ダイヤ「GALAXY HiKE and Seed」 (96)

曲からssへシリーズ2つ目です

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『―――ヤ,どこにいったの?―――ヤ!』

―――
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パチッ

ダイヤ「……またあの夢ですか」

ダイヤ(ここ数日,おかしな夢を見るようになりました)

ダイヤ(誰かに呼ばれているような……そんな夢です)

ダイヤ「気にしてもしょうがないですわね,もう起きないと」パタン

ルビィ「あ,お姉ちゃん!おはよう!」

ダイヤ「おはよう,ルビィ.お母様もおはようございます」

黒澤母「おはようございます.朝ご飯の準備ができてますよ」

ダイヤ「ありがとうございます.いただきます」

ルビィ「お姉ちゃん,なんか薄っすら隈ができてるけど大丈夫?」

ダイヤ「ええ大丈夫です.ただ,最近少し変な夢を見るようになったもので」

ルビィ「変な夢?どんな夢なの?」

ダイヤ「……なんてことのない夢です」

ルビィ「ふーん……まあいいや!お姉ちゃん早く行こ!」

ダイヤ「そうですね,このままでは遅刻してしまいます」

ルビィ「お母さん行ってきます!」

ダイヤ「行ってきます,お母様」

黒澤母「いってらっしゃい.気をつけて」

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果南「変な夢?」

ダイヤ「ええ,誰かに呼ばれている気がするのです」

鞠莉「確かにおかしな夢ね.それも1回じゃないんでしょ?」

ダイヤ「はい,ここ1週間くらいずっとです」

善子「フフフ,それはおそらく魔界からの―――」

花丸「あんまり気になるようなら,うちでお祓いもできるずら」

ダイヤ「ありがとうございます.このまま続くようでしたらお願いするかもしれません」

花丸「任せるずら」

善子「聞きなさいよ!」

曜「でも気になるね.何かの暗示だったりして」

梨子「怖いこと言わないでよ……」

千歌「確かにダイヤちゃんのことは心配だけど!それよりも!」

千歌「ルビィちゃんの誕生日だよ!来週だよね?」

ルビィ「うん!でもいいの?みんなでパーティまでしてくれるなんて」

果南「当たり前だよ.Aqoursの大事なメンバーの誕生日だからね」

鞠莉「それにダイヤの妹でもあるし!」

花丸「それとも迷惑だったかな?」

ルビィ「そんなことない!すっごく嬉しい!」

曜「それならよかった」

千歌「楽しみだなあ!」

梨子「別に千歌ちゃんのためのパーティじゃないんだけど……」

千歌「それでもだよ!お祝いするのも楽しいし!」

ダイヤ「ルビィのためにありがとうございます,皆さん」

善子「……それにしても,妹か」

鞠莉「妹がどうかしたの?」

善子「いや,ダイヤとルビィって姉妹なのに全然似てないなって」

果南「あ,それ言っちゃう?」

善子「え,触れちゃダメなやつなの?」

ダイヤ「構いませんわ.よく言われますので」

ルビィ「お姉ちゃんはお母さんにそっくりなんだよ!」

ダイヤ「そしてルビィはお父様にとてもよく似ています」

ダイヤ「その結果,私たちはこのように似ていないのです」

善子「そうだったのね……納得したわ」

曜「2人のお父さんとお母さん見てみたいね!」

梨子「ルビィちゃんそっくりのお父さん……」

千歌「パーティは2人のお家でやるから,そのときに会えるんじゃないかな?」

ダイヤ「ええ,時間があるかどうか聞いてみます」

花丸「楽しみだね!ルビィちゃん!」

ルビィ「うん!」

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ダイヤ「また今日も,あの夢を見るのでしょうか」

ダイヤ(流石にこれだけ続くと,気が滅入ってしまいますね)

