キリカ「美樹さやかと間違えられて変なとこ連れて来られた」 (61)

今度こそ、完結させます

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--通学路--

まどか「おっはよー」

杏子「おっせーぞ。まどか」

キリカ「おはよう、鹿目。あれからちゃんと眠れた?」

まどか「はい、一応……。でも今日の予習をする時間がなくて……」

杏子「まだマシじゃねーかよ。あたしなんか宿題すっぽかしちまってさぁ。やっべーわ。まじで」

まどか「うわぁ……」

杏子「なぁまどか。後で写させてよ」

キリカ「駄目だよ佐倉。鹿目を悪い道に引きずり込むんじゃない」

杏子「何だよ、自分の分だけちゃっちゃとすましやがったくせにさ」

キリカ「や、私は三年だから佐倉とは宿題の内容が違うわけで……ていうか、君私が勉強してる間ずーっとテレビ見てたよね! 勉強やる気0だったよね!」

杏子「そうだ。これからあたしの分もキリカがやればいいじゃん。一年年上なんだからあたしの宿題ぐらいらっくしょうだろ?」

キリカ「宿題っていうのは自分でやるから価値があるんだよ。他人に任せるものじゃない」

杏子「で、本音は?」

キリカ「自分の分だけでも面倒なのになんでいちいち佐倉の分までやらないといけないの? そんな暇があったら睡眠時間に使うね」

杏子「なんだとぉ!?」

キリカ「佐倉が本音で言えって言ったから本音で言ったんじゃないか!」

杏子「ひよっこの分際で言ってくれんじゃん! 先輩の言う事が聞けねぇのかよ!」

キリカ「魔法少女では確かに君の方が先輩だけど、学校では私の方が先輩だ!」

まどか「二人ともやめてよー!!」


--学校--

キリカ「じゃぁ私は上の階だから」

まどか「はい、また昼休みに」

杏子「はぁ……本当、宿題どうしよう」

キリカ「……はい、これ」

杏子「あれ、それあたしのノート……宿題、全部やってあんじゃん!」

キリカ「今回限りだよ。本当は宿題は自分でやった方がいいんだから」

杏子「さーんきゅ! キリカ」

キリカ「本当に今回限りだからね! 後帰ったらみっちり答えの解説するからそのつもりで!」

杏子「はいはい分かってるって。いやぁあたしはいい後輩持ったなぁ」

キリカ「だから……もういいよ、まったく」

まどか(キリカさんは杏子ちゃんに甘いなぁ……)

