エルシィ「もうっ！今、女の子にとっても人気があるんですよ？」

桂馬「そうなのか？」

エルシィ「はいっ！『きりりん』って呼ばれてて、彼女が着てる服をみんなが着たがってるんですからー」

桂馬「それで、その人気モデル様がどうして駆け魂なんかに取り憑かれたんだ？」

エルシィ「それを私と神にーさまが調べるんじゃないですかぁ！」

桂馬(主に僕が、な)

桂馬「まあいい。まずはその高坂桐乃とやらに会いに行ってみるか」

エルシィ「おおっ！さっそく神にーさまがヤル気になってくれてます！」

桂馬「まずは出会いを重ねてフラグを立てない事には始まらないからな」

エルシィ「はいっ！えっと、きりりんはこの時間はスタジオで撮影しているはずです」

桂馬「・・・遠いな。まったく、リアルは移動が面倒でいけないな」

【某スタジオ】

桂馬「ここか？」

エルシィ「はいっ！駆け魂の反応があるもで、間違いありません！」

桂馬「よし。まずはここで待つぞ」

エルシィ「えっ？中に入らないんですか？」

桂馬「今日のところは様子見と情報収集だ。そもそも、入れてもらえないだろうからな」

エルシィ「そうだっ！情報収集なら、きりりんが載ってる雑誌を持ってきましたよ神様！」

桂馬「いらん」

エルシィ「へぇっ！？」ガーン

桂馬「攻略対象の情報は実際に自分で見たもの以外は当てにはならない・・・」

桂馬「事前に公開されていたヒロインのプロフィールが、買って実際にプレイした時に全然違っているゲームがどれ程ある事か！！」

エルシィ「知りませんよぉ・・・」

桂馬「ともかく、この僕がファッション誌を読んだところで門外漢だ」

エルシィ「そうかもしれませんが・・・」

桂馬「だから、ここで待ち伏せして、出てきたところを着けていくぞ」

エルシィ「わかりましたっ」

桂馬「様子をうかがいながら対策を練る。チャンスがあるようなら、そのまま出会いイベントまで持っていく」

エルシィ「はいっ！」

ガチャ


エルシィ「あっ！出てきましたよっ」

桂馬「あいつか？」

エルシィ「はい！あの子が人気読者モデル、『きりりん』ですっ！」


桐乃「お疲れ様でしたー」

スタッフ「お疲れ様でーす」
スタッフ「本当にタクシー呼ばなくて良かったんですか？」

桐乃「はい。ちょっと寄るところがあるので、電車で帰りますね。それでは失礼します！」

スタッフ「あ、お疲れ様でーす」



桂馬「・・・。」

エルシィ「はわわわわ・・・///可愛いなぁきりりん！雑誌で見たまんまですよ神さま！！」パタパタパタパタ

桂馬「徒歩ならちょうどいい。追うぞ」

エルシィ「はいっ！はぅ、人気があるのに控え目でスタッフにも気を使えて、雑誌で見るよりももっと好きになっちゃいましたよ！」

桂馬「ふん。そうとは限らないぞ。あの手のキャラは、大抵二面性があるのが基本だ」

エルシィ「もうっ！神にーさまってば！きりりんは見た目通りの女の子に決まってますっ！」

桂馬「それをまずは確かめないとな・・・」

エルシィ「どうやって確かめるんですか？」

桂馬「僕が直接アプローチをかけてもいいが・・・まだ情報の少ないうちに出会いイベントは避けたい」

エルシィ「そっ、それじゃあっ！」

桂馬「エルシィ、お前が行って高坂桐乃の前でサイフでもハンカチでも落としてみるんだ」

エルシィ「はいっ！拾ってくれるかどうかで、反応をみればいいんですね！？」ぱぁぁ

桂馬「ああ、少し話しかけてみてもいい。反応を見て確かめる」

エルシィ「わっかりましたーーっ！」ぴゅーん

桐乃「～♪」てくてく

エルシィ(ええっと、きりりんの前を歩いて、何か落し物を・・・)てくてく

エルシィ(よしっ、コレにしよう！)


ぽろっ


エルシィ(目立つ色だし、気付いてくれるかな？)


桐乃「・・・・・・？」ヒョイ


エルシィ(拾ってくれたっ！)

桐乃「・・・あの～？」タッタッタ

エルシィ(きたっ！！)
エルシィ「はいっ！私に何かご用でしょうか！？」

桐乃「あ、えっと、落しましたよ？消防車のミニカー・・・」

エルシィ(わぁあああっ！拾ってくれましたーー！！)


桂馬(アイツ、何を落してるんだ！て言うか何を持ち歩いてるんだっ！)

エルシィ「わあ、ありがとうございます！」
エルシィ(消防車～♪消防車～♪)

桐乃「いえ、可愛い消防車ですね」ニコッ

エルシィ「本当ですかっ！？う、嬉しいですー！」

桐乃「えっ？はいっ」びくっ

エルシィ(きりりんに消防車可愛いって言ってもらったよぉおお！)ホクホク

エルシィ(神様は少し話しかけてみてもいい、って言ってましたよね？)

エルシィ(これはチャンスです！サイン貰っちゃおっと！)

エルシィ「あ、あのー、もしかして、読者モデルのきりりんさんですか？」

桐乃「え？あ、はい。そうですけが」

エルシィ「私、大ファンなんです！」

桐乃「本当ですか！？」ぱぁぁ

エルシィ「あのっ、サインください！！」サッ

桐乃「も、もちろんです！よろこんで！」

・
・
・

エルシィ「と言うわけで、とってもいい人でしたよ！」

桂馬「何をやってるんだお前は・・・」

エルシィ「だって～、消防車も褒めてくれたし、神にーさまは話しかけてもいいって言ってくれたし・・・」

桂馬「僕は情報を集めるように言ったんだ。ファンとして話しかけたら、素の彼女が見れないだろうが！」

エルシィ「そんな事言ってもぉ・・・サイン欲しかったし・・・」ぐすっ

桂馬「・・・まあいい。今回の件は、出会いイベントのフラグが見つからなかった場合に
『先日は妹がお世話になりました』のパターンにつなげられるからな」

エルシィ「さすがは神様ですっ！」

桂馬「ふん。モデルや芸能人キャラは、大抵フラグが立てにくい様になっているからな。
僕がフラグを見逃すとは思えんが、念のための保険にはなるだろう」

エルシィ「はいっ♪」ニコニコ

桂馬(しかし、彼女の様子に違和感はあるな)

桂馬(高坂桐乃。仕事での人気はあり、職場での人望もありそうだった)

桂馬(エルシィとの会話の様子からも、人見知りの気があるようには見えない)

桂馬(読者モデルはモデルとは言っても、『国民的アイドル』の様に大きなプレッシャーがかかるものでは無いはずだ)

桂馬(学業面？いや、成績が悪ければ親がモデルなんてやらせないだろうな)

桂馬「・・・駆け魂が取り憑く要素が見当たらない」

エルシィ「神にーさま神にーさま！きりりんが電車に乗るみたいですよ？」

桂馬「駅に入ったか。エルシィ、彼女の家はどこかわかるか？」

エルシィ「調査済みです！」

桂馬「今回はやけに仕事が早いな？」

エルシィ「えへへ、きりりんの事になったら、いつもより力が入ったみたいで」

桂馬(いつも真面目にやってくれよ・・・)

桂馬「いや、それよりも、彼女を追うぞ！」

エルシィ「りょーかいですっ！」