ナイト・オブ・ザ・ぴにゃこら太 (45)

ペラッ

小梅「……!」

トテトテ

小梅「ね、ね…涼さん」

涼「ん? どうした、小梅。鼻息荒くして、もうちょっと休んでた方がいいんじゃないか?」

小梅「見た…?」

涼「何が?」

小梅「これ…」ピラッ

ゴトッ

小梅「あ」

涼「ん、なんか落ちたぞ…」ヒョイ

小梅「それは雑誌のおまけ…アレに出てくるゾンビのソフビ人形…」

涼「ってことは、ホラー雑誌? 休憩中にも読んでるのか、本当好きだな…」

小梅「それより、これ…この映画の記事…」

涼「え…? これってまさか…!」

小梅「うん…アレの新作」

涼「マジかっ!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1517416552

小梅「はい、これ…読んで」スッ

涼「恐怖の夜、再び…か…うわ、これマジなやつじゃないか」

小梅「アレ…CGや演出がすっごく怖かったから…新作も、楽しみ…」

涼「はぁ、まさかアレの新作が来るなんて…あの出来ならいずれ来るとは思ってたけど」

小梅「ねね、涼さん」

涼「ああ、行こう。笑えてくるようなB級ホラーもいいけど、やっぱ本格派はドキドキするね」

小梅「それでなんだけど…今日のレッスン終わったら、アレ観よ?」

涼「お、いいね。放映前におさらいと行っとこうか。帰りにレンタル屋寄ってこう」

小梅「ロッカーにDVDが入ってる…気に入ったのはいつも入れてる…」

涼「そうなのか? それならさ、事務所の映写室使わない? プロデューサーサンに使っていいか聞いてみよう」

小梅「他のみんなにも声かけて、鑑賞会やろ…」

涼「ハハッ、そりゃいいな!」

涼「で、映写室に集まったのが…」

未央「映画の鑑賞会と聞いてやってきました!」

卯月「楽しみです!」

凛「ん…」

涼「ニュージェネの三人か」

小梅「それじゃ…観よっか」

凛「ねぇ、鑑賞会やるって…発案は小梅と涼だったの? ってことは…」

涼「あれ、聞いてなかったか?」

凛「未央が映画観ようって言うからついてきただけで…」

小梅「怖いの…嫌い?」

凛「嫌いというか…ちょっと苦手…かな」

卯月「え、これって怖いやつなんですか…?」

未央「いいじゃんしぶりんしまむー、観ようよ」

凛「卯月、どうする?」

卯月「ま、まぁ…せ、せっかくですから…」

涼「いいのか? 電気消すぞ?」

未央「いいよー」

涼「よし」パチッ

未央「おー、なんか真っ暗で雰囲気出てきたね」

凛「映写室は窓もない密室だからね」

小梅「やっぱり、ホラー映画は真っ暗な中で観ないと…ね」

卯月「うぅ、もう怖くなってきました…」

ビーッ…

『ねぇ…何か、外の方から聞こえない…?』

『僕が見てくるよ』

未央「ごくり…」

卯月「うぅ…」

凛「………」

小梅「ふふ…」

涼(ここはまだ何もないんだよな、もうちょっと…溜めて溜めて、何もないんだと安心したところで…)

???「ぴにゃ…」

涼「ん?」

???「にゃにゃにゃ…」

涼「卯月か?」ポンッ

卯月「うひゃああああ!?」

未央「わああああああああ!?」

凛「きゃああああああああああああ!?」

涼「ご、ごめん…急に肩叩かない方がよかったか…」

卯月「な、な、な、なんでしょうかっ!」

涼「いや…なんかぴにゃーとか声が聞こえてきたんで、卯月かなって」

卯月「い、いえ! 映画は静かに観ないとですから!」

涼「じゃあ…小梅か?」

小梅「私じゃないよ」

涼「うーん、聞き違いか…?」

小梅「けど、なにか…いる?」

涼「え」

小梅「気がする…」

卯月「えっ、えっ」

凛「ちょ、ちょっとやめてよ…」

未央「なになに!? まさか本物呼び寄せちゃった?」

??「ぴにゃ…」

涼「ん?」

??「ぴにゃにゃ…」

涼「上か…?」ジッ



謎の怪火「ぴにゃ…」



涼(天井になんかいる…目が逢った…)

涼(なんだっけ、これ…えーと、ぴにゃなんとか…の…幽霊!?)