--昼休み--

杏子「じゃぁ何? マミもキリカも知ってたって事?」

マミ「ごめんなさいね。みんなをびっくりさせてみたくなっちゃって」

キリカ「私は教えてもいいと思ったんだけど巴が……」

マミ「そんなこと言ってあなたもノリノリだったくせに」

キリカ「……ま、うん。その、なんだ。否定はしない」

ほむら「本当はゆうべのうちにご挨拶しなきゃいけなかったのに……」

杏子「あ、もしかしてゆうべあたし達がナイトメアを追い詰めた先で待ち構えていたのってマミだけじゃなくて」

マミ「ご名答。暁美さんにも手伝ってもらったの。凄いのよ彼女の魔法。コンビネーションで攻撃力を何倍にも圧縮できるんだから」

ほむら「わ、私にできるのはサポートだけで攻撃そのものはからきしですけど……」

杏子「まぁ実力は昨日で証明済みって事ならね。あたしは別に文句はないよ」

ほむら「あらためて……暁美ほむらです。これから皆さんと一緒にこの街のナイトメアと戦います。どうかよろしくお願いします」

まどか「こちらこそ! これから一緒に頑張ろうね。ほむらちゃん!」

--夜--

杏子「ふぁあ。こりゃ今日はもうナイトメアは出ないな」

キリカ「……そうだね。帰ろうか」

杏子「……なぁ、キリカ」

キリカ「ん?」

杏子「あたしがあんたの家に居候したのっていつだったか覚えてる?」

キリカ「そんな優先度が低い記憶もう頭から消したよ」

杏子「何だよそれ! ひっでーな」

キリカ「……突然どうしたんだい?」

杏子「いや、その……変な事言うようで悪いんだけどさ。……何かが違うんだ」

杏子「あたしは魔法少女になってからずっとナイトメアと戦ってきたけど、その時一緒にいたのはあんたじゃなくて……別の誰かだったような」

キリカ「それは、私が嫌いという意味と解釈していいのかな」

杏子「悪い、そういう意味じゃないんだ。意味じゃないんだけど……」

杏子「……そもそも、あたし達が戦ってきたのってナイトメアだっけ? 何かもっと、やばい奴らと戦ってきていたような……」

キリカ「やばい奴ら?」

杏子「……駄目だ。思い出せない」

キリカ「……君の言うやばい奴らってのが何だか分からないけれど。ナイトメアとの戦いだって命を落とす可能性はあるんだ。そういう考え方は感心できない」

キリカ「それに……別の誰かって誰? そんな言い方をされると、少し嫉妬してしまうね」

杏子「本当、何言ってるんだろうな、あたし。気分悪くさせてごめん」

キリカ「……別にいいけど。ほら、早く帰って宿題やるよ。魔法少女と学生、ちゃんと両立させないと」

杏子「……気がめいるなー」

キリカ「まったく君は」


杏子「zzz」

キリカ「結局今日も宿題途中で寝ちゃって……」

キリカ「ほんっと、真面目にやれば出来るのに、やらないんだからなぁ……」

キリカ「……別の誰か、か。まぁ、流石にいろいろ取り繕ったって無理が出るか」

キリカ「暁美ほむらが真実に辿りつくのが先か。それともこの世界の破綻が先か」

--数日後--

杏子「……あれって志筑仁美のナイトメアなのか?」

キリカ「間違いないんじゃないかな」

杏子「……」

キリカ「どうしたの? 佐倉」

杏子「……あいつは、こんな事になる事を望んだのか?」

キリカ「あいつ?」

杏子「……惚れた男の為に、全てを尽くしたんだよ、あいつは。なのにその男はヴァイオリンに夢中で、それなのにあの男……上条は志筑と付き合いはじめて、しかもこの結果がこれじゃぁ……」

キリカ「また、別の誰かの話かい?」

杏子「……なぁ、キリカ。愛って何だろう?」

キリカ「無限に有限だよ」

杏子「……さっぱりわかんねぇよ」

キリカ「まぁ、この状況は……一言で言うと愛というものの方向性の違いが原因かな」

杏子「愛の方向性?」

キリカ「志筑は上条に対して愛を送信している。それに対して上条が愛を志筑に返信する。愛とは本来そういう風にあるべきで、その結果としお互いで愛を高め合い、無限の域に到達するんだ」

キリカ「だが、現実には志筑の愛は上条に届いていない。それどころか上条の愛はもっぱらヴァイオリンの方向に向けられている。まぁ上条の方は置いとくとしても、志筑の一方通行の愛はどうなってしまうのか」

キリカ「その結果がこれさ。最もナイトメアという形になるだけマシかもしれない。もしナイトメアという形にすらなれなければ、いずれとんでもない事になっていただろうね」

杏子「……あんたの愛談義はいつ聞いてもよくわかんねぇ」

キリカ「いや、随分わかりやすく説明しているつもりなんだけど……」

マミ「危ない! 避けて!」

杏子「うわ!……あぶねぇ」

キリカ「へぇ。愛の力で作られたナイトメアだけあって、大した力だ」

マミ「二人ともふざけてないで。真面目にやらないと危ないわよ」

キリカ「いや、私は愛について真面目に……」

マミ「呉さん。怒られたい?」

キリカ「……ごめんなさい」

マミ「よろしい」

まどか「おまたせ!」

ほむら「遅れてしまってごめんなさい!」

マミ「これで全員そろったわね」

マミ「それじゃぁ、いくわよみんな!」

ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット!!

まどマミ「ティロ・デュエット!」

ほむら「リリース!」

ナイトメア「!」

キリカ「佐倉、私達もいくよ!」

杏子「おう、いつでもいいぜ」

キリカ「ステッピングファング!」

杏子「アミコミ・ケッカイ!」

ナイトメア「!?」

マミ「呉さんの爪の投擲に佐倉さんの結界を縫い付けての拘束……流石ね」

マミ「さぁ、みんな。仕上げよ!」

ケーキ! ケーキ! まぁるいケーキ!

略!

