提督「何で子の日死ぬかなぁ……」(28)


大淀「何、超絶不謹慎な たわごと言ってるんですか」

提督「すまん」

提督「もちろん現実の子の日の事じゃないぞ」

大淀「だったら何なんです?」

提督「年末、大掃除してたらさ」

提督「スーファミとソフトをいくつか見つけてな」

大淀「……ゲームの話ですか」

提督「正解。察しがいいな」

大淀「というか、スーファミって……よく動きましたね」

提督「俺もビックリ」

提督「まあさすがにソフトのデータは飛んでたけどな」


提督「で、懐かしさもあって、ク○ノトリガーやFF6なんかをやってたわけよ」

大淀「まあ大掃除あるあるですね」

提督「そうそう」

提督「けど、一個だけクリアしてないゲームがあってさ」

提督「それで艦娘の名前を拝借したんだけど……」

大淀「RPGですか?」

提督「ダビスタ3」

大淀「だびすた?」

提督「正式名はダー○ース○リオンっていう競走馬を育てるゲーム」

大淀「競走馬?」

提督「競馬の馬を育てるって言えば分かるか?」


大淀「……提督って負けてばかりなのに何故競馬が好きなんですか?」

提督「ほっとけよ!」

大淀「私には理解しかねます」

提督「……話を戻すけど」

提督「まあやれば分かるんだが、結構馬の入れ替わりが激しくてな」

提督「いちいちこった名前を考えてると、凄く疲れる」

提督「という事で……」

大淀「艦娘の名前を使ったと」

提督「そういう事」

大淀「話は分かりましたが、子の日はなぜ死んだんですか?」


提督「大事に使ってたんだけどなぁ」

提督「レース中に故障発生して予後不良」

大淀「予後不良?」

提督「治らない大怪我……って感じかな?」

大淀「へえ……」

提督「ちなみに現実でも予後不良と判断された馬は」

提督「安楽死の処置が取られるんだよ」

大淀「……何か可哀想ですね」

提督「その辺は俺も詳しくは知らないけど」

提督「下手に直そうとすると、余計に苦しむんだそうだ」

大淀「それで安楽死……ですか」

提督「まあ現実ではそんなに無いから」

提督「でもゲームでは頻発するんだよ……」

大淀「嫌なゲームですね……」


大淀「でもゲームなら、リセットとかで回避できたのでは?」

提督「それがなぁ」

提督「子の日のレースがあった同日に漣は重賞(大レース)勝ってて」

提督「それも無しになってしまうのはちょっと……と思って……」

大淀「つまり提督は漣の一勝のために子の日を犠牲にしたと」

提督「……身もフタもないが、そうなる」

大淀「酷い人ですね、提督は」

提督「俺だってやりたくてそうした訳じゃないんだよ……」

提督「子の日だって足柄に高い種付け料払って種付けして生ませた」

提督「期待の馬だったのに……」

大淀「ちょちょちょ、提督」

提督「へ?」


大淀「た、種付け、って……」

提督「ああ、牝馬(ひんば)に良血馬の子供を孕ませる事を」

大淀「内容を聞いている訳じゃありませんよ!?」

大淀「あんまり想像したくないんですけど……ひょっとしたら」

大淀「メスの馬に艦娘の名前を使ってるんですか?」

提督「うん」

提督「ちなみに牡馬(ぼば)はMSの名前使ってる」

大淀「聞いてません」

大淀「って言うか、艦娘の名前使うの止めた方がいいと思います」

提督「なんで?」

大淀「なんでって……提督は」

大淀「自分の名前がそういう使われ方されたら嫌じゃないんですか?」


提督「……ちょっと嫌かな」

大淀「なら、止めてください」

提督「分かった」

大淀「本当に止めてくださいよ?」

提督「分かってるって」

大淀「もう……」

提督(なんつって、止めないけどね)

提督(うっかり口に出さなきゃ大丈夫だろ♪)

提督(さて、次は足柄に何を種付けするかな)


