泳ぐのが苦手じゃないけど苦手な詩織さんと、
おしゃべりが苦手じゃないけど苦手な雪美ちゃんと、
諜報が得意なマキノさんのお話です。
3900文字ぐらいのお話です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515591779
マキノ(この事務所にはたくさんのアイドルが在籍してる)
マキノ(その中でも、詩織と雪美は妙に仲が良い)
マキノ(なぜ……?特にユニットを組んだり同じ仕事があったわけでもないはずだけれど……)
マキノ(丁度詩織と雪美が話しているわね)
マキノ(姿を隠して近づいてみましょう)
雪美「詩織……これ……やろ……」
詩織「いいわね…やりましょ」
マキノ(あれは……ランダムで出てくる動物を積み上げていくアプリ……!)
雪美「詩織……かめ…ばっかり……。たまに……しろくま……」
詩織「なぜかいつもかめとしろくまばかりでてくるの…」
雪美「らむせうむ……てぃんてぃりす……、詩織……上手…ね………」
マキノ(もう誰もあれの話をしていないのにあんなに楽しそうにプレイしているなんて……。余程仲が良いに違いない)
マキノ(……ところでラムセウムティンティリスってなにかしら……?)
詩織(今、誰かにじっと見られていたような……)
――――――――
マキノ(詩織と雪美の関係について、まずは聞き込みをしてみましょう)
マキノ(まずは詩織と仲が良さそうな麻理菜さんから…)
麻理菜「それで、詩織ちゃんと雪美ちゃんのことよね」
マキノ「そう、何か情報を持っていたら教えてほしいのだけれど」
麻理菜「そうね、ただでは教えられないわ」
マキノ「そうよね、情報には対価が必要よね」
麻理菜(適当に言ってみたけど、何かくれるのかしら?)
マキノ「確か、あなたは佐藤心とは年齢と出身地が同じ」
麻理菜「そうよ」
マキノ「それなら、これでどうかしら」スッ
麻理菜「何この写真、誰?」
マキノ「プロデューサーと遊びに行ったときの佐藤心よ」
麻理菜「なんていうか…ファッションが置きに行ってる感あるわよねこれ。本気っていうか」
マキノ「それで情報なのだけれど」
麻理菜「あっ、これ情報料の代わりだったのね」
マキノ「足りないかしら?」
麻理菜「いやこれでいいわよ。はぁとにみせたら面白そうだし」
マキノ「ならよかったわ」
麻理菜「詩織ちゃんと雪美ちゃんのことだっけ?」
マキノ「ええ。何か知っていたら教えてほしいのだけれど」
麻理菜「詩織ちゃんは意外と泳ぐのが苦手よね」
マキノ「そうね、それは既にリサーチ済みよ」
麻理菜「でもその割には海が好きで海に詳しくて海に行きたがるのよね」
マキノ「海を見るのが好きということかしら」
麻理菜「雪美ちゃんもあんまり喋る方じゃないでしょ?」
マキノ「そうね」
麻理菜「でも結構現場とかだと積極的に他の出演者に話しかけるらしいのよ」
マキノ「それは意外ね」
麻理菜「だから、苦手だけど積極的に向き合うところは似ているのかもね」
マキノ「なるほど、それはとても重要な情報かもしれないわね」
麻理菜「もし何かわかったらお姉さんにも教えてよね」
マキノ「あら、あなたもこの案件に興味があるの?」
麻理菜「私もなんとなく仲良いなぁって思ってたからさ。だから、乗るしかないでしょ。このビッグウェーブに」
マキノ「わかったわ」
――――――――――
マキノ(共通点があることはわかった)
マキノ(けれども、それだけであんなに仲良くなるかしら……?)
マキノ(二人共何か重大な秘密を隠している気がするわね)
雪美「うん……、うん………」
ペロ「にゃあ」
マキノ(あそこにいるのは雪美?まさか本当に猫と話しているの……?)
マキノ(こっそり近づいて聞いてみましょう)
雪美「そう………。うん………」
ペロ「うにゃ〜ん」
マキノ(話しているというより猫の話を聞いて理解しているようね)
雪美「うん……。それは………えっと………、ンギャア……」
マキノ(!?)
ペロ「あ〜猫語めんどい。日本語で行くね」
マキノ(およそ雪美…いや人間とは思えない今の声……本当に彼女から発せられたものかしら?)
ペロ「あそこはインド人を右にしたほうがいいよ」
雪美「そう…………。わかった………」
マキノ(もしかして猫が人間の言葉を解しているのではなく雪美が猫の言葉を理解し話しているというの……?)
