穂乃果「CLUB音ノ木坂」 (36)

花陽「でね、その炊飯器の凄い所はね」

真姫「へ、へ~そうなの?凄いわね」

花陽「まだ何も言ってないよ?」

真姫「うん。でも、十分伝わったから」

ガチャ

穂乃果「いらっしゃいませ」

にこのぞりん「ようこそ。CLUB音ノ木坂へ」

絵里「……」

海未「……」

真姫「は?」

花陽「ど、どう言う事?」

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凛「ご案内します」

真姫「いや…なんなの?」

花陽「ど、どうして…薄暗くしてるの?」

凛「どうぞ、こちらへ」

真姫「へ?座れって事?」

凛「はい。お飲物はどうされますか?」

真姫「は?なんの真似よ?」

花陽「り、凛ちゃん?」

凛「お飲物は?」

真姫「じゃあ…トマトジュース…」

花陽「私は…あの…烏龍茶を…」

凛「かしこまり…かしこ…かしこまりました。トマトジュース一丁。烏龍茶一丁」

花陽「な、なんの遊びなのかな?」

真姫「知らないわよ。どうせ穂乃果辺りがくだらない事始めたんでしょうけど…」

穂乃果「どうぞ。トマトジュースです」

真姫「え?あ、ありがとう」

穂乃果「HONOKAって言います。よろしく」

真姫「知ってる」

穂乃果「子猫ちゃんはどこから迷い込んで来たのかな?」

真姫「は?何?」

穂乃果「ふっ。可愛い子猫ちゃんだ」

真姫「誰が子猫ちゃんよ」

花陽(も、もしかして…これってホストクラブのつもりなのかな?)

穂乃果「ほら?そんな顔…君には似合わないよ?君には笑顔が一番似合う」

真姫「あのね…本当に気持ち悪いんだけど」

花陽「うわ~……」

希「失礼します」

花陽「え?」

希「ノゾミって言います」

花陽「は、はい」

希「君の心にパワーを注入しちゃおっかな」

花陽「あの…希ちゃん?これは…」

希「希ちゃん?それは誰だい?君の目の前にいるのはノゾミだよ?」

花陽「な、なるほど」

希「ん~…」

花陽「え?え?な、なんですか?」

希「もしかして君…緊張してる?」

花陽「え…えっと…」

希「どうしたら緊張とけるかな?」

花陽(ど、どうして?相手は希ちゃんなのに。ここは部室なのに。私、緊張してるの?ダレカタスケテェェェェ)

希「……」ジィー

花陽「な、なんですか?」

希「いや…可愛い目をしてるなと思って」

花陽「え?えっと…」カァァァ

希「赤くなった」

花陽「だ、だって…急にそんな事言われたら誰だって恥ずかしくなります」

希「ふふっ。やっと、心の扉を少し開けてくれたね。ノックしてみて良かった」

花陽(ど、とうしよう。少し…嬉しかったかも)

花陽「はっ!?」

希「ん?どうしたの?」

花陽(真姫ちゃんは大丈夫かな?真姫ちゃんもこう言うのは得意じゃないはずだけど…)

穂乃果「君は本当は素直で可愛い子なんだね」

真姫「ば、バカ。そんな…何よ」

凛「皆んなの為に作曲やってるんだ?」

真姫「う、うん」

凛「真姫ちゃんって頑張り屋さんなんだね」

真姫「そ、そうかな?」カァァァ

花陽(え?えぇぇぇぇぇ!?真姫ちゃん?チョロすぎだよ。将来絶対にホストクラブとか行っちゃいけないタイプだよ)

希「ねえ?」

花陽「は、はい?」

希「さっきからそっちの方ばっかり見て何か気になる?」

花陽「あっ、いえ…」

希「あっ!もしかして、エリーの事が気になるかな?」

花陽「エリー?」

希「ウチのNo.1」

花陽「No.1?」

希「ちょっと待ってて。呼んでくるよ」

花陽「え?」



希「ほら。えりち。花陽ちゃんの所に」

絵里「いやよ。私はやらないわよ」

希「いいから。な?」

絵里「絶対にやらないから。私と海未を巻き込まないで」



花陽「なんか揉めてるなぁ。きっと絵里ちゃんと海未ちゃんはやりたくないんだろうけど。そう言えばことりちゃんは…どうしたのかな?」

絵里「お待たせ」

花陽「え?」

絵里「隣いいかな?」

花陽「は、はい」

絵里「じゃあ、失礼するよ」

花陽「あの…」

絵里「エリーです」

花陽「あの…どうして絵里ちゃんまでこんな事…」

絵里「ああ…僕がこの仕事をしている理由?」

花陽「え?あっ、うん。僕って…」

絵里「仲間にね。やらないと恥ずかしい秘密を暴露するって言われたんだ」

花陽(ええ?希ちゃんに脅迫されたって事?)

