橘ありす「プロデューサーさんは晴さんのお兄さん」 (54)

アイドルマスターシンデレラガールズ二次創作です。

結城晴「オレの兄貴はプロデューサー」
結城晴「オレの兄貴はプロデューサー」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517878301/)
モバP「オレの妹は結城晴」
モバP「オレの妹は結城晴」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517964793/)

これらのSSの続きとなっております。よければこれらを読んでから本SSをお楽しみください。

※このSSはオリジナル設定を多用します。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518068119



13.


ちひろ「プロデューサーさん! 借りを返してもらう日が来ましたよ」

モバP(以下P)「なんですか? 藪から棒に」

ちひろ「すこしの間預かって欲しいアイドルがいるんですよ、よろしくお願いできません?」

P「え……どんな子ですか? そりゃあ、事務所で預かることぐらいはできますが……」

ちひろ「素行は問題ないですよ。協調性も……多分あります! ただ……」

P「ただ?」

ちひろ「拗ねちゃってるので慰めてあげてくださいね!」

P「はぁ……別に構いませんが……」

ちひろ「決まりですね! 入って来てもいいわよ、ありすちゃん」

ガチャ

ありす「初めまして、プロデューサーさん。同じ事務所のアイドルの橘ありすといいます。橘と呼んでください」


P「……えーと、よくわかんないけど、オレもありすちゃん……じゃダメかな?」

ありす「駄目です。ちひろさんは構いませんが、プロデューサーさんは橘と呼んでください」

P「そ……そっか。じゃあ、橘さん、でいいかな?」

ありす「……まぁ、いいです」

P「で、……だ。橘さんをどうしてオレが預かることに? たしか他Pの担当だったよね?」

ちひろ「それはですね……ありすちゃんのご両親が忙しくて、お仕事で家を暫く空けることになって、そのちょうどいい預かり手がいなかったからなんです」

P「だからって……オレ?」

ちひろ「ほら、他Pさんの親友で信用もありますし! ありすちゃんのご両親も他Pさんは信用しているようなので他Pさんの親友なら大丈夫だろうって!」

P「……いやぁでもなぁ……この分だとうちに連れて帰ることになりそうですけど……」


ありす「……いいんですよ、嫌なら嫌と言っても。私、事務所を貸していただければ1人で寝泊まりできますので」

ちひろ「そういうわけにもいかないのよ」

P「……はぁ……、んなこといってる子供をほっぽり出せるわけないだろ? 分かりました、引き受けます。暫くの間、うちで寝泊まりさせればいいんですよね?」

ちひろ「ええ、それで大丈夫です。ありがとうございます、プロデューサーさん。助かりました」

P「これで借りはチャラですからね」

ありす「……」

ちひろ「ほら、ありすちゃん。挨拶しよ?」

ありす「……なるべくご迷惑はかけないようにしますので、暫くの間よろしくお願いします」ペコ

P「ん、こっちこそよろしくな。橘さん」

ありす「……はい」


晴「来たぜー! プロデューサー!」

P「晴、学校お疲れ。ちょっと話があるからこっちに来てくれないか?」

晴「? なんだ?」

P「ちょっとな……」



P「というわけなんだ。だから暫くの間、橘さんと一緒に行動したり、うちに帰ったりすることになるぞ」

晴「ふーん? そっか」

ありす「よろしくお願いします、結城さん」

晴「結城さんじゃどっちがどっちかわかんないだろ、晴でいいよ。オレもありすって呼ぶし」

ありす「いえ、私はプロデューサーさんのことはプロデューサーさんと呼ぶので区別はできています。結城さんも私のことは橘と呼んでください」

晴「ん、まぁ橘がそう言うならそれでいいけど」

ありす「ありがとうございます」


P「挨拶は済んだな。じゃあ、解散しよう。今日は午後8時くらいに帰る予定だから、各自割り当てられた仕事やレッスンが終わったら、オレのところに集まってくれな」

晴「ん、わかった」

ありす「わかりました」

P「じゃあ、今日も仕事頑張ろう」



ガチャ

晴「プロデューサー! レッスン終わったから宿題しに来たぜー!」

P「お、晴。来たな」

晴「よいしょ」ポス

P「しかし、晴。すんなり橘さんのこと受け入れられて偉かったな」ナデナデ

晴「ん? なんでだ?」

P「だって、橘さんが家まで来るってことは」

ガチャ

ありす「プロデューサーさん、少しお話が……!? な……何してるんですか!?」

P「こういうのが家まで続くってことだぞ」

晴「え……」



14.


