【モバマス】向井拓海 今昔物語 (28)


たくみんデビュー前と後の二部構成です。

炎の華リリース記念と総選挙へのダイマを込めて。

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  五~六年前くらいの話


拓海「……で、ここはどこだ?」

モバP「ここはわが社の第三女子寮(平塚寮)だ」

拓海「あぁ? 女子寮だぁ!? しかもわが社って、何の会社だよ?」

モバP「シンデレラプロダクション、アイドル専用の芸能プロダクションだ。名刺ドウゾ」

拓海「はぁ!? アイドルだぁ? んなチャラついたヤツがアタシに何の用があるんだよ!」

モバP「まぁ、せっかく来たんだし、取り合えず中を見てけよ」グイッ

拓海「なっ!? おい!引っ張んじゃねーよ! 聞いてんのか!?」

モバP「はいはい、話は署(ナカ)で聞くからね」グイグイ

拓海「署ってなんだよ!? おい! 放せよッ!」ズルズル



 ~ 女子寮内 ~


モバP「っつーことで、寮の先輩になる木村夏樹だ」

夏樹「よろしくー」

拓海「……」ブンムクレ

モバP「んじゃ、簡単に寮の利用方法について説明するぞ?」

拓海「ちょっと待て」


拓海「話が勝手に進んでるが、アタシはアイドルなんてやらないからな?」

モバP「えっ? なんで?」

拓海「人の話を聞いとけよッ! んなチャラついたこと出来るかよ!」

夏樹(プロデューサー、また強引に連れてきたのか……)


モバP「んー、まぁアイドルをやるやらないは追々考えるとしてだな」

拓海「……こ、コイツはいつもこうなのか?」

夏樹「あー……」ポリポリ

モバP「だって、絶対売れるし。 カワイイし、胸でかいし」

夏樹「確かに。 ギター弾くのに邪魔になりそうなくらいだ」

拓海「ッ! 胸のこと言うんじゃねえッ!」

モバP「これでなんと! 夏樹と同い年だってんだから驚きだろう?」

夏樹「マジかよ…… アンタ、ロックだな!」

拓海「知るかよッ! あとか、カワイイとか言うな、気持ちわりぃ……」

モバP・夏樹(文句言いながら照れてる……カワイイ)


モバP「で、寮だが個室なら月3万、朝夕2食分の食費が月1万、光熱費はなんとタダだぞ!」

拓海「お、おう……」

夏樹「ただし週1で食器洗い、共同スペースの掃除があるけどな」

モバP「さらに入居1ヶ月間は基本無料、ツケも利くぞ!」

拓海「マジかよ……」

夏樹「ちなみにアタシはもう3ヶ月滞納してるぜ!」

モバP「マジかよ……」


モバP「お前にはちゃんと仕事させてるだろう?」

夏樹「いやー、月8万じゃ実際キツイんだよ。 ガソリンもバカ高いし」

拓海「!」

モバP「電車移動なら交通費出るのにバイク使うからだ。 まぁ自業自得だな」


拓海「なんだ、アンタも単車乗るのか!?」

夏樹「ん? ああ、月1でツーリングを嗜む程度だけどね」

拓海「マジかー! 何乗ってんだ?」

ペチャクチャペチャクチャ

モバP「……」

ヘーソウナノカー!オウブッチギリダゼー!

