八幡「一人も友達いないんで、壁打ちしてていいですか」 (21)

体育教師「…………」

八幡「正直、誰かとペア組むとそいつが可哀想なので。俺みたいないやつとペア組まされるとか、罰ゲームみたいなもんですよ」

体育教師「ヒキタニ……お前……」

八幡「いや、俺の名前ヒキガヤですから」

体育教師「あ、すまない……。決して悪気があって間違えた訳じゃ……」

八幡「そういう何気ない一言が一番傷つくんですよね。いえ、別に俺の事じゃなくて一般論ですけど。俺は全く傷付いてないんで平気ですから」

体育教師「…………」

八幡「それで、先生。一人で壁打ちしてていいですか? 壁が友達なんで、俺」

体育教師「……わ、悪かった。お前の好きにしていい。何かすまなかった……」

八幡「うす。あざっす」

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戸部「今の球、マジでヤベーって!」

葉山「大袈裟だな、偶然スライスしただけだよ。悪い」



体育教師「」ハァ……

体育教師「友達が一人もいないか……。あいつらはあんなに楽しそうにテニスをしているというのに、その傍らで一人で壁打ちする生徒もいる……」

体育教師「おまけに名前まで間違えてしまった……。あいつ、傷付いただろうな、きっと……」ハァ……



戸部「マジ魔球だべ、今の! 隼人君パナいわあ!」

戸部「これ、俺もやるしかないでしょ!」

戸部「いきます! 魔球スラーーイス!!」パンッ‼

ヒューン……‼

葉山「あ……」



体育教師「やれやれ……。俺がこんなにも悩んでいるというのに、あいつらはお気楽にホームランかましやが……ん?」

八幡「ほらよ!」パンッ‼

結衣「せいっ!」パンッ‼

八幡「甘いな、由比ヶ浜! そのコースは読んでいた!」パンッ‼

結衣「あ、ちょっ、逆ふり!? しまっ」


パシンッ‼

ピッピー


雪乃「マッチポイント」


結衣「あー、もう、くやしー! ヒッキー何かテニス上手くない!?」

八幡「俺の数少ない特技だからな」

雪乃「いいから、二人とも早くしなさい。私の試合する時間がなくなってしま授業が終わってしまうわ」

結衣「あ、ごめんごめん、ゆきのん。ゆきのんもテニスしたいもんね。すぐ始めるから待ってて」

雪乃「いいえ、由比ヶ浜さん。それは大きな勘違いというもので、私は特にテニスを一緒にしたいとかそんな事は」

八幡「じゃ、サーブいくぞ、由比ヶ浜」スッ

結衣「オッケー、ヒッキー!」サッ



体育教師「おい、ちょっと待てお前ら……」

体育教師「比企谷! お前、何してる!!」

八幡「好きにしていいと言われたので、壁打ち(仮)を」

体育教師「壁(仮)じゃねーだろ! 真剣に悩んだ俺の時間を返せ!!」

雪乃「先生、誰の胸が壁ですか。セクハラもいい加減にして下さい」

体育教師「俺、そんな事言ったか!?」

結衣「今の内に、ていっ」ポーンッ

ピッピー

雪乃「デュース」

八幡「おい、由比ヶ浜。今のは卑怯だろ。やり直せよ」

体育教師「俺の話を聞けっ!! というか、お前ら授業はどうした!?」

結衣「私は体調が悪いってウソついて、ここに来ました!」

体育教師「由比ヶ浜!!!」

雪乃「私は姉さんが犬をかばって交通事故に遇ったので、ここに来ました」

体育教師「だったら病院に行けよ!!!」

ー 翌日、ベストプレイス ー


八幡「」アムッ、モグモグ


ヒュー、ザザザッ……


八幡(ベストプレイスで昼飯を食う安らぎ)モグモグ

雪乃(臨海部に位置するこの学校は、お昼を境に風向きが変わるわ)モキュモキュ

結衣(朝方は海から吹き付ける潮風が、まるで元にいた場所に帰るように陸側から吹くし)パクッ

八幡(この時間が俺は嫌いじゃ……何でこの二人いるの?)

