アライちゃんのいる日常3 (1000)

~登場人物~

・バイト(♀)
アライちゃんが大好きな女子高生。
愛でるのも大好き。虐めるのも大好き。
殺すのも大好き。食べるのも大好き。


・肉料理屋店主(♂)
肉料理屋の店主。筋肉モリモリのマッチョマン。
バイトと一緒にアライさん料理をたまに食べている。


・アラキレス(アライちゃん)
バイトのペット。
飼い主に愛され、よく躾られている。
アラキレスもまた飼い主が大好きなようだ。


・男児兄(♂)
男子小学生。活発でやんちゃ。

・男児弟(♂)
男子小学生。大人しくて慎重。

・男児母(♀)
アライさん駆除業者。
普段はおっとりしているが、極めて戦闘能力が高い。

・黒パーカーの少女(♀)
神出鬼没の少女。
ペットアライちゃんを駆除できるのは彼女だけ。

アライちゃん12「な~のりゃ~♪」シッポフリフリ

アライちゃん12は、少女の右足に抱きついている。

黒パーカーの少女「…」スッ

少女は右足を上げた。

アライちゃん12「のりゃ」ピョコン

右足にまとわりついていたアライちゃん12は少女の足から離れた。

アライちゃん12「わくわく!わくわくなのりゃー♪」シッポフリフリ

尻尾を振りながら目をキラキラと輝かせている。

黒パーカーの少女「おやつなんて…」スッ

そして少女は、上げた右足で…




https://i.imgur.com/x5tCJS7.jpg




黒パーカーの少女「やるわけねーだろがあああっ!」ドグシャア

アライちゃん12「びぎゃああああああああああーーーーっ!?」グシャアアッ

アライちゃん12のお腹を踏みつけた。

黒パーカーの少女「食い物を粗末にしちゃけねーよなぁ?てめーらクソ害獣の胃袋に食べ物入れるだなんて、ドブに捨てた方がまだマシだね!」グリグリグリグリ

アライちゃん12「ごぶっ!がばぁあっ!」ゲボゲボ

アライちゃん12は激しく吐血している。

アライちゃん12「が…ふ…」ゲボォ

こんだけの吐血。内臓はズタズタであろう。

アライちゃん13「ぴ…ぴぃいいいいいいいいーーーーーーーーーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん14「ふりょーのおきゃくしゃんなのりゃーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん15「のあああーーーんっ!のおぉぉーーーぁーーーああんっ!」ピギュルルルル

アライちゃん16「てんいんしゃーんっ!てんちょーーっ!だぢゅげでぇえーーーっ!」ビエエエーーンッ ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん17「ぴいぃいいいーーーっ!こあいのりゃあああーーっ!てんいんしゃーーんっ!」ビエエエーーンッヨチヨチ

アライちゃん達は、蜘蛛の子を散らしたように四方八方へ逃げ出した。

果たして、アライちゃん達を助けに来て、このアラ虐を中断させる者は現れるであろうか?

黒パーカーの少女「ピーピーうるせえんだよっコバエが!」ドグチャ

アライちゃん13「はぎゃぶぅううーーーーっ!」グシャアアボギボギメギメギ

…決して来ない。
このアラ虐は中断されない。

何故なら、黒パーカーの少女が先程、スタンガンで念入りに失神させたからだ。

黒パーカーの少女「だらぁ!」ドガァ

アライちゃん14「ぴぎゃあああああっ!」ゴギベギィ

アライちゃん達は、文字通り踏んだり蹴ったりされている。

黒パーカーの少女「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ!」グシャグシャグシャグシャグシャグシャ

アライちゃん15「はぎゃ!ぐびゃ!ごぼ!はぎゅ!ぶぢぇ!じび!」グチャボギメギボギブギャ

必死にヨチヨチしても、すぐに追い付かれてしまう。

アライちゃん16「お、おまえなんかやっちゅけてやゆのりゃあっ!がぶぅ!」ガブゥバリバリ

黒パーカーの少女「カスが効かねえんだよ!」ボギャア

アライちゃん16「ぐびゅぅぅううっ!」ボギィ

アライちゃん16「いぢゃぃいいいいーーーーーーっ!ありゃいしゃんのおてていぢゃいのりゃあああああああああーーーーーーっ!」ピギイィィジタバタ

黒パーカーの少女「じゃあ次は首を折ってやるよ!」グシャ

アライちゃん16「ありゃいしゃんしにだぐな…ぐば!」グチャァ

また一匹。
また一匹。
また一匹、床に突っ伏し物言わぬ死骸となる。

黒パーカーの少女「次はてめえだ!」グシャグシャ

アライちゃん17「だぢゅげ…ぶはぁ!」ブヂャア

また一匹、駆除された。

もしも警察が呼ばれれば、このアラ虐は中断されるであろう。

黒パーカーの少女「だらぁ!」ドガァ

アライちゃん18「いぢゃいのりゃああっ!」ゲシィゴロゴロ

もしも店内の客か店員が誰か一人でも、少女に暴行されず、無事なままであれば…

今頃、警官達がここに来て、アライちゃん達は無事に保護していたであろう。

アライちゃん18「な、なんで…ありゃいしゃん…ふりょーじゃないのに!」

黒パーカーの少女「脳ミソ不良品のハエガイジは駆除一択だぜ!」ドグシャア

アライちゃん18「びぎゅっ!」ゴギベギィ

だが警察を呼べる者はいない。
だれもこのアラ虐を中断させることができない。

なぜなら…
店員も、店長も。
疲れたサラリーマンも。
独身おじさんも。
おばさん1&2も。
女子高生も。
金髪女児も。

店内の人間は、すべてスタンガンによって失神させられているから。

そして、新たな客が入ってこないように、店のドアは奪われた鍵で施錠されているのだから。

このアラ虐を止めることができる者は、排除されたからである。

黒パーカーの少女「はぁ…はぁ…さすがに一匹一匹みんな素手で殺すのはしんどいな…」ハァハァ

アライちゃん19「かえってええ!かえってえぇええ!」ビエエエーーンッ

アライちゃん20「もーかえってほちーのりゃあっ!」ビエエエーーンッ

アライちゃん21「てんいんしゃーーんっ!てんいんしゃーーんっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん22「おねーしゃ!おねーしゃぁっ!おへんじしてなのりゃあ!いっしょにあしょぶのりゃあっ!」ユサユサ

アライちゃん18「」ガクンガクン

黒パーカーの少女「あーくそうぜぇ…。それじゃ、こいつで駆除するか」スチャッ

少女は、バッグからなにかを取り出した。

https://i.imgur.com/zzSTvCE.jpg

…これは、何の道具であろうか。

黒パーカーの少女「小型火炎放射器、X●42!放射ァアアアーッ!」ガチッ ボウウウウッ

なんと。
この道具は火炎放射器であった。

ポンプが小さくて燃料をあまり入れられないが、焼却範囲は十分大きいスグレモノだ。

火炎放射器「」ゴウウウゥゥウ

放たれた火炎は…

https://i.imgur.com/V8cq7oq.png

アライちゃん19「びっっっぎゃあああああああああああああーーーーーーーーーーっ!」ボウウウウッメラメラ

アライちゃん20「あぢゅいのりゃあああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!」ドジュウゥゥウ

アライちゃん21「あぢゅいっ!あぢゅうぅうううういいいいぃいいいいいいいいいーーーーーーーっ!」ボオォメラメラ

アライちゃん22「このあぢゅいぴかぴかなぐぢでええええええええーーーーーーーーっ!てんいんしゃあああああああーーーーーんっ!」メラメラパチパチ

アライちゃん23「ぴぃいいいっ!あぢゅいのつけられだぐないのりゃああああーーーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん24「だぢゅげでえええーーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん25「のおぉおぉぁあああああーーんっ!のおぉおおーーーぉぁあああああーーーんっ!」ピギイィィヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は、火炎から逃れようとして必死に逃げ惑う。

黒パーカーの少女「逃げられるわけねーーだろうがあああーーっガイジがぁ!」ボウウウウッ

アライちゃんの23~27「「「ぴぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!あぢゅうぅうううういいいいぃいいいいいいいいいーーーーーーーっ!!」」」メラメラパチパチ

店員に大事に愛されて育てられ、可愛いと大評判の、優秀な益獣であるアライちゃん達は…

少女の火炎放射器で火だるまにされ、次々と焼却処分されていく。

アライちゃん28「あ…ぁ…」ガチガチブルブル

アライちゃん29「なんでもしゅゆかりゃあ…だぢゅげでぇ…」ブルブル

アライちゃん30「なんでも…なんでもしゅゆがりゃあ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「本当だな?約束だな?何でもするんだよな?」

アライちゃん28~30「「「しゅゆのりゃああ!」」」ウルウル

黒パーカーの少女「じゃあ…」



黒パーカーの少女「てめーら3匹で殺し合え!生き残った奴だけ助けてやる」

アライちゃん28~30「「「ぴっ…!?」」」

黒パーカーの少女「制限時間は5分だ!はい、それじゃあアライコロシアム開始ィ!」

アライちゃん28「う、うゆぅ…」ブルブル

アライちゃん29「け、けんかしたら…」ブルブル

アライちゃん30「ふりょーなのりゃあ…いじめられゆのりゃあっ…」プルプル

アライちゃん28「…ど、どーしゅゆのりゃ…」ブルブル

アライちゃん29「こ…こよちあうのりゃ…?」ブルブル

アライちゃん30「や、やなのりゃあ…いたいことやなのりゃあ…」ブルブル

アライちゃん28~30「「「うえぇ~~んっ!なかよしじゃなきゃやーなのりゃああーーっ!」」」コスリコスリ

黒パーカーの少女「っ…さっさとやれよ…。自己中害獣のくせに寒い友情ごっこやってんじゃねえ…クソきもいし鳥肌立つわ…」イライラ

少女は、なかなか殺し合わないアライちゃん達に苛立っている。

アライちゃん28「お、おきゃくしゃん…!ころちあうのやーなのりゃあ…!」ウルウル

アライちゃん29「ありゃいしゃんたちおともだちなのりゃあ…!ひとりぼっちでいきのこってもさみちーのりゃ…!」ブルブル

アライちゃん30「おねがいなのりゃ…さんにんぜんいんたしゅけてなのりゃあ…!」ウルウル

黒パーカーの少女「っ~~~~っ!自分の勝手な都合ばっかり押し付けてきて、なーんにもこっちの言うこと聞かねえ!やっぱクソ害獣は自己中のクソだな!」プッツーン

黒パーカーの少女「まず一匹処刑~♪」ボウウウウッ

アライちゃん28「びぎゃあああああああああああああーーーーーっ!!あぢゅぃいいいーーーっ!!」ボウウウウッ

アライちゃん29「のりゃあ!?」

アライちゃん30「ひぃいいっ!びえええーーんっ!」

アライちゃん28「とってえええええーーーー!なぐしてええええーーーーっ!あぢゅいあぢゅいあぢゅぅぃいいいーーーっ!」ボウウウウッメラメラパチパチ

アライちゃん29「お、おぎゃくしゃん!おともだちたちゅけてなのりゃあああっ!」ビエエエーーンッ

アライちゃん30「なんでもしゅゆがりゃああっ!」

黒パーカーの少女「それじゃ、てめーらのどっちかが代わりに死ぬか?なら助けてやってもいいが?」

アライちゃん29&30「「ぴっ…」」

アライちゃん29「や…やなのりゃああああっ!」ビエエエーーンッ

アライちゃん30「ありゃいしゃんしぎだぐないぃいいいーーっ!しぬのやなのりゃああああーーっ!」ビエエエーーンッ

アライちゃん28「だぢゅ…げ…」プスプス

アライちゃん28「」ジュウウウウ

黒パーカーの少女「あーあ。お前らが見捨てたせいでこいつは焼け死んだ。可哀想に!てめーらが自分ばっかり大事にする利己的なクソ害獣だから!」

アライちゃん29「うぅ…ごめんなしゃいなのりゃあ…」ウルウル

アライちゃん30「ひぐっ…ぐしゅっ…」シクシク

黒パーカーの少女「さて、てめーらもそいつと同じように死にたいか?」

アライちゃん29「やなのりゃあ!しにだぐないのりゃああっ!」

アライちゃん30「だぢゅげでええっ!ありゃいしゃんをだぢゅげでえええっ!」ピギイィィ

黒パーカーの少女「じゃあ、分かってるな?殺し合いな。今死んだ奴の火が消えるまでに、かたっぽだけ生き残ってれば、そいつを助けてやるからよ」

アライちゃん29&30「「ひ…ぃ…!」」ガクガクブルブル

黒パーカーの少女「はい、それじゃあ、害獣ファイト開始ぃ!バトルスタートだ!生き残りたきゃ戦えぇ!」

アライちゃん29「こ…こよちあうって…」

アライちゃん30「ど…どーしゅればいーのりゃ…」ブルブル

アライちゃん29「え、えいっ…」ソーッ

アライちゃん29は、アライちゃん30にパンチをしようとする。

アライちゃん30「ぴぃぃっ!?」ブルブル

アライちゃん30はぎゅーっと目をつぶり、頭を守っている。

アライちゃん30「やだ…たたかないでなのりゃ…いたいのやなのりゃ…」ブルブル

アライちゃん29「ひっ…」ピタッ

しかし、アライちゃん29は腕を引っ込める。

アライちゃん29「う、うゆぅ…」ブルブル

アライちゃん30「う、ぅぅぅ…」ハァハァ

アライちゃん29「あ、ありゃいしゃんは!いきのこりたいのりゃあっ!」ハァハァ

アライちゃん30「ありゃいしゃんもいきのこりたいのりゃあっ!」フゥフゥ

二匹のアライちゃんは、目に涙をためながら向かい合っている。

黒パーカーの少女「…」フアーァ

少女はその様子を見ながら、退屈そうにあくびをしている。

アライちゃん29「っ…」ハァハァ

アライちゃん30「ぅぅ…」ゼェハァ

アライちゃん達は、どれだけ主張し合っても、話が平行線から動かないことを悟ったようだ。

アライちゃん29「け…けんか…しゅゆのりゃあ…!」ブルブル

アライちゃん30「けんか…っ!?だ、だめなのりゃ…そんなことしたらおこられゆのりゃあ…!」

アライちゃん29「てんいんしゃんはきっと、あいつにこよされたのりゃ!おともだちみたいに!だ、だれも…!」ブルブル

アライちゃん29「もう…ありゃいしゃん…たちを…おこらない…のりゃあっ…!」ウルウル

アライちゃん30「てん…いん…しゃんっ…!」ウルウル

アライちゃん29「だっ…だかりゃあ…!けんかできめゆのりゃあっ!」ブルブル

アライちゃん30「っ…!」コクコク

アライちゃん30は、首を縦に振る。

アライちゃん29「た、たあ~!」ヨチヨチ

アライちゃん30「たあ~!」ヨチヨチ

アライちゃん達は、突進し合う。

アライちゃん29&30「「ぴぃっ!」」ピタッ

アライちゃん達は、顔面から衝突する直前でストップした。

アライちゃん29「ひ…ひぃっ…」ブルブル

アライちゃん30「いたいの…やなのりゃあ…」ブルブル


アライちゃん達は、客やルームメイトを、決して傷付けず、暴力を振るわず、仲良くするように…徹底的に教育されている。

それに第一、アライドール手術により、爪と牙の殺傷能力を無力化されているのである。
相手を殺すための武器すらない。

そして、戦いにおいて一番重要な武器とは『知識』である。

『生き物が何をすれば死ぬか?』を知っていれば、たとえ素手でも相手を殺せるだろう。

首を絞め、呼吸や脈を止めれば死ぬ。
急所を刺し、出血させれば死ぬ…。


アライちゃん29「こ…こよちかた…なんて…」ブルブル

アライちゃん30「わかんない…のりゃあ…」ブルブル

カフェアライちゃん達は、そもそもどうすれば生き物を殺せるのか、教わっていないのである。

これでは、殺し合いそのものが成り立たない。

アライちゃん29「ど…どーすれば、こよせゆのりゃ…?」クルッ

アライちゃん30「お…おちえて…なのりゃあ…」クルッ

黒パーカーの少女「はぁああ~~…めんどくっせぇ~~~………」

少女は深い溜め息をついた。

失望と、退屈と、面倒くささと、不満と、苛立ち。

それら全てが込められた溜め息であった。

黒パーカーの少女「押し倒して首でも絞めりゃいいだろ…。そこら辺の火にでも投げ込めばいいだろ…。その位もわかんねえのかよ…」ハァ…

アライちゃん29「っ…」ブルブル

アライちゃん30「くび…しめゆ…?どーやって…こ、こーなのりゃ…?」ソーッ

アライちゃん30は、アライちゃん29の首へ手を伸ばす。

アライちゃん29「ぴぃっ!やめゆのりゃあ!」バッ

だが、アライちゃん29は手で首を防御する。

アライちゃん30「あ…ご、ごめんなのりゃ…」

アライちゃん29「う…う…」ウルウル

黒パーカーの少女「はぁ~…。ほら見ろ、火が消えてんぞ」チラッ

アライちゃん28「」プスプス…

アライちゃん28は既に燃え尽きていた。

アライちゃん29&30「「あっ…!」」

黒パーカーの少女「はー期待外れだ…心底期待外れだ…」スチャッ

アライちゃん29「ま、まって!」

アライちゃん30「あぢゅいのやなああ!やなああああっ!」

黒パーカーの少女「はっきり言おう…」

アライちゃん29&30「「の、のりゃ…?」」

黒パーカーの少女「俺はおめーらみてえな偽善ガイジが!普通のクソ害獣よりも!ずっとずっとずぅーーーーーっと嫌いなんだよ!くたばれ!」ガチッボウウウウッ

アライちゃん29「ぴぎゃああああああああああああああーーーーーーっ!」ボオォメラメラ

アライちゃん30「あああああぢゅいいいいいいのりゃああああああーーーーーーーっ!」ボオォメラメラ

きちんと店員の教育に従い、互いを傷付け合おうとしなかったアライちゃん達であったが…

それが逆に黒パーカーの少女の逆鱗触れたようだ。

黒パーカーの少女「何でもやるって言って約束しといて!それを破ったのはてめーらの方だぜクソ害獣!」ボウウウウッ

アライちゃん29「あぢゅうぅぃいいいいいいいいいいいいいいいのりゃあああああああーーーーーっ!」ボウウウウッ

アライちゃん30「だぢゅげでだぢゅげでだぢゅげでだぢゅげでだぢゅげでぇーーーーっ!」ボウウウウッ

黒パーカーの少女「ハエガイジの分際で!いっちょまえにいい子ちゃんの皮被ってんじゃねえよ偽善ガイジ!害獣は害獣らしく殺し合えばいいんだよ!」ボウウウウッ…シュボッ

火炎放射器から火が出なくなった。

黒パーカーの少女「ん…。燃料切れか…」カチッカチッ

アライちゃん29「あ…ぁあ…」メラメラ

アライちゃん30「」ジュウウウウ…

黒パーカーの少女「あーくそつまんねえ。爽快感ゼロだ。おれはてめーらが醜い本性をさらけ出して殺し合うブザマな姿が見たかったのに…」

黒パーカーの少女「殺しの知識すらないガイジには、土台無理な話だったか」

アライちゃん29&30「「」」ジュウウウウ…

黒パーカーの少女「さーて、これで全部かな…?」キョロキョロ

育児室の中を見渡した少女は、あるものを見つけた。

籠「」シーン…

…それは大きな籠であった。
砂トイレと水差しがついており、何の物音もしない。

黒パーカーの少女「あれは…?」ツカツカ

籠の中を覗くと…

アライちゃん10「っ…」プルプル
アライちゃん11「っ…」プルプル
アライちゃん32「っ…」プルプル
アライちゃん33「っ…」プルプル

…四匹のアライちゃん達が、身を寄せあっていた。

この籠は『不良ブタ箱』である。
少女は、不良ブタ箱の存在はまだ店員から聞いていない。

黒パーカーの少女「てめーらそれで隠れたつもりか?ああ!?」ガシャンッ

少女は籠を蹴った。

アライちゃん10「ひいぃ!?」ビクゥ
アライちゃん11「あっばか…!こえだしゅなぁ!…あっ」ビクゥ
アライちゃん32「しっ…だまってゆのりゃ…あっ」
アライちゃん33「っ…」ブルブル

黒パーカーの少女「なんだてめーら。それで身を守ったつもりかよ、ああ!」ドガァドガァ

少女は籠を蹴る。

アライちゃん10「ひいぃっ…!」

アライちゃん11「だいじょーぶなのりゃ!このおりがあゆからだいじょーぶなのりゃ!」

アライちゃん32「お、おまえなんかにありゃいしゃんたちはこよせないのりゃ!このかたいかたいおりがあゆのりゃ!」ガシャガシャ

アライちゃん33「おまえには、げほ、ごほ!ごほ…」ゴホゴホ


部屋の中は、火炎放射器によって放たれた炎のせいで火災が発生している。

アライちゃん33は、燃えた部屋の煙を吸って咳き込んだ。

アライちゃん33「げほごほ!…うゆ、このおりのなかのありゃいしゃんたちにはひどいことできないのりゃ!あきらめてかえゆのりゃ!」

黒パーカーの少女「もうあまり長居もできないか…」スッ

少女はマスクを装着した。

アライちゃん10「ありゃいしゃんは、きょーほどふりょーでよかったとおもうひはないのりゃ…」

アライちゃん11「ふりょーぶたばこのおかげで、けられないしふまれないのりゃ…」ブルブル

アライちゃん32「ありゃいしゃんたちをいじめた、おそとのやつらはいーきみなのりゃ!ありゃいしゃんをいじめたからばちあたったなのりゃ!」ノヒャヒャヒャヒャ

アライちゃん33「このままぶたばこでやりすごすのりゃ!」

黒パーカーの少女「…」

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん10「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃん11「かっえれ!」コスリコスリ

アライちゃんの10&11「「さっさとかえれ!」」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん32「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃん33「でってけ!」シッポフリフリ

アライちゃんの32&33「「さっさとでてけ!」」シッポフリフリフリフリフリフリ

黒パーカーの少女「その口の悪さ…お前らアレだろ。悪いことしてそん中に閉じ込められてるんだろ」

アライちゃん10「う、うゆ…そーなのりゃ…」

黒パーカーの少女「どうだ?そこから出たくないか?鍵持ってるから出してやれるぜ」

アライちゃん11「ぜ、ぜったいでないのりゃ!ありゃいしゃんはこのなかからでないのりゃ!」

黒パーカーの少女「絶対出ないのか?誓って言えるか?」

アライちゃん32「ぜったいぜーったいでないのりゃ!ちかうのりゃ!」

アライちゃん33「でてやゆもんかー!べろべろばー!ごほ、ごほ…!かえれー!」

黒パーカーの少女「…へへ…」ニヤニヤ

アライちゃん10「な、なにわらってゆのりゃ…」

黒パーカーの少女「やっぱクソ害獣は、こうでなくっちゃなあ!」ガシィ

少女は、不良ブタ箱を持ち上げて…

黒パーカーの少女「じゃあ誓った通り!そこから出たがるんじゃねえぞ!」ポーイ

アライちゃん達「「「のりゃああ!」」」ガシャンッ

アライちゃんのいる不良ブタ箱は…

アライちゃん10&11&32&33「「「ああああああああああああぢゅいいいいいいいいいのりゃあああああああああああーーーーーーっ!!」」」ジュウウウウパチパチメラメラ

…燃え盛る炎の中に投げ込まれた。

アライちゃん10「あっぢゅぃいいいいいいいいいい!あぢゅいのりゃあああああああーーーーーっ!ぴぎいいぃぃいーーっ!」ヨチヨチヨチヨチピョーンッ ガシャンッ

アライちゃん11「だちて!あぢゅいいいい!だちてええーーっ!」ヨチヨチピョーンッ ガシャンッ

アライちゃん10と11は、しきりにケージへ体当たりをしている。

アライちゃん32「あぢゅいのりゃあ!だちて!だちてくだしゃいなのりゃああああ!」ピギイィィヨチヨチヨチヨチ

黒パーカーの少女「ああー?さっきお前ら、絶対そこから出ないって誓ったばっかじゃねーか!誓いは守れよ!ははははははは!」ゲラゲラ

アライちゃん33「あれはなし!なしなのりゃあああああああああああああああああっ!ぎびいいいいいいいいっ!!」ジュウウウウメラメラ

アライちゃん達は、籠の中で暴れまわっている。

黒パーカーの少女「何が無しだ。出さねえよ!その中で燃えカスになっちまえよ!」

アライちゃん10「おねがいだからだちてええええーーっ!」ジタバタ

アライちゃん11「あぢゅいあぢゅいあぢゅいあぢゅいぃーーっ!」ジタバタ

アライちゃん32「うぅ…たあ~っ!」ピョーンッ ムギュゥッ

アライちゃん10「ぎびゃ!?あ、あああぢゅいいいい!」ズシリ

アライちゃん33「あぢゅいのもーやなのりゃああっ!たあ~!」ピョーンッ ムギュゥッ

アライちゃん11「びぎゃあああっ!あぢゅいのりゃああああああああああっ!」ズシリ ジュウウウウ

なんと、アライちゃん32&33は…


https://i.imgur.com/1bsXslQ.png


…アライちゃん10&11の上に乗って、火から逃れようとしている。

当然、アライちゃん10&11はすぐに火だるまになった。

アライちゃん10「ぴっぎぃいいいいいいいいいいいいーーーーーーーっ!きゅるるるるるるるっるぅううううううーーーーっ!うえのゆのやべろおおぉおーーーっ!」ピギイィィジタバタシッポフリフリ