ありす「結城さん! な……なんでプロデューサーさんの膝に座ってるんですか?」

P「晴はな、オレの膝で宿題をやるのが日課なんだ。素晴らしいだろ?」

ありす「え……結城さん、私と同じ歳でしたよね? ……恥ずかしくないんですか?」

晴「う……」///

ありす「そっ……それに、神聖な事務所でそんな……不健全です!」

P「何がだ?」

ありす「え?」


P「何が不健全だと聞いているんだ、橘さん。オレはただ膝に妹をのせていただけだ。何か問題があるか?」

ありす「……ひっ……開き直らないでください! とにかく! 結城さんも顔を赤くしていますし、そんな恥ずかしいことはやくやめてください!」

ちひろ「私もそうして欲しいところなんだけどね、ありすちゃん。それにも問題があるのよ」

ありす「あっ、ちひろさん! ちひろさんからも何か言ってください! おかしいです!」

ちひろ「このプロデューサーさんはね、晴ちゃんが膝に乗っていると作業スピードが約3倍になるの。そして、いつもの時間に晴ちゃんが来ないとグデグデになって作業スピードが半分になるのよ」

ありす「なっ……! え? ……ど、どういう仕組みですか?」

P「晴が膝に座っていると癒されながら頑張れる。いつもの時間に晴が膝にいないとがっかりする。当然だな」

晴「……やめろばか」///


ありす「当然ではありません! それはプロデューサーさんが本気を出せるのに出さない怠慢ではないですか?」

ちひろ「最初はそう思ったんだけどね……どういうわけか本当みたいなの。それに、大変な書類とかも鼻歌交じりに秒殺しちゃうから、事務所としても重宝しだしちゃって……このままやらせろって上からのお達しが出たの」