モバP「……ちなみに、2輪なら基本的に駐輪所は無料だからな(ただしチャリ、原付に限る)」

拓海「うおおぉ……ほんっとに至れり尽くせりだな」

モバP「どうだ? やる気になってきたか?」

拓海「うっ……」


拓海「大体よォ、アタシがアイドルって、ガラじゃねーだろ」

拓海「どうせアレだろ? 水着とか着せられてエロいポーズ撮らせる気だろ?」

モバP「うーん、個人的には是非見てみたいが、基本嫌がる仕事はさせんよ」

夏樹「ああ、アタシも仕事選り好みしすぎてほとんど仕事してないからな!」

モバP「お前はもうちょっと仕事をありがたがってくれ」

拓海「アンタもどうせ、この、……胸を見て声かけてきたんじゃないのか?」

モバP「フム……夏樹、今日は久美子さんいたっけ?」

夏樹「いるよ。 ちょっと呼んでくる」タッタッタ

~ ~

久美「ということで初めまして、松山久美子です」


モバP「んじゃ先生、お願いします」

拓海「お、おい、何する気だ?」

久美「動かないでねー、すぐ終わるからねー」

モバP「彼女は寮内でも屈指の化粧マスターだ。 自分を少しでもきれいに見せたいという努力家だよ」

拓海「け、化粧だぁうぶッ 久美「動かないで!」

夏樹「アタシは正直、化粧とかよりペイント派だけどね」

モバP「ヒャッハー!ゴォォトゥゥーヘーーール!」

久美「うるさい!」

モバP「ア、ハイ スイマセン」


モバP「で、どうだ? 鏡を見た感想は」

拓海「……」ポカーン

夏樹「うわー、なんか凄いなー!」

久美「会心の出来よ!」

モバP「今TVに出てるアイドルと比べても、遜色ないと思うぞ?」

拓海「う……そんなこと言ってもよ、化粧で誤魔化しただけだろ?」

モバP「誤魔化したんじゃない、拓海の良い部分を強調しただけだ」

久美「口紅で下唇をふっくらと、切れ長な目をアイラインで縁取って、チークを少々」

夏樹「でも、印象が凄く変わるね」

拓海「んなこと言っても、口は悪いし眼つきは怖えって言われるぞ?」

モバP「口が悪いのは知らんが、への字に曲げても十分可愛いぞ」


モバP「それにその眼力(めぢから)で睨まれたらそりゃ怖いだろうが、微笑まれたらイチコロだ」

夏樹「あーわかる。 なんか強くて優しい感じ、女神みたいな!」

??「ん? 呼びました?」

久美「いや春菜ちゃん、メガ"ネ"じゃなくてメガ"ミ"だから」

上条春菜「そうですか、とりあえずメガネは置いておきますね」コトッ o-o、

拓海「いや誰だよ」

夏樹「まぁまぁ、眼鏡どうぞ」

拓海「いらねぇよ! 何なんだよ、このくだり!?」

モバP「……さて、次は衣装か」チラッ

拓海「オイッ! 無視すんなよっ!?」


モバP「見た目から想像だが、T163、B95 W60 H87ってとこか?」

拓海「ッ! 知らねェ!」

モバP「ウエスト、あと2cm絞ろうな。 胸は痩せるなよ?」

拓海「うっせぇ! 知らねーよ!」

モバP「とりあえず衣装はいくつか見繕っておくから、今日はここまでだな」

夏樹「プロデューサー、てか入居手続きとか何にもしてないんだけど?」

モバP「おっと、忘れるとこだった、この新規入居届に必要事項を記入してくれ」

拓海「…つかさ、アタシ未成年なんだけど、こんな簡単なのでいいのか?」

モバP「ああ、親御さんと学校にはもう連絡しておいたぞ? 明日会って話してくるが、問題なさそうだ」

拓海「はァ!? いつ!?」

モバP「さっき化粧してる時」

夏樹「さすが敏腕プロデューサー」

メガネ久美「仕事に対する行動力は半端無いわね」メガネクイッ


拓海「は、はは……」

モバP「明日17時に学校、19時に家に伺うからな。 明後日の午前中には引越しするから荷物まとめておけよ?」

夏樹(完全に外堀を埋められたな)

拓海「い、いやだっ! アタシは働かないぞッ!?」

モバP「お? 早速先輩アイドルの振りから練習か? やる気満々だな!」

一同「HAHAHA!」

拓海「アメリカナイズに笑ってんじゃねー!」




こうして向井拓海は不本意ながらも、アイドルとしての第一歩を踏み出した。
ウエストも2cm絞った。

拓海「べ、別にアンタに言われたから絞ったワケじゃねーよ……!」

たくみんはかわいい。



  後編へ



  一年前くらいの話


~~ 朝 女子寮 共用リビングにて ~~

拓海「うーっす」

拓海「って誰もいねーのか」

拓海「うー、暖房もまだあんまし効いてねーな……」

拓海「さむっさむっ! こうなりゃコタツで凌ぐしか……」ゴソゴソ

拓海「……ふぅ」

拓海「やっぱコタツは良いなァ アタシの部屋にも置くかな」

拓海「そうすりゃアイツ(猫)も喜ぶかな?」ニヤニヤ

拓海「ん?」

拓海「足元になんかあるな……なんだこれ?」ゴソゴソ

拓海「給与明細?」





拓海「見ちゃいけないとは思いつつ…… どれどれ?」



平成28年12月分  高垣 楓

勤務給与 1,600,000  物販等 1,520,000

レッスン料 ▲300,000  寮費・食費 ▲300,000 積立金 ▲400,000

支払総額 2,120,000 控除額(税等) ▲1,140,000  差引額 980,000


拓海「楓さんか。 ん?」

拓海「いち、じゅう、ひゃく……」

拓海「んんっ?」

拓海「……」

拓海「えっ? えっ?」

拓海「300!? マジか!?」




拓海「アタシの先月って……」



平成28年12月分  向井 拓海

勤務給与 170,000  物販等 25,000

レッスン料 ▲25,000  寮費・食費 ▲40,000  積立金 ▲20,000
動物飼育費 ▲10,000  駐輪場代 ▲3,000

支払総額 97,000 控除額(税等) ▲30,000  差引額 67,000


拓海「これが人気の差、ってヤツなのか……」

拓海「っていうかイベント中でもないのにグッズ売り上げヤバすぎだろ!?」

拓海「アタシがイベントやってMAXの時と比べても倍以上だぞ!?」

拓海「すげぇっていうか、凄すぎて若干ヘコむな……」

拓海「マジかよ…… マジかよ……」

 ガチャ!

