにしたって、私たちは戻れない……。――ほら、もうすぐ着くよ」

ガサガサ…

萩風「――えっ……!?」

秋雲「な、なんであんた達がここに……っ!!?」




暁「――よかった、ちゃんと来たわね。秋雲と萩風かしら?」




秋雲「あ、あぁ……。なんで、夕雲組は……?」


雷「夕雲組はいま動くことができないらしくてね、代わりに……って頼まれたのよ」

電「なのですっ!」



萩風「信じて……いいんですか?」


響「それを決めるのはそっちさ。……さぁ行こう。まだ明るいうちになんとか――」


バンッ‼
バンッ‼
バンッ‼


暁「――ッ!? 探照灯……!?」





陽炎「――……そう。やっぱり、夕雲組と繋がってたのね。……初めまして、暁組の皆さん」





秋雲「く、組長……!!」


黒潮「……イジワルしてすまんなぁ、秋雲。本当はわかってたんよ……。でも、出来ればそうであって欲しくなかった」


初風「悲しいわね……」


秋雲「泳がされたってことか……」


萩風「み、みんなも……」



谷風「なんでこうなっちまったんだい……」

野分「覚悟は……出来てるんだよね」

嵐「まいったな……。こういうのはどーも……」

舞風「もう、ステップ踏めないね……」


雷「陽炎組が勢ぞろいじゃない……」

電「はわ、はわわわわ……」


陽炎「こちらとしては、大人しくしてくれると助かるんだけど……」


響「それは、無理な相談だね」


陽炎「……そうよね」


暁「……私たちも、争いたくはないのよ」


陽炎「ふふっ、おもしろいこと言うじゃない。冗談のつもり?」


暁「いいえ、だから争わないようにするために――」




暁「――こうなることも、予想してたってことよ」




陽炎「…………っ! ――みんな、周りを警戒してっ!!」




バシュッ‼ バシュッ‼


嵐「――なっ! 照明弾か!?」


卯月「うーちゃんだぴょ~んっ! どんどん撃つっぴょん!」

長月「思い知れっ!」バシュッ‼
菊月「行けっ!」バシュッ‼
三日月「えぇい!」バシュッ‼
望月「いよっ」バシュッ‼


初風「睦月組……っ!!」ギリッ…


暁「――よし、今のうちに逃げるわよ!!」

響「了解っ!」

雷「さぁ、二人も行くわよ!」

電「早くなのですっ!」グイッ

秋雲「あ、あぁ……!」

萩風「は、はいっ!」



陽炎「――浦風、磯風っ! 組員を連れて暁組を追いなさいっ!」

浦風「はいっ!」

磯風「了解!」


暁「うーちゃん! 私たちの目的は戦いじゃないってことを忘れないで!」


卯月「わかってるっぴょん!」

ザザッ

卯月「――頃合いをみて散開するぴょん。戦闘と、捕まることは禁止だぴょ~ん」

「「「「了解」」」」



ピピピッ‼

陽炎「――親潮っ? どうしたの、こっちも忙しいんだけど!」


親潮『すいませんっ! 浜風、時津風と共に夕雲組を見張っていたのですが、一斉に動き出しました!!』


陽炎「くっ……、そりゃ大人しくしてるわけないわよね……っ!」


親潮『ど、どうしましょう!?』


陽炎「親潮たちはそのまま! 戦わないで、気付かれない程度の距離で様子を見て、報告して!」


親潮『了解しました!』

プツッ…


黒潮「組長……どうするん? 夕雲組も関わってるとなれば、うちらの兵力だけじゃ……ちと厳しいかもしれんよ」


陽炎「……いえ、これは私たち陽炎組の問題。他の組に頼るわけにはいかないわ」


陽炎「出来ることを全力でやりましょう――」グッ…


―――CMへ


―――CM⑩

『メイド喫茶 アガにゃん』


キャルルーン♪

阿賀野「――おかえりなさいっ、提督さんっ♪」ニコッ


日常の生活に、疲れていませんか……?
 そんなあなたにお届けしたい! メイドのパワー!


酒匂「ぴゃんっ♪ 司令……だーい好き!」


ここ『メイド喫茶 アガにゃん』なら、素敵なメイドさんがお出迎え!
 中には少し個性的なメイドさんも……?


能代「オ、オカエリナサイマセッ! テ、テイトク……サマ……」ガチガチ


矢矧「な、なんで私がこんな……っ!」モジモジ…


ツンデレなメイドさんも、ちゃーんと居ますよ!
ぜひ、あなたの癒しになれば!



※『メイド喫茶 アガにゃん』をご利用いただく前に。

・ご利用料金は入場料800円(税抜)+メニュー代金になります。

・ご滞在は基本1時間までとさせていただいています。

・メイドさんと記念撮影(1000円)やゲーム対戦(500円)なんかもできます!(料金はお会計時に追加させていただきます)


・メニュー一覧(表記はすべて税抜です)
かいぼうかんコース  1500円
くちくかんコース   1800円
けいじゅんコース   2000円
じゅうじゅんコース  2300円
せんかんコース    2700円

アガにゃんスペシャルコース
・あがの      7500円
・のしろ      7000円
・やはぎ      6800円
・さかわ      6500円




たくさんのご来店、お待ちしてます!




気になる点や文句があれば、お気軽にお電話を!

TEL:○○○-△△△-□□□
(運営・天龍商会 店長・龍田まで)



>>139
実は答えづらいのですが、存在しないって感じで見てもらった方が見やすいと思います。

季節の事なんか一つも出してなかったのですが、急に出してしまって申し訳ないです。
六話で「祭り」というのは出してるので、「祭り」の季語は三夏ということで、そこら辺の季節感でお願いします。

開店から閉店まで粘れないのか
更新乙です、リーダーは頼りなくても周り(主に響)がしっかりしてて
それでも〆るところは〆る、毎回続き楽しみにしてますよー

一時間で回転って結構ハードだな。ヘルプとかもあるだろうし、体が持たなそう

>>150
提督さんにとって、私は何人目の私かしら?

もしかしたら各10人ぐらいずつ居て、シフトがあるのかもしれない

>>149
いつもありがとう。


よみずいランド行ってきましたー。
瑞雲も日向もカッコよかったです。
行けそうな提督さんが居たら、ぜひ行ってみてください。
ガンビアベイは、観覧車の奥の所に居ましたー。(場所変わってたらごめんなさい)


―――CM明け

―――時刻はさかのぼり 暁組・事務所


暁「――さて、だいたいの話はわかったかしら?」


秋月「か、陽炎組を相手に……ですか」

吹雪「本当に大丈夫でしょうか……」

睦月「きっと、みんなで力を合わせれば大丈夫にゃしぃ!」


暁「そうっ! 出来るか出来ないかじゃないの。やるしかないのよっ!」


暁「……それでこれから、私たち暁組が考えた『秋雲絶対救出大作戦』を説明するわ」


電「私たち……というか、全部響ちゃんが考えたのです」


暁「黙りなさい、細かいことはいいのよ。――それじゃ、響。説明よろしく!」グッ?


響「わかった。それじゃ、この作戦の概要と各組のやってもらいたい役割を話すよ――」


――――――


響「――と、そこまで出来ればもうこっちのものさ。……簡単に行けばそれが一番だけど、おそらくは陽炎組が出てくることになる」


響「でも、みんながベストを尽くせば、絶対に出来るはず。……説明は以上だよ」


暁「以上よ! 何か質問はある?」ドヤッ

雷「質問されても、組長は答えられないと思うけど……」ボソッ


睦月「なるほどなるほど……! まかせてよっ、なんとかやってみせるにゃしぃ!」

秋月「これなら確かに……! 私たちでもお役に立てると思います!」

吹雪「ふ、吹雪組の役割はこれですか……? だ、大丈夫かな……」


暁「……よし、大丈夫ねっ! 響、このこと夕雲組にはどう連絡しようかしら」


響「早霜がまた来るらしいから、その時に伝えるよ」


電「ところで、早霜さんは外に出ても大丈夫なのです?」


雷「……まぁでも、事務所の中にだっていつの間にか居たんだもの。気付かれずに動けるのかもしれないわね……」


電「やっぱあの人怖いのです……――」


――――――


―――夕雲組・本部


早霜「――くしゅんっ」


夕雲「早霜さん、大丈夫?」


早霜「フフフ……大丈夫です」


夕雲「……それで、その話は本当なのかしら? まさか、本当にやってくれるだなんて……」


巻雲「夕雲組長……。なにか心配事でもあるんですか?」


夕雲「……いえ。――ダメね、悪い方向にばかり考えてしまう」フルフル…


風雲「すいません……。私の軽率な行動のせいで――」


長波「おいおい、風雲の姉貴。それは言わないって約束だぜ。遅かれ早かれ秋雲のヤツは救うつもりだったんだし、ちょうどいいじゃん」


高波「な、長波姉さま……。それはちょっと楽観的すぎかも……」


夕雲「なんにしろ、この一本の蜘蛛の糸……。たとえお釈迦様にだって切られるわけにはいきません」


夕雲「私たちも、暁組を信頼して動きましょう。……それで、早霜さん。暁組はどう動くと?」


早霜「それはまだ……。どうやら作戦を立てるようなので、頃合いを見て戻ろうかと」


夕雲「そう……。ごめんなさいね、早霜さんに頼るしかないの」


早霜「フフフ……気にしないでください」


夕雲「――さぁ、皆さん覚悟して。暁組が動いたと同時に、私たちも援護に回るわ。……夕雲組の本気、見せてあげましょう」


「「「「はいっ!」」」」



――――――

――――

――



―――暁組・逃走中

ダダダダ…

暁「――響! 次はどっちっ!?」


響「あっちだ!」



嵐「逃げる道に迷いがない! よく調べてきてるな……!」


浦風「ウチらのシマの中でケリを着けるけんっ!」


谷風「浦風の姉貴っ! 砲は撃ってもいいんですかいっ?」


浦風「……ダメじゃ! 秋雲と萩風に当たる……!」


磯風「慌てなくていい、このシマの事なら私たちのほうが詳しい。野分、先回り出来るか?」


野分「はいっ! ――嵐、舞風っ!」

嵐「おうっ!」

舞風「りょーかい!」




秋雲「ぐっ……! 本当に大丈夫なのかっ!?」

萩風「いいから! 着いていくしかないでしょう!」



暁「……少し厳しいわねっ! 最初の地点までは後どれくらいかしらっ?」ハァハァ…


電「ま、まだまだなのですっ!」


雷「や、やっぱり、装備持ってきた方がよかったんじゃないっ!?」


暁「ダメよっ! 戦うぐらいなら、身軽になって走った方がいいわっ!」


ガッシャーン?


響「…………っ!! マズい、先回りされてるっ!」


暁「くっ……! イチかバチかで突っ切るわよ!」



野分「――止まれッ!! 秋雲、萩風っ、逃げ切れるわけがないのはわかってるでしょう!」ガチャ?



萩風「……わ、私が囮になりますっ! だからその隙に、秋雲を連れて――」


暁「馬鹿言ってんじゃないわよ! それじゃ意味ないの!」


萩風「で、でもっ! そうしないと皆さんが……!」


暁「ぐっ……!」


ドンガラガッシャーン?