まどか「やったね!」

ベベ「ゲプー!」

キリカ「……佐倉、私の爪の投擲、少し遅れてたかな」

杏子「あぁ、それであたしのアミコミケッカイのタイミングがずれてナイトメアの拘束が数秒遅れた。ま、今後の課題だな」

マミ「でも、最初に比べたら随分と成長したと思うわよ。あの頃は呉さん、チームワーク無視でほとんど一人で戦ってたし」

キリカ「うーん……コンビプレイは苦手ではないと思っていたんだけど、その、前に一緒に組んでいた魔法少女とはまたタイプが全然違うというのもあって……」

杏子「ま、そんないちいち真面目に考えるなよ。着実に成長してるんだしさ」

キリカ「そう言ってもらえると助かる。助かるけど……」

キリカ「……私が数か月かけて身に着けたコンビネーション、暁美はこの一か月であっさり抜き去ってる気がするんだよなぁ」

ほむら「そ、そんな事……」

マミ「話はそこまで。反省会は私の家でやりましょう」

--マミの家--

マミ「カモミールティーが後一回分残ってるわね。新しく封を切ったエキナセアもあるけど……」

キリ杏「酸っぱいのは嫌だなー」

マミ「……」

まどか「どうしたんですか? マミさん」

マミ「いえ、その……呉さんと佐倉さんってたまに姉妹みたいに見えるわよね」

キリ杏「!?」

まどか「あ、それ私も思ってました。好きな物も似てるし、考え方も結構似てますよね」

杏子「こいつとあたしが!?」

キリカ「……仮に姉妹に見えるとしよう。で、その場合」

キリ杏「どっちが姉に見えるんだ!?」

マミ「……」

キリカ「……鹿目!」

杏子「……まどか!」

まどか「え!? えぇと……どっちもお姉ちゃん?」

キリカ「いやいや! あたしの方が一年先輩だし!」

杏子「魔法少女歴はこいつとは比べ物になんねぇぜ!」

キリカ「何さ!」

杏子「やるか!」

マミ「はいはい。喧嘩している子達にはチーズケーキあげないわよ」

ベベ「チーズ! チーズ!」

キリカ「……一時休戦で」

杏子「……わかったよ」

ベベ『……キリカ! キリカ!』

キリカ『……ねぇ百江。君はどっちが姉に見える?』

ベベ『そんな事はどうでもいいのです! ……キョウコの様子はどうですか?』

キリカ『あぁ、うーん……着実に気づきはじめてる。もうあんまり長くはもたないだろうね。でも……』

ほむら「……私達の戦いって……これでよかったんだっけ?」

まどか「? どうしたのほむらちゃん」

ほむら「あ、うぅん何でも……」

キリカ『……暁美もそろそろ真実に辿りつきそうだ』

ベベ「……」

ベベ『キリカ。ずっとこのままでいたいと思うのは……なぎさの我儘でしょうか』

キリカ『突然何を言いだすんだ?』

ベベ『私はマミと一緒にいれて……とても幸せなのです。キリカだってキョウコと一緒にいれて幸せではないのですか?』

キリカ『……この世界には織莉子がいない。私に未練はないよ』

ベベ『……』

キリカ『……君は巴に、真実を話せるのかい? それこそ君が巴を殺したということまで』

ベベ『そ、それは……』

キリカ『……暁美ほむらの結界の影響かな? 忘れては駄目だよ。私達は暁美ほむらを円環の理に導いて、この世界を破滅させる為にここにいるのだから』

ベベ『……はい、なのです』

--数日後--

杏子「……で? 話って何さ」

ほむら「えぇと、その……佐倉さん」

ほむら「最近何かがおかしいって思いませんか?」

杏子「……何かって……何が?」

ほむら「それは、その……何となく。でも……何もかも」

杏子「へぇ~……あんたもそう考えてたんだ」

ほむら「!? じゃぁ佐倉さんも?」

杏子「漠然とだけどな。例えば……あたしはキリカの家に住んでるけど……それがいつからだったか、正確に思い出せない」

杏子「そもそも呉キリカという存在がひっかかる。あたしはあいつとじゃなくて、もっと別の誰かと一緒に戦っていた気がする。それもまた思い出せない」

杏子「ナイトメアにしたって、あたし達が戦ってきたのはあんな奴らだったか? もっと別の何かだったような……これも思い出せない」

杏子「思い出せない。思い出せない。思い出せない事ばっかりだ。……あんたはどう思う?」

ほむら「……私も大体同じです。……他に付け加えるならば」

ほむら「あなたの私の中での印象がその……あまりにも違いすぎるんです。佐倉さんってこんなじゃなかったような……」

杏子「あたしに喧嘩売ってんのか?」

ほむら「……」

杏子「……冗談だよ。……それで? あたしをわざわざ誘って何がしたいのさ」

ほむら「……佐倉さん。今から私と一緒に風見野に行ってみませんか?」

杏子「……いいぜ。あたしも少し確認したい事があったしな」

杏子「あたしがおかしいと思っていた事はもう一つあったんだよ」

杏子「あたし達にとって身近な連中はそれほどでもないけど……街ですれ違うような連中がさ。みんな、まるで何かを演じているような……」

杏子「だから、風見野がどうなっているのか確認したかったんだ。したかったんだけど……」

杏子「……まさか、街そのものに入れなくなってるなんてさ……ほんと、悪い冗談にしか思えねぇ」

ほむら「そもそも、この見滝原に外なんてないのかも」

杏子「……この見滝原が誰かに作られたものってことか? ……そんな大規模な事……」

杏子「……できるとしたら、相当な化け物だな」

ほむら「……これは、ひょっとして、魔女の?」

杏子「魔女? 何だそれ」

ほむら「魔女は私達が戦ってきた敵です。魔法少女が世界に希望を振りまく存在なのに対して、魔女は世の中に呪いを撒き散らします」

魔法少女のなれの果てという説明はあえて避けた
今説明する必要性は薄いし、変に混乱させる必要もない

ほむら「そして、ほとんどの魔女は自分だけの世界……結界を持っています。そう、まるでこの見滝原のように」

杏子「……魔女があたし達の戦ってきた敵?」

確かにあたしは似たようなものと戦ってきた気はするけど、確かそれは魔女ではなく……

杏子「……まぁ、いいさ。それで、魔女とやらの目星はついているのかい?」

ほむら「……目星はついているのですが……」

ほむら「一人はベベです。私は過去にあれと同じ姿の魔女と会った事があります」

杏子「ベベ、か。確かにあの不思議生物何者だとは思っていたけど……。ただ、あいつはマミの大切な友達だよ。もしベベが黒幕だったら、最悪」

ほむら「はい。巴さんと戦う事になります」

杏子「……さらっと言うじゃないか。まぁあんたの時間停止の敵ではないかもしれないけどさ」

ほむら「ただ、結界を作るというところに関して言うのであれば、もう一人、魔法少女でありながら魔女の結界を展開した人がいるんです。……佐倉さんには言いにくいんですけれど」