ありす「なっ……」

P「というわけだ。悪いがこっちは事務所公認なんでな。続けさせてもらうぞ」

晴「オレは恥ずかしいからもう降りたいんだけど……」

ありす「……結城さんはこう言ってますが?」

P「晴が本気で降りたいならオレから降ろすさ。だから降ろさない」

晴「うう……」///

ガチャ

梨沙「相変わらずのシスコンの変態ね」


P「お、梨沙か。今日の撮影はどうだった?」

梨沙「楽勝だったわ。もう少し骨のある仕事用意しなさいよね」

P「悪いな、向こうからのご指名でな」

梨沙「へぇ、そうだったの……ん? なんか知らない顔がいるけど?」

P「ん、ああ。ちょっと預かることになってな」

ありす「初めまして、橘ありすといいます。今日から暫くの間結城さんの家でお世話になることになりました。よろしくお願いします」

梨沙「よろしく……アタシはこいつの担当アイドルのひとり、的場梨沙よ。梨沙って呼んで」

ありす「いえ、的場さんと呼ばせていただきます。こちらも橘と呼んでください」

梨沙「嫌。橘、なんてなんか据わりが悪いし。ありすって勝手に呼ばせてもらうわね。そっちも好きにするといいわ」


ありす「なっ……わかりました。好きにさせてもらいますね、的場さん」

梨沙「んで? 晴はまたなんで赤くなってんのよ。……あ、そっか。ありすになんか言われたのね」

晴「……なんでわかんだよ」

梨沙「わかりやすいのよ、晴は。ちょっと、P。こんなんで預かるなんてできるの? ただでさえ、晴は恥ずかしがり屋さんなのに」

晴「恥ずかしがり屋って……お前らが恥ずかしいことばっかするからだろ」

梨沙「馬鹿、親兄弟に甘えることのなにが恥ずかしいのよ。アンタはもう少し開き直りなさい」

晴「……人に見せるもんではないだろ……」

P「まぁまぁ梨沙、その辺にしてやれ。心配してくれてありがとうな。少しの間だけなんだから、なんとかやりくりするさ」

梨沙「……そ」

ありす「……親兄弟に甘えることは恥ずかしいことじゃない?」


梨沙「どうしたの? ありす」

ありす「いえ、なんでもないです」

梨沙「ふーん? じゃあ報告も終わったし、アタシ帰るわね。今日はパパとデートなの♪」

P「おう、お疲れさん。楽しんでこいよー」

梨沙「当然ね! じゃあ、また明日ー!」


ガチャ パタン


ありす「嵐のような人でしたね……」

P「芯のしっかりしてる、頼れる奴だよ。まだまだ子供なところもあるがな」

晴「……兄貴、聞いてくれ」

P「なんだ?晴」


晴「兄貴や梨沙がなんと言おうと、オレは恥ずかしいものは恥ずかしい。誰にも見られてないならまだしも、ありすに見られてるなら、それは恥ずかしい。だから降ろしてくれ」

P「……いいんだな?」

晴「……」コクン

P「……じゃあ、ほら。休憩室で続きやってこい」

晴「わかった」

ちひろ「あのー、晴ちゃん? 私もいつも見てるんだけど……」

晴「あー、ちひろさんはなんていうか……母さん? みたいな感じだから平気になった」ズバッ

ちひろ「!?」グサァ

ちひろ「……そう……ですか。……付き合ったことすらないのに……お母さん……」ドヨドヨ


晴「んじゃ、行ってくる」

P「ん、頑張れよー」

ガチャ バタン

ありす「……」

P「さて、オレも仕事するか……はぁ……」カタカタ

ありす「あの……私やっぱり……」

P「いいんだよ、晴がそうするって決めたんだ」

ありす「でも……」

P「……なんだよ」

ありす「今作ってた文章、打ち間違いだらけですよ」

P「……そこなんだよなぁ…………晴ぅ……」



15.





グスグス……

P (……なんか聞こえる……幽霊か?)

グス……

P (行ってみるか……)

ガチャ パチ(電気)

ありす「あっ」

P「橘さんか……どうした? 親が恋しくなったか」

ありす「……なんでもありません。起こしてしまってすみません……寝ます」


P「だーから、そんな顔されて放置できるほどオレは大人じゃないんだよ、話聞かせろ」

ありす「……」

P「そういうのは誰かにさっさと吐き出せば楽になるぞ。ほら、今ココアいれるから待ってろ」

ありす「いえ……ご迷惑をおかけするわけには……」

P「そういうのは隠し通せてから言うんだな。オレに気づかれた時点で橘さんをこのまま寝かす選択肢はないんだよ」

ありす「……」


P「ほら、ココア。あったかいぞ」

ありす「……ありがとうございます」フーフー


P「……親がいないと寂しいか?」

ありす「……いえ、両親はとても有能な人なので遅くなったりして結局丸1日以上会えないのは割といつものことなんです」

P「……それで? 今日はどうしたんだ。いつもは泣いてないんだろ?」

ありす「……わかりません」

P「……まぁ、多分環境が変わったっていうのはあるだろうな。人間意外と環境が変われば気持ちが変わることも多い。いつもは耐えられたことに弱くなったりな。オレも経験がある」

