【デレマスSS】変わった私と変わらないあなた(7)

ある日の夜、とある学会の発表を終えた私は、壇上から降りてから様々な人に話しかけられていた。

「流石博士だ。今回の発見も素晴らしいものでしたな」
「いやはや、その若さでその知識量。将来が楽しみですな」
「どうです?お互いの知識を語り合うのに、今晩食事会でも」

アイドルを始めた頃の私ならいざ知らず、今の私は大人の断り方も身に付けている。それとなく断り続けながら人混みを掻き分けて行くと、見知った顔がそこにはあった。

「博士~、こっちですよ~!」
「例の方が迎えに来てますよ」

元気のいい女の子と落ち着いた様子の男の子が私を出迎えてくれる。二人とも私の所属していた大学のゼミの後輩達だ。

「二人とも、呼びに来てくれるのは嬉しいんだけど、そろそろ博士って呼び方は止めないか?何だか最近は見知らぬ人までその『あだ名』で呼ぶ様になってるんだけど」

「え~、そんなの今更じゃないですか~!」

女の子よ、そんなにこのあだ名が浸透してるのか?博士号もとってないんだぞ?

「そうですよ。それにその呼び方ご広まったのは、テレビで周りからそう呼ばれてるってばらした博士自身ですよ?諦めましょう」

男の子の言うこともわかるんだけど、如何せん本物の天才達を近くで見続けて来た私だ。彼女達と自分を比べてしまうと、どうしても自分がそんなに誉められた人間では無いように思えてしまう。

「そもそも私はそんなキャラじゃ無いんだけどな。どっちかって言ったら日陰者だぞ?」

「この業界の同年代では知識も経験も右に出る者がいない現役アイドルが何言ってんですか」

「寝言は寝てから言いましょう!」

いや、アイドルやる前の私を見たら、二人共そんな事言えないからね?

「それよりもホラ!急がないと待たせちゃいますよ!」

そうだった。今日は特別な日だから彼女に迎えに来て貰うように頼んだんだった。

「今日は例のあの人の誕生日なんですよね?頑張って下さいね!」

「いい報告、期待してますよ」

「ヤメロォ!」

実情を知ってる二人から弄られつつ建物の裏口から出ると、彼女は自分の車と共に私を出迎えてくれた。

「ちょっと輝子さん、遅いですよ!」

「やぁ幸子ちゃん。遅くなってごめんね。待たせちゃったかな?」

「フフーン。まぁ許容範囲内なので許しますよ。何てったって『ワタシはキレイ』ですからね!」

「フフッ、そいつはありがたいな」

二人の後輩と別れた後、幸子ちゃんの愛車である真っ赤なMINIの助手席に乗せられて目的地へと向かっていた。

「今日は迎えに来てくれてありがとね」

「いえいえ、輝子さんは今日は茸関係のお仕事でしたっけ?」

「そうだよ。より効率的な茸の人工栽培についての論文を発表してきたんだ。……まぁ本当は教授本人が発表しなきゃいけないんだけどね」

「あぁ……あの人ですか。こう言ってはなんですけどあの人の頭の中、常時ライブモードの輝子さんよりヒャッハーしてません?」

あ~……うん、否定できないな……。

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