【モバマス】トリップ・トゥ・ガチャ (28)


キャラ破壊

変なの

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514731149


コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

通勤に使っている道は半透明な灰色に汚れている

昨夜降ったらしい雪がタイヤにかき混ぜられた結果だろう




若林智香「あっ!おはようございますプロデューサーさん!」



モバP「おはようさん。なんでこのクソ寒い中路上でチア姿なんだ?」

智香「朝早くからお仕事に向かう皆さんを励まそうと思って!」

モバP「そうか、汗が冷える前に中に入るんだぞ」

智香「はいっ!」

モバP「いい返事だ。それと、いいアンスコだ」

智香「どこみてるんですか?・・・それはともかく」

智香「プロデューサーも!今日こそ成し遂げてくださいね!」

モバP「おう、今日こそ説き伏せてみせるさ」


高垣楓「おはようございますプロデューサー」



モバP「おはようございます。始業時刻はまだですが、誰かと待ち合わせですか?」

楓「いいえ・・・?どうしてですか?」

モバP「自販機コーナーに人がいるのって大体はレッスン前後ですし」

楓「そうですか、これは私の日課です。」

モバP「日課?」

楓「実は毎日自販機コーナーのラインナップをチェックしてたんです」

モバP「そうなんですか、何か飲みたい飲み物でも?言ってくれたら申請なりなんなりしますよ?」

楓「いいんですか?プロデューサーは仕事が多くて忙しいと聞きましたが」

モバP「いえ?仕事量は適切ですよ?僕が無能なので無駄に時間がかかっているというだけです」

楓「はぁ・・・そうですか、それで何か希望を伝えてもいいんですか?」

モバP「ええ、楓さんの希望なら通るでしょうし」

楓「でしたらいくつか飲みたいお酒の銘柄が」

モバP「始業準備があるので失礼します、今日も頑張っていきましょう」

楓「・・・・・・しゅーん」

楓「・・・・・・・・・プロデューサーも、頑張ってくださいね?」




モバP「(階段を上がり、レッスンルームを窓越しに覗く)」


モバP「(朝一のレッスンに備えたアイドルたちが各々柔軟運動していた)」

モバP「(しかし、僕にはやるべきことがあるのでさらに階段を上がる)」

モバP「(3階は事務室、その入口を抜けると僕は机の間を歩いていく)」

モバP「(いやがうえにも緊張してしまう、今日こそ上手くいくといいのだが)」

モバP「(大丈夫・・・大丈夫だ・・・今回は給料三ヶ月分も貯めたんだからな)」


千川ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん!」

モバP「おはようございます」

モバP「ちひろさん、ちょっといいですか・・・?」


いつもの笑顔に緊張感が高まる



僕は歩みをそのままに懐に手を入れる

確かな手応えと共に指先に触れたそれを

給料三ヶ月の結晶であるそれを

ちひろさんの机上にそっと置いた












モバP「ガチャを引かせてください」


ちひろ「ダメです」


モバP「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


スタージュエルを買うために貯めたギフトカードの束は無残に払われた



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ




モバP「なんでや!なんでガチャ回したらあかんのや!!」

土屋亜子「似非関西弁やめーや、まぁ最近ガチャ事業周りは厳しいしなぁ」




モバP「プロデューサーやぞ!うちプロデューサーやぞ!!」


亜子「レア排出率も表示せなあかんようなったし、商法として苦しいんかなぁ・・・」


モバP「合意の上だから!!合意の上だから!!」


亜子「買春現場を抑えられたオッサンか」


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


亜子「ちひろさんもガチャの窓口やから、慎重になってるんやろうな」


モバP「なんでだよスタージュエル売ってくれよぉ・・・!」


亜子「ちひろさんもアホやないし、下手にPちゃんから毟って"ガチャのせいで生活貧窮"なんて醜聞は避けたいんやろ」

モバP「僕はそれでも構わない!」


亜子「ちひろさんの気持ちも分かったげてーや。これ以上世間からガチャに悪い印象を持たれたくないんや」


モバP「ただの需要と供給じゃないのか!?僕は合意の上で買い物をしているだけだ!」


亜子「Pちゃんの場合、身を持ち崩すレベルで買い物した前科があるしなー」


モバP「僕はそれでも構わない!!!!!!」