ありす「大人でも……ですか?」

P「気持ちに大人も子供も関係ない。大人は顔に出さないだけさ」

P「だから今日泣いちゃったとしても、それは橘さんが子供だったからじゃない。当然のことなんだ」

ありす「……そうですか。良かったです」


P「ご両親に相談したりとか……しないのか?」

ありす「私……お母さんとお父さんに心配かけたくないんです。……私が大人になれれば顔に出しませんので、心配をかけずにすみますよね? だから……」

P「そうやって自分の心に閉じ込めて我慢し続けるのか?」

ありす「……仕方ありません。お母さんもお父さんも忙しいですから」

P「……そうか」

ありす「……」

P「馬鹿」ペチ

ありす「なっ……急になんですか!?」

P「そんな寂しそうな顔してなにが我慢だ。まだまだ子供な癖に」


ありす「こ……子供じゃないです! 私もう大人ですから! 寂しくても我慢できます!」

P「……橘さん、知ってたか?」

ありす「……なんですか」

P「大人でも人に甘えるんだぞ?」

ありす「……え?」

P「大人でもな、寂しかったら寂しい。そんな時は誰かに甘えて、癒してもらうんだ」

ありす「……そうなんですか?」

P「そうだ。寂しいのに誰にも言わず閉じこもっちゃうのはむしろ子供だな」

ありす「う……」

P「だから、甘えてもいいんだ。こうやってな」ナデナデ

ありす「あ……」


P「橘さん、君は誰かに甘えてもいいんだ。それを誰も咎めたりなんてしないし、子供だと馬鹿にしたりもしない。だから、我慢してそんな顔をするんじゃない」ナデナデ

ありす 「……」

ありす「私、両親に甘えてみてもいいんでしょうか?」

P「ああ。子供が親兄弟に甘えるのは、恥ずかしいことなんかじゃない。当然だろ?」ナデナデ

ありす「……はい」

P「よし。とはいえ、ご両親に会えるのは少し後になりそうだけどな」ポンポン

ありす「……その間」

P「ん?」


ありす「その間、プロデューサーさんに甘えてもいいですか?」

P「え……」

ありす「いいって言ってましたもんね。甘えることは駄目なことじゃないって」

P「……まぁ言ったけど」

ありす「ですよね。では、そういうことで。おやすみなさい、また明日」スタスタ

P「……おう…………おやすみ」

ありす「あ」

P「なんだ?」

ありす「明日からありすって呼んでくださいね、Pさん」クスッ

P「」



ありす「誰かに撫でられたのなんていつぶりだろ……」サワ

ありす「優しい……手だったな……」



晴「」スヤスヤ

P「晴……オレ明日からどうしよ……」

晴「んん……ばかあにき……」クークー



16.


晴「どういうことだよ橘! なんで橘が兄貴の膝に座ってるんだ!?」

ありす「結城さん、どういうこともなにも、見てわかりませんか?」

晴「なんだよ、何か理由があるのか?」

ありす「甘えているんです。私、両親が今いなくて寂しいですから」

晴「はぁ!?」

P「橘さん……その辺に……」

晴「ほら! 兄貴も言ってやれ!」

ありす「駄目ですよ、Pさん。橘さんではなく、ありすって呼んでください♪」

P「ありす、わかったから……その辺にしてくれ……」

ありす「嫌です」


晴「……さては昨日オレが寝てる間に何かあったな?」

P「」ギクッ

P (相変わらず変なところで鋭すぎる……)

晴「兄貴……なにがあったのか話してくれるよな? オレの頼みを断る兄貴じゃないよな」

ありす「結城さん、別に大したことはありませんでしたよ。寂しくて泣いてしまった私をPさんが慰めてくれただけです」

晴「そのPさんってのをやめろ! 橘、昨日までプロデューサーさん呼びだっただろ!」

ありす「距離が縮まれば呼び方も変わります。当然ですよね?」

晴「一体なにがあったんだよーー!」


ちひろ「プロデューサーさん……慰めてくれとは言いましたがこれは……」

P「ご……誤解なんです……」

晴「とにかく橘どいてくれ! オレ今からそこで宿題やるから!」

ありす「でも確か、昨日私の見ている前ではやらないって言ってましたよね」

晴「気が変わったんだよ! 早く降りろ!」

ありす「お断りします。私まだ甘えたりませんので」ギュー

晴「こいつ……」ワナワナ

ちひろ「……プロデューサーさん、どうするんですかこの修羅場」

P「……どうしましょうね」

ちひろ「このまま放置するとおそらく取っ組み合いが始まりますよ。その前に対処してください」


P「……ちひろさん……」

ちひろ「すみませんがこれから出なくちゃいけないんですよね。というかこんな修羅場に巻き込まれて火傷したくはないので、さっさと失礼しますね!」ガチャ

P「ちひろさーん! カムバーック!」

ちひろ「アイドルの顔に傷ついたら責任問題ですからね~」バタン

P「ちひろさーん……」

ありす「私が甘えてる時に関係ない人の名前を呼ばないでください、Pさん」ギュー

晴「なに言ってんだこの! いいから降りろ!」グイッ

P「……ふぅ……」

P「落ち着け2人とも!!!」

ありす「!!」

晴「!!」


P「とりあえずありすは一旦降りろ」ヒョイ

ありす「あ……」

P「これから数日間、どうするべきか会議をする。各々10分間、離れて意見をまとめよう。それから話し合う。どうだ?」

晴「……わかった」

ありす「わかりました」

P「では、10分間解散だ」


30分後


P「よし……大体話はついたな。確認するぞ?」

晴「……おう」

ありす「……はい」


P「まず、事務所にいる間、俺の膝は60分交代制。どちらから始めるかは初回はじゃんけんとし、次回からは前回の反対側から始めるものとする。ただし、片方が不在の場合はその限りではない」