謎の怪火「ぴにゃぴにゃ…ぴにゃにゃーっ!!」

凛「わああああああ!?」

小梅「あ、これ…」

涼「な、なんだこいつは!?」

卯月「で、電気! 電気つけないと…」ダッ

謎の怪火「ぴにゃあ〜…にゃんにゃあ〜」ドスッ

卯月「うわぁ〜!!」バタン

未央「しまむーがぴにゃの霊に潰された!?」

謎の怪火「ぴにゃ〜」ガチャ

未央「ドアから出て行った…」

小梅「今の…どうやって開けたんだろ、ふしぎ…」

凛「卯月っ!」

未央「あ、そだ! しまむーは!?」

卯月「………」ムクリ

涼「大丈夫か、卯月!?」

卯月「ぴ…」

涼「ぴ?」

卯月「ぴにゃあああああああ!!」グワッ

涼「ひっ!?」

小梅「わ」

未央「しまむー!?」

凛「ちょ、ちょっと卯月!?」

卯月「ぴにゃにゃ」

凛「ど、どうしたの、なんかブサイクな顔になってるけど…」

卯月「ぴにゃあ〜!!」グワッ

凛「きゃっ!」バタン!

未央「ひゃっ!? し、しまむーったら人前で押し倒すなんてそんな…意外と大胆…」

涼「違うだろ!? なんか様子がおかしいぞ!?」

凛「………」ムクリ

小梅「凛ちゃん…?」

凛「ぴにゃ…」

卯月「ぴにゃにゃにゃ…」

涼「か、感染した!?」

小梅「すごい、ゾンビみたい…」

涼「言ってる場合か!? なんかヤバいぞ!」

未央「ひとまずここから脱出…」

凛「ぴにゃ〜」ガシッ

卯月「にゃ〜ぴ〜ぴ〜」ガシッ

未央「きゃ!」バタン!

