穂乃果「3月8日」 (11)

明日、私達は卒業する。

ことり「この道をこうして三人で歩くのも明日で最後だね」

海未「そうですね。見慣れたこの景色ももう見納めですね」

穂乃果「え~海未ちゃんはこの街を出て行く訳じゃないじゃん」

海未「私はそう言う事を言っているのではありません」

穂乃果「え?じゃあ、どう言う事?」

海未「ですから、私が言いたいのは制服を着たあなたやことり越しに見るこの街の景色が…ってこんな気恥ずかしい事言わせないで下さい」

穂乃果「自分から言い出したんじゃん」

海未「もう…」

ことり「うふふ」


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穂乃果「…」

海未「…」

ことり「…」

穂乃果「でも…やっぱり、意識しちゃうね」

海未「そうですね」

ことり「ずっと…三人一緒だったもんね」

穂乃果「卒業か…。凛ちゃん泣きっぱなしだったね?卒業式は明日なのにさ」

ことり「ああ見えて寂しがり屋だから」

穂乃果「送辞は真姫ちゃんが読んでくれるらしいよ?」

海未「穂乃果…それは一応明日まで内緒と言う事になってるでしょう?」

穂乃果「まあ毎年生徒会長の仕事なんだし。いや~それにしてもμ’s三代連続生徒会長かぁ。先代と言い真姫ちゃんと言い優秀だからなぁ。私の代が見劣りしちゃうよね」

ことり「そんな事ないよ。穂乃果ちゃんだってしっかりとやり遂げたし」

海未「まあ、ウッカリミスも多かったですが」

穂乃果「も~、海未ちゃんの意地悪」

海未「ふふっ」

ことり「そう言えば花陽ちゃん。こっそり亜里沙ちゃんに部長の引き継ぎを始めてるみたいだね」

穂乃果「え?そうなの?」

海未「花陽の時はいきなりでしたからね」

ことり「例のDVDボックスも渡してたよ」

穂乃果「へ~そっかそっか。こうやって伝統は引き継がれていくんだね。これでにこちゃんも悔いはないね」

海未「別に悔いは残してないと思いますが…」

穂乃果「ふ~ん。にこちゃん元気かね?絵里ちゃんも忙しそうだし。希ちゃんだけだよ。しょっちゅう会うのは」

ことり「その言い方だと希ちゃんが暇人みたいに聞こえちゃうよ」

海未「希は未だに神田明神でバイトしていますからね」

穂乃果「ね?練習しに行ってもよくいるし卒業した感がないよね?希ちゃんは」

海未「それは…どうでしょうか…」

穂乃果「やっぱり毎日顔を合わせてたからね。やっぱり、昔みたいには集まらないよね」

海未「そうですね」

ことり「うん」

穂乃果「この先…なおさらだよね」

海未「…」

ことり「うん…」

穂乃果「ねえ?ちょっとさ、音小に寄ってかない?」

ことり「音小に?」

穂乃果「うん。久しぶりにさ」

海未「この時間、小学校には生徒がいるのでは?」

穂乃果「大丈夫だよ。春休み前だから午前中で授業は終わってるよ」

海未「ですが…」

穂乃果「決まり!さあ、行こう」

ことり「久しぶりだね~」

海未「そうですね。どれくらいぶりでしょうか」

穂乃果「あーーーー」

海未「な、何ですか?」

穂乃果「じ、ジャングルジム!まだ残ってるんだね」

海未「なんだ。そんな事ですか」

穂乃果「なんだってなにさ。私と言えばジャングルジムだったんだよ?」

海未「そうでしたっけ?」

穂乃果「そうだよ」

ことり「穂乃果ちゃん登るの早かったもんね。男の子にも負けなかったよね?」

穂乃果「うん。ジャングルジムではヒーローだったんだから」

海未「そう言えばそうでしたね」

穂乃果「でも…なんか小さく感じるね」

海未「あの頃より私達が成長したからですよ」

穂乃果「なるほど。確かに校庭も小さく感じるし」

ことり「昔はこの校庭が凄く広く感じたのにね」

穂乃果「あの頃は…この校庭の中が全てだったからね」

海未「そうですね。この校庭の中が私達の世界の全てで…そらが卒業して…新しい世界を知って…」

穂乃果「きっと…そういう事の繰り返しなんだろうね」

