【モバマス】P「悲しみの巨大娘」諸星きらり伝説 (31)

モバマスネタでありプロレスネタです。
PのPはプロデューサーのP
そしてピーターのP

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都内某所

ミニバン がちゃり

きらり「……」ぬっ

ファン「あっきらりだッ!」

ファン「本物の巨大娘だッ!」

杏「……」ちょこん

ファン「杏も一緒だッ!」

ファン「うわっ! ちっさいぞッ!」

ファン「はやく写真とらなきゃ!」

P「ちょっと待ったッ!」ずいずい

P「今はプライベートですッ! 撮影はご遠慮くださいッ!」

ファン「うへッ! プロデューサーもゴツいッ!」 すごすご

P「ふー。やっと散ったか……」

杏「ねープロデューサー。お腹空いたからどこかいいとこないの?」

きらり「きらりもお腹空いちゃった」

P「任せとけ。この街で一番うまいスイーツの店があるッ!」

杏「やったー」

きらり「Pちゃんさすがー」

隠れ家的スイーツショップ

P「ここだ」がらがら

店員「いらっしゃいませー! ってえー!?」

店員(大人気アイドルが2人もッ!? てかデカッ! そしてちっちゃッ! あとプロデューサーもデカッ!)

P「とりあえずジュースどんどん持ってきてくれない?」

店員「はっはいッ!」

ジュース ずらー

きらり 杏 P「乾杯!」 ガチン

きらり「んっんっんっ」ぐびぐび

きらり「ぷはー!」ぐびぐび ぐびぐび

きらり「おいしー!」ぐびぐび ぐびぐび ぐびぐび

店員「おぉーッ!」

客(すげぇ飲みっぷりッ!)

チョコフォンデュ ぐつぐつ

きらり「Pちゃん。どうやって食べたらいい?」

P「こうやって好きな具を棒で刺して」ぐさー

P「チョコにディップ」ずぼー

P「そしてそのまま食べればいい」ぱくー

きらり「美味しそー!」

杏「うん。たしかに美味しい」ぼりぼり

P「おいおい飴ばっかり食べるなよ杏」

杏「プロデューサーもうジュースないよ」

P「すいませーん! ジュース10本。チョコも追加で!」

P「ん?」フルーツのこりー

P「おいおいバランスよくフルーツも食べなきゃ。美味しいぞ」

きらり「そんなに美味しいなら全部Pちゃんにあげちゃーう!」 ぱくー ぐびー

店員「……すごい勢いで飲んでる……店のジュースがなくなっちまうぞ……」

ファン「あのーサインを……」

P「今はプライベートなので……」

ファン「あっはい……」

きらり「……ごめんねPちゃん。ファンの子たちみんな好きなんだけど……」

P「気にするな」

きらり「きらりやっぱりサインはしたくないなーって……」

P「……あぁわかってる」

P(当時すでにナンバーワンの大スターアイドルであったきらりは孤高のアイドル哲学を身につけていた)

P(彼女が嫌うことは2つ! トップアイドルのイメージが損なわれること)

P(そしてその巨体を好奇の目で見られることだった)

P(プロデューサーだった俺は彼女を守るため申し訳ないと思いつつも群がるファンを追い払った……)

店員「あのォ……ジュースがもう無いので……」

P「あ、そーですか。じゃお会計を」

きらり 杏 P「ごちそうさまでしたー」がらがらー

店員「ありがとうございました」ぺこー

店員「ジュースが50杯にチョコフォンデュが40人前。飴が30パック……まだ全然物足りないって感じだったな……」

地方のホテル

きらり「Pちゃん。お風呂のドア見てくれない?」

P「ダメだ。内開きだッ……これじゃ狭いからドアを取り外せよう」

P(規格外の巨体にとって日本は何をするにもスモールな国)

P(ステージの上でひときわ存在感を発揮するその大きな体は彼女にとって最大の悩みだった)

P(しかし、きらりが他人に本心を打ち明けることはない……)

控室

きらり「んっんっんっ」ぐびぐび

P「きらり。ライブ前だけでもジュースは控えたほうがいいんじゃないか?」

きらり「えー」

P「オーバーウェイトは必ず動きが悪くなるッ。少しはトレーニングしたらどうだ?」

きらり「別にいいよー」ぐびぐび

P(ライブするたびジュースと体重が増えていくきらり……)

P(好意のつもりで進言した俺だったが、きらりはそれ以来うるさく言う俺を寄せ付けなくなった時期もあった)

とあるスイーツショップ

かな子「マカロン下さい」

杏「飴ちょうだーい」

店員「はーい」

P「なあ杏。きらりのジュースのことなんだが……」

杏「やりすぎって言いたいの?」

P「そうだ。最近はステージの上でも足がふらついている……」

杏「……」

P「あれは心臓に相当負担がかかっているはず」

杏「そうだろうね……」

P「コンディション以前にちょっと普通じゃないッ。なぜだと思う?」

杏「悩んでるんだよ」

P「何をだ?」

杏「……背がまだ伸び続けてるんだよ」

P「……!」

杏「好きにさせたほうがいいよ」

かな子「美味しから大丈夫だよ」

P「そうなのか?」

杏「太く短く……だよ。分かってあげてよ」

P「……」

P(杏のひと言に俺はショックを受けた)

P(俺は巨体娘の『タブー』に触れていたのだろうか……)

P(その後もきらりのジュースとノー・トレーニングはまったく変わらず……)

P(だが俺はきらりに対して注意深い態度を心がけるようになった)

P「ふんッ! ふんッ!」 ダンベルがちゃがちゃ

きらり「……」ちらっ

P(一緒にトレーニングしてくれきらり……)

きらり「頑張ってねPちゃん」ジュースぐびぐび

P(……ダメか)

ファン「きゃーッ!」

ファン「本物のしまむーだッ!」

ファン「一緒に写真お願いッ!」

ファン「サインしてーッ!」

卯月「はいッ! 島村卯月ッ頑張りますッ!」

P(まるで太陽のような陽性の輝きを持った女の子、島村卯月!)

