茄子「どんどん私を撫でてくださいねっ」 (30)

茄子「プロデューサー、今年も初詣についてきてくれてありがとうございましたー♪」

モバP「いえいえ。俺も暇だったしな」

モバP「それに、楽しかったよ」

茄子「ええ、私もとっても楽しかったです♪」

茄子「こんなチケットももらっちゃいましたしねー」

モバP「ハワイ旅行のチケットなー」

モバP「特賞が当たる瞬間なんて始めてみたよ」

茄子「うふふっ、新年早々幸先の良いスタートでした」

茄子「……でもプロデューサー。ちょっとだけ違いますよ?」

モバP「へ?」

茄子「ハワイ旅行の『ペア』チケットですよー♪」

モバP「……」

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茄子「うふふっ、楽しみですね、プロデューサー?」

モバP「……本当に俺でいいのか?」

茄子「あら、こんなか弱い女の子を一人で旅をさせちゃうんですか?」

モバP「可愛い子には旅をさせろって言うだろ?」

茄子「可愛いだなんて、ふふっ、嬉しい♪」

茄子「でも、一人旅は寂しいので嫌ですー」

茄子「ですから、ね?」

モバP「……いや、ほら。俺じゃなくても親とかさ」

茄子「私はプロデューサーと行きたいんです」

モバP「……友達とか」

茄子「私は、プロデューサーと、行きたいんです!」

茄子「むー……!」プクー

モバP「……茄子?」

茄子「プロデューサーは私と旅行に行くのが嫌なんですか?」

モバP「ああ、いや、そういうわけじゃないんだが……」

モバP「そっちの方が安心できるかなって」

茄子「私から誘ってるのに?」

モバP「……」

茄子「女の子が勇気を出して誘ってるのに、体よく断ろうとするなんて、プロデューサーはひどい人ですねー」

モバP「……」

茄子「このままだと茄子は茹で茄子になっちゃいますよー?」

茄子「むー」プクー

茄子「それに私たちは――」

モバP「――悪かったよ」

モバP「今度詳しく話し合おうな」

茄子「ふふっ、わかってくれればいいんです♪」

茄子「ところで、プロデューサー。最近寒くなってきましたよね」

モバP「そうだな……」

茄子「手袋なんかがあればちょっとはマシなんですけどねー」

茄子「今日は持って無くって……手が冷えてきちゃいました」

茄子「ちらっ」

モバP「……」

茄子「ちらっちらっ」

モバP「……」

茄子「誰か手を温めてくれると嬉しいんですけどねー?」

モバP「……」

モバP「……わかったよ。手繋ごうか」

茄子「わぁ、ありがとうございます♪」

茄子「うふふっ、以心伝心ですねー♪」

モバP「そりゃ、あんな目線を向けられたらなぁ」

茄子「あら、何のことでしょうか?」

モバP「……はぁ」

モバP「ほら」

茄子「はい。ぎゅっ♪」

茄子「……さあ、プロデューサー。そのまま手をポケットに――」

モバP「――いれません」

茄子「えー」

モバP「暖まったら離すからな」

茄子「……また茹で茄子になっちゃいますよ?」

モバP「そしたら手も暖かくなってそうだな」

茄子「むー」プクー

モバP「……茄子はアイドルなんだ」

モバP「誰かに見られたらまずいだろ?」

茄子「大丈夫ですよ、きっと誰にも見られません♪」

モバP「でもダメ」

茄子「むー……!」

モバP「……帰ったらいくらでも繋げるんだから」

モバP「ちょっとだけ我慢してくれ」

茄子「……プロデューサーのいじわる」

モバP「何とでも言ってくれ」

茄子「でも、優しいですよね」

モバP「……」

茄子「それこそ、最初から突っぱねたって良かったのに、私と手を繋いでくれて……ね?」

モバP「……」

茄子「そんな意地悪なのに優しいプロデューサーが、茄子は大好きですっ♪」

モバP「……」

茄子「……あら、プロデューサーも茹っちゃいました?」

