【安価・コンマ】野球やろうぜ【2回】 (1000)




 1回:【安価・コンマ】野球やろうぜ【1回】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519545065/)



天才世代。
それは高校野球が超絶大人気な現代でこぞって使われる単語。

要するになんかこうパワプロ的な野球の安価SSっすね。
だから現実じゃプロレベルじゃん! ってのも、ゴロゴロいるわけっすね!
よければおつきあいくださいまし。

更新頻度は、てきとー!




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1520687957



【新摂高校】:新設校

 打:C
 筋:C
 走:C
 肩:B
 守:B

 メディアの注目選手:松坂・佐野>田中

 スローガン:豪打必勝

 田中太郎 二塁手
 C C A C A
 「俺をセーフティだけの男と思うなよ!!」

 久遠康宏 投手 ※休学中
 147km/h B C ↘
 B B B A C
 「投げたい…」

 阿部 博 捕手
 C D C A A
 「腹黒じゃないしぃー」

 佐野誠一 三塁手
 B A C B C
 「豪打必勝じゃあ!」

 中井 薫 外野手
 C B B B B
 「何で扱い悪いんだ…」



 【東究高校】:投手王国

 絶希 望:インコースエグい投手
 144 B C

 金剛 明羅:速球自慢の投手
 150 D B


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


松坂(退屈だなあ…)グイッ

夕実「まーつざかくん」

松坂「っ…」

夕実「そんなに驚いた?」

松坂「あ、うん…ごめん」

夕実「はい、ドリンク。水分補給しっかりね」

松坂「ありがとう…」ゴク


夕実「にしても…あと2回勝ったら、甲子園なんだね」

松坂「えっ…?」

夕実「だって次は準決勝だよ」

松坂「………あれ?」

夕実「ふふっ、どうしたの?」

松坂「……いや、何か……毎試合、必死すぎて…もう、そんなに勝っちゃったんだな…って…」

松坂「……ほんともう、勝てたのが奇跡的なくらい…」

夕実「奇跡なんかじゃないよ。全部、みんなの実力」

夕実「すごいよね、創設の年に甲子園なんてことになっちゃったら!」

夕実「何だかワクワクして、最近、夜に眠れなくなっちゃったりして…」

松坂「あはは…」



 下1 女マネは癒しやで

 1 なんか夢みたいだなー、て
 2 あと2回かあ…
 3 その他、話題振ってみ?

3
この学校でみんなに会えてよかったなぁ



松坂「でも……何だか、現実味がうすいっていうか…」

松坂「なんか夢みたいだなーって思う…」

夕実「そうだね」

夕実「でも、甲子園にいきたい、って夢を、みんなで叶えてる最中ってことだよ」

松坂「みんなで、叶えてる…」

夕実「うん」

夕実「そのために必死に練習して、大会で諦めずに戦ってきてるんだもん」

松坂「そうだね…」

松坂「……うん、そうだね」

夕実「2回言ったww」

松坂「えっ…だ、ダメ?」

夕実「ダメじゃないよ?」

松坂「何か、含みがない…?」

夕実「むふふふー、さあ、どうでしょ?」

松坂「むっ…」ジッ

夕実「んんー?」ジィッ


松坂「…………」

夕実「…」ニュッ

松坂「ぶふぉっ!? ふっふふ…な、何その…変顔…」

夕実「面白いかなーって」

松坂「おも、しろいけどっ…ふっくく…」


夕実「気軽に女子と見つめ合えないものと思いなさい!」

夕実「それじゃっ、ほかのみんなにも、ぬるくなっちゃう前にドリンク渡してきちゃうから。がんばってね、エースの松坂くん」

松坂「あ、ありがとう…」


松坂「………エースの…かぁ…」

松坂「…………うぇへへへ…」



 下1 夕実が途中で変顔したのは…見つめ合うことに照れちゃっただけさ

 1~3 vs名門校!! オーラあるなあ、なんか…
 4~6 vs名門校!! 試合前ノックからして威圧してきてるかのような…
 7~9 vs名門校!! こっちだって気合い充分だぜぇっ!!


 キィンッ
 バシッ
 ビシュッ

<うぇーい!

<うぇーい!

<うぇーい!


 バシッ
 シュッ

 バシッ
 シュッ


田中「おおおおおっ…今までのチームで、あいつらが1番、試合前ノック激しくねっ!?」

中井「そうだな。ノックの打球も速いし、守備の動きも速くて」

佐野「じゃったらワシらもすりゃええじゃろうが」

阿部「まったくもって。佐野くんにできるか知らないけど」

佐野「あん?」

松坂「まあまあ…」


阿部「あの学校は甲子園出場12回だよ。甲子園優勝は2回。前に出場したのは…5年前だったかな」

阿部「歴史と伝統のある、由緒正しき野球部。部員数も多いし、名物はスタンドのベンチ入りできなかったメンバーの男臭いチアダンス!!」

佐野「うげぇっ…」

中井「あれ、本気でやってるからビミョーにかっけえんだよな」

田中「分かる。やりたかねえけど」

阿部「守備中はあれ見て、リラックスしよっか」

松坂「ええええ…?」

佐野「ええのう、笑えて余計な力抜けそうじゃ」

中井「それでエラーはしてやるなよ?」

田中「お前がな?」

中井「だからっ…!」



 下1 試合前でも和やかムードの新摂高校でした

 1~3 おっ、エース温存?
 4~6 いやはや、圧のある守備だなあ
 7~9 気合い充分、投球好調のスタートだぜ!


<プレイボール!!

<わぁああああああっ!!


女記者「新摂高校、今日はどんな試合をするんだろう…」

後輩記者「先輩、すっかり新摂贔屓っすね…。俺は名門応援しますけど」

女記者「仕事なんだから応援とか抜きでやりなさい、抜きで」

後輩記者(とか言って、どっちかに必ず肩入れするんだからこの人…)


 ビシュッ
 バシィッ

女記者「キャーッ! 松坂くん、今日も登板!? 新摂、控え投手いないのによくやるわよね! がんばれー!」

後輩記者(ほら早速…)

後輩記者「けど、そろそろ快進撃もここまでじゃないですかね…?」

後輩記者「由緒正しき名門校と、できたてほやほや新設校…」

後輩記者「面白い対比ですけど、3年生の意地と、最後の夏にかける想い…」

後輩記者「名門校だからこそ背負っている、看板への重み…」

後輩記者「そういうのが如実に差として出てくるんじゃ――」


 バシィッ

女記者「っしゃ、先頭打者を三振! あ、何か言ってた?」

後輩記者「いや、いいっす…」

後輩記者(厳しい試合だと思うんだよなあ…新摂には)




阿部「ナイボール!」

松坂「ふぅっ…」

田中「1アウトー!」

佐野「ええぞ、いったれやぁー!」

中井「打たせていいぞぉー!」


阿部(うん、腕がよく振れてるし、ボールに力がある)

阿部(立ち上がりは悪くない。この調子を保ちながらいこう)



 下1 名門校!!

 1~3 わあお…
 4~6 ひえっ
 7~9 上々!!


 キィンッ

田中「速――」

 ダァンッ…

<抜けたぁー!

<いいぞー!!


田中「マジかっ…!?」

中井「田中が追いきれなかったって…」

佐野「打球が速いのう…」

松坂「っ…」

阿部「飛んだとこが悪かっただけ、気にしなーい!!」

阿部「さあ、どんどん行こう!」


阿部(とは言え――今の一打は、危ないな…)

阿部(鋭すぎる打球で、田中くんが飛びついたのに捕れなかった…)

阿部(あんなのをガンガン打たれたら…さすがに名門校か、どの打者も油断できない…)



 下1 つよい

 1~3 いきなりピンチ…
 4~6 堅実にきやがる…
 7~9 大丈夫、3番は打ち取れる! これぞ中井効果!←



 ギィンッ

中井「クッソ…!」ダダダッ

レフト「ダメかっ…!」

 ボトッ…

中井「ちゃんと捕れよ、佐野ぉっ!!」ビシュッ

田中「出た、暴投返球!!」

佐野「今度はちゃんと捕ったらぁっ!」


 バシィッ
 ズザァァッ

<セェーフ!!


<名門すげえー!

<けどセンターの肩もいいぞ!

<いきなりランナー一三塁で、4番だ!


阿部(ここで、4番…)

阿部(続く5番打者も侮れないしな…)

阿部(松坂くんはきっと敬遠に抵抗はないけど…4番との勝負を避けて、もし5番に打たれれば勢いは完全に持っていかれる)

阿部(だったらここで勝負して、こっちの力を見せつける!)



 下1 どう攻めるか

 1 サウスポーでコーナー広くいこうぜ!
 2 初球チェンジアップ!
 3 低めに集める!

1


阿部(この打者には、左でいこう)

松坂(左投げ…うん)

 スポッ
 グッ…


女記者「チームの主軸、4番選手を相手にサウスポーで攻めるのかぁ…」

後輩記者「左のサイド…まあ、クロスファイアーが決まれば右打者にはかなり有効ですしね」



松坂「ふぅーっ…」

阿部(さあこい)

 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!

阿部(最初は見てくれたっていいよ…)

阿部(そのつもりの配球なんだから。さあ、次から勝負!)



 下1 いけ、サウスポー!

 1~3 狙い打たれた…
 4~6 詰まりながらも三遊間破ってきた…
 7~9 よし、成功!!


 ビシュッ
 ギィンッ

阿部「ファールフライ…! 佐野くん!」

佐野「いけるわあっ!」

 バシッ

<アウト!!


阿部「よっし」

松坂「ふぅ…」

阿部「そこ、気を抜かない!」

松坂「は、はい!」

田中「だははっ、いい感じだな、松坂!」

佐野「もっと速くてええがのう、打球も投げた球も!!」


田中「ともかく2アウトだー! 2アウトー!」

佐野「来いやぁーっ! 2アウトじゃ、ボケぇー!!」

松坂「2アウト…!」


阿部(ここで4番打者を2球で仕留められたのは大きい)

阿部(でも依然、ランナーは一三塁…油断はできないよ)



 下1 5番打者!!

 1~3 でっか!? 2失点…
 4~6 深めに守っといて良かったぜ…
 7~9 よぉっし、初回はいい感じに投げれた!


松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 ブオオンッ

 ガッキィィイイイインッ

松坂「!?」

中井「どんだけ豪快なプルヒッティング…!」ダッ

レフト「ダメだ、この打球…!!」

 ポトッ…


<うおおおおっ!

<レフトの頭超えたー!!

<いいぞぉー!!


阿部「やられた…」

田中「取り返そうぜぇー! 今は守備に集中だ!」

佐野「あんなもん、ワシが一発で綺麗に逆転したるわあっ!!」

松坂「甘く入っちゃった…かな…?」


阿部(6番…この人も、パワーはある…)

阿部(ていうかこのチーム、ゴリラみたいな人多くないっ!?)

阿部(名門特有の、全寮制で、食事ノルマ有りが日常みたいな感じ…?)



 下1 まさかね?

 1~3 まさかだよっ!!
 4~6 っぶなかったー…
 7~9 ほっ…



 カキィィンッ

中井「うおおおおおっ!」ダダダッ

<追加点くるかぁーっ!?

田中「中井ぃー!!」

佐野「もっと走れぇー!!」

松坂「中井くんっ…!」

中井「死んでも、捕るっ…!」ダッ

 ズザァァッ

阿部(捕れたっ!? それとも――!?)


<アウト!

<中井よくやったー!

<いいぞ、中井ー!!


松坂「ふぅぅー…」

中井「はぁ、はぁっ…ギリッギリ、届いた…グローブの先っちょで…」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 今度は新摂の攻撃でっせ!

 1~3 田中封じの特別守備シフトっ!?
 4~6 田中、初回の出塁率ヤバない?
 7~9 た、田中が二塁打だとぉっ!?



田中「俺をバントだけの男と思う――何っ!!?」

阿部「何あれっ!?」

佐野「前進にもほどがあるじゃろうが…」

中井「しかも、外野まで前に出てきてるぞ…?」

松坂「だ、だったら…思いっきり長打で…」

中井「いや…わざわざ、エースじゃない方の投手を先発にしてきたんだ」

中井「長打なんかさせないってことじゃねえのか…?」

松坂「そんなっ…!?」


田中「何のこれしきぃっ!!」

 ブンッ
 ギィンッ

<ファール!


田中「これはっ、ボール!」グッ

<ボール!


田中「続いてぇっ――!?」

 ズバァンッ

<ストライク、ツー!


田中「なにくそぉっ!」

 ブンッ
 ギィンッ

田中(ぼってぼて…!)ダッ

 ビシュッ
 バシィッ

<アウト!



田中「だぁぁっ、クソ!」

阿部「…それだけ足を警戒されたんだよ」

阿部(やっぱり、少しも油断できない相手だなあ…)



 下1 あ、阿部くんも…?

 1~3 阿部にも田中守備シフトでっ!?
 4~6 打たされた…
 7~9 狙い打ちぃっ!!



阿部(大丈夫…)

阿部(これだけこっちを研究してくれたんなら、それを逆手に取れば…)

阿部(俺には田中くんほどじゃない、それでも前進のシフト…)

阿部(さっき田中くんが打たされたのはシンカー?)

阿部(打ち取ろうとしてきてるわけなんだし、低めや、内角に集めてくるのかな…?)

阿部(確かこの投手の得意なコースは――)

 ビシュッ

阿部(インロー!!)

 カキィンッ


松坂「阿部くんっ!」

佐野「何ぃっ!?」

田中「あいつ、狙ってたかっ!?」

中井「さすがだな、おい…」


阿部「よっし、読み通り~♪」

阿部(大丈夫、やりようはある…!)



 下1 中井くん!

 1~3 凡打
 4~6 送りバント成功
 7~9 チャンスを広げたぜぃ!


 下1 【00】コンマ判定

 偶数 >>3の通りに中井はスペック高いんだよぉっ!!
 奇数 デッド…ボール…? 負傷退場…?


中井(ここで打たなきゃ、男が廃る!!)

 ビシュッ

中井「――っ」

 ゴスゥッ


松坂「え――」

佐野「中井っ!?」

田中「はあっ!?」


長島「頭部に…! 中井!」ダッ


<ざわわっ…

<お、おい今、頭だったよな?

<大丈夫なのか?



阿部「中井くんっ!」

長島「揺らすな! 中井、大丈夫かっ?」

中井「っ……だ、いじょうぶ…」

長島「強がるな。指が何本に見える?」

中井「……2本…」

長島「よし…。とにかく担架を!」


松坂「っ……中井くん…」

田中「確か…こういう時は、臨時の代走が出るから…」

松坂「田中くん?」

佐野「お前、あいつを心配せんのかっ!?」

田中「ばっきゃろう!! 中井の分までやるに決まってんだろが! 臨時代走は、前の打者…つまり俺」

田中「だからあいつの分まで走って、勝つ! 見舞いに行って負けましたじゃ、あいつ、それこそ自分のせいとか言うだろが!」

松坂「田中くん…」

佐野「っ…」

田中「やるしかねえだろ、今は! すぐ戻ってくるだろーしな!」


松坂「…そう、だね」

佐野「……ほなら、ワシが一気にスリーランぶちかましてきたるわ。臨時代走で張り切っとるとこ悪いがのう!」



 下1 アクシデントの後、佐野が打席に

 1~3 さ、佐野が動揺してる…?
 4~6 佐野っち、気合いのタイムリー! でも1点追加
 7~9 デッドボールでいっちゃん動揺したのは、相手投手だった模様。佐野、宣言通りに…


佐野「さあ、来いやぁっ!!」

 ブンッ

<ストラーイク!

佐野「ぬっ…」


 ブルンッ

<トライク、ツー!


佐野「クソがぁっ!!」

 ブオンッ
 キィンッ

 パシッ…

<アウト!


佐野「~っ…な・ん・で・じゃあ…!!」

松坂「佐野くん…」



 下1 5番打者!!

 1~3 凡退…
 4~6 二塁ランナーの阿部が果敢な三盗を決めやがった! こんな方法で投手に揺さぶりを…
 7~9 どうにか1点は返せた…


 キィンッ…

阿部(際どいかっ…!?)

<バックホーム!!


<阿部、走れぇっ!!

阿部(いくしかない…!)


 ズザァァッ
 バシッ

 「…」


松坂「際どい、タイミングだったけど…」

佐野「捕手を避けれたんか、ありゃ…?」


<セーフ!

松坂「阿部くんっ…!」

佐野「おーし、走るくらいはできるようじゃのう!」

阿部「あっぶなかったぁー…」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部(中井くんは、足も速いし肩も強いし、理想的なセンターだったけど…その分、抜けた穴は大きい)

阿部(不幸中の幸いは、代わりのセンターが中井くんが外されてた時に試合に出てたっところかな…)

阿部(どうにか、デッドボールを出した相手投手につけ込んで1点は返せたけど…これ以上の失点は命取りになる…)

阿部(せめて、許せる失点はあと1点だけ――)

阿部(やるしかないよ、松坂くん)

松坂(中井くんの分まで…がんばる)

松坂(確かに、田中くんが言ってた通り…お見舞いに行って、負けましたなんて言えないし…)ゴクリ



 下1 いったれ、松坂!

 1~3 え、報復デッドボール…? ちゃう、偶然や
 4~6 打たれながらも、失点せずにしのぐのが松坂のスタイル?
 7~9 下位打線とは言えつおいバッター達を連続凡退にしてやったぜ!


 キィンッ

田中「やっぱ鋭いな、打球…!」

佐野「体で止めりゃあ問題ないじゃろうが!」

田中「それだな!? よっしゃ、もう余裕だぜぇっ!!」

松坂「…」

阿部(打たれてはいるけど…大丈夫、2アウトまできてるんだから)

阿部(得点圏にランナーがこようが、しっかり投げられるのはきみの強みだよ、松坂くん)


松坂「ふぅぅーっ…」

 ビシュッ
 キィンッ

阿部「オーライ…!」

 パシッ

<アウト!



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 2回裏、2アウトで松坂でっせ

 1~3 尚、凡退でチェンジ
 4~6 尚、セーフティ失敗でチェンジ
 7~9 松坂、打順上げてええんとちゃう?


 カツンッ…

松坂(やった、バント成功…はしたけど――)

 ズダダダッ

松坂(前進守備だったー!!?)

 ビシュッ
 バシッ

<アウト!


阿部「ああもう、松坂くんてば…!」

佐野「あんな警戒されてるとこにセーフティなんぞアホかぁっ!?」

田中「松坂的には、あれがいいって思ったんじゃねーの? さ、守ろうぜぇー!」



 下1 粘れ松坂ー!

 1~3 うぇーい…1アウト一三塁…
 4~6 2アウト、三塁…
 7~9 無失点!!



松坂「…」チラッ

松坂(一三塁…2アウトだけど…)

松坂(大丈夫、大丈夫…いける、切り抜けられる…………はず、多分…)


阿部(外野、やや前進守備に…)

阿部(内野は確実性を意識して…)

阿部(きっとこの場面、相手は自慢の鋭いバッティングでバットを振り抜いてくる)

阿部(それで守備を割って、得点しようって魂胆だから…)


佐野(点差開かせてたまるか、ドアホ!)

田中(体張ってでも後ろには抜かせねえぜ)


阿部(俺が後ろには逸らさない…)

阿部(だからめいっぱい、低めに投げて!)

松坂「ふぅーっ…」



 下1 守備!!

 1~3 ぐぬぬぅっ!
 4~6 佐野が体を張った! こいつ有言実行するな、ほんとに
 7~9 松坂の守備が冴え渡るぅーっ!!


 下1 0コンマ

 偶数 渾身のストレート!! マックスの140キロが出ました
 奇数 スリーラン、ホームラン…

2アウト三塁なのになんでスリーランなの?

>>65 おっと失礼…ずっと間違ってたね、ツーランだね



 ビシュッ

阿部(僅かに浮いた――けど守備を信じて!)


 カッキイイイイインッ…

阿部「っ…」

松坂「ぁ…」

佐野「何、じゃと…?」

田中「うっそだろ、オイ…!?」


<ツーランホームラン出たぁー!!

<これで3点差ぁー!!

<コールドもあるんじゃねえかっ!?


松坂「っ……っ……」

阿部(……読みが、甘かった)

阿部(こういう時こそ、いつものスイングだとばっかり…)

阿部(でも違う…相手の狙いは、ここぞで叩いて、松坂くんを潰すこと…?)

阿部(そうなったらもう、替えの投手はこっちにいないから――?)



 下1 これが名門校…?

 1~3 さらに1失点で、3回表は終了
 4~6 かろうじて、2失点におさえられた…
 7~9 新摂は誰も折れちゃいないぜっ!!



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


松坂「…っ」

阿部「大丈夫、まだ3点差だから」

阿部「満塁打一発で逆転だよ」

松坂「そ、そうだよね…」


田中「それにこの回、俺からだしな!」

佐野「じゃがまた、あの守備シフトされるじゃろ」

田中「だったら長打でぶっ叩くだけだろ? 豪打必勝!」

佐野「! はっ、言うのう、田中! ワシゃ、お前のそーいうとこは評価しとるぞ! ぶちかませえっ!」

田中「おうよぉっ!!」



 下1 た・な・か! た・な・か!

 1~3 ややパワー不足だったか…ちくしょー
 4~6 有言実行! 二塁打だぜ!
 7~9 外野まで前進してた分、深くに打ち込んでやったからね…スリーベースヒットさ!!


田中「俺を足だけと思うなよっ!?」ギラッ

 ビシュッ

田中「どりゃあああっ!!」

 ブゥンッ
 ガキィィンッ


松坂「うわっ!?」

阿部「うっそ…!?」

佐野「それでええぞ、田中ぁー! あとはお前の足で、駆けろやぁー!!!」


田中「ナメんじゃねえぞ、この俺様をぉっ!!」ダダダッ

松坂「田中くん速い!!」

阿部「二塁も蹴った…!? いくら外野まで前に出てたからって…!?」

阿部「ライトの肩、強いよ!?」


田中「俺の足は、チームでいっちゃん、すげえんだよぉぉっ!!」

 ダダダッ
 ズザァァッ

 バシィッ


<セェーフ!!

田中「どーだ、見たかぁっ!!?」


<うおおおおおおおっ!?

<田中やべえっ!

<爆走だったな!?


田中「ぺっぺっ…ヘッスラで口ん中に土入った…」

佐野「ガァッハッハッハ、田中ぁっ、誉めちゃるわあっ!!」

松坂「かっこいい、田中くんが…」


阿部(ここまでされちゃ…何が何でも、田中くんは生還させないとね)


 下1 阿部!

 1~3 阿部、なんか流れに乗れないこと多い…?
 4~6 狙い打ち炸裂!
 7~9 ゴールデンワンツーコンビさ



阿部(今の田中くんの爆走で、向こうの守備シフトにも迷いが出てる…?)

阿部(………レフトのきみ、自分の判断で今、下がったよね…?)

阿部(三遊間は前進してる分、そこを超えれば…!)


 キィンッ

阿部(狙い通りに――)

松坂「落ちろっ!」

佐野「落ちんか、ボケがぁっ!!」


 ポトッ…

田中「うおっしゃあ!」ズザァッ

阿部「うまくいった! やったね!」



 下1 流れきとるぞ!?

 1~3 ゲッツー…
 4~6 3番は不遇だったとして…佐野や!
 7~9 中井の代わりだからってなめちゃいけない!


 下1 0コンマ判定

 偶数 ランナーは一二塁、佐野よ、スリーランを放つのだ!
 奇数 エース登板!? 3番打者があっちゅー間に三振…


 キィンッ

<ランナーが2人の状態で…!

<佐野がきたぁーっ!!!


田中「佐野、頼むぜぇー!!」

松坂「がんばって! 佐野くんっ!」


佐野「……打つ」ゴゴゴ

佐野「一打逆転、流れを掴む」ゴゴゴ

佐野「さあ、来いっ!!」ギロッ

投手「っ…」ゾクッ


 ビシュッ
 ズバァンッ

<ボール!


 ビシュッ
 ズバァンッ

<ボール!


佐野「何じゃ、ビビったんかぁ?」ゴゴゴ

投手「……っ!」


 ビシュッ

佐野「!!」

 ブゥゥゥンッ

 カキィィィィンッ

佐野「…ふんっ」ポイッ


 タッタッタッ…

<うおおおおおおっ!!

<ほんとに打ちやがったぁー! 文句なしのスリーラン!!

<佐野ぉーっ! 今ならお前に抱かれてもいいぞぉー!



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃4 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部(3回裏は4点止まりになっちゃったけど…相手のエースが出てきた)

阿部(あと2人を攻略すれば、投手戦は勝利。今日も粘ろう、松坂くん)

松坂(佐野くんがくれたリード、守りきる…!)



 下1 流れはこっちにある!

 1~3 …はずだった
 4~6 意地と気合いと根性で守る!!
 7~9 チェンジアップ炸裂ぅっ!


阿部(タイミングが合ってきてるこのタイミングで…!)

 ビシュッ

打者「くっ…!?」

 キィンッ

田中「余裕だぜぇっ! キレがねえぞっ!」バシッ

 ビシュッ
 バシッ

<アウト!


阿部「よし、チェンジ!」

松坂「やった…」

田中「この調子でいこうぜ!」

佐野「もらったも同然じゃ!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃4 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 エース…

 1~3 本格派だぁ…
 4~6 直球もさることながら、投球テンポの速さよ…
 7~9 阿部くんが、あれってなった


 ビシュッ
 ズッバアンッ

田中「エースだけあって、風格もあるし…速いし、コントロールも悪くねえし…」

佐野「そんだけ打ち甲斐があるじゃろうが」

阿部「………うん? あれ?」

松坂「どうしたの、阿部くん?」

阿部「…いや…うーん…もうちょっと、見てみる…」


阿部(確かに投手としての完成度が高い…)

阿部(3年生だし、集大成って感じの堂々としたピッチングをしてる…)

阿部(だけど…何か違和感が…。データで見ておいたフォームと、何かが…こう…)


阿部「…」

松坂「…」チラッ

阿部「…」ジィッ

松坂「…」チラッ


 ズバァンッ

<バッターアウト!


松坂「ああっ…」

阿部「…」ジィッ

松坂「あ、阿部くん…何か、分かった…?」

阿部「やっぱり…多分、足、傷めてるんじゃない?」

佐野「何っ?」

田中「は、マジでっ?」

阿部「……うん…先発じゃなかった理由にもなるし。こっちの勢いを削ぎたいからってエースを投入したとも考えられるし」

阿部「あの投手、タッパもあって、腕を大きく使うフォームで、だけど足の使い方に負担がかかっちゃうと思うんだよね…」

阿部「……………そう言えば、2回戦らへんで…ランナーとして派手にホームで接触プレーしてたし…その時に故障した…?」

田中「よ、よく覚えてるな…?」

佐野「ちゅうことは、つけいる隙があるんじゃのう?」

阿部「つけいる隙どころじゃない。バント攻撃だよ。指導者としては、未来あるエースの足と引き換えの勝利は、苦すぎるだろうしね」

長島(阿部、そこまで考えるのか…。間違ってはいないだろうが…)



 下1 阿部くんくろぉーい

 1~3 コツコツバント攻撃!
 4~6 ファール出しまくりも有効って…
 7~9 ほら、崩れたよ? by阿部


 カァンッ

<ファール!

 カァンッ

<ファール

 バシッ

<ボール!

 カァンッ
 バシッ

<アウト!



阿部「うん、仕込みとしてはいいんじゃないかな?」

阿部「次の回、仕留めよう」

松坂(阿部くんこわい…けど頼もしい)

佐野(次は松坂からの打順じゃが…)

田中(分かってないんだろうな、まだ)

松坂(よしっ、がんばって守ろう)



 下1 松坂!

 1~3 うぐぅ…名門校の底力か、これが…?
 4~6 スタミナオバケだけど、疲労度に応じてフォアボール率は高まる…
 7~9 前の回を締めたチェンジアップがきいてますなあ



 キィンッ

 ガィンッ

 バシッ

田中「塁埋まってる方が守りやすいぜぇー!」

佐野「トリプルプレーのお膳立てが上手いのう、松坂ぁっ! ボケがぁっ!」


松坂「ふぅ…ふぅぅっ…」

阿部(さすがに…ここまでずっと、たった1人で投げてきたんだ…)

阿部(まだ投げ続けられてる状態の、今が異常なくらい…)

阿部(松坂くんのスタミナがいくらオバケだからって…衰えないわけがない)

阿部(……1アウト、満塁…)

阿部(ここを凌げば勢いはこっちにまた大きく傾くけど…)

阿部(逆に押し込まれてしまえば、もう松坂くんが立て直していくのは難しくなる…)


松坂(フォアボールから、一気に打ち込まれて…)

松坂(でも、阿部くんのリードなら信じられる…)

松坂(阿部くんを信じて投げれば…!)


阿部(どうする…?)

阿部(打たせて取りたい…けど、打球の鋭さは衰えない…)

阿部(いくら点差がリードしてるとは言え、1点差…)


松坂(阿部くん、次は…?)

阿部(松坂くん、どうしたい…?)



 下1 どうすっぺ

 1 バックを信じて、打たせて取る
 2 松坂の力を信じて、臨機応変
 3 阿部のリードを信じて、三振取る



阿部「…」

阿部(エースの力を信じて…)

阿部(バッター集中、1人ずつアウトを取ろう)

松坂(まずはアウトローにストレート。ボールになってもいいくらい!)


 ビシュッ
 キィンッ

阿部(よし、手を出した!)

阿部「ファースト!」

 タタッ
 パシッ

阿部(ランナーは、動きなし…!)


松坂(やった…! さすが阿部くん…! 1球で!)

阿部(今のはラッキーだったけど、相手もこのチャンスをものにしたくて打ち気に逸ってるってことだね…)

阿部(だったらつけこめる。ただし、打者の様子をよく見ながら。チームの方針と、選手の考え・できることが必ずしも一致してるわけじゃない)

阿部(またホームランを浴びるなんてごめんだ)



 下1 2アウト満塁から…

 1~3 1失点、同点にされるも凌いだ
 4~6 冴える松坂の守備
 7~9 ばっちりと三振で!



 キィンッ

阿部(ピッチャー正面…! 松坂くん――)

松坂「!」

 バシッ
 ビシュッ

<アウト!


松坂「ふぅっ…」

田中「ナイス守備!」

佐野「何でお前はあそこまで守備だけは華麗なんじゃ! ドアホ!」

松坂「あはは…」

阿部(よし…凌げた。あとは、相手のエースを打ち崩すだけ…!!)




 下1 松坂!! お前からだよ!

 1~3 尚、凡退
 4~6 バントでダメ押しの揺さぶりに徹した
 7~9 このパターン、成功率高いよね… シングルヒット



 キィンッ

松坂(あ、あたっ、当たっちゃった…!!)

 ダダダッ
 バシィッ

<セェーフ!


田中「いよっしゃあー!!」

佐野「前の回のバント攻撃が効いたかのう!?」

阿部「松坂くん、意外と打撃の貢献度高いんだよね…。素振りの効果?」

佐野「当然じゃあっ!」


松坂(ああ良かった…ちゃんと一塁ベース踏めた…)

松坂(あっ…田中くんへのシフトが、やや前進くらいになってる…?)


田中「そうこなくっちゃな…」

田中「俺を、足だけの男と思うなよ?」



 下1 田中ァッ!!

 1~3 あうっ…ゲッツーコース…
 4~6 送りバント。堅実
 7~9 田中、多彩やな…って…


 スッ

松坂(バントの構え…!? お、送りバントなんてサインは監督から出てない…よね…?)

松坂(……うん、出てない…)


田中「おら、来いよ」

 ビシュッ

田中「前進守備なんぞ、クソ食らえだっつーのぉっ!!」

 グイッ
 カキンッ


松坂(ば、バスター!!?)

田中「内野の頭を超えてやったぜぇー!!」

田中「だぁっはははーっ!!!」


阿部「田中くん、バスターなんていつ練習したの…?」

阿部(何かもうほんと…塁に出るってことに関して、貪欲すぎるよ。頼もしいほどに)



 下1 阿部はどーするんや?

 1~3 おう、ゴロか…松坂がアウトになって、ランナー一二塁は変わらず
 4~6 もちろん、狙い打ちぃっ! この試合の阿部、優秀やな
 7~9 ファーストの頭超えて、ライト線ギリギリフェアの長打コース!?



阿部(ま、でも…個人的に負けたくないかな)

阿部(打撃の技術的な部分に関してはさ…!)

 ブンッ
 キィンッ

<流し打ちだ!

<いや、ファールだろっ!?

<フェア!!

<落ちたぁっ!?

<長打コースだぞっ!


田中「やるなあ、阿部ぇっ!」

松坂(あ、あれっ? どうしよ、これ、三塁も回るべき? ホーム行くっ? 行ける、のかなっ…?)



 下1 どーする?

 1 ホームへ、ゴー!!
 2 いや、三塁ストップ


松坂(いや、欲、良くないっ!)

松坂(三塁で止まろうっ…!)


<クリーンナップきたぁー!

<中井の分まで打てぇー!

<むしろ中井の方が打てないから気楽にいけぇー!


松坂(あ、そう言えば…ライトの肩強いって阿部くん言ってた気がするし…)

松坂(うん、止まっといて正解だったよね…?)



 下1 さあ、クリーンナップ!

 1~3 エース降板で、最後の投手が出てきよって…? 流れを切るつもりかぁっ!?
 4~6 犠牲フライで松坂生還!!
 7~9 タイムリー! 松坂生還、尚も満塁!



 キィンッ

<まぁた来たぁーっ!!

<松坂、ホームに生還っ! 追加点っ!!


<でもってここでぇっ!

<我らが佐野ぉーっ!!


<ぶちかませー!

<ぶっ飛ばせー!



佐野「ここで打たんとのう…」

佐野「満塁本塁打…ええ響きじゃなあっ!!」



 下1 佐野っち!!

 1~3 いや、初見殺しすぎる投手出すなよ…
 4~6 名門校のお株を奪うような強烈ライナーでタイムリー、2点
 7~9 名門校のエースまで、打ち崩しやがったぜ、佐野っち。タイムリーで3点
  0   佐野、満塁本塁打打つってさ


 キィィンッ

<うおおおおーっ!

<やっぱ佐野やべぇーっ!!


田中「あらよっとぉっ!」

阿部「続いて生還!」

田中「急げ、走れっ!」

 ズザァッ

<セーフ!


松坂「一気に、3点! これでこの回、4得点……!?」

佐野「当然じゃ、これくらいはのう!」

阿部「これでもう、エースを下げざるをえないだろうね」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃4 ┃4 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部「5点リード…」

阿部「松坂くんが起点になって作った点差だね」

松坂「え、ぼ、僕は偶然…」

阿部「運は実力の内だよ。胸張って、投げよう」

松坂「……うんっ」



 下1 いったれやぁー!

 1~3 うおっ、名門校の目の色変わっとる…! 背負うものがあるからこそ、力に変わる系…?
 4~6 松坂、粘りづよぉーい!
 7~9 流れは今、新摂にあるのだァッ!!


阿部(けど…名門校だしなあ)

阿部(諦めるなんて選択肢、彼らには絶対にない――)


 「俺達はこの試合、何しにきた?」

 「勝つため。ただそれだけのために来たはずだ!」

 「王者の意地を! 伝統と誇りを! やつらに思い知らせるぞぉっ!」

 『おおおおおおおっ!!』



松坂「~っ…」ビリビリ

阿部(のまれないでよ、松坂くん…)

阿部(5点リードなんて、簡単にひっくり返る時もあるのが高校野球だよ)



 下1 こわいわー…

 1~3 なん、だと…? いきなり、1点返された…?
 4~6 凌ぎきったけど勢いヤバかった…油断できんぞ…
 7~9 阿部くん黒いわぁー…


 ギィンッ

田中「打球がっ…掴みきれねっ…!」


 ガィンッ

佐野(何じゃこいつら、急に…!?)


 キィンッ

松坂(さらにバットのスイングが…!)



松坂「はぁっ…はっ…」

阿部(ここにきて、痛打の連続…)

阿部(とうとう、メラメラに燃え上がっちゃった…?)

阿部(ランナーは二三塁で、1アウト…)

阿部(……最悪、1点はやってもいい。だけどそれ以上は与えない…!)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃0 ┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃4 ┃4 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



松坂「ふぅ…ふぅーっ…」

阿部「松坂くん、水分補給」つ紙コップ

松坂「ありがとう…」

佐野(松坂が…)

田中(肩で息してやがる…)

阿部(連戦、連投の疲れもあるし…何より、名門校の打撃によるプレッシャー…)

阿部(……4点差か…。逃げ切るなんて本当は考えたくないけど…本気で、これは逃げにいかないとマズいかも知れない…)


阿部(エースは引きずりおろしたけど…3番手の投手もいる…)

阿部(まだ試合は中盤なのに…)

阿部(………苦しいな、この試合)


松坂(深呼吸して、体を落ち着かせて…)

松坂(最後まで投げるんだ…投げないと、試合が終わっちゃう…)

松坂(ここで勝てば、決勝。そうしたら、もう甲子園なんだ…!)



 下1 苦しい展開だが…

 1~3 1点差にまで縮められ、8回表。いくらスタミナオバケだからって、松坂でも…もう…つらたん
 4~6 まだ2点ある…8回表
 7~9 2点差で迎えた、9回表!


 下1 00コンマ判定

 偶数 仲間の声に励まされ、疲労困憊で尚、投げ抜いた――その姿こそが、エース!!
 奇数 誰もが全ての練習の成果を出し切った…それでも、無茶だったんだよ…投手1人なんて… 苦い、痛い、尾を引く敗戦…




┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃2 ┃0 ┃1 ┃1┃5 ┃1 ┃1 ┃13┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃1 ┃0 ┃4 ┃4 ┃0┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃9 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


<ゲームセット!!


<うおおおおおおおおおっ!

<やっぱ名門かっ!

<よくやったぞ、松坂!

<よく投げ抜いたぞ!



女記者「…7回で、とうとう松坂くんが打ちこまれて…勢いが完全になくなったってところかしらね…」

後輩記者「どう考えたって、土台ムリですよ。夏の大会を、投手がたった1人だけで勝ち抜いていくなんて」

後輩記者「これまでが奇跡的だっただけですから…」

女記者「そうね…。けれど…それでも準決勝まで勝ち進んできた」

女記者「一戦ごとに、松坂くんは強く、大きく成長していったわ。最後の最後で、力尽きたにせよ…ね」



松坂「うくっ…ひぐっ…」

佐野「…泣くな、松坂。ドアホが」

田中「っ……クソっ…」

阿部「…」

阿部(松坂くんは、ベストを尽くした)

阿部(けれどやっぱり、準決勝の壁は分厚かったんだ)

阿部(投手1人でここまで…これはもう偉業だよ、松坂くん。それは誇っていいことなんだ)

阿部(敗戦を意味のあるものに変えるには、これからだよ…。それに俺達は、まだ1年生なんだからさ)


 ポンッ…

松坂「あ、べく…んっ…ごめ…ごめん……!」

阿部「何言っちゃってるの、エースのくせに。援護できなくてごめんね。この大会、間違いなくMVPは松坂くんだよ」

松坂「でもぉ…」

阿部「はいはい、泣かないのー」

松坂「途中でっ……腕も…上がらなくて…っ……力ちゃんと…発揮できれば…っ…」

阿部「そうだね、はいは――い…?」


阿部「……腕が、上がらない…?」

阿部「疲れとか…じゃなくて…?」

阿部「っ……監督、救急車ーっ!!」



 下1 おう松坂ぁっ!?

