千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!」Another Sunshine【安価】 (123)


千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!」【安価】の、セルフスピンオフです。
この物語は、本編後の何気ない日常、または前日譚など、本編では書くことのなかった部分を、安価混じりでゆるゆるダラダラと書いていく短編集となります。
書きたい話は勝手に書きますが、読んでみたいストーリーがあったら感想ついでにネタくださいm(__)m

本編
千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!」【安価】
千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!」【安価】 - SSまとめ速報
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千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!!」【安価】 - SSまとめ速報
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千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!!!」【安価】 - SSまとめ速報
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千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!!!!」【安価】 - SSまとめ速報
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千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!!!!!」【安価】 - SSまとめ速報
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千歌「夢は……ポケモンマスターになることです!!!!!!」【安価】 - SSまとめ速報
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リザードン「Zzz……」グーグー

『PTD~Pokemon Trainer Diary~μ'sからAqoursへ』?

ペラッ……

カリカリ……

千歌(これは、私たちが歩んできた道のり。私たちが輝き、そして紡いだ物語)

ベベノム「クシュンッ……」ブルッ

千歌「!」カタン

ソッ……

ファサ……

ベベノム「Zzz……」スースー

千歌「……♪」

スタスタ……ギシッ……

カリカリ……

千歌(たくさん笑って、たくさん泣いた……星の数のような思い出の中の……ほんの一部……)



――――――――

――――

――


安価下1コンマ
1~25
おこりんぼ大会!
千歌と果南、浜辺の決闘
26~50
ダイヤとルビィ
昔日の出会い
51~75
危ない!?イン・マイ・ドリーム
善子とダークライ、悪夢を越えて
76~00
遠き日の梨子
海に還るもの


おこりんぼ大会!
千歌と果南、浜辺の決闘!


梨子「……………………」

ガブリアス「……………………」

曜「梨子ちゃん、ガブリアス、おっはヨーソロー♪」ゞ

梨子「シーッ……」

ガブリアス「シャアー……」

曜「……?……どうしたの二人とも ?」

梨子「あれ……」

曜「?」


千歌「……………………ねえ」

果南「……………………」

千歌「……………………ねえって」

果南「……………………」

千歌「……………………ハグ魔」

果南「あー、でかみかんの独り言うるさいなー」

千歌「はぁ!?」ブチッ

果南「あ"……?」イライラ



曜「……なにあれ」

梨子「知らないわよ……。朝起きたらああなってたの……」

曜「めちゃくちゃ怒ってるね。いかりが解き放たれる寸前だよ」

梨子「近寄り難いことこの上ないのよ……」

ガブリアス「ガバ……」

曜「なにがあったかはわからないけど……よし、ここは私が二人の仲を取り持ってしんぜよう♪」

梨子「いや、近付かない方が……」

曜「大丈夫だって♪幼なじみなんだよ?二人がケンカしたのだって初めてじゃないし平気平気♪じゃあ行ってくるー♪」

梨子「大丈夫かなぁ……」


千歌「……………………」スッ……ゴクゴク

果南「……………………」スッ……ゴクゴク

千歌「プハッ……」

果南「プハッ……」

千歌「……………………」コトン

果南「……………………」コトン

千歌「……なにマネしてるの」

果南「してないよ」

千歌「してるじゃん」

果南「してない」

千歌「あーそっか。果南ちゃんは定期的に水分摂らないと干からびちゃうもんね。ひざしがつよいとダメージ受けちゃうもんね」

果南「誰の特性がかんそうはだ?千歌こそみかんジュースばっかり飲んでるじゃん。え?なに?くさタイプにでもなりたいの?憧れてるの?他のタイプに」

千歌「誰が純ノーマルタイプだぁ!!!」ガタン!

果南「千歌のことだよ普通怪獣!!!」ガタン!

千歌「うるさいよ陸に上がったアシレーヌ!!!」

ちかなん「あぁん!!!?」ガシッ!



梨子「ちょっ!!?」

ガブリアス「シャガッ!!?」



曜「ちょっとちょっとお二人さん」

ちかなん「ああっ!?」ギロッ

曜「ケンカなんてしちゃダメだよ。ほら、笑って笑って♪仲直りに向かって全速前進っ♪ヨーソロー♪」ゞ

千歌「曜ちゃんうるさい」

果南「引っ込んでなよ」

曜「はい……」シュン


曜「ダメだった……」グスン……

梨子「瞬殺じゃない」

ガブリアス「シャアガ」

曜「面目ない……」

梨子「ほんと、あの二人なんでケンカしてるのかしら……」



千歌「だいたい前から気に入らなかったんだよね!すーぐ人のポケモンにハグして!私より果南ちゃんになついちゃったらどーするの!」

果南「はいはい自分のトレーナーとしての能力の低さの責任転嫁~!そんなんだから普通怪獣なんだよ!」

千歌「カッチーン!あったまきた!!もう赦さないよ!!こうなったらバトルで決着つけようよ!!」

果南「望むところだよ!!後悔しないでよね!!」

千歌「そっちこそ!!」

ちかなん「むむむむむむむむむ……!!フンッ!!!」プイッ!


――――――――

――――

――



――――――――マツウラダイビングショップ

――――――――浜辺のバトルフィールド



千歌「謝るなら今のうちだからね!」

果南「千歌こそ!後で泣いても知らないから!」

ちかなん「ぐぬぬぬぬぬぬ……!!」



梨子「まったく……。果南ちゃんの家に泊まっただけなのに、なんでこんなことに……」

曜「お腹すいた……」グー

ガブリアス「シャーガ……」グー

梨子「ガブリアスはちゃんと食べたじゃない……。曜ちゃんはまだ朝ごはん済ませてないの?」

曜「みんなと一緒に食べようと思ってたから。私も千歌ちゃんや梨子ちゃんと一緒に、果南ちゃんの家に泊まればよかった」

梨子「夜遅くまで海のポケモンの尊さについて語られる身にもなってよ」

曜「子どもの頃に体験済みであります」ゞ



千歌「バトルは1vs1!先に手持ちポケモンが戦闘不能になったらバトル終了だよ!!」カチャッ

果南「来なよ千歌!!」カチャッ

千歌「言われなくても行くよ!!」シュッ



千歌が繰り出したポケモンは……
安価下1コンマ一桁
1.6→リザードン
2.7→ピカチュウ
3.8→フクスロー
4.9→カプ・レヒレ
5.0→ベベノム


ポンッ!

フクスロー「フルルッ!!」バサッ!



曜「千歌ちゃんはフクスローか……」

梨子「みずタイプ使いの果南ちゃん相手に手堅く来たね」



果南「なら……こっちは!!」シュッ



果南が繰り出したポケモンは……
安価下1コンマ一桁
1.6→ラグラージ
2.7→ラプラス
3.8→アシレーヌ
4.9→ギャラドス
5.0→プルリル


ポンッ!

アシレーヌ「レエアアッ!!」



梨子「アシレーヌ……!」

曜「果南ちゃんのポケモンは、ほとんどがアタッカー……。スピードタイプのフクスロー相手にどういうバトルをするのかな……」



果南「スタートの合図は要らないよね!!アシレーヌ、うたかたのアリア!!!」

アシレーヌ「レェシアアアアアアアアア!!!」キイィィィィィン……コオオオオオオッ!