絵里「一体どんな秘密を握っているのか…」

花陽(それって…秘密を握ってない可能性もあるんじゃ…)

絵里「まあ…でも、これも良いかな」

花陽「え?」

絵里「だって君に出会う事が出来たんだからさ」

花陽「あっ、うん。そうなんだ」

絵里「それじゃあ、君の瞳に乾杯」

花陽「あっ、ど、どうも…」

カチーン

花陽(こ、こんな歯の浮くような台詞…本当に言う人いるんだ…)

絵里「どうしたんだい?だんまりしちゃって」

花陽「な、何でもないです」

絵里「花陽ちゃんはこう言う所は初めて?」

花陽「は、はい」

花陽(こう言う所って…ここは部室だよ?絵里ちゃん…)

絵里「そっか。じゃあ、今日はいい日にしなくっちゃね」

花陽「そ、そうですね」カァァァ

花陽(う~…絵里ちゃんってキザな言葉が凄い似合うなぁ。何だか本当に男の人に見えてきちゃうよぉ)

絵里「ところで花陽ちゃんは…」

花陽(これ以上絵里ちゃんの話に耳を傾けちゃダメだよ。うん。それよりも…)

穂乃果「真実の愛って信じるかい?」

真姫「信じる…」

穂乃果「そっか。僕は今日確信したよ。真実の愛って本当にあるんだって」

真姫「え?それって…」カァァァ

花陽(真姫ちゃーーーーん。嘘だよね?口説き落とされないよね?相手は穂乃果ちゃんだよ?)

穂乃果「ふふっ」

真姫「……」とろ~ん

花陽(真姫ちゃん…もしかして酔っ払ってる?トマトジュースで酔っ払ってるの?)

花陽(これ以上真姫ちゃんをここに長居させる訳にはいきません)

ガタッ

絵里「どうしんだい?」

花陽「真姫ちゃん!」

真姫「え?な、何?」

花陽「もう出よう?これ以上はダメだよ」

真姫「そうね。今日は…」

穂乃果「え?もう帰っちゃうの?」

真姫「うん…」

穂乃果「そんな…寂しいな…」

真姫「その…ごめんなさい」

穂乃果「……」

真姫「あの…」

穂乃果「ごめん。困らせちゃったよね?うん。また…来てね」

真姫「私…私まだ居るわ」

花陽「真姫ちゃん?」

真姫「ごめん、花陽」

花陽「真姫ちゃん目を覚まして!!!穂乃果ちゃんだよ?相手は穂乃果ちゃんなんだよ?」

真姫「はっ!そうだわ。相手は穂乃果…」

穂乃果「違うよ。僕はHONOKAだよ。ね?」

真姫「HONOKA…」

花陽「ねえ?もうやめよう?穂乃果ちゃん達も満足したでしょ?絵里ちゃんだってやりたくないんだよね?」

絵里「そ、それは…そうね」

穂乃果「ちぇっ…ここら辺でお開かぁ」

希「まあ…楽しかったしええんやない?えりちの面白い所も見れたし。もちろん真姫ちゃんも」

真姫「……」カァァァ

花陽(良かった。やっと終わったよ。真姫ちゃんは将来こう言う所とか合コンとか絶対に行っちゃダメだよ。それが分かったのは良かったかもしれないよね)

穂乃果「さてと…それじゃあ」

ガチャ

ことり「ごめんなさい。遅れちゃいました~」

穂乃果「あっ…」

花陽「ことりちゃん…」

ことり「……」

花陽「……」

穂乃果「……」

ことり「なるほど」

花陽(え?何がなるほどなの?)

ことり「あの…海未ちゃんをお願いします」

海未「え?いや…私は…」

穂乃果「え?あっ…指名入りました」

花陽(えぇぇぇ?ことりちゃん一瞬でこの場を理解出来たの?その上で海未ちゃんを指名したの?)