茄子「耳が真っ赤ですよ、ふふっ」

モバP「……気のせいだ」

茄子「うふふっ♪」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


茄子「ただいまー♪」

モバP「ただいま」

茄子「さて、おこたに――」

モバP「――その前に着替えて来いよ」

茄子「えー、今日くらいいいじゃないですかー」

茄子「足も指もいっぱい冷えちゃってるんですよ? 早く暖まりたいんです」

モバP「その格好だとくつろぎづらいだろ?」

茄子「ちょくちょく着てますからそうでもないんですよー♪」

茄子「っていうことで、おこたにダイブ!」

モバP「あっ!」

茄子「うふふっ、もう出ませーん♪」

茄子「カコはコタツで丸くなる~♪」

モバP「……まったく」

茄子「さあさあ、プロデューサーもお入りなさい♪」

モバP「ああ」

茄子「あ、そっちはダメです」

モバP「……へ?」

茄子「だって側面だと顔を合わせづらいじゃないですか?」

モバP「……わかった、じゃあこっちに」

茄子「あ、そっちもダメです」

モバP「……なんで?」

茄子「だって遠いじゃないですかー」

モバP「じゃあどこにならいいんだよ」

茄子「私の隣です」ポンポン

モバP「……二人しかいないのに?」

茄子「二人しかいないからです♪」

モバP「……」

茄子「さあさあ♪」

モバP「……はいよ」

茄子「うふふっ、いらっしゃいませ~♪」

茄子「わっ、プロデューサーが近いですー♪」

モバP「そりゃあ、二人並んだらなぁ」

モバP「そこまで大きくもないこたつだし……結構きついな」

モバP「……やっぱり移動していいか?」

茄子「だ~め♪」

茄子「さっきの約束もあるんですから」

モバP「約束?」

茄子「帰ったらいくらでも手を繋いでくれるんですよね?」

モバP「……あー」

茄子「うふふっ、だからプロデューサーはここです♪」

茄子「そして……はい、おてて♪」

モバP「……」ギュッ

茄子「~♪」

茄子「……はっ!」

茄子「プロデューサー、大変です!」

モバP「ん、どうした?」

茄子「みかんがありません!」

モバP「……あー」

茄子「おせんべいもありません!」

モバP「まあ、用意するまもなくコタツに入ったからなー」

モバP「取ってくるか」

茄子「……」

モバP「……なあ、手を離してくれると嬉しいんだけど」

茄子「……嫌です」

モバP「じゃあ、諦めるか」

茄子「でもみかんは食べたいです」

モバP「……どうしろって言うんだよ」

茄子「そうですねー……」

茄子「……一緒に取りにいきましょうか♪」

茄子「みかんは……あそこにおいてありますね」

モバP「ああ」

モバP「で、せんべいはあっちの引き出しの中だ」

茄子「はーい。じゃあ、まずはおせんべいからとりましょうか」

モバP「ん」

モバP「……ちなみに、手を離すのは?」

茄子「ダメです♪」

モバP「だよな」

モバP「じゃ、俺が引き出しを開けるから中からせんべいとってくれ」

茄子「はーい♪」

茄子「ふふっ、こうしてると新婚さんみたいですね♪」

モバP「いや、新婚さんはこんなことしないだろ」

茄子「そうですかー?」

茄子「結構私の理想なんですけどねー」

茄子「手と手を繋いで……互いに幸せを送りあって……」

茄子「最愛の人と、最高の時間を過ごすことが……ね?」

茄子「だから、まるで新婚さんみたいなんです……今この状況は……うふふっ♪」

モバP「……」

茄子「あ、プロデューサー。おせんべい取りましたよ?」

モバP「……ああ」

茄子「次はみかんですねー♪」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


モバP「よい、しょっと」

茄子「はぁ……ぬくぬく……」

茄子「やっぱりおこたは最高ですー……♪」