杏子「……呉キリカ、か」

ほむら「……はい。今の時点で疑わしいのはこの二人です。どちらかが黒幕なのか、或いは……どちらも黒幕なのか」

ほむら「そこで佐倉さんお願いしたい事があります」

杏子「……言ってみな」

ほむら「その……呉さんと今一番親しいのは佐倉さんだと思うんです。佐倉さんなら呉さんの正体を暴く事が出来るかもしれません。いえ、勿論無関係という可能性もあるのですが……」

杏子「あたしに、キリカに探りを入れろってことか」

ほむら「……はい。私はベベの方をあたってみようと思います。もし片方が無関係であるのならいいのですが、もしも両方が黒幕だった場合、はずれた時のリスクが大きい」

杏子「2人同時にしかけようってわけか。……いいよ。キリカの方は任せておきな」

ほむら「……自分で言っておいて難なのですが……いいんですか? 呉さんは佐倉さんにとって大切な友達なんじゃ」

杏子「だからこそ、だろ。それにあいつには個人的にいろいろ聞きたい事があったんだ」

杏子「じゃぁまぁ、あんたはベベ、あたしはキリカだな」

ほむら「はい。……気をつけてください」

杏子「あんたもな。うんまい棒、食うかい?」

ほむら「はい、ありがとうございます」

杏子「……おい、何であたしの手掴むんだよ」

ほむら「その……絶対生きてまた会いましょうね」

杏子「何だよ、突然。……あたしがキリカに遅れをとるとでも思ってるのか?」

ほむら「その、怒らないで聞いてほしいんですけど……何か、私の記憶だと私と佐倉さんが共闘した場合、高い確率で佐倉さんが途中で死んでしまっていたような気がして……」

杏子「なんだよそれ! あたしはそんな記憶ねぇぞ! ……覚えてないだけかもしれないけど」

ほむら「だから絶対! 絶対生きてまた会いましょうね!」

杏子「……じゃぁこんなのどうだ? 生きてこの世界から抜け出せたら、あんたが風見野のラーメン屋であたしにおごるってことで。約束守る為には死ぬわけにはいかなくなるだろ?」

ほむら「わかりました! 約束します!」

杏子「どんだけ必死なんだよ……。分かった。無理はしないし極力戦闘にならないようにするよ」

まぁ、相手側がそれを許すなら、だが

キリカ「わざわざ電話で呼び出してどうしたの? 何も話なら私の家ですればいいのに」

杏子「あぁ、悪ぃ。……外でなきゃ話せないような用事でさ」

キリカ「ふーん……」

キリカ「……ここは随分開けた場所だね。周りに障害物と呼べるようなものもなく、風も心地よい。なんていうか」

キリカ「佐倉。君の槍を使うにはうってつけの場所だ」

杏子「……まぁ、バレるよな。むしろ何であっさり来てんだよ。場所指定を変更する事だってできただろうにさ」

キリカ「うーん……まぁ、場所を変えても大差ないと思ったのさ。それだけ私と佐倉じゃ実力に差があるよ」

杏子「……そうか? 狭い場所での戦いだったらあんたに分があると思っていたけどな。この場所でならあたしが多少有利ってぐらいか」

キリカ「それはあまりに君自身を過小評価していると思うね。或いは私を過大評価しているというべきかな」

杏子「いーや、そんな事はないね。狭い路地裏とかで戦えば多分あんたが勝つ」

キリカ「ないよ。ないない。……少し人を見る目がないんじゃない?」

杏子「何だと!? じゃぁ試してみるかよ!」

キリカ「はぁ!? いいよ! 私絶対負けるから!」

杏子「上等だ! じゃぁ今から路地裏に……」

杏子「……違う違う」

キリカ「……あぁ、うん、ごめん。そんな話じゃないんだろうね」

キリカ「それで、何が聞きたいの? わかる範囲なら答えるよ」

杏子「……やけに素直だな。何をたくらんでる?」

キリカ「たくらむも何も……もう逃げる意味もあまりないし。ここまで来たら暁美が真相に辿りつく前に君が辿りつこうとあまり関係はない」

杏子「……まぁ、いいさ。じゃぁ単刀直入に言うよ」

杏子「あんたが黒幕なのか?」

キリカ「黒幕かと言われると……違うよ。でも大体今の状況は把握している。ついでに言うなら黒幕が誰かも知っている」

杏子「本当か!?」

キリカ「焦らないで。とはいえ……そうだなぁ、何から話せばいいか」

キリカ「……君はこの魔女の結界だと考えている。それで魔女の結界を作ったのが私かベベの仕業だと考えた。……大体そんなとこ?」

杏子「……あぁ」

キリカ「魔女の結界というのは正解だ。でもこれは私の仕業でもなく、当然ベベの仕業というわけでもないんだ。魔女の結界はいろんな種類があるけど、少なくとも私達のものは見滝原まるまる再現する程のものじゃない」

キリカ「そもそも……魔女なんて存在するわけがないんだよ。魔法少女は魔女になる前に円環の理に導かれる。……まぁそのせいで魔獣なんてものが産まれてしまったんだけどね」

