魔王「ククク……異世界へ侵略を開始するか」(42)


側近「かっこよく決めたいのは分かりますけど」

側近「実際はこの世界の勇者(職業:ニンジャ)に」

側近「勝てる見込みが無いからですよね……」

魔王「身もフタもない言い方をするでない」


魔王「……戦う前にちょっと聞いていいか?」
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魔王「ニンジャ怖い」
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部下「魔王様、並びに側近様」

部下「異世界への道が開かれました!」


魔王「うむ」

魔王「では、これより進軍を開始する」

側近「はっ!」

部下「はっ!」

部下一同「魔王様、万歳!」

―――――――――――

     ドドドドドド…

魔王「と……意気込んで来たものの」

魔王「荒涼とした赤い風景が続くばかりだのう」

魔王「人間はおろか、生き物や草木一本すら見かけんとは……」

側近「はい……」

側近「それに……何故か息苦しいですね」

魔王「そうだのう……」


部下「大魔王様、報告いたします」

部下「理由は不明ですが……体調を崩す者が続出しており」

部下「すでに3分の1が歩くのもやっとという有様でして……」

部下「うっ……」

魔王「だ、大丈夫か?」

部下「すみません、魔王様……お見苦しい姿を……」

魔王「…………」

部下「それと伝令より知らせがありました」

部下「あちらの丘を越えたところに建造物らしきものが見えるとの事です」

魔王「おお」

魔王「やっと人間の姿を見ることが出来るのだな」


部下「それが……残念ながら」

部下「遠目にもボロボロの姿で、どう見ても捨てられた砦の模様です」

魔王「そうか……」

側近「魔王様」

側近「とりあえず行軍をいったん止め、兵に休息を取らせるべきかと」

魔王「……やむを得ぬか」

魔王「では、ここいらで休息を……む?」

     ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

魔王「なんだ? この地響きは……?」

側近「……どうやら」

側近「先ほど報告のあった、朽ちた砦の方向からの振動のようです」


魔王「朽ちた砦からだと?」

魔王「いったい何が……」

     ドドーン!

魔王「」

側近「」

部下「」

     ズゴゴゴゴゴ…

魔王「な、なんだあれは!?」

側近「朽ちたガワが剥がれ落ちて、し、城が……浮いている!?」

側近「いや……船か!?」

部下「なんと……面妖な」


側近「!?」

側近「ま、魔王様!」

魔王「今度は何だ!」

部下「あちらから何か、黒いものが飛んで来てます!!」

魔王「黒いもの?」

魔王「……って!? 何だ、あの巨大すぎる物体は!?」

側近「に、逃げましょう! 魔王様!」

側近「見たところ、例の浮いた船を狙っているみたいですし!」

魔王「むむむ……いたしかたあるまい」

魔王「全軍、退却!」

     ワー ワー

部下「あ……あの浮き船……何かしようとしてます!」

魔王「なに?」


側近「何か、だと?」

魔王「あんなでかい物、人間ごときの建造物に何とかできる訳がないだろう!」

部下「は、はあ……」

     ドギュウウウウウウウウン×3

魔王「え」

側近「な」

部下「あ」


     ドガアアアアアアアアアアアンッ!


魔王「」

側近「」

部下「」


     ズゴゴゴゴゴゴゴ…

部下「……な、何とかしちゃいましたね」

魔王「…………」

側近「信じられん……」

側近「私は夢でも見ているのか……」

部下「この世界の人間どもは、とんでもない武器を持っている様ですね……」

     …ゴゴゴゴゴゴゴゴ

魔王「ん? 何だ? この地響きは?」

魔王「!」


魔王「いかん!」

魔王「さっきの大爆発の爆風が来るぞ!」

側近「あ!」

魔王「退避ー!」

側近「全力退避ー!」

部下「に、逃げろと言われても……どこへ!?」

大魔王「とにかく逃げるのだー!!」

     ゴオオオオオオオオオオ!!

     ギャアアアアアアアアアア!!