涼「未央っ!」

未央「わ、私の事はいいから! 二人は逃げて!」

涼「わかった! 行くぞ小梅!」

小梅「うん…」

未央「もうちょっと葛藤してもいいんじゃない!?」

涼「はぁ、はぁ…」

小梅「ふぅ…」

涼「ここまで来ればひとまずは安心か…?」

小梅「たぶん…」

涼「未央…今頃あいつも…くっ」

小梅「………」

涼「しかしなんなんだ、あの人魂…いや人じゃないな、ぴにゃ魂か」

小梅「あれ…見たことある」

涼「知ってるのか、小梅!? 見たってどこで?」

小梅「空に浮かぶ島の古戦場で、騎空団の人達と彷徨ってた魂を供養した」

涼「何言ってんのお前」

かくかくしかじか…

涼「…えーとつまり、そういう夢を見たってことか?」

小梅「夢だけど…こうして現実に出てきた」

涼「はー…それで、供養したって、どうやって?」

小梅「杖を使って戦ったんだけど…」

涼「杖? どこにあるんだ?」

小梅「小道具だから…衣装室にあると思う」

涼「よし、それじゃ取りに行こう」

小梅「夢の話だよ…?」

涼「と言われても、他に打つ手もないからな…」

小梅「でも、あの部屋から外に出て行ったってことは…」

涼「あのぴにゃ魂がどこかにいるってことか…気をつけて進まなきゃな」

小梅「………」キョロキョロ

涼「…いないな?」

小梅「うん」

涼「走れっ!」

ダダダダダ

涼「はぁ、はぁ…」

小梅「ふぅ…なんとか衣装室まで着いたね」

涼「開けるぞ」

小梅「ホラー映画だと、こういう時扉を開けるとすぐそこに…」

涼「そういうこと言うのやめてくれ…」

ガチャ

忍「………」

涼「うおっ!? って…」

小梅「忍さんだ」

涼「なんだ、びっくりした…」

忍「………」

涼「そうだ忍、ちょうどいいや。ちょっと探してほしいものが…」

忍「ぴ…」

涼「え」

忍「ぴにゃあああ〜!!」

涼「うわああああああああ!?」

忍「ぴにゃぴにゃ」ジリジリ

小梅「忍さんもぴにゃぴにゃ言ってる…」

涼「近づいてくるぞ! 中に用があるってのに…!」

小梅「これで…」スッ

忍「ぴ!?」ピクッ

小梅「えいっ」ポイッ

忍「ぴにゃ〜!!」ガバッ

涼「な、なに投げたんだ? 飛びついて行ったけど」

小梅「雑誌についてたゾンビ人形…忍さん、おまけ集めるの好きだから…役に立った」

涼「ああなってもわかるのか…あれがおまけだって…」

小梅「今のうちに中に入ろ」

涼「あ、ああ…」タッ

穂乃香「ぴんにゃ〜ぴにゃぴにゃ〜」バッタリ

涼「うわ!」

穂乃香「ぴにゃにゃ〜」

涼「くっ、中にもいるぞ…!」

小梅「どうしよう…」

???「二人とも!」

涼「え!?」

小梅「あっちの方に衣装が積み上げてある…」

あずき「こっちこっち! このバリケードの中に隠れるんだっ!」

涼「あずき!」

あずき「ほらほら、早くっ!」

涼「ああ…行くぞ小梅!」ダッ

小梅「うんっ」ダダッ

ドサッ!