アライちゃん11「だぢゅげでえええええええーーーーーっ!ありゃいしゃbがかわいそーーーなのりゃああああああーーーーーーーっ!」ピギイィィメラメラパチパチ

黒パーカーの少女「はーーーーーーーーーーっはっはっはっはっは!!!お前らはそれでいいんだよ!さっきみたいなクソ気持ち悪い偽善ガイジなんか居なくていい!てめーらみたいなのだけいればいいんだよ!はははははははっ!」ゲラゲラ

少女は大笑いをしている。

アライちゃん10「ああああああああぎゃああああああ!おりろおおおおお!うえがらおりろおおおおおおおおおおおおおーーっ!」ジュウウウウ

アライちゃん11「ぎ…びぃ…」ジュウウウウ

アライちゃん32「ふぎゅ、ふぎゅぅ!げほごほ!だ、だちて、だちてええ!」ガシャンッガシャンッ

アライちゃん33「ごほごほ!がほごほ!だしゅのりゃああっ!いっしょーせったいしてやゆかりゃあああっ!」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「ふぅー…。『生きて人の役に立つ、善良なアライさん』なんて矛盾した存在なんぞこの世に必要ない。気持ち悪いだけだ」

黒パーカーの少女「全てのアライさんは、皆等しく人に迷惑かけてばっかの害獣らしくあればいいんだ!」

黒パーカーの少女「あーあ、実を言うとおれはなぁ。アラ信共を殴ってまでこの手で直接手を下したくはなかったんだよなぁ…」

黒パーカーの少女「まるで、『善良なアライさんの存在を認めてしまった』かのような…敗北感すら感じるぜ」

黒パーカーの少女「理想を言えば…お前らが客を噛みついたり引っ掻いたりして、合法的に殺処分されるっていう自滅オチが!見てて一番気持ち良かったのによぉ!」

アライちゃん32「かまないからああ!ひっかかないからあああ!だちてええええええっ!」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「うるせえ!てめーらアライさんという生き物は!皆駆除されることにのみ価値があればいい!生きてることに価値があっちゃいけねえんだよクソ害獣!」

黒パーカーの少女「ハエガイジ共は!善良であっちゃあ!いけねえんだよ!社会に貢献しちゃ!いけねえんだよ!」ドガァドガァ

少女はバットを震い、アライちゃん32をケージ越しに殴った。

アライちゃん32「いぢゃいのりゃあああああっ!…ぴぎっ!あぢゅいぃっっ!」ゴロンゴロン

殴られたアライちゃん32は、アライちゃん10の上から転げ落ち、炎の中に落下した。

黒パーカーの少女「てめーらハエガイジは!おれが安心して見下せるサンドバッグであればいいんだよ!常におれより下の存在でなくちゃいけないんだよ!」ドガァ

アライちゃん33「ぴぎぃぃっ!あ、あぢゅいいいっ!」ゴロン ジュウウウウ

黒パーカーの少女「いくらブッ殺してもいい存在でなくっちゃ駄目なんだよお前らは!てめーらを殺すことでおれが英雄として賞賛されるような!絶対的な悪役でなくちゃ!ゴミパンダヴィランでなくちゃいけねえんだ!」ドガァドガァ

黒パーカーの少女「それ以上の価値を持つことなんぞ絶対に許さねえ!おれ以上に!人に愛されて!価値を認められて!承認されることなんぞ、決してあっちゃならねえ!そんなもんは絶対に認めねえ!」ドガァドガァ

不良ブタ箱「」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「だから駆除してやる!害獣以上におれを不快にさせる益獣(笑)なんぞ、この世から一匹残らず消し去ってやる!」ドガァドガァ

黒パーカーの少女「フレンズのまがい物のハエガイジですらない!ハエガイジのまがい物のクソ益獣は!おれにとって!害獣以上にクソムカつくんだよおおおおっ!」ドガシャドガシャ

不良ブタ箱は、ひしゃげてぐにゃりと曲がりつつある。

黒パーカーの少女「てめーらハエガイジが人に愛されてるだと?おれを差し置いて、害獣のてめーが?ムカつくんだよブチ殺す!てめーらは人の愛を利用して生きる寄生害獣!最悪のクソ害獣だ!」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「てめーらのように、人にハエガイジモドキの寄生害獣に許される道はたった2つだけだ!」ドガシャドガシャ

黒パーカーの少女「おれに殺されるか…あるいは…!」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「脱走して、害獣らしく人に迷惑かけるヴィランとして生きるか!その二択だけだ!」ガシャンッガシャンッ

黒パーカーの少女「できれば後者のヴィラン堕ちの方が!安心して見下せるから!そっちの方が嬉しいなあああ!」ズガシャアアッ

黒パーカーの少女「はぁ…はぁ…」ゼェハァ

少女は、不良ブタ箱の中の様子を見る。

アライちゃん10「」ジュウウウウ…
アライちゃん11「」ジュウウウウ…
アライちゃん32「」ジュウウウウ…
アライちゃん33「」ジュウウウウ…

どうやら不良アライちゃん達は、熱によって既に死んでいるようだ。

黒パーカーの少女「よし、じゃあ撤収するか」シャッ

少女は、窓際のカーテンを締めた。

やがて、がららっと窓が開く音が聞こえた。

…しばらくして、カーテンが風でなびいて捲れると…

…既に少女の姿は、そこには居なかった。

…しばらくして…

窓から出た煙を見た近隣の人々が、警察と消防署へ通報した。

店内で倒れている人々は、皆救急車で運ばれた。

容態が最も危険なのは、金髪女児であった。

彼女の小さな体には、三発もの違法改造スタンガンの攻撃はあまりにもダメージが大きすぎた。

アライカフェで楽しいひとときを過ごすはずだった金髪女児。

カフェからひどい姿となって運び出された彼女を見た両親は、ただただ泣き崩れた。

金髪女児は救急車の中で心臓マッサージと人工呼吸をされ、なんとか循環系は動いている。

しかし、病院では未だ意識を取り戻さず、人工呼吸機を装着され、入院し続けている。

両親は、金髪女児の手を握り、意識を取り戻す瞬間を震えながら待ち望んでいる。

独身おじさんもまた、ひどい重症を負った。

スタンガンもそうだが…
彼の場合、頭や首、そして眼球への外傷が深刻であった。

診察の結果、脛椎に異常が出ており、一部の感覚麻痺や運動機能への異常が確認された。

首の骨や頭蓋骨にも損傷があり、数度の手術をした上で、首にはボルトを入れなくてはならないであろう。

そして眼球は…
角膜だけでなく、網膜や視神経まで損傷。

いわゆる失明という状態となった。

事務系の仕事につき、パソコンが趣味だった独身おじさん。
光を失い、配偶者もいないこの中年は、この先どうやって生きていけばよいのであろうか。

もしも…
アライさんのように。

他者の危険よりも、自分の身を案じていれば。
光まで失うことは無かったであろう。

彼は身を呈して黒パーカーの少女のアラ虐を阻止しようとしたが、
その行為は彼にも他者にも全く良い結果をもたらさなかった。

彼の選択は…愚かだったのであろうか。

そしてアライカフェのアライちゃん達は全滅。
建物も大半が焼け落ちた。

言うまでもなく、アライカフェは経営を畳んだ。
店員や店長は、路頭にさまようこととなった。

アライカフェ業界では、店員らの手腕は有名であり…

『自分たちの店で雇用したい』というオファーが山ほどあった。

しかし、店員らはそれを拒否した。

スタンガンを浴びせられてまったく動けない中で、聞こえてくるアライちゃん達の断末魔が…

手塩にかけ、愛情をこめて育てたアライちゃん達が、笑いながら殺されていく情景が、店員たちに深いトラウマを作ったのであった。

黒パーカーの少女のうわさは、全国に広まった。

アライちゃん愛で産業に関わる者達は皆、『黒いパーカーを着た、中学生くらいの少女』を警戒した。

しかし、そんな少女はどこにでもいる。
罪のない女子中学生たちを服装だけで入店拒否するわけにもいかない。

第一、そんな処置をしたら、犯人は白いパーカーでも着てくることであろう。

警戒してもキリがないので、服装だけで判断することは止めにしたようだ。

このような、悲惨な結果にはなったが…

確実にいえる事実が一つある。

アライカフェにいるアライちゃん達が、一匹残らず駆除されたことである。


もしも、普通のアライさん嫌いな人間が、偶然アライカフェに立ち寄り…
そこで愛でられ、遊び回るアライちゃん達の姿を見たら…

やはり『一匹残らず駆除したい』と思うことであろう。

だが、その願望はふつうは叶わない。

何故なら、カフェのアライちゃん達には、身を呈して守ってくれる人間がいるから。

たとえ客がアライちゃん達を駆除したいと思い、実行に移そうとしても、
必ず店員や客に止められてしまう。

きちんと法律を守り、彼らを傷付けまいとするならば…
結局、アライちゃん達を駆除したいという願望は叶うことはない。

店員や客を傷付けずに、アライちゃんだけを駆除するという都合のいい方法はなく、
そんな結末は決してあり得ない。

『アライちゃんが噛んだ』とか、嘘をついてクレームを言っても…
きっとバレて、失敗することであろう。

だが、黒パーカーの少女は、その願望を実現した。

法律を破り、店員や客に暴行をして邪魔できないようにすることで…

店内の全てのアライちゃんをアラ虐し、駆除することに成功した。

好むと好まざるとに関わらず…
『アライちゃんを一匹残らず駆除したい』という願望は、黒パーカーの少女でなければ叶えることはできなかったのである。

彼女のように、店員や客へ暴力をはたらき、邪魔できないように無力化することでしか…

カフェアライちゃんの完全駆除は決して実現し得なかった。

アライカフェや、動物園のふれあいコーナーで大事に育てられ、可愛がられるアライちゃんを見て、
『駆除したい』という願望を抱いたとしても…

人間を巻き込まずにそれを実現する手段は、決して存在しないのである。

つづく

というわけでクソ長かったアライカフェ編は終了です

さすがにこれからは、40枚以上もイラストを仕込んでから書くことはないと思います

もし気に入ったイラストがあれば、教えて貰えたら幸いです



成体のアライさんとは、どんな生き物なのであろうか。

一言で端的に表すなら…
『怒らせるとマジで危険な生き物』である。

成体のアライさんは、見た目こそ中学生女子くらいの大きさだが…

高い木へ、軽々とすいすい登る運動神経。

人間の2~3倍はあろうかという怪我の治癒力。

病原体や寄生虫が効かないため、栄養失調や寿命でもない限り病死しないという驚異の生命力。

ペーパーナイフのように鋭い爪と牙。

その身体能力たるや、脅威と言わざるを得ない。

森で出会って怒らせたら、怪我で済めば優しい方である。


では、アライさんは一斉駆除しなくてはならないか?というと…
そこまででもない。


まず第一に、多くのアライさんは積極的に人を攻撃しない。

攻撃は最終手段として、威嚇により我を通そうとしてくる。

故に、ただ出会っただけならば、交戦を回避することは可能なのである。

第二に、森へ来てアライさんへ餌付けする人間がいるため、
『人間は必ずしも敵ではない』と思っている。

人間と仲良くする気こそないが、かといって積極的に排除したり喧嘩を売ったりするべき敵ではないと思っている。

だったら畑の作物を荒らすなと言いたいところだが、アライさんは自分が気に入らないことは大抵受け入れず、
気に入ったことだけ受け入れる性格の個体が殆どであるため、
説得の余地はほぼ無いといえる。


そして第三の理由…。

『アライさんを殺そうとして取り逃がすと滅茶苦茶ヤバい』。

アライさんは基本的に群れを作らず、単独で生活する。

他のアライさんと会っても、大したコミュニケーションはしない。

だが…

『共通の敵』を見つけたアライさんは、団結して共通の敵を排除しようとする。

それ故に、もしもアライさんを殺そうとして取り逃がした場合…

近隣住民にどんな被害が生じるか分からない。

それ故に、素人が半端な準備で半端な駆除をしようと森へ行くと、
かえって大きな被害をもたらすことになる。

さて…

そんな成体アライさんが、川の水際にいる。

ツライさん「はぁ~…ツライのだ…」バシャバシャ

…なんだか、目が眉間側につり上がっており、元気がない。

ツライさん「ようやく大人になって森に来たのに…食べ物があんまり見つからないのだ」バシャバシャ

ツライさん「かといって、人里に降りたら降りたで、この体の大きさじゃ…。人間に追いかけ回されるのだ」バシャバシャ

ツライさん「はぁ~…ツライのだ…。アライさんが可哀想なのだ…」バシャバシャ

…何か独り言を言いながら、水際で手をバシャバシャしている。

ザリガニでも探しているのであろうか。

すると、バシャバシャという音が重なって聞こえてきた。

ツライさん2「はぁ~…ツライのだ…」バシャバシャ

ツライさん1「のだ?」ピタッ

…なんと、隣にもう一匹のアライさんがいるではないか。

こちらのアライさんも、なんか元気がない。

ツライさん2「森に来て子供産んだはいいものの…。子育てがツライのだ…疲れるのだ…」バシャバシャ

こちらのアライさんも、独り言を言っている。

ツライさん1「何がツラいのだ、そんなに…。子供がいるなんて羨ましい限りなのだ。アライさんにはいないのだ…」ハァ…

ツライさん1はため息をついた。

ツライさん1「アライさんの方がツラいのだ。昨日は畑から持ってきた野菜を巣に入れてたら、いつの間にかなくなってたのだ。盗まれたのだ。アライさんが可哀想なのだ…」ハァ…

ツライさん2「何言ってるのだ。自分で好きなだけ食えるなんて羨ましいのだ。うちのチビ達は乳離れして、いつもいつもご飯よこせーってうるさくて仕方ないのだ…」

ツライさん2「おかげで自分のごはんをたっぷり持ってきても、みんなチビにあげなきゃいけないのだ。アライさんが可哀想なのだ…」ハァ~…

ツライさん2「一人でゆったり食べれるなんて羨ましい限りなのだ…ツライのだ…」ハァ~…

ツライさん1「冗談じゃないのだ。独りぼっちでご飯食べてても寂しいのだ。チビと一緒にワイワイ食べれるなんて羨ましいのだ…。アライさんの方がツラいのだ…」ハァ~…

ツライさん1「誰がどう見てもアライさんの方がツラいのだ…」ハァ~…

ツライさん2「いやいや、アライさんの方がツラいのだ…。世界一可哀想なのだ…」ハァ~…

ツライさん1「何言ってるのだ。子宝に恵まれてるお前が、アライさんより可哀想なわけないのだ。アライさんの方が世界一可哀想なのだ…ツライのだ…」ハァ~…

ツライさん2「こんな馬鹿にアライさんの苦悩は分からないのだ…。あーアライさんが可哀想なのだ…ツライのだ…」ハァ~…

ツライさん1「馬鹿とか言われたのだ。上から目線なのだ。こんな余裕たっぷりの奴がいる時点で、お前よりアライさんの方がツラくて可哀想なのだ…」ハァ~…

ツライさん2「うぬぬ~!お前なあ!さっきからツライツラいうるさいのだ!うざったいのだ!」フゥーッ

ツライさん1「お前こそ!さっきから何なのだ!?自慢してるようにしか聞こえないのだ!嫌味も大概にするのだ!」フゥーッ

ツライさん2「アライさんの方がお前よりツラくて可哀想なのだ!」フゥーッ

ツライさん1「そんな訳ないのだ!アライさんの方がお前より百倍ツラくて可哀想なのだ!」フゥーッ

ツライさん2「だったらアライさんはお前の一億倍可哀想なのだ!」フゥーッ

ツライさん1「それならアライさんはお前の一億億億億億億億億億億倍ツラいのだ!」フゥーッ

学校で算数を習った訳でもないアライさんに、百とか億とかの数字の桁は理解できるのであろうか。

言葉を勝手に覚えるのだから、算数も勝手に覚える…という可能性は否めなくもないが…

…多分、『すごくいっぱいの』位の意味で使っているのであろう。

ツライさん2「うぬぬ~!お前気に入らないのだ!子育てて苦労してるアライさんを苛つかせるなんてガイジなのだ!」コスリコスリ

ツライさん1「ガイジ!?ガイジって言った方がガイジなのだ!やーいガイジガイジ!こんなガイジに絡まれるアライさんが可哀想なのだあ!」コスリコスリ

ツライさん2「うぬぬ~!たあ~!」バッ

ツライさん1「たあ~!」バッ

ボカスカ!ボカスカ!ノダノダ!ノダノダ!

…なんと、アライさん同士で喧嘩を始めた。

なんてひどい動機の喧嘩だ。

ツライさん2「のだっ!のだっ!」ボカスカ

ツライさん1「やったな~!この~!だあ~!」ボガァ

ツライさん2「痛いのだぁ!だりゃあ!」ザシュ

ツライさん1「ぎびゃあっ!?」ブシュッ

ツライさん2は、ツライさん1の額を引っ掻いた。

ツライさん1「痛いのだああああ!」ドクドク

ツライさん1の額から流れた血は、ツライさん1の目に入ったようだ。

ツライさん2「このぉ!」ガバッ

ツライさん1「のああっ!」ドサッ

ツライさん2は、ツライさん1の上に馬乗りなり、マウントを取った。

ツライさん2「ふははー!謝るのだ!アライさんより可哀想だなんて!ムカつく事いったのを謝るのだ!どうだー!ふっはははー!」ドガァボガァバリバリ

ツライさん1「ぎびゃあああああ!痛い痛いのだあああ!」

…喧嘩とはいえ、流石にやりすぎではないか。
しかもマウント取ってるツライさん2は、笑っている。

育児ストレスの解消でもしているのであろうか。

ツライさん1「待つのだ!やめるのだ!お前の方がツラいって認めるからもうやめるのだああああっ!」ビエエエエン

ツライさん2「はぁ…はぁ…。やっと思い知ったのか…」ハァハァ

ツライさん1「うぅ…」

喧嘩はツライさん2の勝利で終わったようだ。

ツライさん2「やったのだ…これでアライさんが世界で一番ツラくて可哀想なのだ…」ピカピカガイジガオ

ツライさん1「うぅ…。こんなガイジに絡まれるなんて…アライさんが可哀想なのだぁ…」シクシク

ツライさん2は馬乗りになったまま、ドヤ顔で自分の方が可哀想だと主張している。

と、その時…

ツライさん2「のばっ!?」ドズゥ

ツライさんの眉間に、アライボウの矢が突き刺さった。

ツライさん2「」ガクガクビクビク

ツライさんは、後ろに倒れて痙攣している。

ツライさん1「ん?な…急にどうしたのだ?」

ツライさん1は、ツライさん2の異常に気付いたようだ。

ツライさん2「」ビクビクガクガクビクビク

ツライさん1「あ、頭に何か突き刺さってるのだ!た、たぶん人間の武器なのだぁ!」アセアセ

ツライさん1「に、逃げるのだ…ふんぐぐう!お前さっさとどくのだ!邪魔なのだあ!」グイグイ

ツライさん1は、自分に馬乗りになったまま頭を射抜かれたツライさん2の下敷きになっており、
下から脱出するのに手間取っているようだ。

…と、そうしてる間に…

肉料理屋店主「はい、二発目装填」ジャキッ

オーナーは、アライボウに二発目の矢をセット完了していた。

肉料理屋店主「シュゥッ!」バシュゥ

ツライさん1「ぐばのだっ!」ドズゥッ

凄い!
脳天を貫通した!
お見事ですオーナー!

肉料理屋店主「さ、他のアライさんに見つかる前にさっさと袋に入れて持ち帰るぜ」タタタタッ

はい!
私達は、アライさん達のとこに駆け寄った。

ツライさん1「の、のだ、のだ」ズルズル

ひいぃ!
頭を射抜かれてるのに、まだ逃げようとしてるぅ!

ツライさん1「ぎひー…ぎひー…し、処女のまま、死んでたまるかなのだ…!アライさんは、可愛い雄をはべらせて酒池肉林の…」

肉料理屋店主「ディスパッチだぜ!」ザシュ

ツライさん1「のだっ…」ブシュウウゥゥ バタッ

おお…。
オーナーが、ツライさん1の首の脈をぶったぎってトドメを刺した。

肉料理屋店主「アライさんは生命力が強いからな。こういうこともままあるんだぜ」

うぅむ…
なんか、すごく悲痛な叫びをして死にましたね。

肉料理屋店主「うんうん、感想はこいつらを運んでからにしような」ガサガサ

了解です、オーナー。


…私達は、アラジビ料理の材料を袋へ入れて担ぎ、そそくさと森を後にした。

~その頃、ツライさん2の巣穴~

ツライさん2の巣穴では…

ツライちゃん1「うゆぅ…おかーしゃんこないのりゃ…」コスリコスリ

ツライちゃん2「ひがくれゆまでにかえってくゆっていってたのりゃ…」コスリコスリ

ツライちゃん3「ひもぢいのりゃ…ありゃいしゃんがかわいそーなのりゃ…」コスリコスリ

ツライちゃん4「うぅーおなかぺこぺこでつらいのりゃ…おかーしゃんはまだなのりゃあ…?」

https://i.imgur.com/0z4oGVJ.jpg

乳離れして間もないアライちゃん達が母親の帰りを待っていた。

ツライちゃん1~4「「「ぴぃぃ~…つらいのりゃあ~…」」」メソメソ

…子は親に似るというが…
巣で親を待つアライちゃん達も、なんか辛気臭かった。

つづく

~肉料理屋「餌尾獲物(じびえもん)」~

…アライカフェで、例の女の襲撃事件があったらしいですよ。

肉料理屋店主「ああ、聞いたぜ。ハンバーグキッズのクラスメートの女子が重体で入院中だそうだ。胸糞悪ぃ」

…本当に酷い。
なんであんな事するんでしょう?

肉料理屋店主「…『人に愛され、保護されているアライさん』に恨みでもあるんだろうか。だとしても、八つ当たりにすぎねえだろうがな」

そんなにアライちゃんが嫌いなんでしょうか。

肉料理屋店主「いや…。本人としては嫌っているつもりなんだろうが…無意識の部分では、ある意味アライちゃんが『好き』なんだろうよ」

どういうことですか?

肉料理屋店主「もし本当に嫌いなんだったら、ペットアライちゃんになんぞ関わらなけりゃいい。遠ざかればいい。見つけても無視すりゃいい。違うか?」

…確かに。
野良アライちゃんと違って、自分から近寄らなければかかわり合いにはなりませんからね。

肉料理屋店主「だが奴は、自らペットアライちゃんに近寄り、笑いながら虐殺する。そんな誰の得にもならねーことに、貴重な時間を浪費する」

…理解できない。何の得があってそんな事を?

肉料理屋店主「奴は自分を悪だと思っていない。客観的に明らかに益獣のペットアライちゃんを、『害獣駆除』とか寝言ほざきながら殺す。正義のヒーロー気取りでな」

肉料理屋店主「つまり奴は…、『正義のヒーローごっこの悪役としてのアライちゃん』が大好きだということさ」

ペットアライちゃんは害獣なんかじゃないですよ!
人を癒し、役に立っています!

肉料理屋店主「そうだ。だが奴は、ペットアライちゃんを害獣と言い張ることで暴力を正当化している。ようは、クソみてえな弱いもの虐めをしておきながら、自分が悪者になりたくねえのさ」

…明らかにパーカー女の方が悪者では?

肉料理屋店主「誰が見てもそうさ。だが、あの女は違う。自分の暴力を正義の裁きだということにするために、ペットアライちゃんを悪者だと『思い込んでいる』んだ」

…思い込んでいる?

