【ごちうさ 】絶望の甘兎庵 (9)

人によってはかなり不快な表現等含んでおります、苦手な方は絶対見ないようお願い致します。

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―プロローグ―

 そこは暗く、ひんやりとした空間だった。

 ここは?

 視界はぼやけ、耳鳴りのようなものも響く。

 立っているはずなのだが地面の感覚も感じられない。

「………」

 しかし動くことは可能なようだ。

 フラフラとしながらなんと無しに動き始めたソレ。

「きゃああああああああ」

 そんなソレを突然耳をつんざくような絶叫が襲った。

「???」

 ぼやける視界で必死に目の前に倒れこんだ人間(?)を覗き込む。

 やがて徐々にピントがあうかのように視界が晴れてゆく。

「甘兎庵の?」

 そこに倒れこんでいたのは甘兎庵の看板娘の「千夜」であった。

 しかしその姿は俺の記憶にある姿より若干大人びたものであった。

「………」

 その瞬間……俺は全てを思い出した。

 そうだ、俺は敗北したのだ。

 俺はあんこに敗北し……そして死んだ。

 なら今の俺は?

「………」

 なるほど……きっと俺は亡霊として舞い戻ってきたのだろう。

 なんのために?

 決まってる。

「あんこを制裁……いや虐待するためだ」

 俺はもう理解していた。

 最初はただほんのちょっとの制裁をしていただけだが、いつしか虐待の悦びに目覚めてしまっていたことに。

「くくく」

 だがこの実体の無い状態では何も出来ない。

 今の俺はただの幽霊だ。

 壁にすら触れることが出来ない。

千夜「うーん」

「………」

 目の前には都合よく気絶した生身の人間が転がっている。

 俺は試しに憑依というのをやって見ることにした。

千夜(俺)「やってみるものだな」

 漫画やアニメで見るように気絶してる人間に覆いかぶさってみたらすんなりその体を乗っ取ることが出来た。

千夜「さて」

 まずは情報収集だ。

 俺は居住区をしばし散策した。

 どうやら俺が死んでから2年ほど経過しているようだ。

千夜「さてと……あんこは」

 俺はあんこを探しさらに家の中を徘徊した。

あんこ「zzzzz」

千夜「いた……けどこれは?」

 そこにあんこがいた。

 こっちはあの頃とまるで変わっていない。

 ……だが、その部屋にはあんこだけでなく大量のあんこ似のうさぎがいた。

 

千夜「………」

あんこ&あんこ似のうさぎたち「Zzzz」

 俺は千夜の意識や記憶を覗き見れないか試みることにした。

 しばし意識を集中させる。

千夜「なるほど」

 断片的ではあるが必要な情報を得ることは出来た。

 どうやらこのあんこ似のうさぎたちはあんことティッピーの仔供たちらしい。

 さらに面白いこともわかった。
 
 まず祖母は他界してしまったらしく、今は彼女一人でこの店を切り盛っているらしいこと。

 ラビットハウスの娘(チノ)とはこの一件が原因で完全に仲違いをしてしまったこと。

 親友のココアとシャロは大学進学でこの町を離れてしまい、今の彼女は完全に孤立していること。

千夜「くっくっく」

 俺はとても愉快な気分になった。

 どうやら虐待の神は俺の味方らしい。

千夜「……実に愉しめそうだ」

 俺は安らかな寝息を立てるあんこを少女の姿で見下しながら、にやりと笑いながら呟くのであった。


―プロローグ 終―

 日中に千夜の意識がある時は体を自由にする事は出来ないので甘兎庵内で彼女やあんこを観察することにした。

 千夜は本当によく働く。

 いつ倒れてもおかしくないほどに……。

 対してあんこは昔と変わらなかった。

 違いがあるとしたら今は一羽でなく常に取り巻きといった感じで仔うさぎを数羽傍に置いていることか。

俺「まずは千夜を壊すことから始めるか」

 どうやって壊すか?

 そんなのは古今東西一つしかない。

 俺は手ごろなヒキオタニートを探す。

 霊体なので探索は非常に楽だった。

オタ「(ブツブツブツ)」

 手ごろなのがいた。

 最後にいい思いさせてやるぜw

 俺は自分の醜く捻じくれた霊体をその男の前に現した。

オタ「!!」

 オタは昨日の千夜同様に気絶した。

俺「さて……と」

 その日から数日、甘兎庵は営業が停止した。

 そして更にその数日後、町外れで一人の浮浪者の死体が発見され小さく新聞記事を飾った。

千夜(俺)「まったく酷い臭いだ」

 男の俺ですらこの不快感だ。

 千夜はどう思っていたのだろうな?

 俺は千夜の意識の残滓を覗き見ながらまずはこの体を清めるため風呂へと向かうのであった。

千夜「さてと……これからいそがしくなる」

千夜「おっと。忙しくなるわね」

ここでの俺はもう消滅したので投稿場所を変えます。
もし見かけることがあったらそっちでよろしくお願いします。

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