ほむら「私は、スタンドプレイ」 (27)


マミ「また一人ぼっちになっちゃったわね」はあ……

マミ「佐倉さんもここのところ見滝原を空けてるし、美樹さんは円環の理に……」

マミ「……」

マミ「暁美さんはどうしてるのかしら…?」



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ほむら「(美樹さやかが導かれてからしばらくの時がたった)」

ほむら「」ヒュンッ!

魔獣「…」ザシュッ!

ほむら「(私は魔獣狩りという平坦とも異色ともいえない日々を送っていた)」

コツン[ソウルジェムを浄化]

スズムシ「りんりんりん…りんりん…」

月の出る夜空の下、立ち去るほむら

ほむら「(時は流れてく。美樹さやかが消えた日から、そして、鹿目まどかがこの世から…私のもとから姿を消した、あの日から……)」

スズムシ「りんりんりん…りんりん…」

ほむら「(私の孤独の戦いは続く。あの子が愛した世界を守るために、魔獣を狩り続ける)」


マミ「くっ・・・!」

身の竹10メートルの大物魔獣のレーザーを受け、追い詰められるマミ

ここは見滝原の一角に位置する巨大な滝
マミは、滝と野原の境に立ち、滝壷に潜む魔獣からの攻撃に防戦していた

マミ「(まずいわね…この魔獣は強力な上に、卑劣で厄介だわ……岸壁の窪みに身を隠しているから大技が決められない・・・)」

魔獣「…」ビイイイイイイーッ……!!

マミ「(『絶対領域』!)」

無敵のバリアーで魔獣のレーザーをブロック

マミ「(岸壁ごと壊さないように小技で挑発して…)」

これがマミの作戦だった が、

マミ「(『ティロ・ボレー』・・・きゃっ!!)」

レーザーの切れ目で攻撃に切り替えるが、カウンターをくらうマミ

水しぶきを上げて迫ってくるレーザーを慌ててリボンで防御するも、地面がぬかるんでいてバランスを崩し、勢いに負けて吹き飛ばされる

マミ「きゃああ……!!」

魔獣「……」[鼻先を流れる滝水を見つめる]


マミ「うっ……くぅ……あっ……」

マミ「・・・やられたわね……」

マミ「(一筋縄ではいかない相手ね・・・あれじゃぁ攻撃を受ける一方だわ・・・)」

マミ「(ともかく傷を癒さなくちゃ)」ぱああ

?「巴マミ」

マミ「・・・え?」

ほむら「…」

マミ「暁美さん」

ほむら「まさか、あなたが魔獣に後れを取るなんて」

マミ「やられたわ…腑甲斐ないわね・・・でも、今回のはこれまでの個体とはわけが違うの」

ほむら「・・・治療、手伝うわ」

マミ「あら、助かるわ、ありがとう…暁美さん」


ほむら「それで魔獣には、何か特色があったの?」

マミ「ええ、大きさが今までのものとは桁違いよ…あっ、暁美さん」

ほむら「なにかしら?」

マミ「ここで話すのもなんだから、私の家に来ない?治療のお礼もかねて、お茶をふるまうわ」

ほむら「ええ、それじゃぁ…お邪魔しようかしら」

マミ「嬉しいわ。暁美さんが家に来るの、何日ぶりかしら」

ほむら「悪いわね。また上がらせてもらうなんて」

マミ「いいのよ。さぁ、行きましょう。大物魔獣の話もしたいしね」


マミホーム

マミ「軽い夜食だと思って、遠慮なくめしあがってちょうだい…紅茶でいいかしら?」

ほむら「お気遣いなく」

マミ「暁美さんはストレートだったわね」こん[テーブルに置く] かたん[レモンケーキの皿]

マミ「それじゃぁ今日私が戦った魔獣のことをお話するわね」


マミ「ということだったの」

ほむら「一箇所に留まって攻撃してくる魔獣……あなたですらかなわなかった大物・・・」

マミ「やあね、買いかぶられたものだわ」

ほむら「間違ってないでしょ・・・厄介な点はこちらから大技を仕掛けられないところね。それであなたは敵の攻撃を防ぎつつ小威力の攻撃で挑発し、誘き出そうとした」

マミ「そう・・・だから気をつけるのよ」

ほむら「?」

マミ「あそこの攻略はお勧めしないわ・・・一人じゃこの結果よ」

ほむら「そうね、一人で戦った場合は、ね」

マミ「・・・え?」

ほむら「私たちで連係すれば、仕留められるはずよ」

マミ「協力してくれるの?」

ほむら「ええ…さっきの戦いで魔翌力を消費したでしょ?」[グリーフキューブを取り出す]