野分「――――ッ!!?」


「いよっし、邪魔するぜぇ!!」

「またそんなに張り切って……。――……失礼しました、暁組の皆さんですね?」


暁「えっ……だ、誰なのよっ!?」


響「……血霧姉妹? 綾波組の……、何故……!?」


狭霧「詳しく説明する時間はありませんが、夕雲組との縁がありまして……」


天霧「あぁもう、まどろっこしいぜっ! いいから、ここはあたし達に任してさっさと行きなっ!」


電「で、でも……!」


暁「……行きましょう! 綾波組のお二人、ありがとう……。でも、出来れば戦わないで欲しいというか――」


狭霧「それも承知しています。今はとにかく、暁組の方々は逃げることに専念してください」ニコッ

天霧「そういうことだっ!」


雷「あ、ありがとうっ!」ダダダ…



浦風「どういうことじゃ……! 綾波組まで出てくるなんてっ!」


磯風「……やってくれるな」



磯風「――浦風の姉御。……あの二人は私と野分が相手します。谷風、嵐、舞風と暁組を追ってください」


浦風「……わかった。でも、あの二人は相当な実力者と聞くけん、無理はしちゃいかんよ?」


磯風「わかってます……」


浦風「――谷風、嵐、舞風っ! ウチ達は暁組を追いかけるけん!」

谷風「がってんっ!」

ダダダダ…



磯風「……野分、立てるか?」


野分「問題ありません……」


狭霧「……浦風さん達は、仕方がないですね。何とか逃げ切れればいいんですけど……」


天霧「大丈夫さっ! あたし達は出来ることをやるだけ……そうだろ?」


狭霧「……そうですね――」


――――――

――――

――


―――陽炎組・陽炎


陽炎「――綾波組ですって!?」


嵐『はいっ、間違いありません! 磯風の姉貴が残って相手をしています!』


陽炎「……わかったわ。そのまま、暁組を追って」


プツッ…


陽炎「くっ……。そうか……、夕雲組と綾波組はすでに繋がっていたのね……」


黒潮「あはは……。暁組・夕雲組・睦月組・吹雪組・綾波組・秋月組の全部を陽炎組だけで相手にせなあかんのか……」


陽炎「初風っ! 睦月組はもういいわ、磯風の所に行ってあげて!」


初風「わかりましたっ!」ダッ?


陽炎「黒潮、天津風と雪風はどこに居たかしら?」


黒潮「たしか……、本部の守りやったと思うけど」


陽炎「本部の守りはしょうがないわ。ひとまず動いてもらいましょう」ピッ…


陽炎「……天津風、聞こえる?」


天津風『はい、聞こえます』

――――――
――――
――



―――陽炎組・本部

陽炎『――状況は予断を許さないわ。お願いね』


天津風「はい、わかりました」

プツッ


天津風「……雪風、出かけるわ」


雪風「へっ? 本部に居なくていいんですか?」


天津風「状況が変わったの。すぐに準備して」


雪風「はいっ!」


「その必要はないですよ」


天津風「――誰ッ!?」ガチャ

雪風「ふぇっ!?」


綾波「勝手に上がってしまって申し訳ありません。初めまして、綾波組の組長を務めております、綾波と申します。どうぞよろしくお願いしますね」ニコッ


天津風「う……そでしょ……!? 綾波がここに……っ!?」


敷波「――その物騒なもん下ろしてくんないかなー? 私たちに戦闘の意思はないから」ガチャリ…


天津風「――――っ!!」


天津風(もう一人……!? 若頭の敷波……全然気付けなかった……! なんて私は馬鹿なのっ!!)


天津風「せ、戦闘の意思はない!? 意味が分からないわ、勝手に本部にまで上がり込んでおいて……!!」


綾波「本当です。私たちは夕雲組との縁はありますが、暁組とはありません。……いま、見極めている最中なのです」


天津風「へ、へぇ……。どうでもいいわ、さっさと出てってくれない?」


敷波「……うちの組長に向かって言ってくれるじゃん。……覚悟はできてんの?」


綾波「やめなさい、敷波。天津風さんの言う通りです、私たちは出て行きましょう」


綾波「――ですが、夕雲組のため……。天津風さんと雪風さんを外に出すわけにはいきません。……雪風さんの噂は聞いていますよ。だから私が来たのです」


天津風「……なるほど……ね」


綾波「……では、私たちは失礼します。……また、いつの日か」

ピシャン…


雪風「……こ、怖かったです」


天津風「……そうね、私もよ」


天津風「これで私たちは動けなくなった……。あぁもう、組長になんていえばいいのよ……――」



――――――



―――陽炎組・陽炎


陽炎「――そう……。いいわ、気にしないで。天津風のせいじゃない」


陽炎「えぇ……。何かあったらすぐに連絡して」

プツッ…


黒潮「……なるほどなぁ。暁組と完璧につながっとるわけじゃないっちゅうことか」


陽炎「えぇ。……でも、流石は綾波だわ。見事にやられた……」ギリッ…


黒潮「さっき、組長が天津風と話してる間に親潮たちから連絡があって、夕雲組に見つかったらしいけどなんとか逃げたらしいわ」


陽炎「……そう」


黒潮「万事休すってとこやろか」ハァ…


陽炎「いいえ、まだよ。……この勝負、暁組を止められれば私たちの勝ちってことになるんだから」


陽炎「……頼んだわよ、浦風達――」


――――――

――――

――



浦風「――おどりゃあっ、待つんじゃッ!」


暁「そう言われて待つ奴はいないわよっ!」


暁「響っ、最初の地点はっ!?」


響「もう少しだっ!」



谷風「……あれぇ? あっちって……」

嵐「大通りの方に向かってる? なにが狙いで……」



電「着いたのです!」

雷「吹雪組っ! お願いっ!」



舞風「……何かおかしくない――?」


パッパー?
ワーワー?
アハハハハハッ?
ドンチャンドンチャン…


浦風「――っ!? 人がこんなに……!? どうして……」




吹雪「――ご、ご協力ありがとうございまーす! ただいま通行止め解除しましたー!」




―――時刻はさかのぼり 暁組・事務所


吹雪「――ふ、吹雪組は交通整備って……、そんなの……」


響「侮らないでくれ。むしろ、この役割は一番重要だと言っても過言じゃない」


吹雪「……そ、そうなんですか?」


響「あぁ。この役割は人数が多く必要で、何よりも絆が強くないとうまくいかない。……君たち吹雪組が適任なんだ」


吹雪「……わかりました! 吹雪組にお任せください――!」


――――――

――――

――



谷風「――マズいっ! 暁組に距離を離されちまうよっ!」


嵐「クッソーっ! なんで今日に限ってこんな人が多いんだよ!」


舞風「……そっか、遊園地だ……っ!!」ハッ…?


浦風「なるほど……。睦月組はずっと動いてたんやね……!」



暁「あの路地ねっ!!」ダダダ…



浦風「――あそこじゃ! 追うよっ!」


嵐「……ここで捕まえないと本当にマズいっ! もう陽炎組のシマじゃなくなる!」



ザザッ…

初月『――ターゲット、見つけた』


秋月「経路は?」


初月『計画通り』


秋月「了解っ」


秋月「――照月、準備して」


照月「はいっ!」ガチャリ…


初月『ターゲット、目標地点まで5……4……3……2……――』


秋月「――撃って!」


照月「…………っ!」パァンッ?



――――――


パァン?


浦風「――ッ!! 下がるんじゃ!」バッ?


キュンッ?


谷風「す、スナイパーかいっ!?」


舞風「姉御っ! こっちの道から行きましょう!」


浦風「くっ……!」




秋月「――照月、少し遅いっ! 当てちゃダメ、ビックリさせるだけなんだから!」


照月「ご、ごめんなさい……」シュン…


ザザッ…
初月『ターゲットは予想通り、B地点に向かってる』


秋月「了解。……涼月、準備はできてる?」


涼月『いつでも、大丈夫です……!』




嵐「――随分離されちまった……!」ダダダッ…


パァン?


浦風「またっ!? ――止まって!」


キュインッ?


谷風「動きが読まれてるみてぇだねぇ……!」


浦風「いったいどこから……! ――あれって……!」

ブーン…

浦風「ぐっ……!」パパパンッ?

バァン?



初月『――ドローンを撃墜された』


秋月「そう……。まぁ、十分に時間は稼いだでしょう!」


秋月「……それじゃみんな、空包をこめて!」


秋月「――撃ってっ!」


パァン?パァン?
パァン?
パァン?


ワーワー? ハナビカシラ?
ワー、ハナビダー?
ドコドコ…?



舞風「――うわぁ! また銃弾がっ!?」


谷風「……でも弾がこないねぇ」


浦風「空砲……!? 祝砲のつもりなんか……!!」ギリッ…


嵐「姉御っ! 追いましょう――!」





磯風「――ちっ! まさかこっちも追いかけっこすることになるとは……!」


天霧「狭霧、少しぐらいやり合ったっていいだろっ!?」


狭霧「ダメです。組長に言われたじゃないですか」


野分「――磯風の姉貴! あの先に追い込めば行き止まりです!」


磯風「わかった……!」

ダダダダッ…

狭霧「――しまった……!!」


天霧「行き止まりかっ!?」


磯風「さて……、観念してもらおうか?」ガチャ…


狭霧「くっ…………!」


狭霧「――…………なんて、ね」


ガチャ?
ガチャリ?


野分「なっ……!?」


朧「残念、罠に嵌まったのはそっちよ」

曙「ざまぁないわね」フンッ

漣「キタコレ!」

潮「お、大人しくしてください……!」


磯風「――ははっ、してやられたな……」

野分「………………っ」グッ?



――――――


浦風「――暁組を見つけるんじゃ!」


谷風「しっかし、こりゃもう……」


嵐「くっそぉ……!!」


舞風「あ、あはは……」



ピピピ…?

浦風「組長? もう少し待ってくれんじゃろうか! すぐに見つけて……!」


陽炎『……いいえ、だいたいの様子はわかったわ。実はね、磯風達も綾波組に捕まっちゃったみたいなの。初風から連絡があってね』


浦風「そ、そんな…………!!」


陽炎『向こうは、私たちが負けを認めて秋雲達を諦めれば、そのまま解放してくれるらしいわ』


浦風「……組長……っ!! 組長……すいません。ウチが不甲斐ないばっかりに……!」ギリッ…?


陽炎『いいえ、それは違うわ。……これは私のミス。陽炎組という力に甘えて、相手の力を見誤ってしまった』


浦風「………………」


陽炎『……認めましょう。この勝負――』





























陽炎『 私たちの、完敗よ 』































萩風「――ねぇ、秋雲?」


秋雲「ん? なにさ、萩風の姉貴」


萩風「……まだ教えてくれない? どうして、情報を流すなんてことをしてたのかって……」


秋雲「………………」


萩風「……まぁいいわ。でも、いつか教えて――」


秋雲「……信じてくれないかもしれないけど、秋雲はさ……。陽炎組が好きなんだ」


萩風「………………」


秋雲「でも、いつからだろうな。陽炎組は自分たちの強さを疑わなくなっちゃってさ。きっと……このままじゃ大変なことになるって思ったんだ」


秋雲「だから、夕雲組に陽炎組を抑えてもらって。そしてあわよくば、夕雲組と陽炎組が手を取り合ってくれたらいいなって……」


秋雲「……私はさ、嫁菜みたいな花でいいんだよ。道端に生えてるような、そんな花でさ」


秋雲「でも……秋雲は……。陽炎組と、夕雲組……。その両方に迷惑かけちゃったのかな……」


萩風「……そんなことないわ。秋雲は十分頑張った。少し、無茶なやり方だったかもしれないし、結果的にだったけども陽炎組は初めて負けを認めた」


萩風「秋雲のやったことは、無駄じゃなかったに違いないわ」


秋雲「……そうかな」


萩風「そうよ……」


秋雲「……そうだと、いいな――」


――――――

――――

――

?