結衣「にしても、ヒッキー。昨日のアレだけでトイレ掃除一週間とか酷くない? うちの学校、そういうところ厳しいよね」パクッ

八幡「……いや、むしろゆるゆるな方じゃねーのか。俺達はともかく、雪ノ下なんか授業完全にサボって遊んでた訳だし」

八幡「つうか、お前ら。何でここにい」

雪乃「比企谷君。この焼きそばパン、味がいまいちじゃないかしら。購買の物よりもコンビニで買ってきた方が美味しいと思うのだけれど」モキュモキュ

八幡「雪ノ下さん、それ、俺の焼きそばパンなんですが?」


結衣「あ、そういや、ゆきのん。罰ゲームとかしない? ジャンケンで負けた方が焼きそばパン買ってくるとか、どう?」

雪乃「いいえ、由比ヶ浜さん。自分の糧ぐらい自分で手に入れるわ。そんな行為でささやかな食欲を満たして何が嬉しいの」モキュモキュ

八幡「雪ノ下さん、それ俺の焼きそばパンなんですが? ていうか食い過ぎだろ、お前」

雪乃「残念ね、比企谷君。生憎、私はいくら食べても太らない体質なの。だから私のこの体型が崩れるという事はないわ」モキュモキュ

八幡「俺、そんな事一言でも聞いたか? それよりも俺の焼きそばパン返せよ」

結衣「ヒッキー、知ってる? 昔、イエス・キリストは五つの焼きそばパンと二つのテリヤキバーガーを裂いて、それを一万人の人に分け与えてお腹一杯にしたんだからね」

八幡「お前の中のキリスト、糖尿病になってそうだな」

雪乃「そう、つまり由比ヶ浜さんが、この焼きそばパンを裂いて比企谷君に渡したらどうなると思うかしら?」

八幡「……普通に半分になるんじゃないのか?」

結衣「えいっ」ブチッ

雪乃「はい、比企谷君。これを食べなさい」スッ

八幡「おいおい、どっから出てきたの、この手作り弁当」

雪乃「あら。鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして。私達のイリュージョンにそんなに驚いてしまったのかしら、比企谷君?」

結衣「やったね、ゆきのん。昨日、二人で練習した甲斐があったし」

八幡「まあ、実際、素直に驚いたけどな。ていうか……お前ら、さりげに仲良いよな」

結衣「えへへー。ね、ゆきのん。仲良いって」ニコッ

雪乃「や、やめて、由比ヶ浜さん。ちょっと家に呼んで一緒に映画を二本ぐらい見たぐらいで友達面しないで//」

八幡「もう大の仲良しじゃねーか……」

八幡「にしてもだ……」

雪乃「?」結衣「?」

八幡「この弁当……本当に俺がもらっていいのか? 実は、何かの罰ゲームで俺に弁当を渡したとかそんな事は……」チラッ

雪乃「…………」

結衣「…………」

八幡「何で無言なんだよ……」

雪乃「冗談よ。少しあなたをからかってみただけよ」

八幡「それ……本当か?」

結衣「ホントだってば。ヒッキー、疑り深いし」

雪乃「ええ。単に捨てるのがもったいないからあなたにあげただけよ。それ以上の意味はないわ」


八幡(つまり、残飯処理班か……。という事は、これはまさか由比ヶ浜が作った弁当……?)

八幡(とりあえず、開けて中を確認してみるか……)パカッ


『肉 もやし ご飯』


八幡(……何だこれ。肉ともやしを炒めて焼肉のタレをかけただけの、なんつうか、男飯みたいな弁当なんだが……)

結衣「…………」

雪乃「…………」

ー 同時刻、部室 ー


静「雪ノ下っ!! 由比ヶ浜っっ!!!」ガラッ!!!

静「私の弁当を勝手に野菜サラダに取り替えたのはお前らかっ!!!」

静「何が女子力ゼロだから彼氏が出来てもすぐにフラれるんですよだっ!! 余計なお世話だっ!! 野菜で力が出るかぁぁぁぁ!!!」

静「私の弁当をどこへやったっっ!!!」


静「」フーッ、フーッ


静「いない……。あいつら、一体どこへ隠れ……ん?」


黒板『平塚先生のご結婚を心より願っています。奉仕部一同』


静「煽ってんのか、あいつらぁぁぁぁ!!!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年02月14日 (水) 02:13:51   ID: Kjd3Gv3G

これ好きだわ

2 :  SS好きの774さん   2018年04月30日 (月) 22:19:49   ID: wE0m-kg-

この奉仕部なら 八幡は間違った行動しなかっただろうな 皆で機転きかしてうまいことやるだろ 八幡は2人とも大事にしそうだな 修学旅行の依頼は普通に断りそうだ 葉山は八幡に頼れないから早々に詰むだろ

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