穂乃香「ぴにゃ〜ぴにゃにゃ〜」ガシガシ

小梅「ふぅ…なんとか駆け込めたね」

あずき「ここまでは入ってこないから、とりあえず安心だよ」

涼「布をかきあつめて…よくこんなバリケード作れたな」

あずき「ま、呉服屋の娘だからね!」

涼「すごいな呉服屋…」

あずき「はー、それにしても無事な人がいてよかったぁ。一人だと心細くてさ…」

小梅「ねぇ、忍さんと穂乃香ちゃんはぴにゃぴにゃしてるけど…柚ちゃんは…?」

あずき「えーと、柚ちゃんは…部屋の隅の方、あれ…」

涼「あれ?」

ギュゥゥゥゥゥ…

謎の怪火A「ぴにゃあ! ぴにゃにゃにゃ〜!」ギュギュ

謎の怪火B「ぴんにゃあ〜! ぴにゃあ〜!!」ギュギュゥ

謎の怪火C「ぴにゃ〜にゃぴ〜にゃ〜にゃ〜!」ギュッギュッギュッ

涼「うわ!? なんか凄いことになってるぞ!?」

小梅「おしくらまんじゅう…?」

あずさ「柚ちゃんはあの中に…」

涼「あそこに柚がいるのか!?」

小梅「すっごい恨みが感じられる…」

あずき「柚ちゃんはぴにゃこら太のぬいぐるみにぐさぁーっ! ってした前歴があるからね」

柚「刺してないからぁ〜刺すフリだからぁ〜」モゴモゴ

小梅「あ、まだ取り憑かれてない…大丈夫そう…」

涼「大丈夫じゃないだろ!? 時間の問題だぞ!?」

涼「早く助けないと…」

あずき「だ、ダメだよ行っちゃ!」

涼「柚がどうなってもいいのか!?」

あずき「そんなワケないよ! でも、柚ちゃんを助けようと近づいた忍ちゃんは…」

忍「ぴにゃあ〜」

あずき「ああ、部屋に戻ってきた…」

涼「う…」

小梅「柚ちゃんを助けに行ったら、私達もああなっちゃうかも…?」

涼「忍や穂乃香みたいに、か…」

小梅「穂乃香ちゃんも、柚ちゃんを助けようとして…?」

あずき「ううん、穂乃香ちゃんは違うよー」

涼「え、じゃあなんでやられたんだ? あいつはあれの人形好きだし、別に恨みを買うようなことなんてしないと思うんだけど」

あずき「穂乃香ちゃんは…その、自ら…」

涼「自ら!?」

あずき「そんなわけで救出大作戦は失敗しちゃって…」

涼「そうだ小梅、例の杖ってのはどこに?」

小梅「ちょっと、わからない…」

あずき「え、なになに? 何の話?」

涼「あいつらを倒せるかもしれない武器があるんだ」

あずき「おお!? プランB、救出大作戦パート2だね!」

忍「ぴぃ〜にゃ〜…」

穂乃香「ぴにゃにゃ〜」

小梅「でも、まずは二人をどうにかしないと…」

あずき「よしっ! あずき達が囮になるから、小梅ちゃんはその武器を探しちゃってよ! いいよね、涼さん?」

涼「え? アタシは構わないけど…いいのか? バリケードの中にいれば安全なのに」

あずき「ずっとここにいるわけにもいかないし、ここにしたって絶対安全だなんて言えないよ!」

あずき「それに一人で二人は相手にはできないけど、一人ずつならきっとなんとかなる! 囮大作戦!」

涼「よし、わかった。それじゃアタシが穂乃香を引きつけるよ」

あずき「おっけー! あずきは忍ちゃんね!」

小梅「気をつけてね…」

涼「さぁ、こっちだ!」タッ

穂乃香「ぴにゃ〜」

あずき「ヘイヘイヘーイ! カモン忍ちゃん!」タタタ

忍「にゃ〜ぴ〜」

あずき「よーし小梅ちゃん! 今のうちに…」

忍「にゃ〜」

穂乃香「ぴ〜にゃ〜」

あずき「あれ!? 二人ともこっち来た!?」

涼「あ、あずきー!」

穂乃香「ぴにゃっ」ガシッ

忍「ぴにゃぴっ」ガシッ

あずき「終わった」

涼「あずきー!!」

小梅「杖、あった」ヒョイ

涼「そんなあっさり!?」

小梅「この子が教えてくれたから」チョイチョイ

涼「そ、そうか…誰もいないけど…いや、それよりあずきが!」

あずき「ぴにゃ…にゃんにゃ…」

涼「あずきー!!!」

あずき「ぴ〜にゃ〜」

忍「ぴ〜にゃ〜にゃ〜」

涼「なんてこった…みんなぴにゃになっちまう」

小梅「ゾンビと同じだね…一人取り憑かれるとどんどん増える…」

涼「事務所のみんなが相手じゃな…本物のゾンビならバッサリ行けるんだけど…」

小梅「行けるの?」

涼「…それより小梅、その杖でどうにかできないか?」

小梅「あ、そうだね。やってみる…えいっ」シャンッ

シーン…

涼「何も起こらないぞ…?」

小梅「やっぱり、夢の中の事だから…」

涼「…くっ! その杖貸してっ!」グイッ

小梅「あっ」

涼「アタシの歌を聴けぇ!!」

シーン…

穂乃香「ぴにゃ〜」

あずき「ぴんにゃ〜」

小梅「涼さん、何やってるの?」

涼「いや…声の力で怯んだりしないかなって…その…悪い、杖返す…忘れて…」

小梅「ん」スッ

涼「…逃げるぞ! まずは部屋から出る!」

小梅「ん」

柚「達者で〜」モゴモゴ

バァン

涼「閉めろ!」

バタン!