拓海「!?」サッ

木村夏樹「おはよーっす」


拓海「なんだ夏樹か」

夏樹「なんだ とは酷いな! そっちこそ朝っぱらからヘコんでるじゃん?」

拓海「ん? ああ…いや、なんでもねぇけどサ」

夏樹「なんだよ、珍しく煮え切んないな? よいしょっと……」コタツin

拓海「いや、大したことじゃねーんだけどよぉ、夏樹はさぁ」

夏樹「ん?」

拓海「給料いくら貰ってる?」

夏樹「給料? アイドル活動の?」

拓海「ああ」

夏樹「んー、グッズの売り上げとかで違うけど16~20くらい?」

拓海「そ、そうか」

夏樹「ああ、そういやジャケットに突っ込んだままだった…… ほら」ゴソゴソ



平成28年12月分  木村 夏樹

勤務給与 165,000  物販等 30,000

レッスン料 ▲25,000  寮費・食費 ▲40,000  積立金 ▲20,000
防音工事費 ▲40,000  駐輪場代 ▲3,000

支払総額 67,000 控除額(税等) ▲30,000  差引額 37,000


拓海「防音工事費って?」

夏樹「部屋の防音効かせてもらった工事費の支払いだな」

拓海「そんなことしてんのか?」

夏樹「まぁ稼いだ時に多く払ってるけど、あと20万くらいかな?」

拓海「まじかー」

夏樹「ちなみにこの他に、美世にいじってもらった単車の修繕費が10万くらいあるよ」

拓海「まじかー……」

夏樹「まぁ最悪、寮費はツケが効くしな!」

拓海「なんつーか、ロックだわ……(呆れ)」

夏樹「だろ?」ヘヘッ


拓海「しっかし、どうやったらもっと稼げるようになるんだろーなァ?」

夏樹「お? どんな心境の変化だ?」

拓海「そういうワケじゃねーけどサ、頂上(テッペン)は思った以上に高いな…… ってな」

夏樹「そうだなあ、シンデレラガールとかになったら凄いんだろうな!」

拓海「シンデレラガール、か……」

 ガチャ

渋谷凛(第三回シンデレラガールズ総選挙一位)「二人ともおはよう 奈緒は起きてるかな?」

夏樹「お、噂をすれば」

拓海「奈緒はまだ見てねーな」

凛「ふーん、じゃあ私もコタツで待たせてもらおうかな」モゾモゾ

夏樹「奈緒とは待ち合わせか?」

凛「うん、レッスン前にちょっと買い物行くんだ。 ところで何か私の噂話をしてたの?」


拓海「あ、あー、まぁ大した話じゃないんだが……」

夏樹「ぶっちゃけ、凛は給料いくらくらい貰ってるのかなーってね」

拓海「おい!」

凛「給料? 私給料は貰ってないんだ」

拓海「は?」

凛「んー、お父さんが税金対策とかで、アイドル活動の売り上げを実家に計上してるんだ」

夏樹「なるほど、花代(意味深)ってね」

凛「だから私自身はお小遣い制で、月3万円だよ」

拓海「そうなのか……」

夏樹「でも税金対策するって事は、それなりの年収ってことだよな」

凛「まぁそうなのかな? ああ、そういえば今日、請求書渡してくれって言われてたんだ」ゴソゴソ

拓海「請求書!?」

凛「うん、活動費用の請求」ピラッ



平成29年1月度 御請求書
(活動期間 平成28年12月21日~平成29年1月20日)


芸能活動費 360,000円 (9日 × 40,000円)
現場活動費 450,000円 (6日 × 75,000円)
現場残業代 200,000円 (20時間 × 10,000円)
特別活動費 150,000円 (年末・年始活動費一式)
交通費   別途支給
衣装代   別途支給

レッスン費 ▲240,000円 (16回 × 15,000円)


小計  920,000円
諸経費 138,000円
合計 1,058,000円 (税抜)


拓海「」

夏樹「すげぇ!」

凛「あとはグッズの売り上げとかでもう少し入ってくるかな」

拓海「まさに桁違いだな……」

夏樹「月100万かー! 夢があるな!」

凛「でも、最近はイベントあまりやってないからね、もっと頑張らないと」

拓海「しかしそう考えると、楓サンのアレって……」

夏樹「ん? 楓さん?」

凛「拓海、楓さんの給料まで知ってるの?」

拓海「え!? あ、いやまあ…… なんだ、その……」

夏樹「楓さんも人気だし凄いんだろうな! いくらくらいだった?」

凛「うん、私も気になる」


拓海「う…… 実は、さっきコタツん中にコイツが落ちててサ」


  ~~~ 給与明細確認中 ~~~


夏樹「いろいろ凄いな、食費30万って……」

凛「………」

拓海「お、おい! たまたま落ちてただけだからな? 誰にも言うなよ!?」

夏樹「しかしイベント期間外でこれだと、イベント中とかどうなるんだろう?」

凛「やっぱ楓さんの人気は凄いね。 私ももっと頑張らないと…… ちょっと奈緒呼んでくる」

拓海(あっ)

夏樹(静かな闘志キタコレ!)

拓海「凛! この事は他言無用だからな!?」

凛「理解(わか)ってる、誰にも言わないよ」


夏樹「行っちまったな」

拓海「スゲー蒼のオーラ出てたな」

夏樹「あとコタツん中、めっちゃいい匂いになってる」パタパタ

拓海「確かに」スンスン

夏樹「これがトップアイドルってヤツなのかな」

拓海「しっかしここまで差があるとはな…… やっぱ少しヘコむぜ」

夏樹「やっぱCD出したりってのがデカいんじゃないか?」

拓海「そうだな…… よし、まずはソロデビュー目指して頑張るか!」

夏樹「お? やる気出てきたか?」

拓海「ああ、このままじゃ終われねェ! 頂上(テッペン)目指してやるぞオラァ!」

拓海「そしてェ……」

夏樹「そして?」

拓海「稼いで稼いで、アイツ(猫)にコタツを買ってやるぜェ!」

夏樹「いや、それくらい今すぐ買ってやれよ……」



その後、拓海と夏樹はソ○マップの撮影会をしたり
フェスを盛り上げたりと、大いに活躍をした。
そして拓海は、今年3月遂にソロ楽曲(炎の華)を発表する運びとなった。

拓海「このまま総選挙も頂上(テッペン)目指して突っ走るぜッ!」



 完



以上になります。
月末のお花見ガチャ(予想)で クパッ(!)マン開スマイル・向井拓海 が追加されますように。

ありがとうございました。

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