亜子「会社の風聞に構えや社会人やろ」



モバP「・・・でも、だったらどうしたらいい?」


亜子「うーん、こればっかりはローンと一緒やな。"この人ならスタージュエルを売ってもいい"と信用してもらわんとなぁ」


モバP「デレステの購入画面にはそんなこと書いてないのに・・・でも、分かった。なんとかするよ」

亜子「頑張ってなPちゃん」


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ









モバP「話は変わるがストローとか持ってないか?」

モバP「丸められる紙とかでもいいけど」


亜子「2千円札ならあるで」

モバP「5千円札にして返すよ」

亜子「毎度」



スーーーーーーーーーーーハーーーーーー









コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

道端に積もった雪にはタバコの吸殻が大量に突き刺さっていた

昨夜降ったらしい雪の上で、寒さに強い暇人たちが一服していったのだろう




智香「おはようございます!今日もお寒い中通勤ご苦労様です!」



モバP「おはよう。今日もゲリラチアリングか。精が出るな!」

智香「はいっ、朝から頑張る人たちに少しでも元気になって欲しくて!」

モバP「そうか。汗が冷える前に中に入って暖かくするんだよ」

智香「プロデューサーももう少し暖かい格好したらいいと思いますよ?」

モバP「あぁ、大丈夫だよ。今日はいいスーツだから」

智香「だからコートを着ていなかったんですね!いいスーツなら安心です!」







楓「おはようございます、プロデューサー。もしかしてスーツ買い換えました?」

モバP「そうなんですよ。コートを売ったお金で買ったんです」

楓「そうなんですか。・・・あれ?そういえばコート着てませんね」



モバP「ええ、でもいいスーツなので平気です。智香に元気もらいましたし」

楓「それは重畳です・・・・・・あれ?ところであのコートって、夏服を全部売り飛ばしてギリギリ買えた安物って言ってませんでした?」



モバP「まぁ安物ですよ、なので加えて秋に買った衣類と家財の殆どを質に出したんですよ」

楓「まぁまぁ、思いの籠ったスーツなんですね」

モバP「ええ、アイドルでなくとも社会人は見た目を着飾ることこそ第一戦略ですから」

楓「いいですね、ところでこの自販機のラインナップ、お酒が並ぶとより見栄えが」




モバP「寒くなってきたんで失礼しますね」

楓「それでは熱燗なんていかがで・・・・・・行ってしまいました」



モバP「(レッスンルームではニューウェーブの三人がレッスンをしていた)」

モバP「(バランスボールの上で態勢を維持する基礎レッスンだ。微笑ましい)」






モバP「ちひろさん、見てくださいこのスーツ」

ちひろ「あら、収入に見合わない上物ですね」




モバP「こう見えて、実は僕やりくり上手だったんですよ」


ちひろ「なるほど。節制を心がけていたんですね。感心です」


モバP「ここに節制の末に貯めた給料三ヶ月分のギフトカードがあるんですよ」


ちひろ「まぁまぁ、課金していただけるんですか」


モバP「ええ、なのでガチャを」


ちひろ「ところでモバPさん、今日の晩御飯の予定って決まってます?」


モバP「え?いきなりなんです、ディナーのお誘いですか?」


ちひろ「いえいえ、やりくり上手なモバPさんを私も見習ってみようかと」


モバP「なるほど、僕の節約料理に興味があるんですね」



ちひろ「はい、参考までに・・・と」











モバP「アイスの蓋ですよ。それではガチャを」


ちひろ「ダメです」



モバP「キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ




モバP「きゅっぷいきゅっぷい!!ア、アイスの蓋の何が悪いんだ!!」

亜子「主食にならないところかなぁ・・・」



モバP「ちょっと溶けたアイスがくっついてて舐めると甘くて美味しいんやぞ!」


亜子「味じゃないんよなあ」


モバP「なんでだ、子供から大人までペロペロしてるじゃないか!買ってきたアイスを食べる前にさぁ!」


亜子「せめてアイス本体の方を食べてやりーな。多少のカロリーはあるんやし」

モバP「はい?僕が貰えるのは蓋だけなんだが?」

亜子「他人の食い残しかい!!!!」

モバP「他人じゃない!!ライラちゃんは僕の大事な担当アイドルだ!!!」

亜子「うっさい!!!!!」



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亜子「よー考えたら、ちひろさんはPちゃんの収入とか把握してるやん」