茄子「あっ、プロデューサーみかん剥いてください、みかん!」

モバP「……片手だと難しいな」

茄子「……んー」

茄子「仕方ないですねー、じゃあ離しますから、お願いします」

茄子「ただ、その代わり……にっ♪」ギュッ

モバP「うわっ!」

茄子「うふふっ、腕に絡まっちゃいますよー♪」

茄子「さあ、プロデューサー。あーん♪」

モバP「もう少し待ってくれ、まだ剥いてすらないんだ」

茄子「あーん♪」

モバP「……まったく」

モバP「……っと。ほら、あーん」

茄子「あむ……ん~♪」

茄子「プロデューサー、もひとつあーん♪」

モバP「あーん」

茄子「ん~♪」

モバP「……雛にエサあげてるみたいだな」

茄子「なんてったって鷹ですから♪」

茄子「大事に育ててくださいねー♪」

茄子「プロデューサー。もひとつ♪」

モバP「はいはい」

モバP「ほら、口をあけて」

茄子「あーん♪」

茄子「……ん~♪」

モバP「……ははっ」ナデナデ

茄子「あら、どうしたんですか、プロデューサー?」

モバP「いいや、ちょっと我慢できなくなっただけだよ」

モバP「茄子は可愛いな」

茄子「うふふっ、ありがとうございます♪」

茄子「お正月は茄子の幸運もきっとすごいことになってますからー♪」

茄子「だから、どんどん私を撫でてくださいねっ」

茄子「幸せのおすそ分けです♪」

モバP「……」ナデナデ

茄子「~♪」

モバP「茄子は撫でられるのが本当に好きだよな」

茄子「大好きですよー♪」

茄子「うふふっ、茄子の『な』は撫でられたいの『な』ですから♪」

モバP「ナスじゃなくてカコだろ」

茄子「あれれ? 逆でした~♪」

モバP「ははっ、おっちょこちょいだな」ナデナデ

茄子「~♪」

茄子「昔から色々な人に撫でられてきましたけど、プロデューサーのは特に好きなんです」

モバP「そうなのか? 俺は普通に撫でているつもりなんだけどな」

茄子「そうなんですかー?」

茄子「でも、茄子的には家族のみんなとも友達のみんなとも違う撫で方で、とっても心地良いんですけどねー」

茄子「まるで包み込んでくれるみたいで……私が幸せもらっちゃってるみたい♪」

茄子「私がおすそ分けしてるはずなのに……不思議ですねー」

モバP「俺だってたくさん幸せをもらってるよ」

モバP「今だって……茄子の笑顔にすごく癒されてるんだから」

茄子「あら、うれしい♪」

茄子「うふふっ、じゃあもっともっと撫でてくださいねー♪」

モバP「ああ」ナデナデ

モバP「……茄子は甘えん坊だな」

茄子「甘えん坊の鷹富士茄子ですよー♪」

茄子「でも、プロデューサーのせいなんですからね」

茄子「プロデューサーが私のことをたくさん甘やかしちゃうから、私だって甘えちゃうんです」

モバP「そうか」ナデナデ

茄子「そうです」

茄子「こんな甘えん坊な茄子になっちゃったのはプロデューサーのせいなんですからね」

茄子「責任、ちゃーんと取ってくださいね♪」

モバP「もちろん、最後までちゃんと責任を取るよ」ナデナデ

茄子「~♪」

茄子「……でも、本当に気持ち良いんですよね、プロデューサーのなでなで」

茄子「頭だけじゃなくって……もっと他の場所を撫でて欲しくなっちゃうくらい」

茄子「……撫でます?」

モバP「何を?」

茄子「他のところを」

モバP「……遠慮しておくよ」

茄子「……」

モバP「……なんでそんな不満そうなんだ」

茄子「だって……撫でて欲しいんですもん」

茄子「……だめ?」

モバP「……」

モバP「……しょうがないな」

茄子「うふふっ、やっぱり♪」

茄子「甘やかしてくれるプロデューサーも私は大好きです♪」

モバP「……で、どこを撫でて欲しいんだ?」

茄子「んー……そうですねー……」

茄子「……プロデューサーはどこを撫でたいですか?」

モバP「どこを……か」

モバP「……うーむ」