杏子「待て。魔獣……そうだ、あたしが戦っていたのは魔獣であって魔女じゃない」

杏子「……ていうか待てよ! 魔法少女が魔女になるってどういうことだ!?」

キリカ「そういう世界があったぐらいの理解でいいよ。今はもう違うんだから」

キリカ「ただ、君も知っての通り魔獣は結界をはったりしない。じゃぁそもそも何故魔女の結界なんていうものが今存在しているのか」

キリカ「……少し話が脱線するけど、私じゃない『別の誰か』。そろそろ思い出した?」

杏子「……え?」

キリカ「君は魔獣と戦っていた。でもそれは君一人だけではない。巴マミ、暁美ほむら、……そして、もう一人。魔獣との戦いで命を落とした仲間」

杏子「……あ」

キリカ「……どう? ……ほら、『み』で始まって『か』で終わる」

杏子「……さやか。そうだ! 美樹さやか!」

キリカ「正解」

杏子「……そうだ……さやかは……もう死んで……」

キリカ「悲嘆にくれてるところ悪いけど、話を進めてもいいかな」

キリカ「まぁ、私もベベもさやかと同じように既に魔獣によって殺されているんだけどね。いや、この世界だとどうなってるんだったか……まぁそこはそれ程重要でもないからとばすけど」

杏子「……おい待て。殺されているってどういうことだ?」

キリカ「また後で説明するよ。それよりも、だ。ここまで思い出せているのなら、その先も思い出せるはずだよね」

杏子「え?」

キリカ「いや、だからさやかの次だよ。……ソウルジェムが限界まで濁ってしまった仲間がいたはずなんだけど」

杏子「……」

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杏子「おい、大丈夫か!? しっかりしろよ!! おい!!」

マミ「……駄目よ。もうソウルジェムが……」

QB「彼女は僕に任せてほしい。ひょっとしたら彼女を助ける方法が見つかるかもしれない」

マミ「本当!?」

杏子「……嘘ついてんじゃねぇだろうな」

QB「僕は嘘をつかないよ。……どうするんだい? もう他に方法も時間もないと思うんだけどね」

杏子「……」

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杏子「……暁美、ほむら」

キリカ「普通なら円環の理によって魔法少女は魔女になる前に救済される。でも、しろま……キュゥべえはそれに対して対策を打った。ソウルジェムを現状の状態に固定する為の結界を構築する。そうすることでほむらは魔女にならない。魔女にならないから円環の理による救済もできない。結果としてソウルジェムの中だけに、彼女は魔女の結界を作り出した」

杏子「……おい、まさかあんた、ほむらが黒幕と言いたいのかよ!」

キリカ「この場合黒幕はキュゥべえだと思うけどね。でもまぁ、この魔女の結界が誰のものかといえば……暁美ほむらのものだ。ただ、キュゥべえはそれに対して内部から外部への干渉はできるが、外部から内部への干渉は出来ない類の結界をほむらのソウルジェムの周りに作ったらしい。だから、君やマミといったほむらの中での主要人物は内部……ほむらからの干渉でこの世界に導かれた」

杏子「……なんだよ、それ。それじゃぁ……ほむらが、嘘をついているってことか!?」

キリカ「や、彼女は現状を理解できていない。この魔女結界にいる人間は全て記憶を書き換えられてるのはほむらも例外ではない。例外は私やベベだけだ」

杏子「……何故、あんたやベベは記憶を書き換えられていないんだよ」

キリカ「それは、私達が……」

『キリカ、キリカ……』

キリカ「……?」

杏子「どうした?」

キリカ「いや、今ベベからテレパシーが……ちょっと待って」

キリカ『……百江? どうしたんだい?』

なぎさ『なぎさはどうやらここまでみたいなのです……ほむらに首を絞められているのです……』

キリカ『……え!? 何それ!? どういう状況!?』

なぎさ『暁美ほむらがマミの家に来て、マミのいないタイミングで……この通信はほむらからの時間停止の影響を受けていない時に送っているのです。……多分もう、なぎさは生きていません』