ダイヤ「……いけませんわ,来週はルビィの誕生日ですもの」

ダイヤ「姉として,ちゃんとお祝いしないと」

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『―――ヤちゃん!今日は遊べる?』

『すみません……今日も―――』

『……そっか,じゃあ―――』

『あ……』

『……』

『悲しそうなだね』

『っ!どなた―――?姿が―――』

『私?私は―――』

『―――さん?どこに―――?』

『―――だよ!君はどこ?』

『私は―――です.どうして声が―――』

『細かいことは―――それより―――名前は?』

『私は―――』

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ダイヤ「はあ……」

果南「どうしたの?ため息なんかついちゃって」

ダイヤ「実は,例のおかしな夢なのですが……」

曜「この前言ってたやつ?まだ見てるんだ」

ダイヤ「はい,でも今日はいつもと違いまして」

花丸「どう違ったの?」

ダイヤ「誰かとお話をしていました」

梨子「お話?誰と?」

ダイヤ「それがわからないのです.どこにもいなくて」

千歌「ほぇ?お話してたんじゃないの?」

ダイヤ「それはそうなのですが……声だけが聞こえていた感じで」

善子「ますます不思議ね」

ルビィ「心配だよお姉ちゃん……」

ダイヤ「心配かけてごめんなさい.でも気にしなくて大丈夫です」

ダイヤ「それにもうすぐルビィの誕生日です.そちらの方が大事ですわ」

千歌「そうだよ!もう明後日だからね!」

鞠莉「プレゼントはもう用意してあるわよ♪」

ルビィ「わあ!楽しみだなあ!」

果南「鞠莉のことだから,すごい高価なものあげそうだね」

鞠莉「ノンノン!今回は普通のものよ?」

ダイヤ「お願いしますわ.鞠莉さんには毎回驚かされますので」

千歌「ねえ!ちょっと提案があるんだけど!」

善子「急にどうしたのよ」

千歌「もうすぐ十五夜でしょ?だからルビィちゃんの誕生日にお月見もしたいなって!」

曜「それすっごくいい!楽しそう!」

梨子「そんなこと言って,千歌ちゃんは花より団子でしょ?」

善子「ずら丸もね」

花丸「ひどいすら.マルはそういう風情があるものは大好きずら」

果南「花より団子かはともかく,いい案じゃないかな?」

鞠莉「そうね!私も1回やってみたかったの!」

ダイヤ「それでしたら,お庭が使えないかどうか聞いてみますわ」

千歌「ありがとう!ダイヤさん!」

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『待ちなさい!―――ヤ!』

『嫌です!もうこんな―――』ダッダッ

『何を言うのです!あなたはこの―――』

『そんなの―――!そのせいで友達―――!』ダッダッ

『それはあなたのために―――!』

『嘘です!もうこんなところ―――!』バッ

『あ!待ちなさい!―――ヤ!』

『(もう嫌……誰か……助けて……)』

―――
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果南「うわっ,ひどい顔だね」

鞠莉「今日はどんな夢だったの?」

ダイヤ「ええと,何と言いますか……」

ダイヤ「何かから逃げているような……」