肉料理屋店主「そう。奴は自分自身に暗示をかけている。『アライちゃんはいついかなる時も絶対悪であり、いかなる暴力をしても正当化されるべき相手だ』とな」

でも実際は絶対悪なんかじゃありませんよね。
善良なアライちゃん達ですよ。

肉料理屋店主「奴の頭の中の世界では、善良なアライちゃんなんてものは存在を認めちゃならないのさ。なんやかんやとイチャモンをつけ、悪者に仕立て上げる。暴力を正当化するためにな」

…なんか、随分あの女の考えに詳しいですね。
前にああいう人に会った事あるんですか?

肉料理屋店主「…いや、ねえよ。奴が初めてさ」

肉料理屋店主「ただ、俺もアライちゃんが嫌いだから、奴の気持ちは分かるというだけさ」

…早く捕まればいいのに…。

テレビ『…次の話題です。最近、セレブの間で白いアライちゃんが流行しています』

肉料理屋店主&バイト「「白いアライちゃん?」」

テレビには、ペットショップの店内が映っている。

檻の中には…

パルコアライちゃん『なのりゃー』ヨチヨチ

か…
可愛いいいい!
白くてふわふわのアライちゃんだぁ!

肉料理屋店主「なんだありゃ…。縁日のカラーアライちゃんとは違うのか?」

縁日のやつですか…。
あれは何なんでしょうね?
どういう流通ルートで、アライちゃんが色塗られて縁日で安く叩き売りされるのか皆目検討もつきません。

肉料理屋店主「ペットショップの売れ残り?いやでもちっちゃいから育ちすぎってわけでもないよなぁ。…闇が深いよな」

テレビ『こちらのパルコアライちゃん、お値段はなんと50万円です!』

肉料理屋店主&バイト「「た…高すぎッ!?」」

普通のアライちゃんのウン十倍しますよ!?

肉料理屋店主「…理解できねえ…。なんであんな生き物に、50万も払うセレブがいるのか…マジで理解できねえ…」

欲しくないですか?

肉料理屋店主「死んでもいらねえ。俺にとっちゃアライちゃんなぞ、アラジビの材料かワーミーさんの餌ぐらいの価値しかねえ」

…そんなに受け付けないですか?

肉料理屋店主「他人の好みを悪く言うつもりはねえが…。俺の主観では、即ディスパッチ不可避だ」

…この前の動物園では、アラキレスの世話させてごめんなさい。

肉料理屋店主「まあさすがに、大事なペットを悪くは扱わねえけども…」



~パルコアライちゃん工場~

ここは高級ペット、パルコアライちゃんの生産工場。

当然ながら、工場の内部は社外秘である。

アルビノアライグマ「キュルルルルル」パンパン

ダルマパルコアライサン1「のだっ!のだっ!ああ気持ちいいのだああっ!」アヘアヘ

世にも珍しいアルビノのアライグマが、手足のない白いアライさんと交尾をしている。

この二匹を売却すれば、どれだけの値打ちがつくのであろうか。

…その隣で…

ダルマパルコアライサン2「う…産まれる…のだぁっ…!」ジンジン

お腹が大きくて白いアライさんが、陣痛に苦しんでいた。

ダルマパルコアライサン2「ち…チビ…達…!出てきちゃ駄目…なのだあ…!うぐぐぅ…!」ウルウル

職員1「…」ガラガラ

職員が、二つの籠がついたカートを押して、白いアライさんの前に来た。

ダルマパルコアライサン2「おっ!お前!お前また…!うぬぬぅぅっ!あ、アライさんのチビなのだ!アライさんが育てるのだああ!」ウルウル

職員は何も答えない。

ダルマパルコアライサン2「の…のだあああああああああああっ!」ビクン

やがて白いアライさんは、絶叫して仰け反った。

やがて、白アライさんの股間から…

アライちゃん1「のりゃああああ」ズルズル ヌポォォ
アライちゃん2「の…りゃ…」ズルズル ヌポォォ
アライちゃん3「う…ゆぅ…」ズルズル ヌポォォ
パルコアライちゃん「なの…りゃ」ズルズル ヌポォォ
アライちゃん4「の…ぁあん…」ズルズル ヌポォォ

アライちゃん1~4「「「ぴぎぃー!ぴぎぃーっ!」」」ビエエエエン

パルコアライちゃん「のぉおーーーぁああああーーーんっ!のぁああーーーんっ!」ビエエエエン

…5匹のアライちゃんが産まれた。

ダルマパルコアライサン2「はぁはぁ…!チビ!こっちへ来るのだ!アライさんのとこへ来るのだぁ!」ウルウル

職員1「…」ガシィ ヒョイッ

パルコアライちゃん「のりゃああああああ!のりゃあああああああんっ!」ピギイイィィジタバタ

職員1「…」ソッ


職員は、白いアライちゃんを白い籠へそっと優しく入れ…

職員1「…」ガシィポイッ ガシィポイッ

アライちゃん1「ぴぎ!」ポテッ
アライちゃん2「うびゅ!」ポテッ
アライちゃん3「ぴぎゃ!」ポテッ
アライちゃん4「じび!」ポテッ

普通のアライちゃんを、青い籠へ適当に放り込んだ。

ダルマパルコアライサン2「こらあああああーーーっ!アライさんの可愛いチビを乱暴に扱うなあああ!ぶっ殺すぞおおおおっ!」キュルルルルル

職員1「…」ガラガラ

職員は、カートを押して別の部屋へ向かう。

職員2「…」ガラガラ
職員3「…」ガラガラ

他の職員も、アライちゃんが乗ったカートを押しながら同じ部屋へ向かった。

~育児室~

職員1「はい、白1」スッ

パルコアライちゃん1「のりゃあああああんっ!のりゃあああああああんっ!」ピギイイィィ

飼育員「はい」ガシィ

職員1は、白いアライちゃんが1匹入った白いを飼育員へ渡した。

職員2「はい、こっちも白1」スッ

パルコアライちゃん2「ぴぎいいいいいぃぃぃいいーーーっ!ぴぎゅぅぃいいいいいいいいいいーーーーーっ!!」キュルルルルル

職員2も、白アライちゃんが1匹入った白い籠を渡した。

職員3「はい、白ゼロ」スッ

白い籠「」カラン

飼育員「はい」ガシィ

職員3は、空の白い籠を飼育員へ渡した。

職員1~3「「「…」」」ガラガラ

アライちゃん達「「「のぉおおーーーぁああああーーーーんっ!のぁああーーーーーーんっ!」」」ピギイィイ

職員達は、青い籠を乗せたカートを押し、通路の奥へ進んでいった。

パルコアライちゃん1「のりゃああああ!のりゃああああ!」ビエエエエン

パルコアライちゃん2「のびゃびゃびゃーんっ!」ビエエエエン

飼育員「では…」ゴソゴソ



飼育員「ヨチライフ手術、始めます」スチャッ

…飼育員は、ハサミを取り出した。



飼育員「よいしょ」ジョキンッ

パルコアライちゃん1の膝から下「」ポロッ

パルコアライちゃん1「ぴっ…!びぎゃああああああああああああああああああああんっ!ぴぎゅぅいいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーっ!」ギビイイィィイ

パルコアライちゃん1は、大声で鳴き始める。

職員4「では断面縫合します」ヌイヌイ

パルコアライちゃん1「ぴぎゃうぅううるるるるるるるっ!ぴぎゅるるるるるるるるっ!きゅるるららららららららららっ!」ビギイィィ

…ヨチライフ手術は、アライちゃんの目が開かないうちに施術しなくてはならない。

もし目が開くまで待ってしまったら、その個体は一生人に懐かなくなるかもしれないのである。

パルコアライちゃん2「ぴぃいいいー!ぴぃいいいー!」ビエエエエン

飼育員「カット」ジョキンッ

パルコアライちゃんの膝から下「」ポロッ

パルコアライちゃん2「のりゃ…びぎゅうううぅうううううううううういいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーっ!ぴぎゃあうるるるるるるるるっ!きゅるるりりゃああああああああああっ!」ビエエエエン

パルコアライちゃん2も、激痛で大泣きし始めた。

職員4「縫合します」チクチクヌイヌイ

パルコアライちゃん2「のぉおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーぁあああああああああああああああああーーーーーーーーーんっ!びぎゅうううううううううううううーーーーっ!」ビエエエエン

ヨチライフ手術が終わったパルコアライちゃん達は、この工場内で飼育され、ペットとして調教されることになる。

中には、『アライちゃんに授乳したい』という客もおり、
そういった客には離乳期前に販売することもある。

…もっともその場合、ノークレームノーリターンであるが…。

ちなみに言っておくが…

この授乳したいというのは、『哺乳瓶でミルクをあげたい』という意味だ。

決して乱心した妊婦ないし産後の女性が良からぬことをしたがるという意味ではない。

…さて。

職員1~3「…」ガラガラ

アライちゃん1~14「「「のぉおおおおおああーんっ!のぁああーーんっ!」」」ビエエエエン

通路を通って運ばれる青い籠の中には、普通のアライちゃんが14匹いる。

皆、母親の母乳を求めてぴぃぴぃ鳴いている。

やがて、職員達はアライちゃん達をある部屋に運び込んだ。

アライちゃん達が運ばれた先には…
奇妙な機械があった。


https://i.imgur.com/oO5YqQK.jpg


…これは何に使う機械なのであろうか?

職員1「…」スッ

職員1は、機械の下へバケツをセットし、機械の電源を入れた。

機械のローラー「」ギュイイイイイイイイイイーーーン…!

機械の中の、たくさんの円盤がついた2つのローラーが、内側へ向かって勢いよく回転をし始める。

職員2「…」スッ ガシィ

アライちゃん1「のりゃ?」

職員2は、アライちゃん1を掴んで籠から出した。

https://i.imgur.com/3IKYl2B.jpg

アライちゃん1「のりゃー♪ちゅぱちゅぱ!ぢゅるるるるっ!あむあむっ!」ジュパジュパ

アライちゃん1は、やっと母親に抱っこしてもらい、授乳して貰えるのだと思ってるのであろう。

まだ開かない目をつぶったまま、職員2の親指をしゃぶっている。

アライちゃん1「ぢゅるるっ…あむあむっ…ぢゅるるっ…」チュパチュパ

アライちゃん1は大変嬉しそうだ。
…乳房だと思ってしゃぶりついている職員の親指から、母乳が出てくるのを待ち望みにしているとでも思っているのであろうか。

職員2「…」ポイッ

アライちゃん1「はむはむは…ぴっ!のりゃあああっ!」ヒュー

職員2は、そんなアライちゃん1を機械の回転ローラーの真ん中へ投げ入れた。

機械のローラー「」ギュイイイイイイイイイイーーーンバリバリガリガリガリガリ

アライちゃん1「ぴぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーっ!!!びぎゃあああああああああああーーーーっ!」バリバリガリガリガリガリグシャグシャブシャアアア

産まれたばかりで何の罪もないアライちゃん1は、足の方からローラーに巻き込まれて、ズタズタに裁断されていく。

アライちゃん1「びぎゃっ」グシャアアバリバリバリィ

なんと、この機械の正体は肉用シュレッダー。

アライちゃん1は、ミルクの一滴も貰えないうちに肉片に変わり、
先程この世に産まれ授かったばかりの命を手放した。

>>143訂正

×…乳房だと思ってしゃぶりついている職員の親指から、母乳が出てくるのを待ち望みにしているとでも思っているのであろうか。

○…しゃぶりついている職員の親指から、母乳が出てくるとでも思っているのであろうか。

これぞ本当のアラ挽肉ってやつですか

肉片「」グチャアボトボト

産まれたばかりのアライちゃんは血と肉片へ変わり、バケツの底へ溜まった。

職員2「…」ガシィ

職員2は、青い籠の入り口を開け、籠ごと持ち上げた。

アライちゃん2~4「「「のぁああーー!のああああーんっ!」」」ビエエエエン

青い籠の中のアライちゃん2~4は、いつまで経っても母親から授乳してもらえず、不満なようだ。

職員2「…」グイイッ ユサユサ

アライちゃん2~4「「のりゃ!!」」ボロボロ

職員2が籠を逆さまにして揺さぶると、3匹のアライちゃん達が籠からシュレッダーへ落ちた。

機械のローラー「」ギュイイイイイイイイイイーーーンバリバリガリガリガリガリ

アライちゃん2~4「「「ぴぎゃああああああああああああああああああああがああああああああ!!!」」」バリバリガリガリガリガリグシャグシャブシャアアア

一度に三匹のアライちゃん達が血肉へ変わった。

職員2「…」ガシィ

職員2は、二つ目の青い籠を抱えあげ、逆さにしてシュレッダーに向かって傾けた。

アライちゃん5~9「「「なのりゃーー!」」」ズルズルボトボト

まだ目が開かないアライちゃん達は、自分がどんな目に遭うのか分からないままシュレッダーへ落とされていく。

シュレッダー「」ギュイイイイイイイイイイーーーンバリバリガリガリガリガリ

アライちゃん5~9「「「ぶぎゃあああああああああああああああああああああああああーーーーーーーっ!」」」グシャグシャブシャアアアバリバリバリ

バケツの中に、どんどん血肉が溜まっていく。

職員2「ラスト」グイイッ ユサユサ

アライちゃん10~14「「のりゃー」」ズルズル

アライちゃん達は、落ちるのを拒もうともせず、籠に掴まろうともしない。

産まれたばかりなのだ。
乳をしゃぶることと泣くこと以外何もできないし、何も知らないのだから当然だ。

アライちゃん10~14「「「ぴぎゅるるるるるるるる!!びぎゅうううううううううっ!」」」バリバリガリガリガリガリグシャグシャブシャアアア

とうとう、3つの青い籠はすべて空っぽになった。

職員1~3「「…」」ガラガラ

職員達は、バケツをカートに乗せて通路を進む。

その先の部屋は…

職員5「アライ肉受け取りましたー」ガシィ

…どことなくキッチンに似ている。

職員5「よいしょっと」ドボドボ

バケツの中身は、調理器具へ注がれた。



~繁殖室~

ダルマパルコアライサン1「…」グッタリ

ダルマパルコアライサン2「…」グッタリ

ダルマパルコアライサン3「…」グッタリ

ダルマパルコアライサン4「…」グッタリ

数匹の白いアライさんがうなだれている。

職員1「…」ガラガラ

そこへ、職員2が大きなバケツの乗ったカートを押して入ってきた。

バケツからは湯気が立っている。

ダルマパルコアライサン1「!くんくん、ふんふん!」クンクン

ダルマパルコアライサン2「いい匂いなのだあ!」ピクッ

ダルマパルコアライサン3「お肉の匂いなのだあ!」

ダルマパルコアライサン4「待ちきれないのだあ~!」

職員1「頑張って産んだご褒美だぞ」スッ

職員1は、バケツの中身…
ドロドロの肉入りスープを、白いアライさんの口元へ運んだ。

ダルマパルコアライサン2「来たのだ!アライさんは、チビを産んだ後に貰えるこのお肉料理が大好きなのだー!あーん!」パクッ

ダルマパルコアライサン2「んぐんぐ…!美味しいのだあ!」ニッコリ

先程出産したばかりの白いアライさんは、肉を食べてご満悦のようだ。

パルコアライちゃんの工場は、世界にここ1つだけだ。

パルコアライちゃん工場では、親のパルコアライさんにたくさんアライちゃんを産ませる。

しかし毛色が遺伝する個体は、その中の一握りである。

産まれたアライちゃんの中で、育成する価値があるのは白いパルコアライちゃんのみ。

他のアライちゃん達は、この工場の貴重なリソースを割いてまで育成するメリットが一切ないのである。

よって普通のアライちゃんは、産まれた直後に即殺処分され、
産んでくれた親のお腹の中へ飼料として戻されるのである。

アライちゃんの餌としての栄養価や健康促進作用はもはや言うまでもない。

莫大な利益を産み出す母体の健康管理のためには欠かせない餌だ。



…このように…
黒パーカーの少女の蛮行がなくとも。

『何ら罪のないアライちゃんが殺されること』それ自体は、日常茶飯事なのである。

重要なのは、アライちゃんという資源を、無駄遣いするかしないかの差ということであろう。

つづく

>>145
これすき

それにしても貴重なパルコアライちゃんなのにヨチライフでいいんだろうか。
高級品なら形崩さないためにアライドールの方が採用されそうだけど。

牙と爪を削り避妊処理するのがアライドール
足を切って無料で引き取ってもらえるヨチライフ

再利用できるのはどっちか
ってことかね

>>163
>>165

どっちの施術にするか迷ってて、逃げても安全な方のヨチライフ手術にしました

今思えば、アライドール手術の方が形がいいし、
何よりも売り物のパルコアライちゃんなら繁殖できない方が、種が流出しづらくてブランド保ちやすいので、
アライドール手術の方が良かったのかもしれない

事後報告になりますが、前スレまでwikiでまとめさせていただきました
サブタイトル等は自分がつけていますので、気に入らないところがあったら教えてください

>>183
まとめありがとうございます
サブタイトルのセンスが素敵で流石だと思いました



~研究所~

研究員1「都市や森におけるアライさんの目撃数のデータが出ました。保健所による死骸処理数もあります」

研究員1「それから…。野生化したアライグマの生息データもあります」

研究員2「ふむ…これは…」

研究員3「前から思ってはいたが…。森のアライさんは、意外に数が少ないな」

研究員2「少ない?年々生息圏は拡大しているし、アライちゃんが出る地域も増えていってるぞ」

研究員3「それはそうだが…。アライちゃんは、都市へインターンシップしに行き、約2年で成体になり森へ帰るんだろう?」

研究員3「それにしては…。あまりにも、都市のアライちゃんの数に比べると、森のアライさんの数が少ない」

研究員2「それだけたくさん死んでるんじゃないですか?…と言っても、保健所の死骸処理数と釣り合わないですね」

研究員1「狩猟報告数の統計もありますが…」

研究員3「…やはり…。妙に、成体アライさんの目撃数が少ない。これは、森に来る前か後で、一部の成体アライさんが『いなくなってる』としか言えない」

研究員2「結構なことじゃないですか。アライさんがたくさん消えてるんだろう。…なんて。消えてる理由が重要なんだけどな」

研究員3「…狩猟?誰かが狩りまくっている?」

研究員2「統計データを歪ませるほど成体アライさんを殺せる奴って何者だよ。しかも特定地域だけじゃなく、全国的にこの傾向がある」

研究員3「…うーむ。アライさんは分からないことだらけだな…」

研究員3「それで…アライグマのデータは?」

研究員1「はい。野生化したアライグマも、年々生息圏を増やしています」

研究員1「成体アライさんが目撃された地域と、だいたい同じあたりに分布しているようです」

研究員2「そんな増える?アライグマは、アライさんと違って野生では5年生きれば長寿ってとこだろう」

研究員3「…随分急激に増えてるな。これ全部、森の中で繁殖した結果か?」

研究員1「…ペットアライグマの脱走数は、かつてよりも激減しました。いろいろ処置がありますからね」

研究員3「ということは、少なくともペットが野生化する件数は減っているということ…」

研究員3「やはり、これは森の中でアライグマが繁殖した結果ということか」

研究員2「…いやいやいや、おかしいおかしい。いくらアライグマとはいえ、野生の獣がこんなペースで増えないし、生息圏広げるわけない」

研究員3「…やはりそうだな…。アライさんが、アライグマのつがいを連れて移動し、育てているということか?」

研究員1「そんな行動は目撃されておりません」

研究員2「…分からないことだらけだな…」

研究員3「…うむ」

研究員1「…とにかく、今後もデータを集めて調査していきましょう」

研究員2「…ところで、アライさんってどうやって繁殖するんだっけ」

研究員1「雄のアライグマと交尾することで妊娠します。普通のアライグマは三月ごろに一度だけ繁殖期を迎えますが、アライさんは冬以外ならいつでも交尾するようです」

研究員2「…じゃあ、都市にうじゃうじゃいるアライちゃん達は、皆アライさんがアライグマと交尾してできた子供というわけか」

研究員1「そうなりますね」

研究員2「…アライさんって、妊娠期間は二ヶ月。平均出産数は四匹くらいだよな?」

研究員1「そうです」

研究員2「じゃあ、たったこれだけの数のアライさんが、年がら年中ハッスルしまくって、アライちゃんを都市へ送り続けていると」

研究員1「…そうですね」

研究員2「…うーん。明らかに、野生アライグマが増えるペースが異常なんだよなぁ…。アライさんじゃないんだから…」

研究員3「…ドローンか何かで、アライさんの動きをもっと偵察すべきかもしれないな…」

一旦ここまで



…下校中…

ギャル「バイト~、今日晩御飯一緒行かね?」

ああ、ごめん。
今日は用事があるんだ。

ギャル「用事?ははーん、さては例のバイト先店主と?」

そう。
一緒にお料理して、食べる日なんだ。

ギャル「よくやってるよね。お前ら付き合ってんの?」

正式に付き合ってる訳じゃないけど…。
うーん、オーナーは私のことを仲のいい部下ぐらいにしか思ってない…のかも。

ギャル「でもバイト可愛いから絶対いけるって。体もすごいし」

でもオーナー、草食系なんだよなぁ…意外と。

ギャル「肉料理屋のオーナーなのに?」

そう。
普段も鳥のササミとか肉とか食べまくって、プロテイン飲んで鍛えてるのに。

ギャル「草食男子ねえ。そういうのって、大抵ムッツリなだけっしょ」

…あり得る。



~肉料理屋~

肉料理屋店主「アラジビ料理作るぜ!」

作るぜ!いぇい!

肉料理屋店主「こないだ狩った2匹のアライさん肉は、涼しいとこで熟成させといた。いい感じになってるはずだ」

こないだ、もう血抜きとか皮剥きは済ませましたよね。

肉料理屋店主「ああ。…皮剥くとほぼ人間みたいで見た目キツいが。まあ見た目以外は別物だしもう気にならねえな」

ですね。

肉料理屋店主「よーし、やるか」スルスル

オーナーが服の袖をまくり、筋肉もりもりの腕を出した。
うむ。



アライ角煮「」ホカホカ

肉料理屋店主「完成だぜ。アライ角煮」

とろっとろで美味しそうですね。

オーナー&バイト「「いただきまーす!」」

私達は、アライ角煮の写真を撮った後、一緒に頬張った。

おいしいいいいいいいい!!

肉料理屋店主「はは、うめえな!」モグモグ

プロの肉料理人が作った肉料理だ。
無論、美味しいに決まってます。

肉料理屋店主「だがお前も大分腕が上がってきたぜ」モグモグ

あー、幸せ。

オーナーと一緒にアラジビ料理を食べるこのひとときが、最高に幸せ。

肉料理屋店主「はは、そうか?…お、そうだ。さっき撮った写真、後でブログに載せるか」

例の野食サークル『ランチャーズ』のブログですね。

肉料理屋店主「ああ。アラジビ料理を推していこうと思ってな」



私は、至福のひとときを過ごし…
帰宅した。

アラキレス「かいぬししゃんおかえりなのりゃー♪」シッポフリフリ

ただいま。
アラキレスは今日も可愛いなあ。

アラキレス「うゆうぅ、みゆのりゃー!ねんどでしっぽのかざりつくったのりゃ!」

お、こないだあげた石粉粘土だね。
よく固まってて、可愛くできてるね。

アラキレス「かわいーってほめてもらえたのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリ

…アラキレス。
それに、色もつけてみたくないかい?

アラキレス「いろ?つけたいのりゃー!できゆのか?」

ふふふ…そのうちね。


私はアラキレスの砂トイレ交換とか、水を交換したり世話した。

その後は風呂に入り、寝室へ入った。

寝室へ入ると、私はスマホで動画サイトを見た。

狂人卍の新作動画が目に留まる。

…うーん。
私はオーナーに誓ったんだ。
ああいう残酷な動画は自主規制すると。

そしてあれからずっと、私は狂人卍の動画は観ていない。

オーナーが私の為を思って言ってくれた忠告。
破ったりはしたくない。

私は、ちらりと狂人卍の動画のタイトルを見た。

そのタイトルを見て、私は驚愕した。

なんと…『アラジビ料理作ってみた』と書いてある。

アラジビというのは、オーナーの造語のはず。
他にも思いついた人がいるということか?

…気になる。

よし、動画は見なくとも…
動画ページを開いて、説明文だけチェックしよう。
私は、動画のサムネイルをクリックした。


動画の説明文には…
野食サークル『ランチャーズ』にインスピレーションを受けた、と書いてある。

私達の活動を見て、アライさんの料理を始めたということだろうか。

…どうしよう…。
この動画、凄く気になる。

あの狂人卍が、アラジビ料理を…。
どんな動画になるのだろう?