モバP「そういやそうだっけ・・・あの人の業務はあらゆる部署に食い込んでるらしいからな」


亜子「なんやそれ怖・・・だから変に高級なモン身につけたところで無理してるのはモロバレやろ」


モバP「あっ、そっかぁ・・・暖房器具まで売り払ったのも見ぬかれたかな・・・」


亜子「知らんけど・・・・・・えっ?暖房器具?」


モバP「それはそうと亜子、はいこれ5千円札ね」


亜子「貰い辛いわ!!!」



モバP「いいのいいの、ギフトカードの一部を金券ショップに持っていった分だから」


亜子「(生活切り詰めてるのに金にはきっちりしてるなぁ・・・)」


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ



亜子「で、どうするんや。見栄を張ったところで信用は得られへんみたいやけど」


モバP「身だしなみを整える、歯も磨く、笑顔を絶やさないでいい印象を相手に与える」

亜子「就活か」




モバP「経済面での信用獲得が難しいなら、心証面で信用を勝ち得るしかない!」


亜子「Pちゃんの場合、それも怪しいんやけどな。趣味が趣味やし」


モバP「趣味?手元にある僅かな有償ジュエルで遊んでるだけじゃないか」


亜子「あっそ。・・・心証を良くするってどうするんや?」


モバP「自分に相応しいランクの服と身だしなみ、これでいくよ」

亜子「社会人としてはスタートラインやけどなそれ」



モバP「とりあえずこの高いスーツは売りに出すよ、それでランクにあった一式を揃える」


亜子「うんうん」


モバP「まず、散髪にも行く、食事にも500円以上使ってみる」


亜子「ほうほう、なんや分かってるやん」


モバP「春菜に頼んでいいメガネも見繕ってもらう」


亜子「うん?・・・うん、まあいいんちゃう。あの人メガネに嘘はつかんし」


モバP「あいさんに良いネクタイも選んでもらう」


亜子「あの人ネクタイ専門家ちゃうで?プレゼントにネクタイ選んだりはしたけど」


モバP「それと時子さんにも靴、選んでもらおう」


亜子「時子サン!?」


モバP「知らないのか?あの人靴にはこだわる人なんだぜ、踏まれるとわかるぞ」


亜子「革靴選びは別ちゃうか・・・?」


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モバP「・・・・・・・あ」


亜子「どしたん?」


モバP「亜子、筒、筒みたいなの、紙でもいいから・・・」


亜子「ええ・・・なんか目がうつろで怖い・・・はい5千円札」


モバP「ありがとう、1万円札にして返すよ」


亜子「毎度」







モバP「お札をくるくる丸めてストローに・・・・・・」





スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーーーーーーーーーー






コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

道端に積もった雪はさらなる雪を上乗せされ、凍りついた雀とゴキブリが見えていた

昨夜新たに降った雪の上にわんぱくな誰かが突き刺していったのだろう



智香「おっはようございまーーす!プロデューサー!!」

モバP「おはよう智香、なんだか日を追うごとに元気になっていくな」


智香「そうなんですか?こうやって毎日社会人の皆さんを応援しているからでしょうか!?」


モバP「うーん、確かに道を歩いている人たちも生き生きしているというか、歩みが力強い・・・?」


智香「はい!毎日この道を通ってくれる常連さんです!!」


モバP「常連?・・・ゲリラチアの常連って何なんだろう」


智香「私のおかげで皆が元気になって、皆の元気な姿で私が元気づけられる・・・素敵ですね!!」


モバP「永久機関はここにあったんだな、原発なんて窓から捨ててやろう」


智香「プロデューサーさんも元気になってくださいね!!!」

モバP「スタージュエルさえ買えれば元気一杯になるんだけどな」


智香「まだ許可が下りないんですか!でもファイトです!!」


モバP「おう、智香もメルトダウンする前に切り上げるんだぞ」







楓「おはようございます・・・」


モバP「おはようございます。なんだか落ち込んでますね?」


楓「自販機にお酒がないんです」


モバP「でしょうね」

楓「どうしてでしょう、アンケートに何度も書いたのに・・・」

モバP「許可される理由がどこにもありませんからねえ」