なぎさ『キリカ、まどかの記憶と力、任せたのです。あぁ……せめて、死ぬ前に、冷蔵庫の中のチーズを全て……食べておく……んだった……』

キリカ『百江!? 百江ぇえええ!!』

キリカ「……緊急事態だ」

杏子「……? どうしたんだ?」

キリカ「ベベが暁美に襲われた」

杏子「……!? あいつ、先走りやがって……」

キリカ「このままでは、暁美が危ない!」

杏子「……? ベベが危ないんじゃないのか?」

キリカ「や、ぶっちゃけベベはどうとでもなるんだけど……ベベを襲ったという事は、そのまま巴と敵対する事を意味する」

キリカ「……このままでは暁美が、巴に殺される」

杏子「……!? ……いやいや、ないだろ。ほむらには時間停止がある。例えマミでもあれに勝てるとは思えないね」

キリカ「巴は油断さえしなければどんな逆境でも覆す力がある。暁美の時間停止で何とかできるとは思えない」

杏子「……仮にそうだとしても、だ。マミがほむらを殺すなんてありえないだろ。あいつ、甘いし」

キリカ「『敵』と思われていないならね。『敵』と判断したら、巴は相手に対して容赦なんてしないよ」

杏子「……そうかねぇ。にしてもマミの事をよく知ってるんだな。まるで昔から付き合いがあったみたいだ」

キリカ「いや、何ていうか……実のところ巴とは一度殺し合いをした仲でね」

杏子「……まじかよ」

キリカ「ふぅ、着いた。……そんなに時間はかかってないはずだけど……」

もし、今の状態で暁美が巴に殺されたらどうなるんだろう……

キリカ「……考えたくもない、それに、幸い間に合ったみたいだ」

杏子「……ほむらがリボンに縛られて……ほむらが負けた、のか?」

キリカ「ベベは大丈夫そうだ。……なら、後は任せちゃっていいか」

杏子「……キリカ?」

キリカ「後の詳しい話はベベから聞いてくれ! 私は暁美と一対一で話がしたいからさ!」

そう言うとキリカは暁美の元に跳び、マミのリボンを切り裂いた

マミ「……!? 呉さん!?」

キリカ「ごめん巴! 佐倉も! 後の細かい話はベベから聞いて!」

キリカはほむらを抱え、再び跳躍する

マミ「……待ちなさい!」

杏子「……待つのはあんただよ。マミ」

マミ「……! ……佐倉さん」

杏子「なぁ、説明してくれるんだろ。ベベ」

ベベ「……はい、なのです」

マミ「……!?」

ベベ「変 身 なのです!」

そう言うとベベは魔女の姿から魔法少女の姿に変化した

杏子「……それがあんたの、正体か」

マミ「……本当に、ベベなの?」

なぎさ「今まで黙っていてごめんなさい。でも、落ち着いて話を聞いて欲しいのです」

なぎさ「……でも、話が長くなると思うので、マミの家でチーズを食べながら話をしたいのです」

マミ「……ベベね。間違いないわ」

杏子「こいつは……」

キリカ「ふぅ……さて、と」

ほむら「……」

キリカはほむらの拘束を解いた

キリカ「佐倉から大体の話は聞いた。……まぁ、凄いと思うよ、素直に。これだけの情報でベベか私をターゲットに絞ったのは上出来だ。……ひょっとしたら探偵の才能があるかもしれないね。君は」

ほむら「……」

キリカ「魔女の結界というのは正解だけれども、これはベベのものではない。お菓子の魔女はこんな大規模で、しかも回りくどいやり方をするものではなかったはずだよね」

ほむら「……そうね。つまりは」

キリカ「!? ちょ、ちょっと待った!!」

キリカは慌ててほむらの盾を弾き飛ばす

ほむら「……黒幕はあなた……いえ、あなたの背後にいる、美国織莉子の仕業ね」

キリカ「何故そこで織莉子が出てくるのさ! 大体織莉子がこんなことするわけ……」

……ちょっとありえる

キリカ「……じゃ、じゃぁこの魔女の結界は? 私はこんな風に中の人間の記憶を改竄するような魔女ではなかったはず。それは君が一番よく知ってると思うけど」

ほむら「……美国織莉子に他にも仲間がいる可能性は否定できない」

キリカ「そもそも、だ。この世界の織莉子に君は会ってるの? 自分で確認してくればいいさ。……美国織莉子はこの世界にはいない」

ほむら「……」

キリカ「つまり、私もシロだよ。黒幕ではない」

ほむら「……あなたの言葉を、私に信用しろと?」

キリカ「信用するしないは君の自由。でも、魔女の仕業と考えるなら、さ」

キリカ「まどか、マミ、杏子、私、ベベ。君はいくつもの世界を渡り歩き、彼女達の魔女に会っているはずだよ。そしてそれらのどの魔女の性質にも、この現象は合致していない」