…うん。
きっと、普通の料理動画であろう。
平和に料理するだけの動画に違いない。
いつもみたいに残酷な動画なんかじゃないはず。
だから、見ても何ら問題ない…と予想しておこう。

私は、そう自分に言い聞かせて…
動画の再生ボタンをクリックした。



…ほんの微かに、自分の予想が外れることを期待しながら…。

つづく

前作のアラスコ投稿の時はアライグマディスパッチ動画でアラ虐成分を補給してたけど、
読んでる人はアライグマ虐は望んでない人もいるだろうから、
今それやっちゃ、マズイだろうな···

>>222
アライグマ「虐」は何があっても間違いです

正確には「殲滅」して終わらせるのが正しいのです
死んだアライグマは生き返っては来ない上、3千円貰えます

動画の再生が開始された。

狂人卍「ども^^狂人卍だよ^^」

赤い卍が描かれた覆面を被った男性の姿が映る。

男性の前には、小さな箱がある。

狂人卍「動画の説明文みた?あらじびいいよあらじび^^ランチャーズさんとこのブログみて^^」

おお、オーナー達のサークルを紹介してくれている。

狂人卍「ジビエっていうのは、狩猟した動物の肉料理。アラジビは、アライさんで作ったジビエ料理」

狂人卍「ぼくも作ってみたけど、アライさんめっちゃおいしー^^さいこー^^」

狂人卍「というわけで、今日は狂人卍式のアラジビ料理作っていきたいと思いまーす^^」スッ

狂人卍は、小さな箱を開けた。

その中には…



https://i.imgur.com/zj88V2e.png



アライちゃん「うゆ!はじめまして、かいぬししゃん!あらいしゃんなのりゃー!」コスリコスリ

アライちゃん「かいぬししゃーん!これからいっしょにくらすのりゃ!よろちくなのりゃー!」シッポフリフリ


…アライちゃんがおり、ペットショップから購入し箱を開けたときのお決まりのフレーズを言った。

このフレーズは、単なる挨拶ではない。

きちんと挨拶を覚えられる…
それだけきちんと教育されていることの品質保証をするためのものだ。

つまりこのアライちゃんは、ペットショップから購入したということだ。

狂人卍「^^」パタン

小さな箱『ぴぃっ!?』ガサッ

狂人卍は、アライちゃんに何も言わず、箱の蓋を閉じた。

小さな箱『な、なんなのりゃ?かいぬししゃん?かいぬししゃん!?』ガサガサ

狂人卍「^^」パカッ

再び箱を開けた。

アライちゃん「う、うゆ!は…はじめまちてかいぬししゃん!ありゃいしゃんなのりゃ~!」コスリコスリ

狂人卍「もう『初めまして』じゃないんじゃない?」

アライちゃん「のりゃあ…。かいぬししゃん、これからいっしょにくらしゅのりゃ…」シッポフリフリ

アライちゃんは、先程と一字一句違わずに挨拶を繰り返した。

狂人卍「^^」パタン

小さな箱『ぴいぃ!?』ガサガサ

狂人卍は、再度箱の蓋を閉じた。

狂人卍「^^」パカッ

そして再び開けた。

アライちゃん「は…はじめましてかいぬししゃん…ありゃいしゃんなのりゃー!かいぬししゃん、これからいっしょにくらしゅの…」コスリコスリ

三度目の『初めまして』である。

狂人卍「もっかい^^」パタン

小さな箱『のりゃあ!?』

何してるんだこの人は!
可愛い可愛いペットアライちゃんが困ってるだろう!

狂人卍「もういーや^^」パカッ

アライちゃん「う、うゆ…。は、はじめまちちてなのりゃかいぬししゃん…。これからいっしょにくらしゅのりゃ…よりちくなのりゃ…」プルプル

狂人卍「やあ^^アライちゃんは、どんなことを教わってきたの?」

ようやく陰湿ないじめが終わったようだ。

ペットアライちゃんは、教育の手間があるため、お値段は決して安くない。

店によって価格にバラつきはあるが、ブーツとか色々買えば、だいたい一万円を超える。

だが、アラキレスを買った私からすると…
ペットアライちゃんは、『お値段以上』の価値があると評価しよう。

さて…狂人卍は、買ったばかりのペットアライちゃんと一緒に料理するんだろうか?

もしアライちゃんにアラジビを料理させるとしたら…
中々にエグい真似だと言わざるを得ない。

アライちゃん「おほん。えーと。ひとつ!あらいしゃんは、おそとではいきていけないのりゃ。かいぬししゃんとずっといっしょじゃなきゃすぐしんじゃうのりゃ」

狂人卍「うんうん^^」

アライちゃん「ふたつ!!かいぬししゃんにはんこーしたり、わがままいったら、すてられちゃうのりゃ!だからぜったいゆーこときくのりゃ!」

狂人卍「うんうん^^」

アライちゃん「みっつ!!!かいぬししゃんと、なかよちしゅきしゅきになゆのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

狂人卍「よくいえたね^^えらいえらい^^」ナデナデ

アライちゃん「なのりゃー≧∀≦」シッポフリフリ

前にも聞いたフレーズだ。
アライちゃん達は、ペットショップでこれを丸暗記させられてくるのであろうか。

狂人卍「いいこいいこ^^」ナデナデ

アライちゃん「うゆぅ~♪かいぬししゃん、しゅきしゅきなのりゃ~♪≧∀≦」スリスリシッポフリフリ

ペットアライちゃんの魅力。

それは、飼い主にすぐになついて甘えてくること…

そして、『自ら可愛い仕草をし、可愛がられようとすること』。

普通の小動物は、飼い主に可愛いさをアピールしようとはしない。

だが、アライちゃんは自らの可愛さをアピールし、意図的に可愛がられようとしてくる。

他の小動物には有り得ない行為だ。

そして、そのあざといまでの可愛さアピールが、本当に可愛い。

それが私のような者の心に火をつけ、庇護欲を大変そそられてしまうのである。

アライちゃん「か~いぬ~ししゃんっ♪」スリスリ

…オーナーは私と違って、そういう媚びるところが生理的に受け付けないらしいけども…。

狂人卍「あらいちゃん、お腹空いてない?」

アライちゃん「のりゃ!ありゃいしゃん、おなかぺっこぺこなのりゃー!ごはんちょーだいなのりゃー!」シッポフリフリ

狂人卍「はいはい、ごはんにしようね^^」ガシィ スッ

狂人卍は、アライちゃんを左手で掴んで持ち上げた。

狂人卍「どーぞ^^卍ドリンクだよ^^」スッ

そう言うと、狂人卍は液体の入った哺乳瓶を右手で持ち、アライちゃんの口に近付けた。

アライちゃん「くんくん、ふんふん…!いーにおいなのりゃー≧∀≦」シッポフリフリ

狂人卍「はい、あーん^^」スッ

アライちゃん「あーむ!」カプッ

アライちゃんは、哺乳瓶にしゃぶり付いた。

https://i.imgur.com/hd0SNfR.png

アライちゃん「ごくごくっ!ちゅーちゅー…!(≧3≦)」ゴクンゴクン

アライちゃんは、卍ドリンクとやらを吸っている。

やがて、哺乳瓶の中身が無くなった。

アライちゃん「ぷはぁ、おいちかったのりゃー!≧∀≦かいぬししゃんありがとなのりゃあ!だーいしゅきなのりゃっ!のりゃっ!」スリスリ

アライちゃんは、狂人卍の手に頬を擦り付け、露骨に媚びている。

狂人卍「今飲ませたドリンクの中身は、視聴者の皆さんには後で教えますね^^」

アライちゃん「のりゃ…う゛ゆ゛ぅ!?うっ…おなが…いぢゃいのりゃっ…!がいぬししゃん…お、おといれ…どこなのりゃ…!」グーギュルルー

ん…?
アライちゃんの顔色が悪くなった。

【しばらくお待ち下さい】

…花畑の写真が映った。

やがて、画面は元に戻った。

アライちゃん「う゛ゆ゛ぅぅ…かいぬししゃん…。ありゃいしゃんおなかこわしちゃったのりゃあ…」

狂人卍「いーんだよ^^ちゃんとトイレまで我慢できてたね^^えらいえらい^^」ナデナデ

アライちゃん「ぴゅぃぅ…」スリスリ

アライちゃんは、ちょっと涙目になっている。

狂人卍「さて、それじゃあ次は、体を洗ってピカピカにしようか」

アライちゃん「のりゃ?ありゃいしゃん、おふろしゅきしゅきなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

…ところで、この動画は何の動画だっけ?
私としては、こういうアライちゃんを純粋に愛でるシーンがたくさんあった方が嬉しいが…
…なんか、動画の主題とズレてる気がする。

狂人卍は、お湯を入れた洗面器と、スポンジ、石鹸を持ってきた。

狂人卍「ぴかぴかにするよ^^」ゴシゴシ

アライちゃん「ふわあぁぁ~!おっほぉ~!そこなのりゃあ~≧∀≦」キャッキャッ

狂人卍は、アライちゃんの背中を石鹸つけたスポンジで洗っている。

https://i.imgur.com/7D7dQE2.png

アライちゃんの服は、毛皮のようなものであり、
お風呂に入れるときは脱がせずにまるごと洗うのが通例である。

狂人卍「あんよも洗おうね^^」グイッ

狂人卍は、アライちゃんのブーツを脱がせた。

ヨチライフ手術を施されて脛から下半分を失った脚を、狂人卍は洗っていく。

狂人卍「さーて、泡を流そうね^^」ジャブジャブ

アライちゃん「あったかいのりゃ~♪」

狂人卍は、アライちゃんを洗面器のお湯でそそぎ、石鹸の泡をアライ流した。

アライちゃん「ぷるぷるぷる…」ブルブル

アライちゃんは、体をぶるぶるして水を飛ばした。

私これすき。

狂人卍「タオルで拭こうね^^;」ゴシゴシ

アライちゃん「はいなのりゃー≧∀≦」コスリコスリ

アライちゃん「ふははー!からだぴっかぴかになったのりゃー♪」

…うちのアラキレスも、明日お風呂に入れてあげよう。

ペットはよくお風呂を嫌うというけども、アライさんは水が好きな生き物。
お風呂が大好きなようだ。


そして狂人卍は、アライちゃんに『天然素材ブーツ』を履かせた。

これは野良アライちゃんの脚を材料にして作られている、まさに天然素材そのものでできたブーツだ。

狂人卍「アライちゃん、お腹すいた?」

アライちゃん「ふみゅぅ…。さっきのんだおいちーの、はいちゃったから…。おなかぺっこぺこなのりゃ…」コスリコスリ

え!?
は…吐いたの!?
さっき何があったんだ。

狂人卍「そっかー、じゃあ一緒にごはん作ろっか^^」

アライちゃん「うゆぅ、ごはんー!?ありゃいしゃん、ごはんしゅきしゅきなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

なにを当たり前なことを。
ご飯が好きじゃない生き物なんて存在するものか。

だが、こういうアホなまでの媚びっぷりこそ、ペットアライちゃんの魅力だと私は思っている。

アライちゃん「ごっはん♪ごっはん♪ありゃいしゃんのごっはんっ!」シッポフリフリ

アライちゃん「ごっはん♪ごっはん♪おいちーごっはん♪のりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

狂人卍「うん^^じゃあ、道具持ってくるね」スタスタ

アライちゃん「はいなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃんは、涎を垂らしながら、ごはんを待っている。

動画の流れからすると、これから狂人卍はアラジビ料理を作り、
ペットアライちゃんと一緒に食べるということであろうか。

…そうであって欲しい。







だが…なぜだろうか…。

ペットアライちゃんには、幸せに…笑顔でいてほしいのに…。



『そうでない方』への期待が、胸の奥から沸き上がってくるのは…。

一旦ここまで

狂人卍は、七輪と網を用意して火をつけた。

狂人卍「これでお餅を焼くよ。柔らかくなったら食べれるからね」スッ

狂人卍は、餅を2つ網の上に乗せた。

https://i.imgur.com/x2TfSRu.png

アライちゃん「おいちそーなのりゃあっ!こーんなにおっきーたべものはじめてなのりゃ!ありゃいしゃんもたべていいのかぁっ!?」キラキラ

狂人卍「うん、アライちゃんも食べていいんだよ^^」

アライちゃんは、目をキラキラと輝かせている。

アライちゃん「うおぉー!…こ、この、あかいぴかぴかこあいのりゃ…」アセアセ

だが、火は苦手なようだ。

狂人卍「火が怖いの?うーん。料理をするなら、火の怖さは克服しなきゃ。頑張って、怖がらないように特訓しなきゃね」

アライちゃん「?」シッポフリフリ

狂人卍「…特訓だよ特訓。いい子なら、やってくれるよね^^」

アライちゃん「うゆ!ありゃいしゃんはいーこだから、とっくんしゅゆのりゃ!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃんは、何やら楽しそうなことが始まるという予感にワクワクしているようだ。

狂人卍「それじゃ、今から特訓しようね」スッ ガシィ

アライちゃん「のりゃ?」グイイ

狂人卍は、箸でアライちゃんを持ち上げた。

https://i.imgur.com/4df99dX.png

アライちゃん「?」ポカーン

そして、七輪の方へ近付けた。

アライちゃん「ぴぃっ!?あ…あちゅくなってきたのりゃ…それにこあいのりゃあ…」プルプル

箸で掴まれているアライちゃんは、火に怯えて震えている。

アライちゃん「う…うびゅぅ…ひぐっ…ぐしゅっ…!かいぬししゃんっ…!こあいのりゃあ…!も、もう、とっくんいいのりゃ…?」プルプル

狂人卍「まだ^^」

アライちゃん「ぴぃ…ぴいいぃぃいい~~~~っ!!こあいいーーーっ!こあいのりゃああああーーーーーっ!びええーーーーんっ!もーおよちてええーーーーっ!」ピギイイィイ

アライちゃん「のぉおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーぁあああああああああああああーーーーーーーーーんっ!のあああああーーーぉおおぉおおおーーーんっ!のりゃあああーーーーんっ!」ビエエエエン

アライちゃんはとうとう我慢の限界が来たのか、大声で『鳴き』始めた。

よくこれだけ我慢できたものだ。
火の上に吊り下げられている…
こんな状況、人間の子供でも泣き出すであろう。

https://i.imgur.com/kArzqgt.png

ああ…
アライちゃんは、泣いている顔もかわいい。

ここだけの話だが…
私は、アライちゃんの笑顔よりも…
こういう泣いてる顔の方が、こう…グッとくるものを感じる。

ペットアライちゃんの飼い主として、私は失格だろうか…?

狂人卍「そうだね…もう十分だ。特訓は終わりにしよう」

アライちゃん「ひぃぐっ…ぐしゅぅっ…!お、およちてくれゆのりゃ…?」プルプル

そうだ。そろそろ降ろせ。
いくら私がアライちゃんの泣き顔が好きでも…

流石にこの特訓は、虐待にすら近いものがある。

だいたい、手が滑って落としてしまっては危ないではないか

狂人卍「降ろしてあげるよ^^」

アライちゃん「うびゅぅぅっ…ぐしゅっ…やっとやめてくれたのりゃあ…」シクシク

https://i.imgur.com/95Cf7fn.png

アライちゃん「か、かいぬししゃん…。ありゃいしゃんがんばったのりゃ…ほめてほちーのりゃ…」ゼェハァ

アライちゃんは汗びっしょりだ。
無理もない。
七輪の熱気を浴びながら、恐怖に堪えていたのだから。

狂人卍「降ろしてあげるよ^^」パッ

アライちゃん「のりゃ?」ヒュー

え…?
狂人卍は、アライちゃんを掴んでいた箸を…


アライちゃんが金網の直上にいるままの位置で、ぱっと放した。


アライちゃん「ぴっ…ぴぎいいいぃっっ!?」ガシャンッ

アライちゃんが金網の上に落ちた!

アライちゃん「ぴっ………!ぎぃいいいいいびゃあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!ぁあああああーーーーーーーぢゅいいいぃいいいいいいーーーーーっ!」ピギイイイィィイイイイ

https://i.imgur.com/xHBr3pA.png

アライちゃんは、金網の上で焼かれている…!
なんて酷いことを!

アライちゃん「がいぬじじゃあああああああああああんっ!あぢゅううういいいいいいいのりゃああああああああああああーーーーーーっ!だぢゅげでええええーーーーーーっ!」ビエエエエン

アライちゃんは、飼い主に必死で助けを求めている。

狂人卍「^^」スッ

狂人卍は、アライちゃんに箸を伸ばした。
早く…
早くそれでアライちゃんを掴み上げて!

…私は、狂人卍へそう呼び掛けた。

今観ている動画は、狂人卍が既に撮影してアップロードが完了したものだと分かっていながらも…。

狂人卍「助けてあげよっか^^」カチカチ

狂人卍は、箸をカチカチ鳴らしている。

アライちゃん「はやぐだぢゅげでえええーーーーーーっ!」ピギイイイィィイイイイジタバタ

狂人卍「だめ^^」グイイイッ

なんと狂人卍は、その箸でアライちゃんを…

https://i.imgur.com/Awj81nd.png

…金網へ押し付けた!

アライちゃん「ぴぎゃああああああああああああああああああああああああーーーーっ!やべでえええええーーーーーーーーっ!ぴぎゅりゅるるるるるるぅうーーーっ!」ジタバタジタバタ ジュウウウ

狂人卍「やけろ^^」グイイイッ

むごい…
あまりにも惨い…!

狂人卍「はなそ^^」パッ

狂人卍は、アライちゃんを押さえていた箸を放した。

アライちゃん「びぎいいいいいいいっ!!びいいいっ!あぢゅぃいい!あぢゅいのりゃああああっ!」ムクリ

アライちゃん「にげゆのりゃああああああああああっ!」ヨチヨチジュウウウ

押さえつけていた箸がどかされると、アライちゃんは尻尾を振りながら、網のはしっこ目指して必死でヨチヨチした。

https://i.imgur.com/IDCTXlS.png

アライちゃん「うびゅぅううーーーっ!おててぢゅうぅういいいいっ!あんよあぢゅぅぃいいーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

もうすぐ網の端っこだ。
アライちゃんは、無事に網の上から脱出できるのか…!?

頑張れ、アライちゃん…!
私は、手に汗を握りながら、動画を食い入るように見ている。

続きはあとで

アライちゃん「おでであぢゅいぃ!あんよあぢゅぃいいいーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

狂人卍「うける^^」

七輪に乗った網の上をヨチヨチして進むアライちゃん。

手のひらや膝からは、血が出ている。

アライちゃんは、ついに金網の端っこへ到達した。

もうすぐ灼熱地獄から脱出できる…!

アライちゃん「こ、ここから…」ヨチッ

だが…

https://i.imgur.com/vO2i2Zh.png

狂人卍は、箸でアライちゃんの頭を掴み、網の上からの脱出を妨害した。

アライちゃん「ぴぎゅぅるるるるるるるるるるるるっ!びぎゅぅうううーーーーーーっ!はなぢでええええええーーーーーっ!はなぢでぇええーーーーっ!」ピギイィィイィジタバタジタバタ

アライちゃんは、必死に暴れて箸の拘束を解こうとしつつ、放してくれるように狂人卍へ懇願している。

狂人卍「だめ^^」ギュウゥゥ

しかし、狂人卍は箸をもつ力を弛めない。

それどころか…

狂人卍「もどれ^^」ブンッ

https://i.imgur.com/hwDxF3Z.png

アライちゃん「あっっっっっぢゅぅううううううううううういいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーっ!」ピギイィィイィジタバタジタバタ

アライちゃんは、箸でひっくり返されてしまった。

アライちゃん「びぎいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーっ!!!」ヨチヨチジュウウウ

アライちゃんは、必死に何度も、網の端へ向かってヨチヨチするが…

狂人卍「だめだって」ガシィ ブンッ

アライちゃん「ふぎゃあぁああああああっ!」ベチーンッ ジュウウウウ

その度に、箸で投げられ何度も中央へ戻ってしまう。

アライちゃん「がいぬししゃんっ!ありゃいしゃんしんじゃうのりゃああああああああっ!だぢゅげでええええーーーっ!」ピギイィィイィ

狂人卍「しゃーねーな、いーよ^^」スッ

狂人卍は、なにか濃い色の液体で満たされたどんぶりを出し、網の側に近付けた。

狂人卍「この中に冷たいお水が入ってるよ^^飛び込んでごらん^^」

アライちゃん「なのりゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリジュウウウ

アライちゃんは手足から煙を上げながら、決死のヨチヨチでどんぶりへ向かって近寄った。

アライちゃん「のりゃあああああああ!」ピョーンッ

アライちゃんは、どんぶりへ向かって頭からダイブした。

狂人卍「おーらい^^」

アライちゃん「ぴゃぶ!」バチャァッ

アライちゃんがどんぶりの中の液体へ飛び込み、水飛沫が飛び散った。

アライちゃんはしばらく液体の中へ潜っていたが、やがて…

アライちゃん「ぶはぁ!」ザバァ

どんぶりから顔を出した。

https://i.imgur.com/oeM7O6F.png

アライちゃん「のぉぉぁああああああああーーーーーーーーーーんっ!のこおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーぁあああああああーーーーーーーーーーんっ!!!からだじゅーあづぐっていぢゃいのりゃあああああああああーーーーーーっ!」スイスイチャプチャプ

アライちゃんは、泣きながらどんぶりの中を泳いでいる。

アライちゃん「ひぃーー…!ぴいぃぃ~~~っ…!」チャプチャプ

アライちゃんは、泣きながら身体中の火傷を液体で冷やしているようだ。

アライちゃん「がい…ぬじ…じゃんっ…!」チャプッ

やがて落ち着いてきたのか、アライちゃんは液体から顔を出し、狂人卍の方へ向かって話しかけてきた。

アライちゃん「ありゃいしゃん…なぁんにもわゆいことちてないのに…いーこなのにぃ…!なんで、こんなひどいごどしゅゆのりゃあ…!」チャプチャプ

https://i.imgur.com/TjPvvh5.png

アライちゃん「おねがいだがらぁ…いぢめないでなのりゃあ…!」ウルウル

こんな状況だというのに、アライちゃんは狂人卍へ罵倒を浴びせたりすることなく、仲良くして欲しいと懇願してきた。

なんと良く教育されたアライちゃんであろうか。
だが、アライちゃんの立場からすれば、こう言う他ないであろう。

資料がないのでよく分からないが…
ペットショップでは、おそらく洗脳に近い教育によって、人間への絶対服従と、自身の生存力の弱さを教え込まれているはずだ。

であれば、この飼い主から逃げ出したところでアライちゃんは生きてはいけない。

こんな残虐な飼い主であっても、結局育ててもらう以外に、アライちゃんにいきる道はないのである。

アライちゃん「っ…」ガクガクブルブル

きっとアライちゃんは、狂人卍を死ぬほど怖がっているであろう。

ごはんが貰えると騙されて、金網で残虐な虐待をされたのだから。

何の落ち度もないのに、死ぬほどの苦痛と恐怖を理不尽に味わわされたのだから。

アライちゃんは、例えこの場で助かったとしても、一生狂人卍を真の意味で信頼することはないであろう。

常に虐待に怯えながら生きることになるであろう。

だが…
それでもアライちゃんは、この虐待男に媚びへつらって生きて行く以外に道はない。

アライちゃん「か、かいぬししゃん…!ありゃいしゃんはなぁ…!とぉ~ってもかわいいんだぞぉ…!」クルッ

アライちゃんは、どんぶりの縁に掴まり芸を見せた。

https://i.imgur.com/HQH3MZR.png

…なんて…
なんて、哀れなのであろうか、この小さな生き物は。

アライちゃん「ほ、ほーら…しっぽのだんしゅだぞぉ…まいにちみせてやゆぞぉ…!だから…やさしくしてぇ…」フリフリ

例えこの場でアライちゃんが、
「おまえなんかとくらしたくないのりゃぁ!」と駄々をこねたとして、
誰がそれを責められようか。

アライちゃんは、まだ子供…赤ちゃんなのである。
同じくらいの精神年齢の人間の子供ならば、自分の感情のままに素直な主張をするであろう。

しかし、このアライちゃんは相当肝が座っている。

狂人卍に対して、「こんな奴と一緒に暮らしたくない」と思っているに違いない。

アライちゃん「のりゃっ!のりゃっ!」パチャパチャ

しかし…こんな飼い主であっても、受け入れて生きて行くしかないと…。

このアライちゃんは、きっと覚悟を決めているのだろう。

アライちゃん「しっぽのだんしゅ!だんしゅ!だんしゅなのりゃ!しっぽふりふりありゃいしゃん!かーいいかーいいありゃいしゃんっ!」パチャパチャ

人は生き方は選べるが、生まれる場所は選べない。

もしも自分が、あのペットアライちゃんとしてこの世に生を受けていたらと思うと…
ゾッとする他ない。

つくづく、自分が人間として幸せな環境に生まれてこれたことが幸運なのだと感じる。

狂人卍「うーん、そうだなぁ^^;…そろそろタレが染みた頃かな…」ボソッ

アライちゃん「た、たれ…?なんなのりゃ…?」キョトン

しかし、アライちゃんの言語能力にはつくづく驚かされる。

このペットアライちゃんは、ペットショップから出荷されたばかりなのに…

今の今まで、言語の壁で会話が詰まったことが一度もなかった。

つまり、このアライちゃんは、少なくともこの動画の中で狂人卍と話したときの言葉をすべて理解していたということになる。

『タレ』の意味が分からなかったのは、言葉を知らないからでなく…

その言葉が、今ここで何を指すかが分からないということなのであろう。

このアライさんという生き物は、本当に何者なのであろうか?