鞠莉「逃げている?お化けとか?」

果南「やめて」

ダイヤ「いえそういうのではなく,あれは……親?でしょうか」

果南「ダイヤがお母さんから逃げてるってこと?」

ダイヤ「おそらく……でも何かが違ったような」

鞠莉「見た目はどうだったの?」

ダイヤ「それがわからないのです.思い出そうとしてもモヤがかかったような感じで」

果南「小さいときにそういう出来事があったんじゃない?ほら,夢ってそういうものが現れたりするらしいし」

鞠莉「あり得るわね.お母さんに確認してみたら?」

ダイヤ「ええ……そうしてみます」

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コンコン

黒澤母「どうぞ」

ダイヤ「失礼します」スーッ

黒澤母「あらダイヤ,どうかしましたか?」

ダイヤ「お母様に聞きたいことがございまして」

黒澤母「なんでしょうか?」

ダイヤ「私が小さい頃の話なのですが……」

ダイヤ「私が家を飛び出した……などということはあったでしょうか?」

黒澤母「……いいえ,そのようなことはありませんでしたよ」

ダイヤ「そうですか……変なことを聞いて申し訳ありませんでした」

黒澤母「構いませんよ.さあ今日はもう寝なさい」

ダイヤ「はい,失礼します.おやすみなさい」スーッ

黒澤母「……」

黒澤母「ダイヤ……」

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『はあ,はあ―――』

『ここは―――迷って―――』

『こっち―――』

『っ!あなた―――』

『こっち―――早く―――』

『―――いるんで―――』

『―――ここだよ』

『こんな穴―――』

『さあ!飛び込―――』

『で,ですが―――』

『大丈夫―――てよ』

『きっと私たち―――』

―――
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千歌「ルビィちゃん!お誕生日!」

8人「おめでとう!!」

ルビィ「ありがとう!」

鞠莉「これでルビィも16歳ね!」

曜「ダイヤさんはルビィちゃんが生まれたときのこと覚えてる?」

ダイヤ「どうでしょう,私も幼かったので……」

梨子「流石にそんな昔のことは覚えてませんよね」

ダイヤ「私が1歳のときのことですので」フフッ

千歌「じゃあ,3年生の3人が出会ったときのことは?」

ダイヤ「それはもちろん覚えています」

果南「私とダイヤがいた内浦に鞠莉が引っ越してきたんだよね」

ダイヤ「転校初日の鞠莉さんは今にも泣きそうな顔で」

果南「すっごく可愛かったよね」

鞠莉「ちょっと!恥ずかしいからやめて!//」

ダイヤ「鞠莉さんのホテルに忍び込んで何度も怒られましたわ」

花丸「あのダイヤさんが……意外ずら」

ダイヤ「あのころは果南さんに引っ張り回されていましたので」フフッ

果南「そんなこと言って,ダイヤだってノリノリだったじゃん」

ダイヤ「否定はしませんわ」

ルビィ「お姉ちゃん達いつも一緒にいたよね!」

善子「小さい頃からリア充……」

梨子「ちなみに,果南さんとダイヤさんの出会いはいつだったんですか?」

ダイヤ「それはですね……」

ダイヤ(……あれ?)

ダイヤ(どうして……記憶が……)