マミ「いいの?」

ほむら「ベストコンディションで戦うべきでしょ」

マミ「(暁美さんとコンビネーションを組むなんてひさしぶりね)」にこ


ほむら「(未明、作戦を立てた私と巴マミは、大物魔獣が拠点とする見滝原市の一角に向かった)」

QB「きゅっぷい」

続きはまた明日


更新再開するよ


魔獣「……」ジーッ[何かを見透かすように、滝水を見つめる]

無機質なその目に、マミとホムラが映る

ジーッ……

魔獣「」ビイイイイイイイイーッ……

ほむら「!!」

マミ「行くわよっ!」[リボンの障壁でブロック]ジジジジジ…

マミ「暁美さん!」

ほむら「作戦開始ね」バッ!

矢をつがえ、リボンの障壁の端に飛び移るホムラ

ほむら「」ヒュンッ!

ヒュンヒュンッ!…

魔獣「っ」ビイイイイイーッ……

魔獣の手から放たれたレーザーが、矢の軍を弾き返す

ほむら「っ!」スッ

危ういところでリボンの障壁の内側に飛びすさるほむら

直後、レーザーはほむらの立っていた辺りに命中し、地面を水浸しにする

ほむらは寸暇を惜しむようにすぐさま反対側に飛び移ろうとする が、

マミ「だめっ!暁美さんっ!」

ほむら「っ!?」ピタッ

ビイイイイイーッ……

まさにその時、狙っていたかのようにレーザーが壁の端に命中


マミ「なっ・・・」グググ・・・ボロボロボロ・・・

二箇所に攻撃を受けた障壁は、みるみるもろくなっていく

さらに水が降ってきて、二人はバランスを崩し掛ける

ほむら「さすがにしぶといわね……」

マミ「(あの魔獣、両手から向後にレーザーを出して隙を作らないようにしているんだわ……)」

魔獣「」ビイイイイイーッ…ゴオン!!

・・・障壁の中央にレーザーが刺さり、到頭崩れる

マミ「(しまっ・・・)」

ほむら「・・・巴・・・」

?「マミ!」

マミ・ほむら「!?」

ズドオオオン……!!

巨大な魔槍が襲来し、魔獣に突き立った


魔槍は岸壁を削りながら魔獣の腕を切断し、滝壺から突き放す

マミ「・・・佐倉さん…」

杏子「よー、マミ、しばらくだったね」

ほむら「佐倉杏子」

杏子「おぉ、あんたか。…魔獣は叩き出したぜ。攻めるぞ!」

マミ「ティロ・リチェルカーレッ!」ドガガガガン!!


マミの連射攻撃に続き、大き目の矢が放たれる

魔獣「・・・」グガガガガ……

抗おうとするように、魔獣のレーザーがダブルシューティングを迎え撃つ

それはほむらの矢数本とマミの銃弾数発を押し返す

ちょうどその時、二人に並ぶべく走り寄り、攻撃の体勢に入った杏子に……

杏子「ぐわっ……!!」


杏子の手足が打ち抜かれる

マミ「そんな・・・佐倉さん……!」

ほむら「杏子!!」

杏子「うっ……ぐっ……」

マミは攻撃を中断してしまう

ほむらは一人で攻撃に転じ、打ち合いになる が、長くは続かない……

ほむら「どうすれば・・・!」

マミ「佐倉さん、しっかり・・・」

ゆま「杏子!!」


ゆまの遠隔魔法で杏子の手足が復活 直前に負傷したほむらとマミも癒す

杏子「でやああっ!!」ドゴオオン…!!

迷うことなく立ち上がった杏子が巨大な魔槍投げ

魔獣の足を粉砕

魔獣「っ!」ゴトン・・・

杏子「いまだっ!!」

ほむら「決めるわ!」ビュンッ!! グガーン!!……

ビッグサイズの矢が魔獣の片腕を吹き飛ばす

マミ「『ボンバルダメントッ』!」

同じくマミのビッグ版の大砲が炎を吹き、魔獣の胸部を打ち抜いた

ズゴオオオン……!!