ことり「うん」

穂乃果「あ~あ~、留学かぁ」

ことり「うん」

穂乃果「流石に今回は引き止める訳にはいかないもんね」

ことり「うん」

穂乃果「海未ちゃんとも結局違う大学だし」

海未「それはあなたが試験前日に風邪を引いたからでしょう?」

穂乃果「仕方ないじゃん。小さい子が雨の中困ってたんだから。あの時は海未ちゃんだって偉いって褒めてくれたじゃん」

海未「そうですが…」

ことり「穂乃果ちゃんらしいよね」

穂乃果「まあ、どっちにしろ落ちてたよ。私の学力じゃ」

海未「そんな事ありませんよ。あんなに勉強してたのですから」

穂乃果「そうかな…」

海未「そうです」

穂乃果「……」

海未「……」

ことり「……」

穂乃果「初めてだよね?」

海未「何がですか?」

穂乃果「三人バラバラになるの」

ことり「そうだね」

穂乃果「いつも一緒だったし。私、大丈夫かな?」

ことり「穂乃果ちゃんなら大丈夫だよ。大学でも…」

穂乃果「いや、大学どうこうじゃなくてさ?朝、起きれるかな?寝坊しても海未ちゃんもことりちゃんも起こしに来てくれないんでしょ?」

海未「当たり前でしょ?私達はあなたの目覚まし時計ではないのですよ?」

穂乃果「いや~分かってるよ」

海未「本当ですか?」

穂乃果「本当、本当」

海未「ならいいですけど。これから穂乃果を待たなくて良いと思うと気が楽ですね」

穂乃果「またまた~。本当は寂しい癖に~」

海未「何言ってるんですか…」

穂乃果「いや~だから~穂乃果の世話を焼けなくて本当は寂しいんでしょ~?」

海未「それは…穂乃果の方でしょう?」

穂乃果「え~…うん。そうだね」

海未「穂乃果?」

穂乃果「……寂しいに決まってるじゃん」

海未「え?」

穂乃果「だって、ずっと三人一緒だったんだよ?寂しいよ」

海未「仕方ないでしょう?私達はもう大人になるんですから。いつまでもずっと一緒にという訳には…」

穂乃果「分かってるよ」

海未「穂乃果…」

穂乃果「そんなのは分かってるよ。でも…寂しいんだよ」

海未「…」

ことり「私も…私も本当は寂しい」

海未「ことり…」

ことり「私だって寂しいよ。本当はずっと一緒に居たい。一緒に居たいよ」

海未「やめてください」

穂乃果「どうして?寂しいと思う事はそんなにダメなの?」

海未「やめてください」

穂乃果「なんで!!」

海未「私達はもう子供じゃないんです」

穂乃果「たけど…」

ことり「海未ちゃんは寂しくないの?」

海未「私は…」

穂乃果「海未ちゃん…」

海未「…」

ことり「海未ちゃん?」

海未「……」ポロポロ

穂乃果「え?え?海未ちゃん?泣いてるの?」

ことり「どうしたの?」

海未「いえ…あなた達が…我儘言うから…私は自分に言い聞かせていたのに…」

穂乃果「海未ちゃん…」ポロポロ

ことり「海未ちゃん…穂乃果ちゃん…」ポロポロ








海未「まだ卒業式でもないのに…」

ことり「三人して泣いちゃったね」

穂乃果「そうだね。海未ちゃんもことりちゃんも目が真っ赤だよ」

海未「穂乃果だって」

穂乃果「でもさ、今日これだけ泣いたんだから明日はきっと笑顔で迎えられるよ」

海未「そうですね。すっかり涙は枯れてしまいました」

ことり「そう言えば穂乃果ちゃん。小学生の時も卒業式は泣かないって言い張ってたよね?」

穂乃果「え~そうだっけ?」

海未「そうですよ。忘れたのですか?普段は泣き虫の癖に」

穂乃果「海未ちゃんだってよく泣いてたじゃん」

海未「私は成長しました」

穂乃果「そんなの穂乃果だって一緒だよ。ね?ことりちゃん」

ことり「うん。そうだね~」

海未「もう。いつまでたってもことりは穂乃果に甘いです」

ことり「そうかな?」

穂乃果「大丈夫。そんな事ないって」

ワイワイガヤガヤ

明日、私達は卒業する。

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