ダイヤ「……すみません,思い出せませんわ」

果南「えーひどいなあダイヤ」

ダイヤ「果南さんは覚えているのですか?」

果南「もちろんだよ!あれは確か……」

果南「……あれ」

果南「どうだったっけ……」

ダイヤ「私と同じじゃありませんか」

果南「おかしいなあ……なんで覚えてないんだろ」

曜「まあまあ!今はパーティーを楽しもうよ!」

善子「そうよ.今日の主役はルビィなんだから」

千歌「ねえ見て!月がまんまるだよ!」

梨子「そういえばお月見もするって言ってたわね」

ダイヤ「お母様から許可はいただいてますので,縁側や庭に出ても構いませんよ」

鞠莉「よーしっ!みんな行くわよ!」

花丸「お団子も持っていくずら」モグモグ

善子「やっぱり食べてるじゃない!」

花丸「細かいことは気にしないずら」モグモグ

ルビィ「……ふふっ」

ダイヤ「どうかしましたか?」

ルビィ「ううん,楽しいなって」

ダイヤ「……そうですね」ニコッ

曜「そういえば,月ってうさぎに見えるよね」

梨子「それよく言われるけど,それ日本周辺の国だけらしいわよ?」

曜「ええっ!そうなの?!」

鞠莉「そうよ.国によってはカニや女の人に見えるらしいわ」

曜「そうなんだ……知らなかった」

千歌「月には生き物とかいないのかな?」

果南「少なくともこれまでには発見されてないね」

千歌「でも見てよ!なんか黒いの動いてない?」

梨子「何言ってるのよ……」

千歌「いやほんとだって!みんな見てって!」

果南「……ほんとだ」

ダイヤ「……といいますか」

花丸「あれ動いてるというより」

善子「どんどん大きくなってない?!?!」

曜「こっちに近づいてきてるよ!」

千歌「え!なに?!隕石?!?!」

ルビィ「ううん……あれは隕石じゃなくて……」

ダイヤ「……人?」

梨子「空から人が降ってきてるってこと?」

鞠莉「わーお!ファンタジーね!」

果南「いやいや,ありえないでしょ」

善子「いやでも,どう見たって……」

花丸「そして,明らかにこの場所に向かってきてるずら」

千歌「ぶつかっちゃうよ!」

曜「みんな!離れて!」

スーッフワッ―――トンッ

「……ふう」

「皆さま,お楽しみのところ申し訳ございません」

「私は月の民,名を‘カンナ’と申します」

梨子「月の……民……?」

善子「なにそれかっこいい!」

花丸「月に人が住んでるってこと?」

果南「そんなこと……でも実際見てたし……」

カンナ「驚かせてしまい申し訳ありませんでした」

カンナ「今宵は,私の娘である‘カグヤ’を連れ戻すために参りました」

曜「カグヤさん?」

千歌「でも,ここにカグヤさんって人は……」

カンナ「いえ,そちらにいますよ」チラッ

カンナ「……もっとも,今は‘ダイヤ’と名乗っているようですが」

ダイヤ「……はい?」

鞠莉「ダイヤが……月の民?」

果南「ちょっと!急になんなんですか!」

カンナ「信じられないのも無理はありません.しかし事実です」

花丸「ということはルビィちゃんも……」

カンナ「いえ,そちらの方は違いますよ.正真正銘この家の娘さんです」

梨子「でも,それっておかしくない?」

善子「そうよ!2人は姉妹なのよ!1人だけ違うなんてあるわけないじゃない!」

カンナ「ですから,その事実が違うと申しているのです」

ダイヤ「あなたは何を……いったい何をおっしゃっているのですか……」

ダイヤ「私は黒澤の娘であり!ルビィの姉です!ずっとここで過ごしてきました!」

カンナ「本当にそうでしょうか」

カンナ「不思議に感じたことはありませんか?姉妹でこんなにも似ていないことを」

ダイヤ「そ,そんなこと!」



善子『いや,ダイヤとルビィって姉妹なのに全然似てないなって』



ダイヤ「そんなこと……」

カグヤ「おかしいと思ったことはありませんか?幼い頃の記憶がないことを」



梨子『ちなみに,果南さんとダイヤさんの出会いはいつだったんですか?』



ダイヤ「そんな……私は……」

カンナ「心当たりがあるみたいですね.その理由がこれです」

果南「で,でもおかしいじゃないですか!それならどうしてダイヤはここにいるんですか!」

カンナ「それは私が悪いのです.カグヤに厳しく当たりすぎてしまって……」

カンナ「太古の昔から,地球と月は2つの穴で繋がっていました」

カンナ「しかしそれでも,今までこのようなことはほとんど起こりませんでした」

カンナ「なぜなら,その穴は神出鬼没であり,かつ条件を満たさないと穴が繋ぎの役割を果たさないからです」

カンナ「1つは地球から見て満月になっていること.そしてもう1つは穴の向こう側から誰かが手引きをすることです」

カンナ「以上の理由から,穴を使って一人で行き来することは不可能なのです」

カンナ「大人になれば,先ほどのように空を伝って渡ることは可能ですが」

曜「でもそれって……」