茄子「うふふっ、どこだって撫でていいんですよ」

茄子「プロデューサーは、茄子を好きに食べていいんですから♪」

モバP「……変な言い回しするなよ」

茄子「あら、変なこと考えちゃいました?」

茄子「プロデューサーの、えっち♪」

モバP「……もう撫でん」

茄子「ああっ、嘘です、冗談です~!」

モバP「……ったく」

モバP「で、どこを撫でて欲しいんだ?」

茄子「プロデューサーの撫でたいところを♪」

モバP「それが特にないから効いてるんだよ」

モバP「茄子はどこが一番うれしい?」

茄子「んー……」

茄子「……あっ、お腹とかどうですか?」

モバP「お腹?」

茄子「はい♪」

茄子「茄子のおへそにはご利益もありますから、私もプロデューサーももっと幸せになれますよー♪」

モバP「……なんだそれ」

茄子「あっ、信じてませんね!」

茄子「撫でてみてください。きっと良いことがありますから、ねっ?」

モバP「……わかった、お腹だな」

茄子「はい♪」

茄子「あっ、できれば後ろから手を回す感じで撫でて欲しいです」

モバP「注文が多いな」

モバP「後ろからか……」

モバP「……じゃあ、茄子。ここにきてくれないか?」

茄子「ここ?」

モバP「俺の前」

茄子「うふふっ、喜んで~♪」

茄子「右にプロデューサーの手~♪」

茄子「左のもプロデューサーの手~♪」

茄子「後ろにはプロデューサーがいて……前はこたつでぎゅうぎゅう」

茄子「ふふ、プロデューサーに包まれてるみたいです」

モバP「……まあ、実際包んでるようなもんだしな」

茄子「まるで茄子ドンですね♪」

モバP「いや、茄子ドンというよりはこたドン……?」

モバP「……ま、いいか。それじゃ撫でるぞ」

茄子「はーい♪」

モバP「……」ナデナデ

茄子「……あれ、地肌じゃないんですか?」

モバP「別にいいだろ」

茄子「えー。嫌ですー」

茄子「調べたところ、地肌に直接の方が心地良いんですよ?」

モバP「どこで調べたんだそんなの」

茄子「茄子調べです♪」

モバP「……」

茄子「お願いします、プロデューサー」

モバP「……仕方ないな」

茄子「わーい、ありがとうございますー♪」

茄子「……ふふ、ちょろい」

モバP「絶対やらん」

茄子「ああ、冗談! 冗談ですー!」

モバP「……まあ自覚はしてるけどな」

茄子「そんなにちょろくて大丈夫ですか?」

茄子「なんか、変な宗教とかに引っかかっちゃいそう……」

モバP「こんなにちょろいのは茄子にだけだよ」

モバP「……ほら、じゃあお腹を――」

茄子「どうしました?」

モバP「いや……今着てるの着物だろ?」

茄子「……あー」

茄子「着心地がいいので忘れてましたけど……そうでしたね」

茄子「……これだとお腹だけ出すっていうの難しいかな……?」

モバP「……っていうか、無理じゃないか?」

モバP「どっかしらはだけると思うが」

茄子「そうですよねー……」

モバP「……脱いでくればよかったのに」

茄子「そうですねー、ちょっと失敗です」

茄子「まあ、プロデューサー相手だし前を空ければ大丈夫ですよね」

モバP「おい」

茄子「いいじゃないですか。そっちからだとそんなに見えませんよね?」

茄子「それとも……見たいですか?」

モバP「……」

茄子「……沈黙されるとこっちも恥ずかしくなっちゃうんですけど」

茄子「もう……えっち♪」

モバP「……うるさい」

茄子「んしょ……んしょ……っと」

茄子「はい、お腹が見えましたよー♪」

茄子「さあ、プロデューサー♪」

モバP「……」ツン

茄子「ひゃんっ!」

茄子「……くすぐったいです」

モバP「茄子が望んだんだろ?」

茄子「そうなんですけど……んっ」

モバP「……変な声出さないでくれ」ナデナデ

茄子「そうは言われても慣れるまでは……ひんっ!」

モバP「じゃあ、止めるか?」