ゆま「杏子!杏子!」てててて…すちん

杏子「走るな、危ねえだろ」

杏子「来るなって言っただろ?」

ゆま「だって、杏子が…」うるうる

ゆま「杏子が死んじゃいそうだったもん!」ぐすん

マミ「そうね、佐倉さんも危なかったわよ。ソウルジェムが無事なのは奇跡よ」

杏子「・・・ああ、そうだな。ゆまが治してくれたから勝てたんだ。ありがとな」

ゆま「うん!ゆまだって杏子のために戦えるもん!杏子の役に立つんだもん!」

杏子「調子に乗るなよな、ゆまはまだ出来立てほやほやなんだから」

ほむら「ところで、佐倉杏子」

杏子「あん?」

ほむら「この子は?」

杏子「ああ、ゆまか。千歳ゆまってんだ。風見野で会ってね」

ほむら「あなたがここを留守にしている時?」

杏子「そうだよ。なんだかなぁ、ひさびさに故郷が恋しくなってさ……ゆまとはそん時に会ったんだ。こいつ、幼児虐待にあっててさ、煙草が基で家が燃えちまったんだ」

マミ・ほむら「……」

杏子「やっぱりさ、どうしたって親は親じゃん?ゆまは親の火傷を治してやりたかったんだ。でも、時既に遅しってのはこのことだなぁ・・・奇跡にも神にも見限られちまって……」