梨子「ダイヤさんを手引きした人がいるってこと?」

カンナ「おそらく.ただ,それが誰かはまだ判明していません」

カンナ「でもいいのです.こうしてカグヤを見つけることができたのですから」

カンナ「あの夜からずっとカグヤを探していました.厳しくしすぎたことを後悔し続けました」

カンナ「しかし,手掛かり無しに探すには地球はあまりにも大きすぎたのです」

千歌「そうだったんだ……」

カンナ「さあカグヤ,一緒に月に帰りましょう!みんなあなたを待っています!」

ダイヤ「……お断りします」

カンナ「カグヤ!」

ダイヤ「あなたの言うことは真実なのかもしれません.ですが,それをおいそれと受け入れられるほど私は単純ではありません」

ダイヤ「少し……考えさせてください」

カンナ「そうですか……わかりました」

カンナ「では後日改めて参ります.それまでに決断しておいてください」

カンナ「皆さんも,本日は急にお邪魔して申し訳ございませんでした」

カンナ「それでは失礼します」フワッ

スーーーッ


曜「……行っちゃった」

鞠莉「き,気にすることないわよ?ダイヤ」

果南「そ,そうだよ!ちょっとビックリしたけど,ダイヤはダイヤなんだから」

ダイヤ「……すみません,少し1人で考えさせてください」

ダイヤ「残りの時間は皆さんでルビィを祝ってあげてください」パタン

ルビィ「お姉ちゃん……」

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コンコン

黒澤母「どうぞ」

ダイヤ「失礼します」

黒澤母「どうかしましたか?」

ダイヤ「先ほど,私の母だという月の民の方がいらっしゃいました」

黒澤母「っっ!」

ダイヤ「お母様,教えてください.私の幼いころの話を」

黒澤母「……はあ.とうとうこの時が来てしまいましたか」

ダイヤ「っ!では」

黒澤母「ええ,その方の言うことはおそらく本当でしょう」

ダイヤ「おそらく……とは?」

黒澤母「あなたが黒澤の実の娘ではないことは事実です.ですが,月の民だというのは私も今知りました」

黒澤母「その可能性を考えなかったわけではありませんが……」

ダイヤ「どういうことでしょうか?」

黒澤母「それを話すには,少々昔の話をする必要がありますね」

黒澤母「今でも鮮明に覚えています.あの日のことを」

黒澤母「あれは,今日と同じくらい月が綺麗な夜でした……」

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―――

ドンドンドン ドンドンドン

松浦爺『黒澤さん!開けてくれ!黒澤さん!』

ドンドンドン ドンドンドン

黒澤母『松浦さん?どうしたんですか?そんなに慌てて』ガララッ

松浦爺『これを見てくれ!』

黒澤母『これとは……まあ!』

黒澤母『どうしたのですか?この子は』

松浦爺『裏の神社に倒れてたんだ!すぐに病院に連れて行こうとも思ったんだが……』

黒澤母『……この見た目ですね?』

松浦爺『ああ……あんたに似すぎていると思ってな』

松浦爺『関係あるかもと思って,応急処置だけしてここに連れてきた』

黒澤母『……この子をうちで預からせていただいても?』

松浦爺『任せてもいいかい?』

黒澤母『ええ,ありがとうございます』

―――
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黒澤母「これが,あなたが黒澤家に来た経緯です」

ダイヤ「そんな……」

黒澤母「月の民に関する言い伝えはこの内浦にもあります」

黒澤母「実際に,出生不明の子供が急に現れたという記録は過去にもわずかですが残っています」

黒澤母「確証があったわけではありません.ただ……」

黒澤母「あなたを初めて見たときに運命を感じました.この子は私が育てなければならない,そう思いました」

黒澤母「幸いにも容姿が似ていたので,周りを誤魔化すのはさほど難しくはありませんでした.あの人を説得するのは苦労しましたが……」

ダイヤ「……」

黒澤母「ダイヤ,確かにあなたは私たちの実の娘ではありません.でも,これだけは信じてください」

黒澤母「私たちはあなたを実の娘のように想っていますし,心から愛しています」

ダイヤ「……失礼します」パタン

ダイヤ(……私は)

ダイヤ「いったい……どうすれば……」

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―――

『最近変な声―――』

『なんか寂し―――』

『―――おいでとか―――』

『ん?なん―――』

『―――っ!女の子が!』

『おじいちゃん!おじい―――』

―――
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ダイヤ(一日考えても答えは出ませんでした……)

