陽炎「駆逐艦を部屋に連れ込む?」秋雲「うん」 (31)


陽炎「何でそんなことするのよ?」

秋雲「いやー、実はこの前ちょっと聞いた話なんだけどさー」

陽炎「聞いた話?」

秋雲「うん。この前さ、別の鎮守府の駆逐艦が深海棲艦じゃなくて人間に連れ去られちゃったらしいんだよね」

陽炎「え、人間に? だ、大丈夫だったの、それ?」

秋雲「うん、その時は、超武装した夕張さんが乗り込んで、さみ…その駆逐艦の子を助けたらしいんだけどね」

陽炎「そ、そうなの…良かったわ」ホッ

秋雲(知らない鎮守府の娘をここまで心配するなんて、やっぱり陽炎は優しいねー)


陽炎「で、それと私が駆逐艦を部屋に連れ込むのと何の関係があるの?」

秋雲「あー、んっとね、まず、その駆逐艦が連れ去られちゃった経緯を説明するね」

秋雲「その駆逐艦の子はお買い物しに街に出てたらしいんだよね」

秋雲「そんで、その子が買い物している途中に道の上で困っている女性を見つけて…」

陽炎「ふむ、まぁ、よくある話ね」

秋雲「で、その困っている女性はコンタクトを落としちゃったらしくて、その駆逐艦の子はそれを探す手伝いをしたらしいんだよ」

陽炎「優しいわね、その子」


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秋雲「うん、そんでまぁ、そのコンタクトは見つかったらしいんだけどね」

秋雲「その後、そのコンタクトを落とした女性がその駆逐艦の子に『お礼をしたいから、ちょっとそこまで来て欲しい』って言ったらしいんだよね」

陽炎「ん…それ、ちょっと怪しいわね」

秋雲「そうでしょ? でさ、その駆逐艦の子も最初は断ったらしいんだけどね」

秋雲「その女性の人が『お礼をしないと気が済まない』って結構強引な感じで、それに加えて、その女性がかなり綺麗で優しい雰囲気だったらしくて、その駆逐艦の子は『まぁ、ちょっとなら…』って感じで着いて行っちゃったらしいんだよね」

陽炎「あちゃー…それはダメね。よく言うでしょ、美女は野獣って」

秋雲「え、うん」(ちょっと間違ってる気もするけどなー)

秋雲「それで、まぁ、その後はお察しの通り、車に連れ込まれて…そのまま部屋に…ていう訳なんだけどさ」

陽炎「なるほど…それで、その後夕張さんが超武装してその駆逐艦の子を助けに行ったのね」

秋雲「うんうん、そういう訳なんだ」

秋雲「で、秋雲さん思ったんだけどね。秋雲達の鎮守府の駆逐艦もそういう事がないように訓練しといたほうがいいんじゃないかなって思ったのさ!」


陽炎「あー、大体予想がついたわ。つまり、私が駆逐艦を部屋に連れ込もうとして、その駆逐艦の子がちゃんと断れるかを試すのね!」

秋雲「そそっ!」

陽炎「でも、なんで私なのよ?」

秋雲「ぅえ゛っ!? ま、まぁ、秋雲の姉だし? 一番頼みやすかったからね」

陽炎「ふーん…まぁ、いいわ。手伝ったげる!」


陽炎「ん‥‥そういえば、私は知らない大人の人でも何でもないけど大丈夫なのかしら?」

秋雲「えっ!? え、えっと…と、とにかく、部屋に2人っきりになったりするのは危ないんだよ! ってことを知ってもらうだけでも違うと思うのさ!」


陽炎「ふ~ん…まぁ、確かに警戒心はあって悪い事じゃないからね、手伝うわ」

秋雲「マジ!? さーんきゅっ!」(よしよし、これで陽炎の動きをこっそり観察してネタを補充できるっ!)