千歌「そんな大技当たんないよ!!フクスロー、つるぎのまいっ!!!」

フクスロー「フルルアアッ!!!」シャンッ……シャンッ!

ドォォォォォォォォォンッ!

千歌「このは!!!」

フクスロー「フゥゥロッ!!!」ビュウウウウッ!

果南「れいとうビーム!!!」

アシレーヌ「レァァァァァァァァッ!!!」ピキパキ……キィンッ!

ピキパキ……ピキィンッ!

果南「ちょこざいなんだよ!!」

千歌「大雑把なんだよ!!」

ちかなん「あ"ぁ"ぁ"ん!!!?」

フクスロー「フルォ……」

アシレーヌ「レェア……」


梨子「フクスローもアシレーヌも災難ね……」

ガブリアス「ガアァ……」

曜「あの二人だと、ちょっとのケンカで片付けられるレベルで済まないよね」

梨子「なまじ強いとね……。ていうか、ウツロイドに乗っ取られてたときの曜ちゃんとバトルしたときより険悪なんだけど……」

曜「普通に怖いね」



千歌「リーフブレード!!!」

フクスロー「フゥロオオオオオッ!!!」ジャキンッ!

果南「吹き飛ばせ!!!ハイドロカノン!!!」

アシレーヌ「レェッ、シアアアアアアアアアッ!!!」ドゴォォォォォォォォォッ!

千歌「フクスローっ!!!」ビッ!

フクスロー「フロオオオオオオオオオオッ!!!」ブンッ!

ガギイイイイイイイイインッ!

ギィン――――ッ!



曜「ハイドロカノンをいなした!!」

梨子「つるぎのまいで攻撃力を上げてなかったら吹き飛ばされてた。受けた角度といい、キレてても采配は優秀ね……。それに果南ちゃんのアシレーヌもいい育てられ方だわ。一撃一撃がとてつもなく重い。下手な防御は貫通するでしょうね……」

曜「息を巻くってこのことなんだろう……けど……」

梨子「私情故の私闘なのが本当に惜しいわ……」


千歌「行けぇっ!!!」

果南「ぶっ潰す!!!」

フクスロー「フロオオオオ……!!!」

アシレーヌ「レアアアアアア……!!!」



曜「フクスローもアシレーヌもかわいそうに……」

梨子「そうね……。二人ともー?そろそろやめにしたらー?」



ちかなん「やめない!!!」



曜「だよね!」

梨子「むしろやめてほしいんだけど」



千歌「果南ちゃんが悪いんだもん!!!」

果南「悪いのは千歌だよ!!!楽しみに取っておいたポフレ、ぜーんぶ食べちゃってさぁ!!!」



梨子「……………………え?」


千歌「私じゃないって言ってるじゃん!!!そんなこと言って、ホントは果南ちゃんが食べたくせに!!!せっかくお母さんがカロスのお土産ってくれたのにぃっ!!!」



梨子「……………………ガブリアス」

ガブリアス「……………………シャァ」

梨子「私たちが朝ごはんに食べたのって……ポフレだったわよね」

ガブリアス「ガァバ……」

梨子「フルデコのね……高そうなやつ……」

ガブリアス「ガバッ……」



果南「梨子ちゃんがそんなことするはずないし!!千歌以外に誰がつまみ食いするの!!!フルデコのポフレなんて、めったに食べられないのに!!!」

千歌「私だって食べたかったもん!!!」

ギャーギャー!



曜「……………………梨子ちゃん?」

梨子「……………………」ダラダラ

曜「……………………ガブリアス?」

ガブリアス「……………………」ダラダラ

曜「……………………おいしかったの?」

梨子「……………………美味でしたっ」

ガブリアス「シャガッ……」



――――――――

――――

――


梨子「はいっ!ポフレ出来たよー!」

千歌「わーいっ♪」

果南「いっただっきまーす♪」

アーン……

パクッ♪

ちかなん「ん~~~~//////」キラキラ

梨子「たくさん作るから、遠慮しないでたくさん食べてね!フクスローとアシレーヌも!」

フクスロー「フルゥ♪」パクパク

アシレーヌ「レーアッ♪」モギュモギュ

千歌「ありがとー梨子ちゃんっ♪」モフモフ

果南「けど、なんで急にポフレ作り?」

梨子「えっ!?」ギクッ

ガブリアス「シャガ……」

梨子「それは……そのー……ふ、二人がケンカするのイヤだから?みたいなっ?」シドロモドロ

曜「……………………」ジトー

梨子「はっ!!」メノ;・ノ◇・リ

千歌「……?まあいいや♪こんなにおいしいポフレが食べられたんだし♪ゴメンね果南ちゃん、ひどいこと言って」

果南「私の方こそゴメン。ムキになっちゃって」

千歌「ううんっ♪けど、あのポフレはどこに消えちゃったんだろ」

曜「それは……」

梨子「曜ちゃーんっ!おかわりいるっ!?いるよね!?朝ごはんまだって言ってたもんね!今お茶も淹れるから静かに待っててねっ!!静かに!!」

曜「あ、うん……」

千歌「どうしたの?」パクパク

果南「なにかあった?」モグモグ

梨子「べっ、べつになにも!?アハハハハハ……」

ガブリアス「シャガア……」



TO BE CONTINUED…


こんな感じに短編を何個か書けたらなーと。
グダグダとした日常編も挟んでいけたらなーと思ってます。
回によってメインや登場人物も変えるつもりなので、全員登場はストーリー次第ですかね。
まあ、暇潰しにお付き合いくださいm(__)m


安価下1コンマ
1~25
ダイヤとルビィ
昔日の出会い
26~50
危ない!?イン・マイ・ドリーム
善子とダークライ、悪夢を越えて
51~75
遠き日の梨子
海に還るもの
76~00
野生の生クリーム!
花丸とバニプッチ


遠き日の梨子
海に還るもの


ザザーン……

ザパン……

梨子「……………………」



梨子『……………………』



梨子「……………………」



静かな渚に渡る波の打つ音色……
一つ……また一つと揺らめく青の雄大さに耽る梨子……
彼女に声を掛けたのは……
安価下1コンマ
1.4.7→千歌
2.5.8→曜
3.6.9→善子
0→ゲッコウガ


ザッ……

ザッ……

善子「なにしてるのよ。こんなところで」

ザパーン……

ザザァン……

梨子「海の音をね。聴いてるの」

善子「ふーん」

梨子「そっちこそどうしたの?お散歩?」

善子「そんなところ」

ヘルガー「ガゥ」

梨子「ヘルガーも一緒なのね」

善子「まあね」

梨子「……………………」

善子「……………………」

梨子「……………………」

善子「……………………」

よしりこ(あれ……なんか気まずい……)


善子(見かけたから思わず話し掛けちゃったけど……もしかして話し掛けない方がよかった……?海の音を聴いてるって……一人で静かに過ごしてた……みたいなこと……?遠回しに話し掛けるなってこと……?)

梨子(会話が止まっちゃった……。おかしいな……よっちゃんとはわりと仲良くなったと思ってたんだけど……)

善子(あれ、私ってリリーに嫌われてる?……いやいやいやいや。お互いあだ名で呼び合ってるのにそんなこと……まぁ、私が勝手にリリーとか呼び出したんだけど……。け、けど、リリーだって私のことよっちゃんとか……って)

梨子「ね、ねぇ……よっちゃん?」

善子「私はヨハネよ!!」

梨子「あ、うん……」

善子「あ、いや……」

善子(やってしまったぁ……!!!おかしい……リリーとイマイチ距離感が掴めない……!!!)

