【デレマス】島村卯月「私、宝くじで1億円当たっちゃいました!」 (22)


本田未央「……あっ、もう4月なんだ……」

未央「うーん……」

未央「……ところで、こないだ、うち、圧力鍋が壊れちゃってさー。お母さんが困っているんだ」

未央「家族全員、お母さんが圧力鍋で作る豚の角煮が大好きでさー」

未央「えっ、あっ、しまむー、本当に困らなくていいんだよ? 圧力鍋の話は本当だけど……」

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五十嵐響子「ええっ、卯月ちゃん、1億円当てたの!?」

小日向美穂「すっごーいっ!」

響子「1億円あったら、家族ずっと養えそうだなあ……」

美穂「ま、まさか、卯月ちゃん、アイドル辞めちゃったりしないよね……」

響子「ええっ!? そ、そんなあ……」

美穂「そんなのいやだ……卯月ちゃんと響子ちゃんと一緒にここまで来たのに……」

響子「え、辞めない?」

美穂「今日は何の日、って……?」

響子・美穂「あっ」

輿水幸子「い、いい、い1億円!」

幸子「いちおくえんってことは……ぜろがいくつ……ええっと、いち、に、さん、じゅう、ひゃく、せん、まん……」

幸子「それだと、うちから事務所までの交通費でだいたい……毎日通ったとしても38年分くらい……? ノートだと、ひと月に、ええと……」

幸子「え、あっ、4月1日……?」

幸子「え、ええ、知ってましたよ! このカワイイボクはなんでもお見通しですからねっ!」

多田李衣菜「ええっ! 1億円!」

李衣菜「1億円あったら、色んなもの買い放題じゃん!」

前川みく「……りーなちゃん」

李衣菜「ほしかったレコードも大人買いして、ああっ、あのヘッドフォンも買えて……まだお釣りが来ちゃう!」

みく「……りーなちゃん」

李衣菜「ねえ、みくちゃんは何したい!?」

みく「いや、その、今日は何月何日?」

李衣菜「今日は……あっ!」

みく「……ったく、李衣菜ちゃんも考えなしだけど、卯月ちゃんも人が悪いにゃ……」

みく「ちなみに、みくは、みんなの応援があれば生きていけるから、そんなお金はいらないにゃ!」

李衣菜「みくちゃん、こないだ私が出したジュース代返してよ。『喉乾いて死にそうだけどお財布忘れたにゃー!』って半泣きでせがまれた時のアレ……」

みく「あっ、はい……」

高垣楓「1億円ですか……」

楓「1億円あったら、地元に戻って呑んで遊んで暮らせますね」

楓「でも、私はアイドルを続けたいですから、しばらくこっちに居たいです」

楓「卯月ちゃんは、その1億円で何をするんですか?」

三船美優「1億円、ですか……」

美優「私なら、半分くらいは実家の方に送って、あとの半分は自分で使いますね」

美優「えっ、自分は何に使うのかって?」

美優「……何に使えばいいんでしょう……」

依田芳乃「1億円ーですかー?」

芳乃「私がもっていてもー使いようがありませぬー」

芳乃「しかしー卯月さんー。今日が4月の1日だからといってーあまりー……」

芳乃「えー『私、まだ何も言ってないのに、なんでわかるんですか?』ですってー?」

芳乃「それは失礼をー。しかし、今、そんな気をーとても感じましたのでー―――」

神谷奈緒「えっ、1億円?」

北条加蓮「あー、そういう……」

奈緒「卯月、そういうこと、あんま言いふらさない方が……」

加蓮「奈緒、本気にしてるの?」

奈緒「いやっ、ちげーし! ほら、さっきの……!」

森久保乃々「い、1億円……」

乃々「あー、さっきの凛さん……」

乃々「ええ、凛さんが卯月さんのこと探してましたよ……」

乃々「ちなみに、もりくぼが1億円あったら何をしたいか……?」

乃々「……ここに引きこもります……」

乃々「……で、できないって……そんなぁ……だって、もりくぼは、プロデューサーさんの机の下がぁ……」

島村卯月「あっ、凛ちゃーん!」

 凛 卯月の腕をガシッ

卯月「えっ! あの、凛ちゃん?」

渋谷凛「卯月、ちょっと」

卯月「ええっ、どこへ……」

誰もいない会議室

 鍵 ガチャッ

卯月「凛ちゃん、何を……」

 凛 壁ドンッ!