 1~3 しばらく安静!! 絶対安静!
 4~6 すぐ言えや、体におかしいことあったら! それで勝ってても意味なかったかんなっ!?
 7~9 軽くて良かったものの…がんばりすぎだっ!


 下1 0コンマ判定

 偶数 大袈裟かっ!! すぐ治るわっ!
 奇数 えっ…アカンやん? 0の上塗りって…



医者「うん…うんうん…」

医者「ま…1週間もゆっくりしておけば、大丈夫でしょう」

阿部「ほっ…」

長島「…阿部?」ゴゴゴ

長島「まるで…重大な故障でもしたかのような騒ぎっぷりだったが…?」

阿部「…………い、いやあ、ほら…大事な投手に何かあっちゃ…マズいですし…?」

長島「……………………次からは落ち着けよ」

阿部「ハイ…」


松坂「良かった…大したことなくて――」

阿部「松坂くん?」

松坂「ハイっ…?」ビクッ

阿部「…………ちょっとでも違和感あったら、すぐに言ってね」

阿部「隠して投げ続けるなんて、次やったら二度とバッテリー組まないから」

阿部「分かった?」

松坂「……は、はい」

阿部「…………まったくもう…これだから投手っていうのは…」


阿部(まあ…頼りきりにならざるをえなかった、チームとしての問題でもあるんだけどね…)

阿部(けどやっぱりこうなると、投手の補充…。コンバートより、きちんと投手経験のある…実力のある――)





久遠「……準決勝敗退…か」

久遠「…松坂だけでは…やはり……」

<おーい、新入り~

久遠「…」

久遠「……………今、いきます」







 下1 初出場、準決勝進出か

 1 ま、ちょっと夏休み挟んだらすぐスパルタトレーニングな
 2 夏休み? そんなもん返上じゃあああっ!(松坂は静養
 3 みんな悔しくて練習しまくり(松坂は阿部に説教



田中「クソったれ、クソったれ、クソったれ、クソったれぇっ!!」

佐野「お前ら、しっかりバット振らんかぁっ! ワシらが点さえ取れりゃあ負けんかったんぞぉっ!!?」

田中「だあああああっ! 走る! タイヤとかねえのっ!? タイヤ!!」

佐野「ポールダッシュ500本の後、素振り1000本じゃあああああああっ!!!!」



<キィンッ

<バシィッ

<ダダダッ


夕実「ま、負けた直後なのに…みんな、すごい気合い…」

夕実「…悔しい、んだよね…。……よし、この調子じゃ夜までずっとやりそうだし、おにぎりでも握ろうかなっ」




阿部「そりゃ非はある、チームに非はある。急造だろうが投手を用意できなくて、全ての負担を松坂くんにかけちゃった」

阿部「でもそれだからって、きみが故障して再起不能になったら全ておしまいなんだよ、分かってる? きみの野球人生も、この野球部も、終わり」

阿部「想像できる? ねえ、できてる? 嫌でしょ? 折角がんばってきたのに、もう二度とだよ? 折角、手応え感じてきたのにだよ?」

阿部「その場だけの負けと、永遠の人生の負け犬と、どっちがマシかなんて分かるよね? 誓ってね、俺に。二度と、違和感がある状態で誰にも話さずにプレーしませんって」

阿部「書面と、ボイスレコーダーと、動画で誓ってもらうからね?」

松坂「」ゲッソリ






中井「…………試合…どうなったんだ…?」

中井妹「にーちゃん、だいじょーぶー?」

中井弟「ほーたいかっけー」

中井「あいつら…勝ったのか…? 負けたのかぁ…?」

中井「何で誰も…見舞いにさえこないんだよぉ…?」←松坂の救急車騒動で忘れられたから




 下1 夏大会ボーナス!!

 1 打撃能力、大幅上昇!(というか活躍に対しての後付けステアップ
 2 特能:ド根性
 3 意識:エースの自覚



松坂「やっと……お説教、解放……され、たぁ…」ヨロヨロ

松坂「……つかれたぁ…」グッタリ


松坂(……………昼は…暑かったなあ…)

松坂(…マウンドで…投げて、投げて…)

松坂(危ない場面ばっかりだったけど…最後まで…投げて………負けた…)

松坂(………負けたん、だ…)


松坂「っ…」

松坂「……」ゴシゴシ

松坂「力が、足りなかった…」

松坂「……もっと変化球が、磨いていられれば…」

松坂「速球にキレがあって…コントロールがもっと良かったら…」

松坂「ストレートでゴリ押しじゃない…幅のある投球さえできれば…」

松坂「……勝てたんだ、きっと…」


松坂「…」

松坂「……投手は、僕で…」

松坂「…………チームの、エースは………」


夕実『――がんばってね、エースの松坂くん――』

阿部『――何言っちゃってるの、エースのくせに――』


松坂「………きっと、僕なんだから」



松坂「……ちょっと投げ込んでから――」


阿部「まーつーざーかーくぅーん?」ゴゴゴ

松坂「」


阿部「何、しようとしてたのかな?」ゴゴゴ

松坂「…………こ、転がってたボール…片づけ、ようかな…って、だけ…です…」

阿部「そっか。そんなら何もないね。おつかれさまー」

松坂(ビックリした…! ものすごくビックリしたぁっ…!!)




 下1 正直、大会前特訓でやりすぎたかなって思って控えめにしてたんだけど…今回だけだからね? 追加ね?

 1 打撃能力、大幅上昇!(というか活躍に対しての後付けステアップ
 2 特能:ド根性
 3 特能:9人目の野手

 ※特能の詳細とか、能力の上がり幅なんて、選ばれた時のお楽しみだよきっと!

ありがたいが、エースの自覚だけ意識なんだが得能となんか違うの?


 そいじゃ、今夜はここまでってことで
 長らくあざっした

 にしても松坂…めっちゃんこ成長したなあ…
 ステだけじゃなくて中身までとは…

 つーか野手もできるスペックになりつつあるし…



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


>>154
メンタル面でのことだからね、非表示ステ的なもんかね
だけどエースナンバーへのこだわりってもんが植えつけられて、あれこれプラスやマイナスに働くものと思ってくれればいいと思うよ

プレイボールの時間やで!


 【オマケ・イケメン死ね!!】

中井「こうも練習、練習で丸々、休みの日もねえってのは…ちょっと辟易としてくるよな」

田中「でもたまぁーに、夕方前に練習終わる日だってあるだろ? 俺なんて、その時にやることやってやろうって色々メモってんぜ」

中井「そりゃ、別に1人でできる用事ならいいだろ」

松坂「1人じゃできない、用事…? 家族との約束とか?」

中井「いや彼女」

田中「死ね」

松坂「…」

中井「デートする時間もないし…毎晩、毎晩、メールばっか届いて…。たまに相手間違ってバレかけて…」

田中「は? バレる? 何が? 殺すぞ、死ねよ」

中井「お前、目がこええよ…。それとバレるって言えば普通は二股、三股、四股、五股だろ?」

松坂「ええええええ…?」

田中「五股だぁっ!? 今決めた、お前が五股してるって学年中に広めてやる!!」

中井「してないって、五股なんか…。早とちりすんな」

松坂「じゃ、じゃあ四股?」

田中「三股っ!? 二股かぁっ!!?」

中井「違うっての…」

田中「何でえ、コキやがって。死ねイケメン!」


中井(記録更新中で六股だからなー)

中井(あー、休み欲しい)


 【オマケ・肩自慢】

夕実「じゃあ、遠投の記録取るよー」

<よっしゃ!

<来いやぁっ!

<遠投で2位だったやつがアイス奢りなっ!?


夕実(元気だなー、みんな…)

夕実「それじゃ、最初は?」

佐野「ワシに決まっとろうがぁっ!!!」ブンッ

<うおおっ!? いきなりめちゃくちゃいったぞっ!?

夕実「記録は……88メートル」

佐野「ぬっ…? 思ったより伸びんかったか…。風めっ」

松坂(風のせいにしたっ…!?)


田中「じゃあ次は、俺だぁーっ!」ブンッ

<田中もいくなっ!? 何でセカンドなんだよお前!?

夕実「78メートル」

田中「佐野に10メートルも差ぁつけられたっ!?」

阿部「内野なら充分でしょ…。ってことで、次は俺、ねっ!」ブンッ

<阿部やべえっ!?

夕実「ええっ、ちょ、どこまで伸び――!? ええとっ……107メートル!?」

阿部「むっふぅーん。2位は佐野くんかなー?」

佐野「何、じゃとっ…!?」


中井「外野手として、遠投は負けられねえな。目指せ、レーザービーム!」ブンッ

<うおっ、中井速いぞっ!?

<遠投でレーザービームやろうとすんな! でも距離伸びてる!

夕実「またこんなに遠くまでっ…!? ええと…記録が……102メートル」

佐野「中井で決まりじゃの」

中井「何故だあっ!?」

阿部「あー、良かった」


<最後だぞ、松坂ー

<102メートル以上だとアイスだからなー

中井「103投げろ、103投げろ…! それか阿部の記録抜けっ…!」←現在2位

松坂「ふぅーっ………ふっ!」ビシュッ

 ガスッ…

松坂「あっ…」

阿部「うん、遠投だからね…いつもみたいに投げちゃ、ダメだよね」

夕実「記録は…24メートル…?」

誰かおるかいのう?


<ミィーンミンミンミンミンミィー

<ミィーンミンミンミンミンミンミン…


松坂「…」グイッ

松坂「…」グイッ

中井「…」グッ

中井「…」グッ


<当てたとこで満足すんな! 最後まで振り抜かんかいっ!?

<ランナーにビビってんな、守備ぃっ!

<もっと駆け抜けろ、もっと!

<捕球のタイミングで投げる姿勢作って!


松坂「…暇だね」グイッ

中井「そうだな…」グッ


松坂(準決勝で負けて…すぐにまた練習の日々なのに…僕と中井くんは、地味なトレーニングしかさせてもらえない…)

中井(ヘルメットも被ってたし、大袈裟なんだよなあ…。あー、クソ、練習してえ)

松坂「…暑いね…」

中井「暑いなあ…」



 下1 すっかり夏休みなんですよ

 1 夏らしく遊びたいなあ…て
 2 くーおーんくーん、あーそびーましょー
 3 ユニフォーム焼けじゃない、日焼けしたい…


中井「あー、打ちてえー、投げてえー、捕りてえー…」

阿部「まあまあ、中井くん。デッドボール食らっちゃった身なんだから、もうしばらく安静にしてなって」

田中「そーだぞー…もう、めっちゃくそ、ボロックソだからなぁ…監督のメニューのせいで…もう歩きたくねえし…」

佐野「ぶつぶつ文句言う暇あんなら走れ」

田中「つーかっ、佐野は何で俺らと一緒に電車乗ってんだよっ!? 徒歩通学だろ、お前っ!?」

佐野「買物じゃ。悪いか、ボケ」

松坂「一旦、帰宅しておいて…電車のホームで鉢合わせるってすごいよね…」

阿部「でも…確かにちょっと、まっすぐ家に帰らないで寄り道とかしたいかもね」

田中「お、いいなっ! どっか行くかっ!? このまま!」

中井「疲れてたんじゃないのか?」

田中「うるせっ!」

佐野「ボケどもが…」

松坂「…寄り道、するの?」

阿部「でもどこ行く?」

中井「んー…落ち着けるとこがいいよな」

田中「あ、分かった! 俺、決めた! 全員、俺についてこーい!」

阿部「どこ行くつもり…?」



 ―― 久遠の家

松坂「って、久遠くんチ!?」

田中「くおーん! 遊びにきたぞー!」

阿部「遠慮ないなあ…」

佐野「ええんか、いきなり人様んとこ突撃て…」

中井「ま、久遠がいれば…いいんじゃね? いなかったら退散、解散ってことで」



 下1 久遠おるかの?

 1~3 おらーぬ!
 4~6 お、久遠ママンや! もうすぐ帰ってくるて!
 7~9 いたー!


 ガララッ

久遠「ふぁい…どちらさ……ま?」

田中「いたーっ! 久遠っ、てめーがいないから負けただろっ!」バシバシ

久遠「ああ…悪い」

佐野「悪い思うとるんならさっさと復帰せえ」

阿部「そうそう。内臓とか売れば?」

松坂「え?」

阿部「冗談だって」

中井「今、家に1人か?」

久遠「ああ…今はな」

田中「んじゃ、お邪魔しまーっす!」

中井「おおー、日陰だ、日陰だぁ…」

佐野「狭い家じゃのう…」

阿部「寝起き? 寝癖ついてるよ」

松坂「お、お邪魔しちゃって……いいのかな…?」

久遠「いいぞ」

松坂(いいんだ…)



 下1 久遠くんチ!

 1 うへえ、トロフィーやら賞状やら、そこかしこに…さすが久遠や
 2 ボロいし狭いけど整理整頓されてますのう
 3 野球盤があるっ!?


松坂(古いし、こんな人数で上がりこむと狭いけど…ちゃんと整理整頓されてる…)

松坂(何かおばあちゃんの家っぽい感じ…?)


中井「腹減ったし、昼飯食おうぜ」

阿部「中井くん作ってくれるの?」

中井「ああ。えーと…買い出しいくか。1人200円な。あ、久遠は家主だからいいや。ほれ、徴収」

中井「んじゃ田中、行こうぜ」

田中「ええー? 何で俺だよ、1人でいいだろー?」

中井「いいから来い」


久遠「…大したもてなしできなくて悪いな」

阿部「いやいや、この麦茶で生き返るよ…」

佐野「お前のことじゃからとっちらかってると思うたが、意外と綺麗じゃのう」

久遠「まあな…」

松坂(だけどちょっとこう、違和感…。友達の家に本来あるべきものがないっていうか…)

阿部「漫画ないの? ゲームは?」ゴロゴロ

久遠「漫画はドカベンだけだな」

佐野「持ってこい。読破しちゃるわ」

久遠「全巻揃ってないし、飛び飛びでいいなら」

佐野「いるかボケぇっ!」

阿部「佐野くんうるさーい」ゴロゴロ

佐野「お前はくつろぎすぎじゃ! 座布団枕にして寝ようとすんな!」

松坂(馴染んでるなあ、この2人…)



 下1 憩い(?)の久遠くんチ

 1~3 あれ、これ家族写真? そういえばパピーはどうしたん?
 4~6 グローブに、うっすらと埃が…
 7~9 猫の額ほどの庭が、久遠くん専用の練習用グラウンド…? 涙ぐましい…


松坂「……ん?」チラッ

阿部「あ、これ久遠くんの家族写真? どれどれー?」スッ

佐野「何じゃ、えらい古いのう。久遠もちっさいわ」

阿部「リトル? 少年野球…? ユニフォーム着てるね」

佐野「ほーん、これが両親か。…久遠は母親似かの」

松坂(めちゃくちゃ無遠慮に見てる…)

 グイッ

阿部「ん?」

佐野「何じゃ?」

久遠「…あんまり見るな」グイッ ←取り上げた

阿部「そう言えば久遠くん、このお父さんは?」

佐野(阿部っ?)

松坂(ぶっ込んだ…!?)



 下1 久遠のダディは?

 1~3 Oh…
 4~6 この家族写真の直後くらいに離婚したって…
 7~9 ダメダメな夢追い人で家庭を顧みず、蒸発中…?



久遠「……社会人野球のチームにいて、投手をやってた」

阿部「へえーっ! どこどこ?」

久遠「だけど結果が出せずに野球選手としてやっていけなくなって、解雇された」

阿部「おう…」

久遠「…荒れて、酒浸りになって、自分がダメだったからって俺に色々教えてくれて…」

佐野「ええとこもちいとはあるんじゃのう」

久遠「借金作ってから自分はガンであっさり逝ったよ」

松坂「…」

久遠「借金はもう母さんががんばって働いて返したけど…そのせいで、がんばりすぎて体を壊した」

佐野「……今日はお袋さんどうしとるんじゃ」

久遠「病院。…少し長引いてるから、もう一度、精密検査だ」

松坂「…」


<ガララッ

田中「帰ったぞーい!」

中井「そうめんでいいだろ?」

田中「ん、どした、このビミョーな空気っ?」

久遠「何でもない」

田中「そっか! おっ、何それ、久遠の家族写真」

佐野「触れんでおけ」

松坂「空気読んで、田中くん…!」

田中「おうっ?」



 ちゅるるっ…

田中「そうめん、うめぇー!」

阿部「ちゃんと野菜も用意しちゃってるらへん、中井くんさすがだね」

佐野「肉が細切りにされたハムだけってどういうこっちゃ」

松坂「そうめんおいしい…」チュルル

久遠「冷やし中華風の具か…」

中井「これなら味気なくないだろ? ただのそうめんでもさ」


松坂(それにしても久遠くん…ものすごい家庭環境だったんだな…)

阿部(野球をこれまでずっとやってたのは、プロになってお母さんを楽させてあげたかった…から?)

佐野(じゃがそれも、肝心のお袋さんが体壊しちゃあのう…)

田中「くーおーん、俺、ここの家の子になっていいかー? 何か丁度、まったりできそう…」

久遠「いや、間に合ってる」

田中「間に合ってる!? そんな断り方初めてされたぞっ!?」

中井「ははは、田中はうるさそうだしな」

松坂(………もったいない、なあ…。久遠くんほどすごい投手…夏の大会でも出会わなかったのに…)



 下1 帰り際

 1 また遊びくるね、って
 2 早く戻らないとエース争いできないよ、って
 3 何かあったらみんなのこと頼ってね、って


<それじゃなー!

<また遊びくるぞ

<今度はキャッチボールしようね

<とっとと戻らんと、お前のロッカー撤去するからのう!


松坂「お邪魔しました…」

久遠「ああ」

松坂「…」

久遠「どうした、松坂?」


松坂「あの……正直、僕なんかがって思わないでもないんだけど…」

松坂「…え、エース争い」

久遠「…?」

松坂「早く戻ってきてくれないと…2人で、エース争いが、できないよ」

久遠「……ああ…」

松坂「だから…その、うん…」

久遠「分かった」

松坂「…!」

久遠「……またな…」

松坂「……うん…」


松坂(……またな、って言った久遠の目が…何だか……遠くを見てた…)

松坂(本当に、戻ってきてくれるのかな…?)



 下1 そして再び、練習の日々へ!

 1 練習試合しまくりじゃあー!
 2 ひたすらに地力固めの地味でキツい練習漬けな日々
 3 選手個人の課題克服メニューを!!



長島「――諸君」

長島「夏の大会ではベスト4という“不本意”な結果に終わり、それぞれに考えることがあっただろう」

長島「実力を出しきれなかったと思う者、また、己の力不足を痛感した者」

長島「それは諸君の課題である。この夏、徹底的に課題を克服し、夏の雪辱を晴らす!」

 『はいっ!!』


長島「それでは各自、わたしの用意した課題克服メニューへ取り組め!!」



 下1 松坂の課題は!?

 1 使い物にならないカットボール!
 2 甘く入ることもあるチェンジアップ!
 3 いまいち狙いから逸れることの多いコントロール!



松坂「…カットボール…」

松坂(有効に決まれば凡打で打ち取れるけど…)

松坂(今のカットは、単なる棒球になっちゃう…)

松坂(それで手痛い一撃をもらって、取り返しのつかないことになったら…)


松坂(チェンジアップはまだ、緩急でかろうじて使えてる)

松坂(だから今は、カットボールに磨きをかける)

松坂(キレと威力のある、カット…!)


 ビシュッ



 下1 カットボール

 コンマ一桁/2 上昇


松坂(はぁ…)

松坂(ま、そう簡単に…上達するはずはないよね…)

松坂(じっくりと、一歩ずつ…)

松坂(久遠くんに負けないくらいの投手に…!)

 ビシュッ


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(38)
チェンジアップ:D(34)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 夏休み中だよ

 1 宿題やってねえ!?
 2 夏祭りがあるんだってさ  by夕実
 3 は? 夏休みは普段の3倍練習だろ?


中井「休みが、欲しいっ!!」キィンッ

田中「彼女が、欲しいっ!!」キィンッ

阿部「お金が、欲しいっ!!」キィンッ

佐野「欲望垂れ流してフリーバッティングすんなボケがぁっ!!」


中井「でもこの方が、打てる気がすんだよな」

田中「分かる!」

阿部「気持ちの問題かな?」

佐野「ええからさっさと練習せえっ!!」


松坂(僕はやっぱり…欲しいものと言えば……)

松坂「…」ギュッ

松坂「勝利が…欲しいっ!」キンッ

 バシッ

<松坂、ゴロだぞ!

松坂「」



松坂(カットの練習しよ…)

松坂(投手なんだから…うん、投球練習しなきゃ…)



 下1 カット練習!

 コンマ一桁/2 上昇


松坂「うぅぅ…」

松坂(そう簡単にはやっぱり、上達しない…)

松坂(何がいけないんだろ…?)

松坂「うぅーん…」


阿部(お、考えてる…)

阿部(そのままがんばって考えながら練習してねー)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(40)
チェンジアップ:D(34)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 夏休みも、あと2ターン

 1 佐野くんチに遊びいこーぜ
 2 合宿すんぞオラァッ!!
 3 練習すんだよ、練習ゥッ!!


 ※基本切り上げよ



長島「1週間の合宿を行う!」

長島「そして、夏休み最終日、練習試合をするつもりだ」

長島「諸君の夏の成果をひとまず確かめる場となる。一層の気合いをもって合宿の日々を乗り越えよ!!」

 『はいっ!!』


長島「まずは徹底的に実践守備の練習だ!」

長島「打者も本気で打ちに行け! ランナーもだ!」

 『はいっ!!』



 下1 合宿!!

 1 カットを実践レベルまで…!
 2 もう試合で1点だってやるもんかって!
 3 みんなを相手に一球も打たせるもんかって!


松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 ギィンッ

松坂「…!」

田中「余裕っ! へなちょこカットなんか効くかぁっ!」ズザァッ

<田中、しっかり走れぇっ!


松坂「っ…!」

 ビシュッ
 キンッ

阿部「コース甘過ぎっ!」ダッ


 ビシュッ
 ギィンッ

中井「いけ、長打っ!」

<捕球から送球までの動きを意識しろー!


 ビシュッ
 カッキィィィィンッ

<佐野ぉーっ!!

<ホームランじゃ守備練習にならないだろうが!!



松坂(ぜ、全然…カットが、通じない…!?)

松坂(だけど、もう少しな気もする…)

松坂(余計な力は抜いて…丁寧に、しっかり投げ込む…!)

 ビシュッ




 下1 カットボール!

 夏休み合宿ボーナスで コンマ一桁/1 やで


 ビシュッ
 クイッ

 ガキィンッ


田中「ヘイヘイヘェーイ!」バシィッ

田中「ファーストっ!」ビシュッ

 バシンッ


松坂「っ…今…」

松坂(何か、手応えあったかも…。今の感覚で…!)

 ビシュッ
 クイッ

 バシンッ

松坂(あ、掴めたかも…!?)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(34)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 そして夏休み最終日!!

 1~3 夏の大会で敗れた、名門校
 4~6 投手王国、東究高校
 7~9 反対ブロックで準決勝まで残った相手

 下1

 名門校の、学校名おなしゃす


阿部「あれ、あのバスって…」

佐野「ん、練習試合の相手か」

阿部「…羽生高校」

佐野「ああんっ!?」

田中「羽生ぅ…?」

中井「てことは早速?」

佐野「逆襲じゃあ…」

田中「おうよぉっ!!」

阿部「監督、よくとりつけたな…」

松坂(羽生高校…力の及ばなかった相手…)

松坂(今度こそ…勝ちたい)



 下1 さあ、羽生高校のネームド登場や!

 1~3 3人ほどおるやで
 4~6 2人かな
 7~9 1人でええよ、今は
  0   4人くらい…?


中井「デッドボールの恨み…」

中井「そして、誰も見舞いにこなかった虚しさ…今こそ晴らす」ゴゴゴ

阿部「ごめんね、中井くん…」

田中「すっかり忘れちまってな」

佐野「どっかのアホが松坂の腕がって大騒ぎしたせいじゃのう」

松坂「…ごめんなさい」

中井「一生忘れねえ」

阿部「深いね、恨みが」

中井「あっさりしてんじゃねえよ!!」


 タタタッ

?「あのっ…!」

中井「あ?」

佐野「何じゃあっ!?」

阿部(あ、この人…中井くんにデッドボールの…)



 下1 投手や

 お名前頼むで~



中沢「先日の試合、すみませんでしたっ!」

中井「……………誰?」ヒソ

阿部「中井くんにデッドボールの投手」

中井「お前かっ!!?」

中沢「すみませんでしたぁっ!」

佐野「謝っとるとこ悪いがのう…ワシらを下しといて、甲子園行けんかったことの方が恨めしいわ」

阿部「うわ、言ったよこの人」

田中「佐野の言うとぉーり!! てえことで、ぶっ潰さしてもらうから覚悟しやがれよぉっ!!」

中沢「デッドボールはしませんっ!!」

阿部「いやそれ、普通だから、そんな決意を表明されても」

中沢「はっ…い、言われてみれば…」

<おいコラ中沢ぁーっ! 戻れぇー!

中沢「やばっ…それじゃ、試合で!!」タタタッ


松坂「………何か、普通の人だった」

佐野「ハッ、ぶっ潰すだけじゃ」

中井「気合いは入ったな」

田中「っしゃ、逆襲の時間だっ!!」

阿部(何か、血の気が濃くなってない?)



 下1 さあ、羽生との雪辱戦!!

 1~3 って中沢先発じゃないんか!!
 4~6 さすがに名門だけあって、新チームも侮れんな…
 7~9 向こうは新チーム、こっちは継続。この利点、分かるね?


 キィンッ

田中「この前の守備力はどしたあっ!?」ダダダッ

<セーフ!


阿部「そっちのエースは、まだエースになれてないみたいだねっ!!」

 キィンッ

<おおっ、二者連続出塁!!


中井「デッドボールの恨みだ、死んどけぇっ!!」

 カキィィンッ

<な、な、中井が長打だとぉーっ!?


佐野「負けるつもりはちいともないわァッ!!」

<佐野がホームランかましたぁー!!

<初回から4点ゲット!!

<合宿でさんざん動かされたのにこれかよっ!?


松坂「うわあ…みんな、頼もしい…」

田中「松坂は相変わらず9番か」

阿部「そりゃ、投手だからね」

田中「でも久遠は5番だったろ」

阿部「そりゃ、投手としてのタイプが違うからね」

松坂「…」



 下1 さ、松坂も(投手として)いこーぜ!

 1 まずはストレートで押し切る!
 2 スイッチピッチング!
 3 カットボールの最終実戦練習だ!!


 バシンッ

<ストライク、ツー!


阿部(やっぱり、向こうはまだ新チームとして発足したて…)

阿部(夏休みが終わるって段階で、しっかりと確立されたチームになってるはずもないよね…)

阿部(こういうところは一期生ってとこの強みかな。だからこそ、試す場になる!)

松坂(カットのサイン…!)

阿部(あれだけずっと練習してたんだ)

阿部(合宿の最後の方じゃ、なかなかいけそうにはなってた)

阿部(あとは実戦投入して、磨きをかけていこう)

松坂「…」コクッ


 ビシュッ
 クイッ

 キィンッ

阿部「サード!」

佐野「おおっ!」バシッ

 ビシュッ
 バシンッ

<アウト!


阿部「とりあえずは普通に投げられたね」

松坂「うん」

阿部「さ、あとはこれが通用するかどうかだよ」



 下1 カット、いけるか?

 1~3 強烈ってわけじゃないけど、直球に混ぜ込む分には使えそう
 4~6 そこそこ単体としても使えそう
 7~9 意外といいぞ、なかなか



 ビシュッ
 クイッ

 ガィンッ

阿部「ファースト!」

 バシッ

松坂「オーライ!」

 ビシュッ
 パシッ

<アウト!


阿部「いい感じだね」

田中「ベースカバーもな!」

佐野「負けようがないのうっ!!」

中井「内野ばっかじゃ、つまらねえけどな」

松坂「うん」

松坂(カットボール、通用してる…!)

阿部(うん、3連続でカットを投げてみても、結局、まともには打てなかったみたいだし…)

阿部(ただムービングは佐野くんみたいにパワーを持った強打者相手だと、無理やりに運ばれかねない…)

阿部(そういうところは注意して使っていこう)



 下1 羽生さんよぉ、それでいいのかあ~?

 1~3 うお、名門パワーきたか… ま、夏のころよか圧少ないけど
 4~6 何だ何だ、羽生ピッチャー大したことないなぁ
 7~9 新摂つえーなおい…これみんな1年だろ…?


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃5 ┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃羽┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


佐野「松坂ァッ! この回も無失点じゃ! コールドにすんぞぉっ!」

田中「コールドやっちまおうぜー!」

阿部(練習試合にコールドってあるんだろうか…?)

中井「逆襲だぁーっ!」

田中「そーだ、逆襲だっ!」

佐野「ぶっ殺すぞぉっ!」

阿部(でもってやっぱ、血の気が濃くなりすぎてないかな…? キャップの影響? 由々しき事態だ…)


阿部(さて、と…)チラッ

阿部(あっちのベンチ、喝が入ってるな…)

阿部(松坂くん、また…羽生の名門校たるプライドが押し寄せてくるよ? 覚悟できてる?)

松坂(もう、負けたくない…!)



 下1 きたか、羽生!?

 1~3 カットが早速!? ま、まあ試しにって投げまくってたし…
 4~6 新チームでも徹底されてるスイング! 手応え出てきたな
 7~9 忘れていないか、チェンジアップ


 キィンッ

田中「うおっ…!?」バシッ

田中(やべえっ、ギリギリすぎて送球までの姿勢に持ち直せねっ…!?)

<セーフ!


阿部「田中くん、ナイス! 抜かれないだけありがたいよ!」

田中「うるっせぇー! 俺の実力はこんなもんじゃねえんだよぉー!」

佐野「強がんな!!」

松坂(田中くんのメンタルうらやましいな…)


 ギィンッ

 ガィンッ

 キィンッ


阿部(さすがに、もう打ち始めてきたか…)

阿部(だけどこの夏で、松坂くんは飛躍的な成長を遂げてるんだ)

阿部(この程度のピンチ、切り抜けられるよね?)


松坂「ふぅーっ…」

田中「打たしてけぇーっ! 全然怖くねえぞ、あんな打球!」

佐野「余裕じゃあっ!!」




 下1 いったれ松坂!!

 1~3 おっと、羽生が盛り返してきよった…
 4~6 大丈夫、リードは大きい!
 7~9 松坂くんエース感出てきてるな


 ビシュッ
 クイッ

打者(またカット…! でも――!?)

 ギィンッ

佐野「オラァっ!」バシッ

 ビシュッ
 バシンッ

<アウト!

田中「ゲッツーだぜぃっ!!」

 ビシュッ
 バシッ

<アウト!


<うおおおおっ!

<うちの守備、レベル高いよな!?

<てかゲッツー大好きすぎるだろ、内野のやつら!



松坂「ふぅ…」

阿部(さんざん見せてきたカットで勝負に行って、きちんと打たせて取る…)

阿部(堂々としたピッチングだったよ、松坂くん)

佐野「田中ァッ!」

田中「佐野っ!」

佐野「あと20点もぎ取るぞぉっ!」

田中「じゃあ俺、17点取るぅー!」

佐野「上等じゃボケぇっ!!」

田中「だぁーっはっはっはー!!!」


阿部(投手を助けて、野手が打つ)

阿部(野手の助けで、投手が自分の力を引き出す)

阿部(そして投手が、その力でチームを牽引する)

阿部(全国見渡して、この段階でここまでのチームとしての完成度は、五本指に入ってもいいんじゃないかな?)



 下1 松坂の打撃の方は?

 1~3 アホの子だから…ちょいちょい…
 4~6 コツコツ、バントとかで貢献中
 7~9 あ、打った


 カツンッ…

<送りバント成功!

<いいぞ松坂ー

<地味なの似合ってるぞー!

松坂(地味なの、似合うの…? 僕…?)


田中「さあさあさあ、中沢くんっ!? そろそろデッドボールの時間かな~?」

田中「そーでもしねえと、俺らの勢い止められねえんじゃねえかなー!?」

中沢「っ…」


 ビシュッ
 キィンッ

田中「煽り耐性低すぎぃっ! 松坂のが1000万倍上だぜぇー!」ダッ


中井「さすがにあそこまでいくと、審判に注意されないか…?」

田中「う、うーん…」

佐野「ワシが許す。やれ」ゴゴゴ

松坂(何か…申し訳なくなってくる…)



 下1 練習試合終了 試合内容:+2

 1~3 何で逆転負け食らうかなあっ!!? 油断!? 慢心!?
 4~6 失点はあったけどそれ以上に打撃好調だったね
 7~9 名門の羽生相手に快勝だな。すげえ


阿部(今日は徹底的にカットでいってみよう)

阿部(いいとこも悪いとこも、この試合で全部見る…!)

 カッキィイイイインッ

阿部「おーうふ…」

松坂「あ…」

佐野「何しとんじゃボケどもがぁっ!!!」

田中「調子に乗んなよ、松坂ぁっ! あと阿部ぇっ!!」

中井「ホームランなんか打たせんな! しかもスリーランて!!」


阿部(カットはこういう怖さがあるんだ、分かったね、松坂くん?)

松坂(阿部くんが何か…目で教えてきてくれてる…)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃5 ┃2 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃8 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃羽┃0 ┃0 ┃0 ┃3 ┃3 ┃1 ┃1 ┃1 ┃× ┃9 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



田中「……結局、リリーフ投手に抑えられて…」

佐野「松坂がスリーランきっかけにガンガン打ち込まれるようになって…」

中井「エラーが絡んだ1点が、決勝点か…」

阿部「調子に乗りすぎだよ、みんな」

佐野「お前が言うな」

田中「そーだ、カットばっか投げさせて!」

阿部「いやあ…折角の練習試合だし? カットの有効性と怖さを身をもって覚えてくれればなーって」

佐野「負けるまでやるか、ドアホがぁっ!!」

中井「勝たせろっての!」

松坂「みんなごめん…」

佐野「もっと反省しろ!!」

田中「ベーラン100周やろうぜっ!!」

佐野「1人でやれ!」

田中「そこはみんなでやる流れだろっ!?」


夕実(負けちゃったのに、何かみんな、楽しそう…)



 下1 こうして夏休みが終わった…

 1~3 夏休み明けのテストで成績悪いやつがいっぱいいて…野球部、緊急勉強会
 4~6 キャップvs副キャップ論争なんて日常茶飯事さ…
 7~9 チームの雰囲気はとってもGOODですよ


佐野「いいや、そこはダッシュを増やす!! その方がマシじゃっ!」

阿部「だーかーらー、ダッシュは分かるけど、もっと実戦的なことをした方がいいでしょって言ってるの」

松坂「…」ゲッソリ


<うんこうんこ!

<死ね死ね!


田中「まぁーた言い争いかよ…」

中井「あいつらも打ち解けたかと思ったのにな」

田中「松坂、心労で倒れねえかな?」

中井「さすがにそこまではないだろ…」


田中「あ、国道沿いにラーメン屋できたの知ってる? いってみよーぜ」

中井「いいな」



松坂(今日も今日とて…佐野くんと阿部くんの言い争い…)

松坂(今日の勝者…………やっぱ、阿部くんかな?)

佐野「もう知るかっ! ドアホ! 帰る!」

阿部「帰ればー?」

松坂(やっぱり阿部くんだった…」



 下1 さて、やっと帰れる

 1 ところで阿部くんって、噛みつくとこと、噛みつかないとこ…あるよね? って
 2 素振りしてから帰る…(すっかり習慣化
 3 もうちょっと投げたいからつきあってもらえないかなー…なんて


阿部「まったく、ほんとにクソみたいな短絡的な考えなんだから」

松坂「言いたいことは、分かるけど…ね」

阿部「それをちゃんと言葉にしてもらわんきゃ困るの。察して文化なんか滅びればいいよ」

松坂「はは…」


松坂「でも…阿部くんって、噛みつくみたいに言い返すことと…はいはいそれでいいよって流しちゃうところ、あるよね」

松坂「……何で?」

阿部「何でも何も、気に入らないものとどーでもいいことの差でしょ?」

松坂「そういう…?」

松坂(てことは…阿部くんが気に入らないことって……)

松坂「………………野球のことばっかり?」

阿部「何を今さら…」

松坂「…今さらでごめんなさい…」


阿部「…さ、帰ろっか」

松坂「あ、うん」



 下1 阿部くんと帰宅

 1 阿部くんは何で新設校選んだの?
 2 佐野くんのこと、実は嫌いなの?
 3 阿部くんてプレーヤーでもあるけど、陰の監督とか、マネージャー的な部分あるよね


松坂「阿部くんってさ…」

松坂「プレーヤー…ではあるけど、何か…陰の監督っていうか…実務的な部分での、マネージャーっぽさ…みたいなのあるよね」

阿部「そう?」

松坂「うん」

松坂「試合前にちゃんと対戦校の分析してたり…試合中、こうしていこうってみんなに指示出したり…」

阿部「キャッチャーだからね」

松坂「それだけじゃないように思えちゃうけど…」


阿部「……まあ、ね」

松坂「…」

阿部「だって勝てる試合で負けたら面白くないでしょ」

松坂「勝てる試合で…?」

阿部「…………リトルのころの話なんだけど、お気に入りの選手しか使わない監督のチームだったことがあってさ」

阿部「そのお気に入りっていうのも実力じゃない部分での判断が多くて…すっごい不満だった」

阿部「だから監督に言ってみたらさ、試合に出してもらえなくなっちゃって」

松坂「ええっ…? どうしたの?」

阿部「辞めた」

松坂「うわ…」

阿部「で、別のチーム入った。ちょっと家から遠くなっちゃったけど」

阿部「そしたら今度は、そこの監督って…面白い人でさ、逆にほとんど指示しないんだよね」

阿部「何でか聞いてみたら、プレーしてるのは選手だから、って。自分で考えてプレーできるかどうか、っていうのを大事にしてたんだ」

阿部「だから俺も、それに乗っかってるの。そしたらもう、判断を下すための材料がないって思っちゃって、まずチームメイトのことを観察し始めて」

阿部「試合が近づけばその相手を研究して…ってやってたら、ある日、読みが的中しちゃって、実力の差はあったのに勝てちゃったんだ」

阿部「ま、これはシニアになってからなんだけど。それが楽しくなっちゃってね」

阿部「だから、俺は考える野球をする。みんな、練習で頭動かないなら俺が頭脳になる」

阿部「そうすれば勝てる試合で確実に勝てる、負けそうな試合も勝てるようになるかも知れない。……それだけだよ」

松坂「へええ…。そう、なんだ…」



松坂(……それにしても…)

松坂(それだけじゃ、ちょっと腑に落ちないこともあるような…)



 下1 阿部イベくるかっ!?