陽炎「あ、ちょっと真似しないでよ!」

秋雲「えー、秋雲さん、分かんなーい」キャピッ


陽炎「はぁ…まぁ、いいわ。でも、正直自信ないわね…」

秋雲「いやいや、陽炎ならいけるって!」

陽炎「そうね…でも、万全を期したいからちょっと私の部屋で打ち合わせしてくれない?」

秋雲「ほほーぅ…そういう事なら秋雲さん手伝いますよー!」

陽炎「それじゃ、行きましょ?」ニコッ




~陽炎の部屋~

陽炎「さ、入って入って」

秋雲「お邪魔しまーっす」

秋雲「おー、綺麗にしてるんだね」

陽炎「ん、まぁね」ガチャン

秋雲「さ、それじゃ早速、どんな風な段取りで行くか話し合おうか」

秋雲「秋雲さん的には、やっぱりその駆逐艦の子が騙されちゃったみたいにナンパ形式で行くのがいいと思うけど…うーん、よく考えるとむずいなぁ、これ」


陽炎「…ねぇ、秋雲?」

秋雲「ん~?」

陽炎「あんた、気づいてる? 今、私の部屋に2人っきりって事に」

秋雲「…え?」

陽炎「ふふっ、あんたも全然警戒できてないみたいね」ジリジリ

秋雲「あ、あはは…秋雲さん、油断しちゃったよー」

陽炎「そうねー」ジリジリ

秋雲「あ、あのー、陽炎さん? なんで壁際に秋雲さんを追いやっているのかなー…?」

陽炎「…前から思ってたのよね。秋雲、あんた、可愛いわよね」アゴクイッ


秋雲「ちょ、ちょちょちょっ! しゃ、洒落になんないって陽炎!」

陽炎「洒落にしようとなんてしてないからね」キリッ


秋雲「えっ…///」

陽炎「ね、秋雲…私の事嫌い?」

秋雲「い、いや、嫌いってわけじゃないけどさー、こういうのはちょっと…」


陽炎「私はあんたが好きよ」

秋雲「そ、そんな直球…///」

陽炎「ねぇ、秋雲…キスしてもいい?」

秋雲「ぅえ゛っっ!?」カァァ///

陽炎「秋雲、目瞑って…」

秋雲「ぅ、うぅぅ…わ、分かった…///」ギュッ(目瞑り)


秋雲(恥ずいけど…でも、陽炎となら…秋雲も…///)ドキドキ

秋雲(…)ドキドキ

秋雲(…ま、まだかな?)ドキドキ


デコピンッバシッ


秋雲「いだぁっ!?」

陽炎「秋雲っ! もう、言い出しっぺのあんたが騙されちゃダメじゃない!」

秋雲「…え?」

陽炎「でも、分かったわ! こんな感じで行けばいいのね!」

秋雲「え、ちょ、ちょっと待って! 今までのって…演技ってこと?」

陽炎「えぇ、そうよ。だって、そういう趣旨でしょ? 秋雲、あんたもちゃんと気を付けなさいよ、知らない人に付いて行っちゃダメよ?」

秋雲「…」

陽炎「そんじゃ、こんな感じで次に行くわね!」スタスタガチャ

秋雲「…」


ガチャ

陽炎「あ、もう遅いし秋雲も早く自分の部屋に戻りなさいよ」


陽炎「私は、次の女の子誘って」

陽炎「部屋に連れ込まないといけないからね」

陽炎「それじゃ、おやすみ、秋雲!」


バタンッ


秋雲「…何、今の女たらし発言」ボソッ

秋雲「…」




陽炎「よし、次は誰をターゲットにしようかしら…」

陽炎「でも、秋雲が騙されちゃうくらいだしちょっと危機意識が足りないみたいだから本気でやらないといけないわね…」


夕雲「ふんふん~♪」

陽炎(あれは、夕雲…私と同じネームシップで、大人っぽいし、大丈夫そうだけど…)

陽炎(でも、そういう子に限って危ないかもしれないのよね)

陽炎(…よし、次は夕雲ね)

陽炎「ゆーうぐも! お疲れ!」

夕雲「あら、陽炎さん。お疲れ様♪」

陽炎「なんだか、随分ご機嫌みたいね? 何かあったの?」

夕雲「あら、そ、そんな上機嫌に見えてたかしら?」

陽炎「えぇ、いつにも増して笑顔が輝いていたわよ」ウィンク

夕雲「そ、そうかしら? なんだか恥ずかしいわ…」

陽炎「それで、なんでそんなに上機嫌なのかしら?」

夕雲「あぁ、えっとね、実は前々から頼んでおいたお酒が届いたのよ」

陽炎(…これはチャンスね)