――

――――

――――――


―――後日 暁組・事務所


トントントン…


暁「――ん? はーい」


ガチャ


夕雲「お邪魔いたします。……お初に、暁さん」


暁「わぁ、夕雲ね! 秋雲と萩風の調子はどう?」


夕雲「何も問題はありません。……今日は、改めてお礼をしに参りました」


暁「気にしなくていいわ。ほら、困ったときはお互いさまっていうじゃない」


夕雲「そういうわけにはいきません。……お約束通り、私たち夕雲組は暁組に絶対の忠誠を――」



暁「――いいわよそんなの。面倒くさいし」



夕雲「えっ……??」


電「そうなのです! 私たちはお友達なのです!」

雷「そうね。やっぱ、そういうのは私たちには向いてないわ」

響「ハラショー」


暁「ほらね。……だから、これからも仲良くしましょ。……それでいいじゃない」ニコッ


夕雲「ふふっ……! あはははっ……! ……この夕雲が、相手の器の大きさを見誤るなんて……」ボソッ


暁「え、なにか言ったかしら?」


夕雲「いいえ……。――暁さん、では友達として……。この恩は絶対に忘れはしません。何かあったら、夕雲組を頼ってくださいね。……約束です」


暁「……えぇっ!」ガシッ?


電「――ところで、夕雲さんが来るって聞いたから、お菓子をいっぱい用意したのです!」


雷「それじゃ、私はお茶を淹れるわね!」


響「ふふふっ、ハラショー」


アハハハハ…?
ワーイワーイ?




 第十話
 「嫁菜の如く」

お わ り



【次回予告】

デデンデデン♪


海風「白露組若中、海風です」


海風「暁組と陽炎組がぶつかったみたいですね」


海風「村雨さんと夕立さんの若頭補佐達が張り切ってしまって、それを抑えるのが大変でした」


海風「でもその時、時雨の若頭が言ったんです」


海風「すぐにその時はくる……って」


海風「決戦前夜、そんな気がしてなりません」


海風「――次回『暁が如く』第十一話」


海風「『はりきってまいりましょー! 結成、暁水会と陽炎連合』」


海風「任侠桜に仁義の嵐っ!」


海風「……海風組……とか作れないかな……」ボソッ


デデデン♪

?

あれ? なんで「?」が最後に……。
すいません、無視してください。

おつ
やっぱ暁組はかわいいなあ! …海風は改白露組で独立か?


いいねぇ

乙でしたー
どの組も魅力的でいいねぇ

海風は若中というより若奥……(ゲフンゲフン)
1さん、キーボードに何か挟んじゃったのかな?
!がかなり?の変換になってる、もしくは携帯で下書き書いていてタップミスかしら
海外艦の駆逐艦がマフィアで出てくるのかどうか気になりますね
更新乙です

着実に勢力を伸ばしつつあるけど二組は居候なんだよな
しかも収入源は近所からの差し入れとか微笑ましい限り

なんだかんだで響有能

>>171
差し入れじゃないよ、みかじめ料だよ。


十話後半は「‼」と、ワードの改ページのやつが「?」になってしまってるみたいですね。
最近このサイトの表示がおかしくなってしまったので、専用ブラウザを使ってみようと思ったのですが失敗でした。
諦めて普通にやります。ですので十話後半は「‼」に置き換えて読んでいただければ……。


 第十一話
 「はりきってまいりましょー! 結成、暁水会と陽炎連合」



―――暁組・事務所


暁「――え、夕雲から手紙?」


雷「えぇ、私たち全員で夕雲組の本部まで来てほしいらしいわ。理由が書いてないけど……」


電「なぜお手紙なのです?」


雷「さぁ? そういう気分だったんじゃない?」


響「あぁ、形式を重んじたのかもね」


暁(え、形式……?)

暁「時間はいつ?」


雷「えぇっとね……。――今日の夕方だわ」


暁「どうしたのかしら? ……もしかして、パーティとかっ!?」ハッ‼


電「ぱ、パーティなのです!? はわわ……、どんな服着てけば……!」


雷「いやいや……、それならそう書くんじゃない? ……でも、みんなでご飯とかかもしれないわね」


響「…………まぁ、黙っていようか」ボソッ


暁「ん? 響、何か言った?」


響「いいや。楽しみだね」ハラショー


暁「ふーん……? ――でもそうなると、ここを空けることになるわね」


電「秋月組と吹雪組がいるから大丈夫なのですっ!」


暁「……それもそうね」


雷「それは出かけるときに言えばいいわよね」


暁「えぇ、大丈夫でしょ」


暁「――……うーん、お腹とか空かせといた方がいいのかしら」


電「……ご飯だったら、食べられなかったら困るのです」


雷「そうね。今日はみかじめ料はいらないって言っておきましょ」


響「………………」


――――――

――――

――




―――陽炎組・本部


不知火「……不知火がいない間にそんなことが。そんな肝心な時に……」グッ…


陽炎「しょうがないわよ。……それに、不知火が居ても結果は変わらなかったと思うわ。だから気負わないで」


陽炎「――それよりも、例の件はどうだったかしら?」


不知火「問題ありません。……今日の夕方に集まるかと」


陽炎「さすがね。……はぁ、それにしても。この前の事で白露組になんて言われるか不安だわ」フフッ…


不知火「その時は……」


陽炎「あーあー、何もしちゃダメよ。……さて、否が応でも私たちの関係は動き出すわ。……不知火も準備を怠らないでね」


不知火「はい……」



――――――



親潮「――磯風っ!」


磯風「……あぁ、親潮の姉貴。……すいませんでした、私が捕まってしまったせいで……」


親潮「……そのことで、親潮は言わなければいけないことがあって……」


磯風「え……?」



親潮「――実は、私たちは夕雲組に見逃されたの」



磯風「…………っ! ……それはいったい?」


親潮「あの時……――」


――

――――

――――――



陽炎『――戦わないで、気付かれない程度の距離で様子を見て、報告して!』


親潮「了解しました!」


プツッ…


親潮「浜風、時津風。……私たちは気付かれない程度の距離で様子を伺います。周囲の警戒も怠らないで」


浜風「はいっ!」

時津風「はーい!」


親潮「暁組と同時に動いた……。どうやって連絡を取っていたのかはわからないけど、もう決まりですね……」



時津風「――……若頭ほさー!」ピコンッ


親潮「何か動きが?」


時津風「いやぁ、この風……どうかなぁ」


浜風「…………たしかに、何かを感じるような……」


親潮「……時津風の勘は当たる……。しかし……――」




沖波「――あっ……」

バッタリ

浜風「……あっ」




親潮「――撤退しますっ!! 急いで!」ダッ‼


沖波「あ、あぁ……えっと……! か、陽炎組見つけましたぁー!」アワワ…


時津風「一人なら……」ガルル…


親潮「ダメですっ! 浜風も遅れないでっ!」


浜風「はいっ!」

ズザァアア‼

朝霜「――おぉっとっ! ここはあたい達のシマだよ! 逃げ切れると思うっ?」


親潮「くっ……――!」





親潮「――つい倉庫のようなところに隠れてしまったけど……」

ドコイッター?
サガセー‼

浜風「見つかるのも時間の問題かもしれませんね……」


時津風「やっぱりさー、少しぐらい戦っても……」


親潮「でも、組長が『戦わないで』と言っていたので……」



藤波「――おーい、浜ちん! ここら辺調べたー?」


浜波「ま、まだだけど……。し、調べたほうが……いいの?」


藤波「もち! たぶんどっかにいると思うんだよねーこれが」



親潮「――仕方ありません……。最悪の場合は……」グッ…

時津風「いつでもいいよー……」

浜風「……浜ちん……」



長波「――おーい、藤波ー!」


藤波「えっ? 長波姉さん……。どうしてここに?」


長波「陽炎組の捜索は中止! 帰るよー」


浜波「えっ……で、でも……」


長波「中止オブ中止だよ。組長命令だからさ」


藤波「この辺に居ると思うんだけどなー……」


長波「いいのいいの。……綾波組がうまくやれそうみたいだからさ。ほら、今回ばかりは……手柄は譲った方がいいじゃん?」


藤波「はぁー、なるほど。……じゃ、浜ちん帰ろっか」

浜波「う、うん……」



親潮「……綾波組もこの件に? それにしても、今の会話は……――」


――――――

――――

――



親潮「――ってことがあったの」


磯風「……なるほど。……しかし、何故それを私に?」


親潮「磯風が捕まっていなかったら、私たちが捕まっていたはず……」


親潮「……だから、あまり落ち込まないで。組長も言っていましたが、どちらにしろ結果は変わらなかったでしょうし……」


磯風「親潮の姉貴……、わざわざ励ますために……。――ふふっ、わかっています。……次は必ず、この磯風が結果を出して見せましょう」


親潮「えぇ、期待してますよ……――」フフッ…






―――暁組・事務所


暁「――えっ?? 秋雲と照月が居ないの??」


涼月「えぇ……。暁さんは知っているとばかり思ってましたけど……」


暁「え? なんで私が知ってるのよ?」


初月「えぇっと……」


暁「…………?? ――まぁいいわ。とにかく、留守は頼んだわね」




――――――


雷「――えぇっ?? 吹雪と白雪が出かけてるの?」


浦波「はい。夕雲組のところに行くって……」


電「吹雪ちゃんたちもお呼ばれしてたのですね」


雷「なるほどね……。――まぁわかったわ。それじゃ留守の間、お願いね」


深雪「りょーかい!」





―――夕雲組・本部


暁「――わぁー……夕雲組の本部って大きいのね」


雷「すごいわね……」


電「でも、これなら確かにパーティ出来そうなのです!」


響「ハラショー」ポチッ

ピーンポーン…

ガララッ

風雲「――あぁ、暁組のみなさん。待ってたわ……さぁ、こっちへ……」ススス…


暁「お、お邪魔しまーす……」


雷「風雲、みんな来てるのよね?」


風雲「えぇ。すでに夕雲組長と睦月組・吹雪組・綾波組・秋月組の組長たちが集まっているわ」


電「はわわ……。どんなパーティなのです?」


風雲「えっ?」


暁「えっ?」


風雲「……えぇっと? ……とりあえず、大広間に着いたわ――」ススッ…



――――――



―――陽炎組・本部


陽炎「――さて、全員集まったわね。みんな……今日はわざわざ集まってくれて、感謝するわ」


白露「へぇー、ここが陽炎組の本部かー。……白露組の本部より大きい? 一番じゃない?」

時雨「いえ、ほら……。白露組は庭が広いですから……」


朝潮「私たちも、入るのは初めてですね」

大潮「き、緊張するー……」


神風「ふぅん……。まぁまぁってことかしら」

朝風「あれが白露組……」


初春「ふっふっふ。わらわたちも呼んでもらえるとはのう……」

子日「………………」






―――夕雲組・本部


暁「……えっ??」
雷「……あれっ??」
電「はわわ……」
響「ハラショー」フフッ…



夕雲「あぁ、やっと主役オブ主役の登場ですね」

巻雲「いよー、待ってましたー」


睦月「わぁー! ぱちぱちぱちー!」

如月「く、組長……。すこし落ち着いて……」


吹雪「………………あ、あはは……」

白雪「……組長。いつまで緊張してるんですか……」


綾波「……あれが暁組……ですね」

敷波「ふぅーん? なんかあんまり……」


秋月「わ、私たちまでここに居ていいのかな……」

照月「ど、堂々としてないと……」





暁「…………あれ……全然パーティの雰囲気じゃない……かしら……」


雷「ど、どういうこと……」


電「はわわ……。はわわわわ……」


響「ふふっ……ハラショー」



―――CMへ


―――CM⑪

『ウォースパイトの3分クッキング』


テレレッテッテッテッテ♪
テレレッテッテッテッテ♪

テンテンテンテンッ♪


ウォースパイト「――Hello,everyone! 3分Cookingの時間よっ」


ウォースパイト「さて、今日は我が英国の伝統料理であるパイを作ろうと思うわ」


ウォースパイト「――……と、その前に。大事なGuest performerを紹介しなくちゃね!」


ウォースパイト「Come on! Arkよ、みなさん拍手を!」パチパチ…

ワーワー
パチパチパチ…

アークロイヤル「やぁWarspite、今日は呼んでくれて感謝する。Thank you very much indeed」


ウォースパイト「いいえ、こちらこそ」ガシッ


ウォースパイト「――それじゃさっそく、まずは材料の紹介からね」


ウォースパイト「…………えぇっと、これは日本の言葉だと……難しいわね。――大淀、頼んでもいいかしら?」

テレレン♪

<材料>(4人前)