ありす「仕方ないですね」

晴「こっちのセリフだけどな」

P「次に、呼び方問題だが、これはありす希望を通す形になる。ただ、オレを下の名前で呼んで結城さん、橘はアレだから2人は名前で呼び合うようにな」

晴「わかったよ……ありす」

ありす「そうですね、晴さん」

P「最後に、家でどうするかだけど、すまんがここはオレの希望を通させてもらった。3人で仲良く過ごそうじゃないか。なにもずっとってわけじゃないんだ。たった数日間だ。そうだな? 晴、ありす」

晴「……おう、そうだな」

ありす「……そうですね」


P「よし、全員の合意が取れた。これにて会議を終了する。お疲れ様でした」

晴「お疲れ」

ありす「お疲れ様でした」

晴「……」

ありす「……」

2人「じゃんけん!」



17.


梨沙「……なんなのよ、アレは」

ちひろ「……さぁ?」


晴「……もう終わりだろ! ほら見ろ! 1時間経ってる!」

ありす「晴さん、これを見てください。ほら、まだあと30秒ありますよ……」

晴「その止まってる時計さっきも見ただろ! 壁掛け見ろよ!とっくに過ぎてんだよ!」

ありす「晴さんが待ち遠しくて体感時間が短いだけですよ」

晴「あーりーすー!」

P「」カタカタカタカタカタカタ



梨沙「……アイツ、現実逃避してるわね」

ちひろ「作業速度が前人未到の5倍に到達したので事務所としては万々歳ですが……」

梨沙「どうしてこうなった……って感じね」

ちひろ「ありすちゃんがあそこまでプロデューサーさんに懐くとは……このちひろの目をもってしても見抜けませんでしたね……」

梨沙「アイツ幼少組の扱い妙にうまいからかしらね……まぁアタシはパパ一筋だけど!」

ガチャ

紗南「どしたの? なんか騒がしいね」


ちひろ「あら、紗南ちゃん」

梨沙「ちょっとね……かくかくしかじかってことがあったのよ」

紗南「いや、かくかくしかじかって本当に言われても……なるほどね!」

ちひろ「わかったの?」

紗南「大体の事情はね。そっかー、ありすちゃんっていうのか、あの子」

ちひろ「本当に伝わってる……」

紗南「でも、そうなると晴ちゃんがかわいそうだね。今までお兄ちゃんを独り占めできてたのに」

ちひろ「そろそろ兄離れしてもいいような気はしますけどね」


梨沙「ま、他人になんて言われたところで本人が納得しない限りそういうのは発生しないわ。晴が本当にそう思った時自然と兄離れするでしょ」

紗南「ま、あの様子を見るとそれは当分先かな」

ちひろ「ですね……」



晴「もう時間だろ! 約束守れよ! オレの兄貴から離れろ!」

ありす「いくら妹さんとはいえ、Pさんは晴さんのものではありません!」

梨沙「え? Pは割と晴のものよ?」

ありす「え?」

梨沙「だってコイツシスコンだもん。ねぇ?」

P「」カタカタカタカタカタカタカタ

梨沙「現実逃避してんじゃないの!」ガン


P「いっつ……まぁ、そう聞かれたらそうだと答えるしかないな」

ありす「そう……なんですか?」

梨沙「そうよ。っていうか、ありすあんた気づいてなかったの? 初日とか言動が完全にシスコンのそれだったじゃない」

ありす「……そういえば」

梨沙「まぁ、ありすに非はないわ。だけど、できればこの相思相愛兄妹の邪魔はしないであげて欲しいわね」

ありす「う……」

晴「相思相愛って……ちげーよ!」

梨沙「アンタまだそんなこと言ってんの? さっきとかかなり大声でブラコン発言かましてたわよ?」

晴「え?」

梨沙「オレの兄貴から離れろとか言ってたし」

晴「……それは」///


梨沙「ほら、こんなもんよ。……ね、相手にしてるの馬鹿らしくなって来ない?」

ありす「……そうですね」

ありす「でも、それとこれとは話が違います。私はPさんに……」

ちひろ「ありすちゃん!」

ありす「なんですか?」

ちひろ「お母さん帰って来れるって! 今日からお家に帰れるわよ!」

ありす「え? どうして……」

ちひろ「今電話があったんだけど、なんかありすちゃんの為に通常では考えられないほどのスピードで仕事を終わらせたそうよ」


梨沙「あら、どっかで聞いたような話ね」

ありす「お母さん……」

梨沙「アンタ、両親の代わりにPに甘えたかったんでしょ? ほら、存分に甘えてきなさい」

ありす「……そうします」

P「」カタカタカタカタカタカタ

ありす「Pさん!」

P「話は聞いてた。ありす、良かったな」

ありす「はい! あの……また話、聞いてもらってもいいですか?」

P「オレは構わんが……晴がなんていうかな」


ありす「どうですか……?」

晴「……たまになら、いい」

P「だそうだ」

ありす「ありがとうございます! また来ますね!」

晴「……ん」



18.