 1~4 こおへん
 5~9 くる!



松坂「………最初に佐野くんに噛みついたの、確か……久遠くんをバッティングピッチャーにする、って話だったよね」

阿部「…そうだね」

松坂「今の…阿部くんの話だけだと……何か、違うような気がするけど」

松坂「…………お、思い違いだったら、恥ずかしいんだけど…阿部くんって…」

松坂「……投手を、すごく大事に思ってくれてる……よね…?」

松坂「ただ、キャッチャーだから…って言うには、おかしいくらい」


阿部「………………うん」

松坂「…やっぱり…。何かあったの?」

阿部「……あったけど…それは、ちょっと話したくないかな」

松坂「え…」


阿部「あ、ここで俺降りるから。また明日ね、松坂くん」

松坂「あ、うん…。バイバイ」

阿部「気をつけて帰ってね、自動車とか。横断歩道は手を上げて」

松坂「子どもじゃないんだから…」

阿部「そだね。バイバーイ」



松坂(………阿部くんって、けっこう何でもオープンな性格なのに…)

松坂(話したくない…なんて話題があるんだ…)




新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(34)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★★☆
○阿部 博 捕手 ★☆☆
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


田中「あっという間だな…秋大会」

中井「地区予選をしてから、県大会…でもって、地区大会か。長い道のりになりそうだな。抽選、どうなってるか…」


 下1 秋大会前に、久遠チャンス

 1~6 (チャンスが)こーへん
 7~9 イベに進展あり…


阿部(秋大会も…松坂くんだけで戦うことになるのか…)

阿部(カットボールが機能するようになって、ピッチングの幅は広がってる)

阿部(だけど、たった1人だけの投手なんて…やっぱり大会を勝ち進もうって考える分には、現実的じゃない)

阿部(誰かピッチャーになれそうなのいないかなって、試しはしたけど…急造投手で負けるわけにもいかないし、用意できなかったからな…)

阿部(やっぱりチームの命運は、きみの双肩にかかってるみたいだよ、松坂くん」


松坂「…?」チラッ

松坂「どうかした、阿部くん?」

阿部「んーん、期待してるよ~、ってだけ」

松坂「が、がんばります…」

阿部(がんばってるのは知ってるよ)




佐野「――地区予選は、大したとこはなさそうじゃの」

佐野「夏の大会でベスト4のワシらからすりゃ、格下ばかりじゃ」

田中「よっしゃ、じゃあ一気に勝ち上がるか!」

中井「いや、油断はできないだろ。羽生との練習試合でも、途中でひっくり返されたし、夏の1回戦、あれも辛勝だった」

阿部「中井くんいいこと言った」

佐野「その通りじゃ。だからワシらは、全試合、全力で勝ちにいく。コールドになるんは50点差だと思え」

田中「うはははっ! つまり、豪打必勝だな!」

佐野「そうじゃっ! 秋大前の練習、気合い入れてくぞぉっ!」

 『おおおおおっ!』



 下1 練習やで~

 1 球速うp
 2 制球うp
 3 カット練習
 4 チェンジアップ練習
 5 打撃練習



阿部「松坂くんのチェンジアップは、ちょっと誇張した言い方をすれば、ただ遅くなってるだけのチェンジアップだよ」

阿部「だからタイミングさえ合わされてしまえば打たれる」

阿部「このタイミングを逸らすために、チェンジアップの前に色々と仕込みをしてないと使えないって感じだね」

松坂「うん。仮に初球で投げても、多分…ダメになるよね」

阿部「その通り」

阿部「だからこそ、まだまだ磨きをかける必要がある」

阿部「大会前の時期になってるけど、やれるだけやっていこう」

松坂「うん」



 下1 いざ、チェンジアップ

 コンマ一桁/2 上昇



阿部「…ま、気づいたら使い物になるよ」

松坂「だといいけど…」

阿部(毎日、地道に練習してる松坂くんの努力の成果としてね…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(35)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 地区予選なんぞ、あっさりいくぜぃ!

 1~3 打撃にムラがあるんだよなあ、新摂…
 4~6 ちょいちょい失点もピンチもあるけど順調に勝ちました
 7~9 投打ともに絶好調の怖いもの知らずで予選突破ァッ!!

疑問なんだが打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:D(63)こうなってるけど前スレの能力の早見表でみるとオールCなんだが?どうなってんの


<佐野がまた打ったぁー!!

<松坂、またピンチで無失点だ!

<田中速ぇえーっ!

<あ、中井また凡打

<阿部の肩やべえっ!


<わあああああっ!


女記者「新摂、秋大会ではずっと絶好調って感じね…」

後輩記者「それでも投手1人なんて…」

女記者「新チームが始動して、まだそう長い期間の経たない秋大会」

女記者「その中で、春からずっと同じチームでスタメンの大幅なチェンジもなく突き進んでいる新摂の強みは計り知れないわね」

後輩記者(まぁた無視してくるし…)


女記者「それにチームの主軸を担う選手達のポテンシャル…。あれでまだ1年生なんて」

後輩記者「使い潰されて、3年生になったら故障だらけ…みたいなことにならなきゃいいっすけど」

女記者「和解って、いいわね!」

後輩記者「そっすねー。先輩、もうすぐアラサー終わり――」

女記者「ああん?」ゴゴゴ

後輩記者「…すんません」



 下1 さあ、そんなわけで、県大会本戦!!

 1~3 激戦必須の強豪揃いブロック! 相手に不足はない…!
 4~6 まだ見ぬ強豪がいますなあ!
 7~9 物足りないブロックかも? 油断大敵がモットーでいこうや


>>265 まちがってました 修正しときます



田中「県大会本戦、余裕っ!! だぁっはっはっはー!!」

中井「調子に乗るなって」

阿部「そうそう。お楽しみはこれからだよ?」

松坂「今、ブロックの組み合わせ抽選会の最中なんだよね…?」

田中「佐野のクジ運に期待だな! 何がいいんだろうな?」

田中「初戦からまた羽生と当たって、3度目の正直で完勝か!?」

中井「いや、消耗少ない方がいいだろ。投手が1人だけなんだし」

阿部「いやぁ~…どうせなら、毎試合、強豪とぶつかるってのも一興じゃない?」

松坂「えええっ…?」

阿部「秋の大会なんて、限りなく実戦に近い練習試合みたいなもんだよ」

中井「いやそれはどうだよ?」

田中「そーだそーだ、神宮大会出たい!」

阿部「神宮大会より、春の選抜出たくない?」

中井「んー、両方だろ」

田中「それだな!」

阿部「あはは、いいね、こういう感じ」

松坂(何か…自信満々だよね…。最近のみんな)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(35)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 強豪揃いのブロック! 燃えるぜ!

 1~3 夏の県大会、優勝校が初戦
 4~6 うひょー、コントロール良すぎ投手の学校だぜ!
 7~9 強豪揃いブロックに迷い込んだ(!?)公立校が相手


 prrrrr…

中井「お、佐野から電話! 組み合わせ決まったのか?」

田中「うひょーっ、ワクワクすっぞ、オラ!」

阿部「どんな報告だろうね」

 pi

中井「もしもし、佐野? 決まったのか、組み合わせ」

佐野『おお、決まったぞ』

中井「わざわざ電話してくるなんて、よっぽどいい組み合わせだったか?」

佐野『ああ、最高じゃぞ?』

中井「最高?」

田中「おおおっ?」

佐野『初戦、甲子園出場校じゃ』

中井「なっ…!? 甲子園、出場校…!?」

田中「うおおおおっ!?」

阿部「いきなり?」

松坂「えええ…?」


佐野『やり甲斐があるのう。気合い入れるよう、全員に言っとけ』

中井「分かった。じゃな」pi


中井「ってことらしいぜ?」

阿部「燃えるね」

田中「ここで勝っとけば、俺らはもう甲子園レベルだなあっ!」

松坂(このポジティブシンキング、羨ましい…)




 下1 さすがにネームドや!!

 1~3 2年生ながら、エースの4番として甲子園で大活躍した選手がいますぜ! しかも、3番打者もヤバいぜ!?
 4~6 4番の存在感よ。佐野以上かも知れんぞ。いや、佐野クラスは確実やで!
 7~9 新チームとは言え、夏大会の主力選手がそこそこ残っとんねん!


阿部「新チームの打撃の要は、この選手」

田中「デカっ!? 縦も横も!」

中井「佐野と…似たようなもんか?」チラッ

佐野「ああん? ワシゃ、あれほど腹出とらんわ」

阿部「えーと…夏大会の時の雑誌によれば、身長194センチ、体重90キロ」

松坂「…佐野くんは?」

佐野「……春の時は、身長189の、体重は85じゃな」

中井「佐野よりでけえのか…」

阿部「ちなみに、打撃能力の見立てについては…パワーは佐野くんより確実に上」

佐野「何ぃ?」

阿部「バットコントロールでは佐野くんに分があると思う」

佐野「当然じゃのう」

阿部「けど、とにかくプルヒッティングが強烈だよ。甲子園、6本塁打の合計13打点」

田中「6本!? しかも6本で13打点てことは…少なくともツーラン以上…?」

阿部「チャンスでも強い。とにかく引っ張って、長打を狙う。高めに投げちゃったら、確実だろうね」

松坂「っ…」


佐野「負けられんのう」

阿部「新チームとして、全体を見る限りでは…打撃はやっぱり飛び抜けてるね。長打力については羽生以上」

阿部「ただ、羽生ほどの守備力っていうようには感じられないかな。打線も繋がれば、ガンガン得点してくるしね」

松坂「でもそれ…何か…」

中井「ん、どした?」

松坂「………うちの打線とも、似てるような…? 佐野くんっていう4番がいて…ハマった時の打力は、すごいし…」

田中「よく言った、松坂あっ!!」

松坂「うわっ…!?」

田中「つまりお前は、全然ビビってねえってことだな! むしろ、俺ら相手なら余裕だと!? よぉーし、上等だ、お前今日バッピ!」

阿部「試合前にやらせませんー」

田中「えー? いいじゃん、阿部~、頼むよぉー、お前こいつの母ちゃんかよー?」

阿部「ダーメ、マシンで我慢しなさい」

中井「親子かっ」


 下1 ネームド・スラッガーのお名前!

 おなしゃす!


松坂(要注意打者は、佐川大信――)

松坂(引っぱりまくりの、超パワーバッター)

松坂「…」チラッ


田中「やっぱ強豪校って、試合前ノックやべーな」

中井「俺らも客観的に見ればれくらいやってんじゃね?」


松坂(グラウンドで見ると…やっぱり、おっきい…)

松坂(佐野くんよりも、大きいなんて…)



 下1 甲子園優勝校

 学校名をおなしゃす


佐川「………生意気そうなチームだな」

 「まあでもあいつら、夏にベスト4らしいからな」

佐川「だったらその自信、きっちり叩き折ろうか」

佐川「羽生に負けてんだ、俺達の相手になるはずがない」



佐野「…何じゃ、喧嘩ふっかけられたような気がしたのう?」ゴゴゴ

田中「被害妄想かー?」

佐野「ぶっ殺すぞ」

中井「まあでも、何かあっちは余裕があるって感じに見えちゃうよな」

阿部「だったら、付け入ろうよ」

佐野「おう。それにどうせ、やつら甲子園に出場しただけじゃ」

松坂(だけ、って言い切った!?)



 下1 プレイボール!

 偶数 先攻
 奇数 後攻



※ごめんなさい、甲子園優勝じゃなくて、出場校の間違いっす



松坂「また、後攻かあ…」

松坂(1回表のマウンドは、緊張する…)

松坂(でも何か……綺麗な、踏み荒らされてないマウンド、気持ちがいいかも)

阿部「さあ、しまっていこーぜぇっ!!」

田中「来いやぁー! オラー!」

佐野「ぶっ殺すぞボケがあっ!!」

中井「センターどこでも捕ってやるぞー!!」

松坂「ふぅーっ…」



 下1 vs波動!!

 1~3 うぐおっ!? 超重量打線だ…
 4~6 想像以上に、圧
 7~9 松坂通用!


 ビシュッ
 ブオオオオンッ

 バシッ

<ストライク!

阿部「!?」


阿部(この、豪快すぎるスイング…)

松坂(あんなので捉えられたら…長打、確実――?)


阿部(油断できないね)

阿部(だけどボール球をためらいなくフルスイング)

阿部(大丈夫、丁寧に投げていけば…)


 バシィッ

<ストライク、ツー!


 バシッ

<ストライク、バッターアウト!


阿部(まずは1人目…よし、この調子ならいける)

阿部(でも、初回は慎重にいこう)


 ビシュッ

<ボール!

阿部(…今度は、よく見てきてる…?)

阿部(様子見、もう1球)

 ビシュッ

阿部(っ――外の、ボール球を!?)

 キィィィンッ


松坂(打たれた…!?)


 下1 超重量

 1~3 えー、あっさり二塁打ですかい…?
 4~6 な・か・いー!
 7~9 よしよし、単なるフライで済んだ…


中井「レフトぉーっ!!」

 ポトッ…

<レフト越え、ツーベスきたーっ!!

<いいぞぉー!!


松坂「…っ」

阿部「怖いな、やっぱりこの打線…」

阿部(だけどここからクリーンナップ、さらに油断できなくなるよ)

阿部(気合い入れ直そう、松坂くん)

松坂(こういう打者の時は……弱気になっちゃ、ダメだ)

松坂(大丈夫、阿部くんのリードを信じて投げるだけだ)



 下1 3番打者か…こっから苦しいぞ

 1 カットでいくのだ!
 2 緩急で打ち取れ!
 3 積極的に打たせて取る!


阿部(パワーは脅威)

阿部(だけど、低めのカットを振ってくれれば…)

阿部(それに積極的に振ってきてくれてるんだから、打ち取れる!)


 ビシュッ
 クイッ

 ギィンッ

阿部(詰まってこれ――!?)

阿部「サード!」

佐野(何でワシがこんな下がるんじゃっ!? ほぼショートのポジションちゃうかっ!?)



 下1 打級は高く上がってます

 1~3 ぬおーっ!? ランナーが一三塁で?
 4~6 佐野っちが飛んだ!
 7~9 大丈夫、大丈夫…


 ポトッ

<落ちたっ!?

佐野「クソったれが、ドアホぉっ!」ビシュッ

松坂「っ…!」パシッ

<セーフ!


佐野「何じゃ、この飛距離は…アホちゃうか、ボケカスコラ」

田中「やっべえな、おい…」

中井(こんなにパカスカ、長打出すかよ…。深めに守るか…?)

阿部(外野、深めだよ。特にレフト方向、打たれれば飛ぶ)


松坂「ふぅーっ…」

阿部(さあ、勝負だよ。この4番を敬遠して、5番と満塁勝負なんてできない)

阿部(ピンチの時こそ、燃えてきちゃうよね)


佐川(両投げってとこ以外、特筆するような投手じゃないな)

佐川(それでも、打ちあぐねるチームが多かったのは、捕手の力か…?)

佐川(どっちにしろ、カットとチェンジアップだけしかないピッチャー…)

佐川(振りゃあ、一発。脅威でも、何でもない)



佐川「…」ゴゴゴ

松坂(っ…)

阿部(呑まれないでよ、松坂くん)




 下1 vs佐川!!

 1~3 えっ、嘘やん? 2失点
 4~6 深め守備がうまくいった…けどタッチアップで1点取られた
 7~9 チェンジアァーップ!!
  0   スリーラン…死ね!


阿部(ここは…丁寧に)

阿部・松坂(初球、チェンジアップ!)


 ビシュッ

佐川「ふんっ――ぬ!?」

 ブゥンッ
 バシィッ

<ストライーク!

阿部「いただきましたぁー♪」

佐川(このガキ…!)


阿部(これでチェンジアップを植えつけられたはず。さあ、迷ってくれるかな?)

佐川(初球からチェンジアップだと…? そんな博打もできんのか、このバッテリー)

佐川(2球目もチェンジアップを投げるつもりは…?)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!

佐川(何だ、今の…。外れすぎだろう)

佐川(手元が狂ったか…?)


 ビシュッ
 バシィンッ

<ボール!

佐川(また、ボール球…アウトハイから、アウトロー…)

佐川(外を印象づけたい…?)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール、スリー!

佐川(また、アウトロー? 勝手に崩れたか…? だがこいつ、夏も秋も、たった1人で打ってきてるんだぞ)

佐川(こうも簡単に崩れるはずがない…)


阿部(仕込みは済んだ、博打2発目、いくよ)

松坂(阿部くんの黒さが、ちょっと頼もしい…!)

 ビシュッ

佐川「っ――ナメ、てんのか!?」

 クイッ
 ギィンッ…


佐川(カット…!)

 バシッ
 ビシュゥッ

<アウト!

<佐川を打ち取ったー!?



 下1 松坂エースやなあ…

 1~3 初回は無失点だけど、この試合は消耗激しそう…
 4~6 この切り抜け方が松坂のスタイルよね
 7~9 勢いもぎとったぜぃ!


<バッターアウト!

松坂「ふぅっ…」

阿部「ナイピッチ、松坂くん」

松坂「うん…佐川さん、打ち取れたのが、大きかったね」

阿部「そうだね。引き続き、この緊張感だけど自信のほどは?」

松坂「じ、自信って、言われると…」

阿部「あらら…」


田中「俺を足だけの男と思うなよぉーっ!? だぁーはははははー!」ブンブンブンッ

中井「あいつ、今回は何するんだろな」

佐野「アホじゃからのう…」

松坂「でも…賢い、アホの子……だよね」

中井「松坂も言うようになったな」



 下1 田中!

 1~3 あ、ひっかけちった…凡退
 4~6 田中やるぅーっ!
 7~9 田中の打撃の弱点って、何ぞ…?


 キンッ

田中「だぁーっ!? 俺としたことが、やってしまったぁー!?」ダダダッ

 バシッ

<アウト!


田中「この無念、お前に託すぞ、阿部ぇー!」

阿部「はいはい…」


田中「さあ、気を取り直して振っていこーぜ!」

佐野「お前はヘコむっちゅうこと知らんのか?」

田中「知らねえな!!」

松坂「頼もしいね…」



 下1 阿部くん!

 1~3 投手も豪快でね…力負け
 4~6 セーフティ!!
 7~9 阿部くんも巧打者な方なんよ?


松坂「でも、頼もしさなら…阿部くんも…!」

田中「あれは頼もしさ、ってよりも黒さだろ」

佐野「焦げた焼き魚並の黒さじゃろ」

松坂「…」



 キィンッ

松坂「打った…!」

田中「今回はどんなせこい手を使ったやら…」

佐野「それはお前にも降りかかる言葉じゃのう」


松坂「ここで中井くん…!」

田中「中井かぁー…」

佐野「何であいつは試合になると打撃が安定せんのじゃ。アホちゃうか」

松坂「…」




 下1 たんにコンマが悪いだけなんだよ、中井くんの活躍については…

 1~3 ほら、また悪い…ゲッツーて! 折角、松坂ががんばって流れとろうとしたのにさー
 4~6 送りバント
 7~9 おおっ、打った!


 ギィンッ

松坂「あ」

佐野「あんの、ドアホっ!」

田中「ああもう、中井ーっ!」

中井「ちっくしょう…ちきしょー!」

阿部「うーん、中井くんは何が悪いんだろう…」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃波┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻




阿部(下位打順からだけど…)

阿部(どの選手も、うちでスタメンになったと過程すればクリーンナップに置けるかなって思えちゃう強打者ばかり)

阿部「さて、と…」

阿部(どうしようかなー…?)



 下1 守備や!

 1~3 ランナー溜まって先頭打者…
 4~6 消耗激しい連中だ…無失点
 7~9 緩急とカット、いけるぜ


阿部(ま、どうするもこうするもないんだけどねー…)

 ビシュッ
 ズバンッ

<ボール!


阿部(カットとチェンジアップ。そしてスイッチピッチ)

阿部(これが松坂くんの持ってるカードで、これで勝ち進むしかないんだから)

 ビシュッ
 ブンッ

<ストライク!


阿部(よくを言えば、ストレートの強化…)

阿部(スピードはともかく、問題はまっすぐの質だよね――)


 ビシュッ
 クイッ
 ギィンッ

<アウトー!



阿部(うん、丁寧に投げられてるよ)

阿部(試合中、冷静なのが松坂くんのいいところだよ)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃波┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 佐野っち!!

 1~3 うわ…佐野っちを堂々の敬遠…
 4~6 シングルヒット
 7~9 二塁打



 ギィィンッ

<うおおっ、詰まって!?

<だけどやっぱ飛んでるぞー!

<ツーベースヒット!


田中「うおっしゃ、佐野ぉー!」

中井「あいつ、全然、波動に負けてねえスイングだな」

松坂「さすが佐野くん…」

阿部(佐川さんと佐野くん、どっちが打者として上か…ほんとに気になってきちゃうね)

阿部(ひとまず、この試合で勝った方が上ってことにしちゃえばいいのかな?)



 下1 佐野っちが出たんや!

 1~3 しかし続けず…
 4~6 え、いつの間にか松坂5番?
 7~9 9番松坂に、2死満塁で…


<ストライクバッターアウト!

<アウト!

<アウト!


<あああ~っ…

<佐野、残塁のままチェンジ…!


田中「チクショ! 佐野が俺だったら、塁に出た時点で得点が約束されていたのにぃー!」

阿部「いや、それ違うよね?」

中井「佐野しか打ててない…って多い展開だよな」

阿部「じゃ3番打とうよ」

田中「そーだそーだ、3番の自覚持て」

中井「…」



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阿部(さあ、またここから打順は先頭に…)

阿部(気合い入れよう、松坂くん)

松坂「ふぅーっ…」



 下1 vs超重量打線!

 1~3 お手本のような1・2・3番打者でした…
 4~6 めちゃくちゃな豪快スイングだけど、割とフライにできてる
 7~9 松坂がこんなに頼もしいなんて…ほろり…


 カッキイイイイインッ

松坂「っ…!?」

阿部「センター!!」


中井「ま、か、せ、ろぉーっ!」

 ダンッ
 パシィッ


<おおおっ! 中井がまた捕った!

<足速いし、タッパあるし、肩もあるし、外野手としては優秀なんだよな

<いかんせん打撃がな

<打つ時は打つだろっ!



松坂「ふぅ…」

阿部(抑えられたけど、やっぱり相手の打撃は怖いな…。スタミナが心配になる…)

阿部(夏の準決勝…松坂くんは途中まで、ほとんど衰えがなかった)

阿部(だけどスタミナが切れる時はいきなり、ガクンと調子が落ちてくる…)

阿部(ある意味、兆候が見えないから怖い…)



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田中「松坂、お前、こういう時に割と打つよな!」

中井「期待してるぜ、9番」

松坂「がんばる…」

阿部(捕手としては、とっとと凡退してベンチで休んでてほしいけどね…)



 下1 先頭打者が松坂

 1~3 打てるかぁー!
 4~6 セーフティ失敗
 7~9 打ったぁー!


 キィンッ

松坂(当たっちゃった!?)

松坂(ベンチでゆっくりしたかったぁ…!)ダダダッ


<バシィッ

<セーフ!


<松坂きたぁー!

<幻の0番打者-!

<何それかっこいい!?

<1番の前の優秀打者だから0番だぁー!!



田中「よぉっしゃ、俺に任せておけ」

阿部「活躍しちゃうねえ…」

佐野「喜ばんか、阿部ぇっ!?」

阿部「……喜びたいけどね、チームの一員としては」

中井「どういうことだ」

阿部「…捕手としては、別ってこと」

中井「……そうか…」

佐野「打てば楽になるじゃろうが、ドアホ」



 下1 田中、どうする!?

 1~3 なんかちょいちょい、田中も凡退増えてる?
 4~6 送りバントのプロフェッショナルとはそう、俺のことだぁーっ!! by田中
 7~9 田中もフルスイングしたかったんだってさ


 カツンッ…

<ぜ、絶妙ぉーっ!!

<あいつ何で自己主張激しいのにチームプレーできてんだ!?


田中「だぁーっはっはっはー! 勝てば良かろうなのだぁー!」

田中「そう、送りバントのプロフェッショナルとはそう、俺のことだぁーっ!!」


阿部(あーあ、松坂くんを得点圏に…)

阿部(しょうがない、さっさと返して休んでてもらおう)



阿部(……できれば、ホームを踏んで帰ってもらいたいな)

阿部(打てれば、なんだけど…)



 下1 阿部くん!

 1~3 あかんかってん…
 4~6 むぅ、チャンスを広げただけか…
 7~9 捕手の鑑やでぇ…


 キィンッ

阿部(これじゃダメだ…!)

<阿部が続いたぁー!

<チャンス広がったぞ!


阿部(できることなら、ホームにまで返したかった…)

阿部(いくらスタミナオバケでも…)


中井「………そろそろ、いいとこ見せないと」

中井(…………本気で、スタメンから外される可能性もある…!!)


中井(頼むぜ、野球の神様…)

中井(真面目に練習してんだからさ…)



 下1 中井くんだもん…

 1~3 ゲッツーじゃないだけマシや!
 4~6 スクイズ
 7~9 ランナーを一掃!!



中井「…」チラッ

中井(って、スクイズぅーっ!?)

中井(打つなって? バット振らない方がいいって!?)

中井(畜生、畜生、畜生がぁーっ!!)



 カツンッ…

<スクイズだ!!

<松坂生還! 待望の1点目! 先制点だー!!

<いいぞ、中井ー! 久々の活躍だな!


中井「松坂、ゆっくりベンチで休めよ…」

松坂「う、うん…」

松坂「あの…スクイズ成功したんだし、ちょっとくらい喜んでも…」

中井「ああ…うん、そうだな…」

松坂「…」



 下1 佐野っち

 1~3 阿部くんの顔見てたらむしゃくしゃしてバットにぶった、って言い訳
 4~6 得点はならず…
 7~9 さす佐野、追加点


佐野「ふんっ…」

佐野「ま、中井にしちゃがんばった方じゃの」

佐野「じゃが、打点っちゅうんはこう取るんじゃ――」


 ブゥゥンッ
 ガキィィンッ

<きぃ、たあああああ―――――――――――っ!!

<佐野が打ったぁー!!

<阿部がホームイン!


中井「佐野ぉ~…お前は俺に恨みでもあんのか、あるのかあっ!?」

田中「うおっ、何故か中井が壊れた!?」


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阿部(4回か…)

阿部(初回からガンガンバットを振ってきてるけど、松坂くんはうまくかわせてる)

阿部(けど…目が馴れてきたりしたら、それこそドンドン打ってくるだろうな)

阿部(こっからが本当に怖いところだよ)


阿部(この回の先頭打者は、佐川さんだから)

佐川「…」ギュッ

松坂「っ…」



 下1 vs佐川!

 1~3 レフトオーバー、特大ホームラン…
 4~6 ツーベース…
 7~9 苦しかったけどいけた



松坂「っ…」

 ビシュッ
 ギィンッ

<ファール!

阿部(これで……5度目のファール…)

阿部(投げさせられてる…? こんなこともできるのか、この人)


阿部(だけど、ストライクをあと1つでいいんだ…)

阿部(落ち着いて、追い詰めてるのはこっちだよ)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール、ツー!


松坂「っ…」

阿部(……これが、強打者の圧力…?)


佐川「………じっくり、調理してやる」

阿部「…料理するんですか?」

佐川「ああ…」

阿部「だからこんなに大きく育って…」

佐川「あ?」

 ズバンッ

<ストライク、バッターアウト!

阿部「ごちそうさまでしたー♪」

佐川「っ…!!」



阿部(ふっふふーん、向こうから話しかけてきてくれたなんてラッキーだね)

阿部(だけど…じっくりか…。佐川って人、もしかして…松坂くんを疲れさせようと…?)チラッ

松坂「ふぅっ…」

阿部(…………いつもより、汗かいてるな…)




 下1 しかし怖いぜ、打線が

 1~3 5番からホームランを… 佐川を三振でちょっと気が緩んだか
 4~6 ピンチを招いた…
 7~9 松坂つおーい!


 バシンッ

<ストライク、バッターアウト!!

<うおおおおおおお!

<チェンジアップで綺麗に仕留めたな!?

<松坂すげえ!


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阿部(2点リードは、波動相手に呑気に構えられない)

阿部(だけど…松坂くん、安定感がすごいね)

阿部(控えめな性格は不安要素だったけど、夏を通じてエースの自覚が芽生えてくれた)

阿部(どころか、ちゃんとバックを信頼して、一球ずつをしっかりと投げてくれる)

阿部(……強いよ、こういうピッチャーは)


阿部(ただ――波動は、甲子園出場校だ)

阿部(……このまま終われるとは、思えない)

佐野「ガンガン打って、ぶっ潰すぞぉっ!!」

田中「おおおう!」

中井「おう…」

長島「中井、その態度を引きずるなら替えるぞ」

中井「いくぞー! いけるぜー!!」


松坂(ああー…ベンチで休める…)

松坂(タオルがもう、ぐしょ濡れだ…。新しいの出そう…)

阿部(……じっくり…か)



 下1 中盤は、飛ばす! 松坂絶好調:+2

 1~3 おいおい同点にされとるやん…
 4~6 危うげながらも無失点でね!
 7~9 冴えてる冴えてるぅー!



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阿部「7回…あと3イニング、12個のアウト」

阿部「松坂くん、まだまだいけるよね?」

松坂「多分大丈夫」

阿部「多分?」

松坂「えっ…じゃ、じゃあ、大丈夫…」

阿部「よろしくね」



田中「打たせていこうぜぇー!」

佐野「お前は三振ばっか狙えんのじゃー!」

中井「外野は任しとけぇー! ライトもレフトも、俺が拾う!!」

松坂(中井くんが無茶言ってる…)

阿部(中井くん、それは無茶だよ…)

佐野(ヤケクソか、中井)

田中(スクイズしか活躍できてなくて…)



 下1 松坂きとるで!

 1~3 ぬがーっ、先頭打者に打たれたぁー!!?
 4~6 1アウトでまた佐川かーい!!
 7~9 押せ押せぃ! 7回表、無失点!!

スキップはいいけどこちらの攻撃は挟まないの?さっきのコンマは相手側だし不公平じゃね


 ビシュッ
 ギィィィンッ

阿部(カットを無理やり振られた!?)

中井「だぁあああああっ!」ダダダッ

中井「レフトぉっ!!」


 ポトッ

中井「畜生、俺が拾って、投げる!!」ビュンッ

 バシィッ

<セーフ!


松坂(いきなり、二塁打…)

阿部(……初回からガンガン振る印象はあったけど…ゾーンならどこだろうが、何だろうがフルスイングって印象だな)

阿部(その癖…)


 ビシュッ
 バシッ

<ストライク!

阿部(……ちょっとでも際どくなれば見てくる…。今の、けっこういいとこだったのにな)

松坂(ランナーはセカンド…)


阿部(ここが勝負か…? ここからの打者、全員、アウトにできれば佐川さんに回らないで済む…)

阿部(だけど、これ以上の出塁を許せばゲッツーでも取らない限り、回っちゃう…)

阿部(こういう時こそ、エースの腕の見せどころだよ)



 下1 踏ん張りどころ

 1 際どいとこ見てくるんなら、際どく投げ続ける!
 2 サイドスロー主体で角度使おう
 3 チェンジアップと速球で翻弄だよ


阿部(松坂くん…サイドだ)

松坂「…」スポッ


田中「だぁーっはははっ、どうやら松坂を本気にさせたようだな!」

田中「こいつの左腕が解禁されたその時、闇の力がうんたらかんたらで…!」

佐野「中二やるなら誤摩化すな!」

中井「つーかどっちも使ってるだろ、最初っから!」


阿部(さあ、コーナーを突いていこう)

阿部(いけるね、松坂くん)

松坂(がんばる…!)



 下1 いけ!

 1~3 ふぉふぉう!? っぶねー…けどまだ失点してない
 4~6 この危うげさが松坂のみりょく?
 7~9 いけてるいけてる



>>371ー373 0からの偶数ならきっとね…


 ビシュッ
 ギィンッ

 バシッ

<アウト!


阿部(ゴロで進塁されたか…)

阿部(だけどアウトは取ってるんだ、大丈夫)

松坂「ふぅーっ…」


 ビシュッ
 クイッ

 ガィンッ

松坂「ファースト!」

 パシッ

<アウト!


阿部(あと1つ…!)

松坂(あと1つ…!)



 バシィッ

<バッターアウト!!


阿部「よしっ…!」

松坂「はぁ…」

阿部「まだ気は抜けないよ、次の回、また佐川さん」

松坂「っ……うん」



 下1 2点止まりの新摂打撃

 1~3 守備でも圧すごいんや
 4~6 なかなか、繋がらないんだ…
 7~9 チャンス到来! 松坂に



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 ギィンッ

<おおっ、出た!

<しかもツーベース! ここでバッターはっ!?

<松坂だぁーっ!!?


松坂「ええー……?」

阿部「あちゃー…」

佐野「打ってこい、松坂」ゴゴゴ

松坂「…はい」

中井「打てるぞ、松坂! 俺より打てるぞ、お前は!!」

田中「お前そういう励まし方、レギュラーとしてどうよ?」

中井「」

松坂(た、田中くんが…!?)

阿部(正論を…!)

佐野(ぶつけたじゃとぉっ!!?)



 下1 松坂ァッ!!

 1~3 松坂だってゴロ打つもん!
 4~6 ま、ほら、投手やし
 7~9 なんで打つかなあ?



 キィンッ

<松坂打った!

<けど最悪だろ、三遊間じゃ…!?

 バシッ

<アウト

 ビシュッ
 バシッ

<アウト


田中「ゲッツーか」

中井「よくやった、バット振った、いいぞ、松坂!」

阿部「中井くんは迷走中かな?」

佐野「松坂ァッ! 最後までしっかりバット振り抜けぇっ! じゃからああいう威力もない打球になるんじゃボケぇっ!」

松坂「はい…」

阿部(いやいや佐野くん、彼投手だから。投手だから。そんな野手にするみたいな説教しなくてもね…?)



 下1 田中ぁー!

 1~3 はいチェンジね
 4~6 打ったー!
 7~9 ツーベース!
  0   フルスイングしたかったんだって



田中「俺をバットが上手いだけと思うなヨ!?」

<いやそれはあんまり思われてない…


田中「そいやぁっ!」

 カキィンッ

田中「だぁっはっはっはー!!」

<田中が打ったー!


阿部「2アウトかぁ…」

阿部(中井くん、今日は期待できそうにないしなあ…)

阿部(うーん…しっかりバット振っていこう)



 下1 阿部ぇっ!

 1~5 チェンジで
 6~9 打った!

まってまってランナー二塁で三遊間にゴロならゲッツー無理じゃね
セカンドランナー走らないだろうし

>>395 あれ? うーん、そうね

オーライ

田中:一死 ランナー二塁で出塁

現状:一死 ランナー一三塁

オーライ?
これでちょっと書き直すね?



阿部「一死ランナーが一三塁…」

阿部(スクイズできるし、犠牲フライでもいいし)

阿部(幅がある方が打撃も投球も面白いよね)


阿部(さあって…)

阿部(どうしたものかな…)

阿部(…確実に点を取っておいて、少しでも松坂くんを楽にさせるか)

阿部(………またここで、勢いをつけて佐川さんとの勝負に活かすか…)

阿部(逆に失敗したら、打ち込まれそうになるかもだけど…)



 下1 阿部!

 1~3 チャンスを活かせず…
 4~6 スクイズ!!
 7~9 ショートの頭抜けろやあっ!



阿部(中井くんの打撃は今日、不調だけど…)

阿部(まあでも3番なんだし、失敗してもどうにかしてくれるってことで)

阿部(ここは長打を狙っていこうかな)


 ビシュッ
 ガィンッ

<ファール!


 ビシュッ
 キィンッ

<ファール

阿部(……あれ?)


 ビシュッ
 バシンッ

<ストライク、バッターアウト!


阿部「中井くんがんばー」

中井「今度こそっ…! 俺が、打つ!!!」

阿部(また気負ってるよ…)



 下1 中井そろそろさ…

 1~3 チェンジで
 4~6 1点取れたよぉー!!
 7~9 タイムリーで2点取ったよぉー!!


中井(ツーアウト、一三塁…)

中井(いつひっくり返されてもおかしくない状況)

中井(追加点はあるだけいい、なら、俺が打って松坂を楽にする!)


阿部「打てるかな…?」

松坂「中井くんがんばれ!」


<中井、気楽に振れー!

<ダメでもともとだろー!


中井(俺はダメで元々じゃない)

中井(期待されて3番センターなんだ)

中井(だったら応えねえと、男が廃る…!!)


 ビシュッ

中井(――!)


 カキィィィンッ

<うおおおおおおっ!?

<中井が打ったぁー!?

<でもフライだろっ!? 中井だからフライだろっ!?


 ポトッ

<落ちたぁーっ!!!!


中井「っしゃ、オラ、見たかぁっ!?」

<なーかーいーっ!!

<死ねイケメーン!

<イケメンで野球できるとか死ねー!


中井「あとは頼むぜ、佐野」

佐野「中井が打ったんなら、ワシも打たんとのう…!!」



 下1 安心・安定の佐野っちですね

 1~3 中井が打っちゃうから…
 4~6 らしくないシングルヒット
 7~9 余裕とばかりにタイムリーで中井を返す


 キィィィンッ

<佐野でけー!

<けどっ…高すぎねえ?

<あっ…


 パシッ

<アウト!


中井「おい佐野」

佐野「お前が打つから調子狂ったんじゃのう…」スタスタ

中井「おい佐野ぉーっ!!?」


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阿部(5点差…)

阿部(これなら、佐川さんと勝負できる)

阿部(例え打たれても1点だけ。ここで真っ向勝負で打ち取れれば、完全に流れは傾く!)


阿部「松坂くん、勝負するよ」

松坂「っ…しょ、勝負って…」

阿部「ここがこの試合の分水嶺だ」

松坂「…!」



 下1 佐川と対決だぜぃっ!!

 1 サイドでコーナーを突いて翻弄!
 2 初回のチェンジアップを思い出せておいて、直球!
 3 低めのカット、打ってみやがれ!


佐川「………そろそろ、仕上げるか」

阿部(この人…まるで松坂くんのボールは見切ったとばかりに、さんざんファールしまくったりしてたんだよな)

阿部(それで随分と投げさせられた…)

阿部(でも…松坂くんのスタミナはオバケだよ、甘い球を投げないように細心の注意を払って投げることは徹底してる)

阿部(それでまともに打てるなら、打ってみればいい)

松坂「ふぅーっ…」


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!


阿部(インコース…振ってこないか)

阿部(不気味だな…さんざん、振ってきてたのに、ここへきて…)

佐川「…」

阿部「…ねえ佐川先輩」

佐川「黙れ話しかけんな」

阿部(囁きもダメか…。いや、ここは松坂くんのピッチングで打ち取らないと意味がないんだ…)

阿部(今度はアウトコース…これも外していい。外のボールを引っかけて自滅するなら、万歳だよ)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール、ツー!

阿部「っ…」

松坂(また…平然と、見送られた…?)

