【進撃の巨人】ガビ「島の悪魔とか戦士とかもうどうでもいい」 (12)



ライナー(…パラディ島から敗走し故郷へ帰ってきてから4年…)

ライナー(俺はまた…あの島へ行くのか…)

ライナー(ガビやファルコ、子供たちには…俺のような罪や苦しみを背負って欲しくはない)

ライナー(俺は…どうすればいい…)


ダッダッダ!

ライナー「ん?」


ファルコ「副長!ライナー・ブラウン副長!!」

ライナー「!どうした、ファルコ?いったん落ち着いて話せ」

ファルコ「はあ…はあ……ガビが、ガビが…っ!」

ライナー「ガビがどうした!?」

ファルコ「とにかく、こっち来てください!」ガシッ

ライナー「なんだなんだ!?」

戦士候補生宿舎 調理場

ライナー「なんだなんだ?なんなんだ?」

ファルコ「み、見てください、あれ…ガビが…ガビが変なんです…」

ライナー「なに?おいガビ。そんな床に座り込んでどうした…」

ジャラ ジャラ

ライナー「む、これは…つま楊枝?つま楊枝が床に散乱している…」

ガビ「…」ボー

ライナー「おい、ガビ。どうし…」ポンッ


ガビ「もう島の悪魔とか戦士とかどうでもいい」


ライナー「何があったの!?」





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10分前

ガビ「はあ、なんであんたと調理場の掃除なんかしなきゃいけないのよ」

ファルコ「うるさいな…黙って掃除やれよ」

ガビ「ふん」

ファルコ(…このままじゃガビの成績に勝てない…ガビを守るためには、俺が強くならなきゃ…)

ガビ「ん、んん…っ」プルプル

ファルコ「…背が届かないならおとなしく台座でも使えよ。ほら」

ガビ「…はいはい、ありがとうございます」

ファルコ「なんだよその言い方…」

ガビ「よし、これなら上まで届く…」フキフキ

ファルコ(クルーガーさんにもう一度相談してみるか…)

ガビ「ようしだいぶ綺麗になった、流石私ね、掃除も完璧」

ガビ「さて、動かしたもの棚に戻すか。これは…ここ」トンッ

ガビ「あ」

その時、棚に入っていたつま楊枝の入れ物にガビの肘がつかえた。
そして…

ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!

悲劇は起こったのだ。

ファルコ「え、なに!?」

ガビ「…っ!!!!!!」

その日、人類は思い出した…
200本入りつま楊枝を下に落とした時の恐怖の音を…
その後に待ち受ける…
めんどくさい掃除の屈辱を…


ファルコ「…」

ガビ「…」

ファルコ「が、ガビ…俺も手伝…」

ガビ「もう島の悪魔とか戦士とかどうでもいいや」

ファルコ「ええ!?」

ファルコ「てな感じで…」

ライナー「よほどショックだったのか…つま楊枝下に落としたのが…」

ガビ「ファルコ、鎧ももうアンタが継げばいいよ。はあ…」

ファルコ(…俺の『ガビに鎧の巨人を継がせたくない』という願いは叶ったはずなのに…この釈然としない気持ちは何なんだろう…)

ライナー「…まあ…俺も昔はよく母さんの手伝いをしていてつま楊枝を下に落とし散乱させてしまったことは2回ほどある。確かにあのやるせない気持ちは分からんでもないが…」

ライナー(でも…そこまで人格変わるほどかなぁ…)

ガビ「そうか…マーレは今まで私を洗脳して島の連中は悪魔だと刷り込ませていたんだ。やっと気付いたよ…この嘘に塗り固められた世界の真実の一角に…」

ライナー「人格変わるどころか思想まで変わっていらっしゃる!?」

ファルコ(ここまで変わるとかえって怖いな…)


ゾフィア「ガビも遂に来てしまったみたいだね…こちら側の世界に」

ファルコ「ゾフィア!?」

ライナー「いつから居たんだ?」

ゾフィア「ずっと…ここで見てたよ」

ファルコ「…」

ライナー「ゾフィア…こちら側とはどういう事だ?」

ゾフィア「…ガビは…つま楊枝を下に落とし散乱させてしまった…その音は地上世界の壊れる音と同じと語る専門家も居るわ」

ファルコ「おい、ゾフィア。頭でも打ったか?」

ゾフィア「…私には分かる…ガビの気持ちが…」

ゾフィア「私も昔、つま楊枝を下に落とし散乱させてしまった人間だから」バッ

ファルコ「はあ…」

ライナー(俺もなんだが…)

ゾフィア「みんな私を変なこと言う天然ボケ少女だと思っているけど…本当は違うの」

ゾフィア「昔、つま楊枝を落としてしまった辛い過去を乗り越えるために…私は、必死に心の中で戦っている。それでも前を向いて生きるため…笑顔を無くさないために、変なことを言うんだよ」パアアァ

ファルコ「お前それボケで言ってんのか本気で言ってんのかどっち!?」

ライナー(頭痛くなってきた…)

ウド「あれ、みんなこんなところで何してるの?」

ファルコ「ガビが変になっちゃったんだよ…」

ガビ「銃や手榴弾、兵器や巨人兵器なんてもの使うのは野蛮人だよ…戦争なんて悲しみを広げるだけだよ。まずは対話から始めるべきだよ」

ライナー「ガビ…頼む、元に戻ってくれ…こんな訳のわからない形で改心されても意味わからなくて余計に辛いだけだ…」

ウド「…言ってることは別におかしくないんじゃないの?」

ファルコ「ガビが突然こんなこと言い出すのがおかしいんだよ」

ウド「まあ確かに」

ゾフィア「ガビは…必死に戦っているんだよ。つま楊枝と…」

ウド「ゾフィアは何を言ってるの?」

ファルコ「気にしなくていい」

ライナー「…」

ライナー「ウド、ちょっとこの新品200本入りつま楊枝を開封して下に落としてみてくれ」

ウド「え、何故ですか!?」

ライナー「俺もパニックになっていたが…まずは冷静な分析が必要だ。他の人間でもガビのようになるのかを試してみる」

ウド「…しかし、わざわざ新品つま楊枝をそんな事に使うなんて…経費の無駄遣い…」

ライナー「つま楊枝なんて安いもんだ。後で百均ででも新しいものを買えばいい。俺が責任持つから試しに落としてみてくれ」

ウド「わ、わかりました…!」

ポロッ

ジャラジャラジャラジャラジャラ!


ゾフィア「いつ聞いても…嫌な音ね」

ガビ「ああぁ!空が落ちる!」

ファルコ「何の台詞だよ!?」

ライナー「…」


ウド「………」

ライナー「ウド…」

ウド「人種差別するくだらない人間など気にしてはいけない、奴等は雑魚だ。差別できる人間を見下すことでしか自己を保てないか弱い奴等だ。だから僕達こそ…そんなか弱い差別主義者をいじめちゃダメだよね…」フフッ

ウド「よし、世界中にエルディア人の素晴らしさを広めよう!」

ライナー「なんか言い出したよこの子!?」

ファルコ「う、ウド…そんな希望に満ちたように目をキラキラさせて…」

ゾフィア「だから言ったでしょ?」

ファルコ「!?」

ゾフィア「これが…つま楊枝の人に与える…影響のデカさだよ」

ライナー「えぇ…」

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