「ぴんにゃ〜」ドンッドンッ

「ぴにゃにゃ〜」ドンドンドン

涼「ひいいいいいい、滅茶苦茶ドア叩いてくる…!」

小梅「いっせーの、で走ろう」

涼「ああ、いっせー…」

謎の怪火「ぴにゃあ〜」ズッ

涼「え…?」

小梅「幽霊だけ、壁を抜けてきた…」

涼「くそっ! 逃げるぞ小梅!」ガシッ

小梅「あ」

ダダダダダダ…

涼「はぁ、はぁ…とりあえず撒けたか…」

小梅「………」

涼「通路で見通しはいいけど、壁を抜けてくるんじゃここも安全かどうか…」

小梅「………」

涼「どこまで逃げればいいんだ…? いっそ事務所から出るべきか…」

小梅「………」

涼「でもあいつら、いずれ外にも出てくるかもしれない…そうなったら日本の終わりだな」

小梅「………」

涼「小梅…? どうした、いつも以上に静かだけど」

小梅「ぴにゃ」

涼「え」

小梅「ぴにゃあ…」

涼「ちょ、ちょっと…嘘だろ…?」

小梅「ぴにゃ…ぴにゃ…」ジリジリ

涼「こ…小梅っ!」

小梅「ぴにゃ〜」

涼「くそっ! このぴにゃ野郎、小梅から出てけ…!」

小梅「ぴ〜…にゃ〜んちゃって…」

涼「えっ?」

小梅「ジョーク…びっくりした?」

涼「時と場合を考えろッ!」ポカッ

小梅「たっ」

都「ぴにゃっ!」

涼「ああ、こんなことやってる間に…!」ダッ

みちる「ぴにゃーっ!」

涼「うわ、あっちからも!?」

小梅「挟まれた…」

涼「な、なんかないか!? 探偵グッズとか、パンとか、あんパンとかフランスパンとか……」

小梅「さっきの部屋で、穂乃香ちゃんが落としたらしきぴにゃこら太のぬいぐるみが…」

みちる「フゴフゴフゴ…」

涼「よし! 気を取られているうちに抜けよう!」

涼「事務室、ここなら…」

バンッ

ちひろ「………」

涼「ちひろサン! 事務所が…」

ちひろ「ぴにゃにゃにゃぴーぴにゃにゃ」クルッ

涼「ひっ!? ちひろサンまで…」

小梅「涼さん、こっち」グイッ

涼「くそっ…」ダッ

輝子「ぴにゃ…ぴにゃにゃ…」ヌッ

小梅「輝子ちゃん…」

涼「くそっ…」

夏樹「ぴにゃ…ぴにゃにゃ…」

涼「くそっ…!」

涼「もうアタシ達以外みんなぴにゃになっちまったのかよっ…!」

涼「はぁ、はぁ…」

涼(アタシ達は、あまり使われてなさそうなガラクタ置き場に逃げ込んだ…)

小梅「涼さん、大丈夫…?」

涼「体力面はな…」

涼(でも、このまま逃げ続けてたって…もう、駄目なんじゃないか?)

涼(いずれ追いつかれて、アタシ達も…)

涼「どうせ最終的に捕まるなら、もうぴにゃになっちまった方がいいかもな…」

小梅「え?」

涼「あれもゾンビみたいなもんだし…小梅、お前にとってはいいんじゃないか?」

小梅「………」

涼「ゾンビって違う世界が見えてるとか言うもんな…なったらなったで、楽しいかもな…はは」

小梅「…映画」

涼「!」

小梅「観に行くんだよね」

涼「あ、ああ…」

小梅「だったら、諦めちゃダメだよ。ああなったらたぶん…映画を楽しむこと…できなくなっちゃう」

涼「…そうだ…そうだな。こんなところで弱音吐いてるわけにはいかないか」

小梅「涼さん、元気…出た?」

涼「小梅」

小梅「ん」

涼「ありがとな」

小梅「お礼を言うのはバッドエンドを回避してから…だよ」

涼「しかし、あのぴにゃをどうする…?」

小梅「この中に、何か解決出来る道具がないかな」

涼「そんなもん、都合よく置いてるか…?」

美玲「ん…」ゴロン

涼「うわっ!? なんだ!?」

小梅「美玲ちゃん…?」

涼「近づくな小梅! 寝てる間にロープで縛り上げて…」

美玲「うおッ!?」ガバッ

涼「えっ!?」

美玲「な、なんだなんだッ!? やる気か!? ひっかくぞッ!」

涼「美玲、お前なんともないのか?」

美玲「なんともない? 何の話だ?」

小梅「襲われなかったの…? 霊とか、ぴにゃぴにゃ言ってる人とか…」

美玲「は? 何言ってんだ、オマエら?」

謎の怪火「ぴにゃあ〜…」スゥ…

涼「げ、噂をすれば…」

小梅「壁を抜けて来た…見つかった…」

美玲「うわッ、なんだあれ!? ブッサイクだなー!」

涼「バカっ、大声でそんなこと…!」

謎の怪火「ぴ…?」クルッ

涼「くっ、気づかれた!」

謎の怪火「ぴにゃあ…ぴにゃぴにゃぴっぴ…」プンスカ

涼「お、おい怒ってるぞ…美玲がブサイクとか言うから」

美玲「なんだよー、ブサイクをブサイクって言って何が悪いんだ?」

涼「あのブサイクに触ったらお前もブサイクになるんだぞ!」

美玲「え、なんだそれ!?」

謎の怪火「ぴにゃにゃにゃにゃにゃーっ!」カーッ!

小梅「ますます怒ってる…」

涼「しまった、つい…!」

謎の怪火「ぴーっ!」グオッ

涼「ヤバい、来る…! もう逃げられない…!」

謎の怪火「ぴっ!?」ビクッ

涼「ん!?」

小梅「動きが止まった…?」

謎の怪火「ぴ…ぴにゃにゃ…」オロオロ

涼「ち、近づいてこない…? どうして…」

小梅「美玲ちゃん…手に持ってるの、なに?」

美玲「これ? これはドラムスティックだぞッ」

涼「ドラム…あー、この前私達と一緒に撮影したCMのやつだな」

小梅「なんで持ってるの?」

美玲「え、それは…」

涼「ははぁ? あれでドラムにハマって、こっそりここで叩いてたんだ? それで疲れて寝ちまったのか」

美玲「な、なんだよッ! 悪いかッ!」ブンブン

涼「別に悪いなんて言ってないだろ、振り回すなって」

謎の怪火「ぴ、ぴにゃあ〜…」ビクビク

涼「それより、さっきからあいつの動きが変だぞ」

小梅「なんだか、怯えてるみたい」

涼「まさか…美玲、そのスティック貸して!」

美玲「え? いいけど、何に使うんだこんなモン?」

涼「いいから!」バッ

小梅「あ、涼さん…」

涼「うおおおおおおおおっ」ダダッ

美玲「おい、近づいていいのか!? 触ったらダメって自分で言ってただろッ!?」

謎の怪火「ぴにゃ…」

小梅「いや、なんか怖がってる…」

涼「ぐさぁーっ!」ドス!