梨子「その、えっと……いい、天気ね……?」

善子「フッ、この堕天使を灼かんとする天の業火……まるでぬるま湯だわ。所詮この星さえ、堕天使ヨハネに跪くちっぽけな存在」ギラン

梨子「え、あ……うん。そうだ……ね?」

善子「あ、じゃなくて……」

梨子「……………………」

善子「……………………」

善子(私のコミュニケーション能力ぅ!!!欠けてるっていうかぶっ壊れてるじゃない!!!ずら丸以外友だちがいなかった代償がモロに出てる!!!こちとら好きで友だちいなかったんじゃないわい!!!)


梨子「えっと……よかったら隣座る?」

善子「え、あ……うん。じゃあ……」

ストン

ヘルガー「ルゥガ」

善子(あんたが座るんかい!!!)ガーン!

ヘルガー「ガァウ」ペロペロ

梨子「きゃっ///もう、くすぐったいわよヘルガー♪」

善子「ぐぬぬぬぬぬぬ……!!!」

梨子「……?どうかした?」

善子「い、いや……べつに……」

梨子「……………………クスッ♪」

善子「……?なによ?」

梨子「ううん♪なんだかおかしいなって♪」

善子「だからなにがよ?」


梨子「敵として向かい合ってたときは、お互いに好きなことを言ってたのに。今こうして近くにいると、とたんに照れくさくなっちゃうんだもん」クスクス

善子「悪かったわね。口下手で」

梨子「お互い様よ」クスッ

ナデナデ……

ヘルガー「ガルァ……」クテー

善子「……………………」

スタスタ……

ストン……

善子「……………………」

梨子「……………………」

ザパン……

ザパーン……

善子「あのときは……」

梨子「?」

善子「あのときは……こうしてみんなと同じ時間を過ごすなんて、思いもしなかった」

梨子「私だってそうよ。なんせ、よっちゃんてば第一印象から悪役だったんだもの」クスクス



ヨハネ『もらうわよ……そのプレート。来なさい、我がリトルデーモン。ダークライ』

ズッ……

ズズッ……

ダークライ『……………………』



梨子「真っ黒な格好をして、私たちの前に現れた。今でも鮮明に覚えてるわ」

善子「掘り返さないでよ……」

梨子「罪を受け入れて生きるんでしょ?」クスリ

善子「イジワル……」


ヘルガー「Zzz……」スヤスヤ……

善子「ていうか、第一印象の話をするならこっちだって思ったことがあるわよ」

梨子「第一印象って……ニシキノシティのとき?それともワンダフルラッシュバレーで私にキスしようとしたとき?」

善子「んなっ!!?///」

梨子「ルビィちゃんから聴いちゃった♪」

善子「あんのリトルデーモン4号……!!///いやっ、じゃなくて!!///」

梨子「じゃなくて?」

善子「~っ///…………はぁ、リリーのことは……もっと前から知ってた」

梨子「知ってた……って……」

善子「……………………」

梨子「もしかして……オトノキザカの……?」

善子「……………………」コクン

梨子「そっ……か……。なんか恥ずかしいな……。チャンピオンだった頃のことを話されるのは……」

善子「って言っても、テレビで何度か観たくらいだけど。……正直……私と同じくらいの年で、私と同じくらい強いトレーナーを見たのは……初めてだった」

梨子「よっちゃんより強いわよ」

善子「なんで張り合うのよ。…………やっぱり違うわね。今と……画面の向こうにいた頃とは」

梨子「そう?」

善子「自分が一番わかってるくせに。……少なくとも、あの頃のリリーからは……楽しいって思いは一切伝わってこなかったわ。つまらなそうに……苦しそうにバトルをしていた姿が印象に残ってる」


ワアァァァァァァァァァ――――――――!

梨子『……………………』



梨子「そういえば……そうだったわね……」

善子「憧れ……までとは言わないけど、外の世界にはこんなにも強いトレーナーがいるって……。もっと外の世界のことを知りたいって思った。里を大きくする目的以外で、外を目指したかった要因の一つではあったわ」

梨子「そう……」

善子「私が里を出た辺りくらいだったかしら。それまでリーグを……オトノキザカ地方全域を震撼させていた、史上最年少にしてオトノキザカリーグ最強のチャンピオンの噂は、ピタリと途絶えた」

梨子「……………………」

善子「なんでリーグを……チャンピオンを降りたの?」

梨子「よっちゃんも、話には聞いてるでしょ?」

善子「音楽家になりたいって……夢のこと?」

梨子「うん。最初はね……チャンピオンになりたかったし、チャンピオンだったお母さんに憧れてた。そこにたどり着くまで、誰よりも真剣だった自信もある。そしてそれと同じくらい……音楽家にもなりたかった。バトルの中で聴こえるもの、トレーナーの思いや、ポケモンの鼓動……その中に身を浸してるのが心地よかった。いつか……私にしか奏でられないものがきっと見つかる。そう思ってた……」



――――――――

――――

――


梨子ママ『おめでとう、梨子。今日からあなたがチャンピオンよ』

梨子『~っ///うんっ!///』



ポロロン♪

ポロン♪

チェリム『チェーリッ♪』ユラユラ

梨子『やった……やったよチェリムっ♪』~♪

チェリム『チェリィッ♪』

梨子『チャンピオンになった……。一番高い所に立った……///もっともっと……たくさんの音が聴ける///私たち……夢に近付いたよ……///』

ポロン……♪



梨子『チェリム、フラワーガード!!!』

チェリム『チェリッ!!!』フワァッ……ガギィンッ!

梨子『ソーラービーム!!!』

チェリム『チェリィィィィッ……チェーリッ!!!』キイイイイン……ドゴオオオオオッ!

トリデプス『デァガ……』ズシィン……



『止まらない快進撃!!オトノキザカの新星、チャンピオン梨子!!』

『勝利を貪る獣!!彼女の牙と爪からは誰も逃れられない!!』

『本能が屈服する!!滾る!!漲る!!迸る!!チャンピオン梨子は語る!!私の前に跪きなさいメノ^ノ。^リ』



梨子ママ『過激ね』

梨子『私こんなこと言ってない!!!//////』


梨子「若いチャンピオンっていうのが、良くも悪くも話題性を呼んだのよ。あること無いこと色々書かれては祭り上げられたわ。べつにそれに嫌な思いはしなかったけど」

善子「そうなの?」

梨子「話題に上がれば上がるほど、私に挑戦しようと躍起になるトレーナーは増えた。マグレで勝ち上がった新人の鼻っ柱を折ってやろうとか、出る杭を打とうとか……理由は様々だけど、それだけ私が私の求める音を聴く機会も増えたのよ」

善子「けど、その口振りだと見付からなかったのよね?リリーが聴きたかった音っていうのは」

梨子「まあね。だからこそここに……ウラノホシに来たわけだし」ナデナデ

ヘルガー「Zzz……」クークー

梨子「何ヵ月……何年とチャンピオンの座を守り続けて、たくさんのトレーナー……たくさんのポケモンと、技を……心を交わしたわ。何十、何百……そうして勝利を重ねていくうちに、いつしか私には、壁際の捕食者……なんて二つ名がついた。嬉しかった」