ダイヤ「そんなの……決められるわけないではありませんか……」

「覚悟は決まりましたか?」

フワッ―スタッ

ダイヤ「っ!そんな!まだ一日しか……」

カンナ「時間があれば決められると?」

ダイヤ「そ,それは……」

カンナ「カグヤ,あなたはもしここに残ったとして今まで通り過ごせると本当に思っているのですか?」

カンナ「あなたは彼女たちとは違うのですよ?」

ダイヤ「し,しかし,皆さんは気にしなくて良いと……」

カンナ「そんなのそう言うに決まっているではありませんか.仮にも友人だった方たちですから」

カンナ「それでも本心はどうでしょうか」

カンナ「地球人ではないとわかった今,これまでと全く同じように接することができるでしょうか」

ダイヤ「そんなの……」

カンナ「認めなさいカグヤ.月に帰ることがあなたの幸せになります」

ダイヤ「私は……私は……」

ダイヤ(誰か……助けて……)

――――――――――――

果南「はあっ,はあっ」タッタッ

果南「全部……全部思い出した」タッタッ

果南(確か3歳くらいのとき,誰かの声が聞こえるようになって……)

果南(不思議に思ってたら淡島神社で倒れてる女の子を……ダイヤを見つけたんだ)

果南「どうして……こんな大切なことを忘れてたんだっ!」タッタッ

果南(それに,さっき聞こえてきた声は……)

『誰か……助けて……』

果南「このままじゃダイヤが……ダイヤが行っちゃう!」

果南「お願い!間に合って!」ダッダッ

――――――――――――

カンナ「ようやく覚悟を決めましたか」

ダイヤ「……はい」

カンナ「安心しなさい.月にもお友達は用意しました」

ダイヤ「お友達……」

―ヤ!

ダイヤ(果南さん……鞠莉さん……)

―イヤ!