楓「それだとしても、こんなのひどいです・・・私に見せつけるようにして・・・」

モバP「確か昨日、自販機の増設工事してましたしね。お酒が加わると思ったんですよね?」

楓「確かにラインナップは増えましたが、アルコールようの自販機は影も形も・・・」

モバP「うちは元々アイドルが多いですからね、それに対応できるよう商品を増やしたんでしょ」

楓「私や早苗さんに対応してないんですよぉ・・・」

モバP「そのへんは我慢してください・・・」
モバP「あれ、なんかこの一角だけ栄養ドリンクばっかりだ・・・」

楓「あとプロデューサーさんのスーツ、よく似合っていますよ」

モバP「おっ、そうですか!いやー、僕も変に背伸びするのは財布にも自分にもよくないと思いまして」

楓「素敵ですよ、似合っている、というか似ているというか・・・」




モバP「(レッスンルームを覗くと、やはり今日も朝練に励むアイドルたちがいた)」

モバP「(今日レッスンしているのはガールズパワーの三人)」

モバ「(バランスボールを二つ重ねた上で片足立ちをしている。大した女子力だ)」







 
ちひろ「おはようございます!プロデューサーさん!」


モバP「おはようございます。どうですか今日の僕?」


ちひろ「どう、といいますと?」


モバP「僕が着ても違和感が無いというか、分相応な感じがしません?」


ちひろ「相応、というか似合っているというか・・・似ていますね?」



モバP「そうでしょ、スーツからメガネまで全身ぴにゃこら太ですよ」


ちひろ「どうしてそんなファッキン・・・じゃなくてファッションに着地したんですか?」


モバP「自分のレベルに見合った服装ですよ。僕ってぴにゃこら太に似てるってよく言われるんで」


ちひろ「そうですか・・・ものすごい黄緑色・・・」

モバP「お互い様ですよ。ところでガチャ引かせてください」


ちひろ「ダメです」




モバP「ピニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」






ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ



モバP「そっくりだって言うんだもん・・・穂乃香がバッチリだって言うんだもん・・・」

亜子「春菜ちゃんとあいさんと時子サンに頼るって言ってなかった?」


モバP「時子さんには拒否されたんだ・・・だから次善の策として・・・」

亜子「次善・・・?次善・・・?」


モバP「最初は靴だけだったんだ。ぴにゃ風革靴だったんだけど・・・」

亜子「やけど・・・?」

モバP「靴だけだと調和が取れないからって春菜がメガネをぴにゃデザインに・・・」

亜子「ガンの転移か」



亜子「というかその靴スニーカーかと思ったら、ちゃんとした革靴やんけ」

モバP「これでもビジネスマン向けのぴにゃデザインらしいからな。丈夫にできてるよ」

亜子「ビジネスマンは履かんやろうな・・・」

モバP「ぴにゃあ・・・」




ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


亜子「どうすんの?どうすんの?」

モバP「どうしよう?どうしよう?」

亜子「なんで服装すらちゃんと出来んのや・・・芸能界ってまず見た目やないの・・・?」

モバP「見た目に金を使ってる暇があったらガチャに金を使いたい。というか使っている」

亜子「そんなアホがいるから規制が厳しくなってるんやで?」


モバP「最低限は気を遣ってるって、僕だって街を歩いているだけで犯罪者予備軍と呼ばれるような油ギッシュな方みたいにはなりたくないからな」

亜子「それは本当に最低限やないかい!」

モバP「でもあれだよね、犯罪者予備軍って職質はされても逮捕されたってニュースは滅多にないよね」

亜子「うん?いや、だからこそ偶にオタクの犯罪ってお祭り騒ぎになるんちゃう?」



モバP「前科者ってオタク系よりチンピラとかオラオラ系の方が多いよね、なんで彼らは予備軍呼ばわりされないの?」

亜子「それがメディアマジックやで・・・・・・この話はもうやめーや」



モバP「そもそも車やブランド品にアホほど金を突っ込むのはありで、ガチャはなしなのはなんでなのなのなの・・・」

亜子「そのへんの会社はメディアにとって大手のスポンサーやからやない?」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ



亜子「もうあれや、男は中身やで!見た目は普通でいいから仕事で成果だしてこ!」

モバP「僕はすでに頑張ってるのに・・・ガチャを引く余裕だってあるはずだ」


亜子「アイスの蓋で捻出されたもんを余裕とは言わんやろ」

モバP「でも僕はアイドルとちひろさんの次くらいには出勤して真面目アピールしてるんだけど」


亜子「アピールだけじゃなくて成果をだしいや。社会人なら」

モバP「甘いな亜子。最近は定時までに効率よく仕事を片すより、汗水たらして残業している方が同じ仕事量でも評価が高いんだぞ」

亜子「そんな株式会社は暴落してまえ」

モバP「そもそも暴落以前に高騰しないがな。はっは」


亜子「やかましいわ・・・・・・よし分かった。こうなったら真面目に働こう」

亜子「バリバリ働いてガチャの誘惑に溺れないデキる男の姿を見せつけるんや」

モバP「わかってくれたか、作業効率より作業風景を重視する現代人のトレンドが」

亜子「腐れ」


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モバP「亜子、これ1万円札ね・・・それと」

亜子「今日はストロー持ってきてるで」

モバP「ありがとう・・・500円で買わせてもらうよ」

亜子「毎度」


モバP「さてとストローを右の鼻の穴に入れて、一気に吸い込」






スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーー




コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

道端に積もった雪の上には派手な服を着た大型犬が一匹横たわり、冷たくなっていた

インスタ映え狙いで購入し、ドレスアップしたものの面倒を見きれずに捨てられたのだろう





智香「おっっはよーうございまーーーすっ!!!」


モバP「・・・・・・・・・おはよう。今日はアンスコじゃなくてスパッツなんだな」


智香「防寒対策ですっ!!!それとどこ見てるんですか!!」


モバP「いや、仕事が忙しくてね・・・手元ばかり見下ろしていた時につい・・・」


智香「確かに見るからに忙しそうですねっ!でも転ばないように気をつけてください!!」


モバP「おう・・・気づいたんだけど智香の足元だけめちゃくちゃ雪解けしてるんだな」


智香「ヒートアップしちゃいました!!」


モバP「クールダウンしたら社内に入るんだぞ」










楓「・・・おはよう、ございます?」


モバP「・・・・・・おはようございます」


楓「忙しそうですね・・・?」


モバP「ええ、業務は溜まっていますし、こうして通勤時間も業務の一部ですよ、はっはっは」


楓「いつも私たちのためにありがとうございます」


モバP「社会人としての義務ですよ、義務」


楓「あと、どうせならこの自販機にお酒を追加してくれたりなんかするともっと私のためにな」


モバP「おっと仕事が忙しいので失礼」







モバP「(レッスンルームではフリルドスクエアがレッスンをしていた)」


モバP「(四つ重ねたバランスボールのそれぞれの隙間にメンバーが一人ずつ挟まっていた)」


モバP「(大したバランス感覚だ、見た目は変なサンドイッチのようだが)」







ちひろ「おはようございます!きょうは普通のスーツで良かったです」


モバP「ええはい、一応まともな値段で買い取ってもらえたので」


ちひろ「ふふ、そうでしたね。ところでどうしてタブレットを?」


モバP「ふふふ、歩いている間も仕事を続けるためですよ」