阿部(…………何だ、何を企んでる…? こっちの配球を読んでる…? まさか…)



 下1 怖いぞー…

 1~3 危うく、だった…
 4~6 阿部くんも苦心してます…
 7~9 ストライク1個にこんだけ神経使うのだ…


 下1 0コンマ判定

 偶数 読み合いの末、佐川との逃げなし真っ向勝負で打ち取った!!!
 奇数 佐川、ヤバいわ…


阿部(何が狙いだ、何が…? どうして平然と、ボール球を見送れた? 分かってた?)

阿部(何でボールを要求したことが分かった? 松坂くんがサイドで投げてるから、コーナーを使うって読んできた?)

阿部(だけど俺は2球連続ボールなんて、そうそう指示はしな――まさかっ、こいつ…俺のリードを、読んできてる?)


阿部(………………確かに秋の大会でも、ここぞの場面で、慎重な対決をする時、俺は引っかけさせるリードを取ってきた)

阿部(実際、それでどうにかなってきた)

阿部(最初にボール球で、振ればめっけもん、振らないんなら今度はゾーンに思いきり…)

阿部(それを読んでるんだとすれば…この人が待ってるのは…。俺のリードを先読みしてるなら、裏をかけば…)


 ビシュッ
 ギィンッ

佐川「っ…」

阿部(違った…!? 確かに振ってきた、だけど…反応が違った。待ってたのと違ったけどコースは似てたから振った、みたいな…)

阿部(何を待って…………チェンジアップだ)

阿部(ここまで深読みしなければ、もう1球外しておいて、そこからチェンジアップを投げさせて仕留めようとした)


佐川(意外と辛抱強い…? 俺を相手にしておいて、勝負するつもりでもプレッシャーから逃れたい一心で早めに決め球投げるやつは大勢いたのにな)

阿部(狙い球を絞られてる…だけど、ここでチェンジアップはないと思わせられても、それこそストレートを叩かれる)

阿部(チェンジアップで仕留める配球に、不自然じゃないように修正――でももうツーボールか、クソ…)

佐川(このキャッチャー、やっぱくせ者か。このチームの陰の功労者は間違いなく、この捕手のリード)


阿部(どこまでどう読んでる…?)

佐川(途中までは想定通りだったが…こうなると、変えてくるかもな)


阿部(ここは…)

佐川(次は…)


松坂「…阿部くんっ!」

阿部「っ…」

松坂「……何でも、投げるよ」

阿部「…………知ってるよ」

阿部(ダメだな…エースに気遣われちゃったよ…。でも、吹っ切れた)

阿部(どうせ失点覚悟の真っ向勝負、このまま押し切るよ…!)


 ビシュッ
 ギィンッ

佐川(強気になったか、だがチェンジアップを投げてくるはず。このリズムを崩させないようにカットしてファールを量産して――)

 キィンッ
 ギィンッ
 ガィンッ

佐川(投手の癖、投げる前の一息のリズムが変わった、何かくる――)

阿部(ストレートだよ、ド真ん中の!)

 ズバァアアンッ

<ストライク、バッターアウト!!

佐川「っ……お前、何で…!?」

阿部「チェンジアップを狙ってると分かったんだから、投げるはずないよ」

佐川「…………生意気なガキめ」


<松坂が、佐川を三振!!

<あんなにファール打たれておいて、最後は直球で仕留めた!?

<怖くねえのかよ!?


阿部(博打も博打、大博打だったけど…)

阿部(松坂くん、きみが何でも投げるって言ってくれなかったら…ド真ん中はさすがに勇気出なかったよ)

松坂(阿部くんすごい…! さ、三振にしちゃった…!)


佐川「いいバッテリーだな」

阿部「!」

佐川「だが潰す、覚悟しとけ」ゴゴゴ

阿部「またのご来店を…」



 下1 佐川を三振!! 勝ったぜ!

 1~3 佐川との対決でゴリゴリ削られて、1失点しちゃったものの、無事勝利
 4~6 圧のある打者に最後まで怯えながら、どーにかこーにか…勝ちました、無失点でね
 7~9 超重量級の波動を完封勝利!!! 新摂ヤバすぎぃっ!!



 『代打、ほにゃららくん――』

阿部(あと1人…!)

田中「あと1人ー!」

佐野「2アウトじゃー!!」

中井「打たせろぉー!!」


松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 カキィィィンッ

松坂「オーライっ…!」

 パシッ


<ゲームセット!!!!


<すっげええええ!?

<波動を完封したぞ、あの投手!?

<あれ全員1年だろ、ヤバすぎねえか!?



女記者「ヤバい…ヤバすぎよっ、何この試合!?」

後輩記者「終わってみれば新摂が圧倒…ってように見えますが、松坂くんの粘り強さが如実に現れましたね」

後輩記者「ランナーを出さなかった回の方が少ないのに、結果としては無失点…。しかも佐川くんとの真っ向勝負で三振…」

女記者「今から新摂グラウンドに先回りして取材よ!」

後輩記者「え、今からっすか?」


女記者「秋大会総力特集、チーム紹介ページ、もう全部埋まってたっけ?」

後輩記者「いえ…あと、2、3枠くらいは…?」

女記者「じゃ、1ページどーんともらいましょう!」

後輩記者「そりゃムリっすよ、帝央大と同じ扱いっすよ!?」

女記者「イケるの!! くぅぅ~っ、燃えるわね!!」

女記者「レッツゴー!!」




田中「松坂ぁーっ!! お前、やっべえな!? 佐野も完封できんじゃね!?」

佐野「あん?」

阿部「奇跡だね、完封なんて」

中井「綱渡りだったけどな」

松坂「な、中井くんも、今回の得点に全部絡んでるんだからすごいよ」

中井「っ……ま、松坂ぁっ…! お前、いいやつだなっ…!?」ガシッ

松坂「あうっ…」

阿部「おー、女子が見たらそこ変わって、ってなりそうな熱いハグだね」



 下1 また記者くるってさ…

 1 な、中井くんがいいと思います! て、逃げる
 2 今日の勝利は阿部くんのお陰です! て、逃げる
 3 キャプテンの佐野くんのお陰なので! て、逃げる
 4 周りに色々言われて取材受けるはめに…


女記者「是非、取材をっ!」

松坂「え、ええっ…い、いやあの…その…」

田中「いーじゃんか、受けろよ!」

中井「大丈夫だって、取材慣れしとけよ。ねえ、記者さん?」

女記者(やだイケメン、この子…)

後輩記者(若いのに弱いんだから、このアラフォー手前のおばちゃん…)

女記者「ふんぬっ!」

後輩記者「いっだ!? 何で足踏むんすか!?」

女記者「何となく」

硬派記者(エスパーかよっ!?)




 下1 記者…名前いる?

 いるなら、女記者さんのお名前書いとくれ
 ※その後で後輩記者さんのお名前募集ね

 いらんなら、いらんて一言、その旨を


 下1 今度は【男の】

 後輩記者さんのお名前やで



三橋「それでは、改めまして、こういうものです」つ名詞

広田「同じくこういうものっす」つ名詞

松坂「あ、ありがとうございます…。松坂です…」

三橋「取材受けてくれてありがとう、松坂くん。色々と聞きたいことがあってね?」

松坂「はい…」


田中「だははっ、めちゃくちゃ硬いな、あいつ」

中井「馴れてないんだろ、単純に」

阿部(………ま、いっか)

佐野(何でワシじゃないんじゃ…)ゴゴゴ



三橋「まずは、これまでの松坂くんの野球歴から教えてもらえるかな? 野球は何歳から?」

松坂「えと……小学生低学年のころから…」

三橋「きっかけは?」

松坂「家族が、野球好きで…気がついたら、少年野球のチームに…」

三橋「じゃあ自分からじゃなかったのね。リトルとか、シニアにはいたの?」

松坂「中学校から、シニアに入りました」

三橋「その時はどんなチームだったの? やっぱり当時からエース?」

松坂「ぜんぜん…公式戦出たことない、控えの冴えないパッとしない…」

三橋「ええっ…?」


 ・
 ・
 ・


三橋「それじゃあ最後に聞いてみたかったことなんだけど…」

松坂(やっと終わる…。佐川さんとの勝負よりキツいかも…)ゲッソリ


田中「松坂疲れてんな」

中井「そりゃ投げた後だしな」

阿部「質問攻めだったしね…」

佐野(何でワシじゃないんじゃあ…!)ゴゴゴ



 下1 松坂への質問

 1 ズバリ、高校生になってからの活躍の秘訣は何だと思ってる?
 2 ズバリ、プロに行くつもりは?
 3 ズバリ、今、好きな女の子とかいるの?
 4 その他、ズバリと質問してええんやで~


三橋「松坂くんって…」

松坂「はい」

三橋「彼女とかいるの?」

松坂「はいっ!?」

広田(まぁーた出たよ…おばちゃんの恋愛脳…)


三橋「どうなの?」

田中「いないっすよー」

中田「きっと年齢イコールでいない歴っすよ」

阿部(だろうねー…)


松坂「………いませんけど…」

三橋「あら…。それじゃあ、今、好きな女の子とかいるの?」

松坂「はいっ!?」

田中「おおっ?」

中井「それは気になるな」

阿部(下世話だなあ、この記者さん…)


夕実(あれ、まだ取材してたんだ…?)トコトコ


三橋「で、どう? いるの? 好きな女の子」

夕実(何その話題ーっ!!?)



 下1 松坂…

 1~3 つっまんねーやつ…
 4~6 いませんって…
 7~9 あれれぇー?


 下1 0コンマ判定

 偶数 余計な茶々が入っちゃってね、何かこう…その時になって意識が芽生えた的な?
 奇数 からかわれて必死になって…夕実おるのに気づかんで…口滑ってちょっと言い方がね…?



田中「あっ、もしかして種田?」

松坂「へっ?」

夕実(!!?)


中井「確かに、ちょいちょい2人で談笑してるよな」

松坂「ち、違うよ? 1人でトレーニングメニューしてる時とか、暇になって話してるみたいな感じで…」

三橋「それってあの、マネージャーの女の子っ? かわいい子よね」

田中「そりゃあ、我らがごみためのような空間に咲く、オアシスのごとき可憐な女の子ですからっ!!!」

阿部「結局女の子なら誰でもいいくせに…」

田中「それを言うなー!」


三橋「どうなの? マネージャーの子?」

夕実(…)ドキドキ

松坂「い、いえっ、そ、そういう関係じゃないですしっ…」

中井「関係じゃない? それって、好きかどうかと別じゃねえか?」ニヤニヤ

阿部「まあかわいいしね、普通に」

田中「そーだそーだぁっ! 好きなんだろぉっ? 惚れねえ方がおかしいぜ? こんな毎日野球ばっかの中、接してる女の子だぜぇっ!?」

松坂「そ、そりゃ……かわいいけど…そ、そういう風に見たことはないし…」

中井「そういう風に見たら?」

松坂「えっ?」

三橋「どうなのどうなのっ?」

松坂「……え、えっと……ええっ?」

阿部(すごいうろたえてるな…。助け舟出した方がいいかな…?)



 下1 松坂、狼狽

 1 助けて阿部くん!
 2 今は別にそういうんじゃないですから! って逃げた
 3 いやいやいや、好きになるだけでも最近ハラスメント扱いされるからっ…!


中井「どうなんだっ!?」

三橋「どうなの!?」

夕実(…)ドキドキドキ


松坂「あ、うう、あう、うあ……」

中井「松坂っ!」

田中「松坂ぁー!!」

松坂「そ、そんなの…だっt、え今、好きになるだけでもハラスメント扱いとかされちゃうからっ…!」

田中「えんだああああああああああああ―――――――――――――――――っ!」


松坂「あ、あーっ、の、喉乾いちゃったし、もう最後のって質問だったし…こ、これで失礼しますぅー!」ダッ

阿部「逃げた」

中井「逃げたな」

三橋「あれはそうってことじゃないのぉ~?」

田中「いやああああああああああ―――――――――――――!」

中井「田中うるせえぞ」



松坂「はぁ…はぁーっ……」

松坂「何であんな質問…。取材受けなきゃ良かった…みんなも好き勝手言うし…」

松坂(……そ、そもそも、種田さんは高校野球が好きだからって、マネージャーやってて…)

松坂(そん、そんな…部内で、こう…好き同士とかそういうのは、チームとして……一応、副キャプテンだし…)

松坂「…」

松坂(で…でも、もし…種田さんが………か、彼女だったら………………)

松坂「………うぇへへ…」


松坂「ハッ――、だ、だめだめ…」

松坂「た、大会中なのに、こんなので、こう…うん、良くない、良くないよ…」


佐野「松坂うっさいわ」

松坂「うわああっ!? い、いつから…?」

佐野「ずっといたわ。お前の取材がおもんないから素振りしてたんじゃ」

松坂「……ば、バット貸して! す、素振り今、すごくしたかったところ…!」

松坂(煩悩退散…!)ブンブンブンッ

佐野「やるならしっかり振らんかあっ!!」




夕実(………え、えっ…?)

夕実(……ハラスメントになるから……自制? ってこと…?)

夕実(えっ…? じゃ、じゃあ……えっ…?)



 今日はここまでっす
 あざっしたぁー


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(35)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ

いっそのこと松坂、内野でもええんとちゃうなんて考えてるいっちもおるで。何たって守備力は田中阿部と同格や
ショートらへんにして鉄壁二遊間築きつつセンターライン強固で、さらに久遠が打たせないっていう堅守ぶりはヤバいんちゃう
もちろん外野に下がってた投手がマウンド戻ってきて力投して締めるとか熱いなーとも思うけども


 【オマケ・イケメン×イクメン!?】

阿部「………………………この前、見てしまったんだ…」

田中「どした、阿部? すっげえ深刻そうな顔して」

松坂(ま、まさか…投手クビ宣告…?)

阿部「中井くんがね…」

松坂(違った、良かった…)

阿部「………幼稚園か、小学校低学年かくらいの子と、遊んでたんだよ。公園で」

田中「まさかあいつ…ペド?」

松坂「ええええ…?」

阿部「いや、顔が似てたから…………隠し子、なのかなとか思っちゃって」

田中「中井に、隠し子……だとっ…!?」

松坂「い、いやいやいや…」

阿部「だって絶対、ヤリチンだよ、中井くん?」

田中「確かに!」

松坂「それは否定しきれないけど…でも隠し子って…5歳だとしても5年前…10歳か、11歳で子作り…?」

阿部「いやいや、早熟だったんなら、ありえるよ。出るもん出るよ」

田中「確かに!!」

松坂「ええええ…?」

阿部「それにね、この前…部室でユニフォーム直してたんだよ、練習用の」

田中「ユニフォーム?」

阿部「そう。自前のソーイングセット、しかも割と使い込まれてるやつで」

松坂「何そのイクメン感…」

阿部「でしょっ!? イクメン感、あるでしょ?」

田中「イケメンでイクメンってどういうことだ、あいつ!?」

阿部「そんな所帯染みてる高校生、そうそういないでしょっ!? お弁当も自作するらしいし…料理の手際も良かったし、孕ませた相手に逃げられて…」

田中「で、責任取って二児の父親か…。あり得る」

松坂「ないでしょ…」


 ガチャッ

中井「ふぅーっ…やっと素振り500本終わった――って、どうした、お前ら?」

阿部「………………中井くんって、ヤリチン?」

中井「薮から棒になんだよ…? 最近練習ばっかで溜まりまくりだっての」

田中「じゃあお前、イクメン?」

中井「はあっ? ……………あ、でもそうかもな、ある意味」

阿部「やっぱり!!」

田中「お前このやろー、がんばれよ! 早く家帰れ!!」

中井「な、何だよ、お前らっ?」

松坂「中井くんが二児の父親なんじゃないかって…」

中井「はあっ!? ねえよ! 避妊するわ、ちゃんと!」

阿部「だったらこれは何だー!? 証拠があるんだよこっちにはぁー!!」つ携帯

中井「何これ盗撮? ……あ、これ弟と妹な」

田中「解散」

中井「おいこら急に全ての興味をなくすな!?」


 【オマケ・佐野っちこわい】

佐野「…ちっちっち、ちちっ…ほーれ…」フリフリ

野良猫「…」シュッシュッ

佐野「ふっ…ふはは…」フリフリ

野良猫「しゃっ」シュッ


<ママー、あれなにー?

<しっ、見ちゃいけません…


佐野「おらおら、そんなんも当てられんのかい…」フリフリ

野良猫「…」シュッ


<松坂ー、何見てんだー?

<な、何でもない…ヨ…


佐野「よぉし…腹減ったじゃろ…今日はカリカリでも缶詰でもないぞ…」

野良猫「!!」キラキラ

佐野「ほぉーれ…これが欲しいんじゃろ…? ぴちゃぴちゃ食わんかい…」つ猫のおやつ

野良猫「にゃう」ピチャピチャ

佐野「……お前は毛艶ようないのう…」ナデナデ


<あれ、あそこにいんの佐野じゃねー?

佐野「!!?」バッ

野良猫「フシャーッ!?」

佐野「あ、ま、待て、こらっ、お前はいろ――」


田中「あ、やっぱ佐野だ、何してんだ、こんなとこ――」

佐野「ぶっ殺すぞ田中ゴラアアアアアアッ!!?」

田中「ひいいいいっ!?」

田中「あ、わ、悪い…」

佐野「……ふんっ…」スタスタ


田中「ま、マジでビビった…」

田中「けど何してたんだ、あいつ…?」

松坂「……知らない方が、いいんじゃないかな…?」ボソ


 【オマケ・久遠の少ない趣味】 ※まだ久遠離脱前のこと…

久遠「…」ペラッ

佐野「何じゃ久遠、読書か? お前、活字なんぞ読めたんか? この前の現代文のテスト、ヤバかったじゃろ」

久遠「読書は普通にする…。試験は意味不明だがな」

佐野「ほーん…。で、何読んどるんじゃ?」

久遠「…これだ」つ『文屋野綿麻呂の全て』

佐野「………何じゃ、これ? 有名人か? えらい古風じゃの…?」

久遠「知らないのか? 征夷大将軍だぞ?」

佐野「坂上とちゃうんか?」

久遠「違う。これを読めば全て分かるぞ」

佐野「要するに…………歴史の本か?」

久遠「ああ」

佐野「……じゃがお前、日本史の試験も酷かったじゃろ?」

久遠「メジャーどころに興味はないからな…」ペラ

佐野「………えらいひねくれた趣味じゃのう…」


 【オマケ・久遠の少ない趣味:パートツー!】 ※まだ久遠離脱前のこと…

久遠「…♪」

松坂「久遠くん、何か今日、機嫌いいね…。いいことあったの?」

久遠「ああ…。実は前から欲しがってたものが手に入ることになっててな…」

松坂「前から? 何?」

久遠「ふっ…聞いて驚くな…」

松坂「う、うん…」ゴクリ

久遠「……………ネットだ」

松坂「…ネット?」

久遠「適当に廃材か何かで木組みを作って、ネットを張れば…自宅でいくらでも投げ込みができる。もう隣の家の鈴木さんに壁当てがうるさいと怒られない」

松坂「ネットって、緑の、あの…?」

久遠「いや、漁師の使い古し。もういらないからって捨てるところを見かけて、交渉してみた」

松坂「そ、そうなんだ…」

久遠「それに、ノコギリとか使うの好きだからな…」

松坂「へえ…。DIYってやつ?」

久遠「いや日曜大工だ」

松坂「……久遠くんだなあ、こういうところ…」

久遠「?」


久遠「とにかく、これでもう怒られないからな…」

松坂「怒られるくらい、壁当てしてたんだ…」

久遠「ああ…お陰でいくつ、ブロック塀がダメになったか…。たまに間違って生け垣の方にいって、窓ガラス割ったり…」

松坂(壁当てって言葉なかったら不良とやってること変わらないよ!)

久遠「……うん、うれしい」

松坂「よ、良かったね…」

久遠「ああ。……………ただ、いつ、練習のない日曜がくるものか…。日曜大工にならないからな…」

松坂「日曜日限定じゃないよ、別に!?」

さ、そろそろやろーや


阿部「県大会本戦で、まさかの波動高校撃破だもんな…」

阿部「この勢いは次の試合に確実にもっていきたい…」

阿部「………けど、もう研究されてるんだろうな…」

阿部「夏大会からほとんどレギュラーの面子は変わってないから、データは継続だし…」

阿部「松坂くんのカットももう披露したし…」

阿部「この先は、データの取り合いが大事かな…?」


 ガチャッ

田中「俺様いっちばーん――って阿部ぇっ!? 何でだっ!?」

田中「ホームルーム終わってすぐにダッシュで部室まで来たのに、何でお前が先にいるぅっ!!?」

阿部「え、ホームルームなんてサボるもんでしょ? 単位じゃないし」

田中「こいつっ…」


阿部「あと3回勝てば県大会制覇だね、がんばろ田中くん」

田中「おうっ、やらいでか!!」



 下1 で、次の相手は?

 1~3 夏大会で、反対ブロックで準決勝までいったチームや…
 4~6 超精密なコントロールの投手を擁するチームや
 7~9 な、何だこのチーム、全てが平均的に…平均…?


阿部「…」ジィッ

TV「」

阿部(うーん…この投手、すごいな)

阿部(捕手がミットを動かして捕るまでもなく、ちゃんとミットに投げ込めてる…)

阿部(寸分の狂いもなく…って感じだね)


 ガチャッ

夕実「あれ、阿部くん? 練習しないの?」

阿部「うん、研究中…次の相手を」

夕実「ああ…そうなんだ、大変だね」

阿部「まあね…」ジィッ

夕実(………あんまり、話しかけない方がいい感じ…?)


阿部(決め球はシンカー?)

阿部(右打者の内角に抉りこんでくる、このボールはなかなかちょっと手を出せなさそうだな)

阿部(かと言って、大会中のフォアボールは…あからさまな敬遠をした時だけだし)

阿部(基本的には打たせて取るタイプ…。派手さはないけど、実力に裏打ちされたピッチングだ)



 下1 超精密機器投手ですって!

 1~3 それだけでもヤバいのに…?
 4~6 研究されまくってるとしたら、難敵だ(難敵ってことだね
 7~9 阿部くんの大好物投手っぽいですよ…


阿部「……ふひひっ」

夕実「!?」

阿部(こんだけコントロールがいいんじゃあ、配球を読めばガンガン打てるってもんだよ…)

阿部(でも俺だけじゃ打てても意味はないんだし…これはちょっと、監督に相談案件かな)

 pi

阿部「んんーっ…よし、やる気出てきた。種田さん」

夕実「う、うんっ…?」

阿部「ボール、50個ずつ赤と青と緑に塗っておいてくれない? 合計150個。多い分にはいくつでもいいよ」

夕実「え」

阿部「超特急でお願いね。何か、カラーフィルムとか貼りつけるとかでもいいから。色もはっきり見分けつけば何色でもいいし」

阿部「よろしくー」

夕実「な、何で…? 何するの…?」



長島「――何、特打? 今度の投手は、そういうタイプには思えないが」

阿部「この打撃練習は、狙ったボールを打つための特訓ですから」

長島「狙ったボールを打つ?」

阿部「多分、今度の敵は俺達のデータを詳細に取ってて、苦手なコースも、どういうコースでゴロを打ちやすいかも把握してるんですよ」

阿部「だからこそ、ボールごとに引きつけて打つ、流し打つ、センター方向へ弾き返す…そういうルールを決めて、打ち分ける練習にするんです」

長島「なるほど。…で、その練習、どう試合で活きる?」

阿部「ベンチからこういう配球でくるから、ここでこう打てって指示出すんです」

長島「俺が出すのか…ふっ、そういうことなら――」

阿部「あ、そこは俺が。暗記得意ですし」

長島「………………佐野に話を通してこい」

阿部「はーい」



 下1 打ち分け特訓!!

 1~3 みんな、ヘタだな…
 4~6 打撃主力陣は、まあ…
 7~9 さす佐野・器用松坂・田中すげえ


佐野「どりゃあっ!」

 キンッ

阿部「もっと引きつけて!」


田中「そいやっ!」

阿部「赤打ってよ、赤」


中井「あらよっ!」

阿部「いいね、中井くん。試合でできれば尚…」


松坂「ふっ…!」

阿部「松坂くんはボールに当てましょう」


佐野「横からいちいちうるさいわ、阿部っ!」

田中「そーだそーだっ、お前がやってみろぉー!」

阿部「しょうがないなあ…。中井くん、トス上げて」

中井「あいよ。それじゃ、ほれっ」

 ポイポイポイッ

佐野「青!」

阿部「よっ!」

 キンッ

田中「こいつっ…」

松坂「青は流し打ち…」

 ポイポイポイッ

田中「赤!!」

阿部「いよっ!」

 キィンッ

松坂「赤は引っぱり…」

 ポイポイポイッ

中井「緑!」

阿部「はいはいっ」

 キンッ

松坂「緑はセンター返し…。完璧だ…」

阿部「ふっふふーん、余裕だね。さあみんなも、試合の日までがんばって!」



 下1 さ、ネームドや!

 超精密制球投手のお名前をば


佐野「夏の結果だけ見りゃあ、今度の相手は同格じゃな、まったくの」

中井「ベスト4だからな」

松坂「でも(相手は)ベスト4だよ…?」

田中「でも(うちも)ベスト4だぜ?」

松坂「…そうだった……!!」

阿部「松坂くん…」

佐野「ほいじゃあ、勝ちにいくかのう!!」

阿部「おー!」

田中「うおっしゃああ!」

中井「ぶっ潰すぜぇっ!!」

松坂(やっぱり何か、みんな、血の気が濃くなってない…?)




黒木「勝率は5割8分というところだな…」

黒木「1番打者の田中は、出塁のために手段を選ばないクレバーな打者…」

黒木「2番打者の阿部は、おそらくバッテリー間の配球を推測して狙い打つ打者…」

黒木「3番打者の中井は、ミート力もパワーもあるがチャンスにことごとく弱い打者…」

黒木「4番打者の佐野は、恐らく県大会屈指…いや、全国クラスの怪物スラッガー…」

黒木「…だが人間である以上、完璧は存在しない。打てないコースはあり、打ったところで当たらないコースもある…」

黒木「それを算出し、攻める。それがクールな投手の、クールなピッチング」

黒木「…泥臭く、その場凌ぎしかできな松坂なんてピッチャーをエースに据えている時点で、クールさは欠片もない…ふっ…」


<また黒木がひたってるぞ…

<しーっ、ひたらせとけって

<そうそう浸ってる間は調子いいから



 下1 黒木擁する学校

 学校名をおなしゃーす

下でおなしゃーす


<しまってこーぜぇー!!

<おおおおおおーっ!!


田中「だぁーっはっはっは、俺を巧打俊足にして鉄壁の完璧すぎるプレーヤーと思い知れぇっ!!」

阿部「またおっきなこと言ったなあ…」

中井「割とあいつ何でもうまいから全否定できねえ…」

佐野「打ちゃあええんじゃ、打ちゃあ」

松坂「田中くんがんばれ…!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃大┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



黒木(田中太郎…)

黒木(他のチームメイトの活躍の陰に埋もれがちだが、彼の存在は大きい)

黒木(打者として、セカンドフィールダーとしても優秀。何より、彼の雰囲気はチームの活気に直結しているかとも思えてしまう)

黒木(だからこそ、彼を出塁させてはいけない。頭ではなく、反射で打つタイプのバッター)

黒木(こういう相手には徹底して、低め勝負だ)


田中「こいやぁっ!!」

 ビシュッ
 バシンッ

<ストライーク!

田中「マァジでかっ!? 今の入ってる!?」

田中「低すぎんよ…マジで…!」



 下1 田中ー!

 1~3 田中の足ならって思ったのに…守備も相当に鍛えられてやがんな
 4~6 三振、だと…
 7~9 田中をなめるなー!! by田中


黒木(まだそこは、ストライクゾーンの、“1個内”だ)

黒木(そこからさらに、“1個内”へ――!)

 ビシュッ
 バシンッ

<ストライク、ツー!!


田中「ええええー…? 嘘だろ、おい…!」

黒木(今のが、ゾーンラインすれすれ)

黒木(そしてこれが、トドメ!)


 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!!

黒木(自分でゾーンを広げても、そこにバットは届かないぞ)

田中「~っ……やりにくっ!?」



田中「阿部、やべえぞ、あのピッチャー」

阿部「むしろそそるよね。大好物だよ」

田中「黒阿部…!」



 下1 阿部!! 黒:+1

 1~3 狙い打ったつもりだったのに、打たされただと…?
 4~6 敬遠フォアボール…?
 7~9 ね・ら・い・う・ち


黒木(2番阿部は、要注意打者、その1だ)

黒木(折角、3番に使えない打者を置いているんだから…利用させてもらう)

 シュッ
 パシッ

阿部「っ…」

<ざわっ…

<2番打者に初回から敬遠?

<クリーンナップで打ち取るつもりかよ、あいつ!?


阿部(まさか、まともに勝負させてもらえないなんて思ってなかった…)

阿部(恨むよ、中井くん…?)ジトッ

中井「……なめやがって…」


<フォアボール

阿部「ごちそうさまー」

阿部(敬遠にさっぱり抵抗ないな…あの投手は…)

阿部(確実にアウトを取れるところで取る、ってつもりなんだろうけど…中井くん、舐められてるままでいいの?)



黒木(3番、中井。プレーヤーとして、オールラウンドな能力のようだが、チャンスに弱い)

黒木(チャンスを広げる活躍もままなっていない、新摂高校のお荷物だな)

黒木(しかも入手した情報によれば女を取っ替え引っ替えするプレイボーイ…。許すまじ蛮行を、断罪する)


田中「こい…!」

阿部「…」



 下1 中井ー!!

 1~3 ゲ ッ ツ ー
 4~6 凡退…
 7~9 中井だって打つわ!!



黒木(この男には四隅に散らせるだけで充分)

黒木(まずは膝元、インロー、“2つ内”だ!)

 ビシュッ

中井「――クソ、食らえぇっ!!」

 キィィンッ

黒木「何――!?」


中井「俺に苦手なコースなんかねえんだよ、覚えとけっ!」

 バシッ

<セェーフ!!



<中井が打ったー!!

<ランナーが一二塁で、佐野だ!!

<いきなり3点いくかー!?



黒木(打っただと? ランナーが出ていた状態から?)

黒木(中井のデータを洗い直す必要がある…。中井の秋大会の全打席を……)


佐野「おうこら、眼鏡。ワシに集中せえや」ゴゴゴ

黒木「!」

黒木(4番、佐野。この男とは勝負をしない。5番以降で仕留めればいい)

黒木(敬遠だ)


 シュッ
 パシッ…

<また敬遠かよ、あのバッテリー!

<勝負しろー!!


黒木(何とでも言え。勝利こそ全てだ)

黒木(ルール内でのことに、卑怯という言葉はない)


佐野「ちぃっ…つまらんのう。じゃが満塁じゃ」



黒木(満塁の状態でこそ、守備は輝くのだよ)

黒木(そしてここから先、5番さえアウトにしてしまえば下位打順、恐るるに足らず!)



 下1 折角中井が打ったのに!!

 1~6 5、6番で打ち取られた…
 7~9 打ち分け特訓の成果だ! 三塁上からこっそり阿部が指示出してね…ふひひ…


 ビシュッ
 バシッ

<ストライク、バッターアウト!!


<ああ~っ!

<どんだけコントロールいいんだ、あいつ!?

<二者連続三振かよ! 折角の満塁だったのに!


黒木(当然だ。満塁の状況など想定しているのだよ)


阿部(あの投手、性格悪いだろうな…)

田中(あの投手、阿部並に性格悪そうだな)

佐野(あの投手、阿部くらいには悪そうじゃの)

中井(あの投手、俺をなめやがって…!!)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃大┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 ザッ…

松坂(やっぱり、1回は裏で投げ始めた方が気が楽な感じ…)

松坂(たくさん点を取るのは難しいだろうし…僕がしっかりと抑えなきゃ)

阿部(この試合、投手戦になるかな…?)

阿部(さしたる強打者はいないけど、油断禁物。集中していこう)



 下1 エース松坂、マウンドに立つ!!

 1 見せてる武器全てガンガン使っていく! 圧倒せよ!!
 2 あっちもシンカーはまだ投げてないし、チェンジアップは温存だな
 3 どうせデータを取ってるんだ。あえて、普段とは反対の腕で投げていく!


松坂(この試合は、普段とは逆の腕で投げていく。本来、右投げをする場面で左投げ。左投げ対応の相手に、右投げ)

松坂(それで少しでも翻弄できればって阿部くんは言ってた…)

阿部(データは大事だけど、それが全てじゃないんだよ、野球は)

阿部(それにこっちだって打者ごとの苦手なコースは全て洗い出してきた)

阿部(負けるつもりは、毛頭ない――!)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!


 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!


阿部(カウントは1-1)

阿部(ここでこの打者は勝負に出る。早漏タイプ――!)


 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!


阿部(やっぱり振ってきた。大丈夫、こっちもデータはちゃんと通用してるんだ)

阿部(さあ、このまま打ち取ろう!)


 ビシュッ
 キィンッ

松坂「っ……オーライ」パシッ

<アウト!



 下1 いいやつと悪いやつの、いいバッテリーですね 黒阿部:+1

 1~3 と、思っていたのにもう…松坂くんは投げれば必ずピンチになるのかい?
 4~6 け、計算通り…? そ、そうなの…?
 7~9 計算通り   by黒阿部


 ギィンッ

阿部(あれっ…?)

佐野「余裕じゃ、ボケがあっ!!」バシッ

 ビシュッ

<アウト!!


松坂「ふぅ…やっぱり阿部くんのリードは頼れる…」

阿部「…うーん」

松坂「あれ、阿部くん?」

阿部「ん?」

松坂「いや…うーん、って…」

阿部「計算通り、計算通り」

松坂「………ほんとに…?」

阿部「もっちろん、さあがんばろー!」

松坂(……本当に…?)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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┃大┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部(あの3番は、あんな大振りしてこないと思ったけど…)

阿部(…ま、いっか。一巡目は色々と、確かめていかないと)


黒木(――と、向こうの捕手は考えているんだろうな)

黒木(そう、あんな大振りは彼のスタイルではない)

黒木(だがそれでいい。普段と違うことをして翻弄――それは、そちらもしているんだからおあいこだ)

黒木(自分で取ったデータを疑え、阿部。そしてデータ不信に陥るがいい。この策略に気がついた時、もう取り返しはつかなくなっているさ)



 下1 きっと阿部と黒木が組めば性格悪すぎバッテリーができあがるね!!

 1~6 二死で松坂
 7~9 一死ランナー一塁で松坂


<松坂、打てよー!!

<まだ中井しかまともに出塁できてないんだぞー!!

<幻の0番打者のいいとこ見せろぉー!



松坂(恐ろしくコントロールがいいって…どういう感覚で投げてるんだろう…?)

松坂(もう狙ったところにしか投げられない…のかな。神経すり減りそう…)

黒木(松坂――。投手でありながら、打者としてもここぞという場面で好成績を出し、得点に絡むことが多い…)

黒木(だが…打者としてのやつのデータとして、ハッキリ判明しているのは……終盤、狙い打ったかのような打球を飛ばすことが多いという程度)

黒木(何より、打った本人が毎度のように驚愕していることから鑑みて、こいつも反射的に打つタイプ)

黒木(だったら打たせて取りやすい。打ちごろのボールをくれてやる。それでゴロになれ!)



 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!

松坂(あれ…? 今の外れてたの? 際どかったけど…入れてくるもんだと思ってた…)

黒木(な、何故、今のを平然と見送った…? いや、何も考えてないだけだ、そうに違いない…)



 下1 松坂の天然ぶりが逆に翻弄!?

 1~3 いいえ、しっかりゴロにされました
 4~6 ま、三振よね
 7~9 松坂やぞ? by佐野


 カキンッ

松坂(あっ…!)ダッ

黒木(やはり初球のは考えなしのマグレだな)

 バシッ

<アウト!

黒木(恐るるに足らず、新摂打線!!)

松坂(すごいピッチャーだ…)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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┃大┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部(さっきの3番のスイング…)

阿部(あれはどういうことなんだろう…? 何か引っかかるけど…確かめるための材料がなさすぎる)

阿部(慎重に様子を見ていこう)



 下1 松坂ぁっ!!

 1~3 何でお前はピンチにならずに試合を進められないんだ!?
 4~6 何でお前は毎度のようにちょいちょい打たれるんだ!? 無失点だけど
 7~9 ええやんけ松坂


 キィンッ

 キンッ

 ギィンッ


阿部「松坂くーん?」

松坂「ごめんなさい…」

田中「それでいいぞ、松坂! 俺を活躍させろ!!」

中井「そーだそーだ、打たせてこーぜ!」

佐野「1アウトじゃー!!」


阿部(ちょいちょい…データと違うんだよね…)

阿部(同じようなところはある…だけど、何ていうか、想定していた打者の意識が、食い違ってるというか…)

阿部(…………でもまだ、確信にいたらない…)


松坂(1死一三塁…)

松坂(タッチアップもスクイズもある…よね)

松坂(次の打者は確か……阿部くんが言うには、チームバッティングをちゃんとしようとする…んだっけ?)

松坂(てことは、ここは…)

阿部(タッチアップもスクイズも、充分にありえる)

阿部(………でも逆にもし、ここで大振りをしてきたら…それって…)



黒木(さあ、いけ)

黒木(あんな性格悪そうな捕手の思い通りにはなってやらないのが俺達だ)




 下1 割とピンチでっせ!

 1~3 力任せのプルヒッティング!? 三遊間を抜けて1失点
 4~6 順当なスクイズで1失点された…
 7~9 よし切り抜けられた


 カンッ…

松坂(やっぱりスクイズ!)ダッ

阿部(ランナーのスタートが速い、1点は仕方ない!)

阿部「ファースト!」

松坂「ファースト!」ビシュッ

 バシィッ

<アウト!


<よぉっし、1点目ぇー!

<先制点ゲットだぜ!


阿部(サードランナーがいない方が気は楽になるし、1失点なら、うちの打力なら取り返せる)

阿部「気にしないでいいよ、松坂くん!」

田中「逆転の方が派手だしなあっ!」

佐野「ワシが取り返すわ」ゴゴゴ

中井「俺が打ってやり返してやる、打たせてけー!」


松坂(今のは…ピンチを招いちゃった僕のせいだ…)

松坂(落ちついて投げよう…)


阿部(あそこの場面でスクイズは、このチームなら普通のこと…)

阿部(……違和感が半端ないな…これは…)



 下1 ツーアウトなら余裕やで!

 1~3 連打…からの9番黒木
 4~6 阿部に悩みが生じ始めたか…
 7~9 切り抜けますとも!!


阿部(この打者は、守備を買われてる印象…。だから打撃は消極的に見えるけど…)

 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライーク!

阿部(………こんなスイングだもんな…)

阿部(…わざと、普段と違うことをしてる? 意趣返しのつもり?)

阿部(だけど…だからって、そんなことしちゃ打てるものも打てなくなりそうなものだよ)

阿部(松坂くんの両投げは、どっちで投げても軌道以外に大差ないのが売りだからそうできるけど…わざわざ、打撃でやる必要は…?)

阿部(チャンスを自ら潰すような愚かなマネは…)


阿部(…様子見だ)

 ビシュッ
 バシィッ

<ボール、ツー!