マキノ(詩織と雪美の関係以前にこちらを調べる必要がありそうね……)
――――――――――
詩織「雪美ちゃんの髪…本当に綺麗ね…。澄んだ深海のよう…」
雪美「ふふっ…。ブラシ……くすぐったい………」
詩織「ごめんなさい、つい…」
雪美「ううん……これ………。いい………。もっと…………」
詩織「気に入ってもらえてよかったわ」
雪美「詩織……私も…………やる……」
詩織「そう、じゃあお願いね…」
雪美「うん………」
詩織「雪美ちゃん上手ね…。まるでたゆたう波に身を委ねているようよ…」
雪美「詩織………髪…………。ペロ…みたい………」
詩織「そうかしら?にゃん…なんて……」
雪美「詩織……きっと…猫ドル………似合う………」
詩織「それじゃあ今度にゃんにゃんにゃんに入れてもらおうかしら…」
雪美「にゃんにゃんにゃん……だめ………。私…入って…ない………」
詩織「そうね…それじゃあにゃんともラブリーに入れてもらうわ」
雪美「うん…………。きっと………素敵…………」
詩織「ふふっ、そうね」
雪美「詩織…………この前…………ありがとう…………」
詩織「いいのよ、お互い様だから…」
マキノ(お互い様……?どういうことかしら……?)
――――――――――
マキノ(少しづつ核心に近づいている気がするわ)
マキノ(次はモバPさんにでも聞いてみましょうか)
マキノ「ちょっといいかしら」
モバP「わっ!……マキノか……そんなところに居るなんて全然気づかなかった」
マキノ「驚かせてごめんなさい、聞きたいことがあるの」
モバP「何?」
マキノ「詩織って本当に泳ぐのが苦手なの?」
モバP「えっ、そうなのか?」
マキノ「あら、モバPさんも知らなかったの?」
モバP「知らなかったというか、泳げるぞ」
マキノ「まるで泳いでるところを見たことがあるようね」
モバP「ああ、俺が撮影中に溺れていたところを助けてもらったのがきっかけでスカウトしたんだから」
マキノ(どういうこと……?)
雪美「モバP…………………」
モバP「ん?」
雪美「遊ぼ………」
モバP「ごめん今マキノと話してるんだ」
雪美「ダメ…………どうしても……………」
マキノ「もういいわよ。ありがとうモバPさん」
モバP「すまないな」
雪美「こっち………………」
マキノ(今の雪美の行動……私達の会話を中断させようとしたの?それとも偶然?)
マキノ(それに泳ぎが苦手な詩織が溺れている人を助けたのも気になるわ……)
マキノ(雪美は詩織が泳げることを知っているというの……?)
――――――――――
マキノ(今までの情報を整理してみましょう)
マキノ(詩織は泳ぐのが苦手と思われているが溺れている人を助けられるほど泳ぐのが得意)
マキノ(雪美はおそらくそれを知っていて……あとは猫と話すことができる)
マキノ(何かが繋がりそうで繋がらない……とてももやもやした気持ちね)
芳乃「そなたー」
マキノ「私?」
芳乃「そう、そなたでしてー」
マキノ「何かようかしら?」
芳乃「人のことを詮索するのはやめたほうがよいでしょうー」
マキノ(まさか……バレている……!?)
芳乃「誰しも知られたくない秘密の一つや2つあるのでしてー」
マキノ「な、なんのことかしら」
芳乃「雪美と詩織殿のことを嗅ぎ回っているのはお見通しなのでしてー」
マキノ「くっ、全てお見通しってことね」
芳乃「もうやめるのでしてー」
マキノ「私が二人のことを調べていたことを知っているあなたに止める権利があるのかしら?」
マキノ「それだって立派な詮索だと思うわ」
芳乃「これは一本取られましたー」
マキノ「それに、仮に何かを知っても公にするつもりはないわ」
マキノ(麻理菜には報告するけれど)
芳乃「それでも、あの二人について詮索するのはやめてほしいのでしてー」
マキノ「どうしてそこまであの二人に肩入れするの?」
芳乃「そ、それは……言えないのでしてー」
マキノ「言えないなら止める道理もないわ」
芳乃「それじゃぁ言うのでしてー。このことは内密にしてほしいのですー」
芳乃「麻里奈殿にも口外してはいけないのでしてー」
マキノ(どうしてそこまで知っているの……?)
マキノ(まさか彼女も諜報を……?)
芳乃「聞いてましてー?」
マキノ「わかったわ」
マキノ(麻里奈、ごめんなさい)
芳乃「契を破ったときはーそなたにも不幸が降りかかるのでしてー」
マキノ「大丈夫よ、約束は守るわ」
芳乃「実は雪美は人為らざる者…猫娘でしてー」
芳乃「早口で喋ると猫語がでてしまうのでしてー」
マキノ「なるほど、それであの口調なのね」
芳乃「詩織殿は実は人魚でしてー。海に入ってしまうと人魚に戻ってしまうのでしてー」
マキノ「そう、それで泳ぐのが苦手ということにして海に入らないのね」
芳乃「そういうことでしてー」
マキノ「そう、謎が解けたわ。ありがとう」
芳乃「絶対に、口外せぬようー」
マキノ「わかってるわ」
マキノ(私だってカメレオン女だってこと、バラされたくないものね)
終わり
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
前作もよろしくお願いします。
【モバマス】佐城雪美「私……まほうつかい……」
【モバマス】佐城雪美「私……まほうつかい……」 - SSまとめ速報
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