ちひろ「仕事?昨日の定時までに終わらせたんじゃなかったんですか?」


モバP「その後持ち帰った分ですよ。仕事はたくさんするに限りますからね」


ちひろ「だからずっとタブレットをタプタプしてるんですか。こっちも見ずに」






モバP「ええ、家からここまでずっと歩きながらタブレット内で処理できる業務を処理してきました」


ちひろ「歩きスマホですか、そうですか・・・」





モバP「僕は24時間アイドルのことを考えてますからね」


ちひろ「守秘義務って知ってます?」


モバP「はっはっは、もちろんですよ。ところでガチャを引いてもいいですか?」


ちひろ「ダメです」


モバP「ジョブズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ






亜子「歩きスマホって、会社によってはめちゃくちゃ悪評につながるって知っとる?」


モバP「スマホじゃないもん!タブレットだもん!そう!アイフォンならね!!」


亜子「スマホやないか、それを言うならアイパッドや」


モバP「私生活まで仕事に捧げている姿をアピールしてたのに!!」


亜子「会社の資料持ち出して、とっくに免職沙汰なんやけどなぁ・・・」


モバP「アイパッド取り上げられたしぃいい!!!ウイルスチェックとかでええええええ!!!」


亜子「今やPちゃんが会社のウイルスまであるで」


モバP「文香だって歩き読書が癖でよく駅の階段から転げ落ちるって言ってたのにそっちはいいのかよ!!」


亜子「よくないで!!??」





ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ





モバP「でもあれだ、歩きスマホが良くなかっただけで、仕事に真面目に取り組むってのはいいかも知れない」


亜子「ほうほう、根拠は?」


モバP「ちひろさんの態度が今までより若干、柔らかかったかな」


亜子「そうなんか?」


モバP「おう、あんまりこっちを馬鹿にしている感じじゃなかった。なんか道に落ちてる軍手を見てる感じ」


亜子「ゴミ扱いやないか。仕事を社外に持ち出しまでして、いよいよガチャどころやないで」


モバP「くそう、そっか、最近は情報漏洩に厳しいもんな」


亜子「10年前からそうやけど?」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


モバP「分相応な格好をして」


亜子「はい」


モバP「真面目に効率よく仕事をして」


亜子「はぁい」


モバP「社外秘の情報が漏れないようにする」


亜子「ええ・・・まぁ・・・うん」


モバP「よし、閃いた。ちょっとイメチェンしてくる!」


亜子「はぁい!?」


モバP「じゃあ行く前にストロー!」


亜子「一本千円な」


モバP「サンクス!!」


亜子「毎度」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ



モバP「机にこすりつけて削ったスタージュエル・・・」







モバP「七色に輝く削り粉を机の上に一列に並べる・・・」






モバP「あとは鼻に挿したストローの先っぽを・・・」






モバP「鼻息で粉が飛び散らないように近づけて・・・」







モバP「一気に吸い上げる!!!!!!」






スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーー!!!!!!