・バター 25g
・玉ねぎ 1個
・小麦粉 大さじ1/2
・白ワイン 大さじ3
・生クリーム――

――――――
――――
――


ウォースパイト「――そして、これを黄金色になるまで焼き上げるわ」


アークロイヤル「……ん? これって、3分じゃ無理じゃないか?」


ウォースパイト「Don’t worry! ――これが焼き上がったパイよ!」


アークロイヤル「あぁなるほど……」


ウォースパイト「今日は、Japanにも馴染み深いサンマを使ったわ。その名も『Stargazy pie』よ!」ドーン‼


アークロイヤル「日本語にすると『星を見上げるパイ』になるのだろうか」


ウォースパイト「そう、素敵な名前よね。……これの起源は、飢えに苦しむ村を救ったある勇敢な漁師を称えて、fishがちゃんと中に入っているということを示すために頭が出てるの」


アークロイヤル「ふむ。……では、さっそく頂くとしよう。――おぉ……美味しいじゃないか、腕を上げたな」


ウォースパイト「Thank you very much。……ちなみに、このパイはJapanの有名なアニメ映画にも出ているらしいわ。興味があったら調べてみて」


ウォースパイト「――あら、もう時間? ……そうね、来週はウナギを使った料理を紹介しようかしら」


ウォースパイト「それじゃ、See you next week! Cheerio!」フリフリ…

おつ
>>177の「秋雲と照月~」は、「秋月と照月~」が正ですかね
しっかし暁組は、一人を除いて抜けてるなー(かわいい)ww

マテ
そのウナギを使った料理はいけない

差し入れとみかじめ料(現物支給)の違いを教えて下さい

あたしこのパイ苦手なのよね
何はともあれ更新乙です後篇楽しみにしてます

>>181
そうですね。間違いが無いよう気を付けてたのですが、ご指摘ありがとうございます!

>>183
なんだかんだ言っても、この世界ではまだ人間の極道に悩まされる人が多いので、暁組や吹雪組と秋月組は見回りや報告を受けてシマの住民を守っているのです。
それの対価みたいな感じなので、差し入れではなくみかじめ料なのです。