その日の夜

執務室


提督「漣……結局G1は取れずか」

提督「んじゃ、漣も繁殖牝馬に上げて……と」

提督「種付けして良い子が生まれるといいなぁ」

提督「お、足柄、3頭目の子馬が生まれた」

提督「こいつも牝馬か……よし」

提督「今度は重巡の鳥海にしよう」

提督「走ってくれるといいなぁ」

提督「…………」

提督「そろそろ、新しい牝馬を入れるべきだろうか?」

提督「億単位の牝馬なら、G1取れるかな……」

提督「うーん……」


―――――――――――

数日後

執務室


提督「…………」

大淀「…………」

提督「…………」

大淀「……提督?」

提督「……ん?」

提督「何だ? 何か問題か?」

大淀「なんだか元気が無いようなので、どうしたのかと」


提督「……例の競馬ゲーム」

提督「ほんと、上手くいかなくてな……」

大淀「まだやってたんですか」

提督「ほっとけ」

大淀「また予後不良ですか?」

提督「いや……」

提督「不受胎」

大淀「ふじゅたい?」

提督「種付けしたのに孕んでくれないの……」

大淀「聞いた私がバカでした」


提督「何で孕まないんだよ……12億も出して買った馬なのに……」

提督「一頭も生まないまま死んでしまったんだよ……」

大淀「何でしょうね……ショックなのは分かるんですが」

大淀「いまひとつ同情できません」

提督「俺自信無くすわ……」

大淀「もう競馬ごと止めたらいいと思います」

提督「何でだよ!?」

提督「そりゃ確かにちょっとギャンブル運は無いよ!?」

提督「でも種付けすら上手く行かないって無いんじゃないの!?」

大淀「いや、私は仕事に支障をきたす程のめり込むのを、という意味で……」

提督「ちきしょー!」

提督「こうなったら意地でも孕ませてやる!」

大淀「何でそうなるんですか!?」


     バァン!

青葉「話は聞かせてもらいました!」

提督「」

大淀「」

青葉「いやいや以前からお二人は仲がおよろしいので」

青葉「結婚(ガチ)も秒読みと思っていたんですが」

青葉「もう孕む、孕ませるという関係にまで発展していたんですね!」

提督「い、いや、青葉!」

提督「これには事情が!」

青葉「提督、見苦しいですよ!」

青葉「青葉のヘルイヤーは、しかと孕ませると聞き及んでいます!」


大淀「あ、あの、青葉! 話を聞いて!」

     ドドドドドドドドド!

金剛「テ、テイトクー!」

金剛「孕ませるって、金剛をでスかー!?」

青葉「違いますよ、金剛さん」

青葉「提督は大淀さんを孕ませる おつもりなんですよ!」

金剛「ホワ―――――――――――ッツ!?」

提督「」

金剛「どういう事ネー!? テイトクー!? オオヨドー!?」

大淀「だ、だから、ええと……ゲームの話でして」

金剛「なっ!? 孕ませゲームでスかー!?」

金剛「なら金剛も参加しまース!!」

大淀「違ぁーう!!」


青葉「なんと!」

青葉「誰が提督の子供を孕むか、競うゲームを実行中だったとは!」

提督「」

大淀「」

青葉「これはどえらいスクープですよ!」

青葉「さっそく記事にせねば!」

     ダッ!

提督「ま、待て! 青葉!」

     ガシッ

金剛「テ・イ・ト・ク」

提督「」

金剛「ど こ へ 行 か れ る ん で ス か ー?」


提督「お、落ち着け、金剛」

提督「これはいわゆる……その……誤解……そう!」

提督「誤解というやつなんだ!」

大淀「そ、そうなんですよ!」

大淀「なので、私と提督はそういう関係では……」

金剛「Oh!」

金剛「という事は、金剛を孕ませてくれるわけでスねー♡」

提督「だー!! だから孕ませるとかから離れてくれ!!」

提督「大淀! 金剛は俺が抑えておくから青葉を!」

大淀「は、はい!」

     タッ タッ タッ…


―――――――――――

提督「…………」

大淀「…………」

提督「……疲れた」

大淀「……まったくです」

大淀「半日かかって説明して、どうにか収まりましたけど……」

大淀「そもそも提督が競馬のゲームに艦娘の名前をつけたりするから……」

提督「うん……反省してる」

提督「すまん、大淀……」

大淀「……もういいです」

大淀「それでは、今日はここまでにして休みますね」

提督「おう……」


大淀「……ところで」

提督「ん?」

大淀「私の名前、使ったりしました?」

提督「使ってないよ」

提督「さすがに好きな女の子の名前は……」

大淀「え」

提督「はっ!?」

大淀「…………」

提督「…………」

提督「今の……聞かなかった事にしてくれないか?」

大淀「…………」

大淀「それは……ちゃんとした形で伝えてくれる、という事ですか?」


提督「……お、おう」

大淀「そうですか」

大淀「では、その日を楽しみにしておきますね」

大淀「提督」 ニコッ

提督「ん……」

     パタン

提督「…………」

提督「馬に艦娘の名前なんて付けるんじゃなかった……」

提督「はあ……」






     3日後

     大淀に告白してOKもらって

     無茶苦茶種付けした。





     おしまい

今日も鎮守府は平和です。

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