謎の怪火「ぴ…」

謎の怪火「ぴぃ〜にゃ〜あああああ〜!!」シュゥゥゥゥ…

小梅「あ…」

涼「よし…」

涼「見たか!? こいつら、棒でブッ刺すと消えるぞ!」

涼「聞いたことがある、柚が昔ぴにゃのぬいぐるみに編み棒をブッ刺したって…それで、形が似てるドラムスティックに怯えてたんだ!」

涼「小梅の杖は形が違うからあいつらは怖がらないが…これでも、ブッ刺せば行けるはずだ!」

小梅「ぐさぁーっ…」

美玲「口に出す必要あったか?」

涼「う、うるさいな! とにかく、もっと棒を集めよう! 弱点がわかれば、こいつらなんて怖くないぞ!」

凛「ぴ…ぴにゃ…」

未央「ぴ〜にゃ〜…」

卯月「ぴにゃぴんにゃ〜ぴ〜にゃ〜にゃぴ〜にゃ〜ぴにゃぴ〜」

涼「ていっ!」ザクッ

未央「うばッ」

小梅「ぐさぁーっ…」ブスッ

卯月「へごっ」

美玲「やーッ!」ドスッ

凛「んぐっ」

未央「てて…あれ、私何やってたんだっけ…?」

卯月「う〜…なんだかお腹が痛いです…」

凛「あれ…なんだっけ、確か卯月に襲われて…えーと」

涼「やった! 刺したら目を覚ました!」

小梅「この調子で…みんな、元に戻そ」

美玲「なんかよくわかんないけど、おーッ!」

穂乃香「ぴにゃ…にゃんにゃ…ぴにゃにゃ…」

柚「ぐさぁーっ!」

穂乃香「ぴにゃこら太ー!!」

穂乃香「あれ…私、何を…」

柚「穂乃香チャン、大丈夫?」

穂乃香「柚ちゃん…? その手に持ってるのは…」

柚「編み棒だよ」

穂乃香「それで刺したの…?」

柚「刺すフリだよ〜、本気で刺したりしないって」

謎の怪火「ぴ〜、ぴにゃ〜」

忍「あ、霊が逃げてくよ! 連中、結構ビビリだね!」

柚「忍チャンが持ってるそのグロい人形って何?」

忍「知らない…なんか、気づいてたら持ってた…」

あずき「よしっ、この調子でみんな救出大作戦だね!」

夏樹「こっちに集まってるぞ!」

輝子「ヒャッハァーッ! 追い詰めるぜーッ!!」

謎の怪火A「ぴにゃ…」

謎の怪火B「ぴにゃぴにゃぴにゃ…」

ワラワラ

ちひろ「これは、凄い数です…!」

ググググ…

涼「ん!? あいつら、なにやってんだ?」

小梅「ぴにゃ魂が…一つに集まっていく…」

カッ!!

涼「うわっ…!」

小梅「まぶしっ…」

秘丹弥虚羅多尊像「ぴにゃ…? にゃにゃ…? ぴにゃにゃあ〜!」

涼「な、なんだぁ…? 大仏みたいになりやがった…」

穂乃香「ああ…なんて…なんて神々しいんでしょう…南無南無…」

忍「目を覚ませ穂乃香ちゃん!」ドボォ

穂乃香「ゾンビ人形っ!?」

秘丹弥虚羅多尊像「ぴにゃにゃ…」カッ

涼「お、おい…なんか目が光って…」

秘丹弥虚羅多尊像「ぴーっ!」ビーッ

涼「ぎゃあ! ビーム撃ってきた!!」ドタバタ

秘丹弥虚羅多尊像「ぴーっ!」ビーッ

柚「わっ」バッ

秘丹弥虚羅多尊像「にゃー!」ビーッ

柚「ほっ」サッ

秘丹弥虚羅多尊像「にゃーっ!」ビーッ

柚「やっ」ヒョイ

柚「ね、ねぇ、なんかアタシばっか狙われてない!?」

あずき「気のせいじゃない?」

秘丹弥虚羅多尊像「ぴにゃ〜にゃんにゃ〜にゃ〜ぴ〜ぴ〜にゃ〜」カッ

ボカーン!!

柚「ぐふっ…!」

ズザザザザザザ!!