マミ「そう・・・だったの・・・」

ゆま「杏子はいっしょにいてくれた!ゆま、寂しくないよ!だって、杏子は優しい魔法少女だもん!」

杏子「(悪くないな、こいつといるの)」

マミ・ほむら「・・・」

杏子とゆまを見つめる二人


杏子「あんたがねえ、珍しいよなー」

ほむら「なにがよ?」

杏子「だってあんたってスタンドプレイじゃん。マミと組むなんてレアだろ?」

マミ「あ・・・うん。迷惑掛けたわね、暁美さん」

ほむら「いいのよ、大物だったんだもの。私だって一人じゃ敵わなかったわ」

マミ「佐倉さんもね。加勢してくれなかったら私たち全滅していたかもしれないわ・・・」

杏子「恩には茶で返してくれよ。そうだなあ…ゆまもがんばったんだから、アップルパイで!」ぐー

ゆま「アップルパイで!」ぐー

マミ「もお!佐倉さんったら…!それが師匠に対する礼儀かしらね・・・まぁ、いいわ」ふふふ

ほむら「(こっちの方が乗り気じゃない)」


マミホーム

ゆま「」はむはむっ

杏子「こらこら、ゆま。せっかくのリンゴが落ちちまってるぞ」

ゆま「わうっ・・・」

杏子「パイからくってるとリンゴが飛び出ちまうだろ」すっ

ゆま「ん」ぱくり

マミ「佐倉さん、すっかり御守してるわね・・・焼いてしまいそう・・・」ひそひそ

ほむら「ああ見えて面倒見がいいのよね」

ゆま「はむはむ…んぐぅ…」

杏子「だー、ほら、落ちついてくわねえから…」背中のとんとん

杏子「マミ、水頼む」

マミ「はいはい、今持っていくわね」いそいそ


杏子「マミ、今日はありがとな。ほら、ゆま」

ゆま「ありがとう」

ほむら「(まるで姉妹ね)」

マミ「どういたしまして。助けてもらったお礼もあるし。また来てもいいのよ。前みたいにここにいてくれてもいいのに・・・」

杏子「いやぁ、あたしは行く当てがねえけど、ゆまには祖父母の家があんだよ。魔法少女っつっても、保護者がいりゃあ、そこに預けたほうが安心だろ?」

マミ「そ、そう……そうよね……」

ゆま「ゆまは杏子といっしょにいたい。杏子と離れるなんていやだよ!」

杏子「ばか言え、あたしが新米魔法少女をほっとくわけないだろ?一人ぼっちは寂しいもんな」

ゆま「いっしょにいる?」

杏子「ああ、魔獣狩りとか、家から出る時にいっしょにいてやるよ。だからじいちゃん ばあちゃんちで良い子にしなよ」

マミ「…………」

杏子「マミのおかしは絶品だもんな。気がむいたらまた来るよ」

ゆま「ごちそうさま」

マミ「ええ…また来てね、佐倉さん、ゆまちゃん」


マミ「佐倉さんたち、行っちゃったわね……暁美さん」

ほむら「なにかしら?」

マミ「今日はありがとう」

ほむら「改まらなくていいのよ。私もごちそうになったんだから」

マミ「ううん、いいのよ。…あ、でも」

ほむら「?」

マミ「…何でもないわ」

ほむら「(寂しいのね、巴さん)」

ほむら「そろそろ私は帰るわね」

マミ「うん・・・あの…先輩して言うべきことじゃないんだけど・・・」

ほむら「…」

マミ「また今回みたいな強い魔獣が出たら、共闘してもらえないかしら?暁美さんがいてもらったほうが心強いの」

ほむら「…そうね……」

がちゃん



QB「やぁ、ほむら」

ほむら「QB」無関心

QB「ここのところ顔を合わせていなかったけれど、あいかわらずすげないね、君は」

ほむら「そう?歓迎をお望みなのかしら?」

QB「まぁいいさ。君がぼくを信じられなくとも、パートナーに変わりはないからね。ところで、聞きたいことがあるんだけれど」

ほむら「質問によるわ」

QB「『まどか』について、もうすこし教えてもらえないかい?」

ほむら「あなたにこれ以上話すことはないわ」即答

QB「…それならそれで、いいんだ」きゅっぷい


夕焼けの見滝原―河川敷

私は一つ家族の姿を眺めていた


地面に座り込んだ幼い男の子が、熱心お絵書きに興じていて、それを夫婦が見守っている

ここにはたまに来る

特に目的はないのだけれど、何か心に空虚感を感じた時、私の足は自然にこの場所へと私をつれて行った

ここにはあの家族がいる時もあれば、いない時もある

家族がいる時は男の子はいつものように地面に絵を書いていて、私は離れたところでその様子を、ただ、見つめていた

タツヤ「まどかっ!」

詢子「タツヤ、またお友達かい?」

知久「もしかして、タツヤは女の子の兄弟がほしいのかなぁ……」

タツヤ「まどかっ、まどかっ!」

私はおもむろに男の子に歩み寄る

ほむら「上手ね、ほんとうにまどかに見えるわ」にこ

タツヤ「うん!」にっ

詢子「ほむらちゃんか。どう?元気にしてた?」

ほむら「はい、ごぶさたしてます」

知久「やあ、ありがとねー…タツヤの相手をしてくれて」

ほむら「いいえ、素敵な子ですね」

男の子―鹿目タツヤはあの子の弟だった

でも、この子がまどかを覚えていてくれているのかはわからない

それでも、鹿目家の人たちはかすかでも、まどかのことを心に留め、懐かしんでくれる時がある

そんな気がする

げんに、タツヤと呼ばれるこの男の子は、この世にまどかの生きた痕跡を残そうとしてくれている

男の子はあの子と同じ、春色笑顔をしていた

私はこの男の子の面影から、日だまりのようなあの笑顔を見出しているのかもしれない


詢子「じゃぁ、気をつけてね、ほむらちゃん」

知久「またタツヤと遊んでおくれ」

暮れなず無空の下、歩き去るほむら

私はきっと、あの家族と係わることで、まどかと過ごした記憶を、あの笑顔を思い出そうとしているのだろう

甘えるな、と胸の内で声がする

私は、五日あの子と出会う時まで、孤独の戦いに励まなければならない


スズムシ「りんりんりん……りんりん…」

ほむら「(日が暮れて夜がふける。闇夜に溶け込んで、魔獣が沸き出てくる)」

ほむら「(私は、いつものようにスタンドプレイで狩りを続ける)」

ほむら「(巴マミも、美樹さやかが消えて、佐倉杏子が見滝原を去ってからは孤独感を抱えつつ、戦い続けている。そんな彼女と共闘するのも、悪くない話かもしれない。千歳ゆまに寄り添った杏子のように)」

魔獣「…」ゾワゾワゾワ……

ほむら「(それでも私は、孤独を辞められない。私は、あの子のことを記憶に強く焼き付けて、あの子の愛した世界を守り続けなければならない)」

ほむら「」ヒュンッ!

(叛逆に繋がる……)


完結
叛逆の前日談のつもりで書いてみた
読んでくれた人いたらサンキューな

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