―――――――――――

魔王「……酷い目に会った」

側近「……まったくですな」

魔王「と、とにかくだ」

魔王「あの世界は荒野ばかりで、利用価値も無さそうであるし」

魔王「別の世界を侵略しようぞ!」

側近「……もっと酷い世界で無いと良いのですが」

魔王「ええい! ネガティブに考えるでない!」

魔王「だが、反省はせねばならぬ」

魔王「今度は斥候を向かわせ、入念に調べてから攻略を開始しようぞ!」

側近「はっ、分かりました」

―――――――――――

側近「魔王様、斥候が戻りました」


魔王「うむ」

側近「斥候の情報によりますと」

側近「背の高い未知の建築物で形成された街に」

側近「平和ボケした人間どもが我が世の春を謳歌している模様です」

魔王「ほう」

魔王「増長した人間どもが慌てふためき、無様に死んで行く様が拝めそうだな」

側近「どうやら、その様ですな」

魔王「では、出撃をするとしよう」

魔王「全軍に出撃命令をだせ!」

側近「はっ!」


―――――――――――

魔王「ここが異世界か」

側近「はい、魔王様」

魔王「……多少空気が悪い気もするが」

魔王「前の世界に比べればずいぶんとマシな世界であるな」

側近「私もその様に思います」

魔王「では、派手に仕掛けるとしよう」

魔王「準備は整っているか?」

側近「はっ!魔王軍第一陣2万5000」

側近「いつでも進軍できます!」

魔王「よろしい」


魔王「皆の者、進軍せよ!」

     オー!!

魔王「ふははははは!」

魔王「殺せ!殺しつくせい!」

     キャー! タスケテー!

魔王「ふははははは!」

     ニゲロー! キャー!

魔王「ふははははは!」

     キョダイセイブツダー!

     ハヤクニゲロー!

魔王「ふははははは!」


魔王「ふはははは……は?」

魔王「…………」

魔王「あれ?」

魔王「おい、側近」

側近「何でしょう、魔王様」

魔王「なぜあの人間どもは死なんのだ?」

側近「……分かりません」

側近「攻撃すれば痛がり、泣き叫ぶのですが……」

側近「切っても、突いても、魔法で攻撃しても」

側近「血も出ないし、死なずに起き上がり、逃げていくのです」

魔王「何と面妖な……」

魔王「アンデットか人形か?」

側近「詳しく調べてみないと何とも……」


魔王「……嫌な予感がするのう」

―――――――――――

本部「こちら本部」

本部「都内、某所にて未確認の巨大生物が出現した模様」

本部「市民が襲われていると多数の通報があった」

本部「フォーリナーの残党と思われる」

     ナンダッテ! マジカヨ!

本部「これよりEDF隊員は、速やかに現場へ急行し」

本部「敵の殲滅作戦を開始する!」

     オオー!

―――――――――――

魔王「……ん?」

魔王「何か近づいて来たな?」

部下「どうやら、この世界の人間どもの軍隊のようですね」


レンジャー1「こちらレンジャー1」

レンジャー1「未確認巨大生物を確認した。人間と獣を混ぜたような姿をしている」

本部「問答無用で市民を攻撃した事から」

本部「フォーリナーの開発した新型と認定する」

本部「レンジャー1、レンジャー2」

本部「少しひきつけて時間を稼げ」

本部「本格的な掃討戦はストームチームが到着してから始める」

レンジャー1「レンジャー1、了解」

レンジャー2「レンジャー2、了解」

レンジャー1「命令は聞いたな? 仕掛けるが、適当にあしらう程度に留めるぞ」

     オオー!


魔王「ふむ……」

魔王何やら見たことも無い武器で戦いを仕掛けておる様だの」

側近「報告では下級クラスの魔族に少々の被害が出ている模様ですが」

側近「大したものでは無いそうです」

魔王「……ただの取り越し苦労だったか」

魔王「全軍! 進撃を開始するのだ!」

     オオー!

―――――――――――

レンジャー1「本部、こちらレンジャーワン!」

レンジャー1「敵の勢いが増してきた!ストームチームの到着はまだか!?」

本部「もう間もなくだ。持ちこたえろ!」

レンジャー1「クソッ!了解!」


レンジャー2「な、なんだ!?」

本部「こちら本部。レンジャー2、どうした?」

レンジャー2「こちらレンジャー2、敵が何かつぶやくと、火の玉や氷の粒がこちらに……」

レンジャー2「うわあああああああっ!?」

本部「どうしたレンジャー2!応答せよ!」

本部「レンジャー2!」

     ピー ガガガ……

本部「クソッ!」

研究員「どうやら、敵の新型は従来以外の攻撃方法を持っている模様です」

本部「そんな事は言われなくても分かっている!」


ストーム2「こちらストーム2。現地に到着した」

ストーム3「こちらストーム3。同じく現地に到着」

ストーム4「こちらストーム4。待たせた。現地に到着した」

ストーム4「本部、指示をくれ」

ストーム4「敵のケツに鉛玉をぶち込めってな!」

本部「こちら本部。待っていたぞ」

本部「まずはレンジャーチームに襲い掛かっている」

本部「敵・新型巨大生物の側面を突いて攻撃を行ってくれ」

ストーム2「ストーム2、了解」

ストーム3「ストーム3、了解」

ストーム4「ストーム4、了解だ!」


魔王「む? 伏兵か?」

側近「人間ども、なかなかやりますな」

魔王「被害は?」

側近「奇襲で多少の被害は出た模様ですが」

側近「それも一時的な損害に過ぎないとの事です」

側近「なにしろ数の上で、こちらは圧倒的ですから」

魔王「そうか」

―――――――――――

ストーム2「クソ! 何だこいつら!」

ストーム2「こっちの武器がまるで歯が立たない!」

本部「落ち着け、ストーム2」

本部「もうすぐストーム1が到着する」

ストーム2「そうか! あいつなら何とかしてくれるな!」

本部「とにかく持ちこたえろ!」


魔王「それにしても不思議だのう」

魔王「切っても突いても死なぬ人間がさっさと逃げて」

魔王「こっちに向かってくる連中の方があっさり死んでいくとは……」

側近「まったくですね」

側近「ともかく、こちらの世界に来て正解だったようですな」

魔王「うむ!」

魔王「皆の者、この勢いのまま蹴散らせい!」

     オオー!

魔王「わっはっは!」


ストーム2「クソッ! もう限界だ!」

ストーム2「ストーム1はまだか!」

ストーム3「!」

ストーム3「おい! あれを見ろ!」

ストーム4「おお……!」

ストーム4「やっと、やっと来たか!」


一同「ストームワン!」


本部「よく来てくれた、ストーム1」

本部「さっそくだが、各ストームチームを援護しつつ、敵を殲滅してくれ」


魔王「……む?」

側近「いかがなさいました、魔王様」

魔王「見よ。あそこを」

側近「……左翼の陣が崩されていますね」

側近「それも相当な勢いで」

魔王「いったい何が起こったのだ?」

側近「人間どもの新しい部隊でしょうか?」

部下「伝令!」

部下「一人、異様に強い人間が左翼部隊を殲滅しつつあります!」

魔王「何だと!?」

側近「しかも一人!?」

部下「は、はい」

部下「武器は他の人間どもが使っているものと変わらないのですが」

部下「とにかく切っても突いても魔法で攻撃しても死なないんです!」


魔王「!?」

側近「まさか……」

側近「さきほどの逃げていった人間なのか!?」

部下「分かりません……」

部下「しかし、あの勢いでは左翼を殲滅されるのも時間の問題かと……」

魔王「ふむ……仕方あるまい」

魔王「ワシ自ら出向くとしよう」

側近「な……魔王様!」

魔王「これ以上戦力を削がれるのも良くないし」

魔王「ワシ自身が見極めたいというのもある」

側近「……左様ですか。どうか、御武運を」

魔王「なに、軽く蹴散らしてきてやるわ」

魔王「はっはっは!」


ストーム1「…………」つ(AF-100)

     ダダダダダダダダダッ

     ウワッ! ギャア!

ストーム1「…………」つ(リロード)

魔王「カ○ザーフェ○ックス!(ただのメ○ゾーマ)」

     ゴオオオオオオオオッ!

ストーム1「!?」

     ドゴーン!

ストーム1「……っ」

魔王「ほう……あれを受けて立ち上がるか」

魔王「聞いたとおり、なかなかやる人間の様だのう」


ストーム1「…………」

ストーム1「…………」つ(AF-100)

     ダダダダダダダダダッ

魔王「ふん!」

ストーム1「!」

魔王「温い、温いぞ!」

ストーム1「っ!」

     ドゴォッ!

ストーム1「…………」

魔王「……相当にタフの様だの」

ストーム1「……俺のアーマーは53万あるからな」


魔王「アーマー? 53万?」

ストーム1「こっちの話だ」

ストーム1「それにしてもまさか人間の言葉を使うフォーリナーが居るとは」

ストーム1「そっちの方が驚きだ」

魔王「さっきから何を言ってるのか分からんが」

魔王「ともかく人間どもよ」

魔王「我らを恐れ、怯え、そして死んで行くが良い」

魔王「それこそが我らの望みよ!」

魔王「わっはっは!」

ストーム1「…………」

     ゴロンゴロンゴロンッ

魔王「む……?」

魔王「……なぜ転がるのかは分からぬが、逃げたのか?」


     ゴロンゴロンゴロンッ

ストーム1「…………」

     ゴロンゴロンゴロンッ

ストーム1「…………」

     ゴロンゴロンゴロンッ

ストーム1「…………」

ストーム1「……こんなものか」

ストーム1「…………」つ(ジェノサイドガン) チャキ

―――――――――――

側近「魔王様! 御無事でしたか!」

魔王「おう!」

魔王「あの程度の人間など、小指一本で――」






     カッ!!