善子「そこは喜ぶのね」


梨子「けど、たぶんその頃からなのよね。バトルが楽しくなくなったのは……バトルの中で音が聴こえなくなったのは……」



――――――――

――――

――



『勝者、チャンピオン梨子!!』

梨子『よしっ!!』グッ

『……………………』

梨子『ありがとうございました!いいバトルでした!』

『……………………強すぎるよ』ボソッ

梨子『え……?』



『格が違う』

『天才には敵わない』

『元チャンピオンの娘だ。他と違うのは当然だ』



梨子『……………………』


梨子「それまで聴こえていた音は全部、ノイズ混じりの不協和音になった。心は弾まなかった……バトルをする度、深い泥の中でもがくような息苦しさを感じてた」

善子「……ウラノホシで、μ'sやA-RISEが感じていたものと同じ……?トレーナーのパワーバランスが崩壊して、トレーナーの意識の低下が見られたっていう……」

梨子「クスッ……μ'sやA-RISEの皆さんほど神格化されてたわけじゃないけどね。むしろ私は……オトノキザカのトレーナーからはやっかまれてたんじゃないかな。子どものくせに、いつまでもチャンピオンのイスにしがみついて……って」

善子「そんなのそいつらが僻んでるだけじゃない!!リリーの強さに嫉妬してるだけだわ!!」

梨子「ヘルガーが起きちゃうわ。だいたい、過ぎたことを言っても仕方ないでしょ」

善子「そうだけど……悔しくなかったの!?」

梨子「応援してくれる人や支えてくれる人もいたし、言うほど性格が歪むことはなかったわね。だけど、いっそ子どもらしく感情を剥き出しにして悔しがってたら、あれだけ悩むこともなかったとも思う」


――――――――

――――

――



梨子『楽しくない』



梨子『苦しい』



梨子『ツラい』



梨子『なんで私はバトルをしてるの……』



梨子『なんで私はチャンピオンになったの……』



梨子『ただ……私にしか奏でられない音を聴きたかっただけなのに……』



梨子『なんで私は……』



梨子『もうなにもきこえない』



梨子『聴きたくない……』



梨子『イヤな音しかない世界なら……いっそ……』



梨子「周りへの猜疑心、弱い自分への嫌悪感……欺瞞出来ない重く苦しい音の波から逃げたい一心だった」

善子「……………………」

梨子「けどね、そんな私を救ってくれたの。……あの人が」

善子「あの人……?」

梨子「……世界で一番カッコいいトレーナーよ♪」


――――――――

――――

――



ポーン……

梨子『……………………』

ポーン……

梨子『……………………』

ポーン……

梨子『……………………』



???『悲しい音だね』



梨子『!!』バッ!

???『きっとあなたの心がそのまま音に乗ってるんだよね。私が知ってるピアノとは違うな。全然弾まないし、全然飛べそうにない。聴いてるこっちが暗くなっちゃうよ』

梨子『……ここはチャンピオン専用のプライベートルームです。勝手な立ち入りは禁止されていますよ』

???『知ってる♪ちゃんと許可はもらってるから安心して♪』

梨子『……あなたは誰ですか?』

???『アッハハ……やっぱり他の地方まではまだ知られてないか……。はじめまして、私は穂乃果。ウラノホシ地方、チャンピオンの穂乃果だよ♪』


梨子『ウラノホシのチャンピオン穂乃果……って、まさか……リーグ最難関とまで謳われるウラノホシリーグを制した……最強のポケモントレーナーグループ、μ'sのリーダー……』ガタッ

穂乃果『そこまで言われると照れちゃうな……///よく知ってるね///』テレテレ

梨子『知ってるもなにも……生きる伝説と称される程のトレーナーじゃないですか……。なにせ遠く離れたウラノホシの出来事でにわかには信じられなくて……μ'sの存在自体お伽噺のようなものだと思っていました……。さっきは失礼な態度を執ってしまって……』

穂乃果『いいっていいって♪勝手に来た私の方が悪いんだから♪』

梨子『それで……ウラノホシにはどんなご用で……』

穂乃果『まあ、いろんな地方にリーグにチャンピオンになりましたーって挨拶と、一人旅でもして自分を見つめ直して来なさいって海未ちゃんが……』

梨子『海未ちゃん?……というか、大丈夫なんですか?』

穂乃果『?』

梨子『いや……チャンピオンがリーグに……その地方に留まっていないのは……』

穂乃果『ああ、うん。大丈夫大丈夫♪いざとなったら呼び戻されるから♪』ケラケラ

梨子『そんなのんきな……』

穂乃果『これくらい肩の荷物を降ろした方が、いろんなことをよく見えるようになるんだよ。一人でいっぱい抱え込んじゃうとね、なにも見えないしなにも聴こえない。今の梨子ちゃんみたいにね』

梨子『……!!』


梨子「衝撃だった。心の奥底まで見透かされてるみたいに……穂乃果さんの眼は澄んでいたわ。そして、私には無かった……"本物"の佇まいをしていた」



――――――――

――――

――



穂乃果『梨子ちゃんが悩んでる理由は……まあ、今日会ったばかりの他人に踏み入れられるのはいい気分じゃないだろうから、あれこれ口出しはしないけどさ。ここ最近のバトル、テレビで観たよ。お世辞にも、ちっとも楽しくなかったし、楽しそうじゃなかった』

梨子『……そう、ですね』

穂乃果『バトルは嫌い?』

梨子『……好きでは……ないです』

穂乃果『嫌いって……そうハッキリ言わないのは、梨子ちゃんがいい子な証拠だよ。それじゃあ……ポケモンのことは好き?』

梨子『好きです……』

穂乃果『だったらもっと、ポケモンのことを思ってあげなきゃ』

梨子『ポケモンの……ことを……?』


穂乃果『梨子ちゃんは、一人でチャンピオンになったわけじゃない。ポケモンたちと力を合わせて、今ここにいる。それと同じだよ』

梨子『同じ……?』

穂乃果『悩んだときはポケモンと一緒に考える。ポケモンはパートナーだもん♪何度だって立ち止まっていいし、疲れたときは休んでいい。たまにはゆっくり……自分のペースで、やりたいことたち見つけてごらんよ♪』

梨子『やりたい……こと……』

穂乃果『新しい自分を見つけるために、今の自分から逃げるのはさ、きっと悪いことじゃないと思うよ。梨子ちゃんのポケモンたちもきっとそう思ってる』ニコリ

梨子『……………………!!』

穂乃果『なーんて、余計なお世話かもしれないけどね。梨子ちゃんを見て思ったことをそのまま言っちゃっただけだから、そんなにマジメに受け止めなくてもいいよ』ニコッ



梨子「今も昔も、穂乃果さんは直観に秀でてた。私の事情なんて知らないはずなのに、言葉の一つ一つが凍りきっていた私の心を解かしたわ」

善子「やっぱりスゴい人なのね、あの人。それで?」

梨子「他愛ない話をちょっとだけ。なにを話したかはあんまり覚えてない。その後に聞いた言葉が衝撃的だったから」クスッ


――――――――

――――

――



梨子『ありがとうございます。少しだけ……元気が出ました』

穂乃果『ならよかった♪』

梨子『私がやりたいこと……目指すもの……まだ漠然としてますけど……』

穂乃果『それでいいんじゃない?急いで見つけることないよ。ゆっくりゆっくり時間を掛ければいい。新しい出会いがある。新しい発見がある。一つ一つを大事にすれば、きっもいつか夢は叶うはずだから』

梨子『……はい!』

穂乃果『♪』ニコッ

梨子『穂乃果さんは……どうして初対面の私にアドバイスを……?』

穂乃果『え?そんなの決まってるよ♪一番――――――――』



梨子「一番強い梨子ちゃんと戦いたいから。迷いも悩みも無い私と……だって」

善子「なによそれ……」

梨子「呆れるでしょ?自分が万全の状態の私と戦いたいからアドバイスをくれたんだから」

善子「なんていうか、正直な人ね……」

梨子「そう、まっすぐだった。久しぶりに聴いた気がしたわ。飾り気なんてまるでない、ありのままの言葉を……。思ったなあ……ああ、この人みたいになれたらな……って」クスリ

善子「なれた?」

梨子「さあ、どうだろう」クスクス

善子「それで、どうしたの?」

梨子「バトルしたわ。感謝の気持ちも込めて。胸を借りるつもりでね」

善子「結果は?」

梨子「ボロボロだった」ニコッ


善子「ボロボロだった……って、たしかルビィから聞いた話じゃ、無敵だったって……」

梨子「私はあれを敗けとは認めてないもの」

善子「でもボロボロだったんでしょ?」

梨子「規模が違う。仔犬と怪獣が相手なら万が一にも勝ち目があるように見えるけど、あんなの仔犬と太陽みたいなものだったもの」

善子「なるほど……」


梨子「まあ、当の本人はバトルしたことなんてすっかり忘れてたけど」クスッ

善子「忘れてた?」

梨子「歯牙にもかけられてない……って感じだった。思い出にならないくらい、あの頃の私が不甲斐なかったんでしょうね」

善子「……今はそうはいかない、って顔になってるわよ」

梨子「それはそうよ。けど、あれでよかった。あそこまで完膚無いまでに叩きのめされたことて逆に吹っ切れた。今まで音が聴こえなかったのは、自分で耳を塞いでいただけなんだって、チャンピオンのままでは聴くことの出来ない音があるってわかったの。穂乃果さんとの出会いとバトルは、燻ってた私を立ち上がらせる契機になった。それからすぐよ……チャンピオンを辞めたのは」

善子「そう……」

梨子「チャンピオンでなくなることに後悔も未練も無かった。それよりも心苦しかったのは、それまで苦楽を共にしてきたパートナーたちとの別れだったわ」



――――――――

――――

――



チェリム『リリ……』

梨子『……………………』

梨子ママ『本当にみんな連れて行かないの?』

梨子『うん……。ウラノホシには、私一人で行く。私の知らないところで、知らない音を聴く。そのためには……今までの私を置いていかなきゃいけない。そうしないと、新しいものを既存の概念や先入観で上書きしちゃう気がするから』

チェリム『リーリ……』

梨子『……ゴメンね。私のワガママで……』

チェリム『チェリィ……』

梨子『……絶対にまた会えるから。世界にたった一つだけの音を必ず見つけるから……。待ってて、チェリム』

チェリム『チェリ……ッ。チェーリッ!!』グスン

梨子『ありがとう……』ウルッ

ギュッ

梨子『大好きだよ……』


梨子「……あとは、まあ……よっちゃんも知っているとおりよ。少ない手掛かりでウラノホシにメロエッタを探しに来て、千歌ちゃんと曜ちゃんと出会って……」

善子「私と、私たちと衝突した」

梨子「うんっ。まさか、あんな大冒険が待ってるなんて思いも寄らなかったけど」クスクス

善子「そうね……って、騒ぎの張本人が言うのは違うわね……。けど、昔よりいい顔してるのは確かよ。保証する。それで聴こえたの?リリーにしか奏でられない音……ってやつ」

梨子「ううん。まだ」ニコッ

ナデッ

ヘルガー「Zzz……」

梨子「正解なんてわからないもの。だからきっと、これからも私は貪欲にそれを求める。答えの無い道を、みんなと一緒に歩き続けるの。何度でも諦めずに……探すことが私の冒険……ってね♪」ニコッ

善子「っ!///」ドキッ

梨子「?」

善子「ま、まぁ……付き合ってあげなくもないわよ!///我が上級リトルデーモン、リリーよ!///」ビッ!

梨子「そんな契約交わしてないわ」

善子「そこはノッてよ~!!『無礼な!我はそのような契約交わしておらぬわ!』って言って~!」`¶cリ;>△<)|

梨子「いや」

善子「うにゃああああ~!!!」


梨子「アハハハハハハ♪」

梨子(あの頃の私に、私がどんな冒険をしたのか、なにを得たのかを話しても、きっと信じてはもらえない。今の私でさえ、あれは夢だったんじゃないか……朝目が覚めたとき、ふとそう思うときがある。涙が出るほど笑って、唇を噛むほど悔しがって……たくさんの出会いの中で、私が聴いた音たち)



梨子『……………………』



梨子(あの頃の私。音を聴くのが苦しかった私へ。今も私の夢は途中だけれど……)

善子「くうぅ、こうなったら……リリー、バトルよ!!私が勝ったら上級リトルデーモンとして私に傅きなさい!!」

梨子「じゃあ、私が勝ったらウラノホシ壁巡り五泊六日の旅よ♪」

善子「なにそれ!!?」

梨子(私を取り巻く音は、今まで聴いたどの音よりもキレイで……輝いてるよ――――――――)



TO BE CONTINUED…


安価下1コンマ
1~25
ダイヤとルビィ
昔日の出会い
26~50
危ない!?イン・マイ・ドリーム
善子とダークライ、悪夢を越えて
51~75
野生の生クリーム!
花丸とバニプッチ
76~00
シャイニーを探して
曜と鞠莉、二人きりのバケーション


危ない!?イン・マイ・ドリーム
善子とダークライ、悪夢を越えて


――――――――トウジョウシティ郊外

――――――――オヤスミナ山



千歌「きゃっほーい♪」ポフー

ダイヤ「千歌さん、布団にダイブするのは止めてください!」

千歌「えー気持ちいいよー?♪」ゴロゴロ

ダイヤ「まったく……」

善子「はあ……」

ダイヤ「善子さん?どうしたんですの?ため息なんて」

善子「どうもこうも……なんでキャンプなのよ……。わざわざバンガローまで借りて」

ダイヤ「合宿でしょう?Aqoursとしてさらに強くなるための」

善子「合宿なんて今さら……」

ダイヤ「集団行動もたまにはいいものですわ。鞠莉さんと果南さんとは永く旅をしましたが、これだけ大所帯というのは経験がありませんから」

善子「大体、バンガローを分けるって……なんでこの三人なのよ」

ダイヤ「それこそくじ引きですから仕方ありませんわ」

善子「そうだけど……」

ダイヤ「不満ですの?」

善子「馬が合わなそうではあるわね」

ダイヤ「歯に衣着せないのは素直と評しますが、それはこっちのセリフですわ」

善子「は?」

千歌「まーまーまーまー♪普段あんまり話さないなら、これを機会に仲良くなればいいんだしさ♪」

善子「仲良く……ね」

ダイヤ「棘がありますわね。言っておきますが、GUILTYLEAのことを遺恨にしているなら筋違いですわ」

善子「そっちこそ」

ダイよし「ふん」

千歌「ありゃりゃ……」


善子「GUILTYLEAどうこうを持ち出すつもりはないわ。あれはもう終わったことだから。というか、そもそもGUILTYLEAにいた頃からあなたのことは苦手だった。それを理由に牙を向けたこともあったわけだし」

ダイヤ「これからは同じグループの仲間です。少しは歩み寄る努力をしたらどうなんですの?」

善子「あなたが言えたことじゃないでしょ」スクッ

ダイヤ「どこへ行きますの?」

善子「どこって、眠いから寝るのよ。これ以上不毛な水掛け論を続けないためにもね」

ダイヤ「待ちなさい。まだ話は……」

善子「ふん。行くわよ、あんたたち」シュッ ポンッ

キリキザン「キザッ」

ワルビアル「ビァル」

ゲンガー「ゲアッ」

ヘルガー「ガル」

エルレイド「レェド」

ダークライ「……………………」

善子「おやすみなさい、せいぜい良い夢を。千歌、ダイノーズ」ヒラヒラ

ダイヤ「誰がダイノーズですの!!!」

千歌「おやすみ~」

善子「……………………」スタスタ

ダークライ「……………………」


ダイヤ「まったく……あの子は……。ゴメンなさい、千歌さん。絆を深めるための合宿でこんな……。歩み寄るどころか遠ざかってしまいましたわ……」

千歌「クスクスッ♪」

ダイヤ「なにかおかしいことでも?」ムスッ

千歌「ううん♪ダイヤさんも善子ちゃんも、人付き合いが苦手なんだな~って♪」

ダイヤ「あの子に対してだけですわ、こんな……。どうにも……ね。必要以上に目を掛けてしまって。つい余計な小言や悪態をついてしまいます。これではダメだとわかっているのですが」

千歌「お姉ちゃんみたいだね、ダイヤさん♪善子ちゃんがダイヤさんの妹だったら……名前はサファイアかな」

ダイヤ「サファイア……」



サファイア『ダイヤお姉さまッ♪』



ダイヤ「手の掛かる妹が増えるのは、心の底からブッブーですわ……」ホクロポリポリ……


――――――――


ガチャッ

バタン

善子「ふぅ……」

エルレイド「レア」

善子「ん?」

ワルビアル「ワァル」

善子「……なによ。……わかってるわよ……素直になれ、って言ってるんでしょ?」

エルレイド「レアッ」コクン

善子「いろいろあるのよ……。人間てのは、自分と他人が交わるとき……心の深いところに言い様のないもどかしさを覚えるのよ。それがね……羽毛に抱かれてるみたいにむず痒くて、どうにもくすぐったくなる。自分を受け入れてくれる相手だと……もっとね」

ダークライ「……………………」

エルレイド「エル……」

善子「遺恨なんてあるわけない。ダイヤは意地悪だわ。私がみんなになにを思ってるかなんて、わかりきってるはずなのに」

キリキザン「キザッ」

ヘルガー「ガァル」

ゲンガー「ゲーアッ」

善子「……さ、寝ましょ。どうせまた騒がしい明日が来るんだから」クスッ

エルレイド「エァル」

ダークライ「……………………」

善子「おやすみ、みんな」


――――――――

――――

――



ホーホー「ホー」

ヨルノズク「ホホー」



善子「Zzz……」クークー

エルレイド「Zzz……」グーグー

ワルビアル「Zzz……」ガーガー

ゲンガー「Zzz……」フヨフヨ

ヘルガー「Zzz……」クルル……

キリキザン「Zzz……」スヤスヤ

ダークライ「……………………」スッ

カチャッ……

ギイィ……

エルレイド「レーア……」

ダークライ「……………………」

エルレイド「レアァ……Zzz……」

ダークライ「……………………」スウゥ……

バタン……

善子「……………………」


ダークライ「……………………」スゥーッ

千歌「Zzz……」クークー

ダイヤ「Zzz……」スヤスヤ

ダークライ「……………………」スゥーッ

ゴッ!

ダークライ「!!」

ゴロゴロゴロゴロ……パカーンッ!

千歌「ストライーク!!!」

ダークライ「!!!」バッ!

千歌「ムニャムニャ……つぎはーわたしねー……ンニュンニュ……ここはぁスペア狙いで……左へのカーブを……ムニャムニャ……」

ダークライ「……………………」

千歌「うぁぁ……こーなったら……私のぉ禁断の魔球をぉ~……クークー……」

ダークライ「……………………」スゥーッ……

ガチャッ……

バタン……

ダイヤ「……ん、?」ムクッ……グシグシ……


――――――――



ダークライ「……………………」



善子『……魔物、ね。たしかに似つかわしい字(あざな)だわ。その眼……なにも映そうとしない空っぽな眼差し。なにも無い場所に静かに佇むその姿……まるで誰かを待っているかのようじゃない。……一目で気に入ったわ。やっぱりあなたしかいない』

スッ

善子『私は……』ギラン



ヨハネ『私は堕天使ヨハネ。あなたをもらいに来たわ。ダークライ』

ダークライ『……………………』ギラン……

ヨハネ『私と一緒に……来なさい』



ダークライ「……………………ァク」

ザッ……ザッ……

ザッ……

善子「いい月夜ね」

ダークライ「……!」

善子「なーに木の上なんかでたそがれてんのよ」

ダークライ「……………………」

善子「んっ、しょ……」

ヨジヨジ……

善子「んっと……木登りなんて子どものとき以来だわ。なかなか風情があるじゃない。高いところから見る月も」

ダークライ「……………………」

善子「あのとき……あのとき、しんげつじまで見た月も……こんな銀色をしていたわね」


ガサッ……

ダイヤ「……………………」



善子「あんた、いつも夜になるとフラッとどこかに消えて、明け方になると戻ってきてるでしょ。ちゃんと知ってるんだから」

ダークライ「……………………」

善子「ナイトメアの力で、私たちに悪夢を見せないようにするため。……でしょ?」

ダークライ「……………………」

善子「……バカね。そんな気遣いなんてして。……ダークライ。……あなたは今も昔も変わらないわね。人間のことを誰よりも好きなはずなのに……いいえ、好きだからこそ遠ざかる。人間を悪夢で苦しめないために。人間が好きだからこそ……あなたはあのとき私の誘いを断ったのよね。なにも……誰も傷付けたくないから」

ダークライ「……………………ラァイ」



――――――――

――――

――


なにに導かれてか……

銀の月の浮かぶ下……その黒い者は現れた……



ヨハネ『……………………』

ダークライ『……………………』



内に激しい感情を渦巻かせ……

絶望と憂いを抱いた悲しい眼をしたそれは……

自らを堕ちた者と称した……

私を必要と言い……私を欲しいとぬかした……

不遜に……不敬に……不躾に……



ヨハネ『さあ……』スッ

ダークライ『……………………』

ヨハネ『私のものになりなさい』



差し出された細い腕……

夜に濡れた顔に貼り付いた……虚ろな表情……

一目で理解した……

ああ……これは、私と同じだ……

私と同じ……

人間が好きだった者だ……


善子「人間が好きだから、あなたは世界を滅ぼそうとする私を嫌悪し、しんげつじまでの誘いを断った。けれど、今になって思えば、傍にいることで私を悪夢で苦しめてしまうから……あれはそういう意味もあったのよね」

ダークライ「……………………」

善子「あなたは頑として動こうとはしなかった。こっちがどれだけプレッシャーをかけても、力ずくで連れ去ろうとしても。そして……説得に応じないあなたに見限りをつけたのは、たしか三日後のことだったかしら」



――――――――

――――

――



ヨハネ『……どうあっても、私と来るつもりはないのね』

ダークライ『……………………』

ヨハネ『……残念だわ』クルッ



なにを不満がる……

私を傍に置くこと……その意味さえわからない愚か者が……

私と共にあることの意味さえ……



スタスタ……ピタッ

ダークライ『……………………』

ヨハネ『……ダークライ。力を求めたとき……一番最初に頭にあなたのことが浮かんだわ。望まぬ悪夢で人間を苦しめる力を持ったあなたを』

クルッ

ヨハネ『それってどんな気持ちなの?』

ダークライ『……………………』

ヨハネ『自分の意思とは裏腹に強制的に悪夢を見せてしまう無作為の悪意。あなたに他者を虐げる意思が無いのなら、それはきっと想像を絶して苛酷な力なんでしょうね。それこそ、呪いとも言えるような』

ダークライ『……………………』


ヨハネ『あなたの気持ち……わかるなんて言わないわ。だけど私には、あなたは自分の力に怯えているようにしか見えない。私の方があなた以上に――――――――』



善子「悪夢を見せる覚悟がある」

ダークライ「……………………」

善子「……なにを偉そうに、って思ったことでしょうね」クスッ

ダークライ「……………………」

善子「たった十数年しか歩んでいない生で達観した気になって……ただ復讐の一心で生きようとしてただけのくせに」



ダイヤ「……………………」



善子「しんげつじまを後にしてから、あなたに代わるポケモンを探したわ。けど、私を満足させるようなポケモンはいなかった。そんなとき、ナカノヒトタウンにある神殿の噂を聞いたの」



――――――――

――――

――


あれからどれだけの月日が流れたか……

虚無の時の流れにたゆたい……いずれ消え行く命として……

私は一つの思考に辿り着く……



何故、私は生まれた……



なんのために……

悪夢を以て他の命に害成す存在……

なんのために……

私の意味とはなんだ……

私の価値とはなんだ……

"呪い"

いつか現れた黒が私に言った言葉……

呪われた命ならば……このまま朽ちていけばいい……

誰にも仇なさず……誰にも愛されぬまま……

ただ……静かに終わりのときを待つ……

そんな私の前に……再びそれは現れた……

もとい、呼び出された……

"やぶれたせかい"の龍に導かれるまま……

あまねく星が煌めく空間へと……

そこで私を待っていたのは……自らを"世界"とする人の姿を模した"神"……

そして……



???『数奇……なんかじゃない。これは必然よ。こうなるべくして在る未来』

ダークライ『……………………』

???『もう一度言うわ』

スッ

ヨハネ『私のものになりなさい』



あなたの力が必要なの、と……

堕天使ヨハネはそう告げた……


そうする以外に道はあったはずで……

そうなる前に手はあったはずだった……

これは……赦すことが出来ずにいる……

自分の無力さを……

だからこそ力などという大それたものを求める……

私を必要とする者……

これを前に、私は私の生きる意味を垣間見た気がした……

未来も希望も捨てたこの堕天使の瞳に……せめて僅かな輝きを灯そう……

そう決めた……

誰しも……一人では真に望むものを手に入れることは出来ない……

誰しも……一人では苦しむばかりだ……

私は……人を傷付ける悲しみを、痛みを知っている……

呪われた力……そう称したこれが、か弱き命が……それを背負うことなどあってはならない……

その必要はない……

私に出来ること……せめてこの命を、正しき方向へ導こう……

闇に呑まれず……堕ちることなく……この命を連れてみよう……

いずれ待つ……この堕天使を受け入れてくれる何者かのいる未来まで……

私を必要と……欲しいと言ってくれた……

堕天使ヨハネのために……


善子「……ずっと、謝らなきゃって……思ってた。私のワガママを聴いてくれたあなたに……酷いことを言ったし、酷いことをさせた……。こんな私について来てくれたこと……本当にありがとう。そして……本当に……本当にゴメンなさい!!!」

ダークライ「……………………!」

善子「曜も……鞠莉も……ダイヤも……今は笑い話って済ませてくれてる……。でも……あなたはきっとそうじゃない……。あなたを……復讐の道具として使った……」

ダークライ「……………………ライ」



ヨハネ『堕天降臨……』スッ

ズズッ……

ズズズッ……

ズアアアアアアアア――――――――!

ヨハネ『……………………』



善子「あなたは……優しかったのに……。自分勝手な都合でそれを歪めた……」



違う……



善子「ずっと私を支えてくれていたのに……」



それは……



善子「あなたの思いを蔑ろにした……」



ダイヤ「……………………」


善子「ここまで……私と一緒にいてくれてありがとう……。ダークライ……」スッ



懐から取り出した……人間とポケモンを繋ぐ"もの"……



善子「あなたはもう……私と一緒にいなくてもいい」



一言ごとに大きくなる鼓動……

込み上げる悪寒……

悲哀を帯びた声を聴くのが痛ましく……



善子「私との契約を……破棄――――――――」

ギュッ……

善子「!!!」

ダークライ「……………………」



それ以上は聴きたくないと……華奢な身体を抱き締めた……

初めて直に感じた……堕天使ヨハネの……私の主の温もりだった……


善子「ダーク……ライ……?」

ダークライ「……………………」



何も言わないでほしい……

感謝も……謝罪も……全て私が伝えなければならないことだ……

闇の中で滅び行くだけの命を掬い上げてくれた……

愛する者の近くにいることが出来た……

その勇気ときっかけを与えてくれた……

これ以上の幸福はない……

与えられてばかりの私に出来ることがあるなら……

それはきっと……この先もお前と共に在ること……

お前の力になることだろう……

だから……

お前がそれを望む限り……



ダークライ「ダーク……」

善子「……………………!!!」



お前の傍に……いさせてはくれないだろうか……

"リトルデーモン"と……呼んではくれないだろうか……


たとえ言葉で伝わらなくとも……



ギュッ……

ダークライ「……………………!!」

善子「言葉も……無いわ……」フルフル……

ダークライ「……………………」

善子「ヒッグ……グスッ……!」

ギュッ……

善子「ダークライ……ダークライ…………っ!!」ポロポロ……



ダイヤ「……………………フッ」ガサッ……

スタスタ……



全ては繋がり……

絆は……ここにある……


――――――――翌朝



千歌「あれっ!!?あれぇっ!!!?」

ダイヤ「ふあぁ……どうしましたの……?」ポケー

千歌「並べといたボウリングのピンが倒れてる!!ストライク出されてる!!」

ダイヤ「何故ボウリングのピンを……」

千歌「これはまさか……ダイヤさんが隠された宝を一人で見つけようと夜中にこっそり抜け出しボウリングの珠を蹴った犯人で……」

ダイヤ「なんですのその妄想」

千歌「ダイヤさん、足痛くない?」

ダイヤ「これっぽっちも」

善子「朝っぱらから騒々しいわね」

千歌「聴いてよ善子ちゃん!!朝起きたらボウリングのピンがハッサム……じゃなかったストライクで!!あー……いや、ストライクなんだけどストライクではないっていうか……」

