エルフ「お腹すいた…」 (167)

気分で投稿します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515422013

エルフ「もう3日もなにも食べてない…」

エルフ「人間がボクたちの村を襲って、村のみんなは奴隷にされちゃった…」グスン

エルフ「お母さんとお父さんはあなただけでも逃げなさいっておとりになって逃がしてくれたけど・・・」

エルフ「うう…寒いようお腹すいたよう……」トボトボ

エルフ「…もう……限界…」ドサッ



ーー
ーーー
ーーーー

料理人「ふう…晩御飯にするつもりの鹿追いかけてたら随分時間かかっちゃったな」

料理人「畑の野菜も収穫できる時期になってきたしそろそろ旅にでてもいいころかな」

料理人「鹿も捕まえられたし家に帰って早く調理しないとね。お腹すいちゃって仕方ないよ」

料理人「…ん?家の前になんか転がってるな」

エルフ「」グッタリ

料理人「かなり衰弱してるけど…このとがった耳は…エルフ族?」

料理人「こんなところで行き倒れられても困るしとりあえず中に入れますか」ヨッコラセ

SS初心者なのでお見苦しい点などがあればご指摘いただけると幸いです


ーー
ーーー
ーーーー

エルフ母『あなただけでも早く逃げるのよ!もうじきこの村は人間に支配されてしまうわ!』

エルフ『嫌だ!!お母さんとお父さんも一緒に逃げようよボク一人だけ逃げるなんて…』

エルフ父『…父さんと母さんは大丈夫だ。誰かが人間の足止めをしなければたとえ逃げたとしてもすぐに追いつかれてしまう』

エルフ『……でも』

ドンドン
兵士A『あとはこの家だけだ』

兵士B『観念しろ!お前たちにもう逃げ場はない!』

エルフ父『…さあ早く!裏口から逃げればまだ間に合う』

エルフ『…うう……』

エルフ母『絶対に生き延びるのよエルフ。そうすれば必ずまた会うチャンスがめぐってくるからね』

エルフ『…ごめんねお父さんお母さん!絶対に助けるからね!』ダッ

タッタッタッ

エルフ『…くそっ人間め…人間め!』ポロポロ

ーーーー
ーーー
ーー

エルフ「…はっ」パチッ

エルフ「……」

エルフ「夢か…」

エルフ(お母さんとお父さん無事かな…親や仲間を見捨てて自分だけ助かるなんて…ボク最低だな…)

エルフ「それにしてもここどこだろう…」

ガチャ

エルフ「!」ビクッ

料理人「おっ、目が覚めたみたいだね」

エルフ「…なっ!に…人間!?」

料理人「衰弱しきってて餓死寸前だったから目を覚ますか心配だったんだけど…よかったよかった」

エルフ「…ちっ…近寄るな!」

エルフ「…お…お前いったい誰なんだ…何者なんだ!なんでボクを助けたんだ!村を襲った奴らの仲間か!」

料理人「質問が多いなあ。それにしてもこれだけ元気ならとりあえず大丈夫かな」

エルフ「ガルルルルル…」

料理人「とりあえずこれ作ったから食べなよ。あの衰弱っぷりからしてなにも食べてないんだろう?」

エルフ「…断る!人間がなんの利益もなしに助けるなんてありえない!」

エルフ「どうせボクが油断したところを付込んで奴隷市場に売りに行くんだろ!やっぱりお前も兵士たちとグルだったのか!」

料理人「さっきから何の話をしているのかさっぱりわからないんだけど…。まあとにかく食べなよ不味くはないと思うけど」

エルフ「…どうせ睡眠薬か何か入ってるんだろ!ボクはだまされないぞ…!」


グウゥ

エルフ「」

料理人「…」

エルフ「…」

料理人「…」ニヤニヤ

エルフ「…くっ」///グウゥ

料理人「本当にいらないのかい」

エルフ「…いらないって言ってるだろう!人間の施しは受けない!」グウゥ

料理人「さっきからお腹なりっぱなしだけど」

エルフ「…う…うるさい!」///グウゥ

料理人「まあいいや。それじゃあこのスープここに置いとくから。食べ終わったら適当にその辺に置いてていいからね」

エルフ「ボクが食べる前提で言うな!絶対に食べないからな!」

料理人「はいはい。それじゃあお休み」


バタン


エルフ「…」 

グウゥ

エルフ「…」

エルフ(人生最後の食事がこんなスープ一杯だなんて…)

エルフ(ごめんねお母さんお父さんボク逃げきれなかったよ。奴隷市場でもまた会えたらいいね…)

エルフ(朝起きて目に映るのは奴隷商人の顔か、薄暗い牢獄の天井か…)

エルフ「…いただきます」ゴクッ

エルフ「!!」

エルフ(…な…なにこのスープ…ものすごくおいしい…)

エルフ(…お肉が入ってるのに全然くどくない…それどころか数日間なにも食べなかった胃でも問題なく飲めるように調理されてる)

エルフ(…それに入ってる香辛料や薬草で体がポカポカする…凍えた体が芯から温かくなっていくのがわかる…)

エルフ「…」ポロポロ

エルフ「…くそっくそっ」ガツガツ

エルフ「…うう」ポロポロ

エルフ「…なんで、なんで人生最後の食事がこんなにおいしいんだよ…」ポロポロ

エルフ「…ちくしょう!ちくしょう!ボクたちが何したっていうんだ!」

エルフ「ボクたちはただ平穏に過ごしたかっただけなのに…」グスッ


エルフ(結局全部食べちゃった)

エルフ(また食べたいなあ…でももう食べられないのか)

エルフ(人生最後の食事としては味気ないけどもうどうでもいいや)ウトウト

エルフ(お休みお母さんお父さん)スースー

料理人「…」

見てる方いらっしゃいましたらアドバイスや批評などいただけるとありがたいです

チュンチュン

エルフ「」スースー

エルフ「…ん…朝か…」

エルフ「…」

エルフ(どうやらまだ奴隷市場には連れていかれていないみたいだな)

エルフ(それにしても昨日のやつはいったい何だったんだろう…見ず知らずのボクを助けるなんて…たぶんボクがエルフ族だってことも知ってるだろうし…)

エルフ(本当はいいやつなのか…?)

エルフ(いや…そんなはずはない…人間にいいやつなんていない…心を許しちゃだめだ)


ガチャ

エルフ「!」ビクッ

料理人「おはよう。体の調子はどうだい?」

エルフ「…く…来るな!それ以上近づくな!」ガルルル

料理人「そんなに警戒しなくても取って食べたりなんてしないよ。エルフ族なんて筋がかたくておいしくなさそうだしね」

エルフ「…な…何を言って…」

料理人「それより昨日のスープはおいしかったかい?一応食べやすくしたつもりなんだけど…口に合わなかったらごめんよ」

エルフ「…ふ、ふん…大した味ではなかったな…」

料理人「それにしてはきれいに食べてくれてるけど」

エルフ「う…うるさい!残すと食材がかわいそうだったから仕方なく我慢して食べてやっただけだ!」

料理人「そうなんだ。大した味でもない料理を仕方なく我慢して完食してくれるなんて君はやさしいエルフ族だね」ニヤニヤ

エルフ「…くっ」///


エルフ(昨日からなんなんだこいつは…のらりくらりと…話のペースがつかめない…)

料理人「で、話を戻すけど体の調子はどうかな。どこか痛いところとかないかい?」

エルフ「…別にない」

料理人「そっか。とりあえず朝食持ってきたよ。お腹すいてるだろ?」

エルフ「…いらない…人間の施しは受けない」


グウゥ


エルフ「…くそっ」///

料理人「朝食ここに置いとくから。昨日の衰弱具合からしてまだ起き上がるのはつらいだろうから食べたらもう一眠りして起きておいで」

料理人「そのときにある程度体力が回復してれば色々話そう」

エルフ「…」

料理人「じゃあね。しっかり休むんだよ」

エルフ「…おい人間」

料理人「なんだい?」

エルフ「…ありがとう」ボソッ

料理人「どういたしまして」


バタン


エルフ「…とりあえず食べよう」

エルフ(そして体力が回復したらスキをみて逃げ出してやる。1日の宿と食事くらいでボクはだまされないぞ)

エルフ(…バケットと野菜スープ、サラダか…)

エルフ「…いただきます」

エルフ「…」モグモグ

エルフ「…おいしい…昨日のスープに負けないくらいに…」

エルフ「…サラダも生じゃなくてちゃんと火を通してある。多分胃に負担をかけないためだよねこれ…じゃないとこんな手間かけたりなんて…」


エルフ「…ごちそうさまでした」

エルフ「…寝よ」スースー



ーー
ーーー
ーーーー


トントントントン
グツグツコトコト
ジュウウウウ


幼エルフ『うーん…』ウトウト

母エルフ『あら、起きちゃった?もうすぐ晩御飯できるからね』

幼エルフ『すんすん…いいにおい…』トテトテ

母エルフ『今日はあなたの大好きなシチューと野菜ソテーだから楽しみに待っててね』

幼エルフ『おかーさんほんと!?やったー!』

父エルフ『なあ母さんや。たまにはがっつりしたものも食べたいんだが。主に肉とか』

母エルフ『あら、嫌なら食べなくてもいいんですよ。幼エルフと二人で食べますから』

父エルフ『喜んでいただきます』

幼エルフ『ボク、シチューもソテーもだいすきー!』


ーーーー
ーーー
ーー


エルフ「…ん」パチッ

エルフ「…なんで今頃あんなときの夢なんか…」

エルフ「…お母さん、お父さん」グスッ

エルフ「…起きよう。体力もかなり回復したし…逃げるのはあいつと色々話した後でも遅くないよね…」ムク


ガチャ
スタスタスタ


エルフ「どこにいるんだろう」キョロキョロ

エルフ「…ん?なにか聞こえるような…」


トントントントン
グツグツコトコト
ジュウウウウ


エルフ(え……?)


料理人「…」シュババババッ

エルフ(すごい手際だ…複数人分の料理を全部一人でこなしてる…しかも素人のボクでもわかるくらい一切の無駄がない)

エルフ(それにしてもなんだろう今の既視感…あいつの料理してる後ろ姿…)

料理人「…」シュババババッ

エルフ「…」ボーッ

料理人「ん?」

エルフ「!」ギクッ

料理人「おはよう、といってももう昼だけどね。見た感じだけどだいぶ体力が回復したみたいだね」

エルフ「…お…お前が寝ろって言ったんだろ…!普段はこんな寝ぼすけじゃない…!」

料理人「そうだったそうだった。もうすぐお昼ご飯ができるから顔と手を洗ってきてくれ。洗面所は君が寝てた寝室の隣だから」

エルフ「…わかった」


料理人「さあ食べようか」

エルフ(おいしそう…それにすごくいい香り)ゴクッ

料理人「いただきます」

エルフ「…い…いただきます」

料理人「あむっ」

エルフ「んっ…」モグッ

エルフ(ああ…)

エルフ(めちゃくちゃおいしい…)

エルフ「…」ガツガツ

料理人「夢中で食べてくれるのはうれしいけど、あんまりがっつくとむせるよ」

エルフ「!?」ゴホッゴホッ

料理人「言わんこっちゃない。料理は逃げないからもう少し落ち着いて食べなよ。はい水」つ

エルフ「…あ…ありがとう」ゴホッゴホッ


料理人「ふう、ごちそうさまでした」

エルフ「…ご…ごちそうさまでした」

料理人「お粗末さまでした。それにしても君小柄なのによく食べるね。結構量あって作りすぎちゃったと思ったんだけど」

エルフ「…残すと食材がもったいなかったから食べただけだ…」

エルフ(おいしすぎて残すのもったいなかったなんて言えない…)

料理人「残さず食べてくれるなんて料理人冥利に尽きるってもんだよ。昨日も思ったけど君は優しいね」

エルフ「…うるさい」プイ


料理人「じゃあ腹もふくれたところでそろそろ自己紹介といこうか。俺の名前は料理人。世界を旅している途中なんだ。君の名前は?」

エルフ「…ボクの名前はエルフだ…」

料理人「そっかエルフか…よろしく。早速質問で悪いんだけどだがなんで俺の家の前で倒れていたんだい?しかも極度の疲労と空腹で」

エルフ「…」

料理人「まあ言いたくないなら無理には聞かないよ」

エルフ「…!詮索しないのか…」

料理人「エルフはまだ俺のことを警戒しているみたいだし、そんな相手から無理やり聞き出そうなんて非紳士的なことはしないよ」

エルフ「…すまない」

料理人「気に病むことはないさ。あんな状態だったなら余程のことがあったんだろう?自分から話してくれるまで待つよ」

料理人「今度はそっちの番だ。俺に聞きたいことはないのかい?」


エルフ「…世界を旅していると言っていたが、なぜこんな山奥に居を構えているんだ?」

料理人「本当はこの山を超えてふもとの町の宿屋で冬を越す予定だったんだけど今年の冬は吹雪が激しいらしいからね。ふもとにたどり着く前に吹雪がきそうだったから即席の家と畑を作ってここで吹雪やり過ごすことにしたんだ」

料理人「もっとも、畑の野菜を収穫したら旅にでようかと考えてたんだけど、吹雪がやみそうにないからもう少し滞在することにしたけどね」

エルフ「…なんでボクを助けたんだ…」

料理人「は?」

エルフ「…っ!…だからっ…なんで瀕死状態のエルフ族に宿を貸して、食事まで与えたのかって聞いてるんだよ…!」

料理人「そりゃ困っている人がいたら助けるのが普通なんじゃないのかい?旅は道連れ世は情けっていうしね」

エルフ「…そんなっ…ありえない!人間はエルフ族を奴隷としか見てない…!」


料理人「人間もピンキリだからね。確かに善良な人間ばかりとは言えないなあ。その点エルフ族は例外なく仲間意識が強くて良い種族だよね」

エルフ「…」

エルフ(話を聞く限りこいつは悪いやつじゃないのかもしれない。嘘を言っているようにも見えない)

エルフ(どうせ失うはずだった命だ。こいつに救われたのは事実だし少し信じてみても…)

料理人「もう質問はないのかい?」

エルフ「…ああ」


料理人「よし、じゃあ話もひと段落ついたしそのボロボロの服着替えなよ。見てるこっちが寒くなってくるよ」

エルフ「…え?」

料理人「エルフが起きるまでに暇だったから服作っといたんだ。試しに着てみてよ」

エルフ「…えっ…ちょ…」

料理人「なに恥ずかしがってるんだ。男同士なんだから裸みられるくらい大丈夫だよ、ほら早く早く」

エルフ「…ちょ…やめ…きゃあああああ!」ドゴッ

料理人「ぐはっ」

エルフ「…」フーフー 

料理人「」チーン

エルフ「…ボクは女だ!」

料理人「…失礼しました」ピクピク

エルフ(人間なんてぜったい信じないぞ!)

とりあえずここまでです。
ノリと勢いで書いたssですが最後まで頑張りたいと思います。
見てる方いらっしゃいましたら、批評、批判、苦言、ダメ出し、なんでも結構ですのでコメしていただけるとありがたいです。
最後までよろしくお願いします。

エルフ系SS大好き

最後まで書ききってくれ

>>28
ありがとうございます。何とか最後まで書ききりたいです。


エルフ(ボクが料理人に助けられてから2週間…)


ーー
ーーー
ーーーー

料理人「おーいエルフ。料理できたから運んでー」

料理人「こらエルフ。つまみ食いするなっていつも言ってるだろ」

料理人「…ん、あと5分だけ寝かs…痛い!わかったわかったすぐ朝食作るから!」

料理人「包丁の持ち方は…、そうそう上手じゃないか」


エルフ「…」

料理人「…」シュババババッ
トントントントン
グツグツコトコト
ジュウウウウ

料理人「はい出来上がり。どうぞ召し上がれ」

エルフ「ん、ありがとう。いただきます」

料理人「いただきます」

エルフ「…ん」モグ

料理人「どう?おいしい?」

エルフ「うん。めちゃくちゃおいしい」

料理人「それはよかった」

エルフ(…ボクすごい馴染んでるな。しかも居心地良いし)


エルフ(始めは警戒してたけど…料理人ボクにいつも料理作ってくれてすごくやさしい)ドキドキ

エルフ(なんだろうこの感覚…料理人といる胸の内がもやもやして苦しい…けど全然嫌じゃない…むしろうれしい)ドキドキ

エルフ「…」ボー

料理人「どうしたのエルフ?ぼーっとして」

エルフ「っふぇ!?」

料理人「まだどこか傷が痛むのかい?」

エルフ「…だだ大丈夫!ちょっと考え事してただけだから!」


料理人「ごちそうさまでした」

エルフ「ごちそうさまでした」

料理人「お粗末様でした。よし、食事も終わったしそろそろ家をたたんで出発する準備をしますかね」

エルフ「…え!」

料理人「本当はもう少しかかると思ってたんだけど、思いのほか吹雪が早くやんだからね。今のうちに下山しないと」

エルフ「…そうか、じゃあもうボクたちはこれで…」

料理人「うん、明日でお別れだね。短い間だったけどありがとう」

エルフ(…嫌だ、離れたくない…もっと一緒にいたい。でもこれ以上迷惑はかけられない…)

エルフ「こちらこそ何日も泊めてくれてありがとう。ボク、人間の中にもいいやつがいるんだってわかった」


料理人「ふふ…ありがとう。でもいいやつばかりとは限らないから町に降りるときは十分注意してね」

エルフ「…うん」


ー翌日ー


料理人「じゃあ達者でね」

エルフ「…うん。今までありがとう」

料理人「どういたしまして」

エルフ「…あの…料理人…」

料理人「どうしたの?」

エルフ(その旅にボクも…)

エルフ「…んーん、なんでもない…それじゃあねばいばい」

料理人「うん。さようなら」


エルフ「…行っちゃった…これからどうしよう…」

エルフ(いや、悩んでる暇なんかないよね…早くお母さんやお父さん、仲間たちを見つけて助けてあげなきゃ)

エルフ「…!?うぐっ…」ドサッ

兵士A「まだエルフが残っていたのか」
兵士B「さっさと町の奴隷市場に行って売り飛ばそうぜ。若いし顔もいいから高値がつくぜ」


スタスタスタ


兵士A「ん?誰だお前…こんなところでなn」

ドゴッ

兵士B「な!?兵士A!きさま一体どういうつもr」

バキッ


ーーーー
ーーー
ーー



エルフ「…ん…はっ!…っつ痛!」

料理人「大丈夫かいエルフ?途中で国の軍隊とすれ違ったから、もしやと思って引き返してみたけど」

料理人「なんとか間に合ってよかった」

エルフ(また助けられてしまった…)


グツグツコトコト


料理人「はいどうぞ。急いで作ったから味は保証できないけど温まるよ」

エルフ「…ありがとう。いただきます」ゴクッ


エルフ「…」ポロポロ

エルフ「…うう、うう」ポロポロ

料理人「推測だけどエルフの故郷はさっきの兵士たちに襲撃されたんじゃないのかい?」

エルフ「…」

料理人「そしてなんとか逃げきれたのはエルフだけで、それに気づいた国の軍隊たちが付近を捜索し始めたってとこだろう」

エルフ「…あいつらいきなりボクたちの村にやって来てみんなを捕まえはじめたんだ…」

エルフ「…ボクたちも抵抗しようとしたけど無駄だった…」

料理人「そっか。それでここまで逃げてきたんだね」


エルフ「…っ…うう」

料理人「よしよしよく頑張ったね。さぞ不安だったろう」ナデナデ

エルフ「…っ!…っう…うあ…うあああああ」

料理人「もう大丈夫だよ」ギュッ

エルフ「…こっ…怖かった…ボク怖くて…どっ…奴隷にされるんじゃないかって…」

料理人「よしよし」ナデナデ


エルフ「…」グスグス

料理人「なあエルフ。俺の旅に同行してみないかい?」

エルフ「…!」

料理人「これから行く旅の途中でふもとの町にさしかかるんだけど、そこでは秘密裏に奴隷売買が行われている」

料理人「もしかしたらエルフの捕まった両親や仲間たちが見つかるかもしれない」

エルフ「…うん…一緒に行きたい…ボクもう料理人と離れたくない…」

料理人「わかった。これからよろしくねエルフ」

エルフ「…うん。こちらこそよろしくね料理人」


チュンチュン

料理人「ん…朝か…ふあ」

料理人「おはようエルフ。いつも早いね…って寝袋に顔うずめて何じたばたしてんの…」

エルフ「…な…なんでもない。気にしないで…」

料理人「ふーん…朝食の支度するからちょっとまってて」

エルフ「…うん…ありがと」


料理人「…」トントントン


グツグツコトコト


エルフ「…」

エルフ(は…恥ずかしいいいいい)///

エルフ(昨日色々あって気が動転してたけど、ボク料理人に頭なでなでされてそのあとギュって…)///

エルフ(しかも料理人と離れたくないとかなんとか言ってたような…)///

エルフ(うわああああ…)ジタバタ


料理人「朝食できたよー」

エルフ「…ひゃっ!」

料理人「どうしたの大丈夫?」

エルフ「…ああ…うん大丈夫…大きい声出してごめん…」///

料理人「それはいいけど…もしかして熱とかあるの?いくら焚火たいていたとはいえ冬の寒空に野宿はつらかったかな」

料理人「一応念のため…」ピト

エルフ「…ふあ」///

料理人「うーん熱はないみたいだけど」

エルフ「…ちょっ…か顔…ちか…」///

ちょっと休憩


料理人「ごちそうさまでした」

エルフ「ご…ごちそうさまでした」

エルフ(めちゃくちゃおいしかったけど、緊張であんまり入らなかった…)

料理人「お粗末様でした。よし、少し休憩したら出発しようか」


エルフ「料理人のバッグすごく大きいね…身長の1.5倍ぐらいあるけど」

料理人「調理器具とか食材とか色々入ってるからね」

エルフ「ふもとの町まではどのくらいかかるの?」

料理人「おおよそだけど3日ぐらいかな。この山この辺で一番でかいから」

エルフ(下山するだけで3日かかる山をこんな大きい荷物持って超えようとするなんて…料理人って何者…)

料理人「この山でかいから結構集落とか村とかあるんだ。日が暮れそうになったらそこで休むから」

エルフ「ん、わかった」


エルフ(下山を始めてから約2時間が経過した…)


ザッザッザッ

エルフ「…ハァハァ」

料理人「大丈夫かいエルフ?疲れたなら少し休憩しようか」

エルフ「だ…大丈夫…」

エルフ(あんな大きな荷物持ってペースを落とさず歩けるなんて…しかも全然息切れしてない…)

料理人「向こうの方に村が見えるからそこまで頑張ろう」

エルフ「う…うん」


料理人「よし着いた。お疲れ様エルフ」

エルフ「つ…疲れた…」グテ

料理人「なんか随分村が荒れてるなあ。戦争の後みたいな感じだけど」

料理人「村人に聞いてみるか。あのーすいません」

女騎士「ん?誰だお前たちは」


料理人「俺たち旅の者なんですけど、下山してたら疲れちゃって…ちょうど村が見えたからここで休ませてもらおうと思ったんです」

料理人「でもあまりの村の荒れようがちょっと気になりまして」

女騎士「…旅の者か。なるほど…事情はわかった。夜は危ないからあまり出歩かないほうが身のためだぞ」

エルフ「…なにかあったの?」

女騎士「最近この村の付近に竜が住み始めてな。村の住人が育ててきた農作物や家畜を食い荒らしていくのだよ」


エルフ「でも竜って海辺とかに好んで生息するんじゃないのか?なんで山の村なんかに…」

料理人「多分、貴族たちの不法放流だね。竜はステータスになるから貴族たちがこぞってペットにしたがるんだ」

料理人「でも、育ててるうちに大きくなりすぎて飼えなくなったり、飽きたりすると適当な広い森や山に捨てることがあるんだ」

女騎士「本来飼育用の竜は穏やかなのだが、野生化して食べるものがなくなると村を襲うほど狂暴化してしまう」

女騎士「だから王都から派遣された私がここで竜を討伐してやるのだ」

女騎士「もっとも騎士試験を剣術、体術ともに未成年で合格した私なら造作もないだろうがな」


料理人「女騎士さん、あまり彼らをなめないほうがいいよ。あいつら鼻がよく利いて、相手の匂いから情報を読み取るから」

女騎士「何を言っている…どれだけでかかろうが、たかがトカゲの亜種だ。私が遅れをとることなどありえない」

料理人「そう、まあ頑張って。警告はしたから。行こうかエルフ」

エルフ「う…うん」


村人A「ほう、こんな寂れた村に来客とは珍しい」

料理人「こんにちは。山を下りようと思ったんですけど、疲れちゃったから休ませてもらおうと思って」

村人A「そうでしたか。何もない村ですがどうぞごゆっくり」

子供「おとーさんお腹すいたー」

村人A「…我慢しなさい。もうすぐ女騎士殿が竜を退治してくださるからな…それまでの辛抱だ」

エルフ「…そんなに食べ物ないの?子供に満足させられる分の食材も…」

村人A「竜は雑食ですからな。野菜も家畜も全部食い荒らしていくので…我々大人は昨日から何も食べていない状況なんですよ…いやはやお恥ずかしい…」

エルフ「…」


ー宿屋ー


料理人「ちょっとぼろいからって、主人が宿代格安にしてくれたよ」

エルフ「…そうなんだ」

料理人「どうしたのエルフ。元気ないね」

エルフ「…ねえ料理人。この村滅んじゃうのかな…」

料理人「さあ。それはあの女騎士次第かな」

エルフ「…あの子供、すごくお腹すかせてた」

料理人「そうだね」


エルフ「…料理人、あの女騎士に加勢してあげて…料理人って強いんだろう?ボクを捕まえた兵士2人に勝てるぐらいだから」

料理人「いいのかい?あの女騎士は君の村を襲撃した王都の軍隊の関係者だよ」

エルフ「…うん。何より子供がお腹をすかせたままじゃかわいそうだから。それに料理人に助けられたボクの姿かぶっちゃって…」

料理人「…」

エルフ「…お願い料理人。この村を救ってあげてよ」

料理人「わかった。それにしても竜の肉を食べるのは久しぶりだなあ」

エルフ「…?」

料理人「今日は村総出でバーベキューパーティーだ」


「竜がでたぞー!」
「みんな避難しろー!」


料理人「おっ、早速出たね。さあて調理開始といきますか」ジュルリ


竜A「グオオオオオ」

竜B「グオオオオオ」

女騎士「…くっ、強い…これほどまでとは…しかも2頭…!」

竜A「グオッ」ブン

女騎士「…ッガハ…!」ドシャ

女騎士(これまでか…意外とあっけない最期だったな)


スタスタスタ


女騎士(…誰か来る?)


料理人「ハロー女騎士さん。苦戦してるようだねえ」

女騎士「…お前は先ほどの…っ…逃げろ早く!私がおとりになるからその間に…!」

料理人「強がりはやめなよ。今の君ではおそらく5秒も持たないだろう。そのまま頭から食われてジエンドだ」

女騎士「…お前とて同じことだろう!武器すらもたず竜に挑むなんて無謀すぎるっ!」

料理人「でももう倒しちゃったけど」

女騎士「…は?」


竜A「」

竜B「」

女騎士「」

料理人「うーん、これだけでかいと村人全員に、1週間分の肉を配分してもかなり余るなあ」

料理人「残りはもらっちゃってもいいかな。エルフ小柄のくせに人の5倍は食べるんだもんなあ」

女騎士(…こ、この男今何をしたんだ…、竜どもに攻撃したのか…?だとしたら何も見えなかった…)


ドンチャンドンチャン


女騎士「…」

料理人「こんなところでたそがれて、どうしたの女騎士さん。竜肉のロースト作ってみたんだけど、いかが?」

女騎士「…いらない」

料理人「そうかい?食べるなら早くしないとエルフが全部食べちゃうよ」

女騎士「…」

女騎士「…なあ、お前はいったい何者なんだ」


料理人「?ただの料理人だよ」

女騎士「…っ…しかし先ほどの…!」

料理人「そんなことよりお腹すいてるだろ?食べなよ。それに竜から受けたダメージもまだ治りきってないようだしね」

女騎士「…だからいらな」


グウゥー


女騎士「」


料理人「…」

女騎士「…」

料理人「…」ニヤニヤ

女騎士「…うう」///

料理人「で?どうするの?」

女騎士「…一口いただこう」モグッ

女騎士「!!」


女騎士(な…なんだこの料理…とてつもなく美味い…少なくとも今まで私が食べたどんな料理よりも…)

女騎士(しかも受けたダメージや体の傷が癒えていく…先ほどの痛みが嘘のように消えていく…)

女騎士「…」ガツガツ

料理人「喜んでもらえたようで何よりだよ。あっちのテーブルにはまだまだあるからたくさん食べてよね」

エルフ「料理人、女騎士と二人きりで何話してるんだ?」ヒョコ

料理人「ああエルフ、いや別に何でも…」

エルフ「…」ムー


料理人「?なんかエルフさん怒っていらっしゃらないですか?」

エルフ「…ふん別に。それより料理がもうない」

料理人「はいはい。作りに行きますよ」

エルフ「ボク、竜肉のももから揚げと、竜肉とオニオンの薬膳サラダ食べたい。あれすごいおいしかった」ジュル

料理人「俺の料理を気に入ってくれたのは結構だけど、最初に比べて角とれすぎじゃないですかねエルフ?」ニヤニヤ

エルフ「う…うるさい!最初なんだから仕方ないだろう」///

料理人「むきになるエルフたんかわいい」ナデナデ

エルフ「ん…」ピク


料理人「…」ナデナデ

エルフ「…」

料理人「…」ナデナデ

エルフ「…」

料理人「…」ナデナデ

エルフ「…ハッ…頭なでるなー!たん付けるなー!ボクを子ども扱いすんなー!」///ウガー

料理人「かわいい」

女騎士(かわいい)

ハッピーエンドでお願いします

>>64
了解しました!


料理人「ところで、女騎士って王都の軍の関係者だよね?最近このあたりで軍がエルフの村を侵略したっていう話聞いてないかい?」

エルフ「…!」

女騎士「ああ、その話は耳にしている。どうやら軍の司令官が私腹を肥やすために秘密裏にエルフの奴隷売買を行っているようだ」

女騎士「ただ、なかなか証拠が見つからないから役所も手を焼いていてな…。私も陰ながら証拠を探しているのだが、やつもなかなか用心深くてな…」

料理人「このことを王は?」

女騎士「知ってはいるだろうが噂程度の認識だろう」

料理人「なるほどね」

エルフ「…」


ー翌日ー


村人A「竜を退治するだけでなく、調理までして村人の空腹を満たしてくださるとは…本当にありがとうございました」

子供「おにーちゃんの料理とってもおいしかったー!」

女騎士「私からも礼を言わせてくれ。お前が来なければ今頃私は死んでいただろう。今まで自分の力を驕っていたのが恥ずかしいよ」

料理人「2頭の竜相手にあれだけ健闘したんだから女騎士は十分強いよ、自信持って」

女騎士「う…うむ」


料理人「まだ王都には帰らないのかい?」

女騎士「破壊された村の建造物の修繕を手伝うよ。せめてこれぐらいはしないと村人たちに申し訳がたたないからな」

料理人「そっか。責任感が強いんだね」ニコ

女騎士「…うっ」///ドキッ

エルフ「…」ムー

料理人「それじゃあみなさん、さようなら。達者でね」

村人A「ぜひまたお立ち寄りください」

子供「またねー料理人のおにーちゃーん」フリフリ


女騎士(なんなんだ今の感じは…心臓が跳ねるような感覚)ドキドキ

女騎士「…」///ボー

子供「おねーさんどうしたのー?顔まっかっかー」


料理人「町はもう少しだからこのまま一気に下山しようか」

エルフ「…そうだな」ムス

料理人「いやー竜肉久しぶりに食べたけどおいしかったなー」

エルフ「…そうだな」ムス

料理人「竜肉って調理難しいから不安だったけど、うまくできてよかったよ」

エルフ「…そうだな」ムス


料理人「…」

エルフ「…」ツーン

料理人「必殺!料理人たかいたかいこうげきー!」バッ

エルフ「!?うわっ…こらっ…!はなせー!」///ジタバタ

料理人「なーに怒ってんですかねエルフちゃんは」

エルフ「…別に何でもない」

料理人「両親や仲間が見つかるか心配でいら立ってるのかな?大丈夫だよ、きっと見つかるよ」

エルフ「…そのことで怒ってるわけじゃ…」


料理人「じゃあ何で?」

エルフ「…料理人が女騎士と…」

料理人「女騎士?」

エルフ「…ふん何でもない…早く降ろしてくれ…」ツーン

料理人「ははあ、なるほどね。なんとなくわかったよ」

エルフ「…!」

料理人「エルフがいらついてるのって、もしかしてあの日…ぐはっ!」ドゴッ

エルフ「…バカ!!」///


料理人「ふう、なんとか町に着いた」

エルフ「早くみんなを探さないと…!」

料理人「落ち着きなよエルフ。司令官は町の一番大きな屋敷に住んでるから直接会って探ってみよう」

エルフ「料理人、司令官のこと知ってるのか?」

料理人「…昔ちょっとね」


ー司令官邸ー


料理人「ここだここだ。エルフ、フードが取れないように気を付けてね。ばれると面倒だから」

エルフ「どうやって中に入るんだ?エルフ奴隷を隠してないか探りに来たので中に入れてください、とでも言うのか?」

料理人「まあ、見ててよ」ドンドン

召使「なんだお前たちは?ここを王都軍を指揮しておられる司令官様の家と知っての来訪だろうな」

料理人「突然の来訪、大変失礼いたします。私たちは世界を旅している料理人でございます。この町に差し掛かったときに、王都軍を見事な手腕で指揮し町の平和を保っているという司令官様のお話を耳にしました」

料理人「ぜひとも偉大なる司令官様に私たちの料理を味わっていただきたいと思い足を運んだ次第でございます」

召使「ふん怪しいやつらめ。司令官様はお忙しいのだ。素性の知れぬ輩と会う暇などない。早々に帰れ」

司令官「騒々しいな。いったい何事だ」


召使「し、司令官様…!」

エルフ(こいつが村のみんなを…!)ギリッ

料理人「…」

司令官「平民ごときが私の屋敷になんの用かね?」

召使「この者たちは旅の料理人らしいのですが、ぜひ司令官様に料理をお出ししたいと申しておりまして…」

司令官「ほう、この私に料理を出すというのか。言っておくが私はグルメだぞ?余程の自身があるらしい」

司令官「もし私の意にそぐわない料理を出せば、そのときはわかっておるのだろうな」

料理人「必ず司令官様のご期待にそえる料理をお出しいたします」

司令官「よろしい。おい、この者たちに厨房を貸してやれ」

召使「はっ」

料理人「ありがとうございます」


料理人「お待たせいたしました、竜肉をつかったフルコースでございます。どうぞお召し上がりください」

司令官「ふむ。見た目はなかなか旨そうだ。おい召使、お前がまず最初に食え」

召使「はっ」

司令官「料理に毒を入れて私を殺そうとする者も少なからずいるからな。警戒しておくに越したことはない」

召使「!!これは…」

召使「…美味い。こんな料理今まで食べたことない…!」


司令官「どれ…」モグ

司令官「!!…お前たちは明日から私の屋敷に住み込みで働いて、毎日私に料理を出せ。望む金額の給金を払おう」

料理人「ありがとうございます」

司令官「竜は以前飼っていたのだが、飽きて山に捨ててしまってな。こんなことなら捨てずに家畜として育てればよかったな」ハッハッハ

料理人「…」

エルフ(こいつ…!)

司令官「この者たちに部屋を用意しろ。そして今いるコックは全員クビだ」

召使「はっ」


ー部屋ー


エルフ「あのクソデブころす」

料理人「どーどー、落ち着きなよエルフ。気持ちはわかるけど今ここで失敗すると全部パーだよ」

エルフ「…でも」

料理人「俺が夜になったらこっそり屋敷を調べるから、エルフは部屋で待っててよ」

エルフ「…嫌だ!ボクも一緒に行く!」


料理人「エルフ」

エルフ「…」

料理人「…」

エルフ「…わかった」

料理人「大丈夫だよエルフ。明日の朝には全て解決してるから」

エルフ「…」


ー司令官邸某所ー


料理人「この屋敷全然昔と変わってないな。っと、ここだここだ。この階段降りれば地下牢獄だ」

料理人「捕まったエルフ族が監禁されてるとしたらこの地下牢獄だろうけど、みんな生きてるかな」


ー地下牢獄ー


エルフ母「…あの子は無事に逃げられてるかしら…捕まってないといいんだけど…」

エルフ父「…大丈夫だよ。あの子は利口だから…きっと元気で生きてるよ…」

エルフ母「…でも、もし捕まってひどいことされてたら…!私もう…」

エルフ父「…」


コツコツコツ


エルフ母「…誰か来る…」

エルフ父「…司令官か?とうとう私たちエルフ族の誰かが売られてしまうのか…」


ガチャ


料理人「おっ、やっぱりここだったか。あの司令官もワンパターンだな。誰かにばれるという考えはなかったのか」

エルフ母「…だ…誰…あなたは?」

料理人「覚えてないですか?って覚えてるわけないか、もう10年前だもんなあ。俺子供のころにあなたたち家族に命を救われた料理人っていう者なんですけど…」

エルフ父「…まさか君は…10年前、村の前で倒れてた…」

エルフ母「…料理人ちゃん!?…こんなに大きくなって…こんなところでなにしてるの…?」

料理人「当然あなたたちを助けに来ました。10年前の恩返しです。こんどは俺があなたたちエルフ族を救う番だ」


「なるほどそういうことだったか」


司令官「見覚えのある顔だと思っていたが。まさかお前、10年前に脱走した奴隷のガキだったのか」

エルフ「…料理人、た…助けて…」

エルフ母「…エルフ!!」

エルフ父「おいやめろ!!その子を離せ…!!」

エルフ「…お母さん!…お父さん!」


料理人「へえ、まさか覚えてくれていたなんて思わなかったよ。じゃあ俺たちはまんまとこの屋敷に誘われたわけだ」

司令官「お前が脱走したせいで、私はいつこの小遣い稼ぎが王に知られるかと日々胃に穴が空く思いだったからな。おかげでストレスでこんなに肥えてしまったわ。お前の顔を見た瞬間にピンときたよ、あのときのガキだとな」

料理人「で、どうするの?また俺を奴隷にさせるの?」

司令官「お前などもう必要ないわ。お前はこのエルフ族どもと一緒に死んでもらう」

料理人「脂肪で脳みそがいかれちゃったか。そんなことさせると思うのか?」


司令官「私も何も考えなかったわけではない。お前が脱走して以降、捕まえた奴隷ども全員に爆弾を付けた。これで脱走を図ろうとした奴隷は粉々に吹っ飛ぶという算段だ」

司令官「当然ここにいるエルフ族全員にも爆弾を付けている。これを一斉に起爆させれば肉片も残らずお前は一緒に死ぬ」

料理人「今ここでエルフ族と今までに殺してきた奴隷全員に泣いて命乞いしろ。そうすれば命だけは保証してやる」

司令官「状況が理解できていないようだな。私がスイッチ1つ押すだけでお前たちは死ぬのだぞ?命乞いするのはお前の方だ」

料理人「…」


司令官「だがこのエルフだけは生かしておいてやる。色んな奴隷を見てきたが、ここまで顔が整ったのはいなかったからなあ!」

司令官「一生私の手元においてなぶってやる。生かしてやるのだ、ありがたく思えよ!」

エルフ「…い…いやだ…たすけて…」ポロポロ

料理人「…」

司令官「いい表情だ!これから四六時中、玩具にしてやるから覚悟しろよ!」

エルフ「…あ…あ…」ポロポロ

料理人「…」

司令官「はーっはっはっは!さらばだ奴隷ども!」

料理人「…」スッ

司令官「なんだ?そんな包丁1本で戦う気か?私をなめるのも大概にs」



シュラッ



司令官「…は?」


司令官「…!?!?がああああああ…!!!!あ…足が…!!」

料理人「足のかつら剥きだ。初めて人にやってみたけど案外きれいに剥けるもんだな」

エルフA「彼、いったい何をしたんだ…何も見えなかった…」

エルフB「あんな離れたところからどうやって…」


司令官「…くそっ…起爆剤を…」

料理人「遅い」シュババ

司令官「…ぐああああああ!!!!て…手が…!」

料理人「今度はみじん切りだ。結構難しいなこれ」

司令官「…や…やめろ…来るな…!」


コツコツコツコツ


料理人「お前には感謝しなければならないな」シュババ

司令官「…ぎい…!?耳が…!」


コツコツコツ


料理人「お前が10年前と全く変わらない、悪魔にも劣るクズヤロウでいてくれて」シュババ

司令官「…がは…!!…わ…わかった!謝る…!私が悪かった…!だからもう…」


コツコツ


料理人「わずかでも更生してたら、お前に対して残っているなけなしの良心が揺らいでしまいそうだからな」シュババ

司令官「…うぐっ!…わ…私が悪かった…!謝罪もする…!か…金も望むだけ払う…!」

コツ

料理人「でもさっきの発言は悪魔に失礼だったな。悪魔って友好的でいいやつもいるんだぜ、ちょっと変態だけど」シュババ

司令官「…ひ…ひい…」


ピタ


料理人「調理意欲をそそるいい表情だが、雑談は終わりだ。土に還る前に何か言い残すことはないか?」

司令官「…た…たすけt」


シュババ


司令官「」ドサ




料理人「生かしておいてやったんだ。ありがたく思えよクズヤロウ」


ー王都ー


料理人「以上で報告を終わります」

王「う…うむ、報告ご苦労。まさか腹心が、10年以上にもわたって奴隷商売を行っておったとは…てっきり噂程度とばかり…」

料理人「司令官の家宅捜査を行いましたところ、奴隷商売に関する様々な証拠が出てきました」

王「そうか…部下の不祥事を近い立場にいながら認識できていなかったとは…。国を治める者として、わしもまだまだ未熟なようじゃな…」

王「エルフ族の方々、本当に申し訳なかった」ドゲザ


エルフ母「もういいんです。村のみんなや娘が誰一人欠けることなく戻ってきたのですから」

エルフ父「頭を上げてください陛下」

王「なんと寛大な種族じゃ…。ご安心くださいエルフ族の方々。破壊された家や建築物は、すべて元通りに修復いたしますゆえ」

エルフA「しかし、我々の村はすでに崩壊寸前でした。それを元通りにするというのはさすがに…」

料理人「大丈夫です。俺の知り合いに、腕利きの大工と女魔法使いがいますから。彼らに任せれば半日で修復できるでしょう」

エルフB「…半日で?…とても信じられんが…料理人殿の知り合いというのであればどこか納得できる…」



ーー
ーーー
ーーーー


ーエルフ村ー


大工「ちくしょう料理人の野郎!いきなり家に来て『山奥にエルフの村あるんだけど今から元通りにして』なんて言いやがって!」

女魔法使い「まあまあいいじゃないですか!久しぶりに会えたんですから、私はうれしかったですよ?長い間音信不通でしたからねー!」

大工「だからって真夜中に来るか普通!何事かと思って跳ね起きたわ!」

女魔法使い「でも頼られてうれしかったんでしょう?なんだかんだ言って理由も聞かずにこうやってお家修復してあげてるじゃないですか!」

大工「ところでなんでお前もいるんだよ?建造物の修復だけなら俺だけで充分だろう」

女魔法使い「二度と悪い人間が村に来ないように、結界を張ってほしいそうです!村規模の広さの結界を長期間維持できる魔法使いは私だけらしいので!」

大工「それって大体何年ぐらい維持できるんだ?」

女魔法使い「そうですねー、放置してても軽く100年はもつと思います!」

大工「ったく。帰ったら料理人に満漢全席作らせてやる」

女魔法使い「いいですね!私は魔力を底上げする料理でも作ってもらいましょうか!」


ーーーー
ーーー
ーー


王「とにかくエルフ族のみなさん、今回の件は本当に申し訳なかった、改めて謝罪する。そろそろ村も修復できている頃じゃろう。馬車を用意させるからそれにお乗りくだされ」

王「それと料理人、お前だけここに残りなさい。話がある」

料理人「はっ」


エルフ「あ…あの料理人」

料理人「どうしたエルフ?」

エルフ「えっと…、大事な話があるから後で村まで来てくれないか。どうしても伝えたいことが…」

料理人「…」

エルフ「料理人?」

料理人「わかった、後で絶対に行く」

エルフ「うん!待ってるから!」


王「すまんが家臣や騎士たちも退席してくれんかの。料理人と二人にしてくれ」

家臣「…しかし陛下」

王「わしは大丈夫じゃ、心配いらぬ」

家臣「わかりました、失礼いたします」


バタン


王「楽にしてよいぞ料理人」

料理人「だはー、報告長かったー。やっと胡坐をかけるよ」

王「料理人よ」

料理人「なに王様?」

王「正座」

料理人「え、でも今楽にしていいt」

王「はよ」

料理人「…はい」


王「わしは怒っている。なぜだかわかるか」

料理人「…いいえ」

王「お前ちとやりすぎじゃ、あそこまでやっちゃうと過剰防衛で逆にお前が捕まっちゃうよ?司令官死ぬ一歩手前じゃったらしいし」

料理人「…すいません。ちょっと感情がたかぶっちゃって」

王「まったく、わしが役所に口添えしてなければお前今頃豚箱行きじゃぞ」

料理人「…ありがとうございます」

王「半年前も、城の厨房勝手に抜け出して旅に出てしまうし…後処理大変だったんじゃよ?」

料理人「…返す言葉もございません」

王「これはしばらく城の厨房でただ働きじゃな」

料理人「そんな…!俺この後エルフに会いに行かなきゃ」

王「は?」

料理人「喜んで働かせていただきます」


ーエルフの村ー


エルフA「…すごい、何もかも襲撃される前の村と全く同じだ…しかも前より頑丈に作られてある。半日でいったいどうやって…」

エルフB「…結界もとんでもなくでかい。地上どころか空からの襲撃にも耐えられそうだ…」

 
エルフ「…料理人」

エルフ母「大丈夫よエルフ。料理人ちゃんは必ず来るわ」

エルフ父「そうだ。彼を信じて待ちなさい」

エルフ「…うん」


ー半年後ー


エルフ「…はあ」

エルフ(料理人まだ来ないのかな…もしかして忘れてたりしてないだろうな…)


コンコン


エルフ「?はーい」


ガチャ


料理人「やあ久しぶりエルフ。元気だったかい?」

エルフ「…」

料理人「いやー、あの後王様の城でただ働きさせられちゃってねー。会いに行くのずいぶん遅くなっちゃったよ」

エルフ「…」プルプル

料理人「この村に来るのも10年ぶりだから場所忘れちゃってて。結構迷っちゃったよ」

エルフ「…ばかー!!」ギュッ

料理人「…おっと」


エルフ「…遅すぎるぞ料理人」

料理人「ごめん」

エルフ「…ボク料理人に伝えたいことが…!」

料理人「その前に腹ごしらえしようよ。厨房借りるね。そのあと俺からもエルフに言いたいことがあるんだ」

エルフ「…うん…うん!」ポロポロ

料理人「とびきりおいしいの作るから待っててよね」

エルフ「うん!…ねえ料理人、ボクね」


エルフ「お腹すいた!」



ーおわりー

短い間でしたが、読んでくれていた方、こんな駄作に付き合っていただきありがとうございました。
回収しきれなかったフラグや、後日談などは別のスレでまとめたいと思っていますのでもう少しお付き合いください。
ではノシ

>108
>1の妄想をただ書きなぐっただけの文字の羅列ですので、物足りない点については寛容な心で何卒ご容赦ください

>110
このスレで続けてみます。アドバイスありがとうございます

>111
>112
ありがとうございます。もうちっとだけ続くんじゃ


ーエルフの家ー


エルフ「ごちそうさまでした」

料理人「ごちそうさまでした」

エルフ「…そ、それで料理人…ボクに伝えたいことって…」ドキドキ

料理人「エルフこそ俺に言いたかったことがあるんじゃないのか?」

エルフ「…うん…あのね…料理人」

料理人「…」


エルフ「…ボク最初は人間なんてみんな同じだと思ってた。村を壊したような悪い人間ばっかりいるんじゃないかって…」

料理人「…」

エルフ「…でもそんな人間を嫌っていたボクに、料理人はいつも笑顔で接してくれてた…」

料理人「…」

エルフ「…ボクは料理人にたくさん救われたんだ…」

料理人「…」

エルフ「…だ…だから…その」ドキドキ

料理人「…」

エルフ「…ボクは…料理人のことが…」ドキドキ


ガチャ


エルフ父「ただいまー。遅くなってすまなかったなエルフ」

エルフ母「ただいまエルフ。すぐご飯に…あら?」

エルフ母「もしかして料理人ちゃん…?」

料理人「お久しぶりです。エルフ父、エルフ母」

エルフ父「おおー!料理人君、久しぶりだな!」

エルフ父「半年間もどこにいっていたんだ、ずっとお礼が言えなかったじゃないか」

料理人「城に野暮用がありまして、挨拶が遅れてしまってすみません」


エルフ母「あんなに小さかった料理人ちゃんが、こんな背の高いイケメンさんになっちゃうなんて…」

エルフ母「なんだか私たちだけ老けていってさみしいわ…」

料理人「エルフ母も10年前と変わらずお美しいままですよ。こんな素敵な女性を妻に持つエルフ父が羨ましい」

エルフ母「まあお上手ねえ。こんなおばさん褒めてもしょうがないわ」///

エルフ「ちょっとお母さん!」

エルフ父「外見では判断しないほうがいいぞ料理人君。母さんも実は裏d」

エルフ母「あなた?」ギロ

エルフ父「…すみませんなんでもないです」


料理人「二人とも食事はお済ですか?」

料理人「もしよろしければ俺が料理を振舞いましょう」

エルフ母「あらあら、うれしいのだけれど…お客様なのに申し訳ないわ」

料理人「今に家に着いたばかりでお疲れでしょう。席にかけてお待ちください」

エルフ父「では、お言葉に甘えようか。頼んだぞ料理人君」

料理人「はい、お任せください」

エルフ「…」


料理人「お待たせいたしました」

エルフ父「おお…これは…」

エルフ「とっても美味しそうねえ」

料理人「どうぞお召し上がりください」

エルフ父「では、いただきます」モグ

エルフ母「いただきます」モグ

エルフ父「!!…う…美味い!」

エルフ母「本当に…。こんな美味しいお料理今まで食べたことないわ」

料理人「喜んでいただけてよかったです」

>>119
エルフ「とっても美味しそうねえ」✕
エルフ母「とっても美味しそうねえ」〇


エルフ父「それにしてもこのスープの味…母さんがいつも作っているものに似ているような…」

料理人「それは10年前、餓死寸前だった奴隷の俺に、エルフ母が飲ませてくれたものを自分なりに再現したものです」

料理人「そのときの味を俺は今でも鮮明に覚えています」

エルフ「10年前に飲んだものをここまで完璧に再現できるとは…」

料理人「この味を再現したくて俺は料理人になる道を選びました」

料理人「俺はそのときのスープを超える料理をほかに知らない。それほど俺はあなたたち家族に救われました」

エルフ母「料理人ちゃん…」

エルフ父「…すまない。少し席を外す…」

エルフ母「あらあらあの人ったら。ごめんなさいね、きっと泣くところを見られるのが恥ずかしいのよ」

エルフ母「でも、私も年かしら…涙もろくなっちゃったわ」グス


エルフ母「料理人ちゃん、今日は美味しい料理をありがとう」

料理人「いえ、こちらこそ急に押しかけてすみません」

エルフ母「もう遅いから我が家に泊まっていったら、部屋は余ってるから。夜の山道は危ないわ」

料理人「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていだだきます」

エルフ(!…よし、チャンス)

エルフ(…ボクの思いを伝えなきゃ)


コンコン


エルフ「料理人起きてるか?伝えたいことが…」ガチャ

料理人「…」スースー

エルフ「…」

エルフ「…ばか」


ー翌日ー


エルフ「はあ、昨日は料理人に告白できなかったな…」トボトボ

エルフ「…いや、今日こそ料理人に告白して絶対恋人同士に…」

エルフ「あっ…あそこにいるの…料理人」

エルフ「…え」


エルフ娘A「エルフ族を救ってくれてありがとう、料理人さんってお強いのね」

料理人「い、いや…別に大したことは」

エルフ娘B「うわっ、背高くてすごいイケメン…」

料理人「は、はあ…ありがとう」

エルフ娘C「ねえ、村の中を案内もかねて、この後私と一緒にデートしましょう?」

料理人「あの、悪いけど俺この後大事な用事が…」

エルフ娘A「ちょっと、抜け駆けは許さないわよ。彼は私と回るんだから」

エルフ娘B「何言ってるの、彼とデートするのは私よ」


エルフ(…なにあれ)

エルフ(…ボクに伝えたいことがあるって言ってたのに)

エルフ(…ずっと楽しみにしてたのに他の女の子とばっかり話して)

エルフ(…期待したボクがばかみたいじゃないか)

料理人「ちょ…ちょっといい加減に、あっ、エルフ!」

エルフ「…」


タッタッタ


エルフ「…」

料理人「昨日はごめん。どうしても伝えなきゃならないことがあったのに言いそびれちゃって」

エルフ「……」

料理人「今から二人きりになれるか?そこで改めて伝えt」

エルフ「……い」

料理人「…え?」

エルフ「…大ッッッ嫌い!!」ジワ

料理人「…エルフ?」

エルフ「…料理人なんて大ッッ嫌いだ!もう顔も見たくない!!」ポロポロ



ダッ



料理人「エルフ!!」


ー山某所ー


エルフ「…勢いで村飛び出してきちゃった」

エルフ「…料理人は何も悪くないのに、ボクひどいこと言っちゃった…」

エルフ「…昨日だってお母さんとお父さんをもてなすために、一生懸命料理したからタイミングがなかっただけなのに」

エルフ「…さっきのも料理人を取られるのが怖くて、勝手にやきもち焼いただけなのに」

エルフ「…嫌われちゃったかな…当然だよねこんな面倒な女」

エルフ「…」


エルフ「…う…うう」ジワ

エルフ「…うううう、グスッ」ポロポロ

エルフ「……ご…ごめんなさい…料理人」ポロポロ

エルフ「…お願いだから…ボ…ボクのこと嫌いに…なら…ないで」ポロポロ






料理人「嫌いになんてなるわけないだろ」


続きけてくれてありがとう

sagaはいいけどsage付けるとスレ上がらないけど大丈夫か?

>>130
ありがとうございます

>>131
ご指摘ありがとうございます


エルフ「…ふぇ!?」

料理人「俺がエルフにあの程度拒絶されたぐらいで嫌うわけないだろ、なめられたもんだ」スタスタ

エルフ「…料理人…こ…こないで」

料理人「急に怒るから何事かと思ったら、ただのやきもちだったのか」スタスタ

エルフ「い…いや…」

料理人「やっぱり昨日のうちに言っとくべきだったか、二人きりのときに言いたかっただけなんだがなあ」スタスタ


ギュウウ


エルフ「ふあ…」///

料理人「心配にさせるようなことしてごめん。でも捕まえた、もう誰にも邪魔なんてさせないし逃がさない」

エルフ「…」ドキドキ

料理人「聞いてくれエルフ」

エルフ「う…うん」///ドキドキ




料理人「俺は、お前のことが大好きだ。一生そばにいてほしい」

どうでものいいですが>>1は、料理人は遊戯王OCGの「NO59.背反の料理人」で、エルフはグリムノーツの「白薔薇(新生)」をイメージしています

トントントントン
グツグツコトコト
ジュウウウウ


トントントントン
グツグツコトコト
ジュウウウウ


料理人「うおおおおおおっ!!」シュババババッ

大工「おらおらおら!まだまだ食えるぞ料理人、どんどん皿持って来やがれー!あーうめー!」ガツガツ

料理人「確かに埋め合わせするとは言ったけど、エルフ村に来てまで満漢全席作らせることないだろ!」シュババババッ

大工「うるせー!お前も俺たちにいきなり仕事させただろーが!これでチャラだ!」ガツガツ

女魔法使い「やっぱり料理人の料理美味しいですね!さすがです!」モグモグ

料理人「お前も満漢全席食べてよ!一人だけ『美容と健康にいい魔力を底上げするおいしい料理』なんてめんどくさい注文しやがって!」シュババババッ

女魔法使い「真夜中に嫁入り前の美少女の寝室に土足で上がり込んで、『防御結界張って』とか言い出す常識欠落野郎に、そんなこと言う権利ないです!」


エルフ「はぐはぐ」

料理人「なんでエルフまで一緒になって食べてるんだよ!」シュババババッ

エルフ「美味しそうだったから…食べちゃダメだった?」

料理人「う…そんなことはないけど…」

大工「小さい体でいい食いっぷりじゃねえかエルフ嬢!だがそろそろ限界じゃねえのか、無理しなくていいんだぜ?」ガツガツ

エルフ「そんなことないもん、全然余裕なんだから」ハグハグ

料理人「くっそー!女騎士ー、空いた皿どんどん持ってきて!」シュババババッ

女騎士「そんなこと言ったって…二人のペースが速すぎてほとんどシャトルランなんだが…」ゼーゼー


女騎士「どうしてこうなった…」

ー数時間前ー

エルフの家

 
エルフ「えへへへへ」///

料理人「ちょ、ちょっとエルフ…近すぎじゃない…」

エルフ「いいじゃんか、もうボクたち恋人どうしなんだから」///

>>140
ありがとうございます


料理人(やばい、すごいいい匂いする…)

エルフ「どうしたんだ料理人、どうしてボクと目を合わせてくれないんだ…?」

料理人(我慢できなくなるうちに離れないと)

エルフ「…」ムー

エルフ「えいっ」ボフ

料理人(ちょっ、膝の上に…)


エルフ「料理人はボクとこういうことするの…いやか?」ウル

料理人「…」ゾク

エルフ「いやならいいんだ…ちょっと寂しいけどボクも我慢し…きゃっ!?」ドサ

料理人「エルフ…」

エルフ「料理人…?」


面白い

>>140
こんなのを面白いと言っていただいてありがとうございます

>>144
こんなのを面白いと言っていただいてありがとうございます


料理人「エルフが悪いんだからな…」

エルフ「え…?…!んっ」

料理人「む…くちゅ…ん」

エルフ「れろ…ん…っぷは」

料理人「ふう…」

エルフ「は…はげしいよお…」///

料理人「エルフの唇、ぬらぬらてかってすごくエロい」


エルフ「ば…ばか…!へんたい…っ!…んむ」

料理人「ん…くちゅ…ちゅぷ…んぬ」

エルフ「んむ…んちゅ…っは、はあはあ」

料理人「…」

エルフ「!!…ボクのお股に…料理人の、か…かたいのが…」///

料理人「エルフ…いいか…?」

エルフ「うん…料理人…きて…」

料理人「エルフ…」

エルフ「料理人…」



大工「おーい、料理人いるかー!」

エルフ「きゃあああああ!!!」ドゴッ

料理人「げふっ」

大工「お前が全然俺たちに連絡よこしやがらねえから、しびれ切らしてこっちから飯食いに来てやったぜ!」

大工「って何うずくまってんだ?腹でも痛いのか?」

料理人「腹は痛くないが、今猛烈にお前を殺したい。生殺しがどれだけつらいか知ってるのか…」

エルフ「…」///

大工「??」


女魔法使い「お久しぶりです料理人!ってあれあれ、もしかしてお取り込み中でしたか?」

料理人「お前までなにしにきた…」

女魔法使い「もちろんご飯ごちそうされにきました!」

料理人「この際だからはっきり言う。俺は今からエルフとイチャイチャするからそんな暇はない。帰れ」

女魔法使い「ひどい!」

エルフ「…」///


ガチャ


王「たく、若いもんがあれぐらいの距離で息を切らすとは情けないのう」

女騎士「陛下の体力がすごすぎるんですよ…。なんで城からここまでジョギングで来れるんですか…」ゼーゼー

料理人「なんかぞろぞろきた…」

>>152
ありがとうございます


料理人「王様まで何しにきたんだよ…」

王「ちとエルフ村の様子を見にな。あれから来とらんかったから気になってのう」

女魔法使い「あっ、おじーちゃん!お久しぶりです!」

大工「げっ!ジジイじゃねえか、まだくたばってなかったのかよ!」

女騎士「!!…き、貴様ら!陛下に向かってなんという口を…!」

王「いいんじゃよ、こやつらは昔からの馴染みじゃから。生意気なわしの孫みたいなもんじゃ」


王「それより、結界といい建築物といい、さすがは大工と女魔法使いじゃな」

王「腕は落ちとらんのう」

女魔法使い「えへへー!」

大工「ふん!当たりめーだ!」

王「わしはもう少し村を回ってみる」

王「女騎士はここに残って料理人の手伝いをしなさい」

王「料理人はこやつらに料理を振舞うそうじゃから」

料理人「ちょっ!?そんなこと俺は一言も…」

大工「今更嫌だなんて言わせねーぞ?お前だって俺たちに仕事させたんだからな」

女魔法使い「楽しみです!」


ーーーー
ーーー
ーー


大工「はー、食った食った!美味かったぜ!」

女魔法使い「ごちそうさまでした!」

料理人「」グッタリ

大工「それにしてもさすが料理人だな。料理の味もさることながら滋養強壮や栄養価が半端ない」

大工「力が満ち溢れてくるぜ!」ムキムキッ

女魔法使い「私も魔力の上限が数倍にまで上がってます」

女魔法使い「お肌もつるつるになりましたし!」ツヤツヤ


料理人(もうこいつらに絶対恩は売らない…)

大工「じゃあな料理人!たまには連絡しろよな」

女魔法使い「お邪魔しました!」

女騎士「私も帰る、邪魔したな…」フラフラ

料理人(女騎士大丈夫かな…ずっと走ってたけど)


バタン


料理人「ふー、やっと帰ったか」

エルフ「ごちそうさま料理人、美味しかった」ケプ

料理人「ああ…うん、お粗末様…」

料理人「それよりも…エルフ…」

エルフ「…?」

料理人「…」グイッ

エルフ「…!?」ギュッ


料理人「もう無理…」

料理人「エルフ、朝までお前を愛したい」

エルフ「うん…」

エルフ「ボクも料理人に愛されたい…」

料理人「…」

エルフ「…」ドキドキ

料理人「…ん?」クル


エルフ母「…」ニヤニヤ

エルフ父「…」ニヤニヤ

料理人「」

エルフ「…!?」/////カアアアア

エルフ母「あらあら、私たちのことは気にせず続けてください」ニヤニヤ

エルフ父「うむ。エルフ、孫は早めに頼むぞ」ニヤニヤ

料理人「えーと…」

エルフ「…」/////プルプル

エルフ「どっかいけえええー!!」/////

ー数年後ー

料理人「幼エルフー、料理持って行ってくれー」

幼エルフ「はーい、おとーたん」

エルフ「幼エルフ、走ると転んじゃうよ」

幼エルフ「はーい」

料理人「エルフ、この前何もないところでつまづいてたもんね」

エルフ「う…うるさい…!料理人がいきなりあんなことするから…」

料理人「あんなことって何…?」グイ

エルフ「え…ちょっ…」///

料理人「なあエルフ、今夜どう…?」

エルフ「ええ…!?昨日もあんなにしたのに…」///

エルフ「これ以上したら…ボク壊れちゃうよ…」///


幼エルフ「あー!おとーたんとおかーたんがいちゃいちゃ(?)してるー」

料理人「幼エルフ、どこでそんな言葉覚えてきたんだ!?」

幼エルフ「このまえ女魔法使いおねーちゃんがいってた」

料理人「ちょっとあいつ捌いてくる」シュラ

エルフ「もうご飯もできてるし早く食べようよ…」

料理人「女魔法使いのやつ…事あるごとにからかいやがって、そろそろ限界…」ブツブツ

エルフ「もうー…」

エルフ「料理人!」


料理人「えっ、なに…」クル

エルフ「…」チュッ///

料理人「え…」///


エルフ「ボク…」



エルフ「お腹すいちゃった!」

幼エルフ「またいちゃいちゃ(?)してるー」

これにて終わりです。
勢いとノリで始めたクソSSですが、なんとか終わりまで書くことができました。
読んでくださっている方、いらっしゃるかわかりませんがここまでお付き合いくださってありがとうございました。

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