何故それだけの知能があって、野良では何の役にも立たないクソ害獣になってしまうのか。

エイリアンが地球に放った生物兵器の一種だと言われても、すんなりと受け入れられるほどの不気味な化け物だ。

…それをペットとして販売しているのだから、この国の度胸はすごい。
…買う方の客も客だけど…。

狂人卍「よし、それじゃあ、アライちゃんがとってもいい子にできたら、ちゃんとお世話してあげよう^^」

アライちゃん「い、いーこにしゅゆのりゃああっ!」パチャパチャパチャパチャ

狂人卍「ただし、ぼくとの約束を二つしよう。それを必ず守ること。いいね?」

アライちゃん「わ…わかったのりゃ…!」プルプル

狂人卍「一つ。ぼくに反抗しないこと」

アライちゃん「っ…」ゴクリ

狂人卍「二つ。ぼくに嘘を付かないこと」

アライちゃん「あ…ありゃいしゃん、うしょちゅかないのりゃ…」コクリ

狂人卍「この二つの約束が守れるなら、きちんと飼ってあげるよ。できる?^^」

アライちゃん「で…できゆのりゃ…!」コクコク

狂人卍「よし、それじゃあ…!」

アライちゃん「それじゃあ…?」シッポフリフリ

狂人卍「…例の特訓、もう一回やってみようか!」スッ ガシィ

アライちゃん「ぴぃっ!?」バシャッ

狂人卍は、右手に持った箸で、アライちゃんの体を挟んだ。

狂人卍「インターバルは済んだよね?もっかいいくよ^^」グイイッ

狂人卍は、アライちゃんをもう一度、七輪の上の金網へ落とそうとしている…!

アライちゃん「ぴぃいいいいっ!?か、かいぬししゃん!おねがいなのりゃもうあぢゅいのやなのりゃやべでなのりゃおねがいだがらいじめないでえええええっ!」ビエエエエーーンッ

アライちゃんはすぐに大声で鳴き始めた。

狂人卍「はい落とすよー^^」スッ

狂人卍は、箸を開いてアライちゃんを落とそうとするが…

アライちゃん「のりゃ!」ガシィ

狂人卍「おや^^;」

アライちゃん「ふんぐぐぐぐ…!もうやーなのりゃあ…!おぢだぐないのりゃあ…!」プルプル

なんとアライちゃんは、金網へ落ちないように必死に箸へ掴まっている。

https://i.imgur.com/aCzQexv.png

狂人卍「特訓しろよ。飼い主様の命令だぞ^^」グイグイ

アライちゃん「やぁああーーーーーーーーーーなぁあああーーーーーーーーーー!ぜったいぜったいぜぇーーーたいやなのりゃああーーーーっ!」ピギイィィイィジタバタ

狂人卍「反抗したね?あーあ、一つめの約束はオジャンかぁ^^;」

アライちゃん「ごんなごどされたらしんじゃうのりゃあああああっ!ありゃいしゃんしにだぐないのりゃああああああーーーっ!」ビエエエエーーンッ

狂人卍「そして、さっき約束できるって言ったのに…約束を一方的に破った。我が身の恋しさに。…二つ目の約束もパァだね^^」

アライちゃん「だぢゅげでだぢゅげでだぢゅげでだぢゅげでぇーーーっ!しーくいんしゃぁーーんっ!のぉーーーぁあああーーーーーんっ!のぁあああーーーんっ!!」ピギイィィイィ

アライちゃんは、『飼育員』とやらに助けを求め始めた。
おそらく、この場にいるはずもない…ペットショップの飼育員のことであろうか。

狂人卍「本性現したね^^化けの皮剥がれちゃったかぁ~^^結局自分が一番大事なんだねぇ^^」

アライちゃん「しーーぐいんしゃあああああああーーーーーんっ!ありゃいしゃんをだしゅげでえーーーっ!」ジタバタ

アライちゃんは、必死で箸に掴まっている。

狂人卍「ぼくとの約束を、勝手にどっちも破ったクソ害獣は、ディスパッチしなきゃね^^」グイイッ

狂人卍は、アライちゃんが掴まっている箸ごと、金網へ押し付けた。

https://i.imgur.com/6lwgKMC.png

アライちゃん「びぎゃああああああああがああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ジュウウゥウウウ

熱さに転げ回るアライちゃんは、箸を放した。

狂人卍「やけろ^^」

アライちゃん「う…うびゅぅうううっ!もーあんよとおててあぢゅいあぢゅいしゅゆのやなのりゃああああああ!」ズボォ ズボォ

なんと、アライちゃんは…
金網の上で焼けている餅へ、手足を突っ込んだ。

アライちゃん「ぴぎぃぃ!あっぢゅいのりゃああっ!」

それはそうだろう。焼けてる餅なんだから熱いに決まってる。
だが、金網の直焼きより幾分かマシかもしれない。

しかし、アライちゃんはどうする気なのか?

アライちゃん「うゆぅぅ…!このくつで…!おそとまでにげゆのりゃあ…!」プルプル

https://i.imgur.com/CVlCCkP.png

おお…
アライちゃんは、餅を手足に装着して金網の上をヨチヨチして、外へ逃げ出そうとしているようだ。

アライちゃん「だしつなのりゃー!」シッポブンブン

アライちゃんは、餅を装着したまま金網の上をヨチヨチしようとしているが…

アライちゃん「うゆ!なんなのりゃ…くっ…!おててとあんようごがないのりゃあっ!」グイグイ

手足を思うように動かせない。

狂人卍「あれれ~にげないの?^^」チョンッ

アライちゃん「のびゃああああっ!」ゴロンッ ジュウウウウ

狂人卍は、アライちゃんを横から箸でつついて転がした。

アライちゃん「ぴぎゅぅぃいいいいいいいいいーーーーっ!あぢゅぃいい!にげないとぉ…ぉいおおお!」ムニムニ

しかしアライちゃんは、逃げるどころか体を起こすことすらままならないようだ。

https://i.imgur.com/cKZ0lp0.png

アライちゃん「ぴいぃいいーーぅ!おててもあんよもうごがせないのりゃああああーーーっ!」ベトベト ジュウウウウ

狂人卍「うける^^」

このアライちゃんは、見ての通りちっちゃい。
手足の力もまだまだ弱い。

故に、餅の粘っこさの強さに力が負けてしまい、移動すらできなくなったようだ。
さながらトリモチにくっついたネズミのようである。

アライちゃん「だぢゅげでえええーーーーっ!がいぬししゃあああーーんっ!だぢゅげでえええーーーーっ!」ピギイィイイイ

金網の上から脱出するために、餅の靴を装着したのに…
それが皮肉にも、脱出を不可能にしてしまったようだ。

狂人卍「自滅wwwwww草生えるwwwwwww自滅いちばんすきwww」ゲラゲラ

狂人卍は笑っている。
何が自滅だ…!ここまで追い込んだのは自分がやったくせに…!

…なんてことを…。
今、この動画を再生して観ている私に、言う資格などない。

アライちゃん「う…ゆぅ…!のりゃっ!」ゴロンッ

アライちゃんは、尻尾を駆使して体を起こしたようだ。

しかし…よく生きていられるな…。
これはIHじゃなく七輪だ。

普通の生き物なら、熱さで体温が上がってとっくに死んでそうだけど…。

さっき狂人卍が、一度アライちゃんをタレに浸けたのは、
体温を冷やし、水分補給させることが目的だったのだろうか。

だとしたら、なんて恐ろしい奴…。
そこまで手の込んだことをやって、アライちゃんを苦しめようとするなんて…。

アライちゃん「ぜぇ…はぁっ…!ありゃいしゃんは…しにだぐ!ないのりゃあ!だぢゅげでぇぇえええーーっ!」ブルブル

https://i.imgur.com/Il43ONx.png

アライちゃん「ありゃいしゃんいーこだからぁ!いーこにしゅゆかりゃああ!もーおしおきやべでえええっ!」ピギイィイイイ

アライちゃんは、必死で命乞いをしている。

狂人卍「どこがいい子なの?さっきの約束、二つとも勝手に破ったよね^^」

アライちゃん「だ、だってぇ!こんなごどじでだらありゃいしゃんしんじゃうのりゃああっ!」

狂人卍「それが傲慢だって言ってるんだよあらいちゃん」スッ

狂人卍は、アライちゃんに箸を近付けた。

狂人卍「ペットは飼い主を楽しませるのが本分。きみはその本分を二の次にして、自分のことを優先した。…あり得ないっしょ^^」グイイッ

狂人卍は、アライちゃんの頭へ箸を乗せた。

アライちゃん「だぢゅげでぇ…かいぬししゃん…しゅきしゅきなのりゃあ…!それではやぐありゃいしゃんをもちあげてなのりゃあ…!」シッポフリフリ

狂人卍「はぁ?なんでお前みたいなペット失格のクソ害獣を育てなきゃいけないの^^まじうける^^」グイイイッ

アライちゃん「む…ぐぅうううっ!?」ズボォ

狂人卍は、アライちゃんの後頭部を箸でぐいぐい押していき…

アライちゃんの顔面を、両腕を拘束している餅へ突っ込ませた。

https://i.imgur.com/ya6xVwo.png

アライちゃん「むぐぅうううう!ふぐむぅううううっ!」シッポブンブン

あれは…
アライちゃんは今、餅で窒息している!

喉に詰まらせるんじゃなくて、口と鼻が外側から餅に埋まってる!

…あんな窒息の仕方は見たことがない。

狂人卍「いい?ペットの…お前の命は、飼い主であるぼくのもんなの^^ぼくを楽しませるためだけにあるもんなの^^」グイグイ

アライちゃん「むぐ…ぎゅぅぅ…!んむぅうぅ…!」ジュウウウウ

狂人卍「そんなお前が、ぼくを楽しませることより、自分の命を大事にすることが、不遜で傲慢で生意気だっつってるんだよ^^ペット失格^^どこがいい子だよ」グイグイ

アライちゃん「む…ぐぅ…っ!」ジュウウウウ

狂人卍「お前らアライちゃんが本当にいい子だっていうなら、飼い主の娯楽のためにその命を捧げれて当たり前だよね^^」グイイイッ

アライちゃん「も…ご…」

狂人卍「できるんですか^^できるんならいい子だって認めてあげますけど?」グイイイッ

狂人卍は、アライちゃんの顔を餅から出させた。

狂人卍「どーですか^^いい子だって認めてほしいですか^^ぼくの娯楽のために死ねる子だけがいい子なんですけど^^」

アライちゃん「ぜはーっ、ぜはーっ、ぜはーっ…」ゼェハァ

狂人卍「いい子じゃないならぶち殺すね^^」

アライちゃん「あ…ありゃい…しゃん…いーこ…なのりゃあ…」ゼェハァ

狂人卍「へえ~?ほんとに?^^」

アライちゃん「ほんと…だがりゃ…こよさないでぇ…あ…ありゃいしゃん…しにだぐない…いぎだいのりゃあ…」ジュウウウウ

狂人卍「^^;」

狂人卍「はいクソ害獣一匹ディスパッチ入りまーす^^」グイイイッ

アライちゃん「もごごぉおおおおっ!」ズボォ

…アライちゃんの顔面は、再び餅の中に埋まった。

狂人卍「反抗するし、保身のために姑息な嘘つくし、ぼくのために死ねないし…悪い子トリプル役満っすね^^」グイイイッ

何言ってるの…
アライちゃんだって、生き物なんだよ…。
生き物が生きたいと願って、何が悪いの。

…いや、私にそんなこと言う資格はない。
私も今まで、ただ生きたいだけの野良アライちゃんを、容赦なくたくさん殺している。

この男がやってることと、私がやった駆除…
アライちゃんの側からしてみれば、何の違いがあるというのか…。

アライちゃん「ご…も…」ジュウウウウ

やがて、アライちゃんのお腹のあたりから煙が立ち上ぼり始めた。

アライちゃん「」ジュウウウウ…

狂人卍「…もういいか」パッ

狂人卍は、アライちゃんの後頭部から箸を放した。

https://i.imgur.com/4M8wr4Y.png

アライちゃんはもう、何にも反応しなかった。
命乞いも、暴れもしなかった。

唯一の反応は…
火が通ったことで、肉が焼けて色が変わっていく科学反応だけであった。

狂人卍「ちなみに、さっき飲ませた卍ドリンクは、ミルクに下剤と嘔吐剤と利尿剤を混ぜたやつ^^」

狂人卍「アライちゃんの腹の中から排泄物ぜんぶ抜いて、丸ごと食えるようにするためのドリンクだよ^^」

狂人卍「さて…こちらのアライちゃんが突っ伏したヨチラ餅。アライちゃんが暴れたせいで、焼き加減がばらばらですね^^」スッ

狂人卍は、鍋を取り出した。

狂人卍「というわけで、こちらの雑煮に入れて茹でましょう^^」パカッ

鍋の中には、美味しそうな雑煮が入っていた。

狂人卍「丸ごとぽいー^^」ポイッ

ヨチラ餅「」ボチャンッ

餅に埋まったアライちゃんは、雑煮の鍋に投入され、コンロで茹でられた。

画面に「10分後」というテロップが出た。

狂人卍「はーい、10分かけて餅がトロットロになるまで茹でました^^」スッ

狂人卍が、先程タレを入れていたのと同じどんぶりへ、鍋の中身をよそった。

狂人卍「はーい完成です^^自己中で傲慢なアライちゃん入りの雑煮でーす^^」

狂人卍「名付けて…」



https://i.imgur.com/3yrk1jB.png



…うわぁ…
見た目がヤバすぎる…。

こんなの食べれるの…?毛皮ついてるし…
って、そんな事言ってる場合じゃない!

あのアライちゃんは、ペットとして工場できちんとお勉強を頑張ってきたのに…!
こんな風に、遊びながら殺されるなんて…
…おかしいよ…。

…そして…

この動画を観て、興奮し、悦楽を感じてしまった私も、おかしいんだ…。

つづく

ちなみに今回の話のイラスト有りパートはここまでです
なにか気に入った絵はあったでしょうか

狂人卍「じゃ、食べてみます^^」スッ

狂人卍が、雑煮の中のペットアライちゃんを箸でつまんで、頭から食べた。

狂人卍「^^」ボリボリムシャムシャ

狂人卍「ん~、美味いね^^アライちゃんは熱すると骨や爪が軟骨みたく柔らかくなるから、丸かじりできるんだよ」ボリボリ

狂人卍「見ての通り小振りだけど、食感がいいし、噛めば噛むほど旨味が出てくるいい~肉だ」モグモグ

狂人卍「髪とか毛皮とかもまるっと食える。すごいっしょ^^」ムシャムシャ

狂人卍「あとね、生きたまま調理することのメリット。血抜きしなくても、生臭くならない」

狂人卍「生きた動物の血は、元々は臭くないんだ^^でも、死んだ後にだんだん血に雑菌がわいて臭くなっていく」

狂人卍「だけどこうやって生きたまま加熱調理すれば、血が臭くならずにそのまま美味しくいただけるんだよ^^」

狂人卍「あーうま^^やば^^」ムシャムシャ

狂人卍「ふぅー、アライちゃんご馳走さま。たのしー^^おいしー^^」

あれだけ飼い主に気に入られようと頑張ってたアライちゃんは…
その気持ちを裏切られ、食材となって食べられてしまった。

なんて奴!
こんな残酷な虐殺動画を、堂々と最大手の動画サイトに投稿するなんて。

こんなことして、BANされないのだろうか?
動物愛護法違反とかで捕まらないのだろうか?

…残念ながら、今の法律でそれは不可能だ。

たとえば猫や犬、鳥みたいな普通のペットにこんなことしたら、動物愛護法違反で捕まるだろう。

しかしアライさんは、その様々な特異性ゆえに、『動物』であるかどうか、まだ断定されていない。

故にアライさんは、現状の法律では『自然物』として扱われる。

早い話、法律上での位置付けは、『虫』や『魚』と同じなのである。

だからこの男が、健気なペットアライちゃんにいかに残虐な行為をして死に至らしめたとしても…

生きた魚を買って捌いても、法律上なんら問題ないように。

買った鈴虫を、爬虫類の餌にしても法律上なんら問題ないように。

この男の所有物である以上、どうしようとこの男の勝手なのである。

この男の胸くそ悪い所業は、いかなる法にも違反しないのである。

狂人卍「あ、そうそう^^大事なこといっとく^^」

狂人卍「今回ぼくさ、ペットショップから材料買ったわけじゃん」

狂人卍「だから厳密にはこれ、アラジビじゃないよね^^;ジビエじゃないもん^^;」

そう!それ思ってた!

狂人卍「ついでに言うと、ペットショップのアライちゃんは一匹一万とかザラだから、たけえ^^」

狂人卍「虐殺して楽しむのがメインじゃないと、コスパくそ悪い^^;」

狂人卍「そもそも元々のランチャーズさんとこのアラジビは、森からアライちゃんを狩猟してるわけだから^^;有害駆除と料理を兼ねた立派な活動だから^^;」

狂人卍「ランチャーズさんたちは俺みたいな虐殺キチと全然違うまともな人達だから、そこんとこ混同しないでね^^;」

自覚はあるのか…

狂人卍「この動画を観て、自分もアラジビ料理に挑戦してみたいって思った人いるかな^^」

狂人卍「いたらひとつあどばいす^^」

狂人卍「街中のゴミ食ってるようなアライちゃんは、肉の臭み抜くのがちょっと手間かかるよ^^臭み抜いたらおいしーけどね^^」

オーナーも同じ事を言ってたな。
臭みを抜けば美味しくなるって。

狂人卍「ただ、森に行くと大人のアライさんに襲われるかもしれないから、ちゃんとアライボウ持ってくようにね^^」

狂人卍「じゃねー^^」

…狂人卍の動画が終わった。



…私は、ただただショックだった。

オーナーやランチャーズの皆と一緒に作ったアラジビが。

こんな残酷なショーに使われてしまうなんて。



そして。



私が、こんな反吐が出るような胸糞悪い虐殺動画を観て…

今までにないほどの興奮と、胸の高鳴りを感じているなんて。


『私もやってみたい』…
その胸の内から溢れる醜い欲望を、私は必死で振り払おうとした。



数十分後、私はオーナーに電話をかけた。

肉料理屋店主『よ。どうしたこんな時間に?』

オーナー…。

私、見てしまいました。
狂人卍のアラジビ動画。

肉料理屋店主『……お前も、見ちまったか。…それを観て、どう思った』



…言っても、引きませんか?

肉料理屋店主『今更だろ。いいから言えよ』



…あんなに最低なのに…

…あんな、可愛いペットを虐殺するクズ野郎になんかなりたくないのに…。

私の頭の中に…
次々と、生きたアライちゃんの虐殺アラジビ料理のアイデアが溢れ来て止まらない。

次から次にアイデアが出て来て…
『やってみたい』なんて思ってしまうんです。

やだよ、私こんなの…やだ…

肉料理屋店主『…お前…』

肉料理屋店主『…どんなアラジビだ』

…例えば…ですね…。

なついたペットアライちゃんに、フライパンの上で野菜や材料を切らせてから…
切り刻んでフライパンで炒める『ゴーヤチャンプルーアライちゃんver』。

肉料理屋店主『なっ…』

飴細工の服を着せて、フライパンで炒める、『カラメルソテーアライちゃん』。

アライさんの腸を引きずり出して、目の前でウィンナーに加工する『アライさんウィンナー』。

すき焼きの鍋で煮ながら、私に100回「好き」って言わせる『アライちゃんすき焼き』。


…どうしよう…
こんなことやってみたいなんて思うなんて…
私は頭が変になったのかな…!

肉料理屋店主『…』

肉料理屋店主『アライさんだけか…』

え…?それはどういう…

肉料理屋店主『たとえば…。人間相手にそれをやりたいとかは、思ってないか?』

い、いや、それは!
流石に無いですよ!
人にそんなことするのは…あり得ないし…
やりたいとも思いません!

肉料理屋店主『…そうか。なら…取り返しがつく段階かもしれねえな…』

オーナー…?

肉料理屋店主『お前はどうなりたい?率直な想いを聞かせてくれ』



…私は…

…。

…ペットを…殺して楽しむなんて…やだよ…

こんな私…いやだよ…

肉料理屋店主『…』

肉料理屋店主『…アラキレスを怖がらせて楽しんでたり、森で捕まえたアライちゃんの股間ブッ刺して殺したり…』

肉料理屋店主『お前のこと、やべー奴だと思ってた』

肉料理屋店主『だがお前は、その先まで堕ちたくないと…俺にはっきり言ってくれた』

肉料理屋店主『それなら…俺に協力できることなら何でもやってやる。必ずお前を救ってやる』

オーナー…。

肉料理屋店主『お前は、俺になにかしてほしくて電話くれたんだろ?…俺に何してほしいんだ?』



肉料理屋店主『…思い付かないか?』

…。

…アライちゃんを殺すことより、もっと何か…
別のことで頭がいっぱいになれば。

…こんなこと考えずに済むかもしれません。

肉料理屋店主『ふむふむ』

…オーナー…。
私と一緒にいてください。

肉料理屋店主『…ああ。そっちに行けばいいか?』

いや…
私を、オーナーのおうちに泊めてください。

肉料理屋店主『!?』

アラキレスには、餌と水いっぱいあげておくから大丈夫です。

明日は休日ですよね。

肉料理屋店主『…マジか』

まじです。

肉料理屋店主『…なんで?』

…だめですか?

肉料理屋店主『…いいよ。車で迎えに行くから、支度してろ。…ウチそんなにおもしれーもんねえけどな』

いいんです。
オーナーがいますから。

…私は電話を切り、荷物をバッグに詰め…

オーナーの車に乗り、オーナーの家へ連れていって貰った。



私はオーナーのお家で、しばらくオーナーと談笑した。

オーナーは面白い人だ。
冗談もクールだし、優しくて熱い男。

しかし、なんというか…
サークル仲間には、ときたま考えが年寄り臭いと言われてるそうで。

私もしばしば、そう感じる時がある。

肉料理屋店主「ふぅー…さて、そろそろ風呂入って寝るか。こっちの部屋に寝るとこ用意しといたぞ」

…私の寝る部屋。

肉料理屋店主「ああ」

…オーナーと一緒じゃダメなんですか?

肉料理屋店主「…それがいいのか?」

…今の私の気分は…
怖い映画を観て、パパと一緒に寝たがっている子供の気分です。

…まあ、微妙に違いますけど。

肉料理屋店主「…まあ…お前のためになるなら、いいけど…」

ありがとうございます。

…私は寝巻きを持って脱衣場へ行き、オーナーの家のお風呂に入った。

体をさっと洗い、湯船に浸かった。

湯船のお湯は、さっき入れたばかりだという。

…あったかい…。

身体も、心も…あったかい。

…こんなに優しくしてくれる人がいるなんて。

あんなに醜悪な本性をさらけ出して尚、救いの手を差し伸べてくれるなんて。

涙が止まらない。

きっと、私一人だけだったら…
オーナーがいなかったら。

今頃私は、狂人卍と同じ事をやっていたかもしれない。

ペットショップへ材料を買いに行き…
カラメルソテーアライちゃん作りに挑戦するような…
外道に堕ちていたかもしれない。

オーナー…ありがとう…。
私は溢れる涙をシャワーで洗い流した。

あー、お風呂があったかい。

入浴剤は…『旅の湯 温泉めぐりセット』…。
趣味がおじいさんっぽいよ、オーナー。

ん…そういえば、今の時間…
私は家で何をしていたっけ。

そうだ…日課だ。
日課をする時間だ。

オーナーのことを想いながら…
あることをする時間だ。

しかしまさか、人の家でそんなことするわけにはいくまい。

ましてや今は、困ってるとこに救いの手を差し伸べて貰っている最中。

そんなオーナーの想いを、邪な想いで穢すわけには…。


シャワーを浴びよう。

私は、体にシャワーのお湯を当て続けた。

体の一ヶ所だけに、一部分だけに。
一番火照っているところに。
集中してシャワーのお湯を当て続けた。

これはシャワーを浴びてるだけ。
だから問題ない。

そう、問題ない…
あ゛あ゛~、シャワーがきもぢいぃ…
ぅぁあ、日課ノルマ達成直前…!


