ちひろ「写真で」P「すれ違い」 (14)

ちひろ「インフルエンザに罹ってしまい数日。 熱は下がったけど、まだ仕事にはいけないし……」

ちひろ「溜まっていたバラエティの録画でも見ますか」

ざぁーんこーくなてんしの―――

ちひろ「あら、電話? Pさんからみたい」

ピッ

P「もしもし、Pです。 もう熱は下がったと聞いたので電話してみたんですけど、今お時間はありますか?」

ちひろ「ええ、丁度暇を持て余していた所ですから。 どうかしましたか?」

P「ああ、それは良かったです。 実はですね、私新しいデジカメを買ったんですよ。
  それでこの数日間色々な写真を撮りましたから、ちひろさんがお休みしていた間の出来事をお話しようと……」

ちひろ「本当ですか? 実は休み明けに話題について行けなくなっているかも知れないと心配してましたから
    嬉しいです!」

P「いえいえ、じゃあ、今からパソコンの方に画像データを送りますね」

ちひろ「はーい。 お、来ましたね」

P「そうですか。 取り敢えず適当に六枚の画像を送ったので端から説明しますね。 まず―――」

ちひろ(うっ、くしゃみ出そう。 で、でもPさんが聞いているんだから我慢しなきゃ―――!)

P「右端の画像を開いてください。 ……ちひろさん?」

ちひろ(ふう、何とかセーフだったわ)

ちひろ「え、あっ大丈夫ですよ」

P「そうですか、では一番端から行きますよ」

ちひろ(えーと、一番端……、左端のこれね)

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P(一枚目は今度事務所に入れる予定の送迎車のサンプルの写真か。 アイドル達を載せる前に試乗してみたんだよな)

ちひろ(美波ちゃんとアナスタシアちゃん……ラブライカの二人が写っているわね。
    でも、二人の間に立っている筋肉質で短髪の男性は一体? 随分色黒だけど……)

P「ちひろさん、一枚目見れましたか?」

ちひろ「はい。 この写真は?」

P(車が三台並んでるけど、試乗したのは中央の黒い車だったな)

P「まず真ん中のやつを見てください」

ちひろ「はい(この男の人がどうしたのかしら…‥)」

P「実はですね。 私この真ん中のやつに乗ったんですよ」

ちひろ「はっ!? の、乗ったってどういう事ですか」

P「どういう事ですかって……、いや、色が黒くてかっこいい所が気に入って座ってみたんですよ」

ちひろ(男の人を気に入って、座るって……、何をカミングアウトしているんですか、Pさん!)

P「そして座ってきたら気分が乗ってきましてね。 レバーをグイっと入れてみたんですよ」

ちひろ「何ですかその隠語、レバーをグイっと入れるって……生々しいですよ!」

P「は、はい? まあ、それで暫く乗っていたんですけどね。 馬力がある感じで最初は良かったんですけど、思ったより下(座席シート)が固くて……」

ちひろ(下が硬い? お、男の人の下に付いている物っていうと……アレよね)

P「まあ、初めの内は硬くてもそんなに気にはならなかったんですけどね。 でも、一時間も(シートの上で)揺られている内にお尻が痛くなってきて」

ちひろ「い、一時間も? も、もう、それ以上はいいです。 別に聞きたくありませんから!」

P「(ど、どうしたんだちひろさん) そ、そうですか。 やっぱりアイドルを乗せるにはもっと柔らかい方がいいですかね」

ちひろ「アイドルを!? 硬くても柔らかくてもアイドルを乗せていいわけ無いでしょう。 というか、どうして私に聞くんですか!?」

P「いえ、単に乗り慣れていそうかなって思っただけで……」

ちひろ「いませんよ。 わ、私、そんな風な経験はその―――、ありませんし……」

P「本当ですか? 数え切れないくらい経験があると思っていたんですが」

ちひろ「私を何だと思っているんですか! もうセクハラってレベルじゃありませんよ!」

P(セ、セクハラ? 何か知らない間にまずい事を言ってしまったのか? とにかく早く次へ言ってしまおう)

P「つ、次の写真へ行きましょう。 えーと(カチッ」

ちひろ「このことは、いずれ追求させて貰いますからね……(カチッ」

P(次はトライアドプリムスのライブの写真か。 すごい盛り上がったんだよな)

ちひろ(次は……、凛ちゃんの水着が写っているわ。 グラビア撮影の休憩時間の一コマって感じかしら)

P「いや――、盛り上がりましたね~」

ちひろ「盛り上がる、ですか? そんなに賑やかな仕事では無い気が……」

P「そんなこと無いですよ。 確か観客が三千人くらいだったかな?」

ちひろ「三千人! いや、多すぎるでしょう。 凛ちゃんもやりづらいですよ、それじゃ!」

P「いえ、逆に気合入っているようでしたね」

ちひろ「凛ちゃん!?(結構見られたがりなのかしら……)」

P「もう終盤に近づくに連れて熱気がムンムン、お客さんは、みんな立ってしまってましたよ」

ちひろ「はぁ、勃つ!? 何言っているんですか、Pさん」

P「いや、本当に立ってたんですって。 実は私もずっと立ちっぱなしで」

ちひろ「アイドルに勃ちっぱなしって―――、Pさん、自分が何言っているのか分かっているんですか、目を覚ましてください!」

P「えぇ……、大丈夫ですか、ちひろさん」

ちひろ「聞きたいのはこちらの方です!」

P「でも、コンサート中ちょっとしたハプニングもありましてね。 凛の衣装の一部が落ちそうになってしまったんですよ」

ちひろ(衣装の一部って……、ビキニじゃ、トップスがパンツの二つしかありませんけど……)