卯月「ひっ……!」

凛「卯月」シーッ

卯月「へぇっ?」

凛「あんまり、大きい声で、そういうこと言わない方がいいよ」

卯月「そういうこと、って……」

凛「宝くじの話」

卯月「へっ……うええっ!? んぐぐ……」

 凛 卯月の口を手で閉じて、シーッ

凛「だから、大声出さないで」

凛「そんなこと言いふらしたら、色んな人がたかりに来るよ」

卯月「……」

 凛 卯月の口から手を放す

凛「こういうことはプロデューサーに……いや、プロデューサーは案外、お金のことに関して計画性がないから、ちひろさんとかに相談して、ちゃんと計画立ててやらないと……」

卯月「あの……」

凛「お父さんやお母さんは知っているよね? じゃあ、お金は家に任せて、卯月はちゃんと自分の選んだ道を進んだ方がいいと思う」

卯月「あの」

凛「卯月は、ずっとアイドルになりたかったんでしょ? それに私達のような子供じゃ、お金のことはわからないから。卯月が自分の道を進む方が、私も――」

卯月「あの、凛ちゃんっ!」

凛「?」

卯月「……今日、何月何日でしたっけ?」

凛「……」

凛「……あ」

幸子「ふ、フフーン! ボクは最初からわかっていましたけどね!」

李衣菜「わ、私もだし!」

みく(幸子ちゃんもわかってなかったんだ……)

未央「それにしても、しぶりんが本気で信じちゃうとは……」

美穂「わたし達がつい、凛ちゃんに卯月ちゃんの話をしたら、話の途中で走っていっちゃうなんて……」

響子「……ごめんなさい」

芳乃「わたくしもーもっと早く言っていれば―……」

奈緒「いやいや。凛も、真面目で、周りを見ないところがあるからなあ……あーあ、あたしが早く卯月に言ってあげられたら良かったんだけどなー。誰かさんが途中で余計な口挟むから」

加蓮「いやー、ごめんごめん。私も、凛がそこまで本気にしているとは思わなくて、つい……」

卯月「ど、どうしましょう……凛ちゃん、さっきも走ってどっかいっちゃいましたし……」

美優「卯月ちゃん。嘘はあまり良くないけど、エイプリルフールだから、仕方ないですよ……」

楓「でも、凛ちゃんも意外と純情なんですね。1億だから、じゅうのじゅんじょう(10の10乗)、なんてね。ふふっ」

幸子「楓さんもだいぶ動揺してますね……10の10乗は100億ですよ……ひゃ、100億円……!?」

未央「いやいや、さっちーも落ち着いて」

 扉ガチャ

乃々「お手洗いからの、もーどーりぃー……」

卯月「乃々ちゃん、凛ちゃん見なかった?」

乃々「凛さんなら、もりくぼがお手洗いに行く途中に、屋上へ上がっていくのを見ましたけど……」

卯月「乃々ちゃん、ありがとう!」 ダッ

乃々「えっ?」

未央「あっ、しまむー!」

屋上

卯月「凛ちゃん……」

凛「……」

卯月「凛ちゃん、さっきは……」

凛「うづきのばかっ」

卯月「……」

凛「卯月が冗談を言うなんて思わなかった……私、ほんとに心配してたのに……」

凛「卯月の方が年上だし、意外としっかりしてると思ったけど……おっちょこちょいで、すぐ人を信じちゃうから、悪い人に騙されたらどうしようかって……」グズッ

凛「エイプリルフールだって気付かなくて、本当に心配した私、本当に馬鹿……」ヒクッ グズッ

卯月「そんなこと、ないよ……」

凛「……え」

卯月「私、知ってますから。凛ちゃんは優しい、真面目な人だから。凛ちゃんは、ばかじゃないです」

凛「……」

卯月「私のために、そこまで心配してくれたのは、本当にうれしかったです」

卯月「本当の馬鹿は私です。嘘をついて、本当にごめんなさい」ペコッ

凛「……」

卯月「……」

凛「もう、卯月……」

凛「……じゃあ、こんど」

卯月「……?」

凛「……今度、うちに遊びに来て。お互い、最近忙しくて、外であんま遊んでなかったじゃん」

凛「お母さんも、お父さんも、卯月に会いたがっていたし……ハナコも、卯月に、会いたいって、感じ、だった、し……だから……」カァッ

卯月「うん!」ニコッ

凛「……卯月」

卯月「今度、凛ちゃん家に遊びに行くね。ハナコちゃんと凛ちゃんで、またお散歩したいな!」

凛「うん!」ニコッ

卯月(でも……)

卯月(みんなや、凛ちゃんには迷惑をかけちゃって悪いけど……)

卯月(みんなから、楽しい話もきけたし……)

卯月(それに凛ちゃんの色んな顔まで見れた上に、近いうちに凛ちゃんの家に遊びに行けることができるなんて……)

卯月(また来年、私、嘘、ついちゃそう……)



おわり

以上で、話は終わりです。


ちなみに、この話には元ネタがあります。


声優の林原めぐみさんが、よく自分のラジオで話していたエピソードです。

林原さんが新人の頃、エイプリルフールの日にアニメの収録スタジオで「宝くじで凄い金額が当たった!」と、周りの共演者の皆さんに言ったそうです。
ほとんどの人は真に受けてなかったそうですが、一人、同じく当時新人だった山寺宏一さんは、林原さんを別の所に連れていき、こっそり、
「そういうことは大きい声で言わない方がいいよ」と、本気で注意をしたそうです。

あとで林原さんがネタばらしをして、他の共演者の方は笑っていたそうですが、山寺さん一人「そう言う嘘つくって信じられねえ!」とマジギレしていたそうです。

林原さんも「山寺さんって本当に良い人だな」と、当時を思い出して話しています。



投稿は以上です。失礼いたしました。

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