西片「高木さんのからかいに対抗するためにムキムキになったぞ!」 (14)

西片(ふっふっふ、これなら流石の高木さんでも驚くだろう。制服パッツンパッツンだし)ムキムキ

西片(しかし、笑うことは神聖な筋肉への冒涜だ。高木さんにはどうすることもできまい、これでからかってやる!)

「やっほー、西片」

西片「あ、高木さ…」

高木「奇遇だね」ムキムキ

西片「ホワッッッッ!?」

西片(高木さん、上半身がムッキムキで服がピッチピチになってる!?)

高木「どしたの? 急に大声出して」

西片(とりあえず、大声出したことをごまかさないとまたからかわれてしまう!)

西片「ちょ、ちょっと今日の英語の予習をね…ホワッツ!!」

高木「今日、英語あったっけ?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1517236423

西片(くそっ! まさか、高木さんまで同じ手で来るなんて!)

西片(それにしても…)

高木「〜♪」

西片(高木さん、なんでオレを見て平然としているんだ? まさか、この肉体美に気づいていないのか?)

高木「西片、なんだか今日は逞しいね」

西片「えっ!? あ、ああ」

西片(普通に褒められてしまったぞ…)

西片「高木さんも、今日は…えっと、でっかく見えるね」

高木「………」

西片(あれ? むすっとしてるぞ)

高木「西片って、そういうこと言うんだ…」

西片「あ!? いや、ちがくて! 今のは太ってるとか言いたいわけじゃなくて、その…」

高木「くくく…」

西片(あっ!)

高木「焦っちゃってー。こんなムキムキなんだし、誰でもそう言うって」

西片(くそ、結局からかわれてしまった…)

田辺「えー、それじゃ教科書の4955ページを…」

西片(今日は一限目から田辺先生か…)

西片(高木さんがムキムキになってきたのは予想外だったけど、高木さんにとってもオレがムキムキになるのは予想外のはずだ!)

西片(どうにかして高木さんを笑わせてやる!)

高木「ねーねー西片」

西片「ん?」チラッ

高木「サイドチェスト」ムキッ

西片「ぶふっ!」

田辺「ゴラァ西片! うるさいぞ!」

西片「ひぃっ! す、すみませんっ!」

田辺「ったく、急に筋骨隆々になりやがって…」

西片(高木さんもだろ! 叱れよ!)

高木「あっはっはっは」

西片(くっそー…高木さんめ、いきなりボディビルのポージングをするなんて)

西片(そうだ、オレだって今は筋骨隆々なんだ。このままからかわれてたら、何のための筋肉だ! オレもポージングで高木さんを笑わせてやる!)

西片(となると、高木さんのやったサイドチェストじゃ駄目だな。ここは…)

西片「ダブルバイセップス」ムキッ

高木「………」

西片「あ、あれ? ラ、ラットスプレッド」グッ

高木「うーん…座ったまんまだと、あんまり見栄えよくないね」

西片(はっ、確かに! ダブルバイセップスもラットスプレッドも正面からの肉体美を見せるポーズ! 横向きじゃ威力半減か)

西片(なら、机の上で登って)ガタッ

西片「ダブルバイセップス!!」ムキッ

田辺「授業中に何やってんだ西片ァ! ここはボディビル選手権会場じゃねぇんだぞォ!」

西片「ひぇぇっ、ごめんなさいーっ!!」

西片「はぁーっ…」

高木「こってり叱られたねー」

西片(ぐぬぬ…結局いつも通り高木さんにペースを握られてしまってる…)

高木「さーて、お昼にしよっと」

西片(お昼…そうだ、おもむろにリンゴを握りつぶしてジュースにして直に飲んでやろう! これは絶対に面白いぞ!)

高木「いただきます」パカッ

西片「ん!?」

西片(高木さん、弁当箱の中に何も入ってないぞ!? どういうことだ?)

西片「それ、空っぽだけど…」

高木「今減量中だから」

西片(減量中!? 忘れたわけじゃないのか!? じゃあなんで弁当箱だけ持ってきてんの!?)

高木「西片はお昼どうすんの?」

西片「えっ? ああ、減量ってわけじゃないけど、オレも軽く済ませようかなって…軽くね」ヒョイ

西片(ふっふっふ、このリンゴを粉々にしてやるぞ)

ググッ…

西片(あ、あれ? 砕けないな…見た目ばかり気にして握力を鍛えるのを疎かにしてしまったか…)

西片「あっ」ズルッ

西片(まずい、リンゴが指から滑ってしまった!)

高木「っと」パシッ

西片「あ…」

高木「なにやってんの、西片ー?」

西片「あ、ありがとう…」

シャリッ

西片「え」

高木「お礼に一口もらうね。はい」スッ

西片「う、うん…」パシ

西片(た、高木さんが口をつけたリンゴ…)

高木「さーて、お昼食べよっと」カパッ

西片(二重底!? 半分だけ入ってて、減量中ってそういうことか!?)

高木「西片は食べないの? リンゴ」

西片「え、えーと…」

西片(ど、どうする…オレ…?)

ぐぎゅるるるるる…

西片「うぅ…」

西片(結局一口も食べられず空腹のまま放課後になってしまった…くそっ、高木さんめ!)

高木「それにしても、今日は暑いなぁ」

西片「あ、ああ、そうだね」

高木「もう、脱いじゃおっかな」

西片「えっ?」

しゅるっ

西片「だ、駄目だ高木さん! 女の子がこんなところで肉体美を見せつけたら…!」

高木「よいしょ」カパッ

西片「え」

高木「ふぅ、涼しい」

西片(こ、これは…肉じゅばん!? 中は普通の制服…)

西片(高木さんの筋肉は偽物だったのか!?)

西片(考えてみれば、人がいきなり筋骨隆々になるわけがない!)

高木「西片は暑くないの?」

西片「え、いや? 別に…」

高木「本当に? 汗とかかいてるんじゃないの?」

西片「あ、ああー…どうかなー…」

西片(高木さんのからかいで汗はかきまくってるけど…それがバレたら恥ずかしいぞ…)

高木「ね、拭いてあげよっか」

西片「い、いいよ別に!」

西片(これは、からかいとかバレるとか関係なく恥ずかしい! みんなに見られてしまう!)

高木「遠慮しなくていいって」スッ

西片「ああっ…!」

キュッ…

高木「あれ…え…」スッ

西片「え?」

西片(高木さんは何かに気づいた様子で、ハンカチで拭く手を引っ込めた)

高木「…本物…?」

西片「う、うん…」

西片(高木さんは、オレの筋肉も肉じゅばんだと思ってたらしい。本物と知って、ドン引きしていた…)

西片(ある意味、高木さんをからかうことには成功したのかもしれない。けど、同時にオレは大切な何かを失ってしまった…)

終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom