ロコと伊織は使いよう【ミリマスSS 】 (21)

伊織「おはようロコ。」

ロコ「モーニンですイオリ。ナイスタイミングですよ、見てください。新しいロコアートです!」

伊織「えっと。何これ、雪の結晶?」

ロコ「おお、分かりますか!今のシーズンにピッタリでしょう。」

伊織「へぇ。色が付いてると全然雰囲気が変わるのね、面白いわ。あれ、この色ってもしかして。」

ロコ「アイドル達のイメージカラーを参考にしたんですよ。他にもですね…」

伊織「ストップ。私はこれから仕事。」

ロコ「そうですか、仕方ありません。お仕事頑張って下さいね…」

伊織「…」

伊織「ロコは今日はレッスンだけだった?」

ロコ「はい、そうですが。」

伊織「なら、待っててくれない?」

ロコ「え?」


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伊織「たまにはいいわ、アートを見るのも芸術センスを養うのに役立つだろうし。夕方になるけどいい?」

ロコ「イオリ…もちろんウェルカムです、待ってますよ!」



千鶴「どういう風の吹き回しですの、あなたがコロちゃんのアートを見たいだなんて。」

伊織「げ、聞いてたの。しょうがないじゃない、ちょっと乗ってあげたらあんなに喜ぶんだもの。他のも見てあげなきゃかわいそうでしょ。」

千鶴「あなたらしい気遣いですこと。きちんと見てあげるんですのよ?コロちゃんは適当な感想で誤魔化せるような子じゃないんですからね。」

伊織「分かってるわ。というかそこまで言うならアンタが見てあげなさいよ。」

千鶴「わたくしはもうじゅうぶんに感想を伝えましたわ。今回もコロちゃんらしさに溢れたいい作品だったとね。」

伊織「アンタ毎回そればっかね。だから他の人に評価して欲しいんじゃないの?」

千鶴「ま、失礼な!」


ロコ「……」ソワソワ

杏奈「ロコ。どうか、したの…?」

ロコ「イオリを待ってるのです。今日のワークが終わったらロコアートを見てもらう約束をしたんですよ。」

杏奈「伊織さん、が。珍しいね…。」

ロコ「はい!きっとロコアートの持つ魅力に気付いたんですね、ナイスセンスです!」

ロコ「…遅いですね、まだでしょうか?もしかして、忘れて帰っちゃったなんて事は。」

杏奈「大丈夫、だよ。伊織さん、そんな人じゃないと思う。」

ロコ「で、ですよね!あ、でも。ひょっとして、何かワークトラブルに巻き込まれたりとか…」

杏奈「そしたら連絡があると思う。心配しすぎ…」

ロコ「そうですね、すみませんアンナ…」

杏奈(不安げにしてるロコ、可愛い…。いつもの自信満々なロコもいいけど、こっちも捨て難い…)

ロコ「アンナ、どうかしましたか?」





伊織「…お疲れ様。ごめんねロコ、帰り渋滞に巻き込まれて遅くなっちゃったわ。」

ロコ「イオリ!おかえりなさい、待ってましたよ。それじゃあ早速。」

伊織「ちょっとちょっと。ひと休みくらいさせなさいよ、こっちは仕事終わって帰ってきたのよ。」

ロコ「あ、すみません…。」

千鶴「お疲れ様。今日は冷えますからオレンジジュースよりこういう暖かいものの方がいいでしょう?」

伊織「ありがと。烏龍茶?」

千鶴「横浜中華街でのお仕事の時のお土産ですわ、お茶請けに月餅もどうぞ。」

伊織「ありがと…うん、たまには烏龍茶も悪くないわね。」

千鶴「でしょう?せっかくでしたから奮発して買ってきた、とびっきりの高級茶なんですのよ。まあちょーっと懐が痛みましたけど、セレブなわたくしならなんて事ない…」

伊織「あ。ひょっとしてこれ、うちでいつも飲んでるのと同じお茶じゃないかしら。」

千鶴「へ?い、いつも飲んでる?」

伊織「うん。この味と香り、間違いないわ。これけっこう好きなのよ、千鶴も飲んでたのね。」

千鶴「そ、そうですわ!我が家でも毎朝毎晩、これを飲んでおりますのよ。おーっほっほ…ゲホゴホッ。」

伊織「烏龍茶なんてそうしょっちゅう飲むものじゃないと思うけど。」

ロコ「あの、イオリ。そろそろいいですか?」


伊織「あらごめんなさい。それじゃ、見せてもらいましょうか。」

ロコ「はい!このスタチューなんですけど。」

伊織「これ、自分で彫ったの!?」

ロコ「イージーワークですよ。これよりもっと大きなのがロコハウスにはたくさんあるんですから。」

伊織「自宅でも作ってるんだ。」

ロコ「もちろんです、マイハウスはロコのアトリエですからね。この劇場はサブアトリエという所でしょうか。」

伊織「へえ…ちょっと見てみたいわね、それ。」

ロコ「ホントですか?じゃあ今からでも早速。」

伊織「え?いや、今からだと夜になるわ、それはちょっと。」

ロコ「ノープロブレムですよ、ロコのファミリー、ゲストはいつでもウェルカムなんですから。」

伊織「あんまり遅くなるのはこっちも困るし。この次にするわ。」

ロコ「あ、ですよね。ソーリーです…」

伊織「…ロコ、今週のスケジュールは分かる?お互い都合の良い日がいいわよね、いつがいいかしら。」

ロコ「ほ、ホントに来てくれるんですか?」

伊織「もちろん。そう言ったじゃないの。」

ロコ「サンクスです!えっと、ロコはですね…」

伊織「はあ。まさか、ロコの家でお泊まり会をする事になるとはね。」

千鶴「良い事ですわ、親睦を深めるにはもってこいじゃありませんの。」

伊織「ちょっと興味持っただけだったのに。なんか、あの子がああしてしょんぼりしてると、つい何かしてあげなきゃって気になっちゃうのよね。」

杏奈「うん。そういう時のロコ、すごく可愛い。伊織さん、分かってる、ね…。」

千鶴「杏奈、またそんな事言って。コロちゃんが一番可愛いのは、自信満々な時だって言ったでしょう?」

杏奈「これだけは、譲れない…。」

伊織「どっちでもいいわよ別に。ところで千鶴、あんたなんで今日ずっと事務所にいるの、そんなに暇なわけ?」

千鶴「青羽さんがお休みだから代わりをしてるんです!」



(お泊まり会当日)

伊織「お邪魔するわ。」

ロコ「ウェルカムです!それじゃあまずロコルームへ案内しますね。」

伊織「へぇ。本当に色々あるのね。あ、絵が沢山。これも全部、ロコが?」

ロコ「はい!まずスケッチして、それをベースにクラフトするパターンもあるんです。この辺りのはそうやってクラフトしたものですね。」

伊織「動物の人形もあるわね。こんなのも作れるんだ。」

ロコ「リアリズムはベーシックアートですから。まずはベースがインポータントです、アイドルのレッスンと同じですね。」

伊織「ふーん。徹底してるわね。なんか、あんたのアートにかける情熱を甘く見てたわ。」

ロコ「分かってもらえるなら嬉しいですよ。では次に…」




伊織「…色々アート見て、夕食をご馳走になって、お風呂も入ってと。寝るにはまだ早いわね、どうする?」

ロコ「そうですね。DVDでも見ますか?」

伊織「何があるの?」

ロコ「シュヴァンクマイエルはコンプリートしてますよ。これなんかオススメです。」




伊織「『アリス』なら見た事あるけど…何これ。『フレディVSジェイソン』?」

ロコ「あ、それはコウメからギフトされたムービーです。」

伊織「コウメ?ああ346プロの白坂小梅か、あのホラー好きのアイドルよね。へぇ、仲良いんだ。」

ロコ「…前に、良い血糊はないかと聞かれまして。」

伊織「ああ、なんか分かる気がする…ね、これ見てみたいわ。」

ロコ「え、ホラーですよ?」

伊織「かまわないわ。こういう映画の有名キャラ同士が共演するやつって観たことないのよ、面白そうじゃない。」

ロコ「そ、そうですか。まあロコもまだ観てませんからいいですけど。じゃ、セットしますね。」




伊織「…なんていうか。これぞB級映画って感じの内容だったわね。」

ロコ「グッドです!すごかったですね、フレディがジェイソンをバイシクルで撥ねて倒すなんて見事なアートでした。」

伊織「ホラー映画でフレディって言ったらエルム街でしよ、なんでマーキュリーが出てくるのよ!」

ロコ「面白ければオールライトです。ティーでも飲みませんか?チヅルのギフトがありますが。」

伊織「いただくわ。馬鹿馬鹿しい映画観て疲れちゃった。」


ロコ「…そろそろ寝ますか。イオリ、寒かったらブランケットまだありますよ。」

伊織「大丈夫、これでいいわ。」

ロコ「今日はありがとうございました、とっても楽しかったですよ。」

伊織「こちらこそ楽しかったわ、ありがとう。それじゃあおやすみなさい。」

ロコ「グッナイです。」





伊織「眠れないわね。あの馬鹿馬鹿しい映画のせいかしら。」

伊織(…ブルッ)

伊織「うう寒。トイレは一階だったわね。えっと、スリッパスリッパ…」



伊織「……」



伊織「ロコ…ロコ!」




ロコ「むにゃむにゃ…ん、なんですかイオリ。スリープをオブストラクションしないで下さい。」

伊織「あんた、寝る前にトイレ行ったんでしょうね。」

ロコ「え?いえ、ムービーを見たあとに行っただけですが。」

伊織「ちょっと何してるの。駄目よ、体に悪いわ。お茶も飲んだでしょ。」

ロコ「はあ。」

伊織「仕方ないわね、早く済ませてきなさい。ついてってあげるから。」

ロコ「ノーサンキューです、ロコは眠いから寝ます。グッナイ、イオリ…」

伊織「グッナイじゃないわよ、ほら起きて。ベッドをウォーターでロコナイズする気なの?」

ロコ「ロコはそんなにベイビーじゃありませんよ!」

伊織「ならさっさと起きなさい、世話の焼ける子ね。」

ロコ「もう、なんですか急に…あ。」

ロコ「さてはイオリ、ムービーがリーズンで一人でトイレに行くのが怖いんですね?」

伊織「は、はあ?馬鹿な事言わないでちょうだい、私はあくまでもあんたの事が心配で。」

ロコ「ロコはノープロブレムです、それじゃあグッナイ。」

伊織「こ、こら。寝るんじゃないの。起きてってば!うう〜。」


伊織「…ロコ?外にいるんでしょうね、黙って帰ったりしたら怒るわよ。」

ロコ「ちゃんとスタンバイしてますよ、安心してください。」

伊織「…よし。いい、この事は絶対、ぜーったい、誰にも言っちゃ駄目だからね。」

ロコ「オーライです。ふふ、イオリにこんなキュートなウィークポイントがあるとは思いませんでした。」

伊織「う、うるさいわね。ほら、さっさと寝るわよ!」

ロコ「はいはい。それじゃあ今度こそグッナイです。」




ロコ「…なんか、眠れません。さっきのハプニングのせいでしょうか。」

ロコ「んっ…(ブルッ)」

ロコ 「ミステイクです。さっきロコも済ませておくべきでしたね。えっと、スリッパスリッパ…」



ロコ「………」



ロコ「イオリ?」

伊織「すー…すー…」

ロコ「イオリ?起きて下さい。」

伊織「すー…すー…」

ロコ「起きて下さい、イオリ。タヌキスリープはズルいですよ、起きて下さいってば。イオリ!」



ロコ「あっ…」


伊織「うるさいわね、一体何よ…あ。」


(事務所)

千鶴「ごきげんよう二人とも。お泊まり会はどうでしたの?」

伊織「とっても楽しかったわ。色んなアートが見られたし。ロコ、ありがとうね。」

千鶴「そう。なら良かったではありませんの…コロちゃん、どうかしましたの?」

ロコ「な、なんでもありませんよ。さ、今日も頑張りましょうね!」



伊織「…だから言ったじゃない、人をからかったりするからよ。」

ロコ「イオリが起きてくれなかったせいですよ!うう、あんなベイビーみたいなマネする事になるなんて。」

伊織「お互いのためにもナイショにしておきましょう。前向きに考えなさいよ、あれもある意味アートじゃない。」

ロコ「あんなマップアートを作るプラン、ロコには無かったです…。」



おしまい。お目汚し失礼致しました。

「トイレを我慢するのが似合うアイドル」の中からAS組とシアター組で書きたかったのですが冗長になってしまいました。

これからも「ミリオンライブ シアターデイズ!」をどうぞよろしくお願い致します。

アートって言葉便利
乙です

>>1
ロコ(15) Vi/Fa
http://i.imgur.com/VBHNhjX.jpg
http://i.imgur.com/zbYXRvT.jpg

水瀬伊織(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/OzVLexs.jpg
http://i.imgur.com/wuNgpQd.jpg

>>2
二階堂千鶴(21) Vi/Fa
http://i.imgur.com/hmjKb0Y.jpg
http://i.imgur.com/pcAd01d.jpg

>>
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/1Qi1mK0.jpg
http://i.imgur.com/kGlhoiA.jpg

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