…って馬鹿か私は!
こんなことをやるのは、スケベか変態か痴女のやることだ。

私はスケベでも変態でも痴女でもない。
私は危うく日課を済ましそうになる直前でなんとかシャワーを止めた。

あとちょっと、あとちょっとだけシャワーを浴びせたいと疼く体を理性で制し、お風呂からあがった。

そしてバスタオルで体を拭き、家から持ってきたワンピースタイプのゆったりした寝巻きを着た。

さすがに秋だから、夏みたいに薄いやつはもう着ないけど…

だが、ふとももが出てた方が脚が自由でいいので、寝巻きの裾はかなりのミニ丈である。

ちなみに私は、寝るときは下着を着けない派だ。

…そんな格好で私は、オーナーのいる寝室へ行った。

肉料理屋店主「よう、風呂あがった…か…」ピタッ

次どうぞ。

肉料理屋店主「…お、おう…風邪ひくなよ」

大丈夫ですよ、多分。

オーナーがお風呂入ってる間は、何しよう…。

…本棚を見てみると、いろんな本がある。
料理の本、伝承やオカルトの本、医学の本などだ。

オーナーってば、以外にオカルト好きなんだな。
何々?

『輪廻転生とは』
『前世の記憶』
『妖怪大図鑑』
『世界のUMA』
『エクトプラズマーは実在するか』
『フクロウ・ミミズクの飼い方』

…ああ…おお…こういうの好きなんだ…。
私も嫌いじゃないけども…。

…オーナーが来るまで、これでも読んでようか。
私はオーナーのベッドに寝転がった。

…オーナーの匂いがする。

ベッドに顔を伏せて、大きく息を吸い込んだ。

…オーナーの匂いが私の鼻腔を満たす。

ベッドに顔を伏せ、何度も深呼吸した。

オーナーの匂いが私の肺を満たしていく。

…って何をやっているんだ私は。
犬みたいに嗅ぎまくるなんて…。

…もう一度私は、オーナースメルをキメた。

あ゛ー。
ドラッグ中毒者は、こんな感じなのであろうか。

私は、先程浴室で日課を途中までやっていたことを思い出した。

オーナーの匂いを嗅いでいると、日課の続きがしたくなってくる。

先程シャワーを集中して浴びせてたとこが、うずうずと疼いてくる。

途中までで止めていた日課を、ちゃんと最後までしたくなってくる…!

だが、私はスケベでも変態でも痴女でもない。

貞淑で清楚な慎ましやかな女だ。

悶々としたままだが、欲望に身を任せることはせず、なんとか耐えた。

私は、『世界のUMA』を読んだ。
しかし内容が頭に入ってこない。
オーナーのことばかり考えてしまう。

…とりあえずベッドに顔を突っ伏し、再びオーナースメルをキメた。

あ゛ー!ここすき!
この部屋の屋根裏に住み着こうかな。

肉料理屋店主「ふー極楽極楽…って何やってんだお前」

ふぉお!?オーナー!?
な、何ってその…
…何でしょう?

肉料理屋店主「俺に聞くな!あととりあえず尻を隠せ!お前のベッドはそっちな」スッ

オーナーは、部屋にあったもう1つのベッドを指差した。

肉料理屋店主「…どした?」

…オーナー…。

肉料理屋店主「…どうした」

…一緒のベッドじゃ、だめですか。

肉料理屋店主「…マジか」

まじです。

肉料理屋店主「…………………」

オーナーが悩んでいる。

肉料理屋店主「……………………………………」

オーナー、嫌ですか?

肉料理屋店主「…まあ、それで不安が和らぐなら…いいぞ。大丈夫だ、一緒に寝るだけだから大丈夫…」ボソボソ

ところでオーナー。なんで前屈みなんですか?

肉料理屋店主「それは聞くな!ほら…寝るぞ」ゴソゴソ

オーナーは、私のとなりに横たわり、こっちに背中を向けて寝転がった。

…。

肉料理屋店主「どうした?寝られないか?なんか話すか?」

…私もベッドへ横たわり、オーナーを後ろから抱き締めた。

肉料理屋店主「」

…筋肉凄いですね。戦士みたい。

肉料理屋店主「はは、毎日プロテイン飲んで鍛えてるからな」

そういえば…私、オーナーの腕くらいしか筋肉を生で見たことなかったですね。

肉料理屋店主「…普通そうだろうよ」

…どこまで見せてくれます?

肉料理屋店主「寝ろ」チョップ

んぅっ♥

肉料理屋店主「…もう少しいろいろお喋りするか?」

そうしましょう。

それから私とオーナーは、楽しい話をいっぱいした。

心があたたかくなるのを感じた。

肉料理屋店主「さて、そろそろ寝ようぜ。また明日な」ゴロン

そう言い、オーナーは再びこっちに背中を向けて寝転がった。

…オーナー。

肉料理屋店主「どうした」

こっち…向いてくれませんか。

肉料理屋店主「…」モゾモゾ

オーナーはこっち向きで寝転がった。

…私は、オーナーを正面から抱き締めた。

肉料理屋店主「うおっ…ちょっ…」

私は体をオーナーへ押し付け、オーナーから直接匂いを嗅いだ。

肉料理屋店主「…」タラー

オーナーの首筋を汗が伝う。
私はその汗をぺろりと舐め取った。

肉料理屋店主「お…お前…はは。俺を食べたいとか言い出さないだろうな?」

たべたい?
どういう意味でですか?

肉料理屋店主「あー…カニバリズム…てきな?」

そっちの意味なら、思ってませんよ。

…私は、パジャマを着たオーナーを、真正面から抱き締めた。
そして腰に脚を絡ませ、胸と下腹部を押し付けながらそう言った。

肉料理屋店主「そっちの意味って…っていうか、ち、近っ…」アセアセ

裾の短いワンピースが捲れ、すーすーするのを感じる。

時折、私の下腹部になにか硬いものが当たるのを感じる。

オーナーのパジャマの布地越しに…
私が毎晩『日課』をするときの妄想の中で、私を貫くモノがあるのが伝わる

私は、先程シャワーを浴びせ続けてた部分に、その硬いものをぐいぐいと押し付ける。

身が蕩けるような気持ちよさを感じる。
いつもみたく手でするのとは比べ物にならないぐらい気持ちいい。

肉料理屋店主「ああちょっとヤバいヤバいヤバいヤバい…おいバイト、もうこの変に…」アセアセ

ところでオーナー。

肉料理屋店主「ど…どうした」アセアセ

私、寝るときは下着をつけないんです。もちろん今も。
だから下半身はすっぽんぽんです。

肉料理屋店主「今言うかそれ!?」アセアセ

あー気持ちいい!
私は腰をがくがくと動かし続け、オーナーのパジャマから盛り上がった硬いとこに、私の気持ちいいとこを押し付け続ける。

最低だ。何をやっているんだ私は。
だけど腰が止まらない。気持ちよすぎて止まらない。
私の雌の本能が、この硬いのを欲しがってたまらない!

あ゛ー!あとちょっと!あとちょっとで日課を達成できそう!

肉料理屋店主「下半身すっぽんぽんて、お前…さ…寒くねーの?」

んっ、んっ!気持ちいいですよぉっ…!
そうだ、お、オーナーも、パジャマとパンツ脱いで、下半身すっぽんぽんになってみませんか?
もっと気持ちよくなりま…

肉料理屋店主「ならねーよ!寝ろ!」チョップ

はぁうぅっ♥

私は体をびくびくと振るわせた。

肉料理屋店主「ど…どうした」

…ち…チョップで…今のちょっぷで…♥
日課達成ひまひたぁ…♥

肉料理屋店主「…あ、危なかった…。あやうく未成年とわいせつ行為するとこだった…」アセアセ



…私は今、オーナーに土下座をしている。

肉料理屋店主「そんなお前、土下座とかよせよ…もういいから…」マエカガミ

すみませんオーナー。
変なこと考えて暴走してしまいました。

肉料理屋店主「…びっくりしたぜ…」マエカガミ

でも私は貞淑なので。
スケベでも変態でも痴女でもないので、オーナーにわいせつな行為するのは我慢します。

肉料理屋店主「まあ…未成年とのちょめちょめは犯罪だから…。ただ、誤解しないでほしいが…」マエカガミ

何ですか?

肉料理屋店主「お前をつっぱねたのは、決してお前に魅力がないからとかじゃないぞ。お前はその、女性としてヒジョーに魅力的だ」マエカガミ

…!

肉料理屋店主「だから俺も我慢するの大変だったぞもう…」マエカガミ



なんだろう。

今になって、滅茶苦茶恥ずかしくなってきました。

肉料理屋店主「今更かよ!?」

お…オーナー。
今夜のこと、忘れられませんか?

肉料理屋店主「そいつは無理なご相談だ」

私はその晩、オーナーに後ろから抱っこしてもらいながら眠った。

狂人卍のことなんか、頭になかった。
ただただオーナーのことばかり考えていた。

…オーナー…。

これからも私の頭のなかを、支配し続けて下さい。

私の醜悪な悦楽を封じ込め続けてください…。

~その頃、バイトの部屋~

アラキレス「ふははー!できたのりゃ!さいこーけっさくなのりゃあ!」ピカピカガイジガオ

アラキレスは石粉粘土を使い、最高傑作と自評する尻尾アクセサリーを作っていた。

アラキレス「かいぬししゃーん!みてなのりゃ!すっごくかわいいのりゃー!」クルッ

アラキレス「…」シーン

だが、バイトは肉料理屋店主のうちに泊まっている。

アラキレス「うゆぅ!?みてもらえないのりゃあ!?」コスリコスリ

アラキレス「そーなのりゃ!まえはたまにおともだちがきてくれたのりゃ!おーい!おともだちー!ごはんあげゆからこっちおいでなのりゃー!」

アラキレスは、外に向かって呼び掛ける。

アラキレス「…」シーン

だがこの家は、前に工事をしてアライちゃんに開けられた隙間を塞いだばかりである。

アラキレス「…ぴいいぃぃ~~~っ!!だれかありゃいしゃんのさいこーけっさくみてえええーーーーっ!みてみてみてぇえーーーっ!」ビエエーーーン

アラキレスは、独りぼっちの部屋で一匹寂しく泣いた。

つづく



~公園~

男児兄「金髪女児、入院だってさ…」ポーン

男児たちが、ボールを蹴りあっている。

男児弟「なんであんなことに…」ポーン

ガキ大将「…くそっ…」ポーン

そのとき、突風が吹いた。

ガキ大将「うわっ!?」ビュウッ

突風によって、ガキ大将の帽子が勢いよく林の方へ飛ばされていった。

ガキ大将「うわわー!待てー!俺の帽子ー!」タタタッ

男児弟「お、追い掛けよう!」タタタッ

男児兄「すげー速さで飛んでいくぞ!」タタタッ

帽子はどんどん遠くへ飛んでいき、あっという間に見えなくなった。

ガキ大将「ど…どうしよう…」

男児兄「みんなで手分けして探そうぜ!」

男児弟「早く見つけちゃおう!」

ガキ大将「…おまえら…ありがと!よーし探すぞ!」タタタッ



一同は、林の中を2~3時間ほど探し回った。

やがてカラスが鳴き、日が暮れてきたころ…

男児兄「くそー見つからねえ…」ガサガサ

男児弟「ん!み、見て!あったよ、ほら!」ユビサシ

ガキ大将「お!ほんとだ!」

男児弟は、土の上を指差した。

https://i.imgur.com/rmeHCJU.jpg

土の上に、ガキ大将の帽子が落ちていた。

ガキ大将「こんな遠くまで飛ばされてたのか…」スタスタ

ガキ大将は、帽子へ近づく。

ガキ大将「よいしょっと」スッ ガシィ

ガキ大将は、地面に落ちている帽子のつばを掴んで捲った。

https://i.imgur.com/AKRLGHb.jpg




ガキ大将「うわあああぁああああああああああああ!!!?」ビクゥゥ

男児兄弟「「ひゃああああああああああああああああああ!!?」」ビクゥゥ

なんと、帽子の下に生き物が潜んでいたのであった。

アライちゃん1「うゆ!おまえー!ありゃいしゃんのおうちになにしゅゆつもりなのりゃ!」フゥーッ

アライちゃん2「このおうちはありゃいしゃんたちがさいしょにみつけたんだぞぉ!」フゥーッ

アライちゃん3「どよぼーしゅゆきかぁ!ありゃいしゃんたちこれないとさむくてかぜひーちゃうのりゃ!ほかのさがせー!」フゥーッ

アライちゃん4「うぅーっ!のりゃっ!のりゃっ!(威嚇)」フゥーッ

帽子の下に住み着いていた住人達が、強く抗議してきた。

ガキ大将「これは元々俺のだ!返せ!」グイグイ

ガキ大将は、帽子を引っ張った。

アライちゃん1「ぴいぃ!?」

アライちゃん2「おうちのききなのりゃー!ありゃいしゃんががんばってみつけたおうちかえちてー!」ビエエエン

アライちゃん3「おまえのじゃないのりゃあ!ありゃいしゃんがいーーーっちばんさいしょにみつけたっていってゆのがわかんないのかがいじぃーっ!」ピギィィイ

アライちゃん4「うゆうぅ~!しまいみんなのきずなぱうぁーでおうちどよぼーをやっちゅけゆのりゃ~!」フゥーッ

アライちゃん達は、帽子を渡すまいと抵抗してきた。

https://i.imgur.com/jQPFYKX.jpg

ガキ大将「うわ噛まれた!いってぇ!」

アライちゃん1~4「「「わっちぇ!わっちぇ!わっちぇ!」」」グイグイ

果たして、帽子はアライちゃん達の手に渡ってしまうのであろうか?

続く

男児兄「何がお家泥棒だ!」ダッ

男児弟「その帽子はもともと…!」ダッ

ガキ大将「待て待て!わかった!俺の負け!降参だ!」ピタッ

アライちゃん3「がぶがぶ…のりゃ?」ガブゥ

ガキ大将「分かったよ…これはお前らのお家になったんだな。返すよ」スッ

ガキ大将は、帽子から手を離した。

男児兄弟「「え!?」」

アライちゃん3「んが…はぁはぁ!かったのりゃー!」ヨチヨチモゾモゾ

アライちゃん1「ありゃいしゃんたちのきずながどよぼーをたおちたのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリモゾモゾ

アライちゃん2「がいせんなのりゃー!わっちぇ!わっちぇ!」ヨチヨチモゾモゾ

アライちゃん4「あったかおうちまもったのりゃ~!これでさむくなくなゆのりゃ!」ヨチヨチモゾモゾ

アライちゃん達は、帽子の中へ潜っていた。

男児兄「お、おい…いいのかよ?」

男児弟「ち、ちょっと!帽子また取られちゃったよ!」アセアセ

ガキ大将「いいって、あれはあいつらにやるよ」

アライちゃん1「ほんとーだろーな?」ニュッ

帽子の下から、アライちゃん1が顔を出した。

ガキ大将「いいっていいって。お前らのすみかにしろよ」

アライちゃん1「ふははー!やったのりゃあ!かんぜんしょーりなのりゃー!」モゾモゾ

アライちゃん1は、再び帽子の下へ潜っていった。

アライちゃん達は、戦いの末に…
ガキ大将の帽子を奪うことに成功したのであった。






ガキ大将「死ねぇ!」グシャアァア

しかしガキ大将は、帽子を思いっきり踏んづけた。

帽子の中の声「「「ぴっっっぎゃああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーっ!!」」」ボリゴギィ

帽子の中から悲鳴が響く。

ガキ大将「だらぁ!」ドグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャ

ガキ大将は、何度も何度も

帽子の中の声「びぎゅ!」グシャボギィ
帽子の中の声「うびゅぇええ!」グチャァ
帽子の中の声「いっっぢゃあぃいいびぎぐびゅぅぅ!」グシャボギィ
帽子の中の声「おがーじゃ…ぶぎゅ!」ベチャァ

白い帽子は何度も踏みつけられ、赤く染まっていった。

ガキ大将「はぁ…はぁ…」ゼェハァ

帽子「」シーン

…真っ赤になった帽子からは、もう何の声も聞こえなかった。

男児兄「…かーちゃんからアラ袋貰ってるけど、使う?」ガサガサ

男児兄は黒い袋を取り出した。

これはホームセンターでどこでも売られている『アラ袋』。

アライちゃんは駆除して放置すると、腐敗して蛆虫が湧いたり、他のアライちゃんの餌になってしまう。

地面に埋めても、腐敗臭を嗅ぎ付けたアライちゃんによって掘り起こされ、餌となってしまう。

そのため、駆除したアライちゃんはアラ袋へ詰め、早めに燃やすか、燃えるゴミの日まで凍らせるのが通例である。

ガキ大将「サンキュー」スッ

ガキ大将は、真っ赤な帽子を丸めて、中身がこぼれ落ちないように持ち上げ、帽子ごとアライネットへ入れた。

男児兄「…帽子ごとか…。」

男児弟「なんで帽子ごと踏んづけたの?」

ガキ大将「そりゃあ、もちろん…」

ガキ大将「アライちゃんが巣にした帽子なんて、もう被りたくないだろ!」

男児兄弟「「だよなー!」」スタスタ

男児達は、日が暮れる前に家へ帰っていった。

アライちゃん達は結局、帽子を自分たちの家にすることに成功した。

しかしその健気な努力とやらは、圧倒的な力の差によって可及的速やかに踏み潰されたのであった。


男児達は、狂人卍やバイトのように…
アライちゃんを必要以上に痛め付けて楽しむことは、一切しなかった。

当然のことだ。
たとえ相手が害獣アライちゃんでも、一般的な価値観からすれば、
わざと苦しめてから殺すことは忌避されるのだから。

これは相手がアライちゃんでなくとも、蜂だろうと、ゴキブリだろうと、燕の雛だろうと同じである。


かつて亀太郎の副葬のために、アライちゃんの四肢を破壊して痛め付けたことはあったが、
あれはアライちゃんに苦痛を味わわせて楽しむことが目的ではない。

ただ純粋に、亀太郎の弔いのためにやったことである。


…そう。
この世界では…

『野良アライちゃんを駆除すること』、それ自体は一般的な行為であっても…

『わざと苦痛を与え、虐殺することを楽しむ』のは…
一般的に、悪趣味だとして煙たがれる行為なのである。

つづく

今回の話は、アラ虐が2レスで終わるあっさりした話でしたが

ぶっちゃけ>>353のシーンが書きたかっただけです

ペットアライちゃんの値段はピンキリである。

高級なアライちゃんは1匹2万円とかすることもある。

しかしロープライスなアライちゃんは、3000~4000円ほどあれば十分買える。

縁日のカラーアライちゃんなんて、なんと400円で一匹買えてしまうのである。

では…
何がアライちゃんの価格を左右するのであろうか?

大きな理由は3つある。

一つ目は、ペットアライちゃんメーカー会社がもつブランド。

ペットアライちゃんメーカー会社は国内にいくつかあり、『良質なアライちゃんを作るメーカー』のブランドはユーザーによく知られている。

『質の低いアライちゃんを作るメーカー』というのも知られており、そこで製造するアライちゃんはやはり低価格で取引される。



二つ目は、各工場で行っている教育水準。

性格の良いアライちゃんに育てるには、それだけ手間…つまり教育費用がかかる。

逆に、害獣よりはマシというぐらいでよいなら、大した手間がかからずに育てることが可能だ。




そして三つ目は…
『アライちゃん製造機』の質である。

アライちゃんは、アライちゃん製造機で作られる工業製品である。

アライちゃん製造機とは…
生命維持ユニットとアライちゃんプラントを接合してできた機械のことだ。


ちなみに生命維持ユニットは、主に強制給餌機と排泄物吸引機を指し、
アライちゃんプラントは、手足を除去したアライさんのことを指す。


アライちゃんプラントは、楽園引き取りサービスによって引き取った、大きくなったペットアライさんを材料とする。


アライちゃんプラントの材料は、引き取った後、まず工場間で『競り』にかけられるのだが…

飼われていたときの従順さや、体の小ささ、引き取るまでに育てられた期間によって、競り落とされる価格は大きく変動する。

高級アライちゃんメーカーは、質のいいプラントを競り落とし…
弱小メーカーは、質の低いプラントを競り落とし、アライちゃん製造機を作ることになるのである。

しかし、弱小メーカーが生産した安いアライちゃんに、需要はあるのだろうか?


ある。
需要があるから売れるのである。

例え安くとも、ペットとして最低限の教育さえ受けていれば買うという購買層は、存在しているのである。

そして、そんな底辺とはいわずとも、中の下~下の上ぐらいのメーカーで…

新たなアライちゃんが製造され、産声を上げたのであった。

~弱小アライちゃん工場~

アライちゃん製造機「うっ…の…のだあああああああああああああああああああああっ!」

アライちゃん1「うにゅ…」ズルズル ヌポォ
アライちゃん2「の…」ズルズル ヌポォ
アライちゃん3「う…」ズルズル ヌポォ

職員1「今回の製品ロットは3つか。…最近ずっと少ないな…」

職員2「プラントの質が落ちてんのかな…?」

アライちゃん製造機「はぁ…はぁ……。ち、ちびぃ…」ゼェハァ

アライちゃん1「のぉーーーぁああああああーーんっ!のぁあああーーーーーんっ!のぉーーーりゃああああーーーんっ!」ピギイィィ

アライちゃん2「うびゅーーーー!うびゅびゅぅーーーー!ふみゅふみゅ!」

イボアライちゃん「のびゃびゃぁああーーーんっ!のぉぉーーーぁあああああああーーーんっ!」ビエエエン

職員1「ヨチライフ室に持ってくぞ」ガラガラ

職員1は、製造されたアライちゃん達を籠に入れて持っていった。

アライちゃん製造機「ぁああ…ぁあああ……だれが…あらいさんを…ごろじでえぇ…」ゼェハァ

職員2「そんじゃ次行くか。ほら交尾しろ」グイイ

雄アライグマ「キュルルルル」パンパン

アライちゃん製造機「ぅあ…ぁああ…」ガクガク

職員1「ん…?」チラッ

イボアライちゃん「のびゃああー!のぁああーー!」

職員1「こいつ、尻尾の先にイボがついてるな…。ま、そのうち毛が伸びて目立たなくなるだろ」ガラガラ…



…4週間後…

アライちゃん達の体は、ハムスターより少し大きいぐらいのサイズにまで育っていた。

イボアライちゃん「うぅ~…!」コスリコスリ

アライちゃん1「おまえのしっぽきもちわゆいのりゃ~!」ゲラゲラ

アライちゃん2「きけーなのりゃー!」ゲラゲラ

イボアライちゃん「ぴぎぃーっ!きけーってゆーなぁ!ありゃいしゃんのしっぽはおんりーわんなのりゃーっ!」ビエエエン

職員1「オラてめーら!乱暴な言葉使うんじゃねえよクソ共が!ブチ殺すぞ!」イライラ

イボアライちゃんの尻尾の先のイボは、目立たなくなるどころか…
どんどん大きくなっている。

アライちゃん1「おまえなんかだれにもかってもらえないのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん2「みろぉ!ありゃいしゃんたちしまいのかわいくってうちゅくしぃーしっぽをみゆのりゃ!≧∀≦」シッポフリフリ

イボアライちゃん「ありゃいしゃんもおねーしゃんたちのしまいなのりゃー!のけものにちないでぇーっ!」ビエエエン

アライちゃん1「いっぼいぼ♪いっぼいぼ♪」

アライちゃん2「きっもいいぼいぼ♪」

イボアライちゃん「のぉおおおおおおおおおおーーーーーーーぁああああああああああああーーーーーーんっ!のぉおおおおおおおおおおーーーーーーーぁああああああああああああーーーーーーんっ!」

イボアライちゃん「しーぐいんしゃぁあああーーーんっ!おねーしゃんたちがいじめゆのりゃああああーーーーっ!」ビエエエン

イボアライちゃん「とってえええええーーーっ!ありゃいしゃんのしっぽのいぼとってぇえええーーーーーっ!」ビエエエン

職員1「うるせえ黙ってろ!物珍しさで売れるかもしれねーだろが!いーから騒ぐな!」ドガシャ

職員1は、アライちゃん達のケージを蹴った。

アライちゃん1&2「「ヒイイィィ」」ブルブル

若干(?)性格に難のあるアライちゃん達であったが…

無事、低価格でペットショップへ出荷された。

~ペットショップ~

店員「いらっしゃいませー!大流行の人気ペットアライちゃんが、今だけなんと一匹3000円!お買い得ですよー!」

アライちゃん1&2「「かってなのりゃ~!≧∀≦」」シッポフリフリ

イボアライちゃん「かってなのりゃ~…」

客1「えぇー!アライちゃんって高いんでしょ!すごい!」

客2「今だけ限定!?いいなー…よーし、奥のちっちゃい子買おうかな」

イボアライちゃんが指差された。

イボアライちゃん「のりゃ!?≧∀≦」ワクワク

アライちゃん1&2「「うゆぅ!?」」ムカァ

ペットアライちゃんは皆、お客さんに買って貰えなければ殺処分されることを教え込まれる。

故に、客に買ってもらおうと皆必死なのである。

アライちゃん1「おきゃくしゃん!こいつのしっぽよくみゆのりゃ!」ガシィ グイイ

イボアライちゃん「ぴぎぃ!やべでぇ!しっぽひっぱりゃないでえっ!」ジタバタ

アライちゃん2「おきゃくしゃん!これみてもこいちゅにしゅゆのかぁ!」グイイ

アライちゃん1&2は、イボアライちゃんの尻尾の先端を客に見せた。

客1「うわ…」ドンビキ

客2「きも…」ドンビキ

イボアライちゃん「ぴぎいいいぃぃいいいいいーーーーーっ!ぴぎゅぅううううるるるるるりゅりゅりゅぅうううーーーっ!やべろおおおおおおおおおおおおーーーっ!」ピギイイイィーーーーージタバタジタバタ

イボアライちゃんは大声で泣き叫んで抵抗する。

自分の最も見られたくないコンプレックスを、客に晒されたのだから当然だ。

アライちゃん1「こんなきけーなんかより、きゃわいーきゃわいーありゃいしゃんをかうのりゃ!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん2「ふっわふっわしっぽ♪かっわいーしっぽ♪きゅっるるんきゅっるるんあっりゃいっしゃん♪≧∀≦」シッポフリフリ

イボアライちゃん「のぉおおおおおおおおおおーーーーーーーぁああああああああああああーーーーーーん!ありゃいしゃんがかわいそーなのりゃああーーーっ!」ピギイイイィーーーーー!