あずき「爆発した! 大丈夫、柚ちゃん!?」

柚「だ…」

柚「だから…アタシは…刺してないって…」ガクッ

あずき「柚ちゃーん!!」

涼「柚がやられた…なんて奴だ」

小梅「強いね…涼さん、どうする?」

涼「どうするかなんて、決まってるだろ。お前が教えてくれたんだろう、最後まで諦めないってことをさ」

小梅「うん」

涼「どんなヤツが相手でも、一緒ならきっと勝てるさ」

小梅「そうだね。行こう…涼さん」

涼「ああ! アタシ達の戦いはこれからだ!!」

FIN

涼「あれから、2ヶ月か…」

小梅「あの像、強かったね…」

涼「ああ、馬鹿みたいに強かったな…」

小梅「私、3回くらい吹き飛ばされた…痛かった…」

涼「柚はあの後も追い討ちをかけられ続けて127回は吹っ飛ばされてたな」

小梅「最後の方はヤケになって自分から先陣切って向かってたよね」

涼「あれはまさに平成のジャンヌダルクと言わんばかりの獅子奮迅っぷりだった」

小梅「先陣切ってたと言えば…」

涼「みちるな」

小梅「真っ先に向かったと思ったら…」

みちる『フゴフゴフゴ…』

涼「食ってたな」

小梅「あれはみんな引いてたね」

涼「しかも腕を食べ切ったあたりで…」

みちる『フカフカしてるけど、これはパンじゃなーい!』

涼「いや、気づけよ」

小梅「食べるまでわからないってのがすごい」

涼「そのまま気づかないで全部食ってくれればよかったのにな」

涼「いやほんと、あれで終わってたらよかったのに…あいつほんと滅茶苦茶強かったからな…」

小梅「でも、その後の涼さん達ロックトリオの活躍が…」

涼「その話はいいだろ」

小梅「そう…?」

涼「つーかみんな色々やったけど、結局決定打にはならなかったし。柚の活躍ととみちるのアレくらいだ」

小梅「押されてたね」

涼「都はあまり攻撃されなくて、『弱点を暴いてみせます!』なんて言ってたけど…結局観察してるだけで見つけられてなかったな」

小梅「完全に自分の世界に入り込んでたよね」

涼「まぁそんなわけでみんなボロボロだったわけだ」

小梅「もうやられるかと思ったら、その時…」

涼「穂乃香がな…」

小梅「穂乃香ちゃんが…ね」

涼「あれがなかったらヤバかったな」

小梅「みんなやられてたかも…」

涼「愛だな」

小梅「愛だね」

涼「そんなこんなで一件落着して、とうとう封切りしたアレの続編を観に映画館まで来たわけだけど…」

涼「いやー、イマイチだったなー!」

小梅「うん…アレの続編っていうから、期待してたんだけど…」

涼「前作の焼き直しみたいな内容だったな。いくらアレが傑作だからって、同じことやっても面白くなんないよ」

小梅「途中で、『あれ?』って思ったよね…ほとんど同じ流れだった」

涼「どこかで展開変わるのかと思ったら最後までだもんなぁ」

小梅「中盤でヒロインが死ぬところ…あそこだけはよかった」

涼「ま、その場面だけは意外性あったな…でも、そこで死んだせいで後の展開がさらにグダグダになって…な」

小梅「ヒロインが死んでるのにオチまで同じだったね…あれはない…」

涼「はは、なんかこんなの観るために頑張ったのが馬鹿みたいだよな」

小梅「ふふ…そう、だね」

涼「ま、こんなこともあるか」

小梅「ね、涼さん」

涼「ん?」

小梅「また何かやったら…一緒に観に行こ」

涼「ああ、もちろん。サンキューな、小梅」

一方、事務所では…

忍「あれ…穂乃香ちゃん、そのカバンについてるストラップ…」

柚「お、新しいぴにゃだね。うりうり〜」ツンツン

穂乃香「はい、秘丹弥虚羅多尊像です!」

柚「うげ、まさかあの時の…」バッ

穂乃香「大丈夫ですよ。ちっちゃくなったし、とってもかわいいです!」

忍「そ、そっか…ストラップにしちゃったんだ…」

ガチャ

あずき「みんなー、映写室でミーティングだってー」

穂乃香「あ、はい。それじゃ行ってくるね、ぴにゃこら太」

バタン

シーン…

「ぴにゃ…」

終わり

没にしたのが残っていたので完成させて投下したのですが、投下し始めてから何故没にしたのか思い出しました。寝ます

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