ほむら「……」

キリカ「とするなら、だ。この結界をはった魔女の黒幕は……」

ほむら「もういいわ」

キリカ「……ふぅ、誤解が解けたようで何よりだよ」

ほむら「それが答えだとしても、疑問が残る。……あなたは何者なの? 何故魔女の事を知っているの?」

キリカ「私は……まぁ、鹿目まどかの仲間、だよ」

ほむら「……そういうこと。つまり」

キリカ「私が何者であるかはこの際そこまで君にとって重要ではないんじゃないかな。……残された時間で、君が何をすべきか思考を移したほうがいい」

ほむら「……そうね。私がすべき事は……」

ほむら「……まどか」

キリカ「じゃ。ま、あれだ」

キリカ「この結界の最後の時間を、君の為に使いなよ」

「       」

--マミの家--

キリカ「こんばんはー」

まどか「こんばんは」

マミ「呉さん。鹿目さん……」

なぎさ「まどか、キリカ、お勤め御苦労様なのです。まどかは思い出したのですか?」

まどか「うん。少しずつだけど……」

杏子「……」

キリカ「佐倉、機嫌悪そうだね」

杏子「……別に」

キリカ「……? まぁいいけどさ。……電話、なってるよ」

杏子「……ほむら……」

キリカ「出たら?」

ほむら「……ごめんなさい」

杏子「謝んなくていいよ。あんたは知らなかったんだろ? あたしだって……こんなの」

ほむら「……あなたも、真実にたどり着いたのね」

杏子「あぁ」

ほむら「こんな簡単なこと……少し考えれば分かったはずなのに。まどかがいる世界をねつ造できるとしたら、それは、まどかのことを知ってる者だけ……」

杏子「その、さ」

ほむら「?」

杏子「……全部忘れてしまえばいいんじゃない? この見滝原はあんたの理想なんだろ? だったら!」

ほむら「……それは出来ない。真実にたどり着いた以上、私が進むべき道はもう一つだけ」

杏子「おい! ほむら!」

ほむら「本当に、巻き込んでしまってごめんなさい」

まどか「ほむらちゃん……」

キリカ「鹿目。仕方のない結末だ。君が罪悪感を持つ事はない。それより……」

キリカ「……佐倉、君この世界にそんなに未練があったの?」

杏子「……悪いかよ」

キリカ「……いや、悪いというか……単純に、分からない。君にはこの世界に未練なんかないよね。美樹はいないわけだし」

杏子「……」

キリカ「だんまりって……」

なぎさ「キリカは鈍感なのです」

キリカ「百江まで…なんだっていうのさ」

なぎさ「何でもないのですよ」

なぎさ「マミの家が崩れていく……」

マミ「えぇ……そしてあれが……魔女」

キリカ「……予想以上にやばいな。下手すればワルプルギスの夜に匹敵する」

マミ「ワルプルギスの夜?」

キリカ「強いってこと。まぁ、最後の夜にふさわしいお祭りかもね」

杏子「笑えねぇな」

「待ってくれみんな!」

まどか「……キュゥべえ」

QB「あれは暁美ほむらなんだ。君たちは仲間と戦う気かい?」

QB「まどか、君なら」

キリカ「うるさい」

キリカの爪がキュゥべえを引き裂いた

なぎさ「キリカ。それは流石にキュゥべえが可哀想なのです……」

キリカ「何、いっぱいいるから大丈夫だ」

キリカ「……鹿目。さっき私が教えた風にやればいい」

まどか「う、うん」

キリカ「さぁ使い魔達! 出番だ! 思いっきり暴れてこい!」

薔薇の魔女の手下、お菓子の魔女の手下、その他諸々の魔女の使い魔達が一斉にほむらの魔女に襲い掛かる
それに対してほむらの魔女は自らの使い魔で迎え撃つ
闘いの火蓋はきっておとされた