―――CM明け


暁「――ゆ、夕雲っ? これはどういうことかしら……???」


夕雲「まぁまぁ、まずは上座へお座りください」グイグイ


雷「え、えぇ……わかったわ」

電「はわわ……」


夕雲「――ごほんっ。……それでは、皆さんもう見知った仲とは思いますが……簡単な挨拶から始めましょうか」


夕雲「……では私から。夕雲組をまとめております、夕雲です。私も含めて、構成員は11名。主力オブ主力の働きをすることを約束しましょう」

巻雲「夕雲組の若頭、巻雲といいます! お力になれるよう、がんばりますっ!」


睦月「睦月ですっ! 睦月組の構成員も11名にゃしぃ! ぜーったい、お役に立てるはずにゃあ」

如月「睦月組若頭、如月です。……よろしくお願いしますね」ウフッ


吹雪「ふ、吹雪組の組長をやっています! 吹雪です! 構成員は……えっと……――7名です! が、頑張ります!」

白雪「若頭の白雪です。暁組への御恩、少しでも返すことが出来ればと思います」


綾波「初めまして……ですね。綾波組組長、綾波と申します。構成員は8名。……先日の暁組の任侠、しかと見届けさせていただきました」

敷波「綾波組若頭、敷波。……以後、よろしく」


秋月「秋月組の組長をしています、秋月ですっ! 秋月組は4名と少ないかもしれませんが、主力級の活躍をご期待ください!」

照月「て、照月です! 練度はバッチリ……だと思います!」



暁「あ……えっと…………」


夕雲「……さ、暁さんの番ですよ」


暁「えぇっ!? ――……あ、暁よ。わ、私も一人前の組長として扱ってよね!」

ワーワー‼
パチパチパチ…

暁「え、えっと……夕雲? これはいったい……」


夕雲「――あぁ、そうです。……実はもう一人いるんですよ」


暁「えっ??」

ガララッ

タシュケント「――……Здравствуйте! ……タシュケントだ。『ホテル・ガングート』に所属している者さ」


暁「す、すとら……?? えっと……た、タシュケントね」


タシュケント「……Привет。ヴェー……――おっと、響……だったね」


響「やぁ、よく来てくれたね」


雷「ひ、響の知り合いなの?」


響「まぁ、ちょっとね」


電「はわわ……。か、海外の方なのです……!」



タシュケント「まぁ、あたし達にも色々とあってね。とにかく、よろしく頼むよ」スッ


暁「え、えぇ……わかった――」


タシュケント「――っと、その前に忠告だけしておこう」


タシュケント「……あたしがこの世で我慢ならないものが二つある。一つは冷えたブリヌイ、もう一つは仁義を欠く輩さ。……覚えておいてくれ」


暁「………………」

コソコソッ

暁「――……ひ、響っ、ブリヌイってなに……?」ボソッ

響「え? うーん、そうだね……。まぁ、クレープみたいなものだよ」ボソッ

暁「ふーん……?」


ガシッ

暁「――私は冷えてるのも好きだわ! ……よろしく!」


タシュケント「あ、いや……。…………うん、よろしく」ガシッ



暁「…………って、待ってよ! 夕雲、私はまだよくわかってないんだけど……」


夕雲「今日、皆さんに集まってもらったのは他でもありません。ここに居る暁組を頭として、一つの組織を作るためです!」

ワーワー‼
ヒューヒュー‼

暁「そ、それって……」


夕雲「失礼ながら、この夕雲が名前の方を考えさせていただきました。その名も――」



夕雲「――『暁水会』。……どうでしょうか、暁さん。……いえ、暁会長?」



暁「な、名前はいいけど……。か、会長って――」


夕雲「決まりました! 今、この時を持ちまして暁水会の結成です!」

ワーワー‼
パチパチパチ‼

睦月「おーっ! 暁かいちょー!」


吹雪「お、おめでとうございます!」


綾波「ふふっ、おめでたいですね」


秋月「わぁー! おめでとうございます!」


タシュケント「ふふっ、ハラショー」


暁「あ……えっと……」


夕雲「さ、会長。……さっそく皆さんにお言葉を」


暁「えっ?」



暁「え、えっと……」


夕雲「会長……」
巻雲「はわぁ……」キラキラ

睦月「むむぅ……」キラキラ
如月「うふふ……」

吹雪「…………っ!」キラキラ
白雪「ふふ……」


暁「あの……えぇっと……」


綾波「…………」ニコッ
敷波「…………」ジーッ

秋月「わ、わー……」ワクワク
照月「わぁ……」キラキラ




暁「――が、がんばりましょう!」グッ‼



ワーワー‼
ガンバルニャシー‼
ハワワワ‼
メガネガー‼
ワーワー‼


夕雲「――暁水会、全員合わせて46名……。これなら……――」


――――――

――――

――


―――陽炎組・本部


陽炎「――さて、これで簡単な挨拶は済んだわね」


時雨「合わせて、42名……になるのかな」


陽炎「いえ、実はまだ居るのよ。……入ってきて」

ガララッ…

レーベ「――Guten Tag。……『ビスマルクファミリー』から来た、レーベレヒト・マース。……レーベでいいよ、よろしく」

マックス「同じく、マックス・シュルツ。……よろしく」


神風「へぇ……」


朝潮「海外の……」


陽炎「この場にいる六組を、形式的にだけど陽炎組が仕切らせてもらうわ。『陽炎連合』……ってとこかしら」


時雨「……このまえ、あれだけの失態を演じた陽炎組から名前をとるのかい?」フフッ…


不知火「――ッ!」グッ‼


陽炎「不知火、やめなさい。……ただの名前よ。なんなら白露連合でもいいわ」




時雨「――いいや、実のところどうでもいいよ。……でもね、勘違いしないでほしいのだけど、何もキミ達を馬鹿にしているわけじゃないんだ」


時雨「それよりも、陽炎組に一杯食わせた向こうの事が気になってね」


初春「たしか、暁組……とかいったかのう?」


レーベ「へぇ……、少し興味があるね。強いのかい?」


陽炎「えぇ。でも、向こうも一組だけではないわ。暁組・夕雲組・睦月組・吹雪組・綾波組・秋月組……。調べによると、合わせて40~50名ってとこかしら」


朝潮「なるほど、数だけで見ればほぼ互角……というところなのですね」


陽炎「そうね。この前はさすがにしてやられたわ」


神風「――それで。……私たちとしてはどうするつもりなのかしら? 相手の動きがあるまで待つの?」


陽炎「……いいえ」



陽炎「――今回は私たちから攻めるわ。……でも、仁義は通す。正面から、正々堂々と叩き潰すわ」ゴゴゴ…



不知火「…………っ!?」


神風「……えらく好戦的じゃない」


時雨「いや、いいじゃないかシンプルで。僕たちからすれば、早期決着するのは歓迎だ」


朝潮「……陽炎さんがそう望むのであれば……」


初春「ま、まぁ、わらわの力があれば……」


レーベ「ふぅん? そうそうにやるのかい?」


陽炎「実はね、もう手紙は送ってあるの。そろそろ届いてる頃じゃないかしら」


神風「はぁ……、まぁいいわ。……場所は?」




陽炎「今はもう誰も使っていない、宿毛湾泊地の鎮守府。……あそこなら誰にも迷惑もかからないでしょ」




朝潮「また随分と……、懐かしいですね……」


時雨「ふふっ……。そうか……楽しみだね」


陽炎「あとはどう返事が来るか、よ。……そんなところで、今日の所は一旦解散にしましょう」


陽炎「……各々、覚悟は決めておいてね――」


――――――

――――

――




不知火「………………」

陽炎「……不満かしら、不知火?」

不知火「…………いえ」

陽炎「じゃあ、どうしてそんなに機嫌が悪いの?」

不知火「…………組長らしくありません」

陽炎「……そうかもね」

不知火「……それでも――」

陽炎「――ねぇ不知火。……最後まで私に、付いてきてくれる?」

不知火「はい、もちろんです」

陽炎「……ありがとう――」


――――――

――――

――



―――夕雲組・本部


夕雲「――会長。……さっそく、陽炎組から手紙が来たようです」


暁「て、手紙?」


夕雲「えぇ……。決着の時……みたいですね」


雷「……場所は……宿毛湾鎮守府。……確かに、決着をつけるのにはいい場所ね」


電「また……あの場所に行くのですか」


響「…………懐かしいね」


暁「……もう、引き下がることはできないのね」


暁「……私も、覚悟を決めなきゃ……」ボソッ…



暁「――みんな、よーく聞いて。私たち暁水会は、早くも陽炎組率いる陽炎連合との決着をつけることになってしまったわ」


暁「本当のことを言えば、戦いたくなんかないのよ。いつもの私なら逃げてたかもしれない」


暁「……でもね。いま、ここに立ってなんとなくわかった気がするの。私が背負っているものと、陽炎組の覚悟の大きさがね」


暁「応える為にも、行かなくちゃいけない。とても怖くて、足がすくむわ。……だから――」






暁「 だからお願い。みんなの力を貸してちょうだい 」ドンッ‼





ホテル・モスクワ
名前の時点で露助の勝ちだな(確信)
更新乙様です



夕雲「……えぇ、もちろんです! ねぇ、巻雲さん?」

巻雲「はいっ! 本領発揮しますよぉー!」


睦月「まかせてよっ! 暁ちゃんは、絶対に睦月が守るにゃしい!」

如月「組長だけではありませんよ。睦月組のみんなが、暁組に感謝してるんですから」


吹雪「はいっ! 私も、暁組への恩を忘れてはいません!」

白雪「吹雪組一同。会長のために尽力いたします」


綾波「お任せを。綾波組が、守ります」

敷波「へぇ、なかなか良い眼するじゃん」


秋月「やらせはしません。秋月組が健在な限り!」

照月「もちろんです!」


タシュケント「同志よ。空色の巡洋艦の力、お見せしよう」


暁「――ありがとう!」


暁「……みんな」スッ

雷「大丈夫よ、組長。私が居るじゃない」

電「電もいるのです!」

響「私もいる。組長は前だけを見てればいい」


暁「……えぇ、わかってる」フフッ


暁「もう、怖くなんかないわ――!」


――――――

――――

――



 第十一話
 「はりきってまいりましょー! 結成、暁水会と陽炎連合」

お わ り


【次回予告】

デデンデデン♪


暁「暁水会会長、暁っ!」

雷「雷よっ!」

電「電なのです!」

響「響だよ」


暁「ついにこの時が来てしまったわね」


雷「私たち、どうなるのかしら……」


電「怖いのです……」


響「……でも、私たちには仲間がいる」


暁「えぇ、そうね。心強い仲間が、いっぱいできたわ」


雷「きっと私たちなら……」


電「大丈夫に違いないのです」


響「ハラショー」


暁「……さぁ、行きましょうか。……決着の場所へ」



暁「――次回『暁が如く』!」


雷「最終回よっ!」


電「1時間すぺしゃるなのです!」


響「 『暁の水平線に』 」



「「「「任侠桜に仁義の嵐っ!!」」」」



暁「……それでも本当は、戦いたくなんかないわ……」



デデデン♪


乙です
さすがにシチリアン?マフィアのドン?リベッチオはいないかw

おつん

秋雲と萩風がどう動くかも気になる
そして日本駆逐艦なのに最終決戦にハブられそうな島風に涙w

提督の皆さん、おにぎりイベントお疲れさまでしたー。

リベも出したかったのですが、CMの方への出演が決まってたので……。



 最終話
 「暁の水平線に」



―――夕雲組本部


秋雲「………………っ」ソワソワ…


萩風「秋雲? ……少し落ち着いたらどう?」


秋雲「う、うん。わかってはいるんだけどさ……」ソワソワ…


秋雲「……でもやっぱり、ここで待ってろっていうのは落ち着かないもんだねぇ。元々の原因は秋雲にあるのに……」


萩風「夕雲さんも私たちの事を考えてくれたのでしょう。私たちが付いていくということは、陽炎組を相手にするということ」


萩風「……かつての仲間に武器を向けるというのは、簡単な事ではありませんしね」


秋雲「………………」


秋雲「――……でも、だからこそ……っていうのもあるんじゃないかな?」


萩風「どういうこと?」


秋雲「……発端はこの秋雲にあるんだ。逃げて一人だけ安全地帯に居るなんて、やっぱり考えられない」


萩風「で、でも、そしたら陽炎組と戦うってことっ??」


秋雲「……いいや、戦わない。でも、見届けることはできる。……どんな結果になっても、秋雲はもう逃げない」


萩風「秋雲……」


秋雲「……萩風の姉貴はここに居なよ。秋雲の問題に巻き込まれただけなんだから、萩風の姉貴には安全なところに居てほしいんだ」


萩風「……馬鹿言わないで。妹分がそこまで言っているのに、今度は私だけなんて……。そんなこと出来るわけないわ」


萩風「萩風だって、陽炎組の端くれ。……通す仁義は持っています」ドンッ


秋雲「……わかった。それじゃ行こう……決戦の鎮守府へ!」



――――――

――――

――




―――宿毛湾鎮守府廃墟


ザザッ‼
ガチャガチャ…


陽炎「――ちゃんと来たわね。……暁水会、っていうのかしら?」


暁「…………そ……そうよっ!」ドーン‼


陽炎「正直、あなたを見くびっていたわ。……まさか、ここまでの勢力を持つとはね」


暁「……私もびっくりよ……」ボソッ


陽炎「…………?」



電「声が小さいのです!」ボソッ

雷「それじゃ聞こえないわよ!」ボソッ

暁「あぁもう、うるさいわねっ! ちょっと静かにしててっ!」ボソッ



陽炎「……ところで、秋雲と萩風はいないのかしら?」


夕雲「二人は私たちの本部に居ますよ。ご心配なさらず」


黒潮「へぇ、場所を教えてくれるなんて親切やなぁ」


夕雲「えぇ……。まさか、この状況で陽炎組が組員を向かわせる……なんてことはないでしょうしね」


陽炎「安心して、仁義は通すわ。――暁水会を壊滅させてから、ゆっくりと迎えに行くことにしましょう」



睦月「むむっ……!」

綾波「大した自信ですね」

吹雪「か、陽炎連合……。ちょ、ちょっと怖いかな……」

タシュケント「へぇ、これは面白い……」


時雨「……あの中で手ごたえがありそうなのは、夕雲組か綾波組かな。一応、暁組は陽炎組に譲ろうか」

ポイー‼
ウフフフ…

白露「時雨ー、これに勝てば一番になれるの?」

時雨「いいえ、まだ……。ですが、一気に近づくことでしょう」


朝潮「これは、陽炎組のため……。でも、本当に……」

神風「平和のために戦う……。いつの時代も変わらないものね」

レーベ「あれはソ連の……? ややこしいことになってきたかな……」




暁「……本当に、やるのね」


陽炎「何を今さら……。まさか、まだ覚悟が出来ていないのかしら?」


暁「………………」


陽炎「へぇ、『会長』が聞いてあきれるわね。……暁水会の事は評価するけど、暁組については過大評価だったみたい」


暁「…………っ!」


夕雲「会長、耳を貸してはいけません。……安心してください、ここに居る皆さんは暁さんの人柄に着いてきているのですから」


暁「……えぇ、そう……よね」


暁(……そうよ、覚悟を決めたはずでしょう? 私は……。私がやらなくちゃいけないことは、もう決まってるんだから……!)


暁「陽炎……! 私たち暁水会は――」



「ま、待ってくれっ!!」



暁「――絶対に……。……え?」


夕雲「あ、秋雲と萩風……?? ど、どうしてここにっ?」


秋雲「この勝負、ちょっと待ってくれ!」ハァハァ…


陽炎「……どうしたの秋雲。……もし、今さら落とし前つけに来たとしても、もう止められないわよ?」


萩風「く、組長! わかっています……。――でも、違うんです!」


秋雲「いま、ここの周りを人間の極道達が――」




「ふっふっふ……。バレちまっちゃあ仕様がねぇ」




暁「――えっ?」


モブ山「おうおう……。久しぶりじゃねぇか……暁組の皆さんよぉ」

ゾロゾロ…
ヘヘヘ…


雷「あ、あんた達は……っ!!」

電「はわ、はわわわ……!」

響「へぇ……」






暁「誰だっけ?」
雷「誰だったかしら?」
電「覚えてないのです」
響「ハラショー」



モブ山「いい加減にしやがれッ!! お前らがいま使ってる事務所は、元々誰のだと思ってやがるっ!!?」


暁「えっ? ……あぁ、そういえば……」

雷「あっ、思いだしたわ」

電「たしか、モブ山組……とかだった気がするのです」

響「――で、こんなところでどうしたんだい?」


モブ山「ふっ! そんな余裕ぶっていられるのも今のうちだぜ? ――おい、全員出て来い!」

ヘヘヘ…
ゾロゾロ…
ヤッテヤルゼ…
ゾロゾロ…
カクゴシヤガレ‼


陽炎「……あら、アンタは確か……」

モブ田「よぉ、今度こそ潰しに来てやったぜ、陽炎さんよぉ!」

モブ藤「いけませんなぁ。我々の事を忘れてもらっちゃあ……」


モブ間「俺たちは……! お前らに復讐するために牙を磨いてきたんだ……!」

モブ口「叩き潰してやるぜぇ……!」

時雨「あぁ……。そう言えば居たね……」


朝潮「あなた達は……ッ!!」

モブ本「おうおう、俺たちのシマ……返してもらうぜ」


モブ木「へへへ……っ!」

初春「お、おぬし達まで……!? 