陽炎「へー、どんなお酒なの?」

夕雲「赤ワインなんだけどね? 夕雲は甘めの赤ワインが好きで、今日届いたのもかなり甘めの赤ワインらしくて前から呑んでみたいと思っていたのよ」

陽炎「そっかぁ…」(赤ワイン、さらにチャンスだけど…私自身も悪酔いしないように気を付けないとね)

陽炎(ちょっと図々しいけど…)

陽炎「あー、お酒の話していたら何だか、私も飲みたくなってきたわ」

夕雲「あっ、それなら、せっかくだし一緒にどうかしら?」

陽炎「いいの?」

夕雲「もちろんよ、一緒に飲みましょ?」

陽炎「それなら、私の部屋に来ない?」

夕雲「陽炎さんの部屋に…?」

陽炎「えぇ、実はね、この前いいチーズを貰ってまだそれが余っているのよ」

夕雲「あら、いいわねぇ」

陽炎「でも、量も残り少ないし…」

陽炎「だから、せっかくだし、二人っきりで飲みましょ? いいでしょ?」

夕雲「そうね、陽炎さんとなら落ち着いて飲めそうだわ」

陽炎「ふふ♪」


~陽炎部屋~

陽炎「それじゃ…乾杯!」

夕雲「かんぱーい♪」

陽炎「ほんと、美味しいわねこれ!」グビ

夕雲「そうねぇ♪」

陽炎「ん、これ、おつまみのさっき言っていたチーズ食べて」

夕雲「あら、ありがとう…うん、とっても合うわぁ♪」

陽炎「ふふっ♪」

陽炎「そういえば、お酒に合うチョコレートも要しているわよ」(もちろん、アルコール入りのチョコレートだけどね)


陽炎(なんか、私、大学の新入生歓迎会にいるヤリサーの大学三年生(男)みたいになってないかしら…?)

陽炎(…)

陽炎(いや、これもみんなにしっかりとした危機意識を持ってもらうためだからやむを得ないわ!)


~数時間後~


夕雲「陽炎しゃぁん…夕雲眠たいわぁ」ウトウト

陽炎「はぁ…これは夕雲もダメね」ボソッ

夕雲「何か言ったかしらぁ、陽炎さぁん」ベタベタ

陽炎「ねぇ、夕雲? あんた、ちょっと無防備すぎないかしら?」

夕雲「ふぇ…?」

陽炎「ねぇ、分かってる? あんた、今、私と私の部屋で二人っきりなのよ?」

夕雲「え、えぇ、でも、だからって…」


陽炎「まぁ、口で言っても無駄ね…身体に分からせてあげるしかないわ、二人っきりで飲むことがどんなに危険なことかをね」オシタオシ

夕雲「きゃっ…か、陽炎さん…?」

陽炎「ふふ、可愛いわ、夕雲」ナデナデ

夕雲「え、か、陽炎さん…?」

陽炎「怖くないから、私を受け入れて…ね?」ミミモトササヤキ

夕雲「ふぁっ…♡」


夕雲「え、えっと…や、優しくお願い、ね…?」カァァ///

夕雲「…」ギュッ(目を瞑る)


夕雲(つ、ついに夕雲も大人になるのね…)

夕雲(こんなお酒の勢いを借りた形になっちゃったけど…)

夕雲(陽炎さんとそういう関係になれるなら良かったのかも…///)


夕雲「…」

夕雲(…まだかしら)


陽炎「なーんてね!」

夕雲「…え?」

陽炎「もう、ダメじゃない夕雲!」

夕雲「え、ど、どういうこと…?」

陽炎「全く、他人の部屋で二人っきりなのに、酔いつぶれるまで飲んじゃダメよ!」

陽炎「とにかく、これからはちゃんと自分が可愛い女の子っていう意識をもって、危ない事には近づかないように!」

夕雲「…」(か、可愛い女の子って、言われちゃった…/// でも…)

陽炎「それじゃ、私の部屋は私が片付けておくから、二日酔いにならないようにしっかり水飲んで寝なさいね」

夕雲「…」

陽炎「ん、ふらついてるみたいだし…」ヨイショ

夕雲「キャッ…///」(お、お姫様抱っこ…///)

陽炎「夕雲の部屋まで送るわよ」

夕雲「…」




~夕雲を送っていった帰り道~

陽炎「あの後、夕雲を部屋に送って行ったけど…これは相当、危機意識が甘いわね…」

陽炎「後で司令に報告しなきゃ…」

不知火「あら、陽炎。何をしているんですか」

陽炎「お、不知火」

陽炎(不知火か…秋雲は、なんか危なっかしそうだったから一応、二人っきりになる危険性は教えといたけど…)