QB「君たちは、一体、何者なんだ?」

なぎさ「私たちは、かつて希望を運び、いつか呪いを振りまいた者たち」

キリカ「そして今は円環に導かれ、この世の因果を外れた者たち」

QB「そんな……」

キリカ「鹿目だけに的を絞って、うまく踊ってくれたね」

QB「じゃぁ君たちもまた、円環の理…?」

キリカ「まぁ言ってしまえば鞄持ちみたいなものだよ。ほむらの結界に取り込まれる前に鹿目が置いていった記憶と力を誰かが運ばなきゃならなかったからね」

なぎさ「いざとなったら、私かキリカかどっちか無事な方が預かっていた記憶と力をまどかに返す手筈だったのです」

キリカ「いろいろ手違いはあったけどね! ほんっとうに苦労したよ。まぁ私自身暁美ほむらに後ろめたいところもあるしね。借りの一つぐらいは返さないと」

マミ「鹿目さん。私たちもいくわよ」

まどか「マミさん!」

やめて 私はこの世界で 死ななければならないの

キリカ「それは無理な相談だ!」

ほむらの魔女の中で一際強い精鋭部隊がキリカに襲い掛かる

キリカ「!!」

対するキリカも自らの魔女と使い魔を召喚し抵抗する

キリカ「やるな……流石に……」

杏子「ち、全くわけのわかんねぇ事に巻き込みやがって!」

キリカ「佐倉!」

杏子の槍がほむら魔女の精鋭部隊を切り裂く

キリカ「助かる!」

杏子「なぁ、一つ聞いていいか?」

キリカ「?」

杏子「この戦いが終わったら……あんた消えちまうのか?」

キリカ「それは……まぁ」

杏子「……なんとかならねぇのかよ」

キリカ「え?」

杏子「私はこの時間。あんたといてとっても楽しかった。ずっとこのままでいたいと思っていた。……これって悪い事か?」

キリカ「えぇ……てっきり嫌われてるものだとばっかり」

杏子「なんでだよ!」

キリカ「だっていつも喧嘩ばっかりだったじゃないか! それに勉強も結局ほとんど私任せだったし!」

杏子「勉強は関係ないだろ! ……悪いかよ」

杏子「あんたを相棒だと思ってちゃ……悪かったのかよ……」

キリカ「佐倉……」

キリカ「まぁ、うーん……佐倉。実はその……いや、なんでもない。円環で、待ってるからさ」

杏子「それって死んだ後ってことか?」

キリカ「魂は永遠だ。私たちは死なない。それが魔法少女だ。なに、うっかり死ねばすぐ会えるよ」

杏子「冗談じゃねぇっつーの!」

杏子「……キリカ、一つ聞いていいか?」

キリカ「何だい?」

杏子「なぎさはお菓子の魔女だから私たちと接点はそれなりにあった。でも、キリカ。あんたが来るのは適任だったのか?」

キリカ「あぁ、それはね……」

キリカ「外見が似ていたせいで、鹿目に美樹さやかと間違われて連れてこられてしまったんだ」

杏子「……は?」

キリカ「いや、私も最初どうしたもんだろうと思ったんだけど、案外うまくいくもんだよね。良かった良かった」

杏子「ちょっと待てよ! 神様がそんなミスするか!? 普通!!」

キリカ「鹿目だからなぁ……まぁ、うん。私も正直いろいろ言ってやりたいものはあるんだけど」

杏子「ぷ……あははは、何だよそれ!」

キリカ「笑うな! 私は必死だったんだ!」

杏子「そうかい! でも、まぁ、手違いでも、あんたに会えて良かったよ」

キリカ「……私もだよ。佐倉」

杏子「じゃぁ……いくぜ、相棒!」

キリカ「うん! 私たちの最後の戦いだ! 派手に盛り上げていこう!」

覚えている人、いらっしゃるでしょうか…
次回、次々回ぐらいで完結の予定です
完結させてから投稿しても良かったんだけどね! ごめんね!

マミ「ティロ・フィナーレ!」

杏子「キリカ、あたし達もいくぞ!」

キリカ「速度低下!」

杏子の槍が出現するもすぐには飛んでいかない
キリカが杏子の槍を速度低下で止めているからだ
そして、杏子はそのまま槍を増殖させていく。そして

杏子キリカ「いけぇええええええ!!!!」

速度低下を解除。無数の杏子の槍が放たれる!

マミ、杏子、キリカの合わせ技でほむらの結界の一部が崩れる
そしてついに

なぎさ「見えた! インキュベーターの封印なのです!」

キリカ「暁美、あれを壊せばインキュベーターの干渉を受けないまま、外の世界で、本当の鹿目に会える」

ほむらとまどかが何か話している。彼女たちは最後に何を伝えあっているのか

杏子「……どうした、キリカ」

キリカ「……ん? いや、やっと終わったと思ってね。……私の役割もこれで、終いだ」

杏子「なぁ、キリカ。あんたは……」

ほむらとまどかか手を取り合い、一つの弓を二人で持つ

キリカ「話している暇はもうなさそうだ」

矢が放たれた

「「「「「わ け が わ か ら な い よ 」」」」」

杏子「……」

マミ「……」

杏子「行っちまったのか? キリカも、あんたのべべも」

マミ「……いいえ。今ようやく、彼女を連れていくところよ」

神々しい姿。麗しい女神がそこにはいた

杏子「これが……鹿目まどか」

マミ「ええ、いつか私たちを導く円環の理」

まどか「……そうだった。わたしはほむらちゃんの為に……こんな大事な事も忘れていたなんて……」

まどか「待たせちゃってごめんね。今日までずっと頑張って来たんだよね」

ほむら「まどか……」

なぎさ「やれやれなのです」

キリカ「ねぇ、百江。果たして彼女たちの愛は無限に有限だと思うかい?」

なぎさ「え?」

キリカ「愛は一方通行である限り有限だ。それが重なり合う事で無限になる。でもね。はたして本当に彼女たちの愛は重なりあっているのかな」

なぎさ「と、突然何を言い出すのです?」

キリカ「ねぇ、百江。円環の理の力と記憶。あれ、鹿目に返した?」

なぎさ「え? だって、本物のまどかに戻った以上もう必要が……」

なぎさ「き、キリカはどうしたのです」

キリカ「……」


キリカ「すべて暁美ほむらに渡したよ」

なぎさ「まどか! 裏切りなのです! 暁美ほむらに近づいては……」

キリカ「もう遅い」

気付けば暁美ほむらと鹿目まどかの周りに幾重にも速度低下の結界が張られている
言葉も攻撃も届かないように。誰にも邪魔されないように

ほむら「……捕まえた」

>>36
キリカ「あぁそうだ。暁美ほむら。一つ提案があったんだった」

ほむら「……何?」

キリカ「真実にたどり着いた時……君はひとつの選択を迫られる事になる」

ほむら「……どういうこと?」

キリカ「円環の理に導かれるか、否かをね」

ほむら「……円環の理に導かれない?」

キリカ「あぁそうさ。この力と記憶を渡す。本来の鹿目まどかの記憶と力だ」

ほむら「……あなたは!?」

キリカ「ただ。そこには唯一、人間だった頃の鹿目の記憶は含まれていない。それは本体が所有しているからね。……鹿目は君に心を許している。隙を狙えるとすれば君しかいない」

キリカ「単刀直入に言うよ。その力と君の隠し持った力で、鹿目まどかを裏切ってくれないかい?」

杏子「呉キリカぁあああああああああ!!」

キリカ「佐倉。今更あがいでももう無駄……ってえええええ!?」

ほむら「この想いは私だけのもの。まどかの為だけのもの」

まどか「ほむらちゃん! ダメ わたしが」

裂けちゃう!

世界が黒く染まっていく

ここまで! 次回最終回!

×キリカ「ただ。そこには唯一、人間だった頃の鹿目の記憶は含まれていない。それは本体が所有しているからね。……鹿目は君に心を許している。隙を狙えるとすれば君しかいない」

〇キリカ「ただ。そこには唯一、人間だった頃の鹿目の記録は含まれていない。それは本体が所有しているからね。……鹿目は君に心を許している。隙を狙えるとすれば君しかいない」

ですね…。記憶と力に関しては、本編でもそういう表現だったはず

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