阿部「ちっ…」

阿部(やっぱり…こういうのは振らない…。どっちなんだ、消極的なのか、積極的なのか…)


 ビシュッ
 キィンッ

田中「任せろぉっ!」バシッ

 バシィッ

<アウト!


阿部(…………考えがまとまらない…)

黒木(苦しめ…。苦しむがいいさ。もう1点取ったんだ。負ける要素は、なくなっている)



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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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 今夜はここまでっす
 あざっした

黒い阿部vs黒い投手!
どっちの方がより黒いのか!?

そろそろはーじまーるよ~


 ―― 3回表

田中「初回はしてやられたが、今度こそはそういかんぞ!!」

田中(ふっふっふ、こっちには腹黒さなら誰にも負けない阿部というブレーンがいるんだよ!)

田中(初回はデータ通りか見るから好きにやってこいと言われてたが…すでに一巡したぁっ!)

田中(さあ阿部、こいつの配球を読んで俺に指示を送るがいい!!)チラチラッ

阿部「…っ」

田中(おい指示は?)



 ビシュッ
 バシッ

<ストライーク!


阿部(読みきれない…)

阿部(どうしよう…?)

田中(阿部ぇっ!? どーしたお前らしくねえぞ!?)



 下1 田中の打席…

 1~3 阿部の読みと全く違って三振…
 4~6 阿部が指示を放棄し、田中に任せたものの、三振
 7~9 阿部の迷いを読み取った(!?)田中がマグレ当たりヒットで出塁


阿部(ダメだ、こんな状態で指示は出せない…!)

田中(まさかの好きにしろ指示!? どーいうこっちゃ!?)ブンッ

 バシィッ

黒木(そんな大振りで当たるはずがないのだよ)


田中(ちっくしょー、この投手、嫌いだっ!)

 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!!

田中「だああっ、クソ!」


田中「阿部、お前覚えてろ?」

阿部「ごめん、想定外のことが色々あってね…」



黒木(迷っているようだな、阿部。お前は全打席敬遠をしてやろうかと思っていたが…)

黒木(こちらの想定よりも早く迷いが生じているようだから、相手をしてやろう)

阿部(どうくる…?)



 下1 阿部ぇっ!?

 1~3 あかん、最初の黒阿部はどこいった…
 4~6 読みを捨ててもダメだった…
 7~9 いや、まだかろうじては読めてるんだ…



阿部(やっぱり、想定と違う…!)

 ブンッ
 バシィッ

<ストライーク!

黒木(狙い打ちをしてくる、それもリードを読んで絞るのならば、それさえ分かってしまえば掌の上なのだよ)

黒木(途中まで同じで、途中から違う。途中まで違って、最後は同じ)

黒木(そういうプレーをここまでやってきた。その結果、お前は自分の知っているデータとの齟齬を思い知って混乱状態にある)

阿部(ダメだ、データは捨てて…ここは出たとこ勝負…!)

黒木(例え無心でバットを振ろうと試みたところで…!)

 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!

阿部「っ…!」

黒木(お前は打者としては凡庸な身体能力でしかないと、データが示しているのだよ)


 バシンッ

<ストライク、バッターアウト!!



<田中と阿部が、連続で三振!?

<どうなってんだよ!?

<い、いやっ、こういう時に打てそうなのが中井じゃないのか!?

<そ、そうだよな!? 打てないって思ってたら打つ、天の邪鬼の中井だもんな!?



中井「誰が天の邪鬼だ…」

中井(にしても阿部、俺らの知らねえとこで随分と追い詰められてるみたいだな)

中井(今の1点差、どうもバッテリーにはデカい1点らしいし…どうにか得点して楽にさせねえと)


黒木(この男は、データと全く違っていたな。チャンスに弱い、新摂打線の弱点だったはずなのに…)

黒木(ここは慎重に攻める。シンカーを解禁してでも、確実に)



 下1 中井ィッ!

 1~3 いつもの中井に戻るなよ!?
 4~6 シンカーの餌食だとぉっ!?
 7~9 中井が輝いてるだとぉー!?


中井(こいつの決め球はシンカー)

中井(どーせ俺を見くびってたんだろ、他の連中同様に)

中井(なのに前の回、俺だけに打たれて警戒を強めてくれたんなら――)

 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!

中井(ご自慢のシンカーを決め球にしろ!)

黒木(こんな男にもったいないが、俺のシンカーの前に沈め!)

 ビシュッ

中井(踏み込んで、変化前に――!)

黒木(こいつっ、前に踏み出して!?)

 キィィィイインッ


<中井がまた打ったー!?

<しかもライト方向、華麗すぎる流し打ちー!?

<いやでも中井だし、ファールラインが!


<フェア!!


<うおおおおおおおおおっ!?

松坂「中井くん、2打席連続安打!?」

田中「しかも長打コースだし、ライトは足遅いぜ、あれ!?」


<中井、二塁まで蹴ったぞ!?

<あいつも足速えーっ!?

田中「滑りこめぇえええええ――――――――――っ!!」


 ズザァァッ
 バシィッ

松坂「っ…」

田中「際どすぎる…!」


<セェーフ!!

田中「うおおおおおおおおっ!? 中井、中井ー!? 何故それをいつもやらない!? 何でだ、お前!?」

松坂「中井くんすごい! スリーベース!?」

中井「これが俺の実力だ、覚えとけ、クソ眼鏡ぇっ!!」

黒木(単細胞め…このクールな眼鏡の良さを分からないとは)


佐野「………調子狂いそうじゃの…」←中井が打つと打てなくなったことがある4番



 下1 佐野ぉっ!!

 1~3 おーう…やっぱり中井が打つから…
 4~6 佐野っちには佐野っちで、何か考えがあったらしいけど三振
 7~9 佐野っちは強振だけのバッターとちゃうんや。手堅くね


佐野(中井が打ったんじゃ…)

佐野(ワシが4番として応えてやらんでどうする…)ゴゴゴ

黒木(……………こいつは全打席敬遠のつもりだったが、予定変更だ)

黒木(すでにこちらは1点を取っている。この勝利を盤石にするためには、チームの主砲である佐野を打ち取る必要がある)

黒木(それもこの二死三塁という、相手のチャンスで、完璧に封じて見せる)

黒木(それでこそ、絶望が生まれるのだよ)


 ビシュッ
 バシィッ

<ストライーク!


佐野(ゾーンに放り込んできたか…)

佐野(それでこそ、倒し甲斐があるっちゅうもんじゃ)

黒木(さあ、俺からの宣戦布告は受け取ったな。これでお前の打ち気が逸る)

黒木(自慢のパワーで、インコースだろうがぶっ飛ばすという腹積もりだろう?)

黒木(打ってみろ、打てるものなら――!)

 ビシュゥッ
 ギィンッ

<ファール!

黒木(そのボールはフェアグラウンドに飛ばないのだよ)

佐野(こいつ、今のは飛ばせんと思ってのことか…?)

佐野(やりにくいのう…それもこれも、中井が珍しく活躍するからじゃ、ボケぇっ!)ギロッ

中井「っ…!?」

中井(何で睨まれた俺!?)


<ストライク、バッターアウト!

<ああ~っ…折角佐野が打ったのに結局、三振3つかよ

<やっぱ中井が打つから佐野も打てなかったんだな…


中井「俺のせいにすんなっつーの…」

佐野「お前のせいじゃ、ドアホ」

田中「そーだそーだ、お前が普段から打ってればこうならねーんだよ!」

中井「この野郎ども…!」


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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃大┃0 ┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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松坂(阿部くん…顔がすごく悩んでる…。あんまり感情を顔に出さないことが多いのに)

松坂(でも確かに、事前の打合せと打者のタイプが違う…。それが阿部くんを苦しませてるのかな?)

阿部(ここから、どう攻めていく…? 俺が迷っちゃ、松坂くんが実力を発揮できなくなる…)


 下1 阿部…

 1~3 ぐぬぬっ…あっさり打ち込まれてく!?
 4~6 データの食い違いが阿部をさらに追い詰めていくぅっ!!
 7~9 松坂のエース感よ…


松坂「………あ、阿部くん!」

阿部「っ…?」

松坂「ちょ、ちょっと」

阿部「うん…? あ、タイムでお願いします」タタッ


阿部「どうかした?」

松坂「……どこでも、投げるよ」

阿部「え?」

松坂「打ち込まれたって、中井くんも調子いいし、佐野くんもいるし。取り返すのなんて簡単だから」

松坂「僕も失点が、少ない投手でもないし…。だから、阿部くんのリードで、勝とう」

阿部「っ……」

阿部(松坂くんに、ここまで言わせるくらい…俺って、苦しそうに見えてた…?)

阿部(ていうか…投手に心配される捕手って、どんだけ情けない――)

松坂「…あ、阿部くん?」

阿部「…………はぁぁ~…」

松坂「お、おーい…?」

阿部(データと違うからって、いいように翻弄されたのは俺だ…)

阿部(そのせいで松坂くんを心配させてちゃ、本末転倒だ)

阿部(確かにデータと違う…。振らないと思うコースを振って、振ると思ったコースでも振って、頭がめちゃくちゃになりそうなことばっかり…)

阿部(だけど本当に大事にすべきは、1つずつのアウト)

阿部(場当たり的だろうが、セオリー通りだろうが、アウト1つを確実に取っていくゲームが野球…)


阿部「…………ごめん、松坂くん。変なことで悩みすぎてた」

阿部「……その上で、ちょっと相談なんだけど」

松坂「相談…?」

阿部「失点してでも、確かめたいって思うことがある。それをハッキリさせてもいい?」

阿部「嫌なら、それでもいい。それなら…もう、場当たり的にやるしかない。どっちがいい?」



 下1 どっちがいいって…

 1 失点少ない方がいいと思うけど…
 2 ハッキリさせたいならそれがいいと思う
 3 場当たり的だろうが、一生懸命やろう


松坂「…阿部くんが、ハッキリさせたいって言うんならそれでいいよ」

阿部「………4、5点取られるかも」

松坂「えっ?」

阿部「できるだけ少なくはしたいけど…白黒させられれば、もう迷わない」

阿部「守備も、攻撃も、今度こそしっかり軌道に乗せてく。だから……ごめんね」

松坂「何が…?」

阿部「もし負けたら」

松坂「えっ?」

阿部「でも、勝つためにやる。そのつもりはあるから」

松坂「う、うん」

阿部「しっかり丁寧にね。この試合、松坂くんの失点は全部、俺の責任だよ」

阿部「だから好き勝手、開き直りながら投げてね」



黒木(バッテリー間で何か話し合ったようだったが…)

黒木(とうとう、万策尽きたということか? ふっ、脆いな)ニタリ



阿部(まずは、データが正しいかどうかだ)

阿部(データが正しくないならそれまで。データが正しい上で、わざとあんなことをしてるなら、それだ)

阿部(得意なコース、苦手なコース、片っ端から打者の反応で見極める!)

松坂(いつもの阿部くんの目になった…! これなら、安心して投げられる…!)

 ビシュッ
 バシィッ

<ボール!

阿部(手を出しかけた素振りもなく、でもしっかり見ながら見送った…)

阿部(もう一度、同じコース、今度はゾーン――)

 ビシュッ
 バシィッ

<ストライーク!

阿部(今の目つき…チャンスを逃したみたいな…? これはデータ通りなら、彼の得意なコースのはず)

阿部(だったら今度は――普段なら振りようのないコース!)

 ビシュッ
 キィンッ

田中「まぁかせろぉー!!」ダダッ

 バシィッ
 ビシュッ

<アウト!

阿部(…………1人だけ、1打席だけのデータじゃ、ハッキリとはしないけど…)



 下1 阿部、頼むよ?

 1~3 1失点でかろうじて抑えた…ま、まだ確かめるのん…?
 4~6 無失点だけど、全然危ういよ?
 7~9 おやおや、早速?



 ビシュッ
 ギィンッ

<だああっ、また打たれた…!?

佐野「打ったところで、ホーム踏ませなきゃセーフじゃあっ!」バシッ

 ビシュゥッ
 バシィッ

<アウト!

<佐野いいぞー!

<さすがキャップ!!

佐野「キャップ呼びやめんか!? キャプテンて呼べ!!」

田中「ナイキャップ、佐野!」

佐野「ぶっ殺すぞドアホ!!」


松坂(ピンチだったけど…今のは佐野くんのファインプレーで助けられた…。阿部くんは…)チラッ

阿部(やっぱりデータと違うようには見える…。問題は、そう見せてるのか、そうじゃないのか…)

阿部(ハッキリしない…こうもハッキリしないってことは…でも…)

黒木(何だ…? まだ諦めたようには見えない…?)


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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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┃大┃0 ┃1 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部「………みんな、悪いけどわがままつきあってくれる?」

田中「わがままぁ?」

佐野「つきあうか、んなもんに。ボケカスが、コラ」

阿部「お願い。そうじゃないとこの試合、俺、役に立てないから」

中井「いいぜ。阿部の頼みなら、聞いとけばあとでいいことありそうだしな」

田中「そうだな!? それいい考えだな!?」

佐野「ドアホどもが…。好きにせえ」


阿部「じゃあ、予定通りにこっからの打撃、俺が指示出すよ」

阿部「てんで的外れだったとしても、お願いだからこっちの指示通りにして。…お願いだから」

松坂(阿部くん、何か持ち直してる…?)



 下1 さあ、反撃してこーぜ!

 1~3 って阿部の指示が全然ダメじゃんかー!!
 4~6 ビミョーに的外れだぞ阿部!?
 7~9 結局得点できてねーじゃん!


<ストライク、バッターアウト!

ベンチ「」

阿部「やっぱダメかー…」

松坂(阿部くん、空気読んで!?)

阿部「じゃ、切り替えていこー」

ベンチ(何か謝れや!!)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃大┃0 ┃1 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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阿部(……やっぱり、データとは違う)

阿部(少なくとも行動については)

阿部(だけど…まだ打者全員分を確かめられてない)

阿部(少なくともあと1巡は、確かめたい)


 ビシュッ
 キィンッ

阿部(やっぱり打ちにきた)

阿部(今度は?)

 ビシュッ
 キィンッ


<連続ヒットー!

<いいぞぉー!!

阿部(だったらここで、これは?)

 ビシュッ
 バシィッ

<ストライーク!

阿部(これは振らない。それならこっちは?)

 ビシュッ
 キィンッ



 下1 阿部くん?

 1~3 分析に夢中になってる間に、2失点でっせ…?
 4~6 失点もしても…て了承はしたけど、1失点…
 7~9 分析終了に結局、7回まで…。ま、無失点で


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


黒木(勝利は盤石だな)

黒木(7回表にして、すでに3点差)

黒木(もう、負ける要素はなくなった)


阿部「みんな、これまでいいように三振にされたり、打ち取られたり、失点されたりしてくれてありがとう」

田中「ありがとうって何だ、お前!?」

中井「これ、こっから逆転できるのかよ?」

佐野「打つしかねえじゃろうが」

阿部「うん。打つしかない。でもこれまでと違うのは、しっかり分かったことだよ」

松坂「……や、やっと…?」←実はすごく不安だった

阿部「さあ、ここから反撃にいこう」

阿部「やり返された恨み、1000億万倍にして、返す」

田中「てえことは、3000億万点取るってことだな!? 上等だ、やってやろーぜ!!」

中井「ムリだろ」

佐野「さすがにムリじゃ」

阿部「ま、その点差をつけるのはムリだけど、勝つ」

阿部「あとはみんなの特訓の成果がハッキリ出れば、ね」



 下1 特訓の成果!!

 1~3 おいこら、どうしたぁー!?
 4~6 読みはきてる…はずなのにな
 7~9 上位打線はさすがやで!


 下1 0コンマ判定

 偶数 阿部ドンピシャすぎぃっ!!
 奇数 ここにきて唸る、黒木のシンカー…!


阿部(初球、アウトコースにくるよ。でも打ちやすいのは、その後にくるインコース。引きつけて打て)

田中(あいよ、輝いてる黒い阿部!!)

黒木(ふっ、この終盤まで結局、全て読み通り)

黒木(負ける要素は、一切ない。勝率、87パーセント!!)


 ビシュッ
 バシィッ

<ストライーク!

黒木(ふっ、余裕だな)

黒木(今度はインコース。そう簡単には打てないぞ…!)

 ビシュッ

田中(引きつけて――打つ!)

 キイイイインッ

黒木「何…!?」

田中「だぁっはっはっはー! 俺をワンマンプレーのひとりよがりだと思うなよぉー!?」

<いやそれは誰も思ってない!!


黒木(あれは、手を出せなくなるはず…)

黒木(それなのにどうして、いきなり打った?)



阿部(さ、今度は俺の番ね。これまでさんざんコケにしてくれた分、お返しするから)ギュッ

黒木(……何だ、こいつの目は? だがっ!)

 ビシュッ

阿部「っ…とと」

黒木(今のは、そう。予想外のインコースへ来て面食らったという……ベースに、寄った?)

黒木(今のインコースを嫌がって、極端にベースへ寄った? あわよくばデッドボール出塁?)

黒木(そんなもの、俺のコントロールならば余裕だ。針の穴さえ、通して見せる!)

阿部(こうしてベースに寄れば、プライドのせいで体にぶつけかねない、けれど当たらないギリギリへ投げ込んでくる)

 ビシュッ

阿部(ゾーンなら、打てるんだよ!)

 キィイイイインッ


<また打ったぁー!

黒木「何、だとぉっ…!?」



 下1 阿部くん的中すぎィッ!!

 1~3 分かってても打ちにくいシンカーが猛威を…!? そ、それでも読めてるもん! こっからだもん!
 4~6 ちぃっ、シンカーのせいで大量得点が…まあ、同点だけどね?
 7~9 満塁から主砲の一発で逆転


黒木(何故だ…!?)

黒木(何故、こうも急に…!?)

黒木(まさか――阿部っ、お前が俺のリードを読み切って…?)

黒木「……っ、だが!」

黒木(二塁ランナーがサインを出すのはルール違反!)

黒木(満塁で4番に回すというお膳立てはうまくいったようだが、そこから指示は出せないぞ)


阿部(――とか何とか、思ってるんだよねえ?)ニヤニヤ

阿部(でも、佐野くんが打席にいる分には、俺は2塁にいて何も問題ないんだよ)


佐野「……この野郎」

黒木(死ね、新摂!!)

 ビシュッ
 バシィッ

<ストライーク!

黒木(そうだ、打てるはずがない。この俺のコントロール、そして佐野のデータも充分に揃っているのだ)

黒木(阿部、そこで指をくわえて見ていろ。お前がそこにいる限り、これ以上、打たれはしない!)

 ビシュゥッ
 カッキイイイイイインッ


<佐野が、打ったぁぁーっ!!!!

<文句なしの特大弾だぁー!!!!


佐野「――このワシを、片手間で相手できるなど思うな」

黒木「っ…!!」

阿部「佐野くんに指示なんてそもそもいらないんだよ。打撃バカのうんこマンなんだから」

佐野「だぁれが打撃バカじゃっ!!?」



 下1 反撃の狼煙には充分すぎでっせ

 1~3 粘るな、黒木のやつ…
 4~6 ちぃっ、コールドにならなかったか!!
 7~9 コールド勝ち…圧倒過ぎィッ!!


黒木(何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ…どうして俺が12失点して…マウンドを降ろされた…?)

黒木「クソ…クソ、クソクソクソ、クソったれがあああああっ!」

 (黒木が壊れた…!!)



阿部「さあ松坂くん、締めよう」

阿部(もう、このチームは諦めてる)

阿部(最後の一球は、ど真ん中ストレートでいいよ)

 ビシュッ
 バシイイイッ

<ストライク、バッターアウト!

<ゲームセット!!!


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃16 ┃ ┃ ┃ ┃16
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃大┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃0× ┃ ┃ ┃ ┃3
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



黒木「――阿部ェッ!!!」

阿部「あれ、どうしたの、黒木先輩?」ニコニコ

黒木「何でだ…何で、俺が読み負けた!? 俺達の勝ちは、揺るぎなかったはずなのに…!!」

阿部「さあねー? 投手の差、じゃない?」

黒木「ふっざけるな、認められるか! あ、あんな、凡庸な投手の――」

阿部「凡庸な投手なんていないよ。そうやって決めてかかった時点で、データ分析が向いてないんじゃない?」

黒木「~っ…!」

阿部「安心して、ちゃんと最後まで勝ってきてあげるから」

黒木「次はっ…次は、完膚なきまでに叩き潰してやる!」

阿部「はいはーい、凡庸な捨て台詞、ごちそうさま~♪」


田中「阿部やべえな、何だあの煽り方」

中井「性格悪いからな」

佐野「ふんっ、3失点もせんで良かったじゃろうが」

松坂(やっぱり阿部くんすごかったなあ…)

阿部「さ、ダウンして帰ろうか、エースの松坂くん」

松坂「う、うん…」

阿部「いやー、エースの活躍のお陰で勝てたね」

阿部「うんうん、うちのエースは最高だね。ややコントロール甘いけど」

松坂「」

阿部「打撃で今日は活躍しなかったけど」

松坂「」

阿部「でもエースだね。不思議だね」

松坂「」

阿部「うんうん、松坂くんサイコー!」


 今日はここまでっす
 あざっした

やろーかい?


田中「俺らは最強だぜぃっ!!」キィンッ

田中「このまま県大会制覇だぜぃっ!!」キィンッ

田中「だぁーっはっはっはー!!」スカッ

田中「あれっ?」

佐野「喋りながらフリーすんなドアホぉっ!!」

田中「うぇーい!」


松坂「次は準決勝…。さすがにもう、波動みたいな強豪校とはぶつからない…よね?」

阿部「トーナメント表見てないの?」

松坂「………怖くて…」

阿部「じゃあ、見てみる?」

松坂「…」ゴクリ

阿部「あ、羽生じゃないよ」

松坂「ふぅ…」

阿部「順当に行けば決勝だろうけど」

松坂(まだ敗退はしてなかった…!? って、当然か…な?)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(47)
チェンジアップ:D(35)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 さあ、次は準決勝!!

 1~3 めっちゃ足速いチームやで。バントもエンドランも大好きって感じの
 4~6 打力重視だけど、まあ波動ほどじゃないよね、ってチーム
 7~9 さすがに準決勝だけあって弱いチームじゃないけど、強いぞ、って前評判のチームではない


阿部「この学校だね」

松坂「…………有名じゃ、ない?」

阿部「そうだね。準決勝進出なんて、何年ぶりだろうって感じ」

松坂「へえ…」

阿部「エースナンバー背負ってる投手のマックスは、140くらい? 松坂くんと変わらないね」

阿部「変化球はカーブとスライダー」

阿部「控え投手はサイドスロー。マックスは130中盤くらい? コントロールは松坂くんより上だけど、変化球はなし」

阿部「クリーンナップとかに関係なく、みんなバントするし、走るし、フライも打つ。1点取って、守り抜こう。取り返されたら、取り返そう」

阿部「そういう努力家集団」

松坂「へえ…」

阿部「怖い?」

松坂「思ったよりは…」

阿部「まあ、これといった特徴っていうのは見つけづらいけど、ここまで勝ち上がってるし、油断はできない相手だね」

松坂「……………とか思ってたら、伏兵がいたり…?」

阿部「んー、準々決勝で11回延長まできて、ベンチ全員出てるし、それもないんじゃないかな…?」

松坂「……………逆に怖い」

阿部(まったくこのエースくんは…)

阿部「大丈夫だよ。いつも通り、がんばって勝つだけなんだから」

松坂「そ、そうだね」



 下1 強くないぞ、いけるいける!!

 1~3 何でこの前評判から、いきなりピンチに陥っちゃうのかな松坂くんは…?
 4~6 スキップ、スキップぅっ! 2点リードで終盤だよ!
 7~9 3点リードで最終回からでいいよっ!
  0   まさかの強さ!?


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃2 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


阿部(さあ、このまま完封勝利いっちゃおう)

阿部(相手さんも必死になって、諦めずに打とうとしてきてる)

阿部(だからこっちも、甘っちょろく舐めず、全力で迎え撃とう。それが礼儀だよ)

松坂「ふぅーっ…」


 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!!

松坂(我ながら際どかったところなのに、打ってきた…。すごく前のめりになりながら)

阿部(それだけ打ちたいってこと。だから今度は、インコースにカットボール)

 ビシュッ
 クイッ
 ギンッ

<ファール!!

阿部(さあトドメ。低めいっぱい、チェンジアップ)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 ブンッ
 バシッ

<ストライク、バッターアウト!!

松坂(あと2人…!!)



 下1 さあ、このまま勝利へ!

 1 3連続三振いこーぜ!
 2 打たせてとろーぜ!
 3 ちょっとくらい気を抜いても、大丈夫だよね…? 決勝あるしさ…?


阿部(さてさて、最終回の先頭打者を3球三振に仕留められた、って焦りが向こうに働いてるよ)

阿部(だからこそ打たせやすくなる。振らないと当たらない、なんて言葉ばっかり頭にあるし、向こうのベンチからもそんなエールがいっぱいだ)

阿部(だからこそ、ここからは打たせていこう)

松坂(相変わらず阿部くんは黒い…)

松坂(黒くない阿部くんって…温泉のない旅館くらい味気ないのかも知れない…?)

阿部(おーい松坂くーん、サイン見てるぅー?)

松坂「あっ…」コクコク


 ビシュッ
 キィンッ

田中「まっかせろぉー!!」ダッ

 バシィッ
 ビシュッ
 バシッ

<アウトー!


松坂(1球で…)

阿部(うんうん、よく振ってくれてる…)

阿部(さあ、最後だ。野球は9回2アウトから。こっからが勝負だよ?)


 下1 野球は9回2アウトから!!

 1~3 松坂くん? 何で2連打?
 4~6 あ、二塁打…
 7~9 きれーなキャッチャーフライで締まりました


 下1 0コンマ判定

 偶数 あれ、最後の一球、いつもより速くなかった? 球速:+2
 奇数 何で満塁!? まさかの逆転劇がここからっ!?


阿部(さあ、最後の一球だ)

阿部(高め、ゾーン内のストレート。あれだけガチガチにバット振ってきてるんだ。打ち上げてフライだよ)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュゥッ

阿部「!」

 キィィンッ

阿部「っ……オーライ!」

 パシッ

<ゲームセット!!!



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃2 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



田中「いよっしゃあ!! 決勝、進出ゥッ!!」

佐野「雪辱戦じゃあっ! 羽生の借り返すぞボケどもがぁっ!!」

田中「おおうっ!」

中井「よっしゃあ」

阿部「試合後なのに、その気合いはどうなんだろうなー…?」

松坂「き、気合いがあるのは、いいんじゃない…?」


阿部「……あ、あとさ、松坂くん。最後の球」

松坂「最後の球?」

阿部「………何かいつもより良くなかった? まあ、打たれたからミットで感触確かめられてはないんだけど」

松坂「う、うーん…自覚は…」

阿部「でもこれだけ投げてきてるんだし、成長してて当然かもね」



 下1 さあ、決勝戦の相手はもちろん!?

 偶数 因縁の羽生っすよー。練習試合とは別チームみたいな…?
 奇数 え、羽生を破ったダークホース…?


夕実「ねえねえみんな、みんな! ちょっと大変かも!?」

田中「おっ、どした? まさか俺の活躍が眩しすぎて失明寸前っ!? 照れるぜ、おおーい?」

夕実「羽生、負けたって…!」

佐野「は?」

中井「はあっ?」

阿部「あー…そうくる…?」

松坂「………えっ?」



TV『み、みんなに見つめられてる…///』

TV『ただ試合映像流してるだけなのにぃっ!///』

阿部「んー、強い」

佐野「………羽生が弱いんとちゃうか?」

中井「あのノーコンピッチャーがエースナンバーだしな」

田中「お前根に持ちすぎだろwwww」

中井「あのデッドボールのせいで俺は…!」

松坂(羽生が弱いって言っちゃうと、練習試合で逆転負けしちゃった僕らは一体…?)



 下1 ダークホースの学校名

 学校名とついでにコンマも判定でっせ!

 1~3 主力が、全員1年生…? センス良すぎんぞ?
 4~6 クリーンナップ全員1年なのに…
 7~9 たった1人の1年生がエースナンバー背負って、投打で大活躍…。彼を中心にチームが団結している…

唐栗高校

学校名くれた>>578をコンマも一緒に採用します


阿部「唐栗高校の主力は、クリーンナップの3人だね」

佐野「5番投手か…。誰かを彷彿とするのう」

田中「久遠か!」

中井「あいついつ戻れるんだろうな…」

阿部「まあまあ、今はいない人はわきへ置いといて…」


阿部「3番ライトの彼は、打率高いよ。すっごく。それでいて、広角に打ち分けられるバットコントロールの持ち主。中井くん以上」

中井「それ何基準だ、おい?」

阿部「打率基準」

中井「」


阿部「4番ファーストの彼は、佐野くんほどのパワーはないにしろスイングスピードも速いね。夏大会の羽生の主力選手並に打球速いだろうね」

阿部「長打っていうよりも強烈なライナーで内野の壁をぶち破っていくようなスタイルかな」

佐野「ワシの方が上じゃのう」

阿部「少なくとも内野安打率は佐野くんの倍以上」

佐野「ぬ…」


阿部「で、5番ピッチャーの彼。投手としての実力は後にして、打者として見るとかなり勝負強いね」

阿部「得点圏打率もチーム1位。長打も出てくる。ホームラン3本は予選含め大会中に打ってる」

松坂「…」


阿部「ちなみに、このクリーンナップ、全員1年生だね」

中井「マジか」

田中「で、勝ち筋は? 黒阿部監督」

長島「!?」←阿部への監督呼ばわりに危機感

阿部「んー…ま、それは投手の後だね」

阿部「本格派の、かなり完成されてる投手だよ。弱点はスタミナかな? ここまでの試合、完投はしてないし、長くて6イニングしか投げてない」

阿部「だけどクリーンナップだけあって、マウンド降りてもレフトに入ってるから打力は落ちないね」


松坂「……そ、それで、投手としては…?」

田中「お? 松坂、気にしてんのかあ?」

中井「茶化してやるなよ…」



 下1 本格派投手…

 1~3 速球で変化球も豊富…
 4~6 速球とスプリットでグイグイ押し込んできます
 7~9 特筆すべきは豪速球。あれは重いぞぉー…


 下1 0コンマ判定

 偶数 豪速球だけどコントロールはボロッボロ。でもって、闘争心剥き出し…デッドボール率、高し
 奇数 久遠レベルの超逸材じゃね…?


阿部「本格派、6イニングしか投げない投手だけど、すごい豪速球の持ち主だよ」

阿部「速いし、きっと重いだろうね。豪腕、って感じ」

佐野「燃えるのう、それは…」

阿部「でもってコントロールは、悪い。荒れすぎ。フォアボールもよく出すし、デッドボールもけっこう多い」

中井「は?」

田中「こりゃ中井に当たるな!?」

中井「縁起でもねえこと言うなよ!?」

阿部「だけどね、この映像見れば分かる通り…かなり、強気っていうか、闘争心が剥き出しというか」

阿部「でもこのスタイルだから、ピンチになっても開き直ったみたいにガンガン投げて、ガンガンピンチを脱するタイプ」

阿部「怪我、気をつけよう」

長島「うむ。デッドボールをチャンスと思って当たりにはいくな。避けろ。体の方が大事だぞ」


阿部「この1年生3人組が、チームの顔っていう感じだね」

中井「マックス、何キロくらいなんだ?」

阿部「んー…148?」

田中「速っや!?」

佐野「ほおー? ますます燃えるのう?」

松坂「148……?」

阿部「狙いを絞ろうにも、あの荒れ球じゃあなかなか絞れないだろうね」

阿部「だけどコントロールが悪いんだから、落ち着いて冷静に際どいところを捨てていけばフォアボール出塁は充分狙えるよ」

阿部「押し出しで大会中通算8失点はしてるしね」

松坂「8回も押し出しっ?」

阿部「デッドボール込みね」

中井「んなの試合に出すなっての…」

田中「中井は絶対に当たるな」

中井「だからそれやめろ!?」


阿部「紛うことなき強敵だよ。決勝戦、燃えるね」

佐野「ほなら、今からマシンバッティングじゃのう。マシンを近づけて148に近づける」

田中「でもって、打ちまくるってか!? 佐野、いいぞそれ!」

中井「ついでに避ける練習だな」

松坂「中井くん、実は気にしてる…?」

阿部「さあ、みんなで勝ちにいこう」




 今日はここまでっす
 あざっした

いよいよ、県大会決勝戦…!!
まだ県内での戦いだったというのは、衝撃の事実だったのだ…

3人くらいいたら、ネームドの安価から取りたいのだ…ちゃちゃっとね


長島「松坂、ちょっといいか」

松坂「っ…は、はい?」

長島「決勝だが、きっと先発してくる投手は例のエースだろう」

長島「お前の打撃能力には一目置いているが、それ以前にお前はチームで唯一の投手だ」

長島「打席では決してムリな出塁を狙うな。どのような状況だろうが、デッドボールを自ら選ぶことだけは絶対にするんじゃないぞ」

長島「可能な限り、避けていくようにしろ」

松坂「はい」

長島「では、県大会制覇へ往くぞ」

松坂「はいっ…!」



 下1~3

 3番ライト
 4番ファースト
 5番ピッチャー    のそれぞれのお名前っす


<プレイボール!!

<うおおおおおおおおおおっ!!


三橋「新設校ながら夏大会でベスト4。秋季大会で県大会決勝戦まで登り詰めてきた新摂高校」

三橋「そして名門・羽生高校を破って決勝戦の舞台まで駆け上がってきた、唐栗高校」

三橋「どちらも勢いは負けていないし、どちらが勝ってもおかしくない。まさに大一番の決勝戦ね」

広田「新摂は当然として、どっちも1年に力がありますからね。2年後の夏大会が恐ろしい限りのチーム同士ですよ」

三橋「その通りね!」

広田「だけどやっぱ…俺はどうしても新摂不利に見えますね」

三橋「あら、どうしてよ?」

広田「新摂の投手は松坂だけでしょう、だって。対する唐栗エース・時任はこれまで、6イニングずつしか投げていない」

広田「どころか、県予選では通算3イニングだけですよ? 連日の投球の疲労度では明らかに松坂が不利ですからね」

広田「実際、夏の準決勝ではスタミナ切れで負けたようなもんです。新摂は結局、あの夏の敗戦から致命的な投手不足という欠点を克服できなかった」

三橋「何だか随分キツい言い方するじゃない」

広田「まあでも…好カードだとは思いますよ。唐栗のルーキートリオvs新摂のルーキーズ」

広田「まるで今の高校野球の全てを体現しているかのような、才能溢れる選手達同士の競い合いですからね」



 下1 さあ、試合は始まった!

 偶数 新摂先攻
 奇数 新摂後攻



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部「しまってこーぜぇー!!」

田中「おっしゃあああっ!!」

佐野「打たせろや、ボケがぁっ!!」

中井「ガンガンこぉーい!!」

松坂「決勝戦かあ…」キョロキョロ

松坂(こんなにいっぱい、人が集まって…。僕に注目、してる…)

松坂(やっぱり1回表は、何だか苦手だな…)


阿部(集中してよ、松坂くん)

阿部(クリーンナップも恐ろしいけれど、全体的に打撃レベルは高いんだ)

阿部(気を抜いてたらどんどん失点しちゃうからね)

松坂(見に来てる人はかぼちゃ…かぼちゃ…かぼちゃ…)

松坂(……………よし、かぼちゃ畑完成)



 下1 松坂、いったれ!!

 1~3 いきなり2連打て…アカンやん! こっからクリーンナップやぞ!?
 4~6 一死二塁でクリーンナップですよ…
 7~9 二死で3番・坂上と対峙でっせ!


 ビシュッ
 キィンッ

田中「嘘だろっ…!?」ダッ

<抜けたぁー!!

<おっしゃ、いきなりランナー出た!

中井「ドンマイだ、田中ー!」パシッ


阿部(松坂くーん…?)

松坂(か、かぼちゃが、うるさい…!)

松坂(かぼちゃは、やめよう…。うるさくて当然の、えーとえーと………豚さん!)

松坂(………うん、ぶーぶーなら怖くないっ!)


阿部(バントの構え…。確かにバントも多用するんだよね…)

阿部(アウトをもらっておこう)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ

阿部(バットを引いて――!?)

 ギィンッ

<バスターだ!?

<ファーストの頭越えたぞー!!


松坂「え、ええっ…?」

松坂(ぶ、豚さんもやめておこう…えーと、えーとえーと、もっとこう平和っぽい………鳩!)

松坂(………うん、鳩なら大丈夫。アレルギーもないし!)


阿部(いきなりの二連打…で、クリーンナップ突入か)

阿部(嫌な展開だけど…まあ、松坂くんらしいと言えば、らしいかなーなんて思っちゃうらへん、毒されたかな?)


坂上「…」ギュッ

阿部(…タッパあるな、打席に立たれると余計に)

阿部(アウトコースが得意だけど、インコース攻めをして打たれたところも多いし…。この人はほんとにバットコントロール抜群だからなあ)

阿部(こういう相手には、強気でいくしかないよ)



 下1 無死一二塁! vs坂上!!

 1 こういう時こそ打たせて取る!
 2 高めのボール球を打ち上げてフライになれ!!
 3 こっから三者連続三振? 何その燃える展開、狙おうぜ


阿部(これはピンチなんかじゃないよ、松坂くん)

阿部(クリーンナップ3人が続けざまに打席に立ってきたら脅威だけど、これを途中で切れるなら、それに越したことはない)

阿部(ゲッツー狙いの中間守備から、一気に畳みかけよう)


松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 バシィッ

<ボール!

阿部(見てきた、か…。僅かにバットは反応してたけど、見ることを優先していた)

阿部(それなら今度はカットボールをインローに)


 ビシュッ
 クイッ
 バシィッ

<ストライーク!


阿部(………やっぱり、見てるな)

阿部(かとカウントは1-1だし、もう1球、様子見だ)

 ビシュッ
 バシィッ

<ボール、ツー!

阿部(………惜しい、際どかった。今のがゾーンに入ってくれてればな…)


阿部(2-1。今のところ、バントの気配はなし…)

阿部(続けてボールはないって思ってくれるかな?)

 ビシュッ
 ギィンッ

<ファール!


阿部(手を出した…! インハイ、それもボールになりそうなとこなのに、今度はためらいもなく振ってきたな…)

阿部(ある程度、ヤマを張ってた? だったら今度はもう一度同じところ、カットボールで勝負に出る…!)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュゥッ
 ククッ



 下1 vs坂上!

 1~3 サード横を抜けたぁっ!? 満塁で4番…
 4~6 サードランナーを刺したけど、ランナー一二塁変わらず…
 7~9 よっしゃあ、ゲッツー! ランナー一塁やで!


 ギィンッ

阿部(三遊間――!?)

佐野「ぬおおおっ!」ダッ

<ああっ!? 抜けたぁー!?

<しかも打球速えぞ!?