P(ライブバトルで奈々さんを倒し、心身ともに絶頂期にあった彼女に対し、きらりの動きは明らかに下降線)

P(『巨大娘伝説』にかげりが見え始めたことは誰の目にも明らかだった)

P(そしてあの『運命のライブバトル』!)

P(録画されたものの配信されずに”封印”されたいわくつきのライブバトル!)

P(三重県津市 きらりVS佐藤心戦である。このライブバトル、きらりがしかけ佐藤心もそれに対抗!)

司会「両者さきほどからかなりの時間ステージの中央でまったく動きませんッ! 果なき凡戦エンドレスバウトッ!」

早苗「はぁとちゃん何やってるのッ!」

早苗「奈々ちゃんも何とかしてよッ!」

奈々「……」

早苗「あーもうッはぁとちゃんいいからやっちゃえッ!」

きらり「……」ふうふう

P「きらりッ! さっさと決めるんだッ!」

きらり「……」ばたり

司会「巨大娘が大の字に倒れたァ!」

早苗「なんなのこれッ! どういうことッ!」

司会「諸星きらりがステージ上で大の字になったまま動きませんッ! これは演出か! それともッ!?」

P(いかんッ! これではきらりがさらしもの!)

P「幕だ! 幕を下ろせ!」

幕 だらー

司会「ここで幕が下りた! こんなことがあっていいのか! さまざまな思いがステージ上で交錯しております!」

司会「ステージ上に安倍奈々! そして……片桐早苗が何やら突っかかっているッ!」

早苗「ちょっと奈々ちゃんこれどうしちゃったのよ!」

ファン ザワザワ

P(あのとき俺が覚えているのはステージ上のできごとよりむしろ……)

P(はぁとを守ろうとステージに上がったアラサー軍団に対し、大の字のきらりをフォローするアイドルは杏の他わずかな人数。大きなきらりを運べるわけもなく置き去り状態だった)

P(地に落ちた巨大娘神話。あの日を境にきらりの孤独はますます深まった気がする)

P(その日の夜、ホテルできらりを見かけた。悲しそうな表情で俺と話したくなさそうだった。きらり……何であんなライブを?)

P(このライブ、一部ファンの間では『346による佐藤心潰し』と信じられているが、プロデューサーだった俺にさえ真相は分からない。ただ奈々さんや常務から何か指示されたことは一切なかった)

P(しかし、きらりのプライドがズタズタに引き裂かれたのはまぎれもない事実!)

P(日本のファンの前に醜態をさらした巨大娘の心の中に、ひとつの『決意』が芽生え始める)

P(それは……)

きらり「よいしょ。うんしょ」手形ペタペタ

P「きらり。手形なんか作ってどうしたんだ?」

きらり「ねえPちゃん。これでお仕事してみない? Tシャツとかどうかな?」

P「なっなんだってッ!」

きらり「二人でコミッション貰おー!」

P「ふふっ。いくらだ?」

きらり「Pちゃんがスタドリできらりがジュース!」

P(あれほどサインしたらおしまいと言っていた彼女が手形にサインまで入れてよこすとは……)

P(ある年の全国ツアー、奈々さんにMVPを取らせてもらうために俺は毎晩しつこくきらりを口説いていた。その期間はほぼ1ヶ月!)

P(そしてついに……愛知県のきらりVS奈々のライブバトル!)

司会「奈々ッ鮮やかなウサミンパワーであのきらりんパワーから歴史的勝利!」

P(いま思えばその1ヶ月は彼女が346のステージと日本のファンに別れを告げるための『心の整理期間』だったかもしれない。結局このツアーを最後に巨大娘は去った)

P(奈々さんのため、ひいては会社のためだったとはいえ、俺はあのとき説得することで頭がいっぱい……きらりの心中を察することができなかった……)

P(唐突に日本を去った巨大娘。346との契約期間は切れていたが、きらりの場合は望めば延長可能だった。しかし彼女はそうしなかった)

P(あの奈々さんに譲った勝ちは日本のファンに向けたきらりの”置きみやげ”だったのだ。残念ながらもらった手形はTシャツにならぬまま我が家の押し入れに眠っているが……)

P(あれから数年。東京ドームライブの控室で再開! きらり自身から歩み寄ってきた)

きらり「Pちゃん! ひさしぶりー!」

P「……きらり!」

P(またしばらくして幕張メッセで開催された『安倍奈々デビュー30周年&生誕17周年記念ライブ』奈々さんのライバルが一同に介したこの日、俺が控室で交わした何気ないあいさつ……)

きらり「Pちゃん!」

P「おお! きらり!」

きらり「奈々ちゃんに言っといて。もう無理はしないでねって」

P「ははッ……昔を思い出すよ。また遊びにいきたいな!」

P(これがきらりとの最後の会話となった)

きらり「ネバールック(振り返らず行こう)だにぃ! ハピハピしようねPちゃん!」

おしまい

ひさしぶり書いて楽しかった。
またいつかプロレスネタとか長州力ネタで書きたい。
UWFネタも書くかも。

前に書いたモバマス✕プロレス

みく「Pちゃん! みくは噛ませ犬じゃないにゃ!」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52177732.html

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