     ドゴオオオオオオオオオオオオオンッ!!





魔王「アイエエエエエエエエエエエエ!?」

側近「ぎゃあああああああああああああっ!?」

部下「ぐああああああああああああああっ!?」


―――――――――――

魔王「また酷い目に会った……何なのだ、あの凶悪な武器は」

側近「やっぱり地道に頑張りましょう、魔王様……」

魔王「やだ!」

魔王「もうニンジャと戦いたく無い!」

側近「気持ちは分かりますが……」

魔王「三度目の正直ということわざもある!」

魔王「次こそは侵略しやすい世界が出るだろう!」

側近「二度あることは三度あるということわざもありますが……」

魔王「ええい! 気の滅入る事ばかり言うでない!」

魔王「とにかく新たな異世界を調査するのだ!」

側近「はっ……」


―――――――――――

側近「えー入念に調査した結果」

側近「やや変わった建物ではありますが、街を形成し」

側近「人間はどれも普通に死にますし、軍隊も前の世界と似た形式ではありますが」

側近「例のキ○ガイじみた武器は無いとの事です」

魔王「よし」

魔王「こんどこそまともな異世界のようだな!」

側近「そうだといいのですけどね……」

魔王「これだけ時間を掛け、調査したのだ」

魔王「今度こそ問題なく侵略しようぞ!」

側近「分かりました」

側近「魔王軍、出撃!」


―――――――――――

魔王「ふははははは!」

魔王「これだ! この蹂躙する快感!」

魔王「ようやく味わえたぞ!」

側近「人間どもの軍隊もたいした事は無かったですし」

側近「どうやら、魔王様のおっしゃった通り」

側近「三度目の正直だった模様ですね」

魔王「うむ!」

魔王「わっはっは!」

     スタッ

??「オッス、オラ悟空」

悟空「おめぇが魔王っちゅうんか?」


魔王「む?」

側近「なに奴!?」

悟空「なんかおめぇ悪ぃことばっかやってるみてぇだな」

魔王「ふん……ワシがやりたいようにやっておるだけだ、人間」

魔王「それとも……このワシに歯向かう気か?」

悟空「難しい言葉はオラ分かんねぇけっど」

悟空「とにかく今、おめぇがやってる事は止めさせるつもりだ」

魔王「…………」

魔王「まさかと思うが、お前はニンジャか?」

悟空「いや、オラはただの地球育ちのサ○ヤ人だ」

魔王・側近「……ほっ」

悟空「?」


魔王「ともかくだ」

魔王「ワシは止める気はない」

魔王「そんなに止めさせたいのなら、力づくでやってみるのだな」

悟空「そっか」

悟空「じゃ、仕方ねぇな」 スッ…


     かぁ~ めぇ~ はぁ~ めぇ~


魔王「ふはははは! なんだその変わった呪文の詠唱は!」

魔王「そんなもの簡単に弾き返して――」


     波ー!!


魔王「アイエエエエエエエエエエエエエエ!?」


―――――――――――

魔王「またまた酷い目に会った……」

側近「やっぱり二度あることは三度ありましたね……」

魔王「もうよい……ワシ、疲れた……」

魔王「しばらく休むから、そちも休むが良い」

側近「はい……そうさせていただきます」

魔王「うむ……」

     スタ スタ スタ…

魔王「…………」

魔王「はあ……」

魔王「異世界も怖いものだらけだったか……」

魔王「どうしたものか……」


??「……お疲れのところ悪いんだが」

魔王「!?」

魔王「だ、誰だ!?」

??「何、ただの通りすがりのサラリーマンさ」

??「単身赴任のね」

魔王「サラリー……? 単身赴任??」

??「まあ……柄ではないんだが」

??「いろいろと決着をつけようと思ってね」

魔王「決着?」

??「では……戦うとしようか、魔王」







     この後、魔王は無茶苦茶ボコボコにされた。






     おしまい

ニンジャは最強。異論は認める。
ちなみに魔王が攻め込んだ世界は
エイリアンから某宇宙戦艦が地球防衛する世界
エイリアンから軍隊が地球防衛する世界
エイリアンから徒手武術で地球防衛する世界
でした。

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