中井「クッソ…! 満塁かよ、いきなり…!」

佐野「ちぃっ…ぬかったわ…!」

田中「俺の方へ飛ばせぇー! そしたら絶対に捕れたぞぉー!!」


阿部(まさかの無死満塁で、4番・遠野か…)

阿部(佐野くんや、波動の佐川さんほど長打のイメージはない。けど、ミート力の一点なら佐野くん以上かもなんだよな…)

阿部(この人は打たせて取ろうなんて考えじゃ、打ち抜いてくる)

阿部(確実に三振狙い…)

阿部(………それでも、この人の打力じゃ確実なんてない)

阿部(まあ…松坂くんはそこまで考えなくても怖がってるんだろうけど)


松坂「…ふぅーっ」

阿部(………いっそ、押し出しでも…いや、ダメだな)

阿部(何度も強打者と対峙してきた経験、ここで発揮してよ?)



 下1 vs遠野!!

  1  満塁弾…
 2~3 走者一掃の3失点…
 4~5 タイムリーツーベースで2失点
 6~7 1アウトと引き換えに1失点…かあ…でも次がなあ…
 8~9 三振


 下1 0コンマ判定

 偶数 トリプルプレー、炸裂ゥっ!!
 奇数 渾身の一球かと、思ったのに…バックスクリーン直撃弾…?


 キィィィンッ

<高いぞっ!?

中井「思ったより前か…!!」ダダダッ

<中井いけぇーっ!!

 バシィッ

<捕ったぁー!?

<アウト!

阿部「タッチアップ!!」

中井「ちゃんと送球態勢、だぜっ!」ビシュッ

 ビュゥンッ
 バシィィッ

<アウトー!

<すっげえ、何だ今の送球っ!?


松坂「すごい、野手の絡んだダブルプレ――」

阿部「松坂邪魔ぁっ!」ビュンッ

松坂「うぇっ!?」←しゃがんだ

坂上「っ…!」ダッ

<一塁ランナーが!?

坂上「ここはとる…!!」

 ズザァッ
 バシィィッ


松坂(タッチアップ阻止からの、一塁ランナーの突撃を…!?)

佐野(捕ったんかっ…!? セーフか、アウトかっ…!?)

田中「…っ!」

坂上「っ…!」

<アウトぉー!!


<うおおおおおおおおおおっ!?

<8-2-4のトリプルプレー!?

<中井も阿部も肩ヤバすぎだろっ!?

<肩もだけど送球動作だろっ!!


阿部「ふぅーっ…。これでピンチは切り抜けた」

阿部「この勢い、攻撃に繋げようか」

田中「中井に活躍を奪われてたまるかぁーっ!」

佐野「ワシまで回せ、同じ状況でのう。ワシが満塁弾打ってきたるわ…!」

中井「今度はバットで活躍だぜぇっ!!」



 下1 さあ、エース時任の登板やで

 1~3 まともに打てない重さ…!
 4~6 おいおいきみたち、コントロール悪いんだってこと頭に…?
 7~9 一死二塁で中井やで!


 ギィンッ

田中「重っもいけどっ…!」ダダダッ

 バシィッ

<セェーフ!!

田中「俺を軽い浮ついた男だとは思うなよぉー!?」

<田中すげーぞ、ふつーに!!

<お前の足どーなってんだ!?


阿部(打っちゃったよ、田中くん…)

阿部(けど俺、こういう投手ほど苦手だからなあ…)

時任「な、ん、で、俺が打たれるぅーっ!? 修行が足りねえってか、そうなのかっ!?」

阿部(あ、吼えた…)

時任「つーか、前の回でトリプルプレーってどぉーいうことだあっ!?」

時任「遠野っ、お前ファーストで腕組んでる場合じゃねえからなっ!? あとでぶん投げるからな、お前っ!?」

阿部(元気な投手だ…)

阿部(組んだら性格的には面白そうだけど…)


時任「つーことで、プレー再開っ! おっ死ねやあああああっ!!」

 ビシュゥッ
 ズッバアアアアンッ

<ストライーク!!

阿部「っ…」

阿部(コントロール荒過ぎだし…勢いありすぎだし…オマケに――)

 ビシュゥッ
 ギィンッ

<ファール!

阿部(重すぎ…俺のパワーじゃ前になんて飛ばせないよ…)

 ビシュゥッ
 ズバアアアアアアンッ

<ストライク、バッターアウト!!

阿部「……すごいな、ほんとに…」



中井「よし…俺の番だな」

中井(デッドボールだけは食らわん。食らっても必ずプロテクターか尻で受ける)

時任「っしゃ、あと2人三振すんぞー!」


 下1 中井!!

 1~3 重くて前に飛ばせない…ゲッツー
 4~6 安定の三振
 7~9 最近の中井は打つんだよぉー!
  0   宣言通り、尻にデッドボール…あれは痛い…


 ズバアアアンッ

 ズバアアアアンッ

 ズバアアアアンッ

<ストライク、バッターアウトぉっ!!

中井「っ…」

佐野「ドアホが」

中井「ああんっ?」

佐野「お前がバット振るからストライクにされるんじゃ、ボケが」

佐野「松坂なんか比較にならんほど悪い制球じゃぞ。振らなきゃ勝手にフォアボールになるわ」

中井「……打席で分かるぜ。あれは、手を出したくなる」

佐野「ああん…?」


時任「あと1人!! 出てきやがったな、親玉バッター!」

時任「お前をぶっ倒してこそ、県大会制覇に相応しいってもんだ!」

佐野「アホ晒せ、お前ごときノーコンにワシが打ち取れるか」ゴゴゴ

時任「っ……上等」ゴゴゴ

松坂(2人の熱気が間近で感じられるような…)ゴクリ



 下1 佐野vs時任!!

 1~3 佐野が打ち取られたー!?
 4~6 強引に力で打ちよったぁー!?
 7~9 さす佐野やでぇ…

知識のうてすまんやでww


 ビシュッ
 ズッバァアアアアアアンッ

<ストライーク!!

佐野(確かにこりゃあ…間近で見ると、あてられそうじゃの)

佐野(こんなノーコンじゃっちゅうに、直球だけでグイグイ押し込もうとしてきよって…勝負したくなるような投手じゃ)

佐野(じゃがのう…ワシゃ、お前にはもっともっとええもん期待してしまうわ。ただの豪速球頼りじゃ、面白みが半減じゃ!!)


 ガギィインッ

<打ったぞ!?

<しかも飛んだ!?

<けど詰まってる…!

時任「んなもん、余裕でぇっ――えっ!?」

<落、ちたぁーっ!?

時任「おいこらぁっ、レフトぉっ! 何でそんな深いとこ守ってんだよ!?」

坂上「先輩相手にまた…。そんなんだから夏に外されるんだよ…」

<時任、調子乗るなや!

<先輩だぞコラぁっ!!

時任「ぐぬ、ぬぅっ…!」


佐野(にしてもワシが、あんだけバット振り抜いてシングルヒット…。こりゃ、相当じゃのう)

佐野(まあ、ちいと打ち遅れたのはあったがのう…)


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


阿部(結局、三盗で田中くんが三塁にまで進んだのに無得点か…)

阿部(けど松坂くん、今度はあのピッチャーがバットを持ってくるよ)

阿部(呑まれないでよ?)


時任「勝負だ、松坂ァッ!」

松坂「っ…」

阿部(今までの相手は、どこかで松坂くんを舐めてたと思う…。でも、彼はそうじゃない)

阿部(誰にだって勝とうとする、激烈な闘争心。それは他人を見下して舐めプする姿勢にならないんだ)

阿部(……怖いけど、このバッターは得点圏打率と引き換えに、ランナーがいない時はそこまでじゃない)

阿部(しっかり丁寧に投げてよ)

松坂「ふぅーっ…」



 下1 vs時任!

 1~3 つ、ツーベース…?
 4~6 シングルヒットでした…
 7~9 あっさり三振にできちゃった!?


 ブンッ
 バシィッ

<ストラーイク!


 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!


 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!!


時任「…」

阿部「…」

松坂「…」


時任「その意や良しっ!!」

<何勝ち誇ってんだ、時任!?

<お前ふざけんなよっ!!


松坂(な、何か…怖いけど……悪い人じゃないように思えちゃう…)

阿部(あれはね、天然っていう分類のおバカだよ)


坂上(バカってバレたな)

遠野(隠しようがないからな)

時任「んぅっ!? お前ら今、バカにしたかっ!?」

坂上「何で鋭いんだよ、そういうとこだけ」

時任「やっぱりしたのかコラぁーっ!!」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 さてさて? 9番松坂やで

 1~3 え、3回表の先頭打者なん?
 4~6 2死一塁か(ちなみに四球で
 7~9 1死一二塁…(ちなみに四死球で


時任「何で勝負をしないーっ!?」

<黙れ時任っ!!

<ノーコン直してからそういうこと言えぇっ!!


松坂「…」

松坂(何で、チャンスに…)

時任「って次の打者はお前か、松坂!?」

時任「知ってるぞ、お前の打撃での活躍ぶりを。9番に甘んじてるのは投手としての職人精神か、そうなのか!?」

時任「チクショー、かっけえやつめ! だが負けん、絶対絶対絶対、ぜぇーったいに、負けねえぞオラぁっ!!」

松坂(そしてめちゃくちゃ…敵視されてる…!?)


阿部(松坂くん…体大事にね)

長島(デッドボールにだけは気をつけろ)


田中「松坂、打っちまえぇーい!」

佐野「打てい、松坂ァッ!」

中井「ノーコンだ、冷静に見とけっ!!」←振りにいっちゃった人



 下1 松坂vs時任!!

 1 フォアボールを狙って、ひたすら待ちの姿勢で…
 2 ば、バントで貢献するくらいなら…
 3 こんなに敵選手が認めてくれることなんてなくて…勝負したいなあ、なんて…


時任「さあ行くぞ、松坂ァッ!」

時任「打てるもんならぁっ、打ってみ、やがれェィッ!!!」

 ビシュゥッ
 ズバアアアアンッ

<ボール

時任「何でだあっ!!?」

時任「さてはお前、俺に何かしたのかあっ!!?」

松坂「えっ…?」

<黙れ時任、集中しろっ!

<黙って投げろ、バカっ!



時任「ぐんぬぬぬ…!」

松坂(この人…こんなに、僕のこと、認めてくれて…)

松坂(………デッドボールが怖いから、勝負しない方がいいかとも思ってたけど…)

松坂(勝負したい…。この人から、ヒットを奪ってみたい…!)



 下1 vs時任!!

 1~3 尚…うん、素振りくらいしか、打撃練習はね…(それであの結果ってのは内緒
 4~6 重すぎィッ!!
 7~9 マグレだろうが、ヒットはヒットだー!!


松坂(速いし…みんな、まともに飛ばせないくらい重いボール…)

松坂(だけどまっすぐなんだから…スピンかかってるんだし、当てればチャンスはある…!)

松坂(とにかく、しっかりバットを振り抜くイメージで――!


時任「うおおおりゃああああああ――――――――――っ!!」

 ビシュゥッ
 ガッキィッン

松坂(重っも――!?)ダッ

時任「ファースト正面! ハハハッ、松坂打ち取ったりぃー!」

<バカ時任、ベースカバーいけぇっ!!

時任「あっ!?」

<セーフ!!


<松坂いいぞぉー!

<あの投手アホだ、いけるぞ!!


田中「いよぉーし、俺の番だなぁ…」

阿部(打っちゃったよ…松坂くん…)

佐野(投手がアホで救われるわ…)

中井(あんなのに、三振とられた…だと…?)



松坂(ラッキー…?)

松坂(アウトの当たりだったのに、セーフになっちゃった…)



 下1 田中ァッ!!

 1~3 ゲッツー
 4~6 三振
 7~9 田中が得点してくれた!!


 ギィンッ

田中(やっぱ重めなおい…!)

時任「今度はきっちり、フィィールディンッ!!」

 バシィッ
 ビシュッ

<アウト!

 ビシュッ

<アウトー!

田中「くっそ…手が痺れそうだぜ…」

時任「っしゃ、反撃いこーぜぇっ!!

坂上「勝手にピンチ招いただけで反撃もクソもあるかよ…」

遠野「ないな」

時任「うるせーな!?」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


阿部(やっぱあの投手、すごいな…。自分で招いたピンチなのに、堂々と自分のピッチングを貫いて脱した…)

阿部(まあでも、うちの松坂くんだってピンチを無失点で切り抜けるのは得意技だけどね)

阿部(さあ、油断せず、しっかり投げてよ)

松坂(さっきのバットの感触がまだ手に…。反対の腕で投げてもいいかな…?)

松坂(ちょっと休ませれば大丈夫だし)



 下1 いこーぜ松坂ァッ!

 1~3 尚…
 4~6 1死二塁で打者一巡したか…
 7~9 下位打線なんぞ何のそのぉっ!


 下1 【00コンマ判定】

 偶数 あれれ、左のサイドがすげえ冴えてね? クロスファイアー、ヤバくね? 松坂は クロスファイアーを 習得した!? ▽
 奇数 松坂の右手が…


阿部(んっ…? 左に替えた…? 何も指示出してないのに…)

阿部(まさか、さっきのバッティングで、手を…? でも相手に悟られたくないな。ここは何も言わずにおくか…)


松坂(阿部くん、何か言ってくるかな…?)

松坂(あ、左用のサインちゃんとくれた…! ありがとう…)


阿部(さあ、下位打線とは言えしっかりとね)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 ズバンッ

<ストライーク!

阿部(今の…投球…)

阿部(……松坂くんの表情は、普通だけど…気づいてない?)

阿部(…………もう1球)



 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

阿部(やっぱり…。すごく、力が乗ってる)

阿部(試合の度に…とは思ってたけど、まさか試合中とはね。すごいよ、松坂くん――)



 バシィッ

<バッターアウト!

<すっげーな、何か!?

<今、ストレートだけで押し切ったろ!?

<しかもゾーンギリギリじゃねえか、あれっ!?


松坂(なんでだろう…左投げ、すごく調子がいいかも…?)

阿部(調子がいいのか、実力か…。左腕が冴えてるよ、今日は。これは期待できそうだしね)


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃唐┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


田中「おいこら松坂っ、3者連続三振て何だ!?」

松坂「い、いやぁ~…」

田中「誉めてねえよ!!」

松坂「」

田中「打たせろ、つまんねーだろ!?」

松坂「ごめん…」

阿部「ちょっとちょっと…調子を削がないでよ…」



 下1 この勢いに乗りたいね

 1~3 阿部に続いて、中井までもが打ち取られるか…
 4~6 ちなみに阿部は時任みたいな投手が打者としていっちゃん苦手なもんで…
 7~9 中井が打ったぁー!! え、阿部なら凡退よ?


 ズバアアンッ

<ストライク、バッターアウト!

阿部(ヘタに手を出してファールにしちゃったのが響いたか…)

阿部(ちゃんと見ていけば良かったな、最初から…)


中井「阿部、お前が打てない分は俺が稼いでやる」

阿部「……中井くん…」

中井「ふっ…」

阿部「デッドボール気をつけてね」

中井「持ち出すな、それを!」


中井「さあ来い…!」

時任「このまま全員、お陀仏だぜぇっ!!」

 ビシュゥッ
 ズバアアアアンッ

<ボール!

中井(俺は辛抱強さを覚える…! こいつの荒れ球は、見ていく…!)

<ボール、ツー!

<ストライーク!

<ボール、スリー!

中井(カウントは3-1…! これなら…!)


 ズバアアアアンッ

<ストライク、ツー!

中井(フルカウント…!? まさか、もう1球ゾーンに投げられるのか…!?)

中井(どうする――振るか、振らないか――)


時任「こぉのまま、いってやんよぉっ!!」

 ビシュゥッ

中井「――打つ!」

 ブゥンッ
 ギィィンッ

<な、か、いがぁっ…!?

<打ったぁああああっ!?

<ナイバッチ中井ーっ!!


中井「よしっ…!」

中井(あの投手、勝負強さがあるみたいだし…見てたら見逃し三振になっちまうんだよな、きっと)

中井(だったらまともに前へ飛ばせなくても、出られる確率がある分、振りにいった方がマシってもんだ)

中井(やたら重くて長打のつもりがシングルヒットだったけど…)



 下1 佐野っち!!

 1~3 中井が打っちゃうとさあ…
 4~6 連打きたぁーっ!!
 7~9 さす佐野やでぇ…


佐野(………まぁた中井が打ちおったか…)

佐野(あいつが打つと調子狂うんじゃがのう…)

中井「佐野、頼むぞぉっ!!」

<佐野ぉー!

<ぶちかませぇーっ!!


佐野(ま、ええわ…)

佐野「……来い」ゴゴゴ

時任「フハッ…それでいい」ゴゴゴ

時任「それでこそ、熱い勝負ってもんだよなぁっ!!」

 ビシュゥッ
 バッシイイインッ

<ストライーク!

佐野(こいつ…ここにきて、さらに球威が増してるんとちゃうか…?)

佐野(じゃが直球頼りの勢い勝負しかできん投手が、このワシを打ち取れると思うな!)


 ビシュッ
 ギィィンッ

佐野「ぬ――!?」

坂上「オーライ!」

 パシッ

<アウトー!

時任「うおっしゃらああああああっ!」

中井「クッソ、佐野、頼むぜ?」

佐野「……お前、打順替えろ」

中井「は?」

佐野「5番になっとけっちゅうんじゃ…」

中井「何でだよっ!?」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃唐┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 松坂に新武器のクロスファイアーができちゃいましたからね…

 1~6 互いにピンチを迎えるも無失点で切り抜けつつ…6回まで終了
 7~9 松坂絶好調で6回まで終了や!


阿部「これまで通りなら、もう時任くんは投げないだろうね。外野に入ると思うよ」

佐野「ほんで、2番手はどうなんじゃ?」

阿部「説明したのに覚えてないの?」

田中「ぶっちゃけ時任ばっか頭にあったしな!」

阿部「はあ…。2年生の投手で、夏大会でも登板してた選手だよ」

阿部「時任くんに比べればボールも遅い。だけど制球力は悪くない」

阿部「得意球はフォーク。そこそこ落差もあるから打ちにくいだろうね」

阿部「とにかく、このまま無失点で切り抜けよう」

 『おうっ!』


佐野(ワシの役目…)

長島(俺の役目は一体…?)




┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃唐┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部(松坂くん、サイドが絶好調みたいだね)

阿部(それもクロスファイアーが。角度も威力も申し分ないし、これは充分に通用する武器だ)

阿部(このまま流れを掴み取ろう!)



 下1 さあ、7回表!

 1~3 いきなりクリーンナップ!!
 4~6 唐栗は2番からの好打順…!
 7~9 5番時任からか…てことは、やっぱ守備に残るんだろうか…


坂上「そろそろ本気で、打たせてもらうか…」

阿部(この回はいきなりクリーンナップ…。いくら松坂くんのクロスファイアーがきてるからって、そればっか見せてちゃ打たれそうな…)

阿部(だけど今は、この武器に懸けてみたい。いくよ、松坂くん)

松坂「…ふぅーっ」

坂上(打席だと事前のデータ以上のサイドだったが…)


 ビシュゥッ
 バシンッ

<ボール!

坂上(この捕手のリードの癖、何となく読めてきたぞ…)

坂上(初球は様子見に振られてもいいボール球を投げる。だから最初は見送ってもいい)

坂上(そして次に仕込みとなる見せるためのボール。こいつがゾーンか、ボールか――)


 ビシュッ
 ブンッ
 キィンッ

<ファール!


坂上(ボール球だったか…)

坂上(だが、次はゾーンにくる。そうして追い詰めるつもりだろ?)

坂上(でもタダじゃゾーンへこない。カットか、チェンジアップか、クロスファイアーか――)



 下1 vs坂上!! 絶好調:+1

 1~3 長打がきたっ!?
 4~6 うおっ、打たれた…ま、まあね…この打者相手にシングルヒットなら…うん…
 7~9 よっしゃ、坂上恐るるに足らず!! 中井と似たようなもんか!!


 ファ―――――wwwwww
 本日二度目ですか…


 下1 【00コンマ判定】

 偶数 松坂が止まらない…スタミナオバケで疲れも見せない…ド変態の称号に相応しい投手っぷり!?
 奇数 ぴぴぴぴっピッチャーライナー!? マグレ捕球するも、右手がっ…



 尚、本日はここまでの模様…
 明日も明後日も仕事やけんね…

はじまるぞよ…ぞよ…ぞよ…


 ビシュゥッ

坂上(直球――)

 ブンッ
 クイッ

坂上(カットか――!)

 キインッ

松坂「!?」

阿部「松坂く――!?」

 バッシィッ

<あ、アウト!

坂上「っ…」



阿部(ふぅ…良かった…。かなり力のあるライナーだったから、体に当たるんじゃないかと思ったけどとっさに手が出たって感じか…)

松坂「~っ…」

松坂(痛ったあああああああぁぁぁぁぁぁぁ…)

松坂(何今の、打球…痛い……痛ったいぃ~…)


阿部(あれ、松坂くん、手が…?)

阿部「すみません、タイムお願いします」

<タイム!


阿部「松坂くんっ、大丈夫?」

松坂「ご、ごめん…ちょっと勢いというか、強すぎた打球だったっていうか…だけだから…」

佐野「あんなライナーをモロで捕ったんじゃからのう。グラブ外してみい」

松坂「う、うん…」

田中「いつ見てもおもしれーグローブだよな…」

阿部「っ…松坂くん、この手…!」

佐野「腫れとるのう…。左で投げとるとは言え…こりゃあ…」

松坂「っ……だ、大丈夫だよ。い、いつもこんな感じ――」

阿部「そんなはずないでしょ」

松坂「…」


佐野(普通に考えれば松坂に投げ続けさすんは、こいつを潰すようなもんじゃ…。が…左で投げられると言えば、投げれる…)

阿部(でももし、右手の治療が遅れたばかりに重大な損傷になったりしたら…? 右手が再起不能になれば、投げることも、捕ることもできなくなる)

田中(野球生命とおさらば、ってことになっちまうよなあ…?)

松坂(な、何かみんなして…怖い顔してる…? だ、ダメだ、足を引っ張るわけには…エース、なんだし…久遠くんがいないにしても…今は…)

松坂「大丈夫だよ…。ちょっと、見てくれが、派手になってるだけで…ま、前にもこういう感じになったことあったけど全然――」

阿部「松坂くん」

松坂「っ…」

阿部「…………もう二度と、このチームで野球ができなくなるかも知れないって思っても…そうやって誤摩化そうとする?」

松坂「…!」


 下1 松坂…

 1 決勝戦で、また自分のせいで負けたくないって主張。事故だろうが何だろうが、自分のせいは嫌だ
 2 例え最後になったって、本物のエースは途中でマウンドを降りない
 3 気持ちは投げたい。でもそれで後々、迷惑をかけたくはない…。だから、みんなに従う…



松坂「………例え、最後になったとしても」

田中「…」

佐野「…」

阿部「…」

松坂「……き、きっと、本物のエースはマウンドを降りない……と思う」

松坂「久遠くんがいないから…消去法でもらったエースナンバーでも…僕はこのチームで、エースでいたい……です」


田中(こいつ、そこまで…)

佐野(投手にしちゃあ主張も強うないと思うとったが…やっぱこいつも投手じゃの…)

阿部「…」

田中(けどこういう時、阿部は…)

佐野(絶対に、うんとは頷かんやつじゃっちゅうんはお前が分かっとるじゃろう)


松坂「……投げるよ。左で」

阿部「…」



 下1 阿部…

  1   分かった? だと?
 3~6 阿部は激怒した
 7~9 もう充分だって…


阿部「…もう充分だよ」

松坂「っ…?」

阿部「きみはもう、充分、立派にこのチームのエースだよ」

阿部「夏の大会でも痛みを隠して投げ抜いてくれた。すでに松坂くんのその覚悟は、チームの誰もが知ってる」

阿部「だから言うよ。ここで無茶して投げるなんて言うのは、エースじゃない」

松坂「っ…!」

阿部「あとを託すのも、エースの役目だよ」

松坂「た、託すも何も…! だって、替えの投手なんていないのに――」

阿部「松坂くん、マウンドを降りて」

松坂「!?」


佐野(こいつ…)

田中(こんだけ腹括った松坂に、なんて冷淡に…)


阿部「この舞台は、県大会の決勝戦だ。ここで棄権負けの準優勝になったとしても関東大会には繋がる」

阿部「それまでに手を治す。それが、今の松坂くんが第一に考えることじゃないの?」

松坂「っ……で、も……治るなんて、保証…」

阿部「治るなんて保証がないのに、このままプレーを続けようなんて考えてるなら二度とマウンドに上げない」

松坂「…あ、阿部くんにそんな権限ないよっ!」

阿部「監督だってそう考えるよ、絶対に」

松坂「~っ…」


佐野「…松坂、お前はようやったわ」

田中「そーだな。だってこのまま投げてりゃ、決勝でも完封だったんだし? お前はすげー投手だって」

田中「だから、早いとこ手ぇ治せよ」

松坂「……っ」

阿部「…このまま投げられない悔しさも、投げ続けさせてくれなかった恨みも、俺に向けていいよ」

阿部「もう二度と俺とバッテリーを組みたくないなら、それもしょうがない」

阿部「松坂くんにどれだけ怒られて、恨まれようが、俺はこの決断を変えるつもりもない」

阿部「だから早く、ベンチに戻って。……医者に診てもらわないとダメだよ」




 下1 負けた…

 1~3 右手の負傷は…到底、関東大会までに治りそうもない…
 4~6 どれだけ強がってみせようとしても、ボールを捕れもしない痛み…
 7~9 そしてひたすら、右手以外のトレーニングに励むようになった松坂…希望は、捨てられない
  0   良いこと確定


医者「…………良くないですねえ」

医者「…うん、これこれこうで、良くないですよ」

松坂「…」

長島「そうですか…」

医者「ボール触るのは絶対禁止ですよ」

松坂「………さ、触るくらい」

医者「触るだけならいいですよ」

長島「握るのは禁止だ」

松坂「」


長島「どうもありがとうございました、先生」

松坂「…ました…」

医者「はいお大事に」



長島「…」

松坂「………か、監督、関東大会は…?」

長島「お前の手は、間に合わんだろうな…」

松坂「……そ、そうなったら…」

長島「最悪は、出場辞退ということになるだろう。可能な限り、手は打とうと思うが――」

松坂「僕の、せいで…」

長島「……松坂、プレー中の事故だ。誰を恨むこともできはしない。それは己自身についてもな」

松坂「で、でも…」

長島「今日はまっすぐ帰宅をしろ。タクシー代だ」つ現ナマ

松坂「っ……」




 下1 帰れって言われたって…

 1 帰るよ、まっすぐ…
 2 ぶらぶら…
 3 こっそり学校へ…


 ブロロロロ…
 キィッ

運ちゃん「はい到着ね」

松坂「…どうも」チャリン


松坂「はあ…」

松坂(……もうちょっとで、県大会制覇だったのに…)

松坂「…」

松坂「はあ…」




 下1 失意の帰宅…

 1~3 悔しくて眠れない、長い夜だった…
 4~6 阿部くんから謝罪電話…
 7~9 メールやら電話やら、みんなから…


 下1 0コンマ

 偶数 関東大会で投げられる投手がいないだと?
 奇数 忘れていないか、新摂の大エースの存在を!!

 ※単なる様式美のコンマだから何だろうが関係ないのだ


 prrrrr…

松坂「ん…?」ゴロ

松坂(あれ、知らない番号…? 誰からだろう…? もう、夜中なのに…)

 pi

松坂「もしもし…? 松坂ですけど……」

久遠『………久遠だ』

松坂「…久遠、くん…?」

久遠『今日の試合、残念だったな…』

松坂「…………うん…」

久遠『…』

松坂「…」

松坂「…………僕、エースナンバーも、公式戦の先発も…ううん、ベンチ入りメンバーも、初めてだった…」

久遠『…そうか』

松坂「…それなのに、夏も…この秋も…僕のせいで、負けちゃった…」

松坂「………阿部くんは、また投げられるように治すのがエースだって…言ってくれたけど…」

松坂「……間に合わない…って、言われて…。これじゃ、僕なんて…」

久遠『…………お前は、間違いなく、新摂のエースだ』

松坂「そんなことっ…」

久遠『だから、正直、気が進まないと思ってる…』

松坂「…?」

松坂(そう言えば、何か…電話越しに声が聞こえる…ような…?)

久遠『…それでも…お前が、自分のせいで関東大会に出られないなんて思って、塞ぎ込むくらいなら………』

久遠『いや…違うか…。難しいな…。………俺のように、迷惑しかかけてないやつでも、お前が投げていいと言うなら…』

松坂「…っ」

久遠『……チームのためか、お前のためか…って言うと、正直、どっちでもない。俺も…投げたいと、思ってる』

久遠『だから…エースのお前のために、チームのためにも、俺自身のためにも……投げさせて、くれないか?』


松坂「久遠、くん――?」

阿部『松坂くん、そういうことだから!!』

松坂「!?」

佐野『今日づけでむりくり復学じゃ、久遠は! 監督が病院から帰ってすぐ、久遠を学校へ戻すために走りまくったんじゃ!』

田中『お前はベンチで俺らの活躍を見てればいい!』

中井『なのに、この野球バカが、お前がエースだからそれを差し置いていきなりマウンド立つなんてできねえとか言ってんだ。何とか言ってやれ!』

阿部『背番号1は、今シーズンいっぱい松坂くんのものだから!』

佐野『松坂ァッ、返事せえ!! 久遠、お前が返事を聞け!!』


松坂「っ…」

久遠『………まあ…うちの、家のことは、今は気にしないでくれればいい。……頼む、松坂』



 下1 いいタイミングで0がきてくれたのだ…

 1 本当に…今シーズンは背番号1でいいの…?
 2 でも…投げられるの…? いきなり…
 3 本当は嫌だけど…関東大会制覇と引き換えなら…


松坂「本当に…今シーズンは背番号1でいいの…?」

松坂「………試合にも…きっと、出られないのに…」

久遠『……ああ。エースはお前だ』

松坂「……………お願い…します…」

久遠『…………ああ。任された』

松坂「……頼りないエースで…ごめんね…」

久遠『大丈夫だ、心配するな。………次の春から、エースは俺だからな』

松坂「!」

久遠『言っただろう。エース争いだ、春からはな』

松坂「……うん」



 下1 秋季大会ボーナス

 1 コントロール上昇
 2 変化球上昇
 3 スタミナ上昇(MAX)


松坂「…」コソッ

松坂(お医者さん行ってたら、練習遅れちゃった…。もう、久遠くん、ブルペンいるよね…?)チラッ

 ズバアアンッ

松坂「っ…」


久遠「………ダメだな」

阿部「コース甘いよ」

久遠「ああ…。もう1球」

 ズバアンッ

阿部「ダメダメ」

久遠「………投げてもムダだな。走ってくる」

阿部「行ってらっしゃ――あ」

久遠「ん?」

松坂「……お、おはよう…」

久遠「……ああ。おはよう、松坂」

松坂「…おかえり」

久遠「…ああ」





新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:142キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(52)
チェンジアップ:D(40)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる
クロスファイアー:左投げ時、対角線への投球で球威と制球力がグンと上がる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 関東大会…

 1 どーせ松坂出えへんし、飛ばしたろ?
 2 ざっくり進行にしとこうや。1試合ずつぐらいの
 3 え、しっかりやるのん? 細かくはやらんで?


佐野「4回勝てば関東最強じゃ!」

佐野「松坂は登板せんが、久遠が最後まで投げぬく!」

佐野「松坂とどっちが使いもんになるか分からんからのう、豪打必勝で駆け上がるぞォッ!!」

 『おうっ!』


佐野「っしゃ、行くぞボケどもがあっ!」

 『うおおおおおおおおお―――――――――――――――――っ!!』




三橋「松坂くんは怪我をしたままなのに、関東大会へ出場するなんて…」

広田「けど、久遠くんがまさか…新摂にいたとは…。何で今まで、1試合も出なかったどころか、ベンチにも入れなかったんすかね…?」

三橋「さあ…?」

広田「もしかして故障明け…?」

三橋「……だとしたら、新摂は窮地ね…」




 下1 1回戦! 久遠、高校野球で初登板!

 1~3 1回戦なのに辛勝…。ブランクはデカいか…
 4~6 まだ本調子じゃないにせよ、勝った
 7~9 投打に渡って大活躍! やっぱすげーわ、久遠…春からのエース争いヤバいんとちゃう…?


<ありがとうございましたぁっ!!


三橋「…」

広田「…」

三橋「……故障明け…じゃないのかしら…?」

広田「ていうか…安定感もあったし、1年生で初登板としては文句つけられない結果なのに、ずっと首捻りながらプレーしてましたよ…」

三橋「……これはますます、新摂が楽しみね!!」

広田(つーかこんな投手いるなら、何で今まで投入してこなかったんだ…?)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃2 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃3 ┃× ┃6 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



松坂「久遠くん、ナイピッチ」

久遠「いや、まだダメだな…。運が良かった、今日は」

松坂「え…」

阿部「うん。松坂くんには遠く及ばないね」

松坂「ええっ…? だ、だって…ブランクもあるのに、普通に、被安打5…無失点…得点圏には1回しかランナーが――」

阿部「いやいや、カーブのキレも悪かったし、制球も荒れてたよ」

久遠「それに終盤、フォアボールを出しすぎた。体力が落ちてる証拠だな」

阿部「とりあえず走り込み増やそうか?」

久遠「そうだな」

松坂「た、大会中だよ…?」


佐野「ムダじゃ、こいつらにそんなこと言うたところで…」

田中「松坂と違って、守っててつまんねーしな~」

中井「そうそう。打球が飛んでこねえんだよ」

久遠「打たせて取った方が球数も減らせるな…。今後の課題にしよう。阿部、どういう組み立てになるんだ、その場合は」

阿部「んー、個人的にはガンガン三振狙いがいいと思うんだよね、久遠くんは。その方が相手が絶望してくれそうで」

松坂(何か色々と言いたい…!!)


松坂(でも……久遠くんが、チームに戻ってきてくれた…)

松坂(悔しさはあるけど…やっぱりすごいな、久遠くん…)



 下1 2回戦(準々決勝)!!

 1~3 さすがにブランクあるしね…負けたか
 4~6 辛くも勝利!
 7~9 投球の安定感は1回戦に比べて薄れてるけど、打撃が光ってね! 打ち勝ったよ!


久遠(もう少し…アウト、あと1つなのに…)

阿部(やっぱりスタミナオバケの松坂くんと比べると、終盤の安定感がな…)

阿部(立ち上がりは良かっただけに、あそこでもう少しセーブさせるべきだった――いやいやっ、試合はまだ終わってない!)


田中「打たせろ、久遠!」

佐野「ビビってんとちゃうぞ、ボケぇっ!!」

中井「タッチアップだろうが、俺が刺してやる! どんと投げろォッ!」


久遠(あと1つ――!)

 ビシュゥッ
 ギィンッ

久遠(捕れる――!)ダッ

<久遠がっ!

<いや、抜けたぞっ!?


田中「だぁらっ、クソがあっ!」ビシュッ

 ズザァッ
 バシッ


<セェーフ!!

<ゲームセット!!

松坂「っ…」

長島「…整列だ、行け」

松坂「……はい」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃1 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃1×┃2 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



久遠「済まない、松坂」

松坂「ううん、すごかったよ。僕は多分…もっと打たれてた…」

久遠「いや…結果が全てだ。これが今の、俺の実力だな…」

阿部「はいそこっ!」

松坂・久遠「「っ」」

阿部「のんびり話してないで、ダウン!」

久遠「あ、ああ…」

阿部「で、松坂くんは手伝ってあげる。荷物持ちもできないんだし、片腕でちゃんと久遠くんのダウンにつきあってあげてよ」

松坂「う、うん…」


佐野(あいつは投手の手綱取るんがうまいんか…? それともうちの投手どもが扱いやすいんか…?)

田中(チクショー、俺の肩がイチロー並だったら刺せたのに…!)

中井(結局、この試合1安打だけ…! もっと鋭く打てれば…)


長島「…秋季大会は、2回戦止まりか」

夕実「でも久遠くんも復帰してくれて…松坂くんが怪我を治せば、今度こそ全国制覇ですね!」


長島「――諸君。秋季大会は、あと2つの勝利をもぎ取ることができなかった」

長島「各自、悔しさはあるだろう。その悔しさを決して忘れるな」

長島「オフは徹底的に体を鍛え、虐め抜く」

長島「そして来年、2人のエース“候補”と」

松坂「っ…」

久遠「…」

長島「新たな“戦力”と」

阿部「…」

中井「…」

長島「次こそは全国制覇を取る!」

長島「戦いはすでに始まっている、まずは全員、敗戦の罰として俺がいいと言うまで走っていろォッ!!」

 『はいっ!!!』



夕実(監督、厳しい…)

夕実(けど…みんな、嫌がるどころか喜ぶみたいに走ってる…)


佐野(次は負けん、どこにも負けんぞ!)

田中(松坂と久遠が揃っといて負けたら、野手のせいだかんな! 俺がパワーアップすりゃ、次こそ狙える、甲子園!)

中井(オフになりゃ遊べる時間取れるかもとか言ったけど、そんな時間もなさげだぜ、こりゃ。ま、悪くねえんだけど!)

阿部(松坂くんと久遠くん――先発させるなら、やっぱり久遠くんか。でも松坂くんの勝負強さも捨てがたい…。松坂くんが先発だとしたら久遠くんは………)

久遠(徹底的に走るか。電車一駅分、ランニングに充てるか)

松坂(今は走るしかできないし…とにかく走る…!)


夕実「よーし、おにぎりいっぱい握っちゃおうっと」

長島「…………わたしの分も、握ってくれるのか?」

夕実「え、監督も…食べるんですか……?」

長島「…」





 新摂後攻

 夏大会:県ベスト4
 秋大会:関東ベスト8



 TO BE CONTINUE ...?

そーゆーわけで、1年目終わりってことで…
とりあえず明日も仕事なんで今夜はここまでっす

詳しくは明日!

新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:142キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(52)
チェンジアップ:D(40)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる
クロスファイアー:左投げ時、対角線への投球で球威と制球力がグンと上がる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ

みなさんこんにちは
昨夜、新摂の1年目が終了しまして、今後の進め方についていくつか提案させていただきます

1:このまま継続
  松坂を動かしながら新摂高校2年生として、新入生を迎えたりしながら甲子園制覇を狙いませう

2:新摂で、新選手で継続
  1年目の新設校とは思えない結果を叩き出した新摂高校の第2期新入生として甲子園制覇を狙いませう

3:別の高校へ
  新たにキャラメイクをして、新たな高校で甲子園制覇を狙いませう
  もしかすればNPC高校として新摂他、ネームド学校が登場して立ち塞がるかもですがそれも一興
  松坂と久遠YABEEEE とか 佐野KOEEEEEEE って事態もあるかも…?