陽炎(不知火じゃ、私と二人っきりになることなんてよくあることだし、意味ないわね)

陽炎「えぇ、ちょっとね。夕雲が私の部屋で酔いつぶれちゃったから夕雲の部屋まで送ってきたところ」

不知火「…ヌイ?」

不知火「あの、陽炎は夕雲と飲んでいたのですか?」

陽炎「そうよ、久々に楽しかったわ」

不知火「あの、その…夕雲とは何かあったのですか?」

陽炎「え? 特に何もないわよ、ただ、二人で飲んでただけ」

不知火「不知火も…不知火も、今から陽炎の部屋に行っていいですか?」

陽炎「? 別にいいけど、なんで?」

不知火「いえ、たまには、陽炎の部屋でのんびりしたくて」

陽炎「んー、まぁ、別にいいけど」

不知火「それでは、行きましょう」




~陽炎の部屋~

陽炎「さ、入ってよ不知火」

不知火「失礼します…」


秋雲「…」

陽炎「…あれ、どうして秋雲が私の部屋にいるの?」

秋雲「陽炎、用心が足りないんじゃないの? 部屋のカギ閉めないまま出ていっちゃうなんてさー」

陽炎「あ、しまった! でも、まぁ、ここには艦娘しかいないわけだしさ」

秋雲「艦娘同士でも、危ないことがあるかもしれないって教えてくれたのは陽炎じゃーん!」

陽炎「え、そうだったっけ?」

秋雲「うん、さっき、秋雲さんに無理矢理キスを迫ったじゃんか」

不知火「あ゛?」


陽炎「あー、あれは演g」夕雲「あの…陽炎さんいますか」ガチャ

陽炎「え、夕雲…って、あんた、何て格好してるのよ!」

夕雲「これから、陽炎さんと楽しむって時に脱ぎやすい服の方がいいでしょう…?」カァァ///

陽炎「は、はぁぁ?」

不知火「ちょっと、そこの二人、陽炎に何を期待しているか知りませんが、陽炎はこれから不知火とお楽しみタイムなんです」

秋雲「はぁ…二人とも何言ってるのさー。秋雲さんは陽炎にキスを迫られたんだよ?」

秋雲「つまり、陽炎は秋雲さんとそういうことをしたいって事なのさ!」

夕雲「秋雲さん、あなた何を言ってるのかしら?」

秋雲「ふーん、この事、巻雲に報告しちゃおっかなぁ」

夕雲「ま、巻雲さんは関係ないわ」

不知火「はぁ…まったく、早く出ていきなさい二人とも。せっかくこれから陽炎とにゃんにゃんぬいぬいするというのに気分が削がれてしまうわ」

夕雲「はぁ、正妻気どりですか、女狐の分際で…」

不知火「めぎつ…」ピキッ

不知火「…フフ、不知火を怒らせましたね、夕雲。表に出なさい」

夕雲「いいわ、どちらが陽炎さんの正妻か勝負を付けましょう」

秋雲「よし、それじゃあ、二人とも行ってらっしゃーい!」バイバーイ

不知火「…あなたも来なさい、秋雲」


秋雲「えー、二人でやってよー。秋雲さんは陽炎とラブラブしてるからさー」


陽炎「はぁ…ねぇ、3人とも、外でやってくれない? 私眠たいんだけど」


不知火夕雲秋雲「「「…」」」


不知火(誰のせいで…)

夕雲(夕雲たちが…)

秋雲(言い争っていると思ってんだろうねー…)


その時、3人に謎の一体感が生まれた!


不知火夕雲秋雲「「「…」」」

不知火「あの…今日はもう遅いですし、決着をつけるのは後にして…」

夕雲「そうね、夕雲も同じ事を思ったわ。3人で陽炎さんを共有するのね」

秋雲「うーん、まぁ、1対3っていうシチュもアリか…」


不知火夕雲秋雲「「「というわけで、陽炎(さん)」」」


陽炎「…え?」

不知火夕雲秋雲「「「今日は眠れると思わないで(ください)」」」

陽炎「え、ちょっ…」


この経験を通して、陽炎は危機意識と防犯意識の大切さを学びましたとさ

終わり

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