善子「は?」

ダイヤ「善子さん」

善子「ん」

ダイヤ「おはようございます」ニコッ

善子「……おはよ、ダイヤ」

千歌「……?……?」

善子「ねえ、朝ごはん前に一バトル付き合ってよ」

ダイヤ「私ですか?構いませんが、寝起きのままで勝てると?」

善子「勝つわよ。昨日はよく眠れたから。ね、ダークライ」ニッ

ダークライ「ラァク」

ダイヤ「……そのようですわね」クスッ

千歌「……?……??」


――――――――

――――

――


千歌「なんで急にバトルなんだろ……」

グー

千歌「お腹すいたなぁ……」



ダイヤ「手加減はしませんわよ」

善子「柄じゃないことは言わない方がいいわよ。弱さを隠してるように聞こえるわ」

ダイヤ「隠しきれていないのはそっちでしょう。目元が赤く腫れていますわよ」クスクス

善子「なっ!?///ま、まさかあんた……!!///」

ダイヤ「さあ、なんのことやら」クスクス

善子「だっ、誰かに話したら赦さないんだからねっ!!!//////」

ダイヤ「勝てたら考えますわ♪」

善子「あーもうっ!!///ダークライ!!!」

ダークライ「ダーク!!!」

善子「徹底的に叩き潰すわよ!!!力を合わせて!!!」

ダークライ「ラアアアアアアッ!!!」

善子「さあっ行くわよ!!堕天使ヨハネとリトルデーモン!!!」

ズアアアアアアアア――――――――!

善子「堕天降臨っ!!!♪」ギランッ



TO BE CONTINUED…


安価下1コンマ
1~25
ダイヤとルビィ
昔日の出会い
26~50
野生の生クリーム!
花丸とバニプッチ
51~75
シャイニーを探して
曜と鞠莉、二人きりのバケーション
76~00
ルビィ、ホルビー、がんばルビィ!!


ダイヤとルビィ
昔日の出会い


だいや『フフッ、こっちですわよルビィ♪』

るびぃ『まっ、まってよおねいちゃあ!』トテトテ……

コケッ

るびぃ『あっ!』ズザッ

だいや『ルビィ!』

るびぃ『ふぇ……びぇえええええ!!おっ、おねぃぢゃあああああ!!』

だいや『泣かないの。ルビィは強い子でしょう?』

るびぃ『だって……だって……うえええええええん!!』

だいや『ほら、顔を上げて』

るびぃ『うゅ……?』

チュッ

るびぃ『……!』

だいや『勇気の出るおまじないですわ♪』





ルビィ「……………………」サワッ


ダイヤ「ルビィ?」

ルビィ「あっ、お姉ちゃん」

ダイヤ「もうすぐ夕飯の時間ですわ。お母様が呼んでいます」

ルビィ「うん。今行く」

ダイヤ「……なにかありましたか?」

ルビィ「?」

ダイヤ「ああ、いえ……少し、いつもと様子が違ったような気がしたので」

ルビィ「……ちょっとね。昔のことを思い出してたの」

ダイヤ「昔のこととは?」

ルビィ「お姉ちゃんは覚えてる?あのときのこと……」



――――――――

――――

――


るびぃ『なんで!!なんでおねいちゃあだけポケモントレーナーになれるのー!!』

ヨーギラス『ヨー』

ココドラ『ドラァ?』

だいや『ルビィはまだ小さいからですわ。もう少し大きくなったらちゃんと……』

るびぃ『やーだー!!ルビィだってポケモントレーナーになりたいもん!!おねいちゃあばっかりズルいよー!!』

だいや『そんな……』

るびぃ『いっつもそうだもん!!おねぃちゃあの方がなんでも先で!!ルビィはいっつも後から!!全部ぜーんぶ!!』

だいや『ルビィは妹だから……』

るびぃ『好きで妹になったんじゃないもん!!ルビィ……おねぃちゃあなんか欲しくなかった!!』

だいや『!!』

るびぃ『あっ……』

だいや『……そう、ですか』

るびぃ『おねぃちゃ……』

だいや『もう知りません』

るびぃ『……!』ビクッ

だいや『私だって……妹なんか欲しくありませんでした……。私のことが嫌いなら……どこへだって行けばいいです……』

るびぃ『……………………っ』

だいや『私だって……ルビィのことなんか……大ッ嫌いですわ』

るびぃ『グスッ……うわぁぁぁぁぁぁん!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』トテ……トテ……

ワーン……ワーン……

ポツン……

だいや『……………………』

ヨーギラス『ギーラ?』

ココドラ『ドーラ』

だいや『……………………ルビィのバカ』ホクロポリポリ……


――――――――

――――

――



るびぃ『ヒック……グスッ……』

だいや『……………………』



ピンポーン



だいや『……………………』スクッ

るびぃ『グシュッ……』

だいや『……………………』スタスタ


かなん『だーいやっ♪』

まり『あそびにきたよー♪』

だいや『ええ』

まり『?』

かなん『どーしたの?元気ないよ?』

だいや『べつに』



るびぃ『……………………』



だいや『なんでもありませんわ』

かなん『ふーん。それよりさ、今西の海岸にペリッパーの群れが来てるんだよ。見に行かない?』

だいや『ええ』

まり『れっつとぅぎゃざー♪』トテテテ……

だいや『……………………』


――――――――カナマリの埠頭



ペリッパー『パアー』



まり『そーきゅーと♪』

かなん『たくさん飛んでるねー♪』

キャッキャッ

だいや『……………………』

ソヨソヨ……

かなん『なにかあった?』

だいや『……………………』

まり『ルビィとケンカした?』

だいや『……はい』

かなん『なんで?』

だいや『……………………じつは』



――――――――

――――

――


かなん『ふーん……そっか』

まり『ルビィももう少し大きくなったら、ポケモントレーナーになれるんでしょ?それまでのガマンよ♪』

だいや『そう……言ったのですが……』

かなん『……たぶんさ、ルビィはダイヤだけがポケモンを持ってるのが羨ましかったんじゃないと思うな』

だいや『?』

まり『どういうこと?』

かなん『ルビィはきっと、ダイヤと一緒にポケモントレーナーになりたかったんだよ』

だいや『私と……一緒に……』

かなん『いや、勘だよ?なんとなくそう思ったから言ってみただけだから、そんなに気にしないでね。ほら、ダイヤはお姉ちゃんだから、いつもなんでもルビィの先でしょ?だから、ポケモントレーナーだけは……一緒になりたかったんだと思うよ。ルビィは大好きだからね。ポケモンのことも、ダイヤのことも』

だいや『……………………』

まり『ちゃんと話さなきゃダメだよ、ダイヤ』

だいや『わかっています……けど……』

かなん『すなおになれないんだから、ダイヤは』

だいや『……………………』


ダイヤ「子どもながらにケンカをして……口を利かなくなって数年……でしたか。先立っての大乱より、仲を違えた時間は長いものでしたね」クスッ

ルビィ「だね」クスッ

ダイヤ「意地だったのか、素直になれないが故だったのか、今となっては遠い日のことですが……。懐かしいですわね。鮮明に覚えていますわ。私たちが、あの子のたまごを拾ったときのこと」



――――――――

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