P「ん、いつになく甘えん坊さんだな。まぁ、当然か」ナデナデ

晴「……」ムス

P「ほら、今はオレと晴だけだ。好きなだけ撫でてやるからそう口を尖らすな」

晴「……」

P「なんだ、言ってみろ」

晴「……兄貴、なんでありすを強制的にどかさなかったんだ? 膝に乗るのは誰でもいいのか?」

P「……なるほど、そこに引っかかってたのか」

晴「……」


P「ごめんな、晴。嫌な気持ちにさせちまって……」ナデナデ

晴「そんなのは別にいいんだけど……」

P「そっか、晴はオレの膝に晴以外が乗るのは嫌か」

晴「……そう言うとすげぇ我儘に聞こえるから別にいい」

P「いや、そんなことないさ。すごく嬉しい」ナデナデ

晴「……へ? 嬉しい? なんで?」

P「そんだけ晴がオレのことを大事に思ってくれてるってことだろ?」ナデナデ

晴「……そうなのか?」


晴「……ありすが兄貴の膝に乗ってるのを見て……そこはオレの場所なのにって思ったんだ。……これってそういうことなのか?」

P「そうだよ」ナデナデ

晴「でも……言っててやっぱり思ったけど、オレにはすごく我儘に聞こえるよ」

P「我儘でいいんだ」

晴「……へ?」

P「そりゃあ、誰にでも言っていいってもんじゃないがな、我儘言ったっていいんだよ。それが通るか通らないかは別にして、我儘は言ってもいい。というか、溜め込むくらいなら言わなきゃいけない」

晴「そっか……我儘言ってもいいのか……」

P「相手にだけは注意しろよ。そこの判断がしっかりできるようになったら、大人かな」

晴「大人かぁ……大人でも我儘言うんだな……」

P「そりゃそうさ」


晴「ほんとうか? オレ見たことない気がするぞ」

P「じゃあオレが今から我儘言うな」

晴「え? 兄貴が?」

P「おう」

P「晴、今日は一緒の布団で寝ようか」

晴「!!?」

晴「……な…なな……なんで?」///

P「いや……ここ最近心置き無く晴とくっついてなかったからオレも寂しくなってな」

晴「今くっついてるじゃねえか!」

P「ぜんっぜん足りない」

晴「まったく……」



晴「この……ばかあにき」

_


次の日


ありす「Pさん! また会いましたね!」

晴「ありす!?」

P「え? なんでありすがここに? 他Pはどうしたんだよ」

他P「ここだ、P。いやー、橘にどうしてもってだだこねられてな。ありすをお前の担当にすることにした。頼むな」

P「はぁ!? 正気かよ!」

他P「まぁそう言うな。紅いのやら蒼いのやらお前が扱いきれなくなったアイドル俺が預かってやってんだから、これくらい受け入れろ」

P「……マジか……」


ありす「Pさん! 寂しいので甘えさせてください!」

晴「もう両親が家にいるだろうが!」

ありす「寂しいものは寂しいんです! 晴さんこそ家で甘えてるんでしょうし、事務所の間くらい譲ってください!」

梨沙「……しーらないっと」

P「オレもしーらないっと」

ちひろ「プロデューサーさん? どこ行くんです?」

P「ヒッ」

ありす「あっ! Pさん待ってください!」

晴「あーもーー!」



晴「ばかあにき! なんとかしろーー!」

_

終わりです。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

ここまで連続で書くのは今回までになると思います。

もしかしたらもう1つくらいは続きを書くかもしれませんが、多分すぐではないです。他に書いてみたいSSがあるので。

感想や指摘等ありましたら是非宜しくお願いします。

それでは、ありがとうございました。HTML化依頼出してきます

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