茄子「それは嫌ですー」

茄子「確かにくすぐったいけど……プロデューサーの温もりが体に染み渡るようで……」

茄子「とっても幸せなんですから……」

モバP「……そうか」ナデナデ

モバP「……」

茄子「……ようやく慣れてきました」

モバP「……俺も」

茄子「ん、プロデューサー?」

モバP「俺も、幸せだよ」ギュッ

茄子「きゃっ!」

茄子「プロデューサー……? これだとなでなでじゃなくてぎゅっですよ?」

モバP「そうだな」

モバP「……でも、こうしたかったんだ」

モバP「ずっと……」

茄子「……プロデューサー」

モバP「……」ギュッ

茄子「ふふ……さっきよりもたくさん包まれちゃってますね……」

茄子「このまま固められちゃいそう♪」

モバP「……」ギュッ

茄子「……もう」

茄子「そんなに無理するくらいなら、最初からこうしてればいいのに」

モバP「……俺はプロデューサーで、茄子はアイドルだからな」

モバP「いつもいつでも、こんな調子じゃ要られないし……こんな気持ち出せない」

茄子「確かにそうですけど……」

茄子「でも、アイドルとプロデューサーである前に、私たちは好き合う男女ですよ?」

モバP「……」

茄子「……別に普段からこんなにべったりじゃなくたって……ちょっとくらい出してくれてもいいのに」

茄子「外だとつれない態度ばっかりで……やっぱり茹で茄子になっちゃいます」

茄子「帰ってからもしばらくはそんな感じでしたし……もう」

モバP「……ちょっとでも出したら歯止めが利かなくなりそうだからな」

茄子「今みたいに?」

モバP「今みたいに」

モバP「……」ギュッ

茄子「ふふ、プロデューサーも甘えん坊さんですね」

モバP「……そうだな」

モバP「茄子がいなくなったら……生きていけないくらいには甘えん坊だ」

茄子「あら、嬉しい♪」

モバP「……だから、こんな気持ち出せないんだ」

茄子「……」

モバP「どんな小さなことがきっかけで、茄子が傍から離れることになるかわからない」

モバP「だから……二人きりでもない限りは」

茄子「……そんな意地悪なプロデューサーに私はとーってもやきもきしてるんですからね?」

モバP「……悪い」

茄子「謝らないでください……そんなプロデューサーが私は大好きなんですから」

茄子「何回も言ってるでしょう?」

モバP「……そうだったな」

茄子「……でもずるいですよね」

茄子「私ばっかり思いを伝えて……私には少しも伝えてくれないんですから」

モバP「……」

茄子「……せっかく、歯止めが利かなくなっちゃったんです」

茄子「たまには伝えてください、プロデューサー」

モバP「……」

モバP「茄子」

茄子「はい」

モバP「愛してる。誰よりも」

茄子「……はい♪」

モバP「……」チュッ

茄子「……んっ」チュッ

茄子「……ぷはっ」

茄子「……これだけですか?」

モバP「これ以上はまた後でだ」

茄子「あら、後でしてくれるんですねー」

モバP「言ったろ? 歯止めが利かなくなってるんだって」

茄子「うふふっ、そうでしたー♪」

モバP「……だからさ、茄子」

モバP「茄子も正直になってくれよ」

茄子「……何のことですか?」

モバP「名前」

茄子「!」

モバP「……普段は呼んでくれないだろ?」

茄子「……だって、アイドルとプロデューサーですから」

モバP「それより前に、俺たちは好き合う男女だろ?」

茄子「……いじわる」

モバP「そうだな」

モバP「……でも、俺だってやきもきしてるんだからな」

モバP「茄子が俺に思っているように」

茄子「……だって、こう呼んでたらあくまで親愛止まりで見られるかなって」

茄子「それ以上の思いを抱いてるなんて思われない……そう思ってたんです」

茄子「プロデューサーと違って私は思いを隠せるほど強くはありませんから」