客1「…」

客2「…」

アライちゃん1&2「「≧∀≦」」



客1&2「「安いのなんてこんなもんか…」」ツカツカ

アライちゃん1「まってぇーー!かってええーーー!ありゃいしゃんだけでいーがらああーーっ!」ビエエエン

アライちゃん2「うゆぅ!ありゃいしゃんがかってもらえないのはおまえのせーなのりゃあっ!おまえがきけーできもいからなのりゃああっ!できそこないいぃっ!」ポカポカ

イボアライちゃん「もーーいじめないでえええーーーーっ!のぉおおおおおおおおおおーーーーーーーぁああああああああああああーーーーーーんっ!」ビエエエン

アライちゃん1&2を、イボアライちゃんと別のケージへ移したところ…

アライちゃん1&2は、そのうち客に買わた。

アライちゃん1「ふはっはあー!やさしーかいぬししゃんにかってもらえてしあわせなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん2「くそいもーとはさつしょぶんがおにあいなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

イボアライちゃん「びええええええーーーーんっ!なんでおきゃくしゃんみんなしっぽのだんしゅみたがゆのりゃあああーーっ!ありゃいしゃんもかってぇーーっ!」ビエエエン

店員「お買い上げありがとうございました」

狂人卍「ども^^」スタスタ…

アライちゃん1&2「「かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃー!≧∀≦」」シッポフリフリフリフリフリフリ

客はアライちゃん2匹を連れて去っていった。

一旦ここまで



~安アパート~

工場男「ハァー…」スタスタ

彼は工場男。
売れなさそうなプラスチック製品を作るメーカーで労働する作業員である。

37歳、独身。
友人はほとんどおらず、人望もない。

若い頃は部下がついたこともあったが、
きついイビりをしたせいで新人の教育すら任せて貰えなくなったという。

以来、マニュアル通りに機械を操作する作業員という立場以上の出世ができていない。

当然ながら、給料も安い。
中古の自家用車は、ぶつけた痕が修理されずに残っている。

勉強嫌いなせいで、技術力も知識もかつてイビっていた後輩にすっかり追い抜かれてしまっている。

『うだつが上がらない男』という表現がぴったりな男であった。

工場男「退屈だ~…」

帰宅した工場男は、カップラーメンにお湯を注ぐと、スマホで動画サイトを閲覧し始めた。

工場男「ん?何だこれ…」

工場男は偶然、狂人卍のチャンネル…
『ペ虐ましんがん』を見つけた。

工場男「なんだこれ…『卍式アラジビ第二作 純白のスープ』…?」ポチッ

工場男は、なんとなくその動画を再生してみた 。


狂人卍「どうもー^^狂人卍だよ^^」

狂人卍「そしてこっちが^^」スッ

アライちゃん1&2「「しっぽがかわいーありゃいしゃんしまいなのりゃー≧∀≦」」シッポフリフリフリフリ

やけに尻尾の可愛さをアピールするペットアライちゃんが映った。

狂人卍「今日は美味しい料理を作っていこーと思います^^」

アライちゃん1「じゅるり!かいぬししゃんのりょーりおいちくってしゅきしゅきなのりゃー!≧∀≦」スリスリ

アライちゃん2「ふたりでたべゆのりゃ!できそこないきけーいもーとをかわなかったかいぬししゃんはゆーのーなのりゃ~!≧∀≦」シッポフリフリ

工場男「なんだ…ただのペット自慢かよ…つまんねー…」

やがて狂人卍は、アライちゃん達の体をざぶざぶ洗った。

そしてぬるいスープを出し、小さな小鍋に入れた。

狂人卍「さあ^^お腹へったっしょ^^ダイブして好きなだけ飲んでいーよ^^」

アライちゃん1&2「「いっただきましゅなのりゃ~!≧∀≦」」ピョーン ドボン

アライちゃん姉妹は、ぬるいスープの入った小鍋へ飛び込んだ。

工場男「うわ、気持ち悪い…。頭おかしいんじゃねこいつ?…おっと3分経ったな」スッ

工場男「ハフハフズルズル…」ズズー

工場男は、スマホ画面から目を離し、カップ麺をすする。

「たーっぷりあゆのりゃ!いっしょにわけあってたべゆのりゃ!ごくごく!」

「ゆずりあいのせーしん!しまいのうちゅくしーきずななのりゃあ!≧∀≦ぢゅるるるっ!」

工場男「くだらねー…見終わったら低評価つけてやる」ハフハフズルズル

すると…

「ぴぎぃいい!?」

…突然、スマホからアライちゃんの悲鳴が聞こえた。

工場男「ん?…なんだ?」チラッ

工場男はスマホ画面を見ると…

アライちゃん1「あぢゅいのりゃ!あぢゅのりゃあ!」バチャバチャ

アライちゃん2「がいぬじじゃん!あっぢゅいのりゃああ!こっからだちてええええっ!」ビエエエンバチャバチャ

狂人卍「ぐつぐつ煮ていくよ^^」グツグツ

なんと、小鍋がガスコンロで火にかけられているではないか。

工場男「…!!!!!??」

アライちゃん1「がいぬじじゃああああああああんっ!あぶっ!ごぼぼっ!」バチャバチャ

狂人卍「お前らはこれから、生きたまま煮られてしぬんだよ^^」

アライちゃん2「やなのりゃあああああああっ!ありゃいしゃんたべものじゃああないのりゃあああっ!」バチャバチャ

狂人卍「だけど、この紐を登ってこれた一匹だけは、生きたまま煮るのやめてあげる^^」スルスル

狂人卍は、紐を一本垂らした。

アライちゃん1&2「「…!」」バチャバチャ

工場男「なんだ…これ…?こいつら…ペットじゃないのかよ…」

狂人卍「ほらほら^^ゆずりあいのせーしんは?姉妹の美しい絆みせてみろ^^」

工場男「…??」

工場男は、狂人卍の突然の豹変に驚いている。

アライちゃん1「ぴいいぃぃっ!ありゃいしゃんがのぼゆのりゃああっ!」バチャバチャ

アライちゃん2「のぼゆのはありゃいしゃんなのりゃああっ!」バチャバチャ

アライちゃん達は、煮えたぎるスープの上を泳ぎ、我先にと紐を掴もうとする。

アライちゃん1「いもーとぉおおお!いねーしゃんをいぎのごらせゆのりゃああっ!」ガシィ ドボンッ

アライちゃん2「ごぼぶぐぅ!?」ブグブグ

なんとアライちゃん1は、アライちゃん2の顔面をスープへ沈めた。

アライちゃん1「うゆうぅぅ!ありゃいしゃんがぜったいいきのごゆのりゃああっ!」ヨジヨジ

アライちゃん1は、アライちゃん2を踏み台にし、紐を登り始めた。

狂人卍「うける^^」

アライちゃん2「うぶぎゅぅううううう!よぐもぉおおおおおおおおおおおおっ!」ザバァガシィ

アライちゃん1「ぴぃ!いもーと!しっぽつかんだらあげれなくなゆのりゃあっ!」

アライちゃん2はスープから顔を出し、アライちゃん1の尻尾を掴んだ。

アライちゃん2「うらぎったのりゃああああああっ!おねーしゃんはありゃいしゃんとのゆーじょーをうらぎったのりゃあああっ!はぐがぶぅ!」ガブゥ

アライちゃん2は、アライちゃん1の尻尾に噛みついた。

アライちゃん1「ぴぎゃああああ!ありゃいしゃんのせかいでいちばんかわいーしっぽかむなー!できそこないみたいにいぼできたらどーしゅゆのりゃああっ!」ゲシゲシ

アライちゃん1は、アライちゃん2の顔を足で蹴っている。

工場男「っ…」ゴクリ

工場男は、この異常な光景にすっかり見入っている。

アライちゃん2「くそおねーしゃんなんかこーちてやゆのりゃあ!がぶぅ!」ガブゥブラーン

アライちゃん1「ぎびいいぃいいいい!しっぽいっっぢゃあああいいいいいいーーーーーっ!。>д<。」ピギイィイ

アライちゃん2は、なんとアライちゃん1の尻尾に噛みついてぶら下がった。

なんという強靭な顎の力だろうか。

アライちゃん1は両手で紐にぶら下がっているため、抵抗できない。

アライちゃん2「ふぬーっ!」ズボォ

アライちゃん1「うびゅぅう!ありゃいしゃんのおしりのあなになにしゅゆのりゃあ!」ジタバタゲシゲシ

尻尾に噛みついてぶら下がるアライちゃん2は、なんと両手の指をアライちゃん1の肛門へ突っ込み…

アライちゃん2「ふぎゅるぅーーーーっ!」バリバリガリガリガリガリ

その鋭い爪で、アライちゃん1の肛門をズタズタに引き裂き始めた。

アライちゃん1「びっっっぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!いっっっぢゃああああいいいいのりゃあああああーーーーーーっ!」パッ

アライちゃん1は肛門の激痛のあまり、紐から手を離してしまった。

アライちゃん2「ふんぐ!」ガシィ

しかし、アライちゃん2は空中で紐に掴まることに成功し…

アライちゃん1「びぎゃあああああ!」ボチャンッ

肛門を引き裂かれたアライちゃん1だけが、スープに落ちた。

アライちゃん1「きゅるるるるるるるぅ!いぢゃいのりゃああああっ!あっっっぢゅうううううういいいいいいおーーーーっ!」バチャバチャ

アライちゃん1は、必死でアライちゃん2に掴まろうとするが…

アライちゃん2「たあー!」ドガァ

アライちゃん1「びぎゅぅ!」バチャンッ

アライちゃん2の蹴りが、アライちゃん1の目に当たった。

アライちゃん2「じゃまなのりゃああああああああっ!」ムンズ

紐にぶら下がるアライちゃん2は、なんとアライちゃん1の頭を踏みつけて沸騰したスープへ浸した。

アライちゃん1「ごぶぅぅ!?」ブクブク

アライちゃん1「ぶくぶく…ぶはあああ!」ザバァ

なんとかスープから顔を出したアライちゃん1。

アライちゃん1「ぜーはぁっ!ぜーは…」

アライちゃん2「ありゃいしゃんをうらぎったくそおねーしゃんなんか!できそこないなのりゃああっ!」ムンズ

アライちゃん1「ごぼぶぅぅっ!」ザブン

やっと息継ぎができたのに、再び頭を踏みつけられ、スープへ浸されたアライちゃん1。

アライちゃん1「ぶぐぶぐ…ぶはぁ!」ザバァ

アライちゃん1「ぜぇはぁ!いもーとおお!あやまゆがらあ!あやまってやゆがりゃおねーしゃんをのぼらせろおおおっ!」

アライちゃん2「うゆぢゃいのりゃああああっ!」グイイ

アライちゃん1「ごぼっ!」バチャンッ

しかし、再び頭を踏みつけられ、スープに顔面から浸された。

アライちゃん1「っ…」バチャバチャ…

アライちゃん1は、しばらく暴れた後…

アライちゃん1「」プカー

地面に落ちたセミの死骸のように手足を曲げて、仰向けになってスープに浮かんだ。

アライちゃん2「やっとのぼれゆのりゃあ!わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ

アライちゃん2は、紐を登りきることに成功した。

狂人卍「おめでと^^」

アライちゃん2「はーはー…やくそくなのりゃ!がいぬじじゃん!ありゃいしゃんはたしゅけゆのりゃああ!」ゼェハァゼェハァ

アライちゃん2は激しい格闘戦で疲れきっているようだ。

狂人卍「おけ^^ぼくは約束ちゃんと守るよ^^」

狂人卍「ほらほら疲れたっしょ^^これにねっころがって休んでな^^」ガラガラ

狂人卍は、寝るのによさそうなものを出した。

アライちゃん2「ぜぇ…はぁ…。うゆぅ…そこでやしゅむのりゃあ…」ゴロン

アライちゃん2は、狂人卍が出したものの上で寝転がった。




ちなみに、その物体は…
こんな形をしている。

https://i.imgur.com/R8ppKHD.jpg

アライちゃん2「おねーしゃ…むにゃ…。のりゃあ…のりゃあ…」スヤスヤ

アライちゃん2は、一筋の涙を溢しながら、すやすやと眠った。

狂人卍「あい閉めるよー^^」ガララ

狂人卍は、ガスコンロの魚焼きグリル部を閉めた。

狂人卍「すたーと^^」バチチチボウッ

そしてガスコンロのグリル部に着火した。

狂人卍「はい、カメラ移動^^」スッ

狂人卍は、ガスコンロのグリル部の窓から、内部を映した。

アライちゃん2『のりゃあ…のりゃあ…うゆ!?あぢゅいのりゃああっ!』ムクリ

魚焼きグリル部の中のアライちゃん2は、たまらず飛び起きた。

アライちゃん2『な、なんなのりゃここ!?あぢゅいのりゃあ!でゆのりゃあ!』ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2が、窓に向かって必死にヨチヨチしてくる。

アライちゃん2『がいぬししゃん!あぢぃいいい!だぢでええええーー!』バンバンッ

アライちゃん2は、魚焼きグリルの窓を必死で叩き、狂人卍に向かって呼び掛けている。

狂人卍「うける^^」

アライちゃん2『なんでなのりゃあああああああああっ!だしゅげゆっでやぐしょぐしてぐれだのにぃいいいいいいいいいいーーーーっ!ぴぎぎゅるるるるるるぅぅーーーっ!』バンバンッバンッバンバンバンバンッ

アライちゃん2は、窓にタックルや頭突き、引っ掻きを繰り返している。

狂人卍「ぼくが約束したのは、『紐を登ってこれた一匹だけは、生きたまま煮るのやめてあげる』ってことだけだよ^^」

狂人卍「きみは煮ないであげるから^^きれーにやけろ^^」

アライちゃん2『がいぬじじゃん!みろおおお!がわいーしっぽのだんしゅしゅゆがりゃああっ!』クルッ

アライちゃん2は後ろを向き、尻尾を振ろうとしているが…

アライちゃん2『ぴいいいぃいいいいーーーっ!せまくってだんすでぎないのりゃあああっ!』ガタガタ

尻尾が中でぶつかり、ガタガタ鳴るだけであった。

アライちゃん2『だぢゅ…げ…いもーと…!』グッタリ

アライちゃん2『きけーでも…いーがら…だず…げに……』ジュウウ

アライちゃん2『』ジュウウウウウ

それ以降、アライちゃん2は自分の意思では動かなかった。

焼かれたことによる水分の動きで、時たま手足がガクッと動いた。

狂人卍「うるとら上手にやけました^^」ガラッ

焼きアライちゃん2「」ジュウー

アライちゃん2は、こんがり焼けていた。

狂人卍「はい、2品目の卍式あらじび料理ができあがりましたー^^」スッ

狂人卍「まずは焼きアライ^^単純明快で弩スタンダードですね^^」

焼きアライちゃん2「」ジュウウウウウ

狂人卍「そしてアライちゃウダー^^白いスープがおいしそー^^」

アライちゃウダー1「」グツグツ

工場男「」

工場男は絶句していた。
なんということであろうか…。

狂人卍という動画投稿者は、ペットショップで買ったアライちゃんを料理してしまった。

まるで金をドブに捨てるかのような行為だ。

狂人卍「いただきまーす^^」ムシャムシャ

そして、アライちゃん達を食べ始めた。

狂人卍「じゅーしー^^」ムシャムシャ

工場男「…く…狂ってる…」

狂人卍「ごっそさま^^」

狂人卍「…えー、本来のペ虐は、良い子ちゃん達を苦しめて料理するのが醍醐味なはずななんすけど^^」

狂人卍「なんか今回のアライちゃん達…野良がいじとあんまかわんない^^お金出した意味あったの^^;」

狂人卍「一匹3000円だとこんなもん^^;」

狂人卍「じゃ、またじかい^^あ、そーだ」

狂人卍「ランチャーズさんとこのブログに、生きたまま料理しなきゃアラジビとは認めないとか書いた奴いたよね^^」

狂人卍「でぃすぱっちするよ^^やめてね^^」

動画は終わった。

工場男「……」

工場男は、身震いしていた。
こんな…


こんな世界があったなんて…
彼は感動していた。

工場男はその後、狂人卍のブログを読み漁った。

工場男「なになに…狂人卍は…。アライさんの虐待・虐殺を好むコミュニティ『ジェノサアライド』の元締め的存在…」

工場男は、『ジェノサアライド』というコミュニティについて調べた。

工場男「ふむふむ。『ジェノサアライド』のメンバー達は、様々な趣向のアラ虐を行い、動画やブログで発信している…」

工場男「その中でも、狂人卍は、『ペ虐』と呼ばれる最も金銭的ハードルが高いジャンルを連発しており、人気断トツの生きる伝説的存在…!?」

工場男「…」ゴクリ

工場男はその後、ジェノサアライドのメンバー達が配信する様々な動画を観て、様々なブログを読み漁った。

…休日…

工場男「…あー、アラ虐最高だ…。俺もペ虐やってみてー…」スタスタ

工場男「でも俺の収入じゃなあ…。パチンコでもまた負けたし…はぁ…」スタスタ

工場男は、なんとなくペットショップに入った。

~ペットショップ~

店員「いらっしゃいませー。そちらアライちゃんコーナーになりまーす」

工場男「…どいつも高けーな…」スタスタ

アライちゃん3「かってかってー♪」シッポフリフリ
アライちゃん4「きゅるるん♪きゅっるるんきゅっるるん♪」コスリコスリ
アライちゃん5「なのりゃー」ヨチヨチ

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャ ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

ケージの中のアライちゃん達が、しきりに買ってほしいとアピールしてくる。

工場男「あー…うぜー…。この店のハエガイジ全員ぶっ殺してえぇ…」ボソッ

店員「アライちゃんをお探しですか?現在、アライちゃん大処分セール中でして。今ならたったの1000円でご提供できますよ」

工場男「なに!?」

店員「こちらの子です」

店員は、工場男にケージを見せた。

工場男「…これは…」



イボアライちゃん「う…うゆ…しょぶん…しないで…いーこにしゅゆかりゃ…」ガクガクブルブル


『大特価 アライちゃん 1000円』の値札がついたケージの中に、イボアライちゃんがいた。

尻尾のイボは、前よりさらに大きく、醜く腫れ上がっていた。

尻尾のイボのイメージがわからない・・・

工場男「…」ゴクリ

イボアライちゃん「う…うゆ…おきゃく…しゃん…おねがい…なのりゃ…かってください…なのりゃ…」ブルブル

工場男「っ…」

イボアライちゃんから伝わってくる、虐められっ子オーラが…

工場男「…こいつ、ください」

工場男の琴線に触れた。

つづく


>>439
がさがさした皮膚の塊が盛り上がって、毛の間からボコボコ突き出てるイメージです

『イボ』でgoogle画像検索するといろいろ出てくるかもしれませんが、グロ耐性ない方にはキツイかも

イボアライちゃんこんなのですか?
https://i.imgur.com/MotSfCe.jpg

>>447
うわきめえええええええ
そうそうこんな感じです

イボアライちゃん「あ…ありがとうごじゃいましゅなのりゃああっ!うれちぃのりゃああああっ!。≧∀≦。」ウルウル

店員「お買い上げありがとうございます!アライちゃんの飼育は初めてですか?」

工場男「はい」

店員「では、こちらのアライちゃんケージもご一緒にご購入頂けましたら…」

工場男「いりません。昔使ってた鳥籠があります」

店員「と、鳥籠!?…いえしかしお客様。アライちゃんは広々としたケージで育ててあげたほうが、閉塞感によるストレスが…」

工場男「逃げ出さなきゃそれでいいんすよ」

店員「っ…で、では、狭いケージでも運動不足にならないように、回し車はいかがでしょうか?アライちゃんが元気に遊ぶ可愛らしい姿が…」

工場男「遊び道具はいらないっす」

店員「え」

工場男「砂トイレとペットフードだけください。一番安いやつ」

店員「は、はい…。そうです、アライブーツはどうでしょうか?足首がなくても、ブーツを履かせれば可愛くって…」

工場男「飾りもいらないっす」

店員「…」

工場男は、まさに生存に必要なものだけを一緒に買っていった。

そして凹みだらけの自家用車に乗って、自宅へ向かった。



工場男は車の運転席でラジオを聞いていた。

工場男「…」ブゥーン

ラジオ『…アライちゃんがペットとして流通して以来、幼児・児童への虐待事件や、猫・犬へといったペットへの虐待事件の発生数が大幅に低下しています』

工場男「へー」ブゥーン

ラジオ『ペットアライちゃんの人気上昇と、虐待事件の発生件数の低下…。これらの詳しい因果関係は未だに明らかになってはおりません』

ラジオ『しかし仮説として、アライちゃんは通常のペットと違い、人々の暴力的な衝動やストレスをその愛くるしい姿によって軽減する、癒し効果が非常に高いペットなのではないか?と考えられています』

ラジオ『セラピストの方々もアライちゃんに注目しており、その癒し効果に期待したアライセラピー等が考案されております』

工場男「これからは俺のストレスも軽減されそうだぜ…」ブゥーン



車のトランクには、イボアライちゃんが入った箱が積まれている。

イボアライちゃん「かいぬししゃんはいのちのおんじんなのりゃあ…」コスリコスリ

イボアライちゃんは、尻尾のイボを痒そうに掻いたり噛んだりしながら、工場で受けた教育を思い出していた…。



飼育員「いいか?てめーらは、ペット…つまり、人間のオモチャとして生まれてきたんだ」

飼育員「つまりテメーらには、人間を喜ばす以外の生きてる価値や意味はねえ!人間の飼い主も、てめーらがオモチャとして価値を無くしたら殺処分するだろうよ。よーく覚えとけ」