モブ村「洗脳できてると思ってたのか? おめでたいぜ!」


睦月「また来たのね……!」

モブ辺「あの遊園地はなぁ、金の生る木なんだよ。簡単に諦められるわけがねぇ!」



ハッハッハー‼
ニゲラレルトオモウナヨ‼
ゾロゾロ…
ブッタオシテヤルゼ‼



暁「こ、この数は……!」


モブ山「へへへ……! 同盟を組んでるのがお前ら艦娘だけだとでも思ってたのか?」


陽炎「あぁ、確か徒党を組んでるって噂があったような……」


モブ山「本来だったら、お前たちが争って疲弊しきってるところを叩きのめす作戦だったが……。まぁいい」



モブ山「――お前らの数は何人だ? 合わせても百もいかないだろう? ……俺たちは極道という極道を集めて、もはや何千人という勢力になった!!」



ウオォーー‼
カカッテコイヤー‼
オォーー‼




ウォオオオ‼
ワーワー‼
カクゴシヤガレー‼


陽炎「くっ……!」


モブ山「周りは全部固めてる。もうお前たちに逃げ場なんかないぜ?」


暁「なんて数なの……!」


モブ山「ハァーハッハァ! 全員で土下座するなら、許してやってもいいぜぇ」


陽炎「…………暁会長?」


暁「な、なによ……」


陽炎「少しだけ、協力しないかしら? ……それとも土下座する?」


暁「ふ、ふざけないでっ! わかったわ、協力しましょう……!」


陽炎「――みんなっ、一時休戦よ! やることはわかってるわね?」


暁「――さぁ、みんな準備して!」

オォー‼
ガチャガチャ‼


モブ山「土下座するつもりはねぇみてぇだな……!」



モブ山「――よぉしっ!! 俺たち全員で、こいつ等を叩き潰してやれッ!!!」


ウォオオオオオオオ‼
ワァアアアアアアア‼


――――――

――――

――



―――CMへ


―――CM⑫

『【劇場版】ボーキ戦隊・クウボレンジャー ~裏切りのブラック~』予告CM 前編


――それは、ある姉妹がクウボレンジャーの所に来たことから始まった……。


ガチャバン‼

天城「――助けてくださいっ! クウボレンジャーの皆さん!」

雲龍「………………」


蒼龍「うわっ! ……天城じゃない、どうしたの?」


天城「葛城が……。葛城が、悪の軍団タイホーンに捕まってしまったんですっ!!」


瑞鶴「葛城が……そんなっ!?」


天城「雲龍姉様も、ショックで喋れなくなってしまって……!」

雲龍「………………」


飛龍「なんてヒドイことを……!」


赤城「――みんな、すぐに準備して! 出動よ!」



――捕らわれた葛城。それを助けるため、クウボレンジャーが動く。



赤城「――リュウジョーン! 葛城を今すぐに返しなさいっ!!」


リュウジョーン「はっ! そう言われて素直に返すわけないやろ! 返してほしかったら力づくでやってみぃ!」


飛龍「ぐっ、行きますっ!」

蒼龍「全艦載機、発進!」


赤城「翔鶴ホワイト、瑞鶴ブラック! あなた達は葛城の元へ!」


翔鶴「はいっ!」
瑞鶴「わかりました!」



――葛城を追う翔鶴ホワイトと瑞鶴ブラック。しかし、その前には新たな敵が……。



ズイホーン「ここは通しませんっ! 攻撃隊っ!」


翔鶴「ぐっ……! ――瑞鶴、ここは私が止めるわ! だから先に行って!」

瑞鶴「――っ! ……わかった!」ダッ



――そして、ついに葛城へと追いついた瑞鶴ブラック。しかし……


葛城「……待ってましたよ? 瑞鶴先輩……」ニヤッ

瑞鶴「……えっ?」


―――しかし、それは悪の軍団タイホーンの罠だった。

後編へ続く


ごめんなさい。
どうでもいいとは思うのですが、すごい違和感だったのでCM後半は下記に置き換えてください……。



―――葛城を追う翔鶴ホワイトと瑞鶴ブラック。その二人の前に新たな敵が立ちふさがる。


ズイホーン「ここは通しませんっ! 攻撃隊っ!」


翔鶴「ぐっ……! ――瑞鶴、ここは私が止めるわ! だから先に行って!」

瑞鶴「――っ! ……わかった!」ダッ



―――そして、ついに瑞鶴ブラックは葛城へと追いついた。しかし……


葛城「……待ってましたよ? 瑞鶴先輩……」ニヤッ

瑞鶴「えっ……?」


―――しかし、それは悪の軍団タイホーンの罠なのであった……。

後編へ続く

おつ、この話も次がラスト?なのかな
それとも一時間スペシャルを銘打っていたし、もうすこしあるのか…?
どちらにせよ、楽しみ

ここでモブ橋組が暁組の救援に来たら胸アツ

>>205
今から投稿する分と、あともう一回あります。


―――CM明け


ウワァアアアアアアアアア‼
ドォン‼ドォン‼
ギャアアアアアアアアア‼
ドゴォッ‼


シーン…―


モブ山「――いや……あの……」


暁「……で、どうするのかしら?」




モブ山「ほ、本当に……、調子に乗ってすいませんでしたぁっ!!」ドゲザァ




陽炎「これだけの数を揃えたのはよくやったと思うけど、私たちに勝てるわけがないじゃない……」


神風「ま、準備運動にはなったわ」


夕雲「みんな大丈夫ですか? 怪我人は……」


長波「んーと、巻雲の姉貴が転んだぐらいかなぁ」


巻雲「うわーんっ! こんな時にぃ!」


暁「と、とりあえず、大きな怪我をした人はいないみたいね……」ホッ…


秋月「……それで、アナタはどうするんです? 他の皆さんはほとんど逃げちゃいましたけど」


モブ山「あ、あの……、もう手出ししないと約束しますんで、ここはどうか……!」


陽炎「……私はどうでもいいし、判断は任せるわ」


暁「……わかったわ。今回の事で懲りたでしょうし、もうしないのなら――」




時雨「――ちょっと待った」




朝潮「時雨さん……? いったい何をしようと……」


時雨「いや、別に海に沈めるとかそんな物騒な話じゃないよ。……ただ、気になることがあるんだ。――……ねぇ?」ズイッ


モブ山「ひぃっ!」ビクッ


時雨「聞きたいんだけどさ、どうやってこの場所を知ったの?」


時雨「これだけの大人数を僕たちにバレないように取り囲めた……ってことは、暁水会と陽炎連合がこの場で戦争するのを知っていたってことだよね?」


モブ山「そ、それは……」


時雨「……話してもらおうか?」ガチャ




綾波「……時雨さん? 貴女は、私たちの中にそれを教えた艦娘が居る……と、そう言いたいのですか?」


時雨「あぁ、その通りさ」


吹雪「で、でも……? そんなことをしても、誰も得をしないような……?」


時雨「そう、それが不思議なんだ。……だから、知りたい。――ねぇ、誰からこの場所を聞いたの?」


モブ山「あ……て、手紙が、届いたんだ……」


レーベ「手紙……ね。差出人と内容は?」


モブ山「差出人は無かった……。で、でも内容は――」

モブ山「『忌まわしき艦娘共が戦争をするらしい。お互いが消耗する時を狙って、今こそ俺たちの力を合わせて潰してやろう』」

モブ山「――っていう内容と、場所と時間が……。他の組長たちに聞いたら、そいつらにも同じ手紙が届いていたようだったから、急いで兵を集めたんだ……」


睦月「んんっ?? それじゃ、誰が手紙を送ったのか疑問に思わなかったにゃしぃ?」


モブ山「あ、あぁ……。た、たぶん、俺たちの内の誰かが突き止めたんだろうって思って……」


タシュケント「ははっ。なんともお粗末だね、日本の極道というのは」


モブ山「ぐっ……!」


陽炎「――まぁ、まだ疑問は残るけど……。人間の極道と仲良くしてた組もあったみたいだし……」チラッ


初春「うぐっ……。で、でも待つのじゃ! わらわ達は教えたりなんか……っ」


陽炎「わかってるわよ。……ただ、何処から漏れてもおかしくないってこと」


陽炎「こいつはこれ以上叩いてもホコリは出なさそうだし……。もういいんじゃない?」


時雨「…………まぁ、しょうがないね」スッ


モブ山「そ、それじゃあ……!」


陽炎「――でも言っておくわ、もうこの街から去りなさい。次に見かけたら……言わなくてもいいわよね?」ゴゴゴ…



モブ山「す、すすす、すいませんでしたぁああああ――」ダダダダ…



神風「……さて。とんだ邪魔が入ったものだけど、これで仕切り直しかしら?」


暁「………………っ」


陽炎「そうね。もう邪魔も入らないでしょうし……。――まさか、『疲れた』とか言わないでしょうね?」フフッ…


暁「………………」グッ


雷「……組長?」

電「ど、どうしたのです?」

響「………………」







暁「――……もう、やめましょう」





陽炎「…………いま、なんて?」


暁「やめましょうって言ったのよ。……こんな戦い、なんの意味もないわ」


夕雲「か、会長!? こ、ここに来て何を……っ!!」


時雨「ははっ! 急に何を言い出すのかと思えば……。――ふざけてるのかい?」ゴゴゴ…


暁「ふざけてなんかないわっ!!」


時雨「…………っ」


暁「私はいま、『会長』だなんて言われてるけどね……! 正直、こんなのやってられないのよっ!!」


睦月「あ、暁ちゃん……」


暁「……なんで、なんで仲良くできないのっ? 最初から争いなんかしたくなかった! だって、私たち……同じ艦娘じゃない……!!」


神風「……言いたいことは、まぁわからなくもないわ。それでも、覚悟をもってここに来たんじゃないの? どうして今さら……」


暁「今さらじゃないわ。……たった今、気付いたのよ」


綾波「………………」


暁「だって……。だって、いま私たち……一緒に戦えたじゃない」


朝潮「……それは……」


暁「……争う必要なんてないのよ。私たちは……みんなで、手を取り合える――」


陽炎「――それで終わりかしら? ……そんなの、理想でしかないのよ。貴女も組を背負っている身でしょ?」


暁「なんでそう決めつけるのよっ! 組同士の上下関係なんて無くせばいいわっ! みんなで……一緒に。それが一番よ!」


陽炎「…………そう」ニコッ



暁(え……笑った?)




陽炎「――それもそうねっ」ポンッ




時雨「…………ッ!? な、何を言って……!」


陽炎「…………暁水会会長、暁」


暁「えっ?? は、はい……」





陽炎「――私たち陽炎組を、暁水会に入れてもらえないかしら?」




暁「えっ」

時雨「なっ…………!!」


黒潮「く、組長っ!!?」


不知火「………………」



――ねぇ不知火。……最後まで私に、付いてきてくれる?



不知火「――……不知火も、賛成です」


黒潮「不知火姉さんまで……!」


陽炎「いやかしら、黒潮?」


黒潮「い、いやというか……。――ま、まさか、最初からこれを……?」ハッ…


陽炎「………………」


黒潮「……はぁ、まったく……。ええよ、ウチは組長に着いていく」


陽炎「他のみんなも……――」


ワァー‼
モチロンデス‼
クミチョー‼


陽炎「――いいみたいね。……それで、大丈夫かしら?」


暁「えっ、あ、あぁ……。だ、大丈夫……よ」


陽炎「……それじゃ、陽炎連合は今を持って解散よ」アッサリ


吹雪「あ、あの……?? い、いったい何が……」

白雪「わ、私も……よくわかりません……」


陽炎「――朝潮。……あなたはどうする?」


朝潮「陽炎さん……。ふふっ、争いのない……。そういうのであれば、私たちの答えは決まっています」


朝潮「――暁さん、朝潮組もお世話になってよろしいでしょうか?」


暁「え、えぇ……」


陽炎「神風組は?」


神風「はぁ……。なにか変だと思ってたけど……」


神風「――いいわ、神風組も暁水会に入りましょう。……もともと、私たちは平穏に暮らせればそれでいいのよ」



初春「――そ、それなら! わらわ達も入ってやってもいいぞ」フンッ


夕雲「……これは……」

巻雲「はわわわ……」


レーベ「……正直、僕たちにはどうなっているのかよくわからないけど……」


レーベ「そちら側に付いた方が、色々と動きやすそうだね。……僕たちもいいかな?」


暁「も、もちろんよっ!」



時雨「………………ッ」ギリッ


陽炎「……さて、白露組はどうするのかしら?」


時雨「……やっとわかったよ。人間の極道達に手紙を送ったのはキミだったんだね……!」


陽炎「……さぁ? なんのことかしら――」



―――時間はさかのぼり 陽炎組・本部


島風「――わかった! それじゃ、この手紙を暁組に持ってけばいいのね!」

陽炎「あーいや、夕雲組に持って行ってくれる? 向こうも集まるとしたら夕雲組の本部で集まるでしょうし」

島風「ふんふん! それじゃ、今度こそ――」

陽炎「待って待って! ……実はね、この手紙を人間の極道の組長たちに送ってほしいの。……あなたならどこにいるかわかるでしょ?」スッ…

島風「えーっ!」

陽炎「……あー、届けてくれたら天津風に話しつけてあげようと思ったんだけど……」

島風「うぐっ……。――わかった、もう無いよねっ?」

陽炎「えぇ、無いわ」

島風「それじゃ、行ってきまーっす!」ドヒュン‼

陽炎「……さて、後はどうなるか。ちょっとした賭けね……――」



――――――

――――

――




陽炎「――で、どうするの? ……戦うの?」


時雨「………………」

夕立「ど、どうなるっぽい……?」

村雨「私はいいけど……。組長は守り切れないかしらねぇ……」



時雨「――はぁ……、キミも意地悪だね……。ここに居る全部の組を、白露組だけで相手にしろと言うのかい?」


時雨「……組長」




白露「時雨ー? どうなってるの?」


時雨「え、えっと……説明し辛いのですが……」


白露「……白露組は一番になったの?」


時雨「………………」


――組同士の上下関係なんて無くせばいいわっ!