海未「私は無理です」

穂乃果「いいから。ね?適当にさ」

ことり「海未ちゃーーん。こっちに座って?」

海未「あ…そ、その…」

穂乃果「さっ、真姫ちゃん。君も座って?」

真姫「え?あっ、はい」

花陽(そんな…やっと終わったと思ったのに…)

ことり「海未ちゃん」

海未「は、はい?」

ことり「うふふ」

海未「な、何でしょう?」

ことり「接客してくれないのかな~って」

海未「あの…」

ことり「もしかして緊張してる?」

海未「だって…」

ことり「海未ちゃん可愛い」

海未「からかわないで下さい。私は…」カァァァ

ことり「海未ちゃんダメだよ。海未ちゃんは今は男の人なんだよ?ちゃんとなりきって下さい」

海未「ええ?」

ことり「ね?海未君?」

海未「そんな…」

花陽(ことりちゃん…楽しんでるなぁ)

ことり「ねえ?海未君ってカッコいいね?」

海未「そ、そんな事ありません」カァァァ

ことり「え~カッコいいのにぃ。海未君はどんな人がタイプなの?」

海未「な、何でそんな事聞くのですか」

花陽(ことりちゃんと海未ちゃん…立場が逆転してないかな?)

穂乃果「そっか。普段素直になれないんだ?」

真姫「うん」

穂乃果「今日はこんなに素直で可愛いのにね」

真姫「どうしてなのかしら。今日は…不思議…」

花陽(真姫ちゃん…)

絵里「ねえ?胡蝶蘭の花言葉って知ってるかい?」

花陽「へ?」

絵里「胡蝶蘭の花言葉は…純粋な愛なんだよ」

花陽「へ、へぇ~」

花陽(絵里ちゃん…結局ノリノリ…)

凛「なんか凛もう飽きたにゃ~」

希「そうやなぁ。いつの間にかウチ等やる事なくなってるし。動画はバッチリ撮ったしな」

花陽(凛ちゃん…希ちゃん…)



ことり「海未君は~普段休みの日はどんな事して過ごしてるんですか~」

海未「えっと…稽古をしたり…」

ことり「わ~凄い。ストイックなんだ~」


穂乃果「真姫ちゃんの髪…綺麗だよね?」

真姫「あ、ありがとう。でも、私…癖毛で…」

穂乃果「そうなんだ。とってもチャーミングだよ」


凛「ねえねえ?明日、絵里ちゃんにイタズラしようよ」

希「ん~ええよ。どんなんにしようか?」

絵里「で、胡蝶蘭って言うのはね」

花陽(なんか…もう、いいかな。私もこの状況楽しんじゃおうかな。疲れたし。それに…きっと人生でこう言う所に来る事はもうないだろうし。絵里ちゃん普通にカッコいいし。うん、流れに身を任せて楽しんじゃおう)

花陽「あの、胡蝶蘭って私の誕生日花なんです」

絵里「うん。知ってるよ」

花陽「え?本当ですか?」

絵里「うん。当たり前じゃない」

花陽「嬉しいです」

花陽(あ~なんか楽しいかも)

にこ「いやっ、私はっ?」

花陽「え?」

穂乃果「へ?」

真姫「何?」

絵里「にこ?」

希「にこっち…居たんや?」

にこ「ずっと待ってたんですけど!!!!私は?私の出番は?私はいつ指名されんのよ?」

穂乃果「いや~…こればっかりは…」

にこ「何がこればっかりはよ?ずっと隅っこで待ってたんですけど」

穂乃果「あっ、じゃあ…どうぞ」

にこ「ふん。いい?見てなさい?この私が…」

キーンコーンカーンコーン

凛「あっ、そろそろ練習しなきゃ」

希「そうやなぁ。じゃあ、終わりやな」

穂乃果「と言う事で…撤収!」

絵里「はあ…私は何をしてたのかしら…全く…希にも困ったわ」

希「いや…えりちノリノリやったからな?」

穂乃果「さ~練習に行こう」

凛「ねえ?練習終わったら絵里ちゃん家で遊ぼうよ!」

希「いいね。えりちん家で今日の動画みような」

絵里「な、何よそれ?」





にこ「……」

真姫「あの…」

にこ「何よ?」

真姫「まあ…ストレッチ一緒にやってあげるから…」

にこ「何?それって指名?」

真姫「うん」

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