ストローの中を駆け上った五色の粉が鼻腔奥の粘膜にかじりつく




前頭葉と頭蓋骨の内側、そのハザマで打ち上げ花火が爆発した



詰め込まれた火薬は五色の光を振りまき地球上の全てを照らした



僕の世界に昼夜の境はない。北半球も南半球全ての空を五色の虹で埋め尽くす



桃色のユーラシア大陸、赤色のオーストラリア、緑色のインド洋、青色の月面



そして蠢く黄色い人類が僕の尾てい骨を躍り上がっていく




70億人の黄色い小人が脊椎を踏みしめながら背骨を登頂する感覚に僕は6千億万回絶頂した



僕の脳みそは喜色に暴れ狂い背骨を、そしてそこに引っ掛けた小人と共に宇宙に射出される



やがて346年後、宇宙を一周した僕の脳みそは地球にいる僕の子孫にあいまみえ、その体を乗っ取るのだ




未来人の肉体は僕にとってエデンの泉のように心地よい




そのぬくもりに包まれ僕は5那由多回絶頂するのだ






モバP「ご、ごしょくのにじいろ・・・・・・」




モバP「あぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」







亜子「・・・・・・」




亜子「しっかし、何度見ても・・・見てられん趣味やなぁ・・・」






コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

泥と混ざり合った茶色い雪に紛れて家庭ごみが捨てられていた

計画性のない主婦の嗜みだろう






智香「あれ、プロデューサーさん!今日はメタリックですね!」






楓「プロデューサーさんいつからロボットになったんですか?」





モバP「(レッスンルームデハ、ニュージェネレーションガレッスンヲシテイタ)」





ちひろ「・・・ロボコップそっくりですね」





モバP「脳ヲ高度ナPCに改造シ、脳内デ業務ノ処理ヲ行ッテイマス」






モバP「ガチャ、ヒイテモイイデスカ?」


ちひろ「ダメです」


モバP「理解不能理解不能理解不能!!!!!!」









ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ



スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーー


コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

積もったばかりの新雪を幼児がボリボリとかじっていた

育児放棄の末の飢餓感からくるものだろう






智香「あれ、プロデューサーさん!今日はアルカイックですね!」








楓「プロデューサーさんいつから仏様になったんですか?」







モバP「(修練場には愛すべき偶像たちが調律玉の上にて修練に耽っていた)」







ちひろ「・・・千手観音そっくりですね」





モバP「数多の業をこの手で担うべく悟りを開いたのです」







モバP「ガラガポン、一つ引かせて頂いても宜しいか?」


ちひろ「ダメです」


モバP「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏!!!」







ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーー


コンクリートジャングルでは白銀の景色など見られない

活気に満ちたの良いサラリーマンが自販機の安酒で宴会を開いている

雪の中には空き缶と食い散らかされたつまみが埋まっていた





智香「あれ、プロデューサーさん!今日はイデアですね!」




楓「プロデューサーさんいつから概念になったんですか?」





モバP「(ガチャをレッスン場でガチャをアイドルがガチャをバランスボールでガチャ)」





ちひろ「・・・概念そのものですね」



モバP
   「 
    ガ

 
    チ 

    ャ

    を

    引

    い

    て

    も

    ?
     」



ちひろ「ダメです」


モ バ P「 き    え            ゆ                く 」



ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


スーーーーーーーーーーーーーハーーーーーーー





亜子「・・・・・・・・・」


亜子「・・・・・・・・・」


亜子「・・・・・・・・・」


亜子「・・・・・・・・・」


亜子「毎日毎日スタージュエル吸引しとるけど・・・」



亜子「・・・そろそろ手持ちの分は切らしそうやし・・・」



亜子「そしたら・・・ガチャも引かせてくれるんちゃう?」



ちひろ「私もいらない衣類を買い取るのは面倒ですしその方がいいですね」


亜子「あれってちひろさんやったん!!?」


END

以上、終了


書き納めのつもりが2018年にまたがってしまった

まともなSSが描けない

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