時雨「――暁さん」


暁「な、なによ……?」


時雨「組同士の上下関係を無くす……。それは本当かな?」


暁「……えぇ! レディは一度言ったことは曲げないわ!」


時雨「……そうか」


時雨「――組長、白露組は一番になれたかもしれません」


白露「本当っ?」


時雨「えぇ。……ただ、二番はいない。不思議な一番かもしれませんが」


白露「二番が居ない?」



白露「……そっか。そういうのも、いいかもね」ニコッ



時雨「……はいっ」


時雨「――暁さん……。僕たち白露組も、暁水会に入れてもらえるだろうか?」


暁「……もちろんよ!」


秋月「そ、それじゃあ、戦わなくていいんですねっ!」


綾波「……なるほど、暁さんはそのような方でしたか」フフッ…

敷波「なんだ、見た目よりやるじゃん」


夕雲「暁さん、あなたの器の大きさはこの夕雲には計り知れません……」

巻雲「わぁー! みんなで仲良くできるんですね!」




暁「――それじゃ、みんなで手を繋ぎましょ!」


神風「はぁ? なんでそんなこと……」


雷「まぁまぁ、いいじゃない!」


電「そうなのです!」


ワーワー‼
ハワワッ‼


秋雲「ははっ……。まさか、みんな仲間にしちまうなんて……」


萩風「……そうね」フフッ…


陽炎「――秋雲、萩風」


秋雲「……っ! く、組長……」


陽炎「………………」


萩風「あ、あの……――」



陽炎「――苦労をかけたわ。不甲斐ない組長でごめんなさい。……よかったら、私の手を繋いでくれるかしら?」スッ…



秋雲「組長……っ!!」


萩風「……もちろんです!」グスッ…



ギャーギャー‼
アハハハ…‼
ワーイ‼


タシュケント「……良い組長だね、響」


響「……ふふっ。当然じゃないか」



ミンナツナイダー?
ワーワー‼
ウワーン、メガネガー‼




暁「――さぁっ! みんなで帰りましょう!」




暁「私たちの――――」






―――CMへ



―――CM⑬

『【劇場版】ボーキ戦隊・クウボレンジャー ~裏切りのブラック~』予告CM 後編



翔鶴「――どうして……ッ!! どうしてなの……瑞鶴っ!!」



――翔鶴の前に立ちはだかったのは、実の妹……瑞鶴だった。



瑞鶴「…………翔鶴姉ぇにはわからないよ」



――仲間の裏切り。



蒼龍「ぐっ……! きっと卑怯な事をしたに違いないわっ!」


加賀「僥倖ね」


飛龍「か、加賀さん! 台詞がちが――」



――最後に勝つのは、悪か。それとも、姉妹の愛か。



赤城「うぐっ……!」ドサッ…


リュウジョーン「なーはっはっは! 仲間一人居ないとこんなに脆いんかクウボレンジャーはっ!」


ズイホーン「口ほどにもないわねっ! お、おーほっほっほ……」


瑞鶴「………………っ」グッ…



――その力を前に、ついに膝をつくクウボレンジャー。……しかし、そこへ――



「……久しぶりね、龍驤。……いえ、今はリュウジョーン……だったかしら?」


赤城「あ、あなたは……っ!!」


リュウジョーン「はっ……。今さら何しに来たんや……。――鳳翔ッ!!」



――あの、伝説のレンジャーが現れるっ!!



鳳翔「……あの日の誓いを果たしに――」



『【劇場版】ボーキ戦隊・クウボレンジャー ~裏切りのブラック~』 ○月△日、全国同時上映っ!!


飛龍「――そして、私たちの映画を見に来てくれた人には、入場者特典として私たちの飛行甲板ストラップがもらえるよっ!」

蒼龍「だから、絶対に見に来てねっ!」


※入場者特典は数量限定となっております。無くなり次第終了とさせていただきます。
※飛行甲板ストラップは全6種+シークレット1種となります。
※入場の時に袋に入れてお渡しします。種類は選べませんので予めご了承ください。

おつ
クウボレンジャーももうすぐ終わりか…、ストラップ欲しいな

駆逐艦が極道を制圧する一方で
軽巡がメイド喫茶、空母が戦隊モノのアクターを務めるカオスな世界観、嫌いじゃないです

深海棲艦の転職先は何なのだろうか?

きっと真面目にOLやってるよ

ストラップのシークレットが気になる


―――CM明け


暁「私たちの――――」



ついに一つとなった彼女たち。
もう、彼女たちの道を遮るものは無い……。
多くがそう思っていた。


――その時までは。



響「――っ! ……この音はっ!」ハッ‼

不知火「…………組長ッ!」



すぐさま気付いたのはごく少数。
しかし身構える暇もなく。その直後、轟音と共に彼女たちを衝撃が襲う。



吹雪「きゃあ――ッ!!」


神風「う……ぐっ……!」


タシュケント「い、今のは砲撃……!?」



先ほどの衝撃により濛々と砂ぼこりが立ち込める。
だが、さすがというべきか、彼女たちの多くがすぐに体勢を立て直していた。



朝潮「こ、これはいったい……!?」


夕雲「誰かっ、怪我をした人はっ?」



夕雲の問いかけに皆が応える。
幸いにも、その砲弾は近くに落ちただけのようで、怪我をした者は居なかった。
けれども安堵はできない。
その犯人が、まだそこに居るのだから。



雷「……砂ぼこりが晴れてきたわ……」


電「…………っ! あ、あれって……もしかして…………」


響「……間違いない」




暁「 レ、レキュウダーよっ!! 」




彼女たちの間にどよめきが走る。

そう、そこに居たのは悪の手先レキュウダーだったのだっ!!




レキュウダー「………………」ゴゴゴゴ…





その圧倒的な存在感と威圧感。
彼女たちの戦意はすでに折れかけていた……。


――しかしっ!!



陽炎「――みんな立ちなさいっ!! 立って武器を取るのよっ!」



他の駆逐艦たちが、陽炎を見つめる。



陽炎「たった今、私たちは一つになったじゃない! これぐらいの相手がなんだっていうの!? ――そうでしょう、暁!」


暁「……そうね。私たちはもう……ッ!! ――さぁ、みんなで立ち向かいましょう! 私たち暁水会の力を見せてやるのよ!」



その言葉を契機に、駆逐艦たちは立ち上がるっ!!



雷「そうだわっ!! 私たちがレキュウダーなんかに負けるわけないわ!」

電「はわわっ! 倒しちゃうのですっ!」

響「…………っ」ガチャン‼



彼女たちの目に、再び闘志の火が点いた。
そうして、レキュウダーとの戦いの火蓋が切られたっ!



時雨「……ちょうどいいじゃないか。僕たちはもともと戦う気で来たんだから! ――砲撃用意っ!」


レーベ「さぁ、行くよ!」

マックス「えぇ……!」



総勢九十名を超える駆逐艦の砲撃がレキュウダーを襲う!



レキュウダー「………………っ!」バッ‼


綾波「――あれは艦載機っ!? 対空射撃をっ!」


秋月「私たちにお任せくださいっ!!」



レキュウダーが放った無数を艦載機を、秋月組の対空射撃が迎え撃つ。
そのほとんどを撃ち落とすことに成功したが、しかしそれだけでは終わらない。
レキュウダーは、次はこちらの番とばかりに砲塔を向ける。



初春「先ほどの威力……。当たったらただではすまんのぅ」


睦月「そんなのわかってるにゃしぃ! 絶対に当たったらダメだよっ!」



砲撃の威力では勝てない。
だが、彼女たちには駆逐艦ならではの機動力がある。


……しかし――。



彼女たちは戦い続けた。
その艦載機を撃ち落とし、砲撃を避け続け……。
着実に砲撃を当てていた。

――はずであった。



風雲「はぁ……はぁ……!」


長月「くっ……。もう弾が……!」


朝風「そんな……っ」



レキュウダー「………………」ゴゴゴゴ…



しかし、明らかに疲弊しているのは駆逐艦の方だった。
弾も尽き、動けるだけの体力も使い切った。

しかし……っ! しかしそれでもレキュウダーは倒れない。



文月「もう……動けないよぉ……」


山風「…………うぅ……」



彼女たちの心には絶望が。



陽炎「……なんてこと……っ」


暁「私たちの力を合わせても……レキュウダーには敵わないの……っ!?」





もう無理だ。

諦めよう。


誰しもがそう思った……。



「諦めちゃダメだよッ!!!」



――だがその時っ!!

一人の駆逐艦――清霜がその声を張り上げた!




清霜「諦めちゃダメだよっ!! まだ……、まだ……私たちには、あの人が居るじゃんか……っ!!」


夕雲「あ、あの人……!? ――ま、まさかっ!!」ハッ‼




「ふははははっ!! 待たせたなっ!!」






暁「こ、この声は……!!」


雷「そうよ! 私たちにはまだ……!」


電「はわわっ! そうなのです!」


響「…………あれは――っ!!」





「「「「「 ナ、ナガモンだーっ!!! 」」」」」





ナガモン「私を求める声がする……。私の名を呼ぶ、駆逐艦の声がするッ!!」


ナガモン「――さぁ、悪の手先レキュウダーよっ!! 駆逐艦の娘たちはやらせはせん! 私と勝負だっ!!」



ついにやってきたスクモ戦士・ナガモン!!
さぁ! 駆逐艦を守るため、宿毛湾を守るため! 戦うのだ!



レキュウダー「………………ッ!」ブンッ‼


ナガモン「ふんっ! そんな攻撃は私には効かんっ!」


ナガモン「――うぉおおおお! ナガモン……パーンチッ!!」


レキュウダー「………………ッ!!!」ビキィ‼



ナガモンパンチがレキュウダーに直撃する!
先ほどまで駆逐艦たちの砲撃にはビクともしなかったレキュウダーも、ナガモンの攻撃は効いているようだ!!



暁「す、すごい……! 互角以上にやり合っているわ!!」

雷「ナガモーンっ! がんばってー!」



レキュウダー「………………っ!」バッ



しかし、レキュウダーも一筋縄ではやられない!
ご自慢の艦載機をナガモンに向けて飛ばしてきた!



ナガモン「むっ……!」


吹雪「あ、危ないっ! 秋月組は……っ」


照月「ご、ごめんなさい……! もう……弾が……」



ナガモン「――うわぁあああああ!!」ガクッ…


清霜「そ、そんな……! ナガモンが!!」



形勢逆転か。
レキュウダーの放った艦載機攻撃を前に、ナガモンがついに膝をついてしまった……!



ナガモン「ぐぅ……!」


レキュウダー「………………」ガチャリ…



白露「ナガモンがやられちゃうよ!」


電「はわわ……! た、助けてあげないと……」


響「ダメだっ! 迂闊に近付いたら、私たちまで……!」



ナガモンに迫るレキュウダー……ッ!!
駆逐艦たちはそれを眺めていることしかできないのか……!



陸奥(?)「――いけないわっ! このままではナガモンがやられてしまう!」


清霜「この声は……陸奥さんっ!」


陸奥(?)「みんな、今こそ力を合わせる時よっ! みんなで、心の底からナガモンを応援するの!」



それぞれの顔を見合わせる彼女たち。
みんなが力強く頷く。
いま、駆逐艦たちの心が一つになった。



陸奥(?)「さぁ、せーので行くわよっ! せーのっ――!」





「「「「「 ナガモンがんばれーっ!! 」」」」」





ナガモン「――――ッ!!!」ドクンッ‼


ナガモン「――うぉおおおおおおおおお!!!」グググッ‼



説明しようっ!!
スクモ戦士ナガモンは、駆逐艦や海防艦など小さい娘達からの心からの声援を受けるとパワーアップできるのだっ!!