ちなみに、3を選んで、それからまた新摂へ~…ってことはできなくもないとは思いますが、
時間が経てば脳みそのちっぽけないっちが「あれこいつこんなキャラだっけ?」みたいにしてしまう可能性もなきにしもあらず…

3を選んで、新摂が敵として出てきて、それからまた新摂に戻る…みたいなパターンだと、
敵として出てきた新摂はIf的なサムシングの存在になります


まあ、1が無難でいいかなといっちも思うし…冒険しても2かな、って思いますが
そういう思いつきがいっちにはあるんです。ということです。

ではシンキングタイムてことで、またーりオフな日々のオマケでも思い浮かんだら投下していきまっせ
本編というか、どうすっぺ~て決めるのはまた後になります(具体的な時間は未定だけど今夜のうち


 【オマケ・スタミナオバケのド変態、松坂くん!】

田中「ゼハァー…ゼハァー…」

佐野「はぁ…はぁぁっ…」

中井「ふっ…ふっ…」

阿部「足腰が…もう…」

久遠「…………体力が、落ちたな…」

松坂「走るだけなら特に問題なくて良かった…」←スタミナオバケ

田中(何でこいつだけっ…!)

佐野(こんな平然としとるんじゃ…)

中井(マジでオバケだな…こいつのスタミナ…)

阿部(オフの一切ボールに触れないトレーニングで、こうもけろっとしてるんじゃな…)

久遠(やはり松坂はすごいやつだな…)


田中「まーつーざーかぁ~…何でお前は……そんなに、持久走だけは得意なんだぁ…」

松坂「えっ…?」

中井(こういう時、やっぱ田中だよな…)

松坂「何でも、何も…」

久遠(秘訣があるのか…? スタミナをつけるための参考になればいいが…)

松坂「…………走ってると、気持ち良くなってこない…?」

田中「出たー、ド変態発言!!」

阿部「へーんたい、へーんたい!」

久遠「なるほど…変態になればいいわけか…しかし松坂クラスの、となると…」

中井「お前らふつーにそれ、虐めって言われてもおかしくない反応だからな?」

松坂「分からないかなぁ…?」

佐野(ふっつーにランニングハイってやつじゃろうが…理解はできんのう)


 【オマケ・野球バカ≠バカ】

田中「うっしゃ、オラ、授業終わったぜぇーい!」

中井「しかも今日に限って、何故か監督がボール触る許可くれたぜぇっ!」

佐野「っしゃ、今日はフリーバッティングじゃ!」

久遠「阿部、ブルペンだ」

松坂(みんなテンション高いなあ…。まあ、気持ちは分かるけど…)

田中「よぉっし、着替え完了っ! グラウンドに一番乗りぃ――」

長島「諸君!!」

田中「うおおおおっ!?」

佐野「監督…?」

中井「ど、どうかしたんすか? つか、そのビミョーに似合ってないスーツは…?」

長島「本日、試験の結果が全て返ってきているはずだ」

全員『!?』

長島「5科目の平均点が学年平均以上だった者、挙手をしろ」

<ざわざわ…


長島「ふむ…これで全てか。ならば、お前達はボールもバットも自由に使え。何なら紅白戦だろうが、勝手に始めても構わない」

<いえええええーいっ!!

長島「そして、平均以下だった諸君には、わたしからスペシャルメニューを与えよう」

<ざわっ…

長島「今回の試験の要点を絞り、特別に作成していただいた問題集だ。学内外で注目を集めざるをえない諸君の学業が不振だと、何より諸君らがバカにされかねない」

長島「だからこそこの問題集を全て解き終わるまで、わたしは鬼のごとく監督しよう」

<ぎゃああああ――――――!! 鬼監督ぅっ!!


田中「ちぃっくしょぉー…どーして部活の時間に勉強なんだよぉ…」←130/144位

中井「バカだからだろ…。ほら、ちゃんとペン持てよ。教えてやってるんだから…」←31/144位

久遠「…松坂、これ分かるか…?」←140/144位

松坂「うぅーん……分からない…」←98/144位

阿部「てゆーか2人ともどこまで分かってるの…?」←7/144位

佐野「何でワシまで…!」←69/144位

田中「キャップはちゃんとバカどもの面倒を見ろってことだよ!」

佐野「てめえはてめえで、バカって自覚あるんなら勉強せえ!」


夕実「うぅぅ…わたしまでなのぉ…?」←84/144位

長島「マネージャーとは言え、学生の本分は勉強だぞ」

はてさて、ぼちぼち決でもとりませうかね。
ま、1っすよねきっと

1:このまま継続
  松坂を動かしながら新摂高校2年生として、新入生を迎えたりしながら甲子園制覇を狙いませう

2:新摂で、新選手で継続
  1年目の新設校とは思えない結果を叩き出した新摂高校の第2期新入生として甲子園制覇を狙いませう

3:別の高校へ
  新たにキャラメイクをして、新たな高校で甲子園制覇を狙いませう
  もしかすればNPC高校として新摂他、ネームド学校が登場して立ち塞がるかもですがそれも一興
  松坂と久遠YABEEEE とか 佐野KOEEEEEEE って事態もあるかも…?


 19:23~ 多数決

 先に3票集まったのを採用ってことで!

はい、けてーい

やっぱりそうですよねー

ほならね、オフなんだけど…ぶっちゃけ、あんまり強化してもね?って思っちゃうわけですよ…
コンマが絡んでくるとは言え、あっさり勝ってもあれだしって思っちゃうしさ

だから、オフは飛ばしてもいいかなー…なんて
いいかなあ?

じゃあ、ざっくりオフでいいかなあ…?
イベとかメインで

あざっす
じゃ始めます


監督「よし、諸君。よくぞポールダッシュ120本という試練を乗り越えてくれた」

中井「や、やっと終わる…」

阿部「走ってばっかだよ…」

田中「は、走るだけならぁっ? お、俺、得意だしぃっ…?」

佐野「ほなら、さっさと素振り――」

監督「このまま次は、ベーラン30周だ」

<鬼ぃーっ!!

<鬼監督ぅーっ!!

松坂「だ、ダッシュは…疲れる…」

久遠「そうだな…」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:142キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(52)
チェンジアップ:D(40)

打力:C(65)
筋力:D(60)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる
クロスファイアー:左投げ時、対角線への投球で球威と制球力がグンと上がる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「諸君、よくぞベーラン30周という試練を――」

佐野「素振りじゃあっ、500本とっとと振って帰る――」

長島「腕立て20回、腹筋30回、階段昇降4階までを5往復で5セットだ!」

<鬼、悪魔、長島監督っ!



 下1 これがほぼ毎日なオフっす

 1 帰りにみんなで買い食いしよーぜー
 2 もうすぐ冬休みだな、わくわく!
 3 あの鬼監督のプレイベートを暴いてやろーぜ!

そういえばこれ何県なんだ
仮に北東北とかだったら冬中、春先はグラウンドなんて使えないわけだが


田中「死ぬ…死ぬぅ~…」グッタリ

佐野「バット振って帰らんかい…」グッタリ

阿部「って言いながら佐野くん…全然動いてないじゃん…」グッタリ

中井「そりゃ…まあ…ハードすぎたしな…今日もまた…」グッタリ

久遠「先に帰る」

松坂「ばいばい、久遠くん」

久遠「ああ」

 バタム

中井「………着替えるか…」

佐野「素振りせえ…」

中井「家で風呂入ってからやるよ…」

田中「とか言って振るのはバットじゃなくて腰だったりしてな」

阿部「股間のバットばっかり振ってるから中井くんなんだよ…」

中井「そろそろ怒っていいタイミングだよな、松坂?」

松坂「え、い、いやあ…うーん……」


佐野「そうじゃ…阿部、松坂ぁ…」

松坂「うん?」

阿部「何ー…?」

佐野「冬休み中のこと、お前ら…監督に何か聞いたか?」

松坂「……何も…」

阿部「聞いてない…ねえ…?」


田中「ま、まさかっ!? 俺らに、休日が訪れるのかっ? 夏休みだって1日もなかったのに!?」

田中「春からずぅーっと、毎日毎日毎日、お前らの顔を見続けてきたのに、見なくていいことになるのかっ!? そうなのかあっ!?」

佐野「実家に帰るかのう…」

阿部「うーん…年末年始の2日も休みなら俺はいいんだけどなあ…。松坂くんは?」

松坂「特に用事らしいのは…お年玉もらいにいくくらい…?」

田中「ばっかもーん!! お前らァッ、何を考えている、何を考えているんだァーッ!?」

中井「何をお前はキレてんだ?」

田中「冬休みと言えば!! 冬休みと言ーえーばぁっ、クリスマスがッ、あるんだろーがぁああああっ!!」

田中「高校生になったのに、いまだ彼女ができる気配もなしッ!! だが、クリスマスを1人で過ごすのがさみしいからという理由だけでッ!! カップルになれるようなこともあるのだァ―ッ! それを狙わずに、なぁーにが年末年始、お年玉ッ! 笑止千万とはこのことだぁーっ!!!!」

阿部「すごい熱弁だね、田中くん…」

田中「ってえことで、中井師匠ッ! 彼女の作り方、それからベッドの上でのマナーAtoZを教えてくださいッ!!」

中井「じゃ、お先~」

田中「待てや中井コラァッ!!」



 下1 田中くんは欲望に忠実だよね

 1 で、中井師匠? どうすれば好きな子とつきあえるのん?
 2 妄想は置いといて、みんなはクリスマスってどう過ごすのん?
 3 しかし本当に、あの鬼監督が冬休みだからって休みをくれるのだろうか…?

>>748 特に何も考えず関東にしてました 甲子園ってなった時に決めませう


松坂「ところでみんなは…クリスマスって、予定あるの?」

佐野「ないわ、んなもん」

阿部「だろーね!」

佐野「阿部てめえっ!!」

田中「俺はー、年上の美女とー、大人な夜を過ご――」

中井「年上はなあ…たまにめんどいぞ」

田中「ぬゎにー!?」


松坂「中井くんは………………デート?」

中井「さあ? キープしてたのも含めて、野球ばっかだったせいで軒並み音信不通だし、中にはビンタしてきたのもいたし…」

田中「ざまあwwwwww」

中井「っ…」

阿部「それ、県大会本戦の決勝らへんくらい? ねえ、それくらいには打てるようになってたよね? そういうこと?」

中井「っ…こいつら…!」


松坂「は、はは…。あ、阿部くんは?」

阿部「さあ? ふつーに過ごすんじゃない? 用事なんてないし、特別、クリスマスに夢見ないし」

阿部「で、中井くんは女の子いないならどうするの?」

中井「弟と妹が大好きだからなあ、イベントもの…。つきあわされるんだろ、どーせ…。嫌じゃねえんだけど」

松坂「意外といいお兄ちゃん…?」

中井「お前今、意外っつったか?」

松坂「……ごめんなさい…」


田中「んだよ、んだよ、お前ら、つっまんねーなあ? 浮いた話の1つや2つねえのかよ?」

中井「あったぞ?」

田中「お前は黙ってろォ!」



 下1 みんな暇人なのね

 1 あ、じゃあみんなで遊ぶ?
 2 で、松坂は種田と何すんだよ?  by田中
 3 まあ、クリスマスだから練習なしなんて監督が言うかも分からないし…


松坂「みんな、暇なんだね…」

阿部「松坂くんは?」

松坂「……例に漏れず…」

中井「だろーな」

田中「ぢぃっぐじょー!! リア充は爆ぜろォーッ!!」

佐野「とっととバット振って帰れ、ドアホ」

阿部「あ、じゃあさ。みんなでさみしくクリスマス過ごす?」

田中「…………乗った。今ここにさみしい男達同盟を締結する」

中井「まあ、いいけど…」

佐野「暇人どもめ。ワシゃパスじゃ」

松坂「えっ…佐野くん、こない…?」

佐野「………………しゃあないのう、そんなにワシがおらんと始まらんっちゅうならつきあっちゃるわ」

阿部「誰も言ってないぞキャップぅー」

佐野「阿部黙れゴラァッ!!」



 下1 そして、クリスマス当日…!!!

 1~3 久遠不参加か…(まだ久遠イベは終わってないからね…
 4~6 さあ、野郎だらけのクリスマスパーリナイトだぜ!
     4 阿部くんチ
     5 中井くんチ
     6 佐野くんチ
 7~9 夕実ももちろんいるんだぜィッ!


 ――クリスマス@佐野邸

田中「野郎の冴えない一人暮らしに、愉快な俺らが参☆上ッ!!」バンッ

阿部「メリクリー」

中井「意外と広いな。高校生で一人暮らしとか、根性あるっつーか……ヤリ放題なのになんてもったいない」

松坂「中井くん、本音出てるよ…」

佐野「ズカズカ上がりよってこいつら…」


松坂「ところで…集まって何するの?」

阿部「ノープラン!」

田中「騒ごーぜィッ!」

中井「狭いけど台所借りるな。やっぱクリスマスにはご馳走だろ?」

佐野「……好きにせえ。きっちり片づけてから帰れ」



 下1 やりたい放題なんだぜ、何せ佐野んチだからな!!

 1~3 遊ぶもん全然ねえええええっ!
 4~6 佐野の動物好きがいよいよバレてみんなに大笑いされる
 7~9 中井のうんまいメシ食って、爆笑しまくりの楽しい時間…


田中「あれ、何で本棚のここだけ布なんかかけてあるんだ?」

佐野「触れたら殺す」ゴゴゴ

田中「お、おう…りょーか――」

阿部「殺せるもんなら殺してみろーっ!」

佐野「!!?」

田中「やりやがった!?wwwww」

中井「何だ、ただの本じゃん。って、動物…?」

阿部「いやいや、これは、エロ本をこんな佐野くんらしからぬキューティアニマルカバーで隠してるだけだって!」バッ

田中「容赦ねえーっ!!wwww」

阿部「って、あれ……中身も、ふっつーに動物の…。子猫ばっか…」

中井「こっちは犬だな」

田中「お、この猫かわいいな」

松坂「…」ソソクサ ←避難


佐野「っ……っ………!」←何か色々とこらえかけてる

阿部「似合わねっwwww」

田中「佐野が…『おいでおいでぇ~、子猫ちゅゎ~ん♡』って?wwwwwww」

中井「ぶふっ、や、やめろっ…それ想像したらっ……ぶっ、アッハハハハッ!」

佐野「おーまーえーらぁー……」ゴゴゴ

阿部「この顔でっ!wwww」

田中「『よちよちじゃぁ~、こわないでぇ~』」

中井「だっははははっ!!」

佐野「ひゃっぺん死ねぇええええええ――――――――――――――っ!!」

<うおおーっ!? 佐野が暴れ出したぁーっ!?

<ギブギブっ、佐野、ギ――

<中井くぅーんっ!!!!

<次はお前じゃ、阿部えええええええっ!

<え、俺なの!? 田中くんじゃないっ!?

<阿部、お前なあっ!? やっちまえ、佐野ー!


松坂「…………中井くんの作ったローストビーフおいしい…」モグモグ




 下1 荒れたお部屋で…

 1~3 ぷんぷんな佐野っちと、いまだに笑いがとめられない3人…お料理おいしい松坂
 4~6 なんだかんだ、楽しく歌い出しちゃうらへん仲良しね
 7~9 みんなの筋力が上がったぞ!


 ブンッ
 ドサドサッt

佐野「効かんわぁっ!!」

阿部「丸めた佐野くんのインナーボールが全然通じない!?」

中井「任せろ、俺の肩でぇっ!」

 ブンッ

中井「ふぐぉっ!?」ドサッ

佐野「甘いわあっ! サードの打たれ強さナメんなぁっ!!」

田中「うおーっ、テーブルでガード!!」バッ

阿部「こうなったら田中くん…! この手しかないよ!」

田中「どんな手だ、阿部っ!?」

阿部「いけ、生贄っ」ゲシッ

田中「はかったな、阿部ええええええええっ!?」


松坂「…………手がなあ…」←まだ物握るな命令中



 下1 クリスマスと言えばプレゼント交換でっせ! 松坂が用意したのは…

 1 阿部くん用「(ド変態セレクト)R18じゃないけど限りなく不健全で[ピーーーーーー]な本」
 2 佐野くん用「(親友セレクト)めっちゃ分厚い子猫と子犬の写真本」
 3 田中くん用「(好きって聞いてた)アイドルグループのCD(握手券つき)」
 4 中井くん用「(失恋した男性のための)自己啓発本」
 5 松坂の趣味「(ド変態御用達!?の)決して不健全ではない漫画」


田中「ぃよおーし! それぞれ、自分のじゃないプレゼントが回ったな!?」

阿部「きてるよー」

佐野「ぬぅ…」

中井「誰のだろうなあ、これ…?」

松坂「…な、何か、ちょっと緊張…」


田中「それじゃあ、開封だ!!」

 ゴソゴソ…
 ガサガサ…



 下1 コンマ さあ、どうなる!?

 一桁が…もらったプレゼント
 1~2 佐野くんから、カップ麺… 
 3~4 田中から、ド直球なエロ本… 弾道が上がる…のか?
 5~6 阿部くんから、プロ野球名場面集… 守備が1上がるぞ
 7~8 中井から、「彼女ができる(かも知れない)方法100選の本」 モテ度が上がるぞ!
 9~0 この場にこれなかった久遠から野球用具をお手入れするものグッズ!? 投手能力が全て1上昇するぞ!

あ、二桁目で誰に松坂プレゼントが当たるか判定するつもりだったのに忘れた… めんご、なかったことにしてください


松坂「あ、本だ…」

松坂「………彼女ができる(かも知れない)方法100選の本……?」

中井「小4くらいでそれ読んでから失敗したことねえわ」

田中「ぬゎにー!? 俺なんか地味そーでつまんなそーな、DVDだぞ!!?」

阿部「えー、俺の不満なの?」

佐野「こんな使い古しみたいな熟女本、どうしろっちゅうんじゃ…」

田中「あ、それ大人の玩具屋で500円でガチャガチャしたら当たったやつ」

佐野「っ…」

中井「俺なんて、カップ麺1個だぞ…」

阿部「俺は大当たりだね。ほらほらっ、何かクロスとか入ってるし」

松坂「あ、いいなあ…」

松坂(あれ…? 僕のって、どうなったんだろ…?)

田中「ってえことは……久遠には、これか。誰のだ?」

松坂「何か申し訳なくなってくるかも…」



阿部「それじゃ、またね、佐野くん」

中井「人間にも興味持てよww」

田中「オバサン趣味になったりしてな!?wwwwww」

佐野「もっぺん締めるぞコラ」

松坂「お邪魔しました…」


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:142キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(52)
チェンジアップ:D(40)

打力:C(65)
筋力:C(62)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる
クロスファイアー:左投げ時、対角線への投球で球威と制球力がグンと上がる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手 ☆☆☆
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 クリスマスの次は、正月やな!!

 1 みんなで初詣いこかー
 2 練習初めからの合宿じゃーい!!! @1/2~1/6
 3 自主トレしないと…久遠くんにエース奪われる…


阿部「あけおめー」

松坂「あ、おめでとう」

中井「ふいー…寒いな、さすがに」

田中「あれ、佐野は?」

阿部「実家帰ってるよ」

田中「あいつの実家どこ?」

中井「さあ? なんとかじゃ、ってつく地方だろ?」

松坂「じゃあ、今日は4人だけ…?」



 下1 4人だけ?

 1~3 そうやで?
 4~6 久遠、くるやで?
 7~9 夕実、くるやで?
  0   監督…くるってさ…


阿部「いや、あと1人…」

田中「女子かっ!?」

久遠「俺だ」

田中「ちっ」

中井「おす、久遠。あけおめ」

久遠「ああ、ことよろ」

松坂(久遠くんて『ことよろ』使うの!?」



田中「あーあ、またむさ苦しい面子か…」

阿部「佐野くんじゃないだけマシじゃない?」

中井「そう言ってやるなって。案外、寂しがってるかも知れないぜ?」

久遠「何だ、佐野がさみしがってるのか? 写メでも送るか?」

松坂「何か…久遠くんて、ちょいちょいイメージと違うかも…」

久遠「そうか?」


阿部「何で遅れたの、久遠くん?」

久遠「一駅分走ったらな…」

田中「バカがいるwwww」

中井「野球バカがな」

松坂(ま、負けられない…帰りは走ろう…)

阿部「みんな、何をお願いするの?」

中井「んー…色々と願いたいことはあるけど…いっぱい願っちゃご利益なさそうだしな」

田中「だな」

久遠「俺は決めてる」



 下1 お願いか…

 1 甲子園制覇しかないよ
 2 野球が上手になれますように…
 3 か…彼女ができるようになったら…いいなあ、なんて…
 4 怖い一年生とか入りませんように…


 パンパンッ…

松坂(…………か、彼女とか、できるようになったらいいなあ…なんてお願いでも……いいですか、神様…?)

松坂「…」

松坂「…」


阿部(面白い投手が入学してきますように…っと)

阿部「…よしっ」


田中(もちろん全国制覇だぜっ!)

田中(俺らが最強ってのを名実ともに日本中に知らしめる!!)


中井(……んー…お願いか…)

中井(……家族が健康に過ごせますように…俺にデッドボールとかもうありませんように…)


久遠「…」

久遠「…よし、じゃあ帰るか?」


阿部「え、早いよ。久遠くん何か用事ある?」

久遠「ない」

田中「家にいて母ちゃんと過ごさなきゃ~とかも?」

久遠「ない」

中井「なら解散は早いだろ。な、松坂」

松坂「そう…だね」

田中「でも佐野がいねえんじゃ、佐野んチにたむろできねえしな…」



 下1 初詣イベ!! お願い:+2

 1~3 河川敷でみんなで遊ぶ…
 4~6 あれ? 夕実じゃね?
 7~9 あ、夕実だ! しかも晴れ着だ! かわいい!


 下1 0コンマ判定

 偶数 神様「その願い、聞き届けた…」
 奇数 神様「ならば彼女候補を増やそうではないか…」


阿部「にしても人が多いねー…ふぅーっ……甘酒、全然冷えないし…」

中井「何でこう、甘酒って正月といえば…ってポジションにいるんだろうな…」ズズ

久遠「夏の飲み物だった…とか聞いたことあるぞ」

田中「マジかっ!?」

松坂「へえ、そうなんだ…」

中井「てか松坂はもらってこなくていいのか、甘酒?」

松坂「何か…あんまり好きじゃないかなって…」

田中「松坂のくせに!」

松坂「それどういう意味――」

?「松坂…? さん…?」

松坂「っ…は、はい…?」



 下1 彼女候補登場や!

 お名前プリーズ


光「あ、あの…! ファンです、握手してください…!」

松坂「うぇぇっ!?」

田中「ぬゎにー!?」

中井「ま、つざかに…ファン…!?」

阿部「へー、良かったね」

久遠(受験生…? 学業成就のお守りつけてるしな…)


光「い、いきなりすみません…。あの、夏と秋の大会でずっと投げてたの、見てて…!」

光「それで…あの、どうしようこんなところで会えるなんて思ってなくて…あの、ええと…!」アタフタ

松坂「あ、い、いいえ、ぼ、僕なんて全然、そんなっ、大したことは…!」アタフタ

阿部「どーして2人でこうパニクっちゃうかな…?」

田中「何で松坂にファンがいるんだぁー!?」

中井「俺もファンいるけどな」

久遠「振られた彼女はカウントできないぞ?」

中井「……弟と妹っていうファンがな…」

田中「こいつっ!」


光「あ、あの…も、もし受験、合格してたら…! 新摂高校の野球部でマネージャーさせてもらうことってできますか!?」

阿部「大歓迎だよ」

田中「むしろ俺専属のマネージャーとして――」

中井「お前やめとけ、マジで。そういうの」

松坂「む、むしろあの、その…ぼ、僕なんかのために学歴決めちゃって大丈夫…!?」

中井「おいおい松坂…」

久遠「ファンか…。たまに変なのいるから気をつけた方がいいぞ」

阿部「経験者…?」



 下1 そして…?

 1 あっという間に新入生を迎え入れ――る前に何かあるのん?
 2 そんなファーストコンタクトでしたとさ
 3 あ、夕実だ


田中「このこのー、けっこうてか、割とかなりかわいい子だったじゃねえかよ」

松坂「だ、だけどそんな…い、いいのかな…? マネージャーやりたいだけで学校選ぶって…」

阿部「俺らも野球やりたいだけで学校選んだ身分だよ」

中井「そうなんだよなー」

久遠「受験、うまくいくといいな、松坂」

松坂「え? そ、それはそうだけど…でも何か複雑な…」


阿部「松坂ファンクラブができたりして」

中井「ありうるな」

田中「俺のファンクラブは!?」

久遠「田中はいいやつだからな。ありえるぞ」

田中「くおーん、お前ほどいいやつはなかなかいないぞー!?」ダキッ

松坂「ふぁ、ファンクラブはありえないよ…」



 下1 次なるイベントは…!?

 1 監督が鬼ならば、これは地獄か…ならしょうがないな…な合宿
 2 バレンタインデーでしょう、そりゃあもう
 3 誰かの友情イベやりましょか…?


 そわそわ…
 そわそわそわ…

<あの…鈴木くん…

<えっ…さ、佐藤さん…?


松坂「…」チラッ

田中「…」ゴゴゴ

阿部「…zzz」


田中「引き寄せの法則って、知ってるか、松坂?」

松坂「ひ、引き寄せの法則…?」

田中「そうだ。俺はよく知らないけど、きっと願えば自然と引き寄せられてくるんだ…。きっと、チョコが、俺のとこに…!!」

松坂「……ひ、引き寄せられるといいね…」

田中「ああっ!!」



 ――放課後

田中「…」チーン

中井「で…何で死んでるんだ、こいつ?」

松坂「チョコが、引き寄せられなかったから…?」

阿部「ない、ない。欲望まみれじゃ、そんなのないから…」

久遠「チョコか…」

佐野「んな甘いもんでよう盛り上がれるのう。はよう練習じゃ」



 下1 バレンタイン!! 中井プレゼント:+1

 1~3 夕実が部員みんなに義理チョコ配りました。田中はうれしさのあまり昇天しかけた…
 4~6 あれ、この義理チョコ…何かほかのみんなのより、大きいような…?
 7~9 まだまだ1人で、ボールを触らない地味~なトレーニング…をしていたら?


夕実「その前に、みなさんっ!」バンッ

田中「!!?」バッ

阿部「あれ、どしたの、種田さん?」

夕実「ふっふっふ…意気消沈して練習に身が入らない田中くんがいるんじゃなかろうかと、この敏腕マネージャーは読んでました!」

田中「!!!??」ジィィッ

夕実「さあみんな、練習前にこのチョコレートをどうぞ!」

<やったぁー!!!

<夕実ちゃんありがとぉー!!


田中「あ、ああああ…女神やでえほんまにぃ~…あーりーがーどぉー…ズビッ…」

夕実「あ、うん…どうも…」

佐野「チョコだけで大袈裟なアホどもめ…」

夕実「じゃいらない?」

佐野「………もらうもんはもらっとくわ」

中井「俺ももらう。ありがとうな、種田」

阿部「いっただきまーす」パクッ

阿部「あ、おいしーね」

久遠「…俺もありがとう」モグモグ


夕実「……は、はい、松坂くんも」つチョコ

松坂「ありがとう…」

松坂(もえらえるなんて思ってなかった…)ホクホク


松坂「それじゃあ早速…」ガサ

松坂(あれ……これ、何か……他のみんなより…)チラッ

田中「うめぇー!!」

中井「おい田中涙、涙。汚いから」つハンカチ

佐野「ほならさっさと練習じゃ。このお返しは甲子園にしとくわ」

阿部「あ、佐野くん、実はすっごくうれしかった?」

佐野「じゃかしいわ!」


松坂「………大きい…?」

夕実「…」ドキドキ




 下1 大きいよ

 1 偶然だよね?って本人に
 2 ありがとうって本人に
 3 一体何を返せばいいんだろうか…? by松坂

>>786 せやった…!!! すまんご、書き直すんご

実は言ってなかったけど今までも+1とか+2の反映されてなかった時あったんやで

>>799 すまんやで…すまんやでぇ… 指摘してくれたら可能なとこから書き直すから…




松坂「…」グッ

松坂「…」グッ

松坂「…」グッ


松坂(暇だ…)グッ

松坂(…でも…まだボール触っちゃダメって言われてるし…)グッ

松坂(地道なトレーニングをしてないと…)グッ


夕実「……まーつざーかくん」ヒョコッ

松坂「っ…種田さん…?」

夕実「ボールに触っちゃダメって言われちゃって、地味なトレーニングで退屈してる松坂くんによりどり情報を持ってきちゃいました」

松坂「よりどり…情報?」

夕実「今日は、バレンタインデー」

松坂「………より、どり…情報…?」

夕実「あ、今、自分に関係ないのにって思った?」

松坂「………………ちょっと…だけ…」

夕実「ところがどっこい、がんばってる高校球児の松坂くんにチョコレートを贈呈します」

松坂「えっ?」

夕実「マネージャーとしては当然かもだけどね」

松坂「ほ、本当? うれしい…普通に…」


夕実「はい、どーぞ」つチョコレート

松坂「い、いいの…? もらっちゃって…?」

夕実「もう、いいってば。何なら、あーんする?」

松坂「ええっ…?」

夕実「冗談だってば。手作りなんだ~。感想とか知りたいし…食べてみてよ」

松坂「う、うん…。じゃあ、いただきます…」パクッ

松坂「……………………チョコレートだ…」

夕実「……チョコ、だからね…」

松坂「……おいしい…」

夕実「本当っ? はぁー…良かった」



 下1 おいしい手作りチョコ!!

 1 でもこれ、みんなにも配っちゃうんでしょう?
 2 お礼は何すればいいでしょうか…?
 3 手作りのチョコをもらった初めてのバレンタインありがとうございました(平伏


松坂「あの…」

夕実「うん?」

松坂「お、お礼みたいなことは…何すればいいんでしょうか…?」

夕実「何で敬語なの?」

松坂「だって…何か……」

夕実「お礼かぁー…」

夕実「じゃあ、そうだなー…」

松坂「できれば…僕にできる範囲のことで…」



 下1 お返しは…?

 1~3 何でもいいよ…って何も期待されてない…?  by松坂
 4~6 甲子園に連れてって  by夕実
 7~9 またエースナンバーつけることでおk!  by夕実



夕実「えー? 松坂くんにできる範囲なの?」

松坂「ごめんなさい…」

夕実「じゃ、決めた」

松坂「…」ゴクリ

夕実「甲子園、連れてってくれる?」

松坂「へっ…?」

夕実「だって憧れでしょ? 甲子園優勝校の女子マネージャー」

松坂「う…うん…」

夕実「だから連れてってよ。甲子園」


松坂「じゃ、じゃあ…がんばります」

夕実「……そういうとこ、ほんとに松坂くんだね」

松坂「うぅ…」

夕実「でもやっぱり、そういうとこいいよね、松坂くんって」

松坂「……いい?」

夕実「うん、いいと思うよ? 天狗になってる人より。それじゃ、がんばってね!」

松坂「あ、うん…。ありがとう…」


松坂(…………いい?)

松坂(……悪くない=良い=好き!?)

松坂「………………………って、ないよねー…」

松坂「はあ…チョコの苦味が…口の中に………」



 下1 バレンタインイベも終わり! てことで、オフももう終わるよ!

 1 もうイベはないね!?
 2 何か、あったっけ? おせーて…いっちに…


<キインッ

<もうヘバったんかボケぇっ!!

<もう一丁こぉい!!


<オラ、声出せぇー!

<ちゃんとバット振り抜けぇー!


<ガンガン走れぇーっ!

<死ぬまで走れぇーっ!!



阿部「……それじゃ、松坂くん」

松坂「……う、うん…」ゴクリ

久遠「…」

阿部「…投げてみよっか。右で」

松坂「…うん」



 下1 松坂の、手は…!?

 1~3 あれれー?
 4~6 ……ま、まあ、握っちゃダメって言われてたのを忠実に守ってたから…
 7~9 完 全 復 帰


松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ

阿部「うおっと…!」パシッ

松坂「っ…」

阿部「大外れだね、今のは…」

久遠「…感触は?」

松坂「………な、んだか…違和感っていうか…前みたいに、投げられない…かも…」

久遠「………そうか」

阿部「ボールを捕るのは、もう大丈夫なんだよね?」

松坂「それは、大丈夫のはず…」

阿部「左腕はちょっとは投げるようにしてたし、そっちは問題ないにしろ…」

久遠「痛みがあるのか?」

松坂「んー…痛みって、言うか…もうちょっとあれしたら、あれかな…みたいな…」

阿部「かばっちゃうんだね…要するに」

松坂「うん…」

久遠「……まだ、リハビリはいるのかもな」

松坂「そうみたい…ごめん、阿部くん…」

阿部「左だけでも充分、通用するから。けど、無茶な右手のリハビリ及び練習は厳禁だよ」

阿部「それにほら、久々に投げるからってうまくいかないだけで、鳴らせばちゃんと投げられるかもなんだしさ」

松坂「そ、そうだよね」

阿部「まあ試合とかは左でしか投げさせないけど。左にグローブはめたら俺、絶対にしゃがまないから」

松坂「」



 下1 右腕は、封印…

 1~5 選抜は…ダメか…
 6~8 21世紀枠で選抜出場決定!
 9~0 春の選抜、出場決定


田中「……あーあ、久遠がもっとスタミナあったらなあ…」

中井「言ってやるな、お前は…」

久遠「悪い」

佐野「春の選抜なんぞ、出たとこで消耗するだけじゃ」

阿部「おおっ、大物発言な負け惜しみ!」

佐野「ああん?」

松坂「ま、まあまあ…」


阿部「ところでさ、ところでさっ」

佐野「何じゃ?」

田中「どした、阿部?」

阿部「今日からぼちぼち、新入生が練習に参加してくるみたいだよ?」

中井「本当か?」

阿部「監督情報です」

田中「うおっしゃ、田中軍団を作るぜぇーい!」

松坂「こ、後輩かあ…。緊張する…」

松坂(エース争い…ただでさえ、久遠くんもいるのに…さらに難しく…? 右投げもできないし…)



 下1 さあ、待望の新入生!! 有望選手は…

 1~3 1人…だけ…?
 4~6 2人か…
 7~9 3人
  0   4人だとぅっ!?


中井「そんで、やっぱ俺らの時みたいにスカウトが走りまくったのか?」

田中「いやー、熱心なスカウトさんだったな…。今となっては顔も覚えてねえけど」

阿部「それがね…」

佐野「何じゃ?」

阿部「んー、そこそこ大会で結果も出してるし、勝手に集まってくるだろ…って」

松坂「ん…?」

阿部「あんまり、熱心にスカウトしなかったんだって」

久遠「そうか」

佐野「…ま、ええわ」

田中「チィッ、壮絶なレギュラー争いで俺様のすんげーとこを知らしめたかったのに」

佐野「ほなら、さっさと練習じゃ。松坂、選抜がない分、しっかりコンディション元に戻せ。ええな」

松坂「う、うん…左は…」

中井「右はダメだったんだっけか?」ヒソ

久遠「ああ」


田中「っしゃ、じゃあ練習行くぞー!」

 ガチャッ

<おはざぁーっす!!!

田中「うおっ!? 誰だお前!?」

阿部「おや、もしやもしや?」

中井「噂をすれば何とやら…ってか?」

松坂(し、新入生…!?)



 下1 新入生唯一の有力選手…!

 お名前 + ポジション をセットでおなしゃす!
 ※セットじゃないと採用しないゾ☆


加賀「おはざっす、加賀茂雄っす!!」

阿部「加賀…」ボソ

佐野「おう何じゃ1年坊主か?」ゴゴゴ

加賀「うおーっ、佐野先輩っすよね!? ねっ!?」

佐野「ワシを知っとるんか」

加賀「はいっ!」

田中「俺はっ!?」

加賀「田中先輩!」

田中「うひょー! 俺、こいつかわいがることにする! 鬼みたいな先輩にならないって今決めた!」

加賀「よろしくお願いしま――あっ、久遠先輩と松坂先輩! 勢揃いじゃないですか!」

中井「おい」

加賀「中井先輩、ちゃーす!」


加賀「俺、去年の試合見てて、この学校の、あのチームで一緒に試合したいって思ったんす!」

加賀「先輩方、どうぞよろしくおなしゃーっす!!」

松坂(げ、元気な子だ…!)

阿部「で、ポジションは?」

加賀「投手っす!」

阿部「投手?」キラリーン

阿部「そっかそっかー、よろしくね。加賀くん」ニコニコ

加賀「はい、おなしゃす、阿部先輩!」

松坂(投手…!?)

久遠(どれほどのものだろうな…)



 下1 加賀ァッ!!

 1~3 うわこいつ万能型や…(松坂とステ被りそう…
 4~6 多彩な変化球と制球力
 7~9 かわええ顔してえげつない投手やぞ…
  0   サブマリン…だと…?


阿部「それじゃあ野手のみなさんはバットでも振り回しててくださいねー」

阿部「加賀くん、ブルペンおいで」

加賀「はいっ!」

久遠「こっちだ」

加賀「練習場、綺麗っすね。さすが新設校って感じで」

阿部「でしょー? ブルペンなんていまだにピカピカだからね」

加賀「楽しみです!」

阿部「俺もきみの球が楽しみだよ」

加賀「ほんとっすか? でも他の先輩方と比べたら俺なんて…」

久遠「謙遜することはないぞ。松坂と2人だけのエース争いより、三つ巴の方が燃える」

加賀「いえいえ、そんな…!」

松坂(な、何か…めっちゃめちゃ馴染むの早そう…!)



阿部「もういいかな、肩は」

加賀「はいっ!」

久遠「左投げみたいだな」ヒソ

松坂「うん…」


加賀「それじゃ、投げます」

阿部「まずはまっすぐをちょうだい。俺のミットめがけて」

加賀「はい…!」

 ビシュゥッ
 バシインッ

松坂「っ…」

久遠「ほう…」

加賀「い、今、すげえいい音…! こんなにいい音鳴らしてくれるキャッチャー、初めてっす!」

阿部「誉め上手だね、加賀くん。そんなこと言われたらひいきしたくなりそうだよ」チラッ

松坂(こっち見た…!)

久遠(俺達を煽ってるのか…)



 下1 で、加賀くんの実力のほどは…?

 1~3 大丈夫、まだ松坂には…………まあ、勝ってるとこはあるけど…サ?
 4~6 ぐぬぬ…どっこい…?
 7~9 新入生こわい新入生こわい…


阿部「今度はここ」

加賀「はいっ!」

 ビシュッ
 バシィンッ


阿部「うん、じゃあこっちは?」

加賀「この、通りっ!」

 ビシュッ
 バシィンッ


久遠「………上手いな」

松坂「……うん…」

久遠「お前と同じほどの制球力か」

松坂「…」

久遠「ストレートの速さも、あれがどの程度で投げてるかは分からないが、松坂くらいに見えるな」

松坂「…」

久遠「………変化球は違うようだから安心したらどうだ?」

松坂「それ…安心材料かなあ…?」



佐野「おう阿部ゴラァッ!」

阿部「何ー?」

田中「加賀を拉致しにきたぜっ!」

中井「投げるばっかじゃないだろ、野球は。打たないとな。来いよ」

加賀「いいんですかっ? あ、でも折角、阿部先輩に…」

阿部「…………ま、いいよいいよ。打撃の方も見ておきたいし」



 下1 ま、まさか、打撃はね…

 1~3 よぉっし、勝ったぁー!!
 4~6 この子、器用…
 7~9 1年生なんだよね…?