茄子「こういう小さなところで……繕わなきゃって」

茄子「……私だってプロデューサーと同じことをずっと思ってるんですからね」

モバP「茄子は頑張り屋だな」

茄子「それを言うならプロデューサーだって」

茄子「……ふふ、私たちって似たもの同士なんですね」

モバP「そうかもしれないな」

モバP「……もし、出会う場所が違っていたら――」

茄子「――だめです、プロデューサー」ピトッ

モバP「むぐっ!」

茄子「……今だって私はとっても幸せなんですから。それをなかったことにしようとするなんて、絶対ダメ」

モバP「……」

茄子「それに、プロデューサーは最後まで責任を取ってくれるんですよね?」

モバP「……ああ」

茄子「その最後って、もしかしてアイドルが終わるまでってことだったりするんですか?」

モバP「そんなわけないだろ」

茄子「でしょう?」

茄子「じゃあ大丈夫です♪ その約束がある限り、私たちは絶対離れませんから、ね?」

モバP「……そうだな」

モバP「すまん、少し弱気になった」

茄子「いえいえー♪」

茄子「うふふっ、いつか世界一のバカップルになりましょうねー♪」

茄子「私たちはこんなに愛し合ってるんだって、世界中に見せてあげましょう♪」

モバP「……いや、それはちょっと」

茄子「えー……」

モバP「さて、話を戻そう」

茄子「あ、戻ってきましたか」

モバP「そりゃあな」

モバP「俺ばっかり歯止めが利かないのはずるいだろ?」

モバP「だから、茄子もリミッターを外して正直になってくれよ」

茄子「……リミッターってそういう理由で外すものでしたっけ?」

モバP「……いや、まあ理由なんてなんだっていいんだ」

モバP「ただ、俺が聞きたいだけなんだ」

モバP「茄子の声で、俺の名前を」

モバP「……そして、心からの気持ちを」

茄子「……正直ですねー」

モバP「言ったろ?」

茄子「歯止めが利かなくなってるんだから、きりっ!」

モバP「……俺の真似か?」

茄子「ふふっ、上手に出来ましたー♪」

モバP「……」コチョコチョ

茄子「ひゃんっ! くすぐらないでくださいっ!」

茄子「もー……!」プクー

モバP「茹で茄子も可愛いな」ナデナデ

茄子「……私がなでなでくらいで何でも許すと思ったら――」

モバP「大間違いか?」

茄子「――大正解です」

茄子「もう……ずるいです」

モバP「ははっ」

モバP「……でも、茄子もずるいじゃないか」

モバP「話をうやむやにしようとするなんて」

茄子「……ばれてました?」

モバP「ああ……恥ずかしくなったか?」

茄子「……わりと」

モバP「普段はあんなに積極的なのにな」

茄子「だって、普段は受け流すじゃないですか」

茄子「こんな真正面から受け止められるってわかったら……恥ずかしくもなります」

茄子「さっきのプロデューサーみたいに」

モバP「……ばれてたか」

茄子「お見通しですから、ふふっ♪」

茄子「……」

茄子「……よし。それじゃあ、ちゃんと聞いてくださいね」

モバP「もちろん」

茄子「……」

茄子「すぅ……はぁ……」

茄子「……」

茄子「……私も」

茄子「……私も、愛してます。誰よりも」

茄子「プロ……じゃなくって――――」






おしまい

SSR茄子さんが死ぬほど可愛かったノリと勢いで。
タイトルの元ネタはルームセリフの『お正月は茄子の幸運もきっと凄いですよ。どんどん撫でてくださいねっ』より。
茄子さんと隠れながらイチャイチャしたい人生だった。

去年の限定SR茄子さんと今年の限定SSR茄子さんのセリフ比べると絆とか成長とか感じられて最高に最高だからみんな見て。


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。

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