アライちゃん1&2「「なのりゃ」」コスリコスリ

イボアライちゃん「なのりゃ」コスリコスリ

飼育員「ちゃんと聞いてたか?おい、一番上のやつ。自分は何のために生きてる?自由になろうと思って飼い主に反抗したらどうなる?答えてみろ」

アライちゃん1「えっと…おもちゃなのりゃ!じゆーになろーとちたらさつしょぶんなのりゃ!」コスリコスリ

飼育員「そうだ。てめーらはこのまま誰にも買われなかったら、生きたままミキサーでグチャグチャにして他のアライちゃんの餌になる。くたばるんだからな」

アライちゃん1「ヒィイイ」ガタガタ

飼育員「飼い主はな、本来ならくたばるはずのてめーらを助け、オモチャとして生かしてくれる有難い存在だ。反抗するだけでなく、飽きられても殺処分だ」

飼育員「ま、少しでも長生きしたけりゃ、逆らわず必死に機嫌とって喜ばせるんだな」

アライちゃん2「は、はいなのりゃ…」

飼育員「復唱しろ。飼い主には絶対服従!反抗したら殺される!」

アライちゃん達「「「かいぬしにはぜったいふくじゅー!はんこーちたりゃこよされゆ!」」」

飼育員「飼い主『さん』だ!さんをつけろよデコ助野郎!」ベシィベシィベシィ

アライちゃん1「びぎぃ!」
アライちゃん2「いぢゃいぃ!」
イボアライちゃん「ぴぎゃあああ!」

飼育員「まーいい。飯にするぞ」ガララ

アライちゃん達に、餌が運ばれてきた。
不味そうなソースがかかった、古くなった苦そうな生野菜がほとんどだ。

アライちゃんは肉食寄りなのだが…
肉はなく、ちょっとだけ身のついた魚の骨がちょっとある程度。

お世辞にも美味しそうではない…。
むしろ、意図的に不味そうな餌を選んでいそうだ。

アライちゃん1「っ…」
アライちゃん2「うゆ…」
イボアライちゃん「ごはんなのりゃ…」

アライちゃん達は、あまり嬉しそうではない。

飼育員「っ…」イラッ

飼育員「なんだそのブーたれた不満そうな態度は!てめーら乞食共ごとき、飯抜きでもいいんだぞクソガキ共!」ベシィベシィベシィ

アライちゃん達「「いぢゃぃぃいいのりゃあああ!」」ピギイィイ

飼育員「飼い主が飯持ってきたときにそんな不満そうな態度とってみろ!どうなるか分かってんのかクソガキ共!一発で飽きられて殺されるんだよクソカス共!」ベシィベシィ

アライちゃん1「いぢゃいぃ!」
アライちゃん2「いぢゃいのりゃあああ!」
イボアライちゃん「ぴぃぎゅるるるるぅ!」ビエエエン

飼育員「いいか!?てめーらオモチャごときが美味い餌食いたいと思うことが強欲で傲慢なんだよ!飼い主から餌貰ったら、何貰っても喜べ!」

飼育員「嬉しくなくても喜ぶフリしろ!さんはい!」

アライちゃん1「わーーーーい!ごはんなのりゃーーーー!」

アライちゃん2「かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃあああーーーー!」

イボアライちゃん「うれちーーのりゃああああーーー!」

飼育員「そうだ。嘘をついてでも、飼い主を喜ばせろ。それがてめーらが生かして貰えるたった一つの方法だ」

飼育員「さ、食え。クチャクチャうるせー音出したら百叩きするからな」

アライちゃん達「「「は、はいなのりゃ…」」」ヨチヨチ

アライちゃん達は、不味そうな餌へ這い寄っていく。

アライちゃん1「いただきましゅなのりゃ…あむあむ…」モグモグ
アライちゃん2「あむあむあむっ……」モグモグ
イボアライちゃん「うゆぅ…≧~≦;」モグモグ

本来、アライちゃん達は野生で生きる生き物。

自然の中では、美味しく調理された餌などそうそう手に入らない。

大抵は、そのままではあまり美味しくない食べ物ばかりである。

故に、アライちゃん達はその味覚と嗅覚を、毒があるかないかの判別のために使う。

毒素が発生してさえいなければ、腐乱した死骸さえ食ってしまうのがアライちゃん達である。

今餌として出されている古びた野菜や残飯も、野良アライちゃんならば喜んで『おいしいのりゃ!』と食べるだろう。

しかし。

アライちゃん1「むぐ、むぐ…」モグモグ

餌にかかったソースは、強い苦味と辛み、悪臭があり…

アライちゃんなら本来抵抗なく食べれるはずの食物を、アライちゃん基準でさえ『不味い』と評するほどの不味さにしてある。

要するに。
この餌は、腐った屍肉より不味いのである。

飼育員「どうだ、うまいか?」

アライちゃん1「うゆうぅ…あんまりおいちくない…のりゃ…」アムアム

飼育員「何回言わせりゃわかるんだクソガイジ共!」ベシィベシィベシィ

アライちゃん達「「「ぴぎゃあああ!」」」ピギイィイ

飼育員「何食ったときも!餌貰ったら『美味しいのだ』って言えっつってんだろハエガイジ共!嘘でもいいから言え!さんはい!」

アライちゃん1「おいちーのりゃ!」モグモグ
アライちゃん2「おいちいのりゃあ!」ムシャムシャ
イボアライちゃん「おいじーのりゃぁ!」ムシャムシャ

飼育員「よし、そうだ。さっきみたいな不満、飼い主の前で言ってみろ。即殺されるからな」

アライちゃん達「の、のあ…」ガクガクブルブル

飼育員「今日の教育終わりー。はー気持ち悪かったー」スタスタ

アライちゃん1「う、うぅ…」

アライちゃん2「もーこんなとこやなのりゃ…。おそとでたいのりゃあ…」ブルブル

イボアライちゃん「ありゃいしゃんも…」

アライちゃん1&2「「おまえがきけーがいじだからありゃいしゃんたちがまきぞえくってゆのりゃーっ!」」ベチベチベチベチ

イボアライちゃん「ぴぎいいぃいい!ごめんなしゃいなのりゃあああっ!」ビエエエン

アライちゃん1「そんなきもいしっぽのおまえなんか!ぜったいかってもらえないのりゃ!ぜったいさつしょぶんけってーなのりゃ!」ベチベチ

アライちゃん2「ここでしんだほーがよのためひとのためなのりゃー!じさちゅしろぉー!」ベチベチ

イボアライちゃん「おねーしゃんだぢまでいぢめゆのやべでえええっ!」ビエエエン



イボアライちゃん「…」

やがて、車が停まった。

工場男「さーて、持ってくか」スタスタ

工場男は、イボアライちゃんと、砂トイレや餌を持って自室へ向かった。

一旦ここまで

爪の処理は流石にしてるやろな

>>473
ヨチライフ手術の場合はアライドール手術と違って、
ある意図的な理由からあえて爪と牙の処理は行われていません

過去にギャルが飼いアライさんを楽園送りにする話でも、ギャルが爪で引っ掻かれていました

あまり作品の外で解説すると読み飛ばした人がついてこれなくなるので、
気になるようならその内さらっとその辺の背景を作中で説明します

最近あちこちでマナーの悪い読者が増えて、議論やレスバトルを繰り広げているようです

もしこちらのスレに来ても、専用ブラウザで即NGIDへ突っ込めば非表示になります
正しく対処すれば、何一つご不便なく作品をお楽しみ頂けますので、ご安心下さい

なので皆様には、マナーの悪い読者は一切書き込みの内容を読まずに、即非表示にして存在しないものとして扱って頂くようにご協力お願いします

どうしても読者のマナーに関する議論やレスバトルがしたい方は、別のスレでやって頂くようにご協力お願いします

読者っていうかアレ荒らし目的のアラ信やろ…
ここ嗅ぎつけたみたいだし

運営が仕事しないからね

>>487
「マナーの悪い読者」は、以下すべてを指します
以下のすべてを荒らしと見なしてください
①他者を誹謗・中傷したり、迷惑行為をする人
②荒らしに構う人
③レスバトルする人
④荒らしに関する話題について議論したり、言及する人

特に④は気を付けてください
荒らしについて話しているだけでも、
『お、俺が注目されてる!みんな俺のことを見てる!反応してくれる!うれしー!もっと荒らして注目して貰うぞ!』
って喜んで粘着し始めます

だから、わざとらしく見ないフリをするのでなく、
完全無視して存在しないものとして扱い、話題に出すこと自体を禁止してください
>>487>>491みたいなのもアウトです

できれば他のスレでも同じ対応をして頂ければ幸いです

以降、私は読者のマナーや荒らしに関するレスは今後一切せず、何があっても反応しません
皆さんも一切話さず、反応しないようにご協力お願いします



~工場男の自宅~

箱『なのりゃー』ゴソゴソ

工場男「…」イライラワクワク

工場男がたくさんのアラ虐動画で耳にした、アライちゃんの声。

それが、ペットショップから買ってきたこの箱の中から聞こえてくる。

工場男「…」ドキドキ

工場男は、わくわくして胸を高鳴らせていた。
こんな感覚はいつ以来であろうか。

子供の頃、親に新しいオモチャを買ってもらったときのような…
そんな感覚であった。

工場男「…」パカッ

工場男は箱を開けた。

イボアライちゃん「うゆぅ…はじめまちてなのりゃ、かいぬししゃん…!ありゃいしゃんなのりゃあ!≧∀≦」コスリコスリ

箱の中には、醜い尻尾のイボアライちゃんがいた。

その顔は、非常に嬉しそうである。

イボアライちゃん「ありゃいしゃんをかってくれて、ありがとうございましゅなのりゃ!これからよろちくなのりゃあ!≧∀≦」コスリコスリ

イボアライちゃん「かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃあ~!≧∀≦」コスリコスリ

工場男「へぇ~…。お前、その尻尾、見せてみろ…」ニヤニヤ

イボアライちゃん「う、うゆぅ…」スッ

イボアライちゃんは尻尾を見せた。

工場男「…きっもち悪ぃいなあー!うっわ、めちゃグロい!どうやったらこんなに気持ち悪くなるんだ?」

イボアライちゃん「ぴぃ!?」ビクゥ

工場男は、イボアライちゃんを罵った。

思えば、誰かを罵ったことなどいつぶりであろうか。
かつて部下がいたころは、仕事のミスを見つけた時に、指導と称して罵倒し、人格否定し、貶して楽しんだものであった。

これは愛の鞭だし、悪いのは部下の方だ。自分は悪くない。
正当性を盾に、人を罵ったものであったが…。

その態度が理不尽で横暴なパワハラだといわれ、降格処分されてしまった。

そう…。
人を罵倒すると、その報いが自分に返ってくる。
仕事の部下は、いくら罵ってもいいサンドバッグではないのである。

かといって、野良猫とかを罵っても言葉が伝わらないし…

野良アライちゃんを罵ろうとしても、自分のいる家の近所には野良アライちゃんがいない。

マーフィーの法則というやつか。
野良アライちゃんは、居てほしいときは出没せず、
居てほしくないときに現れるのである。

罵りたくても、その相手がいない。
この社会には、暴力的・嗜虐的衝動の捌け口にしてよい存在が見つからないのであった。

そんな訳で、ペットアライちゃんを罵倒してみたが…

イボアライちゃん「う、うゆうぅ…きもちわゆいちっぽでごめんなしゃいなのりゃあ…っ」ウルウル

イボアライちゃん「ぐしゅっ…!いっぱいいーこにしゅゆかりゃ、ありゃいしゃんのこときらいになりゃないでぇ…!」ウルウル

イボアライちゃんは、涙目で謝ってきた。

工場男「~っ」ゾクゾク

工場男「無理だな!そんなクソキモい尻尾で、よく人に好かれるだなんて思えるわ!ああクソガイジ!」

イボアライちゃん「うゆぅ…!の…のぁあ…のぁああああんっ…!なんでもしゅゆがりゃあ!ありゃいしゃんのごどぎらいになりゃないでええええっ!」シクシク

工場男「~~~♪」ゾクゾク

工場男が求めていたものがそこにあった。
いくら罵っても、逆らってこない相手。
傷付き易く、罵れば罵るほど目に見えて精神的ダメージが蓄積されていく、か弱い存在。

自分の庇護無しには生きてゆけず、自分に生殺与奪の権利を握られているが故に…
必死に自分に媚びてくる存在。

イボアライちゃんは、工場男が長年求めていた欲求を叶えてくれる理想の存在であった。

イボアライちゃん「かいぬししゃん…ありゃいしゃんは…」

工場男「御主人様だ」

イボアライちゃん「のあ…?」

工場男「俺のことは、『ご主人様』って呼べや!クソ奇形!」

イボアライちゃん「ぴぃっ!わ、わかりまちたなのりゃ!ごしゅじんしゃまぁ!」コスリコスリ

工場男「よし、それでいい」

イボアライちゃん「え、えへへ…ごしゅじんしゃましゅきしゅきなのりゃあ~…」スリスリ

イボアライちゃんは、工場男の足へ顔を擦り寄せてきた。

工場男「…」ムギュゥ

工場男は、イボアライちゃんを軽く踏んだ。

イボアライちゃん「ぴぎいいいぃぃぃぃいい!うぎゅぅう!ぐゆじいいい!いぢゃいぃいい!」ジタバタ

工場男「はははははは!ピギーだってよ!まじで害獣じゃん!」グニグニ

イボアライちゃん「ごしゅじんしゃまああああ!やべでえええ!やべでぐだじゃいなのりゃあああっ!」ピギイイィイ

工場男「おっと、つい踏んでしまった」スッ

イボアライちゃん「ぜーはー、ぜーはー…!」ゲホゴホ

イボアライちゃん「ご、ごしゅじんしゃまぁ…!ありゃいしゃんのどこがだめ…なのりゃあ…?しっぽがだめなのりゃ…?」ウルウル

工場男「あ?それ聞いてどうすんだよ」

イボアライちゃん「あ、ありゃいしゃんのしっぽがきらいなら…!ありゃいしゃんのちっぽ、きってなのりゃあ!」

工場男「へえ」

イボアライちゃん「き、きってもきっても、いぼいぼしっぽはえゆけど…!まいにちきれば…」

工場男「やだよ面倒くせえ!気持ち悪い生き物だなぁ本当に」

イボアライちゃん「ぴぎゅぅ…ご…ごべんなしゃいなのりゃああっ…」ウルウル

工場男「…」

工場男は思った。
なんかこいつ、『アライちゃんらしさが足りない』と。

一般的に、アライちゃん愛好家たちの間でのアライちゃんの印象は…
『生意気でワガママで自己主張が強い』
『自分の可愛さに絶対的自信を持っており、それをアピールしてくる』
『天真爛漫で、元気で活発な明るい性格』
『自分が気に入らないものには、抵抗・反抗したり、露骨に不満そうなまましぶしぶ受け入れる』
『なかなか謝りたがらない』
『きちんと教育されてれば謝ったり反省するが、メソメソしたりはしない』

…というものである。

だがイボアライちゃんは、自分の容姿に自信がなく、謙虚ですぐ謝り、暗くてメソメソしている。

一般的なペットアライちゃんの印象とは大きくかけ離れているように感じられた。

工場男「でもまあ、一応お前の飼い主だ。世話したり、飯食わせなきゃなぁ」

イボアライちゃん「ご、ごはん、ほちーのりゃあ…ごしゅじんしゃまぁ…」

工場男「よーし待ってろ」スタスタ

工場男は、なにかを持ってきた。

工場男「これがお前の飯だ」スッ


https://i.imgur.com/cj2gJVA.jpg


イボアライちゃん「……お、ぉおー!おいちそーなのりゃあ!」コスリコスリ

イボアライちゃんは、アライちゃん工場で教育された通りのリアクションを返した。

工場男「ぷぷっ、トイレットペーパー見て美味しそうとか…まじでガイジかよ…」クスクス

工場男「まあいいや食ってみろ、ほれ」スッ

工場男は、餌と称してトイレットペーパーを渡した。

当然だが、工場男はこれを食物だなどと思っているはずがない。

イボアライちゃん「ありがとなのりゃあ!くんくん、ふんふん…」ガシィ クンクン

イボアライちゃんは、トイレットペーパーのにおいを嗅いだ。

アライちゃんが食べ物のにおいを嗅ぐのは、祖先が野生だった頃の名残である。

野生動物は、食べ物らしきものを見つけても、そのまま口にはしない。
毒物でないかを、嗅覚と味覚で確かめてから食べる。

肉食寄りだが雑食性のアライちゃんは、植物の可食部位も食べる。

故に、念入りににおいを確かめてから口にするのである。

イボアライちゃん「……い、いーにおいなのりゃあ!」シッポフリフリ

イボアライちゃんは、何のにおいも感じなかったが…
『こう言えば飼い主が喜ぶ』と教わった通りに反応を返した。

工場男「いwwいwwにおいwww無味無臭のトイレットペーパーをいいにおいだってwww鼻イカれてんのかww」ゲラゲラ

イボアライちゃん「う、うゆぅ…。ごしゅじんしゃま、よろこんでゆのりゃ…?」コスリコスリ

イボアライちゃん「おぉ~、はじめてみたたべものなのりゃあ!」キラキラ

https://i.imgur.com/yT9HlnV.png

イボアライちゃんは、渡された餌を興味津々に触っている。

イボアライちゃん「いただきましゅなのりゃあ!あむ!」モグゥ

https://i.imgur.com/FVdo86h.png

イボアライちゃんは、餌の味を確かめるべく、口に詰め込んで食べていく。

イボアライちゃん「もぐもぐ、もぐもぐ…」モグモグ

飼い主から与えられた餌を、ちゃんとした食べ物であると信じ、疑っていないようだ。

工場男「うわマジで食ってる…」

…だが。

https://i.imgur.com/VwemsYN.png

イボアライちゃんの手が止まった。

イボアライちゃん「……………」

イボアライちゃんは、渡された餌が、やたらと食べにくいことに気付いた。

噛み千切ることはできても、異常に喉越しが悪い。

繊維質で、喉に詰まりそうな感じだ。

しかもお腹に貯まってもがさがさした感じがする。

全く美味しくない…
いや、美味しい美味しくない以前に、『食べたくない』のである。

イボアライちゃん「…っ」プルプル

仮に野良アライちゃんがこれを見つけ、口に含んでも…
『美味しくない』と言ってすぐに吐き出すであろう。
しかし…

イボアライちゃん「お…おいちいのりゃあ…!」ムシャムシャモグモグ

イボアライちゃんは、工場で習った通りのリアクションを返した。

工場男「おwwwいwwwしwwwいwwwトイレットペーパーがwwwおいしいwww奇形でガイジな上に味覚障害かよwww」バンバン

工場男は腹を抱えて笑っている。

イボアライちゃん「むぐ、はぐ…!」ムシャムシャ

本当なら、もっと美味しい餌が食べたい。
こんなものをもう食べたくない。

しかし、イボアライちゃんは工場で教育された。
飼い主に反抗したら殺される、と。

それに、飼い主が餌と言って出してくれたものだ。
きっとこれは、美味しくないだけで、ちゃんとした食べ物なんだ…

…イボアライちゃんは自分にそう言い聞かせ続け、トイレットペーパーを食べ続ける。

イボアライちゃん「むぐ、もぐ…!ごちそうさまなのりゃ…」ムシャムシャ

イボアライちゃんは、トイレットペーパーをお腹いっぱい食べた。

当然ながら、アライちゃんはヤギではないのだから、紙を消化する酵素など持ち合わせてはいない。

こんなものをいくら食べても栄養になどなりはしないのである。

工場男「美味かったか?」

イボアライちゃん「お、おいちかったのりゃっ!」

工場男「そうかー!じゃあ、お前の餌はずっとアレな!」

イボアライちゃん「ぴっ…!?」

工場男「美味かったって言ったよな?じゃあずっとアレ食わせてやるよ!嬉しいだろぉ?」

イボアライちゃん「のっ…のぁっ…」

工場男「それとも何か?まさか飼い主に向かって嘘なんかつくわけねーよなぁ?」

イボアライちゃん「…は、はいなのりゃ…」ブルブル

イボアライちゃんは、この場で殺されるよりは、不味い餌を貰って生き続けた方がマシだと考えたようだ。

工場男「……」シュボッ スパー…

工場男は、タバコを吸い始めた。
家の中でよくタバコを吸うためか、部屋の壁にはヤニ汚れがついている。

イボアライちゃん「っ……」

イボアライちゃんはタバコのにおいに気が付いたようだ。

アライさんは、成体になればタバコがある程度平気になるそうだが…
アライちゃんのうちはそうはいかない。

タバコのにおいを、嗅ぎたくない、嫌な匂いと感じるのである。

工場男「フゥー…。そうだ、お前もタバコ吸ってみろよ」スッ

工場男は、イボアライちゃんへタバコを近付ける。

イボアライちゃん「う、うゆぅ…?なにすればいいのりゃ…」コスリコスリ

工場男「ここを口に咥えて、大きく息を吸って吐くんだよ。やれ」

イボアライちゃん「っ…!」パクッ

イボアライちゃんは、タバコを口に咥えて吸い始めた。

https://i.imgur.com/pBy26hC.png

幼く小さな幼獣の、小さな肺の中を、タバコの煙が満たしていく。

当然ながら…

イボアライちゃん「げほっ!ごほがほっ!」ゴロン

イボアライちゃんは、タバコに強烈な拒絶を示した。

https://i.imgur.com/tzzC8cH.png

イボアライちゃん「ぐゆじいいいいいいいいいっ!ぐゆじーのりゃあああっ!ごほぉっ!げほぉっ!」ゲホォゴホォ

イボアライちゃんは、咳が止まらないようである。

工場男「はははははは!苦しんでやんの!ぷはー」

工場男は、自分の方のタバコを吸い、息を吹き掛けた。

イボアライちゃん「ごほげぇっほ!げほごほがほごほごほほほっ!おええええっ!げえええっ!」ゲホォゴホォ

イボアライちゃんは、胃の中の溶けかかったトイレットペーパーを、口から少しぶちまけた。

工場男「うわきったねええ!こいつ吐きやがった!部屋汚すんじゃねえよ害獣!」スッ ジュウウウウ

工場男は、イボアライちゃんの耳にタバコの火を押し当てた。

イボアライちゃん「びぎゅるるっるぅ!あぢゅぃいいのりゃああ!げほごほ!ごべんなじゃいごべんなじゃいぃい!」ゲホォゴホォ

工場男「ざけんな!てめーはペットだろ?俺を喜ばすためのオモチャだろうが!何ゲロぶちまけてんだよ!それ誰が掃除すると思ってんだぁあ!?クソ害獣!」

イボアライちゃん「げほっ…ごほっ…うびゅぅうう…ごしゅじんしゃま、ごべんなじゃいぃ…なんでもしゅゆかりゃゆるちてぇ…!」ウルウル

イボアライちゃん「ごしゅじんしゃまは、いのちのおんじんなのりゃ…!しゅきしゅきなのりゃあ…!なんでもしゅゆがりゃ、ありゃいしゃんのことしゅきしゅきになってぇ…!」ヒグッグスッ

小鹿のように震え、泣きながら必死で詫びるイボアライちゃん。

売れなかったら殺処分される。
嫌われたら殺処分される。
飽きられたら殺処分される。
反抗したら殺処分される。

…イボアライちゃんは、工場で何度も何度もそう繰り返し教わってきた。

イボアライちゃんとて殺処分はされたくない。
生きるために、イボアライちゃんは必死で工場男へ媚びた。

工場男「ほぉ~?じゃあ、そうだな…。尻尾のダンスやってみろよ」

イボアライちゃん「し、しっぽのだんしゅなのりゃ…?」コスリコスリ

工場男「あ?お前らは工場で必ず教わってくるんじゃねーのかよ?」イラッ

イボアライちゃん「わ、わかゆのりゃ!ちっぽのだんしゅ、ありゃいしゃんもれんしゅーちたのりゃ!」コスリコスリ

イボアライちゃん「でも、ありゃいしゃんのしっぽ…かーいくないのりゃ…。いーのりゃ…?」オドオド

工場男「いーんだよ。もしも元気いっぱいの尻尾のダンスで俺を魅了できたら、お前を好きになって、もっと優しくしてやるよ」スッ

工場男は、携帯電話を取り出した。
動画撮影の準備をしているようだ。

イボアライちゃん「う、うゆ、わかったのりゃあ!ありゃいしゃんのこと、しゅきになってもらうのりゃあっ!」クルッ

イボアライちゃんは、後ろを向いた。
イボだらけの醜い尻尾が見える。

工場男「…」ピロンッ

工場男は、イボアライちゃんを動画撮影し始めた。

イボアライちゃん「いくのりゃ!とっくんちただんしゅで、ありゃいしゃんにめよめよになゆのりゃぁ!」

https://i.imgur.com/XLl6V5R.gif

イボアライちゃん「ちっぽ、ちっぽ、かあいい~かあいい~、ありゃいしゃんのちっぽのだんしゅ、なのりゃ~!」シッポフリフリ

工場男「っ…………!!!」ブルブル

工場男は、動画に笑い声が入らないようにするのに必死なようだ。

イボアライちゃん「ちっぽふりふりあっりゃいっしゃん♪ふわふわちっぽ、ふ~りふり♪かあいい~かあいい~あっりゃいっしゃん♪なのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ



果たして、イボアライちゃんが決死の思いで繰り出す尻尾のダンスは、
見事工場男の心を動かすことができるのであろうか。

一旦ここまで

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