ダイヤ「これで……これでいいのですよね……」

果南「ダイヤ!」ガララッ

ダイヤ「果南さん?どうしてここに……」

果南「ダイヤ,私全部思い出したよ!」

果南「ダイヤの声が聞こえたことも!ダイヤが神社に倒れていたことも!」

果南「ダイヤが……寂しそうだったことも」

ダイヤ「果南さん……もうよいのです」

カンナ「その通りです.果南さん……でしたか」

カンナ「カグヤは月に帰ると決断しました」

果南「そんな……ダイヤ!」

ダイヤ「私は地球人ではありません……きっとここにはいないほうが良い存在なのです」

果南「そんなの関係ない!私言ったよね!ダイヤはダイヤだって!」

果南「ダイヤは私たちと離れちゃってもいいの?!」

ダイヤ「私がここに残ると,きっと多くの方に迷惑をかけてしまいます……」

ダイヤ「お父様やお母様,ルビィはもちろん……」

ダイヤ「果南さんや鞠莉さん……それにAqoursの皆さんにも」

ダイヤ「きっとこうするのが正しいのですわ……」

果南「私はそんなことを聞いてるんじゃない!ダイヤの気持ちが聞きたいんだよ!」

ダイヤ「私の……気持ち……」

果南「ダイヤは私たちと離れても平気なの?!これからも友達でいたくないの?!」

果南「私は嫌だよ!ダイヤと!鞠莉と!他のみんなと!ずっと一緒に居たい!友達でありたい!」

果南「答えてよ……ダイヤ……」

ダイヤ「私……私は……」

ダイヤ「ここに……残りたいですわ……」ポロポロ

ダイヤ「果南さんとまたダイビングがしたい……鞠莉さんと紅茶を飲みたい……」ポロポロ

ダイヤ「千歌さんとみかんを食べたい……曜さんとプールに行きたい……梨子さんと音楽を聴きたい……」ポロポロ

ダイヤ「善子さんの堕天使を見たい……花丸さんと本を読みたい……ルビィと一緒に寝たい……」ポロポロ

ダイヤ「Aqoursで……ラブライブを目指したいっ!」ポロポロ

ダイヤ「皆さんと……ずっと一緒に居たいですわ……」ポロポロ

果南「ダイヤ……っ!」

果南「聞きましたよね?カンナさん.ダイヤを連れて行かせるわけにはいきません」

カンナ「そんなカグヤ……あなたさっきは」

ダイヤ「ごめんなさいカンナさん……さっきまではそれが良いと思っていました」

ダイヤ「そうすることが皆さんのためになると……そう考えていました」

ダイヤ「ですがそれは,私の本心ではありませんでした」

ダイヤ「やはり私はこの場所が,ここにいる人たちが好きなのです」

ダイヤ「ですから私はここに残ります.申し訳ありません」

カンナ「……これ以上何を言っても無駄なようですね」

果南「じゃあ!」

カンナ「はい.カグヤを連れて帰るのは諦めます.そして2度と月に帰ることは許しません」

果南「っ!それは!」

カンナ「これは契約です.それでよいのですよね?カグヤ」

ダイヤ「はい,構いません」

カンナ「それならば今より正式に,あなたはカグヤではなくダイヤとなります.月の民ではなく地球人となります」

ダイヤ「問題ありません」

カンナ「わかりました.これで契約は完了です.私は月へ帰ります」

カンナ「カグヤ……いえ,ダイヤ」

カンナ「良い友達を持ちましたね……」

ダイヤ「はい.親友ですので」

カンナ「そうですか……果南さん」

果南「はい!」

カンナ「ダイヤのことをお任せします」

果南「任せてください!」

カンナ「ふふ……安心しました.ではこれで」クルッ

カンナ「失礼します」フワッ

スーーーッ パッ

ダイヤ「……行ってしまいましたね」

ダイヤ「果南さん,すみませんでした」

ダイヤ「私は自分の気持ちに嘘をついてました……「ダイヤ」

ダイヤ「皆さんのことを想うつもりが,皆さんのことを何もわかっていませんでしたっ……「ダイヤ」

ダイヤ「皆さんをっ……裏切りそうになりましたっ」ボロボロ

果南「ダイヤ」

果南「もういいんだよ.もう終わったんだから」

果南「だから……ね?」パッ

果南「ハグ……しよ?」

ダイヤ「果南さん……果南さんっ!」バッ

果南「……おかえり,ダイヤ」ギュッ

ダイヤ「はいっ……はいっ……!」ギューッ

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―――
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果南「ねえ~いい加減機嫌直してよ~」ユサユサ

鞠莉「ふーんだ!どうして私も呼んでくれなかったのよ」プイッ

果南「急いでたんだってば.連絡してる時間がなかったんだって」

鞠莉「ちょっと電話するだけじゃない!私だってダイヤの力になりたかったのに……」

果南「だからごめんって~」

ダイヤ「すいません鞠莉さん.ですが,とても助けを呼べる状況ではなかったのですわ」

鞠莉「知らない!きっとダイヤは私より果南の方が好きなんだわ!」

ダイヤ「そんなわけないじゃないですか.果南さんと同じくらい鞠莉さんのことも好きですよ」

鞠莉「信用できない!」

ダイヤ「どうすれば信じていただけますの?」

鞠莉「自分で考えて!」

ダイヤ「はあ……どうしましょう」

果南「ダイヤ,もうあれしかないんじゃない?」

ダイヤ「あれですか……そうですわね」フフッ

ギュッ

ダイヤ「鞠莉さんだけ仲間外れだなんて,そんなことありえませんわ」

果南「私たち3人はこれからもずっと一緒だよ」

鞠莉「……ほんと?」

ダイかな「もちろん(ですわ)!」

鞠莉「……ゆるす」

ダイヤ「ふふっありがとうございます」ニコッ

ダイヤ(こんなにも良い友人に恵まれて,私は幸せ者ですね)

ダイヤ(これからも……3人で素敵な思い出を作っていきたいです)

――――――――――――
―――――――――
――――――
―――

『こんな穴があったなんて……』

『さあ!飛び込んで!』

『で,ですが,どこに繋がっているのか……』

『大丈夫!早くこっちにきてよ!』

『きっと私たち,最高の友達になれる気がするんだ!』






終わり

以上です

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