ナガモン「――ナガモン……改・二ッ!!!」


レキュウダー「………………ッ!!?」


ナガモン「喰らえっ!!」



ナガモン「――ナガモン……ビッグセブンパーンチッ!!!!!」






レキュウダー「………………――ッ」



ナガモンの一撃が決まった……。
レキュウダーは飛ばされ、海へと静かに沈んでいった。

しかし、ナガモンだけでは勝てなかったであろう。
みんなの力があったからこそ、強敵レキュウダーに勝つことができたのだ。



清霜「す、すごいねナガモン! やっぱり強いんだ!」


ナガモン「はははっ! 当り前じゃないか!」


皐月「わーっ! ナガモーン!」


深雪「さすがだぜっ、ナガモン!」


ナガモーン‼
ワーワー‼
ナガモンハツヨイゾー‼
ギャーギャー‼
ワーイワーイ‼



ナガモン「――まったく……! 私の体は一つしかないのだぞ! ……それっ!」ダッ‼


暁「あっ、ナガモン待ってよっ!」


ナガモン「はははっ、私はここだぞっ! さぁ……みんなで、共に行こうじゃないか……――!」





ナガモン「――あの、暁の水平線に向かって!!」





こうして、ナガモンは駆逐艦たちと宿毛湾を救った。

すごいぞ、ナガモン。やったな、ナガモン。


しかし、ナガモンの戦いはまだ始まったばかりだっ!!




――完――








※今まで「暁が如く」のご視聴ありがとうございました。来週のこの時間からは、引き続き「スクモ戦士・ナガモン」を放送します。みんな、楽しみに待っててくれよなっ!


【クレジット】

<出演>
・スクモ戦士・ナガモン
 ・長門

・暁組
 ・暁 ・雷 ・電 ・響

・夕雲組
 ・夕雲 ・巻雲 ・風雲 ・長波 ・高波 ・藤波 ・浜波 ・沖波 ・朝霜 ・早霜 ・清霜

・睦月組
 ・睦月 ・如月 ・弥生 ・卯月 ・皐月 ・水無月 ・文月 ・長月 ・菊月 ・三日月 ・望月

・吹雪組
 ・吹雪 ・白雪 ・初雪 ・深雪 ・叢雲 ・磯波 ・浦波

・綾波組
 ・綾波 ・敷波 ・天霧 ・狭霧 ・朧 ・曙 ・漣 ・潮

・秋月組
 ・秋月 ・照月 ・涼月 ・初月

・陽炎組
 ・陽炎 ・不知火 ・黒潮 ・親潮 ・初風 ・雪風 ・天津風 ・時津風 ・浦風 ・磯風 ・浜風 ・谷風 ・野分 ・嵐 ・萩風 ・舞風 ・秋雲

・白露組
 ・白露 ・時雨 ・村雨 ・夕立 ・春雨 ・五月雨 ・海風 ・山風 ・江風 ・涼風

・朝潮組
 ・朝潮 ・大潮 ・満潮 ・荒潮 ・朝雲 ・山雲 ・霰 ・霞

・神風組
 ・神風 ・朝風 ・春風 ・松風 ・旗風

・初春組
 ・初春 ・子日 ・若葉 ・初霜

・ホテルガングート
 ・Ташкент

・ビスマルクファミリー
 ・Z1 ・Z3


・エキストラの皆さん(敬称略)
 ・モブ田 ・モブ間 ・モブ木 ・モブ山 ・モブ川 ・モブ藤
 ・モブ橋 ・モブ中 ・モブ辺 ・モブ本 ・モブ村 ・モブ口 ・モブ上



<CM出演>

・CM①「スクモ戦士・ナガモン」
 ・長門

・CM②「MyOUKO-TANMEN アシガラ」
 ・妙高 ・那智 ・足柄 ・羽黒

・CM③「ボーキ戦隊・クウボレンジャー」
 ・赤城 ・加賀 ・飛龍 ・蒼龍 ・翔鶴 ・瑞鶴 ・龍驤

・CM④「パスタの国から」
 ・Italia ・Roma ・Aquila ・Zara ・Pola ・Libeccio ・Luigi torelli

・CM⑤「グリーンリーフ探偵事務所」
 ・青葉

・CM⑥「ヒェーハウス・COnGO弐番亭」
 ・金剛 ・比叡 ・榛名 ・霧島

・CM⑦「健康青汁 ~鹿島さんver~」
 ・香取 ・鹿島

・CM⑧「アイオワのテレビショッピング」
 ・Iowa ・Saratoga ・Intrepid ・Gambier Bay ・Samuel B.Roberts

・CM⑨「サーチ♥ライト」
 ・川内 ・神通 ・那珂 ・球磨 ・多摩 ・北上 ・木曾

・CM⑩「メイド喫茶 アガにゃん」
 ・阿賀野 ・能代 ・矢矧 ・酒匂 ・天龍 ・龍田

・CM⑪「ウォースパイトの3分クッキング」
 ・Warspite ・Ark Royal

・CM⑫「ボーキ戦隊・クウボレンジャー ~裏切りのブラック~」
 ・赤城 ・加賀 ・飛龍 ・蒼龍 ・翔鶴 ・瑞鶴 ・鳳翔 ・雲龍 ・天城 ・葛城 ・龍驤 ・瑞鳳



<大道具・小道具・舞台製作>
 ・明石 ・夕張


<撮影>
 ・青葉


<原作・脚本>
 ・クラウド・アキ


<現場監督>
 ・大淀



<総監督>

 ・長門




<スポンサー>

この番組は――。


「改修の限界を目指して……」
 『AKASHI GARAGE COMPANY』


「確かな編成を、確かな海域へ」
 『大淀マネージメント事務所』


「明日は、今日よりもいい鎮守府を」
 『バリバリ夕張製作所』


「大切な一瞬を逃したくないアナタに」
 『スクリーンショット・アオバ』


――御覧のスポンサーの提供でお送りしました。





プツッ―





長門「――ってドラマを作ってみたんだが……。どうだろうか、陸奥?」


陸奥「ちょっと待って、ちょっと待って……。あ、頭の整理が追いつかないわ……」




―――鎮守府・執務室


陸奥「――えぇっと……。まず聞きたいんだけど、最後のは編集ミスかしら? 十二話の後半だけど」


長門「えっ? いや、編集ミスじゃないぞ」


陸奥「じゃ、じゃあ最後のアレは何?」


長門「ふふふっ! 実はな、スクモ戦士ナガモンは私なのだ!」


陸奥「そんなこと聞いてるんじゃないのよ。はっ倒すわよ」ゴゴゴ…


陸奥「――というか、いつの間にこんなの撮ったのよ、CMとかまで作って……。私、全然気付かなかったわ……」


長門「あぁ、陸奥にはバレないようにスケジュールを調整したからな」


陸奥「えっ……なんでよ?」


長門「まぁまぁ。それよりどうだろうか、面白かったか?」


陸奥「ま、まぁ……。内容は色々と疑問はあるけど、いいんじゃないかしら」


陸奥「――ただ、最後に突然長門が出てくるのはなんなの?」


長門「それはだな、話自体は秋雲に作ってもらったんだが、私の出番がなかったから付け足したんだ」


陸奥「そ、そう……、まぁみんなが納得してるならそれでいいわ。あと、最後の私の声は……?」


長門「あぁ、あれか! ふふっ、あれは私が陸奥の声を真似してみたんだ! どうだ、似ていなかったか?」


陸奥「え、えぇ……。ちょっとビックリしたわ」


長門「そうそう。だから、後で陸奥の声が欲しいって大淀が言ってたぞ」


陸奥「…………そう。――……それで、これを私に見せたのはどうして?」


長門「じ、実はだな……。これをぜひ放送したいと思って……」


陸奥「……いいんじゃない? もちろん、提督の許可は貰ってるんでしょ? まったく、提督も私に秘密にしなくてもいいのに……」


長門「いや……」


陸奥「えっ?」


長門「………………」


陸奥「………………」


長門「いや…………」


陸奥「……ね、ねぇ、まさかとは思うんだけど――」



陸奥「む、無許可なの……??」




長門「――お願いだっ! 秘書官である陸奥から、ぜひ提督に一緒にお願いしてくれっ!!」ドゲザァ‼


陸奥「ちょ、ちょっと待ってよっ! 提督は今日出張から帰ってくるのよっ!? な、なんで許可も取ってないのにこんなこと……!」


長門「い、いや、だって……。明石と大淀が……――」


――えっ、許可? いやぁ、撮影してからでいいんじゃないです?

――さぁさぁ! 張り切って行きますよっ!


長門「――って言ってて……。私もこんな大事になるとは……」


陸奥「あの二人は暇だっただけでしょ……。てか、最後は貴女もノリノリじゃない。同罪よ」


長門「で、でもどうだろうか? これを放送すれば、この鎮守府のアピールに……」


陸奥「なんのアピールになるのよっ!?」


陸奥「――しまったわね……。提督が居ない分私がしっかりしなきゃと思って、あの二人を野放しにしちゃったわ……」


陸奥「今すぐ呼び出して――! ……って、あの二人は今日休みを取ってたかしら。逃げたわね……、まぁいいわ。夕張と青葉を呼びましょ」


長門「ちょ、ちょっと待ってくれ! その二人は……その……知らないんだ」


陸奥「…………は?」


長門「いや……その……。提督の許可を得てると……思ってるんだ」


陸奥「…………待って。……それじゃ、このドラマに出演してるみんなも……?」


長門「………………」コクッ




トントンッ…




陸奥「――――ッ!」ビクッ‼


長門「ま、まさか提督が……?」


暁「……あれ、陸奥さーん? ……居ないのかしら?」ガチャ…


陸奥「あ、あぁ! ごめんなさいね、暁。どうしたの?」アセアセッ


暁「えっと、今日の遠征について聞こうと思って……」


陸奥「そ、そうね! 今日は……ちょっと待機しててもらえる? ほら、提督も帰って来るでしょうし」


暁「そっか! 提督も今日帰ってくるのよねっ!」パァアア‼


暁「――あれ、長門さん……。もしかして……」


長門「……あぁ! そうだ、たったいま陸奥にドラマを見てもらったんだ!」





暁「そ、それじゃあ……」


陸奥「えっ……?」


暁「どうだったかしら! 私たちの演技は!」グワッ‼


陸奥「あ、あぁ……えっと……」


暁「なんで司令官がドラマの撮影なんて……って思ってたけど、レディとして立派にやりきったわ!」


陸奥「そ、そうね……」


暁「そ、それで……、どうだった……かしら?」


陸奥「………………」


暁「………………」キラキラ


陸奥「………………」


暁「………………」


陸奥「………………」


暁「…………だ、ダメ……だった?」ウルウル


陸奥「………………――」




陸奥「――とても、上手だったわっ!!」グッ‼




暁「ほ、ホントっ!? えへへ、雷達にも伝えないと! それじゃ、私たちは待機してるわっ!」パタパタ…


陸奥「え、えぇ……そうね……」

ポンッ

長門「ふふふ……」


陸奥「はぁ……」


長門「それじゃあ陸奥よ……――」


陸奥「――あぁわかったわよっ! 一応提督にお願いはしてみるけど、結果は期待しないことよ?」


長門「あぁ、それでいい! 頼んだぞっ!」



――――――

――――

――


お わ り



とりあえずこれでおしまいになります。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。

正直なこと言うと、CMをやりたいだけでした。
「オチが納得いかないよ」という方は、12話前半で終わりだと思っていただければ。


この後は需要がありそうでしたら、各話の裏話や提督の帰還など1レス程度で終わる話を書いていこうかなと思っております。

何はともあれ、最後まで読んでくださってありがとうございました。

乙 
楽しく読めたよ!

おつ、乙なんだが、えぇぇ…(困惑)
楽しかったんだけど!楽しかったんだけど!
最後、斜め上を行きすぎ!(誉め言葉)

乙だけど…乙なんだけど…!
なんだろうこの気持ちは

まさかの作中作wwロシア風に言うとマトリョーシカ方式
夢落ち爆破落ちは割と見かけるけどコレは珍しいな

あと小ネタがあるなら見たいです

お約束のNG集はあるんですよね?

これタイトルが縦読みになってる?

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