P「もうどうなることかと、私、(凛のところに)行っちゃいそうになりましたよ」

ちひろ「イっちゃいそうになったって……、興奮しすぎですよ。 もう一度言いますけど正気ですか!?」

P「いや、あくまで言葉のあやで、本当には(ライブ中のステージの上になんて)行きませんよ。 そのくらいドキドキしたってだけで」

ちひろ「本当にイかなくても、イきそうになっただけで大問題なんです!」

P「そうですか? でも、結局は落ちませんでしたけどね。 ホッとしましたよ」

ちひろ「よ、良かった……(短時間の内にPさんのイメージが急降下してるけど、落ちずに安心するってことはまだ良識は残っているようね)」

P「じゃあ、三枚目に行きましょう(カチッ」

ちひろ「(何か怖くなってきたわ……)(カチッ」

P(これは……、あちゃあ、プライベートでキャンプ場の下見に行った時の写真だよ。 昔からキャンプが好きだからつい……)

ちひろ(ありすちゃん? 浴衣を着て、畳の部屋に敷いた布団の上に座ってる……。 どこかの旅館かしら)

P「すみません、ちひろさん。 プライベートの写真が紛れ込んでしまってまして……」

ちひろ「はぁ!? プライベート! Pさん、これ仕事じゃなくてプライベートなんですか?」

P「ええ、そうですけど」

ちひろ「ど、どういう事ですか、詳しく聞かせて貰いますからね!」

P(何かすごい興味を持っているな……、もしかしてちひろさんもキャンプが好きなのか?)

P「いやー、実はですね。 こんど(キャンプを)やっちゃおうと思っているんですよ。 その為の下見をしたんです」

ちひろ(プライベートで旅行に出かける関係のありすちゃんを今度ヤっちゃおう……その為の下見って)

P「いいところが見つかったんです。 この時期は人気が無くて静かに楽しめそうですよ」

ちひろ「(ま、間違いない)Pさん、何を考えているんですか! こうなったら私も黙っていられませんよ」

P(おお、凄い興味持ってるぞ。 キャンプと聞いたら黙ったいられないとは……、ちひろさんもかなりのキャンプ通と見た!)

P「私もこれ(キャンプ)にはこだわりがありますよ。 まず、道具は最小限しか持っていかず、自分のテクニックでするのがいいんですよ。
手間をかけて火をつけて、料理をして……そうして最後に美味しくいただくのが最高なんです」

ちひろ(手間をかけて(性欲に)火をつけて、(女体を)料理して、最後には美味しくいただく!?)

ちひろ「私が聞いているのはPさんの趣味なんかじゃありません!」

P「は、はあ。 それで同じ趣味を持つ友人も何人か誘って気の合う仲間たちだけでやっちゃうつもりなんです。 この前も具体的に話し合ったんですよ」

ちひろ「ふ、複数ですか! と、というかもうそこまで話が進んで……。 そ、その話はありすちゃんはどう思っているんですか?」

P「ありすですか? ありすにはこのことは知らせて居ませんが……。というかありすには(俺のプレイベートへの)興味なんてありませんよ」

ちひろ(つまり、Pさんを信じきっているありすちゃんを騙して、同じような下衆な趣味を持つ仲間達で無理やり……)

ちひろ「………もういいです。 Pさんのことを見損ないました。 ですが、最後に一つだけお願いがあります。 もし良心が残っているなら
    その行いにより傷つく人(ありすちゃん)の事を、もう一度考えてみてくれませんか?」

P(ちひろさん、何だか怒っているような……。 キャンプで傷つく人―――、もしかして出たゴミを持ち帰らずにキャンプ場を汚す
 悪質キャンパーの事を言っているのか? 俺はそんなことはしないが、もしかしたら他のキャンパーや管理人さんに迷惑を掛ける奴らと
 同じと誤解されているのかもな)

P「分かりました、ちひろさん」

ちひろ「……Pさん、信じていました。 最後の最後ので踏みとどま」

P「終わった後はちゃんと(キャンプの跡を)始末して(ゴミを)ゴミ捨て場に捨てておきますよ。 
  (他のキャンパーや管理人に)迷惑は掛けませんから、安心してください」

ちひろ「………(ブッ ツーツーツー。 (ピ、ピ、ポ  あ、もしもし警察ですか。 はい、事件です、実は―――」


P「何だ? 急に電話が切れてしまった……、充電切れかな?」

P(ほかの写真は……、おお、ホテルのCM撮影の時のありすと、水着グラビア撮影の時の凛。 
  ああ、後はスポーツジムでロケをした時のラブライカの写真か。 トレーナーさんに、二人のファンだから是非記念撮影をって頼まれたんだっけ)

ピンポーン

P「ん……、誰かな? はーい、今開けまーす」



―――この後Pは、早苗さんじゃない方の警察官に事情聴取を受けることになった。
警察署でも誤解に誤解が積み重なり、やっとのことで釈放されたのは三日後の朝だったが、それはまた別のお話………。

END

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