 キィンッ

佐野「フォームは悪くないのう…」

 キィンッ

中井「長打はあんまり打てなさそう――」

 キィイインッ

田中「おおっ、引っ張ってけっこう飛ばしたな」

 カツンッ

久遠「バントもそつなくできそうだ」

松坂「……も、もうちょっと…ラインに寄せられるとは思うけど…」

阿部「松坂くん、バント上手いもんね」

松坂「そ…そうかなあ…?」


加賀「うん、調子掴めました!」

佐野「ぬ…?」

中井「調子…?」

田中「今の、さぐりさぐりってことか?」

阿部「へえー!」キラキラ

松坂(阿部くんの目が輝いてる…)

久遠「調子が掴めると、どうなるんだ?」

加賀「えーと……どこ、打てばいいか指示ください」

佐野「………センター」

加賀「はいっ!」

 キインッ

中井「おおーっ…?」

田中「二遊間ぶち抜けぇー!」

加賀「はいっ!」

 キィンッ

田中「だが今のは俺なら止めてるぜぇー! だぁーっはっはっはー!!」

阿部「器用だね、彼」

松坂「そ…そうですねー…」

久遠「大丈夫だ。松坂の方が上だぞ」

松坂「久遠くん…」

久遠「確実に身長と年齢だけは」

松坂「久遠くん……」

久遠「あと多分フィールディングとスタミナも」

松坂「…ほ、他は…?」

久遠「……………試合経験」

松坂「…うん…」

阿部「いやいや、大きいし重要だからね、その辺。自信持っていいよ、松坂くんは」



 下1 そんな新入生でしたとさ

 1 新入生と言えばッ!! そう、松坂ファンの…!!
 2 せ、先輩として…いいところを見せつけなくては…!!
 3 エース争い、とうとう勃発!!


阿部「春だねー…」

中井「春だな…」

田中「春かぁー…」

久遠「春、だな…」

松坂「…」

佐野「何じゃ、揃いも揃って、春、春て、アホちゃうか。カレンダー見りゃ分かるじゃろうが」

阿部「風情がないなあ、佐野くんは」

田中「そーだそーだ、風情がないぞー、佐野は」

中井「いつから、帝央大付属が春大会を制覇すると、春って感じるようになったんだか…」

阿部「これで何連覇かも忘れたくらいだよね…。おかしいよ、あの学校」

久遠「そうだな。世間じゃ天才世代なんてもてはやしてるのに、帝央大が不動の王者として君臨し続けてるからな」

松坂「同じ地区だったら、神宮枠で出られた可能性が――」

佐野「おう松坂、もっぺん言うたら締めるぞ」

松坂「ごめんなさい…」

 バンッ

夕実「はい、みんな、ちゅうもーく!」

阿部「今日はどしたの?」

夕実「何と、女マネが増えましたー♪ さ、どうぞ、光ちゃん」

光「は、はい…。あの、ふっ、ふつつかものですがよろしくお願いしまひゅ――あ…」

松坂(噛んだ…)

阿部(噛んだ)

中井「ああ、よろしくな」

田中(ここでさらっと流してあの笑顔するんだからイケメン死ね!!!!)

加賀(女マネ…!! 女マネが2人もっ!! ここは天国かっ!?)

佐野「おう、よろしく頼むわ。キャプテンの佐野じゃ」

阿部「同じく、副キャプテンの阿部でーす」

松坂「あ、松坂で――」

光「知ってます!!」

松坂「……は、はい…。う、受かって良かったね…」

光「はい…!」

夕実(あれ、何この2人…? あれ…?)



 下1 宮野光! それは松坂ファンになったがゆえに高校を決めた乙女…!!

 1~3 どじっ娘だぁー!!
 4~6 おにゃのこが2人…目の保養だよぅ…って一部の選手達…
 7~9 な、何か松坂にぐいぐいくるな…ファンだけある…から…?


夕実「それじゃボール、一緒に運ぼっか。けっこう重いから、1人でやってるの大変で。手伝ってくれる?」

光「はいっ」

夕実「じゃあそっち側持ってね。持ち上げるよ、せぇー、のっ」グッ

光「っ…!」グッ

夕実「このまま移動――って、光ちゃん…?」

光「っ…!」プルプルプル

夕実「だ、大丈夫? い、一旦おろそう、ねっ?」

光「はぁ~っ……ご、ごめんなさい…想像以上に、重くて…。このカゴ…」

夕実「そ、そうだよね。うーん……あ、じゃあ、小分けにして運ぼっか。往復するからちょっと面倒になっちゃうんだけど。持てる分だけ。ね?」

光「はいっ」

夕実「よし、こんなもんかな…。それじゃああっちに行く――」

光「あ、わ、ととっ…!」

 ボトボトボトッ…

夕実「光ちゃんっ!?」

光「あうううっ…ご、ごめんなさい、すぐに拾っ――あ」←ボール踏んだ

 ドスンッ…

夕実「大丈夫っ!? 怪我してない?」

光「すみません…」

夕実「だ、大丈夫だから落ち着いて…ね?」



田中「…………かわいい」←走りながら見てる

中井「ありゃ、なかなかドジっぽいな…」

佐野「よそ見せんで走れ」

阿部「まあ、松坂くんのファンっていうくらいだし。どっか同調する部分があったとか」

久遠「だが人間、自分と違うようなタイプを好きになるらしいぞ」

松坂「す、好きとか…そういうんじゃ、ないんじゃ…」

田中「何で松坂なんだよぉー!」

加賀「ど、どういうことですかっ? あの子、松坂先輩と何か…!?」

松坂「あ、いや、その…」

加賀「もしかしてロマンスですか、そうなんですかっ? やっぱり高校野球って、甘酸っぱ~い恋模様とセットなものなんですかっ!?」

田中「加賀ァッ、それ以上は言っちゃいけない、胸の内にしまえ…!」

加賀「た、田中先輩っ…!」

田中「じゃないと……っ…中井になるぞ…」

中井「どーいう意味だ、田中ァッ!?」

田中「だぁっはっはっはー!」



 下1 そんな女マネ達です…

 1~3 って春季大会もうすぐやん!
 4~6 新入生が加わってもオフメニューみたいなきびしいトレーニング+ボール使った練習の日々っす
 7~9 今、ブルペンが熱い!!


 ズバァンッ

 バシィィッ

 バシンッ


阿部(うーん…夏や秋が嘘みたいな投手の充実ぶりだね)

阿部(この冬、徹底的に走り込みながら鍛え上げた下半身のお陰で、久遠くんの投球の力強さは去年より増してる)

阿部(松坂くんの試合での経験と、そこからくる安定感とスタミナは何より頼もしいし)

阿部(加賀くんだって、まだ荒削りなところもあるけど制球力、球速だけなら松坂くんに並ぶんじゃないかな。まあ試合でどうなるかは分からない部分だけど)


長島「阿部」

阿部「っ…監督」

松坂(か、監督が、ブルペンに…)

久遠(春季大会も近いしな…)

加賀(ダンディーだなあ、やっぱり長島監督…)←まだ長島のおちゃめさを知らない


長島「…」チラッ

投手達『…』

長島「…阿部」チョイチョイ

阿部「はいはーい」トトトッ


長島「ひそひそひそひそ…」

阿部「ふむふむはいはい…」


松坂(な、何の相談…?)

久遠(春のエースの話か…?)

加賀(監督と正捕手の連携…! かっけえ!)


阿部「分かりました。じゃあ俺が“しっかりと”その辺り、見てみます」

長島「頼むぞ」

松坂(見るって何!? まさか…)

久遠(エースナンバーは…)

加賀(阿部先輩が、決定する…!?)

阿部「それじゃ、練習、続けようか?」ニコッ

松坂(この笑顔、絶対に黒いやつだ…!!)



 下1 エースをもぎ取るには…

 1 右投げが、必須だよね…? 秘密特訓だ!!
 2 そうだ、打力だ! 打ち負ける展開多かったし…!
 3 新たな変化球を習得すれば…!!


久遠(俺が確実に、この2人からエースを奪還するには……やはり、スタミナか)

久遠「阿部、走り込んでくる」

阿部「がんばってー」


加賀(エースは難しいかもだけど、控え投手にはなりたい…。だとしたら俺が今やるべきは…)

加賀「阿部先輩っ! 俺の投球フォームとか、しっかり見てもらってもいいですかっ!?」

阿部「うん、いいよ。でもまず自分で考えてね?」

加賀「え…あ、はいっ!」


松坂(エース争いに勝つには………久遠くんには球速でも、制球力でも負けるし…)

松坂(加賀くんはまだ未知数だけど…油断してたらきっとすぐに抜かれされちゃう…)

松坂(だったら、新しい武器を……変化球を、覚えられれば…!)

松坂「あ、阿部くん…」

阿部「ん?」

松坂「………あの」



 下1 変化球!

 1 何を覚えたらいいかな、って相談
 2 覚えたい変化球を提案するのだッ!!



松坂「あ、新しい変化球……覚えたいんだ」

阿部「新しい変化球?」

松坂「それで……その、何がいいかな…って」

阿部「うーん…」

松坂「お、落ちる球…なら、打ち取られにくいのかな?」

松坂「それともスライダー…? シュートで、カットと併用して…とか…うーん……て、考えちゃうと、阿部くんと相談したいっていうか…」

阿部「そうだなあ…」

阿部「ぶっちゃけ、変化球は投げる人によって千差万別になっちゃうからね」

阿部「すでに緩急は持ってるから…ムービング系じゃない、三振を狙えるような変化がいいかもね」

松坂「三振を、狙えるような…」

阿部「まあ、あえてムービングをどんどん磨いてってもいいとは思うんだけど…そこは松坂くんの好みだからさ」

松坂「う、うん…」

松坂(そう簡単に答えはくれない…。やっぱり阿部くんだ、こういうとこ…)


阿部「握りはいくつか、オーソドックスなの教えるからさ」

阿部「その中から、自分で投げてみて感触あったものを覚えてみたらどう?」

松坂「あ、阿部くん…! ありがとう…」

阿部「どういたしまして」

阿部(自分でちゃんと考えた目的に対して、どうアプローチすれば…って部分なら突き放したりはしないよ)



 下1 はて、松坂がしっくりきた、新変化球は…?

 1~3 スローカーブ
 4~6 シンカー
 7~9 現代の魔球・SFF

 ※一桁で球種を判定し、二桁分まとめて変化球のレベル(というか変化量というか良さ?)を判定します


 ビシュッ
 クンッ

 バシィッ

阿部「おおっ…」

松坂「あっ…」

加賀(いきなり!? すげえ!!)


松坂「い、今…シンカー、どうだった?」

阿部「うん。良かったんじゃないかな? もう一球」

松坂「そ、そうだよね…。これなら、ものにできるかも…」


 ビシュッ
 クンッ
 バシィッ

阿部「いいね。いきなりカクッと落ちるみたいに曲がってきて、打ちにくいと思うよ」

松坂「あとはコントロールが…」

阿部「うん。でも練習で投げすぎて腕を痛めたりするのは絶対になし。いいね?」

松坂「わ、分かった」


加賀(やっぱ先輩達すげえ…!)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:142キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:C(52)
チェンジアップ:D(40)
シンカー;C(65)

打力:C(65)
筋力:C(62)
走力:C(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる
クロスファイアー:左投げ時、対角線への投球で球威と制球力がグンと上がる


チームメイト(の一部)

2年
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

1年
加賀茂雄 投手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ
宮野 光 女マネ



 今夜はここまでっす
 あざっした


長島「球速と制球力の久遠」

長島「経験とスタミナの松坂」

長島「未知の加賀…か」

阿部「監督、未知ってどうなんすか?」

長島「だが、試合での実力と、練習の時の実力は別ものだ」

阿部「そりゃそうですけど…」

長島「……阿部、確かめてみるか?」

阿部「…いいですよ」

長島「よし。では今週末、紅白戦を行う」

長島「一軍野手を赤。投手は加賀」

長島「久遠と松坂は白のチームでいく」

阿部「うちの打線に2人をぶつけて実戦の感覚を思い出させるのと同時に、どっちがエースとしてふさわしいかを見極めて…」

阿部「加賀くんの試合での振る舞いを見ながら、戦力に組み込めるかどうかをハッキリさせる。……ってところですか?」

長島「うむ」

阿部「でもって~、ついでに俺とバッテリー組めなくてやきもきする2人をニヤニヤ眺めさせてもらう、と。楽しみですね、紅白戦」

長島「う、うむ…」



 下1 紅白戦!!

 1 もち、松坂先発や!
 2 り、リリーフ…? いいけど…


松坂「っ…」

久遠「いくぞ…」ゴゴゴ


<じゃんけん、ぽんっ!

松坂「!!」←パー

久遠「っ…!」←グー

松坂「先発…!」グッ

久遠「…じゃんけんも鍛える必要があるのか…?」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



久遠「松坂、1番からの打順はお前も知っての通り強烈だ」

久遠「阿部のリードがない今、お前がサインに首を振ってでも配球を組み立てるしかないぞ」

松坂「えっ…?」

久遠「だってそうだろう」

松坂「……そ、そうだね…」


松坂(首振るの…!?)



田中「さあ松坂ァッ、俺をセーフティだけの男と思うなよ!?」

松坂(田中くんの出塁方法は……セーフティ、内野安打、バントと見せかけたバスター、内野の頭超える打撃…)

松坂(ど、どうすれば打ち取れるか…イメージがわかない…)

田中「どんとこぉーい!!」



 下1 どこにどう投げれば…?

 1 か、緩急で打ち取らせれば…!
 2 カットボールでこう…芯をズラす的な…!
 3 クロスファイアーゴリ押しで…!


松坂(ここはやっぱり、カットを使って…)

松坂(打てるって思わせといて、ゴロで打ち取る…みたいな感じで…!)

田中「オラオラァッ、さっさと投げろーう! いつもと違って時間かけすぎだぞっ!?」

松坂(だっていつもは、阿部くんがサササーってサインしてくれて…)

田中「もしかして~? 俺様にビビりまくりんぐぅ~?」

松坂(こ、こういうところ…田中くんの出塁方法のひとつだったりする…?)


松坂(とにかく投げるしかない――!)

 ビシュッ
 クッ

 ギィンッ

<ファール!

田中「いきなりカットぉ~? ビビりすぎじゃねえの~?」

松坂「っ…」



 下1 vs田中!!

 1~3 完全にしてやられた感…
 4~6 田中の出塁阻止って実はすごいことなんじゃ…?
 7~9 よっしゃー!!


松坂(ここはあえて…!)

 ビシュッ
 クイッ
 ギィンッ

<ファール!


松坂(3球続けて、投げ続ければ勝手に――!)

 ビシュッ
 クイッ

 カツンッ…

松坂「っ…!?」

田中「だぁっはっはっはー!! 俺は足が速いのだぁーっ!!」ダダダッ

松坂(しまった、勝負しようって気持ちばっかでセーフティのこと忘れて…!)バシッ

 ビシュッ

<セーフ!

<いいぞ田中ぁーっ!

<誰もお前のこと長打の選手とは思ってねえぞー!


田中「どーだ、見たかね松坂くぅーん!? 俺様を凡打にしようなんて10年は早いのだよぉー! だぁーっははははー!」

松坂「っ…」

松坂(き、切り替えていかないと…次の打者は――)


阿部「やっほー♪」

松坂「」



 下1 vs阿部ェッ!!

 1~3 完全に読まれましたわ、配球… で、でも次は無死一三塁で中井だから…!
 4~6 無死一二塁…い、いつものことだし…
 7~9 覚えたてのシンカー炸裂ゥッ!!


 キィンッ

阿部「もーらいーっ♪」

田中「これが新摂の誇るゴールデンワンツーペアだぜぇーい!!」

阿部「だからそえ…もういいや…」


松坂(無死一二塁から…クリーンナップ…)

松坂「ここはもちろん…中井くんだし…」

中井「よし、来い。今日は敵だぜ、松坂?」

松坂「…」

松坂(こ、このチャンスで中井くんなら…うまくいけば、ゲッツーで…!)



 下1 vs中井!!

 1~3 満塁で佐野ですか…
 4~6 よし、中井だった
 7~9 中井、またゲッツーだってさ


 キィンッ
 パシッ

<アウト!

<中井ぃーっ!!

<そこは打てぇっ!!


中井「いや、松坂のクロスファイアー強力だぞ」

中井「佐野、お前も打ちあぐね――」

佐野「お前が打たなかったんじゃ。いけるわ、ドアホ」

中井「」


<佐野いけぇーっ!!

<松坂と佐野の対決とか熱すぎだろっ!!


松坂「…っ」

佐野「こい、松坂」ゴゴゴ

松坂(すごい圧…)



 下1 vs佐野っち!!

 1 フォアボールで
 2 真っ向勝負だぁー!
 3 食らえ、シンカー!


松坂(佐野くんはまだ、僕のシンカーは知らないはず…)

松坂(けど左で投げるシンカーは、右打者の佐野くんには外へ逃げていく球だから…アウトコースには投げられない)

松坂(ここはインコースいっぱい、クロスファイアとシンカーの合わせ技で…!!)

 ビシュッ

佐野「ぬ――!?」

 バシィッ

<ストライーク!


<佐野からストライクだ!?

<松坂完全復活かっ!?


佐野「ストライクひとつで大袈裟じゃのう…」

佐野(じゃが、今の…シンカーか?)

佐野(しかもあんだけ内角に決められるとは…)


松坂(い、今のはいけた…?)

松坂(いけた…よね? よし、これなら……あ、でも佐野くん相手に同じコースへ二度続けてっていうのは怖いし…)



 下1 vs佐野ォッ!!

 1~3 さす佐野っすわ…
 4~6 詰まらせたのに…
 7~9 これぞ松坂のピッチングよね


松坂(インコースへのシンカーから、今度はアウトコースのボール球で…)

松坂(振って掠めてゴロになってくれたら万歳の、際どいとこ――!)

 ビシュッ

佐野「ぬうううんっ!!」

松坂「!?」

 カキイイイイインッ

<でっけえ!?

<でもホームランにはならないぞ!?

<いやっ、それでも外野が追いつけない!


田中「らくらくの、セェーフ!」ズザァッ

阿部「はいそこどいて田中くんっ!」ズザァッ

田中「うおっしゃ、一気に2点追加ァッ! 松坂恐るるに値せずゥッ!!」


松坂「っ…」

阿部(狙いは…考え方は悪くなかった)

阿部(でも佐野くんは、ちょっとゾーンから出てる程度のアウトコースなら余裕でフェアグラウンドにかっ飛ばせるんだよ)

阿部(パワーも技術も、勝負強さも、佐野くんはトップクラスだろうからね)

佐野(ちぃっ、ホームランにはならんかったか…。ちいとはボールの重みが出たんかのう…)




 下1 ぐぬぬぅっ!

 1~3 尚、下位打順からもさらに1失点した…
 4~6 危うげながらもどうにかあとは無失点で…
 7~9 5番以降はガンガン打ち取れた



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



久遠「打たれた分は打ち返すしかない」

久遠「加賀には悪いが、打ち崩して乱打戦に持ち込んで勝とう」

<おうっ!


久遠「松坂も、頼むぞ」

松坂「ていうか……何で5番…?」←5番

久遠「お前も打撃は得意だろう?」←4番




 下1 尚?

 1~3 1回裏は三者凡退…
 4~6 松坂にチャンスで…!
 7~9 松坂に回すまでもなく久遠が同点の一発を…さす久遠


 ビシュッ
 キィンッ

<アウト!


 ビシュッ
 バシンッ

<ストライク、バッターアウト!


 ビシュッ
 カァンッ

<アウト!



加賀「阿部先輩、何でこんなあっさりアウト取れたんすかっ!?」

阿部「それはね、きみがある程度までなら俺のリードに応えられるコントロールを持ってるからだよ」

加賀「阿部先輩やべえー!!」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


松坂(この回はまた、田中くんに打順が回っちゃう…)

松坂(できるだけランナーは出さずに…)



 ビシュッ

<ストライク、バッターアウト!

松坂(よし…まずは1アウト…)

加賀「お願いします!」

松坂(あっ…9番投手…で、加賀くん…)

松坂(すごく、器用なバッティングしてくる印象だったけど…)



 下1 vs加賀ァッ!!

 1~3 無問題さ
 4~6 ひやっとしたけどこれで二死!
 7~9 打たれた…

1~3と7~9逆じゃね?真ん中だから関係ないが

>>891 おうすまぬ…


 キインッ

松坂(強引に打ち上げてきた…!?)

<オーライ!

 パシッ

加賀「あっ…うーん、さすが松坂先輩っすね! でも次は負けないんで!!」

松坂「あ、はい…」

松坂(もし、あれでちゃんとパワーがあったら…打ち取れなかった…かも…?)



田中「さあ勝負だぜぇっ、松坂ァッ!!」

松坂(またきた、田中くんが…)



 下1 田中ァッ!!

 1~3 お前なかなか二塁打なんて打たないのに…
 4~6 こいつはもう…止められんわ…
 7~9 ぽろっとアウトになってくれることもある田中…


田中「俺をセーフティだけの男と思うなよぉっ!?」

松坂(思えないよ…)


松坂(とにかく、クサいところに――)

 ビシュッ

田中「だあらっ!」

 カスンッ…

松坂「!」ダッ

田中「やっべ!?」ダダダッ


 ビシュッ
 バシッ

<アウト!

<田中ぁー!!

<何でお前はそうなんだっ!?

松坂(良かった、これでチェンジ…)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


久遠「さあ、反撃だな。俺のあとは頼むぞ」

松坂「……はい…」



 下1 久遠!!

 1~3 阿部くんがリードしてるからなあ…
 4~6 敬遠…だと…?
 7~9 初球ツーベースヒット


久遠「…」ゴゴゴ

加賀(す、すごい圧だ…。投手としても、打者としても油断できない…)

久遠(ここまでストレートだけで押し切っていたが…)

久遠(そろそろ変化球を投げてくるか?)


久遠「さあ、来い」

加賀「いきます…!」

 ビシュッ
 キィイインッ

加賀「っ…!?」

阿部「あの当たりなら中井くんの守備範囲だから大丈夫だよ」

 バシッ

<アウト!

久遠「…打たされたか」

加賀(1球で、打ち取れた…?)



阿部(さ、今度は松坂くんと勝負だよ)

加賀(次は、松坂先輩…!)

松坂(く、久遠くんが…1球で…)

松坂(僕なんかが通用するの…?)



 下1 vs加賀!!

 1~3 い、いやこれは阿部くんのリードの力だから…うん…
 4~6 惜しかった…
 7~9 松坂やぞ?


 ビシュッ
 バシィッ

<ボール、スリー!

阿部(んー、今のはゾーンに入れてほしかった…)

加賀(3-0…これじゃ…)

阿部(松坂くんでもきっちり見てこようとするだろうね)

阿部(だからこそ、次はしっかりゾーン狙い。真ん中だっていいくらいだよ)

加賀(い、いいんですか…!?)

阿部(ほらほら早くぅー)


加賀「…っ」ゴクリ

加賀「よし…」

 ビシュッ
 バシンッ

<ストライーク!


松坂(えっ…今の、ど真ん中…? しかも抜いた感じの…)

加賀(本当に打とうともしなかった…!)

阿部(もともと、打ち気に逸るようなタイプじゃないからフォアボールで出られるんならそれを選びたがるんだよ)

松坂(こ、今度もまた、ゾーンにちゃんと入ってくるかも…?)

阿部(で、カウントは有利なのに勝手にゾーンを広げてくるからさ)

加賀「っ…」

 ビシュッ
 ガィンッ

松坂(あ、今のっ、ボール球だった…!?)


 ビシュッ
 バシ

<アウト!

松坂「してやられた…感…」

加賀「おおっ! さすがっす、阿部先輩!!」

阿部「まあねー♪」




 下1 ぐぬぬ、阿部めえ…

 1~3 その癖、また松坂が佐野っちから2失点するしぃー!
 4~6 また佐野っちに打たれるしぃー!
 7~9 無失点で切り抜けたぞよ


松坂(阿部くんからの好打順…)

松坂(最悪、佐野くんを敬遠にしてでもどうにかこれ以上の失点はしたくない…)

松坂(そのためにはランナーがいない状況で中井くんを打ち取りたい…)

松坂(先頭打者の阿部くんと、真っ向勝負…!)


阿部(自分の頭でしっかり考えながらピッチング組み立てれば、それだけ試合の時に頭が回るようになるよね)

阿部(いつまでも俺ばっかが頭回すんじゃ、もしも俺が故障とかしちゃった時に調子を出せなくなっちゃうかもだからね)

阿部(この紅白戦は負けちゃってもいいから、ちゃんと自分出考える癖をしっかりつけてね)

松坂(…………いや、そうだ…。いっそのこと、阿部くんと佐野くんを敬遠しちゃえば…?)

 ビシュッ

<ボール

阿部「あれっ…?」


中井「まぁーつーざーかぁぁ~…?」ゴゴゴ

松坂「」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃2 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



久遠「中井を煽りに煽って、打ち気満々にしておいて、空振り狙いのピッチング…すごかったな」

松坂「偶然です…」

松坂(中井くんに初球で特大ファール打たれたから…怖くて投げてたら…結果的にそうなっただけで…)

久遠「1イニングで2人も敬遠にしておいて無失点で切り抜けるのも、お前らしかった」

松坂「それも、偶然じゃないかなあ…?」



阿部(偶然なんだろうけど…すごいピッチングされた…)

佐野(ちぃっ、勝負から逃げよって…)

中井(俺が怖くねえってか、俺が怖くねえってか!?)



 下1 その後の試合展開は…

 1~3 2失点しながら6回表で久遠と交替…
 4~6 1失点で6回表で久遠と交替…
 7~9 どうにか無失点で同じく久遠と交替


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃赤┃2 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃白┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


長島「松坂、久遠と交替だ」

松坂「えっ…」

久遠「外野に入れ、松坂。お前の打力は捨てがたい」


 ザッ…

久遠「………秋以来のマウンドだな」

阿部(ここで阿部くんかあ…)

佐野(よーやくまともに勝負できるかのう?)

田中「腕が鳴るぜぇっ!!!」

中井「そろそろ打つ…絶対に打つ…!!」


松坂(レフトか…)

松坂(………いいなあ、マウンド…)

松坂(そう言えば…試合中に外野立つって初めて…)

松坂(練習はさせられてたけど…)


久遠「さて…やるか」

久遠「もう誰も、ベースを踏ませないぞ」



 下1 久遠!!

 1~6 圧倒的やんけ…
 7~9 久遠抜けてるからなあ…

あ、また判定表逆になってたけど…いい結果だから、いいよね?

むぅ、ダメかい
じゃあ抜けてた、って方の判定ね?

いやあ、まあ数値の高低はあれどコンマだし確率的には同じだからいいかなあとゆるぅーく考えちゃうんだけども…
できるだけ間違わないよう気をつけます


 ビシュウウッ
 ブンッ
 ズバアアアアアアッ

<ストライク、バッターアウト!!



松坂「すごい…」

田中「あれ、久遠やばくね?」

佐野「オフはさんざん走りまくってたからのう」

中井「でもって試合にも飢えてた…か?」

阿部「先発も松坂くんだったからね」

加賀「く、久遠先輩やべえっ!!」


久遠(よし…いけそうだな)

久遠(この調子で…)

 ビシュッ
 ズバアアアアンッ

<ボール

久遠「…」


阿部「ま、でも…球威に惑わされずにちゃんと見てけば、久遠くんって際どいとこ狙おうとして自滅することもあるし」

阿部「3球に1回振ろうとする素振りさえ見とけば、意外とイケるんじゃないかなーって思うんだよね」

阿部「どっちかと言えばおバカな方だし」

田中「阿部が言うならいけそうだな!」

佐野「気に食わん戦い方じゃがのう…」

中井「でも、打ちに行ってもいいんだろ?」

田中「おおっ、中井今、いいこと言った!!」

阿部「そうだね。狙うなら、初球だね。基本、自信満々だからゾーンに確実にストレート入れて、球威で圧倒しようとするし」

佐野「初球か」



 カツンッ…

<久遠からセーフティとったぞ!

佐野「加賀、初球打て。まともに飛ばそうとせんでええぞ。ゴロで進塁させるつもりでもええ」

加賀「はいっ!」


 ガィンッ…

加賀「打てましたぁーっ!! ぎりちょん!」

田中「うおっしゃ、いくぜぇー!!」

久遠「……おかしい…どういうことだ…? 実は俺、今日の調子が良くないんだろうか…?」

阿部(直球ゴリ押し勝負大好きだからね、久遠くんは…)



 下1 久遠くーん…

 1~3 ベース踏ませないとか言ってたのに…
 4~6 かろうじて無失点で踏みとどまったか。なんだ松坂とどっこいジャマイカ
 7~9 ピンチでめらめら燃えるタイプ?


久遠(一死一二塁で田中か…)

田中「俺を足だけの男と思うなよ?」

久遠(思ってはいないさ。お前ほど塁へ出ることに貪欲な選手はそういない。理想的な1番打者だ…)

久遠(だが、だからこそ、いい練習になる)ゴゴゴ


田中(うおおおっ…やっぱ圧あるな、マウンドの久遠は…)

田中(でも、初球はゾーンへのストレートだろ? それを狙い打っちまえば――)

 ビシュゥッ
 ブルンッ
 バシィッ

<ストライーク!

田中「っ……速えっ!?」

久遠「バットに当たらなければどうということはない」

久遠「田中、次もストレートだぞ」

田中「予告ストレート!?」


 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!!


田中「おいおいマジでか、マジかよ、おい!」

久遠「次はストレートじゃないぞ」

田中「また予告っ!?」

 ビシュッ
 グインッ

田中「か、ぁーぶ!?」

 ギンッ…
 バシッ

久遠「よし、これならいけそうだ」



 下1 vs阿部ェッ!!

 1~3 さすがに正捕手だぜ…
 4~6 打ち取るスタイルで…
 7~9 阿部からも三振とかね…もうね…


 ビシュッ
 ズバアアアアンッ

阿部「…手が、出ない…」

久遠「よし、いける」

阿部(これはちょっとなあ…)



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松坂「久遠くん、やっぱりすごいね…」

久遠「お前ほどじゃないだろう」

松坂(いや…それは……どうだろう…?)

久遠「それに打たないと勝てないからな。そろそろ、加賀を打ち崩したいが…」

松坂「うん…。問題は加賀くんのスタミナかな?」

久遠「春休み中から練習にも参加してきていたし、受験での運動不足というのがどれほど解消されたものか…」

松坂(……打って活躍しないと)



<久遠先輩、この回、先輩からなんですけど…

久遠「…あ」

松坂(あ、って…)



 下1 久遠vs加賀

 1~3 正捕手め…
 4~6 おっ、加賀のコントロールに乱れが?
 7~9 おお、二塁打。ここで松坂が打てれば…!?


コンマに連取りはないのだ…
覚悟をもって挑んでおくれなのだ… 安価は連取り気づいたらなしーってするけど


 下1 【00】コンマ判定

 偶数 加賀のスタミナ不足に追い討ちをかけるような4・5番の二連続一発…? 松坂が初本塁打でっせ!!
 奇数 加賀め… ここにきてまだ見せてなかった変化球を… しかもキレキレやんけ! 阿部の采配か?


加賀「ふぅ…ふぅっ…」

阿部(疲れが出てるな…。スタミナは課題か)

阿部(けど、ここで久遠くんを抑えておきたいし…切るか、最後のカードを)

阿部(この一球、大事に投げよう)

加賀(今までサインなかったのに…ここで…?)

加賀(てっきり使えないって判断されてたかと思ったのに…逆に隠し球にしてたんだ…)


久遠(さあ、どうくる、阿部?)

阿部(久遠くんを調子に乗せたくない…。ここは勝負して勝つよ)


加賀「…」

 ビシュゥッ
 バシィッ

<ボール!


久遠(今のストレート…わざと大きく外させたのか、それとも狙いが逸れてのことか…)

久遠(阿部のことだからな…。少し見るか)


 ビシュッ
 バシッ

<ストライーク!


久遠(…嫌らしいリードだな、敵になると)

久遠(こっちの考えが見透かされるようだが…)

 ビシュッ
 ガィンッ

<ファール!

久遠(インコースで勝負にきたか…?)

久遠(いや…そう思わせておくのが、阿部の配球。ならばここは――)


 ビシュッ
 グインッ

久遠「下に、曲が――」

 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!!



松坂「縦スラ…?」

久遠「ああ…なかなかくるぞ」

松坂(打ちにくいそうなのを、こんな場面まで隠して…。阿部くんやらしい…)



 下1 松坂ァッ!! ハングリー:+2

 1~3 尚、縦スラ無双…
 4~6 縦スラ警戒のあまり…でもかろうじて出塁!!
 7~9 縦スラを投げられる前にハングリー!!


松坂(いつ、縦スライダーが…?)

 ビシュッ
 バシンッ

<ストライク!

松坂「っ…」


阿部(松坂くんは心配性だからね、久遠くんが縦スラで三振にされたのを見て警戒しまくってるよ)

阿部(だからこそ、縦スラは投げずに終わらせる)

加賀(はい…!)


 ビシュッ
 ギインッ

松坂「っ…!」ダッ

阿部(当たりどころが悪い…!?)

佐野「チィッ、打たせるんならええとこにせえっ!!」ビシュッ

松坂「もうちょっと…!」ダッ

 バシィッ

<セェーフ!

松坂「や、やった……良かった…」

阿部(さすがに加賀くんのスタミナ不足もそろそろきてるしな…)


加賀「はぁ、はぁっ…」

加賀(9回まであと少しなのに…)




 下1 加賀攻略なるか!?

 1~3 阿部め…
 4~6 1点返せたぜぃっ!
 7~9 よっしゃ、松坂の出塁から崩せた!! 同点や!


 下1 0コンマ判定

 偶数 打ち崩されると脆いか、加賀… 紅白戦としては勝ちに近づいたものの…
 奇数 縦スラの猛威で粘ってくる…むむ…スタミナ切れかけのくせにぃ…


 グインッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!!


<ああ~っ…折角、松坂が打ったのに

<ここにきて縦スラ隠し持ってるとか、阿部の指示か?

<黒いな、今日も。黒阿部め



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久遠(この回はクリーンナップから…)

久遠(全員、ねじ伏せてチェンジだな。今は追いつくことが大事だ…)

久遠(守備で勢いをつけて、攻撃で発揮させる。それが投手の役目…!)

 ビシュッ
 ズバアアアンッ


中井「ちぃっ…」

中井(さすがにすげえな…)

中井(けど、ここらで打たねえと………最悪、久遠に3番取られる可能性も…。いや、松坂か…?)

中井(どっちにしろ、3番の座を降ろされる…!!)



 下1 久遠vs中井!!

 1~3 中井は実力さえ発揮できればレベル高いから…
 4~6 中井が打っ……てなかったか。危なかった…
 7~9 久遠め…

1も何か、弁明があるなら何かいって欲しい
否定意見があるとだんまりはないんじゃないの?
否定派の人を黙らせる応答はないの


 キィイイインッ

<中井がぁっ!?

<打ったぁー!?

<けどフライか

<中井だな


久遠(打たれるつもりはなかったのにな…)

中井「畜生め…」


久遠(だが、1アウト…)

久遠(まだ2点差…佐野からは一発を警戒しておけば…)

佐野「…」ゴゴゴ

久遠「…燃えるな」ゴゴゴ



 下1 久遠vs佐野!?

 1~3 さす佐野か…
 4~6 熱い勝負の末、佐野に軍配が…
 7~9 熱い勝負の末、久遠に軍配でっせ




>>960
今はお話進行中だからねえ…
もうちょいで次スレだからね


 ズバアアアアンッ

<ボール!

佐野(さすがに力があるのう…一発は難しいか)

久遠(手を出さなかったか…手を出してくれさえすれば打ち取れると思ったがな)


 ビシュッ
 ブンッ
 ズッバアアアアッ

<ストライク!

佐野(もうちいとタイミングが早くせんとあかんのう…)

久遠(タイミングをはかりたいなら、これをくれてやる)


 ビシュッ
 グンッ
 ギイインッ

<ファール!


佐野「ちぃっ…」

久遠(ここが勝負…!)

佐野(どっちじゃ、直球か、カーブか…!?)


 ビシュッ

佐野(直球――打ち抜いたるわあっ!!)

 ブオオンッ
 ギィインッ

<まともに打ったかっ!?

<い、いや、レフト、ファールに…!?

<フェア!!

<ギリギリいったぁー!? 佐野にしちゃあ飛ばなかったけど、久遠にしちゃあ飛びすぎって、どっちがすげえんだ!?

<両方だろっ!?


久遠「……さすがだな、佐野」

佐野「危なかったのう…。もうちとでフライになるとこじゃったわ…」



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阿部(さて…スタミナ切れかけの加賀くんでどこまでいけるか…)

阿部(こっからが面白いんだよねぇ…)ニタニタ

加賀(ふ、普通…ここって、交替とか考えられる場面じゃ…? 投げ続けさせてもらうのはうれしいけど、これ以上投げて失点したら…)

阿部(――なんて弱気じゃ、打たれちゃうよ、加賀くん?)

加賀「っ…」


 下1 加賀、粘れるんか…?

 1~3 粘るな…
 4~6 おっ?
 7~9 おっおっ?

次スレやで~
テンプレ貼っちゃうんでちいと待ってておくれやす~

【安価・コンマ】野球やろうぜ【2回】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520687957/)

【安価・コンマ】野球やろうぜ【3回】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521349989/)
間違ってました、こっちが次

ほいじゃ次スレで進めていきまっせ~

松坂くんはねー、嫌いなんじゃなくてあえて成長の余地を…ってね、うん
主人公最強ものではないので悪しからず コンマもあるし…

やさしめかあ…
難しいんだなあ…分かるんだけどね、うん

でもこの調整がぼくにはむずかしいんだなあ…
ここでこれ出ないだろってコンマが出ちゃうもんで…

例えば…1の判定ミス一回につきこちら側にいつでも使える一回コンマ振りなおし権利与えるとかどうよ

>>981 それで許してくれるんならええよ

次スレの>>10
中井くんはコンマに恵まれないからそういうデメリット隠れ能力ついちゃったね
あと久遠は登場時からこいつヤバいぞーてなってるからヤバい選手になってるからそういう差もあるね

>>982
それは誰が使うか決める様にする?
多数決かなあ

次スレ>>15
それは安価でそう設定された性格だからとしか…
それでもちょっとずつメンタル的にも成長してますしね

次スレ>>20
>>902なら、そこに書いてある通りだけど…

>>906のところとはちがくて?かな?
ちなみに906なら性格由縁の自信のなさと、先発投手として失点したくないって考えと、できることなら失点したくないって考えと…まあ色んな保守よりな思考の結果ですね
阿部がリードしてればまた違った結果だったでしょうしね

>>981からの>>988の件だけど…
どうやって運用すればいいのかが分からない…誰かの一存ってわけにもだし…?
誰かが振り直しをー!てとこからスタートで、こっちで多数決取るとか…?

雰囲気かあ…
書いてる側としてうまく察せられるかどうか…

使うと明らかに有利…?
補正のっかりまくりなのに1でアカンやんてなった時とか…?
超大事な場面でアカンやんてなった時、ここは振り直した方があとあといいよー…みたいなとか?

あ、振り直して過去に遡って? それはちょいと…だよ?
あくまでこれからのコンマに限ってのつもりだったんだけども…

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